通信用スイッチ装置
【課題】ネットワークを構成する各ノードには特殊な機能を必要とせずに、一般的な産業用ネットワーク(例えば、イーサネット(登録商標)など)を使用することができ、しかもサイクリック情報のリアルタイム性を保証することが可能な通信用スイッチ装置を提供する。
【解決手段】 他の通信用スイッチ装置の回線使用時間帯に上位ポートから受信したサイクリック情報及び随時に下位ポートから受信したI/Oデータを蓄えるバッファと、自分の回線使用時間帯にバッファに蓄えたI/Oデータの最新情報を読み出し、上位ポートへ送信する手段とを具備する。
【解決手段】 他の通信用スイッチ装置の回線使用時間帯に上位ポートから受信したサイクリック情報及び随時に下位ポートから受信したI/Oデータを蓄えるバッファと、自分の回線使用時間帯にバッファに蓄えたI/Oデータの最新情報を読み出し、上位ポートへ送信する手段とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイクリックにリアルタイムデータ(I/Oデータ等)を通信するネットワーク(例えば、イーサネット(登録商標)/IPなど)に好適な通信用スイッチ装置(スイッチングハブ)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、産業用イーサネット(登録商標)において、サイクリック情報のリアルタイム性を保証するためには、通信用スイッチ装置を用いてQOS制御を行う方法(第1の方法)やイーサネット(登録商標)に対応する機器のそれぞれにおいて、送信タイミングを時間分割することによって輻輳を回避する方法(第2の方法)が採用されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−244987
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した第1の方法にあっては、通信用スイッチ装置にかかるトラフィックの最悪状態は、すべてのノードが同時に送信動作を行った場合となる。この場合にも、パケットのロスの発生しないことやレイテンシを保証するためには、ノードの送信動作に制限(例えば、送信間隔を10msec間隔にする)を与えるなどして、非常に小さい帯域しか使用しないようにし、かつ、場合によってはノード数を制限する場合もある。この傾向は、マルチキャストを多用する場合に顕著となる。
【0004】
一方、上述の第2の方法にあっては、システム全体で同期している時計を各ノードに持たせねばならないことから、同期機能はハードウェア的に実現せねばならず、しかもかなりの高精度を要求されるのが通例である。そのため、各ノードにそれぞれ特殊な機能を持たせねばならないことから、各ノードのコストアップが招来される。
【0005】
加えて、各ノードは初期設定でバス管理局が定めた時間にのみパケットを送信せねばならず、各ノードに特殊な機能を持たせねばならないことから、この点からもノードのコストアップが招来される。
【0006】
この発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、ネットワークを構成する各ノードには特殊な機能を必要とせずに、一般的な産業用ネットワーク(例えば、イーサネット(登録商標)など)を使用することができ、しかもサイクリック情報のリアルタイム性を保証することが可能な通信用スイッチ装置を提供することにある。
【0007】
この発明の他の目的ならびに作用効果については、明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記の目的を達成するために、次のような構成を採用するものである。すなわち、本発明の通信用スイッチ装置は、他の通信用スイッチ装置に対して接続するための上位ポートと、他の通信用スイッチ装置との間でサイクリックな回線使用時間帯を順次に割り振る手段と、I/Oデータを扱うノードを接続するための下位ポートと、他の通信用スイッチ装置の回線使用時間帯に上位ポートから受信したサイクリック情報及び随時に下位ポートから受信したI/Oデータを蓄えるバッファと、自分の回線使用時間帯にバッファに蓄えたI/Oデータの最新情報を読み出し、上位ポートへ送信する手段とを具備することを特徴とするものである。
【0009】
このような構成によれば、他の通信用スイッチ装置の回線使用時間帯に上位ポートから受信したサイクリック情報及び随時に下位ポートから受信したI/Oデータを蓄えるバッファと、自分の回線使用時間帯にバッファに蓄えたI/Oデータの最新情報を読み出し、上位ポートへ送信する手段を有するものであるから、ネットワークを構成する各ノードには特殊な機能を必要とせずに、一般的な産業用ネットワーク(例えば、イーサネット(登録商標)など)を使用することができ、しかもサイクリック情報のリアルタイム性を保証することが可能となる。
【0010】
好ましい実施の形態においては、回線使用時間帯の開始時刻並びに終了時刻を登録するための開始レジスタ及び終了レジスタをさらに有するものであってもよい。このような構成によれば、適当なサポートツールを接続することで、各ノードの通信予定パケットに合わせて、回線使用時間帯を自在に設定することができる。
【0011】
好ましいし実施の形態においては、下位ポートに接続されるノードがPLCであってもよい。このような構成によれば、PLCシステムにおけるサイクリック情報のリアルタイム性を保証することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明の通信用スイッチ装置によれば、ネットワークを構成する各ノードには特殊な機能を必要とせずに、一般的な産業用ネットワーク(例えば、イーサネット(登録商標)など)を使用することができ、しかもサイクリック情報のリアルタイム性を保証することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、この発明に係る通信用スイッチ装置の好適な実施の一形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
本発明の通信用スイッチ装置が適用されたシステム構成例が図1に示されている。
【0015】
図示のシステムにおいては、3台の通信用スイッチ装置11,12,13が示されている。これらの通信用スイッチ装置11,12,13は、産業用ネットワーク(例えば、イーサネット(登録商標)/IPなど)を介して接続されている。
【0016】
通信用スイッチ装置11,12,13のそれぞれには、この例にあっては、それぞれ最大4個の下位ポートP11,P12,P13,P14と2個の上位ポートP01,P02が設けられている。
【0017】
より具体的には、図中左端に位置する通信用スイッチ装置11の場合、下位ポートP11にはノードとしてプログラマブルコントローラ(以下、PLCと言う)111が、下位ポートP12にはノード112が、下位ポートP13にはノード113がそれぞれ接続されている。これらのノード112,113としては、例えばPLC11に接続されるリモートI/Oユニット等を挙げることができる。
【0018】
同様にして、図中真中に位置する通信用スイッチ装置12の場合、下位ポートP11,P12,P13,P14のそれぞれには、ノード121,122,123,124がそれぞれ接続されている。これらのノードとしても、例えばPLC11のリモートI/Oユニット等を挙げることができる。
【0019】
同様にして、右端に位置する通信用スイッチ装置13の場合、下位ポートP11はノード131が、またそれ以外の下位ポートについてもそれぞれノードが接続されている。
【0020】
一方、図中左端に位置する通信用スイッチ装置11の上位ポートP01には図中真中に位置する通信用スイッチ装置12の上位ポートP02が接続されている。同様にして、図中真ん中に位置する通信用スイッチ装置12の上位ポートP01には図中右端に位置する通信用スイッチ装置13の上位ポートP02が接続されている。
【0021】
以上により、このネットワークによれば、1台のPLC111と、複数台のノード112,113,121〜124,131との間をネットワークで結ぶことにより、それらのノード間において、サイクリックなデータのやり取りが可能になされている。
【0022】
なお、以下の説明では、図中、中央に位置する通信用スイッチ装置12に接続された4台のノード121,122,123,124には、アドレスとして、#a,#b,#c,#dがそれぞれ割り付けられている。また、アドレス#aが割り付けられたノード121は、リアルタイムパケット(優先度#1)とリアルタイムパケット(優先度#2)からなる2種類のリアルタイムパケットを扱うように設定されている。
【0023】
同様に、アドレス#bが割り付けられたノード122は、リアルタイムパケット(優先度#1)である1種類のリアルタイムパケットを扱うように設定されている。同様にして、アドレス#cが割り付けられたノード123の場合、リアルタイムパケット(優先度#2)である1種類のリアルタイムパケットを扱うように設定されている。同様にして、アドレス#dが割り付けられたノード124にあっては、リアルタイムパケット(優先度#1)である1種類のリアルタイムパケットを扱うように設定されている。
【0024】
通信用スイッチ装置11,12,13の構成図が図2に示されている。同図に示されるように、通信用スイッチ装置11,12,13のそれぞれは同一構成を有するものであって、それぞれリアルタイム保証処理部Aと、時間同期処理部Bと、スイッチロジック部Cと、4個の下位ポートP11〜P14と、2個の上位ポートP01,P02を有している。
【0025】
リアルタイム保証処理部A内には、同図に示されるように、転送パケットの登録テーブルTBLが設けられている。この登録テーブルTBL内には、図2及び図3に示されるように、各下位ポートP01〜P04に接続されたノードアドレスに対応して、#a用バッファ、#b用バッファ、#c用バッファ、#d用バッファがそれぞれ設けられている。
【0026】
転送パケット登録テーブルの説明図が図4に示されている。同図から明らかなように、#a〜#d用バッファのそれぞれには、転送パケットの種別並びにパケットサイズがそれぞれ登録されている。すなわち、先に説明したように、ノードアドレス#aに関しては、パケットサイズ128バイトを有するリアルタイムパケット#1と、パケットサイズ64バイトを有するリアルタイムパケット#2とが登録されている。同様にして、ノードアドレス#bに対しては、64バイトを有するリアルタイムパケット#1が登録されている。同様にして、ノードアドレス#cに関しては、256バイトを有するリアルタイムパケット#2が登録されている。同様にして、ノードアドレス#dに関しては、256バイトを有するリアルタイムパケット#1が登録されている。なお、ここで言うノードアドレスには、MACアドレスやIPアドレスが使用される。
【0027】
一方、時間同期処理部B内には、同期時間生成部B1と、自スイッチの回線使用許可開始時間レジスタB21と、自スイッチの回線使用許可終了時間レジスタB22と、アイドル開始時間レジスタB23と、アイドル終了時間レジスタB24とが内蔵されている。
【0028】
同期時間生成部B1においては、システムで同期した時間情報を生成する(例えば、IEEE1588などによる時間同期をサポートしている)。なお、時間同期に関わるパケットの転送はアイドル時間に行う。これは、本発明でのスイッチの処理の影響を受けないようにするためである。以下、時間同期に関わるパケットは一般パケットに含めて説明している。
【0029】
すなわち、レジスタB21,B22,B23,B24のそれぞれには、図11〜図13に示されるように、所定のフォーマットをもって、自スイッチの回線使用許可開始時間、自スイッチの回線使用許可終了時間、アイドル開始時間、アイドル終了時間がそれぞれ設定されている。なお、これらの設定例は、時間の最小単位を1μsecと転移した場合、1〜65msecの範囲に各スイッチの回線使用許可時間とアイドル時間を割り付けたものである。そして、時間同期処理部Bにおいては、それらのレジスタB21〜B24の各設定データと、同期時間生成部B1とに基づいて、決められた時間管理を実現するためのタイミング信号を発生するように構成されている。
【0030】
図11〜図13に示されるフォーマット例と、それに対応して生成される時間割の例を示す説明図が図14に示されている。同図に示されるように、本発明によれば、図11〜図13に示される各設定データの同期時間の下位16ビットの内容に基づいて、スイッチAの回線使用許可時間→スイッチBの回線使用許可時間→スイッチCの回線使用許可時間→アイドル→スイッチAの回線使用許可時間→スイッチBの回線使用許可時間→スイッチCの回線使用許可時間の通り、各通信用スイッチ装置別に専用の回線使用時間が割り当てられるようになっている。なお、ここでスイッチA,スイッチB,スイッチCとは、図9に示されるように、図中左から並べられた3個の通信用スイッチ装置のことを意味している。
【0031】
図2に戻って、スイッチロジック部Cは例えばスイッチLSI等で構成されており、それに接続された4個の下位ポートP11〜P14と2個の上位ポートP01,P02との間における接続を制御するものである。ここで、上位ポートP01,P02は、受信したパケットを、他のポート(上位ポートと下位ポートとの両方)へフォワーディングするポートであり、通常のスイッチ動作も行うものである。これに対して、下位ポートP11〜P14とは、受信したリアルタイムパケットを、ノードアドレスなどごとにバッファリングする機能を有するポートである。ここで、下位ポートで受信したパケットの宛先が下位ポート宛のユニキャストであった場合、上記バッファに格納されずにフォワーディングしてもよい。この場合、マルチキャストであった場合は、サイクリック転送バッファに格納されるものとする。また、上位ポートから下位ポート宛の全てのパケットは、時間帯に拘わらず直ちにフォワーディングする。
【0032】
また、後に詳述するように、下位ポートP11〜P14のそれぞれで受信したリアルタイムサイクリック転送パケットは、それぞれ対応するバッファ(#a用バッファ〜#d用バッファ)に格納される。なお、#a〜#cに割り当てられたバッファは1つであり、新たに下位ポートからサイクリック転送パケットが到来した場合、そのリアルタイムパケットはバッファ上に上書きされる。
【0033】
各スイッチは、上記同期時間に基づいて、図10の表に示されるように、時間領域毎の処理を行う。すなわち、「自スイッチの回線使用許可時間」については、サイクリック転送バッファの内容を全ポートにフォワーディングする。また、下位ポートから受信した一般転送パケットを破棄する。また、他スイッチ(スイッチAやスイッチC)の回線使用許可時間に関しては、下位ポートから受信したサイクリック転送パケットをサイクリック転送バッファに格納(上書き・更新)する。また、下位ポートから受信した一般転送パケットを破棄する。また、アイドル時間に関しては、下位ポートから受信した一般転送パケットをフォワーディングする。ここで言うフォワーディングとは、一般的な通信用スイッチ装置の機能としてのフォワーディングである。また、下位ポートから受信したサイクリック転送パケットをサイクリック転送バッファに格納(上書き・更新)する。
【0034】
次に、下位ポートに関する処理を示すフローチャートが図5に示されている。同図において処理が開始されると、パケット受信を待機する状態となる(ステップ501)。この状態において、パケットが受信されると(ステップ501YES)、現在の時間領域はどの領域にあるかの判定が行われる(ステップ502)。
【0035】
このとき、自スイッチの回線使用許可時間であると判定されると、続いてパケットの種別が判定される(ステップ503)。ここでは、リアルタイムパケットと判定される場合と、一般転送パケットと判定される場合とがある。
【0036】
リアルタイムパケットと判定されると、そのパケットはサイクリック転送バッファに格納(上書き・更新)される(ステップ506)。その後、サイクリック転送バッファに格納されたパケットはフォワーディングされる(ステップ507)。これに対して、パケットの種別が一般転送パケットと判定されると、そのパケットは破棄される(ステップ508)。
【0037】
現在の時間領域が他スイッチの回線使用許可時間と判定された場合、そのパケットの種別が一般転送パケットであるかリアルタイムパケットであるかの判定が行われる(ステップ504)。ここで、一般転送パケットと判定された場合、そのパケットは破棄されるのに対し、リアルタイムパケットと判定された場合には、サイクリック転送バッファに格納(上書き・更新)される(ステップ509)。
【0038】
現在の時間領域がアイドル時間と判定されると、続いてパケットの種別がリアルタイムパケットであるか一般転送パケットであるかが判定される(ステップ505)。ここでリアルタイムパケットと判定されると、続いてそのパケットはサイクリック転送バッファに格納(上書き・更新)される(ステップ509)。これに対して、一般転送パケットと判定されると、そのパケットはフォワーディング(一般的なスイッチング処理)される。
【0039】
以上の処理(ステップ501〜510)が、パケットの受信のたびに繰り返されることにより、あらかじめ割り当てられた各時間帯別にリアルタイム性を保証しつつ、サイクリック情報の送受信が行われる。
【0040】
なお、上位ポートに関する処理については、図6に示されるように、パケットの受信を待機し(ステップ601)、パケットの受信ならば、そのパケットをフォワーディング(一般的なスイッチング処理)する(ステップ602)。すなわち、上位ポートに関する限り、本発明においても、一般的なスイッチング処理が行われる。
【0041】
下位ポートP11がパケットを受信した場合のパケットの流れを示す説明図が図7に示されている。同図に示されるように、この場合、下位ポートP11に受信されたパケットは、下位ポートP13及び上位ポートP02から送信される。
【0042】
また、上位ポートP02がパケットを受信した場合におけるパケットの流れを示す説明図(その2)が図8に示されている。同図に示されるように、上位ポートP02がパケットを受信した場合、そのパケットは、下位ポートP12及び上位ポートP01から送信される。
【0043】
最後に、スケジューリングの実施例を示す説明図が図15に示されている。この例にあっては、3台の通信スイッチ装置SW−1,SW−2,SW−3を介してネットワーク(1588による時間管理下)が構成されている。通信スイッチ装置SW−1には3台のノード(スレーブ)1−A,1−B,1−Cの他に、1台のPLCが接続されている。
【0044】
同様にして、通信スイッチ装置SW−2には、3台のノード(スレーブ)2−A,2−B,2−Cがそれぞれ接続されている。同様に、通信スイッチ装置SW−3には、3台のノード(スレーブ)3−A,3−B,3−Cが接続されている。
【0045】
そして、これらの通信スイッチ装置SW−1〜3のそれぞれは、(SW−1の時間帯)→(SW−2の時間帯)→(SW−3の時間帯)→(アイドル)の順に1通信サイクルを構成するか(1通信サイクルの例−1)、あるいは(SW−1の時間帯)→(アイドル)→(SW−2の時間帯)→(アイドル)→(SW−3の時間帯)→(アイドル)の順に通信サイクルを構成している(1通信サイクルの例−2)。
【0046】
そして、同じグループ(同じスイッチ)に接続されたノードの中では、基本的に自由にパケットのやり取りを行うことができる。また、各スイッチを介して外部へ送出されようとするパケットに関しては、一旦各スイッチ内にバッファリングされる。但し、このときバッファリングされるのはサイクリックデータのみとされる。同じ送信元からのサイクリックデータはバッファの内容を上書きされる。さらに、外部からスイッチに入ってくるパケットに関しては、一切バッファリングは行われず、従前のスイッチング方式を利用して、フリーパスとされる。一方、各通信スイッチ装置毎に決められた時間帯が到来すれば、バッファリングされているサイクリックデータは宛先に向けて送信される。
【0047】
以上の動作中、各ノード(スレーブ)のそれぞれは、時間管理(1588)もサイクルも意識することはない。そのため、本発明によれば、各ノードに対する時間管理の負担が一切かからず、各ノードが特殊なハードウェアを備えることによりコストアップに繋がることを回避しつつも、サイクリック情報のリアルタイム性を保証することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上の説明で明らかなように、本発明に係る通信用スイッチ装置によれば、上位ポートから入ってくるパケットに関しては従前の通信用スイッチ装置と同様にしてフリーパスを保証しつつも、外部へ出ていくパケットに関しては、サイクリックデータについてのみバッファリングを行い、しかも各スイッチ毎に割り当てられた時間帯の到来と共に外部へ送出するようにしているため、個々の下位ポートに接続されたノードにおいてシステム同期した時間管理を行う必要がなくなり、それらのノードの低コスト化を達成できる一方、システム全体としてはサイクリック情報のリアルタイム性を保証することができる。そのため、本発明によれば、イーサネット(登録商標)などの産業用ネットワークにおいて、サイクリック情報のリアルタイム性を確実に保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】システム構成例を示す説明図である。
【図2】本発明装置の構成図である。
【図3】バッファ構成例を示す説明図である。
【図4】転送パケット登録テーブルの説明図である。
【図5】下位ポートに関する処理を示すフローチャートである。
【図6】上位ポートに関する処理を示すフローチャートである。
【図7】パケットの流れを示す説明図(その1)である。
【図8】パケットの流れを示す説明図(その2)である。
【図9】システム構成の一具体例を示す説明図である。
【図10】スイッチ−Bでの時間領域毎の処理例を示す説明図である。
【図11】フォーマット例の説明図(その1)である。
【図12】フォーマット例の説明図(その2)である。
【図13】フォーマット例の説明図(その3)である。
【図14】設定例に基づく時間割の例を示す説明図である。
【図15】スケジューリングの実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0050】
11,12,13 通信用スイッチ装置
111 PLC
112,113 ノード
121,122,123,124 ノード
131 ノード
A リアルタイム保証処理部
B 時間同期処理部
B1 同期時間生成部
B21 自スイッチの回線使用許可開始時間レジスタ
B22 自スイッチの回線使用許可終了時間レジスタ
B23 アイドル開始時間レジスタ
B24 アイドル終了時間レジスタ
C スイッチロジック部
TBL 転送パケット登録テーブル
P01,P02 上位ポート
P11,P12,P13,P14 下位ポート
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイクリックにリアルタイムデータ(I/Oデータ等)を通信するネットワーク(例えば、イーサネット(登録商標)/IPなど)に好適な通信用スイッチ装置(スイッチングハブ)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、産業用イーサネット(登録商標)において、サイクリック情報のリアルタイム性を保証するためには、通信用スイッチ装置を用いてQOS制御を行う方法(第1の方法)やイーサネット(登録商標)に対応する機器のそれぞれにおいて、送信タイミングを時間分割することによって輻輳を回避する方法(第2の方法)が採用されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−244987
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した第1の方法にあっては、通信用スイッチ装置にかかるトラフィックの最悪状態は、すべてのノードが同時に送信動作を行った場合となる。この場合にも、パケットのロスの発生しないことやレイテンシを保証するためには、ノードの送信動作に制限(例えば、送信間隔を10msec間隔にする)を与えるなどして、非常に小さい帯域しか使用しないようにし、かつ、場合によってはノード数を制限する場合もある。この傾向は、マルチキャストを多用する場合に顕著となる。
【0004】
一方、上述の第2の方法にあっては、システム全体で同期している時計を各ノードに持たせねばならないことから、同期機能はハードウェア的に実現せねばならず、しかもかなりの高精度を要求されるのが通例である。そのため、各ノードにそれぞれ特殊な機能を持たせねばならないことから、各ノードのコストアップが招来される。
【0005】
加えて、各ノードは初期設定でバス管理局が定めた時間にのみパケットを送信せねばならず、各ノードに特殊な機能を持たせねばならないことから、この点からもノードのコストアップが招来される。
【0006】
この発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、ネットワークを構成する各ノードには特殊な機能を必要とせずに、一般的な産業用ネットワーク(例えば、イーサネット(登録商標)など)を使用することができ、しかもサイクリック情報のリアルタイム性を保証することが可能な通信用スイッチ装置を提供することにある。
【0007】
この発明の他の目的ならびに作用効果については、明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記の目的を達成するために、次のような構成を採用するものである。すなわち、本発明の通信用スイッチ装置は、他の通信用スイッチ装置に対して接続するための上位ポートと、他の通信用スイッチ装置との間でサイクリックな回線使用時間帯を順次に割り振る手段と、I/Oデータを扱うノードを接続するための下位ポートと、他の通信用スイッチ装置の回線使用時間帯に上位ポートから受信したサイクリック情報及び随時に下位ポートから受信したI/Oデータを蓄えるバッファと、自分の回線使用時間帯にバッファに蓄えたI/Oデータの最新情報を読み出し、上位ポートへ送信する手段とを具備することを特徴とするものである。
【0009】
このような構成によれば、他の通信用スイッチ装置の回線使用時間帯に上位ポートから受信したサイクリック情報及び随時に下位ポートから受信したI/Oデータを蓄えるバッファと、自分の回線使用時間帯にバッファに蓄えたI/Oデータの最新情報を読み出し、上位ポートへ送信する手段を有するものであるから、ネットワークを構成する各ノードには特殊な機能を必要とせずに、一般的な産業用ネットワーク(例えば、イーサネット(登録商標)など)を使用することができ、しかもサイクリック情報のリアルタイム性を保証することが可能となる。
【0010】
好ましい実施の形態においては、回線使用時間帯の開始時刻並びに終了時刻を登録するための開始レジスタ及び終了レジスタをさらに有するものであってもよい。このような構成によれば、適当なサポートツールを接続することで、各ノードの通信予定パケットに合わせて、回線使用時間帯を自在に設定することができる。
【0011】
好ましいし実施の形態においては、下位ポートに接続されるノードがPLCであってもよい。このような構成によれば、PLCシステムにおけるサイクリック情報のリアルタイム性を保証することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明の通信用スイッチ装置によれば、ネットワークを構成する各ノードには特殊な機能を必要とせずに、一般的な産業用ネットワーク(例えば、イーサネット(登録商標)など)を使用することができ、しかもサイクリック情報のリアルタイム性を保証することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、この発明に係る通信用スイッチ装置の好適な実施の一形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
本発明の通信用スイッチ装置が適用されたシステム構成例が図1に示されている。
【0015】
図示のシステムにおいては、3台の通信用スイッチ装置11,12,13が示されている。これらの通信用スイッチ装置11,12,13は、産業用ネットワーク(例えば、イーサネット(登録商標)/IPなど)を介して接続されている。
【0016】
通信用スイッチ装置11,12,13のそれぞれには、この例にあっては、それぞれ最大4個の下位ポートP11,P12,P13,P14と2個の上位ポートP01,P02が設けられている。
【0017】
より具体的には、図中左端に位置する通信用スイッチ装置11の場合、下位ポートP11にはノードとしてプログラマブルコントローラ(以下、PLCと言う)111が、下位ポートP12にはノード112が、下位ポートP13にはノード113がそれぞれ接続されている。これらのノード112,113としては、例えばPLC11に接続されるリモートI/Oユニット等を挙げることができる。
【0018】
同様にして、図中真中に位置する通信用スイッチ装置12の場合、下位ポートP11,P12,P13,P14のそれぞれには、ノード121,122,123,124がそれぞれ接続されている。これらのノードとしても、例えばPLC11のリモートI/Oユニット等を挙げることができる。
【0019】
同様にして、右端に位置する通信用スイッチ装置13の場合、下位ポートP11はノード131が、またそれ以外の下位ポートについてもそれぞれノードが接続されている。
【0020】
一方、図中左端に位置する通信用スイッチ装置11の上位ポートP01には図中真中に位置する通信用スイッチ装置12の上位ポートP02が接続されている。同様にして、図中真ん中に位置する通信用スイッチ装置12の上位ポートP01には図中右端に位置する通信用スイッチ装置13の上位ポートP02が接続されている。
【0021】
以上により、このネットワークによれば、1台のPLC111と、複数台のノード112,113,121〜124,131との間をネットワークで結ぶことにより、それらのノード間において、サイクリックなデータのやり取りが可能になされている。
【0022】
なお、以下の説明では、図中、中央に位置する通信用スイッチ装置12に接続された4台のノード121,122,123,124には、アドレスとして、#a,#b,#c,#dがそれぞれ割り付けられている。また、アドレス#aが割り付けられたノード121は、リアルタイムパケット(優先度#1)とリアルタイムパケット(優先度#2)からなる2種類のリアルタイムパケットを扱うように設定されている。
【0023】
同様に、アドレス#bが割り付けられたノード122は、リアルタイムパケット(優先度#1)である1種類のリアルタイムパケットを扱うように設定されている。同様にして、アドレス#cが割り付けられたノード123の場合、リアルタイムパケット(優先度#2)である1種類のリアルタイムパケットを扱うように設定されている。同様にして、アドレス#dが割り付けられたノード124にあっては、リアルタイムパケット(優先度#1)である1種類のリアルタイムパケットを扱うように設定されている。
【0024】
通信用スイッチ装置11,12,13の構成図が図2に示されている。同図に示されるように、通信用スイッチ装置11,12,13のそれぞれは同一構成を有するものであって、それぞれリアルタイム保証処理部Aと、時間同期処理部Bと、スイッチロジック部Cと、4個の下位ポートP11〜P14と、2個の上位ポートP01,P02を有している。
【0025】
リアルタイム保証処理部A内には、同図に示されるように、転送パケットの登録テーブルTBLが設けられている。この登録テーブルTBL内には、図2及び図3に示されるように、各下位ポートP01〜P04に接続されたノードアドレスに対応して、#a用バッファ、#b用バッファ、#c用バッファ、#d用バッファがそれぞれ設けられている。
【0026】
転送パケット登録テーブルの説明図が図4に示されている。同図から明らかなように、#a〜#d用バッファのそれぞれには、転送パケットの種別並びにパケットサイズがそれぞれ登録されている。すなわち、先に説明したように、ノードアドレス#aに関しては、パケットサイズ128バイトを有するリアルタイムパケット#1と、パケットサイズ64バイトを有するリアルタイムパケット#2とが登録されている。同様にして、ノードアドレス#bに対しては、64バイトを有するリアルタイムパケット#1が登録されている。同様にして、ノードアドレス#cに関しては、256バイトを有するリアルタイムパケット#2が登録されている。同様にして、ノードアドレス#dに関しては、256バイトを有するリアルタイムパケット#1が登録されている。なお、ここで言うノードアドレスには、MACアドレスやIPアドレスが使用される。
【0027】
一方、時間同期処理部B内には、同期時間生成部B1と、自スイッチの回線使用許可開始時間レジスタB21と、自スイッチの回線使用許可終了時間レジスタB22と、アイドル開始時間レジスタB23と、アイドル終了時間レジスタB24とが内蔵されている。
【0028】
同期時間生成部B1においては、システムで同期した時間情報を生成する(例えば、IEEE1588などによる時間同期をサポートしている)。なお、時間同期に関わるパケットの転送はアイドル時間に行う。これは、本発明でのスイッチの処理の影響を受けないようにするためである。以下、時間同期に関わるパケットは一般パケットに含めて説明している。
【0029】
すなわち、レジスタB21,B22,B23,B24のそれぞれには、図11〜図13に示されるように、所定のフォーマットをもって、自スイッチの回線使用許可開始時間、自スイッチの回線使用許可終了時間、アイドル開始時間、アイドル終了時間がそれぞれ設定されている。なお、これらの設定例は、時間の最小単位を1μsecと転移した場合、1〜65msecの範囲に各スイッチの回線使用許可時間とアイドル時間を割り付けたものである。そして、時間同期処理部Bにおいては、それらのレジスタB21〜B24の各設定データと、同期時間生成部B1とに基づいて、決められた時間管理を実現するためのタイミング信号を発生するように構成されている。
【0030】
図11〜図13に示されるフォーマット例と、それに対応して生成される時間割の例を示す説明図が図14に示されている。同図に示されるように、本発明によれば、図11〜図13に示される各設定データの同期時間の下位16ビットの内容に基づいて、スイッチAの回線使用許可時間→スイッチBの回線使用許可時間→スイッチCの回線使用許可時間→アイドル→スイッチAの回線使用許可時間→スイッチBの回線使用許可時間→スイッチCの回線使用許可時間の通り、各通信用スイッチ装置別に専用の回線使用時間が割り当てられるようになっている。なお、ここでスイッチA,スイッチB,スイッチCとは、図9に示されるように、図中左から並べられた3個の通信用スイッチ装置のことを意味している。
【0031】
図2に戻って、スイッチロジック部Cは例えばスイッチLSI等で構成されており、それに接続された4個の下位ポートP11〜P14と2個の上位ポートP01,P02との間における接続を制御するものである。ここで、上位ポートP01,P02は、受信したパケットを、他のポート(上位ポートと下位ポートとの両方)へフォワーディングするポートであり、通常のスイッチ動作も行うものである。これに対して、下位ポートP11〜P14とは、受信したリアルタイムパケットを、ノードアドレスなどごとにバッファリングする機能を有するポートである。ここで、下位ポートで受信したパケットの宛先が下位ポート宛のユニキャストであった場合、上記バッファに格納されずにフォワーディングしてもよい。この場合、マルチキャストであった場合は、サイクリック転送バッファに格納されるものとする。また、上位ポートから下位ポート宛の全てのパケットは、時間帯に拘わらず直ちにフォワーディングする。
【0032】
また、後に詳述するように、下位ポートP11〜P14のそれぞれで受信したリアルタイムサイクリック転送パケットは、それぞれ対応するバッファ(#a用バッファ〜#d用バッファ)に格納される。なお、#a〜#cに割り当てられたバッファは1つであり、新たに下位ポートからサイクリック転送パケットが到来した場合、そのリアルタイムパケットはバッファ上に上書きされる。
【0033】
各スイッチは、上記同期時間に基づいて、図10の表に示されるように、時間領域毎の処理を行う。すなわち、「自スイッチの回線使用許可時間」については、サイクリック転送バッファの内容を全ポートにフォワーディングする。また、下位ポートから受信した一般転送パケットを破棄する。また、他スイッチ(スイッチAやスイッチC)の回線使用許可時間に関しては、下位ポートから受信したサイクリック転送パケットをサイクリック転送バッファに格納(上書き・更新)する。また、下位ポートから受信した一般転送パケットを破棄する。また、アイドル時間に関しては、下位ポートから受信した一般転送パケットをフォワーディングする。ここで言うフォワーディングとは、一般的な通信用スイッチ装置の機能としてのフォワーディングである。また、下位ポートから受信したサイクリック転送パケットをサイクリック転送バッファに格納(上書き・更新)する。
【0034】
次に、下位ポートに関する処理を示すフローチャートが図5に示されている。同図において処理が開始されると、パケット受信を待機する状態となる(ステップ501)。この状態において、パケットが受信されると(ステップ501YES)、現在の時間領域はどの領域にあるかの判定が行われる(ステップ502)。
【0035】
このとき、自スイッチの回線使用許可時間であると判定されると、続いてパケットの種別が判定される(ステップ503)。ここでは、リアルタイムパケットと判定される場合と、一般転送パケットと判定される場合とがある。
【0036】
リアルタイムパケットと判定されると、そのパケットはサイクリック転送バッファに格納(上書き・更新)される(ステップ506)。その後、サイクリック転送バッファに格納されたパケットはフォワーディングされる(ステップ507)。これに対して、パケットの種別が一般転送パケットと判定されると、そのパケットは破棄される(ステップ508)。
【0037】
現在の時間領域が他スイッチの回線使用許可時間と判定された場合、そのパケットの種別が一般転送パケットであるかリアルタイムパケットであるかの判定が行われる(ステップ504)。ここで、一般転送パケットと判定された場合、そのパケットは破棄されるのに対し、リアルタイムパケットと判定された場合には、サイクリック転送バッファに格納(上書き・更新)される(ステップ509)。
【0038】
現在の時間領域がアイドル時間と判定されると、続いてパケットの種別がリアルタイムパケットであるか一般転送パケットであるかが判定される(ステップ505)。ここでリアルタイムパケットと判定されると、続いてそのパケットはサイクリック転送バッファに格納(上書き・更新)される(ステップ509)。これに対して、一般転送パケットと判定されると、そのパケットはフォワーディング(一般的なスイッチング処理)される。
【0039】
以上の処理(ステップ501〜510)が、パケットの受信のたびに繰り返されることにより、あらかじめ割り当てられた各時間帯別にリアルタイム性を保証しつつ、サイクリック情報の送受信が行われる。
【0040】
なお、上位ポートに関する処理については、図6に示されるように、パケットの受信を待機し(ステップ601)、パケットの受信ならば、そのパケットをフォワーディング(一般的なスイッチング処理)する(ステップ602)。すなわち、上位ポートに関する限り、本発明においても、一般的なスイッチング処理が行われる。
【0041】
下位ポートP11がパケットを受信した場合のパケットの流れを示す説明図が図7に示されている。同図に示されるように、この場合、下位ポートP11に受信されたパケットは、下位ポートP13及び上位ポートP02から送信される。
【0042】
また、上位ポートP02がパケットを受信した場合におけるパケットの流れを示す説明図(その2)が図8に示されている。同図に示されるように、上位ポートP02がパケットを受信した場合、そのパケットは、下位ポートP12及び上位ポートP01から送信される。
【0043】
最後に、スケジューリングの実施例を示す説明図が図15に示されている。この例にあっては、3台の通信スイッチ装置SW−1,SW−2,SW−3を介してネットワーク(1588による時間管理下)が構成されている。通信スイッチ装置SW−1には3台のノード(スレーブ)1−A,1−B,1−Cの他に、1台のPLCが接続されている。
【0044】
同様にして、通信スイッチ装置SW−2には、3台のノード(スレーブ)2−A,2−B,2−Cがそれぞれ接続されている。同様に、通信スイッチ装置SW−3には、3台のノード(スレーブ)3−A,3−B,3−Cが接続されている。
【0045】
そして、これらの通信スイッチ装置SW−1〜3のそれぞれは、(SW−1の時間帯)→(SW−2の時間帯)→(SW−3の時間帯)→(アイドル)の順に1通信サイクルを構成するか(1通信サイクルの例−1)、あるいは(SW−1の時間帯)→(アイドル)→(SW−2の時間帯)→(アイドル)→(SW−3の時間帯)→(アイドル)の順に通信サイクルを構成している(1通信サイクルの例−2)。
【0046】
そして、同じグループ(同じスイッチ)に接続されたノードの中では、基本的に自由にパケットのやり取りを行うことができる。また、各スイッチを介して外部へ送出されようとするパケットに関しては、一旦各スイッチ内にバッファリングされる。但し、このときバッファリングされるのはサイクリックデータのみとされる。同じ送信元からのサイクリックデータはバッファの内容を上書きされる。さらに、外部からスイッチに入ってくるパケットに関しては、一切バッファリングは行われず、従前のスイッチング方式を利用して、フリーパスとされる。一方、各通信スイッチ装置毎に決められた時間帯が到来すれば、バッファリングされているサイクリックデータは宛先に向けて送信される。
【0047】
以上の動作中、各ノード(スレーブ)のそれぞれは、時間管理(1588)もサイクルも意識することはない。そのため、本発明によれば、各ノードに対する時間管理の負担が一切かからず、各ノードが特殊なハードウェアを備えることによりコストアップに繋がることを回避しつつも、サイクリック情報のリアルタイム性を保証することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上の説明で明らかなように、本発明に係る通信用スイッチ装置によれば、上位ポートから入ってくるパケットに関しては従前の通信用スイッチ装置と同様にしてフリーパスを保証しつつも、外部へ出ていくパケットに関しては、サイクリックデータについてのみバッファリングを行い、しかも各スイッチ毎に割り当てられた時間帯の到来と共に外部へ送出するようにしているため、個々の下位ポートに接続されたノードにおいてシステム同期した時間管理を行う必要がなくなり、それらのノードの低コスト化を達成できる一方、システム全体としてはサイクリック情報のリアルタイム性を保証することができる。そのため、本発明によれば、イーサネット(登録商標)などの産業用ネットワークにおいて、サイクリック情報のリアルタイム性を確実に保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】システム構成例を示す説明図である。
【図2】本発明装置の構成図である。
【図3】バッファ構成例を示す説明図である。
【図4】転送パケット登録テーブルの説明図である。
【図5】下位ポートに関する処理を示すフローチャートである。
【図6】上位ポートに関する処理を示すフローチャートである。
【図7】パケットの流れを示す説明図(その1)である。
【図8】パケットの流れを示す説明図(その2)である。
【図9】システム構成の一具体例を示す説明図である。
【図10】スイッチ−Bでの時間領域毎の処理例を示す説明図である。
【図11】フォーマット例の説明図(その1)である。
【図12】フォーマット例の説明図(その2)である。
【図13】フォーマット例の説明図(その3)である。
【図14】設定例に基づく時間割の例を示す説明図である。
【図15】スケジューリングの実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0050】
11,12,13 通信用スイッチ装置
111 PLC
112,113 ノード
121,122,123,124 ノード
131 ノード
A リアルタイム保証処理部
B 時間同期処理部
B1 同期時間生成部
B21 自スイッチの回線使用許可開始時間レジスタ
B22 自スイッチの回線使用許可終了時間レジスタ
B23 アイドル開始時間レジスタ
B24 アイドル終了時間レジスタ
C スイッチロジック部
TBL 転送パケット登録テーブル
P01,P02 上位ポート
P11,P12,P13,P14 下位ポート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の通信用スイッチ装置に対して接続するための上位ポートと、
他の通信用スイッチ装置との間でサイクリックな回線使用時間帯を順次に割り振る手段と、
I/Oデータを扱うノードを接続するための下位ポートと、
他の通信用スイッチ装置の回線使用時間帯に上位ポートから受信したサイクリック情報及び随時に下位ポートから受信したI/Oデータを蓄えるバッファと、
自分の回線使用時間帯にバッファに蓄えたI/Oデータの最新情報を読み出し、上位ポートへ送信する手段とを具備することを特徴とする通信用スイッチ装置。
【請求項2】
回線使用時間帯の開始時刻並びに終了時刻を登録するための開始レジスタ及び終了レジスタをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の通信用レジスタ装置。
【請求項3】
下位ポートに接続されるノードがPLCであることを特徴とする請求項1に記載の通信用レジスタ装置。
【請求項1】
他の通信用スイッチ装置に対して接続するための上位ポートと、
他の通信用スイッチ装置との間でサイクリックな回線使用時間帯を順次に割り振る手段と、
I/Oデータを扱うノードを接続するための下位ポートと、
他の通信用スイッチ装置の回線使用時間帯に上位ポートから受信したサイクリック情報及び随時に下位ポートから受信したI/Oデータを蓄えるバッファと、
自分の回線使用時間帯にバッファに蓄えたI/Oデータの最新情報を読み出し、上位ポートへ送信する手段とを具備することを特徴とする通信用スイッチ装置。
【請求項2】
回線使用時間帯の開始時刻並びに終了時刻を登録するための開始レジスタ及び終了レジスタをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の通信用レジスタ装置。
【請求項3】
下位ポートに接続されるノードがPLCであることを特徴とする請求項1に記載の通信用レジスタ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−251576(P2007−251576A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71887(P2006−71887)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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