説明

通信機器及び通信方法

【課題】自由にカスタマイズできるキーワードテーブルを有しこれを基にメール内容の感情を判断し報知する通信機器及び通信方法を提供することを目的とする。
【解決手段】抽出部54は、送信或いは受信したメールの本文から、全ての単語を抽出し、登録部55は、抽出された単語から、当該メール本文中での使用頻度が高い順に所定の数だけ、メモリ4内のキーワードデータベースの自動登録エリアに登録する。単語関連性判断部56は、登録部55がキーワードデータベースの自動登録エリアに新たに登録したキーワードと、キーワードデータベース内のキーワードとを比較し、関連性を判断し、感情情報設定部57は、当該関連性を基に、当該単語と関連性を有するキーワードの感情カテゴリを新たに登録したキーワードに対応付け、キーワードデータベースの自動登録エリアに書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字によるメッセージのやり取りを行う通信機器及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話が普及し、携帯電話によってメール(文字メッセージ)のやり取りを行う機会が多くなっている。これに伴い、個々人が受信するメールの件数が増大し、全てのメールを見る時間が取れない場合がある。タイトルやメールの発信者を基に、見るメールと見ないメールの取捨選択を行うことはできるが、同じ発信者から何通もメールが来る場合や、タイトルがないメールが来る場合もある。
【0003】
この事態を解決する関連技術として、例えば、特許文献1に開示された感情認識システムがある。
特許文献1によれば、電子文書が有する各単語の感情ベクトルを文書全体について積算し、その電子文書が有する感情を自動的に判定すると共に、その判定の程度を高くする感情認識システムが開示されている。
【0004】
こうした技術を基に、携帯電話のメール受信時に、メール内容の事前確認、例えば、キーワード検索を行いメール内容の感情を判定し、メール内容に合わせた感情アイコン、例えば、笑い顔や、泣き顔、怒った顔等を表示する携帯電話があり、当該携帯電話によれば、ユーザがメールの内容を確認する前に、メールの内容の傾向を感情アイコンによって把握することができる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−230011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した技術では、メールの内容をキーワード検索する際に、予め設定された固定キーワードテーブルしかないため、メールの内容によっては全く感情の判定を行うことができない、という不利益がある。
本発明は、上述した不利益を解消して、より好適に文字メッセージの内容の感情を判断し報知する通信機器及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、第1の観点の発明の通信機器は、文字メッセージを送受信する送受信部と、該送受信部により文字メッセージが受信されると報知動作を行う報知部と、前記送受信部により受信された文字メッセージを分析する分析部と、予め所定の文字情報と、該文字情報に対応して設定された感情情報とが記憶される記憶部と、前記分析部により分析された前記送受信部により受信された文字メッセージの分析結果と、該記憶部に記憶されている前記文字情報および感情情報とに基づいて、前記文字メッセージの感情度合いを判定する感情度合い判定部と、該感情度合い判定部により判定された前記文字メッセージの感情度合いに応じて前記報知部を制御する報知制御部と、前記送受信部により送受信された文字メッセージ中に含まれる単語を抽出する抽出部と、該抽出部により抽出された単語を前記記憶部に前記文字情報として登録する登録部と、を有することを特徴とする。
【0008】
好適には、前記登録部は、前記送受信した相手別に前記抽出された単語を前記記憶部に前記文字情報として登録することを特徴とする。
【0009】
好適には、前記抽出部は、前記送受信された文字メッセージから使用頻度の高い順に単語を抽出し、前記登録部は、前記抽出部により使用頻度の高い順に抽出された単語のうち所定の順位までの単語を前記記憶部に前記文字情報として自動登録することを特徴とする。
【0010】
好適には、前記登録部により前記文字情報として登録された文字メッセージ中に含まれる単語に対応する感情情報を設定する感情情報設定部を有することを特徴とする。
【0011】
好適には、前記感情情報設定部は、前記登録部により前記文字情報として登録された文字メッセージ中に含まれる単語が前記記憶部に予め記憶されている単語との関連性を判断する単語関連性判断部を有し、前記感情情報設定部は、前記単語関連性判断部によって前記登録部により前記文字情報として登録された文字メッセージ中に含まれる単語と前記記憶部に予め記憶された単語とには関連性があると判断された場合には、前記関連性があると判断された前記記憶部に予め記憶された単語に対応して設定された感情情報と同一の感情情報を前記抽出された単語に自動的に設定することを特徴とする。
【0012】
好適には、前記単語関連性判断部は、前記登録部により前記文字情報として登録された文字メッセージ中に含まれる単語が前記記憶部に文字情報としてあらかじめ記憶されている単語に含まれる文字列と一致する部分を有している場合には、前記登録部により前記文字情報として登録された文字メッセージ中に含まれる単語は前記部分一致している単語と関連性があると判断することを特徴とする。
【0013】
好適には、前記記憶部内の文字情報及び感情情報をそれぞれ任意に変更することができる感情情報変更部を更に有することを特徴とする。
【0014】
第2の観点の発明の通信方法は、文字メッセージを送受信する第1の工程と、前記第1の工程において文字メッセージが受信されると報知動作を行う第2の工程と、前記第1の工程において受信された文字メッセージを分析する第3の工程と、予め所定の文字情報と、該文字情報に対応して設定された感情情報とを記憶部に記憶する第4の工程と、前記第3の工程において分析された、前記第1の工程において受信された文字メッセージの分析結果と、前記第4の工程において記憶された前記文字情報および感情情報とに基づいて、文字メッセージの感情度合いを判定する第5の工程と、前記第5の工程において判定された前記文字メッセージの感情度合いに応じて前記報知部を制御する第6の工程と、前記第1の工程において送受信された文字メッセージ中に含まれる単語を抽出する第7の工程と、前記第7の工程において抽出された単語を前記記憶部に前記文字情報として登録する第8の工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、より好適に文字メッセージの内容の感情を判断し報知する通信機器及び通信方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態では、本発明の通信機器の一例として携帯電話機100について説明する。
図1は、本実施形態の携帯電話機100の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の携帯電話機100は、送受信部1、キー入力部2、表示部3、メモリ4及び制御部5を有する。
【0017】
以下、携帯電話機100の各構成について説明する。
送受信部1は、携帯電話機100の各種通信に使用するデータの送受信を行う。例えば、音声通話の際の音声データや、メール(文字メッセージ)などの文字データの送受信等である。
キー入力部2は、携帯電話機100の入力手段であり、例えば複数のボタン等によって構成され、これらによって各種入力操作を行うことができる。
表示部3は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)であり、携帯電話機100の各動作に関した様々な情報、例えば、着信情報、発信相手情報、メール受信情報等を表示する。
【0018】
メモリ(記憶部)4は、携帯電話機100の各動作に関する様々な情報、例えば、電話番号や名前、メールアドレス等のアドレス帳データ、表示部3に表示する画像データ、着信音等の音声データ等を記憶している。
また、メモリ4は、後述する感情メール処理及びキーワード自動登録処理の際に使用するデータベース、例えば、キーワード(文字情報)、アイコン、感情カテゴリ(感情情報)等のデータベースを有する。
【0019】
図2は、メモリ4の各データベースと、各データベースの内容を示すテーブルの一例について説明するための図である。
図2(a)〜(c)に示すように、キーワードデータベースは、メールの本文を検索するキーワードが記憶されているデータベースである。キーワードには、例えば、図2(a)〜(c)に示すように、「嬉しい」、「びっくり」、「悲しい」等があり、感情メール処理の際にはこれらのキーワードがメールの本文中から検索される。
【0020】
また、図2(a)〜(c)に示すように、キーワードのデータベースは固定エリア、カスタマイズエリア、自動登録エリアを有する。
固定エリアは、例えば携帯電話機100の製造時に予め設定されたキーワードを有するエリアであり、図2(a)に示すように、「嬉しい」や「悲しい」等、比較的基本的な感情を表すキーワードが含まれる。
【0021】
図2(a)に示すカスタマイズエリアは、固定エリアに含まれないキーワードを、ユーザが自由に登録することができるエリアである。
カスタマイズエリアに新たなキーワードを登録する処理については後述する。
図2(a)に示す自動登録エリアは、後述するキーワード自動登録処理において、メールの送受信の際に当該メールに含まれる単語が自動的に抽出されキーワードとして自動的に登録されるエリアである。
【0022】
キーワードデータベースに含まれる各キーワードはナンバリングされ、例えば、図2に示すように、ナンバー1から10までのキーワードは固定エリア、ナンバー11から20まではカスタマイズエリア、ナンバー21以降は自動登録エリア、というように分類される。
なお、この分類の仕方は一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0023】
また、各キーワードには、図2(a)に示すように、そのナンバーに登録されたキーワードがあるかないかを示すフラグが対応付けられており、例えば、登録されたキーワードのないナンバーには0が、キーワードが登録されているナンバーには1が対応付けられている。
【0024】
なお、キーワードデータベースは、例えば、アドレス帳データと関連付けて記憶しておくことができる。すなわち、アドレス帳データに登録された相手毎に別々のデータベースを用意し、記憶しておくことができる。
なお、図2(a)に示したキーワードデータベースは一例である。
【0025】
次に、感情カテゴリデータベースについて説明する。
感情カテゴリ(感情情報)は、感情メール処理において扱う全ての感情度合いを含むカテゴリである。すなわち、感情メール処理において処理対象のメールが感情度合いを有すると判定された場合は、その感情度合いは感情カテゴリデータベース内のいずれかの感情カテゴリに含まれる。
なお、図2(b)に示した感情カテゴリデータベースは一例であり、例えば、本実施形態では感情カテゴリデータベースは1から19までナンバリングされた感情カテゴリを有するとする。
【0026】
次に、アイコンデータベースについて説明する。
アイコンデータベースは、様々な感情を表すアイコン、例えば、表情のアイコンを有する。
図2(c)に示すように、アイコンデータベース内の各アイコンは、感情カテゴリデータベース内のいずれか1つと対応付けられている。
なお、図2(c)に示したアイコンデータベースは一例であり、例えば、本実施形態ではアイコンデータベースは1から19までナンバリングされたアイコンを有するとする。
【0027】
図3(a)〜(c)に示すように、キーワードデータベースの各キーワードは、感情カテゴリデータベース内のいずれかの感情カテゴリと対応付けられており、更に感情カテゴリデータベースの各カテゴリは、アイコンデータベースに含まれる各アイコンにそれぞれ対応付けられている。
図3(a)〜(c)は、キーワードデータベースの各エリアにおけるキーワードと感情カテゴリとの対応の一例を示すテーブルである。すなわち、各エリアのキーワードは必ずいずれかの感情カテゴリに属するように対応付けられ、図3(a)〜(c)に示すようなテーブルの形でメモリ4に記憶される。なお、図3(a)〜(c)に示したテーブルは一例であり、キーワードと感情カテゴリとの対応付けを記憶する方法はこれに限定されない。
また、図2(a)において説明したキーワードデータベースでは、固定エリア及びカスタマイズエリアはそれぞれ10個ずつになっているが、これは一例であり、実際には何個でもよい。感情カテゴリ及びアイコンの数についても同様である。
また、図3(a)〜(c)に示す各キーワードと感情カテゴリの対応付けは、自由に変更することができる。変更は、後述する感情情報変更部58が行う。
【0028】
制御部5は、携帯電話機100の統括的な制御を行う。
すなわち、例えば、音声着信があった場合には、発信相手から発信先情報を受信し、メモリ4内のアドレス帳データと照合しデータが存在した場合には表示部3に発信先情報を表示させ、図示しない音声入出力部を起動したり図示しない振動報知部を振動させたりして着信を報知し、音声入出力部を制御して通話を開始させる。
【0029】
また、制御部5は、後述する感情メール処理の実行に関して、分析部51と、感情度合い判定部52と、報知制御部53とを更に有する。
感情メール処理とは、メールを受信した際に、メール内の単語を検索し、メモリ4のデータベースに予め設定してあるキーワードと一致する単語があれば、これを基に受信したメール全体の感情度合いを判定し、当該感情度合いに対応するアイコンをメモリ4のデータベースからロードして表示部3に表示させる処理である。
メールを受信した際に感情メール処理を行うか否かは、例えば通常の待ち受け状態において予め設定しておくことができる。
【0030】
分析部51は、送受信部1が受信したメールを分析する。分析の方法は、例えば、メモリ4内のキーワードデータベース内のキーワードと一致する単語の検索である。
感情度合い判定部52は、分析部51が検索したデータベース内のキーワードと一致した受信メール内の単語を基に、受信メール本文全体の感情度合いを判定する。
感情度合い判定の方法は、例えば、検索された全ての単語の感情カテゴリを集計し、メール本文内に一番多くキーワードがあった感情カテゴリをメール本文全体の感情度合いとする方法等がある。
【0031】
すなわち、図2のデータベースを利用して説明すると、例えば、受信メール中にキーワードNo.1「嬉しい」が5個、No.2「びっくり」が4個、No.3「悲しい」が5個、No.29「嬉しかった」が2個あった場合、感情カテゴリNo.1「笑い」に属するキーワードが7個、No.2「驚き」が4個、No.3「悲しい」が5個存在することになるので、このメールの感情度合いは、「笑い」である、というように判定を行う。
なお、ここで示した感情度合い判定の方法は一例であり、本発明では限定しない。
【0032】
報知制御部53は、感情度合い判定部52が判定した感情度合いに応じて、感情アイコンを表示部3に表示させる。すなわち、例えば、感情度合い判定部52が判定した感情カテゴリに対応する感情アイコンを表示部3に表示させる。
図4は、感情メール処理を行ってメール着信をユーザに報知する画面の一例で、感情アイコンが表示部3に表示されている図である。
【0033】
また、制御部5は、後述するキーワード自動登録処理に関して、抽出部54と、登録部55と、単語関連性判断部56と、感情情報設定部57とを更に有する。
キーワード自動登録処理とは、送受信されたメール内に含まれている単語を抽出し、そのうち使用頻度の高い単語をキーワードとしてメモリ4のキーワードデータベースに加える処理である。ここで、使用頻度とは、送受信されたメール内に含まれている単語における出現頻度をいう。
なお、メールの送受信時にキーワード自動登録処理を行うか否かは、例えば通常の待ち受け状態で予め設定しておくことができる。
【0034】
抽出部54は、送受信部1が送信或いは受信したメールの本文から、全ての単語を抽出する。
登録部55は、抽出部54が抽出した単語を、当該メール本文中での使用頻度が高い順に所定の数だけ、メモリ4内のキーワードデータベースの自動登録エリアに登録する。なお、この所定の数は例えば通常の待ち受け状態においてキー入力部2及び制御部5によって設定が可能である。
【0035】
単語関連性判断部56は、登録部55がメモリ4のキーワードデータベースの自動登録エリアに新たに登録したキーワードと、キーワードデータベース内のキーワードとを比較し、関連性を判断する。具体的には、単語関連性判断部56は、登録部55がメモリ4のキーワードデータベースの自動登録エリアに新たに登録されたキーワードとキーワードデータベース内のキーワードとの比較の結果、新たに登録されたキーワードがキーワードデータベース内のキーワードの文字列と部分一致する部分を有している場合に、当該新たに登録されたキーワードと部分一致する文字列を有したキーワードとを関連性ありと判断する。
【0036】
感情情報設定部57は、単語関連性判断部56が判断した関連性を基に、当該単語と関連性を有するキーワードデータベース内のキーワードの感情情報を新たに登録されたキーワードに対応付け、感情カテゴリデータベースに書き込む。
【0037】
さらに、制御部5は、感情情報変更部58を有する。
感情情報変更部58は、図3(a)〜(c)に示すような、メモリ4のデータベースにおける、キーワードと感情カテゴリとの対応付けを変更する処理を行う。具体的には、例えば、通常の待ち受け画面からキー入力部2による入力操作によりキーワード・感情カテゴリ対応付け画面に移行させ、当該画面におけるキー入力部2による編集操作に基づいて、メモリ4のキーワードと感情カテゴリの対応テーブルを書き換える。なお、ここで説明した方法は一例であり、感情情報変更部58は、対応付けの変更をその他の方法で行ってもよい。
【0038】
以下、本実施形態の携帯電話機100の動作例について説明する。
まず、カスタマイズエリアにキーワードを登録する処理(以下、キーワードカスタマイズ処理と称する)について説明する。
図5は、キーワードカスタマイズ処理の際の携帯電話機100の動作例を示すフローチャートである。
【0039】
ステップST0:
携帯電話機100の通常待ち受け状態である。
ステップST1:
制御部5は、例えばキー入力部2を介した入力操作がカスタマイズ処理を開始するための入力操作か否かを判定し、そうである場合はステップST2へ進み、そうでない場合は通常待ち受け状態に戻る。
【0040】
ステップST2:
制御部5は、表示部3にキーワード登録画面を表示する。
キーワード登録画面は、例えば、キーワード入力ボックスと、感情情報選択ボックスとを有し、ユーザは、キー入力部2によりキーワードの入力及びそれに対応する感情情報の選択を、感情カテゴリデータベースを基に行う。
ステップST3:
制御部5は、メモリ4のキーワードデータベース内のカスタマイズエリアにステップST2において入力されたキーワードを登録し、それに対応する感情情報の情報もメモリ4に書き込む。
【0041】
以上説明したように、ユーザは新たなキーワードをデータベースに登録し、同時に当該キーワードに対応した感情情報をメモリ4に記憶させることができる。
【0042】
次に、感情メール処理の際の動作例について説明する。
図6は、感情メール処理の際の動作例を示すフローチャートである。
【0043】
ステップST10:
送受信部1がメールを受信する。
ステップST11:
制御部5は、感情メール処理を行う設定になっているか否かを判断し、感情メール処理を行う設定になっている場合はステップST12に進み、なっていない場合はステップST16に進む。
ステップST12:
分析部51は、送受信部1が受信したメールの文章を分析する。
【0044】
ステップST13:
制御部5は、ステップST12において分析部51が分析して得られた単語に対して、メモリ4のキーワードデータベース内のキーワードのいずれかと完全一致する単語が存在するか否かの判断を行い、完全一致するキーワードがある場合はステップST14に進み、そうでない場合はステップST16に進む。
ステップST14:
感情度合い判定部52は、ステップST13において分析部51が分析した結果得られた単語を、受信メール内の単語と一致したデータベース内のキーワードと、それに対応する感情カテゴリとを基に、受信メール本文の感情度合いを判定する。
【0045】
ステップST15:
報知制御部53は、ステップST14において感情度合い判定部52が判定した感情度合いに対応するアイコンを付加したメール着信画面を表示部3に表示させる。
ステップST16:
制御部5は、感情アイコンを表示しない通常のメール着信画面を表示部3に表示させる。
【0046】
以上説明したように、携帯電話機100はメールを着信した際に、メール本文内の単語を抽出してメール全体の感情度合いを判定し、当該感情度合いに応じたアイコンを表示させることができる。
【0047】
次に、キーワード自動登録処理の際の携帯電話機100の動作例について説明する。
図7は、キーワード自動登録処理の際の動作例を示すフローチャートである。
【0048】
ステップST20:
送受信部1がメールを送信するか、受信する。
ステップST21:
制御部5は、キーワード自動登録処理を行う設定であるか否かを判断し、キーワード自動登録処理を行う設定である場合はステップST22に進み、そうでない場合はキーワード自動登録処理を終了する。
【0049】
ステップST22:
抽出部54は、ステップST20において送受信部1が送信或いは受信したメールの本文から、全ての単語を抽出する。
ステップST23:
登録部55は、ステップST22において抽出部54が抽出した単語を、使用頻度が高い順に所定の数だけ、メモリ4内のキーワードデータベースの自動登録エリアに登録する。
【0050】
ステップST24:
単語関連性判断部56は、ステップST23において登録部55がメモリ4のキーワードデータベースの自動登録エリアに新たに登録したキーワード(単語)と、キーワードデータベース内に登録済みのキーワードとを比較し、関連性を判断する。
ステップST25:
感情情報設定部57は、ステップST24において単語関連性判断部56が判断した関連性を基に、新たに登録したキーワードと関連性を有するキーワードデータベース内のキーワードの感情カテゴリを新たに登録したキーワードに対応付け、キーワードデータベースの自動登録エリアに書き込む。
【0051】
以上説明したように、携帯電話機100はメールの送受信の際に、メールの本文中にある使用頻度の高い単語を自動的にキーワードとしてメモリ4のデータベースに登録し、更に新たに登録したキーワードとデータベース内の他のキーワードとの関連性から新たに登録したキーワードの感情カテゴリも自動登録することができる。
【0052】
なお、本動作例では、メール送受信時にキーワード自動登録処理を行っているが、例えば、キー入力部2の入力に応じて通常の待ち受け状態からキーワード自動登録処理を行うようにしてもよい。また、上記説明した感情メール処理及びキーワード自動登録処理をどちらも行う設定になっている場合には、メール受信の際には携帯電話機100は両方の処理を行うことになるが、携帯電話機100は、これらの処理を同時に行ってもよいし、どちらかの処理が終了してからもう片方の処理を行ってもよい。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の携帯電話機100によれば、メモリ4のキーワードデータベースに、予め登録されたキーワードを含む固定エリアの他に、ユーザが自由に登録を行うことができるカスタマイズエリアと、メール送受信の度に使用頻度の高い単語を自動的に抽出して登録する自動登録エリアとを有するので、メール本文内の単語にキーワードデータベース内のキーワードと一致する単語がないために感情メール処理が行えない、という事態を回避しやすい。
また、キーワードを自動登録する際は自動的にすでにデータベース内にあるキーワードとの関連性を判定し、これを基に新たに登録するキーワードの感情カテゴリも自動的に登録できるので、キーワードのカスタマイズが面倒な場合にもデータベースを充実させることができる。
【0054】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【0055】
なお、本実施形態の携帯電話機100は、メモリ4内にキーワード、感情カテゴリ及び感情アイコンの3種類のデータベースを有すると説明したが、本発明はこれに限定されず、更に他のデータベースを有してもよい。
【0056】
なお、上述した実施形態においては、メモリ4の各データベースは、アドレス帳データとは無関係に用意されていたため送信或いは受信した全ての相手に対して適用されていたが、これに限ることではなく、例えば、アドレス帳データと関連付けて記憶しておくことができる。すなわち、アドレス帳データに登録された相手ごとに上記各データベースを用意し、記憶しておくことができる。このような形態にした場合のキーワードカスタマイズ処理、キーワード自動登録処理、および感情メール処理の実施形態の例を以下に説明する。
【0057】
キーワードカスタマイズ処理においては、図5におけるステップ1とステップST2との間にアドレス帳データに登録された相手を選択・特定するステップを追加して、その上で以後の処理ステップS2及びステップST3に進めばよい。このようにすることで、例えば、ある特定の相手に対してのみメールの送信或いは受信でよく用いられる単語を、その特定の相手に用意された上記各データベースに登録することができる。
【0058】
キーワード自動登録処理においては、図7におけるステップST21とステップST22との間にアドレス帳データに登録された相手を選択・特定するステップを追加して、その上で以後の処理ステップS22乃至ステップST25に進めばよい。このようにすることで、例えば、ある特定の相手に対してのみメールの送信或いは受信でよく用いられる単語を、その特定の相手に用意された上記各データベースに自動的に登録することができる。
【0059】
感情メール処理においては、図6におけるステップST11とステップST12との間に、メールの送信者がアドレス帳データに登録されたデータと一致するか否かを判定する判定ステップを追加すればよい。なお、この判定は制御部5にメール送受信者アドレス判定部59を設けて行うように構成すればよい。当該判定ステップで、そのメール送信者がアドレス帳データに登録されたデータと一致した場合は、その送信者用に用意された上記各データベースを基にして以後の処理ステップST12乃至ステップST15に進む。当該判定ステップでそのメール送信者がアドレス帳データに登録されたデータと一致しなかった場合は、アドレス帳データとは無関係に用意された各データベースがあれば、当該データベースを基にして以後のステップST12乃至ステップST15に進むようにし、そのようなアドレス帳がなければ、以後の処理ステップST12乃至ステップST15は行わず、ステップST16に進んでアイコンなしのメール着信画面表示をするようにする。
なお、本実施形態は上記に限られることなく、発明の均等の範囲内において様々な変更が可能である。
【0060】
また、本実施形態の携帯電話機100のメモリ4の感情カテゴリデータベース及びアイコンデータベースでは、予め19個の感情情報及びアイコンが登録されていて、カスタマイズエリアを有していなかったが、キーワードデータベース同様、カスタマイズエリアを設け、例えば、感情カテゴリデータベースには感情情報「楽しい」を更に下位概念化した「超楽しい」などの感情情報を任意に登録したり、アイコンデータベースにはウェブなどを介して新たなアイコンをダウンロードし、アイコンデータベースに登録したりできるようにしてもよい。この場合、新たに登録された感情情報に対応するキーワード及びアイコンはメモリ4のキーワードデータベースやアイコンデータベースから任意に選択できるようにすればよい。また、新たに登録されたアイコンも同様にメモリ4のデータベースから対応するキーワード及び感情カテゴリを任意に選択できるようにすればよい。更に、ダウンロードされたアイコンについては、あらかじめどの感情カテゴリと対応するかが決定されており、その通りに対応付けられてデータベースに登録されるようにしてもよい。
【0061】
また、本実施形態の携帯電話機100では、表示部3が感情アイコンを表示しメールの感情をユーザに通知していたが、本発明はこれに限定されず、ユーザに何らかの手段でメールの感情度合いを報知すればよい。例えば、音声入出力部がメールの感情度合いを音声でユーザに報知してもよい。
【0062】
また、本実施形態では、メールの受信時の感情メール表示について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、キー入力部2の入力操作に応じて通常の待ち受け状態から受信メール一覧画面に移行する際に感情メール処理を行い、受信メール一覧画面に感情アイコンを表示してもよい。或いは、メールの受信時に行った感情メール処理の結果を当該メールに関連付けて記憶しておき、メールの表示のたびに感情アイコンを表示してもよい。
【0063】
さらに、本実施形態では、メール本文中の単語に対してのみキーワードか否かの判定を行うように説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、文節や特定の文字、例えば、顔文字や絵文字等、文字に関する情報であれば全て本発明のキーワードになりうる。つまり、メモリ4のキーワードカテゴリには同じく文節や特定の文字等が記憶されていてもよい。
【0064】
また、本実施形態では感情アイコンによって感情度合いを報知したが、本発明はこれに限定されない。感情アイコンに代わる、例えば記号や写真等で感情度合いを報知してもよいし、上述したように音声や振動の回数等によって報知を行ってもよい。
【0065】
また、本実施形態のキーワード自動登録処理における使用頻度は、送信或いは受信されたメール内に含まれている単語における出現頻度であるとしていたが、これに限られることはなく、例えば、所定期間内に送信或いは受信された全てのメール内に含まれている単語における出現頻度であるとしてもよい。この場合、メモリ4内には、抽出部54により抽出された送信或いは受信された全てのメール内に含まれている単語を出現頻度順に並べて記憶し、所定期間が経過すると登録部55が所定の順以内の単語をキーワードとしてメモリ4のキーワードデータベースに登録するように構成すればよい。
【0066】
また、本実施形態のキーワード自動登録処理における登録部55は、抽出部54が抽出した単語を使用頻度が高い順に所定の数だけ、メモリ4内のキーワードデータベースの自動登録エリアに登録していたが、これに限られることはない。例えば、抽出部54により抽出された単語が所定の高い順に入っても、所定の出現頻度(例えば5回以上出現)がなければ登録部55は登録しないようにしてもよい。さらには、例えば、メモリ4にキー入力部2により入力された文字に対して文字変換が予測される変換候補を格納する辞書(予測変換辞書)が記憶されており、登録部55は、当該予測変換辞書に格納された変換候補から抽出部54が所定の単語を抽出し、抽出された単語をメモリ4のキーワードデータベースに登録するように構成してもよい。ここで予測変換辞書とは、過去にキー入力部2により入力された単語を出現頻度順に並べて記憶した辞書である。ただし、最も最近入力された文字は、出現頻度の如何にかかわらず常に先頭に並べられるよう構成されている。
【0067】
また、本実施形態では本発明の通信機器の一例として携帯電話機100を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、PDA等の携帯機器等、文字による通信を行ウことができる機器であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、本実施形態の携帯電話機100の構成の一例を示す図である
【図2】図2は、メモリ4の各データベースと、各データベースの内容を示すテーブルについて説明するための図である。
【図3】図3は、キーワードデータベースの各エリアにおけるキーワードとアイコンとの対応の一例を示すテーブルである。
【図4】図4は、感情アイコンが表示部3に表示されている一例を示す図である。
【図5】図5は、キーワードカスタマイズ処理の際の携帯電話機100の動作例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、感情メール処理の際の動作例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、キーワード自動登録処理の際の動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1…送受信部、2…キー入力部、3…表示部、4…メモリ、5…制御部、51…分析部、52…感情度合い判定部、53…報知制御部、54…抽出部、55…登録部、56…単語関連性判断部、57…感情情報設定部、58…感情情報変更部、100…携帯電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字メッセージを送受信する送受信部と、
該送受信部により文字メッセージが受信されると報知動作を行う報知部と、
前記送受信部により受信された文字メッセージを分析する分析部と、
予め所定の文字情報と、該文字情報に対応して設定された感情情報とが記憶される記憶部と、
前記分析部により分析された前記送受信部により受信された文字メッセージの分析結果と、該記憶部に記憶されている前記文字情報および感情情報とに基づいて、前記文字メッセージの感情度合いを判定する感情度合い判定部と、
該感情度合い判定部により判定された前記文字メッセージの感情度合いに応じて前記報知部を制御する報知制御部と、
前記送受信部により送受信された文字メッセージ中に含まれる単語を抽出する抽出部と、
該抽出部により抽出された単語を前記記憶部に前記文字情報として登録する登録部と、
を有することを特徴とする通信機器。
【請求項2】
前記登録部は、前記送受信した相手別に前記抽出された単語を前記記憶部に前記文字情報として登録する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信機器。
【請求項3】
前記抽出部は、前記送受信された文字メッセージから使用頻度の高い順に単語を抽出し、
前記登録部は、前記抽出部により使用頻度の高い順に抽出された単語のうち所定の順位までの単語を前記記憶部に前記文字情報として自動登録する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信機器。
【請求項4】
前記登録部により前記文字情報として登録された文字メッセージ中に含まれる単語に対応する感情情報を設定する感情情報設定部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の通信機器。
【請求項5】
前記感情情報設定部は、前記登録部により前記文字情報として登録された文字メッセージ中に含まれる単語が前記記憶部に予め記憶されている単語との関連性を判断する単語関連性判断部を有し、
前記感情情報設定部は、前記単語関連性判断部によって前記登録部により前記文字情報として登録された文字メッセージ中に含まれる単語と前記記憶部に予め記憶された単語とには関連性があると判断された場合には、前記関連性があると判断された前記記憶部に予め記憶された単語に対応して設定された感情情報と同一の感情情報を前記抽出された単語に自動的に設定する
ことを特徴とする請求項4に記載の通信機器。
【請求項6】
前記単語関連性判断部は、前記登録部により前記文字情報として登録された文字メッセージ中に含まれる単語が前記記憶部に文字情報としてあらかじめ記憶されている単語に含まれる文字列と一致する部分を有している場合には、前記登録部により前記文字情報として登録された文字メッセージ中に含まれる単語は前記部分一致している単語と関連性があると判断する
ことを特徴とする請求項5に記載の通信機器。
【請求項7】
前記記憶部内の文字情報及び感情情報をそれぞれ任意に変更することができる感情情報変更部を更に有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の通信機器。
【請求項8】
文字メッセージを送受信する第1の工程と、
前記第1の工程において文字メッセージが受信されると報知動作を行う第2の工程と、
前記第1の工程において受信された文字メッセージを分析する第3の工程と、
予め所定の文字情報と、該文字情報に対応して設定された感情情報とを記憶部に記憶する第4の工程と、
前記第3の工程において分析された、前記第1の工程において受信された文字メッセージの分析結果と、前記第4の工程において記憶された前記文字情報および感情情報とに基づいて、前記文字メッセージの感情度合いを判定する第5の工程と、
前記第5の工程において判定された前記文字メッセージの感情度合いに応じて前記報知部を制御する第6の工程と、
前記第1の工程において送受信された文字メッセージ中に含まれる単語を抽出する第7の工程と、
前記第7の工程において抽出された単語を前記記憶部に前記文字情報として登録する第8の工程と、
を有することを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−148939(P2007−148939A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344770(P2005−344770)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】