説明

通信システム

【課題】複数の端末間に複数の中継装置を設けることにより、ネットワークの負荷を集中させずに低減させることができる通信システムおよび通信方法を提供すること。
【解決手段】本発明の実施形態に係る会議システム100は、各中継装置2において、各端末1において生成された映像データが必要最小限の画素数に調整されているから、各端末1における表示品位を劣化させずに、他の端末1によって映像データが受信されるまでの各中継装置2間、および端末1と中継装置2との間の通信経路における通信帯域を効率よく使用することができる。したがって、ネットワークの負荷を低減することができ、負荷の集中も発生しないようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会議システムなどの双方向の映像データ送受信におけるネットワークの利用効率を向上する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔地にいる複数の利用者間において、映像、音声の双方向コミュニケーションを行うことができる会議システムが普及し始めている。この会議システムは、各拠点の利用者が端末を利用して、端末間で互いに映像データ、音声データの送受信を行うことにより、双方向のコミュニケーションを実現する。
【0003】
このような会議システムにおいては、端末間で互いに映像データを送受信するため、ネットワークの負荷が大きくなり、ネットワークの通信帯域によっては、高品位な映像データの送受信が困難となってしまうことがあった。これを解決するため、例えば、特許文献1には、多地点制御装置(MCU:Multipoint Control Unit)を利用し、各端末から送信される映像データを多地点制御装置で一旦受信して、各端末のモニタに表示させるレイアウトに応じた映像データを端末ごとに生成して、その映像データを送信することにより、ネットワークの負荷を低減させる技術が開示されている。また、このときに、各端末に送信する映像データに係るレイアウトに必要な映像サイズのデータを受信するようにして、さらにネットワークの負荷を低減する技術についても開示されている。
【特許文献1】特開2007−81863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術のように多地点制御装置を用いることにより、ネットワークの負荷を低減させることができるが、一方、多地点制御装置への映像データの送受信が非常に多くなるため、一部にネットワークの負荷が集中してしまう。また、多地点制御装置において、各端末から送信される多くの映像データからレイアウトに応じた映像データの生成を端末に応じた数だけ行う必要があり、処理の負荷も大きなものとなる。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、複数の端末間に複数の中継装置を設けることにより、ネットワークの負荷を集中させずに低減させることができる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明は、複数の端末の各々によって生成される映像データであって、その生成元の前記端末を特定する端末情報が付加された映像データが前記端末間において送受信される際の中継を行う複数の中継装置と、前記複数の中継装置を制御するコントローラとを有する通信システムにおいて、前記複数の中継装置の各々は、前記端末または他の前記中継装置から、前記映像データを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された映像データに係る映像の画素数を、前記コントローラの制御に応じて当該画素数以下に調整することにより、前記調整した画素数の映像データを生成する調整手段と、前記調整手段によって生成された映像データを、前記受信手段が当該映像データを受信した前記端末または他の前記中継装置以外の前記端末または他の前記中継装置に対して送信する送信手段とを具備し、前記コントローラは、前記各端末において受信すべき映像データに係る映像の画素数と当該映像データの生成元となる各端末とを対応させて指定する要求データを、前記複数の端末の各々から取得する取得手段と、前記受信手段によって受信された映像データに係る映像の画素数が、前記取得手段によって取得された前記各要求データに基づく画素数に調整されるように、前記調整手段を制御する制御手段とを具備することを特徴とする通信システムを提供する。
【0007】
また、別の好ましい態様において、前記制御手段による前記調整手段の制御には、一の映像データに対して、当該映像データに係る映像の画素数の調整を複数行うことにより、画素数が異なる複数の映像データを生成させる制御を含み、前記送信手段は、前記調整手段によって生成された映像データが複数であるときには、前記複数の映像データの各々を、異なる前記端末または他の前記中継装置に対して送信することを特徴とする。
【0008】
また、別の好ましい態様において、前記制御手段は、前記受信手段によって受信された映像データに係る映像の画素数が、当該映像データの画素数の調整によって生成される映像データの送信先となり得る端末に係る要求データが指定する画素数であって、当該映像データの生成元となる端末に対応する画素数のうち、最も多い画素数以下になるように、前記調整手段を制御することを特徴とする。
【0009】
また、別の好ましい態様において、前記取得手段によって取得される要求データは、前記要求データが取得された端末の表示手段に表示させる表示内容を示すものであって、前記調整手段によって調整された複数の映像データに係る映像が配置される領域を指定し、前記送信手段は、前記端末に対して送信するときには、前記調整手段によって調整された各映像データを前記コントローラの制御に応じて合成して送信し、前記コントローラは、前記送信手段によって送信される映像データを受信した前記端末の表示手段に表示させると、前記取得手段によって取得される要求データに応じた表示内容であって、前記調整手段によって調整された複数の映像データに係る映像が各々前記配置される領域に対応して配置された表示内容になるように、前記送信手段による映像データの合成を制御する合成制御手段をさらに具備することを特徴とする。
【0010】
また、別の好ましい態様において、前記中継装置の各々は、前記送信手段によって映像データが送信される前記端末または他の前記中継装置への通信経路の通信帯域を測定する帯域測定手段と、前記帯域測定手段によって測定された各通信経路の通信帯域を示す帯域データを前記コントローラに送信する帯域データ送信手段とをさらに具備し、前記調整手段は、さらに前記コントローラの制御に応じて、前記画素数が調整された映像データのビットレートを当該ビットレート以下になるように調整し、前記コントローラは、前記帯域データを受信する帯域データ受信手段と、前記各通信経路において送受信される各映像データのビットレートの総計が、前記帯域データ受信手段によって受信した帯域データが示す前記各通信経路の通信帯域において送受信可能な最大ビットレート以下になるように、前記調整手段を制御するビットレート制御手段とをさらに具備することを特徴とする。
【0011】
また、別の好ましい態様において、前記調整手段は、映像データに係る映像の解像度を減少させることにより画素数を調整することを特徴とする。
【0012】
また、別の好ましい態様において、前記調整手段は、映像データに係る映像の一部を切り出すことにより画素数を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の端末間に複数の中継装置を設けることにより、ネットワークの負荷を集中させずに低減させることができる通信システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0015】
<実施形態>
本発明の実施形態に係る通信システムの一態様である会議システム100は、図1に示すように、複数の端末1−1、1−2、1−3、1−4(以下、それぞれを区別しないときには端末1という)、複数の中継装置2−1、2−2、2−3(以下、それぞれを区別しないときには中継装置2という)、コントローラ3を有している。この例においては、WAN(Wide Area Network)などのネットワーク4には、中継装置2−1、2−2およびコントローラ3が接続されている。また、端末1−1は中継装置2−1に、端末1−2および中継装置2−3は中継装置2−2に、端末1−3、1−4は中継装置2−3にそれぞれLAN(Local Area Network)などのネットワークを介して接続されている。そして、この端末1−1、1−2、1−3、1−4は、それぞれ拠点A、拠点B、拠点C、拠点Dに設置されている。
【0016】
この会議システム100は、各端末1において生成された映像データ、音声データが各端末1間で送受信される際に、中継装置2は、これらの各データを中継する。この中継装置2によって映像データが中継されるときに、コントローラ3の制御によって、その映像データに係る映像の画素数が調整されるようになっている。以下、会議システム100を構成する各々について、その構成を順に説明する。ここで、以下の説明においては、映像データの送受信に係る説明をするが、音声データについても映像データに同期して各端末1間において送受信がなされているものとする。
【0017】
端末1は、コンピュータなどであって、図2に示すように、撮影部101、表示部124、操作部111などを有している。以下に説明する端末1の構成については、ハードウエアとして実現されていてもよいし、図示しないコンピュータのCPU(Central Processing Unit)などの制御部によってハードディスクなどの記憶部に記憶されたプログラムを実行することによって実現してもよい。
【0018】
撮影部101は、撮像素子を有するデジタルビデオカメラなどの撮影手段であって、利用者などを撮影し、その撮影内容を示す映像データを生成して、エンコード部102および合成部123に出力する。この撮影部101の撮像素子は、横1152ピクセル、縦864ピクセル(以下、1152×864のように表示する)の画素数(XGA+)による撮影が可能である。そのため、撮影部101が生成する映像データに係る映像の画素数は、1152×864となり、図3に示すように、その座標は、左上(0,0)、右上(1151,0)、左下(0,863)、右下(1151,863)と表される。そして、撮影部101は、端末1の利用者を撮影することにより、生成された映像データに係る映像には、端末1の利用者500が含まれているものとなる。なお、撮影部101に代えて、制御部によって生成されるプレゼンテーション用の映像を示す映像データがエンコード部102、合成部123に出力されてもよい。
【0019】
エンコード部102は、撮影部101から出力された映像データを符号化して、送信部103に出力する。
【0020】
送信部103は、エンコード部102によって符号化された映像データに送信する端末1を示す端末情報を付加して、この端末1に接続される中継装置2に送信する。
【0021】
操作部111は、マウス、キーボードなどの操作手段である。この例においては、利用者によって操作部111が所定の操作をされることによって、他の各端末1において生成される映像データを受信して表示部124の表示領域に表示させるときのレイアウトが決定される。このように決定されるレイアウトは、受信する映像データの数に応じて、様々なレイアウトが可能であって、予め記憶される複数のテンプレートから選択することにより決定してもよいし、利用者が操作部111を操作して所望のレイアウトを決定してもよい。
【0022】
このようなレイアウトの一例としては、例えば、図4、図5に示すようなレイアウトが挙げられる。これらの図は、表示部124の表示領域に表示される表示内容を例示したものであって、各拠点の端末1を生成元とする映像データに係る映像を、表示部124の表示領域のうち、どの領域に表示させるかを示したものである。例えば、図5に示した例であれば、表示領域を4分割し、左上の領域は拠点Aに設置された端末1−1を生成元とする映像データに係る映像を表示させる領域とし、同様に拠点Bに係る映像は右上、拠点Cに係る映像は左下、拠点Dに係る映像は右下に表示されるレイアウトを示している。ここで、後述するように各端末1における表示部124の表示領域は、1152×864の画素数により構成されている。
【0023】
この例においては、拠点Aに設置された端末1−1の利用者は、図4(a)に示すようなレイアウトを決定し、拠点Cに設置された端末1−3の利用者は、図4(b)に示すようなレイアウトを決定し、拠点B、Dにそれぞれ設置された端末1−2、1−4の利用者は、図5に示すようなレイアウトを決定したものとする。なお、この各レイアウトは、それぞれ他の映像が表示される領域と重複した領域を持たないようになっているが、重複する領域を持つようなレイアウトであってもよい。重複する場合には、双方の映像を合成した映像であってもよいし、いずれかの映像を優先して表示させるようにしてもよい。
【0024】
レイアウト設定部112は、操作部111の操作によって決定されたレイアウトを示す配置データを生成し、合成部123に出力することによりレイアウトを設定する。この配置データは、例えば図6に示すように、表示部124に表示させる映像の各拠点(各端末1)に対応して、各拠点を生成元とする映像データに係る映像が配置される表示領域内の各領域を指定したものである。この例においては、この領域の指定は、領域の大きさを縦横の画素数で示し、領域の左上の座標を配置座標として示すことによって行われる。上述のように、各拠点におけるレイアウトが決定されているから、拠点Aの端末1−1においては、配置データは図6(a)に示すようなものとなる。同様に、拠点Cの端末1−3においては、配置データは図6(b)に示すようなものとなり、拠点B、Dの端末1−2、1−4においては、配置データは図6(c)に示すようなものとなる。
【0025】
また、レイアウト設定部112は、上述のように生成した配置データのうち配置座標を除いた図7に示すような要求データを生成して、要求データ送信部113に出力する。この要求データは、表示部124に表示させる映像の各拠点(各端末1)に対応して、各拠点に対応する映像データに係る映像が配置される表示領域内における画素数、すなわち端末1において受信すべき映像データに係る映像の画素数を指定したものである。ここで、自端末1については、その映像データを受信しないから、要求データには、自端末1に対応する要求画素数は含まれていないが、含まれていてもよい。
【0026】
このように、要求データが示す要求画素数は、端末1において受信する各端末1を生成元とする映像データの品質を100%生かせる画素数を示すものであるから、要求画素数以上の映像を示す映像データの受信は、ネットワークへの負荷を不要に増大させることになる。ここで、上述のように、各拠点におけるレイアウト、配置データが決定されているから、拠点Aの端末1−1においては、要求データは図7(a)に示すようなものとなる。同様に、拠点Bの端末1−2における要求データは図7(b)、拠点Cの端末1−3における要求データは図7(c)、拠点Dの端末1−4における要求データは図7(d)に示すようなものとなる。
【0027】
要求データ送信部113は、各中継装置2を介して、レイアウト設定部112において生成された要求データをコントローラ3へ送信する。
【0028】
受信部121は、この端末1に接続された中継装置2から端末情報を付加された映像データを受信する。この例においては、受信する映像データは、この端末1以外の他の端末1を生成元とする映像データである。例えば、端末1−1であれば、端末1−2、1−3、1−4を生成元とする映像データを受信することになる。ここで、受信部121が受信する複数の映像データのうち、各映像データとその映像データの生成元である各端末1との対応については、各映像データに付加された端末情報から特定することができる。
【0029】
また、受信部121によって受信される各映像データは、後述するように各中継装置2において映像データに係る映像の画素数が調整されたものであり、必ずしも全ての映像データが同一の画素数の映像であるとは限らず、また、撮影部101において撮影されて生成される1152×864の画素数の映像データであるとも限らない。そして、受信部121は、このように受信した各映像データをデコード部122に出力する。
【0030】
デコード部122は、受信部121から出力された各映像データを復号化して合成部123に出力する。
【0031】
合成部123は、デコード部122からの各映像データ、撮影部101からの映像データ、およびレイアウト設定部112から配置データが入力される。そして、表示部124に表示させたときに、その表示領域のうち配置データによって指定される各領域に、対応する各映像データに係る映像が配置されるように合成した映像データを生成して、表示部124に出力する。
【0032】
このとき、デコード部122から入力される各映像データは、後述するように各中継装置2において、その映像の画素数が調整された映像データであり、合成部123に入力された配置データが指定する各拠点(各端末1)に対応する画素数と同様なものとなっている。すなわち、端末1−1においては、拠点B、D(端末1−2、1−4)を生成元とする各映像データについては、その映像の画素数が384×288となっている。また、拠点C(端末1−3)を生成元とする映像データについては、その映像の画素数が768×576となっている。
【0033】
一方、撮影部101から出力された映像データは、その映像の画素数は1152×864であるが、中継装置2を介していないから、配置データが指定する画素数とは異なっている。例えば、端末1−1においては、配置データが指定する拠点A(端末1−1)に対応する画素数は384×288となっているから、1152×867とは異なっている。そこで、合成部123は、撮影部101から入力される映像データについては、配置データが指定する自端末1に対応する画素数に調整する処理を行う。なお、上述のデコード部122から入力される各映像データに係る映像の画素数についても、配置データが指定する各端末1に対応する画素数と異なっていれば、同様に画素数の調整を行う。
【0034】
そして、合成部123は、配置データに指定される画素数に調整されている各映像データに係る映像について、配置データに指定される配置座標に応じて配置することにより合成した映像データを表示部124に出力する。
【0035】
表示部124は、液晶ディスプレイなどの表示モニタを有する表示手段であって、その画素数は1152×867となっている。そして、合成部123から映像データが入力され、その映像データに応じて表示部124の表示領域に表示を行う。このようにして表示を行うと、例えば端末1−1の表示部124の表示領域には、図4(a)に示すようなレイアウトで表示がなされることになる。以上が端末1の構成についての説明である。
【0036】
次に、中継装置2の構成について説明する。中継装置2は、各端末1間に設けられたルータなどであって、図8に示すような構成になっている。以下に説明する中継装置2の構成については、ハードウエアとして実現されていてもよいし、図示しないコンピュータのCPUなどの制御部によってハードディスクなどの記憶部に記憶されたプログラムを実行することによって実現してもよい。
【0037】
制御データ受信部201は、後述するコントローラ3によって生成された制御データを受信して、調整部204に出力する。制御データは、図10に示すように、中継装置2の受信部202において受信する映像データの生成元の各拠点(各端末1)、その映像データに係る映像の画素数について、調整部204において調整すべき調整画素数、調整部204において画素数が調整された映像データの送信先である端末1または中継装置2を示すものであり、すなわち、中継装置2の調整部204および送信部206の制御内容を示すものである。ここで、この例においては、中継装置2−1において受信する制御データは図10(a)に示すようなものであり、中継装置2−2、2−3において受信する制御データは、それぞれ図10(b)、図10(c)に示すようなものとなっている。なお、制御データについての詳細は後述する。
【0038】
受信部202は、接続される端末1または他の中継装置2から映像データを受信して、デコード部203に出力する。端末1の受信部121において説明したように、この映像データには端末情報が付加されているから、各映像データの生成元である端末1を特定することができるようになっている。
【0039】
デコード部203は、受信部202から出力された各映像データを復号化して調整部204に出力する。
【0040】
調整部204は、制御データ受信部201から制御データが入力され、デコード部203から復号化した映像データが入力される。そして、調整部204は、受信された映像データに係る映像の画素数を制御データに基づいてその画素数以下に調整した映像データを生成する。
【0041】
具体的には、中継装置2−1の調整部204においては、入力される制御データが図10(a)に示すようなものであるから、入力された映像データが、生成元が拠点A(端末1−1)を示す映像データであれば、その映像の画素数が768×576になるように調整することにより、調整された画素数の映像データを生成する。このとき、このように生成された映像データには、調整される前の映像データに付加されていた拠点Aを示す端末情報がそのまま付加される。さらに、この生成された映像データと、この映像データを送信部206から送信する際の送信先となる中継装置2−2との対応付けが行われる。
【0042】
また、中継装置2−2において受信する制御データのように、例えば、一の拠点Aを生成元とする映像データに対して、その映像の画素数の調整が複数行われるときには、それぞれに対応した映像データを生成する。一方、拠点Bを生成元とする映像データについては、画素数の調整は複数では無いが送信先が複数である場合には、一の映像データを生成し、複数の送信先との対応付けを行う。なお、送信先が複数である場合には、それぞれに対応した映像データを調整部204において生成するようにしてもよい。
【0043】
そして、調整部204は、上述のようにして映像の画素数を調整することにより生成した各映像データをエンコード部205に出力する。このように画素数が調整されることにより、映像データのビットレートが調整される。なお、調整が行われない場合には、受信した映像データをそのまま送信するようにしてもよい。
【0044】
エンコード部205は、調整部204から出力された映像データを符号化して、送信部206に出力する。
【0045】
送信部206は、エンコード部205によって符号化された映像データを、この中継装置2に接続される端末1または他の中継装置2に送信する。このとき、各映像データの送信先については、調整部204において対応付けられた送信先に送信される。このとき、一の映像データに対応付けられた送信先が複数である場合には、送信部206は、その数に応じてその映像データを複製して、それぞれの送信先に送信する。以上が、中継装置2の構成についての説明である。
【0046】
次に、コントローラ3の構成について説明する。コントローラ3は、各中継装置2を制御するコンピュータなどであって、図9に示すような構成になっている。以下に説明するコントローラ3の構成については、ハードウエアとして実現されていてもよいし、図示しないコンピュータのCPUなどの制御部によってハードディスクなどの記憶部に記憶されたプログラムを実行することによって実現してもよい。
【0047】
要求データ受信部301は、各端末1から送信された要求データを受信する。そして、各要求データとその要求データを送信した拠点(端末1)を示す情報とを対応付けて、算出部303に出力する。なお、要求データには自端末に係る要求画素数は含まれていないから、これにより送信した拠点を識別すれば、この対応付けは不要である。
【0048】
接続状態記憶部302は、各中継装置2における各端末1と他の中継装置2との接続状態を示す情報を記憶する。この接続状態とは、映像データの送受信が可能な状態に接続されていることを示している。この例においては、図1に示すように、中継装置2−1は、端末1−1および中継装置2−2との接続状態、中継装置2−2は、中継装置2−1、中継装置2−3および端末1−2との接続状態、また、中継装置2−3は、中継装置2−2、端末1−3および端末1−4との接続状態にあることを示す情報が記憶されている。
【0049】
そして、このようにして記憶されている情報は、算出部303に出力される。なお、このように記憶される接続状態を示す情報については、予め、会議システムの管理者などにより生成されたものであってもよいし、各中継装置2に接続状態を認識させて、その結果を送信させることにより、コントローラ3において生成するようにしてもよい。この場合には、定期的にその接続状態を各中継装置2に認識させてもよい。
【0050】
算出部303は、要求データ受信部301から要求データが入力され、接続状態記憶部302から接続状態を示す情報が入力され、これらに基づいて所定の算出を行い制御データを生成する。この制御データについては、上述したように図10に示すようなものであって、各中継装置2に対応して生成される。以下、算出部303における制御データの生成について説明する。
【0051】
算出部303は、各中継装置2において、その中継装置2において生成された映像データの送信先となり得る全ての端末1を、接続状態を示す情報から認識し、それらの端末1から送信された要求データが指定する各拠点に対応する要求画素数を認識する。そして、認識した各拠点に対応する要求画素数のうち、最大の要求画素数を拠点ごとに算出する。そして算出した拠点ごとの要求画素数を、中継装置2において生成される映像データに係る映像の画素数を示す調整画素数とする。そして、生成された映像データの送信先として、接続される端末1または中継装置2を決定する。
【0052】
以下、中継装置2−2に対応する制御データの生成を例として説明する。中継装置2−2において生成される映像データが送信される送信先としては、接続状態にある中継装置2−1、2−3および端末1−2である。したがって、算出部303は、それぞれに送信される映像データの送信先となりうる全ての端末1を認識する。接続状態を示す情報から、中継装置2−1に送信される映像データについては、送信先となり得る端末1は、端末1−1(拠点A)であり、中継装置2−3に送信される映像データについては、送信先となり得る端末1は、端末1−3、1−4(拠点C、D)であり、また、中継装置2−2から直接送信する映像データについては、端末1−2(拠点B)であると認識する。
【0053】
したがって、中継装置2−1に送信される映像データについては、端末1−1から送信された要求データに指定される要求画素数をそのまま調整画素数とすればよい。すなわち、中継装置2−1には、生成元が拠点B(端末1−2)の映像データに係る映像の画素数を384×288に調整することによって生成した映像データ、同様に、生成元が拠点C(端末1−3)の映像データに係る映像の画素数を769×576と調整することによって生成した映像データ、生成元が拠点D(端末1−4)の映像データに係る映像の画素数を384×288に調整することによって生成した映像データが送信されるように、制御データが算出される。
【0054】
また、端末1−2に送信される映像データについても、中継装置2−1のときと同様に、端末1−2から送信された要求データに指定される要求画素数をそのまま調整画素数とすればよい。一方、中継装置2−3に送信される映像データについては、送信先となり得る端末1が複数(端末1−3、1−4)であるので、以下に示すようになる。
【0055】
生成元が拠点C、D(端末1−3、1−4)の映像データについては、中継装置2−3から受信するデータであって、中継装置2−3に送信するものではないから、これらの映像データについて送信先が中継装置2−3とされることはなく、調整画素数は算出されない。
【0056】
一方、生成元が拠点A、B(端末1−1、1−2)の映像データについては、送信先が中継装置2−3となり、端末1−3、1−4から送信されるそれぞれの要求データは、それぞれの映像データに対応する要求画素数が指定されている。したがって、それぞれ最大の画素数を選択すると、生成元が拠点A(端末1−1)の映像データについては、端末1−3から送信される要求データの要求画素数である768×576が選択され、一方、生成元が拠点B(端末1−2)の映像データについては、端末1−4から送信される要求データの要求画素数である576×432が選択され、選択された要求画素数が調整画素数として算出されることになる。
【0057】
算出部303は、このようにして算出することにより、中継装置2−2に対応した制御データを生成する。そして、この制御データが中継装置2−2を制御することになり、例えば、中継装置2−2が拠点A(端末1−1)を生成元とする映像データを受信すると、その映像データの画素数が768×576に調整されることにより生成された映像データが中継装置2−3に送信され、画素数が576×432に調整されることにより生成された映像データが端末1−2に送信されるようになる。
【0058】
このようにして、算出部303は、生成元が異なる各映像データについて、端末1または中継装置2に送信すべき映像データの調整画素数を算出し、これを制御データとして各中継装置2に対応して生成する。
【0059】
制御データ送信部304は、算出部303によって生成された制御データを対応する各中継装置2に送信する。以上が、コントローラ3の構成の説明である。
【0060】
次に、本発明の実施形態に係る会議システム100の動作について図11を用いて説明する。図11は、各端末1を生成元とする映像データの送受信におけるビットレートを示す説明図である。ここで、「A:1」については、「A」は、拠点A(端末1−1)を生成元とする映像データを示し、「1」は、その映像の画素数の調整が行われていない場合を基準とした映像データのビットレートを示している。したがって、「B:1/9」であれば、拠点B(端末1−2)を生成元とする映像データであって、その映像の画素数が調整されることによりビットレートが1/9になっていることを示している。また、矢印については、その映像データの送信方向を示している。
【0061】
まず、各端末1の利用者は、操作部111を操作することにより、表示部124に表示させるレイアウトを決定する。各端末1において決定されたレイアウトは、端末1−1(拠点A)においては、図4(a)に示すようなレイアウトであり、端末1−3(拠点C)においては図4(b)、端末1−2、1−4(拠点B、D)においては図5に示すようなレイアウトとであるものとする。これにより、各端末1からコントローラ3に対して、図7に示すような要求データが送信される。
【0062】
コントローラ3は、各端末1から要求データを受信すると、図10に示すような各中継装置2に対応する制御データを生成して、対応する各中継装置2に送信する。これにより中継装置2は、制御データに応じて、受信した映像データに係る映像の画素数を調整し、調整により生成した映像データを送信する。
【0063】
この状況において、各端末1から送信される映像データの流れおよびそのビットレートについて説明する。まず、端末1−1が生成元となり送信される映像データ(以下、映像データAという)は、中継装置2−1に送信されると、中継装置2−1において、その映像の画素数が調整される。この調整は、画素数が1152×864から768×576に調整され、画素数が4/9に減少する。したがって、中継装置2−1の処理において映像データAのビットレートも概ね4/9に減少することになる。このようにして、ビットレートが減少した映像データAが中継装置2−2に送信されるから、中継装置2−1と中継装置2−2との間の通信経路における通信帯域を有効に利用することができ、ネットワークの負荷が低減されることになる。
【0064】
映像データAを受信した中継装置2−2は、中継装置2−3に対しては、映像データAに係る映像の画素数の調整を行わずに、受信した映像データAをそのまま送信する。一方、端末1−2に対しては、画素数をさらに576×432に調整することにより、当初の画素数の1/4に減少させた映像データAを送信する。したがって、端末1−2に送信される映像データAのビットレートは当初のビットレートの1/4に減少することになる。このため、上述同様に、ネットワークの負荷が低減されることになる。
【0065】
映像データAを受信した中継装置2−3は、端末1−3に対しては、映像データAに係る映像の画素数の調整を行わずに、受信した映像データAをそのまま送信する。一方、端末1−4に対しては、画素数を576×432に調整することにより、当初の画素数の1/4に減少させた映像データAを送信する。したがって、端末1−4に送信される映像データAのビットレートは当初のビットレートの1/4に減少することになる。このため、上述同様に、ネットワークの負荷が低減されることになる。
【0066】
他の端末1を生成元とする映像データについても同様にして、各中継装置2において画素数が調整されながら別の端末1に対して送信されることにより、図11に示すように各映像データのビットレートが低減され、ネットワークの負荷を低減することができる。そして、各端末1は、他の端末1を生成元とする映像データを受信し、自端末1において生成した映像データとともに、各映像データに係る映像を決定したレイアウトで配置された表示を表示部124の表示領域に行うことができる。
【0067】
このように、本発明の実施形態に係る会議システム100は、各中継装置2において、各端末1において生成された映像データが必要最小限の画素数に調整されているから、各端末1における表示品位を劣化させずに、他の端末1によって映像データが受信されるまでの各中継装置2間、および端末1と中継装置2との間の通信経路における通信帯域を効率よく使用することができる。したがって、ネットワークの負荷を低減することができ、負荷の集中も発生しないようにすることができる。また、各端末1においては、他の端末1を生成元とする映像データについては、画素数が調整された状態で受信するから、レイアウトに応じた表示を容易に行うことができる。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように、さまざまな態様で実施可能である。
【0069】
<変形例1>
上述した実施形態においては、各端末1の表示部124の表示領域に、利用者が決定したレイアウトに応じた表示をするための映像データの生成は、各端末1において行っていたが、各端末1が接続されている中継装置2において行うようにしてもよい。以下、この場合の構成について説明する。
【0070】
各端末1(本変形例においては端末1aという)は、図12に示すような構成であって、上述した実施形態における構成から合成部123が除かれたものである。レイアウト設定部112が生成する要求データは、実施形態における要求データと異なり、自端末1aに係る要求画素数についても含まれ、さらに、配置座標についても含まれている。すなわち、実施形態におけるレイアウト設定部112が生成する配置データと同様なものとなっている。
【0071】
また、受信部121において受信する映像データについては、各端末1aを生成元とする映像データではなく、後述するように中継装置2(本変形例においては中継装置2aという)において各端末1aを生成元とする映像データが合成された映像データとなっている。したがって、この映像データをデコード部122において復号化して表示部124に出力することにより、実施形態と同様な表示が表示部124の表示領域になされることになる。なお、他の構成については、実施形態における構成とほぼ同様な構成であるから詳細な説明は省略する。
【0072】
コントローラ3(本変形例においてはコントローラ3aという)は、図13に示すような構成であって、実施形態における構成に加えて、算出部303から出力された配置データを各端末1aに送信する配置データ送信部305が設けられている。算出部303から出力される配置データは、上述したように、入力される要求データと同様なものである。そして、配置データ送信部305は、この要求データに対応する端末1aが接続される中継装置2aに対して配置データを送信する。
【0073】
算出部303は、入力される要求データについて、その要求データを生成した端末1aに対して送信すべき映像データに係る映像の要求画素数も含まれるようになっているから、生成する制御データには、実施形態の態様に加えて、映像データの生成元となる端末1aへその映像データに係る映像の画素数を調整することによって生成された映像データを送信するような制御内容が含まれることになる。そして、このように生成された制御データは、図15に示すようなものとなる。なお、他の構成については、実施形態における構成とほぼ同様な構成であるから詳細な説明は省略する。
【0074】
中継装置2aは、図14に示すような構成である。制御データ受信部201、受信部202、デコード部203、エンコード部205については、実施形態の構成と同様であるから詳細な説明を省略する。調整部204は、実施形態における構成とほぼ同様であるが、生成した映像データの送信先が中継装置2aである場合にはエンコード部205に、端末1aである場合には、合成部209に出力する。
【0075】
また、調整部204は、接続された端末1aから受信した映像データについて、その映像の画素数が調整されることによって生成された映像データは、実施形態においては他の端末1aまたは他の中継装置2aへ送信されるような構成になっていたが、本変形例における構成においては、上述のように生成された制御データにより、この映像データは、エンコード部205と合成部209に出力される。そして、エンコード部205に出力された映像データは符号化され、中継送信部207によって他の中継装置2aに送信される。中継送信部207は、実施形態における送信部206の機能のうち、中継装置2aに対して送信する機能を有している。
【0076】
配置データ受信部208は、コントローラ3aから送信される配置データを受信して合成部209に出力する。なお、中継装置2aにおいて、接続された端末1aから送信される要求データを配置データ受信部208において配置データとして受信し、合成部209に出力するようにすれば、コントローラ3aの構成については、実施形態における構成と同じものとすることができる。
【0077】
合成部209は、調整部204から各映像データが入力され、配置データ受信部208から配置データが入力される。そして、入力された配置データに基づいて、これらの映像データを合成した合成映像データを生成して、エンコード部210に出力する。この合成部209における合成処理については、実施形態における端末1aの合成部123と同様であるから、詳細の説明は省略する。
【0078】
そして、エンコード部210は、合成部209から入力された合成映像データを符号化して、端末送信部211に出力する。そして、端末送信部211は、接続された端末1aに合成映像データを送信する。端末送信部211は、実施形態における送信部206の機能のうち、端末1aに対して送信する機能を有している。これにより、端末1aの表示部124の表示領域には、合成映像データに係る映像が表示され、利用者によって決定されたレイアウトで表示されることになる。
【0079】
このように、各端末1aを生成元とする映像データの合成については、各端末1aにおいて行なってもよいし、各端末1aが接続された中継装置2aにおいて行うようにしてもよい。
【0080】
<変形例2>
上述した実施形態において、接続状態にある各端末1と各中継装置2との間の通信経路における通信帯域に応じて、その通信経路において送受信される映像データのビットレートを調整するようにしてもよい。この場合には、中継装置2(本変形例においては中継装置2bという)を図16に示すような構成とし、コントローラ3(本変形例においてはコントローラ3bという)を図17に示すような構成とすればよい。以下、それぞれについて順に説明する。
【0081】
中継装置2bは、実施形態における構成に加えて、通信帯域測定部212、帯域データ送信部213が設けられている。通信帯域測定部212は、この中継装置2bと接続状態にある端末1または中継装置2bとの間の通信経路の通信帯域を測定し、各通信経路に対応する通信帯域を示す帯域データを生成して帯域データ送信部213に出力する。そして、帯域データ送信部213は、コントローラ3bに帯域データを送信する。
【0082】
調整部204は、実施形態における機能に加えて、さらに生成した映像データのビットレートを、入力された制御データに応じてこのビットレート以下に調整する機能を有する。このようにビットレートを調整する制御データについては後述する。なお、他の構成については、実施形態における構成とほぼ同様な構成であるから詳細な説明は省略する。
【0083】
コントローラ3bは、実施形態における構成に加えて、帯域データ受信部306が設けられている。帯域データ受信部306は、各中継装置2から送信された帯域データを受信し、算出部303に送信する。
【0084】
算出部303は、実施形態に加えて、中継装置2bの調整部204において生成される映像データの送信に係る通信経路の通信帯域に応じて、その映像データのビットレートを調整するための制御内容、すなわち各映像データのビットレートを指定する制御内容をさらに示す制御データを生成する。この制御データに係るビットレートの指定は、各通信経路において送受信される映像データのビットレートの総計が、各帯域データに係る通信経路の通信帯域において送受信可能な最大ビットレート以下になるように行われる。
【0085】
このようなビットレートの調整は、映像データに係るフレームレート、圧縮率などの変更により行なわれるようにすればよく、制御データにおいてその内容を指定してもよいし、中継装置2bにおいて各々設定された内容で行なってもよい。なお、他の構成については、実施形態における構成とほぼ同様な構成であるから詳細な説明は省略する。このように、各通信経路における通信帯域を考慮して、ビットレートをさらに調整した映像データの送受信を行うことにより、安定した品質で送受信を行うことができる。
【0086】
<変形例3>
上述した実施形態において、調整部204は、映像データに係る映像の画素数を調整していたが、この調整の態様はどのようなものであってもよい。例えば、映像データに係る映像の範囲は一定とし、全体的に映像を縮小することにより解像度を低減して、画素数を調整してもよい。一方、映像の縮小は行わずに解像度を維持し、映像の範囲の一部を切り出すことにより画素数を調整してもよい。また、双方を組み合わせて、映像の範囲の一部を切り出してさらに縮小を行うようにしてもよい。切り出される映像の範囲の一部については、中継装置2に予め設定されていてもよいし、コントローラ3の制御によって行なわれてもよい。コントローラ3の制御によって行われる場合には、制御データにおいて切り出すべき範囲についても指定されるようにすればよい。
【0087】
また、その映像データの生成元となる端末1においてその切り出すべき範囲を指定してもよい。この場合には、各端末1において指定された範囲を示す情報が要求データに含まれるようにする。そして、コントローラ3においては、実施形態のようにして生成される制御データによって指定されるその端末1に対応する調整画素数が、その端末1において指定された範囲の画素数よりも大きい場合には、指定された範囲を含む範囲であって、制御データによって指定される調整画素数に応じた範囲を切り出すことによって画素数を調整するように、各中継装置2を制御する制御データを生成すればよい。
【0088】
一方、制御データによって指定されるその端末1に対応する調整画素数が、その端末1において指定された範囲の画素数よりも小さい場合には、指定された範囲を切り出した上で、その範囲を縮小することによって画素数を調整するように、各中継装置2を制御する制御データを生成すればよい。
【0089】
このような処理について、所定の端末1において指定された範囲が、例えば図18に示す破線の範囲(画素数640×480)である場合について、図19を用いて説明する。この端末1を生成元とする映像データについて、中継装置2の調整部204において調整する画素数が768×576である場合には、図19(a)に示すように、調整部204は、この端末1において指定された破線の範囲を含む2点鎖線の範囲(画素数768×576)を切り出すことによって映像データに係る映像の画素数を調整する。この切り出しの範囲は、端末1において指定された範囲が含まれていれば、どのような範囲でもよく、その態様については予め設定しておけばよい。
【0090】
一方、この端末1を生成元とする映像データについて、中継装置2の調整部204において調整する画素数が576×432である場合には、図19(b)に示すように、調整部204は、この端末1において指定された破線の範囲を切り出した上で、その範囲の映像を縮小(この場合には、縦横の画素数をそれぞれ0.9倍)することによって映像データに係る映像の画素数を調整する。このようにすると、指定された範囲を切り出さずに縮小する態様に比べ、画像の解像度の劣化を低減することができる。さらに端末1において指定されている範囲が残されるように切り出されることにより、重要な部分の映像を残すことができる。
【0091】
なお、端末1における範囲の指定は、自動的に行われるようにしてもよく、画像認識により人物がいると判定される位置を含む所定範囲が自動的に指定されるようにしてもよい。また、マイクアレイなどにより発音方向を認識できるようにしておくことで、その発音方向に対応する所定範囲が自動的に指定されるようにしてもよい。このように自動的に行われる場合には、指定される範囲が随時変化していくこともある。
【0092】
<変形例4>
上述した実施形態において、各端末1の利用者が声を出していない場合には、映像データの送信を停止するようにしてもよい。この場合には、端末1に設けられたマイクなどの収音手段による収音レベルが所定値以下である状態が所定時間続くと、送信部103から映像データが送信されないようにすればよい。なお、変形例3において示したような映像の切り出し範囲が指定されている場合には、マイクアレイにより収音したその範囲内の収音レベルが所定値以下である状態が所定時間続いたときに、送信部103から映像データが送信されないようにしてもよい。このようにすると、さらにネットワークの負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】実施形態に係る会議システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る端末の構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係る撮影部の撮影内容および座標を示す説明図である。
【図4】実施形態に係る表示部の表示領域に表示される各映像のレイアウトの一例を示す説明図である。
【図5】実施形態に係る表示部の表示領域に表示される各映像のレイアウトの一例を示す説明図である。
【図6】実施形態に係る配置データの一例を示す説明図である。
【図7】実施形態に係る要求データの一例を示す説明図である。
【図8】実施形態に係る中継装置の構成を示すブロック図である。
【図9】実施形態に係るコントローラの構成を示すブロック図である。
【図10】実施形態に係る制御データの一例を示す説明図である。
【図11】実施形態に係る会議システムの映像データの送受信についての説明図である。
【図12】変形例1に係る端末の構成を示すブロック図である。
【図13】変形例1に係るコントローラの構成を示すブロック図である。
【図14】変形例1に係る中継装置の構成を示すブロック図である。
【図15】変形例1に係る制御データの一例を示す説明図である。
【図16】変形例2に係る中継装置の構成を示すブロック図である。
【図17】変形例2に係るコントローラの構成を示すブロック図である。
【図18】変形例3に係る端末において指定される範囲の一例を示す説明図である。
【図19】変形例3に係る中継装置における画素数の調整の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0094】
1,1a,1−1,1−2,1−3,1−4…端末、2,2a,2b,2−1,2−2,2−3…中継装置、3,3a,3b…コントローラ、4…ネットワーク、100…会議システム、101…撮影部、102…エンコード部、103…送信部、111…操作部、112…レイアウト設定部、113…要求データ送信部、121…受信部、122…デコード部、123…合成部、124…表示部、201…制御データ受信部、202…受信部、203…デコード部、204…調整部、205…エンコード部、206…送信部、207…中継送信部、208…配置データ受信部、209…合成部、210…エンコード部、211…端末送信部、212…通信帯域測定部、213…帯域データ送信部、301…要求データ受信部、302…接続状態記憶部、303…算出部、304…制御データ送信部、305…配置データ送信部、306…帯域データ受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末の各々によって生成される映像データであって、その生成元の前記端末を特定する端末情報が付加された映像データが前記端末間において送受信される際の中継を行う複数の中継装置と、前記複数の中継装置を制御するコントローラとを有する通信システムにおいて、
前記複数の中継装置の各々は、
前記端末または他の前記中継装置から、前記映像データを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された映像データに係る映像の画素数を、前記コントローラの制御に応じて当該画素数以下に調整することにより、前記調整した画素数の映像データを生成する調整手段と、
前記調整手段によって生成された映像データを、前記受信手段が当該映像データを受信した前記端末または他の前記中継装置以外の前記端末または他の前記中継装置に対して送信する送信手段と
を具備し、
前記コントローラは、
前記各端末において受信すべき映像データに係る映像の画素数と当該映像データの生成元となる各端末とを対応させて指定する要求データを、前記複数の端末の各々から取得する取得手段と、
前記受信手段によって受信された映像データに係る映像の画素数が、前記取得手段によって取得された前記各要求データに基づく画素数に調整されるように、前記調整手段を制御する制御手段と
を具備する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記制御手段による前記調整手段の制御には、一の映像データに対して、当該映像データに係る映像の画素数の調整を複数行うことにより、画素数が異なる複数の映像データを生成させる制御を含み、
前記送信手段は、前記調整手段によって生成された映像データが複数であるときには、前記複数の映像データの各々を、異なる前記端末または他の前記中継装置に対して送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記受信手段によって受信された映像データに係る映像の画素数が、当該映像データの画素数の調整によって生成される映像データの送信先となり得る端末に係る要求データが指定する画素数であって、当該映像データの生成元となる端末に対応する画素数のうち、最も多い画素数以下になるように、前記調整手段を制御する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記取得手段によって取得される要求データは、前記要求データが取得された端末の表示手段に表示させる表示内容を示すものであって、前記調整手段によって調整された複数の映像データに係る映像が配置される領域を指定し、
前記送信手段は、前記端末に対して送信するときには、前記調整手段によって調整された各映像データを前記コントローラの制御に応じて合成して送信し、
前記コントローラは、
前記送信手段によって送信される映像データを受信した前記端末の表示手段に表示させると、前記取得手段によって取得される要求データに応じた表示内容であって、前記調整手段によって調整された複数の映像データに係る映像が各々前記配置される領域に対応して配置された表示内容になるように、前記送信手段による映像データの合成を制御する合成制御手段
をさらに具備する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の通信システム。
【請求項5】
前記中継装置の各々は、
前記送信手段によって映像データが送信される前記端末または他の前記中継装置への通信経路の通信帯域を測定する帯域測定手段と、
前記帯域測定手段によって測定された各通信経路の通信帯域を示す帯域データを前記コントローラに送信する帯域データ送信手段と
をさらに具備し、
前記調整手段は、さらに前記コントローラの制御に応じて、前記画素数が調整された映像データのビットレートを当該ビットレート以下になるように調整し、
前記コントローラは、
前記帯域データを受信する帯域データ受信手段と、
前記各通信経路において送受信される各映像データのビットレートの総計が、前記帯域データ受信手段によって受信した帯域データが示す前記各通信経路の通信帯域において送受信可能な最大ビットレート以下になるように、前記調整手段を制御するビットレート制御手段と
をさらに具備する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の通信システム。
【請求項6】
前記調整手段は、映像データに係る映像の解像度を減少させることにより画素数を調整する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の通信システム。
【請求項7】
前記調整手段は、映像データに係る映像の一部を切り出すことにより画素数を調整する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の通信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2009−260412(P2009−260412A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103776(P2008−103776)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】