説明

通信装置、通信方法及び通信プログラム

【課題】時分割多重通信方式によるメッシュネットワークにおいて、使用可能なタイムスロットの情報を含むメトリック情報を取得し、通信コストを計算して適切な経路を選択する通信装置を提供することを目的とする。
【解決手段】時分割多重通信方式によるメッシュネットワークの一部であるサブネットワークを構成し、タイムスロットを予約して形成された他の通信装置への複数の通信経路の中から、適切な通信経路を選択して通信する通信装置であって、前記予約された通信経路上の無線通信中継装置から通信経路選択に用いる情報を取得する情報取得手段31と、前記通信経路選択に用いる情報を用いて、前記予約された通信経路から適切な通信経路を選択する経路選択手段34とを有し、前記通信経路選択に用いる情報には、前記無線通信中継装置に割り当てられたタイムスロット情報が含まれ、前記経路選択手段は、前記タイムスロット情報に基づき、遅延の少ない通信経路を選択することを特徴とする通信装置10を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信方法及び通信プログラムに関する。特に、時分割多重通信方式によるメッシュネットワークにおいて、使用可能なタイムスロットの情報を含む、通信経路選択に用いる情報、すなわちメトリック情報を取得し、通信の特性に合わせて適切な経路を選択する通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、無線通信端末同士が直接通信を行い、ネットワークを形成するアドホック通信が盛んに研究されている。特に、無線通信端末同士においては、自身の無線信号が届く通信範囲内に存在する他の無線通信端末を中継ノードして経由することで、自身が所属する無線通信エリアより外の無線通信端末と通信できる無線アドホックメッシュネットワークがある。
【0003】
無線アドホックメッシュネットワークにおいて、各無線通信端末は、通信の宛先となる無線通信端末までのルーティングを行う必要がある。このルーティング機能により、直接無線通信の届かない通信端末に対して、他の無線通信端末を経由して目的の無線通信端末と通信することが可能になる。
【0004】
この通信経路を自立分散的に制御するルーティングプロトコルとしては、通信開始時にブロードキャスト方式により経路を探索するリアクティブ型プロトコルであるDSR(Dynamic Source Routing)及びAODV(Ad-hoc On-Demand Distance Vector)や、ビーコン信号を使用して定期的に他の無線通信端末と経路情報を含むメッセージを交換し、動的に最適経路を更新するプロアクティブ型プロトコルOLSR(Optimized Link State Routing Protocol)及びTORA(Temporally-Ordered Routing Algorithm)がある。
【0005】
また、多くのメッシュネットワークでは、MAC(Media Access Control)レイヤープロトコルとして、TDMA(Time Division Multiple Access)プロトコルが使用されている。TDMAを使用してメッシュネットワークを構築する場合、送信元無線通信端末から宛先無線通信端末までのパケット配信に要する待機時間が問題になる。
【0006】
TDMAプロトコルは、時間軸上に分割されたタイムスロットを各無線通信端末に割り当て、その割り当てられたタイムスロットの時間内で通信を行う方式である。パケットを中継する無線通信端末は、送信権を持つタイムスロットを予め割り当てられ、パケットの中継に必要なタイムスロットを選択して通信を行うために、待機時間が発生する。この問題を解決するために、動的に中継に必要なタイムスロットを変更して待機時間を短くする方法などが考案されている。
【0007】
しかし、パケットの中継を行う無線通信端末が使用するタイムスロットを動的に変更する方法では、制御が複雑になる。
【0008】
また、TDMAプロトコルを使用する場合、従来のマルチホップ無線ネットワークでは、各無線通信端末は予め割り当てられたタイムスロットの中から中継に必要なタイムスロットを選択する。すなわち、最終の宛先の通信端末までに中継する、複数のネットワークで使用するタイムスロット情報を考慮しないで経路を決定する。よって、パケットの中継による待機時間が最短となる経路を選択していない可能性がある。
【0009】
以上より、中継を行う無線通信端末はタイムスロットを動的に変更することなく、パケットの中継による待機時間が最短な経路を選択できることが望ましい。
これに対し、特許文献1には、パケットの中継を行う無線通信端末での待機時間を短くする目的で、TDMA通信方式とは異なる競合チャネルアクセス方式を使用する方法が開示されている。そのアクセス方式においては、パケットの通信に使用するタイムスロットが、ホップ先のネットワークで使用されていないかを確認し、使用されていない場合は、そのタイムスロットを使用して通信を行う。
【0010】
一方、特許文献2には、中継無線通信端末での待機時間を短くする目的で、パケットの中継に使用するタイムスロットを動的に変更する方法が開示されている。
【0011】
さらに、特許文献3には、ノード間のリンク成功確率、ネットワークの平均媒体アクセス時間及び対応する再伝送時間に基づいて、それぞれのリンクについてのリンク・メトリック値を計算し、リンクコストを生成して、効率的なルーティングを行う方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1においては、TDMAプロトコル以外に競合チャネルアクセス方式のプロトコルを実装する必要があり、制御が複雑になる。また、そのプロトコルを処理するための実行コストが大きくなる。さらに、中継無線通信端末が故障などでネットワークに参加しなくなった場合、再度、タイムスロットの新規予約が必要になる。
【0013】
特許文献2においては、パケットの中継を行う通信端末が、動的にタイムスロットを変更することは、制御が複雑になる。
【0014】
特許文献3においては、ノード間において最初の通信を開始する際に効率の良い経路を選択することができない。
【0015】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、時分割多重通信方式によるメッシュネットワークにおいて、使用可能なタイムスロットの情報を含むメトリック情報を取得し、通信コストを計算して適切な経路を選択する通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決し目的を達成するため、本発明にかかる通信装置は、 時分割多重通信方式によるメッシュネットワークの一部であるサブネットワークを構成し、タイムスロットを予約して形成された他の通信装置への複数の通信経路の中から、適切な通信経路を選択して通信する通信装置であって、前記予約された通信経路上の無線通信中継装置から通信経路選択に用いる情報を取得する情報取得手段と、前記通信経路選択に用いる情報を用いて、前記予約された通信経路から適切な通信経路を選択する経路選択手段とを有し、前記通信経路選択に用いる情報には、前記無線通信中継装置に割り当てられたタイムスロット情報が含まれ、前記経路選択手段は、前記タイムスロット情報に基づき、遅延の少ない通信経路を選択することを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる通信方法は、時分割多重通信方式によるメッシュネットワークの一部であるサブネットワークを構成し、タイムスロットを予約して形成された他の通信装置への複数の通信経路の中から、適切な通信経路を選択して通信する通信方法であって、
前記予約された通信経路上の無線通信中継装置から通信経路選択に用いる情報を取得する情報取得ステップと、前記通信経路選択に用いる情報を用いて、前記予約された通信経路から適切な通信経路を選択する経路選択ステップとを有し、前記通信経路選択に用いる情報には、前記無線通信中継装置に割り当てられたタイムスロット情報が含まれ、前記経路選択ステップは、前記タイムスロット情報に基づき、遅延の少ない通信経路を選択することを特徴とする。
【0018】
また、上記目的を達成するために、本発明は、本発明の通信方法をコンピュータに実行させるための通信プログラムとして構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、時分割多重通信方式によるメッシュネットワークにおいて、使用可能なタイムスロットの情報を含むメトリック情報を取得し、通信の特性に合わせて適切な経路を選択して通信できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】無線メッシュネットワークの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る通信装置の機能構成のブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る通信装置のハードウェア構成のブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るTDMA通信方式でのタイムスロット予約を表す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る通信装置のメトリック情報の伝達のための動作の例を表すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係るコストテーブルの例を表す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るメッシュネットワークにおけるメトリック情報の伝達の様子を表す図である。
【図8】通信の特性を示すために用いられるTSPEC(Traffic Specification)値のリストである。
【図9】本発明の一実施形態に係るデュアルトークンバケットモデルを表す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るデュアルトークンバケットモデルの転送レートの特性を表すグラフである。
【図11】TSPEC値に従った最小サービスレートの特性を表すグラフである。
【図12】本発明の一実施形態に係る通信装置のフレーム送信処理の例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る無線メッシュネットワーク1の構成図である。無線メッシュネットワーク1は、複数のサブネットワーク2及び複数の通信装置3を有する。
【0023】
本発明の実施形態における無線メッシュネットワーク1は、無線LAN等によって形成された複数のサブネットワーク2から構成される。そして、複数のサブネットワーク2に所属する通信装置10がパケットの中継を行うことで、隣接する異なるサブネットワーク2間における通信が可能となる。なお、サブネットワーク2は、個々の端末同士が直接通信を行うアドホック・モードによって形成される。
【0024】
本実施形態においては、まず端末が各サブネットワーク内のタイムスロットを使用するために予約を行い、予約によって形成された複数の経路の中から、最適なものを選択し、通信を行う。ここで、本実施形態の説明においては、特に、メッシュネットワーク内において最適な経路を選択し、通信を開始する処理について重点的に説明する。一方、タイムスロット予約の方式については特に限定しない。
【0025】
図2は本発明の一実施形態に係る通信装置の機能構成のブロック図である。本実施形態に係る通信装置10は、受信部20、通信処理部30及び送信部40を有する。
【0026】
本実施形態に係る通信装置10の機能は、中継装置としてメトリック情報と通信情報を中継する機能と、通信装置として他の通信装置との間で、通信情報を送受信する機能との二つに大別される。以下では、図2について、それぞれの機能ごとに説明する。
【0027】
まず、通信装置10が中継装置としてメトリック情報を中継する機能について説明する。
【0028】
受信部20は、他の通信装置から発せられたメトリック情報を含むビーコン信号を受信し、復調する。復調されたデータは通信処理部30へと渡される。
【0029】
また、受信部20は、他の通信装置から送信されたメトリック情報を受信する。受信部20が受信したメトリック情報は、復調され通信処理部30へと渡される。
【0030】
通信処理部30は、情報取得手段31、コストテーブル32、情報伝達手段33及び経路選択手段34を有する。
【0031】
情報取得手段31は、受信部20から渡された信号に含まれるメトリック情報を抽出する。そして、メトリック情報をコストテーブル32に格納する。また、メトリック情報から通信コストを算出し、その情報についてもコストテーブル32に格納する。本実施形態においてコストテーブルは2種類設けており、詳細については後述する。
【0032】
コストテーブル32は、無線メッシュネットワーク1内の他のサブネットワーク2又は通信装置に関するメトリック情報と、その情報に基づき算出した経路ごとの通信コストを格納する。コストテーブル32の内容の詳細については後述する。
【0033】
情報伝達手段33は、当該通信装置が保有するメトリック情報を他の通信装置へ伝達するため、コストテーブル32に格納されている情報に基づき、メトリック情報を含むデータを生成し、送信部40に渡す。
【0034】
また、通信処理部30は、メトリック情報の中継と併せて、他の通信装置から受信した通信情報を通信装置へと送信するため、送信部40に渡す。
【0035】
送信部40は、情報伝達手段33から渡されたメトリック情報及び通信情報を変調し、ビーコン信号として他の通信装置へと送信する。当該ビーコン信号を受け取った他の通信装置は、さらに同様の処理を繰り返し、さらに他の通信端末へと送信する。
【0036】
また、送信部40は、通信処理部30から渡されたメトリック情報と中継用通信情報を変調する。そして、当該通信装置10に割り当てられたタイムスロットを使用してデータを送信する。
【0037】
以上の構成により、ビーコン信号を利用して、無線メッシュネットワーク1内のサブネットワーク2のメトリック情報を、無線メッシュネットワーク1内の全ての通信端末に行き渡らせることができる。
【0038】
なお、中継用通信情報は、中継装置となる当該通信装置の通信処理部30で処理されることなく、単にバイパスされてもよい。
【0039】
次に、通信装置10が通信端末として通信する機能について説明する。
【0040】
図示しない通信装置10上の通信アプリケーションにより、メッシュネットワーク内の他の通信装置に対する通信開始要求が発生したとき、通信処理部30によって、送信されるデータが準備される。
【0041】
経路選択手段34は、コストテーブル32に格納されている通信コストを参照し、宛先となる他の通信装置に対する適切な経路を選択する。このとき、通信アプリケーションの特性に応じて経路を選択する。通信アプリケーションの特性とは、例えば、一定の転送レートを必要とする(ビデオ会議)又はサービスインターバル(遅延時間)が短い(リアルタイム通信向け)がある。
【0042】
経路が選択されると、通信処理部30は、経路上の最初の通信装置(隣接するサブネットワークの中継装置)のアドレス宛の送信フレームを生成し、送信部40へと渡す。
【0043】
送信部40は、通信処理部30から渡されたデータを変調する。そして、当該通信装置10に割り当てられたタイムスロットを使用してデータを送信する。これによって、通信が行われる。
【0044】
以上の構成により、無線メッシュネットワーク1内で伝播したメトリック情報を用いて算出した通信コストに基づき、通信アプリケーションの特性に応じた適切な経路を選択することができる。
【0045】
なお、通信を開始した通信装置10が選択した通信経路に沿って通信を行うため、経路情報がMACフレームの予め定義された領域に格納されても良い。あるいは、より上位のレイヤのフレーム内で定義された領域を使用しても良い。
【0046】
図3は、本実施形態に係る通信装置のハードウェア構成のブロック図である。通信装置10は、PHY(信号処理部)101、MAC受信部102、MAC送信部103、メトリック演算部104、コストテーブル105、CPU106、RAM107、DMAC108及びバス109を有する。
【0047】
PHY(信号処理部)101は、OSI参照モデルにおける物理層の機能を実現する。PHY11で受信された信号は、復調処理がなされ、MAC受信部102に渡される。本実施形態における、無線メッシュネットワーク1内で使用可能なタイムスロットの情報を含むメトリック情報は、サブネットワーク2内の他の通信装置が発するビーコン信号に含まれる。メトリック情報とは、宛先までの最適な経路を決定するための指標となる情報のことをいい、一般的には経由するネットワーク機器の数を示すホップ数や遅延時間等が用いられる。本実施形態において用いるメトリック情報と、それを格納するためのビーコン信号の詳細については後述する。
【0048】
MAC受信部102及びMAC送信部103は、MAC副層の機能を実現する。
【0049】
MAC受信部102は、PHY11から渡されたデータにメトリック情報が含まれる場合、メトリック演算部104にデータを渡す。メトリック演算部104は、取得したデータから各ネットワークへの通信コストを算出し、コストテーブル105に格納する。本実施形態においては、通信コストとして、タイムスロット情報に基づく遅延時間、最低転送レート、パケット送信成功率を使用する例を示す。コストテーブルの内容の詳細については後述する。
【0050】
MAC送信部103は、メトリック演算部104がコストテーブル105を参照して選択した経路に基づき、指定されたアドレスへパケットを送信する。
【0051】
CPU106は、RAM107にロードされたプログラムを実行する演算装置である。またRAM107は、演算の際のワークエリアとしても用いられる。DMAC108は、MACとRAMとの間のDMA(Direct Memory Access)転送を制御する。バス109は、各部を接続する。
【0052】
(ビーコン信号の詳細)
図4は、TDMA通信方式でのタイムスロットを表す図である。無線チャネルは、時間軸上にタイムスロット(MAS:Media Access Slot)と呼ばれる周期で分割されている。1つのタイムスロットは256μ(マイクロ)秒である。タイムスロットは、制御用タイムスロットと通信用タイムスロットに分割されている。通信用タイムスロットを用いて、サブネットワーク2に所属する通信装置がそれぞれ予約し、予約成立したタイムスロット内でデータ通信を行う。
【0053】
256個のMASは1つのスーパーフレームを構成している。スーパーフレームの先頭から数個のタイムスロットはビーコンスロット(制御用タイムスロット)と呼ばれる。ビーコンスロットの時間帯においては、ビーコンのみを送受信し、ネットワークの同期処理等が行われる。具体的な通信方式及びビーコンスロットに格納されるデータの形式は、WiMedia(登録商標)Allianceが定めるWiMedia−MACや、ECMA Internatinalで提唱されているECMAにおいて規定されている。
【0054】
本実施形態に係る通信装置は、ビーコン信号中に、使用可能な通信用タイムスロット情報を含むメトリック情報を設定して送信する。具体的には、後述するコストテーブル32に記載される項目の一部又は全部を、ビーコン信号を構成するMACフレームの一部に格納して送信する。
【0055】
そして、そのメトリック情報が設定されたビーコン信号を受信した他の通信装置は、抽出したメトリック情報をコストテーブルに格納する。そして、自ら保持するメトリック情報と合わせてメトリック情報とし、ビーコン信号に含めてさらに他の通信装置へと送信する。これをメッシュネットワーク内の通信端末で繰り返すことにより、メッシュネットワーク内の各サブネットワークのメトリック情報が伝播する。具体的なメトリック情報の伝播の例は後述する。
【0056】
(メトリック情報の伝達フロー)
図5は、本発明の一実施形態に係る通信装置のメトリック情報の伝達のための動作の例を表すフローチャートである。
【0057】
受信部20は、ステップS11において、他の通信装置から発せられたメトリック情報を含むビーコン信号を受信し、復調する。この復調されたビーコン信号に含まれるフレームは、通信処理部30の情報取得手段31に渡される。
【0058】
次に、情報取得手段31は、ステップS12において、復調された信号に含まれるフレームからメトリック情報を抽出する。他の通信装置から受け取るメトリック情報とは、例えば図6(A)に示されるコストテーブル32の項目のような情報がある。各項目については後述する。
【0059】
次に、情報取得手段31は、ステップS13において、抽出されたメトリック情報に基づいて、当該通信装置から各ネットワークの経路ごとの通信コストを算出する。通信コストとは、例えば図6(B)に示されるコストテーブル32の項目のような情報がある。通信コストの算出方法については後述する。
【0060】
次に、情報取得手段32は、ステップS14において、他の通信装置から受け取ったメトリック情報を図6(A)に示される第一のコストテーブル32に格納する。また、ステップS13において算出された通信コストを、図6(B)に示される第二のコストテーブル32に格納する。
【0061】
次に、情報伝達手段33は、ステップS15において、当該通信装置が保持する第一のコストテーブル32に基づいて、メトリック情報を含むデータを生成する。生成されたデータは、例えば、図6に記載の第一のコストテーブルに含まれる項目を、予め決められた構造体に格納してもよい。そして、データをビーコン信号に載せて送信するため、フレームに格納して送信部40へと渡す。送信部40は、そのフレームを変調し、ビーコン信号を使って他の通信装置へと送信する。
【0062】
以上を繰り返すことにより、メッシュネットワーク内においてビーコン信号を介してメトリック情報が伝播する。メトリック情報の伝播の様子を、図7(A)及び図7(B)に示す。
【0063】
なお、本実施形態においては、ビーコン信号に設定して送信するメトリック情報として、図6(A)における第一のコストテーブルの項目としている。しかしながら、図6(B)における第二のコストテーブルの項目を含んでも良いし、さらに他のメトリック情報を含んでも良い。
【0064】
ビーコン信号に格納すべきメトリック情報は、メッシュネットワークの規模によって項目数が増加する。よって、MACフレームに格納するためのメトリック情報は、可変長のものとして扱えるよう定義してもよい。また、タイムスロットのサイズは有限であるため、一つのビーコンスロットに収まりきらない場合、複数のビーコンスロットを使用するよう定義しても良い。
【0065】
(メトリック情報が伝播する例)
図7(A)は、本実施形態における無線メッシュネットワーク1において、各通信装置が保持するコストテーブルの初期状態を示している。
【0066】
図7(A)に示された装置1〜7のうち、装置2〜6はそれぞれが2つのサブネットワークに属する中継装置であり、それぞれのサブネットワークのメトリック情報をコストテーブルに保持している。例えば、装置2は、サブネットワークAとBに属することから、その二つのネットワークに関するメトリック情報をコストテーブルに格納している。
【0067】
図7(B)は、本実施形態の例にしたがって、メトリック情報を伝播させた結果の途中経過を表している。図5に示した手順により、他の通信装置から受け取ったメトリック情報が新たにコストテーブルに加えられている。例えば、装置2は、当初有していたネットワークA及びBのメトリック情報に加えて、隣接する装置3及び4が送信したネットワークC及びDのメトリック情報を受信し、その情報をコストテーブルに格納している。一方で、装置2は、自ら有していたネットワークA及びBのメトリック情報を装置3及び4に送信している。これにより、装置3は、隣接しないネットワークBのメトリック情報を、装置4は、隣接しないネットワークAのメトリック情報を取得できる。
【0068】
このように、受け取ったメトリック情報を自らのコストテーブルに格納し、自ら保持するメトリック情報と合わせて、他の通信装置へ送信する処理を繰り返すことにより、最終的にメッシュネットワーク内でメトリック情報が伝播する。例えば図6は、最終的に装置1が保有するコストテーブルの例である。ネットワークA〜Dのメトリック情報のほか、装置7の属するネットワークEに到達するための二つの経路に関するメトリック情報E1及びE2が格納されている。このように、メトリック情報は、同一サブネットワーク内の異なるパスについても格納されてもよい。
【0069】
以上より、各通信装置は、メッシュネットワーク内のサブネットワークに対する複数の通信経路について、通信コストを予め算出しておくことができる。そして、各通信装置は、この情報を用いて適切な経路選択を行うことができる。
【0070】
(コストテーブルの詳細)
図6は、本発明の一実施形態に係る2つのコストテーブルの例を表す図である。このコストテーブルは、図7で示した無線メッシュネットワーク1の例に基づいて作成されている。
【0071】
図6(A)に示された第一のコストテーブル32には、他の通信装置から受信したメトリック情報に基づくネットワークに関するコストの情報を格納している。このコストテーブル32は、ネットワーク名、使用可能なタイムスロット、処理遅延時間、ホップ先ネットワーク、転送レート、送信成功確率及びBlock ACKのサポートの項目を有する。
【0072】
ネットワーク名とは、無線メッシュネットワーク1を構成するサブネットワークの名前を示す。ここでは、理解を容易にするため、ネットワークに「ネットワークA」、「ネットワークB」のような文字列で名前を付することとする。
【0073】
使用可能なタイムスロットとは、当該ネットワークにおいてパケットを中継する通信装置において、使用可能なタイムスロットの番号を表している。タイムスロットの番号は、スーパーフレームを構成するタイムスロットのうち、データ転送に使うことのできるものについて、先頭から順に自然数を割り振ったものである。すなわち、タイムスロット番号が若いほど、同一のスーパーフレーム内において早く処理がなされる。
【0074】
処理遅延時間とは、当該ネットワークにおいてパケットを中継する通信装置がパケットを受信してから送信するまでの処理遅延時間を表す。処理遅延時間は、細かくは、中継端末がパケットの受信処理にかかる時間、パケットに対して処理を行う時間、パケットの送信処理にかかる時間に分けられる。本実施形態においては、これらを処理遅延時間としてまとめて扱う。
【0075】
ホップ先ネットワークとは、当該ネットワークにおいてパケットを中継する通信装置からホップすることのできる他のサブネットワークを表す。
【0076】
転送レートとは、当該ネットワークにおいてパケットを中継する通信装置におけるデータの転送レートを表す。通信装置の有するネットワークデバイスの特性に依存する値であり、参照モデルにおける物理層におけるケイパビリティ情報(PHYケイパビリティ)として提供され得る。
【0077】
パケット送信成功率とは、当該ネットワークにおいてパケットを正常に送信することのできる確率を表す。
【0078】
Block ACKのサポートとは、そのネットワークにおいてBlock ACKがサポートされているかどうかを表す。Block ACKとは、フレーム単位の転送が完了するこどに送信されるACKによって通信の帯域が逼迫されることを防止するため、ACKをブロック単位で送信する仕組みである。Block ACKを使用することで、帯域を有効に使って通信することができる。
【0079】
図6(B)に示された第二のコストテーブル32は、図6(A)に格納された情報から算出された、各サブネットワークまでの経路ごとの通信コストを格納する。このコストテーブル32は、経路名、経路、遅延時間、転送レート及び送信成功率の項目を有する。
【0080】
経路名とは、経路に付された名前である。ここでは、宛先となる通信装置が属するサブネットワーク名に基づいて定めている。なお、一つのサブネットワークに対して複数経路が存在しうるため、「E1」及び「E2」のように表現している。
【0081】
経路とは、上記宛先となるサブネットワークに到達するまでに経由することになるサブネットワークの名前を、順に記したものである。この経路情報は、メッシュネットワーク内で伝達されるメトリック情報内に含まれる、ホップ先ネットワークを辿る事で求めることができる。
【0082】
遅延時間とは、通信装置がフレーム送信処理を開始してから、そのフレームが相手に届くまでの遅延時間を表す。この遅延時間には、使用可能なタイムスロットの状況及び中継端末の処理時間が含まれる。具体的な算出方法については後述する。
【0083】
転送レートとは、経由するサブネットワークの転送レートのうち、ボトルネックとなり得る最低の転送レートを表す。例えば、経路名E1について、ネットワークA、B、C、E1のうち最低の転送レートは、図6(A)よりネットワークE1の80である。よって、ここには80が記載されている。一定の転送レート以上で通信を行う必要があるトラフィックについて、このデータをもとに経路を選択する。
【0084】
送信成功率とは、目的のネットワークまでパケットを正しく送信できる確率を示す。例えば、経路名E1について、ネットワークA、B、C、E1のパケット送信成功率は図6(A)に示されている。これらの送信成功率を乗じた値がここに記載されている。パケット送信成功率が低いと、その分、無駄に送出されるパケットにより帯域を消費することになる。
【0085】
ここで、メッシュネットワークの規模が大きくなるにつれ経路の数が増加する。そのため、一定の条件を満たさない経路は選択対象から除外する処理が必要となる。例えば、宛先の通信装置までのホップ数に対し、予め設定された割合以上のホップ数となる経路は除外してもよい。また、遅延時間が予め設定された時間以上となる経路を除外してもよい。また、パケット送信成功率が予め設定された値より低い経路について除外してもよい。さらには、Block ACKをサポートしない経路については除外してもよい。
【0086】
なお、図6で示した項目以外にも、コストテーブルに保管する項目があってもよい。例えば、無線メッシュネットワーク1の規模が巨大でないとき、無線メッシュネットワーク1内の全ての通信装置のMACアドレス又はデバイスIDについてのメトリック情報を保持しても良い。また、あわせて、処理遅延時間について、パケット送信処理時間とパケット受信処理時間とに分けて保持しても良い。さらに、MACケイパビリティ情報として、フレームの多重化が可能であるか否かを記載しても良い。さらに、PHYケイパビリティ情報として、通信装置の帯域幅の情報を記載しても良い。さらに、通信装置におけるパケットをバッファするためのFIFOのサイズを記載しても良い。
【0087】
メトリック情報が多くなればなるほど経路選択の制御は複雑になるが、より詳細で適切な経路制御を行うことが可能になる。例えば、通信装置のMACアドレス又はデバイスIDの情報があれば、ネットワーク内に存在する全デバイスのリストを作成することができ、個々の端末までの詳細な遅延時間を計算できる。また、例えば、パケット送信処理時間及びパケット受信処理時間を保持しておくことで、パケットの送信元又は宛先となる受信先でのこれらの時間を加味し、遅延時間を計算できる。また、例えば、MACケイパビリティ情報としてフレームの多重化の可否が示されていれば、より効率的なデータ転送が可能になる。また、例えば、PHYケイパビリティ情報として帯域幅の情報が記載されていれば、大きな帯域幅をもつ経路を選択することが可能になる。また、例えばFIFOのサイズが記載されていれば、バッファが溢れてパケットが破棄される可能性の低い経路を選択することができる。
【0088】
なお、本実施形態におけるコストテーブル32においては、メトリック情報そのものを格納する図6(A)のテーブルと、メトリック情報から算出された通信コストを格納する図6(B)に示されるテーブルの二種類を設けている。しかしながら、本発明において、これらの格納方式を限定するものではない。例えば、全ての情報を1つのテーブルにおいて管理することも、任意の項目についてさらに別のテーブルに分離して管理することもできる。
【0089】
以上のように、メッシュネットワーク内の通信装置間でメトリック情報を共有し、コストテーブル32を用いて通信コストを算出し格納しておくことで、目的の通信装置との通信を行うとき、通信アプリケーションの特性に応じた適切な経路選択を行うことができる。
【0090】
(経路ごとの遅延時間の計算方法)
本実施形態における通信装置は、サブネットワーク間で通信を中継する通信装置がフレームを送信できるようになるまでのタイムスロットに起因する遅延時間と、中継する通信装置の処理遅延時間を考慮し、経路を決定する。以下に、その手順を説明する。
【0091】
ここで、パケットの送信元通信装置で、図8に示されるTSPEC(Traffic Specification)値を使用する。このTSPEC値は通信の特性を示す値であり、Mean Data Rate(r)、Peak Data Rate(p),Maximum Burst Size(b)、Requested Service Rate(R)、Slack Term(S)の項目を有する。これらの値は、通信の特性によって定められ、通信先と通信を行うためのネゴシエーションに用いられるものである。
【0092】
Mean Data Rateとは、通信トラフィックの平均データレートを表す。
【0093】
Peak Data Rateとは、通信トラフィックの最大データレートを表す。
【0094】
Maximum Burst Sizeとは、通信トラフィックの最大バーストサイズを表す。
【0095】
Requested Service Rateとは、要求サービスレートを表す。
【0096】
Slack Termとは、最大許容遅延時間と、要求サービスレートから求められるバッファから取り出す処理遅延時間の時間差を表す。
【0097】
このTSPEC値と図9に示すデュアルトークンバケットモデルを使用することで、無線通信チャネルの転送レートとサービスインターバルを求めることができる。これにより、通信するトラフィックに応じて、宛先の通信装置までの転送レートが一番大きい経路を選択することできる。また、宛先の通信装置までのサービスインターバルが最小の経路を選択することが可能である。
【0098】
図9に示すデュアルトークンバケットモデルについて説明する。転送されるパケットの量を処理する2つのバケットに溜まっているトークンサイズが入力データサイズ以上の場合、そのバケットを通過してパケットが出力される。トークンバケットモデルは、パケットの流入を監視し、転送レートの計測や制御を行うために用いられる。
【0099】
1つめのバケットには最大転送レートpでバケットにトークンが入るが、そのバケットにトークンが溜まることはない。すなわち、出力レート(転送レート)は最大転送レートを超えることはない。
【0100】
2つめのバケットでは初期状態で最大バーストサイズbのトークンが入っており、その後、平均レートrでトークンが溜められる。以上により、出力レートが平均レートにシェービングされる。このデータ特性を図10に示す。
【0101】
最大転送レートpで入力されたパケットがオーバーフローせず出力されるためには、式(1)で求められる最小バッファサイズbufが必要となる。
【0102】
【数1】

また、式(1)で求めたバッファに、データが満杯になるまで溜まっている状態の場合、出力レートgでそのバッファから全てのトラフィックを出力するための時間dは、式(2)で求められる。
【0103】
【数2】

式(2)で示される遅延時間は、バッファからデータを取り出す最大遅延時間となるので、式(2)の出力レートgは最小出力レートとなり、その値は式(3)で示される。
【0104】
【数3】

ここで、要求サービスレートRから求められる、バッファ処理による処理遅延時間dは式(4)で求められる。
【0105】
【数4】

よって、TSPEC値から求められる最大許容遅延時間dは式(5)で示される。
【0106】
【数5】

ここで、式(5)のSは、WiMedia−MACにおいては予約タイムスロットの終了時間から次のタイムスロットが開始するまでの時間とみなせる。また、バッファ処理による遅延時間を、パケットの中継を行う通信装置の送受信処理遅延時間とみなすと、最終の宛先端末までホップした場合の最大値円時間は、式(6)で求められる。
【0107】
【数6】

ここで、S(0)は、送信元通信装置でバッファに送信データが準備できてから、予約タイムスロットが開始するまでの時間を表す。また、d(n)は、送信元通信装置からn個ホップした先のサブネットワークで、パケットを中継する通信装置の処理遅延時間、SI(n)は、送信元通信装置からn個ホップした先のサブネットワークでパケットを中継する通信装置と、n−1個ホップした先のサブネットワークでパケットを中継する通信装置が使用しているタイムスロットの時間間隔を表す。
【0108】
更に、各通信装置で使用している転送レートも考慮すると、最終宛先無線端末までホッピングした場合の最大遅延時間は、以下の式(7)で求められる。
【0109】
【数7】

式(7)において、Mは送信パケットサイズ、RPHYは通信装置間で使用している転送レートになる。
【0110】
式(7)を使用し、図7におけるネットワークAに属する通信装置1から端末7までの経路における通信コスト計算の例を示す。なお、通信装置1が有するコストテーブルは、図6に記載されている通りとする。
【0111】
経路E1については、式(7)で使用される変数は以下の通りとなる。
【0112】
【数8】

経路E2については、式(7)で使用される変数は以下の通りとなる。
【0113】
【数9】

以上の結果が、図6(B)に示されるコストテーブルの項目として格納されている。当該通信装置が端末7との通信を行うとき、音声や動画などのリアルタイム性を重視するトラフィックに対して、遅延が小さい経路E1(A→B→C→E)を選択することができる。
【0114】
(フレーム送信処理)
図12は、本発明の一実施形態に係る通信装置のフレーム送信処理の例を表すフローチャートである。
【0115】
通信装置10は、ステップS21において、無線メッシュネットワーク1内の他の通信装置を宛先として選択する。
【0116】
次に、経路選択手段34はステップS22において、図6(B)に示されたコストテーブル32を参照し、宛先である通信装置に到達するために必要な通信コストを参照する。既に説明したように、通信コストとは、遅延時間、転送レート及び送信成功率である。
【0117】
そして、経路選択手段34はステップS23において、通信アプリケーションの特性を元に、もっとも条件の良い通信経路を選択する。 例えば、ストリーミング放送のようなリアルタイム性を必要とするものに対しては、サービスインターバルの小さくなる(遅延時間の短い)経路を選択する。例えば、図7における端末1が端末7と通信を行うとき、遅延時間の小ささを重視して通信を行うとき、図6(B)の遅延時間の値を参照し、小さい遅延時間が示されている経路E1を選択する。
【0118】
また、ビデオ会議のように一定の転送レートにより通信を行う必要があるものに対しては、転送レートが一定値より高い経路を選択してもよい。例えば、図7における端末1が端末7と通信を行うとき、100Mbps以上で通信を行う必要があるとき、480Mbpsで通信可能な経路E2を選択する。
【0119】
また、上の経路を選択するとき、送信成功率も考慮して経路を選択しても良い。送信成功率は、あらゆるトラフィックに影響を及ぼす可能性がある。よって、経路E2は送信成功率が51%と低いため、経路の選択候補としないよう、経路を制御することができる。
【0120】
次に、送信部40はステップS24において、経路選択手段34が示した経路上の通信装置のアドレスに基づき、フレーム送信処理を行う。
【0121】
以上により、コストテーブル32に格納された通信コストに基づき、通信アプリケーションの特性に応じた適切な経路選択を行うことができる。特に、使用可能なタイムスロット情報に基づき、各経路における遅延時間を予め算出しておくことで、サービスインターバルが最小の経路を選択することができる。また、一定の転送レートより高い経路を選択することができる。また、送信成功率を参照することにより、経路の絞込みを行うことができる。
【0122】
以上により、時分割多重通信方式によるメッシュネットワークにおいて、使用可能なタイムスロットの情報を含むメトリック情報を伝播させ、通信アプリケーションの特性に合わせて適切な経路を選択して通信することができる。
【符号の説明】
【0123】
1 無線メッシュネットワーク
2 サブネットワーク
10 通信装置
20 受信部
30 通信処理部
31 情報取得手段
32 コストテーブル
33 情報伝達手段
34 経路選択手段
40 送信部
101 信号処理部
102 MAC受信部
103 MAC送信部
104 メトリック演算部
105 コストテーブル
106 CPU
107 RAM
108 DMAC
109 バス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0124】
【特許文献1】特開2009−525701号公報
【特許文献2】特開2008−172784号公報
【特許文献3】特開2009−225444号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時分割多重通信方式によるメッシュネットワークの一部であるサブネットワークを構成し、タイムスロットを予約して形成された他の通信装置への複数の通信経路の中から、適切な通信経路を選択して通信する通信装置であって、
前記予約された通信経路上の無線通信中継装置から通信経路選択に用いる情報を取得する情報取得手段と、
前記通信経路選択に用いる情報を用いて、前記予約された通信経路から適切な通信経路を選択する経路選択手段とを有し、
前記通信経路選択に用いる情報には、前記無線通信中継装置に割り当てられたタイムスロット情報が含まれ、
前記経路選択手段は、前記タイムスロット情報に基づき、遅延の少ない通信経路を選択する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記通信経路選択に用いる情報には、前記サブネットワークの転送レートが含まれ、
前記経路選択手段は、前記タイムスロット情報及び前記転送レートに基づいて遅延の少ない通信経路を選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信経路選択に用いる情報には、前記無線中継装置のパケット送信処理時間及びパケット受信処理時間が含まれ、
前記経路選択手段は、前記タイムスロット情報、前記パケット送信処理時間及びパケット受信処理時間に基づいて遅延の少ない通信経路を選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信装置はビーコン信号を送出する無線装置であって、
前記情報取得手段が取得した前記通信経路選択に用いる情報に対し、当該通信装置に保存されている通信経路選択に用いる情報を追加し、追加された前記情報を、ビーコン信号に設定して他の通信装置へ伝達する情報伝達手段を有する
ことを特徴とする請求項1乃至3何れか一項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記通信経路選択に用いる情報には、メッシュネットワーク内の無線通信装置のMACアドレス又はデバイスIDが含まれる
ことを特徴とする請求項1乃至3何れか一項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通信経路選択に用いる情報には、前記無線中継装置のMACケイパビリティ情報又はPHYケイパビリティ情報が含まれる
ことを特徴とする請求項1乃至3何れか一項に記載の通信装置。
【請求項7】
時分割多重通信方式によるメッシュネットワークの一部であるサブネットワークを構成し、タイムスロットを予約して形成された他の通信装置への複数の通信経路の中から、適切な通信経路を選択して通信する通信方法であって、
前記予約された通信経路上の無線通信中継装置から通信経路選択に用いる情報を取得する情報取得ステップと、
前記通信経路選択に用いる情報を用いて、前記予約された通信経路から適切な通信経路を選択する経路選択ステップとを有し、
前記通信経路選択に用いる情報には、前記無線通信中継装置に割り当てられたタイムスロット情報が含まれ、
前記経路選択ステップは、前記タイムスロット情報に基づき、遅延の少ない通信経路を選択する
ことを特徴とする通信方法。
【請求項8】
前記通信経路選択に用いる情報には、前記サブネットワークの転送レートが含まれ、
前記経路選択ステップは、前記タイムスロット情報及び前記転送レートに基づいて遅延の少ない通信経路を選択する
ことを特徴とする請求項7に記載の通信方法。
【請求項9】
前記通信方法はビーコン信号を送出する無線装置に係る方法であって、
前記情報取得ステップが取得した前記通信経路選択に用いる情報に対し、通信装置に保存されている通信経路選択に用いる情報を追加し、追加された前記情報を、ビーコン信号に設定して他の通信装置へ伝達する情報伝達ステップを有する
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の通信方法。
【請求項10】
コンピュータに請求項7乃至9何れか一項に記載の通信方法を実行させるための通信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−5055(P2013−5055A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131588(P2011−131588)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】