説明

通信ネットワークにおいてサービスを統合管理および提供する方法

本発明は、サービスを統合管理および提供する方法であって、複数種類のサービスについて管理領域を作成し、かつこの管理領域を複数レベルの管理サブ領域に分割し、管理サブ領域の個々のレベルに対して対応する基本構成情報を結び付け、かつユーザーの提供する管理領域番号に従って対応するサービスを割り当てるステップを備える方法を提供する。本発明の方法によって、より高いサービスの統合レベルおよび良好な操作性が達成され、かつ画一的な外部インターフェースがユーザーに提供できる。従来技術における、サービス組織および管理の無秩序化の問題を有効に克服でき、サービス構成の効率が向上され、かつサービス構成における複雑さが低減される。
【代表図】 図1


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、通信ネットワークにおけるサービスの提供および管理に関し、より詳しくは、通信ネットワークにおいて複数種類のサービスを統合管理および提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
今日の電気通信分野において、電気通信サービスのネットワーク管理が、次第に、種々のネットワーク管理の重要な部分となってきている。ネットワーク管理システムによって、サービス管理の機能目的が提供され、それは、電気通信サービスを提供および管理する責任者から負担を大きく取り除いている。
【0003】
電気通信サービスの種類が多くなるにつれ、複数種類のサービスの統合提供および管理を、いかにして明瞭に、簡潔にかつ効率よく整理するのかが、ネットワーク管理システムのサービス管理において解決すべき緊急の課題となってくる。しかしながら、現存するほとんどのネットワーク管理システムにおいては、統合されたサービスを提供および管理する方法がない。現存するネットワーク管理システムにおいて通常用いられるのは、相互に分離される複数種類のサービスを提供および管理するためのモードである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのようなモードにおいて、様々な種類の電気通信サービスの提供および管理は、相互に分離されていて、それらの間に何の関連もない。ネットワーク管理システムのインターフェースの点からみて、サービスの提供および管理のシステムは複数存在する(各サービスの種類は、それ自体の独立したサービスシステムを有する)。ユーザーにとっては、ネットワーク管理システムのサービス管理への画一的なエントリーがない。さらには、各サービス提供および管理システムについて、かつサービスの提供および管理の各操作についてさえも、装置のパラメータの基本構成を繰り返すことが必要である。これによって、ユーザーには大きな不便がもたらされ、結果としてサービス組織の階層が無秩序となり分散してしまう。
【0005】
そのような問題は、ネットワーク管理システムにおいて、サービスの種類が少ししかなければ深刻なものではないが、ネットワーク管理システムにより多くのサービスの種類があるとき、重大なものとなる。とりわけ、より高度な統合スケールで統合されたネットワーク管理システムの中には、そのような問題がより深刻になるものもある。
【0006】
特に、相互に分離された複数サービスの種類の提供および管理についての解決策には、以下のような欠点がある。
【0007】
1.複数種類のサービスが統合されず、かつ画一的なユーザーインターフェースがない。
【0008】
2.基本装置および環境パラメータによっては、構成を、サービスの各種類について、また、各操作についてさえも、繰り返なければならないものがあって、結果としてユーザーの効率を下げている。
【0009】
3.サービスの階層に区切りがなく、かつサービス組織が混乱していて実質的に無秩序の状態にある。
【0010】
4.サービスが統合されてないので、操作性が低く、機能目的からみると、コマンドラインのように、ホストソフトウエアによっては、違いがほとんど現れていないものがある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そうして、従来技術による、相互に分離される複数サービスの種類を提供および管理する技術において、前述の欠点を克服するために、本発明によって、新しく、サービスを統合管理および提供する方法が提供され、それによって、大規模で統合されたネットワーク管理システムにおける複数種類のサービスを画一的に、集中して管理するための解決策が提供される。
【0012】
本発明による、サービスを統合管理および提供する方法は、複数種類のサービスについて管理領域を作成し、この管理領域を複数レベルの管理サブ領域に分割し、対応する基本構成情報を管理サブ領域の個々のレベルに結び付け、ユーザーの提供する管理領域番号に従って対応するサービスを割り当てるステップを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以下の有益な効果を有する。
【0014】
1.本発明の解決策において、サービス構造がツリー構造に従って分割されているので、管理が明瞭に行えて、それゆえに簡単である。従って、より高いサービスの統合レベルおよび良好な操作性が達成できる。
【0015】
2.本発明の前述のような利点をもって、複数種類のサービスの統合を任意の方法で行うことができ、ユーザーには画一的な外部インターフェースを提供できる。従って、従来技術におけるサービス組織および管理の無秩序化という問題を有効に克服することができる。
【0016】
本発明によってまた、基本構成情報の単一の構成および結び付けを実施し、従って、サービス構成効率が向上し、サービス構成における複雑さが低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施例において、管理領域は、多数経路を持つ木(枝分かれ)構造であり、好ましくは二進法のツリー構造である。そのような場合、管理領域は、以下のステップを通して複数のレベルへと分割される。すなわち、管理領域を、地理的な要因に従ってレベル1の管理サブ領域に分割し、レベル1のサブ領域を、電気通信サービス要因に従ってレベル2の管理サブ領域へと分割する。管理サブ領域の個々のレベルに結び付けられる基本構成情報は、レベル1の管理サブ領域に対してサービス管理の地理的な構成情報を結び付け、レベル2の管理サブ領域に対して個々のサービスの種類の構成情報を結び付けることである。構成情報とは、ネットワーキングの環境、プロトコルの種類またはネットワーク区分の割り当てなどである。
【0018】
本発明の別の実施例において、管理領域が複数レベルの管理サブ領域へと分割されるステップにはさらに、最終レベルの管理サブ領域と特定のサービス対象との間に相関関係を確立し、その特定のサービス対象の属する管理サブ領域の個々のレベルにおいて、その特定のサービス対象が公共の構成情報を引き継ぐステップが備わる。
【実施例1】
【0019】
(好ましい実施例の詳細な説明)
【0020】
本発明は、センターのようなサービス管理領域を備える統合されたサービス提供および管理モードを使用する。図1は、本発明の実施例によるサービス管理領域の構造を示す概略図である。図1に示されるサービス管理領域は、多数経路のツリー構造のものである。その木の根ノードは、サービス管理システムの画一的なエントリーポイントであり、複数レベルのサービス管理領域の構成は、必要ならば、その根ノードの下に実施することができる。論理的には、複数経路のツリー構造は、特定のサービス要件に従って無限に拡張できる。しかしながら、実際のアプリケーションにおいては2レベルまたは3レベルのツリー構造が推奨される。
【0021】
本発明のそのような解決策において、画一的な外部インターフェースで、内部の分類された処理を行うという原則が用いられ、従来技術においての、ネットワーク管理システムにはサービス管理に画一的なエントリーがないという欠点を克服する。すなわち、前述のサービス管理領域の多数経路のツリー構造において、根ノードが画一的な外部インターフェースとして用いられる。このように、サービスを提供する必要のあるユーザーの観点からみて、ユーザーインターフェースが一つしかなく、すなわち、全ネットワーク管理システムにおいて、サービス提供および管理へのエントリーが一つしかない。
【0022】
実際のサービス処理の観点からみて、多数経路のツリー構造化されたサービス管理領域において、階層的にかつサービスの種類に従ってサービスが処理される。
【0023】
好ましい実施例において、複数経路のツリー構造は、二進法のツリー構造である。この二進法のツリー構造における根ノードの下では、レベル1のサービス管理領域が地理的な要因で分割されており、異なる地域についてのレベル1のサービス管理領域がそのような第一のレベル分割の後に形成され、そしてレベル1の管理領域は、各々電気通信サービス要因に従って分割でき、異なるサービスの種類に対するレベル2のサービス管理領域が、第二のレベル分割の後にレベル1の管理領域に基づいて形成される。
【0024】
例えば、管理領域の簡単な例は、以下のとおりである。
|・・・・広東省
|・・・・広東市
サービスA
デバイス1
デバイス2
デバイス3
サービスB
デバイス1
デバイス2
デバイス3
サービスC
デバイス1
デバイス2
【0025】
この例において、「広東省」および「広東市」は、地理的要因で分割されたレベル1のサービス管理領域に属する。加えて、レベル1のサービス管理領域は、さらに地理的な要因で層に分割され、例えば、「広東市」(もちろん、他の市や国も含まれる)は「広東省」に属する。「サービスA」、「サービスB」および「サービスC」は、電気通信サービスの種類で分割されたレベル2の管理領域に属し、一方「デバイス1」、「デバイス2」その他は、そのようなサービスの種類のもとで現在管理可能なデバイスを称する。
【0026】
電気通信サービス要因において、電気通信サービスの分類は、その大きな形態による。電気通信サービスは、異なったやり方で分類される。たとえば、電気通信サービスは、音声サービス、マルチメディアサービス、データサービス等として分類され、またはタイプAデバイスサービス、タイプBデバイスサービス等のように分類される。例えば、電気通信サービスは、以下のように分類できる。端子アクセスデバイスに従っての、IAD(統合されたアクセスデバイス)サービス、UMG(ユニバーサルメディアゲートウエイ)サービス、AMG(アクセスメディアゲートウエイ)サービス等である。
【0027】
もちろん、サービス管理領域は、他のやり方で分割されてもよい。例えば、電気通信サービスの種類は、第一レベルの分割の基準として用いられ、そして第二レベルの分割が、地理的な要因に従って行われても良い。もちろん、分割の基準もまた、実用上の要件に従って決定できる。換言すれば、分割の基準は任意に決定し、かつ組み合わせることができる。地理的な要因または電気通信サービスの種類とは異なる何らかの別の要因に従って分割が行われても良い。前述した地理的な要因および電気通信サービスの種類の組み合わせの分割基準に加えて、ユーザーグループや番号区分などのような他の分割基準が数多くある。
【0028】
レベル2のサービス管理領域もまた、ネットワーキング環境のような他の要因で分割される。そうして、本発明において記述されているサービス管理領域の多数経路のツリー構造は、良好な階層を有する。それによって、異なるサービスの種類を画一的に、集中して管理できるようになり、また、層が相互に関連し合うので、検索およびメンテナンスが容易となり、さらにはこのモデルは高度に拡張可能である。そのモデルの木の対応する位置にサブノードを作成することで、管理のために、どのような新しい電機通信サービスをも含めることができる。
【0029】
本発明において、サービス構成において複雑さを低減し、サービス構成の効率を向上させるために、サービスを提供および管理するための基本構成情報が規格化され、かつ単一構造の基準に基づいてサービス管理領域でシールドされている。すなわち、基本構成情報が、サービス管理領域において対応するノードに結合され、そしてユーザーは、基本構成情報の特定の内容を知る必要もなければ、基本構成情報を繰り返し構成する必要もない。実際的なサービス提供および管理の間、ユーザーが知っておく必要があるのは、対応するサービス管理領域のコード(名前であっても良い)のみであり、そのコードに対応するサービス管理領域の全ての基本構成情報は、直接得ることができる。このように、実際のサービス提供および管理において大きく複雑さを低減することができ、サービス構成の効率を向上させることができる。
【0030】
前記例において、結び付けられた基本構成情報は、例えば、地理的なノードが地域と関連する情報に結び付けられ、電気通信サービスノードが、電気通信サービス(例えば、ネットワーキング環境、プロトコルの種類またはネットワーク区分の割り当てその他)と関連する情報と結び付けられ、同じレベルのノードについて基本構成情報の量および種類が同じであり、例えば、同じレベルの各電気通信サービスノードが、ネットワーキングプロトコル、送信基準、および情報の特定の内容は異なっているが、ネットワーキングデバイスグループの情報と結び付けられる。
【0031】
換言すれば、前述のような二進法のツリー構造におけるサービス管理領域において、サービス提供および管理の基本構成情報はさらに束縛される。すなわち、サービス管理のための地理的な構成情報が、レベル1のサービス管理領域(すなわち、地理的な要因で分割されたサービス管理領域)を備えるトーンに結び付けられる。加えて、特定のサービスの種類の各々の構成情報が、レベル2のサービス管理領域(すなわち、電気通信サービス要因で分割されたサービス管理領域)を備えるトーンに結び付けられる。
【0032】
そこで、ネットワーキング環境は、サービスが提供されるネットワーキング環境を称する。例えば、サービスの提供に中央デバイスAが必要であるならば、端子デバイスBおよびC、ひいてはA、BおよびCが本件のサービス提供のためのネットワーキング環境を構築する。
【0033】
プロトコルの種類は、例えば、ネットワーキング環境において端子デバイスと中央デバイスとの間の通信に用いられるプロトコルが、MGCP(メディアゲートウエイ制御プロトコル)であるか、H.248プロトコル等であるかを指示する。もちろん、SIP(マルチメディアセッション、またはコールを確立し、変更し、かつ終結させるアプリケーション層のプロトコルである、セッションイニシエーションプロトコル)、V5プロトコル等のような他のプロトコルもまた含まれる。
【0034】
ネットワーク区分の割り当ては、現存するネットワークIPリソースの割り当てと称せられる。例えば、10.22.1.0のようなネットワーク区分は、ネットワーク計画の実際の要件に従って構成でき、10.22.1.1乃至10.22.1.100がサービスAに割り当てられ、かつ10.22.1.101乃至10.22.1.254がサービスBに割り当てられる。
【0035】
そうして、ユーザーが実際のサービス提供および管理の間にする必要があるのは、対応するサービス管理領域のコードの提供だけであって、基本構成情報の量が繰り返される構成は省略でき、それによって、サービスを提供および管理する効率が大きく向上し、かつユーザーのサービス構成における複雑さが低減できる。
【0036】
本発明の別の実施例において、前述の多数経路のツリー構造を拡張するような、特定のサービスをさらに考慮できる。すなわち、特定のサービス対象を、サービス管理領域における最終レベルのノードの下に付け加えることができ、例えば、端子アクセスデバイスノードを、最終レベルのノードの下に付け加えることができる。さらには、端子ユーザーノードもまた、個々の端子デバイスノードの下に付け加えることができる。前述したのと同様に、親ノードは、各々公共の構成属性に結び付けられ、かつ子ノード(デバイスノードまたは端子ユーザーノード)は各々、この公共の構成属性をその対応する親ノードから引継ぎ、それによって不必要な構成の繰り返しを避けることができる。さらには、そのようなやり方において、根ノードから最終レベルの子ノードまでの全サービスの提供および管理の階層は、非常に明確で管理しやすい。
【0037】
前述した本発明の実施例は、当業者が本発明をより良く理解するためのものであって、本発明を限定するためのものではない。従って、本発明の精神から逸脱することなく、本発明の解決策を変更するものはいかなるものも本発明の特許請求の範囲で定義される範囲内のものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例によるサービス管理領域の構造を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービスを統合管理および提供する方法であって、
複数種類のサービスについて管理領域を作成し、かつこの管理領域を複数レベルの管理サブ領域に分割し、
管理サブ領域の個々のレベルに対して対応する基本構成情報を結び付け、かつ
ユーザーの提供する管理領域番号に従って対応するサービスを割り当てる
ステップを備える方法。
【請求項2】
管理領域が多数経路のツリー構造である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
多数経路のツリー構造が二進法のツリー構造である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
管理領域を複数レベルの管理サブ領域に分割するステップが、
管理領域を、地理的な要因に従ってレベル1の管理サブ領域に分割し、
レベル1の管理サブ領域を、電気通信サービス要因に従ってレベル2の管理サブ領域に分割する
ステップを備える請求項1に記載の方法。
【請求項5】
管理サブ領域の個々のレベルに対して対応する基本構成情報を結び付けるステップが、
レベル1の管理サブ領域に対してサービス管理の地理的な構成情報を結び付け、
レベル2の管理サブ領域に対して個々のサービスの種類の構成情報を結び付ける
ステップを備える請求項1に記載の方法。
【請求項6】
構成情報が、ネットワーキング環境、プロトコルの種類およびネットワーク区分の割り当てである請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ユーザーの提供する管理領域番号に従って対応するサービスを割り当てるステップが、管理領域番号に対応する管理領域の基本構成情報をユーザーに送るステップを備える前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
管理領域が複数レベルの管理サブ領域に分割されるステップがさらに、
最終レベルの管理サブ領域と特定のサービス対象との間の相関関係を確立し、その特定のサービス対象は、その特定のサービス対象の属する管理サブ領域の個々のレベルにおける公共の構成情報を引き継ぐ
ステップを備える請求項7に記載の方法。
【請求項9】
最終レベルの管理サブ領域と特定のサービス対象との間に相関関係を確立するステップが、
最終レベルサービス管理領域ノードの下に端子アクセスデバイスノードを確立し、
個々の端子デバイスノードの下に端子ユーザーノードを付け加え、
端子ユーザーノードに対して対応する公共の構成属性を結び付ける
ステップを備える請求項8に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−502063(P2007−502063A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522869(P2006−522869)
【出願日】平成16年4月21日(2004.4.21)
【国際出願番号】PCT/CN2004/000381
【国際公開番号】WO2005/018147
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(504277388)▲ホア▼▲ウェイ▼技術有限公司 (220)
【Fターム(参考)】