説明

通信端末

【課題】ユーザの個人データがユーザの許可なしに通信端末の外部へ送信されるのを防止する。
【解決手段】携帯電話機400は、Java−APソフトウェアをJava−APソフトウェア配信サーバ100からダウンロードする際に、Java−APが個人データを送信するJava−APであることをユーザに知らしめ、ユーザがダウンロードを許可した場合に、Java−APソフトウェアをダウンロードする。また、携帯電話機400は、Java−APソフトウェアを実行する際に、当該Java−APが個人データを送信するJava−APであることをユーザに知らしめ、ユーザが実行を許可した場合に、Java−APソフトウェアを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人に特有のデータを使用可能なアプリケーションプログラムの実行を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットに接続されたWWW(World Wide Web)サーバから、携帯電話機で実行可能なJava(登録商標)アプリケーションソフトウェアを配信することが広く行われている。Javaアプリケーションソフトウェアは、Javaプログラミング言語を用いて作成されたプログラムを含むJAR(Java Archive)ファイルと、当該JARファイルに関するデータを記述したADF(Application Descriptor File)とを有する。携帯電話機のユーザが、前述のファイルを携帯電話機にダウンロードさせ、携帯電話機にJavaアプリケーションソフトウェアの実行を指示することにより携帯電話機にてJavaアプリケーション(以下、Java−APとする)が実現されると、携帯電話機に様々な機能が付加される。
【0003】
携帯電話機のユーザは、インターネットに接続されている多数のWWWサーバの中から、所望のソフトウェアをダウンロードし、所望の機能を携帯電話機に付加させることができる。しかし、いかなる機能をも付加させることを可能とすると、例えば、悪意のソフトウェアにより、携帯電話機に記憶されているデータを破壊されたり、携帯電話機に記憶されている個人に特有のデータ(以下、個人データとする)を、ユーザの意図に反して携帯電話機の外部へ漏らされてしまう虞がある。
【0004】
そこで、Java−APソフトウェアを実行可能な携帯電話機は、Java−APソフトウェアを実行することにより実現されるJava−APの挙動を制限するように設計されている。例えば、Java−APが使用可能な記憶領域は、個人データが記憶されている記憶領域とは別の、特定の記憶領域に限られている。また、通信を行うJava−APは、Java−APソフトウェアを配信したサーバとしか通信できないようになっている。さらに、携帯電話機では、Java−APが、Java−APソフトウェアの提供元のサーバと通信を行う際にはユーザに通信の許否を問い合わせ、許可された場合にのみ通信を行い、ユーザの許否に応じた挙動しかJava−APに許容しないようになっている。
【0005】
なお、Java−APソフトウェアの実行に制限を加える技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、プログラムの実行を許可するか否かをユーザに問い合わせ、ユーザの許可があった場合にのみプログラムを実行させる旨が記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−117769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、配信元のWWWサーバと通信を行うJava−APのソフトウェアを提供する提供者としては、サーバと通信中のJava−APのユーザを特定したい場合がある。しかし、従来のJava−APは、特定の記憶領域しか使用することができないため、Java−APのユーザを識別するための識別データなどの個人データを、ユーザからJava−APへ通知してもらい、通知してもらった識別データを、Java−APソフトウェア提供元のサーバへ送信することとなる。しかしながら、Java−APが、識別データを送信するたびに、ユーザが識別データをJava−APへ通知するのは、ユーザにとって面倒であると言える。
【0008】
ユーザの面倒を避けるために、ユーザが通知した識別データをJava−AP用の特定の記憶領域に書き込むことを許容する仕様とすることも考えられるが、この場合、ユーザが通知した識別データを特定の記憶領域に書き込んでしまうと、以後、Java−APは、ユーザの通知を必要とせずに、ユーザを識別するためのデータをサーバへ送信することが可能となってしまう。ユーザが、ユーザを識別するためのデータが常に送信されることを望む場合にはこのような仕様でも問題ないが、そうでないユーザの場合には、このような仕様ではユーザの意図に反する結果となってしまう。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、通信端末のユーザの個人データがユーザの許可なしに通信端末から送信されるのを防止する、通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上述した課題を解決するために、プログラムを記憶する第1の記憶手段と、前記第1の記憶手段に記憶されたプログラムを実行する実行手段と、前記実行手段がプログラムを実行することによって実現されるアプリケーションにより読み書きされるデータを記憶する第2の記憶手段と、前記プログラムの特徴を示すディスクリプタ情報を記憶する第3の記憶手段と、前記アプリケーションが外部の装置へ前記データを送信する送信手段とを有する通信端末において、使用者の指示を入力するための指示入力手段と、前記プログラムを実行する旨の指示が前記指示入力手段により入力されたときに、前記第3の記憶手段により記憶された前記ディスクリプタ情報に基づいて、実行を指示された前記プログラムが前記データを取得して外部の装置へ送信するプログラムか否かを判定し、送信するプログラムであると判定した場合に当該プログラムの実行を許可するか否かを示す指示の入力を前記使用者に促す第1の確認手段と、前記第1の確認手段により実行を指示されたプログラムがデータを取得して外部の装置へ送信するプログラムであると判定されなかった場合には実行を指示されたプログラムの実行を許可し、データを取得して外部の装置へ送信するプログラムであると判定された場合には、前記指示入力手段により実行を許可する旨の指示が入力された場合にのみ、前記実行手段による当該プログラムの実行を許可する実行許可手段とを有し、前記実行手段は、データを取得して外部の装置へ送信するプログラムであると前記第1の確認手段において判定されなかったプログラムから前記データを取得して外部の装置へ送信する指示を受け取ると、前記データを前記送信手段から外部の装置へ送信させないことを特徴とする通信端末を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、通信端末においてアプリケーションソフトウェアを実行させる際に、通信端末のユーザの個人データがユーザの許可なしに通信端末から送信されるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。
【0013】
[1.実施形態の構成]
[1−1.全体構成]
図1は、本発明に係わる通信システム10の全体構成を例示する図である。通信システム10には多数の携帯電話機およびJava−APソフトウェア配信サーバが存在するが、図面が繁雑になるのを防ぐために、一つの携帯電話機400および一つのJava−APソフトウェア配信サーバ100のみが示されている。
【0014】
Java−APソフトウェア配信サーバ100は、Java−APソフトウェアを携帯電話機400へ配信する事業者によって運用されているサーバである。Java−APソフトウェア配信サーバ100は、パケット通信を行うことが可能であり、インターネット200に接続されている。Java−APソフトウェア配信サーバ100は、HTTP(HyperText Transfer Protocol)に従った通信を行うなど、一般的なWWWサーバが有する機能と同様の機能を有しており、ドメイン名が「www.abc.co.jp」となっている。Java−APソフトウェア配信サーバ100は、株価情報を表示するJava−APを実現させるためのソフトウェアを配信し、このソフトウェアをダウンロードした携帯電話機400に対して、株価情報を提供するサービスを行う。
【0015】
移動パケット通信網300は、移動体データ通信サービスを提供する通信網である。移動パケット通信網300は、移動パケット通信網300を運用する通信事業者との間で加入者契約を行った者が所有する携帯電話機400と無線通信を行う無線基地局と、無線基地局に接続された交換機と、交換機に接続された関門交換機とを有している。また、移動パケット通信網300は、関門交換機とインターネット200との間で行われる通信を中継するためのゲートウェイサーバを有している(いずれも図示略)。移動パケット通信網300は、移動パケット通信網300に設置されている前述の装置を用いて、移動パケット通信網300に収容されている携帯電話機400と、インターネット200に接続されているJava−APソフトウェア配信サーバ100等のWWWサーバとの間で行われるパケット通信を中継する。
【0016】
携帯電話機400は、図示を省略したユーザが所有する携帯電話機であり、移動パケット通信網300が提供する移動体データ通信サービス受けることができる。携帯電話機400は、パケット通信機能を有しており、移動パケット通信網300およびインターネット200を介して、インターネット200に接続されているJava−APソフトウェア配信サーバ100等のWWWサーバとの間でパケット通信を行うことができる。
【0017】
[1−2.Java−APソフトウェア配信サーバの構成]
[1−2−1.ハードウェア構成]
図2は、Java−APソフトウェア配信サーバ100のハードウェア構成を例示するブロック図である。図2に示したように、Java−APソフトウェア配信サーバ100の各部は、バス101に接続されており、このバス101を介して各部間でデータの授受が行われる。
【0018】
通信部102は、インターネット200を利用した通信を行うための通信インターフェースであり、インターネット200に接続されている。操作部103は、Java−APソフトウェア配信サーバ100を操作するための指示が入力されるものであり、図示を省略したキーボードおよびマウスを有している。操作部103は、Java−APソフトウェア配信サーバ100のユーザに操作されると、このユーザの操作内容を示す信号をCPU108へ出力する。表示部104は、図示を省略した液晶表示パネルおよび液晶表示パネルの表示制御を行う制御回路を有しており、CPU108の制御の下、文字やグラフィック画面、Java−APソフトウェア配信サーバ100を操作するためのメニュー画面等を表示する。
【0019】
記憶部105は、例えばハードディスク装置などの、データを永続的に記憶する装置(図示略)を有している。記憶部105には、HTTPに基づくデータの送受信機能など、Java−APソフトウェア配信サーバ100を一般的なWWWサーバとして機能させるための、サーバプログラムが記憶されている。また、記憶部105には、Javaプログラミング言語を用いて作成されたプログラムを含むJAR(Java Archive)ファイル105Cと、当該JARファイルに関するデータを記述したADF(Application Descriptor File)105Bと、当該JARファイル105CとADF105BからなるJava−APソフトウェアの内容をクライアントとなる携帯電話機のユーザに説明するための説明ファイル105Aとが記憶されている。また、記憶部105には、当該Java−APソフトウェア配信サーバ100が配信するJava−APソフトウェアをダウンロードした装置に対して、株価情報を提供するサービスを行うために、Java−AP利用者テーブル105Dと、株価情報テーブル105Eとを記憶している。株価情報テーブル105Eは、上場会社の株価が格納されているテーブルであり、図3に例示したように、株の銘柄名と個々の銘柄の株価とが対応づけて格納されている。Java−AP利用者テーブル105Dについては、後に説明する。
【0020】
ROM(Read Only Memory)106には、IPL(Initial Program Loader)が記憶されている。CPU108は、Java−APソフトウェア配信サーバ100のユーザにより、Java−APソフトウェア配信サーバ100の電源が入れられると、RAM(Random Access Memory)107を、作業エリアとし、ROM106からIPLを読み出し、CPU108およびJava−APソフトウェア配信サーバ100の各部の初期化を行う。CPU108は、初期化を終了すると記憶部105からサーバプログラムを読み出して実行する。
【0021】
[1−2−2.説明ファイル、ADF、JARファイル]
説明ファイル105Aは、図4に例示したように、マークアップ言語の一つであるCHTML(Compact HyperText Markup Language)により記述されており、URLが「http://www.abc.co.jp/java/kabuka.html」となっている。説明ファイル105Aは、CHTMLを解釈可能なWWWブラウザにより解釈されると、図5に示したように、Java−APソフトウェア配信サーバ100が提供するJava−APソフトウェアを紹介するページP01が表示される。このページP01には、Java−APソフトウェア配信サーバ100が提供するJava−APソフトウェアをダウンロードするためのハイパーリンクP01Aが表示される。

【0022】
説明ファイル105Aでは、クライアントとなる携帯電話機にJava−APソフトウェアをダウンロードさせるために、AタグとOBJECTタグが使用されている。Aタグは、ページにハイパーリンクを表示させるためのタグである。図4に示した説明ファイル105AがWWWブラウザにより解釈されると、「<A」と「/A>」の間にされた記述が、ハイパーリンクP01AとしてページP01に表示される。Aタグに記述されているijam属性は、Aタグにより表示されたハイパーリンクがクリックされた際にOBJECTタグを参照するようにするための属性である。OBJECTタグは、Java−APソフトウェアのADFを特定するために使用されるタグである。data属性は、Java−APソフトウェアのADFの記憶位置を示すURLを指定するためのものであり、説明ファイル105Aでは、ADF105BのURL「http://www.abc.co.jp/java/kabuka.jam」が記述されている。
【0023】
Java−APソフトウェア配信サーバ100からは、「株価情報」なる名称のJava−AP(以下、株価情報APとする)を実現するためのソフトウェアが配信される。この株価情報APソフトウェアは、クライアントとなる携帯電話機にて実行されると、株価情報APのユーザが指定した銘柄の株価情報を、当該株価情報APソフトウェアを配信したJava−APソフトウェア配信サーバ100から取得して表示させる機能を有している。
【0024】
JARファイル105Cは、Java−APを実現するために必要なクラスファイルやリソースファイルを一つにまとめたファイルであり、Java言語を用いて作成されたソフトウェアを配布する際に使用される。JARファイル105Cには、上述した株価情報APを実現するために必要となるクラスファイルやリソースファイルが格納されている。
【0025】
ADF105Bは、ADF105Bと対になるJARファイル105Cや、JARファイル105Cに格納されているクラスファイルおよびリソースファイルにより実現されるJava−APに関するデータが記述されるテキストファイルである。Java−APに関するデータとしては、例えば、図6に示したように、ADF105Bと対になるJARファイル105CのファイルサイズやJARファイル105Cが記憶されている位置を示すPackageURL(http://www.abc.co.jp/java/kabuka.jar)などが記述されている。また、Java−APが、クライアントとなる携帯電話機に記憶されている個人データの内の一つである端末識別子を携帯電話機の外部に送信する機能を有するJava−APである場合には、ADF105Bには、その旨を示す属性である「UsePersonal = utn」が記述される。Java−APソフトウェア配信サーバ100が配信する株価情報APソフトウェアによって実現される株価情報APがクライアントとなる携帯電話機で実行されると、クライアントとなる携帯電話機の個人データである端末識別子が携帯電話機から送信されるので、ADF105Bには、「UsePersonal = utn」が記述されている。
【0026】
[1−2−3.ファイルの配信]
Java−APソフトウェア配信サーバ100は、クライアントとなる携帯電話機からのHTTPリクエストに応じて、説明ファイル105A、ADF105B、JARファイル105Cをクライアントとなる携帯電話機へ送信する。
【0027】
Java−APソフトウェア配信サーバ100は、説明ファイル105AのURLをパラメータとするGETメソッドを用いたHTTPリクエストを受信した場合には、記憶部105から説明ファイル105Aを読み出す。Java−APソフトウェア配信サーバ100は、説明ファイル105Aを読み出すと、読み出した説明ファイル105Aを内包するHTTPレスポンスを生成し、このHTTPレスポンスを、HTTPリクエストを送信してきたクライアントとなる携帯電話機へ送信する。
【0028】
GETメソッドのパラメータであるURLがADF105BのURLである場合には、説明ファイル105Aの場合と同様に、記憶部105からADF105Bを読み出し、携帯電話機400へ読み出したADF105Bを送信する。また、GETメソッドのパラメータであるURLがJARファイル105CのURLである場合には、説明ファイル105Aの場合と同様に、記憶部105からJARファイル105Cを読み出し、クライアントとなる携帯電話機へ読み出したJARファイル105Cを送信する。
【0029】
[1−2−4.株価情報の配信]
ROM106に記憶されているサーバプログラムは、株価情報APを実行しているクライアントとなる携帯電話機と通信を行い、クライアントとなる携帯電話機へ株価情報を送信する機能を有している。
【0030】
株価情報APがクライアントとなる携帯電話機にて実行され、株価情報APのユーザが所望する株価情報の銘柄を登録する操作を行うと、クライアントとなる携帯電話機からは、ユーザが登録を希望する銘柄名とクライアントとなる携帯電話機の端末識別子とがJava−APソフトウェア配信サーバ100へ送信される。
【0031】
Java−APソフトウェア配信サーバ100のCPU108は、株価情報APを実行している携帯電話機400から送信される、ユーザが所望する株価情報の銘柄名と端末識別子とを内包する登録要求を受信すると、受信した端末識別子と会社名とを対応づけてJava−AP利用者テーブル105Dに格納する。Java−AP利用者テーブル105Dは、株価情報APの利用者を管理するためのテーブルであり、図7に例示したように、携帯電話機400から送信された携帯電話機の端末識別子と、ユーザが所望する株価情報の銘柄名と会社名とが対応づけられている。
【0032】
株価情報APがクライアントとなる携帯電話機にて実行され、株価情報APのユーザが登録した銘柄の株価情報を取得する操作を行うと、クライアントとなる携帯電話機からは、クライアントとなる携帯電話機の端末識別子がJava−APソフトウェア配信サーバ100へ送信される。
【0033】
Java−APソフトウェア配信サーバ100のCPU108は、株価情報APが実行されているクライアントとなる携帯電話機から送信される、端末識別子を内包した株価情報取得要求を受信すると、株価情報取得要求に内包されている端末識別子をキーにして記憶部105に記憶されているJava−AP利用者テーブル105Dを検索する。CPU108は、該当する端末識別子をJava−AP利用者テーブル105Dの中から見つけると、端末識別子に対応づけて記憶されている銘柄名を読み出す。次にCPU108は、読み出した銘柄名をキーにして株価情報テーブル105Eを検索し、銘柄名に対応づけて格納されている株価情報を株価情報テーブル105Eから読み出す。次にCPU108は、読み出した株価情報を内包する株価情報応答を生成し、端末識別子で識別されるクライアントとなる携帯電話機へ生成した応答を送信する。
【0034】
[1−3.携帯電話機の構成]
図8は、携帯電話機400のハードウェア構成を例示するブロック図である。図8に示したように、アンテナ403を除く携帯電話機400の各部は、バス401に接続されており、このバス401を介して各部間でデータの授受が行われる。
【0035】
通信部402は、アンテナ403を備えており、CPU409の制御の下、移動パケット通信網300に設置されている無線基地局との間で無線通信を行う。操作部404は、図示を省略したテンキーや操作指示などを入力するための複数のキーを有している。携帯電話機400のユーザが、操作部404を操作すると、ユーザの操作に応じて操作内容を示す信号が操作部404からCPU409へ出力される。表示部405は、例えば図示を省略した液晶表示パネルおよび液晶表示パネルの表示制御を行う制御回路を有しており、CPU409の制御の下、文字やグラフィック画面、携帯電話機400を操作するためのメニュー画面などを液晶ディスプレイに表示する。不揮発性メモリ406は、携帯電話機400を制御するためのデータや、Java−APソフトウェアを配信するサーバからダウンロードしたADFやJARファイルを記憶するものである。
【0036】
ROM407には、CPU409により実行される各種プログラムが記憶されており、例えば、IPLや携帯電話機400の全体を制御するOS(Operating System)ソフトウェア、CHTMLを解釈可能なWWWブラウザソフトウェア、携帯電話機400にてJava−APソフトウェアを実行するためのJava実行環境ソフトウェアなどが記憶されている。また、ROM407には、携帯電話機400を一意に識別するための識別子である端末識別子「MS0001」が記憶されている。RAM408は、CPU409の作業エリアとして使用され、CPU409が実行するプログラムが使用するデータが一時的に記憶される。
【0037】
CPU409は、携帯電話機400の電源が入れられると、電源が入れられたことを契機としてROM407からIPLを読み出して実行し、CPU409および携帯電話機400の各部の初期化を行う。CPU409は、初期化を終了するとROM407からOSソフトウェアを読み出し実行する。携帯電話機400のユーザが、操作部404を操作すると、OSソフトウェアを実行しているCPU409は、ユーザの操作に応じて操作部404から出力される信号と表示部404に表示されている画面とに基づいてユーザの指示を特定し、ユーザの指示に応じた処理を行う。
【0038】
[1−3−1.Java実行環境の説明]
図9は、携帯電話機400におけるJava−AP実行環境の構成を例示する図である。
【0039】
JARストレージは、JARファイル105Cを記憶するための記憶領域であり、JAM(Java Application Manager)によって不揮発性メモリ406に確保される。スクラッチパッドは、永続性を持つデータ(アプリケーションの終了後も保持され続けるデータ)を記憶するための記憶領域であり、不揮発性メモリ406に確保される。スクラッチパッドは、JAMによってJava−AP毎に、不揮発性メモリ406に確保される。
【0040】
JAMは、Java−APソフトウェアを管理するものである。JAMは、JARストレージに記憶されて実行可能となっているJava−APソフトウェアのリスト表示、Java−APソフトウェアの実行管理(Java−APソフトウェアの起動・強制終了)、Java−APソフトウェアのインストールや削除を行う機能を有している。
【0041】
またJAMは、Java−APが、当該Java−APが使用するスクラッチパッド以外の記憶領域に書き込まれているデータを読み出して、当該Java−APが使用するスクラッチパッドに書き込んだり、読み出したデータが携帯電話機400から送信されるのを監視する機能を有している。
【0042】
JAMは、ROM407に記憶されている端末識別子を読み出して、読み出した端末識別子をスクラッチパッドへ書き込む指示をJava−APから受けると、ROM407から端末識別子を読み出し、Java−APが使用するスクラッチパッドに読み出した端末識別子を書き込む。また、JAMは、参照したADFに「UsePersonal = utn」が記述されている場合、端末識別子を携帯電話機の外部へ送信する指示をJava−APから受けると、スクラッチパッドに書き込まれた端末識別子を読み出して携帯電話機の外部へ送信する。
【0043】
JAMは、参照したADFに、「UsePersonal = utn」が記述されていない場合には、ROM407に記憶されている端末識別子を読み出しスクラッチパッドへ書き込む指示をJava−APから受けても、端末識別子の読み出しおよび端末識別子のスクラッチパッドへの書き込みを行わない。また、JAMは、参照したADFに、「UsePersonal = utn」が記述されていない場合には、スクラッチパッドに書き込まれた端末識別子を読み出し携帯電話機の外部へ送信する指示をJava−APから受けても、端末識別子を携帯電話機から送信しない。
【0044】
KVM(K Virtual Machine)は、Javaバイトコードをネイティブコードに変換して実行するJVM(Java Virtual Machine)を小型組み込み向けデバイス向けに再設計したものであり、メモリやCPU能力、電池消費に制約があるデバイスで使用されるように設計されている。
【0045】
[1−3−2.Java−APソフトウェア取得時の処理]
次に、携帯電話機400が、Java−APソフトウェアをダウンロードする際に行う処理について説明する。
【0046】
[1−3−2−1.ブラウザ、Java実行環境の実行]
携帯電話機400のユーザが操作部404を操作して、WWWブラウザソフトウェアの実行を指示する操作を行うと、CPU409は、ROM407からWWWブラウザソフトウェアと、Java実行環境ソフトウェアを読み出して実行する。WWWブラウザソフトウェアが実行されると、表示部405がCPU409により制御され、図10に例示したユーザインターフェースとなるブラウザ画面が表示される。以後、CPU409は、ユーザインターフェースとなるブラウザ画面の状態と、操作部404から供給される信号とに基づいてユーザの指示を特定し、この指示に応じた処理を行う。また、Java実行環境ソフトウェアが実行され、Java−AP実行環境が実現される。
【0047】
[1−3−2−2.WWWページ取得]
携帯電話機400のユーザが、図10に示したブラウザ画面が表示されている携帯電話機400にて、WWWサーバが提供するページを表示させるためのファイルのURLを入力する操作を操作部404にて行うと、CPU409は、表示部405を制御して、入力されたURLをブラウザ画面に表示させる。ユーザが、入力したURLで指定されるページの表示を指示する操作、即ち図10に示したブラウザ画面の「表示」ボタンをクリックする操作を操作部404にて行った場合には、CPU409は、通信部402を制御して、当該URLで指定されるファイルを提供しているWWWサーバ装置との間にTCPコネクションを確立する。CPU409は、入力されたURLをパラメータとするGETメソッドを用いたHTTPリクエストを、確立されたTCPコネクションを介してWWWサーバ装置へ送信し、URLで指定されるファイルを要求する。また、CPU409は、このHTTPリクエストへの応答としてWWWサーバ装置から送信される、ファイルを内包したHTTPレスポンスを受信し、当該コネクションを切断する。
【0048】
[1−3−2−3.Java−APソフトウェアのダウンロード]
携帯電話機400のユーザが、Java−APソフトウェアをダウンロードするためのページが携帯電話機400に取得された後、Java−APソフトウェアのダウンロードを指示する操作を操作部404にて行うと、このユーザの指示が実行中のJAMに通知される。
【0049】
具体的には、以下のようにして携帯電話機400のユーザの指示がJAMに通知される。ユーザが、携帯電話機400に表示されたページのハイパーリンク部分をクリックする操作を行うと、WWWブラウザがページを表示させるためのファイルにおいて、ハイパーリンクを表示させるためのAタグにijam属性が記述されているか否かを判断する。WWWブラウザは、Aタグにijam属性が記述されていると判断した場合には、OBJECTタグのdata属性に記述されているURLを抽出する。WWWブラウザは、このURLがADFを指定する場合、即ち、URLが指定するファイルの拡張子がADFを示す「jar」である場合には、ユーザの指示が、Java−APソフトウェアのダウンロードを指示する旨であるとし、Java−APソフトウェアのダウンロードが要求されたことをJAMに通知する。
【0050】
JAMは、Java−APソフトウェアをダウンロードする要求が通知されると、OBJECTタグのdata属性に記述されているADFのURLを抽出する。JAMは、URLで指定されるサーバとの間にTCPコネクションを確立し、抽出したURLをパラメータとするGETメソッドを用いたHTTPリクエストを生成する。JAMは、生成したHTTPリクエストを、確立したTCPコネクションを介してURLで指定されるWWWサーバへ送信する。
【0051】
JAMは、HTTPリクエストへの応答としてWWWサーバから送信される、ADFを内包するHTTPレスポンスを受信する。JAMは、ADFを内包するHTTPレスポンスを受信すると、内包されているADFを参照し、Java−APソフトウェアを、不揮発性メモリ406に記憶させることができるか否かを判断する。具体的には、JAMは、ADFに記述されている、JARファイルのサイズを示す「AppSize」キーとJava−APが使用するスクラッチパッドのサイズを示す「SPsize」キーを参照する。JAMは、ADFに記述されているJava−APソフトウェアのサイズおよび使用するスクラッチパッドのサイズと、JARストレージおよびスクラッチパッドの空き容量を比較し、JARファイルをJARストレージに記憶させることができるか否かと、ダウンロードした後、Java−APが使用するスクラッチパッドの容量を確保できるか否かを判断する。
【0052】
JAMは、新たにJava−APソフトウェアをダウンロードすることが可能であると判断した場合には、ADFを参照し「UsePersonal = utn」がADFに記述されているか否かを判断する。JAMは、ADFに「UsePersonal = utn」が記述されているのを見つけた場合には、ダウンロードしようとしているJava−APソフトウェアを実行することにより実現されるJava−APは、携帯電話機400内に記憶されている個人データである端末識別子を携帯電話機400から送信するJava−APであると判断し、図11に例示する画面を表示部405に表示させる。JAMは、図11に例示した画面を表示させることにより、ダウンロードしようとしているJava−APソフトウェアによって実現されるJava−APが、端末識別子、即ち個人データを携帯電話機400から送信するJava−APであることをユーザに知らしめる。
【0053】
図11に例示した画面を見たユーザが、個人データが携帯電話機400の外部で使用されるのをおそれ、操作部404を操作してJava−APソフトウェアのダウンロードを中止する旨の指示を入力した場合には、JAMは、Java−APソフトウェアのダウンロードを中止する。
【0054】
図11に例示した画面を見たユーザが、個人データが携帯電話機400の外部で使用されるのを承知し、操作部404を操作してJava−APソフトウェアのダウンロードを行う旨の指示を入力した場合には、JAMは、Java−APソフトウェアのダウンロードを継続する。具体的には、JAMは、ADFに記述されている「PackageURL」キーを参照し、JARファイルが記憶されている位置を示すURLを抽出する。JAMは、URLを抽出すると、URLで指定されるWWWサーバとの間にTCPコネクションを確立し、このURLをパラメータとするGETメソッドを用いたHTTPリクエストを生成する。JAMは、生成したHTTPリクエストを、確立したTCPコネクションを介してサーバへ送信する。JAMは、HTTPリクエストへの応答としてサーバから送信される、JARファイルを内包するHTTPレスポンスを受信する。JAMは、JARファイルを内包したHTTPレスポンスを受信すると、このHTTPレスポンスからJARファイルを抽出し、抽出したJARファイルをJARストレージに記憶する。JAMは、ADFに記述されているスクラッチパッドのサイズを示す「SPsize」キーを参照し、「SPsize」キーに指定されてい容量を、ダウンロードしたJava−APソフトウェアによって実現されるJava−AP用にスクラッチパッドに確保する。
【0055】
[1−3−3.Java−APソフトウェア実行時の処理]
次に、携帯電話機400がJava−APソフトウェアの実行を指示された時に行う処理について、図12に示すフローチャートを用いて説明する。
【0056】
ユーザが、不揮発性メモリ406に記憶されて実行可能となっているJava−APソフトウェアのリストを表示させる旨の操作を操作部404にて行うと、CPU409は、ROM407からJava実行環境ソフトウェアを読み出して実行する(ステップSA1)。Java実行環境ソフトウェアが実行されることにより、携帯電話機400にJava−AP実行環境が実現される。Java−AP実行環境が実現されると、CPU409には、JAMおよびKVMの機能が付与される。JAMの機能が付与されたCPU409は、不揮発性メモリ406を参照して、不揮発性メモリ406に記憶されて実行可能となっているJava−APソフトウェアのリストを生成する。CPU409は、リストを生成すると、表示部405を制御して生成したリストを表示部405に表示させる(ステップステップSA2)。
【0057】
CPU409は、Java−APソフトウェアのリストを表示させた後、ユーザからJava−APソフトウェアの実行指示が入力されるのを待つ(ステップSA3)。ユーザが、表示部405に表示されているJava−APソフトウェアを選択し、選択したJava−APソフトウェアの実行を指示する旨の操作を操作部404にて行うと(ステップSA3:YES)、CPU409は、操作部404から出力された信号と、表示部405に表示されている画面とに基づいて、ユーザが実行を指示したJava−APソフトウェアを特定する。CPU409は、特定したJava−APソフトウェアのADFを不揮発性メモリ406から読み出す(ステップSA4)。
【0058】
CPU409は、読み出したADFを参照して、ADFに「UsePersonal = utn」属性が記述されているか否かを判断することにより、ユーザが実行を指示したJava−APソフトウェアにより実現されるJava−APが、携帯電話機400内に記憶されている端末識別子を携帯電話機400から送信するJava−APであるか否かを判断する(ステップSA5)。
【0059】
CPU409は、ユーザが実行を指示したJava−APソフトウェアにより実現されるJava−APが、携帯電話機400内に記憶されている端末識別子を携帯電話機400から送信しないJava−APであると判断した場合には(ステップSA5:NO)、CPU409は、不揮発性メモリ406からJARファイルを読み出して(ステップSA9)、実行する(ステップSA10)。
【0060】
CPU409は、ユーザが実行を指示したJava−APソフトウェアにより実現されるJava−APが、携帯電話機400内に記憶されている端末識別子を携帯電話機400から送信するJava−APであると判断した場合には(ステップSA5:YES)、表示部405に、ユーザに実行の許否の指示入力を促す画面を表示させ(ステップSA6)、当該Java−APソフトウェアを実行してもよいか否かをユーザに確認させる。CPU409は、実行の許否の指示入力を促す画面を表示させた後、ユーザからの指示が入力されるのを待つ(ステップSA7)。
【0061】
操作部404がユーザにより操作され、ユーザの操作内容を示す信号がCPU409に入力されると、CPU409は、ユーザが行った操作がJava−APソフトウェアの実行を指示するものであるか否かを判断する(ステップSA8)。ユーザの指示が、Java−APソフトウェアの実行の中止を指示するものである場合には(ステップSA8:NO)、CPU409は、Java−APソフトウェアを実行しない。
【0062】
ユーザの指示が、Java−APソフトウェアの実行を指示するものである場合には(ステップSA8:YES)、CPU409は、不揮発性メモリ406からJARファイルを読み出す(ステップSA9)。Java実行環境ソフトウェアが実行されることにより、KVMの機能が付与されているCPU409は、読み出したJARファイルに内包されているJavaバイトコードをネイティブコードに変換し、Java−APソフトウェアを実行する(ステップSA10)。
【0063】
CPU409は、Java−APソフトウェアを実行させた後、実行されているJava−APソフトウェアを終了させる指示が入力されるのを待つ(ステップSA11)。ユーザが操作部404を操作して、実行されているJava−APソフトウェアを終了させる旨の指示を入力すると、ユーザの操作内容を示す信号がCPU409に入力され、CPU409は、実行中のJava−APソフトウェアを終了する。
【0064】
[2.動作例]
[2−1.Java−APソフトウェアダウンロード時の動作例]
次に、Java−APソフトウェアが、Java−APソフトウェア配信サーバ100からダウンロードされる時の動作例について、図13に示すシーケンス図を用いて説明する。なお、携帯電話機400は、ユーザの操作によって電源が入れられ、WWWブラウザが既に実行されているものとする。なお、携帯電話機400に記憶されている、前述のOS、WWWブラウザ、JAM、KVM、Java−APが行う動作は、携帯電話機400の動作となることから、以降の説明では、動作の主体を携帯電話機400とする。
【0065】
Java−APソフトウェア配信サーバ100が提供するJava−APソフトウェアを携帯電話機400へインストールさせる動作は、携帯電話機400のユーザが、携帯電話機400を操作して、Java−APソフトウェア配信サーバ100に記憶されている説明ファイル105Aの取得を試みることから始まる。
【0066】
携帯電話機400のユーザが、携帯電話機400の操作部404を操作して、説明ファイル105AのURL(“http://www.abc.co.jp/java/kabuka.html”)を入力した後、図10に示した画面例に示されている「表示」ボタンをクリックする操作を行うと(ステップS101)、携帯電話機400では、説明ファイル105AのURLをパラメータとするGETメソッドを用いたHTTPリクエストが生成される(ステップS102)。このHTTPリクエストは、携帯電話機400から送信され、移動パケット通信網300、インターネット200を介して、Java−APソフトウェア配信サーバ100へ送信される(ステップS103)。
【0067】
Java−APソフトウェア配信サーバ100にてHTTPリクエストが受信されると、記憶部105から説明ファイル105Aが読み出され(ステップS104)、読み出された説明ファイル105Aを内包するHTTPレスポンスが生成される(ステップS105)。このHTTPレスポンスは、Java−APソフトウェア配信サーバ100から送信され、インターネット200、移動パケット通信網300を介して、携帯電話機400へ送信される(ステップS106)。
【0068】
携帯電話機400が、HTTPレスポンスを受信すると、このHTTPレスポンスに内包されている説明ファイル105AがWWWブラウザにより解釈され、説明ファイル105Aの内容に応じたユーザインターフェースが提供される。この結果、携帯電話機400の表示部405には、図5に示したページP01が表示される(ステップS107)。
【0069】
このページP01を見たユーザが、ページP01のハイパーリンクP01Aの部分をクリックする操作を行うと(ステップS108)、携帯電話機400では、説明ファイル105Aに記述されているアンカータグ(“<A”で始まるタグ)のijam属性が参照される。携帯電話機400では、ijam属性が記述されていることから、OBJECTタグが参照され、OBJECTタグのdata属性に記述されている、ADF105Bを取得するためのURL(“http://www.abc.co.jp/java/kabuka.jam”)が抽出される。次に、携帯電話機400では、抽出したURLをパラメータとするGETメソッドを用いたHTTPリクエストが生成され(ステップS109)、Java−APソフトウェア配信サーバ100へ送信される(ステップS110)。
【0070】
Java−APソフトウェア配信サーバ100にてHTTPリクエストが受信されると、このHTTPリクエストに応じてADF105Bが記憶部105から読み出される(ステップS111)。Java−APソフトウェア配信サーバ100では、読み出されたADF105Bを内包するHTTPレスポンスが生成され(ステップS112)、生成されたHTTPレスポンスが携帯電話機400へ送信される(ステップS113)。
【0071】
携帯電話機400が、ADF105Bを内包するHTTPレスポンスを受信すると、HTTPレスポンスに内包されているADF105Bが参照される。携帯電話機400では、ADF105Bに「UsePersonal = utn」が記述されていることから、端末識別子、即ち個人データを送信するJava−APソフトウェアのダウンロードを行うか否かをユーザに問い合わせるため、表示部405に図11に示した画面が表示される(ステップS114)。これにより、携帯電話機400は、ダウンロードされるJava−APソフトウェアを実行することにより実現されるJava−APが端末識別子、即ち個人データを送信するJava−APであることをユーザに知らしめ、ダウンロードを行うかを確認させる。
【0072】
図11に示した画面を見た携帯電話機400のユーザが、画面に示されている「OK」ボタンをクリックする操作を行うと(ステップS115)、携帯電話機400では、ADF105BからPackageURL(“http://www.abc.co.jp/java/kabuka.jar”)が抽出され、抽出されたPackageURLをパラメータとするGETメソッドを用いたHTTPリクエストが生成される(ステップS116)。生成されたHTTPリクエストは、携帯電話機400からJava−APソフトウェア配信サーバ100へ送信される(ステップS117)。
【0073】
Java−APソフトウェア配信サーバ100にて、PackageURLを内包したHTTPリクエストが受信されると、このHTTPリクエストに対応するJARファイル105Cが記憶部105から読み出される(ステップS118)。Java−APソフトウェア配信サーバ100では、JARファイル105Cが読み出されると、このJARファイル105Cを内包したHTTPレスポンスが生成される(ステップS119)。このHTTPレスポンスは、Java−APソフトウェア配信サーバ100から送信され(ステップS120)、携帯電話機400にて受信される。携帯電話機400にて、HTTPレスポンスが受信されると、HTTPレスポンスに内包されているJARファイル105Cと、既にダウンロードしてあるADF105Bとが不揮発性メモリ406に記憶される(ステップS121)。
【0074】
[2−2.株価情報APソフトウェアダウンロード中止時の動作例]
次に、携帯電話機400のユーザが、Java−APソフトウェアのダウンロードを中止する時の動作について、説明する。なお、ステップS101からステップS114までの動作は、上述したJava−APソフトウェアをダウンロードする時の動作と同様であるため、その説明を省略する。
【0075】
携帯電話機400のユーザが、図11に示した、ダウンロードを行うか否かをユーザに問い合わせるための画面を見た後、個人データが送信されるようなJava−APは使用したくないと考え、図11に示した画面に示されている「中止」ボタンをクリックする操作を行うと、携帯電話機400は、図14に例示する画面を表示部405に表示させ、Java−APソフトウェアのダウンロードを中止する。
【0076】
[2−3.株価情報AP実行時の動作例]
次に、株価情報APが携帯電話機400にて実行される時の動作例について説明する。なお、以下に述べる動作例の説明において、株価情報APソフトウェアは、既に上述した動作により携帯電話機400にダウンロードされているものとする。
【0077】
携帯電話機400のユーザにより、JARストレージに記憶されて実行可能となっているJava−APソフトウェアの一覧を表示させる旨の指示が入力されると、携帯電話機400では、Java−AP実行環境が実現される。携帯電話機400では、Java−AP実行環境が実現されると不揮発性メモリ406に記憶されているJava−APソフトウェアが参照され、実行可能なJava−APソフトウェアのリストが生成される。携帯電話機400では、この生成されたリストが表示部405に表示される。
【0078】
Java−APソフトウェアのリストを見たユーザが、既にダウンロードされて実行可能となっている株価情報APソフトウェアを選択し、選択した株価情報APソフトウェアの実行を指示する操作を行うと、携帯電話機400では、選択された株価情報APのADF105Bが参照される。携帯電話機400が参照したADF105Bには、「UsePersonal = utn」が記述されているため、携帯電話機400では、株価情報APが、個人データである端末識別子を携帯電話機400から送信するJava−APであると判断され、図15に例示したJava−APソフトウェアの実行を確認するための画面が表示される。
【0079】
図15に例示した画面を見たユーザが、携帯電話機400に記憶されている端末識別子、即ち個人データが携帯電話機400から送信されるのを了承し、Java−APソフトウェアの実行を指示する操作を行うと、株価情報APが実行される。
【0080】
株価情報APが実行されると、図16に例示した画面が携帯電話機400の表示部405に表示される。携帯電話機400のユーザが、株価情報を所望する銘柄を登録する操作ために、「銘柄の指定・削除」をクリックする操作を操作部404にて行うと、図17に例示した画面が表示部405に表示される。携帯電話機400のユーザが、携帯電話機400を操作し、情報を所望する銘柄として「ABC会社」を指定し、「登録」をクリックする操作を行うと、ROM407に記憶されている端末識別子「MS0001」が読み出され、株価情報AP用のスクラッチパッドに記憶される。端末識別子がスクラッチパッドに記憶されると、ユーザが指定した銘柄名「ABC会社」と携帯電話機400の端末識別子「MS0001」とを内包する銘柄登録要求が生成され、生成された銘柄登録要求がJava−APソフトウェア配信サーバ100へ送信される。
【0081】
銘柄登録要求を受信したJava−APソフトウェア配信サーバ100では、受信した銘柄登録要求に内包されている銘柄名「ABC会社」と端末識別子「MS0001」とが対応づけられて、記憶部105のJava−AP利用者テーブル105Eに図7に示したように格納される。
【0082】
次に、携帯電話機400のユーザが、指定した銘柄の株価情報を閲覧するために、表示部405に表示されている図16に示した画面の「株価情報の取得」をクリックする操作を操作部404にて行うと、株価情報AP用のスクラッチパッドに記憶されている端末識別子「MS0001」が読み出され、読み出された端末識別子を内包する株価情報取得要求が生成される。生成された株価情報取得要求は、携帯電話機400から送信され、移動パケット通信網300およびインターネット200を介してJava−APソフトウェア配信サーバ100へ送信される。
【0083】
Java−APソフトウェア配信サーバ100にて株価情報取得要求が受信されると、Java−APソフトウェア配信サーバ100では、株価取得要求に内包されている端末識別子「MS0001」をキーにして、記憶部105に記憶されているJava−AP利用者テーブル105Dが検索される。Java−APソフトウェア配信サーバ100では、該当する端末識別子がJava−AP利用者テーブル105Dの中から見つけられると、端末識別子「MS0001」に対応づけて記憶されている、携帯電話機400のユーザが登録した銘柄名「ABC会社」が読み出される。次にJava−APソフトウェア配信サーバ100では、読み出した銘柄名「ABC会社」をキーにして、記憶部105に記憶されている、図3に示した株価情報テーブル105Eが検索され、「ABC会社」の株価情報「100円」が読み出される。Java−APソフトウェア配信サーバ100では、読み出された「ABC会社」の株価情報「100円」を内包する株価情報応答が生成され、端末識別子「MS0001」で識別される携帯電話機400へ生成された株価情報応答が送信される。
【0084】
株価情報応答を受信した携帯電話機400では、当該応答に内包されている「ABC会社」の株価情報が抽出される。抽出された株価情報は、図18に例示したように、表示部405に表示される。
【0085】
以上説明したように、本実施形態によれば、Java−APソフトウェアをダウンロードしようとする者が、Java−APが携帯電話機400内部の個人データを携帯電話機400から送信するJava−APであることを確認した上でダウンロードを行うことになる。したがって、携帯電話機400内部の個人データが携帯電話機400から送信されることを望まないというユーザが、携帯電話機400内部の個人データを携帯電話機400から送信するJava−APソフトウェアをダウンロードしてしまう虞を無くすことができる。また、携帯電話機400においてJava−APソフトウェアが実行される際にも、Java−APソフトウェアが実行されることにより実現されるJava−APが携帯電話機400内部の個人データを携帯電話機400から送信するJava−APであることを携帯電話機400のユーザが確認した上でJava−APソフトウェアが実行されることになる。したがって、携帯電話機400内部の個人データが携帯電話機400から送信されることを望まないというユーザが、携帯電話機400内部の個人データを携帯電話機400の外部へ送信するJava−APを実現するためのJava−APソフトウェアを実行してしまう虞を無くすことができる。
【0086】
[3.変形例]
上述した実施形態では、Java−APソフトウェア配信サーバ100は、インターネット200を介して移動パケット通信網300に接続されているが、Java−APソフトウェア配信サーバ100を、専用線で移動パケット通信網300に接続するようにしてもよい。
【0087】
上述した実施形態では、携帯電話機400はJava−APが実現された際に、Java−APソフトウェアの配信元のサーバと通信を行うようになっているが、Java−APが実現されている携帯電話機400が通信を行うのは、Java−APソフトウェアの配信元のサーバに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態において、株価情報を配信するWWWサーバを別に設け、株価情報APソフトウェアを実行している携帯電話機400が、新たに設けられた株価情報配信用のサーバと通信を行うことにより株価情報を得るようにしてもよい。
【0088】
上述した実施形態では、Java−APが実現されている携帯電話機400からJava−APソフトウェア配信サーバ100へ送信される個人データとして、携帯電話機を一意に識別するための端末識別子が用いられているが、Java−APが実現されている携帯電話機400から送信される個人データは、端末識別子に限定されるものではない。Java−APが実現されている携帯電話機400から送信される個人データは、携帯電話機400を所有しているユーザの電話番号など他の個人データであってもよい。
【0089】
また、上述した携帯電話機400と移動パケット通信網300が、IMT−2000(International Mobile Telecommunication 2000)に準拠したものであってもよい。IMT−2000に準拠した携帯電話機には、携帯電話機のユーザの契約者データを記録したUIM(User Identity Module)というICカードが使用される。Java−APが実現されている携帯電話機がIMT−2000に準拠した携帯電話機である場合、携帯電話機からJava−APソフトウェア配信サーバ100へ送信される個人データは、UIMに記憶されているUIMの識別番号や、UIMの識別番号と携帯電話機の端末識別子を組み合わせたものであってもよい。
【0090】
上述した実施形態では、携帯電話機400からJava−APソフトウェア配信サーバ100へ送られる個人データは平文で送信されているが、個人データを任意のアルゴリズムで変換し、この変換により得られるデータを送信するようにしてもよい。
【0091】
上述した実施形態では、携帯電話機400とJava−APソフトウェア配信サーバ100との間で行われる通信にHTTPが用いられているが、通信に用いられるプロトコルはこれに限定されるものではなく、HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Security)などの暗号化機能を付加したプロトコルを用いて通信を行うようにしてもよい。
【0092】
上述した実施形態において、携帯電話機400が個人データをJava−APソフトウェア配信サーバ100へ送信する際に、個人データを送信しても良いか否かを携帯電話機400のユーザに問い合わせるようにしてもよい。
【0093】
上述した実施形態において、Java−APソフトウェアのダウンロード終了後、図19に例示するJava−APの詳細に関する設定画面を携帯電話機400の表示部405に表示させて、ダウンロードしたJava−APソフトウェアにより実現されるJava−APが個人データを送信するJava−APであることをユーザに再度確認させるようにしてもよい。
【0094】
上述した実施形態では、携帯電話機400は、株価情報APソフトウェアをJava−APソフトウェア配信サーバ100からダウンロードしているが、携帯電話機400の出荷時に予め携帯電話機400の記憶部に株価情報APソフトウェアを記憶させて出荷するようにしてもよい。
【0095】
端末識別子がスクラッチパッドに書き込まれるタイミングは、上述した実施形態に示したタイミングに限定されるものではない。端末識別子は、株価情報APの実行開始時にROM407から読み出され、スクラッチパッドに記憶されるようにしてもよい。
【0096】
上述した携帯電話機400のROM407に記憶されている各種ソフトウェアは、書き換えが可能なようにしてもよい。各種ソフトウェアを書き換える方法の一例としては、以下のような方法が挙げられる。例えば、各種ソフトウェアを記録したCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの記録媒体を、パーソナルコンピュータのCD−ROMドライブに挿入し、このパーソナルコンピュータと、ROM407に替えてフラッシュROMを用いている携帯電話機とをケーブルで接続する。パーソナルコンピュータが、CD−ROMに記録された各種ソフトウェアを読み取り、読み取ったソフトウェアをケーブルで接続されている携帯電話機へ送信する。そして、ソフトウェアを受信した携帯電話機が、受信したソフトウェアをフラッシュROMに書き込むことにより、携帯電話機に記憶されている各種ソフトウェアをバージョンアップすることが可能となる。
【0097】
上述した変形例では、各種ソフトウェアを記録した記録媒体としてCD−ROMを挙げているが、記録媒体はこれに限定されるものではない。DVD−ROMや、フラッシュROMを内蔵したICカード、フレキシブルディスクなど他の記録媒体であってもよい。
【0098】
上述した実施形態では、携帯電話機のROM407に記憶されている端末識別子がROM407から読み出されて個人データとして送信されている、即ち、携帯電話機内に記憶されている個人データが読み出されて個人データとして送信されているが、携帯電話機400のユーザが操作部404を用いて入力した個人データをJava−APソフトウェア配信サーバ100へ送信するようにしてもよい。
【0099】
上述した実施形態では、Java実行環境およびJava−APが用いられているが、携帯電話機に記憶されている個人データが、携帯電話機の使用者の許可ない場合には送信されないようにするものであれば、アプリケーションソフトウェアの実行環境はJava実行環境に限定されない。またアプリケーションソフトウェアも、Javaプログラミング言語を用いて作成されたものに限定されず、他のプログラミング言語を用いて作成されたものでもよい。
【0100】
上述した実施形態では、個人データは、携帯電話機400のユーザがJava−APソフトウェアを実行している携帯電話機400を操作したことをトリガとして携帯電話機400から送信されているが、携帯電話機400がJava−APソフトウェア配信サーバ100から個人データを要求されたことをトリガとして、携帯電話機400から送信されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施形態に係わる通信システムの全体構成を例示する図である。
【図2】本発明の実施形態に係わるJava−APソフトウェア配信サーバ100のハードウェア構成を例示するブロック図である。
【図3】株価情報テーブル105Eの内容を示す図である。
【図4】説明ファイル105Aの内容を示す図である。
【図5】Java−APソフトウェア配信サーバ100が配信するページを示す図である。
【図6】ADF105Bの内容を示す図である。
【図7】Java−AP利用者テーブル105Dの内容を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係わる携帯電話機400のハードウェア構成を例示する図である。
【図9】Java−AP実行環境の構成を例示する図である。
【図10】携帯電話機400にてWWWブラウザが実行された時に表示されるブラウザ画面を例示する図である。
【図11】個人データを送信するJava−APソフトウェアをダウンロードする際に表示されるメッセージを示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係わる携帯電話機400が、Java−APソフトウェアを実行する時の処理の流れを例示するフローチャートである。
【図13】携帯電話機400がJava−APソフトウェアをダウンロードする時の動作例を示すシーケンス図である。
【図14】Java−APソフトウェアのダウンロードを中止した時に表示される画面を例示する図である。
【図15】個人データを携帯電話機400の外部へ送信するJava−APソフトウェアを実行する際に表示される警告メッセージを示す図である。
【図16】株価情報APの実行開始時に表示される画面を例示する図である。
【図17】株価情報APの実行開始時に表示される画面に示されている「銘柄の登録・削除」をクリックした後に表示される画面を例示する図である。
【図18】Java−APソフトウェア配信サーバ100から取得した株価情報を表示した画面を例示する図である。
【図19】実施形態の変形例において、携帯電話機400の表示部405に表示される、Java−APの詳細に関する設定画面を例示する図である。
【符号の説明】
【0102】
100・・・Java−APソフトウェア配信サーバ、101・・・バス、102・・・通信部、103・・・操作部、104・・・表示部、105・・・記憶部、105A・・・説明ファイル、105B・・・ADF、105C・・・JARファイル、105D・・・Java−AP利用者テーブル、105E・・・株価情報テーブル、106・・・ROM、107・・・RAM、108・・・CPU、200・・・インターネット、300・・・移動パケット通信網、400・・・携帯電話機、401・・・バス、402・・・通信部、403・・・アンテナ、404・・・操作部、405・・・表示部、406・・・不揮発性メモリ、407・・・ROM、408・・・RAM、409・・・CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムを記憶する第1の記憶手段と、前記第1の記憶手段に記憶されたプログラムを実行する実行手段と、前記実行手段がプログラムを実行することによって実現されるアプリケーションにより読み書きされるデータを記憶する第2の記憶手段と、前記プログラムの特徴を示すディスクリプタ情報を記憶する第3の記憶手段と、前記アプリケーションが外部の装置へ前記データを送信する送信手段とを有する通信端末において、
使用者の指示を入力するための指示入力手段と、
前記プログラムを実行する旨の指示が前記指示入力手段により入力されたときに、前記第3の記憶手段により記憶された前記ディスクリプタ情報に基づいて、実行を指示された前記プログラムが前記データを取得して外部の装置へ送信するプログラムか否かを判定し、送信するプログラムであると判定した場合に当該プログラムの実行を許可するか否かを示す指示の入力を前記使用者に促す第1の確認手段と、
前記第1の確認手段により実行を指示されたプログラムがデータを取得して外部の装置へ送信するプログラムであると判定されなかった場合には実行を指示されたプログラムの実行を許可し、データを取得して外部の装置へ送信するプログラムであると判定された場合には、前記指示入力手段により実行を許可する旨の指示が入力された場合にのみ、前記実行手段による当該プログラムの実行を許可する実行許可手段とを有し、
前記実行手段は、データを取得して外部の装置へ送信するプログラムであると前記第1の確認手段において判定されなかったプログラムから前記データを取得して外部の装置へ送信する指示を受け取ると、前記データを前記送信手段から外部の装置へ送信させないこと
を特徴とする通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−317228(P2007−317228A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−204798(P2007−204798)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【分割の表示】特願2002−296493(P2002−296493)の分割
【原出願日】平成14年10月9日(2002.10.9)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】