説明

通信ネットワーク上で送信される画像の正当性を確定するためのシステム及び方法

通信ネットワーク上で送信される画像の正当性を確定するための方法とシステムを提供する。本方法は、第1の通信ネットワークを介してサーバで画像データを受信することを含む。画像データは、メモリに格納される。検証データは通信装置から受信され、次いで本検証データはあらかじめ格納された検証データと比較される。これらが一致すれば、その画像の正当性が確定される。上記通信ネットワークは移動通信ネットワークであり、上記通信装置はデジタルカメラを含む移動通信装置である。ある例では、個人識別番号の送信元であった通信装置の識別が用いられ、上記受信される通信装置の識別及び受信される個人識別番号があらかじめ格納された上記通信装置の識別及び個人識別番号と比較される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワーク上で送信される画像の正当性を確定するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
文書の複製が電子的に格納されることが必要とされる複数のアプリケーションが存在する。しばしば、上記複製が信用できるものであることを保証する必要があり、従って、上記複製は正当性を確定(ベリファイ、verify)される必要がある。
【0003】
南アフリカのコンテキストにおける一例は、金融情報センター法(FICA(Financial Intelligence Centre Act))に関連する。この法律の観点から、所定の金融の及び他の取引(トランザクション)は、金融機関が、例えば取引の当事者のうちの少なくとも一方から識別文書の複製及び住所の証明を取得しなければ処理され得ない。
【0004】
通常、これは、関連する当事者が物理的に金融機関に出向いてオリジナルの文書を提供することが必要とされ、そして上記文書が金融機関により複製され、これにより検証されることを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、通信ネットワーク上で送信される画像の正当性を確定することにより、文書の複製を遠隔的に入手できるようにする改善されたシステム及び方法を提供することによって、これに対処しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、通信ネットワーク上で送信される画像の正当性を確定する方法が提供されていて、本方法は、
サーバにおいて、第1の通信ネットワークを介して画像データを受信することと、
上記画像データをメモリに格納することと、
通信装置から検証データを受信することと、
上記検証データをあらかじめ格納された検証データと比較し、これらが一致すれば上記画像の正当性を確定することを含む。
【0007】
ある例では、本方法は、第2の通信ネットワーク上で、通信装置に画像の正当性を確定する要求を送信することを含んでもよい。
【0008】
通信装置から受信されるデータは、第2の通信ネットワークを介して受信されてもよい。
【0009】
上記第1の通信ネットワークと上記第2の通信ネットワークとは、同一の通信ネットワークであってもよい。
【0010】
第2の通信ネットワークは、通信装置が移動通信装置である移動通信ネットワークであってもよい。
【0011】
ある実施形態の例では、画像データは移動通信装置上のメモリに格納され、上記移動通信装置のデジタルカメラを用いて捕捉された画像を表す。
【0012】
検証データは、個人識別番号であってもよい。
【0013】
本方法は、通信装置の識別を個人識別番号と共にメモリに格納することによって、使用のために通信装置を登録することを含んでもよい。
【0014】
この実施形態の例では、受信される検証データは、個人識別番号を送信した通信装置の識別を含み、上記通信装置の受信される識別及び受信される個人識別番号があらかじめ格納された上記通信装置の識別及び個人識別番号と比較される。
【0015】
本発明によれば、通信ネットワーク上で送信される画像の正当性を確定するためのシステムがさらに提供されていて、本システムは、
第1の通信ネットワークを介してサーバで画像データを受信するための通信モジュールと、
上記画像データを格納するためのメモリと、
上記通信装置から検証データを受信し、上記検証データをあらかじめ格納された検証データと比較し、これらが一致すれば上記画像の正当性を確定する検証モジュールとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明が実施されるシステムを示すブロック図である。
【図2】通信ネットワーク上で送信される画像の正当性を確定する方法例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上述したように、下記のシステム及び方法は多くのアプリケーションを有する。例示を目的として、本システム及び方法を金融情報センター法(FICA)のコンテキストにおいて説明する。この法律に関連して、上述したある種の取引は、その発生より前に所定の文書の複製を取得して正当性を確定する必要がある。
【0018】
これまで、これは、取引の当事者が物理的にオリジナルの文書を例えば金融機関へ持ち込む必要があり、文書はそこで複製され、その複製が正当性を確定され得ることを意味していた。
【0019】
下記のシステム及び方法は、上記当事者へ送られるエージェントが、要求される文書のデジタルの複製を入手しかつこれらの正当性を確定することを許容する。
【0020】
図1を参照すると、通信装置10を有するエージェントは、画像を入手しかつ正当性を確定するために用いられる。
【0021】
ある例では、通信装置10は、上記エージェントが移動体であること、かつサーバ12から遠隔的に画像を捕捉し、次に上記画像を通信ネットワーク14を介してサーバ12へ転送することを許容する移動通信装置である。
【0022】
移動通信装置から送信される画像データはサーバ12で受信され、データベース16の形式である関連のメモリに格納される。
【0023】
他の例では、画像データは、インターネット等の別の通信ネットワークを介してサーバ12に送信されてもよい。例えば、エージェントは、デジタルカメラを用いて画像を捕捉し、これらの画像をコンピュータ上へダウンロードしてもよく、これらの画像は、後にコンピュータにおいてインターネット又は例えば他の任意の種類のローカルエリアネットワーク又はワイドエリアネットワークを介してサーバ12に送信される。
【0024】
何れにしても、サーバ12は、第2の通信ネットワーク上で、通信装置に上記画像の正当性を確定する要求を送信することを開始する。上述したように、説明されているこの実施形態では、通信装置は移動通信装置であり、このため、送信される要求は、ショートメッセージサービス(SMS(Short Message Service))又はマルチメディアメッセージサービス(MMS(Multimedia Messaging Service))メッセージの形式をとってもよい。
【0025】
要求は移動通信装置10において受信され、エージェントは移動通信装置10に検証データを入力するように促され、上記検証データは、次にサーバ12に送信される。
【0026】
ある代替の実施形態では、エージェントは、そうするように要求されることなく、又はユーザの移動通信装置又はコンピュータ上でローカルに実行されているアプリケーションによってそうするように要求された後に、検証データをサーバ12に送信してもよい。
【0027】
何れにしても、検証データは、典型的には個人識別番号(PIN(personal identification number))の形式をとる。
【0028】
受信される個人識別番号は、あらかじめ格納されている個人識別番号と比較され、これらが一致すれば、画像の正当性が確定される。
【0029】
ある実施形態の例では、画像データは移動通信装置10上のメモリに格納され、移動通信装置10のデジタルカメラを用いて捕捉される画像を表す。
【0030】
これは、エージェントに、正当性を確認することを必要とする文書の画像を捕捉することのできるその移動通信装置10を単に追加するだけという多大な柔軟性を与え、画像は、サーバ12に送信される前に移動通信装置10のメモリにローカルに格納される。
【0031】
別の実施形態の例では、本方法は、通信装置の識別を上記個人識別番号と共にメモリに格納することによって、使用のために通信装置を登録することを含む。
【0032】
この実施形態の例では、受信される検証データは、個人識別番号を送信した通信装置の識別を含み、受信される通信装置の識別及び受信される個人識別番号は、あらかじめ格納された上記通信装置の識別及び個人識別番号と比較される。
【0033】
エージェントの最初の登録の例は下記の通りである。
・サーバは、エージェントをロードする命令を受信する。
・ユーザは、サーバ上でエージェントの通信装置のMSISDNを含むエージェントの詳細事項を全て捕捉する。
・エージェントは、エージェントがロードされたことを知らせるSMSを受信する。
・エージェントは、SMS内のURLを選択してエージェントの移動通信装置上へのアプリケーションのダウンロードを開始する。
【0034】
エージェントの詳細事項が変われば、処理は下記のようになる。
・サーバシステムは、エージェントのMSISDNが変更されたという通知を受信する。
・次にサーバは、新しいMSISDNをメモリに格納する。
・エージェントは、エージェントの新しいMSISDNがロードされたことをエージェントに知らせるSMSを受信する。
・エージェントはSMS内のURLを選択して、エージェントの移動通信装置上へのアプリケーションのダウンロードを開始する。
【0035】
ある典型的なアプリケーションは、移動通信装置を捕捉媒体として利用して下記のように起動して動作する。
・エージェントは、エージェントの移動通信装置上にアプリケーションを開く。
・収集されるべきデータのタイプの選択に利用可能な様々な検証オプションを提示するメニューが表示される。
・エージェントは、適用可能なオプションを選択する。
・記入されなければならない様々な情報フィールドを提示する適用可能なメニューが表示される。
・エージェントは、移動通信装置のデジタルカメラを用いて、カスタマの写真、そのIDブック及び妥当な場合は住所証明書を撮影する。
・エージェントは、妥当な場合は後見人の詳細事項を捕捉する。
・フィールドエージェントは次に、データの提出時に上述の詳細事項を確認する。
・移動通信装置のアプリケーションは、サーバシステムからのエージェント認証を要求する。従って、データ(例えば、写真、氏名及び住所の詳細事項。)が受信されると、バックエンドシステムはPINの入力要求を開始する。このようにして、データを送信した装置のみならずその装置を動作させている個人が適正に識別される。
・エージェントは、そのpin番号を入力することによって、アシストされる登録及び検証を認証する。
・サーバはデータを受信してその取引の正当性を確定するか、又はデータの受信時にデータを別のサーバに転送してその取引の正当性を確定させる。
・サーバはデータを格納し、取引の成功を確認する。エージェントに成功メッセージが表示される。
【0036】
インターネットが用いられる事例では、下記が行われる。
・エージェントは、ウェブアプリケーション上へログする。
・利用可能な選択オプションを提示するメニューが表示される。
・エージェントは、適用可能なオプションを選択する。
・記入されなければならない様々なオプションを提示する適用可能なメニューが表示される。
・エージェントは、適用可能なカスタマ詳細事項を捕捉する。
・エージェントは、移動通信装置のデジタルカメラを用いて、カスタマの写真、そのIDブック及び妥当な場合は住所証明書を撮影する。
・エージェントは、バンキング処理に必要とされれば、個人の携帯電話機の詳細事項を捕捉する。
・エージェントは次に、データの提出時に上述の詳細事項を確認する。
・ウェブアプリケーションは、バックエンドシステムからのエージェント認証を要求する。
・エージェントは、エージェントの移動通信装置上でそのPINを捕捉することによって、アシストされた登録を認証する。
・ウェブアプリケーションは、取引が認証されたという通知を受信し、取引のデータ及び画像をサーバに送信する。
・サーバはデータを格納し、取引の成功を確認する。
・エージェントに成功メッセージが、次の取引の捕捉準備が整ったメインメニューと共に表示される。
【0037】
サーバ12は、上述の方法論を実行するために複数のモジュールを含んでもよいことは認識されるであろう。
【0038】
例えば、通信モジュール18は、第1の通信ネットワークを介してサーバ12で画像データを受信するためのものである。
【0039】
検証モジュール20は、通信装置から検証データを受信し、上記検証データをあらかじめ格納された検証データと比較し、これらが一致すれば画像の正当性を確定するためのものである。
【0040】
これらのモジュールは、機械により実行されると上記機械に上述した任意の方法を実行させる命令を具現する機械によって読取り可能な媒体によって実施されてもよい。
【0041】
本発明の実施形態がこのようなアーキテクチャに限定されず、分散又はピアツーピアアーキテクチャシステムにおいても十分に等しくアプリケーションを見出し得ることは認識されるであろう。従って、記述したモジュールを、1つ又は複数の機関により動作される1つ又は複数のサーバ上に設けることも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワーク上で送信される画像の正当性を確定する方法であって、
サーバにおいて、第1の通信ネットワークを介して画像データを受信することと、
上記画像データをメモリに格納することと、
通信装置から検証データを受信することと、
上記検証データをあらかじめ格納された検証データと比較し、これらが一致すれば上記画像の正当性を確定することを含む方法。
【請求項2】
第2の通信ネットワーク上で、通信装置に上記画像の正当性を確定する要求を送信することをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記通信装置から受信されるデータは上記第2の通信ネットワークを介して受信される請求項2記載の方法。
【請求項4】
上記第1の通信ネットワークと上記第2の通信ネットワークとは同一の通信ネットワークである請求項2又は3記載の方法。
【請求項5】
上記通信ネットワークは移動通信ネットワークであり、上記通信装置は移動通信装置である請求項4記載の方法。
【請求項6】
上記画像データは上記移動通信装置上のメモリに格納され、上記移動通信装置のデジタルカメラを用いて捕捉された画像を表す請求項5記載の方法。
【請求項7】
上記検証データは個人識別番号である請求項1乃至6のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
上記通信装置の識別を上記個人識別番号と共にメモリに格納することによって、使用のために通信装置を登録することをさらに含む請求項1乃至7のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
上記受信される検証データは、上記個人識別番号を送信した通信装置の識別を含み、上記受信される通信装置の識別及び上記受信される個人識別番号は、あらかじめ格納された上記通信装置の識別及び個人識別番号と比較される請求項1乃至8のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
通信ネットワーク上で送信される画像の正当性を確定するためのシステムであって、
サーバにおいて、第1の通信ネットワークを介して画像データを受信するための通信モジュールと、
上記画像データを格納するためのメモリと、
通信装置から検証データを受信し、上記検証データをあらかじめ格納された検証データと比較し、これらが一致すれば上記画像の正当性を確定する検証モジュールとを含むシステム。
【請求項11】
上記通信モジュールはさらに、第2の通信ネットワーク上で、通信装置に上記画像の正当性を確定する要求を送信する請求項10記載のシステム。
【請求項12】
上記通信装置から受信されるデータは上記第2の通信ネットワークを介して受信される請求項11記載のシステム。
【請求項13】
上記第1の通信ネットワークと上記第2の通信ネットワークとは同一の通信ネットワークである請求項11又は請求項12記載のシステム。
【請求項14】
上記通信ネットワークは移動通信ネットワークであり、上記通信装置は移動通信装置である請求項13記載のシステム。
【請求項15】
上記移動通信装置はメモリとデジタルカメラとを含み、画像データは上記デジタルカメラを用いて捕捉されて上記メモリに格納される請求項14記載のシステム。
【請求項16】
上記検証モジュールにより受信される検証データは個人識別番号である請求項10乃至15のうちのいずれか1つに記載のシステム。
【請求項17】
上記検証モジュールはさらに、上記通信装置の識別を上記個人識別番号と共に上記メモリに格納することによって、使用のために通信装置を登録する請求項10乃至16のうちのいずれか1つに記載のシステム。
【請求項18】
上記検証モジュールはさらに、上記個人識別番号を送信した通信装置の識別を含む検証データを受信し、上記受信される通信装置の識別及び上記受信される個人識別番号は、あらかじめ格納された上記通信装置の識別及び個人識別番号と比較される請求項10乃至17のうちのいずれか1つに記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−500808(P2010−500808A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523429(P2009−523429)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【国際出願番号】PCT/IB2007/053136
【国際公開番号】WO2008/018032
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(509040525)エムティエヌ・モバイル・マネー・エスエイ・(プロプライエタリー)・リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】MTN MOBILE MONEY SA (PTY) LTD
【Fターム(参考)】