説明

通信システム

【課題】互いに無線により通信することが可能な主器材A、Bとサブ器材Z1〜Z4を有し、サブ器材が所定の動作の発生時に要求データを無線送信し、要求データを受信した主器材が応答データを無線送信し、応答データを受信したサブ器材が当該応答データに基づいて動作を行う通信システムで、主器材とサブ器材との関係を管理する。
【解決手段】各主器材及び各サブ器材にはそれぞれを識別することが可能な識別情報が設けられ、主器材は自己に所属するサブ器材の識別情報を登録して管理し、サブ器材は自己が所属する主器材の識別情報を登録して管理する。また、主器材とサブ器材とが無線により通信することが可能な最大の距離が規定されており、サブ器材は無線により通信することが可能な距離に存在する主器材に所属するように自己が所属する主器材を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主器材とサブ器材とが通信する通信システムに関し、特に、主器材とサブ器材との関係を管理する通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、主器材とサブ器材を備えた通信システムがある。一例として、主器材は人が身に付ける装置であり、サブ器材は人が携帯する器材である。
従来技術の一例として、特許文献1には射撃シミュレーション装置が開示されており、本発明は同様なものに適用することが可能である。
【0003】
【特許文献1】特開2004−85033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来において、上記のような通信システムでは、主器材とサブ器材との関係について、互いの関係を自動で認識することができなかった。このため、主器材とサブ器材との関係が変更になるときには、人の手を介在して、有線又は光通信(例えば、IrDA(Infrared Data Association)など)でサブ器材から信号を出すことにより主器材と関連付けていた。こうしたことから、システムにおける自由度が低く、例えば、サブ器材と主器材との位置関係が変わってしまっていたことに人が気付かず、サブ器材が情報を得られないまま動作してしまうようなことも考えられた。このように、従来では、主器材とサブ器材との関係を人が検知する動作に手間がかかっていた。
【0005】
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、主器材とサブ器材とが通信する構成において、例えば人が検知しなくとも装置(器材)により自動的に、主器材とサブ器材との関係を管理することができる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る通信システムでは、次のような構成とした。
すなわち、通信システムは、互いに無線により通信することが可能な主器材とサブ器材を有する。そして、サブ器材が所定の動作の発生時に要求データを無線送信し、要求データを受信した主器材が応答データを無線送信し、応答データを受信したサブ器材が当該応答データに基づいて動作を行う。
このような構成において、各主器材及び各サブ器材には、それぞれを識別することが可能な識別情報が設けられる。
主器材では、所属サブ器材管理手段が、自己(当該主器材)に所属するサブ器材の識別情報を登録して管理する。
サブ器材では、所属主器材管理手段が、自己(当該サブ器材)が所属する主器材の識別情報を登録して管理する。
【0007】
従って、主器材とサブ器材とが通信する構成において、例えば人が検知しなくとも装置(器材)により自動的に、主器材とサブ器材との関係を管理することができる。
【0008】
ここで、主器材としては、例えば、複数の主器材が設けられる。
また、サブ器材としては、例えば、複数のサブ器材が設けられる。
また、主器材やサブ器材としては、それぞれ、例えば、無線通信機能を有する種々な構成のものが用いられてもよい。
また、サブ器材で発生する所定の動作としては、種々な動作が用いられてもよい。
また、主器材とサブ器材との間で通信される各種の信号(データ)の内容としては、種々なものが用いられてもよい。
例えば、応答データには、サブ器材で行われる動作に必要な情報を含めることができ、具体例として、位置に関する情報や、動作の停止に関する情報などを含めることが可能である。
【0009】
また、器材の識別情報(IDの情報)としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、番号の情報などを用いることができる。
また、所属サブ器材管理手段や、所属主器材管理手段としては、それぞれ、例えば、所属の関係にある器材の識別情報をメモリに記憶する記憶手段を用いて構成することができる。
また、例えば、1つの主器材は複数のサブ器材に所属されることが可能であり、1つのサブ器材は1つの主器材に所属する。
【0010】
なお、所属の関係にある器材の識別情報を登録して管理する場合に、例えば、所属の関係が変更されるようなとき(特に、変更される過程のとき)には、実際に所属の関係にある(或いは、実際に所属の関係にあるべき)器材と管理内容とが相違するときが発生することも考えられるが、実用上で有効な範囲で、このようなときが発生しても構わない。
【0011】
本発明に係る通信システムでは、次のような構成とした。
すなわち、主器材とサブ器材とが無線により通信することが可能な最大の距離が規定されている。
サブ器材では、所属主器材変更手段が、無線により通信することが可能な距離に存在する主器材に所属するように、自己(当該サブ器材)が所属する主器材を変更する。
【0012】
従って、主器材とサブ器材とが通信する構成において、例えば人が検知しなくとも装置(器材)により自動的に、主器材とサブ器材との関係を管理することができる。具体的には、例えば、サブ器材は、各主器材との間の距離の状況に応じて、現在に所属している主器材にそのまま所属することが可能である場合にはその主器材にそのまま所属し、現在に所属している主器材との間で無線通信することができないほどに離隔した場合には無線通信することが可能な他の主器材に所属するように、自己が所属する主器材を変更することができる。
【0013】
ここで、主器材とサブ器材との間で無線通信することが可能な最大の距離としては、例えば、システムの使用状況などに応じて、種々な距離が用いられてもよい。
また、所属主器材変更手段は、例えば、サブ器材が所属する主器材を変更することが必要な場合にその変更の処理を行い、変更が不要である場合には変更の処理を行わなくてよい。
【0014】
本発明に係る通信システムでは、次のような構成とした。
すなわち、サブ器材では、要求データ送信手段が、自己(当該サブ器材)が所属する主器材の識別情報を含む要求データを無線送信する。
主器材では、要求データ受信手段が、要求データを受信し、また、応答データ送信手段が、受信された要求データに含まれる主器材の識別情報と自己(自己の主器材)の識別情報との差に応じて応答データを送信するタイミングをずらして、応答データを送信する。
【0015】
従って、例えば、あるサブ器材と無線通信することが可能な距離に複数の主器材が存在するような場合においても、各主器材から送信される応答データに応答時間の時差(送信タイミングの差)が設けられるため、このサブ器材では、複数の主器材の存在を検出することができ、現在に所属している主器材が存在するか否かを判定することや、必要に応じて他の主器材に所属するように変更することなどが可能となる。このように、主器材とサブ器材とが通信する構成において、例えば人が検知しなくとも装置(器材)により自動的に、主器材とサブ器材との関係を管理することができる。
【0016】
ここで、主器材の識別情報について、2つの識別情報の差としては、例えば、識別情報が番号である場合には、2つの番号(数値)の差を用いることができ、また、識別情報が番号以外の文字列などである場合においても、予め決められた規則などに従って、2つの文字列などの違いの程度を表す数値を差として検出することが可能である。
また、2つの番号の差を検出する場合に、例えば、各番号の下位の所定数のビットのみの差を検出するような態様が用いられてもよい。
また、主器材の識別情報の差に応じた送信タイミングのずれの大きさとしては、種々な態様で設定されてもよく、例えば、主器材の識別情報の差(数値)に比例した時間を応答時間の時差(送信タイミングのずれの大きさ)として設定するような態様を用いることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明に係る通信システムによると、主器材とサブ器材とが通信する構成において、例えば人が検知しなくとも装置(器材)により自動的に、主器材とサブ器材との関係を管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
本発明の一実施例に係る通信システムでは、主器材とサブ器材との区別がある器材を用いており、主器材対サブ器材の関係が1対N(Nは、1以上の自然数)で成り立ち、サブ器材にとって主器材が固定ではなく、サブ器材や主器材が移動していく構成において、主器材とサブ器材との関係を変更していくことが可能な通信の方式を実現する。
【0019】
具体的には、本例の通信システム内には、多数の処理を常に行っている主器材と、ある特定の動作のみを行うように限定してあって、必要な情報については主器材から必要時に受け取って動作するサブ器材が存在する。
また、主器材には複数のサブ器材が所属することが可能であり、主器材は各々のサブ器材と通信することが可能である。本例の通信システム内には、例えば、複数の主器材が存在する。サブ器材は、1つの主器材に属し、必要時に情報を主器材から取得して動作する。
【0020】
また、各器材間の通信は、規定された距離の無線で行われる。この規定距離としては、例えば、その値或いは設定の仕方などが予め決められており、一例として、主器材に所属するサブ器材の平均的な位置関係によって決まり、規定距離以上は無線は届かないものとしてある。
また、本例の通信システム内では、主器材もサブ器材も位置が固定ではなく、互いに移動することが可能であるため、サブ器材が属していた主器材から離れてしまうことも発生する。この場合には、サブ器材は新たな主器材を探していく必要がある。
なお、通常時は、サブ器材は、主器材に付随し、常にその周辺に存在する。
【0021】
また、本例では、主器材は人が身に付ける装置であり、サブ器材は人が携帯する器材である。各人は携行する器材(本例では、サブ器材)を交換や移譲することなどが可能である。
本例では、サブ器材が主器材に付随して常にその周辺に存在するという関係を保つための通信方式を実現する。
【0022】
図1(a)、(b)には、本発明の一実施例に係る通信システムの構成例を示してある。具体的には、通信する相互の器材として、複数の主器材A、B及び複数のサブ器材Z1〜Z4を示してあり、また、各サブ器材Z1〜Z4を中心にした各サブ器材Z1〜Z4の無線到達範囲R1〜R4を示してある。
図1(a)に示される状態と図1(b)に示される状態とでは、器材の移動により、複数の器材A、B、Z1〜Z4の位置関係が変化している。
【0023】
本例では、各主器材A、B及び各サブ器材Z1〜Z4には、それぞれ、唯一の番号(識別情報の一例)が付けられている。各サブ器材Z1〜Z4は、自己(当該各サブ器材Z1〜Z4)が所属する主器材A、Bの番号を常にメモリに記憶しておく。各主器材A、Bは、0或いは1のサブ器材Z1〜Z4或いは複数のサブ器材Z1〜Z4を保有(管理)することができ、保有する対象となるサブ器材Z1〜Z4の番号をメモリに記憶しておく。
【0024】
各主器材A、B及び各サブ器材Z1〜Z4は、それぞれ、無線により通信する機能を有している。そして、主器材A、Bとサブ器材Z1〜Z4との間で無線通信が行われる。
主器材A、Bとサブ器材Z1〜Z4との間で無線通信により受け渡す情報としては、主に、位置情報と停止情報がある。
【0025】
具体的には、各主器材A、Bには、GPS(Global Positioning System)の機能部が内部或いは外部に接続されているか、又は、外部の統制局装置(図示せず)と通信することができる無線部が搭載されている。そして、各主器材A、Bは、接続されたGPSの機能部又は無線により接続される統制局装置から配信される位置情報(例えば、各主器材A、Bの位置或いはその近くの位置の情報)を受信し、受信した位置情報を通信相手となるサブ器材Z1〜Z4へ送信する。
また、停止情報は、例えば、主器材A、Bが様々な処理を行う際に所定の判定を行い、その主器材A、Bに属するサブ器材Z1〜Z4の動作を一定期間停止する状況が発生したことを判定した場合に、その主器材A、Bからその主器材A、Bに属するサブ器材Z1〜Z4へ送信される。
【0026】
各サブ器材Z1〜Z4は、動作する前には、たいていの場合、主器材A、Bから、現在の情報として、位置情報と停止情報を受信する。そして、各サブ器材Z1〜Z4は、その受信結果を踏まえて、次の動作へ移行する。このため、各サブ器材Z1〜Z4は、常にいずれかの主器材A、Bに属して情報を取得しなければならない。
しかしながら、主器材A、Bとサブ器材Z1〜Z4との位置関係は、各々が移動することから、固定ではなく、流動的である。このため、本例では、各サブ器材Z1〜Z4は、自己が属していた主器材A、Bが通信することができる距離に存在しなくなった場合には、別の主器材A、Bに属するように動作する。
【0027】
図2には、主器材A、Bとサブ器材Z1〜Z4との間における無線による通信のシーケンスの一例を示してある。
本例では、主器材A、Bとサブ器材Z1〜Z4との間で通信するデータには、常に、自己の番号と、通信相手の番号を搭載する。通信相手の番号としては、自己がサブ器材Z1〜Z4である場合には所属している主器材A、Bの番号となり、自己が主器材A、Bである場合には自己に所属する(通信相手となる)サブ器材Z1〜Z4の番号となる。
【0028】
図2に示されるように、まず、サブ器材Z1〜Z4で動作が発生して、サブ器材Z1〜Z4が情報を要求するデータ(要求データ)を送信すると、その要求データを受信した主器材A、Bが応答するデータ(応答データ)を送信する。
要求データを発したサブ器材Z1〜Z4は、主器材A、Bからの応答データを受信して、その受信結果に基づいて、例えば移譲の判定などの諸動作を行う。その後、このサブ器材Z1〜Z4は、応答データを送信した主器材A、Bに対して、動作完了を通知するデータ(通知データ)を送信し、主器材A、Bが当該通知データを受信する。
【0029】
上記の通信シーケンスが行われるとき、主器材A、Bは、自己の番号がデータ(ここでは、例えば、要求データ)内にあった場合には、すぐに応答する。
また、主器材A、Bは、自己の番号がデータ内になくても、サブ器材Z1〜Z4から情報を要求するデータ(要求データ)を受信した場合には、所定の時差を付けて応答する。つまり、このような主器材A、Bでは、要求データの受信タイミングと応答データの送信タイミングとの間に所定の時差を設ける。
このような時差が付けられて応答が行われることにより、サブ器材Z1〜Z4では、自己が所属する主器材A、Bが通信可能な位置に存在しなくなっていても、他の主器材A、Bが応答を返すことから、自己の周辺に存在する主器材A、Bを認識することができ、次に自己が所属することが可能な主器材A、Bを探すことができる。
【0030】
具体的には、各主器材A、Bでは、自己の番号と受信したデータ内に含まれる主器材の番号との差を算出して、その差分に対応する時間だけ経過した後に、自らの情報で応答データを作成して応答する。つまり、応答時間の時差として、主器材の番号の差分に対応する時間が用いられている。
一例として、各主器材A、Bでは、自己の番号の下位2ビットと受信したデータ内の番号の下位2ビットとを比較して、その差に対応する分だけ時差を付けて応答データを送信する。
【0031】
図3には、応答時間のずれの様子の一例を示してある。なお、図3では、複数の主器材として、主器材A、B、C、Dを示してある。本例では、tを所定の時間の長さとして、(主器材の番号の差分×t)の時間を応答時間の時差として算出する。
具体的には、図3では、あるサブ器材が所属している主器材では当該サブ器材が送信した要求データ内の主器材の番号と自己の番号との差分が下位2ビットの比較で0となるため時差が0となり、主器材Aでは主器材の番号が下位2ビットの比較で1ずれているため時差が(1t)となり、主器材Bでは主器材の番号が下位2ビットの比較で2ずれているため時差が(2t)となり、主器材Cでは主器材の番号が下位2ビットの比較で3ずれているため時差が(3t)となり、主器材Dでは主器材の番号が下位2ビットの比較で4ずれているため時差が(4t)となる。
【0032】
各サブ器材Z1〜Z4では、自己が所属する主器材Aが存在しない場合には、その主器材Aからの応答はないが、自己からの情報要求のデータ(要求データ)を受信した他の主器材B、C、Dが存在するときには、その主器材B、C、Dが応答してくるため、その情報(応答データ)を受信して、それ以降は、当該受信した応答データに含まれる主器材の番号をメモリに記憶し直す。この時点で、このサブ器材Z1〜Z4では、所属する主器材を、メモリに記憶した番号に対応する主器材へ、変更したことになる。
【0033】
また、あるサブ器材Z1〜Z4からの無線信号が届く範囲に多くの主器材A、Bが存在する場合には、このサブ器材Z1〜Z4では、複数の主器材A、Bからの応答データが受信されるが、本例では、時間的に最初に受信した応答データを送信した主器材を、それ以降に所属する主器材とする。
サブ器材Z1〜Z4は、応答データを受信した後に通知データを送信するときには、自己が所属する主器材Aの番号を通知データに載せ、このとき、自己が所属する主器材Aが変更になった場合には、その変更後の主器材Bの番号を通知データに載せる。この通知データを受信することにより、この変更後の主器材Bでは、このサブ器材Z1〜Z4が自己に所属することになったことを把握することができ、このサブ器材Z1〜Z4の番号をメモリに記憶して管理する。
【0034】
ここで、時差(差分)を持った応答としては、例えば、サブ器材Z1〜Z4が動作する前の情報を受信するまでに待つことができる時間(所定の時間T)内に、データ送信時間(応答データについてはt1とし、要求データについてはt2とする)が入る分だけ応答を返すことができ、{T≧(x+1)t1+t2}で表すことができる。xは、差分の応答数を表す。この場合、図3に示されるt=t1となる。
なお、本例では、主器材A、Bの番号の下位の数ビットで差分をとることから差分が重なる場合も発生するため、この点だけを考えれば、差分は多く取れる方がよい。
【0035】
一方で、本例では、無線信号が届く範囲が規定されているため、要求データを送信するサブ器材Z1〜Z4の周りに存在する主器材A、Bから際限なく応答データが受信されることはない。
図4には、無線の到達範囲の一例を示してある。
具体的には、無線の到達距離Lと主器材A、Bが取るエリアWに対して、差分の応答数xとの関係は、例えば、{4πL/W<x}となる。これにより、差分の応答数xから無線の到達距離Lがおおよそ決定される。或いは、逆に、無線の到達距離Lから差分の応答数xが決められても構わない。
【0036】
例えば、仮に、あるサブ器材Z1〜Z4について、主器材A及び主器材Bという2つの主器材が通信可能範囲に存在し、実際の位置関係からは主器材Aが属すべき主器材となるが、差分の取り方の関係で主器材Bからの応答データを採用して主器材Bの所属となったような場合においても、その後に主器材Bが離れるように移動していけば、主器材Aが所属する主器材となる。
本例においては、主器材A、Bからサブ器材Z1〜Z4へ通信(送受信)するデータが位置情報であることから、実際の主器材A、Bと異なっても位置は(実用上では)一緒であるため(例えば、無線の到達距離として60cm程度を用いる)、問題はなく、また、停止情報については、主器材A、Bが動き回ることから、異なる主器材A、Bに所属しても、長い時間をかけずに移動により実際の主器材A、Bに所属することができるため、タイムラグでの問題は無い(又は、小さい)と考えられる。
【0037】
一方、例えば、サブ器材Z1〜Z4が異なる主器材A、Bに所属することが問題となるシステムにおいては、一連の通信シーケンスを複数回行って、これらの結果によって(例えば、各種の)算出処理や(例えば、所属すべき主器材の)確定処理を行うような構成とすることができる。
また、本例では、サブ器材Z1〜Z4が(例えば、できるだけ)早く動作するように、主器材A、Bでは下位の数ビットでの判定で時差を設け、サブ器材Z1〜Z4では最初に受信した応答データに対応した主器材A、Bに所属する構成としたが、他の構成例として、時差の判定に使用する番号のビット数としては任意であってよく、番号の全てを時差の判定に使用してもよく、また、サブ器材Z1〜Z4が、全ての応答データを受信した後に、一番小さい番号などの所定の番号或いは前に所属していた主器材の番号に(例えば、最も)近い番号を選択して、選択した番号に対応した主器材A、Bに所属するような構成とすることもできる。また、このような構成は、システムに応じて、自由に変更されてもよい。
【0038】
本例の通信方式では、各主器材A、Bに複数のサブ器材Z1〜Z4を所属させることができるため、各主器材A、Bにおいて、次第に追加される(所属することとなる)サブ器材Z1〜Z4が増えていき、他の主器材A、Bに所属するように移ったサブ器材Z1〜Z4の判定はできないが、例えば、各主器材A、Bにおいて、一定時間の間送受信が無かったサブ器材Z1〜Z4については、所属していないものと判定することにより、所属の有無の調整を行うことができる。
また、例えば、サブ器材Z1〜Z4の分散具合(主器材A、Bの数とサブ器材Z1〜Z4の数の分散具合)からおおよそ1つの主器材A、Bにはm(例えば、m=5など)個以下のサブ器材Z1〜Z4が所属するということが把握されているような場合には、主器材A、Bが、自己に所属するサブ器材Z1〜Z4の数がm個を超えると、最も古いサブ器材Z1〜Z4(最も所属したときが古いサブ器材Z1〜Z4)を所属対象から外す処理を行うような構成とすることもできる。
【0039】
図5(a)、(b)には、無線到達範囲を考慮したときに、サブ器材と主器材とが1対1である場合における処理のシーケンスの一例を示してある。図5(a)には処理の動作開始時における処理のシーケンスを示してあり、図5(b)には処理の終了時における処理のシーケンスを示してある。
なお、本例では、要求データや応答データや通知データの信号の長さがX[ms]であるとしてある。
【0040】
図5(a)に示されるように、サブ器材の動作ボタンが人により押されるなどして、サブ器材の動作が開始されるときには、サブ器材から要求データが無線送信され、主器材により当該要求データが受信される。この主器材は、CPU(Central Processing Unit)による例えば微小な処理時間が経過した後に、応答データを無線送信し、サブ器材により当該応答データが受信されてそのデータが取得される。
図5(b)に示されるように、サブ器材で処理が終了されるときには、サブ器材から通知データが無線送信され、主器材により当該通知データが受信されてそのデータが取得される。
【0041】
図6(a)、(b)には、無線到達範囲を考慮したときに、サブ器材と主器材とが1対複数である場合における処理のシーケンスの一例を示してある。図6(a)には処理の動作開始時における処理のシーケンスを示してあり、図6(b)には処理の終了時における処理のシーケンスを示してある。
なお、本例では、要求データや応答データや通知データの信号の長さがX[ms]であるとしてある。
また、本例では、複数の主器材が、番号1を有する主器材A、番号2を有する主器材B、番号3を有する主器材Cであるとしてある。また、サブ器材は、番号1を有する主器材Aに所属しているとする。
【0042】
図6(a)に示されるように、サブ器材の動作ボタンが人により押されるなどして、サブ器材の動作が開始されるときには、サブ器材から要求データが無線送信され、各主器材A、B、Cにより当該要求データが受信される。このサブ器材が所属する主器材Aは、CPUによる処理により、受信した要求データ内にある主器材の番号1と自己の番号1とが一致することを判定したことに応じて、すぐに、応答データを無線送信し、サブ器材により当該応答データが受信されてそのデータが取得される。
【0043】
主器材Bは、CPUによる処理により、受信した要求データ内にある主器材の番号1と自己の番号2との差分(=1)に応じて、例えば、A1[ms]×1=A1[ms]の時差時間が経過した後に、応答データを無線送信する。サブ器材では、主器材Aからの応答データを取得できなかった場合には、主器材Bからの応答データを受信したときにそのデータを取得する一方、主器材Aからの応答データを取得できた場合には、主器材Bからの応答データを受信したときにそのデータを破棄する。
【0044】
主器材Cは、CPUによる処理により、受信した要求データ内にある主器材の番号1と自己の番号3との差分(=2)に応じて、例えば、A1[ms]×2=2(A1)[ms]の時差時間が経過した後に、応答データを無線送信する。サブ器材では、主器材A或いは主器材Bの両方からの応答データを取得できなかった場合には、主器材Cからの応答データを受信したときにそのデータを取得する一方、主器材A或いは主器材Bのいずれかからの応答データを取得できた場合には、主器材Cからの応答データを受信したときにそのデータを破棄する。
なお、各主器材A、B、Cでは、他の主器材A、B、Cからの応答データが無線により受信され得るが、受信した場合にはそのデータを破棄する。
【0045】
図6(b)に示されるように、サブ器材で処理が終了されるときには、サブ器材から通知データが無線送信される。この通知データには、このサブ器材が所属することとした主器材の番号が格納される。各主器材A、B、Cは、サブ器材からの通知データを受信したときに、CPUによる処理により、当該通知データに含まれる主器材の番号が自己の番号と一致することを判定した場合にはそのデータを取得する一方、一致しないことを判定した場合にはそのデータを破棄する。
【0046】
以上のように、本例の通信システムでは、主器材A、Bとサブ器材Z1〜Z4とが互いのID(本例では、番号)をメモリに登録することや、互いの距離に基づいてサブ器材Z1〜Z4が所属する主器材A、Bを変更することや、主器材A、Bがサブ器材Z1〜Z4からの要求データに含まれる主器材のIDと自己のIDとの差に応じて応答データを返すタイミングをずらすことなどが行われる。
【0047】
従って、例えば、従来では、主器材A、Bとサブ器材Z1〜Z4との関連付けを常に人が意識して行う必要があったのに対して、本例の通信システムでは、このような必要を無くして、人にかかる負担を無くすことができる。また、従来では、このような人による関連付けの動作が忘れられた場合には、サブ器材は動作できなかったが、本例の通信システムでは、そのようなことはなく、サブ器材Z1〜Z4の動作を保証することができる。
【0048】
ここで、本例の通信システムは、例えば、特許文献1に示されるような射撃シミュレーション装置或いは他の種々な射撃シミュレーションのシステムに適用することが可能である。
具体的には、本例の主器材A、Bは、射撃の訓練者(人)の身に付けられる装置であり、一例として、特許文献1の図1に示されるように、訓練者の背中側にある送受信器及びGPSからなる装置に相当する。
また、本例のサブ器材Z1〜Z4は、射撃の訓練者(人)により携帯される装置であり、一例として、特許文献1の図1に示されるように、訓練者により携帯される模擬銃などに相当する。この場合、訓練者は、携帯するサブ器材Z1〜Z4(模擬銃など)の動作ボタンを押すことなどにより、模擬的な攻撃(模擬銃の発射など)を行うことができる。また、1人の訓練者が複数のサブ器材Z1〜Z4(複数の模擬武器など)を携帯してもよい。
【0049】
そして、本例では、主器材A、Bとサブ器材Z1〜Z4とを無線でつなぎ、サブ器材Z1〜Z4(模擬銃など)を誰(いずれの主器材A、B)が保持しているかを、主器材A、Bとサブ器材Z1〜Z4との間でID(本例では、番号)により登録しておく。訓練中に訓練者が(仮想的に)被弾して訓練に参加できなくなった場合などには、その訓練者により保持されていたサブ器材Z1〜Z4(模擬銃など)を他の訓練者が使用することが想定され、この場合には、改めて、サブ器材Z1〜Z4(模擬銃など)と訓練者(主器材A、B)との組み合わせが変わるが、本例では、その登録の変更を自動的に行うことができて、効果的な射撃シミュレーションを実現することができる。
【0050】
なお、本例の主器材A、Bでは、自己に所属するサブ器材Z1〜Z4の識別情報(本例では、番号)をメモリに記憶して管理する機能により所属サブ器材管理手段が構成されており、要求データを受信する機能により要求データ受信手段が構成されており、応答データを送信する機能により応答データ送信手段が構成されており、通知データを受信する機能により通知データ受信手段が構成されている。
また、本例のサブ器材Z1〜Z4では、自己が所属する主器材A、Bの識別情報(本例では、番号)をメモリに記憶して管理する機能により所属主器材管理手段が構成されており、必要に応じて自己が所属する主器材A、Bを変更する機能により所属主器材変更手段が構成されており、要求データを送信する機能により要求データ送信手段が構成されており、応答データを受信する機能により応答データ受信手段が構成されており、通知データを送信する機能により通知データ送信手段が構成されており、所定の種々な動作を行う機能により動作実行手段が構成されている。
【0051】
ここで、本発明に係るシステムや装置(器材)などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々なシステムや装置として提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置(器材)などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】(a)、(b)は本発明の一実施例に係る通信システムの構成例を示す図である。
【図2】主器材とサブ器材との間における通信のシーケンスの一例を示す図である。
【図3】応答時間のずれの様子の一例を示す図である。
【図4】無線の到達範囲の一例を示す図である。
【図5】(a)、(b)はサブ器材と主器材とが1対1である場合における処理のシーケンスの一例を示す図である。
【図6】(a)、(b)はサブ器材と主器材とが1対複数である場合における処理のシーケンスの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
A、B、C、D・・主器材、 Z1〜Z4・・サブ器材、 R1〜R4・・無線到達範囲、 L・・距離、 W・・エリア、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに無線により通信することが可能な主器材とサブ器材を有し、サブ器材が所定の動作の発生時に要求データを無線送信し、要求データを受信した主器材が応答データを無線送信し、応答データを受信したサブ器材が当該応答データに基づいて動作を行う通信システムであって、
各主器材及び各サブ器材には、それぞれを識別することが可能な識別情報が設けられ、
主器材は、自己に所属するサブ器材の識別情報を登録して管理する所属サブ器材管理手段を備え、
サブ器材は、自己が所属する主器材の識別情報を登録して管理する所属主器材管理手段を備えた、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
主器材とサブ器材とが無線により通信することが可能な最大の距離が規定されており、
サブ器材は、無線により通信することが可能な距離に存在する主器材に所属するように、自己が所属する主器材を変更する所属主器材変更手段を備えた、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の通信システムにおいて、
サブ器材は、自己が所属する主器材の識別情報を含む要求データを無線送信する要求データ送信手段を備え、
主器材は、要求データを受信する要求データ受信手段と、受信された要求データに含まれる主器材の識別情報と自己の識別情報との差に応じて応答データを送信するタイミングをずらして応答データを送信する応答データ送信手段と、を備えた、
ことを特徴とする通信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−133511(P2009−133511A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−308226(P2007−308226)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】