通信制御装置、通信制御方法及び通信制御システム
【課題】セカンダリシステムの運用に際して、スレーブノードから送信される無線信号が過剰な干渉を引き起こすことを未然に防止すること。
【解決手段】第1の無線通信システムのガードエリアの位置に関連する第1の情報、及び前記第1の無線通信システムにより使用される周波数チャネルを利用して二次的に運用される第2の無線通信システムのマスタノードの位置に関連する第2の情報を取得する情報取得部と、前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記第1の無線通信システムのリファレンスポイントと前記マスタノードとの間の間隔が、前記ガードエリアの幅及び前記第2の無線通信システムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定する判定部と、前記間隔が前記条件を満たすと判定された場合に、前記第2の無線通信システムを所与の送信電力で運用させる制御部と、を備える通信制御装置を提供する。
【解決手段】第1の無線通信システムのガードエリアの位置に関連する第1の情報、及び前記第1の無線通信システムにより使用される周波数チャネルを利用して二次的に運用される第2の無線通信システムのマスタノードの位置に関連する第2の情報を取得する情報取得部と、前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記第1の無線通信システムのリファレンスポイントと前記マスタノードとの間の間隔が、前記ガードエリアの幅及び前記第2の無線通信システムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定する判定部と、前記間隔が前記条件を満たすと判定された場合に、前記第2の無線通信システムを所与の送信電力で運用させる制御部と、を備える通信制御装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信制御装置、通信制御方法及び通信制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
将来の周波数リソースの枯渇を緩和するための対策の1つとして、周波数チャネルの二次利用についての議論が進められている。周波数チャネルの二次利用とは、あるシステムに優先的に割当てられている周波数チャネルの一部又は全部を、他のシステムが二次的に利用することをいう。一般的に、周波数チャネルが優先的に割当てられているシステムはプライマリシステム、当該周波数チャネルを二次利用するシステムはセカンダリシステムと呼ばれる。
【0003】
TVホワイトスペースは、二次利用が議論されている周波数チャネルの一例である(非特許文献1参照)。TVホワイトスペースは、プライマリシステムとしてのTV放送システムに割当てられている周波数チャネルのうち、地域に応じて当該TV放送システムにより利用されていないチャネルを指す。このTVホワイトスペースをセカンダリシステムに開放することで、周波数リソースの効率的な活用が実現され得る。TVホワイトスペースの二次利用を可能とするための物理層(PHY)及びMAC層のための標準規格として、例えば、IEEE802.22、IEEE802.11af、及びECMA(European Computer Manufacturer Association)−392(CogNea,下記非特許文献2参照)が挙げられる。
【0004】
周波数チャネルの二次利用に際して、通常、セカンダリシステムには、プライマリシステムに過剰な干渉を与えることのないような運用が求められる。そのための重要な技術の1つが、送信電力制御である。例えば、下記特許文献1は、セカンダリシステムのマスタノードである基地局においてプライマリシステムの受信装置までの経路損失と周波数チャネル間の離隔周波数幅とを算出し、その算出結果に基づいてセカンダリシステムの最大送信電力を決定する、という手法を提案している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「SECOND REPORT AND ORDER AND MEMORANDUM OPINION AND ORDER」、[online]、[2011年8月15日検索]、インターネット<URL:http://hraunfoss.fcc.gov/edocs_public/attachmatch/FCC-08-260A1.pdf>
【非特許文献2】「Standard ECMA-392 MAC and PHY for Operation in TV White Space」、[online]、[2011年8月15日検索]、インターネット<URL:http://www.ecma-international.org/publications/standards/Ecma-392.htm>
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−100452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的には、セカンダリシステムは、セカンダリシステムを主体的に運用する装置であるマスタノードと、マスタノードに接続することによりセカンダリシステムに参加する装置であるスレーブノードとを含む。当然ながら、マスタノードから送信される無線信号のみならず、スレーブノードから送信される無線信号もまたプライマリシステムに干渉を与え得る。しかし、セカンダリシステムの運用開始時にスレーブノードの位置が未知である場合、又はスレーブノードが移動する場合などにおいては、スレーブノードから送信される無線信号の影響を正確に予測することは困難である。また、スレーブノードごとに別々に送信電力を制御しようとすれば、送信電力の制御のための仕組みが複雑化する。
【0008】
従って、セカンダリシステムの運用に際して、スレーブノードから送信される無線信号が過剰な干渉を引き起こすことを未然に防止できる簡易な仕組みが提供されることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示によれば、第1の無線通信システムのガードエリアの位置に関連する第1の情報、及び前記第1の無線通信システムにより使用される周波数チャネルを利用して二次的に運用される第2の無線通信システムのマスタノードの位置に関連する第2の情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得される前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記第1の無線通信システムのリファレンスポイントと前記マスタノードとの間の間隔が、前記ガードエリアの幅及び前記第2の無線通信システムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定する判定部と、前記判定部により前記間隔が前記条件を満たすと判定された場合に、前記第2の無線通信システムを所与の送信電力で運用させる制御部と、を備える通信制御装置が提供される。
【0010】
また、本開示によれば、第1の無線通信システムにより使用される周波数チャネルを利用して二次的に運用される第2の無線通信システムを制御する通信制御装置において、前記第1の無線通信システムのガードエリアの位置に関連する第1の情報、及び前記第2の無線通信システムのマスタノードの位置に関連する第2の情報を取得することと、取得された前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記第1の無線通信システムのリファレンスポイントと前記マスタノードとの間の間隔が前記ガードエリアの幅及び前記第2の無線通信システムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定することと、前記間隔が前記条件を満たすと判定された場合に、前記第2の無線通信システムを所与の送信電力で運用させることと、を含む通信制御方法が提供される。
【0011】
また、本開示によれば、第1の無線通信システムにより使用される周波数チャネルを利用して二次的に運用される第2の無線通信システムのマスタノードと、前記マスタノードによる前記第2の無線通信システムの運用を制御する通信制御装置と、を含み、前記通信制御装置は、前記第1の無線通信システムのガードエリアの位置に関連する第1の情報及び前記マスタノードの位置に関連する第2の情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得される前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記第1の無線通信システムのリファレンスポイントと前記マスタノードとの間の間隔が、前記ガードエリアの幅及び前記第2の無線通信システムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定する判定部と、前記判定部により前記間隔が前記条件を満たすと判定された場合に、前記マスタノードに前記第2の無線通信システムを所与の送信電力で運用させる制御部と、を備える、通信制御システムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、セカンダリシステムの運用に際して、スレーブノードから送信される無線信号が過剰な干渉を引き起こすことを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】二次利用に際してプライマリシステムのノードが受ける干渉について説明するための説明図である。
【図2】チャネル内の干渉及びチャネル間の干渉について説明するための説明図である。
【図3】一実施形態に係る通信制御システムの構成について説明するための説明図である。
【図4】一実施形態に係る通信制御システムにおいて実行される通信制御処理の概略的な流れの一例を示すシーケンス図である。
【図5】一実施形態に係るセカンダリシステムマネージャの構成の一例を示すブロック図である。
【図6】一実施形態において利用される距離に関するパラメータの一例について説明するための説明図である。
【図7A】セカンダリシステムマネージャによる電力割当て処理の例示的な第1のシナリオを示すフローチャートである。
【図7B】セカンダリシステムマネージャによる電力割当て処理の例示的な第2のシナリオを示すフローチャートである。
【図7C】セカンダリシステムマネージャによる電力割当て処理の例示的な第3のシナリオを示すフローチャートである。
【図8】一実施形態に係るセカンダリシステムのマスタノードの構成の一例を示すブロック図である。
【図9】マスタノードによる通信制御処理の流れの第1の例を示すフローチャートである。
【図10】マスタノードによる通信制御処理の流れの第2の例を示すフローチャートである。
【図11】セカンダリシステム間の干渉制御のために利用される距離に関するパラメータの一例について説明するための説明図である。
【図12】セカンダリシステム間の干渉制御のためのセカンダリシステムマネージャによる電力割当て処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
また、以下の順序で説明を行う。
1.システムの概要
1−1.一実施形態に関連する課題
1−2.通信制御システムの概要
2.セカンダリシステムマネージャの構成例
2−1.各部の説明
2−2.処理の流れ
3.マスタノードの構成例
3−1.各部の説明
3−2.処理の流れ
4.セカンダリシステム間の干渉制御への応用
5.まとめ
【0016】
<1.システムの概要>
まず、図1〜図4を参照しながら、一実施形態に関連する課題及び通信制御システムの概要を説明する。
【0017】
[1−1.一実施形態に関連する課題]
図1は、二次利用に際してプライマリシステムのノードが受ける干渉について説明するための説明図である。図1を参照すると、プライマリシステムのサービスを提供するプライマリ送信局10、及び当該プライマリシステムのサービスエリアの内部に位置するプライマリ受信局20が示されている。プライマリ送信局10は、例えば、TV放送の放送局であってもよく、又はセルラ通信方式の無線基地局若しくは中継局であってもよい。セルラ通信方式とは、GSM、UMTS、WCDMA、CDMA2000、LTE、LTE−Advanced、IEEE802.16、WiMAX又はWiMAX2などを含み得る。プライマリ送信局10がTV放送の放送局である場合には、プライマリ受信局20は、TV放送の受信用アンテナ及びチューナを有する受信機である。また、プライマリ送信局10がセルラ通信方式の無線基地局である場合には、プライマリ受信局20は、当該セルラ通信方式に従って動作する無線端末である。図1の例において、プライマリ送信局10には、チャネルF1が割当てられている。プライマリ送信局10は、このチャネルF1上で無線信号を送信することにより、TV放送サービス、無線通信サービス又はその他の何らかの無線サービスを提供する。図1には、プライマリシステムのサービスエリアの境界12及びガードエリアの外縁14も示されている。
【0018】
図1には、さらに、セカンダリシステムをそれぞれ運用するマスタノード200a、200b及び200cが示されている。各マスタノードは、プライマリシステムに割当てられたチャネルF1又は近傍のチャネル(例えば、チャネルF2)を利用して、それぞれセカンダリシステムを運用する。図1の例において、チャネルF1上でマスタノード200aにより運用されるセカンダリシステムに、スレーブノード202aが参加している。チャネルF1上でマスタノード200bにより運用されるセカンダリシステムに、スレーブノード202b及び202cが参加している。チャネルF2上でマスタノード200cにより運用されるセカンダリシステムに、スレーブノード202dが参加している。ここで、セカンダリシステムのマスタノードは、IEEE802.22、IEEE802.11又はECMAなどの無線通信方式に準拠し若しくはそれらを部分的に利用する無線アクセスポイントであってもよく、又はセルラ通信方式に準拠し若しくはその規格を部分的に利用する無線基地局若しくは中継局であってもよい。セカンダリシステムがセルラ通信方式に従って運用される場合、そのセルラ通信方式は、プライマリシステムと同じ方式であってもよく又は異なる方式であってもよい。セカンダリシステムのスレーブノードは、マスタノードと同じ無線通信方式をサポートする無線通信端末である。マスタノード200a、200b及び200cは、同じ無線通信方式に従ってセカンダリシステムを運用してもよく、又は互いに異なる無線通信方式に従ってセカンダリシステムを運用してもよい。セカンダリシステムの少なくともマスタノードは、通常、レギュレーションによってプライマリシステムのガードエリアの内部での動作を禁じられる。また、スレーブノードのガードエリアの内部での動作も禁じられる場合もある。
【0019】
図1のような状況下で、プライマリ受信局20は、セカンダリ送信局(マスタノード及びスレーブノードの双方)から送信される無線信号に起因する干渉の影響を受ける可能性がある。図2は、チャネル内の(In-band)干渉及びチャネル間の干渉について説明するための説明図である。図2の例において、チャネルF1は、プライマリシステムの利用チャネルである。チャネルF2は、チャネルF1に隣接するチャネルである。チャネルF3は、チャネルF2に隣接するチャネルである。チャネルF1とチャネルF2との間、及びチャネルF2とチャネルF3との間には、保護帯域(Guard Band)が設けられる。しかし、これらチャネルF2及びF3をセカンダリステムが利用した場合にも、図2に例示しているように、帯域外輻射を原因として、近傍のチャネル(チャネルF2、F3及び他のチャネルなど)からの無視できない干渉が生じ得る。
【0020】
図1の例では、スレーブノード202aは、マスタノード200aよりもプライマリ受信局20の近くに位置する。そのため、マスタノード200aと同等の送信電力をスレーブノード202aが使用すると、スレーブノード202aからの無線信号がプライマリ受信局20に過剰な干渉を与え得る。一方、スレーブノード202b及び202cは、マスタノード200bよりもプライマリ受信局20から遠くに位置する。そのため、マスタノード200bと同等の送信電力をスレーブノード202b及び202cが使用しても、各スレーブノード202からの無線信号はプライマリ受信局20に過剰な干渉を与えない。スレーブノード202dについても同様である。
【0021】
既存の手法によれば、セカンダリシステムの各マスタノードは、プライマリシステムに与える干渉を抑制するために、セカンダリシステム内のマスタノード及びスレーブノードにより使用される送信電力を制御する。しかし、セカンダリシステムの運用開始時にスレーブノードの位置が未知である場合、又はスレーブノードが移動する場合などにおいて、スレーブノードの出現、移動及び消滅に応じて動的にスレーブノードの送信電力を制御しようとすると、制御の仕組みが極めて複雑になる。また、シグナリングのオーバヘッドも増加してしまう。従って、より簡易な仕組みでプライマリシステムへの干渉を安定的に回避できる仕組みが提供されることが望ましい。
【0022】
[1−2.通信制御システムの概要]
図3は、本開示に係る技術の一実施形態に係る通信制御システム1の構成について説明するための説明図である。図3を参照すると、通信制御システム1は、プライマリ送信局10、データサーバ30、セカンダリシステムマネージャ(SSM)100、並びにマスタノード200を含む。なお、図3の例では1つのマスタノード200のみを示しているが、実際にはより多くのマスタノードが存在してもよい。マスタノード200により運用されるセカンダリシステムに、1つ以上のスレーブノード202が参加する。
【0023】
データサーバ30は、二次利用に関するデータを記憶するデータベースを有するサーバ装置である。データサーバ30は、マスタノード200からのアクセスを受け、二次利用可能なチャネルを表すデータ、及びプライマリシステムの送信局10の位置データなどをマスタノード200に提供する。また、マスタノード200は、二次利用の開始に際して、セカンダリシステムに関する情報をデータサーバ30に登録する。データサーバ30とマスタノード200との間の通信は、例えば、インターネットなどの任意のネットワークを介して行われてよい。このようなデータサーバの仕様の一例については、TVホワイトスペースの二次利用について記述した非特許文献1を参照されたい。
【0024】
セカンダリシステムマネージャ(SSM)100は、周波数チャネルの二次利用を管理するマネージャとしての役割を有する通信制御装置である。SSM100は、セカンダリシステムの運用に起因する干渉がプライマリシステムに過剰な影響を与えないように、各セカンダリシステムに送信電力を割当てる。SSM100は、例えばインターネットなどのネットワークを介してデータサーバ30にアクセス可能であり、送信電力の割当てのために使用するデータを、データサーバ30から取得する。また、SSM100は、各マスタノード200とも通信可能に接続される。そして、SSM100は、マスタノード200若しくはプライマリシステムからの要求に応じて、又は周期的に、セカンダリシステムに送信電力を割当てる。なお、図3の例に限定されず、SSM100は、データサーバ30又はいずれかのマスタノード200と物理的に同一の装置上に実装されてもよい。
【0025】
図4は、通信制御システム1において実行される通信制御処理の概略的な流れの一例を示すシーケンス図である。
【0026】
まず、マスタノード200は、二次利用の開始に際して、セカンダリシステムに関する情報をデータサーバ30に登録する(ステップS10)。ここで登録される情報には、例えば、二次利用を開始する装置のID、クラス及び位置データなどが含まれ得る。また、セカンダリシステムに関する情報の登録に応じて、データサーバ30は、二次利用可能な周波数チャネルのチャネル番号のリスト、許容最大送信電力及びスペクトラムマスクなどのセカンダリシステムの構成のための情報を、マスタノード200に通知する。
【0027】
また、SSM100は、例えば周期的に、データサーバ30からプライマリシステムに関する情報を受信し、受信した情報を用いて自装置が記憶している情報を更新する(ステップS11)。ここで受信される情報は、プライマリ送信局10の位置データ、アンテナ高さ、ガードエリアの幅、周波数チャネルのチャネル番号のリスト、プライマリシステムの許容干渉量、登録済みのマスタノード200のIDのリスト及びその他のパラメータのうちの1つ以上を含み得る。なお、SSM100は、マスタノード200から間接的にプライマリシステムに関する情報の全部又は一部(例えば、チャネル番号のリストなど)を受信してもよい。
【0028】
次に、マスタノード200からSSM100へ電力割当ての要求が送信される(ステップS12)。電力割当ての要求に対して応答が返されると、SSM100とマスタノード200との間で相互認証及びアプリケーションレベルの情報の交換が行われる(ステップS13)。また、マスタノード200からSSM100へ、セカンダリシステムに関する情報が送信される(ステップS14)。ここで送信される情報には、例えば、マスタノード200のID、クラス、位置データ、マスタノード200が選択した周波数チャネル(利用チャネル)のチャネル番号及び所望の通信距離などが含まれ得る。
【0029】
次に、SSM100は、データサーバ30及びマスタノード200から取得した情報に基づいて、電力の割当てを実行する(ステップS15)。ここでのSSM100による電力割当て処理について、後に詳細に説明する。次に、SSM100は、電力割当ての結果をマスタノード200に通知する(ステップS16)。
【0030】
次に、マスタノード200は、SSM100から通知された電力割当ての結果に基づいてセカンダリシステムを構成し、セカンダリシステムの運用を開始する(ステップS17)。また、マスタノード200は、セカンダリシステムの構成の結果をSSM100へ報告する(ステップS18)。SSM100は、マスタノード200からの報告に応じて、自装置が記憶しているセカンダリシステムに関する情報を更新する(ステップS19)。
【0031】
<2.セカンダリシステムマネージャの構成例>
図5は、図3に例示したセカンダリシステムマネージャ(SSM)100の構成の一例を示すブロック図である。図5を参照すると、SSM100は、通信部110、制御部120及び記憶部180を備える。制御部120は、情報取得部130、判定部140及びセカンダリ制御部150を含む。
【0032】
[2−1.各部の説明]
(1)通信部
通信部110は、SSM100によるデータサーバ30及びマスタノード200との間の通信のための通信インタフェースである。SSM100とデータサーバ30及びマスタノード200との間の通信は、それぞれ、有線通信若しくは無線通信又はそれらの組合せのいずれにより実現されてもよい。
【0033】
(2)情報取得部
情報取得部130は、SSM100がセカンダリシステムに送信電力を割当てるために使用する様々な情報を、データサーバ30及びセカンダリシステムのマスタノード200から取得する。例えば、情報取得部130は、データサーバ30からプライマリシステムに関する情報を受信する。プライマリシステムに関する情報には、プライマリシステムのガードエリアの位置に関連する第1の情報が含まれる。また、例えば、情報取得部130は、セカンダリシステムのマスタノード200からセカンダリシステムに関する情報を受信する。セカンダリシステムに関する情報には、マスタノード200の位置に関連する第2の情報が含まれる。そして、情報取得部130は、取得した情報を判定部140へ出力する。
【0034】
(3)判定部
判定部140は、情報取得部130により取得される第1の情報及び第2の情報を用いて、プライマリシステムのリファレンスポイント(基準点)とマスタノード200との間の間隔が、プライマリシステムのガードエリアの幅及びセカンダリシステムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定する。そして、判定部140は、判定の結果をセカンダリ制御部150へ出力する。プライマリシステムのリファレンスポイントとは、典型的には、ガードエリアの外縁14上のマスタノード200から最も近い地点であってよい。その代わりに、リファレンスポイントは、プライマリシステムのサービスエリア又はガードエリア内で定義される任意の地点であってもよい。
【0035】
判定部140により使用される上記条件は、図6に例示する距離に関するパラメータを用いて表現され得る。図6の例において、距離D1は、ガードエリアの幅を表す。距離D2は、上記リファレンスポイントとマスタノード200との間の間隔を表す。本明細書では、かかる間隔D2を余剰距離(Marginal Distance)という。図6には、プライマリシステムの通信距離(例えば、サービスエリアの半径)Rprm、及びセカンダリシステムについて想定される通信距離Rsecも示されている。セカンダリシステムについて想定される通信距離Rsecとは、例えば、マスタノード200からSSM100へ通知されるセカンダリシステムのための所望の通信距離であってもよい。その代わりに、セカンダリシステムについて想定される通信距離Rsecは、SSM100において予め保持されてもよい。SSM100において予め保持される通信距離Rsecとは、例えばセカンダリシステムについての許容通信距離であってよい。
【0036】
図6の例において、ガードエリアの幅D1、余剰距離D2及び通信距離Rsecの間に、例えば次の条件式(1)が成り立つものとする。なお、本明細書において例示する様々な条件式において、等号の代わりに不等号が用いられてもよい。
【0037】
【数1】
【0038】
この場合、セカンダリシステムのサービスエリアのエッジ付近に位置するスレーブノードがマスタノードと同じ送信電力を使用したとしても、スレーブノードから送信される無線信号(図中のSIG)は実質的にプライマリシステムのサービスエリアまで届かない。従って、スレーブノードはマスタノードと同じ送信電力を簡易に使用することができ、スレーブノードのために複雑な送信電力の制御を要しない。
【0039】
なお、プライマリシステムがガードエリアを有しない場合には、ガードエリアの幅D1=0となる。この場合、リファレンスポイントは、プライマリシステムのサービスエリアの外縁12上の任意の地点(典型的には、マスタノード200から最も近い地点)であってよい。プライマリシステムのガードエリアの位置に関連する第1の情報は、プライマリシステムがガードエリアを有しないことを示す情報を含み得る。
【0040】
また、次式のように条件式(1)に重み係数が導入されてもよい。
【0041】
【数2】
【0042】
条件式(2)における重み係数によって条件式(2)の右辺がより大きくなる場合には、干渉のリスクがより低減される。その代わりに、例えばプライマリシステムのサービスエリアのエッジ付近にプライマリ受信局が存在しない場合には、条件式(2)の右辺がより小さくなるように重み係数が設定されてもよい。
【0043】
より一般的には、これら条件式は次のような関数で表現されてよい。
【0044】
【数3】
【0045】
条件式(3)によれば、判定部140は、第1の情報及び第2の情報を用いて、余剰距離D2がガードエリアの幅D1及び通信距離Rsecに応じて設定される閾値Th1を上回るかを判定する。なお、判定部140は、プライマリシステムがガードエリアを有する(即ち、D1>0である)場合に、条件式(1)〜(3)の代わりに、次の条件式(4)又は(5)を用いてもよい。
【0046】
【数4】
【0047】
条件式(4)又は(5)が満たされる場合には、上述した条件式(1)は必ず満たされる。よって、これらの場合にも、セカンダリシステムのサービスエリアのエッジ付近に位置するスレーブノードがマスタノードと同じ送信電力を使用したとしても、スレーブノードから送信される無線信号は実質的にプライマリシステムのサービスエリアまで届かない
【0048】
(4)セカンダリ制御部
セカンダリ制御部150は、マスタノード200との間のシグナリングを通じて、マスタノード200によるセカンダリシステムの運用を制御する。例えば、本実施形態において、セカンダリ制御部150は、マスタノード200についての余剰距離D2が上述した条件を満たす場合に、マスタノード200にセカンダリシステムを所与の送信電力で運用させる。所与の送信電力とは、典型的には、上記通信距離Rsecに対応する(上記通信距離Rsecを達成し得る)送信電力であってよい。ここでの所与の送信電力は、マスタノード200のみならずスレーブノードにも適用され得る。
【0049】
セカンダリ制御部150は、マスタノード200についての余剰距離D2が上述した条件を満たさない場合には、以下に説明する3通りの対応のいずれかを遂行し得る。即ち、第1に、セカンダリ制御部150は、上記通信距離Rsecに対応する送信電力よりも低い送信電力の使用をマスタノード200に指示し得る。第2に、セカンダリ制御部150は、他の周波数チャネルの利用をマスタノード200に推奨し得る。第3に、セカンダリ制御部150は、セカンダリシステムの運用を拒否し得る。第1の対応によれば、セカンダリシステムのサービスエリアはより小さくなるものの、セカンダリシステムの運用を確保することができる。第2の対応によれば、セカンダリシステムのサービスエリアを維持したまま、セカンダリシステムの運用を確保することができる。但し、第2の対応は、利用可能な他の周波数チャネルが存在する場合にのみ有効である。第3の対応によれば、セカンダリシステムの制御が極めて簡易になる。
【0050】
セカンダリ制御部150は、記憶部180を用いて、運用されている各セカンダリシステムについて、マスタノード200の位置、利用チャネル、当該セカンダリシステムに割当てた送信電力及び対応する通信距離などの情報を管理する。各セカンダリシステムのマスタノード200は、セカンダリシステムの構成を完了すると、セカンダリシステムの構成をSSM100へ報告する。そして、セカンダリ制御部150は、セカンダリシステムに割当てた上記所与の送信電力が当該セカンダリシステムにとって過剰であることがマスタノード200から通知された場合には、管理している当該セカンダリシステムについての送信電力及び通信距離をより低い(より短い)値に更新する。それにより、より多くの送信電力を近傍の他のセカンダリシステムに割当てることが可能となる。一方、セカンダリ制御部150は、構成されたセカンダリシステムにおいて使用される送信電力が当該セカンダリシステムに割当てた送信電力よりも大きい場合には、プライマリシステムの保護への違反に対する処置(例えば、警告又は違反デバイスのデータサーバ30への登録など)を遂行する。
【0051】
セカンダリ制御部150は、マスタノード200に、想定される通信距離Rsecの値及びガードエリアの幅D1を通知してもよい。ここでの通信距離Rsecの値は、SSM100において予め保持され得る。それにより、例えばマスタノード200が移動可能である場合に、余剰距離D2が上述した条件を満たすようにマスタノード200を移動させ、マスタノード200によって主体的にセカンダリシステムの運用を確保させることができる。
【0052】
(5)記憶部
記憶部180は、ハードディスク又は半導体メモリなどの記憶媒体を用いて、SSM100の動作のためのプログラム及びデータを記憶する。
【0053】
なお、図5に示したSSM100のこれら構成要素は、一例に過ぎない。即ち、SSM100は、図示されていない構成要素を追加的に備えてもよく、一部の構成要素がSSM100の構成から省略されてもよい。
【0054】
[2−2.処理の流れ]
本項では、SSM100による電力割当て処理の例示的な3つのシナリオについて説明する。
【0055】
(1)第1のシナリオ
図7Aは、本実施形態に係るSSM100による電力割当て処理の第1のシナリオを示すフローチャートである。
【0056】
第1のシナリオにおいて、まず、情報取得部130は、データサーバ30から通信部110により受信されたプライマリシステムに関する情報を取得する(ステップS101)。プライマリシステムに関する情報には、プライマリシステムのガードエリアの位置に関連する第1の情報が含まれる。次に、情報取得部130は、セカンダリシステムのマスタノード200から通信部110により受信されたセカンダリシステムに関する情報を取得する(ステップS102)。セカンダリシステムに関する情報には、マスタノード200の位置に関連する第2の情報が含まれる。
【0057】
次に、判定部140は、取得された第1及び第2の情報を用いて、余剰距離D2がプライマリシステムのガードエリアの幅D1及びセカンダリシステムについて想定される通信距離Rsecに応じた上述した所定の条件(例えば、条件式(1)〜(5)のいずれか)を満たすかを判定する(ステップS103)。余剰距離D2の値は、プライマリシステムのリファレンスポイントとマスタノード200との間の間隔として計算される。プライマリシステムのリファレンスポイントは、例えば、ガードエリアの外縁上のマスタノード200から最も近い地点として、第1及び第2の情報を用いて決定され得る。
【0058】
ステップS103において余剰距離D2が所定の条件を満たすと判定されると、セカンダリ制御部150は、セカンダリシステムに通信距離Rsecに対応する所与の送信電力を割当てる(ステップS104)。そして、セカンダリ制御部150は、マスタノード200にセカンダリシステムの運用を許可する(ステップS105)。
【0059】
次に、セカンダリ制御部150は、セカンダリシステムを構成したマスタノード200から、セカンダリシステムの構成の報告を取得する(ステップS106)。そして、セカンダリ制御部150は、プライマリシステムの保護への違反がないかを検証する(ステップS107)。プライマリシステムの保護への違反がない場合には、セカンダリ制御部150は、記憶部180において管理しているセカンダリシステムに関する情報を更新する(ステップS108)。一方、プライマリシステムの保護への違反がある場合には、セカンダリ制御部150は、違反に対する処置を遂行する(ステップS109)。
【0060】
また、第1のシナリオでは、ステップS103において余剰距離D2が所定の条件を満たさないと判定されると、セカンダリ制御部150は、セカンダリシステムの運用を拒否することをマスタノード200に通知する(ステップS110)。この場合、マスタノード200によってセカンダリシステムの運用は開始されない。
【0061】
(2)第2のシナリオ
図7Bは、本実施形態に係るSSM100による電力割当て処理の第2のシナリオを示すフローチャートである。第2のシナリオにおけるステップS101からステップS109までの処理は、第1のシナリオと同様である。
【0062】
第2のシナリオでは、ステップS103において余剰距離D2が所定の条件を満たさないと判定されると、セカンダリ制御部150は、プライマリシステムに割当てられた周波数チャネルとは異なる他の周波数チャネルの利用を、マスタノード200に推奨する(ステップS111)。マスタノード200が他の周波数チャネルの利用を受け入れる場合には、当該他の周波数チャネル上でセカンダリシステムの運用が開始される。
【0063】
(3)第3のシナリオ
図7Cは、本実施形態に係るSSM100による電力割当て処理の第3のシナリオを示すフローチャートである。第3のシナリオにおけるステップS101からステップS109までの処理は、第1のシナリオ及び第2のシナリオと同様である。
【0064】
第3のシナリオでは、ステップS103において余剰距離D2が所定の条件を満たさないと判定されると、セカンダリ制御部150は、セカンダリシステムに割当て可能な送信電力を計算する(ステップS112)。例えば、割当て可能な送信電力は、セカンダリシステムのサービスエリアのエッジ付近にスレーブノードが位置する場合にも、プライマリシステムのリファレンスポイントにおいて当該スレーブノードからの無線信号の受信電力が許容干渉量以下となるように計算され得る。ここで計算され得る送信電力は、上記通信距離Rsecに対応する送信電力よりも低い値となる。そして、セカンダリ制御部150は、計算した送信電力の使用をマスタノード200に指示する(ステップS113)。指示された送信電力の使用をマスタノード200が受け入れる場合には、当該送信電力を用いて、セカンダリシステムの運用が開始される。
【0065】
<3.マスタノードの構成例>
図8は、セカンダリシステムのマスタノード200の構成の一例を示すブロック図である。図8を参照すると、マスタノード200は、ネットワーク通信部210、無線通信部215、制御部220及び記憶部280を備える。制御部220は、電力制御部250、情報取得部260及び判定部270を含む。
【0066】
[3−1.各部の説明]
(1)ネットワーク通信部
ネットワーク通信部210は、マスタノード200によるデータサーバ30及びSSM100との間の通信のための通信インタフェースである。マスタノード200とデータサーバ30及びSSM100との間の通信は、それぞれ、有線通信若しくは無線通信又はそれらの組合せのいずれにより実現されてもよい。
【0067】
(2)無線通信部
無線通信部215は、マスタノード200により運用されるセカンダリシステムに参加する1つ以上のスレーブノードとの間で無線通信を行う通信インタフェースである。例えば、無線通信部215は、後述する電力制御部250により設定される送信電力で、ビーコン又はリファレンス信号などの制御信号をブロードキャストする。当該制御信号には、送信電力の設定値を示す制御情報が含められる。スレーブノードは、当該制御信号を受信すると、マスタノード200と同じ送信電力を使用して、マスタノード200により運用されるセカンダリシステムに参加し得る。
【0068】
(3)電力制御部
電力制御部250は、マスタノード200により運用されるセカンダリシステムの送信電力を制御する。本実施形態において、電力制御部250は、セカンダリシステムの運用を開始する前に、データサーバ30にセカンダリシステムに関する情報を登録する。そして、電力制御部250は、例えばデータサーバ30から提供される二次利用可能な周波数チャネルのチャネル番号のリストから、セカンダリシステムのために利用するチャネルを選択する。そして、電力制御部250は、SSM100に送信電力の割当てを要求する。電力制御部250は、送信電力の割当てのためにSSM100により使用されるセカンダリシステムに関する情報を、SSM100に提供する。SSM100に提供される情報には、GPS(Global Positioning System)センサなどの測位センサ(図示せず)により測定され又は記憶部280により予め保持されるマスタノード200の位置情報が含まれ得る。また、SSM100に提供される情報には、運用しようとするセカンダリシステムのための所望の通信距離が含まれてもよい。そして、電力制御部250は、SSM100によりセカンダリシステムの運用が許可され、割当てられた送信電力が通知されると、無線通信部215に当該送信電力を設定し、セカンダリシステムの運用を開始する。
【0069】
電力制御部250は、SSM100により割当てられた送信電力が過剰である場合には、SSM100により割当てられた送信電力の代わりに、より低い送信電力でセカンダリシステムを構成してもよい。その場合には、電力制御部250は、セカンダリシステムの構成の報告において、実際に使用される送信電力の値をSSM100に通知する。
【0070】
また、電力制御部250は、SSM100から所望の通信距離に対応する送信電力よりも低い送信電力の使用が指示され、又は利用チャネルの変更が推奨されると、これら指示又は推奨を受け入れるかを判定する。これら指示又は推奨を受け入れた場合に所望の通信サービスを実現できない場合には、セカンダリシステムの運用は中止され得る。一方、これら指示又は推奨を受け入れても所望の通信サービスを実現できる場合には、電力制御部250は、指示された送信電力で又は他の周波数チャネル上で、セカンダリシステムの運用を開始してよい。
【0071】
(4)情報取得部
情報取得部260及び判定部270は、余剰距離D2についてのマスタノード200における条件の判定のために任意に設けられ得る。情報取得部260は、SSM100から、プライマリシステムのガードエリアの位置に関連する第1の情報を取得する。また、情報取得部260は、測位センサにより測定され又は記憶部280により予め保持されるマスタノード200の位置に関連する第2の情報を取得する。そして、情報取得部260は、取得した情報を判定部270へ出力する。
【0072】
(5)判定部
判定部270は、情報取得部260により取得される第1の情報及び第2の情報を用いて、マスタノード200についての余剰距離D2がガードエリアの幅D1及びセカンダリシステムについて想定される通信距離Rsecに応じた条件を満たすかを判定する。ここでのセカンダリシステムについて想定される通信距離Rsecとは、例えば、セカンダリシステムのための所望の通信距離であってもよい。その代わりに、セカンダリシステムについて想定される通信距離Rsecとは、SSM100からマスタノード200へ通知されるセカンダリシステムについての通信距離(例えば、許容通信距離)であってもよい。判定部270により使用される上記条件は、例えば、上述した条件式(1)〜(5)のいずれかにより表される条件であってよい。即ち、判定部270は、第1の情報及び第2の情報を用いて、余剰距離D2がガードエリアの幅D1及び通信距離Rsecに応じて設定される閾値を上回るかを判定する。そして、判定部270は、判定の結果を電力制御部250へ出力する。
【0073】
電力制御部250は、余剰距離D2が上記条件を満たすと判定部270により判定されると、通信距離Rsecに対応する送信電力を用いてセカンダリシステムを構成し得る。一方、電力制御部250は、余剰距離D2が上記条件を満たさないと判定部270により判定されると、マスタノード200が移動した後に、又は通信距離を短縮した上で、判定部270に再度余剰距離D2についての条件の判定を行わせる。このように、余剰距離D2についての条件の判定がマスタノード200において行われる場合には、SSM100における余剰距離D2についての判定は省略されてもよい。
【0074】
(6)記憶部
記憶部280は、ハードディスク又は半導体メモリなどの記憶媒体を用いて、マスタノード200の動作のためのプログラム及びデータを記憶する。
【0075】
[3−2.処理の流れ]
本項では、上述したマスタノード200による通信制御処理の流れの2つの例を説明する。第1の例では、余剰距離D2についての判定がSSM100により行われる。第2の例では、余剰距離D2についての判定がマスタノード200により行われる。
【0076】
(1)SSMによる条件判定
図9は、マスタノード200による通信制御処理の流れの第1の例を示すフローチャートである。まず、電力制御部250は、送信電力の割当てをSSM100に要求し(ステップS201)、セカンダリシステムに関する情報をSSM100に送信する(ステップS202)。ここで送信される情報には、マスタノード200の位置情報、セカンダリシステムのための所望の通信距離及び利用チャネルなどの情報が含まれ得る。
【0077】
次に、電力制御部250は、SSM100からの応答が受信されると、セカンダリシステムの運用が許可されたかを判定する(ステップS203)。セカンダリシステムの運用が許可された場合には、電力制御部250は、さらに、割当てられた送信電力は適切であるかを判定する(ステップS204)。例えば、電力制御部250は、過剰な送信電力が割当てられた場合には、所望の通信距離を達成する独自の送信電力を無線通信部215に設定し得る(ステップS205)。一方、電力制御部250は、割当てられた送信電力が適切である場合には、当該割当てられた送信電力を無線通信部215に設定する(ステップS206)。
【0078】
ステップS203において、セカンダリシステムの運用が許可されなかった場合には、電力制御部250は、より低い送信電力で又は他の周波数チャネル上でセカンダリシステムを運用するかを判定する(ステップS207)。より低い送信電力で又は他の周波数チャネル上でセカンダリシステムを運用する場合には、電力制御部250は、より低い送信電力又は新たな周波数チャネルを無線通信部215に設定する(ステップS208)。
【0079】
ステップS205、ステップS206又はステップS208において送信電力及び周波数チャネルが設定されると、マスタノード200は、セカンダリシステムの運用を開始する(ステップS209)。そして、電力制御部250は、セカンダリシステムの構成をSSM100へ報告する(ステップS210)。
【0080】
(2)マスタノードによる条件判定
図10は、マスタノード200による通信制御処理の流れの第2の例を示すフローチャートである。まず、情報取得部260は、SSM100からプライマリシステムのガードエリアの位置に関連する第1の情報を取得する(ステップS221)。また、情報取得部260は、マスタノード200の位置に関連する第2の情報を取得する(ステップS222)。
【0081】
次に、判定部270は、取得された第1の情報及び第2の情報を用いて、マスタノード200についての余剰距離D2がガードエリアの幅D1及びセカンダリシステムについて想定される通信距離Rsecに応じた条件を満たすかを判定する(ステップS223)。ここで、余剰距離D2が上記条件を満たす場合には、電力制御部250は、通信距離Rsecに対応する送信電力を無線通信部215に設定する(ステップS224)。そして、マスタノード200は、セカンダリシステムの運用を開始する(ステップS225)。一方、ステップS223において余剰距離D2が上記条件を満たさない場合には、通信距離Rsecがより短い値に変更され、又はマスタノード200の移動に応じてマスタノード200の位置が更新され得る(ステップS226)。その後、判定部270により再度ステップS223の判定が行われ得る。
【0082】
<4.セカンダリシステム間の干渉制御への応用>
上述した実施形態では、プライマリシステムのリファレンスポイントとマスタノード200との間の間隔に相当する余剰距離D2についての条件判定を経て、マスタノード及びスレーブノードにより共通的に使用可能な送信電力がセカンダリシステムに簡易に割当てられる。それにより、スレーブノードから送信される無線信号がプライマリ受信局に過剰な干渉を与えることが未然に防止される。このような仕組みは、本節で説明するように、セカンダリシステム間の干渉の防止のためにも応用可能である。
【0083】
図11は、セカンダリシステム間の干渉制御のために利用される距離に関するパラメータの一例について説明するための説明図である。図11には、送信電力の割当て対象のセカンダリシステムについて想定される通信距離RsecA及び当該セカンダリシステムの近傍のセカンダリシステム(以下、近傍システムという)の通信距離RsecBが示されている。距離D3は、近傍システムについて暫定的に設定されるガードエリアの幅を表す。近傍システムについてのガードエリアの幅D3は、固定値として予め定義されてもよい。その代わりに、近傍システムについてのガードエリアの幅D3は、例えば当該近傍システムの通信距離RsecBに一定の割合を乗じることにより、可変的に決定されてもよい。距離D2は、暫定的に設定されるガードエリアの外縁上(D3=0とする場合には、サービスエリアの外縁上)のリファレンスポイントとマスタノード200との間の間隔に相当する余剰距離である。
【0084】
図11の例において、余剰距離D2、ガードエリアの幅D3及び通信距離Rsecの間に次の条件式(6)が成り立つ場合には、スレーブノードがマスタノードと同じ送信電力を使用したとしても、当該スレーブノードから送信される無線信号は実質的に近傍システムのサービスエリアまで届かない。
【0085】
【数5】
【0086】
従って、スレーブノードはマスタノードと同じ送信電力を簡易に使用することができ、スレーブノードのために複雑な送信電力の制御を要しない。また、次式のように条件式(6)に重み係数が導入されてもよい。
【0087】
【数6】
【0088】
より一般的には、これら条件式は次のような関数で表現されてよい。
【0089】
【数7】
【0090】
条件式(8)によれば、SSM100の判定部140は、余剰距離D2が近傍システムに暫定的に設定されるガードエリアの幅D3及び通信距離Rsecに応じて設定される閾値Th3を上回るかを判定する。そして、余剰距離D2が閾値Th3を上回る場合には、セカンダリ制御部150は、マスタノード200にセカンダリシステムを所与の送信電力で運用させる。所与の送信電力とは、典型的には、上記通信距離Rsecに対応する送信電力であってよい。ここでの所与の送信電力は、マスタノード200のみならずスレーブノードにも適用され得る。なお、判定部140は、D3>0である場合に、条件式(6)〜(8)の代わりに、次の条件式(9)又は(10)を用いてもよい。
【0091】
【数8】
【0092】
図12は、セカンダリシステム間の干渉制御のためのSSM100による電力割当て処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0093】
図12を参照すると、まず、情報取得部130は、送信電力の割当て対象のマスタノード200から、セカンダリシステムに関する情報を取得する(ステップS301)。ここで取得される情報には、マスタノード200の位置に関連する第2の情報が含まれる。次に、情報取得部130は、記憶部180において管理されている近傍システムに関する情報を取得する(ステップS302)。ここで取得される情報には、近傍システムにガードエリアを設定するために使用されるサービスエリアの位置に関連する第1の情報(例えば、近傍システムのマスタノードの位置及び通信距離を示す情報)が含まれる。そして、判定部140は、近傍システムに暫定的にガードエリアを設定する(ステップS303)。
【0094】
次に、判定部140は、マスタノード200についての余剰距離D2が近傍システムのガードエリアの幅D3及びセカンダリシステムについて想定される通信距離Rsecに応じた上述した所定の条件(例えば、条件式(6)〜(10)のいずれか)を満たすかを判定する(ステップS304)。
【0095】
ステップS304において余剰距離D2が所定の条件を満たすと判定されると、セカンダリ制御部150は、セカンダリシステムに通信距離Rsecに対応する所与の送信電力を割当てる(ステップS305)。そして、セカンダリ制御部150は、マスタノード200にセカンダリシステムの運用を許可する(ステップS306)。
【0096】
一方、ステップS304において余剰距離D2が所定の条件を満たさないと判定されると、セカンダリ制御部150は、割当て可能な送信電力を計算する(ステップS306)。例えば、割当て可能な送信電力は、セカンダリシステムのサービスエリアのエッジ付近にスレーブノードが位置する場合にも、近傍システムのリファレンスポイントにおいて当該スレーブノードからの無線信号の受信電力が許容干渉量以下となるように計算され得る。ここで計算され得る送信電力は、上記通信距離Rsecに対応する送信電力よりも低い値となる。そして、セカンダリ制御部150は、計算した送信電力の使用をマスタノード200に指示する(ステップS307)。なお、ステップS306及びS307の代わりに、近傍システムに割当てられた周波数チャネルとは異なる他の周波数チャネルの利用が推奨されてもよく、又はセカンダリシステムの運用が拒否されてもよい。
【0097】
その後、セカンダリ制御部150は、セカンダリシステムを構成したマスタノード200から、セカンダリシステムの構成の報告を取得する(ステップS308)。そして、セカンダリ制御部150は、記憶部180において管理しているセカンダリシステムに関する情報を更新する(ステップS309)
【0098】
<5.まとめ>
ここまで、図1〜図12を用いて、本開示に係る技術の一実施形態及びその応用例について詳細に説明した。本実施形態によれば、プライマリシステム又は近傍システムのリファレンスポイントとセカンダリシステムのマスタノードとの間の間隔に相当する余剰距離が、ガードエリアの幅及び当該セカンダリシステムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかが判定され、当該条件が満たされる場合にセカンダリシステムが所与の送信電力で運用される。それにより、セカンダリシステムのスレーブノードがマスタノードと同等の送信電力を使用したとしても、当該スレーブノードから送信される無線信号が過剰な干渉を引き起こすことが防止される。従って、マスタノードに割当てられる送信電力と同等の送信電力をスレーブノードに簡易に使用させることが可能となる。これは、マスタノード及びスレーブノードのそれぞれのために複雑な送信電力の計算の仕組みを設ける必要性がなくなることを意味する。よって、セカンダリシステムの導入は容易となる。また、セカンダリシステムの運用開始時にスレーブノードの位置が未定であっても、スレーブノードから送信される無線信号が過剰な干渉を引き起こすことを防止することができる。
【0099】
上記想定される通信距離は、マスタノードからセカンダリシステムマネージャへ通知される所望の距離であってもよい。その場合には、上記条件が満たされる場合に、マスタノードにとっての所望の通信距離に対応する送信電力をセカンダリシステムに簡易に割当てることができる。また、上記想定される通信距離は、セカンダリシステムマネージャにおいて記憶媒体を用いて予め記憶される通信距離であってもよい。その場合には、上記条件が満たされる場合に、当該通信距離に対応する送信電力をセカンダリシステムに簡易に割当てることができる。
【0100】
上記条件が満たされないと判定された場合には、上記想定される通信距離に対応する送信電力よりも低い送信電力の使用がマスタノードに指示され得る。従って、セカンダリシステムマネージャは、上記条件が満たされない場合にのみ、マスタノードの位置及び経路損失等を考慮した送信電力の詳細な計算を実行することができる。即ち、セカンダリシステムマネージャの計算の負荷が抑制され得る。
【0101】
また、上記余剰距離についての判定は、セカンダリシステムマネージャの代わりにセカンダリシステムのマスタノードが行ってもよい。その場合には、マスタノード(又はマスタノードを設置する事業者)が主体的にセカンダリシステムの構成を調整することができる。また、セカンダリシステムマネージャの負荷を抑制し、マネージャとマスタノードとの間のシグナリングのオーバヘッドを低減することができる。
【0102】
なお、本明細書において説明した各装置による一連の制御処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記憶媒体に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、実行時にRAM(Random Access Memory)に読み込まれ、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにより実行される。
【0103】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0104】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
第1の無線通信システムのガードエリアの位置に関連する第1の情報、及び前記第1の無線通信システムにより使用される周波数チャネルを利用して二次的に運用される第2の無線通信システムのマスタノードの位置に関連する第2の情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得される前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記第1の無線通信システムのリファレンスポイントと前記マスタノードとの間の間隔が、前記ガードエリアの幅及び前記第2の無線通信システムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定する判定部と、
前記判定部により前記間隔が前記条件を満たすと判定された場合に、前記第2の無線通信システムを所与の送信電力で運用させる制御部と、
を備える通信制御装置。
(2)
前記通信制御装置は、前記周波数チャネルの二次利用を管理するマネージャであり、
前記通信距離は、前記マスタノードから前記マネージャへ通知される所望の距離である、
前記(1)に記載の通信制御装置。
(3)
前記通信制御装置は、前記周波数チャネルの二次利用を管理するマネージャであり、
前記通信距離は、前記通信制御装置において予め保持されるセカンダリシステムについての通信距離である、
前記(1)に記載の通信制御装置。
(4)
前記制御部は、前記判定部により前記条件が満たされないと判定された場合には、前記通信距離に対応する送信電力よりも低い送信電力の使用を前記マスタノードに指示する、前記(2)又は前記(3)に記載の通信制御装置。
(5)
前記制御部は、前記判定部により前記条件が満たされないと判定された場合には、他の周波数チャネルの利用を前記マスタノードに推奨する、前記(2)又は前記(3)に記載の通信制御装置。
(6)
前記制御部は、前記判定部により前記条件が満たされないと判定された場合には、前記第2の無線通信システムの運用を許可しない、前記(2)又は前記(3)に記載の通信制御装置。
(7)
前記通信制御装置は、前記マスタノードであり、
前記通信距離は、前記周波数チャネルの二次利用を管理するマネージャから前記マスタノードへ通知されるセカンダリシステムについての通信距離である、
前記(1)に記載の通信制御装置。
(8)
前記通信制御装置は、前記周波数チャネルの二次利用を管理するマネージャであり、
前記制御部は、前記判定部により前記条件が満たされると判定された後、前記所与の送信電力が前記第2の無線通信システムにとって過剰であることが前記マスタノードから通知された場合には、前記所与の送信電力をより低い値に更新する、
前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の通信制御装置。
(9)
前記第1の無線通信システムは、プライマリシステムであり、
前記第2の無線通信システムは、セカンダリシステムである、
前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の通信制御装置。
(10)
前記第1の無線通信システム及び前記第2の無線通信システムの各々は、プライマリシステムに割当てられた周波数チャネルを利用して二次的に運用されるセカンダリシステムである、前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の通信制御装置。
(11)
前記第1の無線通信システムの前記ガードエリアの幅は、固定値又は前記第1の無線通信システムの通信距離に応じて決定される可変の値である、前記(10)に記載の通信制御装置。
(12)
前記リファレンスポイントは、前記ガードエリアの外縁上、又は前記第1の無線通信システムがガードエリアを有しない場合には前記第1の無線通信システムのサービスエリアの外縁上に存在する、前記(1)〜(11)のいずれか1項に記載の通信制御装置。
(13)
前記条件は、前記間隔と前記第2の無線通信システムについて想定される前記通信距離の2倍から前記ガードエリアの幅を引いた差との比較に基づく条件である、前記(12)に記載の通信制御装置。
(14)
第1の無線通信システムにより使用される周波数チャネルを利用して二次的に運用される第2の無線通信システムを制御する通信制御装置において、
前記第1の無線通信システムのガードエリアの位置に関連する第1の情報、及び前記第2の無線通信システムのマスタノードの位置に関連する第2の情報を取得することと、
取得された前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記第1の無線通信システムのリファレンスポイントと前記マスタノードとの間の間隔が前記ガードエリアの幅及び前記第2の無線通信システムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定することと、
前記間隔が前記条件を満たすと判定された場合に、前記第2の無線通信システムを所与の送信電力で運用させることと、
を含む通信制御方法。
(15)
第1の無線通信システムにより使用される周波数チャネルを利用して二次的に運用される第2の無線通信システムのマスタノードと、
前記マスタノードによる前記第2の無線通信システムの運用を制御する通信制御装置と、
を含み、
前記通信制御装置は、
前記第1の無線通信システムのガードエリアの位置に関連する第1の情報及び前記マスタノードの位置に関連する第2の情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得される前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記第1の無線通信システムのリファレンスポイントと前記マスタノードとの間の間隔が、前記ガードエリアの幅及び前記第2の無線通信システムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定する判定部と、
前記判定部により前記間隔が前記条件を満たすと判定された場合に、前記マスタノードに前記第2の無線通信システムを所与の送信電力で運用させる制御部と、
を備える、
通信制御システム。
【符号の説明】
【0105】
1 通信制御システム
30 データサーバ
100 通信制御装置(セカンダリシステムマネージャ)
130 情報取得部
140 判定部
150 制御部
200 通信制御装置(マスタノード)
250 制御部
260 情報取得部
270 判定部
202 スレーブノード
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信制御装置、通信制御方法及び通信制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
将来の周波数リソースの枯渇を緩和するための対策の1つとして、周波数チャネルの二次利用についての議論が進められている。周波数チャネルの二次利用とは、あるシステムに優先的に割当てられている周波数チャネルの一部又は全部を、他のシステムが二次的に利用することをいう。一般的に、周波数チャネルが優先的に割当てられているシステムはプライマリシステム、当該周波数チャネルを二次利用するシステムはセカンダリシステムと呼ばれる。
【0003】
TVホワイトスペースは、二次利用が議論されている周波数チャネルの一例である(非特許文献1参照)。TVホワイトスペースは、プライマリシステムとしてのTV放送システムに割当てられている周波数チャネルのうち、地域に応じて当該TV放送システムにより利用されていないチャネルを指す。このTVホワイトスペースをセカンダリシステムに開放することで、周波数リソースの効率的な活用が実現され得る。TVホワイトスペースの二次利用を可能とするための物理層(PHY)及びMAC層のための標準規格として、例えば、IEEE802.22、IEEE802.11af、及びECMA(European Computer Manufacturer Association)−392(CogNea,下記非特許文献2参照)が挙げられる。
【0004】
周波数チャネルの二次利用に際して、通常、セカンダリシステムには、プライマリシステムに過剰な干渉を与えることのないような運用が求められる。そのための重要な技術の1つが、送信電力制御である。例えば、下記特許文献1は、セカンダリシステムのマスタノードである基地局においてプライマリシステムの受信装置までの経路損失と周波数チャネル間の離隔周波数幅とを算出し、その算出結果に基づいてセカンダリシステムの最大送信電力を決定する、という手法を提案している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「SECOND REPORT AND ORDER AND MEMORANDUM OPINION AND ORDER」、[online]、[2011年8月15日検索]、インターネット<URL:http://hraunfoss.fcc.gov/edocs_public/attachmatch/FCC-08-260A1.pdf>
【非特許文献2】「Standard ECMA-392 MAC and PHY for Operation in TV White Space」、[online]、[2011年8月15日検索]、インターネット<URL:http://www.ecma-international.org/publications/standards/Ecma-392.htm>
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−100452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的には、セカンダリシステムは、セカンダリシステムを主体的に運用する装置であるマスタノードと、マスタノードに接続することによりセカンダリシステムに参加する装置であるスレーブノードとを含む。当然ながら、マスタノードから送信される無線信号のみならず、スレーブノードから送信される無線信号もまたプライマリシステムに干渉を与え得る。しかし、セカンダリシステムの運用開始時にスレーブノードの位置が未知である場合、又はスレーブノードが移動する場合などにおいては、スレーブノードから送信される無線信号の影響を正確に予測することは困難である。また、スレーブノードごとに別々に送信電力を制御しようとすれば、送信電力の制御のための仕組みが複雑化する。
【0008】
従って、セカンダリシステムの運用に際して、スレーブノードから送信される無線信号が過剰な干渉を引き起こすことを未然に防止できる簡易な仕組みが提供されることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示によれば、第1の無線通信システムのガードエリアの位置に関連する第1の情報、及び前記第1の無線通信システムにより使用される周波数チャネルを利用して二次的に運用される第2の無線通信システムのマスタノードの位置に関連する第2の情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得される前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記第1の無線通信システムのリファレンスポイントと前記マスタノードとの間の間隔が、前記ガードエリアの幅及び前記第2の無線通信システムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定する判定部と、前記判定部により前記間隔が前記条件を満たすと判定された場合に、前記第2の無線通信システムを所与の送信電力で運用させる制御部と、を備える通信制御装置が提供される。
【0010】
また、本開示によれば、第1の無線通信システムにより使用される周波数チャネルを利用して二次的に運用される第2の無線通信システムを制御する通信制御装置において、前記第1の無線通信システムのガードエリアの位置に関連する第1の情報、及び前記第2の無線通信システムのマスタノードの位置に関連する第2の情報を取得することと、取得された前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記第1の無線通信システムのリファレンスポイントと前記マスタノードとの間の間隔が前記ガードエリアの幅及び前記第2の無線通信システムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定することと、前記間隔が前記条件を満たすと判定された場合に、前記第2の無線通信システムを所与の送信電力で運用させることと、を含む通信制御方法が提供される。
【0011】
また、本開示によれば、第1の無線通信システムにより使用される周波数チャネルを利用して二次的に運用される第2の無線通信システムのマスタノードと、前記マスタノードによる前記第2の無線通信システムの運用を制御する通信制御装置と、を含み、前記通信制御装置は、前記第1の無線通信システムのガードエリアの位置に関連する第1の情報及び前記マスタノードの位置に関連する第2の情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得される前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記第1の無線通信システムのリファレンスポイントと前記マスタノードとの間の間隔が、前記ガードエリアの幅及び前記第2の無線通信システムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定する判定部と、前記判定部により前記間隔が前記条件を満たすと判定された場合に、前記マスタノードに前記第2の無線通信システムを所与の送信電力で運用させる制御部と、を備える、通信制御システムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、セカンダリシステムの運用に際して、スレーブノードから送信される無線信号が過剰な干渉を引き起こすことを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】二次利用に際してプライマリシステムのノードが受ける干渉について説明するための説明図である。
【図2】チャネル内の干渉及びチャネル間の干渉について説明するための説明図である。
【図3】一実施形態に係る通信制御システムの構成について説明するための説明図である。
【図4】一実施形態に係る通信制御システムにおいて実行される通信制御処理の概略的な流れの一例を示すシーケンス図である。
【図5】一実施形態に係るセカンダリシステムマネージャの構成の一例を示すブロック図である。
【図6】一実施形態において利用される距離に関するパラメータの一例について説明するための説明図である。
【図7A】セカンダリシステムマネージャによる電力割当て処理の例示的な第1のシナリオを示すフローチャートである。
【図7B】セカンダリシステムマネージャによる電力割当て処理の例示的な第2のシナリオを示すフローチャートである。
【図7C】セカンダリシステムマネージャによる電力割当て処理の例示的な第3のシナリオを示すフローチャートである。
【図8】一実施形態に係るセカンダリシステムのマスタノードの構成の一例を示すブロック図である。
【図9】マスタノードによる通信制御処理の流れの第1の例を示すフローチャートである。
【図10】マスタノードによる通信制御処理の流れの第2の例を示すフローチャートである。
【図11】セカンダリシステム間の干渉制御のために利用される距離に関するパラメータの一例について説明するための説明図である。
【図12】セカンダリシステム間の干渉制御のためのセカンダリシステムマネージャによる電力割当て処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
また、以下の順序で説明を行う。
1.システムの概要
1−1.一実施形態に関連する課題
1−2.通信制御システムの概要
2.セカンダリシステムマネージャの構成例
2−1.各部の説明
2−2.処理の流れ
3.マスタノードの構成例
3−1.各部の説明
3−2.処理の流れ
4.セカンダリシステム間の干渉制御への応用
5.まとめ
【0016】
<1.システムの概要>
まず、図1〜図4を参照しながら、一実施形態に関連する課題及び通信制御システムの概要を説明する。
【0017】
[1−1.一実施形態に関連する課題]
図1は、二次利用に際してプライマリシステムのノードが受ける干渉について説明するための説明図である。図1を参照すると、プライマリシステムのサービスを提供するプライマリ送信局10、及び当該プライマリシステムのサービスエリアの内部に位置するプライマリ受信局20が示されている。プライマリ送信局10は、例えば、TV放送の放送局であってもよく、又はセルラ通信方式の無線基地局若しくは中継局であってもよい。セルラ通信方式とは、GSM、UMTS、WCDMA、CDMA2000、LTE、LTE−Advanced、IEEE802.16、WiMAX又はWiMAX2などを含み得る。プライマリ送信局10がTV放送の放送局である場合には、プライマリ受信局20は、TV放送の受信用アンテナ及びチューナを有する受信機である。また、プライマリ送信局10がセルラ通信方式の無線基地局である場合には、プライマリ受信局20は、当該セルラ通信方式に従って動作する無線端末である。図1の例において、プライマリ送信局10には、チャネルF1が割当てられている。プライマリ送信局10は、このチャネルF1上で無線信号を送信することにより、TV放送サービス、無線通信サービス又はその他の何らかの無線サービスを提供する。図1には、プライマリシステムのサービスエリアの境界12及びガードエリアの外縁14も示されている。
【0018】
図1には、さらに、セカンダリシステムをそれぞれ運用するマスタノード200a、200b及び200cが示されている。各マスタノードは、プライマリシステムに割当てられたチャネルF1又は近傍のチャネル(例えば、チャネルF2)を利用して、それぞれセカンダリシステムを運用する。図1の例において、チャネルF1上でマスタノード200aにより運用されるセカンダリシステムに、スレーブノード202aが参加している。チャネルF1上でマスタノード200bにより運用されるセカンダリシステムに、スレーブノード202b及び202cが参加している。チャネルF2上でマスタノード200cにより運用されるセカンダリシステムに、スレーブノード202dが参加している。ここで、セカンダリシステムのマスタノードは、IEEE802.22、IEEE802.11又はECMAなどの無線通信方式に準拠し若しくはそれらを部分的に利用する無線アクセスポイントであってもよく、又はセルラ通信方式に準拠し若しくはその規格を部分的に利用する無線基地局若しくは中継局であってもよい。セカンダリシステムがセルラ通信方式に従って運用される場合、そのセルラ通信方式は、プライマリシステムと同じ方式であってもよく又は異なる方式であってもよい。セカンダリシステムのスレーブノードは、マスタノードと同じ無線通信方式をサポートする無線通信端末である。マスタノード200a、200b及び200cは、同じ無線通信方式に従ってセカンダリシステムを運用してもよく、又は互いに異なる無線通信方式に従ってセカンダリシステムを運用してもよい。セカンダリシステムの少なくともマスタノードは、通常、レギュレーションによってプライマリシステムのガードエリアの内部での動作を禁じられる。また、スレーブノードのガードエリアの内部での動作も禁じられる場合もある。
【0019】
図1のような状況下で、プライマリ受信局20は、セカンダリ送信局(マスタノード及びスレーブノードの双方)から送信される無線信号に起因する干渉の影響を受ける可能性がある。図2は、チャネル内の(In-band)干渉及びチャネル間の干渉について説明するための説明図である。図2の例において、チャネルF1は、プライマリシステムの利用チャネルである。チャネルF2は、チャネルF1に隣接するチャネルである。チャネルF3は、チャネルF2に隣接するチャネルである。チャネルF1とチャネルF2との間、及びチャネルF2とチャネルF3との間には、保護帯域(Guard Band)が設けられる。しかし、これらチャネルF2及びF3をセカンダリステムが利用した場合にも、図2に例示しているように、帯域外輻射を原因として、近傍のチャネル(チャネルF2、F3及び他のチャネルなど)からの無視できない干渉が生じ得る。
【0020】
図1の例では、スレーブノード202aは、マスタノード200aよりもプライマリ受信局20の近くに位置する。そのため、マスタノード200aと同等の送信電力をスレーブノード202aが使用すると、スレーブノード202aからの無線信号がプライマリ受信局20に過剰な干渉を与え得る。一方、スレーブノード202b及び202cは、マスタノード200bよりもプライマリ受信局20から遠くに位置する。そのため、マスタノード200bと同等の送信電力をスレーブノード202b及び202cが使用しても、各スレーブノード202からの無線信号はプライマリ受信局20に過剰な干渉を与えない。スレーブノード202dについても同様である。
【0021】
既存の手法によれば、セカンダリシステムの各マスタノードは、プライマリシステムに与える干渉を抑制するために、セカンダリシステム内のマスタノード及びスレーブノードにより使用される送信電力を制御する。しかし、セカンダリシステムの運用開始時にスレーブノードの位置が未知である場合、又はスレーブノードが移動する場合などにおいて、スレーブノードの出現、移動及び消滅に応じて動的にスレーブノードの送信電力を制御しようとすると、制御の仕組みが極めて複雑になる。また、シグナリングのオーバヘッドも増加してしまう。従って、より簡易な仕組みでプライマリシステムへの干渉を安定的に回避できる仕組みが提供されることが望ましい。
【0022】
[1−2.通信制御システムの概要]
図3は、本開示に係る技術の一実施形態に係る通信制御システム1の構成について説明するための説明図である。図3を参照すると、通信制御システム1は、プライマリ送信局10、データサーバ30、セカンダリシステムマネージャ(SSM)100、並びにマスタノード200を含む。なお、図3の例では1つのマスタノード200のみを示しているが、実際にはより多くのマスタノードが存在してもよい。マスタノード200により運用されるセカンダリシステムに、1つ以上のスレーブノード202が参加する。
【0023】
データサーバ30は、二次利用に関するデータを記憶するデータベースを有するサーバ装置である。データサーバ30は、マスタノード200からのアクセスを受け、二次利用可能なチャネルを表すデータ、及びプライマリシステムの送信局10の位置データなどをマスタノード200に提供する。また、マスタノード200は、二次利用の開始に際して、セカンダリシステムに関する情報をデータサーバ30に登録する。データサーバ30とマスタノード200との間の通信は、例えば、インターネットなどの任意のネットワークを介して行われてよい。このようなデータサーバの仕様の一例については、TVホワイトスペースの二次利用について記述した非特許文献1を参照されたい。
【0024】
セカンダリシステムマネージャ(SSM)100は、周波数チャネルの二次利用を管理するマネージャとしての役割を有する通信制御装置である。SSM100は、セカンダリシステムの運用に起因する干渉がプライマリシステムに過剰な影響を与えないように、各セカンダリシステムに送信電力を割当てる。SSM100は、例えばインターネットなどのネットワークを介してデータサーバ30にアクセス可能であり、送信電力の割当てのために使用するデータを、データサーバ30から取得する。また、SSM100は、各マスタノード200とも通信可能に接続される。そして、SSM100は、マスタノード200若しくはプライマリシステムからの要求に応じて、又は周期的に、セカンダリシステムに送信電力を割当てる。なお、図3の例に限定されず、SSM100は、データサーバ30又はいずれかのマスタノード200と物理的に同一の装置上に実装されてもよい。
【0025】
図4は、通信制御システム1において実行される通信制御処理の概略的な流れの一例を示すシーケンス図である。
【0026】
まず、マスタノード200は、二次利用の開始に際して、セカンダリシステムに関する情報をデータサーバ30に登録する(ステップS10)。ここで登録される情報には、例えば、二次利用を開始する装置のID、クラス及び位置データなどが含まれ得る。また、セカンダリシステムに関する情報の登録に応じて、データサーバ30は、二次利用可能な周波数チャネルのチャネル番号のリスト、許容最大送信電力及びスペクトラムマスクなどのセカンダリシステムの構成のための情報を、マスタノード200に通知する。
【0027】
また、SSM100は、例えば周期的に、データサーバ30からプライマリシステムに関する情報を受信し、受信した情報を用いて自装置が記憶している情報を更新する(ステップS11)。ここで受信される情報は、プライマリ送信局10の位置データ、アンテナ高さ、ガードエリアの幅、周波数チャネルのチャネル番号のリスト、プライマリシステムの許容干渉量、登録済みのマスタノード200のIDのリスト及びその他のパラメータのうちの1つ以上を含み得る。なお、SSM100は、マスタノード200から間接的にプライマリシステムに関する情報の全部又は一部(例えば、チャネル番号のリストなど)を受信してもよい。
【0028】
次に、マスタノード200からSSM100へ電力割当ての要求が送信される(ステップS12)。電力割当ての要求に対して応答が返されると、SSM100とマスタノード200との間で相互認証及びアプリケーションレベルの情報の交換が行われる(ステップS13)。また、マスタノード200からSSM100へ、セカンダリシステムに関する情報が送信される(ステップS14)。ここで送信される情報には、例えば、マスタノード200のID、クラス、位置データ、マスタノード200が選択した周波数チャネル(利用チャネル)のチャネル番号及び所望の通信距離などが含まれ得る。
【0029】
次に、SSM100は、データサーバ30及びマスタノード200から取得した情報に基づいて、電力の割当てを実行する(ステップS15)。ここでのSSM100による電力割当て処理について、後に詳細に説明する。次に、SSM100は、電力割当ての結果をマスタノード200に通知する(ステップS16)。
【0030】
次に、マスタノード200は、SSM100から通知された電力割当ての結果に基づいてセカンダリシステムを構成し、セカンダリシステムの運用を開始する(ステップS17)。また、マスタノード200は、セカンダリシステムの構成の結果をSSM100へ報告する(ステップS18)。SSM100は、マスタノード200からの報告に応じて、自装置が記憶しているセカンダリシステムに関する情報を更新する(ステップS19)。
【0031】
<2.セカンダリシステムマネージャの構成例>
図5は、図3に例示したセカンダリシステムマネージャ(SSM)100の構成の一例を示すブロック図である。図5を参照すると、SSM100は、通信部110、制御部120及び記憶部180を備える。制御部120は、情報取得部130、判定部140及びセカンダリ制御部150を含む。
【0032】
[2−1.各部の説明]
(1)通信部
通信部110は、SSM100によるデータサーバ30及びマスタノード200との間の通信のための通信インタフェースである。SSM100とデータサーバ30及びマスタノード200との間の通信は、それぞれ、有線通信若しくは無線通信又はそれらの組合せのいずれにより実現されてもよい。
【0033】
(2)情報取得部
情報取得部130は、SSM100がセカンダリシステムに送信電力を割当てるために使用する様々な情報を、データサーバ30及びセカンダリシステムのマスタノード200から取得する。例えば、情報取得部130は、データサーバ30からプライマリシステムに関する情報を受信する。プライマリシステムに関する情報には、プライマリシステムのガードエリアの位置に関連する第1の情報が含まれる。また、例えば、情報取得部130は、セカンダリシステムのマスタノード200からセカンダリシステムに関する情報を受信する。セカンダリシステムに関する情報には、マスタノード200の位置に関連する第2の情報が含まれる。そして、情報取得部130は、取得した情報を判定部140へ出力する。
【0034】
(3)判定部
判定部140は、情報取得部130により取得される第1の情報及び第2の情報を用いて、プライマリシステムのリファレンスポイント(基準点)とマスタノード200との間の間隔が、プライマリシステムのガードエリアの幅及びセカンダリシステムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定する。そして、判定部140は、判定の結果をセカンダリ制御部150へ出力する。プライマリシステムのリファレンスポイントとは、典型的には、ガードエリアの外縁14上のマスタノード200から最も近い地点であってよい。その代わりに、リファレンスポイントは、プライマリシステムのサービスエリア又はガードエリア内で定義される任意の地点であってもよい。
【0035】
判定部140により使用される上記条件は、図6に例示する距離に関するパラメータを用いて表現され得る。図6の例において、距離D1は、ガードエリアの幅を表す。距離D2は、上記リファレンスポイントとマスタノード200との間の間隔を表す。本明細書では、かかる間隔D2を余剰距離(Marginal Distance)という。図6には、プライマリシステムの通信距離(例えば、サービスエリアの半径)Rprm、及びセカンダリシステムについて想定される通信距離Rsecも示されている。セカンダリシステムについて想定される通信距離Rsecとは、例えば、マスタノード200からSSM100へ通知されるセカンダリシステムのための所望の通信距離であってもよい。その代わりに、セカンダリシステムについて想定される通信距離Rsecは、SSM100において予め保持されてもよい。SSM100において予め保持される通信距離Rsecとは、例えばセカンダリシステムについての許容通信距離であってよい。
【0036】
図6の例において、ガードエリアの幅D1、余剰距離D2及び通信距離Rsecの間に、例えば次の条件式(1)が成り立つものとする。なお、本明細書において例示する様々な条件式において、等号の代わりに不等号が用いられてもよい。
【0037】
【数1】
【0038】
この場合、セカンダリシステムのサービスエリアのエッジ付近に位置するスレーブノードがマスタノードと同じ送信電力を使用したとしても、スレーブノードから送信される無線信号(図中のSIG)は実質的にプライマリシステムのサービスエリアまで届かない。従って、スレーブノードはマスタノードと同じ送信電力を簡易に使用することができ、スレーブノードのために複雑な送信電力の制御を要しない。
【0039】
なお、プライマリシステムがガードエリアを有しない場合には、ガードエリアの幅D1=0となる。この場合、リファレンスポイントは、プライマリシステムのサービスエリアの外縁12上の任意の地点(典型的には、マスタノード200から最も近い地点)であってよい。プライマリシステムのガードエリアの位置に関連する第1の情報は、プライマリシステムがガードエリアを有しないことを示す情報を含み得る。
【0040】
また、次式のように条件式(1)に重み係数が導入されてもよい。
【0041】
【数2】
【0042】
条件式(2)における重み係数によって条件式(2)の右辺がより大きくなる場合には、干渉のリスクがより低減される。その代わりに、例えばプライマリシステムのサービスエリアのエッジ付近にプライマリ受信局が存在しない場合には、条件式(2)の右辺がより小さくなるように重み係数が設定されてもよい。
【0043】
より一般的には、これら条件式は次のような関数で表現されてよい。
【0044】
【数3】
【0045】
条件式(3)によれば、判定部140は、第1の情報及び第2の情報を用いて、余剰距離D2がガードエリアの幅D1及び通信距離Rsecに応じて設定される閾値Th1を上回るかを判定する。なお、判定部140は、プライマリシステムがガードエリアを有する(即ち、D1>0である)場合に、条件式(1)〜(3)の代わりに、次の条件式(4)又は(5)を用いてもよい。
【0046】
【数4】
【0047】
条件式(4)又は(5)が満たされる場合には、上述した条件式(1)は必ず満たされる。よって、これらの場合にも、セカンダリシステムのサービスエリアのエッジ付近に位置するスレーブノードがマスタノードと同じ送信電力を使用したとしても、スレーブノードから送信される無線信号は実質的にプライマリシステムのサービスエリアまで届かない
【0048】
(4)セカンダリ制御部
セカンダリ制御部150は、マスタノード200との間のシグナリングを通じて、マスタノード200によるセカンダリシステムの運用を制御する。例えば、本実施形態において、セカンダリ制御部150は、マスタノード200についての余剰距離D2が上述した条件を満たす場合に、マスタノード200にセカンダリシステムを所与の送信電力で運用させる。所与の送信電力とは、典型的には、上記通信距離Rsecに対応する(上記通信距離Rsecを達成し得る)送信電力であってよい。ここでの所与の送信電力は、マスタノード200のみならずスレーブノードにも適用され得る。
【0049】
セカンダリ制御部150は、マスタノード200についての余剰距離D2が上述した条件を満たさない場合には、以下に説明する3通りの対応のいずれかを遂行し得る。即ち、第1に、セカンダリ制御部150は、上記通信距離Rsecに対応する送信電力よりも低い送信電力の使用をマスタノード200に指示し得る。第2に、セカンダリ制御部150は、他の周波数チャネルの利用をマスタノード200に推奨し得る。第3に、セカンダリ制御部150は、セカンダリシステムの運用を拒否し得る。第1の対応によれば、セカンダリシステムのサービスエリアはより小さくなるものの、セカンダリシステムの運用を確保することができる。第2の対応によれば、セカンダリシステムのサービスエリアを維持したまま、セカンダリシステムの運用を確保することができる。但し、第2の対応は、利用可能な他の周波数チャネルが存在する場合にのみ有効である。第3の対応によれば、セカンダリシステムの制御が極めて簡易になる。
【0050】
セカンダリ制御部150は、記憶部180を用いて、運用されている各セカンダリシステムについて、マスタノード200の位置、利用チャネル、当該セカンダリシステムに割当てた送信電力及び対応する通信距離などの情報を管理する。各セカンダリシステムのマスタノード200は、セカンダリシステムの構成を完了すると、セカンダリシステムの構成をSSM100へ報告する。そして、セカンダリ制御部150は、セカンダリシステムに割当てた上記所与の送信電力が当該セカンダリシステムにとって過剰であることがマスタノード200から通知された場合には、管理している当該セカンダリシステムについての送信電力及び通信距離をより低い(より短い)値に更新する。それにより、より多くの送信電力を近傍の他のセカンダリシステムに割当てることが可能となる。一方、セカンダリ制御部150は、構成されたセカンダリシステムにおいて使用される送信電力が当該セカンダリシステムに割当てた送信電力よりも大きい場合には、プライマリシステムの保護への違反に対する処置(例えば、警告又は違反デバイスのデータサーバ30への登録など)を遂行する。
【0051】
セカンダリ制御部150は、マスタノード200に、想定される通信距離Rsecの値及びガードエリアの幅D1を通知してもよい。ここでの通信距離Rsecの値は、SSM100において予め保持され得る。それにより、例えばマスタノード200が移動可能である場合に、余剰距離D2が上述した条件を満たすようにマスタノード200を移動させ、マスタノード200によって主体的にセカンダリシステムの運用を確保させることができる。
【0052】
(5)記憶部
記憶部180は、ハードディスク又は半導体メモリなどの記憶媒体を用いて、SSM100の動作のためのプログラム及びデータを記憶する。
【0053】
なお、図5に示したSSM100のこれら構成要素は、一例に過ぎない。即ち、SSM100は、図示されていない構成要素を追加的に備えてもよく、一部の構成要素がSSM100の構成から省略されてもよい。
【0054】
[2−2.処理の流れ]
本項では、SSM100による電力割当て処理の例示的な3つのシナリオについて説明する。
【0055】
(1)第1のシナリオ
図7Aは、本実施形態に係るSSM100による電力割当て処理の第1のシナリオを示すフローチャートである。
【0056】
第1のシナリオにおいて、まず、情報取得部130は、データサーバ30から通信部110により受信されたプライマリシステムに関する情報を取得する(ステップS101)。プライマリシステムに関する情報には、プライマリシステムのガードエリアの位置に関連する第1の情報が含まれる。次に、情報取得部130は、セカンダリシステムのマスタノード200から通信部110により受信されたセカンダリシステムに関する情報を取得する(ステップS102)。セカンダリシステムに関する情報には、マスタノード200の位置に関連する第2の情報が含まれる。
【0057】
次に、判定部140は、取得された第1及び第2の情報を用いて、余剰距離D2がプライマリシステムのガードエリアの幅D1及びセカンダリシステムについて想定される通信距離Rsecに応じた上述した所定の条件(例えば、条件式(1)〜(5)のいずれか)を満たすかを判定する(ステップS103)。余剰距離D2の値は、プライマリシステムのリファレンスポイントとマスタノード200との間の間隔として計算される。プライマリシステムのリファレンスポイントは、例えば、ガードエリアの外縁上のマスタノード200から最も近い地点として、第1及び第2の情報を用いて決定され得る。
【0058】
ステップS103において余剰距離D2が所定の条件を満たすと判定されると、セカンダリ制御部150は、セカンダリシステムに通信距離Rsecに対応する所与の送信電力を割当てる(ステップS104)。そして、セカンダリ制御部150は、マスタノード200にセカンダリシステムの運用を許可する(ステップS105)。
【0059】
次に、セカンダリ制御部150は、セカンダリシステムを構成したマスタノード200から、セカンダリシステムの構成の報告を取得する(ステップS106)。そして、セカンダリ制御部150は、プライマリシステムの保護への違反がないかを検証する(ステップS107)。プライマリシステムの保護への違反がない場合には、セカンダリ制御部150は、記憶部180において管理しているセカンダリシステムに関する情報を更新する(ステップS108)。一方、プライマリシステムの保護への違反がある場合には、セカンダリ制御部150は、違反に対する処置を遂行する(ステップS109)。
【0060】
また、第1のシナリオでは、ステップS103において余剰距離D2が所定の条件を満たさないと判定されると、セカンダリ制御部150は、セカンダリシステムの運用を拒否することをマスタノード200に通知する(ステップS110)。この場合、マスタノード200によってセカンダリシステムの運用は開始されない。
【0061】
(2)第2のシナリオ
図7Bは、本実施形態に係るSSM100による電力割当て処理の第2のシナリオを示すフローチャートである。第2のシナリオにおけるステップS101からステップS109までの処理は、第1のシナリオと同様である。
【0062】
第2のシナリオでは、ステップS103において余剰距離D2が所定の条件を満たさないと判定されると、セカンダリ制御部150は、プライマリシステムに割当てられた周波数チャネルとは異なる他の周波数チャネルの利用を、マスタノード200に推奨する(ステップS111)。マスタノード200が他の周波数チャネルの利用を受け入れる場合には、当該他の周波数チャネル上でセカンダリシステムの運用が開始される。
【0063】
(3)第3のシナリオ
図7Cは、本実施形態に係るSSM100による電力割当て処理の第3のシナリオを示すフローチャートである。第3のシナリオにおけるステップS101からステップS109までの処理は、第1のシナリオ及び第2のシナリオと同様である。
【0064】
第3のシナリオでは、ステップS103において余剰距離D2が所定の条件を満たさないと判定されると、セカンダリ制御部150は、セカンダリシステムに割当て可能な送信電力を計算する(ステップS112)。例えば、割当て可能な送信電力は、セカンダリシステムのサービスエリアのエッジ付近にスレーブノードが位置する場合にも、プライマリシステムのリファレンスポイントにおいて当該スレーブノードからの無線信号の受信電力が許容干渉量以下となるように計算され得る。ここで計算され得る送信電力は、上記通信距離Rsecに対応する送信電力よりも低い値となる。そして、セカンダリ制御部150は、計算した送信電力の使用をマスタノード200に指示する(ステップS113)。指示された送信電力の使用をマスタノード200が受け入れる場合には、当該送信電力を用いて、セカンダリシステムの運用が開始される。
【0065】
<3.マスタノードの構成例>
図8は、セカンダリシステムのマスタノード200の構成の一例を示すブロック図である。図8を参照すると、マスタノード200は、ネットワーク通信部210、無線通信部215、制御部220及び記憶部280を備える。制御部220は、電力制御部250、情報取得部260及び判定部270を含む。
【0066】
[3−1.各部の説明]
(1)ネットワーク通信部
ネットワーク通信部210は、マスタノード200によるデータサーバ30及びSSM100との間の通信のための通信インタフェースである。マスタノード200とデータサーバ30及びSSM100との間の通信は、それぞれ、有線通信若しくは無線通信又はそれらの組合せのいずれにより実現されてもよい。
【0067】
(2)無線通信部
無線通信部215は、マスタノード200により運用されるセカンダリシステムに参加する1つ以上のスレーブノードとの間で無線通信を行う通信インタフェースである。例えば、無線通信部215は、後述する電力制御部250により設定される送信電力で、ビーコン又はリファレンス信号などの制御信号をブロードキャストする。当該制御信号には、送信電力の設定値を示す制御情報が含められる。スレーブノードは、当該制御信号を受信すると、マスタノード200と同じ送信電力を使用して、マスタノード200により運用されるセカンダリシステムに参加し得る。
【0068】
(3)電力制御部
電力制御部250は、マスタノード200により運用されるセカンダリシステムの送信電力を制御する。本実施形態において、電力制御部250は、セカンダリシステムの運用を開始する前に、データサーバ30にセカンダリシステムに関する情報を登録する。そして、電力制御部250は、例えばデータサーバ30から提供される二次利用可能な周波数チャネルのチャネル番号のリストから、セカンダリシステムのために利用するチャネルを選択する。そして、電力制御部250は、SSM100に送信電力の割当てを要求する。電力制御部250は、送信電力の割当てのためにSSM100により使用されるセカンダリシステムに関する情報を、SSM100に提供する。SSM100に提供される情報には、GPS(Global Positioning System)センサなどの測位センサ(図示せず)により測定され又は記憶部280により予め保持されるマスタノード200の位置情報が含まれ得る。また、SSM100に提供される情報には、運用しようとするセカンダリシステムのための所望の通信距離が含まれてもよい。そして、電力制御部250は、SSM100によりセカンダリシステムの運用が許可され、割当てられた送信電力が通知されると、無線通信部215に当該送信電力を設定し、セカンダリシステムの運用を開始する。
【0069】
電力制御部250は、SSM100により割当てられた送信電力が過剰である場合には、SSM100により割当てられた送信電力の代わりに、より低い送信電力でセカンダリシステムを構成してもよい。その場合には、電力制御部250は、セカンダリシステムの構成の報告において、実際に使用される送信電力の値をSSM100に通知する。
【0070】
また、電力制御部250は、SSM100から所望の通信距離に対応する送信電力よりも低い送信電力の使用が指示され、又は利用チャネルの変更が推奨されると、これら指示又は推奨を受け入れるかを判定する。これら指示又は推奨を受け入れた場合に所望の通信サービスを実現できない場合には、セカンダリシステムの運用は中止され得る。一方、これら指示又は推奨を受け入れても所望の通信サービスを実現できる場合には、電力制御部250は、指示された送信電力で又は他の周波数チャネル上で、セカンダリシステムの運用を開始してよい。
【0071】
(4)情報取得部
情報取得部260及び判定部270は、余剰距離D2についてのマスタノード200における条件の判定のために任意に設けられ得る。情報取得部260は、SSM100から、プライマリシステムのガードエリアの位置に関連する第1の情報を取得する。また、情報取得部260は、測位センサにより測定され又は記憶部280により予め保持されるマスタノード200の位置に関連する第2の情報を取得する。そして、情報取得部260は、取得した情報を判定部270へ出力する。
【0072】
(5)判定部
判定部270は、情報取得部260により取得される第1の情報及び第2の情報を用いて、マスタノード200についての余剰距離D2がガードエリアの幅D1及びセカンダリシステムについて想定される通信距離Rsecに応じた条件を満たすかを判定する。ここでのセカンダリシステムについて想定される通信距離Rsecとは、例えば、セカンダリシステムのための所望の通信距離であってもよい。その代わりに、セカンダリシステムについて想定される通信距離Rsecとは、SSM100からマスタノード200へ通知されるセカンダリシステムについての通信距離(例えば、許容通信距離)であってもよい。判定部270により使用される上記条件は、例えば、上述した条件式(1)〜(5)のいずれかにより表される条件であってよい。即ち、判定部270は、第1の情報及び第2の情報を用いて、余剰距離D2がガードエリアの幅D1及び通信距離Rsecに応じて設定される閾値を上回るかを判定する。そして、判定部270は、判定の結果を電力制御部250へ出力する。
【0073】
電力制御部250は、余剰距離D2が上記条件を満たすと判定部270により判定されると、通信距離Rsecに対応する送信電力を用いてセカンダリシステムを構成し得る。一方、電力制御部250は、余剰距離D2が上記条件を満たさないと判定部270により判定されると、マスタノード200が移動した後に、又は通信距離を短縮した上で、判定部270に再度余剰距離D2についての条件の判定を行わせる。このように、余剰距離D2についての条件の判定がマスタノード200において行われる場合には、SSM100における余剰距離D2についての判定は省略されてもよい。
【0074】
(6)記憶部
記憶部280は、ハードディスク又は半導体メモリなどの記憶媒体を用いて、マスタノード200の動作のためのプログラム及びデータを記憶する。
【0075】
[3−2.処理の流れ]
本項では、上述したマスタノード200による通信制御処理の流れの2つの例を説明する。第1の例では、余剰距離D2についての判定がSSM100により行われる。第2の例では、余剰距離D2についての判定がマスタノード200により行われる。
【0076】
(1)SSMによる条件判定
図9は、マスタノード200による通信制御処理の流れの第1の例を示すフローチャートである。まず、電力制御部250は、送信電力の割当てをSSM100に要求し(ステップS201)、セカンダリシステムに関する情報をSSM100に送信する(ステップS202)。ここで送信される情報には、マスタノード200の位置情報、セカンダリシステムのための所望の通信距離及び利用チャネルなどの情報が含まれ得る。
【0077】
次に、電力制御部250は、SSM100からの応答が受信されると、セカンダリシステムの運用が許可されたかを判定する(ステップS203)。セカンダリシステムの運用が許可された場合には、電力制御部250は、さらに、割当てられた送信電力は適切であるかを判定する(ステップS204)。例えば、電力制御部250は、過剰な送信電力が割当てられた場合には、所望の通信距離を達成する独自の送信電力を無線通信部215に設定し得る(ステップS205)。一方、電力制御部250は、割当てられた送信電力が適切である場合には、当該割当てられた送信電力を無線通信部215に設定する(ステップS206)。
【0078】
ステップS203において、セカンダリシステムの運用が許可されなかった場合には、電力制御部250は、より低い送信電力で又は他の周波数チャネル上でセカンダリシステムを運用するかを判定する(ステップS207)。より低い送信電力で又は他の周波数チャネル上でセカンダリシステムを運用する場合には、電力制御部250は、より低い送信電力又は新たな周波数チャネルを無線通信部215に設定する(ステップS208)。
【0079】
ステップS205、ステップS206又はステップS208において送信電力及び周波数チャネルが設定されると、マスタノード200は、セカンダリシステムの運用を開始する(ステップS209)。そして、電力制御部250は、セカンダリシステムの構成をSSM100へ報告する(ステップS210)。
【0080】
(2)マスタノードによる条件判定
図10は、マスタノード200による通信制御処理の流れの第2の例を示すフローチャートである。まず、情報取得部260は、SSM100からプライマリシステムのガードエリアの位置に関連する第1の情報を取得する(ステップS221)。また、情報取得部260は、マスタノード200の位置に関連する第2の情報を取得する(ステップS222)。
【0081】
次に、判定部270は、取得された第1の情報及び第2の情報を用いて、マスタノード200についての余剰距離D2がガードエリアの幅D1及びセカンダリシステムについて想定される通信距離Rsecに応じた条件を満たすかを判定する(ステップS223)。ここで、余剰距離D2が上記条件を満たす場合には、電力制御部250は、通信距離Rsecに対応する送信電力を無線通信部215に設定する(ステップS224)。そして、マスタノード200は、セカンダリシステムの運用を開始する(ステップS225)。一方、ステップS223において余剰距離D2が上記条件を満たさない場合には、通信距離Rsecがより短い値に変更され、又はマスタノード200の移動に応じてマスタノード200の位置が更新され得る(ステップS226)。その後、判定部270により再度ステップS223の判定が行われ得る。
【0082】
<4.セカンダリシステム間の干渉制御への応用>
上述した実施形態では、プライマリシステムのリファレンスポイントとマスタノード200との間の間隔に相当する余剰距離D2についての条件判定を経て、マスタノード及びスレーブノードにより共通的に使用可能な送信電力がセカンダリシステムに簡易に割当てられる。それにより、スレーブノードから送信される無線信号がプライマリ受信局に過剰な干渉を与えることが未然に防止される。このような仕組みは、本節で説明するように、セカンダリシステム間の干渉の防止のためにも応用可能である。
【0083】
図11は、セカンダリシステム間の干渉制御のために利用される距離に関するパラメータの一例について説明するための説明図である。図11には、送信電力の割当て対象のセカンダリシステムについて想定される通信距離RsecA及び当該セカンダリシステムの近傍のセカンダリシステム(以下、近傍システムという)の通信距離RsecBが示されている。距離D3は、近傍システムについて暫定的に設定されるガードエリアの幅を表す。近傍システムについてのガードエリアの幅D3は、固定値として予め定義されてもよい。その代わりに、近傍システムについてのガードエリアの幅D3は、例えば当該近傍システムの通信距離RsecBに一定の割合を乗じることにより、可変的に決定されてもよい。距離D2は、暫定的に設定されるガードエリアの外縁上(D3=0とする場合には、サービスエリアの外縁上)のリファレンスポイントとマスタノード200との間の間隔に相当する余剰距離である。
【0084】
図11の例において、余剰距離D2、ガードエリアの幅D3及び通信距離Rsecの間に次の条件式(6)が成り立つ場合には、スレーブノードがマスタノードと同じ送信電力を使用したとしても、当該スレーブノードから送信される無線信号は実質的に近傍システムのサービスエリアまで届かない。
【0085】
【数5】
【0086】
従って、スレーブノードはマスタノードと同じ送信電力を簡易に使用することができ、スレーブノードのために複雑な送信電力の制御を要しない。また、次式のように条件式(6)に重み係数が導入されてもよい。
【0087】
【数6】
【0088】
より一般的には、これら条件式は次のような関数で表現されてよい。
【0089】
【数7】
【0090】
条件式(8)によれば、SSM100の判定部140は、余剰距離D2が近傍システムに暫定的に設定されるガードエリアの幅D3及び通信距離Rsecに応じて設定される閾値Th3を上回るかを判定する。そして、余剰距離D2が閾値Th3を上回る場合には、セカンダリ制御部150は、マスタノード200にセカンダリシステムを所与の送信電力で運用させる。所与の送信電力とは、典型的には、上記通信距離Rsecに対応する送信電力であってよい。ここでの所与の送信電力は、マスタノード200のみならずスレーブノードにも適用され得る。なお、判定部140は、D3>0である場合に、条件式(6)〜(8)の代わりに、次の条件式(9)又は(10)を用いてもよい。
【0091】
【数8】
【0092】
図12は、セカンダリシステム間の干渉制御のためのSSM100による電力割当て処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0093】
図12を参照すると、まず、情報取得部130は、送信電力の割当て対象のマスタノード200から、セカンダリシステムに関する情報を取得する(ステップS301)。ここで取得される情報には、マスタノード200の位置に関連する第2の情報が含まれる。次に、情報取得部130は、記憶部180において管理されている近傍システムに関する情報を取得する(ステップS302)。ここで取得される情報には、近傍システムにガードエリアを設定するために使用されるサービスエリアの位置に関連する第1の情報(例えば、近傍システムのマスタノードの位置及び通信距離を示す情報)が含まれる。そして、判定部140は、近傍システムに暫定的にガードエリアを設定する(ステップS303)。
【0094】
次に、判定部140は、マスタノード200についての余剰距離D2が近傍システムのガードエリアの幅D3及びセカンダリシステムについて想定される通信距離Rsecに応じた上述した所定の条件(例えば、条件式(6)〜(10)のいずれか)を満たすかを判定する(ステップS304)。
【0095】
ステップS304において余剰距離D2が所定の条件を満たすと判定されると、セカンダリ制御部150は、セカンダリシステムに通信距離Rsecに対応する所与の送信電力を割当てる(ステップS305)。そして、セカンダリ制御部150は、マスタノード200にセカンダリシステムの運用を許可する(ステップS306)。
【0096】
一方、ステップS304において余剰距離D2が所定の条件を満たさないと判定されると、セカンダリ制御部150は、割当て可能な送信電力を計算する(ステップS306)。例えば、割当て可能な送信電力は、セカンダリシステムのサービスエリアのエッジ付近にスレーブノードが位置する場合にも、近傍システムのリファレンスポイントにおいて当該スレーブノードからの無線信号の受信電力が許容干渉量以下となるように計算され得る。ここで計算され得る送信電力は、上記通信距離Rsecに対応する送信電力よりも低い値となる。そして、セカンダリ制御部150は、計算した送信電力の使用をマスタノード200に指示する(ステップS307)。なお、ステップS306及びS307の代わりに、近傍システムに割当てられた周波数チャネルとは異なる他の周波数チャネルの利用が推奨されてもよく、又はセカンダリシステムの運用が拒否されてもよい。
【0097】
その後、セカンダリ制御部150は、セカンダリシステムを構成したマスタノード200から、セカンダリシステムの構成の報告を取得する(ステップS308)。そして、セカンダリ制御部150は、記憶部180において管理しているセカンダリシステムに関する情報を更新する(ステップS309)
【0098】
<5.まとめ>
ここまで、図1〜図12を用いて、本開示に係る技術の一実施形態及びその応用例について詳細に説明した。本実施形態によれば、プライマリシステム又は近傍システムのリファレンスポイントとセカンダリシステムのマスタノードとの間の間隔に相当する余剰距離が、ガードエリアの幅及び当該セカンダリシステムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかが判定され、当該条件が満たされる場合にセカンダリシステムが所与の送信電力で運用される。それにより、セカンダリシステムのスレーブノードがマスタノードと同等の送信電力を使用したとしても、当該スレーブノードから送信される無線信号が過剰な干渉を引き起こすことが防止される。従って、マスタノードに割当てられる送信電力と同等の送信電力をスレーブノードに簡易に使用させることが可能となる。これは、マスタノード及びスレーブノードのそれぞれのために複雑な送信電力の計算の仕組みを設ける必要性がなくなることを意味する。よって、セカンダリシステムの導入は容易となる。また、セカンダリシステムの運用開始時にスレーブノードの位置が未定であっても、スレーブノードから送信される無線信号が過剰な干渉を引き起こすことを防止することができる。
【0099】
上記想定される通信距離は、マスタノードからセカンダリシステムマネージャへ通知される所望の距離であってもよい。その場合には、上記条件が満たされる場合に、マスタノードにとっての所望の通信距離に対応する送信電力をセカンダリシステムに簡易に割当てることができる。また、上記想定される通信距離は、セカンダリシステムマネージャにおいて記憶媒体を用いて予め記憶される通信距離であってもよい。その場合には、上記条件が満たされる場合に、当該通信距離に対応する送信電力をセカンダリシステムに簡易に割当てることができる。
【0100】
上記条件が満たされないと判定された場合には、上記想定される通信距離に対応する送信電力よりも低い送信電力の使用がマスタノードに指示され得る。従って、セカンダリシステムマネージャは、上記条件が満たされない場合にのみ、マスタノードの位置及び経路損失等を考慮した送信電力の詳細な計算を実行することができる。即ち、セカンダリシステムマネージャの計算の負荷が抑制され得る。
【0101】
また、上記余剰距離についての判定は、セカンダリシステムマネージャの代わりにセカンダリシステムのマスタノードが行ってもよい。その場合には、マスタノード(又はマスタノードを設置する事業者)が主体的にセカンダリシステムの構成を調整することができる。また、セカンダリシステムマネージャの負荷を抑制し、マネージャとマスタノードとの間のシグナリングのオーバヘッドを低減することができる。
【0102】
なお、本明細書において説明した各装置による一連の制御処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記憶媒体に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、実行時にRAM(Random Access Memory)に読み込まれ、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにより実行される。
【0103】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0104】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
第1の無線通信システムのガードエリアの位置に関連する第1の情報、及び前記第1の無線通信システムにより使用される周波数チャネルを利用して二次的に運用される第2の無線通信システムのマスタノードの位置に関連する第2の情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得される前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記第1の無線通信システムのリファレンスポイントと前記マスタノードとの間の間隔が、前記ガードエリアの幅及び前記第2の無線通信システムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定する判定部と、
前記判定部により前記間隔が前記条件を満たすと判定された場合に、前記第2の無線通信システムを所与の送信電力で運用させる制御部と、
を備える通信制御装置。
(2)
前記通信制御装置は、前記周波数チャネルの二次利用を管理するマネージャであり、
前記通信距離は、前記マスタノードから前記マネージャへ通知される所望の距離である、
前記(1)に記載の通信制御装置。
(3)
前記通信制御装置は、前記周波数チャネルの二次利用を管理するマネージャであり、
前記通信距離は、前記通信制御装置において予め保持されるセカンダリシステムについての通信距離である、
前記(1)に記載の通信制御装置。
(4)
前記制御部は、前記判定部により前記条件が満たされないと判定された場合には、前記通信距離に対応する送信電力よりも低い送信電力の使用を前記マスタノードに指示する、前記(2)又は前記(3)に記載の通信制御装置。
(5)
前記制御部は、前記判定部により前記条件が満たされないと判定された場合には、他の周波数チャネルの利用を前記マスタノードに推奨する、前記(2)又は前記(3)に記載の通信制御装置。
(6)
前記制御部は、前記判定部により前記条件が満たされないと判定された場合には、前記第2の無線通信システムの運用を許可しない、前記(2)又は前記(3)に記載の通信制御装置。
(7)
前記通信制御装置は、前記マスタノードであり、
前記通信距離は、前記周波数チャネルの二次利用を管理するマネージャから前記マスタノードへ通知されるセカンダリシステムについての通信距離である、
前記(1)に記載の通信制御装置。
(8)
前記通信制御装置は、前記周波数チャネルの二次利用を管理するマネージャであり、
前記制御部は、前記判定部により前記条件が満たされると判定された後、前記所与の送信電力が前記第2の無線通信システムにとって過剰であることが前記マスタノードから通知された場合には、前記所与の送信電力をより低い値に更新する、
前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の通信制御装置。
(9)
前記第1の無線通信システムは、プライマリシステムであり、
前記第2の無線通信システムは、セカンダリシステムである、
前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の通信制御装置。
(10)
前記第1の無線通信システム及び前記第2の無線通信システムの各々は、プライマリシステムに割当てられた周波数チャネルを利用して二次的に運用されるセカンダリシステムである、前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の通信制御装置。
(11)
前記第1の無線通信システムの前記ガードエリアの幅は、固定値又は前記第1の無線通信システムの通信距離に応じて決定される可変の値である、前記(10)に記載の通信制御装置。
(12)
前記リファレンスポイントは、前記ガードエリアの外縁上、又は前記第1の無線通信システムがガードエリアを有しない場合には前記第1の無線通信システムのサービスエリアの外縁上に存在する、前記(1)〜(11)のいずれか1項に記載の通信制御装置。
(13)
前記条件は、前記間隔と前記第2の無線通信システムについて想定される前記通信距離の2倍から前記ガードエリアの幅を引いた差との比較に基づく条件である、前記(12)に記載の通信制御装置。
(14)
第1の無線通信システムにより使用される周波数チャネルを利用して二次的に運用される第2の無線通信システムを制御する通信制御装置において、
前記第1の無線通信システムのガードエリアの位置に関連する第1の情報、及び前記第2の無線通信システムのマスタノードの位置に関連する第2の情報を取得することと、
取得された前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記第1の無線通信システムのリファレンスポイントと前記マスタノードとの間の間隔が前記ガードエリアの幅及び前記第2の無線通信システムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定することと、
前記間隔が前記条件を満たすと判定された場合に、前記第2の無線通信システムを所与の送信電力で運用させることと、
を含む通信制御方法。
(15)
第1の無線通信システムにより使用される周波数チャネルを利用して二次的に運用される第2の無線通信システムのマスタノードと、
前記マスタノードによる前記第2の無線通信システムの運用を制御する通信制御装置と、
を含み、
前記通信制御装置は、
前記第1の無線通信システムのガードエリアの位置に関連する第1の情報及び前記マスタノードの位置に関連する第2の情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得される前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記第1の無線通信システムのリファレンスポイントと前記マスタノードとの間の間隔が、前記ガードエリアの幅及び前記第2の無線通信システムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定する判定部と、
前記判定部により前記間隔が前記条件を満たすと判定された場合に、前記マスタノードに前記第2の無線通信システムを所与の送信電力で運用させる制御部と、
を備える、
通信制御システム。
【符号の説明】
【0105】
1 通信制御システム
30 データサーバ
100 通信制御装置(セカンダリシステムマネージャ)
130 情報取得部
140 判定部
150 制御部
200 通信制御装置(マスタノード)
250 制御部
260 情報取得部
270 判定部
202 スレーブノード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線通信システムのガードエリアの位置に関連する第1の情報、及び前記第1の無線通信システムにより使用される周波数チャネルを利用して二次的に運用される第2の無線通信システムのマスタノードの位置に関連する第2の情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得される前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記第1の無線通信システムのリファレンスポイントと前記マスタノードとの間の間隔が、前記ガードエリアの幅及び前記第2の無線通信システムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定する判定部と、
前記判定部により前記間隔が前記条件を満たすと判定された場合に、前記第2の無線通信システムを所与の送信電力で運用させる制御部と、
を備える通信制御装置。
【請求項2】
前記通信制御装置は、前記周波数チャネルの二次利用を管理するマネージャであり、
前記通信距離は、前記マスタノードから前記マネージャへ通知される所望の距離である、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記通信制御装置は、前記周波数チャネルの二次利用を管理するマネージャであり、
前記通信距離は、前記通信制御装置において予め保持されるセカンダリシステムについての通信距離である、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記判定部により前記条件が満たされないと判定された場合には、前記通信距離に対応する送信電力よりも低い送信電力の使用を前記マスタノードに指示する、請求項2に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記判定部により前記条件が満たされないと判定された場合には、他の周波数チャネルの利用を前記マスタノードに推奨する、請求項2に記載の通信制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記判定部により前記条件が満たされないと判定された場合には、前記第2の無線通信システムの運用を許可しない、請求項2に記載の通信制御装置。
【請求項7】
前記通信制御装置は、前記マスタノードであり、
前記通信距離は、前記周波数チャネルの二次利用を管理するマネージャから前記マスタノードへ通知されるセカンダリシステムについての通信距離である、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項8】
前記通信制御装置は、前記周波数チャネルの二次利用を管理するマネージャであり、
前記制御部は、前記判定部により前記条件が満たされると判定された後、前記所与の送信電力が前記第2の無線通信システムにとって過剰であることが前記マスタノードから通知された場合には、前記所与の送信電力をより低い値に更新する、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項9】
前記第1の無線通信システムは、プライマリシステムであり、
前記第2の無線通信システムは、セカンダリシステムである、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項10】
前記第1の無線通信システム及び前記第2の無線通信システムの各々は、プライマリシステムに割当てられた周波数チャネルを利用して二次的に運用されるセカンダリシステムである、請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項11】
前記第1の無線通信システムの前記ガードエリアの幅は、固定値又は前記第1の無線通信システムの通信距離に応じて決定される可変の値である、請求項10に記載の通信制御装置。
【請求項12】
前記リファレンスポイントは、前記ガードエリアの外縁上、又は前記第1の無線通信システムがガードエリアを有しない場合には前記第1の無線通信システムのサービスエリアの外縁上に存在する、請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項13】
前記条件は、前記間隔と前記第2の無線通信システムについて想定される前記通信距離の2倍から前記ガードエリアの幅を引いた差との比較に基づく条件である、請求項12に記載の通信制御装置。
【請求項14】
第1の無線通信システムにより使用される周波数チャネルを利用して二次的に運用される第2の無線通信システムを制御する通信制御装置において、
前記第1の無線通信システムのガードエリアの位置に関連する第1の情報、及び前記第2の無線通信システムのマスタノードの位置に関連する第2の情報を取得することと、
取得された前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記第1の無線通信システムのリファレンスポイントと前記マスタノードとの間の間隔が前記ガードエリアの幅及び前記第2の無線通信システムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定することと、
前記間隔が前記条件を満たすと判定された場合に、前記第2の無線通信システムを所与の送信電力で運用させることと、
を含む通信制御方法。
【請求項15】
第1の無線通信システムにより使用される周波数チャネルを利用して二次的に運用される第2の無線通信システムのマスタノードと、
前記マスタノードによる前記第2の無線通信システムの運用を制御する通信制御装置と、
を含み、
前記通信制御装置は、
前記第1の無線通信システムのガードエリアの位置に関連する第1の情報及び前記マスタノードの位置に関連する第2の情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得される前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記第1の無線通信システムのリファレンスポイントと前記マスタノードとの間の間隔が、前記ガードエリアの幅及び前記第2の無線通信システムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定する判定部と、
前記判定部により前記間隔が前記条件を満たすと判定された場合に、前記マスタノードに前記第2の無線通信システムを所与の送信電力で運用させる制御部と、
を備える、
通信制御システム。
【請求項1】
第1の無線通信システムのガードエリアの位置に関連する第1の情報、及び前記第1の無線通信システムにより使用される周波数チャネルを利用して二次的に運用される第2の無線通信システムのマスタノードの位置に関連する第2の情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得される前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記第1の無線通信システムのリファレンスポイントと前記マスタノードとの間の間隔が、前記ガードエリアの幅及び前記第2の無線通信システムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定する判定部と、
前記判定部により前記間隔が前記条件を満たすと判定された場合に、前記第2の無線通信システムを所与の送信電力で運用させる制御部と、
を備える通信制御装置。
【請求項2】
前記通信制御装置は、前記周波数チャネルの二次利用を管理するマネージャであり、
前記通信距離は、前記マスタノードから前記マネージャへ通知される所望の距離である、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記通信制御装置は、前記周波数チャネルの二次利用を管理するマネージャであり、
前記通信距離は、前記通信制御装置において予め保持されるセカンダリシステムについての通信距離である、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記判定部により前記条件が満たされないと判定された場合には、前記通信距離に対応する送信電力よりも低い送信電力の使用を前記マスタノードに指示する、請求項2に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記判定部により前記条件が満たされないと判定された場合には、他の周波数チャネルの利用を前記マスタノードに推奨する、請求項2に記載の通信制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記判定部により前記条件が満たされないと判定された場合には、前記第2の無線通信システムの運用を許可しない、請求項2に記載の通信制御装置。
【請求項7】
前記通信制御装置は、前記マスタノードであり、
前記通信距離は、前記周波数チャネルの二次利用を管理するマネージャから前記マスタノードへ通知されるセカンダリシステムについての通信距離である、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項8】
前記通信制御装置は、前記周波数チャネルの二次利用を管理するマネージャであり、
前記制御部は、前記判定部により前記条件が満たされると判定された後、前記所与の送信電力が前記第2の無線通信システムにとって過剰であることが前記マスタノードから通知された場合には、前記所与の送信電力をより低い値に更新する、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項9】
前記第1の無線通信システムは、プライマリシステムであり、
前記第2の無線通信システムは、セカンダリシステムである、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項10】
前記第1の無線通信システム及び前記第2の無線通信システムの各々は、プライマリシステムに割当てられた周波数チャネルを利用して二次的に運用されるセカンダリシステムである、請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項11】
前記第1の無線通信システムの前記ガードエリアの幅は、固定値又は前記第1の無線通信システムの通信距離に応じて決定される可変の値である、請求項10に記載の通信制御装置。
【請求項12】
前記リファレンスポイントは、前記ガードエリアの外縁上、又は前記第1の無線通信システムがガードエリアを有しない場合には前記第1の無線通信システムのサービスエリアの外縁上に存在する、請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項13】
前記条件は、前記間隔と前記第2の無線通信システムについて想定される前記通信距離の2倍から前記ガードエリアの幅を引いた差との比較に基づく条件である、請求項12に記載の通信制御装置。
【請求項14】
第1の無線通信システムにより使用される周波数チャネルを利用して二次的に運用される第2の無線通信システムを制御する通信制御装置において、
前記第1の無線通信システムのガードエリアの位置に関連する第1の情報、及び前記第2の無線通信システムのマスタノードの位置に関連する第2の情報を取得することと、
取得された前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記第1の無線通信システムのリファレンスポイントと前記マスタノードとの間の間隔が前記ガードエリアの幅及び前記第2の無線通信システムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定することと、
前記間隔が前記条件を満たすと判定された場合に、前記第2の無線通信システムを所与の送信電力で運用させることと、
を含む通信制御方法。
【請求項15】
第1の無線通信システムにより使用される周波数チャネルを利用して二次的に運用される第2の無線通信システムのマスタノードと、
前記マスタノードによる前記第2の無線通信システムの運用を制御する通信制御装置と、
を含み、
前記通信制御装置は、
前記第1の無線通信システムのガードエリアの位置に関連する第1の情報及び前記マスタノードの位置に関連する第2の情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得される前記第1の情報及び前記第2の情報を用いて、前記第1の無線通信システムのリファレンスポイントと前記マスタノードとの間の間隔が、前記ガードエリアの幅及び前記第2の無線通信システムについて想定される通信距離に応じた条件を満たすかを判定する判定部と、
前記判定部により前記間隔が前記条件を満たすと判定された場合に、前記マスタノードに前記第2の無線通信システムを所与の送信電力で運用させる制御部と、
を備える、
通信制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−46328(P2013−46328A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184323(P2011−184323)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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