説明

通信制御装置、無線通信装置、通信制御方法及び無線通信方法

【課題】一の無線通信経路にて不足した帯域を他の無線通信経路を用いて補完して通信を実行する際に、パケットロスや、遅延の増加や、滞留の発生を抑制する。
【解決手段】受信パケット監視手段107,307は、第1の制御メッセージを受信する。送信経路選択手段117,317は、シーケンス番号を付加した第2の制御メッセージを送信する。制御メッセージ解析手段111,311は、第1の制御メッセージ送信直前に受信した第2の制御メッセージのシーケンス番号を、最新の第1の制御メッセージから取得する。制御メッセージ到着タイミング計算手段121,321は、第1の制御メッセージから取得した第2の制御メッセージのシーケンス番号と、次に送信する第2の制御メッセージのシーケンス番号とを比較する。タイミング制御手段125,325は、第2の制御メッセージの送信タイミングを比較結果に基づいて調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の異なる無線通信経路が利用可能で、使用するリアルタイム性を有するアプリケーションの要求帯域に対して、一の無線通信経路にて不足した帯域を他の無線通信経路を用いて補完して通信を実行することが可能な新規な通信制御装置、無線通信装置、通信制御方法及び無線通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、インターネットプロトコル(IP)群が用いられる無線通信ネットワーク(以下、“無線IPネットワーク”と適宜省略する)では、無線通信装置のモビリティを向上させるため、いわゆるモバイルIPが規定されている(例えば、非特許文献1)。
【0003】
モバイルIPでは、無線通信装置の位置に応じて動的に割り当てられる気付けIPアドレス(Care of Address)が用いられる。
【非特許文献1】C. Perkins、“IP Mobility Support (RFC2002)”、[online]、1996年10月、IETF、[平成18年3月15日検索]、インターネット<URL: http: //www.ietf.org /rfc/rfc2002.txt
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、昨今では、無線通信装置が複数の無線IPネットワーク(例えば、携帯電話ネットワークと無線LANネットワーク)を用いることができる環境が提供されつつある。
【0005】
このような環境が提供されれば、実行中の通信に用いられている無線IPネットワークの帯域が不足しているときに、不足する帯域を他の無線IPネットワークによって補完するといった、複数の無線IPネットワークを同時に用いることが考えられる。
【0006】
複数の経路で必要な帯域を補完しながら通信を行う場合、複数の経路の使用帯域比は、通信相手側で一定時間内に受信されるIPパケットの受信状態に基づいて計算され、制御メッセージにより通知される通信帯域比に基づいて決定されることが考えられる。
【0007】
また、制御メッセージを送信する経路は、通信相手から制御メッセージにより通知される通信帯域比の基づいて各無線IPネットワークの状態を推測し、より遅延の少ない無線IPネットワークを選択することが考えられる。
【0008】
通信帯域比の計算及び制御メッセージの送信は、無線通信装置と通信制御装置のそれぞれにおいて一定期間ごとに実行されるが、無線通信装置と通信制御装置との間での制御メッセージの送信タイミングは非同期であると考えられ、この場合、受信した制御メッセージがいつ送信相手から送信されたものなのかを判別することができない。
【0009】
例えば、通信制御装置において、無線通信装置との間の制御メッセージの送受信が図10(a)で示すタイミングで行われている場合、図10(b)に示す状態(この状態については後に説明する。)であるか、図10(c)に示す状態(この状態については後に説明する。)であるかによって、受信した制御メッセージに含まれる通信帯域比の情報の有用性が異なってくる。なお、図10(a)〜(c)において、制御メッセージの受信タイミングを黒丸で示すとともに、受信メッセージの送信タイミングを白丸で示す。
【0010】
すなわち、経路の状態が変化しやすい環境では、通信相手側から制御メッセージが送信されてから、その制御メッセージに含まれる通信帯域比に基づいて自身の制御メッセージを送信するまでの時間が長くなるに従って、経路の状態が大きく変化している可能性が高く、受信した制御メッセージに基づいて現在の経路状態を判定することの信憑性が薄れる。
【0011】
経路の状態が大きく変化すると、制御メッセージの送信時に最適な通信帯域比と、通信相手から受信した制御メッセージから判定した通信帯域比とのギャップが大きくなり、受信した制御メッセージに基づいて一様に通信帯域比を決定する場合には、パケットロスや、遅延の増加や、滞留の発生が生じるという不都合がある。
【0012】
本発明の目的は、複数の異なる無線通信経路が利用可能で、使用するリアルタイム性を有するアプリケーションの要求帯域に対して、一の無線通信経路にて不足した帯域を他の無線通信経路を用いて補完して通信を実行する際に、制御メッセージの送信時に最適な通信帯域比と、通信相手から受信した制御メッセージから判定した通信帯域比とのギャップを抑える通信制御装置、無線通信装置、通信制御方法及び無線通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る発明は、無線通信装置との間で複数の異なる無線通信経路が利用可能で、使用するリアルタイム性を有するアプリケーションの要求帯域に対して、一の無線通信経路にて不足した帯域を他の無線通信経路を用いて補完して、前記無線通信装置と通信先との通信を制御する通信制御装置であって、
前記無線通信装置から所定時間ごとに送信される、前記一の無線通信帯域と前記他の無線通信経路との間の通信帯域比を指示する第1の制御メッセージを受信する受信手段と、
前記一の無線通信帯域と前記他の無線通信経路との間の通信帯域比を指示する第2の制御メッセージを、当該第2の制御メッセージの送信順序を示すシーケンス番号を付加して所定時間ごとに前記無線通信装置に送信する送信手段と、
前記無線通信装置において前記第1の制御メッセージを送信する直前に受信した前記第2の制御メッセージのシーケンス番号を、前記受信手段によって受信した最新の前記第1の制御メッセージから取得する取得手段と、
前記取得手段によって前記第1の制御メッセージから取得した前記第2の制御メッセージのシーケンス番号と、前記送信手段によって次に送信する前記第2の制御メッセージのシーケンス番号とを比較する比較手段と、
前記第2の制御メッセージの送信タイミングを、前記比較手段の比較結果に基づいて調整する調整手段とを具えることを特徴とする。
【0014】
請求項2に係る発明は、前記比較手段は、前記取得手段によって前記第1の制御メッセージから取得した前記第2の制御メッセージのシーケンス番号と、前記送信手段によって次に送信する前記第2の制御メッセージのシーケンス番号との差分を算出し、
前記調整手段は、前記差分が2以下である場合、前記第2の制御メッセージの送信タイミングを調整することを特徴とする。
【0015】
請求項3に係る発明は、前記第1の制御メッセージの受信から前記第2の制御メッセージを送信するまでの時間である第1の時間を計時する計時手段を更に具え、
前記取得手段は、前記無線通信装置が前記第2の制御メッセージを受信してから前記第1の制御メッセージを送信するまでの時間である第2の時間を前記第1の制御メッセージから取得し、
前記比較手段は、前記差分が2であるとき、前記第1の時間と前記第2の時間の和を2で割った値と、前記所定の時間とを比較し、
前記調整手段は、前記第1の時間と前記第2の時間の和を2で割った値が前記所定の時間未満である場合、前記第2の制御メッセージの送信タイミングを、次に第1の制御メッセージを受信した後とし、前記第1の時間と前記第2の時間の和を2で割った値が前記所定の時間以上である場合、前記第2の制御メッセージの送信タイミングの調整を行わないことを特徴とする。
【0016】
請求項4に係る発明は、前記無線通信装置からのデータの受信に使用される前記一の無線通信経路と前記他の無線通信経路の通信帯域比及び該通信帯域比の変化量である第1の帯域比変化量を、前記一の無線通信経路を介して受信したパケット及び前記他の無線通信経路を介して受信したパケットに基づいて算出する算出手段を更に具え、
前記取得手段は、前記無線通信装置へのデータの送信に使用される前記一の無線通信経路と前記他の無線通信経路の通信帯域比の変化量である第2の帯域比変化量を、前記第1の制御メッセージから取得し、
前記調整手段は、前記第2の制御メッセージの送信タイミングを、前記第1の帯域比変化量及び前記第2の帯域比変化量に基づいて更に調整することを特徴とする。
【0017】
請求項5に係る発明は、通信制御装置との間で複数の異なる無線通信経路が利用可能で、使用するリアルタイム性を有するアプリケーションの要求帯域に対して、一の無線通信経路にて不足した帯域を他の無線通信経路を用いて補完して、前記通信制御装置を介して通信先と無線通信する無線通信装置であって、
前記通信制御装置から所定時間ごとに送信される、前記一の無線通信帯域と前記他の無線通信経路との間の通信帯域比を指示する第1の制御メッセージを受信する受信手段と、
前記一の無線通信帯域と前記他の無線通信経路との間の通信帯域比を指示する第2の制御メッセージを、当該第2の制御メッセージの送信順序を示すシーケンス番号を付加して所定時間ごとに前記通信制御装置に送信する送信手段と、
前記通信制御装置において前記第1の制御メッセージを送信する直前に受信した前記第2の制御メッセージのシーケンス番号を、前記受信手段によって受信した最新の前記第1の制御メッセージから取得する取得手段と、
前記取得手段によって前記第1の制御メッセージから取得した前記第2の制御メッセージのシーケンス番号と、前記送信手段によって次に送信する前記第2の制御メッセージのシーケンス番号とを比較する比較手段と、
前記第2の制御メッセージの送信タイミングを、前記比較手段の比較結果に基づいて調整する調整手段とを具えることを特徴とする。
【0018】
請求項6に係る発明は、前記比較手段は、前記取得手段によって前記第1の制御メッセージから取得した前記第2の制御メッセージのシーケンス番号と、前記送信手段によって次に送信する前記第2の制御メッセージのシーケンス番号との差分を算出し、
前記調整手段は、前記差分が2以下である場合、前記第2の制御メッセージの送信タイミングを調整することを特徴とする。
【0019】
請求項7に係る発明は、前記第1の制御メッセージの受信から前記第2の制御メッセージを送信するまでの時間である第1の時間を計時する計時手段を更に具え、
前記取得手段は、前記無線通信装置が前記第2の制御メッセージを受信してから前記第1の制御メッセージを送信するまでの時間である第2の時間を前記第1の制御メッセージから取得し、
前記比較手段は、前記差分が2であるとき、前記第1の時間と前記第2の時間の和を2で割った値と、前記所定の時間とを比較し、
前記調整手段は、前記第1の時間と前記第2の時間の和を2で割った値が前記所定の時間未満である場合、前記第2の制御メッセージの送信タイミングを、次に第1の制御メッセージを受信した後とし、前記第1の時間と前記第2の時間の和を2で割った値が前記所定の時間以上である場合、前記第2の制御メッセージの送信タイミングの調整を行わないことを特徴とする。
【0020】
請求項8に係る発明は、前記無線通信装置からのデータの受信に使用される前記一の無線通信経路と前記他の無線通信経路の通信帯域比及び該通信帯域比の変化量である第1の帯域比変化量を、前記一の無線通信経路を介して受信したパケット及び前記他の無線通信経路を介して受信したパケットに基づいて算出する算出手段を更に具え、
前記取得手段は、前記無線通信装置へのデータの送信に使用される前記一の無線通信経路と前記他の無線通信経路の通信帯域比の変化量である第2の帯域比変化量を、前記第1の制御メッセージから取得し、
前記調整手段は、前記第2の制御メッセージの送信タイミングを、前記第1の帯域比変化量及び前記第2の帯域比変化量に基づいて更に調整することを特徴とする。
【0021】
請求項9に係る発明は、無線通信装置との間で複数の異なる無線通信経路が利用可能で、使用するリアルタイム性を有するアプリケーションの要求帯域に対して、一の無線通信経路にて不足した帯域を他の無線通信経路を用いて補完して、前記無線通信装置と通信先との通信を制御する通信制御方法であって、
前記無線通信装置から所定時間ごとに送信される、前記一の無線通信帯域と前記他の無線通信経路との間の通信帯域比を指示する第1の制御メッセージを受信するステップと、
前記一の無線通信帯域と前記他の無線通信経路との間の通信帯域比を指示する第2の制御メッセージを、当該第2の制御メッセージの送信順序を示すシーケンス番号を付加して所定時間ごとに前記無線通信装置に送信するステップと、
前記無線通信装置において前記第1の制御メッセージを送信する直前に受信した前記第2の制御メッセージのシーケンス番号を、受信した最新の前記第1の制御メッセージから取得するステップと、
前記第1の制御メッセージから取得した前記第2の制御メッセージのシーケンス番号と、次に送信する前記第2の制御メッセージのシーケンス番号とを比較するステップと、
前記第2の制御メッセージの送信タイミングを、前記比較の結果に基づいて調整するステップとを具えることを特徴とする。
【0022】
請求項10に係る発明は、通信制御装置との間で複数の異なる無線通信経路が利用可能で、使用するリアルタイム性を有するアプリケーションの要求帯域に対して、一の無線通信経路にて不足した帯域を他の無線通信経路を用いて補完して、前記通信制御装置を介して通信先と無線通信する無線通信方法であって、
前記通信制御装置から所定時間ごとに送信される、前記一の無線通信帯域と前記他の無線通信経路との間の通信帯域比を指示する第1の制御メッセージを受信するステップと、
前記一の無線通信帯域と前記他の無線通信経路との間の通信帯域比を指示する第2の制御メッセージを、当該第2の制御メッセージの送信順序を示すシーケンス番号を付加して所定時間ごとに前記通信制御装置に送信するステップと、
前記通信制御装置において前記第1の制御メッセージを送信する直前に受信した前記第2の制御メッセージのシーケンス番号を、受信した最新の前記第1の制御メッセージから取得するステップと、
前記第1の制御メッセージから取得した前記第2の制御メッセージのシーケンス番号と、次に送信する前記第2の制御メッセージのシーケンス番号とを比較するステップと、
前記第2の制御メッセージの送信タイミングを、前記比較の結果に基づいて調整するステップとを具えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、複数の異なる無線通信経路が利用可能で、使用するリアルタイム性を有するアプリケーションの要求帯域に対して、一の無線通信経路にて不足した帯域を他の無線通信経路を用いて補完して通信を実行する際に、制御メッセージの送信タイミングを調整する。このような調整によって、制御メッセージの送信時に最適な通信帯域比と、通信相手から受信した制御メッセージから判定した通信帯域比とのギャップを小さくすることができるので、パケットロスや、遅延の増加や、滞留の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の一実施の形態について、図を参照して説明する。
【0025】
(通信システムの全体概略構成)
図1は、本実施の形態に係る通信システム1の全体概略構成図である。図1に示すように、通信システム1には、無線IPネットワーク10A及び無線IPネットワーク10Bが含まれる。無線IPネットワーク10Aは、IPパケットを伝送することができるIPネットワークである。無線IPネットワーク10Aでは、無線通信装置300(以下、MN300と省略する)の位置に応じて、気付けIPアドレスA1が動的にMN300に割り当てられる。本実施の形態では、無線IPネットワーク10Aは、無線通信方式としてCDMA(具体的には、3GPP2の規格であるHRPD)を用いる携帯電話ネットワークである。
【0026】
無線IPネットワーク10Bは、無線IPネットワーク10Aと同様にIPパケットを伝送することができる。無線IPネットワーク10Bでは、気付けIPアドレスA2がMN300に割り当てられる。本実施の形態では、無線IPネットワーク10Bは、無線通信方式として、IEEE802.16eの規定に準拠したモバイルWiMAXを用いる。
【0027】
なお、気付けIPアドレスA1は、MN300が無線IPネットワーク10Aに接続した際に、無線IPネットワーク10Aから付与される。同様に、気付けIPアドレスA2は、MN300が無線IPネットワーク10Bに接続した際に、無線IPネットワーク10Bから付与される。
【0028】
また、本実施の形態では、気付けIPアドレスA1及び気付けIPアドレスA2は、ホームIPアドレスAH(仮想アドレス)と対応付けられる。
【0029】
スイッチングサーバ100(以下、SS100と省略する。)及びMN300は、無線IPネットワーク10A及び無線IPネットワーク10Bを同時に用いて通信を実行することができる。具体的には、SS100及びMN300は、無線IPネットワーク10Aをマスタ経路として用いてIPパケットの送受信を行い、このマスタ経路の帯域(転送レート)が不足する場合に、無線IPネットワーク10Bをスレーブ経路として用いて、当該不足する帯域をスレーブ経路で補完する。なお、スレーブ経路は、無線IPネットワーク10Bの一つに限らず、利用可能な複数の無線IPネットワークを同時に用いる場合もある。
【0030】
無線IPネットワーク10A及び無線IPネットワーク10Bは、インターネット20に接続される。また、インターネット20には、SS100が接続される。SS100は、MN300との無線通信経路を制御する通信制御装置を構成するもので、無線IPネットワーク10Aを経由してMN300にIPパケットを送信することができるとともに、無線IPネットワーク10Bを経由してMN300にIPパケットを送信することができる。
【0031】
SS100は、IPパケットのルーティング処理を実行するVPNルータ機能を有しており、MN300とSS100との間にVPN(IPSec)によるトンネルを確立することによって、OSI第3層の仮想化を実現して、MN300のIPモビリティを確保する。
【0032】
すなわち、本実施の形態では、モバイルIP(例えば、RFC2002)とは異なり、MN300は、無線IPネットワーク10Aを経由して設定されたマスタ経路と、無線IPネットワーク10Bを経由して設定されたスレーブ経路との両方の無線通信経路を同時に用いながら、通信先(具体的には、IP電話端末40)との通信を実行することができる。
【0033】
SS100は、インターネット20に接続された通信ネットワーク10Cを経由して、IP電話端末40と接続される。IP電話端末40は、音声信号とVoIPパケットとを相互に変換したり、IPパケットを送受信したりする。
【0034】
具体的には、SS100(通信制御装置)は、MN300(無線通信装置)がIP電話端末40(通信先)に向けて所定の周期(20ms)で送信したIPパケット(VoIPパケット)を受信して、IP電話端末40に中継するとともに、IP電話端末40がMN300に向けて所定の周期(20ms)で送信したIPパケット(VoIPパケット)を受信して、MN300に中継する。
【0035】
次に、通信システム1の機能ブロック構成について説明する。具体的には、通信システム1に含まれるSS100及びMN300の機能ブロック構成について、図2を参照して説明する。なお、以下、本発明との関連がある部分について主に説明する。したがって、SS100及びMN300は、当該装置としての機能を実現する上で必須な、図示しない或いは説明を省略した論理ブロック(電源部など)を備える場合があることに留意されたい。
【0036】
(SS100)
図2に示すように、SS100は、受信インターフェース部(I/F A)101Rx、受信インターフェース部(I/F B)103Rx、受信インターフェース部(I/F C)105Rx、送信インターフェース部(I/F A)101Tx、送信インターフェース部(I/F B)103Tx、送信インターフェース部(I/F C)105Tx、受信パケット監視手段107、送信帯域算出手段109、制御メッセージ解析手段111、パケット送出経路制御手段113、制御メッセージ送出経路制御手段115、送信経路選択手段117、制御メッセージ到着タイミング計算手段119、制御メッセージ到着遅延記録手段121、帯域比変化量計算手段123、タイミング制御手段125、及びタイミング計算手段127を具える。
【0037】
受信インターフェース部101Rx及び送信インターフェース部101Txは、無線IPネットワーク10Aに対応する通信インターフェース部を構成するもので、例えばIEEE802.3abによって規定される1000BASE−Tによって構成され、インターネット20に接続され、無線IPネットワーク10Aに接続されている。
【0038】
同様に、受信インターフェース部103Rx及び送信インターフェース部103Txは、無線IPネットワーク10Bに対応する通信インターフェース部を構成するもので、例えばIEEE802.3abによって規定される1000BASE−Tによって構成され、インターネット20に接続され、無線IPネットワーク10Bに接続されている。
【0039】
本実施の形態では、上述したようにIPSecによるVPNが設定されるため、これら無線IPネットワーク10A及び無線IPネットワーク10Bにそれぞれ対応する通信インターフェース部が送受信するIPパケット、具体的には、SS100とMN300との間において送受信されるVoIPパケット(具体的には、MN300が送信するVoIPパケット)は、図3(a)に示す構成を有する。すなわち、VoIPパケットは、ホームIPアドレス(ホームIPアドレスAH)、TCP/UDPヘッダ及びペイロードがカプセル化されて、気付けIPアドレス(気付けIPアドレスA1又は気付けIPアドレスA2)が付加される。
【0040】
なお、SS100とMN300との間において送受信されるアクセス制御パケットは、図3(b)に示す構成を有する。すなわち、アクセス制御パケットは、データリンク層ヘッダ、気付けIPアドレス、TCPヘッダ及び制御コードによって構成される。
【0041】
受信インターフェース部105Rx及び送信インターフェース部105Txは、通信ネットワーク10Cに対応する通信インターフェース部を構成するもので、インターネット20に接続されてIP電話端末40との通信の実行に用いられる。
【0042】
受信パケット監視手段107は、受信インターフェース部101Rx及び受信インターフェース部103Rxで受信したIPパケットのジッタを吸収するジッタバッファを有しており、受信したIPパケットを送信インターフェース部105Txを経てIP電話端末40に送信する。また、受信パケット監視手段107は、受信インターフェース部101Rx及び受信インターフェース部103Rxで受信したIPパケットを、送信帯域算出手段109に供給するとともに、無線IPネットワーク10Aを経由して設定されたマスタ経路と無線IPネットワーク10Bを経由して設定されたスレーブ経路との通信帯域比を指示する下り方向制御メッセージをMN300から受信して制御メッセージ解析手段111に供給する。なお、下り方向制御メッセージには、MN300からの送信順序を示すシーケンス番号が付加されている。
【0043】
したがって、本実施の形態において、受信パケット監視手段107は受信手段を構成している。
【0044】
また、本実施の形態では、受信パケット監視手段107が下り方向制御メッセージを受信すると、当該下り方向制御メッセージの到着時刻が、制御メッセージ到着タイミング計算手段119及び制御メッセージ到着遅延記録手段121に供給される。
【0045】
送信帯域算出手段109は、所定の周期(例えば、1000ms)で、受信パケット監視手段107からの無線IPネットワーク10A及び無線IPネットワーク10Bの各経路を経由した受信パケットに基づいて、MN300が無線IPネットワーク10A及び無線IPネットワーク10Bに送出するIPパケットの上り方向送信帯域をそれぞれ算出し、無線IPネットワーク10Aを経由して設定されたマスタ経路と無線IPネットワーク10Bを経由して設定されたスレーブ経路との通信帯域比を指示する上り方向制御メッセージを送信経路選択手段117に供給する。
【0046】
なお、送信帯域算出手段109において、受信パケットに基づいて送信帯域を算出するにあたっては、例えば、無線IPネットワーク10A及び無線IPネットワーク10Bの各経路に対して、監視間隔での受信パケットを計数し、その受信パケット数(受信レート)に基づいて送信帯域を算出し、算出した送信帯域をタイミング制御手段に供給する。この場合、監視間隔は、後述するようにして決定される。
【0047】
制御メッセージ解析手段111は、受信パケット監視手段107から受信したMN300からの下り方向制御メッセージに基づいて、当該SS100が無線IPネットワーク10A及び無線IPネットワーク10Bにそれぞれ送出するIPパケットの下り方向送信帯域を解析して、それらの解析結果をパケット送出経路制御手段113及び制御メッセージ送出経路制御手段115に供給する。
【0048】
パケット送出経路制御手段113は、制御メッセージ解析手段111で解析された下り方向送信帯域に基づいて送信経路選択手段117を制御する。
【0049】
これにより、送信経路選択手段117は、受信インターフェース部105Rxを経て受信したIP電話端末40からのVoIPパケットを、制御メッセージ解析手段111で解析された下り方向送信帯域に応じて、送信インターフェース部101Tx及び送信インターフェース部103Txに振り分けて、無線IPネットワーク10A及び無線IPネットワーク10Bを介してMN300に送信する。なお、送信経路選択手段117は、受信インターフェース部105Rxが受信したIPパケットのジッタを吸収するジッタバッファを有している。
【0050】
具体的には、送信経路選択手段117は、制御メッセージ解析手段111から受信した下り方向送信帯域の情報に基づいて、IP電話端末40から受信したホームIPアドレスAHを含むIPパケットに、気付けIPアドレスA1及び気付けIPアドレスA2をそれぞれ付加して、気付けIPアドレスA1が付加されたIPパケットを、送信インターフェース部101Txから無線IPネットワーク10Aに送信するとともに、気付けIPアドレスA2が付加されたIPパケットを、送信インターフェース部103Txから無線IPネットワーク10Bに送信する。
【0051】
制御メッセージ送出経路制御手段115は、送信帯域算出手段109から供給された上り方向送信帯域と、制御メッセージ解析手段111で解析された下り方向送信帯域とに基づいて、無線IPネットワーク10A及び無線IPネットワーク10Bの帯域状態を管理し、それらの帯域状態に基づいて送信経路選択手段117を制御して、送信帯域算出手段109で生成された上り方向制御メッセージのMN300への最適な送出経路を選択する。なお、上り方向制御メッセージは、それぞれアクセス制御パケット(図3(b)参照)を用いて送受信する。
【0052】
さらに、制御メッセージ解析手段111では、MN300において下り方向制御メッセージを送信する直前に受信した上り方向制御メッセージのシーケンス番号を、受信パケット監視手段107で受信した最新の下り方向制御メッセージから取得する。
【0053】
したがって、本実施の形態において、制御メッセージ解析手段111は取得手段を構成している。
【0054】
制御メッセージ到着タイミング計算手段119は、下り方向制御メッセージの到着時刻から最初の遅延での下り方向制御メッセージの到着タイミングを計算し、当該到着タイミングが制御メッセージ到着遅延記録手段121及びタイミング制御手段125に供給される。
【0055】
制御メッセージ到着遅延記録手段121は、下り方向制御メッセージの到着タイミング及び下り方向制御メッセージの到着時刻から下り方向制御メッセージの遅延量を記録して分布を計算し、当該分布をタイミング制御手段125に供給する。
【0056】
帯域比変化量計算手段123は、制御メッセージ解析手段111で解析された下り方向送信帯域に基づいて下り方向送信帯域比の変化量を計算し、当該変化量をタイミング制御手段125に供給する。
【0057】
したがって、本実施の形態において、帯域比変化量計算手段123は算出手段を構成している。
【0058】
タイミング制御手段125は、下り方向制御メッセージの到着タイミングと、送信帯域算出手段109で取得される上り方向制御メッセージの送信時間から、下り方向制御メッセージが到着してから上り方向制御メッセージを送信するまでの時間を計算する。
【0059】
したがって、本実施の形態において、タイミング制御手段125は比較手段を構成している。
【0060】
また、タイミング制御手段125は、下り方向制御メッセージの遅延量の分布及び下り方向送信帯域比の変化量の情報をタイミング計算手段127に供給する。タイミング計算手段127は、タイミングをずらすべき量及びどれだけの量ごとにずらして合わせるかを計算し、当該ずらすべき量及びどれだけの量ごとにずらして合わせるかについての情報をタイミング制御手段125に供給する。
【0061】
したがって、本実施の形態において、タイミング計算手段127は調整手段を構成している。上り方向制御メッセージの送信タイミングの調整は、後述する。
【0062】
また、タイミング制御手段125は、下り方向制御メッセージが到着してから上り方向制御メッセージを送信するまでの時間、下り方向制御メッセージの遅延量の分布及び下り方向送信帯域比の変化量の情報を送信帯域算出手段109に供給する。送信帯域算出情報109は、当該情報を下り方向送信帯域比とともに上り方向制御メッセージに入れ、当該上り方向制御メッセージを、送信順序を示すシーケンス番号を付加してMN300に送信する。
【0063】
したがって、本実施の形態において、送信帯域算出手段109は送信手段を構成し、タイミング制御手段125は計時手段を構成している。
【0064】
さらに、タイミング制御手段125は、送信帯域算出手段109に監視間隔の変更及び当該監視間隔を指示し、上り方向制御メッセージの送信時間を監視する。上り方向制御メッセージの送信時間が計算したタイミングに合致すると、タイミング制御手段125は、送信帯域算出手段109に監視間隔を元に戻すように指示する。
【0065】
タイミング調整後、タイミング制御手段125は、下り方向制御メッセージの到着及び上り方向制御メッセージの送信時間を監視し、制御メッセージ到着タイミング計算手段119は、最小の遅延での下り方向制御メッセージの到着タイミングを計算し、制御メッセージ到着遅延記録手段121は、下り方向制御メッセージの遅延量を記録して分布を計算し、帯域比変化量計算手段123は、下り方向送信帯域比の変化量を計算し続ける。
【0066】
なお、本実施の形態のSS100は、上記の機能の他にも、無線IPネットワーク10A及び無線IPネットワーク10Bを経由してMN300とIP電話端末40との間において送受信されるIPパケットの順序を、VoIPパケットに含まれるRTP(real-time transport protocol)のシーケンス番号を用いてチェックする機能も有している。また、SS100は、中継するIPパケットの統計情報(例えば、パケットロス、スループット、ジッタバッファのアンダーランカウント及びオーバランカウント)を取得して、取得した情報をMN300に送信する機能も有している。
【0067】
さらに、SS100は、IP電話端末40が送信したIPパケットに含まれるホームIPアドレスAHと、インターネット20を介してアクセス可能なホームエージェント(図示せず)に登録されているホームIPアドレスとの照合を行う機能を有しており、これによりホームIPアドレスAHが、何れの通信事業者によってMN300に割り当てられたホームIPアドレスであるかを判定することができるようになっている。
【0068】
(MN300)
MN300は、SS100と同様に、無線IPネットワーク10A及び無線IPネットワーク10Bを同時に用いて通信を実行することができる。以下、上述したSS100と同様の機能ブロックについては、適宜説明を省略する。
【0069】
図2に示すように、MN300は、受信インターフェース部(I/F A)301Rx、受信インターフェース部(I/F B)303Rx、送信インターフェース部(I/F A)301Tx、送信インターフェース部(I/F B)303Tx、アプリケーション(アプリ)処理手段305、受信パケット監視手段307、送信帯域算出手段309、制御メッセージ解析手段311、パケット送出経路制御手段313、制御メッセージ送出経路制御手段315、送信経路選択手段317、制御メッセージ到着タイミング計算手段319、制御メッセージ到着遅延記録手段321、帯域比変化量計算手段323、タイミング制御手段325、及びタイミング計算手段327を具える。
【0070】
受信インターフェース部301Rx及び送信インターフェース部301Txは、無線IPネットワーク10Aにおいて用いられる無線通信方式(3GPP2の規格であるHRPD)の無線通信を実行する。本実施の形態は、IP電話端末40との間で、無線IPネットワーク10Aを経由して所定の周期(例えば、20ms)でIPパケット(VoIPパケット)を送受信する。これら受信インターフェース部301Rx及び送信インターフェース部301Txは、MN300に内蔵されるか、あるいは無線通信カードで構成される。
【0071】
受信インターフェース部303Rx及び送信インターフェース部303Txは、無線IPネットワーク10Bにおいて用いられる無線通信方式(モバイルWiMAX)に準拠した無線通信を実行するもので、同様に、MN300に内蔵されるか、あるいは無線通信カードで構成される。
【0072】
なお、受信インターフェース部301Rx及び送信インターフェース部301Tx、並びに受信インターフェース部303Rx及び送信インターフェース部303Txは、無線IPネットワーク10A及び無線IPネットワーク10BにおいてMN300に割り当てられた気付けIPアドレスA1及び気付けIPアドレスA2に基づいてIPパケットを送受信する。
【0073】
受信パケット監視手段307は、受信インターフェース部301Rx及び受信インターフェース部303Rxで受信したIPパケットのジッタを吸収するジッタバッファを有しており、受信したIPパケットをアプリ処理手段305に供給する。また、受信パケット監視手段307は、受信インターフェース部301Rx及び受信インターフェース部303Rxで受信したIPパケットを、送信帯域算出手段309に供給するとともに、無線IPネットワーク10Aを経由して設定されたマスタ経路と無線IPネットワーク10Bを経由して設定されたスレーブ経路との通信帯域比を指示する上り方向制御メッセージをSS100から受信して制御メッセージ解析手段311に供給する。なお、上り方向制御メッセージには、MN300からの送信順序を示すシーケンス番号が付加されている。
【0074】
したがって、本実施の形態において、受信パケット監視手段307は受信手段を構成している。
【0075】
また、本実施の形態では、受信パケット監視手段307が上り方向制御メッセージを受信すると、当該上り方向制御メッセージの到着時刻が、制御メッセージ到着タイミング計算手段319及び制御メッセージ到着遅延記録手段321に供給される。
【0076】
送信帯域算出手段309は、所定の周期(例えば、1000ms)で、受信パケット監視手段307からの無線IPネットワーク10A及び無線IPネットワーク10Bの各経路を経由した受信パケットに基づいて、SS100が無線IPネットワーク10A及び無線IPネットワーク10Bに送出するIPパケットの下り方向送信帯域をそれぞれ算出し、無線IPネットワーク10Aを経由して設定されたマスタ経路と無線IPネットワーク10Bを経由して設定されたスレーブ経路との通信帯域比を指示する下り方向制御メッセージを送信経路選択手段317に供給する。
【0077】
なお、送信帯域算出手段309において、受信パケットに基づいて送信帯域を算出するにあたっては、例えば、無線IPネットワーク10A及び無線IPネットワーク10Bの各経路に対して、監視間隔での受信パケットを計数し、その受信パケット数(受信レート)に基づいて送信帯域を算出し、算出した送信帯域をタイミング制御手段に供給する。この場合、監視間隔は、後述するようにして決定される。
【0078】
制御メッセージ解析手段311は、受信パケット監視手段307から受信したSS100からの上り方向制御メッセージに基づいて、当該SS100が無線IPネットワーク10A及び無線IPネットワーク10Bにそれぞれ送出するIPパケットの下り方向送信帯域を解析して、それらの解析結果をパケット送出経路制御手段313及び制御メッセージ送出経路制御手段315に供給する。
【0079】
パケット送出経路制御手段313は、制御メッセージ解析手段311で解析された下り方向送信帯域に基づいて送信経路選択手段317を制御する。
【0080】
これにより、送信経路選択手段317は、アプリ処理手段305からのVoIPパケットを、制御メッセージ解析手段311で解析された上り方向送信帯域に応じて、送信インターフェース部301Tx及び送信インターフェース部303Txに振り分けて、無線IPネットワーク10A及び無線IPネットワーク10Bを介してSS100に送信する。
【0081】
具体的には、送信経路選択手段317は、制御メッセージ解析手段311から受信した上り方向送信帯域の情報に基づいて、アプリ処理手段305からのIPパケットに、気付けIPアドレスA1及び気付けIPアドレスA2をそれぞれ付加して、気付けIPアドレスA1が付加されたIPパケットを、送信インターフェース部301Txから無線IPネットワーク10Aに送信するとともに、気付けIPアドレスA2が付加されたIPパケットを、送信インターフェース部303Txから無線IPネットワーク10Bに送信する。
【0082】
制御メッセージ送出経路制御手段315は、送信帯域算出手段309から供給された下り方向送信帯域と、制御メッセージ解析手段311で解析された上り方向送信帯域とに基づいて、無線IPネットワーク10A及び無線IPネットワーク10Bの帯域状態を管理し、それらの帯域状態に基づいて送信経路選択手段317を制御して、送信帯域算出手段309で生成された下り方向制御メッセージのSS100への最適な送出経路を選択する。なお、下り方向制御メッセージは、それぞれアクセス制御パケット(図3(b)参照)を用いて送受信する。
【0083】
さらに、制御メッセージ解析手段311では、SS100において上り方向制御メッセージを送信する直前に受信した下り方向制御メッセージのシーケンス番号を、受信パケット監視手段307で受信した最新の上り方向制御メッセージから取得する。
【0084】
したがって、本実施の形態において、制御メッセージ解析手段311は取得手段を構成している。
【0085】
制御メッセージ到着タイミング計算手段319は、上り方向制御メッセージの到着時刻から最初の遅延での上り方向制御メッセージの到着タイミングを計算し、当該到着タイミングが制御メッセージ到着遅延記録手段321及びタイミング制御手段325に供給される。
【0086】
制御メッセージ到着遅延記録手段321は、上り方向制御メッセージの到着タイミング及び上り方向制御メッセージの到着時刻から上り方向制御メッセージの遅延量を記録して分布を計算し、当該分布をタイミング制御手段325に供給する。
【0087】
帯域比変化量計算手段323は、制御メッセージ解析手段311で解析された上り方向送信帯域に基づいて上り方向送信帯域比の変化量を計算し、当該変化量をタイミング制御手段325に供給する。
【0088】
したがって、本実施の形態において、帯域比変化量計算手段323は算出手段を構成している。
【0089】
タイミング制御手段325は、上り方向制御メッセージの到着タイミングと、送信帯域算出手段309で取得される下り方向制御メッセージの送信時間から、上り方向制御メッセージが到着してから下り方向制御メッセージを送信するまでの時間を計算する。
【0090】
したがって、本実施の形態において、タイミング制御手段325は比較手段を構成している。
【0091】
また、タイミング制御手段325は、上り方向制御メッセージの遅延量の分布及び下り方向送信帯域比の変化量の情報をタイミング計算手段327に供給する。タイミング計算手段327は、タイミングをずらすべき量及びどれだけの量ごとにずらして合わせるかを計算し、当該ずらすべき量及びどれだけの量ごとにずらして合わせるかについての情報をタイミング制御手段325に供給する。
【0092】
したがって、本実施の形態において、タイミング計算手段327は調整手段を構成している。下り方向制御メッセージの送信タイミングの調整は、後述する。
【0093】
また、タイミング制御手段325は、上り方向制御メッセージが到着してから下り方向制御メッセージを送信するまでの時間、上り方向制御メッセージの遅延量の分布及び下り方向送信帯域比の変化量の情報を送信帯域算出手段309に供給する。送信帯域算出情報309は、当該情報を下り方向送信帯域比とともに下り方向制御メッセージに入れ、当該下り方向制御メッセージを、送信順序を示すシーケンス番号を付加してSS100に送信する。
【0094】
したがって、本実施の形態において、送信帯域算出手段309は送信手段を構成し、タイミング制御手段325は計時手段を構成している。
【0095】
さらに、タイミング制御手段325は、送信帯域算出手段309に監視間隔の変更及び当該監視間隔を指示し、下り方向制御メッセージの送信時間を監視する。下り方向制御メッセージの送信時間が計算したタイミングに合致すると、タイミング制御手段325は、送信帯域算出手段309に監視間隔を元に戻すように指示する。
【0096】
タイミング調整後、タイミング制御手段325は、上り方向制御メッセージの到着及び下り方向制御メッセージの送信時間を監視し、制御メッセージ到着タイミング計算手段319は、最小の遅延での上り方向制御メッセージの到着タイミングを計算し、制御メッセージ到着遅延記録手段321は、上り方向制御メッセージの遅延量を記録して分布を計算し、帯域比変化量計算手段323は、上り方向送信帯域比の変化量を計算し続ける。
なお、本実施の形態のMN300は、SS100と同様に、IP電話端末40との間において送受信されるIPパケットの順序を、VoIPパケットに含まれるRTPのシーケンス番号を用いてチェックする機能も有している。
【0097】
(制御メッセージの送信タイミングの調整)
次に、SS100の上り方向制御メッセージの送信タイミングの調整及びMN300の下り方向制御メッセージの送信タイミングの調整について説明する。なお、これら制御メッセージの送信タイミングの調整は、SS100側及びMN300側において同様なので、ここではSS100がMN300に制御メッセージを送信する場合を代表して説明する。また、送信タイミングの調整を説明する図4〜7において、制御メッセージの受信タイミングを黒丸で示すとともに、受信メッセージの送信タイミングを白丸で示す。
【0098】
SS100は、シーケンス番号naを付した制御メッセージをMN300に送信し、MN300は、シーケンス番号nbを付した制御メッセージをSS100に送信する。
【0099】
MN300は、制御メッセージを送信する直前に受信したSS100からの制御メッセージのシーケンス番号naを制御メッセージに含めてSS100に送信する(図4のの処理)とともに、受信した制御メッセージ内に含まれるMN300それ自体が送信した制御メッセージのシーケンス番号nbを監視する。
【0100】
同様に、SS100は、制御メッセージを送信する直前に受信したMN300からの制御メッセージのシーケンス番号nbを制御メッセージに含めてMN300に送信する(図4のの処理)とともに、受信した制御メッセージ内に含まれるSS100それ自体が送信した制御メッセージのシーケンス番号naを監視する。
【0101】
SS100は、次に送信する制御メッセージのシーケンス番号naと、直前にMN300から受信した制御メッセージに含まれるSS100それ自体が事前に送信した制御メッセージのシーケンス番号とを比較し、その差が3以上である場合には、遅延が大きいので送信タイミングの調整による効果が少ないと考えられるため、送信タイミングの調整を保留する。
【0102】
それに対して、次に送信する制御メッセージのシーケンス番号naと、直前にMN300から受信した制御メッセージに含まれるSS100それ自体が事前に送信した制御メッセージのシーケンス番号との差が、1又は2である場合には、制御メッセージの送信タイミングの調整を行う。
【0103】
図4に示すような状態の場合、SS100が送信する制御メッセージ(2)のシーケンス番号naは003であり、その直前にMN300から受信した制御メッセージ(1)に含まれるSS100それ自体が以前に送信した制御メッセージのシーケンス番号naは001であるので、次に送信する制御メッセージのシーケンス番号naと、直前にMN300から受信した制御メッセージに含まれるSS100それ自体が事前に送信した制御メッセージのシーケンス番号との差は2となる。
【0104】
図5に示すような状態の場合、SS100が送信する制御メッセージ(4)のシーケンス番号naは002であり、その直前にMN300から受信した制御メッセージ(3)に含まれるSS100それ自体が以前に送信した制御メッセージのシーケンス番号naは001であるので、次に送信する制御メッセージのシーケンス番号naと、直前にMN300から受信した制御メッセージに含まれるSS100それ自体が事前に送信した制御メッセージのシーケンス番号との差は1となる。
【0105】
SS100における制御メッセージのタイミングの調整は、次のようにして行う。
先ず、図4に示すような状態、すなわち、次に送信する制御メッセージのシーケンス番号naと、直前にMN300から受信した制御メッセージに含まれるSS100それ自体が事前に送信した制御メッセージのシーケンス番号との差が2の状態である場合、SS100からMN300への制御メッセージの送信タイミングを調整することによって、図5に示すような状態、すなわち、直前にMN300から受信した制御メッセージに含まれるSS100それ自体が事前に送信した制御メッセージのシーケンス番号との差が1の状態にできるか否かを判定する。
【0106】
図6,7に示すように、SS100において、MN300からの制御メッセージを受信してから次にSS100それ自体の制御メッセージを送信するまでの時間をTaとするとともに、MN300において、SS100からの制御メッセージを受信してから次にMN300それ自体の制御メッセージを送信するまでの時間をTbとする。また、SS100及びMN300における制御メッセージの送信間隔を、共にTc(固定値)とする。
【0107】
Ta+Tb>2Tcの場合、制御メッセージの送信タイミングを調整しても、図5に示すような状態、すなわち、直前にMN300から受信した制御メッセージに含まれるSS100それ自体が事前に送信した制御メッセージのシーケンス番号との差が1の状態にならないので、送信タイミングの調整を保留する。
【0108】
Ta+Tb≦2Tcの場合、制御メッセージの送信タイミングを調整して、図5に示すような状態、すなわち、直前にMN300から受信した制御メッセージに含まれるSS100それ自体が事前に送信した制御メッセージのシーケンス番号との差が1の状態にする。
【0109】
制御メッセージの送信タイミングを調整するに際し、帯域比変化量に応じて時間Ta,Tbの比を決定する。すなわち、SS100からMN300への経路の帯域比変化量をBaとし、MN300からSS100への経路の帯域比変化量をBbとした場合、Ta=Bb/(Ba+Bb)及びTb=Ba/(Ba+Bb)となるように制御メッセージの送信タイミングを調整する。
【0110】
帯域比変化量Ba,Bbはそれぞれ、図8に示すように、送信相手から送信された制御メッセージ内の帯域比を記録し、帯域比の情報を0からNまで取得したとき
【0111】
【数1】

に従って計算することによって求められる。
【0112】
また、図9に示すように、制御メッセージのシーケンス番号と到着時間から、到着タイミングが最も早くなるものを、最小の遅延で制御メッセージが到着するタイミングとして割り出し、その制御時間を、制御メッセージ到着予定時間とする。
【0113】
本実施の形態のSS100によれば、無線IPネットワーク10Aを経由して設定されたマスタ経路と無線IPネットワーク10Bを経由して設定されたスレーブ経路とが利用可能で、使用するリアルタイム性を有するアプリケーションの要求帯域に対して、マスタ経路にて不足した帯域をスレーブ経路を用いて補完して通信を実行する際に、マスタ経路とスレーブ経路との通信帯域比を指示する下り方向制御メッセージを送信する直前に受信した、マスタ経路とスレーブ経路との通信帯域比を指示する上り方向制御メッセージのシーケンス番号を、受信した最新の下り方向制御メッセージから取得し、下り方向制御メッセージから取得した上り方向制御メッセージのシーケンス番号と、次に送信する上り方向制御メッセージのシーケンス番号とを比較し、上り方向制御メッセージの送信タイミングを、比較の結果に基づいて調整している。
【0114】
また、比較の際に、下り方向制御メッセージから取得した上り方向制御メッセージのシーケンス番号と、次に送信する上り方向制御メッセージのシーケンス番号との差分を算出し、差分が2以下である場合、上り方向制御メッセージの送信タイミングを調整する。
【0115】
また、下り方向制御メッセージの受信から上り方向制御メッセージを送信するまでの時間Taを計時し、上り方向制御メッセージを受信してから下り方向制御メッセージを送信するまでの時間Tbを下り方向制御メッセージから取得し、差分が2であるとき、時間Taと時間Tbの和を2で割った値と、時間Tcとを比較し、時間Taと時間Tbの和を2で割った値が時間Tc未満である場合、上り方向制御メッセージの送信タイミングを、次に下り方向制御メッセージを受信した後とし、時間Taと時間Tbの和を2で割った値が時間Tc以上である場合、上り方向制御メッセージの送信タイミングの調整を行わない。
【0116】
さらに、マスタ経路とスレーブ経路の下り方向通信帯域比及び該通信帯域比の変化量である下り方向帯域比変化量を、マスタ経路を介して受信したパケット及びスレーブ経路を介して受信したパケットに基づいて算出し、MN300へのデータの送信に使用されるマスタ経路とスレーブ経路の上り方向通信帯域比の変化量である上り方向帯域比変化量を、下り制御メッセージから取得し、上り方向制御メッセージの送信タイミングを、下り方向帯域比変化量及び上り方向帯域比変化量に基づいて更に調整する。
【0117】
できるだけ新しい通信帯域比の情報に基づいて制御メッセージの送信経路を選択するのが好ましい。本実施の形態のSS100によれば、MN300から受信した下り方向制御メッセージに含まれる上り方向制御メッセージの通信帯域比の情報に基づいて、次にSS100が送信する上り方向制御メッセージの送信経路を選択しているので、経路の状態が大きく変化したとしても、上り方向制御メッセージの送信時に最適な通信帯域比と、MN300から受信した下り方向制御メッセージから判定した通信帯域比とのギャップを小さくすることができる。その結果、マスタ経路にて不足した帯域をスレーブ経路を用いて補完して通信を実行する際に、パケットロスや、遅延の増加や、滞留の発生を抑制することができる。
【0118】
本実施の形態のMN300によれば、無線IPネットワーク10Aを経由して設定されたマスタ経路と無線IPネットワーク10Bを経由して設定されたスレーブ経路とが利用可能で、使用するリアルタイム性を有するアプリケーションの要求帯域に対して、マスタ経路にて不足した帯域をスレーブ経路を用いて補完して通信を実行する際に、マスタ経路とスレーブ経路との通信帯域比を指示する上り方向制御メッセージを送信する直前に受信した、マスタ経路とスレーブ経路との通信帯域比を指示する下り方向制御メッセージのシーケンス番号を、受信した最新の上り方向制御メッセージから取得し、上り方向制御メッセージから取得した下り方向制御メッセージのシーケンス番号と、次に送信する下り方向制御メッセージのシーケンス番号とを比較し、下り方向制御メッセージの送信タイミングを、比較の結果に基づいて調整している。
【0119】
また、比較の際に、上り方向制御メッセージから取得した下り方向制御メッセージのシーケンス番号と、次に送信する下り方向制御メッセージのシーケンス番号との差分を算出し、差分が2以下である場合、下り方向制御メッセージの送信タイミングを調整する。
【0120】
また、上り方向制御メッセージの受信から下り方向制御メッセージを送信するまでの時間Taを計時し、下り方向制御メッセージを受信してから上り方向制御メッセージを送信するまでの時間Tbを上り方向制御メッセージから取得し、差分が2であるとき、時間Taと時間Tbの和を2で割った値と、時間Tcとを比較し、時間Taと時間Tbの和を2で割った値が時間Tc未満である場合、下り方向制御メッセージの送信タイミングを、次に上り方向制御メッセージを受信した後とし、時間Taと時間Tbの和を2で割った値が時間Tc以上である場合、下り方向制御メッセージの送信タイミングの調整を行わない。
【0121】
さらに、マスタ経路とスレーブ経路の上り方向通信帯域比及び該通信帯域比の変化量である上り方向帯域比変化量を、マスタ経路を介して受信したパケット及びスレーブ経路を介して受信したパケットに基づいて算出し、SS100へのデータの送信に使用されるマスタ経路とスレーブ経路の下り方向通信帯域比の変化量である下り方向帯域比変化量を、上り制御メッセージから取得し、下り方向制御メッセージの送信タイミングを、上り方向帯域比変化量及び下り方向帯域比変化量に基づいて更に調整する。
【0122】
できるだけ新しい通信帯域比の情報に基づいて制御メッセージの送信経路を選択するのが好ましい。本実施の形態のMN300によれば、SS100から受信した上り方向制御メッセージに含まれる下り方向制御メッセージの通信帯域比の情報に基づいて、次にMN300が送信する下り方向制御メッセージの送信経路を選択しているので、経路の状態が大きく変化したとしても、下り方向制御メッセージの送信時に最適な通信帯域比と、SS100から受信した上り方向制御メッセージから判定した通信帯域比とのギャップを小さくすることができる。その結果、マスタ経路にて不足した帯域をスレーブ経路を用いて補完して通信を実行する際に、パケットロスや、遅延の増加や、滞留の発生を抑制することができる。
【0123】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変形又は変更が可能である。例えば、通信システム1には、無線IPネットワーク10A及び無線IPネットワーク10Bが含まれていたが、用いる無線IPネットワークは、さらに多くても構わない。また、上述した実施の形態では、上り方向及び下り方向の両方向において、不足する送信帯域が補完されていたが、上り方向或いは下り方向のみの送信帯域を補完する形態としても構わない。さらに、制御メッセージの送出経路は、利用可能な未使用の無線通信経路があれば、この経路を用いることもできる。
【0124】
また、上記実施の形態では、制御メッセージによる送信帯域の制御は、対応する無線経路に限らず、他の無線経路についても互いに補うように同時に実行したり、あるいは更に他の無線経路を有する場合には、その無線経路を新たに用いて狭帯域分を補完したりすることもできる。例えば、SS100において、MN300からの第2下り方向制御メッセージに基づいて無線IPネットワーク10Bに送信するパケットの送信帯域を狭帯域化する場合には、その狭帯域分を補うように無線IPネットワーク10Aに送信するパケットの帯域を増加させるように送信帯域を制御したり、あるいはその狭帯域分を更に他の無線経路で新たに補完するように制御したりすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システムの全体概略構成図である。
【図2】図1に示すSS及びMNの機能ブロック構成図である。
【図3】図1に示す実施の形態に係るIPパケットの構成図である。
【図4】SSとMNとの間の制御メッセージの送受信タイミングを説明するための図である。
【図5】SSとMNとの間の制御メッセージの送受信タイミングを説明するための図である。
【図6】SSとMNとの間の制御メッセージの送受信タイミングを説明するための図である。
【図7】SSとMNとの間の制御メッセージの送受信タイミングを説明するための図である。
【図8】帯域比変化量の計算を説明するための図である。
【図9】制御メッセージ到着タイミングの算出を説明するための図である。
【図10】通信制御装置と無線通信装置との間の制御メッセージの送受信タイミングを説明するための図である。
【符号の説明】
【0126】
1 通信システム
10A,10B 無線IPネットワーク
20 インターネット
40 IP電話端末
100 スイッチングサーバ(SS)
101Rx,103Rx,105Rx,301Rx,303Rx 受信インターフェース部
101Tx,103Tx,105Tx,301Tx,303Tx 送信インターフェース部
107,307 受信パケット監視手段
109,309 送信帯域算出手段
111,311 制御メッセージ解析手段
113,313 パケット送出経路制御手段
115,315 制御メッセージ送出経路制御手段
117,317 送信経路選択手段
119,319 制御メッセージ到着タイミング計算手段
121,321 制御メッセージ到着遅延記録手段
123,323 帯域比変化量計算手段
125,325 タイミング制御手段
127,327 タイミング計算手段
300 モバイルノード(MN)
305 アプリケーション(アプリ)処理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信装置との間で複数の異なる無線通信経路が利用可能で、使用するリアルタイム性を有するアプリケーションの要求帯域に対して、一の無線通信経路にて不足した帯域を他の無線通信経路を用いて補完して、前記無線通信装置と通信先との通信を制御する通信制御装置であって、
前記無線通信装置から所定時間ごとに送信される、前記一の無線通信帯域と前記他の無線通信経路との間の通信帯域比を指示する第1の制御メッセージを受信する受信手段と、
前記一の無線通信帯域と前記他の無線通信経路との間の通信帯域比を指示する第2の制御メッセージを、当該第2の制御メッセージの送信順序を示すシーケンス番号を付加して所定時間ごとに前記無線通信装置に送信する送信手段と、
前記無線通信装置において前記第1の制御メッセージを送信する直前に受信した前記第2の制御メッセージのシーケンス番号を、前記受信手段によって受信した最新の前記第1の制御メッセージから取得する取得手段と、
前記取得手段によって前記第1の制御メッセージから取得した前記第2の制御メッセージのシーケンス番号と、前記送信手段によって次に送信する前記第2の制御メッセージのシーケンス番号とを比較する比較手段と、
前記第2の制御メッセージの送信タイミングを、前記比較手段の比較結果に基づいて調整する調整手段とを具えることを特徴とする通信制御装置。
【請求項2】
前記比較手段は、前記取得手段によって前記第1の制御メッセージから取得した前記第2の制御メッセージのシーケンス番号と、前記送信手段によって次に送信する前記第2の制御メッセージのシーケンス番号との差分を算出し、
前記調整手段は、前記差分が2以下である場合、前記第2の制御メッセージの送信タイミングを調整することを特徴とする請求項1記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記第1の制御メッセージの受信から前記第2の制御メッセージを送信するまでの時間である第1の時間を計時する計時手段を更に具え、
前記取得手段は、前記無線通信装置が前記第2の制御メッセージを受信してから前記第1の制御メッセージを送信するまでの時間である第2の時間を前記第1の制御メッセージから取得し、
前記比較手段は、前記差分が2であるとき、前記第1の時間と前記第2の時間の和を2で割った値と、前記所定の時間とを比較し、
前記調整手段は、前記第1の時間と前記第2の時間の和を2で割った値が前記所定の時間未満である場合、前記第2の制御メッセージの送信タイミングを、次に第1の制御メッセージを受信した後とし、前記第1の時間と前記第2の時間の和を2で割った値が前記所定の時間以上である場合、前記第2の制御メッセージの送信タイミングの調整を行わないことを特徴とする請求項2記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記無線通信装置からのデータの受信に使用される前記一の無線通信経路と前記他の無線通信経路の通信帯域比及び該通信帯域比の変化量である第1の帯域比変化量を、前記一の無線通信経路を介して受信したパケット及び前記他の無線通信経路を介して受信したパケットに基づいて算出する算出手段を更に具え、
前記取得手段は、前記無線通信装置へのデータの送信に使用される前記一の無線通信経路と前記他の無線通信経路の通信帯域比の変化量である第2の帯域比変化量を、前記第1の制御メッセージから取得し、
前記調整手段は、前記第2の制御メッセージの送信タイミングを、前記第1の帯域比変化量及び前記第2の帯域比変化量に基づいて更に調整することを特徴とする請求項3記載の通信制御装置。
【請求項5】
通信制御装置との間で複数の異なる無線通信経路が利用可能で、使用するリアルタイム性を有するアプリケーションの要求帯域に対して、一の無線通信経路にて不足した帯域を他の無線通信経路を用いて補完して、前記通信制御装置を介して通信先と無線通信する無線通信装置であって、
前記通信制御装置から所定時間ごとに送信される、前記一の無線通信帯域と前記他の無線通信経路との間の通信帯域比を指示する第1の制御メッセージを受信する受信手段と、
前記一の無線通信帯域と前記他の無線通信経路との間の通信帯域比を指示する第2の制御メッセージを、当該第2の制御メッセージの送信順序を示すシーケンス番号を付加して所定時間ごとに前記通信制御装置に送信する送信手段と、
前記通信制御装置において前記第1の制御メッセージを送信する直前に受信した前記第2の制御メッセージのシーケンス番号を、前記受信手段によって受信した最新の前記第1の制御メッセージから取得する取得手段と、
前記取得手段によって前記第1の制御メッセージから取得した前記第2の制御メッセージのシーケンス番号と、前記送信手段によって次に送信する前記第2の制御メッセージのシーケンス番号とを比較する比較手段と、
前記第2の制御メッセージの送信タイミングを、前記比較手段の比較結果に基づいて調整する調整手段とを具えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項6】
前記比較手段は、前記取得手段によって前記第1の制御メッセージから取得した前記第2の制御メッセージのシーケンス番号と、前記送信手段によって次に送信する前記第2の制御メッセージのシーケンス番号との差分を算出し、
前記調整手段は、前記差分が2以下である場合、前記第2の制御メッセージの送信タイミングを調整することを特徴とする請求項5記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記第1の制御メッセージの受信から前記第2の制御メッセージを送信するまでの時間である第1の時間を計時する計時手段を更に具え、
前記取得手段は、前記無線通信装置が前記第2の制御メッセージを受信してから前記第1の制御メッセージを送信するまでの時間である第2の時間を前記第1の制御メッセージから取得し、
前記比較手段は、前記差分が2であるとき、前記第1の時間と前記第2の時間の和を2で割った値と、前記所定の時間とを比較し、
前記調整手段は、前記第1の時間と前記第2の時間の和を2で割った値が前記所定の時間未満である場合、前記第2の制御メッセージの送信タイミングを、次に第1の制御メッセージを受信した後とし、前記第1の時間と前記第2の時間の和を2で割った値が前記所定の時間以上である場合、前記第2の制御メッセージの送信タイミングの調整を行わないことを特徴とする請求項6記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記無線通信装置からのデータの受信に使用される前記一の無線通信経路と前記他の無線通信経路の通信帯域比及び該通信帯域比の変化量である第1の帯域比変化量を、前記一の無線通信経路を介して受信したパケット及び前記他の無線通信経路を介して受信したパケットに基づいて算出する算出手段を更に具え、
前記取得手段は、前記無線通信装置へのデータの送信に使用される前記一の無線通信経路と前記他の無線通信経路の通信帯域比の変化量である第2の帯域比変化量を、前記第1の制御メッセージから取得し、
前記調整手段は、前記第2の制御メッセージの送信タイミングを、前記第1の帯域比変化量及び前記第2の帯域比変化量に基づいて更に調整することを特徴とする請求項7記載の無線通信装置。
【請求項9】
無線通信装置との間で複数の異なる無線通信経路が利用可能で、使用するリアルタイム性を有するアプリケーションの要求帯域に対して、一の無線通信経路にて不足した帯域を他の無線通信経路を用いて補完して、前記無線通信装置と通信先との通信を制御する通信制御方法であって、
前記無線通信装置から所定時間ごとに送信される、前記一の無線通信帯域と前記他の無線通信経路との間の通信帯域比を指示する第1の制御メッセージを受信するステップと、
前記一の無線通信帯域と前記他の無線通信経路との間の通信帯域比を指示する第2の制御メッセージを、当該第2の制御メッセージの送信順序を示すシーケンス番号を付加して所定時間ごとに前記無線通信装置に送信するステップと、
前記無線通信装置において前記第1の制御メッセージを送信する直前に受信した前記第2の制御メッセージのシーケンス番号を、受信した最新の前記第1の制御メッセージから取得するステップと、
前記第1の制御メッセージから取得した前記第2の制御メッセージのシーケンス番号と、次に送信する前記第2の制御メッセージのシーケンス番号とを比較するステップと、
前記第2の制御メッセージの送信タイミングを、前記比較の結果に基づいて調整するステップとを具えることを特徴とする通信制御方法。
【請求項10】
通信制御装置との間で複数の異なる無線通信経路が利用可能で、使用するリアルタイム性を有するアプリケーションの要求帯域に対して、一の無線通信経路にて不足した帯域を他の無線通信経路を用いて補完して、前記通信制御装置を介して通信先と無線通信する無線通信方法であって、
前記通信制御装置から所定時間ごとに送信される、前記一の無線通信帯域と前記他の無線通信経路との間の通信帯域比を指示する第1の制御メッセージを受信するステップと、
前記一の無線通信帯域と前記他の無線通信経路との間の通信帯域比を指示する第2の制御メッセージを、当該第2の制御メッセージの送信順序を示すシーケンス番号を付加して所定時間ごとに前記通信制御装置に送信するステップと、
前記通信制御装置において前記第1の制御メッセージを送信する直前に受信した前記第2の制御メッセージのシーケンス番号を、受信した最新の前記第1の制御メッセージから取得するステップと、
前記第1の制御メッセージから取得した前記第2の制御メッセージのシーケンス番号と、次に送信する前記第2の制御メッセージのシーケンス番号とを比較するステップと、
前記第2の制御メッセージの送信タイミングを、前記比較の結果に基づいて調整するステップとを具えることを特徴とする無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−211564(P2008−211564A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46882(P2007−46882)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】