説明

通信モジュール

【課題】本発明の目的は、通信エラーの発生が防止され、且つ、光通信用の発光素子又は受光素子の寿命が長くなる通信モジュール及び通信制御方法を提供することである。
【解決手段】通信モジュールは、レセプタクル、光電変換素子、ラッチ係合部、ラッチ係合検出部、及び制御部を備える。レセプタクルは通信ケーブルのプラグに接合される。光電変換素子は、送信電気信号を送信光信号に変換して通信ケーブルへ出力する、又は通信ケーブルからの受信光信号を受信電気信号に変換する。ラッチ係合部はプラグがレセプタクルから外れないように通信ケーブルのラッチと係合する。ラッチ係合検出部はラッチとラッチ係合部との係合状態を検出する。制御部はラッチ係合検出部がラッチとラッチ係合部との係合を検出しない間は光電変換素子への駆動電力の供給を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信モジュール及び通信制御方法に関し、特に光有線通信モジュール及び光有線通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電子機器に接続されたUSBメモリー等の接続プラグが送受信中に抜けることによるデータの損傷を防止させるプラグ接続装置を開示している。プラグ接続装置は、電子機器に設けられた端子に接続プラグを挿嵌し、所要角度回転することで電子機器に接続プラグをロックするロック機構と、ロックが完了すると同時にロック完了信号を送信するロック検出手段と、ロック完了信号に基づいて、端子を介して行われる信号の入出力が可能な状態に制御するI/O制御手段とを備える。したがって、接続プラグが端子に常に正常に接続した状態で、信号の入出力が行われる。仮に、信号の入出力中に接続プラグから端子が抜けても、ロック完了信号が途絶えることで、I/O制御手段が異常と判断して、信号の入出力が可能な状態から入出力を停止する状態へ切り換えるから、データの損傷を未然に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−294260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、通信エラーの発生が防止され、且つ、光通信用の発光素子又は受光素子の寿命が長くなる通信モジュール及び通信制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の観点による通信モジュールは、通信ケーブルのプラグに接合されるレセプタクルと、送信電気信号を送信光信号に変換して前記通信ケーブルへ出力する又は前記通信ケーブルからの受信光信号を受信電気信号に変換する光電変換素子と、前記プラグが前記レセプタクルから外れないように前記通信ケーブルのラッチと係合するラッチ係合部と、前記ラッチと前記ラッチ係合部との係合状態を検出するラッチ係合検出部と、前記ラッチ係合検出部が前記ラッチと前記ラッチ係合部との係合を検出しない間は前記光電変換素子への駆動電力の供給を停止する制御部とを具備する。
【0006】
本発明の第2の観点による通信制御方法は、通信ケーブルのプラグが通信モジュールのレセプタクルから外れないように前記通信ケーブルのラッチと係合する前記通信モジュールのラッチ係合部と前記ラッチとの係合状態を検出することと、前記ラッチと前記ラッチ係合部との係合を検出しない間、送信電気信号を送信光信号に変換して前記通信ケーブルへ出力する又は前記通信ケーブルからの受信光信号を受信電気信号に変換する光電変換素子への駆動電力の供給を停止することとを具備する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通信エラーの発生が防止され、且つ、光通信用の発光素子又は受光素子の寿命が長くなる通信モジュール及び通信制御方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る通信モジュールの斜視図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る通信ケーブルの斜視図である。
【図3A】図3Aは、通信ケーブルのプラグを通信モジュールのレセプタクルに挿入する前の状態を示す断面図である。
【図3B】図3Bは、通信ケーブルのプラグを通信モジュールのレセプタクルに挿入した後の状態を示す断面図である。
【図4】図4は、通信モジュールの動作を説明するための機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本発明による通信モジュール及び通信制御方法を実施するための形態を以下に説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る通信モジュール100は、レセプタクル110と、ラッチ係合部120とを備える。通信モジュール100は、光通信モジュールである。
【0011】
図2を参照して、本実施形態に係る通信ケーブル200は、その先端に設けられたプラグ210と、ラッチ220とを備える。通信ケーブル200は、光通信ケーブルである。ラッチ220は、例えば弾性体により形成される。
【0012】
図3Aを参照して、通信モジュール100は、ラッチ係合部120に設けられたラッチ係合検出部130を備える。矢印の方向にプラグ210がレセプタクル110に挿入されてプラグ210とレセプタクル110とが接合される。
【0013】
図3Bを参照して、プラグ210とレセプタクル110とが接合した状態で、プラグ210がレセプタクル110から外れないようにラッチ係合部120とラッチ220とが係合する。これにより、プラグ210とレセプタクル110とが機械的にロックされる。ラッチ係合部120とラッチ220とが係合した状態では、プラグ210とレセプタクル110との間の光学的距離が適切に保たれる。一方、ラッチ係合部120とラッチ220との係合が外れた状態では、振動などによりプラグ210とレセプタクル110とが相対的に移動してプラグ210とレセプタクル110との間の光学的距離が拡大するおそれがある。プラグ210とレセプタクル110との間の光学的距離が拡大した状態で通信を実行すると、信号品質の低下により通信エラーが発生するリスクが高まる。
【0014】
ラッチ係合検出部130は、ラッチ係合部120とラッチ220との係合状態を検出する。ラッチ係合検出部130は、スイッチ又はセンサにより構成される。ラッチ220の接触又は接近によりラッチ係合検出部130の状態に変化が生じる。ラッチ係合検出部130はその状態を示す(すなわち、ラッチ係合部120とラッチ220との係合状態を示す)ラッチ係合情報を出力する。
【0015】
図4を参照して通信モジュール100の動作を説明する。通信モジュール100のレセプタクル110の内部にはコンピュータの外部インタフェース115が設けられている。プラグ210と外部インタフェース115との間で光信号が授受される。通信モジュール100は、制御部140と、送信処理部150と、光電変換素子としての発光素子155と、受信処理部160と、光電変換素子としての受光素子165とを備える。制御部140は、コンピュータの通信ドライバ300との間で通信モジュール100の制御情報をやり取りし、必要に応じて通信ドライバ300から受け取った制御情報を送信処理部150及び受信処理部160に渡す。
【0016】
ラッチ係合部120とラッチ220との係合を検出している間、ラッチ係合検出部130は係合検出を示すラッチ係合情報を制御部140へ出力する。制御部140は、係合検出を示すラッチ係合情報の入力が開始されると、送信処理部150及び受信処理部160にそれぞれ機能開始を指示する制御信号を出力し、発光素子155及び受光素子165にそれぞれ駆動電力の供給を開始する。送信処理部150は、機能開始を指示する制御信号に基づいて、コンピュータの内部インタフェース350からの送信データを送信電気信号に変換して発光素子155に出力する機能を開始する。駆動電力が供給されている発光素子155は、送信電気信号を送信光信号に変換し、外部インタフェース115を介して送信光信号を通信ケーブル200へ出力する。駆動電力が供給されている受光素子165は、外部インタフェース115を介して通信ケーブル200からの受信光信号を受け取り、受信光信号を受信電気信号に変換して出力する。受信処理部160は、機能開始を指示する制御信号に基づいて、受光素子165からの受信電気信号を受信データに変換して内部インタフェース350に出力する機能を開始する。
【0017】
ラッチ係合部120とラッチ220との係合を検出していない間、ラッチ係合検出部130は係合非検出を示すラッチ係合情報を制御部140へ出力する。制御部140は、係合非検出を示すラッチ係合情報の入力が開始されると、送信処理部150及び受信処理部160にそれぞれ機能停止を指示する制御信号を出力し、発光素子155及び受光素子165それぞれへの駆動電力の供給を停止する。送信処理部150は、機能停止を指示する制御信号に基づいて、内部インタフェース350からの送信データを送信電気信号に変換して発光素子155に出力する機能を停止する。駆動電力が供給されていない発光素子155は発光を行わず、仮に電気信号が入力されても送信光信号を出力しない。駆動電力が供給されていない受光素子165は、外部インタフェース115を介して通信ケーブル200からの受信光信号を受け取っても、受信光信号を受信電気信号に変換して出力しない。受信処理部160は、機能停止を指示する制御信号に基づいて、受光素子165からの受信電気信号を受信データに変換して内部インタフェース350に出力する機能を停止する。
【0018】
本実施形態によれば、上述したように、ラッチ係合検出部130によりラッチ220とラッチ係合部120との係合が検出されている間は通信モジュール100の送受信動作が可能とされ、ラッチ係合検出部130によりラッチ220とラッチ係合部120との係合が検出されない間は通信モジュール100の送受信動作が停止される。そのため、通信エラーの発生が防止される。
【0019】
更に、ラッチ係合検出部130によりラッチ220とラッチ係合部120との係合が検出されない間は、発光素子155及び受光素子165への駆動電力の供給が停止される。そのため、発光素子155及び受光素子165の寿命が長くなる。
【0020】
更に、ラッチ係合検出部130によりラッチ220とラッチ係合部120との係合が検出されない間は、送信処理部150及び受信処理部160が機能を停止し、発光素子155及び受光素子165への駆動電力の供給が停止されるため、通信モジュール100の消費電力が低減される効果もある。特に、発光素子155がレーザ発光素子である場合に発光素子155への駆動電力の供給を停止することは、消費電力低減効果が大きく、仮に通信ケーブル200のプラグ210がレセプタクル110から抜けても発光素子155が出力するレーザ光が光モジュール100から外に漏れることが防止される。
【0021】
尚、制御部140は、ラッチ係合検出部130から受け取ったラッチ係合情報を制御情報としてコンピュータの通信ドライバ300に出力してもよい。この場合、制御部140は、通信ドライバ300が出力する制御情報に基づいて上述の動作を実行する。
【0022】
また、制御部140は、係合非検出を示すラッチ係合情報の入力が開始されたとき、送信処理部150及び受信処理部160にそれぞれ機能停止を指示する制御信号を出力しないで、発光素子155及び受光素子165それぞれへの駆動電力の供給を停止してもよい。
【0023】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、上記実施形態に様々な変更を行ったものも本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0024】
100 通信モジュール
110 レセプタクル
115 外部インタフェース
120 ラッチ係合部
130 ラッチ係合検出部
140 制御部
150 送信処理部
155 発光素子
160 受信処理部
165 受光素子
200 通信ケーブル
210 プラグ
220 ラッチ
300 通信ドライバ
350 内部インタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ケーブルのプラグに接合されるレセプタクルと、
送信電気信号を送信光信号に変換して前記通信ケーブルへ出力する又は前記通信ケーブルからの受信光信号を受信電気信号に変換する光電変換素子と、
前記プラグが前記レセプタクルから外れないように前記通信ケーブルのラッチと係合するラッチ係合部と、
前記ラッチと前記ラッチ係合部との係合状態を検出するラッチ係合検出部と、
前記ラッチ係合検出部が前記ラッチと前記ラッチ係合部との係合を検出しない間は前記光電変換素子への駆動電力の供給を停止する制御部と
を具備する
通信モジュール。
【請求項2】
前記光電変換素子は、前記送信電気信号を前記送信光信号に変換して前記通信ケーブルへ出力するレーザ発光素子である
請求項1の通信モジュール。
【請求項3】
通信ケーブルのプラグが通信モジュールのレセプタクルから外れないように前記通信ケーブルのラッチと係合する前記通信モジュールのラッチ係合部と前記ラッチとの係合状態を検出することと、
前記ラッチと前記ラッチ係合部との係合を検出しない間、送信電気信号を送信光信号に変換して前記通信ケーブルへ出力する又は前記通信ケーブルからの受信光信号を受信電気信号に変換する光電変換素子への駆動電力の供給を停止することと
を具備する
通信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−181321(P2012−181321A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43730(P2011−43730)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】