説明

通信システム

【課題】自走クレーンと通信するための無線通信チャンネルの使用数量が増加することを抑制できる通信システムを提供すること。
【解決手段】コンテナヤードの走行レーン内を走行する自走クレーン10−1と、自走クレーン10−1の運転状態を示す検出信号を受信して自走クレーンを遠隔操作するための遠隔操作室40との間で通信を行う通信システムであって、検出信号をIPデータに変換するビデオエンコーダ30−1、31−1及び制御コンピュータ33−1と、IPデータを送受信するために、自走クレーン10−1の走行方向に沿って走行レーンに設けられた漏洩同軸ケーブル41−1と、自走クレーン10−1に設けられ、漏洩同軸ケーブル41−1との間でIPデータを送受信する無線クライアントアンテナ28−1とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関する。より詳しくは、本発明は、自走クレーンを遠隔操作するために用いられる通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンテナヤードなどに蔵置されたコンテナを搬送するクレーンとして、コンテナヤードの走行レーンに沿って自走する自走クレーンが知られている。また、自走クレーンとの間で無線通信を行って、自走クレーンを遠隔操作することが知られている。
【0003】
自走クレーンを遠隔操作するためのシステムの例として、例えば特許文献1には、自走クレーンに設けられたアンテナとコンテナヤードに設けられた基地局との間、及びコンテナを搬送する自動搬送台車とコンテナヤードに設けられた基地局との間で無線通信を行う無線通信システムが記載されている。
【0004】
特許文献1に記載された無線通信システムでは、自走クレーン用のアンテナと自動搬送台車用のアンテナとが、自走クレーンの高さ方向に異なる位置に分けて配置されている。このため、自走クレーンに割り当てられた無線通信チャンネルと自動搬送台車に割り当てられた無線通信チャンネルとの間で電波が干渉することを抑制できる。その結果、無線通信を用いて自走クレーンを遠隔操作し、かつ無線通信を用いて自動搬送台車を遠隔操作することができる。
【0005】
また、特許文献2には、自走クレーンから送信された荷役状況に関する映像信号を受信する受信部と、受信した映像信号に基づく画像を表示するモニタとを備えた遠隔操作システムが記載されている。
特許文献2に記載の遠隔操作システムでは、1台の自走クレーンに、自走クレーンから送信された映像信号を伝送するための無線通信チャンネルと、自走クレーンを運転操作するための命令信号を伝送するための無線通信チャンネルとが個別に割り当てられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−180141号公報
【特許文献2】特開2007−31102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の無線通信システムでは、自走クレーンと基地局との間で送受信されるデータが多くなると無線通信帯域が不足する場合がある。この場合には、1台の自走クレーンに複数の無線通信チャンネルを割り当てる必要がある。このとき、コンテナヤードに複数の自走クレーンが設けられていると、使用可能な無線通信チャンネルが不足するおそれがある。
【0008】
また、特許文献2に記載の遠隔操作システムでは、1台の自走クレーンに2系統の無線通信チャンネルを割り当てる必要がある。このため、複数の自走クレーンの間で無線通信が干渉することを抑制するためには異なる周波数帯域の複数の無線通信チャンネルを割り当てる必要があり、使用可能な無線通信チャンネルが不足する場合があった。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、自走クレーンと通信するための無線通信チャンネルの使用数量が増加することを抑制できる通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の通信システムは、コンテナヤードのレーン内を走行する自走クレーンと、前記自走クレーンの運転状態を示す検出信号を受信して前記自走クレーンを遠隔操作するための遠隔操作手段との間で通信を行う通信システムであって、前記検出信号をIPデータに変換する変換部と、前記IPデータを送受信するために、前記自走クレーンの走行方向に沿って前記走行レーンに設けられた漏洩同軸ケーブルと、前記自走クレーンに設けられ、前記漏洩同軸ケーブルとの間で前記IPデータを送受信するアンテナとを備えることを特徴とする。
【0011】
また、前記遠隔操作手段は、前記自走クレーンと前記遠隔操作手段との間で前記自走クレーンの動作を指示する命令信号を前記自走クレーンへ送信し、前記変換部は、前記命令信号をIPデータに変換することが好ましい。
【0012】
また、前記IPデータは、前記自走クレーンを識別するクレーン識別IDを有し、前記遠隔操作手段は、前記自走クレーンの各々に対応して前記自走クレーンを遠隔操作するための操作卓を有し、前記遠隔操作手段は、前記クレーン識別IDに基づいて前記操作卓を決定して前記操作卓と前記自走クレーンとの間でIPデータを送受信することが好ましい。
【0013】
また、前記漏洩同軸ケーブルは、前記自走クレーンに給電するためのトロリ線に沿って配置されていることが好ましい。
【0014】
また、前記自走クレーンに連結され前記トロリ線に電気的に接続された給電トロリに、前記アンテナは固定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の通信システムによれば、自走クレーンが走行する走行方向に沿って走行レーンに設けられた漏洩同軸ケーブルから発信された電波を用いて遠隔操作手段と自走クレーンとがIPデータを用いて通信するので、自走クレーンと通信するための無線通信チャンネルの使用数量が増加することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態の通信システムを備えるクレーンシステムの全体図である。
【図2】同クレーンシステムにおける自走クレーン及びコンテナヤードの一部の構成を示す正面図である。
【図3】同実施形態の通信システムの概略構成を説明するための模式図である。
【図4】同実施形態の通信システムの構成を示すシステム構成図である。
【図5】同実施形態の通信システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態の通信システム200を備えるクレーンシステム1について説明する。
図1は、クレーンシステム1を示す全体図である。また、図4はクレーンシステム1における通信システム200の構成を示すシステム構成図である。
図1及び図4に示すように、クレーンシステム1は、コンテナヤードY内の路面R上に設置された複数の走行レーンLと、各走行レーンL内を走行する複数の自走クレーン10と、各走行レーンLに設けられ、各自走クレーン10に電力を供給する複数の給電機構2と、自走クレーン10を遠隔操作するための遠隔操作室40と、自走クレーン10と無線通信をするための通信システム200とを備える。
【0018】
なお、図1では3本の走行レーンLと、これら各走行レーンLに配置された3台の自走クレーン10が一例として記載されているが、走行レーンLの数、自走クレーン10の台数は、図1に示した数に限定されない。
【0019】
次に、自走クレーン10について説明する。
自走クレーン10は、コンテナヤードY内の各走行レーンL内を走行してコンテナヤードYに蔵置されたコンテナ100を搬送し、コンテナ100を輸送するトレーラや自動搬送台車(図示略)などによって搬入及び搬出されるコンテナ100を積み降ろしするためのクレーンである。本実施形態の自走クレーン10は、タイヤを用いて自走するタイヤ式門型クレーン(Rubber Tired Gantry Crane)である。
【0020】
図2は、自走クレーン10及びコンテナヤードYの一部の構成を示す正面図である。
図1及び図2に示すように、自走クレーン10は、コンテナ100を蔵置するための蔵置領域を跨ぐ門型のクレーン本体11と、自走クレーン10を動作させるための電力を後述するトロリ線部12から受電する給電トロリ13とを備えている。
【0021】
クレーン本体11は、タイヤ式の走行手段14と、略平行に立設されて走行手段14が下端に設けられた脚部15及び脚部15の上端間に架設された梁部16で門型に構成されたフレーム17と、梁部16に設けられた吊下機構18とを有する。
【0022】
走行手段14は、脚部15のそれぞれについて、梁部16の延設方向E−Fと直交する方向、すなわち横走行時において走行レーンLの延設方向A−Bと略一致する方向の両側に対をなして設けられている。走行手段14は、ゴムなどの樹脂製の走行車輪14aを有している。走行車輪14aは、脚部15のそれぞれの脚に対して4個ずつ設けられ、自走クレーン10の1台あたり16個設けられている。本実施形態では、走行手段14は、後述する遠隔操作室40における遠隔操作によって、走行車輪14aの回転速度及び走行車輪14aの向きが制御されるようになっている。
【0023】
本実施形態のクレーンシステム1では、自走クレーン10は、走行手段14によってコンテナヤードY内で自走できるようになっており、ある走行レーンLから別の走行レーンLへと自走クレーン10を移動させるように走行することができる。
【0024】
図1に示すように、梁部16は、吊下機構18を支持している。そして、梁部16には、梁部16の延設方向E−Fに沿って吊下機構18が走行可能なように、ガイドレール16aが設けられている。吊下機構18は、給電機構2から受電した電力を動力源としてコンテナ100を積み降ろしするように動作するものである。
【0025】
吊下機構18は、梁部16のガイドレール16aに沿って走行可能なトロリ18aと、コンテナ100を把持するスプレッダー18bと、トロリ18aからスプレッダー18bを吊り下げる吊下ロープ18cと、吊下ロープ18cの巻上げ及び巻出しを行う巻上機18dと、トロリ18a、スプレッダー18b及び巻上機18dの作動を制御する吊下機構制御部(図示せず)とを有する。
【0026】
図2に示すように、給電トロリ13は、トロリ線部12の延設方向に向かってトロリ線部12に沿って移動しながらトロリ線部12の給電線に接触して自走クレーン10を動作させるための電力を受電するものである。
【0027】
給電トロリ13は、可撓性を有するワイヤW1によってクレーン本体11の脚部15に連結されている。ワイヤW1は、自走クレーン10が走行レーンL内を走行するときに給電トロリ13をトロリ線部12に沿って牽引するためのものである。
【0028】
また、ワイヤW1は、自走クレーン10がある走行レーンLから別の走行レーンLへ移動するレーンチェンジが行われるときには、給電トロリ13とクレーン本体11との間でワイヤW1の連結を外すことができるようになっている。
【0029】
給電トロリ13と自走クレーン10とには、トロリ線部12から給電トロリ13に給電された電力を自走クレーン10の走行手段14や吊下機構18などに供給するための給電ケーブルC1が連結されている。給電ケーブルC1は、ワイヤW1と同様に、レーンチェンジが行われるときには給電トロリ13とクレーン本体11との間で給電ケーブルC1の連結を外すことができるようになっている。
【0030】
以下では、コンテナヤードYに配された給電機構2について説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の給電機構2は、コンテナヤードYにおいて走行レーンLの幅方向の一方(図1に示すC側)に配置されたトロリ線部12を有している。また、給電機構2は、コンテナヤードY内で走行レーンLごとにそれぞれ設けられている。なお、給電機構2は複数の走行レーンLに対して1つ設けられていてもよい。
【0031】
トロリ線部12は、走行レーンLの延設方向A−Bに沿って走行レーンLのそれぞれに設けられている。トロリ線部12には、自走クレーン10を駆動させるための電力を供給するため給電線が固定されている。本実施形態では、トロリ線部12は給電機構2の高さ方向に3段に設けられ、1段あたり3本の給電線が設けられている。
【0032】
図3に示すように、遠隔操作室40は、コンテナヤードY内に設けられ、自走クレーン10を遠隔操作したり自走クレーン10の運転状態を監視したりするための設備である。
【0033】
以下では、クレーンシステム1に設けられた通信システム200について説明する。
図4は、通信システム200の構成を示すシステム構成図である。
図4に示すように、通信システム200は、22台の自走クレーン10(自走クレーン10−1ないし自走クレーン10−22)と通信を行う通信システムである。通信システム200は、遠隔操作室40内に、遠隔操作卓50−1ないし50−10と、モニタ部52−1ないし52−22と、自走クレーン群管理システム60とを備えている。
なお、図4には、通信システム200がスター型のネットワークである例を示しているが、これに限らず、通信システム200は例えばバス型のネットワークやリング型のネットワークであってもよい。
【0034】
遠隔操作卓50−1ないし50−10と、自走クレーン群管理システム60との間は、例えばイーサネット(登録商標)によって接続されている。すなわち、遠隔操作卓50−1ないし50−10はハブ43に接続され、自走クレーン群管理システム60もハブ43に接続されて相互にデータ通信を行うことができるようになっている。また、ハブ43は、後述するアクセスポイント42−1ないし42−22にも接続されている。
【0035】
ハブ43は、遠隔操作卓50−1ないし50−10、および自走クレーン群管理システム60と、アクセスポイント42−1ないし42−22との間でデータを中継するようになっている。本実施形態では、ハブ43は、単純なリピータであってもよいが、ハブ43に送信されたデータに含まれる送信先アドレスに基づいてデータを送信先へ向けて中継して送信するブリッジの機能を有するスイッチングハブであることが好ましい。
【0036】
本実施形態の遠隔操作卓50−1ないし50−10は同様の構成を有する遠隔操作卓が10台設けられたものである。以下では、遠隔操作卓50−1を例に説明を行い、遠隔操作卓50−2ないし50−10の説明は省略する。
【0037】
遠隔操作卓50−1は、自走クレーン10を遠隔操作して自走クレーン10を走行させたりコンテナ100を搬送させたりするためのものである。本実施形態では、遠隔操作卓50は、複数の自走クレーン10(自走クレーン10−1ないし10−22)のうち手動操作を要する自走クレーン10に対して遠隔操作を行うものである。
【0038】
遠隔操作卓50−1は、ビデオデコーダ44−1、45−1と、モニタ46−1、47−1と、マイク48−1と、クレーン操作コンピュータ49−1とを備えている。
【0039】
ビデオデコーダ44−1は、ハブ43に接続されている。ビデオデコーダ44−1は、ハブ43によって中継されて送信されたIPデータを受信してこのIPデータに含まれる後述するデジタル映像信号をアナログデータに変換してモニタ46−1に送信するものである。
【0040】
ビデオデコーダ45−1は、ハブ43に接続されている。ビデオデコーダ45−1は、上述のビデオデコーダ44−1と同様にハブ43によって中継されて送信されたIPデータを受信してこのIPデータに含まれるデジタル映像信号をアナログデータに変換してモニタ47−1に送信するものである。さらに、ビデオデコーダ45−1は、音声エンコーダの機能も有している。すなわち、ビデオデコーダ45−1は、マイク48−1に入力された音声信号をアナログ音声データからデジタル音声データへと変調し、さらにIPデータに変換してビデオエンコーダ31−1に送信するものである。
【0041】
モニタ46−1は、ビデオデコーダ44−1によってアナログ映像信号へとデコードされたデジタル映像信号に基づく映像が表示されるものである。
モニタ47−1は、ビデオデコーダ45−1によってアナログ映像信号へとデコードされたデジタル映像信号に基づく映像が表示されるものである。
モニタ46−1、47−1としては、例えばCRTモニタや液晶ディスプレイなどを採用することができる。
【0042】
マイク48−1は、遠隔操作卓50−1において自走クレーン10の遠隔操作を行う操作者が、自走クレーン10の近傍にいる作業者などに対して指示を行うために使用されるものである。マイク48−1は、ビデオデコーダ45−1に電気的に接続されており、これにより、マイク48−1からビデオデコーダ45−1にアナログ音声信号が入力されるようになっている。
【0043】
クレーン操作コンピュータ49−1は、自走クレーン10を操作するための操作パネルや、モニタ46−1、47−1に表示される映像を切り替えるスイッチなどを備えたコンピュータであり、自走クレーン10を遠隔操作する遠隔操作手段である。
【0044】
また、クレーン操作コンピュータ49−1は、自走クレーン10を走行レーンL内で走行させたり、自走クレーン10をある走行レーンLから別の走行レーンLへと移動するように走行させたり、さらに自走クレーン10のトロリ18aを動作させてコンテナ100の荷役搬送を行ったりするための命令信号を生成できるようになっている。
【0045】
さらに、クレーン操作コンピュータ49−1は、自走クレーン10を遠隔操作するための命令信号を、命令信号の送信先となる自走クレーン10のIPアドレス(クレーン識別ID)を含むIPヘッダを有するIPデータに変換する命令信号変換部を有している。これにより、クレーン操作コンピュータ49-1は、後述する自走クレーン群管理システム60によって関連付けられた自走クレーン10に向けて、命令信号を含むIPデータを送信できるようになっている。
【0046】
自走クレーン群管理システム60は、遠隔操作卓50−1ないし50−10に設けられたクレーン操作コンピュータ49−1ないし49−10の上位の管理システムであり、自走クレーン10−1ないし10−22に設けられた後述する制御コンピュータ33−1ないし33−22から送信された遠隔操作要求に基づいて、遠隔操作卓50−1ないし遠隔操作卓50−10から空き状態の遠隔操作卓を選択して遠隔操作卓と自走クレーンとを関連付けるためのものである。
【0047】
自走クレーン群管理システム60には、コンテナヤードYにおけるコンテナ100の荷役スケジュールが記憶されている。自走クレーン群管理システム60は、コンテナ100の荷役スケジュールに基づいて自走クレーン10−1ないし10−22に対して自動運転を行うための自動運転信号を送信するようになっている。
【0048】
また、図3及び図4に示すように、通信システム200は、コンテナヤードY内に、漏洩同軸ケーブル41−1ないし41−22と、無線アクセスポイント42−1ないし42−22とを備えている。
【0049】
漏洩同軸ケーブル41−1ないし41−22は、同様の構成を有する漏洩同軸ケーブルが22本設けられたものである。また、無線アクセスポイント42−1ないし42−22は同様の構成を有する無線アクセスポイントが22台設けられたものである。以下では、漏洩同軸ケーブル41−1及び無線アクセスポイント42−1を例に説明を行い、漏洩同軸ケーブル41−2ないし41−22、及び無線アクセスポイント42−2ないし42−22の説明は省略する。
【0050】
漏洩同軸ケーブル41−1は、高周波信号を伝送する同軸ケーブルであり、導体からなる心材の外周に絶縁体が被覆され、絶縁体の外周には厚さ方向に貫通された複数のスリットを有するシールド材がさらに被覆されている。漏洩同軸ケーブル41−1は、心材に伝送される高周波信号の一部がスリットを通じて漏洩同軸ケーブル41−1の外部に伝搬されることで、漏洩同軸ケーブル41−1全体がアンテナとして機能するものである。
【0051】
図2に示すように、漏洩同軸ケーブル41−1はトロリ線部12に固定されている。また、図3に示すように、漏洩同軸ケーブル41−1は、トロリ線部12の延設方向に沿って延びている。
【0052】
本実施形態では、漏洩同軸ケーブル41−1から発信される電波が届く範囲は、漏洩同軸ケーブル41−1を中心としてトロリ線部12の延設方向に中心軸線が向く略円柱状の空間の内部である。漏洩同軸ケーブル41−1から伝搬する電波は、漏洩同軸ケーブル41−1から後述する無線クライアントアンテナ28−1に届くようになっている。
【0053】
なお、漏洩同軸ケーブル41−1から発信される電波が届く範囲は、走行レーンLの全幅よりも短い範囲であることが好ましい。この場合、隣接する走行レーンLの間における電波干渉が低減されるため、漏洩同軸ケーブル41−1と無線クライアントアンテナ28−1との間の通信レートが低下することを抑制できる。
【0054】
無線アクセスポイント42−1は、漏洩同軸ケーブル41−1とハブ43とにそれぞれ電気的に接続されている。本実施形態の無線アクセスポイント42−1は、ハブ43によって中継されて無線アクセスポイント42−1へ送信されたIPデータを本実施形態では2.4GHz帯の無線LANの信号に変換して漏洩同軸ケーブル41−1へと送信するものである。なお、無線アクセスポイント42−1は、例えばIEEE802.11aに定められた5GHz帯の無線LANに対応したアクセスポイントであってもよいし、その他の無線通信方式であっても構わない。
【0055】
なお、本実施形態では、無線アクセスポイント42−1ないし42−22には同一のチャネルが割り当てられている。このため、コンテナヤードYにおいて自走クレーン10が、ある走行レーンLから異なる走行レーンLへと移動しても、自走クレーン10と無線アクセスポイント42−1ないし42−22とは同一の無線通信チャンネルを用いて継続して通信することができる。
【0056】
さらに、図4に示すように、通信システム200は、自走クレーン10−1内に、無線クライアントアンテナ28−1と、ハブ29−1と、ビデオエンコーダ30−1、31−1と、制御コンピュータ33と、カメラ34−1、35−1と、拡声器37−1とを備えている。
【0057】
なお、無線クライアントアンテナ、ハブ、ビデオエンコーダ、制御コンピュータ、カメラ、及び拡声器は自走クレーン10−1ないし10−22のそれぞれに設けられている。
以下では、自走クレーン10−1を例に説明を行い、自走クレーン10−2ないし10−22について説明は省略する。
【0058】
自走クレーン10−1に設けられた無線クライアントアンテナ28−1は、信号線27によってハブ29−1に電気的に接続されている。図2に示すように、無線クライアントアンテナ28−1は、自走クレーン10−1のクレーン本体11に連結された給電トロリ13に固定されている。無線クライアントアンテナ28−1は指向性を有するアンテナを有し、このアンテナは漏洩同軸ケーブル41−1の長手方向に対して交差する方向から漏洩同軸ケーブル41−1の外周面に検出領域が向けられている。無線クライアントアンテナ28−1は、漏洩同軸ケーブル41−1との間で無線信号を送受信できるようになっている。
【0059】
図4に示すように、ハブ29−1は、無線クライアントアンテナ28−1と、ビデオエンコーダ30−1、31−1と、制御コンピュータ33−1とのそれぞれに接続されたスイッチングハブである。ハブ29−1は、ビデオエンコーダ30−1、31−1、及び制御コンピュータ33−1と無線クライアントアンテナ28−1との間でデータを中継するものである。
【0060】
ビデオエンコーダ30−1は、ハブ29−1に接続されている。ビデオエンコーダ30−1は、カメラ34−1によって撮影された映像をデジタル映像信号に変換した後に、このデジタル映像信号をIPデータとして、ビデオデコーダ44−1ないし44−10のいずれかへ送信する変換部である。
【0061】
ビデオエンコーダ31−1は、ハブ29−1に接続されている。ビデオエンコーダ31−1は、カメラ35−1によって撮影された映像をデジタル映像信号に変換した後にこのデジタル映像信号をIPデータとしてビデオデコーダ45−1ないし45−10のいずれかへ送信する変換部である。なお、本実施形態では、ビデオエンコーダ31−1は音声デコーダの機能も有しており、遠隔操作室40に配置されたマイク48−1ないし48−10に入力されて音声デコーダによってIPデータに変換された音声情報をアナログ信号に変換して拡声器37−1に伝送するようになっている。
【0062】
制御コンピュータ33−1は、自走クレーン10−1の走行及び荷役搬送の動作を制御するためのコンピュータである。
制御コンピュータ33−1は、荷役スケジュールに基づいて自走クレーン群管理システム60から送信される自動運転信号や、遠隔操作卓50−1ないし50−10のクレーン操作コンピュータ49−1ないし49−10から送信される命令信号などに基づいて自走クレーン10−1の走行手段14及び吊下機構18を動作させる駆動信号を送信できるようになっている。
【0063】
制御コンピュータ33−1は、何らかの要因で必要精度内でのコンテナの積付けができない場合に、手作業による遠隔操作に切り替えるための遠隔操作要求を自走クレーン群管理システム60に対して送信できるようになっている。制御コンピュータ33−1から送信される遠隔操作要求は、送信先アドレスが自走クレーン群管理システム60のIPアドレスに設定されたIPデータである。
【0064】
カメラ34−1は、図3に示すように、自走クレーン10−1のスプレッダー18bによって保持されるコンテナ100の吊り下げ状態を監視するカメラである。カメラ34−1は、自走クレーン10−1のスプレッダー18bに固定されている。また、図4に示すように、カメラ34−1は、ビデオエンコーダ30−1に接続されている。
【0065】
カメラ35−1は、図3に示すように、自走クレーン10−1のトロリ18aの下の状況を映すカメラである。カメラ35−1は自走クレーン10−1のトロリ18aに固定されている。また、図4に示すように、カメラ35−1は、ビデオエンコーダ31−1に接続されている。
【0066】
拡声器37−1は、自走クレーン10−1のクレーン本体11に固定されている。また、拡声器37−1は、ビデオエンコーダ31−1に電気的に接続されており、遠隔操作室40の遠隔操作卓50−1ないし50−10に設けられたマイク48−1ないし48−10のいずれかに入力された音声が出力されるようになっている。
【0067】
以下では、本実施形態の通信システム200における通信方式について説明する。
図2及び図3に示すように、通信システム200は、コンテナヤードYに配置された自走クレーン10が走行レーンL内で自動走行したりコンテナ100を搬送したりする運転状態を遠隔操作室40で監視するための検出信号を受信し、遠隔操作室40において自走クレーン10を操作するための命令信号を送信するシステムである。
【0068】
本実施形態では、自走クレーン10が走行レーンL内を走行する状況を監視するための信号とは、自走クレーン10に設けられたカメラ(例えばカメラ34−1、35−1、図3参照)によって撮影される映像に基づく映像信号や、自走クレーン10に設けられた制御コンピュータ(例えば制御コンピュータ33−1、図4参照)から送信される信号などの検出信号である。
【0069】
また、本実施形態では、遠隔操作室40において自走クレーン10を操作するための命令信号とは、自走クレーン10の走行手段14やトロリ18aの動作を制御するために遠隔操作室40から発信される制御信号や、遠隔操作室40において自走クレーン10を遠隔操作する操作者が自走クレーン10の近傍にいる作業者(例えばコンテナ100を搬送するトレーラの運転者など)に指示するための音声を伝送する音声信号などである。
【0070】
また、本実施形態の通信システム200上で送受信されるデータは、IPアドレスによって送信元と送信先とが一意に定められたIPデータである。通信システム200に接続されたすべての機器には個別のIPアドレスが割り当てられている。
また、自走クレーン10−1ないし10−22に設けられた制御コンピュータ33−1ないし33−22に割り当てられたIPアドレスは、自走クレーン10−1ないし10−22を識別するためのクレーン識別IDとして機能している。
【0071】
通信システム200に接続された機器の間では、送信先のIPアドレスと送信元のIPアドレスとを含むIPヘッダを有するIPデータを用いてイーサネット(登録商標)上で通信を行うようになっている。通信システム200で用いられるIPアドレスは、ローカルIPアドレスであることが好ましい。なお、通信システム200ではグローバルIPアドレスによって機器を特定しても構わない。
【0072】
カメラ34−1、35−1は、撮影された映像を例えばNTSC方式のアナログ映像信号として発信する。カメラ34−1、35−1とそれぞれ電気的に接続されたビデオエンコーダ30−1、31−1は、カメラ34−1、35−1から発信されたアナログ映像信号を、例えばMPEG−1、MPEG−2、MPEG−3、MPEG−4、あるいはMotion JPEGなどのデジタル映像信号へとエンコードする。
【0073】
ビデオエンコーダ30−1、31−1においてエンコードされたデジタル映像信号は、ビデオエンコーダ30−1、31−1によってIPパケット(IPデータグラム)に分割され、送信元のIPアドレス及び送信先のIPアドレスを含むIPヘッダが付加されたIPデータに変換される。ビデオエンコーダ30−1、31−1における送信先IPアドレスは、ビデオデコーダ44−1ないし44−10、並びにビデオデコーダ45−1ないし45−10のIPアドレスであり、ビデオエンコーダ30−1、31−1によって生成されたIPデータはビデオデコーダ44−1ないし44−10、並びにビデオデコーダ45−1ないし45−10へ送信される。
【0074】
なお、自走クレーン10−1に設けられたカメラ34−1、35−1によって撮影された映像は、それぞれビデオエンコーダ30−1、31−1においてデジタル映像信号を含むIPデータに変換されてビデオデコーダ44−1ないし44−10、並びにビデオデコーダ45−1ないし45−10に送信される。
【0075】
以下では、通信システム200の動作の一例について図5を参照して説明する。図5は、通信システム200の動作を説明するためのシーケンス図である。なお、以下では、自走クレーン10−1の動作を例に説明し、自走クレーン10−2ないし10−22の動作については同様であるので省略する。
【0076】
自走クレーン10−1が走行レーンL内を走行したりコンテナ100の荷役搬送を行ったりしているときには、自走クレーン群管理システム60から制御コンピュータ33−1へ自動運転信号が送信されている(S1)。自走クレーン群管理システム60から送信された自動運転信号(命令信号)によって、自走クレーン10−1はコンテナヤードYの走行レーンL内で走行及び荷役搬送が自動制御されている。
【0077】
ところで、自走クレーン10−1がコンテナヤードY内にコンテナを蔵置する際に、所定精度内で積付けることができないと判断される場合もある。この場合には、自走クレーン10−1の制御コンピュータ33−1は、自走クレーン10−1の自動動作を停止させ、自走クレーン群管理システム60を送信先とする遠隔操作要求をIPデータとして送信する(S2)。
【0078】
制御コンピュータ33−1から遠隔操作要求が送信された自走クレーン群管理システム60は、遠隔操作卓50−1ないし50−10のクレーン操作コンピュータ49−1ないし49−10に対して空き状況の問い合わせを行う(S3)。クレーン操作コンピュータ49−1ないし49−10のうち自走クレーン10の遠隔操作に用いられていないクレーン操作コンピュータは、自走クレーン群管理システム60に対して空きであることを通知するように自走クレーン群管理システム60の問い合わせに応答する(S4)。例えば、遠隔操作卓50−1において自走クレーン10の遠隔操作が行われていなければ、クレーン操作コンピュータ49−1が自走クレーン群管理システム60に対して応答し、遠隔操作卓50−1が自走クレーン群管理システム60によって選択される。これにより、遠隔操作卓50−1ないし50−10から、自走クレーン10−1ないし10−22の遠隔操作が行われていない遠隔操作卓が1つ選択される。
【0079】
すると、自走クレーン群管理システム60は、クレーン操作コンピュータ49−1へ、遠隔操作対象の自走クレーン10の情報を通知する。
自走クレーン群管理システム60から遠隔操作対象の自走クレーン10の情報が通知されたら、クレーン操作コンピュータ49−1は通知された自走クレーン10の制御コンピュータ33−1へ、クレーン操作コンピュータ49−1と制御コンピュータ33−1とをリンクするリンク指示を通知する。
制御コンピュータ33−1は、ビデオエンコーダ30−1、31−1に設定されているデジタル映像信号の送信先IPアドレスを、クレーン操作コンピュータ49−1が設けられている遠隔制御卓50−1のビデオデコーダ44−1、45−1に設定する。
【0080】
すると、遠隔操作卓50−1では、ビデオエンコーダ30−1、31−1からビデオデコーダ44−1、45−1へとデジタル映像信号が送信され(S5)、モニタ46−1、47−1には自走クレーン10−1に設けられたカメラ34−1、35−1によって撮影された映像が表示される。
なお、ビデオデコーダ44−1、45−1は、デジタル映像信号をクレーン操作コンピュータ49−1へ送信してもよく、この場合には自走クレーン10のカメラ34−1、35−1によって撮影された映像をクレーン操作コンピュータ49−1の図示しないモニタに表示させることができる。
制御コンピュータ33−1からは、位置センサ21から発せられた信号などの検出信号がクレーン操作コンピュータへと送信されるとともに、クレーン操作コンピュータ49−1を用いて自走クレーン10−1の制御コンピュータへ命令信号を送信できるようになる。
【0081】
遠隔操作卓50−1において自走クレーン10−1を操作する操作者は、遠隔操作卓50−1のクレーン操作コンピュータ49−1を用いてコンテナ100を要求精度内に置けるように、制御コンピュータ33−1に対して命令信号を送信する(S6)。自走クレーン10−1の操作が終了したら、操作者は手作業により遠隔操作を終了する終了信号を制御コンピュータ33−1へ送信する(S7)。すると、制御コンピュータ33−1は、自走クレーン群管理システム60へ、遠隔操作要求の取り消しを要求する。自走クレーン群管理システム60は制御コンピュータ33−1に対して再び自動運転信号を送信する(S8)。すると、自走クレーン10−1は再び自走クレーン群管理システム60によって自動制御される。さらに、遠隔操作卓50−1と自走クレーン10−1との間の関連付けはクレーン操作コンピュータ49−1の終了信号送信によって解消され、遠隔操作卓50−1は空き状態になる。
【0082】
また、自走クレーン10−1がコンテナ100を搬送しているときに、コンテナ100同士が衝突するおそれがある場合や、コンテナ100と自動搬送台車との間の位置がずれていることが検出された場合にも、自走クレーン10−1の制御コンピュータ33−1から自走クレーン群管理システム60に対して遠隔操作要求が通知される。そして、上述と同様に遠隔操作卓50−1ないし50−10のいずれかの遠隔操作卓と自走クレーン10−1とが関連付けられて自走クレーン10−1が手動で遠隔操作される。
【0083】
なお、本実施形態では自走クレーンが22台設けられているのに対して遠隔操作卓は10台設けられているが、10台の遠隔操作卓がすべて使用中であるときに新たに別の自走クレーンから自走クレーン群管理システム60に対して遠隔操作要求が通知される場合もある。この場合には、自走クレーン群管理システム60は、少なくとも1台の遠隔操作卓が開放されるまで遠隔操作卓の選択を保留する。自走クレーン群管理システム60によって遠隔操作卓が選択されるまでは、遠隔操作要求を通知した自走クレーン10は停止している。自走クレーン群管理システム60によって遠隔操作卓が選択されて自走クレーンを遠隔操作するための遠隔操作卓が決定したら、選択された遠隔操作卓を用いて自走クレーンを操作できるようになる。
【0084】
以上説明したように、本実施形態の通信システム200を備えるクレーンシステム1によれば、自走クレーン10−1ないし10−22にそれぞれ割り当てられたIPアドレスに基づいて自走クレーン10を自動制御し、自走クレーン10を特定して遠隔操作卓50−1ないし50−10のうち選択された1つ遠隔操作卓を用いて自走クレーン10を遠隔操作することができるので、自走クレーン10ごとに異なる無線通信チャンネルを割り当てる必要がなく、無線通信チャンネルの必要数を削減することができる。
【0085】
また、自走クレーン10によって撮影された映像信号と、自走クレーン10を遠隔操作するための命令信号とをIPデータに変換して送受信するので、一つの無線通信チャンネルで送信先が異なる複数の信号を送受信することができる。このため、通信を行う効率を高めることができる。
【0086】
また、本実施形態の通信システム200では、自走クレーン10と遠隔操作室40との間で無線通信を行うために漏洩同軸ケーブル41−1ないし41−22が用いられ、漏洩同軸ケーブル41−1ないし41−22がトロリ線部12に固定され、漏洩同軸ケーブル41−1ないし41−22との間で無線通信を行う無線クライアントアンテナ28−1ないし28−22が給電トロリ13に固定されている。
このため、自走クレーン10が走行レーンL内で蛇行しても、漏洩同軸ケーブル41−1ないし41−22と無線クライアントアンテナ28−1ないし28−22との間の距離を一定に保つことができる。その結果、漏洩同軸ケーブル41−1ないし41−22と無線クライアントアンテナ28−1ないし28−22との間の通信速度が低下する可能性を低減できる。
さらに、漏洩同軸ケーブル41−1ないし41−22への無線クライアントアンテナ28−1ないし28−22の向きも一定に保つことができるので、隣り合う走行レーンLからの電波によって無線通信が干渉することを抑えることができる。
【0087】
また、自走クレーン10に設けられたカメラ34、35、36によって撮影された映像のアナログ映像信号をデジタル映像信号にエンコードしてからIPデータとして送受信するので、デジタル映像信号を圧縮して送受信した場合にはデータ量を削減することができる。
【0088】
さらに、自走クレーン10に設けられたカメラ34、35、36によって撮影された映像のアナログ映像信号をデジタル映像信号にエンコードすることによって、アナログ信号を送受信した場合と比較して、データを伝送する距離が長くても映像が劣化することを軽減できる。
【0089】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述の実施形態では、通信システム200において使用する無線通信チャンネルは1つである例を説明したが、これに限らず、無線通信チャンネルを2つ以上使用する構成を採用することもできる。この場合でも、漏洩同軸ケーブルから外部に伝搬する無線信号が、隣接する走行レーンに設けられた漏洩同軸ケーブルから外部に伝搬する無線信号と干渉することが抑えられているので、漏洩同軸ケーブルと無線クライアントアンテナとの間での無線通信速度が低下することを軽減できる。
【0090】
また、通信システム200において、漏洩同軸ケーブルと無線クライアントアンテナとの間で無線通信を行うための1チャンネルあたりの周波数帯域の広さは特に限定されるものではない。
【0091】
また、上述の実施形態で説明した自走クレーンは、コンテナヤードY内で自動的に走行手段14を操舵する自動操舵機構を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 クレーンシステム
2 給電機構
3 地上ガイドライン
L 走行レーン
R 路面
Y コンテナヤード
10(10−1〜10−22) 自走クレーン
13 給電トロリ
100 コンテナ
30−1〜30−22、31−1〜31−22 ビデオエンコーダ(変換部)
33−1〜33−22 制御コンピュータ(変換部)
40 遠隔操作室(遠隔操作手段)
41−1〜41−22 漏洩同軸ケーブル
44−1〜44−10、45−1〜45−10 ビデオデコーダ
46−1〜46−10、47−1〜47−10 モニタ
48−1〜48−10 マイク
49−1〜49−10 クレーン操作コンピュータ(変換部、遠隔操作手段)
50−1〜50−10 遠隔操作卓(遠隔操作手段)
52−1〜52−22 モニタ部
53−1〜53−22 ビデオデコーダ
54−1〜54−22 モニタ
60 自走クレーン群管理システム(変換部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナヤードのレーン内を走行する自走クレーンと、前記自走クレーンの運転状態を示す検出信号を受信して前記自走クレーンを遠隔操作するための遠隔操作手段との間で通信を行う通信システムであって、
前記検出信号をIPデータに変換する変換部と、
前記IPデータを送受信するために、前記自走クレーンの走行方向に沿って前記走行レーンに設けられた漏洩同軸ケーブルと、
前記自走クレーンに設けられ、前記漏洩同軸ケーブルとの間で前記IPデータを送受信するアンテナとを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記遠隔操作手段は、前記自走クレーンと前記遠隔操作手段との間で前記自走クレーンの動作を指示する命令信号を前記自走クレーンへ送信し、
前記変換部は、前記命令信号をIPデータに変換する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記IPデータは、前記自走クレーンを識別するクレーン識別IDを有し、
前記遠隔操作手段は、前記自走クレーンの各々に対応して前記自走クレーンを遠隔操作するための操作卓を有し、
前記遠隔操作手段は、前記クレーン識別IDに基づいて前記操作卓を決定して前記操作卓と前記自走クレーンとの間でIPデータを送受信することを特徴とする請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記漏洩同軸ケーブルは、前記自走クレーンに給電するためのトロリ線に沿って配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記自走クレーンに連結され前記トロリ線に電気的に接続された給電トロリに、前記アンテナは固定されていることを特徴とする請求項4に記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−151749(P2011−151749A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13539(P2010−13539)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】