説明

通信端末

【課題】通信端末を携行している使用者が、転落・転倒したまま起き上がることができない状況を検知して通知を行う。
【解決手段】本発明の通信端末は、通信端末の鉛直方向への移動量を検出する移動量検出手段と、通知先への通知を行う通信手段と、前記通信手段を制御する通知制御手段と、を備え、前記通知制御手段は、前記移動量検出手段において前記通信端末の鉛直方向への移動量が閾値を超えた後に前記通信端末が静止状態にあることを検出した場合には、前記通信手段に予め設定した通知先へ通知をさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末のユーザが当該通信端末を携行する場合に、ユーザの異常状態を通知する通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、介護を必要とする人などが車椅子やベッドから落下する事象を検出するために、車椅子やベッドから離れた場合に報知を行う技術がある。しかし、自力で移動を行うことができる障害者、高齢者等にこの技術を適用した際には、介護者に不要な通知が行われる場合があり、介護者の負担を増やす事になる。
【0003】
上記の課題に対して、人に加速度センサを装着させ、縦方向の加速度が一定の閾値を超えた場合に転倒したと判断する仕組みが提案されている(特許文献1)。また、GPSならびに加速度センサを用いて端末の加速度、状態を逐次確認して報知を行う技術も開示されている(特許文献2、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−252618号公報
【特許文献2】特開2011−35726号公報
【特許文献3】特開2010−277490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術は、縦方向の加速度値に基づいて転倒転落を検知している。しかし、この仕組みでは、運動能力に麻痺がある者が、体を支えきれずに急加速を以って椅子に着座する等した場合に、無事着座できた場合であっても異常状態と誤検出してしまい、不要な異常状態通知をしてしまう可能性がある。特に、家庭で介護をしている場合、不要な異常状態通知が増えることは、介護者の負担を増すことになり、好ましくない。また、たとえ転落・転倒してしまった場合であっても、自力で起き上がり再度活動を始めた場合は、必ずしも異常状態として通知する必要はない。
【0006】
また、GPSならびに加速度センサを用いて端末の加速度、状態を逐次確認して報知を行う従来技術では、人が転倒しかつ起き上がることができない状態を適切に通知する仕組みにはなっていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の通信端末は、通信端末の鉛直方向への移動量を検出する移動量検出手段と、通知先への通知を行う通信手段と、前記通信手段を制御する通知制御手段と、を備え、前記通知制御手段は、前記移動量検出手段において前記通信端末の鉛直方向への移動量が閾値を超えた後に前記通信端末が静止状態にあることを検出した場合には、前記通信手段に予め設定した通知先へ通知をさせる構成となっている。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、通信端末を携行しているユーザが転落・転倒してしまった場合に、自力で起き上がり再度行動を始めているような状況と、転倒したまま起き上がれない状況とを区別して検出することが可能になるため、不要な異常状態通知を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態における通信端末の構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態における受信端末の構成を示す図
【図3】本発明の実施の形態における通知処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は本実施の形態における通信端末の構成を示すブロック図、図2は本実施の形態における受信端末の構成を示すブロック図である。
【0012】
通信端末1は移動量検出部11を備え、通信端末1の鉛直方向への移動量を検出する。移動量検出部11は、内部に加速度センサ110、重力センサ111、鉛直方向加速度抽出部112、鉛直方向移動量積算部113、時刻測定部114を備えている。さらに通信端末1は、通知制御部12、通信部13、認証部14、近距離無線通信部15を備えている。
【0013】
また、受信端末2は、通知部22、通信部23、認証部24、近距離無線通信部25を備えている。
【0014】
移動量検出部11では、加速度センサ110で検出した加速度と重力センサ111で検出した重力方向とに基づいて、鉛直方向の加速度成分を鉛直方向加速度抽出部112で抽出する。そして、鉛直方向移動量積算部113において、時刻測定部114で測定された時刻情報と鉛直方向加速度抽出部112で抽出された鉛直方向の加速度をもとに、移動量(移動距離)を算出する。
【0015】
移動量の情報は通知制御部12に出力され、通知制御部12では、予め登録されている受信端末2に向けて通知をするか否かを判断する。通知制御部12は、近距離無線通信部15および認証部14により、受信端末2が近距離無線通信により認証されているか否かを確認したうえで、認証されていない場合には通信部13から通知を行う。
【0016】
例えば、通信端末1は介護を必要とする人や子供などが携行し、受信端末2は介護者や保護者が携行する。受信端末2が認証されていないということは、介護者や保護者が離れた場所にいる状況とみなすことができるため、通知が必要と判断する。
【0017】
図3は、本実施の形態における通知処理を示すフローチャートである。
【0018】
まず、加速度センサ110により加速度が検出されたか否かを検知する(S101)。S101において加速度が検出されない場合は処理を終了する。一方S101において加速度が検出された場合には鉛直方向の移動量の算出を開始する(S102)。
【0019】
S102において、鉛直方向加速度抽出部112は、加速度センサ110から、通信端末1のx軸、y軸、z軸方向の加速度データを取得し、重力センサ111から、重力方向を取得する。そして、加速度センサ110からの加速度データと重力センサ111からの重力方向に基づいて、鉛直方向の加速度が計算される。そして、鉛直方向移動量積算部113では、鉛直方向の加速度情報と、時刻測定部114から出力される時刻情報をもとに、加速度を積分演算することで、加速度検出開始からの通信端末1の鉛直方向の相対移動距離を計算する。
【0020】
次に、鉛直方向移動量積算部113では、予め設定した一定時間t1が経過した後、通信端末1が鉛直方向(下方向)に予め設定した閾値以上移動したか否かを検出する(S103)。もし、S103において、移動量が閾値より小さい場合は、通信端末1を携行したユーザが転倒あるいは転落したとはみなさず処理を終了する。
【0021】
一方、S103において、移動量が閾値より大きい場合は、鉛直方向加速度抽出部112からの加速度情報を確認し、通信端末1が継続して鉛直方向(下方向)に移動しているか否かを確認する(S104)。S104において、一定時間t1が経過した後も継続して鉛直方向に移動していると判定された場合、エレベータや階段での移動等、受信端末2へ通知する必要のない移動が実施されているとみなし、処理を終了する。
【0022】
一方、S104において、下方向への移動が止まっていると判定された場合、移動量検出部11を用いて、一定時間t1以降の鉛直方向(上方向)への移動量の監視を開始する(S105)。具体的な方法は、S102と同じである。
【0023】
S105において移動量を積算した結果、上方向に閾値以上移動したことが確認された場合(S106:YES)、通信端末1を携行したユーザが転倒後、自力もしくは近隣に居合わせた人の介護により起き上がったと考えられるため、処理を終了する。
【0024】
一方、上方向に閾値以上移動していないと判定された場合(S106:NO)には、加速度検出時から一定時間t2が経過したか否かを確認し(S107)、経過していない場合はS105に戻って引き続き鉛直方向の移動量を監視する。S107において、一定時間t2が経過していた場合には、近距離無線通信部15、認証部14を用いて、予め登録済みの受信端末2の認証を試行する(S108)。
【0025】
S108において、近距離無線通信部15は、受信端末2の近距離無線通信部25と交信を試み、交信ができたら、通信端末1側の認証部14は、受信端末2の認証部24との間で認証を試みる。認証結果は通知制御部12に送信される。
【0026】
S108での認証が成功した場合(S109:YES)は、通信端末1から受信端末2に向けて通知は行わず、一方、認証ができなかった場合(S109:NO)は、通信部13により、受信端末2に通知を行う(S110)。そして、受信端末2の通知部22において、受信端末2を携行しているユーザに対して音や振動などにより通知を行う。
【0027】
以上の通知処理により、通信端末1を携行したユーザが転倒後、倒れたまま起き上がれない状態を確実に検知することが可能になる。また、通知を必要とする人が近隣にいない場合にのみ通知を行うことができ、不要な通知動作を低減することができる。
【0028】
また、それ以外にも、通信端末をユーザが落としたまま放置されるような状況が発生した場合でも、事前に設定しておいた連絡先に落とした事を知らせることができ、紛失防止にも役立てることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、通信端末を携行しているユーザが転倒して起き上がれないような状況を検出して通知することができるため、携帯電話や情報端末等の通信端末に適用可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 通信端末
11 移動量検出部
12 通知制御部
13、23 通信部
14、24 認証部
15、25 近距離無線通信部
110 加速度センサ
111 重力センサ
112 鉛直方向加速度抽出部
113 鉛直方向移動量積算部
114 時刻測定部
2 受信端末
22 通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末の鉛直方向への移動量を検出する移動量検出手段と、
通知先への通知を行う通信手段と、
前記通信手段を制御する通知制御手段と、を備え、
前記通知制御手段は、前記移動量検出手段において前記通信端末の鉛直方向への移動量が閾値を超えた後に前記通信端末が静止状態にあることを検出した場合には、前記通信手段に予め設定した通知先へ通知をさせる通信端末。
【請求項2】
前記移動量検出手段は、
加速度センサと、
時刻測定手段と、を有し、
前記移動量検出手段は、前記静止状態を、前記加速度センサからの加速度情報および前記時刻測定手段からの時刻情報に基づいて検出する請求項1記載の通信端末。
【請求項3】
前記通知先に設定された通信端末を認証する認証手段を備え、
前記通知制御手段は、前記認証手段において前記通知先に設定された通信端末が認証できている場合には、前記通信手段に前記通知先に設定された通信端末への通知を制限させる請求項1または請求項2記載の通信端末。
【請求項4】
近距離無線通信手段を備え、
前記認証手段は、前記通知先に設定された通信端末との間で前記近距離無線通信手段による通信が成立しているか否かにより認証を行う請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−253640(P2012−253640A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125973(P2011−125973)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】