説明

通信装置、通信装置の制御方法およびプログラム

【課題】イベントの発生を通知することを可能とする通信装置等を提供すること。
【解決手段】通知サーバは、第1MFPでFAX受信のイベントが発生した旨を検出する。通知サーバは、第1MFPに関連付けられている携帯端末装置(第1携帯電話、第1モバイル端末)の各々から、アクティブ度を受信する。通知サーバは、受信したアクティブ度に基づいて、第1携帯電話および第1モバイル端末のうちで移動または姿勢の変化量が相対的に大きい装置を選択する。そして、第1MFPでFAX受信のイベントが発生した旨を通知する第2FAX受信通知を、選択した装置へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、各種の情報を通信する通信装置、通信装置の制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、MFP(Multi Functional Peripheral)などの情報機器でFAX受信や故障発生などのイベントが発生した場合に、当該イベントの発生をユーザに通知する技術が開示されている。当該技術では、ユーザがインスタントメッセージ(IM)のネットワークにログインしている場合には、インスタントメッセージを用いてイベントの発生をユーザに通知する。また、ユーザがログインしていない場合には、電子メールを用いてイベントの発生をユーザに通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−328168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、1人のユーザが複数台のモバイル端末を所有することが一般的となっている。ユーザは、複数のモバイル端末のうちの何れかを、用途に合わせて選択して携帯する場合がある。このような場合、特許文献1に記載の技術では、複数のモバイル端末のうち、ユーザによって携帯されているモバイル端末に対してイベントの発生を通知することは困難である。一方、ユーザが所有する複数台のモバイル端末の全てに対してイベントの発生を通知する場合には、ユーザはある一つのイベント発生についての同一の通知を、複数台のモバイル端末の各々で確認しなければならないため、煩雑である。本明細書では、このような不便性を解消することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願に記載の通信装置は、第1端末装置で所定のイベントが発生した旨を検出する検出手段と、第1端末装置に関連付けられている複数の第2端末装置の各々から、第2端末装置の移動または姿勢を示す端末装置情報を受信する第1の受信手段と、受信した端末装置情報に基づいて、複数の第2端末装置のうちで移動または姿勢の変化量が相対的に大きい第2端末装置である特定の第2端末装置を選択し、第1端末装置で所定のイベントが発生した旨を通知する第1通知情報を特定の第2端末装置へ送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本願に記載の通信装置では、複数の第2端末装置のうちで移動または姿勢の変化量が相対的に大きい特定の第2端末装置を、ユーザが携帯している可能性の高い第2端末装置であると判断することができる。そして、ユーザが携帯している可能性の高い第2端末装置に対して、第1端末装置で所定のイベントが発生した旨を通知することができる。複数の第2端末装置の全てに対して所定のイベントが発生した旨を通知する場合には、ユーザは所定のイベント発生についての同一の通知を、複数台の第2端末装置の各々で確認しなければならないため、煩雑である。しかし本願に記載の通信装置では、ユーザが携帯している第2端末装置にのみイベント発生を通知することができるため、このような煩雑さを回避することが可能となる。
【0007】
また、請求項2に記載の通信装置では、第2端末装置が内蔵する錘の位置変化の検出、第2端末装置の角速度の検出、衛星から送信されるGPS信号の検出、または、地磁気の検出によって、複数の第2端末装置の各々について、移動または姿勢の変化量を測定することができる。これにより、ユーザが携帯している可能性の高い第2端末装置を推定することが可能となる。
【0008】
また、請求項3に記載の通信装置では、第1通知情報を送信してから第1所定時間内に、第1通知情報に対する返信情報を受信しない場合には、ユーザがイベント発生の通知を確認していない場合であると判断することができる。よって、移動または姿勢の変化量が特定の第2端末装置の次に大きい第2端末装置へ第1通知情報を送信することで、ユーザが携帯している可能性が次に高い第2端末装置へイベントが発生した旨を通知することができる。これにより、第1端末装置でイベントが発生した旨を確実にユーザに報知することが可能となる。
【0009】
また、請求項4に記載の通信装置では、第1端末装置に関連付けられている複数の第2端末装置のうちの複数の第2端末装置をユーザが携帯している場合にも、ユーザに携帯されている複数の第2端末装置に対してイベント発生を通知することができる。これにより、第1端末装置でイベントが発生した旨を確実にユーザに報知することが可能となる。
【0010】
また、請求項5に記載の通信装置では、識別情報を受信することによって、所定のイベントが第1端末装置で発生した旨を認識することができる。よって、通信装置を、第1端末装置と別体に構成することが可能となる。
【0011】
また、請求項6に記載の通信装置では、複数の第2端末装置の各々から、端末装置情報を定期的に受信することができる。これにより、複数の第2端末装置の各々の状態を、常に監視することが可能となる。
【0012】
また、請求項7に記載の通信装置では、所定のイベントが第1端末装置で発生したことをトリガとして、複数の第2端末装置の各々から端末装置情報を受信することができる。これにより、定期的に端末装置情報を受信する場合に比して、通信装置と複数の第2端末装置の各々との間の通信量を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】通信システムのブロック図である。
【図2】第1携帯電話の動作フローチャートを示す図である。
【図3】通知サーバの動作フローチャートを示す図である。
【図4】第1MFPの動作フローチャートを示す図である。
【図5】通知サーバの動作フローチャートを示す図である。
【図6】第1携帯電話の動作フローチャートを示す図である。
【図7】記憶テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<通信システムの構成>
図1に、本願に係る実施形態として例示される通信システム1のブロック図を示す。通信システム1は、第1モバイル端末2、第1携帯電話10、第1MFP(Multifunction Peripheral)51、第2モバイル端末2a、第2携帯電話10a、第2MFP51a、アクセスポイント62、通知サーバ71、基地局61を備える。第1モバイル端末2、第1携帯電話10、第2モバイル端末2a、第2携帯電話10aは、ユーザによって持ち運ぶことが可能な携帯端末装置である。第1MFP51および第2MFP51aは、据え置き型の多機能周辺装置である。第1MFP51および第2MFP51aは、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能などを備える。アクセスポイント62は、既知の無線LANアクセスポイントとしての機能を備える。なお、無線LAN方式の例としては、例えばIEEE802.11a/b/g/nの規格で定められる通信方式が挙げられる。通知サーバ71は、インターネット70を介して基地局61およびアクセスポイント62に接続される。
【0015】
第1携帯電話10の携帯電話送受信部22は、携帯電話アンテナ部23を介して、基地局61との間で携帯電話通信の方式に準拠する無線通信210を行う。同様にして、第2携帯電話10aは、基地局61との間で無線通信212を行う。第1モバイル端末2は、基地局61との間で携帯電話通信の方式に準拠する無線通信211を行う。同様にして、第2モバイル端末2aは、基地局61との間で無線通信213を行う。第1MFP51の無線送受信部36は、無線アンテナ部37を介してアクセスポイント62との間で無線通信203を行う。同様にして、第2MFP51aは、アクセスポイント62との間で無線通信204を行う。また、基地局61、アクセスポイント62および通知サーバ71は、インターネット70を介して通信可能とされている。すなわち、通知サーバ71は、第1MFP51、第2MFP51a、第1携帯電話10、第2携帯電話10a、第1モバイル端末2、第2モバイル端末2a、の各々とデータ通信することが可能とされている。
【0016】
通知サーバ71の構成について説明する。通知サーバ71は、ネットワークにおいて、クライアント装置(第1モバイル端末2、第1携帯電話10、第1MFP51など)間における、各種のデータ通信を中継する機能を提供する装置である。通知サーバ71は、CPU(Central Processing Unit)72、記憶部73、通信部74、を主に備えている。これらの構成要素は、入出力ポート76を介して互いに通信可能とされている。CPU72は、記憶部73に記憶されるプログラム21を実行する。通信部74は、様々な情報を、インターネット70との間で通信する。
【0017】
記憶部73は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(ハードディスク)、CPU11が備えるバッファなどが組み合わされて構成されている。記憶部73は、プログラム21を記憶する。プログラム21は、OS(Operating System)24等を含む。OS24は、通信部74に通信を実行させるためのプログラム等を含む。
【0018】
記憶部73は、記憶テーブル12bを備える。図7に、記憶テーブル12bの一例を示す。記憶テーブル12bは、MFP名称101、アカウント情報102、MFP通信先情報102a、ユーザ情報103、対応携帯端末装置104、携帯端末装置通信先情報104a、アクティブ度105、を備える。MFP名称101は、各MFPに付けられている名称である。アカウント情報102は、各MFPを識別するための情報である。アカウント情報102の一例としては、MFPの製造シリアル番号、MFPのユーザID、MFPのMACアドレス、などが挙げられる。MFP通信先情報102aは、各MFPと通信するために用いられる情報である。MFP通信先情報102aの一例としては、IPアドレスが挙げられる。ユーザ情報103は、各MFPを使用するユーザを識別する情報である。ユーザ情報103の一例としては、ユーザ名が挙げられる。対応携帯端末装置104は、1台のMFPに対応付けられている、1台以上の携帯端末装置の各々を示す情報である。携帯端末装置通信先情報104aは、各携帯端末装置と通信するために用いられる情報である。携帯端末装置通信先情報104aの一例としては、IPアドレスが挙げられる。アクティブ度105は、携帯端末装置の各々について備えられる値である。アクティブ度105は、その携帯端末装置をユーザが持ち歩いているか(その携帯端末装置がユーザの近くに存在しているか)を示す値である。MFP名称101ないし携帯端末装置通信先情報104aの各情報は、予めユーザによって記憶テーブル12bに記憶されるとしてもよい。
【0019】
また記憶部73は、待機時間を記憶する。待機時間は、ユーザ確認通知(後述)をユーザが確認したか否かを判断するために用いられる時間である。
【0020】
第1携帯電話10の構成について説明する。図1に示すように、第1携帯電話10は、CPU11、記憶部12、ボタン入力部17、パネル18、携帯電話送受信部22、携帯電話アンテナ部23、カメラ部27、地磁気センサ25、加速度センサ(ジャイロスコープとも呼ぶ)26、GPS(Global Positioning System)部28、傾きセンサ29、を主に備えている。CPU11は、記憶部12に記憶されているプログラムを実行する。また、通話や音声入力を行うために、スピーカ3とマイク4とを備えている。これらの構成要素は、入出力ポート7を介して互いに通信可能とされている。
【0021】
携帯電話送受信部22は、携帯電話アンテナ部23を介して、基地局61との間で携帯電話通信の方式に準拠する無線通信210を行う。ボタン入力部17、カメラ部27は、第1携帯電話10の使用者による操作を受け付ける。パネル18は、第1携帯電話10の各種機能情報を表示する。カメラ部27は、CCD等により所定範囲を撮影して画像データを取得する部位である。地磁気センサ25は、地磁気を検出することによって、第1携帯電話10の先端部が向いている方位を計測するセンサであり、コンパスとしての機能を有する。加速度センサ26は、錘の位置変化を検出することによって、第1携帯電話10の加速度を計測するセンサである。GPS部28は、GPS衛星から送信されるGPS信号を検出することで、第1携帯電話10の位置を測定するための部位である。傾きセンサ29は、角速度を検出することによって、第1携帯電話10の表示面が水平面に対して傾いている傾き角度を測定するセンサである。
【0022】
記憶部12は、オペレーティングシステム(不図示)を記憶している。オペレーティングシステムは、加速度センサ26が計測した加速度や、傾きセンサ29が測定した傾き角度などを取得するためのAPI(Application Programming Interface)を提供する。また記憶部12は、送信間隔時間を記憶する。送信間隔時間は、アクティブ度の通知処理(後述)を定期的に行う時間を決める時間である。送信間隔時間は、予めユーザによって記憶されるとしてもよい。なお、第2携帯電話10a、第1モバイル端末2、第2モバイル端末2aの構成についても、第1携帯電話10の構成と同様であるため、図1では図示を省略する。
【0023】
第1MFP51の構成について説明する。第1MFP51は、CPU32、記憶部33、無線送受信部36、無線アンテナ部37、ボタン入力部38、パネル39、プリンタ19、スキャナ20、モデム40、電話回線接続部41を主に備えている。これらの構成要素は、入出力ポート43を介して互いに通信可能とされている。
【0024】
CPU32は、記憶部33に記憶されているプログラムを実行する。ボタン入力部38は、第1MFP51の各機能を実行するためのキーである。パネル39は、第1MFP51の各種機能情報を表示する。プリンタ19は、印刷を実行する部位である。スキャナ20は、読み取りを実行する部位である。モデム40は、ファクシミリ機能によって送信する原稿データを、電話回線網100に伝送可能な信号に変調して電話回線接続部41を介して送信したり、電話回線網100から電話回線接続部41を介して入力された信号を受信し、原稿データへ復調するものである。なお、第2MFP51aの構成についても、第1MFP51の構成と同様であるため、図1では図示を省略する。
【0025】
<アクティブ度の通知処理(第1携帯電話10の動作)>
図2を用いて、第1携帯電話10で行なわれる、アクティブ度の通知処理を説明する。図2のフローは、第1携帯電話10の電源が投入されている期間中に実行されるフローである。S212において、第1携帯電話10のCPU11は、傾きセンサ29から出力される傾き値を定期的に取得し、記憶部12に一時的に記憶する。傾き値を取得する間隔時間は、予めユーザ等によって定められるとしてもよい。S213において、CPU11は、予め定められた送信間隔時間が経過したか否かを判断する。経過していない場合(S213:NO)にはS212へ戻り、経過した場合(S213:YES)にはS214へ進む。
【0026】
S214において、CPU11は、取得した複数の傾き値から第1携帯電話10のアクティブ度を算出する。アクティブ度の算出方法の一例を説明する。取得時間が前後する傾き値の間で、差分の絶対値を算出する。この差分の絶対値を算出する処理は、送信間隔時間の期間中に取得された複数の傾き値の全てについて実行する。最後に、得られた差分の絶対値を合算する。これにより、第1携帯電話10の姿勢を示す情報(傾き値)の変化量である、アクティブ度が取得できる。アクティブ度が高くなるほど、送信間隔時間の期間中における第1携帯電話10の傾きの変化量が大きいことを意味する。すなわち、ユーザが第1携帯電話10を持ち歩いているために、移動時の揺れや第1携帯電話10の使用によって、第1携帯電話10の傾きが頻繁に変化していると判断することができる。一方、アクティブ度が低い場合や、送信間隔時間の複数の期間に渡ってアクティブ度が一定である場合には、第1携帯電話10の傾きが変化しない環境下にあると判断することができる。すなわち、ユーザが第1携帯電話10を持ち歩かずに、机の上などに置いている状態であると判断することができる。
【0027】
S216においてCPU11は、算出したアクティブ度を、通知サーバ71に送信する。そしてS212へ戻る。これにより、図2のフローによって、自機(第1携帯電話10)のアクティブ度を算出して、定期的に通知サーバ71へ通知する処理が行われる。
【0028】
なお、第1モバイル端末2、第2携帯電話10a、第2モバイル端末2aにおいても、上述したアクティブ度の通知処理が行われる。第1モバイル端末2、第2携帯電話10a、第2モバイル端末2aで行われるアクティブ度の通知処理の内容は、上述した第1携帯電話10で行われるアクティブ度の通知処理の内容と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0029】
<データベース更新処理(通知サーバ71の動作)>
図3を用いて、通知サーバ71で行なわれる、データベース更新処理を説明する。図3のフローは、通知サーバ71の電源が投入されている期間中に実行されるフローである。S142において、通知サーバ71のCPU72は、携帯端末装置(第1携帯電話10、第1モバイル端末2、第2携帯電話10a、第2モバイル端末2a)の何れかから、アクティブ度を受信したか否かを判断する。受信していない場合(S142:NO)にはS142へ戻り、受信した場合(S142:YES)にはS144へ進む。
【0030】
S144において、CPU72は、受信したアクティブ度を、アクティブ度を送信してきた携帯端末装置に関連付けて、記憶テーブル12bに上書き記憶する。そしてS142へ戻る。これにより、図3のフローによって、記憶テーブル12bに記憶されている携帯端末装置(第1携帯電話10、第1モバイル端末2、第2携帯電話10a、第2モバイル端末2a)のアクティブ度が定期的に更新され、常に最新の状態に維持することができる。
【0031】
<第1FAX受信通知の送信処理(第1MFP51の動作)>
図4を用いて、第1MFP51で行われる、第1FAX受信通知の送信処理を説明する。図4のフローは、第1MFP51の電源が投入されている期間中に実行されるフローである。S311において、第1MFP51のCPU32は、モデム40でFAXデータを受信したか否かを判断する。受信していない場合(S311:NO)にはS311へ戻り、受信した場合(S311:YES)にはS313へ進む。S313において、CPU32は、通知サーバ71へ第1FAX受信通知を送信する。そしてS311へ戻る。第1FAX受信通知は、第1MFP51でFAX受信のイベントが発生した旨を、通知サーバ71へ通知するための情報である。また第1FAX受信通知は、第1MFP51のアカウント情報を含んでいる。
【0032】
なお、第2MFP51aにおいても、第1FAX受信通知の送信処理が行われる。第2MFP51aで行われる第1FAX受信通知の送信処理の内容は、上述した第1MFP51で行われる第1FAX受信通知の送信処理の内容と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0033】
<第2FAX受信通知の送信処理(通知サーバ71の動作)>
図5を用いて、通知サーバ71で行われる、第2FAX受信通知の送信処理を説明する。図5のフローは、通知サーバ71の電源が投入されている期間中に実行されるフローである。
【0034】
S112において、通知サーバ71のCPU72は、第1FAX受信通知を第1MFP51または第2MFP51aから受信したか否かを判断する。第1FAX受信通知を受信していない場合(S112:NO)には、S112へ戻る。一方、受信した場合(S112:YES)には、第1FAX受信通知を送信してきたMFPでFAX受信のイベントが発生したと判断され、S114へ進む。
【0035】
S114において、CPU72は、受信した第1FAX受信通知に含まれているアカウント情報を用いて、第1FAX受信通知を送信してきたMFPを記憶テーブル12bの中から検索する。そして、検索されたMFPに対応付けられている対応携帯端末装置104を、記憶テーブル12bから取得する。これにより、FAX受信のイベントが発生したMFPに関連付けられている携帯端末装置を特定することができる。
【0036】
S116において、CPU72は、特定された対応携帯端末装置104のうち、最もアクティブ度105が高い携帯端末装置を選択する。これにより、ユーザが現在持ち歩いている可能性が最も高い携帯端末装置を選択することができる。S118において、CPU72は、S116で選択された携帯端末装置に対して、携帯端末装置通信先情報104aを用いて、第2FAX受信通知を送信する。第2FAX受信通知は、第1FAX受信通知を送信してきたMFPでFAX受信のイベントが発生した旨を、携帯端末装置へ通知するための情報である。
【0037】
S122においてCPU72は、第2FAX受信通知を送信した携帯端末装置から、ユーザ確認通知を所定の待機時間内に受信したか否かを判断する。ユーザ確認通知は、第2FAX受信通知をユーザが確認した旨の通知である。待機時間内にユーザ確認通知を受信した場合(S122:YES)には、S112へ戻る。一方、待機時間内に受信しなかった場合(S122:NO)には、S126へ進む。
【0038】
S126においてCPU72は、S114で特定された対応携帯端末装置104のうちから、2番目にアクティブ度が高い携帯端末装置を選択する。S128において、CPU72は、S126で選択された携帯端末装置に対して、第2FAX受信通知を送信する。そしてS112へ戻る。
【0039】
<FAX受信通知の受信処理(第1携帯電話10処理)>
図6を用いて、第1携帯電話10で行われる、第2FAX受信通知の受信処理を説明する。図6のフローは、第1携帯電話10の電源が投入されている期間中に実行されるフローである。S232において、第1携帯電話10のCPU11は、通知サーバ71から第2FAX受信通知を受信したか否かを判断する。受信していない場合(S232:NO)にはS232へ戻り、受信した場合(S232:YES)にはS234へ進む。
【0040】
S234において、CPU11は、第1FAX受信通知を送信してきたMFPでFAX受信が行われた旨の受信通知を、パネル18に表示する。受信通知の表示方法は、例えば、パネル18の画面上にポップアップウィンドウ等を表示する方法であってもよい。S236において、CPU11は、受信通知がユーザによって確認されたか否かを判断する。この判断は、例えば、パネル18に表示されたポップアップウィンドウがユーザにより削除等されたか否かによって行われてもよい。確認されていない場合(S236:NO)にはS236へ戻り、確認された場合(S236:YES)にはS238へ進む。S238において、CPU11は、通知サーバ71へユーザ確認通知を送信する。そしてS232へ戻る。
【0041】
なお、第1モバイル端末2、第2携帯電話10a、第2モバイル端末2aにおいても、上述した第2FAX受信通知の受信処理が行われる。第1モバイル端末2、第2携帯電話10a、第2モバイル端末2aで行われる第2FAX受信通知の受信処理の内容は、上述した第1携帯電話10で行われる第2FAX受信通知の受信処理の内容と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0042】
<通信システムの具体動作例>
通信システム1の具体動作例を説明する。例として、図7に示す記憶テーブル12bが通知サーバ71に記憶されている場合の具体的な動作を説明する。この場合、第1MFP51(ユーザA)には、第1携帯電話10および第1モバイル端末2が関連付けられている。また、第2MFP51a(ユーザB)には、第2携帯電話10aおよび第2モバイル端末2aが関連付けられている。また例として、第1携帯電話10がユーザAに持ち歩かれており、第1モバイル端末2が自宅に置きっぱなしにされている場合を説明する。また、第1MFP51でFAXを受信する場合を説明する。
【0043】
携帯端末装置の各々(第1携帯電話10、第1モバイル端末2、第2携帯電話10a、第2モバイル端末2a)は、自機のアクティブ度を定期的に取得し(S214)、通知サーバ71へ送信する(S216)。通知サーバ71は、アクティブ度を受信すると(S142:Y)、記憶テーブル12bに上書き記憶する(S144)。そして、第1MFP51がFAXを受信すると(S311:YES)、第1FAX受信通知を通知サーバ71に送信する(S313)。
【0044】
通知サーバ71は、第1FAX受信通知を第1MFP51から受信すると(S112:Y)、第1FAX受信通知を送信してきた第1MFP51に関連付けられている第1携帯電話10および第1モバイル端末2を、記憶テーブル12bから検索する(S114)(図7、領域R1)。通知サーバ71は、第1携帯電話10および第1モバイル端末2のうちから、最もアクティブ度105が高い第1携帯電話10を選択する(S116)(図7、領域R2)。そして、第1携帯電話10へ第2FAX受信通知を送信する(S118)。
【0045】
第1携帯電話10は、通知サーバ71から第2FAX受信通知を受信すると(S232:Y)、パネル18の画面上にFAX受信の旨のポップアップウィンドウを表示する(S234)。ユーザがポップアップウィンドウを削除すると(S236:Y)、通知サーバ71へユーザ確認通知が送信される(S238)。通知サーバ71は、第1携帯電話10から、所定の待機時間内にユーザ確認通知を受信すると(S122:Y)、S112へ戻る。
【0046】
<効果>
以上説明した、本実施形態の説明例に係る通知サーバ71の効果を説明する。本願に記載の通知サーバ71では、ある1台のMFPに関連付けられている複数の携帯端末装置のうちで、アクティブ度が相対的に大きい方の装置を、ユーザが携帯している可能性の高い携帯端末装置であると判断することができる。そして、ユーザが携帯している可能性の高い携帯端末装置に対して、MFPでFAX受信のイベントが発生した旨を通知することができる。複数の携帯端末装置の全てに対してFAX受信のイベントが発生した旨を通知する場合には、ユーザはFAX受信のイベント発生についての同一の通知を、複数台の携帯端末装置の各々で確認しなければならないため、煩雑である。しかし本願に記載の通知サーバ71では、ユーザが携帯している携帯端末装置にのみFAX受信のイベント発生を通知することができるため、このような煩雑さを回避することが可能となる。
【0047】
また、携帯端末装置からアクティブ度を受信することによって(S142)、携帯端末装置の使用状態を把握することができる。これにより、ユーザが持ち運んでいる可能性の高い携帯端末装置を推定することが可能となる。
【0048】
また、第2FAX受信通知を送信してから所定の待機時間内に、ユーザ確認通知を受信しない場合(S122:NO)には、ユーザがFAX受信のイベント発生の通知を確認していない場合であると判断することができる。よって、アクティブ度が次に大きい携帯端末装置へ第2FAX受信通知を送信することで(S128)、ユーザが持ち運んでいる可能性が次に高い携帯端末装置へFAX受信イベントが発生した旨を通知することができる。これにより、FAX受信イベントが発生した旨を確実にユーザに報知することが可能となる。
【0049】
MFPと当該MFPに関連付けられている複数の携帯端末装置とからなるグループ(第1MFP51、第1携帯電話10、第1モバイル端末2からなるグループ、第2MFP51a、第2携帯電話10a、第2モバイル端末2aからなるグループ、など)が複数存在する場合においても、FAX受信イベント発生を通知する処理を、1つの通知サーバ71によって各グループに対して実行することできる。よって、必要とされる通知サーバ71の数を減少させることが可能となる。
【0050】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。以下に変形例を説明する。
【0051】
<変形例>
本実施形態では、通知サーバ71が第1MFP51と第1携帯電話10および第1モバイル端末との間の通信を仲介する場合を説明したが、この形態に限られない。第1MFP51が、第1携帯電話10や第1モバイル端末2と直接通信する形態であってもよい。この場合、第1MFP51の記憶部33に、記憶テーブル12bが記憶されるとすればよい。また、データベース更新処理(図3)および第2FAX受信通知の送信処理(図5)を、第1MFP51のCPU11が実行する形態とすればよい。同様にして、第2MFP51aが、第2携帯電話10aや第2モバイル端末2aと直接通信する形態も可能である。
【0052】
携帯端末装置の各々において、アクティブ度の算出のために取得(S212)される、第1携帯電話10の姿勢を示す情報は、傾きセンサ29の出力に限られない。地磁気センサ25の出力や加速度センサ26の出力を、第1携帯電話10の姿勢を示す情報として用いて、アクティブ度を算出するとしてもよい。地磁気センサ25を用いる場合には、アクティブ度は、第1携帯電話10の先端部が向いている方位の変化量として算出される。加速度センサ26を用いる場合には、アクティブ度は、第1携帯電話10の加速度の変化量として算出される。
【0053】
また、第1携帯電話10の移動を示す情報を用いて、アクティブ度を算出してもよい。移動を示す情報の一例としては、GPS部28によって検出される、第1携帯電話10の位置情報が挙げられる。具体的には、第1携帯電話10は、定期的に第1携帯電話10の位置情報を取得する(S212)。そして、取得時間が前後する位置情報を比較することで、第1携帯電話10の移動を示す情報を算出することができる。また、移動を示す情報の他の例としては、傾きセンサ29の出力、地磁気センサ25の出力、加速度センサ26の出力、などが挙げられる。この場合、定期的に取得される第1携帯電話10の傾き値、方位、加速度が変化する場合には、第1携帯電話10を所持しているユーザが移動していると判断することができる。
【0054】
取得した傾き値から第1携帯電話10のアクティブ度を算出する処理(S214)は、通知サーバ71で実行されてもよい。この場合、第1携帯電話10は、S216において、定期的に取得した傾き値を通知サーバ71に送信するとすればよい。また通知サーバ71は、第1携帯電話10から受信した傾き値を用いて、第1携帯電話10のアクティブ度を算出し、記憶テーブル12bに上書き記憶するとすればよい。また、更なる変形例として、地磁気センサ25の出力(第1携帯電話10の先端部が向いている方位)や加速度センサ26の出力(第1携帯電話10の加速度)を通知サーバ71が受信し、これらの情報を用いて、通知サーバ71が第1携帯電話10のアクティブ度を算出するとしてもよい。
【0055】
また、アクティブ度を算出する際に用いられる情報は、1種類に限らない。例えば、傾きセンサ29の出力(傾き値)、地磁気センサ25の出力(第1携帯電話10の先端部が向いている方位)、加速度センサ26の出力(第1携帯電話10の加速度)、GPS部28の出力(第1携帯電話10の位置情報)のうちの2種類以上の情報を用いて、アクティブ度を算出してもよい。これにより、アクティブ度の信頼性をさらに高めることができる。
【0056】
S118において、通知サーバ71が第2FAX受信通知を送信する携帯端末装置は、1台に限られず複数台であってもよい。例えば、S116において、記憶テーブル12bに記憶されているアクティブ度105が予め定められた閾値以上である携帯端末装置の全てを、ユーザが持ち歩いている可能性がある携帯端末装置であると判断されてもよい。そしてS118において、ユーザが持ち歩いている可能性がある携帯端末装置の全てに対して、第2FAX受信通知を送信するとしてもよい。これにより、MFPでFAX受信イベントが発生した旨を、確実にユーザに報知することが可能となる。またさらなる変形例として、ユーザが持ち歩いている可能性がある携帯端末装置が複数存在する場合には、ランダムに選択された1台の携帯端末装置へ、第2FAX受信通知を送信するとしてもよい。また、S114で検索された携帯端末装置の全てが、閾値よりも小さいアクティブ度105を有する場合(すなわち、検索された携帯端末の全てが、ユーザに持ち歩かれている可能性が低い場合)には、検索された携帯端末装置の全てへ第2FAX受信通知を送信するとしてもよい。
【0057】
通知サーバ71が携帯端末装置の各々からアクティブ度を取得する形態は、携帯端末装置の各々から定期的に送信されてくるアクティブ度を受信する形態(S142)に限られない。何れかのMFPから第1FAX受信通知を受信したことを条件として(S112:YES)、第1FAX受信通知を送信してきたMFPに関連付けられている携帯端末装置に対して、通知サーバ71がアクティブ度の取得要求を行うとしてもよい。これにより、FAX受信イベントがMFPで発生したことをトリガとして、当該MFPに関連している携帯端末装置からアクティブ度を受信することができる。これにより、定期的にアクティブ度を携帯端末装置から受信する場合に比して、通知サーバ71と複数の携帯端末装置の各々との間の通信量を抑えることが可能となる。
【0058】
アカウント情報102は、MFPの製造シリアル番号や、MFPのユーザIDなどに限られない。アカウント情報102は、各MFPを識別する機能を有していればよいため、MFP通信先情報102a(IPアドレスなど)をアカウント情報102として用いることも可能である。
【0059】
通信システム1に含まれるMFPは2台に限られず、3台以上である場合にも本願の技術が適用可能である。また、第1MFP51や第2MFPに関連付けられる携帯端末装置は、2台に限られず、3台以上である場合にも本願の技術が適用可能である。
【0060】
第1MFP51および第2MFP51aは第1端末装置の一例である。FAX受信は所定のイベントの一例である。S112を実行するCPU72は検出手段の一例である。第1携帯電話10、第1モバイル端末2、第2携帯電話10a、第2モバイル端末2aは第2端末装置の一例である。アクティブ度は端末装置情報の一例である。S144を実行するCPU72は第1の受信手段の一例である。第2FAX受信通知は第1通知情報の一例である。S118を実行するCPU72は送信手段の一例である。通知サーバ71、第1MFP51、第2MFP51aは通信装置の一例である。ユーザ確認通知は返信情報の一例である。S122を実行するCPU72は第2の受信手段の一例である。待機時間は第1所定時間の一例である。アカウント情報は識別情報の一例である。記憶テーブル12bは記憶手段の一例である。送信間隔時間は第2所定時間の一例である。
【符号の説明】
【0061】
1:通信システム、2:第1モバイル端末、2a:第2モバイル端末、10:第1携帯電話、10a:第2携帯電話、12b:記憶テーブル、51:第1MFP、51a:第2MFP、71:通知サーバ、72:CPU


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端末装置で所定のイベントが発生した旨を検出する検出手段と、
前記第1端末装置に関連付けられている複数の第2端末装置の各々から、第2端末装置の移動または姿勢を示す端末装置情報を受信する第1の受信手段と、
受信した前記端末装置情報に基づいて、前記複数の第2端末装置のうちで移動または姿勢の変化量が相対的に大きい第2端末装置である特定の第2端末装置を選択し、前記第1端末装置で前記所定のイベントが発生した旨を通知する第1通知情報を前記特定の第2端末装置へ送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記端末装置情報は、第2端末装置が内蔵する錘の位置変化の検出、第2端末装置の角速度の検出、衛星から送信されるGPS信号の検出、または、地磁気の検出の少なくとも何れか1つによって得られる情報であることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記特定の第2端末装置から、前記第1通知情報に対する返信情報を受信する第2の受信手段をさらに備え、
前記送信手段は、前記第1通知情報を送信してから第1所定時間内に前記第2の受信手段で前記返信情報を受信しない場合には、移動または姿勢の変化量が前記特定の第2端末装置の次に大きい第2端末装置へ前記第1通知情報を送信することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記送信手段は、特定の第2端末装置を複数選択し、第1通知情報を複数の特定の第2端末装置の各々へ送信することを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
第1端末装置を識別する識別情報と、当該第1端末装置に関連付けられている複数の第2端末装置を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記検出手段は、前記所定のイベントが発生した第1端末装置から前記識別情報を受信し、
前記送信手段は、前記所定のイベントが発生した第1端末装置と関連付けられている複数の第2端末装置を前記識別情報に基づいて前記記憶手段を用いて検索し、検索した複数の第2端末装置のうちから前記特定の第2端末装置を選択することを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第1の受信手段は、予め定められた第2所定時間が経過するたびに、前記複数の第2端末装置の各々から前記端末装置情報を受信することを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記第1の受信手段は、前記検出手段によって前記所定のイベントが発生した旨が検出されたことを条件として、前記複数の第2端末装置の各々から前記端末装置情報を受信することを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
通信装置のコンピュータが読み取り可能なプログラムであって、
前記コンピュータを、
第1端末装置で所定のイベントが発生した旨を検出する検出手段と、
前記第1端末装置に関連付けられている複数の第2端末装置の各々から、第2端末装置の移動または姿勢を示す端末装置情報を受信部に受信させる第1の受信手段と、
受信した前記端末装置情報に基づいて、前記複数の第2端末装置のうちで移動または姿勢の変化量が相対的に大きい特定の第2端末装置を選択し、前記第1端末装置で前記所定のイベントが発生した旨を通知する第1通知情報を前記特定の第2端末装置へ送信部に送信させる送信手段と、
して機能させるプログラム。
【請求項9】
第1端末装置で所定のイベントが発生した旨を検出する検出ステップと、
前記第1端末装置に関連付けられている複数の第2端末装置の各々から、第2端末装置の移動または姿勢を示す端末装置情報を受信する第1の受信ステップと、
受信した前記端末装置情報に基づいて、前記複数の第2端末装置のうちで移動または姿勢の変化量が相対的に大きい特定の第2端末装置を選択し、前記第1端末装置で前記所定のイベントが発生した旨を通知する第1通知情報を前記特定の第2端末装置へ送信する送信ステップと、
を備えることを特徴とする通信装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−74332(P2013−74332A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209760(P2011−209760)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】