説明

通信装置、通信方法

【課題】端末の位置移動に対応した処理動作を効率化すること。
【解決手段】自装置について、ある時点での第1位置とその後の時点での第2位置とを特定し、第1位置から離れた位置を要素とする位置集合を、第1位置からの電波放射領域とその位置集合に属する位置それぞれからの電波放射領域のそれぞれとがなす全和領域が穴をもたずかつ連続した領域となるように決定し、第1位置で適用できる有効チャンネルを示す第1リストと、位置集合に属する位置のそれぞれで適用できる有効チャンネルを示す第2リストのそれぞれとをデータベースから取得し、第1リストのうちから利用チャンネルを選択し、その利用チャンネルの利用可能領域を、第1、第2リストを参照して特定し、第2位置が利用可能領域内にあると判断された場合には利用チャンネルを利用し続けるように通信制御し、そうでない場合には第2位置で第1位置を更新するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョンホワイトスペース(TVWS)環境下で動作するように構成された端末である通信装置およびその通信方法に係り、特に、端末の位置移動に対応した処理動作の効率化に好適な通信装置およびその通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
免許事業のテレビ放送と同じ周波数帯を使用する、そのような免許不要で運用できる無線通信規格が検討されている。これらの規格では、テレビ事業者を1次ユーザとして、1次ユーザの免許周波数帯が使用されていない場合に限り、その周波数帯(使用されていない免許周波数帯=ホワイトスペース)で2次ユーザが無線通信を運用することを容認する。
【0003】
VHF帯またはUHF帯のTVWSで動作するように構成されたパーソナル携帯通信装置として、FCC(米連邦通信委員会)の規則に従うモードII装置と呼ばれる端末があり、その送信電力は100mWまでと比較的小さい。この端末は、TV信号が存在しないことを確認するため、TVチャンネルの状態に関する最新情報をデータベースに問い合わせるように構成されている。まず、端末の現在の位置情報をデータベースに送信し、データベースから、その位置で使用可能(有効)なチャンネルのリストを得る。そして、端末は、100m程度移動するたびにデータベースとの間で同じ動作を行う。
【0004】
2010年9月、多数の位置を示す情報(マルチプル・ジオロケーション・インフォメーション)をデータベースに送り、その返信としてデータベースから、その多数の位置に相当の領域内での端末移動に対応できる、有効なチャンネルのリストを得るシステムがFCCにより承認された。モードII装置では、多数の位置を示す情報およびこれに対応した有効なチャンネルのリストに基づく機能動作は現在のところない。
【0005】
2010年9月以前のFCC規則では、ひとつの位置を示す情報に基づいた端末の処理動作だけが認められていた。これは、モードII装置がわずかに移動するたび、有効なチャンネルのリストを得るためデータベースに問い合わせる必要があることを意味する。ここで、端末がその移動に関連して実際上どの程度の頻度でデータベースに問い合わせることになるのかを明らかにしていないが、時間間隔として相当に頻繁になることが想定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたもので、多数の位置または広い領域を示す情報およびこれらに対応した有効なチャンネルのリストに基づく機能動作が可能で、これにより、端末の位置移動に対応した処理動作を効率化することが可能な通信装置およびその通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様である通信装置は、通信機能部を有する通信装置であって、自装置について、第1の時点での第1位置と該第1の時点より後の第2の時点での第2位置とを特定する第1の手段と、前記第1位置から離れた位置を要素とする位置集合を、前記第1位置からの電波放射領域と前記位置集合に属する位置それぞれからの電波放射領域のそれぞれとがなす全和領域が穴をもたずかつ連続した領域となるように決定する第2の手段と、前記第1位置の情報と前記位置集合の情報とをデータベースに送信する第3の手段と、前記第1位置で適用できる有効チャンネルを示す第1リストと、前記位置集合に属する位置のそれぞれで適用できる有効チャンネルを示す第2リストのそれぞれとを前記データベースから取得する第4の手段と、前記第1リストのうちから、利用しようとするチャンネルを利用チャンネルとして選択し、該利用チャンネルを用いるべく前記通信機能部を制御する第5の手段と、前記利用チャンネルを利用可能な領域を、前記第1リストおよび前記第2リストを参照して特定する第6の手段と、前記利用チャンネルを利用可能な前記領域を記憶保持する第7の手段と、前記第2位置が前記領域内にあるか否かを判断する第8の手段と、前記第2位置が前記領域内にあると判断された場合には前記利用チャンネルを利用し続けるように前記通信機能部を制御し、前記第2位置が前記領域内にないと判断された場合には該第2位置で前記第1位置を更新するように制御する第9の手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
この通信装置では、多数の位置を示す情報およびこれらに対応した有効なチャンネルのリストに基づく機能動作が可能である。多数の位置を示す情報は、位置集合としてデータベースに送信される。ここで位置集合は、その属する位置が、第1位置(初期の現在位置)からの電波放射領域と位置集合に属する位置それぞれからの電波放射領域のそれぞれとがなす全和領域が穴をもたずかつ連続した領域となる条件を満たす位置となっている。この全和領域は、第1位置からの電波放射領域より広い大きな領域になるが、これは、この全和領域を、データベースに問い合わせずに済む移動可能領域を広げるべく設定する領域の候補とするためである。
【0009】
多数の位置を示す情報が送信されたデータベースからは、第1位置で適用できる有効チャンネルを示す第1リストと、上記の位置集合に属する位置のそれぞれで適用できる有効チャンネルを示す第2リストとが提供され得る。データベースはそのような機能を有していることが前提である。
【0010】
第1リストから、利用しようとするチャンネルを利用チャンネルとして選択し、この利用チャンネルを用いるべく通信機能部を制御するともに、この利用チャンネルを利用可能な領域を、第1リストおよび第2リストを参照して特定する。この利用可能な領域は、第2リストの分が加味されるため、一般に、第1位置からの電波放射領域より大きな領域になる。そして、第2位置(次の現在位置)がこの大きな利用可能領域内にあるか否かが判断され、第2位置がこの領域内にあると判断された場合には上記の利用チャンネルを利用し続けるように通信機能部を制御し、第2位置がこの領域内にないと判断された場合には第2位置で第1位置を更新するように制御する。
【0011】
したがって、データベースへのリスト提供の要求は、より大きな領域の外に端末(自装置)が移動した場合に初めて行われる。よって、端末の位置移動に対応した処理動作を効率化することが可能な通信装置になる。
【0012】
また、本発明の別の態様である通信装置は、通信機能部を有する通信装置であって、自装置について、第1の時点での第1位置と該第1の時点より後の第2の時点での第2位置とを特定する第1の手段と、前記第1位置からの電波放射領域より広い範囲に広がる、前記第1位置からの拡大領域を設定する第2の手段と、前記拡大領域の範囲情報をデータベースに送信する第3の手段と、前記拡大領域で適用できる有効チャンネルを示すリストを前記データベースから取得する第4の手段と、前記リストのうちから、利用しようとするチャンネルを利用チャンネルとして選択し、該利用チャンネルを用いるべく前記通信機能部を制御する第5の手段と、前記拡大領域を記憶保持する第6の手段と、前記第2位置が前記拡大領域内にあるか否かを判断する第7の手段と、前記第2位置が前記拡大領域内にあると判断された場合には前記利用チャンネルを利用し続けるように前記通信機能部を制御し、前記第2位置が前記拡大領域内にないと判断された場合には該第2位置で前記第1位置を更新するように制御する第8の手段とを具備することを特徴とする。
【0013】
この通信装置では、広い領域を示す情報およびこれに対応して有効なチャンネルのリストに基づく機能動作が可能である。広い領域を示す情報は、その広い領域の範囲情報としてデータベースに送信される。ここでその範囲情報は、第1位置(初期の現在位置)からの電波放射領域より広い範囲に広がる、第1位置からの拡大領域として設定されている。これは、この拡大領域を、データベースに問い合わせずに済む移動可能領域とするためである。
【0014】
広い領域を示す情報が送信されたデータベースからは、その対応の拡大領域で適用できる有効チャンネルを示すリストが提供され得る。データベースはそのような機能を有していることが前提である。
【0015】
このリストから、利用しようとするチャンネルを利用チャンネルとして選択し、この利用チャンネルを用いるべく通信機能部を制御する。そして、第2位置(次の現在位置)がこの拡大領域内にあるか否かが判断され、第2位置がこの拡大領域内にあると判断された場合には上記の利用チャンネルを利用し続けるように通信機能部を制御し、第2位置がこの拡大領域内にないと判断された場合には第2位置で第1位置を更新するように制御する。
【0016】
したがって、データベースへのリスト提供の要求は、より大きな拡大領域の外に端末(自装置)が移動した場合に初めて行われる。よって、端末の位置移動に対応した処理動作を効率化することが可能な通信装置になる。
【0017】
また、本発明のさらに別の態様である通信方法は、通信機能部を有する通信装置における通信方法であって、自装置について、第1の時点での第1位置と該第1の時点より後の第2の時点での第2位置とを特定し、前記第1位置から離れた位置を要素とする位置集合を、前記第1位置からの電波放射領域と前記位置集合に属する位置それぞれからの電波放射領域のそれぞれとがなす全和領域が穴をもたずかつ連続した領域となるように決定し、前記第1位置の情報と前記位置集合の情報とをデータベースに送信し、前記第1位置で適用できる有効チャンネルを示す第1リストと、前記位置集合に属する位置のそれぞれで適用できる有効チャンネルを示す第2リストのそれぞれとを前記データベースから取得し、前記第1リストのうちから、利用しようとするチャンネルを利用チャンネルとして選択して、該利用チャンネルを用いるべく前記通信機能部を制御し、前記利用チャンネルを利用可能な領域を、前記第1リストおよび前記第2リストを参照して特定し、前記利用チャンネルを利用可能な前記領域を記憶保持し、前記第2位置が前記領域内にあるか否かを判断し、前記第2位置が前記領域内にあると判断された場合には前記利用チャンネルを利用し続けるように前記通信機能部を制御し、前記第2位置が前記領域内にないと判断された場合には該第2位置で前記第1位置を更新するように制御することを特徴とする。
【0018】
また、本発明のさらに別の態様である通信方法は、通信機能部を有する通信装置における通信方法であって、自装置について、第1の時点での第1位置と該第1の時点より後の第2の時点での第2位置とを特定し、前記第1位置からの電波放射領域より広い範囲に広がるように、前記第1位置から拡大領域を設定し、前記拡大領域の範囲情報をデータベースに送信し、前記拡大領域に適用できる有効チャンネルを示すリストを前記データベースから取得し、前記リストのうちから、利用しようとするチャンネルを利用チャンネルとして選択して、該利用チャンネルを用いるべく前記通信機能部を制御し、前記拡大領域を記憶保持し、前記第2位置が前記拡大領域内にあるか否かを判断し、前記第2位置が前記拡大領域内にあると判断された場合には前記利用チャンネルを利用し続けるように前記通信機能部を制御し、前記第2位置が前記拡大領域内にないと判断された場合には該第2位置で前記第1位置を更新するように制御することを特徴とする。
【0019】
これらの通信方法は、上記の通信装置の動作に対応する通信方法である。したがって、これらによれば、端末の位置移動に対応した処理動作を効率化することが可能な通信方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、多数の位置または広い領域を示す情報およびこれらに対応した有効なチャンネルのリストに基づく機能動作が可能で、これにより、端末の位置移動に対応した処理動作を効率化することが可能な通信装置およびその通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態である通信装置における、データベース(WSDB)との接続態様の例を示すブロック図。
【図2】本発明の一実施形態である通信装置の構成を示すブロック図。
【図3】図2中に示した周辺位置集合決定部121で決定される周辺位置の配置例を示す地理表示図。
【図4】図2中に示したデータベース問合せ部13が行うデータベースへの問合せにおけるフォーマットの例を示す図。
【図5】データベースから返信される、各位置での有効チャンネルの例を図3に示した地理表示図上に示した図。
【図6】データベースからの返信におけるフォーマット例を示す図。
【図7】図2中に示した利用可能領域特定部123が特定する利用可能領域の例を示す地理表示図。
【図8】図7に示したものとは異なる、図2中に示した利用可能領域特定部123が特定する利用可能領域の例を示す地理表示図。
【図9】本発明の別の実施形態である通信装置の構成を示すブロック図。
【図10】図9中に示した拡大領域設定部121Aで設定される拡大領域の例を示す地理表示図。
【図11】図9中に示したデータベース問合せ部13Aが行うデータベースへの問合せにおけるフォーマットの例、およびデータベースからの返信におけるフォーマット例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施態様として、前記第2の手段が決定する前記位置集合が、前記第1位置の座標が(x0,y0)でありかつ前記電波放射領域が円形であり該円形の半径がrであるとしたとき、(x0−r√2,y0)、(x0,y0+r√2)、(x0+r√2,y0)、(x0,y0−r√2)、(x0−r√2,y0−r√2)、(x0−r√2,y0+r√2)、(x0+r√2,y0+r√2)、(x0+r√2,y0−r√2)の各座標を有する8つの位置の集合である、とすることができる。
【0023】
これによれば、少なくとも、第1位置からの電波放射領域と上記の位置集合に属する位置それぞれからの電波放射領域のそれぞれとがなす全和領域が、穴をもたずかつ連続した領域となる。位置集合の各位置は、第1位置を中心として、例えば東西南北のグリッドの各格子点に相当する合計8つの位置である。このような、第1位置からの電波放射領域より広い大きな領域の決め方(すなわち位置集合の決め方)は、他にもいろいろと考えられる。例えば、第1位置を中心として8方向ではなくそれ以上またはそれ以下の数の方向に各位置を設定することで、上記条件の全和領域を決定してもよい。
【0024】
また、実施態様として、前記第5の手段が選択する前記利用チャンネルが、ひとつのチャンネルであり、かつ該チャンネルを選択すれば該チャンネルでないどのチャンネルを選択した場合における前記第6の手段によって特定される利用可能な領域に比較しても該領域の広さ以上の、利用可能な領域が前記第6の手段によって特定されるチャンネルである、とすることができる。
【0025】
第5の手段が利用チャンネルをこのように選択すれば、利用チャンネルの切り替えなしで端末が移動できる範囲が候補中で最大になる。よって、端末の位置移動に対応した処理動作の効率化を一層進めることができる。
【0026】
また、実施態様として、前記第5の手段が選択する前記利用チャンネルが、複数のチャンネルであり、前記第6の手段が特定する利用可能な前記領域が、前記複数のチャンネルの全部を利用可能な領域として特定される、とすることができる。
【0027】
この態様は、利用チャンネルを複数のチャンネルとして選択するものである。複数のチャンネルを選択すれば、その分、情報の伝送効率を向上することが可能であり、高速の通信ができる。
【0028】
ここで、前記第6の手段が特定する前記領域が、前記第1位置からの電波放射領域と前記位置集合に属する位置のうちの少なくともひとつからの電波放射領域との、穴をもたずかつ連続した和領域となる限り、前記第5の手段が可能な限り大きな数の前記複数のチャンネルを選択する、とすることができる。
【0029】
この態様は、利用チャンネルを最大数の複数のチャンネルとして選択するものである。ただし、普通に、最大数の複数のチャンネルを選択すれば、第1位置からの電波放射領域より利用可能領域が広がらない可能性に一般的に帰するので、「第6の手段が特定する領域が、第1位置からの電波放射領域と位置集合に属する位置のうちの少なくともひとつからの電波放射領域との、穴をもたずかつ連続した領域となる和領域となる限り」として、利用可能領域が広がる条件を課している。可能な限りの数のチャンネルを選択すれば、その分、情報の伝送効率を向上することが可能であり、さらに高速の通信ができる。
【0030】
以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態である通信装置における、データベース(WSDB)との接続態様の例を示すブロック図である。本図を参照して、まず、通信装置とデータベースとの接続態様を説明する。
【0031】
図1(a)に示すように、この接続においては、通信装置10(モードII装置)が、直接にデータベース50に問合せを行い、これに対してデータベース50から直接に応答を得るように、情報提供サービスがなされ得る。データベース50は、TVチャンネルの状態に関する最新情報の提供を行うように構成されたものである。より具体的には、装置10の現在の位置(より一般的には、その含まれる領域)を含む位置情報などをデータベース50に送信すると、データベース50から、その位置で使用可能(有効)なチャンネルのリストが送られてくる。これにより、そのリストをデータベース問合せ部13が取得する。
【0032】
通信装置10とデータベース50との接続は、例えばインターネットによる接続である。データベース50は、例えばインターネット上に設けられたデータベースである。
【0033】
通信装置10は、本来の通信機能を担う通信機能部14のほか、位置特定部11、制御部12、データベース問合せ部13を有する。位置特定部11は、例えばGPS(global positioning system)衛星を利用して自装置の現在位置の特定を行う。制御部12は、位置特定部11が出力する位置情報、およびデータベース問合せ部13を介してデータベース50から得たチャンネル情報に基づき、通信機能部14による通信で用いられるチャンネルの指示制御を行う機能部である。データベース問合せ部13は、データベース50とこの装置10の接続のインターフェースに相当する機能部である。
【0034】
通信装置10は、図1(b)に示すように、仲介装置60を介してデータベース50に問合せを行い、これに対して仲介装置60を介してデータベース50から応答を得るような環境下で動作することもあり得る。図1(a)に示す接続態様と図1(b)に示す接続態様とは、上記のような情報の仲介を行う仲介装置60の有無のみであり、そのほかの構成(およびその内部構成)は同じである。仲介装置60は、データベース50との直接の接続のため設けられた、例えば位置固定の装置である。仲介装置60を設けることで、データベース50と装置10のより安定的な接続を期待できる。
【0035】
次に、本発明の一実施形態である通信装置について図2を参照して説明する。図2は、一実施形態である通信装置の構成を示すブロック図である。図2において、図1中に使用された符号と同一の符号が同一構成を示すために使用されている。この図2に加えて、説明図である図3ないし図8をも適宜参照して、以下、この通信装置の構成と動作とを説明する。
【0036】
図2に示すように、この通信装置10は、制御部12として、周辺位置決定部121、利用チャンネル選択部122、利用可能領域特定部123、利用可能領域記憶保持部124、領域内/領域外判断部125を有する。利用チャンネル選択部122は、その選択されたチャンネルを使用するよう通信機能部14に指示する通信制御部としても機能する。領域内/領域外判断部125は、その判断の結果により、使用しているチャンネルの維持を通信機能部14に指示する通信制御部としても機能する。また、領域内/領域外判断部125は、その判断の結果により、制御部12として、通信機能部14に指示すべきチャンネルを更新すべく指示する更新制御部としても機能する。
【0037】
図3は、図2中に示した周辺位置集合決定部121で決定される周辺位置の配置例を示す地理表示図である。位置特定部11で特定された自装置の位置は、座標(x0,y0)として周辺位置集合決定部121に提供される。座標(x0,y0)は、図3の中央に示されている。
【0038】
周辺位置集合決定部121は、提供された座標(x0,y0)の情報から、その周辺位置として、図示するように、(x0−r√2,y0)、(x0,y0+r√2)、(x0+r√2,y0)、(x0,y0−r√2)、(x0−r√2,y0−r√2)、(x0−r√2,y0+r√2)、(x0+r√2,y0+r√2)、(x0+r√2,y0−r√2)の各座標を有する8つの位置の集合を特定する。ここでrは、通信装置10の送信電力から想定される電波放射距離である(例えば100m)。各点を中心にrを半径とする円領域が各点からの電波放射領域A〜Iであると規定される。
【0039】
上記の位置集合の各位置は、現在位置を中心として、例えば東西南北のグリッドの各格子点に相当する合計8つ(現在位置を含めて9つ)の位置である。このように周辺位置を決定すれば、図示するように、少なくとも、現在位置からの電波放射領域Aとこの位置集合に属する位置それぞれからの電波放射領域B〜Iのそれぞれとがなす全和領域が、穴をもたずかつ連続した領域になる。この全和領域は、データベース50に問い合わせずに済む移動可能領域を広げるべく設定する領域の候補である。
【0040】
なお、一般には、現在位置からの電波放射領域Aより広い大きな全和領域の決め方(すなわち位置集合の決め方)は、他にもいろいろと考えられる。例えば、現在位置を中心として図3に示すような8方向ではなくそれ以上またはそれ以下の数の方向に各位置を設定することで、上記条件の全和領域を決定してもよい。さらには、領域Aから見て領域B等のさらに外側にも全和領域が広がるように、周辺位置の数を増やしてもよい。
【0041】
全和領域は、上記のように、通常ならば領域Aに限られるデータベース50に問い合わせずに済む装置10の移動可能領域を広げるべく設定する領域の候補となる領域である。通常ならば領域Aの外に装置10が移動すると、その位置ではデータベース50から提供されている利用可能チャンネルの情報が有効とは言えなくなるため、通常ならば、データベース50への問合せがその時点で必要である。この装置10では、領域Aに代えて、上記の全和領域(多くの場合その一部)をデータベース50に問い合わせずに済む装置10の移動可能領域とすることを意図する。そのため、この全和領域は、穴をもたずかつ連続した領域になっている。
【0042】
図4は、図2中に示したデータベース問合せ部13が行うデータベース50への問合せにおけるフォーマットの例を示す図である。上記のように周辺位置集合決定部121が決定した周辺位置情報は、続いて、現在位置情報とともにデータベース問合せ部13に送られる。これにより、データベース問合せ部13は、図4に示すようなフォーマットでデータベース50にこれらの情報を送出する。
【0043】
図4において、「情報ID」は、この問合せのID(識別子)を示し、例えば1バイトの情報である。「長さ」は、「LCI ID」と「LCI」とのペア数を示す情報であり、例えば1バイトの情報である。「LCI ID」は、「LCI」の識別子であり、例えば1バイトの情報である。「LCI ID」を用いることで、データベース50からの応答のオーバーヘッドを大きく減らすことができる。「LCI」は、位置(location)および構成(configuration)の情報(information)を乗せるフィールドであり、例えば16バイトの情報である。構成の情報とは、例えば装置10の送信電力を示す情報などの情報である。
【0044】
図5は、データベース50から返信される、各位置での有効チャンネルの例を図3に示した地理表示図上に示した図である。上記のようにデータベース問合せ部13からデータベース50への問合せが行われると、データベース50は、各領域A〜Iそれぞれで利用することができる有効チャンネルのリストを各位置に応じデータベース問合せ部13に返信してくる。図5に示すように、例えば、領域Aでは、有効チャンネルはCH1、CH3、CH4の3つ、領域Bでは、有効チャンネルは、CH1、CH2、CH3、CH8の4つ、・・・という具合である。説明の便宜上、現在位置を含む領域Aについてのリストを第1リスト、周辺位置それぞれを含む領域のそれぞれについてのリストを第2リストと呼ぶことにする。
【0045】
図6は、データベース50からの返信におけるフォーマット例を示す図である。同図において、「情報ID」は、この返信のIDを示し、例えば1バイトの情報である。「長さ」は、「LCI ID」と「WSM」とのペア数を示す情報であり、例えば1バイトの情報である。「LCI ID」は、問合せで送られてきたものを踏襲した「LCI」の識別子であり、例えば1バイトの情報である。「WSM」は、各「LCI ID」に対応した有効チャンネルのリストを示す情報であり、例えば6バイトの情報である。既述しているが、返信では「LCI」を送らないので、その分オーバーヘッドを減らすことができる。
【0046】
データベース問合せ部13に返信された有効チャンネルのリスト(第1リスト、第2リスト)は、データベース問合せ部13から利用チャンネル選択部122に送られる。利用チャンネル選択部122は、第1リストのうちから、利用しようとするチャンネルを利用チャンネルとして選択する。そして、この選択された利用チャンネルを用いるように通信機能部14を指示、制御する。通信制御部14は、指示された利用チャンネルを用い通信を行う。
【0047】
利用チャンネル選択部122が行う利用チャンネルの選択の方法例には、具体的に、例えば以下の方法がある。この選択を行うため、まず、利用チャンネル選択部122は、第1リストから仮に選んだ利用チャンネルを第1、第2リストとともに利用可能領域特定部123に送る。
【0048】
利用可能領域特定部123は、送られてきた仮の利用チャンネルと第1、第2のリストとを用いることで、そのチャンネルを利用可能な領域を特定することができる。例えば、仮に選んだチャンネルがCH1であれば、図7に示すように、領域A〜Iの全領域が利用可能領域になる。これはCH3を仮に選んだ場合も同様である。ほかのチャンネル、すなわちCH4を仮に選んだ場合は、そうはならない(領域A、D、E、Iになる)。図7は、図2中に示した利用可能領域特定部123が特定する利用可能領域の例を示す地理表示図である。
【0049】
利用可能領域特定部123が仮の利用チャンネルを用い特定した領域は、返答として利用チャンネル選択部122に送られる。そして、利用チャンネル選択部122は、ある課せられた条件の下、利用チャンネルの最終選択を行う。採り得るその条件として、利用チャンネルをひとつ選ぶこととし、かつこのチャンネルを選択すれば別のどのチャンネルを選択した場合における利用可能な領域に比較してもこの領域の広さ以上の、利用可能な領域が利用可能領域特定部123によって特定されるチャンネルである、という条件を想定することができる。
【0050】
利用チャンネル選択部122が利用チャンネルをこれにより最終選択すれば、利用チャンネルの切り替えなしで装置10が移動できる範囲が候補内で最大ということになる。説明してきた例の場合では、CH1を最終選択、またはCH3を最終選択という結果に対応する。この場合、図7に示すように、領域A〜Iの全領域が利用可能領域になる。
【0051】
別の選択の例としては、第1リストのうちから、利用チャンネルを複数のチャンネルとして選択することが考えられる。複数のチャンネルを選択しこれらを併用するように通信制御部14に指示すれば、その分、情報の伝送効率を向上することが可能であり、高速の通信ができる。
【0052】
複数として、具体的に、2つ、3つ、・・・とあらかじめ決めておくようにすることができる。そこで例えば2つとしている場合は、特定の2つの組み合わせを選択すれば、別のどの2つの組み合わせを選択した場合における利用可能な領域に比較してもこの領域の広さ以上の、利用可能な領域が利用可能領域特定部123によって特定される2つの組み合わせである、という条件を想定することができる。3つ以上の場合も同様に考えることができる。
【0053】
複数として、その数をあらかじめ決めないようにしてもよい。この場合は、各数の場合について、それぞれ上記のような条件で利用チャンネルの組み合わせを決めていき、同じチャンネル数でより広い利用可能領域が得られるチャンネルの組み合わせを残し、各チャンネル数において最大となる利用可能領域をそれぞれ特定する。そして、チャンネル数とその場合の利用可能領域との組み合わせを比較考量して、効率的と考えられるチャンネル数を後から決めるようにしてもよい。
【0054】
いずれにしても、複数のチャンネルを選択する場合は、その下位条件として、特定される利用可能領域が、現在位置からの電波放射領域と周辺位置集合に属する位置のうちの少なくともひとつからの電波放射領域との、穴をもたずかつ連続した和領域となる限りにおいて、という条件を加えることができる。これは、普通に、伝送効率を優先して第1リストのうちから最大数の(つまり全部の)チャンネルを選択すれば、現在位置からの電波放射領域より利用可能領域が広がらない可能性に一般的に帰するからである。
【0055】
説明してきた例においては、利用チャンネル数を3つとする選択方法では、CH1、CH3、CH4を選択という結果になる。これによる利用可能領域特定部123による利用可能領域の特定結果は図8に示す通り、領域A、D、E、Iの和領域になる。図8は、図7に示したものとは異なる、図2中に示した利用可能領域特定部123が特定する利用可能領域の例を示す地理表示図である。なお、利用チャンネル数を2つとする選択方法では、CH1、CH3を選択という結果になる。これによる利用可能領域特定部123による利用可能領域の特定結果は前出の図7に示す通り、領域A〜Iの全和領域になる。
【0056】
図5に例示した、各位置での有効チャンネルの例は、チャンネル数自体が少ないが、実際的には各位置で有効なチャンネル数は例えば20程度になることが考えられる。このような場合であっても考え方は同様である。
【0057】
利用チャンネル選択部122が行った利用チャンネルの最終選択結果に対応して、利用可能領域特定部123は、利用可能領域の特定結果を利用可能領域記憶保持部124に送る。利用可能領域記憶保持部124は、送られてきた利用可能領域を記憶保持する。
【0058】
以上で、装置10が位置特定部11で得た現在位置に関わって行う処理が終了する。その後、装置10は、現在位置が移動しているかどうかを識別、判断するため、例えば60秒ごと(FCC規則による)に位置特定部11を用いて現在位置を取得し直す。新たに取得された現在位置(第2位置)は、位置特定部11から領域内/領域外判断部125に送られる。
【0059】
領域内/領域外判断部125は、利用可能領域記憶保持部124から利用可能領域の情報を取り出し、この領域内に、位置特定部11から送られてきた第2位置があるか否かを判断する。もし第2位置がこの領域内にあると判断された場合は、現在利用しているチャンネルを維持するように通信機能部14を制御する。またもし第2位置がこの領域内にないと判断された場合は、この第2位置で第1位置(もとの現在位置)を更新するように制御する。この更新は、具体的には、周辺位置集合決定部121の動作からのやり直しに帰着する。すなわち、この第2位置を現在位置として、すでに説明したようにその周辺位置の決定から、制御のための処理がやり直される。
【0060】
以上説明したように、この実施形態の通信装置10によれば、データベース50へのリスト提供の要求は、より大きな領域の外に装置10が移動した場合に初めて行われる。よって、装置10の位置移動に対応した処理動作を効率化することが可能な通信装置になる。一例として示した図3に示したような周辺位置の取り方によれば、r=100mとして、最大でほぼその3倍程度の半径で囲われる領域においてデータベース50への問合せなしに、装置10を動作させられる場合がある。
【0061】
この実施形態での性質として、装置10が設定する周辺位置の数が多いほど、データベース50への問合せを含めて処理のオーバーヘッドは増大する。しかしながら、使用するチャンネル数の変更に応じて融通性高く利用チャンネルの選択ができるという利点がある。
【0062】
なお、FCC規則によれば、端末は、少なくとも24時間に一度は、データベース50への問い合わせを行うようにする(すなわち、この装置10では周辺位置集合決定部121の動作からのやり直しを行う)ことが求められる。これに対応することは、例えば、装置10にタイマーを備えさせ、その指示があれば周辺位置集合決定部121の動作からのやり直しがなされるような構成にすることで、容易に実現する。
【0063】
以上説明の装置10は、具体的に、モードII装置であることを想定することができる。モードII装置は、空港、エンターメント施設、ビジネスセンターなどをはじめとする巨大な複合施設などで使用することを考えて構成された端末である。そこで、説明した装置10は、検討中のIEEE 802.11af規格が最終決定されれば、これに適合する端末として用いられ得る。
【0064】
次に、別の実施形態について図9を参照して説明する。図9は、別の実施形態である通信装置の構成を示すブロック図である。同図において、すでに説明した図中に示した構成要素と同一のものには同一符号を付してある。その部分の説明は加えるべき事項がない限り省略する。前提として、この実施形態の通信装置10Aも、図1に示した、データベースとの接続態様については同様である。
【0065】
図9に示すように、この通信装置10Aは、制御部12Aとして、拡大領域設定部121A、利用チャンネル選択部122A、拡大領域記憶保持部124A、領域内/領域外判断部125を有する。利用チャンネル選択部122Aは、その選択されたチャンネルを使用するよう通信機能部14に指示する通信制御部としても機能する。この図9に加えて、説明図である図10、図11をも適宜参照して、以下、この通信装置10Aの動作を説明する。
【0066】
図10は、図9中に示した拡大領域設定部121Aで設定される拡大領域の例を示す地理表示図である。位置特定部11で特定された自装置の位置は、座標(x0,y0)として拡大領域設定部121Aに提供される。座標(x0,y0)は、図10の中央に示されている。
【0067】
拡大領域設定部121Aは、座標(x0,y0)を中心とする半径σの領域(これを「拡大領域」と定義する)を設定する。この事項をより具体的に説明する。位置特定部11で特定される自装置の位置の座標(x0,y0)は、実際には、例えば半径が50m程度となる領域内(図10で半径σ0の領域内)に位置することを示す精度の情報になっている(GPSシステムに依存する)。この精度を反映するように「LCI」(図4での説明を参照)は構成されており、この「LCI」をデータベース50は解釈、勘案して、利用可能なチャンネルのリストを作成する。
【0068】
この動作を利用し、よりラフな精度を示す情報を「LCI」に入れ込み、これをデータベース50に送れば、これに対応して利用可能なチャンネルのリストをデータベース50は作成することになる。よりラフな精度を示す情報とは、例えば半径が200m程度となる領域内(図10で半径σの領域内)に位置することを示す情報である。この結果、データベース50から提供されるチャンネルのリストは、図10中に示される、座標(x0,y0)を中心とする半径σの領域(拡大領域)で使用できるチャンネルのリストになる。
【0069】
図11は、図9中に示したデータベース問合せ部13Aが行うデータベース50への問合せにおけるフォーマットの例を示す図である。上記のように拡大領域設定部121Aが設定した拡大領域情報は、続いて、現在位置情報とともにデータベース問合せ部13Aに送られる。これにより、データベース問合せ部13Aは、図11に示すようなフォーマットでデータベース50にこれらの情報を送出する。
【0070】
図11において、「要素ID」は、この問合せのID(識別子)を示し、例えば1バイトの情報である。「長さ」は、このあとに続く残りバイト数を示す情報であり、例えば可変バイト数の情報である。「現在位置」は、LCIとして構成した、座標(x0,y0)に対応する位置情報(ただし位置精度は例えば50m半径)であり、例えば16バイトの情報である。「WSM1」については後述する。「拡大領域」は、LCIとして構成した、位置精度例えば200m半径である場合の座標(x0,y0)に対応する位置情報であり、例えば16バイトの情報である。「WSM1」、「WSM2」は、「現在位置」、「拡大領域」それぞれに対応した有効チャンネルのリストを示す情報であり、例えば可変バイト数の情報であるが、データベース問合せ部13Aからの問合せ時はペイロードとして存在しない。
【0071】
以上のフォーマットでデータベース問合せ部13Aからデータベース50に問合せが行われると、データベース50は、「現在位置」、「拡大領域」それぞれで利用できる有効チャンネルのリストをデータベース問合せ部13Aに返信してくる。そのフォーマットは、問合せのときのフォーマットを踏襲して図11に示す通りである。この返信のときは、「WSM1」、「WSM2」が、「現在位置」、「拡大領域」それぞれに対応した有効チャンネルのリストを示す情報としてペイロードになっている。図11は、データベースからの返信におけるフォーマット例を示す図でもある。
【0072】
データベース問合せ部13Aに返信された有効チャンネルのリストは、データベース問合せ部13Aから利用チャンネル選択部122Aに送られる。利用チャンネル選択部122Aは、「拡大領域」に対応した有効チャンネルのリストのうちから、利用しようとするチャンネルを利用チャンネルとして選択する。そして、この選択された利用チャンネルを用いるように通信機能部14を指示、制御する。通信制御部14は、指示された利用チャンネルを用い通信を行う。
【0073】
拡大領域設定部121Aが設定した拡大領域情報は、データベース問合せ部13Aに送られるとともに、拡大領域記憶保持部124Aにも送られる。拡大領域記憶保持部124Aは、送られてきた拡大領域を記憶保持する。
【0074】
以上で、装置10Aが位置特定部11で得た現在位置に関わって行う処理が終了する。その後、装置10Aは、現在位置が移動しているかどうかを識別、判断するため、例えば60秒ごと(FCC規則による)に位置特定部11を用いて現在位置を取得し直す。新たに取得された現在位置(第2位置)は、位置特定部11から領域内/領域外判断部125に送られる。以降の動作は、すでに図2を参照して説明したものと同様である(ただし「利用可能領域記憶保持部124」を「拡大領域記憶保持部124A」で読み替える)。
【0075】
以上説明したように、この実施形態の通信装置10Aによっても、データベース50へのリスト提供の要求は、より大きな拡大領域の外に装置10Aが移動した場合に初めて行われる。よって、装置10Aの位置移動に対応した処理動作を効率化することが可能な通信装置になる。この実施形態は、図2に示した実施形態ほどに利用可能領域拡大のための、データベース50への問合せを含めた処理が複雑でなく、オーバーヘッド増大が抑えられる。
【符号の説明】
【0076】
10、10A…通信装置、11…位置特定部(GPS)、12、12A…制御部、13、13A…データベース問合せ部、14…通信機能部、50…データベース(WSDB)、60…仲介装置、121…周辺位置集合決定部、121A…拡大領域設定部、122、122A…利用チャンネル選択部(+通信制御部)、123…利用可能領域特定部、124…利用可能領域記憶保持部、124A…拡大領域記憶保持部、125…領域内/領域外判断部(+通信制御部+更新制御部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機能部を有する通信装置であって、
自装置について、第1の時点での第1位置と該第1の時点より後の第2の時点での第2位置とを特定する第1の手段と、
前記第1位置から離れた位置を要素とする位置集合を、前記第1位置からの電波放射領域と前記位置集合に属する位置それぞれからの電波放射領域のそれぞれとがなす全和領域が穴をもたずかつ連続した領域となるように決定する第2の手段と、
前記第1位置の情報と前記位置集合の情報とをデータベースに送信する第3の手段と、
前記第1位置で適用できる有効チャンネルを示す第1リストと、前記位置集合に属する位置のそれぞれで適用できる有効チャンネルを示す第2リストのそれぞれとを前記データベースから取得する第4の手段と、
前記第1リストのうちから、利用しようとするチャンネルを利用チャンネルとして選択し、該利用チャンネルを用いるべく前記通信機能部を制御する第5の手段と、
前記利用チャンネルを利用可能な領域を、前記第1リストおよび前記第2リストを参照して特定する第6の手段と、
前記利用チャンネルを利用可能な前記領域を記憶保持する第7の手段と、
前記第2位置が前記領域内にあるか否かを判断する第8の手段と、
前記第2位置が前記領域内にあると判断された場合には前記利用チャンネルを利用し続けるように前記通信機能部を制御し、前記第2位置が前記領域内にないと判断された場合には該第2位置で前記第1位置を更新するように制御する第9の手段と
を具備することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第2の手段が決定する前記位置集合が、前記第1位置の座標が(x0,y0)でありかつ前記電波放射領域が円形であり該円形の半径がrであるとしたとき、(x0−r√2,y0)、(x0,y0+r√2)、(x0+r√2,y0)、(x0,y0−r√2)、(x0−r√2,y0−r√2)、(x0−r√2,y0+r√2)、(x0+r√2,y0+r√2)、(x0+r√2,y0−r√2)の各座標を有する8つの位置の集合であることを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記第5の手段が選択する前記利用チャンネルが、ひとつのチャンネルであり、かつ該チャンネルを選択すれば該チャンネルでないどのチャンネルを選択した場合における前記第6の手段によって特定される利用可能な領域に比較しても該領域の広さ以上の、利用可能な領域が前記第6の手段によって特定されるチャンネルであることを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項4】
前記第5の手段が選択する前記利用チャンネルが、複数のチャンネルであり、
前記第6の手段が特定する利用可能な前記領域が、前記複数のチャンネルの全部を利用可能な領域として特定されること
を特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項5】
前記第6の手段が特定する前記領域が、前記第1位置からの電波放射領域と前記位置集合に属する位置のうちの少なくともひとつからの電波放射領域との、穴をもたずかつ連続したとなる限り、前記第5の手段が可能な限り大きな数の前記複数のチャンネルを選択することを特徴とする請求項4記載の通信装置。
【請求項6】
通信機能部を有する通信装置であって、
自装置について、第1の時点での第1位置と該第1の時点より後の第2の時点での第2位置とを特定する第1の手段と、
前記第1位置からの電波放射領域より広い範囲に広がる、前記第1位置からの拡大領域を設定する第2の手段と、
前記拡大領域の範囲情報をデータベースに送信する第3の手段と、
前記拡大領域で適用できる有効チャンネルを示すリストを前記データベースから取得する第4の手段と、
前記リストのうちから、利用しようとするチャンネルを利用チャンネルとして選択し、該利用チャンネルを用いるべく前記通信機能部を制御する第5の手段と、
前記拡大領域を記憶保持する第6の手段と、
前記第2位置が前記拡大領域内にあるか否かを判断する第7の手段と、
前記第2位置が前記拡大領域内にあると判断された場合には前記利用チャンネルを利用し続けるように前記通信機能部を制御し、前記第2位置が前記拡大領域内にないと判断された場合には該第2位置で前記第1位置を更新するように制御する第8の手段と
を具備することを特徴とする通信装置。
【請求項7】
通信機能部を有する通信装置における通信方法であって、
自装置について、第1の時点での第1位置と該第1の時点より後の第2の時点での第2位置とを特定し、
前記第1位置から離れた位置を要素とする位置集合を、前記第1位置からの電波放射領域と前記位置集合に属する位置それぞれからの電波放射領域のそれぞれとがなす全和領域が穴をもたずかつ連続した領域となるように決定し、
前記第1位置の情報と前記位置集合の情報とをデータベースに送信し、
前記第1位置で適用できる有効チャンネルを示す第1リストと、前記位置集合に属する位置のそれぞれで適用できる有効チャンネルを示す第2リストのそれぞれとを前記データベースから取得し、
前記第1リストのうちから、利用しようとするチャンネルを利用チャンネルとして選択して、該利用チャンネルを用いるべく前記通信機能部を制御し、
前記利用チャンネルを利用可能な領域を、前記第1リストおよび前記第2リストを参照して特定し、
前記利用チャンネルを利用可能な前記領域を記憶保持し、
前記第2位置が前記領域内にあるか否かを判断し、
前記第2位置が前記領域内にあると判断された場合には前記利用チャンネルを利用し続けるように前記通信機能部を制御し、前記第2位置が前記領域内にないと判断された場合には該第2位置で前記第1位置を更新するように制御すること
を特徴とする通信方法。
【請求項8】
通信機能部を有する通信装置における通信方法であって、
自装置について、第1の時点での第1位置と該第1の時点より後の第2の時点での第2位置とを特定し、
前記第1位置からの電波放射領域より広い範囲に広がるように、前記第1位置から拡大領域を設定し、
前記拡大領域の範囲情報をデータベースに送信し、
前記拡大領域に適用できる有効チャンネルを示すリストを前記データベースから取得し、
前記リストのうちから、利用しようとするチャンネルを利用チャンネルとして選択して、該利用チャンネルを用いるべく前記通信機能部を制御し、
前記拡大領域を記憶保持し、
前記第2位置が前記拡大領域内にあるか否かを判断し、
前記第2位置が前記拡大領域内にあると判断された場合には前記利用チャンネルを利用し続けるように前記通信機能部を制御し、前記第2位置が前記拡大領域内にないと判断された場合には該第2位置で前記第1位置を更新するように制御すること
を特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−147172(P2012−147172A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3027(P2011−3027)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)総務省委託「電波資源拡大のための研究開発」の一環、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】