説明

通信端末、基地局、通信端末の通信方法、基地局の通信方法、通信システム

【課題】BS間同期を確保できるようにする。
【解決手段】MS3−1(あるいは3−2)が、複数のBS1,2−1(あるいは2−1,2−2)から受信した信号のいずれかを基準信号として、当該基準信号と他の受信信号とのタイミング差又は周波数差を検出し、前記検出の結果を前記基準信号の送信元以外のBS2−1(あるいは2−2)に通知し、前記基準信号の送信元以外のBS2−1(あるいは2−2)が、受信した前記検出結果に基づいて、少なくとも前記MS3−1(あるいは3−2)以外の他のMSが受信することとなる信号の送信タイミング又は送信周波数を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、通信端末、基地局、通信端末の通信方法、基地局の通信方法、通信システムに関する。本件は、例えば、複数の基地局を有する通信システムに用いられる場合がある。
【背景技術】
【0002】
通信端末(Mobile Station、MS)と基地局(Base Station、BS)との間で無線通信を行なう無線通信システムがある。MSは、BSが提供する無線エリア(セル又はセクタ)内において当該BSと無線通信を行なうことができる。
MSは、2以上の無線エリアに属する場合があり、2以上のBSからそれぞれ信号を受信し得る。この場合、複数のBSがそれぞれ所定のタイミングに正確に同期して信号の送受信を行なえない(つまり、同期が確保されていない)と、MSにおいて受信信号の干渉が増加し得る。このような干渉の発生、増加は、無線通信システムの周波数利用効率を低下させる要因となる。
【0003】
そのため、複数のBSの無線エリアが重複するエリアにおいてもMSが安定した通信を行なうには、いかにしてBS間の同期を確保(確立)するかが重要である。
【特許文献1】特開2008−5003号公報
【特許文献2】特開2008−5004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
BS間の同期を確保する方法として、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機を用いた同期方法が知られている。
この方法では、複数のBS毎に、それぞれGPS受信機をそなえる。各BSは、それぞれ、GPS衛星からGPS受信機で受信した信号を基に基準クロック信号を生成し、この基準クロック信号に同期してMSとの間で信号の送受信を行なう。これにより、複数のBS間で同期を確保することができる。
【0005】
しかしながら、この方法では、GPS衛星からの信号を受信するためのアンテナ等が別途必要になり、BSの装置規模が増大する場合がある。また、各BSに、それぞれGPS受信機をそなえる必要があるため、システム構築に要する費用も増大する。
GPSを利用しない他の方法として、例えば、複数のBS間で無線通信を行なうことにより、同期を確立する方法が知られている。
【0006】
しかしながら、この方法でBS間の同期確保を確実に行なうためには、複数のBSをある程度近接して配置する必要がある。そのため、MSに提供可能な無線エリアに制約が生じる。また、BS間通信において同期制御のための通信時間を設けると、BSとMSとの通信時間が制限される。これは、無線通信システムのスループットを低下させる要因となる。
【0007】
本件の目的の一つは、BS間同期を確保できるようにすることにある。
なお、前記目的に限らず、後述する実施形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも他の目的の一つとして位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
例えば、以下の手段を用いる。
(1)複数の基地局から受信した信号のいずれかを基準信号として、当該基準信号と他の受信信号とのタイミング差又は周波数差を検出する検出部と、前記検出部での検出結果を前記基準信号の送信元以外の基地局に通知する通知部と、をそなえ、該検出結果は、少なくとも自通信端末以外の他の通信端末が受信する信号の送信タイミング又は送信周波数の制御を該基準信号の送信元以外の基地局が実行する際に利用される、通信端末を用いることができる。
【0009】
(2)また、通信端末と通信しうる基地局であって、前記通信端末が、前記基地局から受信した信号と他の基地局から受信した基準信号とのタイミング差又は周波数差を検出して通知してくる検出結果を受信する受信部と、前記受信部で受信した前記検出結果に基づいて、少なくとも前記通信端末以外の他の通信端末が受信することとなる信号の送信タイミング又は送信周波数を制御する制御部と、をそなえた基地局を用いることができる。
【0010】
(3)さらに、複数の基地局から受信した信号のいずれかを基準信号として、当該基準信号と他の受信信号とのタイミング差又は周波数差を検出し、前記検出の結果を前記基準信号の送信元以外の基地局に通知し、前記検出の結果は、少なくとも自通信端末以外の他の通信端末が受信する信号の送信タイミング又は送信周波数の制御を該基準信号の送信元以外の基地局が実行する際に利用される、通信端末の通信方法を用いることができる。
【0011】
(4)また、通信端末と通信しうる基地局の通信方法であって、前記通信端末が、前記基地局から受信した信号と他の基地局から受信した基準信号とのタイミング差又は周波数差を検出して通知してくる検出結果を受信し、受信した前記検出結果に基づいて、少なくとも前記通信端末以外の他の通信端末が受信することとなる信号の送信タイミング又は送信周波数を制御する、基地局の通信方法を用いることができる。
【0012】
(5)さらに、複数の基地局と、前記複数の基地局と通信しうる通信端末と、前記複数の基地局から受信した信号のいずれかを基準信号として、当該基準信号と他の受信信号とのタイミング差又は周波数差を検出する検出部と、前記検出部での検出結果を前記基準信号の送信元以外の基地局に通知する通知部と、前記通知部により通知された前記検出結果に基づいて、少なくとも前記通信端末以外の他の通信端末が受信することとなる信号の送信タイミング又は送信周波数を制御する制御部と、をそなえた通信システムを用いることができる。
【発明の効果】
【0013】
BS間同期を確保することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも例示に過ぎず、以下に示す実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本実施形態は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。
〔1〕一実施形態
図1は、一実施形態に係る無線通信システムの一例としてのモバイルWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)システムを示す図である。
【0015】
この図1に示す無線通信システムは、例示的に、複数(3台)のBS1,2−1,2−2と、複数(2台)のMS3−1,3−2と、をそなえる。BS1は、無線エリアの一例としてのセル4−1を提供し、BS2−1は、セル4−2を提供し、BS2−2は、セル4−3を提供する。
MS3−1,3−2は、それぞれセル4−1,4−2,4−3のいずれかにおいて対応するBS1,2−1,2−2と無線通信することができる。複数のセルが重なるエリアにおいては、MSは、対応する複数のBSと無線通信が可能である。例えば図1において、MS3−1は、BS1及びBS2−1とそれぞれ通信が可能であり、MS3−2は、BS2−1及びBS2−2とそれぞれ通信が可能である。
【0016】
BS1は、BS間同期を確保する上での基準となるBS(マスターBS)であり、例えば、GPS受信機を有する。他のBS2−1,2−2は、マスターBS1を基準としてBS間同期を確保するBS(スレーブBS)であり、GPS受信機を設けなくともよい。ここでは、スレーブBSがGPS受信機を有さない例について説明する。
なお、以下において、スレーブBS2−1,2−2を区別しない場合は、単にスレーブBS2と表記する。また、MS3−1,3−2を区別しない場合は、単にMS3と表記する。さらに、マスターBS1,スレーブBS2−1,2−2及びMS3−1,3−2それぞれの数は、図1に例示する数に限定されない。
【0017】
以下では、各BS1,2からMS3への通信方向を下りと称する。また、MS3から各BS1,2への通信方向を上りと称する。
ここで、マスターBS1は、例示的に、GPSアンテナ5と、送受信アンテナ6−1と、をそなえる。GPSアンテナ5により受信される信号(例えば、時刻情報など)を基に基準クロック信号を生成し、これを内部クロック信号に用いる。これにより、マスターBS1間については、GPSを利用した同期確保が可能となる。また、マスターBS1は、送受信アンテナ6−1を介してセル4−1内に位置するMS3と無線通信を行なう。
【0018】
一方、スレーブBS2−1,2−2は、例示的に、送受信アンテナ6−2,6−3をそなえる。スレーブBS2−1,2−2は、送受信アンテナ6−2,6−3を介して、MS3との間で無線通信を行なうことができる。
また、MS3−1,3−2は、例示的に、送受信アンテナ7−1,7−2をそなえる。送受信アンテナ7−1,7−2を介して、MS3−1,3−2は、各BS1,2と無線通信を行なうことができる。
【0019】
本例では、上記のような無線通信システムにおいて、例えば、GPS受信機を有するマスターBS1とGPS受信機をもたないスレーブBS2−1との間で同期を確保する方法を提案する。
例えば、MS3−1は、マスターBS1から無線信号を受信するとともに(A1)、スレーブBS2−1からも無線信号を受信する(A2)。これらの無線信号には、それぞれ周期的な同期信号が含まれ得る。同期信号は、WiMAXにおいてプリアンブルとも呼ばれ、無線信号のフレーム(以下、無線フレームともいう)の先頭を検出するのに用いられる。
【0020】
各同期信号を受信したMS3−1は(A3)、例えば、マスターBS1から受信した同期信号を基準信号として、当該基準信号とスレーブBS2−1から受信した同期信号とのタイミング差(時間差)を検出し(A4)、この検出結果をスレーブBS2−1に通知する(A5)。
この通知を受信したスレーブBS2−1は、例えば、前記時間差に基づいて、自局2−1の内部(基準)クロック信号を生成あるいは補正して、MS3−1以外との通信、MS3−1との通信の(送信に限定されない)タイミング(時刻)を制御(修正)する(A6)。スレーブBS2−1については、プリアンブルを含めた送信フレームの送信タイミングを、受信した検出結果に基づいて調整することで、MS3−1以外の端末とMS3−1との端末双方に対する送信信号の送信タイミングを調整してもよい。
【0021】
即ち、図2(A)に例示するように、MS3−1は、例えば、マスターBS1及びスレーブBS2から所定の周期でそれぞれ送信される無線フレームを受信する。そして、MS3−1は、スレーブBS2から受信した無線フレームの同期信号と、マスターBS1から受信した無線フレームの同期信号との受信タイミング差(受信タイミングのずれ)を検出して、この検出結果をスレーブBS2に通知する。ここで、どちらの同期信号が時間的に進んでいるか遅れているかは、マスターBS1から受信した同期信号を基準に決定する。受信した同期信号がどのBSからのものかは、例えば同期信号のパターンを変えておくことで特定可能となる。これにより、MS3−1は、スレーブBS2−1に対する前記通知の際、スレーブBS2からの同期信号がマスターBS1からの同期信号よりも進んでいるか遅れているか(進み遅れ)の情報を検出し、この情報をスレーブBS2に通知することも可能となる。
【0022】
なお、MS3−1は、例えば、スレーブBS2−1からの同期信号とマスターBS1からの同期信号との受信周波数差(受信周波数のずれ)を検出し、これをスレーブBS2に通知してもよい。その際、ずれの方向や大小を検出、通知することも可能である。また、受信タイミングや周波数のずれが検出されない場合、MS3−1は、スレーブBS2−1に対して何らの通知を行なわないこととしてもよいし、検出されない(同期が確保されている)旨を通知することとしてもよい。
【0023】
さて、MS3−1から上記検出結果を受信したスレーブBS2−1は、例えば、通知された受信タイミング差(ずれ)に基づいて、内部クロック信号を生成あるいは補正して、MS3−1以外の端末あるいはMS3−1(又は双方)との通信(送受信)タイミングを制御(修正)する。周波数ずれも通知されている場合、スレーブBS2は、その情報に基づいて、MS3−1以外の端末あるいはMS3−1(又は双方)との通信に用いる周波数を制御(修正)することができる。
【0024】
その結果、図2(B)に例示するように、MS3−1以外の端末あるいはMS3−1(又は双方)は、マスターBS1からの信号とスレーブBS2からの信号とを正確に同じタイミング、周波数で受信することが可能となる。つまり、マスターBS1とスレーブBS2との間で同期を確保することが可能となる。
また、本例では、例えば、スレーブBS2−1,2−2どうしの間で同期を確保する方法も提案する。
【0025】
例えば、図1に例示するように、MS3−2は、スレーブBS2−1から無線信号を受信するとともに(B1)、スレーブBS2−2からも無線信号を受信する(B2)。これらの無線信号にも、同期信号が含まれる。なお、一方のスレーブBS2−1は、例えば、上述した同期方法を用いて、マスターBS1との間で同期を確保した状態であるのが好ましい。マスターBS1と同期を確保した状態にあるスレーブBS2−1を、リファレンススレーブBS2−1ということがある。
【0026】
スレーブBS2−1及びスレーブBS2−2からそれぞれ同期信号を受信したMS3−2は(B3)、例えば、リファレンススレーブBS2−1からの同期信号を基準信号として、当該基準信号とスレーブBS2−2からの信号とのタイミング差(時間差)を検出し(B4)、これをスレーブBS2−2に通知する(B5)。その際、マスターBS1とスレーブBS2−1との間と同様に、周波数ずれも検出して、スレーブBS2−2に通知することとしてもよい。
【0027】
この通知を受信したスレーブBS2−2は、例えば、前記時間差に基づいて、自局2−2の基準クロック信号を生成あるいは補正し、当該基準クロック信号に従って、セル4−3内に位置するMS3−2以外の端末あるいはMS3−2(又は双方)との通信(送受信)タイミング(送受信時刻)を制御(修正)する(B6)。
つまり、本例では、スレーブBS2−1,2−2どうしの間で同期を確保する場合、マスターBS1からの基準信号に基づいてスレーブBS2−1がタイミング(周波数)修正して送信した無線信号(同期信号)が、MS3−2での受信タイミングずれ(周波数ずれ)の検出に用いる基準信号となる。
【0028】
以上のように、本例によれば、MS3にて複数のBSからの信号の受信タイミングずれ(周波数ずれ)を検出し、その検出結果を基準となるBS以外のBSに通知することで、GPS受信機(GPSアンテナ5など)をもたないスレーブBS2においても、マスターBS1との同期を確保できる。ひいては、システム内のすべてのBSにGPS受信機をそなえる必要がなく、スレーブBS2の装置規模、コストを低減できる。また、システム構築に要するコストを低減することも可能となる。
【0029】
さらに、複数のBSからの信号を受信可能なMS3を利用して上記同期確保を行なうので、隣接BS(隣接セル)間の距離を必要以上に近接させなくても同期確保が可能となる。したがって、BSの配置に関する制約を緩和することができる。また、上述したMS3を介したスレーブBS2どうし間の同期確保を、一方を基準として繰り返し行なうことで、多数のBS間同期を容易に確保することが可能となる。
【0030】
さらに、BS間同期を確保するのに用いる同期制御時間(無線リソース)を固定的に設ける必要がないので、BS−MS間通信がBS間同期制御の制限を受けることがない。したがって、前記同期制御時間に相当する時間(無線リソース)も、BS−MS間の通信に用いることができ、BS−MS間の通信スループットの低下を防ぐことが可能となる。
なお、複数のセルが重なるエリア(重複エリア)にMS3が存在しない場合、各BS1,2は、前記検出結果の通知を受信し得ないから、それぞれ、上述した方法による同期確保を行なわない状態で動作することが許容される。ただし、或る時間において前記重複エリアにMS3が1台も存在しないことは確率的に少ないから、前記同期確保が行なわれない確率は低いものと考えられる。
【0031】
〔2〕無線通信システムの詳細な一例
以下、上述した無線通信システムの詳細な一例について説明する。
(2.1)マスターBS1
図3は一実施形態に係るマスターBS1の一例を示すブロック図である。この図3に例示するマスターBS1は、例えば、GPSアンテナ5と、送受信アンテナ6−1と、無線受信部44と、GI除去部45と、FFT部46と、デマッピング部47と、伝搬路補償部48と、復調部49と、タイミング生成部50と、をそなえる。また、マスターBS1は、例示的に、バースト生成部51と、変調部52と、パイロット生成部53と、マッピング部54と、IFFT部55と、GI付加部56と、無線送信部57と、GPS受信部58と、をそなえる。
【0032】
ここで、GPSアンテナ5は、図示を省略したGPS衛星からの電波(信号)を受信する。
送受信アンテナ6−1は、MS3から送信される上り無線信号を受信するとともに、MS3宛の下り無線信号を送信する無線インタフェースである。ただし、上り/下りの無線信号を受信/送信するアンテナは個別に設けてもよい。
【0033】
無線受信部44は、送受信アンテナ6−1でMS3から受信した無線信号に所定の無線受信処理を施す。前記無線受信処理には、例示的に、受信無線信号の低雑音増幅、ベースバンド周波数への周波数変換(ダウンコンバージョン)、AD(アナログ/ディジタル)変換などの処理が含まれる。
GI除去部45は、入力された信号からガードインターバル(GI)を除去し、GIを除去した信号をFFT部46に出力する。
【0034】
FFT部46は、GI除去部45から出力された信号にFast Fourier Transform(FFT、高速フーリエ変換)処理を施すことにより時間領域信号から周波数領域信号に変換し、変換した信号をデマッピング部47に送出する。
デマッピング部47は、FFT部46からの信号のサブキャリアにマッピングされている信号(シンボル)を抽出(デマッピング)する。デマッピング部47によりデマッピングされた信号は、例えば、パイロットシンボルとデータシンボルとに分離され、パイロットシンボルは、伝搬路推定部(図示省略)に送られ、データシンボルは伝搬路補償部48へ送られる。
【0035】
伝搬路補償部48は、各サブキャリアグループ内の合成されたパイロットシンボルより推定した伝搬路応答の推定値を用いて、デマッピング部47で分離されたデータシンボルの伝搬路補償を行なう。
復調部49は、MS3での変調方式に対応する復調方式で、伝搬路補償を受けたデータシンボルの復調を行ない、上り受信データを出力する。なお、上記変調方式には、例えば、Quadrature Phase Shift Keying(QPSK)、16 Quadrature Amplitude Modulation(16QAM)、64 Quadrature Amplitude Modulation(64QAM)などを用いることができる。
【0036】
GPS受信部58は、GPSアンテナ5で受信した信号を基に内部の基準クロック信号を生成する。
タイミング生成部50は、GPS受信部58で生成された基準クロック信号に基づいて、所定の無線フレームでセル4−1へ送信する信号の生成(送信)タイミングを生成する。前記無線フレームは、例示的に、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access)方式で用いられる無線フレームである。この無線フレームは、周波数と時間とで区切られたバーストと呼ばれる無線リソースの集合である。BS1は、MS3宛の下り送信データにいずれかのバーストを割り当てて(マッピングして)下り送信を行なう。
【0037】
バースト生成部51は、上記タイミング生成部50で生成されたタイミングに従って、ユーザデータなどの下り送信データにプリアンブルなどを付加して、下りバースト信号を生成する。
変調部52は、バースト生成部51で生成された下りバースト信号を、所定の変調方式に従って、変調する。この、変調方式にも、例えば、上述のQPSK、16QAM、64QAMなどを用いることができる。適用する変調方式は、MS3との間の通信品質に応じて、適応的に変更(AMC:Adaptive Modulation and Coding)することもできる。
【0038】
パイロット生成部53は、MS3との間で既知の信号であるパイロット信号(リファレンス信号(RS)とも呼ばれる)を生成する。
マッピング部54は、変調部52で変調されたデータ信号とパイロット生成部53で生成されたパイロット信号とを周波数領域において複数のサブキャリアのいずれかにマッピングする。マッピング部54により得られた周波数信号は、IFFT部55へ出力される。
【0039】
IFFT部55は、マッピング部54からの周波数信号をInverse FFT(IFFT、逆離散フーリエ変換)処理することにより時間領域信号へ変換する。
GI付加部56は、時間領域において、IFFT部55からの信号にガードインターバル(GI)を付加する。GIは、受信側での遅延波によるシンボル間干渉の影響を低減するために用いられる。GI付加部56によりGIを付加された信号は、無線送信部57へ出力される。
【0040】
無線送信部57は、送受信アンテナ6−1からMS3宛に送信する下り送信データに所定の無線送信処理を施す。前記無線送信処理には、例えば、MS3宛の送信データのDA変換、無線周波数への周波数変換(アップコンバージョン)、電力増幅などの処理が含まれ得る。
このようにして、マスターBS1により生成された下り無線信号は、無線送信部57及び送受信アンテナ6−1を介して、セル4−1内のMS3宛に送信される。
【0041】
(2.2)MS3
次に、図4は一実施形態に係るMS3の一例を示すブロック図である。この図4に例示するMS3は、例えば、送受信アンテナ7と、無線受信部8と、シンボル同期部9と、GI除去部10と、FFT部11と、デマッピング部12と、復調部13と、プリアンブル検出部14と、受信電波強度判定部15と、をそなえる。また、MS3は、例示的に、修正情報検出部16と、進み遅れ判別部17と、伝搬遅延検出部18と、周辺BS情報データベース19と、バースト生成部20と、変調部21と、パイロット生成部22と、マッピング部23と、IFFT部24と、GI付加部25と、無線送信部26と、をそなえる。
【0042】
ここで、送受信アンテナ7は、BS(マスターBS1及びスレーブBS2のいずれか。以下、同様)から送信される下り無線信号を受信するとともに、いずれかのBS宛の上り無線信号を送信する無線インタフェースである。このアンテナも送信用と受信用とで個別に設けてもよい。
無線受信部8は、送受信アンテナ7でBSから受信した無線信号に所定の無線受信処理を施す。前記無線受信処理には、例示的に、受信無線信号の低雑音増幅、ベースバンド周波数への周波数変換(ダウンコンバージョン)、AD(アナログ/ディジタル)変換などの処理が含まれ得る。
【0043】
シンボル同期部9は、無線受信部8からの信号に対してフィルタ処理などの補正処理を行ない、さらに、FFT部11によるフーリエ変換の開始点、つまり、シンボル同期点を決定してシンボル同期をとる。なお、シンボル同期点の決定においては、遅延波等の影響が最も少なくなるように設定される。このような同期点の決定方法として、例えば、パイロット信号を用いて位相のずれを補正する方法等を用いることができる。
【0044】
GI除去部10は、シンボル同期部9からの信号からGIを除去し、GIを除去した信号をFFT部11に出力する。
FFT部11は、GI除去部10から出力された信号にFFT処理を施すことにより時間領域信号から周波数領域信号に変換し、変換した信号をデマッピング部12に送出する。
【0045】
デマッピング部12は、FFT部11からの信号のサブキャリアにマッピングされている信号(シンボル)を抽出(デマッピング)する。デマッピング部12によりデマッピングされた信号は、例えば、パイロットシンボルとデータシンボルとに分離され、パイロットシンボルは、伝搬路(チャネル)推定部(図示省略)に送られる。データシンボルは、前記伝搬路推定部により推定されたチャネル値を基に伝搬路補償された上で復調部13へ送られる。
【0046】
復調部13は、受信信号の送信元BSでの変調方式に対応する復調方式で、データシンボルの復調を行ない、下り受信データを出力する。この変調方式にも、例えば、QPSK、16QAM、64QAMなどを用いることができる。
プリアンブル検出部14は、FFT部11からの周波数信号に含まれるプリアンブル(同期信号)を検出する。複数のBSからの無線信号が受信される場合、それぞれのプリアンブルは時分割に検出してもよいし、周波数領域で個別(パラレル)に検出してもよい。BS間で同期が確保されている場合には、各BS1,2からのプリアンブルは、同じ受信タイミングで受信(検出)される。プリアンブルは、その送信元BSの相違によってパターンを異ならせておくことで、送信元BSの識別に用いることもできる。なお、プリアンブル検出部14での検出対象とする受信信号は、プリアンブルに限られない。複数のBSから本来的に同じ送信タイミングで送信される信号を前記検出対象としてもよい。
【0047】
受信電波強度判定部15は、送信元BSから受信した信号の受信レベル(受信電波強度)を定期あるいは不定期に検出する。そして、本例の受信電波強度判定部15は、検出した受信レベルに基づいて、BSとの間の距離を測定(推定)する。なお、かかる距離測定は、上記受信レベルを測定する方法に限られない。例えば、MS3にGPS装置をそなえ、これと周辺BS情報データベース19とを協働させることにより上記距離を測定するようにしてもよい。
【0048】
伝搬遅延検出部(伝搬遅延測定部)18は、BSから受信した信号の伝搬遅延量を検出(測定)する。例えば、MS3から信号をBSに送信してから、当該信号に対する応答(ACK/NACK)を受信するまでの時間(Round Trip Time、RTT)を測定することによって、伝搬遅延量を検出することができる。
周辺BS情報データベース19には、BS1,2の位置に関する情報や、各BSがGPS受信部58を有するマスターBS1であるのか、GPS受信部58を有さないスレーブBS2であるのかを識別する識別情報を保持させることができる。
【0049】
修正情報検出部16は、図2(A)及び図2(B)にて上述したように、複数のBSから受信した同期信号(プリアンブル)の受信タイミング差(ずれ)を検出する。この受信タイミング差は、例えば、受信信号と同期信号のパターンとの電力相関値のピークが現れるタイミング差として検出することができる。本例の修正情報検出部16は、例えば、電力相関値のピークを1本のサンプリング値として検出し得る分解能を有するのが好ましい。また、その際、修正情報検出部16は、例えば、同期信号(プリアンブル)の受信周波数の差(ずれ)を付加的あるいは選択的に検出することもできる。受信周波数の差は、受信した同期信号の位相情報に基づいて検出することができる。
【0050】
即ち、本例の修正情報検出部16は、複数のBSから受信した同期信号(プリアンブル)の受信タイミング差(または受信タイミング差と受信周波数差の双方)に基づいて、送信元の各BSにおける送信タイミング差等を、修正の余地がある情報(修正情報)の一例として検出する。
また、本例の修正情報検出部16による修正情報の検出は、例えば、受信電波強度判定部15で測定された、複数のBSから受信した同期信号の受信レベルが等しいか同程度である(受信タイミング差の測定結果がBS間同期に利用可能な程度の小さいずれ幅に収まっている)場合に実施することとしてもよい。これによれば、修正情報の検出精度(信頼性)を高めることが可能となる。なお、マスターBS1からの受信信号の受信レベルとスレーブBS2からの受信信号の受信レベル又は受信レベル差情報又は受信レベル差の大きさに応じてランク分けした結果(A:レベル差小、B:レベル差中、C:レベル差大)を検出し、スレーブBS2に修正情報と併せて送信してもよい。スレーブBS2では、レベル情報、ランク分け結果に基づいて送信タイミングの調整に用いるべき修正情報かどうかを判断することもでき、精度の向上が見込まれるからである。例えば、複数の修正情報が存在する場合、最も高いランク(受信レベル差が最小)に対応する修正情報を利用することもできる。
【0051】
また、上記修正情報は、例えば、伝搬遅延検出部18での測定結果に基づいて補正されてもよい。例えば、修正情報検出部16は、マスターBS1及びスレーブBS2から受信したプリアンブルの受信タイミングから伝搬遅延検出部18で測定された各伝搬遅延量を差し引くことにより、修正情報を補正することができる。これによれば、修正情報の検出に用いる同期信号の伝搬遅延を除去できるから、修正情報の検出精度をさらに向上することが可能となる。
【0052】
進み遅れ判別部17は、スレーブBS2から受信した信号が、基準となるマスターBS1から受信した同期信号よりも進んで受信されるか、それとも、遅れて受信されるか(進み遅れ)を検出する。受信した同期信号が、いずれのBSからの信号であるかは、受信した同期信号のパターンによって識別することができる。あるいは、例えば、GPSを利用して特定したMS3の現在位置と、周辺BS情報データベース19に保持されている各BSの配置情報とに基づいて識別することができる。
【0053】
つまり、上記修正情報検出部16及び進み遅れ判別部17は、複数のBSから受信した信号のいずれか(本例ではマスターBS1が送信した同期信号)を基準信号として、当該基準信号と他のBS2から受信した同期信号とのタイミング差または周波数差あるいはその両方を検出する検出部の一例として用いられる。
なお、図1を用いて前述したように、スレーブBS2−1,2−2間で同期を行なう場合、進み遅れ判別部17は、マスターBS1との間で上述したごとく同期を確保したスレーブBS(リファレンススレーブBS)2−1からの受信信号を基準信号として、上記修正情報の検出を行なう。つまり、この場合は、マスターBS1からの受信信号に基づいて同期が確保されたリファレンススレーブBS2から受信した同期信号が、前記修正情報の検出に用いる基準信号となる。リファレンススレーブBS2は、他よりもマスターBS1に近いBS2とすることができる。どのスレーブBS2が他よりもマスターBS1に近いかは、周辺BS情報データベース19のBS配置情報に基づいて検出することができる。
【0054】
進み遅れ判別部17による判別結果(進み遅れについての情報)は、修正情報検出部16で検出された修正情報とともに、バースト生成部20へ送出される。例えば、スレーブBS2から受信した信号が基準信号よりも遅れている場合は、受信タイミング差を示す値に正の符号を付したものをタイミングに関する修正情報とすることができる。一方、スレーブBS2から受信した信号が基準信号よりも進んでいる場合は、受信タイミング差を示す値に負の符号を付したものをタイミングに関する修正情報とすることができる。なお、MS3側で、マスターBS1やリファレンススレーブBS2−1を認識できない場合など、上記基準信号を決定することができないときは、どのBSの受信タイミング(または受信周波数あるいはその両方)と比較を行なったかを示す比較元情報を修正情報に含めて、バースト生成部20へ送出するようにしてもよい。
【0055】
バースト生成部20は、ユーザデータなどの上り送信データや、上記修正情報を含む信号(上りバースト)を生成する。修正情報は、上記基準信号の送信元以外のBSに送信する上りバーストに含める。つまり、マスターBS1とスレーブBS2との間で同期を行なう場合は、上記修正情報をスレーブBS2宛の上りバースト信号に含める。一方、スレーブBS2−1,2−2どうし間で同期を行なう場合は、上記修正情報をスレーブBS2−2宛の上りバーストに含める。ただし、例えばMS3での検出結果の確認等のために、修正情報を送信元BSにも送信(通知)することを禁止するものではない。
【0056】
変調部21は、バースト生成部20で生成された上りバースト信号を、所定の変調方式に従って、変調する。この変調方式にも、例えば、既述のQPSK、16QAM、64QAMなどを用いることができる。
パイロット生成部22は、マスターBS1及びスレーブBS2との間で既知の信号であるパイロット信号を生成する。
【0057】
マッピング部23は、変調部21で変調されたデータ信号とパイロット生成部22で生成されたパイロット信号とを周波数領域において所定のサブキャリアにマッピングする。マッピング後の上り送信信号は、IFFT部24へ出力される。
IFFT部24は、マッピング部23からの上り送信信号をIFFT処理して時間領域信号に変換する。
【0058】
GI付加部25は、時間領域において、IFFT部24からの信号にGIを付加する。GIを付加された信号は、無線送信部26へ出力される。
無線送信部26は、送受信アンテナ7からマスターBS1又はスレーブBS2宛に送信する上り送信信号に所定の無線送信処理を施す。この無線送信処理には、例示的に、マスターBS1又はスレーブBS2宛の送信信号のDA変換、無線周波数への周波数変換(アップコンバージョン)、電力増幅などの処理が含まれ得る。
【0059】
以上のようにして、マスターBS1(あるいはリファレンススレーブBS2)からの同期信号(基準信号)と、スレーブBS2からの同期信号とのタイミング差または周波数差あるいはその両方がMS3にて検出され、その検出結果が無線送信部26及び送受信アンテナ7を介して、送信元以外のスレーブBS2へ送信される。
つまり、上記バースト生成部20は、修正情報検出部16及び進み遅れ判別部17での検出結果(修正情報)を前記基準信号の送信元以外のBS(図1では例えば、スレーブBS2−1又はスレーブBS2−2)宛に通知する通知部の一例として用いられる。
【0060】
(2.3)スレーブBS2
次に、図5は一実施形態に係るスレーブBS2の一例を示すブロック図である。この図5に例示するスレーブBS2は、例えば、送受信アンテナ6と、無線受信部27と、GI除去部28と、FFT部29と、デマッピング部30と、伝搬路補償部31と、復調部32と、周辺BS情報データベース33と、修正情報取得部34と、をそなえる。また、スレーブBS2は、例示的に、平均化処理部35と、タイミング生成部36と、バースト生成部37と、変調部38と、パイロット生成部39と、マッピング部40と、IFFT部41と、GI付加部42と、無線送信部43と、をそなえる。
【0061】
ここで、送受信アンテナ6は、MS3から送信される上り無線信号を受信するとともに、MS3宛の下り無線信号を送信する無線インタフェースである。ただし、アンテナは送信用と受信用とで個別に設けてもよい。
無線受信部27は、送受信アンテナ6でMS3から受信した無線信号に所定の無線受信処理を施す。前記無線受信処理には、例示的に、受信無線信号の低雑音増幅、ベースバンド周波数への周波数変換(ダウンコンバージョン)、AD(アナログ/ディジタル)変換などの処理が含まれ得る。
【0062】
GI除去部28は、無線受信部27から入力された信号からGIを除去し、GIを除去した信号(有効シンボル)をFFT部29に出力する。
FFT部29は、GI除去部28から出力された信号をFFT処理して周波数領域信号に変換し、変換した信号をデマッピング部30に送出する。
デマッピング部30は、FFT部29からの周波数信号の所定のサブキャリアにマッピングされている信号(シンボル)を抽出(デマッピング)する。デマッピング部30によりデマッピングされた信号は、例えば、パイロットシンボルとデータシンボルとに分離され、パイロットシンボルは、伝搬路推定部(図示省略)に送られ、データシンボルは伝搬路補償部31へ送られる。
【0063】
伝搬路補償部31は、前記パイロットシンボルを基に推定した伝搬路応答の推定値を用いて、デマッピング部30で分離されたデータシンボルの伝搬路補償を行なう。
復調部32は、MS3(変調部21)での変調方式に対応する復調方式で、前記伝搬路補償を受けたデータシンボルの復調を行ない、上り受信データを出力する。
周辺BS情報データベース33は、BS1,2の配置情報や、各BSがGPS受信部58を有するマスターBS1であるのか、GPS受信部58を有さないスレーブBS2であるのかを識別する識別情報を保持する。
【0064】
修正情報取得部34は、復調部32の復調結果である、MS3からの上りデータに含まれる修正情報を取得(抽出)する。このとき、修正情報に進み遅れについての情報が含まれていない場合は、上述の比較元情報と、周辺BS情報データベース33に格納されている各BS1,2の識別情報とに基づいて、自局2の送信タイミングについての進み遅れを検出することができる。例えば、修正情報が、マスターBS1の送信タイミングとスレーブBS2の送信タイミングとのずれについての情報であると検出した場合、スレーブBS2は、自局2の送信タイミングをマスターBS1の送信タイミングに合わせることができる。なお、修正情報取得部34により得られた修正情報は、平均化処理部35が有するバッファ(図示省略)へ送出される。
【0065】
つまり、修正情報取得部34は、MS3が、マスターBS1から受信した信号を基準信号として、当該基準信号とスレーブBS2から受信した信号とのタイミング差または周波数差あるいはその両方を検出した結果を当該MS3から受信する受信部の一例として用いられる。
平均化処理部35は、複数の修正情報が得られた場合に、修正情報の平均化を行なう。例えば、各時間において受信される修正情報をそれぞれ、Δtは0以上の整数であり、tは修正情報の受信タイミングを表す)と表記する。
【0066】
平均化処理部35は、修正情報取得部34で得られた複数の修正情報Δtを、以下の式(1)に従って、所定の時間(期間)毎に平均化する。
【数1】

【0067】
ここで、ΔTadjは平均化された修正情報(自局2のタイミング調整時間)、Nは修正情報の数である。なお、上記所定の時間(期間)は、修正情報の受信数Nによって定められる時間(期間)であってもよい。
スレーブBS2は、例えば、異なる複数のMS3から同時刻に修正情報Δtを受信したり、同一MS3あるいは異なるMS3から異なる時刻で修正情報Δtを受信したりすることがある。このような場合を想定して、本例の平均化処理部35は、例えば、修正情報取得部34で得られた複数の修正情報Δtを、式(1)に例示するように平均化し、平均化した修正情報ΔTadjをタイミング及び周波数の修正(補正)に用いる。
【0068】
例えば、本例のスレーブBS2は、平均化処理部35により平均化された上記修正情報ΔTadjを用いて、バースト生成部37の下りバースト生成タイミングを制御(修正)する。また、本例のスレーブBS2は、例えば、平均化処理部35により平均化された上記修正情報ΔTadjを用いて、無線受信部27での無線受信処理の受信周波数及び無線送信部43での無線送信処理の送信周波数を制御して、基準信号の周波数に修正する(一致させる)こともできる。
【0069】
また、タイミング生成部36は、平均化処理部35で得られる平均化された修正情報(受信タイミングの差に関する情報)に基づいて、バースト信号の生成タイミングを生成する。なお、本例のタイミング生成部36は、例えば、MS3から修正情報を得ることができない場合、上位ネットワーク(図示省略)から得られる所定の初期値(タイミング情報)に基づいて、バースト信号の生成タイミングを生成するようにしてもよい。つまり、スレーブBS2の起動時などには、例えば、ネットワークから得られる時刻情報に基づいて、上記タイミングを制御することができる。これにより、スレーブBS2は、装置起動時などにおいて、おおまかなタイミング同期を行なうことが可能となる。
【0070】
つまり、平均化処理部35及びタイミング生成部36は、上記修正情報取得部34で受信した修正情報に基づいて、少なくとも前記MS3以外の他のMSが受信することとなる信号の送信タイミング又は送信周波数、あるいはその両方を制御する制御部の一例として用いられる。
また、本例の平均化処理部35は、バッファに格納される複数の修正情報に基づき、上記タイミング差または周波数差(あるいはその両方)の分散値を求めて、当該バッファに格納してもよい。この分散値に基づいて、本例の平均化処理部35及びタイミング生成部36は、例えば、上記分散値が第1の閾値以下の場合に、上記のタイミング修正および周波数修正制御を行なうようにしてもよい。
【0071】
さらに、本例の平均化処理部35は、修正情報の受信数Nを計数するようにしてもよい。本例の平均化処理部35及びタイミング生成部36は、例えば、修正情報の受信数Nが第2の閾値以上の場合に、上記のタイミング修正および周波数修正制御を行なうようにしてもよい。
これにより、MS3から送信される修正情報のばらつきを抑制することができる。また、スレーブBS2は、信頼性の高い修正情報に基づいて、自局2のタイミング及び周波数修正を行なうことができるので、BS間同期が確立する割合を高めることができる。さらに、スレーブBS2は、上記制御(修正)の実行頻度を抑制することができるので、処理負荷を軽減することも可能となる。
【0072】
バースト生成部37は、上記タイミング生成部36で生成されたバースト信号生成タイミングで、ユーザデータなどの下り送信データにプリアンブルなどを付加して、下りバースト信号を生成する。
変調部38は、バースト生成部37で生成された下りバースト信号を、所定の変調方式に従って、変調する。この変調方式にも、例えば、上述のQPSK、16QAM、64QAMなどを用いることができる。適用する変調方式は、MS3との間の通信品質に応じて、変調処理方式を適応的に制御(AMC制御)することもできる。
【0073】
パイロット生成部39は、MS3との間で既知の信号であるパイロット信号を生成する。
マッピング部40は、変調部38で変調されたデータ信号とパイロット生成部39で生成されたパイロット信号とを周波数領域において所定のサブキャリアにマッピングする。マッピング部40によりマッピングされた信号は、IFFT部41へ出力される。
【0074】
IFFT部41は、マッピング部40からの信号をIFFT処理して時間領域信号に変換する。
GI付加部42は、IFFT部41からの信号にGIを付加する。GIを付加された信号は、無線送信部43へ出力される。
無線送信部43は、送受信アンテナ6でMS3宛に送信する下りデータに所定の無線送信処理を施す。前記無線送信処理には、例示的に、MS3宛の送信データのDA変換、無線周波数への周波数変換(アップコンバージョン)、電力増幅などの処理が含まれ得る。
【0075】
このようにして、スレーブBS2により生成された下り信号は、無線送信部43及び送受信アンテナ6を介して、MS3へ無線送信される。
(2.4)無線通信システムの動作(同期確保手順)例
次に、上記無線通信システムの動作例について、図6を用いて説明する。
まず、マスターBS1が提供するセル4−1に属するMS3−1は、マスターBS1からプリアンブル及びユーザデータを含む下り信号を受信する(ステップS1)。
【0076】
そして、MS3−1は、自局3−1が属するマスターBS1のセル4−1に隣接するセル(隣接セル)4−2から送信される信号の受信レベルを測定し、スレーブBS2−1の存在を確認(認識)する(ステップS2)。
マスターBS1が提供するセル4−1と、スレーブBS2−1が提供するセル4−2との両方に属することを認識したMS3−1は、マスターBS1及びスレーブBS2−1から下り信号を受信して、プリアンブルをそれぞれ検出する(ステップS3,S4)。
【0077】
すると、MS3−1は、各プリアンブルが示すBS識別情報と周辺BS情報データベース19に格納されるBS識別情報とに基づいて、受信したプリアンブルがどのBSから送信されたものかを識別する(ID認識、ステップS5)。
そして、MS3−1は、マスターBS1から受信したプリアンブルを基準信号とし、当該基準信号の受信タイミングとスレーブBS2−1から受信したプリアンブルの受信タイミングとのタイミング差を検出して、スレーブBS2−1に通知する(ステップS6)。なお、MS3−1は、上述のように、受信タイミング差の他、受信周波数差を付加的あるいは選択的に検出して、スレーブBS2−1に通知することもできる。
【0078】
MS3−1が検出した上記タイミング差(修正情報)を受信したスレーブBS2−1は、所定の期間で受信した複数の修正情報を集計し、それらの平均値及び分散値を算出する。そして、スレーブBS2−1は、前記分散値が第1の閾値以下の場合、または、前記修正情報の受信数が第2の閾値以上の場合、あるいは、その両方を満たす場合に、前記平均値に基づき、自局2−1の送信タイミング(または送信周波数あるいはその両方)を修正する(ステップS7)。
【0079】
以上により、スレーブBS2−1は、MS3−1を介して受信した、マスターBS1からの基準信号との送信タイミング差(または送信周波数差あるいはその両方)に基づいて、自局2−1の送信タイミング(または送信周波数あるいはその両方)を修正することができる。その結果、GPS受信機を有するマスターBS1とGPS受信機を有さないスレーブBS2−1との間であっても容易に基地局間同期を確保することが可能となる。
【0080】
また、スレーブBS2間で基地局間同期を確保する場合は、例えば、以下の処理を行なう。
まず、スレーブBS(リファレンススレーブBS)2−1が提供するセル4−2に属するMS3−2は、スレーブBS2−1からプリアンブル及びユーザデータを含む下り信号を受信する(ステップS8)。
【0081】
そして、MS3−2は、自局3−2が属するスレーブBS2−1のセル4−2に隣接するセル(隣接セル)4−3から送信される信号の受信レベルを測定し、スレーブBS2−2の存在を確認(認識)する(ステップS9)。
スレーブBS2−1が提供するセル4−2と、スレーブBS2−2が提供するセル4−3との両方に属することを認識したMS3−2は、スレーブBS2−1及び2−2から下り信号を受信して、プリアンブルをそれぞれ検出する(ステップS10,S11)。
【0082】
すると、MS3−2は、各プリアンブルが示すBS識別情報と周辺BS情報データベース19に格納されるBS識別情報とに基づいて、受信したプリアンブルがどのBSから送信されたものかを識別する(ID認識)。
そして、MS3−2は、スレーブBS2−1から受信したプリアンブルを基準信号とし、当該基準信号の受信タイミングとスレーブBS2−2から受信したプリアンブルの受信タイミングとのタイミング差を検出して、スレーブBS2−2に通知する(ステップS12)。なお、MS3−2は、上述のように、受信タイミング差の他、受信周波数差を付加的あるいは選択的に検出して、スレーブBS2−2に通知することもできる。
【0083】
つまり、このとき、MS3−2が基準信号とする信号は、マスターBS1からの基準信号に基づき、スレーブBS(リファレンススレーブBS)2−1により予めタイミング制御された信号となっている。
MS3−2が検出した上記タイミング差(修正情報)を受信したスレーブBS2−2は、所定の期間で受信した複数の修正情報を集計し、それらの平均値及び分散値を算出する。そして、スレーブBS2−2は、前記分散値が第1の閾値以下の場合、または、前記修正情報の受信数が第2の閾値以上の場合、あるいは、その両方を満たす場合に、前記平均値に基づき、自局2−2の送信タイミング(または送信周波数あるいはその両方)を修正する(ステップS13)。
【0084】
以上のようにすれば、GPS受信機をもたないスレーブBS2であっても、マスターBS1からの信号を基にして、マスターBS1と同期を確保することが可能となる。
したがって、システム内のすべてのBSにGPS受信機をそなえる必要がなく、スレーブBS2の装置規模、コストを低減できる。また、システム構築に要するコストを低減することも可能となる。
【0085】
さらに、複数のBSからの信号を受信可能なMS3を利用して上記同期確保を行なうので、隣接BS(隣接セル)間の距離を必要以上に近接させなくても同期確保が可能となる。したがって、BSの配置に関する制約を緩和することができる。また、上述したMS3を介したスレーブBS2どうし間の同期確保を、一方を基準として繰り返し行なうことで、多数のBS間同期を容易に確保することが可能となる。
【0086】
〔3〕変形例
上記無線通信システムでは、移動局の一例としてのMS3が、複数のBSからの受信信号に基づき、修正情報(タイミング差,周波数差)を検出、通知した。一方、本変形例の無線通信システムでは、上記修正情報を検出、通知する、専用の固定端末を別途設けるようにしてもよい。
【0087】
図7は、本変形例に係る無線通信システムの一例を示す図である。
この図7に示す無線通信システムは、例示的に、マスターBS1と、スレーブBS2−1,2−2と、固定端末59と、をそなえる。なお、マスターBS1,スレーブBS2−1,2−2及び固定端末59それぞれの数は、図7に例示する数に限定されない。例えば、図8に例示するように、本例の無線通信システムは、マスターBS1と、スレーブBS2と、固定端末59と、をそなえていてもよい。
【0088】
ここで、本例の無線通信システムでは、固定端末59を、例えば、複数のBS1,2からの距離が等しい位置(複数のBS1,2が提供するセルが重なる位置)に設置することができる。これにより、固定端末59は、複数のBS1,2から送信される信号に含まれる同期信号(例えば、プリアンブル)を同時に受信することが可能となる。
つまり、本例の固定端末59は、複数のBS1,2から等距離に位置するので、各BS1,2から受信される信号は、同じ受信レベル及び伝搬遅延量を有するものと考えられる。したがって、本例の固定端末59は、上述のMS3のように、伝搬遅延量及び受信レベルを検出しなくてもよい。
【0089】
そのため、本例の固定端末59は、図9に例示するように、例えば、送受信アンテナ74と、無線受信部60と、シンボル同期部61と、GI除去部62と、FFT部63と、プリアンブル検出部64と、修正情報検出部65と、をそなえる。また、本例の固定端末59は、例示的に、進み遅れ判別部66と、周辺BS情報データベース67と、バースト生成部68と、変調部69と、マッピング部70と、IFFT部71と、GI付加部72と、無線送信部73と、をそなえる。
【0090】
ここで、無線受信部60,シンブル同期部61,GI除去部62,FFT部63及びプリアンブル検出部64は、上述した無線受信部8,シンボル同期部9,GI除去部10,FFT部11及びプリアンブル検出部14と同様の機能を有する。
本例の修正情報検出部65は、複数のBSから受信した同期信号(プリアンブル)の受信タイミング差(ずれ)を検出する。この受信タイミング差は、例えば、受信信号と同期信号のパターンとの電力相関値のピークが現れるタイミング差として検出することができる。その際、修正情報検出部65は、例えば、同期信号(プリアンブル)の受信周波数の差(ずれ)を付加的あるいは選択的に検出することもできる。受信周波数の差は、受信した同期信号の位相情報に基づいて検出することができる。
【0091】
なお、本例では、固定端末59の周辺に位置する複数のBS1,2からの受信信号のうち、いずれを基準信号とするかを、周辺BS情報データベース67に予め登録しておいてもよい。
即ち、本例の修正情報検出部65は、周辺BS情報データベース67に予め格納される情報に基づいて、マスターBS1からの受信信号を基準信号に決定し、当該基準信号と、スレーブBS2からの受信信号との受信タイミング差などを検出する。
【0092】
進み遅れ判別部66は、スレーブBS2から受信した信号が、基準となるマスターBS1から受信した同期信号よりも進んで受信されるか、それとも、遅れて受信されるか(進み遅れ)を検出する。受信した同期信号が、いずれのBSからの信号であるかは、受信した同期信号のパターンによって識別することができる。あるいは、例えば、固定端末59の既知の位置と、周辺BS情報データベース67に保持されている各BSの配置情報とに基づいて識別することができる。
【0093】
進み遅れ判別部66による判別結果(進み遅れについての情報)は、修正情報検出部65で検出された修正情報とともに、バースト生成部68へ送出される。
バースト生成部68は、ユーザデータなどの上り送信データや、上記修正情報を含む信号(上りバースト)を生成する。修正情報は、上記基準信号の送信元以外のBSに送信する上りバーストに含める。つまり、マスターBS1とスレーブBS2との間で同期を行なう場合は、上記修正情報をスレーブBS2宛の上りバースト信号に含める。一方、スレーブBS2−1,2−2どうし間で同期を行なう場合は、上記修正情報をスレーブBS2−2宛の上りバーストに含める。ただし、例えば固定端末59での検出結果の確認等のために、修正情報を送信元BSにも送信(通知)することを禁止するものではない。
【0094】
変調部69は、バースト生成部68で生成された上りバースト信号を、所定の変調処理方式に従って、変調する。この変調方式にも、例えば、既述のQPSK、16QAM、64QAMなどを用いることができる。
マッピング部70は、変調部69で変調されたデータ信号を周波数領域において所定のサブキャリアにマッピングする。マッピング後の上り送信信号は、IFFT部71へ出力される。
【0095】
ここで、周辺BS情報データベース67,IFFT部71,GI付加部72,無線送信部73及び送受信アンテナ74は、上述した周辺BS情報データベース19,IFFT部24,GI付加部25,無線送信部26及び送受信アンテナ7と同様の機能を有する。
このように、本例では、複数のBS1,2からの距離が等しい位置にBS1,2間同期確立のための最小構成を有する固定端末59を設置することにより、システムに大幅な変更を加えることなく、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0096】
〔4〕その他
なお、上述したBS1,2及びMS3の各構成及び各処理は、必要に応じて取捨選択してもよいし、適宜組み合わせてもよい。
また、上記の例では、モバイルWiMAXを例として説明したが、その他の無線通信システムにおいても、上記と同様の効果を得ることができる。その際、同期信号には、プリアンブルの他、Random Access Channel(RACH)信号などを用いることができる。
【0097】
さらに、上記の例では、MS3が基準信号とその他の受信信号との進み遅れを検出したが、MS3から前記検出に必要な情報(BS識別信号など)をスレーブBS2に通知することにより、スレーブBS2側で進み遅れを検出するようにしてもよい。その場合は、MS3は周辺BS情報データベース19をそなえなくてもよい。
また、複数のBS1,2が提供するセルが重なる領域にMS3が存在しない場合は、隣接BS1,2との通信干渉を考慮しなくてもよいので、各BS1,2はそれぞれ独立したタイミング(送受信タイミングに関する初期値)に基づいて無線通信を行なうようにしてもよい。前記初期値は、BSの起動時などにおいて上位ネットワークから受信することができる。
【0098】
さらに、上述した同期方法により同期を確保した後は、MS3での修正情報の検出や、スレーブBS2での修正情報に基づく同期制御の頻度を低減させてもよい。
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
〔5〕付記
(付記1)
複数の基地局から受信した信号のいずれかを基準信号として、当該基準信号と他の受信信号とのタイミング差又は周波数差を検出する検出部と、
前記検出部での検出結果を前記基準信号の送信元以外の基地局に通知する通知部と、
をそなえ、
該検出結果は、少なくとも自通信端末以外の他の通信端末が受信する信号の送信タイミング又は送信周波数の制御を該基準信号の送信元以外の基地局が実行する際に利用される、
ことを特徴とする、通信端末。
【0099】
(付記2)
前記検出部は、
前記基準信号と前記他の受信信号のレベルが等しいか所定のずれ幅に収まっている場合に、前記検出を行なう、
ことを特徴とする、付記1記載の通信端末。
【0100】
(付記3)
前記複数の基地局から受信した信号の伝搬遅延量を測定する伝搬遅延測定部をさらにそなえ、
前記検出部は、
前記伝搬遅延測定部での測定結果に基づいて、前記タイミング差の補正を行なう、
ことを特徴とする、付記1記載の通信端末。
【0101】
(付記4)
前記検出部は、
前記他の受信信号が、前記基準信号よりも進んで受信されたか、遅れて受信されたかを前記検出結果に含める、
ことを特徴とする、付記1〜3のいずれか1項に記載の通信端末。
【0102】
(付記5)
前記検出部は、
前記複数の基地局からの受信信号が示す基地局識別情報に基づいて、前記基準信号に用いる受信信号を決定する、
ことを特徴とする、付記1〜4のいずれか1項に記載の通信端末。
【0103】
(付記6)
前記基準信号は、
GPS(Global Positioning System)受信機で受信した信号を用いて通信の同期を確保する基地局から受信した信号である、
ことを特徴とする、付記1〜5のいずれか1項に記載の通信端末。
【0104】
(付記7)
前記基準信号は、
前記複数の基地局のうち、GPS(Global Positioning System)受信機で受信した信号を用いて通信の同期を確保する基地局と前記通知を受けて同期を確保した基地局から受信した信号である、
ことを特徴とする、付記1〜5のいずれか1項に記載の通信端末。
【0105】
(付記8)
当該通信端末は、
前記複数の基地局からの距離が等しい位置に設けられる固定端末である、
ことを特徴とする、付記1記載の通信端末。
(付記9)
通信端末と通信しうる基地局であって、
前記通信端末が、前記基地局から受信した信号と他の基地局から受信した基準信号とのタイミング差又は周波数差を検出して通知してくる検出結果を受信する受信部と、
前記受信部で受信した前記検出結果に基づいて、少なくとも前記通信端末以外の他の通信端末が受信することとなる信号の送信タイミング又は送信周波数を制御する制御部と、
をそなえたことを特徴とする、基地局。
【0106】
(付記10)
前記制御部は、
時間平均された前記検出結果に基づいて、前記制御を行なう、
ことを特徴とする、付記9記載の基地局。
(付記11)
前記制御部は、
前記検出結果の分散値が第1の閾値以下の場合に、前記制御を行なう、
ことを特徴とする、付記9又は10に記載の基地局。
【0107】
(付記12)
前記制御部は、
前記検出結果の受信数が第2の閾値以上の場合に、前記制御を行なう、
ことを特徴とする、付記9〜11のいずれか1項に記載の基地局。
(付記13)
前記制御部は、
前記検出結果が初めて受信されるまでは、所定のタイミング情報に基づいて、前記制御を行なう、
ことを特徴とする、付記9記載の基地局。
【0108】
(付記14)
複数の基地局から受信した信号のいずれかを基準信号として、当該基準信号と他の受信信号とのタイミング差又は周波数差を検出し、
前記検出の結果を前記基準信号の送信元以外の基地局に通知し、
前記検出の結果は、少なくとも自通信端末以外の他の通信端末が受信する信号の送信タイミング又は送信周波数の制御を該基準信号の送信元以外の基地局が実行する際に利用される、
ことを特徴とする、通信端末の通信方法。
【0109】
(付記15)
通信端末と通信しうる基地局の通信方法であって、
前記通信端末が、前記基地局から受信した信号と他の基地局から受信した基準信号とのタイミング差又は周波数差を検出して通知してくる検出結果を受信し、
受信した前記検出結果に基づいて、少なくとも前記通信端末以外の他の通信端末が受信することとなる信号の送信タイミング又は送信周波数を制御する、
ことを特徴とする、基地局の通信方法。
【0110】
(付記16)
複数の基地局と、
前記複数の基地局と通信しうる通信端末と、
前記複数の基地局から受信した信号のいずれかを基準信号として、当該基準信号と他の受信信号とのタイミング差又は周波数差を検出する検出部と、
前記検出部での検出結果を前記基準信号の送信元以外の基地局に通知する通知部と、
前記通知部により通知された前記検出結果に基づいて、少なくとも前記通信端末以外の他の通信端末が受信することとなる信号の送信タイミング又は送信周波数を制御する制御部と、
をそなえたことを特徴とする、通信システム。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】一実施形態に係る無線通信システムの一例を示す図である。
【図2】図1に示す無線通信システムの同期方法の一例を示す図である。
【図3】図1に示すマスター基地局の一例を示すブロック図である。
【図4】図1に示す通信端末の一例を示すブロック図である。
【図5】図1に示すスレーブ基地局の一例を示すブロック図である。
【図6】図1に示す無線通信システムの動作例を示す図である。
【図7】変形例に係る無線通信システムの一例を示す図である。
【図8】変形例に係る無線通信システムの一例を示す図である。
【図9】図7及び図8に示す専用固定端末の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0112】
1 マスター基地局(マスターBS)
2−2,2−3 スレーブ基地局(スレーブBS)
3,3−1,3−2 通信端末(MS)
4−1,4−2,4−3 セル
5 GPSアンテナ
6,6−1,6−2,6−3,7,7−1,7−2,74 送受信アンテナ
8,27,44,60 無線受信部
9,61 シンボル同期部
10,28,45,62 GI除去部
11,29,46,63 FFT部
12,30,47 デマッピング部
13,32,49 復調部
14,64 プリアンブル検出部
15 受信電波強度判定部
16,65 修正情報検出部
17,66 進み遅れ判別部
18 伝搬遅延検出部
19,33,67 周辺BS情報データベース
20,37,51,68 バースト生成部
21,38,52,69 変調部
22,39,53 パイロット生成部
23,40,54,70 マッピング部
24,41,55,71 IFFT部
25,42,56,72 GI付加部
26,43,57,73 無線送信部
31,48 伝搬路補償部
34 修正情報取得部
35 平均化処理部
36,50 タイミング生成部
58 GPS受信部
59 専用固定端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基地局から受信した信号のいずれかを基準信号として、当該基準信号と他の受信信号とのタイミング差又は周波数差を検出する検出部と、
前記検出部での検出結果を前記基準信号の送信元以外の基地局に通知する通知部と、
をそなえ、
該検出結果は、少なくとも自通信端末以外の他の通信端末が受信する信号の送信タイミング又は送信周波数の制御を該基準信号の送信元以外の基地局が実行する際に利用される、
ことを特徴とする、通信端末。
【請求項2】
前記検出部は、
前記基準信号と前記他の受信信号のレベルが等しいか所定のずれ幅に収まっている場合に、前記検出を行なう、
ことを特徴とする、請求項1記載の通信端末。
【請求項3】
前記複数の基地局から受信した信号の伝搬遅延量を測定する伝搬遅延測定部をさらにそなえ、
前記検出部は、
前記伝搬遅延測定部での測定結果に基づいて、前記タイミング差の補正を行なう、
ことを特徴とする、請求項1記載の通信端末。
【請求項4】
前記検出部は、
前記他の受信信号が、前記基準信号よりも進んで受信されたか、遅れて受信されたかを前記検出結果に含める、
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の通信端末。
【請求項5】
前記検出部は、
前記複数の基地局からの受信信号が示す基地局識別情報に基づいて、前記基準信号に用いる受信信号を決定する、
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の通信端末。
【請求項6】
当該通信端末は、
前記複数の基地局からの距離が等しい位置に設けられる固定端末である、
ことを特徴とする、請求項1記載の通信端末。
【請求項7】
通信端末と通信しうる基地局であって、
前記通信端末が、前記基地局から受信した信号と他の基地局から受信した基準信号とのタイミング差又は周波数差を検出して通知してくる検出結果を受信する受信部と、
前記受信部で受信した前記検出結果に基づいて、少なくとも前記通信端末以外の他の通信端末が受信することとなる信号の送信タイミング又は送信周波数を制御する制御部と、
をそなえたことを特徴とする、基地局。
【請求項8】
複数の基地局から受信した信号のいずれかを基準信号として、当該基準信号と他の受信信号とのタイミング差又は周波数差を検出し、
前記検出の結果を前記基準信号の送信元以外の基地局に通知し、
前記検出の結果は、少なくとも自通信端末以外の他の通信端末が受信する信号の送信タイミング又は送信周波数の制御を該基準信号の送信元以外の基地局が実行する際に利用される、
ことを特徴とする、通信端末の通信方法。
【請求項9】
通信端末と通信しうる基地局の通信方法であって、
前記通信端末が、前記基地局から受信した信号と他の基地局から受信した基準信号とのタイミング差又は周波数差を検出して通知してくる検出結果を受信し、
受信した前記検出結果に基づいて、少なくとも前記通信端末以外の他の通信端末が受信することとなる信号の送信タイミング又は送信周波数を制御する、
ことを特徴とする、基地局の通信方法。
【請求項10】
複数の基地局と、
前記複数の基地局と通信しうる通信端末と、
前記複数の基地局から受信した信号のいずれかを基準信号として、当該基準信号と他の受信信号とのタイミング差又は周波数差を検出する検出部と、
前記検出部での検出結果を前記基準信号の送信元以外の基地局に通知する通知部と、
前記通知部により通知された前記検出結果に基づいて、少なくとも前記通信端末以外の他の通信端末が受信することとなる信号の送信タイミング又は送信周波数を制御する制御部と、
をそなえたことを特徴とする、通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−41537(P2010−41537A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203856(P2008−203856)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】