説明

通信回線システム

【課題】自営の遠隔監視制御用通信回線の構築に伴うコスト的な負担を低減することができる通信回線システムを提供する。
【解決手段】通信回線システム10では、被制御機器31を遠隔監視制御するのに用いられる遠隔監視制御用データを搬送する搬送信号は、海底電力ケーブル1に内蔵された第1の懸錨検知線31が備える第1の上外側導体31Uおよび第1の右外側導体31Rを介して制御所側通信装置201と被制御所側通信装置202との間で送受信される。また、海底電力ケーブル1の第1乃至第3の電力導体21〜23から第1の上外側導体31Uおよび第1の右外側導体31Rに誘起される誘導電圧をアースするための第1乃至第4のアースフィルタ131〜134が、第1の上外側導体31Uおよび第1の右外側導体31Rの被制御所側通信装置202側および制御所側通信装置201側の端部にそれぞれ設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信回線システムに関し、特に、海底電力ケーブルに内蔵されている懸錨検知線を用いた通信回線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、島嶼部における使用電力量の増大に伴い、本土と島嶼部との間または島嶼部間を海底電力ケーブルで結んで電力を供給することにより、安定的な電力供給および発電所や変電所の効率的運転が図られている。このような海底電力ケーブルには、錨などによる海底電力ケーブルの傷害を検知するための懸錨検知線が内蔵されており、海底電力ケーブルの傷害の程度および位置を早期に発見することができるようにされている(下記の特許文献1に開示されている光複合海底電力ケーブル参照)。
【0003】
また、電力会社では、島嶼部に建設した発電所や変電所など(被制御所)の機器を遠隔監視制御するのに本土と島嶼部との間または島嶼部間に敷設された自営の遠隔監視制御用通信回線と電気通信事業者の通信回線とで回線の2ルート化を図っているが、保守対応および信頼度の向上を図るために自営の遠隔監視制御用通信回線で2ルート化を図りたいという要請がある。
【特許文献1】特開平8−153423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自営の遠隔監視制御用通信回線を構築するのに多重無線装置や光ファイバケーブルまたは同軸ケーブルを介した通信装置を用いると、このような多重無線装置や通信装置は非常に多額の設備投資を必要とするため、コスト的に負担が大きくなるという問題ある。また、遠隔監視制御用通信回線の信頼性を向上するために予備回線を含めた2ルートを構築しようとすると、コスト負担が更に大きくなるという問題ある。
【0005】
本発明の目的は、自営の遠隔監視制御用通信回線の構築に伴うコスト的な負担を低減することができる通信回線システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の通信回線システムは、海底電力ケーブルに内蔵された懸錨検知線を介して通信装置間で搬送信号を送受信することを特徴とする。
また、本発明の通信回線システムは、被制御機器(31)を遠隔監視制御するのに用いられる遠隔監視制御用データを搬送する搬送信号を制御所側通信装置(201)と被制御所側通信装置(202)との間で送受信するための通信回線システム(10)であって、海底電力ケーブル(1)に内蔵された懸錨検知線を介して前記制御所側通信装置と前記被制御所側通信装置との間で前記搬送信号を送受信することを特徴とする。
ここで、前記懸錨検知線(31)がメタル製であり、前記制御所側通信装置および前記被制御所側通信装置が、前記懸錨検知線が備える第1および第2の外側導体(31U,31R)間に前記搬送信号を印加して該搬送信号を送受信し、前記搬送信号が、前記海底電力ケーブルに内蔵された電力導体から前記第1および第2の外側導体に誘起される誘導電圧の周波数よりも高い周波数の信号であってもよい。
前記誘導電圧をアースするための第1乃至第4のフィルタ手段(131〜134)が、前記第1および第2の外側導体の前記被制御所側通信装置側および前記制御所側通信装置側の端部にそれぞれ設けられていてもよい。
前記懸錨検知線が備える中心導体(31C)と該懸錨検知線が備える第3の外側導体(31L)との間に直流電圧が印加されてもよい。
前記制御所側通信装置が、前記懸錨検知線の前記第1および第2の外側導体(31U,31R)に接続されたかつ前記被制御所側通信装置との間で前記搬送信号の送受信を行うための送受信部(21)と、前記海底電力ケーブルに異常が検出されると警報を発するための異常表示部(24)と、前記懸錨検知線の前記第1および第2の外側導体を介して入力される前記搬送信号と前記第3の外側導体を介して入力される直流電流とに基づいて前記海底電力ケーブルの異常を検出すると、前記搬送信号の送受信を中止させる第1の指示信号を前記送受信部に出力するとともに前記異常表示部に警報を発せさせる第2の指示信号を前記異常表示部に出力する異常検出部(22)とを備えてもよい。
前記制御所側通信装置が、外部からのオン信号に応じて前記懸錨検知線の前記中心導体および前記第1乃至第3の外側導体に直流電圧を印加して懸錨検知動作を開始する懸錨検知部(23)をさらに備えてもよい。
前記懸錨検知線(31)が光ファイバ製であり、前記制御所側通信装置および前記被制御所側通信装置が、前記搬送信号の代わりに、前記遠隔監視制御用データを搬送する光信号を送受信してもよい。
前記制御所側通信装置が、前記被制御所側通信装置との間で前記懸錨検知線を介して前記光信号の送受信を行う送受信部と、前記懸錨検知線から入力される前記光信号のロスを測定して前記海底電力ケーブルの異常を検出する異常検出部とを備えてもよい。
前記通信回線システムが予備回線として使用されてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の通信回線システムは、以下に示す効果を奏する。
(1)既設の海底電力ケーブルに内蔵されている懸錨検知線を介して搬送信号を送受信することにより、多重無線装置や光ファイバケーブルまたは同軸ケーブルを介した通信装置を用いて自営の遠隔監視制御用通信回線を構築する場合に比べて格段のコスト低減が図れる。
(2)既設の海底電力ケーブルに内蔵されている懸錨検知線を利用することにより、技術的に容易に自営の遠隔監視制御用通信回線を構築することができる。
(3)従来使用されている懸錨検知装置の機能を持たせることにより、更なるコスト低減を図ることができる。
(4)海底電力ケーブルの電力導体を介して搬送信号を送受信する場合に必要である電力および搬送信号を結合するための高価な結合装置が不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
上記の目的を、遠隔監視制御用データを搬送する搬送信号を海底電力ケーブルに内蔵された懸錨検知線を介して制御所側通信装置と被制御所側通信装置との間で送受信することにより実現した。
【実施例1】
【0009】
以下、本発明の通信回線システムの実施例について、図面を参照して説明する。
本発明の一実施例による通信回線システム10は、図1に示すように、被制御所側通信装置202に被遠隔監視制御装置32を介して接続された被制御機器31を制御所側通信装置201に接続された遠隔監視制御装置(親)33によって遠隔監視制御するのに用いられる遠隔監視制御用データを搬送する搬送信号を、海底電力ケーブル1(たとえば、亘長20km程度)に内蔵されているメタル製の第1の懸錨検知線31(図2参照)を介して制御所側通信装置201と被制御所側通信装置202との間で送受信するためのものである。
【0010】
ここで、海底電力ケーブル1は、図2に示すように、第1乃至第3の電力導体21〜23と、第1乃至第3の電力導体21〜23の隣り合う2本の電力導体間にそれぞれ配設されたメタル製の第1乃至第3の懸錨検知線31〜33とを備える。
【0011】
第1の懸錨検知線31は、図3に示すように、第1の懸錨検知線31の中心に配設された第1の中心導体31Cと、第1の中心導体31Cの外側に第1の懸錨検知線31の周方向に等間隔に配設された3本の第1の外側導体(以下、「第1の上外側導体31U」、「第1の左外側導体31L」および「第1の右外側導体31R」と称する。)とを備える。第2および第3の懸錨検知線32,33についても同様である(図5(a),(b)参照)。
【0012】
制御所側通信装置201と被制御所側通信装置202との間で第1の懸錨検知線31の第1の上外側導体31Uおよび第1の右外側導体31Rを介して遠隔監視制御用データの送受信を行うために、図1に示すように、第1の懸錨検知線31の第1の上外側導体31Uおよび第1の右外側導体31Rの一端は被制御所側通信装置202に接続されており、第1の懸錨検知線31の第1の上外側導体31Uおよび第1の右外側導体31Rの他端は制御所側通信装置201に接続されている。
【0013】
また、図4(a)に示すように、第1の懸錨検知線31の第1の左外側導体31Lの被制御所側通信装置202側の端は開放端とされており、第1の中心導体31Cの被制御所側通信装置202側の端は、第2の懸錨検知線32の第2の中心導体32Cおよび第3の懸錨検知線33の第3の中心導体33Cと接続されている。
また、図1および図4(b)に示すように、第1の懸錨検知線31の第1の中心導体31C、第1の上外側導体31U、第1の右外側導体31Rおよび第1の左外側導体31Lの制御所側通信装置201側の端は制御所側通信装置201に接続されている。
【0014】
第2の懸錨検知線32の第2の上外側導体32U、第2の左外側導体32Lおよび第2の右外側導体32Rの被制御所側通信装置202側の端は開放端とされている。
また、図1および図5(a)に示すように、第2の懸錨検知線32の第2の中心導体32C、第2の上外側導体32U、第2の左外側導体32Lおよび第2の右外側導体32Rの制御所側通信装置201側の端は制御所側通信装置201に接続されている。
【0015】
第3の懸錨検知線33の第3の上外側導体33U、第3の左外側導体33Lおよび第3の右外側導体33Rの被制御所側通信装置202側の端は開放端とされている。
また、図1および図5(b)に示すように、第3の懸錨検知線33の第3の中心導体33C、第3の上外側導体33U、第3の左外側導体33Lおよび第3の右外側導体33Rの制御所側通信装置201側の端は制御所側通信装置201に接続されている。
【0016】
図1に示す第1乃至第4のアースフィルタ131〜134(フィルタ手段)は、第1乃至第3の電力導体21〜23から第1の懸錨検知線31の第1の上外側導体31Uおよび第1の右外側導体31Rに誘起される商用電力周波数(たとえば、60Hz)の誘導電圧をアースに落とすことにより、商用電力周波数よりも高い周波数(たとえば、12〜450kHz)の搬送信号を伝送する通信用伝送路として第1の懸錨検知線31の第1の上外側導体31Uおよび第1の右外側導体31Rを使用できるようにするためのものである。
ここで、第1および第2のアースフィルタ131,132は、第1の懸錨検知線31の第1の上外側導体31Uおよび第1の右外側導体31Rの被制御所側通信装置202側の端部とアースとの間にそれぞれ設けられており、第3および第4のアースフィルタ133,134は、第1の懸錨検知線31の第1の上外側導体31Uおよび第1の右外側導体31Rの制御所側通信装置201側の端部とアースとの間にそれぞれ設けられている。
【0017】
制御所側通信装置201は、図6に示すように、送受信部21と、異常検出部22と、懸錨検知部23と、異常表示部24とを備える。
【0018】
ここで、送受信部21は、第1の懸錨検知線31の第1の上外側導体31Uおよび第1の右外側導体31Rに接続されており、被制御所側通信装置202との間で搬送信号の送受信を行うためのものである。
【0019】
異常検出部22は、第1の懸錨検知線31の第1の上外側導体31Uおよび第1の右外側導体31Rから入力される搬送信号や第1の懸錨検知線31の第1の左外側導体31L、第2の懸錨検知線32の第2の上外側導体32U、第2の左外側導体32Lおよび第2の右外側導体32R、ならびに第3の懸錨検知線33の第3の上外側導体33U、第3の左外側導体33Lおよび第3の右外側導体33Rから入力される直流電流に基づいて海底電力ケーブル1の異常を検出すると、搬送信号の送受信を中止させる第1の指示信号を送受信部21に出力するとともに、警報を発せさせる第2の指示信号を異常表示部24に出力する。
【0020】
懸錨検知部23は、外部からオン信号が入力されると、第1乃至第3の懸錨検知線31〜33に直流電圧を印加して海底電力ケーブル1の傷害位置の距離測定を行う懸錨検知動作を開始する。
【0021】
異常表示部24は、異常検出部22から第2の指示信号が入力されると、海底電力ケーブル1に異常が検出された旨を画像で表示したり音声で出力したりして警報を発する。
【0022】
制御所側通信装置201および被制御所側通信装置202の本体は図1に示すようにアースされており、装置内に異常が生じた場合には保安の観点から送受信部21などをアースに落とすことができるようにされている。
【0023】
次に、制御所側通信装置201の動作について、図7に示すフローチャートを参照して説明する。
懸錨検知部23は、第1乃至第3の懸錨検知線31〜33を用いて海底電力ケーブル1の錨などによる傷害を検知するために、以下のようにして第1乃至第3の懸錨検知線31〜33に直流電圧を印加する(ステップS11)。
(1)第1の懸錨検知線31の第1の中心導体31Cと第1の左外側導体31Lとの間に直流電圧を印加する。
(2)第2の懸錨検知線32の第2の中心導体32Cと第2の上外側導体32U、第2の左外側導体32Lおよび第2の右外側導体32Rとの間に直流電圧をそれぞれ印加する。
(3)第3の懸錨検知線33の第3の中心導体33Cと第3の上外側導体33U、第3の左外側導体33Lおよび第3の右外側導体33Rとの間に直流電圧をそれぞれ印加する。
【0024】
その後、送受信部21は、第1の懸錨検知線31の第1の上外側導体31Uおよび第1の右外側導体31Rを介して被制御所側通信装置202から搬送信号を受信すると、この搬送信号から遠隔監視制御用データを抽出して遠隔監視制御装置(親)33へ送信する。また、送受信部21は、遠隔監視制御装置33から遠隔監視制御用データを受信すると、この遠隔監視制御用データを搬送する搬送信号を生成したのち、生成した搬送信号を第1の懸錨検知線31の第1の上外側導体31Uおよび第1の右外側導体31R間に印加して被制御所側通信装置202に送信する(ステップS12)。
【0025】
異常検出部22は、第1の懸錨検知線31の第1の上外側導体31Uおよび第1の右外側導体31Rから入力される搬送信号のレベルや周波数を監視するとともに第1の懸錨検知線31の第1の左外側導体31L、第2の懸錨検知線32の第2の上外側導体32U、第2の左外側導体32Lおよび第2の右外側導体32R、ならびに第3の懸錨検知線33の第3の上外側導体33U、第3の左外側導体33Lおよび第3の右外側導体33Rから入力される直流電流の値を監視して海底電力ケーブル1の異常を検出すると、搬送信号の送受信を中止させる第1の指示信号を送受信部21に出力するとともに、警報を発せさせる第2の指示信号を異常表示部24に出力する(ステップS13)。
【0026】
すなわち、海底電力ケーブル1が錨などによって傷害を受けてたとえば第1の懸錨検知線31の第1の上外側導体31Uまたは第1の右外側導体31Rが第1の中心導体31Cに接触すると搬送信号の波形が乱れるため、異常検出部22は、第1の上外側導体31Uおよび第1の右外側導体31Rから入力される搬送信号のレベルや周波数を監視することにより、海底電力ケーブル1の異常を検出することができる。また、海底電力ケーブル1が錨などによって傷害を受けてたとえば第2の懸錨検知線32の第2の上外側導体32Uが第2の中心導体32Cに接触すると第2の上外側導体32Uに直流電流が流れるため、異常検出部22は、第2の上外側導体32Uから入力される直流電流の値を監視することにより、海底電力ケーブル1の異常を検出することができる。
【0027】
送受信部21は、異常検出部22から第1の指示信号が入力されると、搬送信号の送受信動作を中止する。なお、搬送信号の送受信動作を中止させても、通信回線システム10を予備回線として使用すれば、被制御機器の監視制御に影響が出ることはない。
また、異常表示部24は、異常検出部22から第2の指示信号が入力されると、海底電力ケーブル1に異常が検出された旨を画像で表示したり音声で出力したりして警報を発する(ステップS14)。
【0028】
異常表示部24から警報が発せられると、保守員は、必要に応じて懸錨検知部23を動作させるスイッチ(不図示)を押す(ステップS15)。
【0029】
懸錨検知部23は、外部からオン信号が入力されると、第1乃至第3の懸錨検知線31〜33に直流電圧を印加して、海底電力ケーブル1の傷害位置の距離測定を行う懸錨検知動作を開始する(ステップS16)。この懸錨検知動作の方法は公知であるので、その詳細な説明は省略する。
【0030】
以上の説明では、被制御機器31を遠隔監視制御するのに用いられる遠隔監視制御用データを搬送する搬送信号を制御所側通信装置(201)と被制御所側通信装置(202)との間で送受信したが、音声データなどを搬送する搬送信号を2つの通信装置の間で送受信してもよい。
また、海底電力ケーブル1の傷害を検知すると警報のみを発すればよい場合には、図6に示した懸錨検知部23は不要である。
さらに、第1乃至第3の電力導体21〜23から誘起される誘導電圧をアースするためのフィルタ手段として、第1乃至第4のアースフィルタ131〜134を用いたが、アースコイルなどを用いてもよい。
【0031】
さらにまた、メタル製の第1乃至第3の懸錨検知線31〜33が内蔵された海底電力ケーブル1について説明したが、光ファイバ製の第1乃至第3の懸錨検知線が内蔵された海底電力ケーブルについても同様にして本発明の通信回線システムを構成することができる。この場合には、光ファイバ製の第1乃至第3の懸錨検知線を通る光信号のロスを光パルス測定器(OTDR:Optical Time Domain Reflectometer)などを用いて測定することにより海底電力ケーブルの異常を検出する。また、光ファイバ製の第1乃至第3の懸錨検知線の場合には第1乃至第3の電力導体から誘導電圧が誘起されることはないので、図1に示した第1乃至第4のアースフィルタ131〜134は不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施例による通信回線システム10の構成を示す図である。
【図2】図1に示した海底電力ケーブル1の構成を示す断面図である。
【図3】図2に示した第1乃至第3の懸錨検知線31〜33の構成を示す断面図である。
【図4】図1に示した制御所側通信装置201および被制御所側通信装置202と第1の懸錨検知線31との接続関係を説明するための図である。
【図5】図1に示した制御所側通信装置201と第2の懸錨検知線32および第3の懸錨検知線33との間の接続関係を説明するための図である。
【図6】図1に示した制御所側通信装置201の構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示した制御所側通信装置201の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0033】
1 海底電力ケーブル
1〜23 第1乃至第3の電力導体
1〜33 第1乃至第3の懸錨検知線
1C〜33C 第1乃至第3の中心導体
1U〜33U 第1乃至第3の上外側導体
1R〜33R 第1乃至第3の右外側導体
1L〜33L 第1乃至第3の左外側導体
10 通信回線システム
11 遠隔制御装置
131〜134 第1乃至第4のアースフィルタ
201 制御所側通信装置
202 被制御所側通信装置
21 送受信部
22 異常検出部
23 懸錨検知部
24 異常表示部
31 被制御機器
32 被遠隔監視制御装置
33 遠隔監視制御装置
S11〜S16 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底電力ケーブルに内蔵された懸錨検知線を介して通信装置間で搬送信号を送受信することを特徴とする、通信回線システム。
【請求項2】
被制御機器(31)を遠隔監視制御するのに用いられる遠隔監視制御用データを搬送する搬送信号を制御所側通信装置(201)と被制御所側通信装置(202)との間で送受信するための通信回線システム(10)であって、
海底電力ケーブル(1)に内蔵された懸錨検知線を介して前記制御所側通信装置と前記被制御所側通信装置との間で前記搬送信号を送受信することを特徴とする、通信回線システム。
【請求項3】
前記懸錨検知線(31)がメタル製であり、
前記制御所側通信装置および前記被制御所側通信装置が、前記懸錨検知線が備える第1および第2の外側導体(31U,31R)間に前記搬送信号を印加して該搬送信号を送受信し、
前記搬送信号が、前記海底電力ケーブルに内蔵された電力導体から前記第1および第2の外側導体に誘起される誘導電圧の周波数よりも高い周波数の信号である、
ことを特徴とする、請求項2記載の通信回線システム。
【請求項4】
前記誘導電圧をアースするための第1乃至第4のフィルタ手段(131〜134)が、前記第1および第2の外側導体の前記被制御所側通信装置側および前記制御所側通信装置側の端部にそれぞれ設けられていることを特徴とする、請求項3記載の通信回線システム。
【請求項5】
前記懸錨検知線が備える中心導体(31C)と該懸錨検知線が備える第3の外側導体(31L)との間に直流電圧が印加されることを特徴とする、請求項2乃至4いずれかに記載の通信回線システム。
【請求項6】
前記制御所側通信装置が、
前記懸錨検知線の前記第1および第2の外側導体(31U,31R)に接続された、かつ、前記被制御所側通信装置との間で前記搬送信号の送受信を行うための送受信部(21)と、
前記海底電力ケーブルに異常が検出されると警報を発するための異常表示部(24)と、
前記懸錨検知線の前記第1および第2の外側導体を介して入力される前記搬送信号と前記第3の外側導体を介して入力される直流電流とに基づいて前記海底電力ケーブルの異常を検出すると、前記搬送信号の送受信を中止させる第1の指示信号を前記送受信部に出力するとともに前記異常表示部に警報を発せさせる第2の指示信号を前記異常表示部に出力する異常検出部(22)と、
を備えることを特徴とする、請求項5記載の通信回線システム。
【請求項7】
前記制御所側通信装置が、外部からのオン信号に応じて前記懸錨検知線の前記中心導体および前記第1乃至第3の外側導体に直流電圧を印加して懸錨検知動作を開始する懸錨検知部(23)をさらに備えることを特徴とする、請求項6記載の通信装置。
【請求項8】
前記懸錨検知線(31)が光ファイバ製であり、
前記制御所側通信装置および前記被制御所側通信装置が、前記搬送信号の代わりに、前記遠隔監視制御用データを搬送する光信号を送受信する、
ことを特徴とする、請求項2記載の通信回線システム。
【請求項9】
前記制御所側通信装置が、
前記被制御所側通信装置との間で前記懸錨検知線を介して前記光信号の送受信を行う送受信部と、
前記懸錨検知線から入力される前記光信号のロスを測定して前記海底電力ケーブルの異常を検出する異常検出部と、
を備えることを特徴とする、請求項8記載の通信回線システム。
【請求項10】
前記通信回線システムが予備回線として使用されることを特徴とする、請求項1乃至9いずれかに記載の通信回線システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−226675(P2008−226675A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−64204(P2007−64204)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】