通信装置およびプログラム
【課題】システムスループットを向上させる。
【解決手段】送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第1の干渉特徴量を測定する測定手段204と、第1の干渉特徴量から送信周波数帯域に干渉信号があるか否かを判定する干渉判定手段205と、測定の後に、送信周波数帯域のうちで干渉信号に直交する周波数帯域、干渉信号に直交する時間、干渉信号に直交する空間、および干渉信号に直交する拡散コードのうち少なくとも1つに該当する送信チャネルを、測定手段が測定する第2の干渉特徴量から求める干渉解析手段209と、送信周波数帯域に干渉信号がないと判定された場合に送信周波数帯域で第1の送信をし、送信周波数帯域に干渉信号があると判定された場合に送信チャネルで第2の送信を行う送信手段211と、を具備する。
【解決手段】送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第1の干渉特徴量を測定する測定手段204と、第1の干渉特徴量から送信周波数帯域に干渉信号があるか否かを判定する干渉判定手段205と、測定の後に、送信周波数帯域のうちで干渉信号に直交する周波数帯域、干渉信号に直交する時間、干渉信号に直交する空間、および干渉信号に直交する拡散コードのうち少なくとも1つに該当する送信チャネルを、測定手段が測定する第2の干渉特徴量から求める干渉解析手段209と、送信周波数帯域に干渉信号がないと判定された場合に送信周波数帯域で第1の送信をし、送信周波数帯域に干渉信号があると判定された場合に送信チャネルで第2の送信を行う送信手段211と、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、干渉検出および信号送信方法についての通信装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の干渉測定および信号送信を行うシステムとして、自システムと同一の周波数を用いる他システムと共存するシステムを前提としたものがある。これは、干渉信号レベル判定回路を用いて干渉信号の有無を判定し、受信干渉信号レベルが閾値を超えたら、一定期間信号送信を停止させたのち、再度信号の送信を行うものである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−333081公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来では、狭帯域の時分割を用いた複数システム共存では問題ないが、広帯域で周波数分割等を含めた共存を考えた場合、短時間で干渉検出を行うと干渉の詳細な特徴が把握できないため、干渉信号に直交させた通信を行うことができず、通信が途絶えてしまう。
【0004】
また、その周波数帯域におけるアンライセンスシステムの影響を受けて、スループットが極端に低下する恐れがある。さらに、干渉の詳細な特徴を把握しようとすると、干渉検出に時間がかかり、システムスループットが低下する。
【0005】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたものであり、他システムへの与干渉確率を低いものに保ちつつ、自システムのシステムスループットを向上させる通信装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明の通信装置は、送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第1の干渉特徴量を測定する測定手段と、前記第1の干渉特徴量から前記送信周波数帯域に干渉信号があるか否かを判定する干渉判定手段と、前記測定の後に、前記送信周波数帯域のうちで前記干渉信号に直交する周波数帯域、前記干渉信号に直交する時間、前記干渉信号に直交する空間、および前記干渉信号に直交する拡散コードのうち少なくとも1つに該当する送信チャネルを、前記測定手段が測定する第2の干渉特徴量から求める干渉解析手段と、前記送信周波数帯域に干渉信号がないと判定された場合に前記送信周波数帯域で第1の送信をし、前記送信周波数帯域に干渉信号があると判定された場合に前記送信チャネルで第2の送信を行う送信手段と、を具備することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の通信装置は、送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第1の干渉特徴量を測定する測定手段と、前記第1の干渉特徴量から前記送信周波数帯域に干渉信号があるか否かを判定する干渉判定手段と、前記干渉判定手段で前記送信周波数帯域に干渉信号がないと判定された場合、前記送信周波数帯域において、信号を送信する第1の送信手段と、前記干渉判定手段で前記送信周波数帯域に干渉信号があると判定された場合、前記送信周波数帯域において、前記干渉信号に直交する周波数帯域、前記干渉信号に直交する時間、前記干渉信号に直交する空間、および前記干渉信号に直交する拡散コードのうち少なくとも1つに該当する送信チャネルを、前記測定手段が測定する第2の干渉特徴量から見つける干渉解析手段と、前記干渉解析手段において、前記送信チャネルが見つかった場合、前記送信チャネルで信号の送信を行う第2の送信手段と、を具備することを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明の通信装置は、干渉信号の特徴量に対応するチャネル情報と、前記チャネル情報と関連付けられた優先権情報と、を記憶する優先権情報記憶手段と、送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第1の干渉特徴量を測定する測定手段と、前記第1の干渉特徴量から前記送信周波数帯域に干渉信号があるか否かを判定する干渉判定手段と、前記干渉判定手段で前記送信周波数帯域に干渉信号がないと判定された場合、前記送信周波数帯域で送信を行う第1の送信手段と、前記干渉判定手段で前記送信周波数帯域に干渉信号があると判定された場合、前記測定手段に測定され前記送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第2の干渉特徴量から干渉チャネル情報を求める干渉解析手段と、前記チャネル情報のうち、前記干渉チャネル情報に該当するものに関連付けられている優先権情報が自装置に優先権があると示している場合に、前記送信周波数帯域で送信を行う第2の送信手段と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の通信装置およびプログラムによれば、他システムへの与干渉確率を低いものに保ちつつ、自システムのシステムスループットを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る通信装置およびプログラムについて詳細に説明する。
まず、本実施形態における通信装置のシステム構成の一例について図1を参照して説明する。
端末(本実施形態の通信装置)101と端末102は本実施形態の通信システムに従い動作する。端末101と端末102は、ある周波数帯域を用いて通信を行っている。ここでは、時分割多重を用いて送受信しているものとして説明を行うが、周波数分割多重でも同様に考えることができる。
【0011】
端末102の付近において、端末103と基地局104とのシステムが、端末101と端末102が通信を行っている周波数帯域において同時に通信を行うと、システム間で互いに干渉が発生する。ここで、端末103と基地局104は、この周波数帯域において、ライセンスされているシステムであり、通信の優先権を持つものとする。このライセンスされているシステムは、例えば、1.9GHz帯域におけるPHS(personal handyphone system)、800MHz帯域におけるPDC(personal digital cellular)、2GHz帯域におけるW−CDMA(wideband code division multiple access)、CDMA2000のようなシステムであるものとする。端末101と端末102は、端末103と基地局104の通信が開始されたことを認識し、端末103と基地局104の通信に与える干渉を最小限にとどめなければならないものとする。
【0012】
また、同じ周波数帯域において、端末105と端末106とのシステムが通信を開始しても、端末101と端末102のシステムとの間で、互いに干渉となる。ここで、端末105と端末106は、この周波数帯域において、ライセンスされていないアンライセンスシステムであり、通信の優先権を持たないものとする。例えば、2.4GHz帯域におけるBlue tooth、2.4GHzや5GHz帯域におけるW−LAN(wideband-code division multiple access)、3−12GHz付近の広帯域におけるUWB(ultra wide band modulation)のようなシステムであるとする。この場合、多少の干渉が存在しても、通信への影響が軽微であるならば、通信を継続しても差し支えはないものとする。
【0013】
(第1の実施形態)
本実施形態の通信装置について図2を参照して説明する。本実施形態の通信装置は、図1の端末101または102に対応する。本実施形態の通信装置は、干渉を検出し、干渉の解析を行う。干渉の検出は、図2のRSSI測定部204、干渉検出部205で行う。干渉の解析は、干渉解析部209が、DFT206、変調方式推定部207、優先度データベース208から情報を受け取って行う。
本実施形態の通信装置は、アンテナ201、無線周波数処理部(RF部)202、ADC(analog-to-digital converter)203、RSSI(received-signal intensity:受信信号強度)測定部204、干渉検出部205、DFT(discrete Fourier transformer)206、変調方式推定部207、優先度データベース(DB)208、干渉解析部209、制御処理部210、信号送信処理部211、DAC(digital-to-analog converter)212、RF部213を備えている。
【0014】
RF部202は、アンテナ201で受け取った受信信号をベースバンド信号に変換する。ADC203は、このベースバンド信号をデジタル信号に変換する。
【0015】
RSSI測定部204は、ADC203から受け取ったデジタル信号のRSSIを測定する。
【0016】
干渉検出部205は、ある周波数帯域に干渉信号の存在があるか否かを検出する。干渉検出部205は、例えば、信号の送信を行う周波数帯域において受信電力と、熱雑音電力から求めた閾値とを比較し、受信電力が閾値より大きければ干渉信号が存在すると判定する。また、受信電力が閾値より小さければ、干渉信号は存在しないと判定する。干渉電力を特徴量として干渉の有無を判定することで、短時間で干渉の存在を把握することができる。
干渉検出部205は、RSSI測定部204から受け取るRSSI測定値と閾値との比較を行う。ここで、閾値は、例えば、熱雑音電力(例えば、−174dBm/Hz)と同等の電力を定めておく。RSSI測定値が閾値を下回った場合、信号を受信した帯域には干渉はないとみなして、信号送信処理部211に対して信号送信処理を許可するとともに、制御処理部210に対しても干渉検出の結果、干渉がない旨を報告する。また、RSSI測定値が閾値以上の場合、信号を受信した帯域に干渉を検出したとして、信号送信処理部211に対して信号送信停止の指示を通知するとともに、制御処理部210に対しても信号送信を停止した旨を報告する。
この場合、信号送信停止の指示を信号送信処理部211に通知したが、DAC212に通知し送信信号の停止を行っても良い。また、RF部213に可変帯域通過フィルタを含めておき、干渉検出部205がRF部213に通知して可変帯域通過フィルタの通過帯域を変更して、干渉検出部205が干渉を検出した周波数帯域の信号を通過しないようにしてもよい。さらに、RF部213に電力増幅回路(PA)を含めておき、干渉検出部205がRF部213に通知してPAの電源を落として、干渉検出部205が干渉を検出した周波数帯域の信号を遮断してもよい。干渉検出部205は後に図3、図4を参照して説明する。
【0017】
DFT206は、干渉信号をサンプリングし、特徴量の一つとして、離散フーリエ変換処理を行うことで干渉信号の周波数特性を得る。ADC203からデジタル信号を受け取り、この信号を離散フーリエ変換する。この離散フーリエ変換された値は、干渉信号の特徴量の一つとして、干渉信号の周波数毎の電力に対応する。ここでは、離散フーリエ変換を用いているが、DFT206の代わりに、フィルタバンクや直交復調周波数のスイープにより周波数特性を得る装置を備えても良い。
【0018】
変調方式推定部207は、ADC203からデジタル信号を受け取り、振幅の分散や、位相の分散などの特徴量を用いて、干渉信号の変調方式を推定する。変調方式推定部207は、その他の特徴量として、干渉信号の到来方向、干渉信号の振幅の標準偏差、振幅絶対値の標準偏差、振幅の尖度、周波数成分の絶対値の標準偏差、周波数成分の尖度、位相の標準偏差、位相の絶対値の標準偏差、正規化した振幅絶対値の周波数成分、左右周波数成分の有無、周波数成分の左右非対称性、中心周波数電力、周波数成分の最大電力などを算出し、変調方式、シンボルレートを推定することができる。
【0019】
優先度データベース208は、複数のシステムを示す情報(例えば、複数のシステムそれぞれが使用可能な周波数など)と、そのシステムが自システムより優先度が高いか低いかを示す情報とを関連付けて記憶している。システムの優先度の高低判断基準として、予めデータベースとして、送信可能な周波数帯域におけるシステムの優先度を保存する。優先度データベース208には周波数帯域とシステム優先度情報の他に、変調方式、シンボルレート、信号周波数帯域幅、信号電力、パイロットパターン、バースト長、Duty比等を保存しておき、干渉解析およびシステム推定の際に用いても良い。また、優先度データベース208は、ROMで構成されても良いし、リムーバブルなメモリや、報知された信号によって書き換えられるRAMでも良い。
【0020】
干渉解析部209は、どの周波数帯域に、どのような信号が干渉として存在しているかを解析によって得る。干渉解析部209は、干渉信号の周波数帯域および変調方式・シンボルレートを推定し、この情報と、その周波数帯域におけるシステムの変調方式、シンボルレートとを比較することにより、干渉信号のシステムを推定する。推定した干渉信号を送信しているシステムが、自システムより優先度が高い場合は、信号送信処理を再開せず、通信を切断するか、他の周波数帯域を用いて通信を継続するように制御処理部210に指示を出す。干渉解析部209は、DFT206から干渉信号の周波数ごとの電力を受け取り、変調方式推定部207から推定された干渉信号の変調方式を受け取り、優先度データベース208から干渉信号を送信しているシステムの優先度を受け取り、制御処理部210に記憶されている前回の干渉解析処理の情報を受け取り、これらに基づいて信号送信処理を再開できるか否かを判断する。干渉解析部209は、DFT206からは、どの周波数帯域に干渉信号が存在する(干渉信号の周波数特性)のかを確認する。干渉解析部209は、干渉解析処理の結果、信号送信を再開できると判断した場合、信号送信再開ができる旨の解析結果を制御処理部210に通知する。一方、干渉解析部209は、信号送信を再開できないと判断した場合は、信号送信再開ができない旨の解析結果を制御処理部210に通知する。
【0021】
干渉解析部209は、干渉検出部205が前回の送信する直前に検出した干渉信号と同じ帯域に干渉信号があると検出した場合には、この前回に検出した干渉解析結果を利用して簡易的に少ない処理量で干渉解析を行い、干渉解析の時間を削減する。例えば、干渉信号の周波数帯域に関しては、離散フーリエ変換を行うサンプルポイント数を削減することで、前回の干渉解析の時と比較して、精度を荒くする。他に、干渉解析部209は、過去数回の干渉解析の履歴を制御処理部210のメモリに保存する。干渉解析部209はさらに、履歴に残された干渉信号と同じ周波数帯域に干渉信号があった場合に、過去の変調方式との比較を行ってもよい。また、前回の干渉解析処理が行われた時刻を履歴として制御処理部210のメモリに保存しておき、今回の干渉解析処理の時刻との差が閾値より大きい場合、前回の干渉信号と同じ周波数帯域に干渉信号があった場合においては、全候補から変調方式推定を行ってもよい。
【0022】
ここでは、干渉解析部209は、干渉信号が送信されるシステムの推定を、測定した周波数帯域と推定した変調方式のみで行っているが、信号電力、信号周波数帯域幅、シンボルレート、パイロットパターン、バースト長、Duty比等によってシステム推定を行っても良いし、共通インジケータパターン、共通プロトコル等のブロードキャストによって、システムの通知を行っても良い。干渉解析部209の動作の詳細については、後に図6を参照して説明する。干渉解析部209については図3、図4を参照して説明する。
【0023】
制御処理部210は、干渉解析部209からの通知に応じて信号送信処理部211に指示を通知する。例えば、制御処理部210は、干渉解析処理の結果を受けて、干渉信号の送信元システムの優先度が自システムより低い場合は信号送信を再開し、干渉信号の送信元システムの優先度が高い場合は、前回の通信周波数帯域とは別の周波数帯域で通信を行う手続きを開始する。また、制御処理部210は、干渉解析部209の干渉解析結果(例えば、干渉解析を行った周波数帯域、干渉信号の変調方式)を格納するメモリを有する。このメモリには、前回の送信処理時に干渉解析を行ったかどうかの情報も格納している。このメモリは、過去の所定の時刻での干渉検出結果も格納していてもよい。
【0024】
信号送信処理部211は、制御処理部210からの指示に基づいて、データを送信する信号処理を行い、DAC212に渡す。DAC212は、受け取ったデータをアナログ信号に変換する。RF部213は、DAC212から信号を受け取って、この信号を送信信号に変換しアンテナ201から送信信号を送信する。
【0025】
次に、第1の実施形態における端末101の干渉検出処理および信号送信の一例について図3を参照して説明する。
端末101および端末102はすでに同期が取れているものとし、また、端末101がどの周波数帯域およびどのタイミングで信号を送信するかは、すでにお互いに既知であるものとする。これらの交渉は他の専用周波数帯域で通知してもよいし、UWBのような広い帯域を用いて他のシステムに干渉を与えないように通知を行ってもよい。
【0026】
端末101は、本システムにおいて送信が可能な帯域からある周波数帯域を選択し、信号の送信を行うが、信号の送信を行う前に、信号の送信を行う周波数帯域を含む周波数帯域において、干渉検出処理(キャリアセンス:CS(carrier sense))を行う(301)。干渉検出処理は、RSSI測定部204、干渉検出部205が行う。干渉検出処理において干渉信号が存在しないと判定された場合は、信号送信処理部211、DAC212、RF部213が信号の送信処理を行う(302)。連続して信号を送信したい場合は、同様にして干渉検出処理(303)を行い、その後、信号送信処理(304)を行う。このように、信号送信の前には干渉検出処理を行う。
【0027】
次に、第1の実施形態における端末101の干渉検出処理、干渉解析処理および信号送信の一例について図4を参照して説明する。
端末101は、図3の場合と同様に、干渉検出処理(401)を行い、信号送信を行う周波数帯域において干渉信号がないことを確認した後、信号送信処理(402)を行う。続けて信号送信を行おうとして、干渉検出処理(403)を行ったとき、信号送信を行う周波数帯域において、干渉信号(405)が存在したものとする。このとき、干渉検出処理(403)では、電力の有無のみで干渉信号の存在を把握するため、どの周波数帯域に、どのような信号が干渉として存在しているかは判断することができない。
【0028】
端末101は、干渉検出部205が、干渉信号(405)を検出したため、信号送信処理を停止し、干渉解析部209が干渉解析処理(404)を行う。干渉解析処理(404)では、干渉信号(405)がどのような特徴を持つかを解析する。干渉解析部209は、DFT206による離散フーリエ変換処理を行うことで得た、干渉信号の周波数特性から、どの周波数帯域に干渉信号(405)が存在するのかを確認する。
【0029】
干渉解析部209は、干渉信号(405)のシステムを推定する。干渉解析部209は、推定した干渉信号(405)を送信しているシステムが、自システムより優先度が高い場合は、端末101は信号送信処理を再開せず、通信を切断するか、他の周波数帯域を用いて通信を継続する指示を制御処理部210に通知する。例えば、干渉信号(405)を送信しているシステムが、図1の端末103および基地局104のように、その周波数帯域においてライセンスされているセルラシステムのような場合、端末101は、この周波数帯域において信号送信処理を再開しない。また、推定した干渉信号(405)を送信しているシステムが、自システムより優先度が低い場合、かつ、干渉電力が低く、自システムへの影響が低いと判断した場合、端末101は信号送信処理を再開する(406)。例えば、干渉信号(405)を送信しているシステムが、図1の端末105および端末106のように、その周波数帯域においてライセンスされていないシステムの場合、端末101は、この周波数帯域において信号送信処理を再開する。このとき、同一時間、同一周波数帯において、信号が重なるため、互いに干渉が発生するが、使用している変調方式に対して、干渉信号の電力が低ければ、通信が可能である。また、通信品質を向上させるために、送信電力制御、ビームフォーミング等を用いて干渉を低減しても良い。
【0030】
さらに、続けて信号送信を行う要求が発生した場合、干渉検出処理(407)を行う。この時、前回の干渉解析(404)の時と同じ干渉信号(405)が存在したものとする。この場合、干渉検出処理(407)で干渉の存在が確認されているため、再び干渉解析処理(408)が行われるが、この時は前回の干渉解析(404)の時に解析した結果を用いて、干渉解析の際に用いる特徴量のデータ量を削減し、干渉解析に用いる時間を削減する。例えば、前回解析して求めた干渉信号の周波数帯域についての離散フーリエ変換用サンプルポイント数を今回は削減する(つまり前回の干渉解析(404)の時と比較して精度を荒くする)ことで、干渉解析(408)の時間を削減する。これは、前回の干渉解析(404)の時と同じ周波数帯域に干渉信号(405)が存在する確率が高いということを利用したものである。この時、精度を荒くし周波数帯域の干渉信号電力測定において、干渉が検出できなければ、前回の干渉解析(404)と同様な干渉解析を行う必要がある。
【0031】
なお、サンプルポイント数を削減する他にも、例えば特徴量の種類を前回より少なくしたり、解析の桁数を少なくしたり、といったことで、特徴量のデータ量を削減することができることはいうまでもない。
【0032】
また、変調方式推定に関して、多くの変調方式候補の中から、一つの変調方式を推定するためには、上記に記したような、多くの特徴量が必要となるが、前回の干渉解析(404)の結果と同じ変調方式であるか否かを判定する時には、すべての特徴量を使用する必要はない。例えば、変調方式{AM(amplitude modulation),MASK(M-ary amplitude shift keying),VSB(vestigial side band),FM(frequency modulation),MFSK(M-ary Frequency shift keying),DSB―SC(double side band suppressed carrier),SSB−SC(single side band suppressed carrier),BPSK(binary phase shift keying),QPSK(quadrature phase shift keying)}の候補の中から、一つの変調方式を推定するためには、干渉信号の振幅の標準偏差、振幅絶対値の標準偏差、振幅の尖度、周波数成分の絶対値の標準偏差、周波数成分の尖度、位相の標準偏差、位相の絶対値の標準偏差、正規化した振幅絶対値の周波数成分、左右周波数成分の有無、周波数成分の左右非対称性、中心周波数電力、周波数成分の最大電力などを用いて推定を行うが、前回の干渉解析(404)の結果QPSKと同じであるか否かを干渉解析(408)で確かめるとすると、位相の標準偏差、左右周波数成分の有無、位相の絶対値の標準偏差、周波数成分の最大電力のみを用いることで、判断できる。
【0033】
干渉解析(408)の結果、前回の干渉解析(404)と同じ干渉信号(405)であると判断した場合、端末101の信号送信処理部211は信号送信処理(409)を行う。また、干渉解析部209は、干渉解析(408)の結果、前回の干渉解析(404)で解析した干渉信号(405)ではない判断した場合、再び詳細な干渉信号解析を行う。
【0034】
次に、第1の実施形態における端末101の干渉検出、干渉解析および信号送信手順について図5を参照して説明する。
まず、RSSI測定部204が、信号を送信する周波数帯域に対して、特徴量の一つとして、RSSIを測定する(ステップS501)。次に、干渉検出部205が、測定した受信電力と予め定められた閾値とを比較する(ステップS502)。この時、閾値は、例えば、熱雑音電力と同等の電力を定めておく。この時、受信電力が閾値を下回った場合(ステップS503のNo)、通常動作として、信号送信処理部211、DAC212、RF部213によって、端末101は信号を送信する(ステップS504)。
【0035】
受信電力が閾値を上回った場合(ステップS503のYes)、干渉検出部205は、信号を送信する周波数帯域内に干渉信号が存在すると判断し、信号送信処理部211に、信号の送信を停止する通知を行い、信号送信処理部211が信号の送信を停止する(ステップS505)。さらに、DFT206と変調方式推定部207が、この周波数帯域内に存在する干渉信号の解析を行うために、干渉信号の特徴量を収集し(ステップS506)、干渉解析部209が、この特徴量を用いて干渉信号の解析を行い、干渉信号がどのようなシステムから送信されているかを推定する(ステップS507)。干渉解析部209は、干渉解析の結果から信号送信再開が可能であるかどうかを判断し(ステップS508)、信号送信可能であると判断すれば、制御処理部210を介して再開処理の指示を信号送信処理部211に通知し、信号送信処理部211が信号送信を行い(ステップS509)、再開できないと判断されれば、この周波数帯域での通信をあきらめて、別周波数帯域への通信変更手続きを開始する(ステップS510)。別周波数帯域への変更交渉は他の専用周波数帯域で通知してもよいし、UWBのような広い帯域を用いて他のシステムに干渉を与えないように通知を行ってもよい。
【0036】
次に、第1の実施形態における干渉信号解析処理(ステップS507)および、信号送信再開判定処理(ステップS508)の詳細について図6を参照して説明する。図6は、干渉信号検出処理で干渉が存在すると判定され、信号の送信を停止した後のフローチャートである。
まず、DFT206が、サンプリングした受信信号に対して離散フーリエ変換処理を行う(ステップS601)。この処理で、干渉解析部209は、干渉信号が測定した周波数帯域のどの周波数に存在するかを確認する。次に、干渉解析部209が、制御処理部210内のメモリを参照して、前回の送信時に干渉信号検出処理において、干渉信号が検出され、信号送信処理の前に干渉解析処理が行われたかどうかを判定する(ステップS602)。例えば、図4の干渉解析処理404は前回の干渉検出処理401において干渉が検出されていないため、前回の信号送信処理402の前には干渉解析処理は行われていない。また、図4の干渉解析処理408は前回の干渉検出処理403において、干渉が検出されているため、前回の信号送信処理406の前には、干渉解析処理404が行われている。ここで、前回の信号送信処理の前に干渉解析処理が行われていれば、次に、干渉解析部209が、制御処理部210内のメモリを参照して、その干渉信号が前回の変調解析の時と同じ周波数帯域に存在するか否かを判断する(ステップS603)。さらに、前回と同じ周波数帯域の干渉信号であると判断された場合、干渉解析部209が制御処理部210内のメモリを参照して前回解析された干渉信号と同じ変調方式であるか否かを推定する処理を行う(ステップS604)。ここでは、変調方式が同じかどうかを判定しているが、変調方式でなく、他の特徴量が同じかどうかを判定してもよい。ここで、干渉解析部209が、変調方式推定部207によって推定された干渉信号の変調方式が前回解析された干渉信号と同じ変調方式であると判断した場合、前回推定されたシステムと同一であると判断する(ステップS606)。また、前回の送信時に干渉信号の解析を行っていない場合(ステップS602のNo)、または、前回の干渉解析と結果が異なる場合(ステップS603のNo、605のNo)は、変調方式推定部207が、すべての候補の中から変調方式の推定を行い(ステップS608)、干渉解析部209が、干渉信号の周波数帯域および推定された変調方式から、干渉信号のシステムを推定する(ステップS609)。
【0037】
本実施形態では、前回の干渉信号と同じ周波数帯域に干渉信号があった場合に(ステップS603のYes)に、前回の変調方式との比較(ステップS605)を行っているが、過去数回の干渉解析の履歴を保存し、履歴に残された干渉信号と同じ周波数帯域に干渉信号があった場合に、前回の変調方式との比較(ステップS605)を行ってもよい。また、前回の干渉解析処理が行われた時刻を履歴として保存しておき、今回の干渉解析処理の時刻との差が、閾値より大きい場合、前回の干渉信号と同じ周波数帯域に干渉信号があった場合でも、前候補から変調方式推定(ステップS608)を行ってもよい。ここでの閾値は、該当する周波数帯域において優先度を持つシステムや、干渉信号のシステムの送信サイクル周期に合わせて設定する必要がある。例えば、TV放送などは、深夜帯に放送が途絶えるとすると、サイクル周期は数時間単位と考えられるため、閾値は数分〜数時間であることが考えられる。レーダーなどはサイクル周期がs単位、また、無線LANや携帯電話等は、サイクル周期がms単位と考えられるため、閾値は数us〜数msであることが考えられる。
【0038】
干渉信号のシステム推定が完了した後、干渉検出部205が送信する周波数帯域における干渉信号電力と閾値を比較する(ステップS610)。この閾値は干渉検出処理(403)で用いた熱雑音から計算された閾値とは異なり、通信中のデータのQoS(quality of service)によって可変となる閾値である。例えば、送信する信号の変調方式が干渉に強い方式(BPSK等)であれば、閾値は高く設定され、変調方式が干渉に弱い方式(64QAM等)であれば、閾値は低く設定される。誤り訂正符号の符号化率が高ければ、多くの誤りを訂正できるため、閾値を高く設定できる。制御信号のようにリアルタイム性が要求され、かつ、多くの誤りを許容できないデータに対しては、閾値は低く設定され、データのダウンロードのように再送が許容されるデータに対しては、閾値は高く設定される。
【0039】
干渉信号電力が閾値より低いと判断された場合(ステップS610のYes)、干渉解析部209は、ステップS606およびステップS609で推定された干渉信号の送信元のシステムと、自システムとの優先度を比較し、干渉信号を送信するシステムが、低い優先度をもっていると判断した場合(ステップS611のYes)、信号送信処理を再開できると判断する(ステップS612)。もし、推定した干渉信号を送信するシステムが、自システムより優先度が高ければ(ステップS611のNo)信号送信処理を再開できないと判断する(ステップS613)。
【0040】
第1の実施形態によれば、干渉を検出した時点で信号の送信を一時停止させるため、他システムに干渉を与える確率を低く抑えることができるとともに、干渉解析の結果に応じて信号送信を再開できるため、自システムのスループットを向上することができる。
【0041】
また、自システムより優先度が高いか低いかを合わせて複数のシステムを記憶しているので、アンライセンスシステムや、他のコグニティブ無線機が存在し、通信を行っている場合に、自システムのスループットが下がることを防止することができる。
【0042】
さらに、ライセンスシステムが存在し、通信を行っている場合に、この通信を避けて通信を行うことで、ライセンスシステムへの干渉を抑圧するとともに、自システムのスループットが下がることを防止することができる。
【0043】
またさらに、干渉検出手段で、連続して干渉信号が検出された場合、同一システムからのまたは同様な特徴を有した干渉信号である可能性が高いことを利用して、干渉解析に使用する特徴量を絞ることにより、2回目以降の干渉解析手段を短時間で終了させることができるため、自システムのスループットを向上させることができる。
【0044】
(第2の実施形態)
本実施形態の通信装置は、第1の実施形態とは干渉解析処理が異なる。本実施形態の通信装置は、第1の実施形態の通信装置とは異なり、変調方式推定部207、優先度データベース208を備えていない。また、本実施形態の干渉解析部と制御処理部は、第1の実施形態での干渉解析部209と制御処理部210の動作と異なる。以下、既に説明した装置部分と同様なものは同一の番号を付してその説明を省略する。
【0045】
第2の実施形態の通信装置について図7を参照して説明する。
干渉解析部701は、DFT206での離散フーリエ変換処理を用いて、干渉信号の特徴量の一つとして、干渉信号の周波数毎の電力を得て、現在使用している周波数帯域の中で、空き周波数帯域で通信再開が可能であるか否かを判断する。干渉解析部701の動作の詳細は後に図9を参照して説明する。
【0046】
制御処理部702は、干渉解析部701の干渉解析処理の結果を受けて、別周波数帯域で通信を行う手続きを開始する。制御処理部702は、干渉信号を周波数空間的に避けて送信を行うよう送信を制御する。すなわち、送信する時間は干渉信号と重なることがあっても、干渉信号が送信されていない周波数帯域で、端末101が送信処理を行うように制御する。また、制御処理部702は、第1の実施形態の制御処理部210のように、干渉解析処理の結果、干渉解析部701が信号送信を再開できると判断した場合、信号送信再開ができる旨の通知を受け取り信号送信処理部211に通知し、信号送信を再開できないと判断した場合は、信号送信再開ができない旨の通知を受け取り信号送信処理部211に通知する。
【0047】
次に、第2の実施形態における、端末101の干渉検出、干渉解析処理および信号送信の一例について図8を参照して説明する。
端末101および端末102はすでに同期が取れているものとし、また、端末101がどの周波数帯域およびどのタイミングで信号を送信するかは、すでにお互いに既知であるものとする。これらの交渉は他の専用周波数帯域で通知してもよいし、UWBのような広い帯域を用いて他のシステムに干渉を与えないように通知を行ってもよい。
【0048】
端末101の干渉解析部209が、DFT206による離散フーリエ変換処理を行うことで得た、干渉信号の周波数特性から、どの周波数帯域に干渉信号(405)が存在するのかを確認するまでは、第1の実施形態での図4での説明と同様である。
【0049】
干渉解析部701が、干渉を解析した結果、干渉信号(405)の中心周波数および周波数帯域幅を確認した後、この干渉信号を避け、該干渉信号に対して互いに干渉が十分に小さく、互いの通信に影響を及ぼさない低干渉周波数帯域で、信号送信処理を再開するように制御処理部210に通知し、信号送信処理部211が送信処理を行う(801)。低干渉周波数帯域は、上記干渉信号とは異なる周波数帯域であり、例えば、上記干渉信号に直交する周波数帯域とすればより好ましい効果が得られることはいうまでもない。さらに、続けて送信を行う場合、再び送信する周波数帯域において、RSSI測定部204と干渉検出部205が干渉検出処理(802)を行い、干渉が存在しないことを確認した後、信号送信処理部211が信号送信処理(803)を行う。
【0050】
第2の実施形態では、干渉信号の周波数成分という特徴量を用いて干渉解析を行ったが、干渉信号の到来方向という特徴量を用いて、アダプティブアレーアンテナで干渉信号の到来方向にヌルを向けた信号送信再開を行うことで、空間的な直交性を利用できる。また、干渉信号のバースト長、干渉信号のバーストサイクル周期、干渉信号のDuty比という特徴量を用いて、その時間的な隙間を利用して信号送信再開をすることで、時間的な直交性を利用できる。さらに、干渉信号がDS−CDMAであった場合、干渉信号の拡散コードという特徴量を用いて、干渉信号と直交する拡散コードを用いて信号送信再開をすることで、拡散コード的な直交性を利用できる。干渉信号が周波数ホッピングもしくは時間ホッピングを用いた通信であった場合、干渉信号のホッピングパターンという特徴量を用いて、干渉信号と直交するホッピングパターンを用いて信号送信を再開することで、ホッピングパターン的な直交性を利用できる。例えばこれらの、干渉信号に対して直交性を有する、周波数、空間、時間、信号パターンなどをここでは総称して、直交チャネルと呼ぶこととする。
【0051】
次に、第2の実施形態における、端末101の干渉検出、解析および信号送信手順の一例について図9のフローチャートを参照して説明する。以下、既に説明したステップと同様なものは同一の番号を付してその説明を省略する。
RSSI測定部204が測定したRSSI測定値が閾値を上回った場合(ステップS503のYes)、信号を送信する周波数帯域内に、干渉信号が存在すると判断し、信号の送信を停止(ステップS505)した後に、この周波数帯域内に存在する干渉信号の解析を行うために、DFT206が離散フーリエ変換処理を行い(ステップS901)、干渉解析部701が干渉信号の中心周波数および周波数帯域幅を確認する。このことにより、干渉解析部701が干渉信号のない空き周波数帯域を検出する(ステップS901)。空き周波数帯域であるか否かは、例えば、該当周波数帯域の受信電力が熱雑音電力と同等の閾値を下回った場合に、空き周波数帯域であると判断する。この結果から、空き周波数帯域が存在し(ステップS903のYes)、かつ、検出した空き周波数帯域で通信の継続が可能であれば(ステップS904のYes)、干渉解析部701が制御処理部702に再開処理を指示し信号送信処理部211が送信処理を行い(ステップS509)、再開できないと判断されれば、この周波数帯域での通信をあきらめて、別周波数帯域への通信変更手続きを開始する(ステップS510)。
【0052】
第2の実施形態によれば、送信を再開できない場合に、送信周波数帯域を変更することにより、自システムのスループットが低下することを防止することができる。
【0053】
(第3の実施形態)
本実施形態の通信装置は、第1の実施形態とは干渉解析処理が異なる。本実施形態の通信装置は、第1の実施形態の通信装置とは異なり、優先度データベース208を備えていない。本実施形態の通信装置は、新たに、バースト長Duty比サイクル周期推定部1001を備えている。また、本実施形態の干渉解析部と制御処理部は、第1の実施形態での干渉解析部209と制御処理部210の動作と異なる。
【0054】
第3の実施形態の通信装置について図10を参照して説明する。
バースト長Duty比サイクル周期推定部1001は、ADC203から受け取ったデジタル信号に基づいて、干渉信号のバースト長、干渉信号のDuty比、干渉信号のサイクル周期を推定する。ここで、ある信号のDuty比とは、(信号が発生している時間)/(信号が発生していない時間)のことである。
【0055】
干渉解析部1002は、バースト長Duty比サイクル周期推定部1001、変調方式推定部207、DFT206からの情報と、制御処理部1003に保存されている前回の干渉解析処理の情報とを用いて、信号送信処理を再開できるか否かを判断する。干渉解析処理の結果、信号送信を再開できると判断した場合、信号送信再開ができる旨を、制御処理部1003に通知する。信号送信を再開できないと判断した場合は、信号送信再開ができない旨を、制御処理部1003に通知する。干渉解析部1002の動作の詳細は後に図12を参照して説明する。
【0056】
制御処理部1003は、制御処理(1210)は干渉解析処理の結果を受けて、別周波数帯域で通信を行う手続きを開始する。制御処理部1003は、干渉信号を時間的に避けて送信を行うよう送信を制御する。すなわち、使用する周波数帯域はほぼ同一であるが、干渉信号が送信されていない時間に、端末101が送信処理を行うように制御する。制御処理部1003は、干渉解析部1002からの通知を受けて、通知に応じて信号送信処理部211を制御する。
【0057】
次に、第3の実施形態における端末101の干渉検出処理・干渉解析処理および信号送信の一例について図11を参照して説明する。
端末101は図3の場合と同様に、干渉検出部205が干渉検出処理(401)を行い、信号送信を行う周波数帯域において干渉信号がないことを確認した後、信号送信処理部211が信号送信処理(402)を行う。続けて信号送信を行おうとして、干渉検出部205が干渉検出処理(403)を行ったとき、信号送信を行う周波数帯域において、干渉信号(1102)が存在したものとする。このとき、干渉検出処理(403)は、電力の有無のみで干渉信号の存在を把握するため、どの周波数帯域に、どのような信号が干渉として存在しているかは判断することができない。端末101は干渉信号(1102)を検出したため、信号送信処理部211が信号送信処理を停止し、干渉解析部1002が干渉解析処理(1101)を行う。干渉解析処理(1101)では、干渉信号(1102)がどのような特徴を持つかを解析する。ここでは、DFT206、変調方式推定部207、バースト長Duty比サイクル周期推定部1001が、干渉信号(1102、1103、1104)をサンプリングし、特徴量の一部として、干渉信号の周波数特性、バースト長、Duty比、サイクル周期を得る。これにより、干渉解析部1002が周波数的、時間的な空き領域を推定する。その他、干渉解析部1002は、干渉信号の振幅の標準偏差、振幅絶対値の標準偏差、振幅の尖度、周波数成分の絶対値の標準偏差、周波数成分の尖度、位相の標準偏差、位相の絶対値の標準偏差、正規化した振幅絶対値の周波数成分、左右周波数成分の有無、周波数成分の左右非対称性、中心周波数電力、周波数成分の最大電力などを算出する。これらの特徴量により、干渉信号(1102、1103、1104)の周波数帯域および変調方式、シンボルレートが推定できる。干渉解析部1002は、この情報と、その周波数帯域における優先度を持つシステムの変調方式、シンボルレートと比較することにより、干渉信号(1102、1103、1104)のシステムを推定できる。
【0058】
干渉解析部1002が、推定した干渉信号(1102、1103、1104)を送信するシステムが、周期的なバースト信号を送信するシステムであり、かつ、その空き時間領域をもちいて通信が継続できると判断した場合、端末101は、時間的空き領域を用いて、信号送信処理を再開する(1105)。例えば、干渉信号(1102、1103、1104)を送信しているシステムがPHSの上り通信のように、時分割多重を行っている通信方式であれば、その変調方式、パイロット信号からシステムの推定をおこない、かつ、バースト長、サイクル周期から空き時間が推定できるため、この直交する時間を用いて通信を再開することが可能となる。ここで、直交する時間とは、信号が時間的にずれていて、互いの通信に影響を及ぼさない時間のことを示す。
【0059】
さらに続けて信号送信を行う要求が発生した場合、干渉検出部205が干渉検出処理(1106)を行う。この時、前回の干渉解析(1101)の時と同じシステムからの干渉信号(1107)が存在したものとする。この場合、干渉検出処理(1106)で干渉の存在が確認されているため、再び干渉解析処理(1108)が行われるが、この時は前回の干渉解析(1101)の時に解析した結果を用いて、干渉解析の際に用いる特徴量を削減し、干渉解析に用いる時間を削減する。ここでは、干渉信号の変調方式推定を行い、干渉信号を送信するシステムが前回の干渉解析(1101)で推定された結果と等しいかどうかの確認を行い、さらに、サイクル周期の推定を省略して、送信バーストの終了を検出した後、信号送信処理(1109)を行う。
【0060】
第3の実施形態における端末101の干渉検出処理、干渉解析処理および信号送信については第1の実施形態で参照した図5に示した動作と同様である。第3の実施形態の端末101は、図5に示したステップのうち、ステップS507とステップS508の詳細動作が第1の実施形態とは異なる。干渉信号解析処理(ステップS507)および、信号送信再開判定処理(ステップS508)での動作の一例について図12を参照して説明する。
【0061】
前回の送信時に干渉信号の解析を行っていない場合(ステップS602のNo)、または、前回の干渉解析と結果が異なる場合(ステップS603のNo、605のNo)は、バースト長Duty比サイクル周期推定部1001が干渉信号のバースト長、Duty比、サイクル周期を測定する(ステップS1201)。ここでは、干渉信号が送信されるシステムの推定を、推定した変調方式のみで行っているが、測定した信号電力、信号周波数帯域幅、シンボルレート、パイロットパターン、バースト長、Duty比等によってシステム推定を行っても良いし、共通インジケータパターン、共通プロトコル等のブロードキャストによって、システムの通知を行っても良い。
【0062】
干渉解析部1002が、干渉信号のシステム推定が完了した後、測定したバースト長、Duty比、サイクル周期から、通信継続のために使用できる空き時間を算出し、空き時間と閾値を比較する(ステップS1202)。この閾値は通信中のデータのQoSによって可変となる閾値である。例えば、通信に要求されるデータ量が大きければ、閾値は大きくなるし、逆に、通信に要求されるデータ量が小さければ、閾値は小さくなる。空き時間が閾値より長いと判断された場合(ステップS1202のYes)、干渉検出部205が、干渉信号の送信バーストの終了を検出し(ステップS1203)、その後、送信再開可能であると判断する(ステップS612)。
【0063】
第3の実施形態によれば、送信を再開できない場合に、干渉信号が発生する時間を除いて送信信号を送信することにより、自システムのスループットが低下することを防止することができる。また、優先度や直交した空き領域が存在し、送信を再開したとしても、QoSが補償できない場合は、他の周波数帯域に移動して通信を行うことで、QoSの補償ができる。
【0064】
(第4の実施形態)
本実施形態の通信装置は、第2の実施形態とは干渉検出処理、干渉解析処理が異なる。本実施形態の通信装置は、第2の実施形態とは異なり、信号受信処理部を新たに備える。また、本実施形態の信号送信処理部、干渉検出部、制御処理部は、第2の実施形態でのそれらの部とは動作が異なる。
【0065】
第4の実施形態の通信装置について図13を参照して説明する。
制御処理部1301は、干渉解析処理の結果、干渉解析部701が信号送信を再開できると判断した場合、干渉解析部701から空き周波数帯域の情報を受け取り、信号送信処理部1302に通知し、空き周波数帯域情報の送信を指示する。制御処理部1301は、干渉解析部701が信号送信を再開できないと判断した場合は、信号送信再開ができない旨を受け取り、干渉解析処理の結果を受けて、別周波数帯域で通信を行う手続きを開始する。
制御処理部1301は、信号受信処理に対しても、解析結果通知の後、信号が送信されてくると考えられる帯域において、信号を待ち受けるための指示をRF部202、ADC203、信号受信処理部1303に通知する。制御処理部1301は、信号受信処理において干渉検出通知が受信できた場合、信号送信処理部1302に信号送信停止を指示する。さらに、空き周波数帯域通知の待ち受け状態に入る。制御処理部1301は、干渉信号検出通知が受信できなかった場合、干渉検出部1304では入力されたRSSIと閾値の比較を行うよう制御する。制御処理部1301は、受信信号電力が閾値を下回った場合、干渉が無い旨の通知を受け、信号送信処理部1302は通常処理として、信号を送信するよう制御する。制御処理部1301は、受信信号電力が閾値を上回った場合、干渉が検出された旨の通知を受け取り、信号送信処理を停止するよう制御する。
【0066】
信号送信処理部1302は、干渉検出通知、空き周波数帯域通知の送信を指示する。
【0067】
信号受信処理部1303は、他の通信装置から、干渉検出通知、空き周波数帯域通知を受け取る。
【0068】
干渉検出部1304は、受け取ったRSSI測定値と閾値の比較を行う。ここで、閾値は、例えば、熱雑音電力と同等の電力を定めておく。干渉検出部1304は、受信信号電力が閾値を下回った場合、信号受信処理部1303に干渉が無い旨を通知する。また、干渉検出部1304は、受信信号電力が閾値より大きい場合、信号送信処理部1302に、干渉検出通知の送信を指示するとともに、制御処理部1301にも干渉が検出された旨を報告する。
【0069】
次に、第4の実施形態における端末102の信号送信および干渉検出、干渉解析結果の受信の一例について図14を参照して説明する。また、第4の実施形態における端末101の信号受信、干渉検出、干渉解析および干渉検出解析結果の通知の一例について図15を参照して説明する。
端末101および端末102はすでに同期が取れているものとし、端末102がどの周波数帯域およびどのタイミングで信号を送信するかは、すでにお互いに既知であるものとする。これらの交渉は他の専用周波数帯域で通知してもよいし、UWBのような広い帯域を用いて他のシステムに干渉を与えないように通知を行ってもよい。
【0070】
端末101は、端末102からの信号を受信する前に、干渉の有無を確かめるために、干渉検出部1304が干渉検出処理(1501)を行う。これと同時に、端末102は、送信を行う前に干渉検出部1304が干渉検出処理(1401)を行う。端末102が行う干渉検出処理(1401)は、後述する端末101からの干渉検出通知の受信処理を兼ねる。ここでは、端末101および端末102において干渉が検出されなかったため、端末102から端末101に対して信号を送信する(1402、1502)。
【0071】
続けて、再び端末102から端末101に対して信号を送信する要求が発生した場合、双方の端末において再び干渉検出を行う(1403、1503)。ここで、端末101の近くに存在する端末103からの干渉信号(1506)が発生したものとする。この信号は端末101では検出できるものの、端末102では距離が遠く、検出できないものとする。端末102は干渉検出部1304が干渉検出処理(1503)で干渉信号(1506)を検出した場合、端末102に対して、信号送信処理部1302が干渉検出通知(1504)を送信する。この干渉検出通知(1504)は、端末102が干渉検出および干渉検出通知の受信処理(1403)を行っている周波数帯域および時間に行う。また、干渉検出通知(1504)は、十分に拡散されているか、端末102の方向にビームを向ける、端末103の方向にヌルを向ける等して、端末103および基地局104への通信に影響を与えない電力とすることが望ましい。なお、干渉検出通知(1504)は干渉検出および送信停止することのみを通知する。
【0072】
端末102では、信号受信処理部1303が干渉検出処理および干渉検出通知の受信処理(1403)で干渉検出通知(1504)を受け取り、信号送信処理部1302が次に予定されていた信号の送信を停止する。端末101では、信号送信処理部1302が干渉検出通知(1504)を送信した後、干渉解析部701が干渉解析処理(1505)を行う。干渉解析処理(1505)は、干渉信号(1506)がどのような特徴を持つかを解析する。ここでは、干渉信号をサンプリングし、特徴量の一つとして、DFT206が離散フーリエ変換処理を行うことで干渉信号の周波数特性を得る。この特徴量から、どの周波数帯域に干渉信号(1506)が存在するのかを確認する。干渉解析部701が、干渉を解析した結果、干渉信号(1506)の中心周波数および周波数帯域幅を確認した後、端末101は、この干渉信号を避け、直交する周波数帯域で、干渉解析結果通知(1507)を送信する。端末102は、どの周波数帯域で干渉解析結果通知が送信されてくるか分からないため、干渉解析結果通知(1507)は、冗長性が大きく、端末102がブラインド推定しやすい信号であることが望ましい。例えば、干渉解析結果通知(1507)は、周波数分割されたマルチキャリアの信号であり、周波数毎に同一の信号を送信し、端末102はすべてのキャリアで待ち受けても良い。また、干渉解析結果通知(1507)は、端末102が送信を再開するための空き周波数帯域の情報を通知する。この後、通知された空き周波数帯域において、端末101は干渉検出処理(1508)、端末102は干渉検出および干渉検出通知受信処理(1405)を行い、信号送信処理を再開する(1406、1509)。
【0073】
次に、第4の実施形態における、端末101の干渉検出、干渉解析・干渉通知および信号受信手順について図16を参照して説明する。図16のフローチャートは、図9のフローチャートとほとんど同一であるが、新たに干渉検出を相手端末に通知すること、空き周波数帯域を相手端末に通知することが加わる。
まず、端末101は信号を受信する周波数帯域に対して、特徴量の一つとして、RSSI測定部204が受信電力(RSSI)を測定する(ステップS501)。干渉検出部1304がRSSI測定値と閾値を比較し、受信電力が閾値を上回った場合(ステップS503のYes)、干渉検出部1304が信号を受信する周波数帯域内に干渉信号が存在すると判断し信号送信処理部1302に指示し、信号送信処理部1302が干渉信号検出を端末102に通知する(ステップS1601)(図15の1504)。
【0074】
空き周波数帯域であるか否かは、例えば、端末101の干渉検出部1304が、該当周波数帯域の受信電力が熱雑音電力と同等の閾値を下回った場合に空き周波数帯域であると判断する。この結果から、空き周波数帯域が存在し(ステップS903のYes)、かつ、検出した空き周波数帯域で通信の継続が可能であれば(ステップS904のYes)、端末101は信号送信処理部1302によって空き周波数帯域の情報を端末102に通知し(ステップS1602)(図14の1407)、その後、端末101は送信されてきた信号を受信する(ステップS1603)(図15の1509)。
【0075】
次に、第4の実施形態における、端末102の干渉検出、干渉解析、干渉通知受信および信号送信手順について図17を参照して説明する。図17のフローチャートは、図9のフローチャートとステップS1702以降は同一であるが、干渉検出通知に関してのフローが加わる。
まず、端末102は信号を送信する周波数帯域に対して、特徴量の一つとして、受信電力(RSSI)を測定する(ステップS501)。同時に、信号受信処理部1303が端末101からの干渉検出通知の受信処理(ステップS1701)も行う。端末101が送信した干渉検出通知を受信できた場合(ステップS1702のYes)、次に送信する予定だった信号の送信を停止する(ステップS1703)。その後、端末101からの干渉解析結果(空き周波数帯域)の通知を待ち受ける(ステップS1704)。端末101からの干渉解析結果の通知が受信できない場合(ステップS1705のNo)、現在行っている通信を別の周波数帯域で行うための手続きを開始する(ステップS1706)。
【0076】
第4の実施形態によれば、干渉検出処理と同時に他の通信装置から干渉検出通知、送信停止通知、干渉解析結果通知、送信を再開するための空き周波数帯域の情報通知を受信することができるので、自システムのスループットを向上させることができる。
【0077】
(ソフトウェアによる実施形態)
また、上述の実施形態の中で示した処理手順に示された指示は、ソフトウェアであるプログラムに基づいて実行されることが可能である。汎用の計算機システムが、このプログラムを予め記憶しておき、このプログラムを読み込むことにより、上述した実施形態の通信装置による効果と同様な効果を得ることも可能である。上述の実施形態で記述された指示は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、又はこれに類する記録媒体に記録される。コンピュータまたは組み込みシステムが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。コンピュータは、この記録媒体からプログラムを読み込み、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させれば、上述した実施形態の通信装置と同様な動作を実現することができる。もちろん、コンピュータがプログラムを取得する場合又は読み込む場合はネットワークを通じて取得又は読み込んでもよい。
また、記憶媒体からコンピュータや組み込みシステムにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワーク等のMW(ミドルウェア)等が本実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。
さらに、本願発明における記憶媒体は、コンピュータあるいは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
また、記憶媒体は1つに限られず、複数の媒体から本実施形態における処理が実行される場合も、本発明における記憶媒体に含まれ、媒体の構成は何れの構成であってもよい。
【0078】
なお、本願発明におけるコンピュータまたは組み込みシステムは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、本実施形態における各処理を実行するためのものであって、パソコン、マイコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であってもよい。
また、本願発明の実施形態におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の実施形態における機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0079】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本実施形態の通信装置の通信システムと他の通信システムとの関係を説明するための図。
【図2】第1の実施形態の通信装置のブロック図。
【図3】図2の通信装置の干渉検出処理、信号送信処理の一例を示す図。
【図4】図2の通信装置の干渉検出処理、干渉解析処理および信号送信処理の一例を示す図。
【図5】図2の通信装置の動作の一例を示すフローチャート。
【図6】図5のステップS507およびステップS508の詳細の一例を示すフローチャート。
【図7】第2の実施形態の通信装置のブロック図。
【図8】図7の通信装置の干渉検出処理、干渉解析処理および信号送信処理の一例を示す図。
【図9】図7の通信装置の動作の一例を示すフローチャート。
【図10】第3の実施形態の通信装置のブロック図。
【図11】図10の通信装置の干渉検出処理、干渉解析処理および信号送信処理の一例を示す図。
【図12】図10の通信装置の干渉信号解析処理および信号送信再開判定処理での動作の一例を示すフローチャート。
【図13】第4の実施形態の通信装置のブロック図。
【図14】データ信号を送信する場合の図13の通信装置の信号送信および干渉検出、干渉解析結果の受信の一例を示す図。
【図15】データ信号を受信する場合の図13の通信装置の信号受信、干渉検出、干渉解析および干渉検出解析結果の通知の一例を示す図。
【図16】データ信号を受信する場合の図13の通信装置の動作の一例を示すフローチャート。
【図17】データ信号を送信する場合の図13の通信装置の動作の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0081】
101、102、103、105、106・・・端末、104・・・基地局、201・・・アンテナ、202・・・無線周波数処理部、203・・・ADC、204・・・RSSI測定部、205、1304・・・干渉検出部、206・・・DFT、207・・・変調方式推定部、208・・・優先度データベース、209、701、1002・・・干渉解析部、210、702、1003、1301・・・制御処理部、211、1302・・・信号送信処理部、212・・・DAC、213・・・RF部、401、403・・・干渉検出処理、402、406・・・信号送信処理、404、408・・・干渉解析処理、1001・・・バースト長Duty比サイクル周期推定部、1303・・・信号受信処理部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、干渉検出および信号送信方法についての通信装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の干渉測定および信号送信を行うシステムとして、自システムと同一の周波数を用いる他システムと共存するシステムを前提としたものがある。これは、干渉信号レベル判定回路を用いて干渉信号の有無を判定し、受信干渉信号レベルが閾値を超えたら、一定期間信号送信を停止させたのち、再度信号の送信を行うものである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−333081公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来では、狭帯域の時分割を用いた複数システム共存では問題ないが、広帯域で周波数分割等を含めた共存を考えた場合、短時間で干渉検出を行うと干渉の詳細な特徴が把握できないため、干渉信号に直交させた通信を行うことができず、通信が途絶えてしまう。
【0004】
また、その周波数帯域におけるアンライセンスシステムの影響を受けて、スループットが極端に低下する恐れがある。さらに、干渉の詳細な特徴を把握しようとすると、干渉検出に時間がかかり、システムスループットが低下する。
【0005】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたものであり、他システムへの与干渉確率を低いものに保ちつつ、自システムのシステムスループットを向上させる通信装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明の通信装置は、送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第1の干渉特徴量を測定する測定手段と、前記第1の干渉特徴量から前記送信周波数帯域に干渉信号があるか否かを判定する干渉判定手段と、前記測定の後に、前記送信周波数帯域のうちで前記干渉信号に直交する周波数帯域、前記干渉信号に直交する時間、前記干渉信号に直交する空間、および前記干渉信号に直交する拡散コードのうち少なくとも1つに該当する送信チャネルを、前記測定手段が測定する第2の干渉特徴量から求める干渉解析手段と、前記送信周波数帯域に干渉信号がないと判定された場合に前記送信周波数帯域で第1の送信をし、前記送信周波数帯域に干渉信号があると判定された場合に前記送信チャネルで第2の送信を行う送信手段と、を具備することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の通信装置は、送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第1の干渉特徴量を測定する測定手段と、前記第1の干渉特徴量から前記送信周波数帯域に干渉信号があるか否かを判定する干渉判定手段と、前記干渉判定手段で前記送信周波数帯域に干渉信号がないと判定された場合、前記送信周波数帯域において、信号を送信する第1の送信手段と、前記干渉判定手段で前記送信周波数帯域に干渉信号があると判定された場合、前記送信周波数帯域において、前記干渉信号に直交する周波数帯域、前記干渉信号に直交する時間、前記干渉信号に直交する空間、および前記干渉信号に直交する拡散コードのうち少なくとも1つに該当する送信チャネルを、前記測定手段が測定する第2の干渉特徴量から見つける干渉解析手段と、前記干渉解析手段において、前記送信チャネルが見つかった場合、前記送信チャネルで信号の送信を行う第2の送信手段と、を具備することを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明の通信装置は、干渉信号の特徴量に対応するチャネル情報と、前記チャネル情報と関連付けられた優先権情報と、を記憶する優先権情報記憶手段と、送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第1の干渉特徴量を測定する測定手段と、前記第1の干渉特徴量から前記送信周波数帯域に干渉信号があるか否かを判定する干渉判定手段と、前記干渉判定手段で前記送信周波数帯域に干渉信号がないと判定された場合、前記送信周波数帯域で送信を行う第1の送信手段と、前記干渉判定手段で前記送信周波数帯域に干渉信号があると判定された場合、前記測定手段に測定され前記送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第2の干渉特徴量から干渉チャネル情報を求める干渉解析手段と、前記チャネル情報のうち、前記干渉チャネル情報に該当するものに関連付けられている優先権情報が自装置に優先権があると示している場合に、前記送信周波数帯域で送信を行う第2の送信手段と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の通信装置およびプログラムによれば、他システムへの与干渉確率を低いものに保ちつつ、自システムのシステムスループットを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る通信装置およびプログラムについて詳細に説明する。
まず、本実施形態における通信装置のシステム構成の一例について図1を参照して説明する。
端末(本実施形態の通信装置)101と端末102は本実施形態の通信システムに従い動作する。端末101と端末102は、ある周波数帯域を用いて通信を行っている。ここでは、時分割多重を用いて送受信しているものとして説明を行うが、周波数分割多重でも同様に考えることができる。
【0011】
端末102の付近において、端末103と基地局104とのシステムが、端末101と端末102が通信を行っている周波数帯域において同時に通信を行うと、システム間で互いに干渉が発生する。ここで、端末103と基地局104は、この周波数帯域において、ライセンスされているシステムであり、通信の優先権を持つものとする。このライセンスされているシステムは、例えば、1.9GHz帯域におけるPHS(personal handyphone system)、800MHz帯域におけるPDC(personal digital cellular)、2GHz帯域におけるW−CDMA(wideband code division multiple access)、CDMA2000のようなシステムであるものとする。端末101と端末102は、端末103と基地局104の通信が開始されたことを認識し、端末103と基地局104の通信に与える干渉を最小限にとどめなければならないものとする。
【0012】
また、同じ周波数帯域において、端末105と端末106とのシステムが通信を開始しても、端末101と端末102のシステムとの間で、互いに干渉となる。ここで、端末105と端末106は、この周波数帯域において、ライセンスされていないアンライセンスシステムであり、通信の優先権を持たないものとする。例えば、2.4GHz帯域におけるBlue tooth、2.4GHzや5GHz帯域におけるW−LAN(wideband-code division multiple access)、3−12GHz付近の広帯域におけるUWB(ultra wide band modulation)のようなシステムであるとする。この場合、多少の干渉が存在しても、通信への影響が軽微であるならば、通信を継続しても差し支えはないものとする。
【0013】
(第1の実施形態)
本実施形態の通信装置について図2を参照して説明する。本実施形態の通信装置は、図1の端末101または102に対応する。本実施形態の通信装置は、干渉を検出し、干渉の解析を行う。干渉の検出は、図2のRSSI測定部204、干渉検出部205で行う。干渉の解析は、干渉解析部209が、DFT206、変調方式推定部207、優先度データベース208から情報を受け取って行う。
本実施形態の通信装置は、アンテナ201、無線周波数処理部(RF部)202、ADC(analog-to-digital converter)203、RSSI(received-signal intensity:受信信号強度)測定部204、干渉検出部205、DFT(discrete Fourier transformer)206、変調方式推定部207、優先度データベース(DB)208、干渉解析部209、制御処理部210、信号送信処理部211、DAC(digital-to-analog converter)212、RF部213を備えている。
【0014】
RF部202は、アンテナ201で受け取った受信信号をベースバンド信号に変換する。ADC203は、このベースバンド信号をデジタル信号に変換する。
【0015】
RSSI測定部204は、ADC203から受け取ったデジタル信号のRSSIを測定する。
【0016】
干渉検出部205は、ある周波数帯域に干渉信号の存在があるか否かを検出する。干渉検出部205は、例えば、信号の送信を行う周波数帯域において受信電力と、熱雑音電力から求めた閾値とを比較し、受信電力が閾値より大きければ干渉信号が存在すると判定する。また、受信電力が閾値より小さければ、干渉信号は存在しないと判定する。干渉電力を特徴量として干渉の有無を判定することで、短時間で干渉の存在を把握することができる。
干渉検出部205は、RSSI測定部204から受け取るRSSI測定値と閾値との比較を行う。ここで、閾値は、例えば、熱雑音電力(例えば、−174dBm/Hz)と同等の電力を定めておく。RSSI測定値が閾値を下回った場合、信号を受信した帯域には干渉はないとみなして、信号送信処理部211に対して信号送信処理を許可するとともに、制御処理部210に対しても干渉検出の結果、干渉がない旨を報告する。また、RSSI測定値が閾値以上の場合、信号を受信した帯域に干渉を検出したとして、信号送信処理部211に対して信号送信停止の指示を通知するとともに、制御処理部210に対しても信号送信を停止した旨を報告する。
この場合、信号送信停止の指示を信号送信処理部211に通知したが、DAC212に通知し送信信号の停止を行っても良い。また、RF部213に可変帯域通過フィルタを含めておき、干渉検出部205がRF部213に通知して可変帯域通過フィルタの通過帯域を変更して、干渉検出部205が干渉を検出した周波数帯域の信号を通過しないようにしてもよい。さらに、RF部213に電力増幅回路(PA)を含めておき、干渉検出部205がRF部213に通知してPAの電源を落として、干渉検出部205が干渉を検出した周波数帯域の信号を遮断してもよい。干渉検出部205は後に図3、図4を参照して説明する。
【0017】
DFT206は、干渉信号をサンプリングし、特徴量の一つとして、離散フーリエ変換処理を行うことで干渉信号の周波数特性を得る。ADC203からデジタル信号を受け取り、この信号を離散フーリエ変換する。この離散フーリエ変換された値は、干渉信号の特徴量の一つとして、干渉信号の周波数毎の電力に対応する。ここでは、離散フーリエ変換を用いているが、DFT206の代わりに、フィルタバンクや直交復調周波数のスイープにより周波数特性を得る装置を備えても良い。
【0018】
変調方式推定部207は、ADC203からデジタル信号を受け取り、振幅の分散や、位相の分散などの特徴量を用いて、干渉信号の変調方式を推定する。変調方式推定部207は、その他の特徴量として、干渉信号の到来方向、干渉信号の振幅の標準偏差、振幅絶対値の標準偏差、振幅の尖度、周波数成分の絶対値の標準偏差、周波数成分の尖度、位相の標準偏差、位相の絶対値の標準偏差、正規化した振幅絶対値の周波数成分、左右周波数成分の有無、周波数成分の左右非対称性、中心周波数電力、周波数成分の最大電力などを算出し、変調方式、シンボルレートを推定することができる。
【0019】
優先度データベース208は、複数のシステムを示す情報(例えば、複数のシステムそれぞれが使用可能な周波数など)と、そのシステムが自システムより優先度が高いか低いかを示す情報とを関連付けて記憶している。システムの優先度の高低判断基準として、予めデータベースとして、送信可能な周波数帯域におけるシステムの優先度を保存する。優先度データベース208には周波数帯域とシステム優先度情報の他に、変調方式、シンボルレート、信号周波数帯域幅、信号電力、パイロットパターン、バースト長、Duty比等を保存しておき、干渉解析およびシステム推定の際に用いても良い。また、優先度データベース208は、ROMで構成されても良いし、リムーバブルなメモリや、報知された信号によって書き換えられるRAMでも良い。
【0020】
干渉解析部209は、どの周波数帯域に、どのような信号が干渉として存在しているかを解析によって得る。干渉解析部209は、干渉信号の周波数帯域および変調方式・シンボルレートを推定し、この情報と、その周波数帯域におけるシステムの変調方式、シンボルレートとを比較することにより、干渉信号のシステムを推定する。推定した干渉信号を送信しているシステムが、自システムより優先度が高い場合は、信号送信処理を再開せず、通信を切断するか、他の周波数帯域を用いて通信を継続するように制御処理部210に指示を出す。干渉解析部209は、DFT206から干渉信号の周波数ごとの電力を受け取り、変調方式推定部207から推定された干渉信号の変調方式を受け取り、優先度データベース208から干渉信号を送信しているシステムの優先度を受け取り、制御処理部210に記憶されている前回の干渉解析処理の情報を受け取り、これらに基づいて信号送信処理を再開できるか否かを判断する。干渉解析部209は、DFT206からは、どの周波数帯域に干渉信号が存在する(干渉信号の周波数特性)のかを確認する。干渉解析部209は、干渉解析処理の結果、信号送信を再開できると判断した場合、信号送信再開ができる旨の解析結果を制御処理部210に通知する。一方、干渉解析部209は、信号送信を再開できないと判断した場合は、信号送信再開ができない旨の解析結果を制御処理部210に通知する。
【0021】
干渉解析部209は、干渉検出部205が前回の送信する直前に検出した干渉信号と同じ帯域に干渉信号があると検出した場合には、この前回に検出した干渉解析結果を利用して簡易的に少ない処理量で干渉解析を行い、干渉解析の時間を削減する。例えば、干渉信号の周波数帯域に関しては、離散フーリエ変換を行うサンプルポイント数を削減することで、前回の干渉解析の時と比較して、精度を荒くする。他に、干渉解析部209は、過去数回の干渉解析の履歴を制御処理部210のメモリに保存する。干渉解析部209はさらに、履歴に残された干渉信号と同じ周波数帯域に干渉信号があった場合に、過去の変調方式との比較を行ってもよい。また、前回の干渉解析処理が行われた時刻を履歴として制御処理部210のメモリに保存しておき、今回の干渉解析処理の時刻との差が閾値より大きい場合、前回の干渉信号と同じ周波数帯域に干渉信号があった場合においては、全候補から変調方式推定を行ってもよい。
【0022】
ここでは、干渉解析部209は、干渉信号が送信されるシステムの推定を、測定した周波数帯域と推定した変調方式のみで行っているが、信号電力、信号周波数帯域幅、シンボルレート、パイロットパターン、バースト長、Duty比等によってシステム推定を行っても良いし、共通インジケータパターン、共通プロトコル等のブロードキャストによって、システムの通知を行っても良い。干渉解析部209の動作の詳細については、後に図6を参照して説明する。干渉解析部209については図3、図4を参照して説明する。
【0023】
制御処理部210は、干渉解析部209からの通知に応じて信号送信処理部211に指示を通知する。例えば、制御処理部210は、干渉解析処理の結果を受けて、干渉信号の送信元システムの優先度が自システムより低い場合は信号送信を再開し、干渉信号の送信元システムの優先度が高い場合は、前回の通信周波数帯域とは別の周波数帯域で通信を行う手続きを開始する。また、制御処理部210は、干渉解析部209の干渉解析結果(例えば、干渉解析を行った周波数帯域、干渉信号の変調方式)を格納するメモリを有する。このメモリには、前回の送信処理時に干渉解析を行ったかどうかの情報も格納している。このメモリは、過去の所定の時刻での干渉検出結果も格納していてもよい。
【0024】
信号送信処理部211は、制御処理部210からの指示に基づいて、データを送信する信号処理を行い、DAC212に渡す。DAC212は、受け取ったデータをアナログ信号に変換する。RF部213は、DAC212から信号を受け取って、この信号を送信信号に変換しアンテナ201から送信信号を送信する。
【0025】
次に、第1の実施形態における端末101の干渉検出処理および信号送信の一例について図3を参照して説明する。
端末101および端末102はすでに同期が取れているものとし、また、端末101がどの周波数帯域およびどのタイミングで信号を送信するかは、すでにお互いに既知であるものとする。これらの交渉は他の専用周波数帯域で通知してもよいし、UWBのような広い帯域を用いて他のシステムに干渉を与えないように通知を行ってもよい。
【0026】
端末101は、本システムにおいて送信が可能な帯域からある周波数帯域を選択し、信号の送信を行うが、信号の送信を行う前に、信号の送信を行う周波数帯域を含む周波数帯域において、干渉検出処理(キャリアセンス:CS(carrier sense))を行う(301)。干渉検出処理は、RSSI測定部204、干渉検出部205が行う。干渉検出処理において干渉信号が存在しないと判定された場合は、信号送信処理部211、DAC212、RF部213が信号の送信処理を行う(302)。連続して信号を送信したい場合は、同様にして干渉検出処理(303)を行い、その後、信号送信処理(304)を行う。このように、信号送信の前には干渉検出処理を行う。
【0027】
次に、第1の実施形態における端末101の干渉検出処理、干渉解析処理および信号送信の一例について図4を参照して説明する。
端末101は、図3の場合と同様に、干渉検出処理(401)を行い、信号送信を行う周波数帯域において干渉信号がないことを確認した後、信号送信処理(402)を行う。続けて信号送信を行おうとして、干渉検出処理(403)を行ったとき、信号送信を行う周波数帯域において、干渉信号(405)が存在したものとする。このとき、干渉検出処理(403)では、電力の有無のみで干渉信号の存在を把握するため、どの周波数帯域に、どのような信号が干渉として存在しているかは判断することができない。
【0028】
端末101は、干渉検出部205が、干渉信号(405)を検出したため、信号送信処理を停止し、干渉解析部209が干渉解析処理(404)を行う。干渉解析処理(404)では、干渉信号(405)がどのような特徴を持つかを解析する。干渉解析部209は、DFT206による離散フーリエ変換処理を行うことで得た、干渉信号の周波数特性から、どの周波数帯域に干渉信号(405)が存在するのかを確認する。
【0029】
干渉解析部209は、干渉信号(405)のシステムを推定する。干渉解析部209は、推定した干渉信号(405)を送信しているシステムが、自システムより優先度が高い場合は、端末101は信号送信処理を再開せず、通信を切断するか、他の周波数帯域を用いて通信を継続する指示を制御処理部210に通知する。例えば、干渉信号(405)を送信しているシステムが、図1の端末103および基地局104のように、その周波数帯域においてライセンスされているセルラシステムのような場合、端末101は、この周波数帯域において信号送信処理を再開しない。また、推定した干渉信号(405)を送信しているシステムが、自システムより優先度が低い場合、かつ、干渉電力が低く、自システムへの影響が低いと判断した場合、端末101は信号送信処理を再開する(406)。例えば、干渉信号(405)を送信しているシステムが、図1の端末105および端末106のように、その周波数帯域においてライセンスされていないシステムの場合、端末101は、この周波数帯域において信号送信処理を再開する。このとき、同一時間、同一周波数帯において、信号が重なるため、互いに干渉が発生するが、使用している変調方式に対して、干渉信号の電力が低ければ、通信が可能である。また、通信品質を向上させるために、送信電力制御、ビームフォーミング等を用いて干渉を低減しても良い。
【0030】
さらに、続けて信号送信を行う要求が発生した場合、干渉検出処理(407)を行う。この時、前回の干渉解析(404)の時と同じ干渉信号(405)が存在したものとする。この場合、干渉検出処理(407)で干渉の存在が確認されているため、再び干渉解析処理(408)が行われるが、この時は前回の干渉解析(404)の時に解析した結果を用いて、干渉解析の際に用いる特徴量のデータ量を削減し、干渉解析に用いる時間を削減する。例えば、前回解析して求めた干渉信号の周波数帯域についての離散フーリエ変換用サンプルポイント数を今回は削減する(つまり前回の干渉解析(404)の時と比較して精度を荒くする)ことで、干渉解析(408)の時間を削減する。これは、前回の干渉解析(404)の時と同じ周波数帯域に干渉信号(405)が存在する確率が高いということを利用したものである。この時、精度を荒くし周波数帯域の干渉信号電力測定において、干渉が検出できなければ、前回の干渉解析(404)と同様な干渉解析を行う必要がある。
【0031】
なお、サンプルポイント数を削減する他にも、例えば特徴量の種類を前回より少なくしたり、解析の桁数を少なくしたり、といったことで、特徴量のデータ量を削減することができることはいうまでもない。
【0032】
また、変調方式推定に関して、多くの変調方式候補の中から、一つの変調方式を推定するためには、上記に記したような、多くの特徴量が必要となるが、前回の干渉解析(404)の結果と同じ変調方式であるか否かを判定する時には、すべての特徴量を使用する必要はない。例えば、変調方式{AM(amplitude modulation),MASK(M-ary amplitude shift keying),VSB(vestigial side band),FM(frequency modulation),MFSK(M-ary Frequency shift keying),DSB―SC(double side band suppressed carrier),SSB−SC(single side band suppressed carrier),BPSK(binary phase shift keying),QPSK(quadrature phase shift keying)}の候補の中から、一つの変調方式を推定するためには、干渉信号の振幅の標準偏差、振幅絶対値の標準偏差、振幅の尖度、周波数成分の絶対値の標準偏差、周波数成分の尖度、位相の標準偏差、位相の絶対値の標準偏差、正規化した振幅絶対値の周波数成分、左右周波数成分の有無、周波数成分の左右非対称性、中心周波数電力、周波数成分の最大電力などを用いて推定を行うが、前回の干渉解析(404)の結果QPSKと同じであるか否かを干渉解析(408)で確かめるとすると、位相の標準偏差、左右周波数成分の有無、位相の絶対値の標準偏差、周波数成分の最大電力のみを用いることで、判断できる。
【0033】
干渉解析(408)の結果、前回の干渉解析(404)と同じ干渉信号(405)であると判断した場合、端末101の信号送信処理部211は信号送信処理(409)を行う。また、干渉解析部209は、干渉解析(408)の結果、前回の干渉解析(404)で解析した干渉信号(405)ではない判断した場合、再び詳細な干渉信号解析を行う。
【0034】
次に、第1の実施形態における端末101の干渉検出、干渉解析および信号送信手順について図5を参照して説明する。
まず、RSSI測定部204が、信号を送信する周波数帯域に対して、特徴量の一つとして、RSSIを測定する(ステップS501)。次に、干渉検出部205が、測定した受信電力と予め定められた閾値とを比較する(ステップS502)。この時、閾値は、例えば、熱雑音電力と同等の電力を定めておく。この時、受信電力が閾値を下回った場合(ステップS503のNo)、通常動作として、信号送信処理部211、DAC212、RF部213によって、端末101は信号を送信する(ステップS504)。
【0035】
受信電力が閾値を上回った場合(ステップS503のYes)、干渉検出部205は、信号を送信する周波数帯域内に干渉信号が存在すると判断し、信号送信処理部211に、信号の送信を停止する通知を行い、信号送信処理部211が信号の送信を停止する(ステップS505)。さらに、DFT206と変調方式推定部207が、この周波数帯域内に存在する干渉信号の解析を行うために、干渉信号の特徴量を収集し(ステップS506)、干渉解析部209が、この特徴量を用いて干渉信号の解析を行い、干渉信号がどのようなシステムから送信されているかを推定する(ステップS507)。干渉解析部209は、干渉解析の結果から信号送信再開が可能であるかどうかを判断し(ステップS508)、信号送信可能であると判断すれば、制御処理部210を介して再開処理の指示を信号送信処理部211に通知し、信号送信処理部211が信号送信を行い(ステップS509)、再開できないと判断されれば、この周波数帯域での通信をあきらめて、別周波数帯域への通信変更手続きを開始する(ステップS510)。別周波数帯域への変更交渉は他の専用周波数帯域で通知してもよいし、UWBのような広い帯域を用いて他のシステムに干渉を与えないように通知を行ってもよい。
【0036】
次に、第1の実施形態における干渉信号解析処理(ステップS507)および、信号送信再開判定処理(ステップS508)の詳細について図6を参照して説明する。図6は、干渉信号検出処理で干渉が存在すると判定され、信号の送信を停止した後のフローチャートである。
まず、DFT206が、サンプリングした受信信号に対して離散フーリエ変換処理を行う(ステップS601)。この処理で、干渉解析部209は、干渉信号が測定した周波数帯域のどの周波数に存在するかを確認する。次に、干渉解析部209が、制御処理部210内のメモリを参照して、前回の送信時に干渉信号検出処理において、干渉信号が検出され、信号送信処理の前に干渉解析処理が行われたかどうかを判定する(ステップS602)。例えば、図4の干渉解析処理404は前回の干渉検出処理401において干渉が検出されていないため、前回の信号送信処理402の前には干渉解析処理は行われていない。また、図4の干渉解析処理408は前回の干渉検出処理403において、干渉が検出されているため、前回の信号送信処理406の前には、干渉解析処理404が行われている。ここで、前回の信号送信処理の前に干渉解析処理が行われていれば、次に、干渉解析部209が、制御処理部210内のメモリを参照して、その干渉信号が前回の変調解析の時と同じ周波数帯域に存在するか否かを判断する(ステップS603)。さらに、前回と同じ周波数帯域の干渉信号であると判断された場合、干渉解析部209が制御処理部210内のメモリを参照して前回解析された干渉信号と同じ変調方式であるか否かを推定する処理を行う(ステップS604)。ここでは、変調方式が同じかどうかを判定しているが、変調方式でなく、他の特徴量が同じかどうかを判定してもよい。ここで、干渉解析部209が、変調方式推定部207によって推定された干渉信号の変調方式が前回解析された干渉信号と同じ変調方式であると判断した場合、前回推定されたシステムと同一であると判断する(ステップS606)。また、前回の送信時に干渉信号の解析を行っていない場合(ステップS602のNo)、または、前回の干渉解析と結果が異なる場合(ステップS603のNo、605のNo)は、変調方式推定部207が、すべての候補の中から変調方式の推定を行い(ステップS608)、干渉解析部209が、干渉信号の周波数帯域および推定された変調方式から、干渉信号のシステムを推定する(ステップS609)。
【0037】
本実施形態では、前回の干渉信号と同じ周波数帯域に干渉信号があった場合に(ステップS603のYes)に、前回の変調方式との比較(ステップS605)を行っているが、過去数回の干渉解析の履歴を保存し、履歴に残された干渉信号と同じ周波数帯域に干渉信号があった場合に、前回の変調方式との比較(ステップS605)を行ってもよい。また、前回の干渉解析処理が行われた時刻を履歴として保存しておき、今回の干渉解析処理の時刻との差が、閾値より大きい場合、前回の干渉信号と同じ周波数帯域に干渉信号があった場合でも、前候補から変調方式推定(ステップS608)を行ってもよい。ここでの閾値は、該当する周波数帯域において優先度を持つシステムや、干渉信号のシステムの送信サイクル周期に合わせて設定する必要がある。例えば、TV放送などは、深夜帯に放送が途絶えるとすると、サイクル周期は数時間単位と考えられるため、閾値は数分〜数時間であることが考えられる。レーダーなどはサイクル周期がs単位、また、無線LANや携帯電話等は、サイクル周期がms単位と考えられるため、閾値は数us〜数msであることが考えられる。
【0038】
干渉信号のシステム推定が完了した後、干渉検出部205が送信する周波数帯域における干渉信号電力と閾値を比較する(ステップS610)。この閾値は干渉検出処理(403)で用いた熱雑音から計算された閾値とは異なり、通信中のデータのQoS(quality of service)によって可変となる閾値である。例えば、送信する信号の変調方式が干渉に強い方式(BPSK等)であれば、閾値は高く設定され、変調方式が干渉に弱い方式(64QAM等)であれば、閾値は低く設定される。誤り訂正符号の符号化率が高ければ、多くの誤りを訂正できるため、閾値を高く設定できる。制御信号のようにリアルタイム性が要求され、かつ、多くの誤りを許容できないデータに対しては、閾値は低く設定され、データのダウンロードのように再送が許容されるデータに対しては、閾値は高く設定される。
【0039】
干渉信号電力が閾値より低いと判断された場合(ステップS610のYes)、干渉解析部209は、ステップS606およびステップS609で推定された干渉信号の送信元のシステムと、自システムとの優先度を比較し、干渉信号を送信するシステムが、低い優先度をもっていると判断した場合(ステップS611のYes)、信号送信処理を再開できると判断する(ステップS612)。もし、推定した干渉信号を送信するシステムが、自システムより優先度が高ければ(ステップS611のNo)信号送信処理を再開できないと判断する(ステップS613)。
【0040】
第1の実施形態によれば、干渉を検出した時点で信号の送信を一時停止させるため、他システムに干渉を与える確率を低く抑えることができるとともに、干渉解析の結果に応じて信号送信を再開できるため、自システムのスループットを向上することができる。
【0041】
また、自システムより優先度が高いか低いかを合わせて複数のシステムを記憶しているので、アンライセンスシステムや、他のコグニティブ無線機が存在し、通信を行っている場合に、自システムのスループットが下がることを防止することができる。
【0042】
さらに、ライセンスシステムが存在し、通信を行っている場合に、この通信を避けて通信を行うことで、ライセンスシステムへの干渉を抑圧するとともに、自システムのスループットが下がることを防止することができる。
【0043】
またさらに、干渉検出手段で、連続して干渉信号が検出された場合、同一システムからのまたは同様な特徴を有した干渉信号である可能性が高いことを利用して、干渉解析に使用する特徴量を絞ることにより、2回目以降の干渉解析手段を短時間で終了させることができるため、自システムのスループットを向上させることができる。
【0044】
(第2の実施形態)
本実施形態の通信装置は、第1の実施形態とは干渉解析処理が異なる。本実施形態の通信装置は、第1の実施形態の通信装置とは異なり、変調方式推定部207、優先度データベース208を備えていない。また、本実施形態の干渉解析部と制御処理部は、第1の実施形態での干渉解析部209と制御処理部210の動作と異なる。以下、既に説明した装置部分と同様なものは同一の番号を付してその説明を省略する。
【0045】
第2の実施形態の通信装置について図7を参照して説明する。
干渉解析部701は、DFT206での離散フーリエ変換処理を用いて、干渉信号の特徴量の一つとして、干渉信号の周波数毎の電力を得て、現在使用している周波数帯域の中で、空き周波数帯域で通信再開が可能であるか否かを判断する。干渉解析部701の動作の詳細は後に図9を参照して説明する。
【0046】
制御処理部702は、干渉解析部701の干渉解析処理の結果を受けて、別周波数帯域で通信を行う手続きを開始する。制御処理部702は、干渉信号を周波数空間的に避けて送信を行うよう送信を制御する。すなわち、送信する時間は干渉信号と重なることがあっても、干渉信号が送信されていない周波数帯域で、端末101が送信処理を行うように制御する。また、制御処理部702は、第1の実施形態の制御処理部210のように、干渉解析処理の結果、干渉解析部701が信号送信を再開できると判断した場合、信号送信再開ができる旨の通知を受け取り信号送信処理部211に通知し、信号送信を再開できないと判断した場合は、信号送信再開ができない旨の通知を受け取り信号送信処理部211に通知する。
【0047】
次に、第2の実施形態における、端末101の干渉検出、干渉解析処理および信号送信の一例について図8を参照して説明する。
端末101および端末102はすでに同期が取れているものとし、また、端末101がどの周波数帯域およびどのタイミングで信号を送信するかは、すでにお互いに既知であるものとする。これらの交渉は他の専用周波数帯域で通知してもよいし、UWBのような広い帯域を用いて他のシステムに干渉を与えないように通知を行ってもよい。
【0048】
端末101の干渉解析部209が、DFT206による離散フーリエ変換処理を行うことで得た、干渉信号の周波数特性から、どの周波数帯域に干渉信号(405)が存在するのかを確認するまでは、第1の実施形態での図4での説明と同様である。
【0049】
干渉解析部701が、干渉を解析した結果、干渉信号(405)の中心周波数および周波数帯域幅を確認した後、この干渉信号を避け、該干渉信号に対して互いに干渉が十分に小さく、互いの通信に影響を及ぼさない低干渉周波数帯域で、信号送信処理を再開するように制御処理部210に通知し、信号送信処理部211が送信処理を行う(801)。低干渉周波数帯域は、上記干渉信号とは異なる周波数帯域であり、例えば、上記干渉信号に直交する周波数帯域とすればより好ましい効果が得られることはいうまでもない。さらに、続けて送信を行う場合、再び送信する周波数帯域において、RSSI測定部204と干渉検出部205が干渉検出処理(802)を行い、干渉が存在しないことを確認した後、信号送信処理部211が信号送信処理(803)を行う。
【0050】
第2の実施形態では、干渉信号の周波数成分という特徴量を用いて干渉解析を行ったが、干渉信号の到来方向という特徴量を用いて、アダプティブアレーアンテナで干渉信号の到来方向にヌルを向けた信号送信再開を行うことで、空間的な直交性を利用できる。また、干渉信号のバースト長、干渉信号のバーストサイクル周期、干渉信号のDuty比という特徴量を用いて、その時間的な隙間を利用して信号送信再開をすることで、時間的な直交性を利用できる。さらに、干渉信号がDS−CDMAであった場合、干渉信号の拡散コードという特徴量を用いて、干渉信号と直交する拡散コードを用いて信号送信再開をすることで、拡散コード的な直交性を利用できる。干渉信号が周波数ホッピングもしくは時間ホッピングを用いた通信であった場合、干渉信号のホッピングパターンという特徴量を用いて、干渉信号と直交するホッピングパターンを用いて信号送信を再開することで、ホッピングパターン的な直交性を利用できる。例えばこれらの、干渉信号に対して直交性を有する、周波数、空間、時間、信号パターンなどをここでは総称して、直交チャネルと呼ぶこととする。
【0051】
次に、第2の実施形態における、端末101の干渉検出、解析および信号送信手順の一例について図9のフローチャートを参照して説明する。以下、既に説明したステップと同様なものは同一の番号を付してその説明を省略する。
RSSI測定部204が測定したRSSI測定値が閾値を上回った場合(ステップS503のYes)、信号を送信する周波数帯域内に、干渉信号が存在すると判断し、信号の送信を停止(ステップS505)した後に、この周波数帯域内に存在する干渉信号の解析を行うために、DFT206が離散フーリエ変換処理を行い(ステップS901)、干渉解析部701が干渉信号の中心周波数および周波数帯域幅を確認する。このことにより、干渉解析部701が干渉信号のない空き周波数帯域を検出する(ステップS901)。空き周波数帯域であるか否かは、例えば、該当周波数帯域の受信電力が熱雑音電力と同等の閾値を下回った場合に、空き周波数帯域であると判断する。この結果から、空き周波数帯域が存在し(ステップS903のYes)、かつ、検出した空き周波数帯域で通信の継続が可能であれば(ステップS904のYes)、干渉解析部701が制御処理部702に再開処理を指示し信号送信処理部211が送信処理を行い(ステップS509)、再開できないと判断されれば、この周波数帯域での通信をあきらめて、別周波数帯域への通信変更手続きを開始する(ステップS510)。
【0052】
第2の実施形態によれば、送信を再開できない場合に、送信周波数帯域を変更することにより、自システムのスループットが低下することを防止することができる。
【0053】
(第3の実施形態)
本実施形態の通信装置は、第1の実施形態とは干渉解析処理が異なる。本実施形態の通信装置は、第1の実施形態の通信装置とは異なり、優先度データベース208を備えていない。本実施形態の通信装置は、新たに、バースト長Duty比サイクル周期推定部1001を備えている。また、本実施形態の干渉解析部と制御処理部は、第1の実施形態での干渉解析部209と制御処理部210の動作と異なる。
【0054】
第3の実施形態の通信装置について図10を参照して説明する。
バースト長Duty比サイクル周期推定部1001は、ADC203から受け取ったデジタル信号に基づいて、干渉信号のバースト長、干渉信号のDuty比、干渉信号のサイクル周期を推定する。ここで、ある信号のDuty比とは、(信号が発生している時間)/(信号が発生していない時間)のことである。
【0055】
干渉解析部1002は、バースト長Duty比サイクル周期推定部1001、変調方式推定部207、DFT206からの情報と、制御処理部1003に保存されている前回の干渉解析処理の情報とを用いて、信号送信処理を再開できるか否かを判断する。干渉解析処理の結果、信号送信を再開できると判断した場合、信号送信再開ができる旨を、制御処理部1003に通知する。信号送信を再開できないと判断した場合は、信号送信再開ができない旨を、制御処理部1003に通知する。干渉解析部1002の動作の詳細は後に図12を参照して説明する。
【0056】
制御処理部1003は、制御処理(1210)は干渉解析処理の結果を受けて、別周波数帯域で通信を行う手続きを開始する。制御処理部1003は、干渉信号を時間的に避けて送信を行うよう送信を制御する。すなわち、使用する周波数帯域はほぼ同一であるが、干渉信号が送信されていない時間に、端末101が送信処理を行うように制御する。制御処理部1003は、干渉解析部1002からの通知を受けて、通知に応じて信号送信処理部211を制御する。
【0057】
次に、第3の実施形態における端末101の干渉検出処理・干渉解析処理および信号送信の一例について図11を参照して説明する。
端末101は図3の場合と同様に、干渉検出部205が干渉検出処理(401)を行い、信号送信を行う周波数帯域において干渉信号がないことを確認した後、信号送信処理部211が信号送信処理(402)を行う。続けて信号送信を行おうとして、干渉検出部205が干渉検出処理(403)を行ったとき、信号送信を行う周波数帯域において、干渉信号(1102)が存在したものとする。このとき、干渉検出処理(403)は、電力の有無のみで干渉信号の存在を把握するため、どの周波数帯域に、どのような信号が干渉として存在しているかは判断することができない。端末101は干渉信号(1102)を検出したため、信号送信処理部211が信号送信処理を停止し、干渉解析部1002が干渉解析処理(1101)を行う。干渉解析処理(1101)では、干渉信号(1102)がどのような特徴を持つかを解析する。ここでは、DFT206、変調方式推定部207、バースト長Duty比サイクル周期推定部1001が、干渉信号(1102、1103、1104)をサンプリングし、特徴量の一部として、干渉信号の周波数特性、バースト長、Duty比、サイクル周期を得る。これにより、干渉解析部1002が周波数的、時間的な空き領域を推定する。その他、干渉解析部1002は、干渉信号の振幅の標準偏差、振幅絶対値の標準偏差、振幅の尖度、周波数成分の絶対値の標準偏差、周波数成分の尖度、位相の標準偏差、位相の絶対値の標準偏差、正規化した振幅絶対値の周波数成分、左右周波数成分の有無、周波数成分の左右非対称性、中心周波数電力、周波数成分の最大電力などを算出する。これらの特徴量により、干渉信号(1102、1103、1104)の周波数帯域および変調方式、シンボルレートが推定できる。干渉解析部1002は、この情報と、その周波数帯域における優先度を持つシステムの変調方式、シンボルレートと比較することにより、干渉信号(1102、1103、1104)のシステムを推定できる。
【0058】
干渉解析部1002が、推定した干渉信号(1102、1103、1104)を送信するシステムが、周期的なバースト信号を送信するシステムであり、かつ、その空き時間領域をもちいて通信が継続できると判断した場合、端末101は、時間的空き領域を用いて、信号送信処理を再開する(1105)。例えば、干渉信号(1102、1103、1104)を送信しているシステムがPHSの上り通信のように、時分割多重を行っている通信方式であれば、その変調方式、パイロット信号からシステムの推定をおこない、かつ、バースト長、サイクル周期から空き時間が推定できるため、この直交する時間を用いて通信を再開することが可能となる。ここで、直交する時間とは、信号が時間的にずれていて、互いの通信に影響を及ぼさない時間のことを示す。
【0059】
さらに続けて信号送信を行う要求が発生した場合、干渉検出部205が干渉検出処理(1106)を行う。この時、前回の干渉解析(1101)の時と同じシステムからの干渉信号(1107)が存在したものとする。この場合、干渉検出処理(1106)で干渉の存在が確認されているため、再び干渉解析処理(1108)が行われるが、この時は前回の干渉解析(1101)の時に解析した結果を用いて、干渉解析の際に用いる特徴量を削減し、干渉解析に用いる時間を削減する。ここでは、干渉信号の変調方式推定を行い、干渉信号を送信するシステムが前回の干渉解析(1101)で推定された結果と等しいかどうかの確認を行い、さらに、サイクル周期の推定を省略して、送信バーストの終了を検出した後、信号送信処理(1109)を行う。
【0060】
第3の実施形態における端末101の干渉検出処理、干渉解析処理および信号送信については第1の実施形態で参照した図5に示した動作と同様である。第3の実施形態の端末101は、図5に示したステップのうち、ステップS507とステップS508の詳細動作が第1の実施形態とは異なる。干渉信号解析処理(ステップS507)および、信号送信再開判定処理(ステップS508)での動作の一例について図12を参照して説明する。
【0061】
前回の送信時に干渉信号の解析を行っていない場合(ステップS602のNo)、または、前回の干渉解析と結果が異なる場合(ステップS603のNo、605のNo)は、バースト長Duty比サイクル周期推定部1001が干渉信号のバースト長、Duty比、サイクル周期を測定する(ステップS1201)。ここでは、干渉信号が送信されるシステムの推定を、推定した変調方式のみで行っているが、測定した信号電力、信号周波数帯域幅、シンボルレート、パイロットパターン、バースト長、Duty比等によってシステム推定を行っても良いし、共通インジケータパターン、共通プロトコル等のブロードキャストによって、システムの通知を行っても良い。
【0062】
干渉解析部1002が、干渉信号のシステム推定が完了した後、測定したバースト長、Duty比、サイクル周期から、通信継続のために使用できる空き時間を算出し、空き時間と閾値を比較する(ステップS1202)。この閾値は通信中のデータのQoSによって可変となる閾値である。例えば、通信に要求されるデータ量が大きければ、閾値は大きくなるし、逆に、通信に要求されるデータ量が小さければ、閾値は小さくなる。空き時間が閾値より長いと判断された場合(ステップS1202のYes)、干渉検出部205が、干渉信号の送信バーストの終了を検出し(ステップS1203)、その後、送信再開可能であると判断する(ステップS612)。
【0063】
第3の実施形態によれば、送信を再開できない場合に、干渉信号が発生する時間を除いて送信信号を送信することにより、自システムのスループットが低下することを防止することができる。また、優先度や直交した空き領域が存在し、送信を再開したとしても、QoSが補償できない場合は、他の周波数帯域に移動して通信を行うことで、QoSの補償ができる。
【0064】
(第4の実施形態)
本実施形態の通信装置は、第2の実施形態とは干渉検出処理、干渉解析処理が異なる。本実施形態の通信装置は、第2の実施形態とは異なり、信号受信処理部を新たに備える。また、本実施形態の信号送信処理部、干渉検出部、制御処理部は、第2の実施形態でのそれらの部とは動作が異なる。
【0065】
第4の実施形態の通信装置について図13を参照して説明する。
制御処理部1301は、干渉解析処理の結果、干渉解析部701が信号送信を再開できると判断した場合、干渉解析部701から空き周波数帯域の情報を受け取り、信号送信処理部1302に通知し、空き周波数帯域情報の送信を指示する。制御処理部1301は、干渉解析部701が信号送信を再開できないと判断した場合は、信号送信再開ができない旨を受け取り、干渉解析処理の結果を受けて、別周波数帯域で通信を行う手続きを開始する。
制御処理部1301は、信号受信処理に対しても、解析結果通知の後、信号が送信されてくると考えられる帯域において、信号を待ち受けるための指示をRF部202、ADC203、信号受信処理部1303に通知する。制御処理部1301は、信号受信処理において干渉検出通知が受信できた場合、信号送信処理部1302に信号送信停止を指示する。さらに、空き周波数帯域通知の待ち受け状態に入る。制御処理部1301は、干渉信号検出通知が受信できなかった場合、干渉検出部1304では入力されたRSSIと閾値の比較を行うよう制御する。制御処理部1301は、受信信号電力が閾値を下回った場合、干渉が無い旨の通知を受け、信号送信処理部1302は通常処理として、信号を送信するよう制御する。制御処理部1301は、受信信号電力が閾値を上回った場合、干渉が検出された旨の通知を受け取り、信号送信処理を停止するよう制御する。
【0066】
信号送信処理部1302は、干渉検出通知、空き周波数帯域通知の送信を指示する。
【0067】
信号受信処理部1303は、他の通信装置から、干渉検出通知、空き周波数帯域通知を受け取る。
【0068】
干渉検出部1304は、受け取ったRSSI測定値と閾値の比較を行う。ここで、閾値は、例えば、熱雑音電力と同等の電力を定めておく。干渉検出部1304は、受信信号電力が閾値を下回った場合、信号受信処理部1303に干渉が無い旨を通知する。また、干渉検出部1304は、受信信号電力が閾値より大きい場合、信号送信処理部1302に、干渉検出通知の送信を指示するとともに、制御処理部1301にも干渉が検出された旨を報告する。
【0069】
次に、第4の実施形態における端末102の信号送信および干渉検出、干渉解析結果の受信の一例について図14を参照して説明する。また、第4の実施形態における端末101の信号受信、干渉検出、干渉解析および干渉検出解析結果の通知の一例について図15を参照して説明する。
端末101および端末102はすでに同期が取れているものとし、端末102がどの周波数帯域およびどのタイミングで信号を送信するかは、すでにお互いに既知であるものとする。これらの交渉は他の専用周波数帯域で通知してもよいし、UWBのような広い帯域を用いて他のシステムに干渉を与えないように通知を行ってもよい。
【0070】
端末101は、端末102からの信号を受信する前に、干渉の有無を確かめるために、干渉検出部1304が干渉検出処理(1501)を行う。これと同時に、端末102は、送信を行う前に干渉検出部1304が干渉検出処理(1401)を行う。端末102が行う干渉検出処理(1401)は、後述する端末101からの干渉検出通知の受信処理を兼ねる。ここでは、端末101および端末102において干渉が検出されなかったため、端末102から端末101に対して信号を送信する(1402、1502)。
【0071】
続けて、再び端末102から端末101に対して信号を送信する要求が発生した場合、双方の端末において再び干渉検出を行う(1403、1503)。ここで、端末101の近くに存在する端末103からの干渉信号(1506)が発生したものとする。この信号は端末101では検出できるものの、端末102では距離が遠く、検出できないものとする。端末102は干渉検出部1304が干渉検出処理(1503)で干渉信号(1506)を検出した場合、端末102に対して、信号送信処理部1302が干渉検出通知(1504)を送信する。この干渉検出通知(1504)は、端末102が干渉検出および干渉検出通知の受信処理(1403)を行っている周波数帯域および時間に行う。また、干渉検出通知(1504)は、十分に拡散されているか、端末102の方向にビームを向ける、端末103の方向にヌルを向ける等して、端末103および基地局104への通信に影響を与えない電力とすることが望ましい。なお、干渉検出通知(1504)は干渉検出および送信停止することのみを通知する。
【0072】
端末102では、信号受信処理部1303が干渉検出処理および干渉検出通知の受信処理(1403)で干渉検出通知(1504)を受け取り、信号送信処理部1302が次に予定されていた信号の送信を停止する。端末101では、信号送信処理部1302が干渉検出通知(1504)を送信した後、干渉解析部701が干渉解析処理(1505)を行う。干渉解析処理(1505)は、干渉信号(1506)がどのような特徴を持つかを解析する。ここでは、干渉信号をサンプリングし、特徴量の一つとして、DFT206が離散フーリエ変換処理を行うことで干渉信号の周波数特性を得る。この特徴量から、どの周波数帯域に干渉信号(1506)が存在するのかを確認する。干渉解析部701が、干渉を解析した結果、干渉信号(1506)の中心周波数および周波数帯域幅を確認した後、端末101は、この干渉信号を避け、直交する周波数帯域で、干渉解析結果通知(1507)を送信する。端末102は、どの周波数帯域で干渉解析結果通知が送信されてくるか分からないため、干渉解析結果通知(1507)は、冗長性が大きく、端末102がブラインド推定しやすい信号であることが望ましい。例えば、干渉解析結果通知(1507)は、周波数分割されたマルチキャリアの信号であり、周波数毎に同一の信号を送信し、端末102はすべてのキャリアで待ち受けても良い。また、干渉解析結果通知(1507)は、端末102が送信を再開するための空き周波数帯域の情報を通知する。この後、通知された空き周波数帯域において、端末101は干渉検出処理(1508)、端末102は干渉検出および干渉検出通知受信処理(1405)を行い、信号送信処理を再開する(1406、1509)。
【0073】
次に、第4の実施形態における、端末101の干渉検出、干渉解析・干渉通知および信号受信手順について図16を参照して説明する。図16のフローチャートは、図9のフローチャートとほとんど同一であるが、新たに干渉検出を相手端末に通知すること、空き周波数帯域を相手端末に通知することが加わる。
まず、端末101は信号を受信する周波数帯域に対して、特徴量の一つとして、RSSI測定部204が受信電力(RSSI)を測定する(ステップS501)。干渉検出部1304がRSSI測定値と閾値を比較し、受信電力が閾値を上回った場合(ステップS503のYes)、干渉検出部1304が信号を受信する周波数帯域内に干渉信号が存在すると判断し信号送信処理部1302に指示し、信号送信処理部1302が干渉信号検出を端末102に通知する(ステップS1601)(図15の1504)。
【0074】
空き周波数帯域であるか否かは、例えば、端末101の干渉検出部1304が、該当周波数帯域の受信電力が熱雑音電力と同等の閾値を下回った場合に空き周波数帯域であると判断する。この結果から、空き周波数帯域が存在し(ステップS903のYes)、かつ、検出した空き周波数帯域で通信の継続が可能であれば(ステップS904のYes)、端末101は信号送信処理部1302によって空き周波数帯域の情報を端末102に通知し(ステップS1602)(図14の1407)、その後、端末101は送信されてきた信号を受信する(ステップS1603)(図15の1509)。
【0075】
次に、第4の実施形態における、端末102の干渉検出、干渉解析、干渉通知受信および信号送信手順について図17を参照して説明する。図17のフローチャートは、図9のフローチャートとステップS1702以降は同一であるが、干渉検出通知に関してのフローが加わる。
まず、端末102は信号を送信する周波数帯域に対して、特徴量の一つとして、受信電力(RSSI)を測定する(ステップS501)。同時に、信号受信処理部1303が端末101からの干渉検出通知の受信処理(ステップS1701)も行う。端末101が送信した干渉検出通知を受信できた場合(ステップS1702のYes)、次に送信する予定だった信号の送信を停止する(ステップS1703)。その後、端末101からの干渉解析結果(空き周波数帯域)の通知を待ち受ける(ステップS1704)。端末101からの干渉解析結果の通知が受信できない場合(ステップS1705のNo)、現在行っている通信を別の周波数帯域で行うための手続きを開始する(ステップS1706)。
【0076】
第4の実施形態によれば、干渉検出処理と同時に他の通信装置から干渉検出通知、送信停止通知、干渉解析結果通知、送信を再開するための空き周波数帯域の情報通知を受信することができるので、自システムのスループットを向上させることができる。
【0077】
(ソフトウェアによる実施形態)
また、上述の実施形態の中で示した処理手順に示された指示は、ソフトウェアであるプログラムに基づいて実行されることが可能である。汎用の計算機システムが、このプログラムを予め記憶しておき、このプログラムを読み込むことにより、上述した実施形態の通信装置による効果と同様な効果を得ることも可能である。上述の実施形態で記述された指示は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、又はこれに類する記録媒体に記録される。コンピュータまたは組み込みシステムが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。コンピュータは、この記録媒体からプログラムを読み込み、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させれば、上述した実施形態の通信装置と同様な動作を実現することができる。もちろん、コンピュータがプログラムを取得する場合又は読み込む場合はネットワークを通じて取得又は読み込んでもよい。
また、記憶媒体からコンピュータや組み込みシステムにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワーク等のMW(ミドルウェア)等が本実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。
さらに、本願発明における記憶媒体は、コンピュータあるいは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
また、記憶媒体は1つに限られず、複数の媒体から本実施形態における処理が実行される場合も、本発明における記憶媒体に含まれ、媒体の構成は何れの構成であってもよい。
【0078】
なお、本願発明におけるコンピュータまたは組み込みシステムは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、本実施形態における各処理を実行するためのものであって、パソコン、マイコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であってもよい。
また、本願発明の実施形態におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の実施形態における機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0079】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本実施形態の通信装置の通信システムと他の通信システムとの関係を説明するための図。
【図2】第1の実施形態の通信装置のブロック図。
【図3】図2の通信装置の干渉検出処理、信号送信処理の一例を示す図。
【図4】図2の通信装置の干渉検出処理、干渉解析処理および信号送信処理の一例を示す図。
【図5】図2の通信装置の動作の一例を示すフローチャート。
【図6】図5のステップS507およびステップS508の詳細の一例を示すフローチャート。
【図7】第2の実施形態の通信装置のブロック図。
【図8】図7の通信装置の干渉検出処理、干渉解析処理および信号送信処理の一例を示す図。
【図9】図7の通信装置の動作の一例を示すフローチャート。
【図10】第3の実施形態の通信装置のブロック図。
【図11】図10の通信装置の干渉検出処理、干渉解析処理および信号送信処理の一例を示す図。
【図12】図10の通信装置の干渉信号解析処理および信号送信再開判定処理での動作の一例を示すフローチャート。
【図13】第4の実施形態の通信装置のブロック図。
【図14】データ信号を送信する場合の図13の通信装置の信号送信および干渉検出、干渉解析結果の受信の一例を示す図。
【図15】データ信号を受信する場合の図13の通信装置の信号受信、干渉検出、干渉解析および干渉検出解析結果の通知の一例を示す図。
【図16】データ信号を受信する場合の図13の通信装置の動作の一例を示すフローチャート。
【図17】データ信号を送信する場合の図13の通信装置の動作の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0081】
101、102、103、105、106・・・端末、104・・・基地局、201・・・アンテナ、202・・・無線周波数処理部、203・・・ADC、204・・・RSSI測定部、205、1304・・・干渉検出部、206・・・DFT、207・・・変調方式推定部、208・・・優先度データベース、209、701、1002・・・干渉解析部、210、702、1003、1301・・・制御処理部、211、1302・・・信号送信処理部、212・・・DAC、213・・・RF部、401、403・・・干渉検出処理、402、406・・・信号送信処理、404、408・・・干渉解析処理、1001・・・バースト長Duty比サイクル周期推定部、1303・・・信号受信処理部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第1の干渉特徴量を測定する測定手段と、
前記第1の干渉特徴量から前記送信周波数帯域に干渉信号があるか否かを判定する干渉判定手段と、
前記測定の後に、前記送信周波数帯域のうちで前記干渉信号に直交する周波数帯域、前記干渉信号に直交する時間、前記干渉信号に直交する空間、および前記干渉信号に直交する拡散コードのうち少なくとも1つに該当する送信チャネルを、前記測定手段が測定する第2の干渉特徴量から求める干渉解析手段と、
前記送信周波数帯域に干渉信号がないと判定された場合に前記送信周波数帯域で第1の送信をし、前記送信周波数帯域に干渉信号があると判定された場合に前記送信チャネルで第2の送信を行う送信手段と、を具備することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第1の干渉特徴量を測定する測定手段と、
前記第1の干渉特徴量から前記送信周波数帯域に干渉信号があるか否かを判定する干渉判定手段と、
前記干渉判定手段で前記送信周波数帯域に干渉信号がないと判定された場合、前記送信周波数帯域において、信号を送信する第1の送信手段と、
前記干渉判定手段で前記送信周波数帯域に干渉信号があると判定された場合、前記送信周波数帯域において、前記干渉信号に直交する周波数帯域、前記干渉信号に直交する時間、前記干渉信号に直交する空間、および前記干渉信号に直交する拡散コードのうち少なくとも1つに該当する送信チャネルを、前記測定手段が測定する第2の干渉特徴量から見つける干渉解析手段と、
前記干渉解析手段において、前記送信チャネルが見つかった場合、前記送信チャネルで信号の送信を行う第2の送信手段と、を具備することを特徴とする通信装置。
【請求項3】
干渉信号の特徴量に対応するチャネル情報と、前記チャネル情報と関連付けられた優先権情報と、を記憶する優先権情報記憶手段と、
送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第1の干渉特徴量を測定する測定手段と、
前記第1の干渉特徴量から前記送信周波数帯域に干渉信号があるか否かを判定する干渉判定手段と、
前記干渉判定手段で前記送信周波数帯域に干渉信号がないと判定された場合、前記送信周波数帯域で送信を行う第1の送信手段と、
前記干渉判定手段で前記送信周波数帯域に干渉信号があると判定された場合、前記測定手段に測定され前記送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第2の干渉特徴量から干渉チャネル情報を求める干渉解析手段と、
前記チャネル情報のうち、前記干渉チャネル情報に該当するものに関連付けられている優先権情報が自装置に優先権があると示している場合に、前記送信周波数帯域で送信を行う第2の送信手段と、を具備することを特徴とする通信装置。
【請求項4】
前記干渉解析手段は、前記送信チャネルを記憶し、
前記測定手段は、前記第2の送信の後に、前記送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第3の干渉特徴量を測定し、
前記干渉判定手段は、前記第3の干渉特徴量から前記送信周波数帯域に干渉信号があるか否かを判定し、
前記送信手段は、前記干渉解析手段が、該判定の後に前記送信周波数帯域内の干渉信号の状態を前記測定手段が測定した結果であってかつ前記第2の干渉特徴量よりも種類が少ない第4の干渉特徴量から求めた、前記第1の周波数帯域のうち干渉信号がないチャネルである簡易解析送信チャネルで、次の送信を、該判定の結果が前記送信周波数帯域に干渉信号があるというものであった場合に行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記送信チャネルは、前記送信周波数帯域のうちで干渉信号に直交する周波数帯域である直交周波数帯域であり、
前記干渉解析手段は、前記直交周波数帯域を記憶し、
前記干渉判定手段は、前記第2の送信の後に、前記直交周波数帯域に干渉信号があるか否かを判定し、
前記送信手段は、該判定において前記直交周波数帯域に干渉信号がないと判定された場合に、前記干渉解析手段の解析結果に関わらず前記直交周波数帯域で第3の送信を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記干渉信号は、周期的バースト信号であり、
前記送信チャネルは、前記干渉信号に直交する時間である直交時間に対応し、
前記干渉解析手段は、前記第2の干渉特徴量から、前記直交時間を求めてこれを記憶し、
前記送信手段は、前記干渉判定手段の判定を待たず、前記第2の送信の後に前記直交時間にて第3の送信を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
コンピュータを、
送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第1の干渉特徴量を測定する測定手段と、
前記第1の干渉特徴量から前記送信周波数帯域に干渉信号があるか否かを判定する干渉判定手段と、
前記測定の後に、前記送信周波数帯域のうちで前記干渉信号に直交する周波数帯域、前記干渉信号に直交する時間、前記干渉信号に直交する空間、および前記干渉信号に直交する拡散コードのうち少なくとも1つに該当する送信チャネルを、前記測定手段が測定する第2の干渉特徴量から求める干渉解析手段と、
前記送信周波数帯域に干渉信号がないと判定された場合に前記送信周波数帯域で第1の送信をし、前記送信周波数帯域に干渉信号があると判定された場合に前記送信チャネルで第2の送信を行う送信手段として機能させるための通信プログラム。
【請求項1】
送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第1の干渉特徴量を測定する測定手段と、
前記第1の干渉特徴量から前記送信周波数帯域に干渉信号があるか否かを判定する干渉判定手段と、
前記測定の後に、前記送信周波数帯域のうちで前記干渉信号に直交する周波数帯域、前記干渉信号に直交する時間、前記干渉信号に直交する空間、および前記干渉信号に直交する拡散コードのうち少なくとも1つに該当する送信チャネルを、前記測定手段が測定する第2の干渉特徴量から求める干渉解析手段と、
前記送信周波数帯域に干渉信号がないと判定された場合に前記送信周波数帯域で第1の送信をし、前記送信周波数帯域に干渉信号があると判定された場合に前記送信チャネルで第2の送信を行う送信手段と、を具備することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第1の干渉特徴量を測定する測定手段と、
前記第1の干渉特徴量から前記送信周波数帯域に干渉信号があるか否かを判定する干渉判定手段と、
前記干渉判定手段で前記送信周波数帯域に干渉信号がないと判定された場合、前記送信周波数帯域において、信号を送信する第1の送信手段と、
前記干渉判定手段で前記送信周波数帯域に干渉信号があると判定された場合、前記送信周波数帯域において、前記干渉信号に直交する周波数帯域、前記干渉信号に直交する時間、前記干渉信号に直交する空間、および前記干渉信号に直交する拡散コードのうち少なくとも1つに該当する送信チャネルを、前記測定手段が測定する第2の干渉特徴量から見つける干渉解析手段と、
前記干渉解析手段において、前記送信チャネルが見つかった場合、前記送信チャネルで信号の送信を行う第2の送信手段と、を具備することを特徴とする通信装置。
【請求項3】
干渉信号の特徴量に対応するチャネル情報と、前記チャネル情報と関連付けられた優先権情報と、を記憶する優先権情報記憶手段と、
送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第1の干渉特徴量を測定する測定手段と、
前記第1の干渉特徴量から前記送信周波数帯域に干渉信号があるか否かを判定する干渉判定手段と、
前記干渉判定手段で前記送信周波数帯域に干渉信号がないと判定された場合、前記送信周波数帯域で送信を行う第1の送信手段と、
前記干渉判定手段で前記送信周波数帯域に干渉信号があると判定された場合、前記測定手段に測定され前記送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第2の干渉特徴量から干渉チャネル情報を求める干渉解析手段と、
前記チャネル情報のうち、前記干渉チャネル情報に該当するものに関連付けられている優先権情報が自装置に優先権があると示している場合に、前記送信周波数帯域で送信を行う第2の送信手段と、を具備することを特徴とする通信装置。
【請求項4】
前記干渉解析手段は、前記送信チャネルを記憶し、
前記測定手段は、前記第2の送信の後に、前記送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第3の干渉特徴量を測定し、
前記干渉判定手段は、前記第3の干渉特徴量から前記送信周波数帯域に干渉信号があるか否かを判定し、
前記送信手段は、前記干渉解析手段が、該判定の後に前記送信周波数帯域内の干渉信号の状態を前記測定手段が測定した結果であってかつ前記第2の干渉特徴量よりも種類が少ない第4の干渉特徴量から求めた、前記第1の周波数帯域のうち干渉信号がないチャネルである簡易解析送信チャネルで、次の送信を、該判定の結果が前記送信周波数帯域に干渉信号があるというものであった場合に行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記送信チャネルは、前記送信周波数帯域のうちで干渉信号に直交する周波数帯域である直交周波数帯域であり、
前記干渉解析手段は、前記直交周波数帯域を記憶し、
前記干渉判定手段は、前記第2の送信の後に、前記直交周波数帯域に干渉信号があるか否かを判定し、
前記送信手段は、該判定において前記直交周波数帯域に干渉信号がないと判定された場合に、前記干渉解析手段の解析結果に関わらず前記直交周波数帯域で第3の送信を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記干渉信号は、周期的バースト信号であり、
前記送信チャネルは、前記干渉信号に直交する時間である直交時間に対応し、
前記干渉解析手段は、前記第2の干渉特徴量から、前記直交時間を求めてこれを記憶し、
前記送信手段は、前記干渉判定手段の判定を待たず、前記第2の送信の後に前記直交時間にて第3の送信を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
コンピュータを、
送信周波数帯域における干渉信号の状態を示す第1の干渉特徴量を測定する測定手段と、
前記第1の干渉特徴量から前記送信周波数帯域に干渉信号があるか否かを判定する干渉判定手段と、
前記測定の後に、前記送信周波数帯域のうちで前記干渉信号に直交する周波数帯域、前記干渉信号に直交する時間、前記干渉信号に直交する空間、および前記干渉信号に直交する拡散コードのうち少なくとも1つに該当する送信チャネルを、前記測定手段が測定する第2の干渉特徴量から求める干渉解析手段と、
前記送信周波数帯域に干渉信号がないと判定された場合に前記送信周波数帯域で第1の送信をし、前記送信周波数帯域に干渉信号があると判定された場合に前記送信チャネルで第2の送信を行う送信手段として機能させるための通信プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−72646(P2008−72646A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251605(P2006−251605)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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