説明

通信システム

【課題】複数の指令装置と、制御装置と、複数の端末局を有する通信システムで、効果的に一斉指令を行う。
【解決手段】指令装置11−1〜11−mは端末局1〜nに対する一斉指令を発する。制御装置1は、指令装置により発せられた一斉指令を受け付け、そして、受け付けられた一斉指令に基づいて一斉指令を実行し、この場合に、一の指令装置からの一斉指令の実行中に他の指令装置からの一斉指令が受け付けられたときには、当該一の指令装置からの一斉指令の対象となる端末局と当該他の指令装置からの一斉指令の対象となる端末局とを比較し、これらに重複があると判断したときには当該他の指令装置からの一斉指令を予約する一方、これらに重複が無いと判断したときには当該他の指令装置からの一斉指令を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関し、特に、効果的に一斉指令を行う通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、防災行政通信ネットワークでは、一斉指令が運用されている。
一斉指令の機能は、非常事態の発生時に統制局から関連する端末局に対して同時に情報を送信する機能である。
図1に示される通信システムを参照して、一斉指令の動作の例やその課題を示す。なお、図1は後述する実施例に係る図であり、ここでは説明を分かり易くするために図1を参照して各部の符号を使用するが、本発明を不要に限定する意図は無い。
【0003】
発令者(人)は、一斉指令台(いずれかの一斉指令台11−1〜11−m(mは複数))で、一斉指令の送信対象局(指令対象局)を選択するとともに対象種別(例えば、音声、FAX、データ)を選択して発令する。発令された一斉指令は、一斉指令制御装置1が中枢となり、指令対象局(本例では、複数の端末局1〜n(nは複数)のうちの2つ以上)の回線接続制御装置2−1〜2−nに接続され、回線の確保が行われる。該当する回線接続制御装置2−1〜2−nは、対象種別により、音声一斉受令用電話機22−1〜22−nや一斉指令受令用FAX23−1〜23−nやデータ一斉受令用PC21−1〜21−nに接続し、受令準備が整うと、その旨(受令準備の応答)を一斉指令制御装置1へ送信(返信)する。
【0004】
一斉指令制御装置1は、該当する端末局1〜nから受令準備の応答を受信すると、音声一斉発令用マイク12−1〜12−mや一斉指令発令用FAX13−1〜13−mやデータ一斉発令用PC(例えば、一斉指令台11−1〜11−m)からの情報を全ての指令対象局の回線接続制御装置2−1〜2−nへ送信する。この送信が終了すると、該当する回線接続制御装置2−1〜2−nは、受令者(人)が指令内容を受けたことを確認するために受令確認を促して、受令者から受令確認を受け付ける。そして、該当する回線接続制御装置2−1〜2−nは、受令者が指令内容を正常に受け取ったことを判断した場合には「良」の信号を一斉指令制御装置1へ送信(返信)し、異常が生じたと判断した場合には「不良」の信号を一斉指令制御装置1へ送信(返信)する。この内容(「良」又は「不良」という受令確認の内容)が、一斉指令台(例えば、発令した一斉指令台11−1〜11−m)の画面に表示される。発令者は、この受令確認の応答状況により、再指令を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−094629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような一斉指令においては、次のような事情があった。
一斉指令制御装置1は、一斉指令台11−1〜11−mに指令状況のリアルタイム表示を行うために、一斉指令の状況を一斉指令台11−1〜11−mへ送信している。また、一斉指令制御装置1は、複数台の一斉指令台11−1〜11−mを接続しているときには、これらの一斉指令台11−1〜11−mへ同じ情報を送信しており、発令をしている一斉指令台の状況をモニタすることができる。
【0007】
ここで、一斉指令制御装置1は同時に一発令しかできないため、発令していない一斉指令台11−1〜11−mでは、一斉指令の終了を待つか、或いは、モニタ状況を確認して中断操作をして、アイドル状態に戻らないと、一斉指令を発令することができない。
また、端末局1〜nからは一斉指令を発令する機能は無い。このため、端末局1〜nの発令者は、統制局の発令代行者に一斉指令の依頼を行い、これにより、対象の端末局1〜nへの一斉指令を行っていた。
【0008】
このように、上記のような一斉指令においては、一斉指令台11−1〜11−mでは、他の台で発令中の一斉指令があるときには、それをモニタするのみで、新たな一斉指令を発令することができず、また、予約登録をすることもできなかった。また、端末局1〜nの発令者からの一斉指令は、発令代行者に依頼しないと発令できなかった。
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、効果的に一斉指令を行うことができる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明では、複数の指令装置と、制御装置と、複数の端末局を有する通信システムであって、次のような構成とした。
すなわち、前記指令装置では、一斉指令発手段が、前記端末局に対する一斉指令を発する。
前記制御装置では、一斉指令受け付け手段が、前記指令装置により発せられた一斉指令を受け付ける。そして、一斉指令処理手段が、前記一斉指令受け付け手段により受け付けられた一斉指令に基づいて一斉指令を実行し、この場合に、一の指令装置からの一斉指令の実行中に他の指令装置からの一斉指令が前記一斉指令受け付け手段により受け付けられたときには、当該一の指令装置からの一斉指令の対象となる端末局と当該他の指令装置からの一斉指令の対象となる端末局とを比較し、これらに重複があると判断したときには当該他の指令装置からの一斉指令を予約する一方、これらに重複が無いと判断したときには当該他の指令装置からの一斉指令を実行する。
【0010】
従って、効果的に一斉指令を行うことができる。
具体的には、一斉指令の実行中に他の一斉指令が受け付けられた場合においても、同時に実行すること、或いは、いったん予約することができ、複数の一斉指令の実行の効率化を図ることができる。
【0011】
ここで、複数の指令装置の数としては、種々な数が用いられてもよい。
また、複数の端末局の数としては、種々な数が用いられてもよい。
また、一斉指令の対象となる端末局の数としては、通常、2つ以上となるが、1つの端末局を対象とする指令が行われてもよい。
また、予約された一斉指令は、例えば、実行中の一斉指令の実行が終了(完了)した後に、すぐに、実行される。
【0012】
一構成例として、本発明に係る通信システムでは、次のような構成とした。
すなわち、
前記複数の指令装置には、一斉指令の優先順位が設定され、
前記制御装置は、前記複数の指令装置に設定された一斉指令の優先順位の情報を記憶する優先順位記憶手段を備え、
前記制御装置の前記一斉指令処理手段は、2以上の異なる一斉指令を予約する場合には、前記優先順位記憶手段に記憶された情報に基づいて、優先順位が高い方が優先されて実行されるように予約する、
ことを特徴とする通信システム。
【0013】
従って、効果的に一斉指令を行うことができる。
具体的には、2以上の異なる一斉指令が予約される場合に、優先順位が低い指令装置からの一斉指令と比べて、優先順位が高い指令装置からの一斉指令を優先させて実行することができる。
【0014】
一構成例として、本発明に係る通信システムでは、次のような構成とした。
すなわち、
前記端末局は、一斉指令の依頼を前記指令装置に対して発する一斉指令依頼発手段を備え、
前記指令装置は、前記端末局により発せられた一斉指令の依頼を受け付ける一斉指令依頼受け付け手段を備え、
前記指令装置の前記一斉指令発手段は、前記一斉指令依頼受け付け手段により受け付けられた一斉指令の依頼に基づいて、一斉指令を発する、
ことを特徴とする通信システム。
【0015】
従って、効果的に一斉指令を行うことができる。
具体的には、端末局から指令装置に対して一斉指令の依頼を発することにより、その一斉指令をその指令装置から発することができる。
ここで、一斉指令の依頼を受け付ける指令装置としては、例えば、複数の指令装置の全てであってもよく、或いは、一部であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明に係る通信システムによると、効果的に一斉指令を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例に係る通信システムの構成例を示す図である。
【図2】一斉指令制御装置の構成例を示す図である。
【図3】一斉指令制御装置により行われる処理の手順の一例を示すフローチャートの図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施例に係る通信システムの構成例を示してある。
本例の通信システムは、統制局と、複数であるn個の端末局1〜nと、これらを接続するネットワーク3を有している。
統制局には、一斉指令制御装置1と、これに接続される複数であるm個の装置群が設けられている。各装置群は、発令や発令に係るデータの入力を受け付ける一斉指令台(一斉指令卓)11−1〜11−m、発令に係る音声の入力を受け付けるマイク(音声一斉発令用マイク)12−1〜12−m、発令に係るFAX情報の入力を受け付けるFAX(一斉指令発令用FAX)13−1〜13−mを有している。
【0019】
本例では、一斉指令台11−1〜11−mは、人により操作される操作部や、画面等に情報を表示する表示部を備えており、例えば、データ一斉発令用のパーソナルコンピュータ(PC)として使用することが可能である。
なお、一斉指令台11−1〜11−mは、必ずしもPCを用いて構成されなくてもよい。
【0020】
各端末局1〜nには、回線接続制御装置2−1〜2−nと、これに接続される装置群が設けられている。この装置群は、受令に係るデータの出力を行うPC(データ一斉受令用PC)21−1〜21−n、受令に係る音声の出力を行う電話機(音声一斉受令用電話機)22−1〜22−n、受令に係るFAX情報の出力を行うFAX(一斉指令受令用FAX)23−1〜23−nを有している。
本例では、統制局の一斉指令制御装置1が直接に又は他の処理部を介してネットワーク3に接続されており、各端末局1〜nの回線接続制御装置2−1〜2−nが直接に又は他の処理部を介してネットワーク3に接続されている。
【0021】
本例の通信システムにおいて行われる動作の例を示す。
1つの一斉指令台で一斉指令を発令中であるときには、発令をしていない他の台の一斉指令台において発令中の一斉指令の状況がモニタとして表示される。本例では、この他の台の一斉指令台のモニタ画面には初期画面に戻るためのボタンを用意してあり、発令者がこのボタンを押下することにより、新たな一斉指令の発令を可能としてある。
【0022】
一斉指令台11−1〜11−mでは、発令者により一斉指令の発令の操作が為されると、自装置(当該一斉指令台11−1〜11−m)の識別情報(ID)と指令対象局を特定する情報などを付加した一斉指令信号を一斉指令制御装置1へ送る。
ここで、発令者は、一斉指令台11−1〜11−mで、一斉指令の送信対象局(指令対象局)を選択するとともに対象種別(例えば、音声、FAX、データ)を選択して発令する。
また、指令対象局としては、本例では、複数の端末局1〜nの中から選択され、また、一斉の指令においては、通常、2つ以上が選択され、全てでもよい。
また、指令対象局を特定する情報としては、例えば、装置(本例では、子局1〜n或いは回線接続制御装置2−1〜2−n)の識別情報(ID)を用いることができる。
【0023】
一斉指令制御装置1は、受信した一斉指令信号について、発令元の一斉指令台のIDと指令対象局を特定する情報を付加した一斉指令起動信号を、ネットワーク3を介して、回線接続制御装置2−1〜2−nへ送信して一斉指令を発令する。
【0024】
ある一斉指令台による一斉指令の発令中に他の台の一斉指令台から新たな一斉指令が登録されると、一斉指令制御装置1は、これら2つの一斉指令(つまり、発令中の一斉指令と、新たな一斉指令)の指令対象局(それを特定する情報)を比較し、同一の指令対象局(重複する指令対象局)があると判定した場合には、後から発令された一斉指令を一旦保留して予約状態とする。この場合、例えば一斉指令制御装置1からの制御等により、この他の台の一斉指令台の画面には、発令待ち状態である旨の表示を行う。そして、一斉指令制御装置1は、先に発令された一斉指令が終了すると、直ぐに待ち状態(予約状態)にある一斉指令を発令する。
【0025】
一方、一斉指令制御装置1は、2つの一斉指令(発令中の一斉指令と、新たな一斉指令)の指令対象局(それを特定する情報)を比較し、同一の指令対象局(重複する指令対象局)がないと判定した場合、つまり、指令対象局が重ならない新たな一斉指令が発令されたときには、発令中の一斉指令を継続しながら、新たな一斉指令に係る一斉指令起動信号をネットワーク3を介して回線接続制御装置2−1〜2−nへ送信し、これにより、一斉指令を同時発令する。
【0026】
回線接続制御装置2−1〜2−nは、受信した一斉指令起動信号を解析して、指令対象局を特定する情報に基づいて、自局が指令対象局となっている一斉指令のみを受令する。すなわち、回線接続制御装置2−1〜2−nは、自局が指令対象局となっている一斉指令に係る一斉指令台のIDが付加された信号のみを受け付けるようにする。
【0027】
ここで、本例では、複数の一斉指令台11−1〜11−mに優先順位を決めてあり、その情報が一斉指令制御装置1などのメモリに記憶されている。そして、一斉指令台が3台以上あり、複数台の一斉指令台が発令して、一斉指令が予約状態にあるときに、更に他の一斉指令台が新たに一斉指令を発令する場合には、一斉指令制御装置1は優先順位に従った順で発令することとし、これにより、後から一斉指令を予約登録した一斉指令台について、前に予約された一斉指令より先に発令することを可能としてある。
【0028】
本例では、端末局1〜nから一斉指令を発令する場合には、例えば端末局1〜nにおける発令者による操作により、回線接続制御装置2−1〜2−nは、発令する種別(例えば、音声、FAX、データ)及びデータ(例えば、音声は音声ファイルへ変換したもの、FAXは画像イメージファイルへ変換したもの)と指令対象局(それを特定する情報)の内容を、ネットワーク3を介して、統制局の一斉指令台(依頼一斉指令台)に依頼として登録する。そして、依頼を受け取った一斉指令台(依頼一斉指令台)は、他の一斉指令台と同様な動作を行って、発令種別やデータなどを登録して、発令を行う。
【0029】
ここで、各端末局1〜nでは、発令者は、例えば、データ一斉受令用PC21−1〜21−nを使用して発令やデータの入力などを行うことができ、音声一斉受令用電話機22−1を使用して音声の入力を行うことができ、一斉指令受令用FAX23−1〜23−nを使用してFAXの入力を行うことができる。他の構成例として、各端末局1〜nにおいて、発令用に各入力などを行う装置が受令用とは別に設けられてもよい。
【0030】
また、端末局1〜nからの発令の依頼を受け付けて登録する一斉指令台(依頼一斉指令台)としては、任意のものが用いられてもよく、例えば、1つ以上の一斉指令台が予め固定的に設定されてもよく、或いは、端末局1〜nが発令を依頼するときに任意の一斉指令台を選択するような構成が用いられてもよい。また、依頼一斉指令台としては、例えば、通常の一斉指令台に依頼に関する機能が設けられてもよく、或いは、専用のものが設けられてもよい。
【0031】
更に詳しく説明する。
図2には、一斉指令制御装置1の構成例を示してある。
本例の一斉指令制御装置1は、一斉指令送信部(一斉指令実行部)31、制御部32、指令先比較部33、一斉指令受付部34、一斉指令予約部35を備えている。
一斉指令受付部34は、複数の一斉指令台11−1〜11−mから一斉指令を受け付ける。
【0032】
指令先比較部33は、一斉指令を実行処理中に一斉指令受付部34が他の一斉指令を受け付けた場合に、新たに受け付けた一斉指令の対象局(宛先)と実行処理中の一斉指令の対象局(宛先)とを比較して、一致する対象局があるか否かを判断する。
一斉指令予約部35は、指令先比較部33による比較の結果、一致する対象局があると判断した場合には、一斉指令受付部34が受け付けた一斉指令を、一斉指令台のID、一斉指令受付部34による受付時間とともに、予約登録する。
【0033】
ここで、複数の一斉指令台11−1〜11−mについて一斉指令の優先順位が設けられている場合には、例えば、その情報が一斉指令予約部35により参照することが可能なメモリに記憶されており、一斉指令予約部35は、複数の一斉指令を予約登録するときに、一斉指令を受け付けた時間(時刻)の順ではなく、優先順位の順に実行されるように予約登録する。
なお、優先順位に関する制御は、他の処理部(例えば、制御部32など)により行われてもよい。
【0034】
一斉指令送信部31は、制御部32により制御され、ネットワーク3を介して一斉指令の信号(本例では、一斉指令起動信号)を回線接続制御装置2−1〜2−nへ送信して、一斉指令を実行する。
制御部32は、一斉指令受付部34が一斉指令を受け付けた場合や一斉指令予約部35に予約された一斉指令が存在する場合には、それらの一斉指令を実行させる。また、制御部32は、一斉指令受付部34、指令先比較部33、一斉指令予約部35、一斉指令送信部31の処理を制御する。
【0035】
図3には、一斉指令制御装置1により行われる処理の手順の一例を示してある。
一斉指令受付部34が一斉指令を受信すると(ステップS1)、制御部32は、現在において一斉指令処理中であるか否かを判断する(ステップS2)。
この判断の結果、現在において一斉指令処理中ではないと制御部32が判断した場合には、一斉指令送信部31が、新たに受信した一斉指令を実行して(ステップS3)、本処理を終了する。
【0036】
一方、上記の判断の結果、現在において一斉指令処理中であると制御部32が判断した場合には、指令先比較部33が、現在において一斉指令処理中の指令先と、新たに受信した一斉指令の指令先とを比較して、一致する指令先(指令対象局)が存在するか否かを判断する(ステップS4)。
この判断の結果、一致する指令対象局が存在しないと指令先比較部33が判断した場合には、一斉指令送信部31が、現在において処理中の一斉指令と並行して、新たに受信した一斉指令を実行して(ステップS3)、本処理を終了する。
【0037】
一方、上記の判断の結果、一致する指令対象局が存在すると指令先比較部33が判断した場合には、例えば制御部32による制御により、受信した一斉指令を、指令元の一斉指令台のID及び受付時間とともに、一斉指令予約部35に登録して(ステップS5)、本処理を終了する。
【0038】
以上のように、本例の通信システムでは、統制局の一斉指令台11−1〜11−mから端末局1〜nを選択的に一部指定して或いは全ての端末局1〜nを指定して一括で、情報(例えば、音声、FAX、データ)を送信する一斉指令を実行することができるネットワークシステムにおいて、一斉指令の発令中に新たに一斉指令の予約登録を行うことにより、次の一斉指令までの時間を短縮することができる。また、本例の通信システムでは、発令中の対象局(本例では、端末局)とは異なった対象局への一斉指令を、即座に、発令することができる。
【0039】
具体例として、本例の通信システムでは、複数の端末局1〜nに対する一斉指令を行う複数の指令装置(本例では、一斉指令台11−1〜11−m)と、複数の指令装置からの一斉指令に基づいて一斉指令を行う制御装置(本例では、一斉指令制御装置1)を備え、制御装置は、一の指令装置からの一斉指令中に、他の指令装置から一斉指令の依頼があると、当該依頼があった一斉指令の送信先(本例では、指令対象局)と一斉指令中の一斉指令の送信先とを比較し、これらの一部若しくは全部が一致すると当該依頼があった一斉指令を予約として受け付け、一方、これらの全部が不一致であると当該依頼があった一斉指令を実行する。
【0040】
また、本例の通信システムでは、端末局1〜nから統制局を介して、一斉指令を発令することができる。
また、本例の通信システムでは、複数の一斉指令台11−1〜11−mに一斉指令の優先順位が設けられてもよい。
また、本例の通信システムは、例えば、複数の端末局1〜nと、端末局1〜nを統括する統制局から構成され、端末局1〜nの間及び端末局1〜nと統制局との間は地上回線(無線回線若しくは有線回線)、衛星回線又は地上・衛星の両回線で接続されるような防災行政通信ネットワークシステムなどに適用することができる。
【0041】
このように、本例の通信システムでは、一斉指令の連続発令方式として、発令中の一斉指令中においても、発令していない一斉指令台から新たな一斉指令を予約登録することが可能である。具体的には、発令中の一斉指令と、新たに受信した一斉指令(なお、一斉指令を新たに受信したときにはまず予約登録する構成としてもよく、この場合には、予約登録した一斉指令)とで、対象局を比較し、同一の対象局が無ければ、同時発令を可能とする。同時発令する場合には、受令側の回線接続制御装置2−1〜2−nが受信すべきデータを認識させるために、一斉指令台11−1〜11−m毎に付加したIDを一斉指令の信号と一緒に送信し、これにより、必要なデータを認識させる。
【0042】
この場合、一斉指令台11−1〜11−mでは、他台が発令している旨を表示するモニタ画面から初期画面へ戻り、発令を可能とする。そして、一斉指令制御装置1が、新たに発令された一斉指令の内容を解析し、同一の指令対象局が無ければ、複数の一斉指令を発令し、一方、指令対象局が重なれば、後から発令された一斉指令を予約登録し、前の一斉指令が終了した後に、即座に発令する。
【0043】
また、本例の通信システムでは、端末局1〜nのPC(例えば、PC21−1〜21−n)からの一斉指令内容を統制局の一斉指令台11−1〜11−mに登録することにより、自動で(例えば、他の人に依頼せずに)、端末局1〜nから一斉指令の依頼を行うことができる。この場合、端末局1〜1nのPCから一斉の種別データや対象局を、統制局の一斉指令台11−1〜11−mに登録し、自動で一斉指令を発令する。
【0044】
従って、本例の通信システムでは、他台の一斉指令台が発令中においても、一斉指令の発令予約登録が可能となり、例えば、発令中の一斉指令の終了を待たずに登録(或いは、実行)することができるため、次の発令までの時間を短縮することができる。また、本例の通信システムでは、一斉指令台11−1〜11−mに優先順位を設けることにより、緊急の一斉指令を優先的に発令することができる。また、本例の通信システムでは、端末局1〜nからの依頼による一斉指令を、代行者を介さずに自動で、発令することができる。
【0045】
なお、本例の通信システムでは、一斉指令台11−1〜11−m(指令装置の一例)は、一斉指令発手段の機能、一斉指令依頼受け付け手段の機能を有しており、また、端末局1〜nは、一斉指令依頼発手段の機能を有している。
また、本例の通信システムでは、一斉指令制御装置1(制御装置の一例)は、例えば一斉指令受付部34の機能から構成される一斉指令受け付け手段の機能、例えば一斉指令送信部31や制御部32や指令先比較部33や一斉指令予約部35の機能から構成される一斉指令処理手段の機能、例えばメモリの機能から構成される優先順位記憶手段の機能を有している。
【0046】
ここで、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々なシステムや装置として提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【符号の説明】
【0047】
1・・一斉指令制御装置、 2−1〜2−n・・回線接続制御装置、 3・・ネットワーク、 11−1〜11−m・・一斉指令台、 12−1〜12−m・・音声一斉発令用マイク、 13−1〜13−m・・一斉指令発令用FAX、 21−1〜21−n・・データ一斉受令用PC、 22−1〜22−n・・音声一斉受令用電話機、 23−1〜23−n・・一斉指令受令用FAX、 31・・一斉指令送信部、 32・・制御部、 33・・指令先比較部、 34・・一斉指令受付部、 35・・一斉指令予約部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の指令装置と、制御装置と、複数の端末局を有する通信システムであって、
前記指令装置は、前記端末局に対する一斉指令を発する一斉指令発手段を備え、
前記制御装置は、前記指令装置により発せられた一斉指令を受け付ける一斉指令受け付け手段と、
前記一斉指令受け付け手段により受け付けられた一斉指令に基づいて一斉指令を実行し、この場合に、一の指令装置からの一斉指令の実行中に他の指令装置からの一斉指令が前記一斉指令受け付け手段により受け付けられたときには、当該一の指令装置からの一斉指令の対象となる端末局と当該他の指令装置からの一斉指令の対象となる端末局とを比較し、これらに重複があると判断したときには当該他の指令装置からの一斉指令を予約する一方、これらに重複が無いと判断したときには当該他の指令装置からの一斉指令を実行する一斉指令処理手段と、を備えた、
ことを特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−70071(P2012−70071A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211042(P2010−211042)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】