説明

通信装置および通信システム

【課題】誤送信の発生を抑制できる通信装置および通信システムを提供すること。
【解決手段】BOX10から子機60へFAX電話番号が通知されるので、ユーザにとっては、BOX10から子機60へ通知されたFAX電話番号を利用して、そのFAX電話番号で特定される相手先の外部装置の通話者と通話をすることができる。そして、ユーザは、通話により、相手先の外部装置を認識した上で、FAX送信データの送信指示を子機60からBOX10へ出力させ、BOX10から通話の相手先へ、FAX送信データを送信させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置および通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コードレス子機が通話中であるときに、複合機に設けられているファクシミリ送信開始ボタンを押すと、通話中の相手先にファクシミリ送信を実行する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−89041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、子機の側で、あるユーザがファクシミリ送信の宛先とは無関係な相手先へ電話をかけているときに、他のユーザが複合機において、ファクシミリ送信開始ボタンを押してしまう場合、その無関係な相手にファクシミリ送信が行われてしまうという誤送信が発生するという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、誤送信の発生を抑制できる通信装置および通信システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明の通信装置は、通信網を介し外部装置との間で通話を行う子機に接続する第1接続手段と、前記外部装置へ送信するデータを処理する処理装置に接続する第2接続手段とを備えるものであって、前記第2接続手段を介して前記処理装置から送られてくる送信データを受信する送信データ受信手段と、前記送信データ受信手段により前記送信データを受信したことを、前記第1接続手段を介して前記子機に対して通知する通知手段と、前記通知手段による通知先の子機と前記外部装置との間における通話を中継する中継手段と、前記中継手段により通話が中継される前記子機から送信データの送信指示を受信した場合、前記中継手段が中継する通話の相手先である外部装置に対して、前記送信データ受信手段により受信した前記送信データを送信する送信手段とを備える。
【0007】
なお、本発明は、通信装置、該通信装置を制御する通信制御装置、該通信装置を含む通信システム、通信方法、通信装置を制御する通信制御プログラム、該通信制御プログラムを記録する記録媒体等の種々の態様で構成することができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の通信装置によれば、ユーザは、通信装置からの通知が行われた子機を用いて通話することで相手先の外部装置を認識し、その上で、送信データの送信指示を子機から出力することにより、通話の相手先へ送信データを送信することができる。よって、誤った相手先へ送信データを送信してしまう誤送信の発生を抑制できるという効果がある。
【0009】
請求項2記載の通信装置によれば、請求項1記載の通信装置の奏する効果に加え、前記処理装置から受信した特定データが子機に対して通知されるので、子機の側では、受信した特定データを利用した処理を実行できるという効果がある。
【0010】
請求項3記載の通信装置によれば、請求項2記載の通信装置の奏する効果に加え、相手先データと特定データとが等しいと判断されることを条件として、送信データが通話の相手先である外部装置へ送信されるので、通話の相手先である外部装置へ送るべき送信データを送信できるという効果がある。
【0011】
請求項4記載の通信装置によれば、請求項2または3に記載の通信装置の奏する効果に加え、通知手段は、複数台の子機のうち、識別データで識別される子機に対して通知をするので、通信装置と接続可能な子機が複数台ある場合においても、子機を指定した処理を行うことができるという効果がある。
【0012】
請求項5記載の通信装置によれば、請求項4記載の通信装置の奏する効果に加え、メモリに保存されている特定データのうち、受信した識別データと同一の識別データに対応づけてメモリに保存されている特定データが、受信した識別データで識別される子機へ通知されるので、子機毎に適切な特定データを通知することができるという効果がある。
【0013】
請求項6記載の通信装置によれば、請求項5記載の通信装置の奏する効果に加え、相手先データと等しい特定データが、メモリに保存されているかが判断され、その判断結果が子機に通知されるので、子機の側では、相手先データと等しい特定データの有無に応じて、適切な処理を行うことができるという効果がある。
【0014】
請求項7記載の通信装置によれば、請求項1記載の通信装置の奏する効果に加え、受信した特定データで特定される外部装置に発呼し、その発呼した外部装置と子機との間の通話を中継した後に送信データを送信するので、誤送信の発生を抑制できるという効果がある。
【0015】
請求項8記載の通信装置によれば、請求項1から7のいずれかに記載の通信装置の奏する効果に加え、送信データを受信した後は処理装置との間の接続が切断され、その後、子機と外部装置との間の通話の中継が開始されるので、第1接続手段および第2接続手段が共に無線通信により装置間を接続するものであっても、通話中における無線干渉の発生を抑制し、通話品質の低下を抑制できるという効果がある。
【0016】
請求項9記載の通信システムによれば、請求項1記載の通信装置と同様の作用効果を奏する。さらに、子機においては、通信装置から通知された特定データが表示されるので、子機のユーザに特定データを視認させることができ、さらに、発呼先の外部装置をユーザに選択させることができるので、ユーザは、同一の特定データを処理装置と子機とのそれぞれに重複して入力する必要がなく、ユーザの手間を軽減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の通信装置の一例であるBOXを含む通信システムの電気的構成を示したブロック図である。
【図2】通信システムにおいて実現される手動送信機能のシーケンスの一例を示す概略図である。
【図3】BOXにおいて実行されるFAX送信処理を示すフローチャートの一部である。
【図4】BOXにおいて実行されるFAX送信処理を示すフローチャートの一部である。
【図5】子機において実行されるFAX手動送信処理を示すフローチャートである。
【図6】MFPにおいて実行されるFAXモード処理を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態のBOXにおいて実行されるFAX送信処理を示すフローチャートの一部である。
【図8】第2実施形態の子機において実行されるFAX手動送信処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の通信装置の一実施形態である回線制御装置(以下「BOX」と称す)10と、多機能周辺装置(以下、「MFP」と称す)30と、子機60とを含む通信システム1の電気的構成を示したブロック図である。BOX10は、電話回線網100を使用した通信の制御を行う通信装置である。MFP30は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、FAX機能などを備え、外部装置へ送信するデータ(以下、FAX送信データと称する)を作成する。子機60は、電話回線網100を介し外部装置との間で通話を行うデジタルコードレス電話機である。
【0019】
特に、BOX10は、MFP30からFAX送信データを受信し、そのFAX送信データを外部装置へFAX送信するものであって、誤送信の発生を抑制できるように構成されている。以下、詳細を説明する。なお、本実施形態のBOX10は、電話回線網100を利用したG3FAXによりデータの送受を行うものとして説明するが、BOX10は、G4FAX、IPFAXやInternetFAXによりFAX送信を行うものであっても良い。
【0020】
BOX10には、CPU11、ROM12、RAM13、EEPROM14、無線LAN送受信部16、無線LANアンテナ部17、モデム18、電話回線接続部19、デジタルコードレス電話(DCL)送受信部20、DCLアンテナ部21、パネル22、ボタン入力部23が設けられている。これらの構成要素は、入出力ポート15を介して互いに通信可能に接続されている。
【0021】
CPU11は、ROM12等に記憶される固定値やプログラム或いは、無線通信202,203を介して送受信される各種信号に従って、入出力ポート15と接続された各部を制御する。ROM12は、書換不能なメモリであって、図3,図4を参照して後述する処理を実行するためのプログラムなどが格納されている。RAM13は、書換可能な揮発性のメモリである。EEPROM14は、書換可能な不揮発性のメモリであり、手動送信待ちテーブル14aが設けられる。手動送信待ちテーブル14aについては、図2を参照して後述する。
【0022】
無線LAN送受信部16は、IEEE802.11b/gの規格に準拠した無線LANにより、2.4GHz帯を利用した無線通信202を行うための回路である。この無線LAN送受信部16により、MFP30との間がデータ通信可能に接続され、無線LANアンテナ部17を介して、各種のデータを構成するデジタル信号が送受信される。モデム18は、FAX機能によって送信するFAX送信データを、電話回線網100に伝送可能な信号に変調して電話回線接続部19を介して送信したり、電話回線網100から電話回線接続部19を介して入力された信号を受信し、画像データへ復調するものである。電話回線接続部19は、電話回線網100とBOX10との間を接続するものであり、モデム18からの指示に従って、回線を閉結または切断することにより、電話回線網100を介した外部装置との間の接続状態を制御する。
【0023】
DCL送受信部20は、2.4GHz帯のデジタル方式の無線通信203により、DCLアンテナ部21を介し、子機60との間を無線接続するための回路である。DCL送受信部20によりBOX10と子機60との間で音声データおよび各種コマンドが送受信される。パネル22は、BOX10の各種機能情報を表示する。ボタン入力部23は、BOX10の各機能を実行するためのキー群である。
【0024】
MFP30には、CPU31、ROM32、RAM33、EEPROM34、無線LAN送受信部36、無線LANアンテナ部37、プリンタ38、スキャナ39、パネル40、ボタン入力部41が設けられる。これらの構成要素は、入出力ポート35を介して互いに通信可能に接続されている。
【0025】
CPU31は、ROM32等に記憶される固定値やプログラム或いは、無線LAN送受信部36を介して送受信される各種信号に従って、各機能の制御や、入出力ポート35と接続された各部を制御する。
【0026】
ROM32は、MFP30で実行される制御プログラムなどを格納した書換不能なメモリであって、図6を参照して後述する処理を実行するプログラムなどが格納されている。RAM33は、書換可能な揮発性のメモリである。EEPROM34は、書換可能な不揮発性のメモリである。無線LAN送受信部36は上述した無線LAN送受信部16と同様に構成された回路であり、BOX10との間で無線通信202を行う。
【0027】
プリンタ38は印刷を実行するものであり、スキャナ39は原稿の読み取りを実行するものである。パネル40は、MFP30の各種機能情報を表示するものであり、液晶表示部の表示面にタッチパネルを重ねて構成されている。ユーザぱ、パネル40に触れることで、各種指示をMFP30に入力することができる。ボタン入力部41は、MFP30の各機能を実行するためのキー群である。
【0028】
子機60には、CPU61、ROM62、DCL送受信部64、DCLアンテナ部65、パネル66、ボタン入力部67が設けられる。これらの構成要素は、入出力ポート63を介して互いに通信可能に接続されている。
【0029】
CPU61は、ROM62等に記憶される固定値やプログラム或いは、DCL送受信部64を介して送受信される各種信号に従って、各機能の制御や、入出力ポート63と接続された各部を制御する。
【0030】
ROM62は、子機60で実行される制御プログラムなどを格納した書換不能なメモリであって、図5を参照して後述する処理を実行するプログラムなどが格納されている。DCL送受信部64は上述したDCL送受信部20と同様に構成され、BOX10との間の無線通信203を行う。パネル66は、子機60の各種機能情報を表示するものである。ボタン入力部67は、子機60の各機能を実行するためのキー群である。
【0031】
BOX10には複数台のMFP30を接続可能である。また、BOX10のDCL送受信部20は、複数台の子機60の各々とBOX10との間を無線通信203により接続可能に構成されているが、各子機60の構成はほぼ同様であるため、図1には、1台の子機60のみ図示する。複数台の各子機60は、各子機60に予め割り当てられた固有の子機No.により識別される。
【0032】
通信システム1により、外部装置へFAX送信する場合、ユーザは、「手動送信機能」と「自動送信機能」のいずれかを選択する。「手動送信機能」は、FAX送信データの送信先の外部装置との間で通話を行ってからFAX送信データを送信する機能である。一方、「自動送信機能」は、通話を行わずにFAX送信データを送信する機能である。
【0033】
図2は、通信システム1において実現される手動送信機能のシーケンスの一例を示す概略図である。なお、図2に示す各処理の詳細は図3から図6を参照して後述する。
【0034】
まず、MFP30は、スキャナ39による原稿スキャンを実行し、読み取った原稿に基づき、FAX送信データを作成する。次に、MFP30は、FAX送信データに、手動送信フラグと、FAX電話番号と、手動送信子機No.とを対応づけて、BOX10へ送信する[1]。
【0035】
手動送信フラグは、送信の種類を示すフラグであり、「手動送信機能」で送信する場合は「1」に設定され、「自動送信機能」で送信する場合は「0」に設置される。FAX電話番号は、ユーザがMFP30において入力した番号であって、FAX送信データの送信先の外部装置を特定する番号である。ユーザは、MFP30に設けられた電話帳(図示せず)を利用して、FAX電話番号を入力しても良い。
【0036】
手動送信子機No.は、「手動送信機能」を実行する際に使用する子機60を指定する子機No.である。ユーザは、使用したい子機60の子機No.を、MFP30において指定する。MFP30は、指定された子機No.を、手動送信子機No.として設定し、BOX10へ通知する。
【0037】
一方、BOX10は、無線LAN送受信部16による無線通信202を介してMFP30から送られてくるFAX送信データ等を受信し、手動送信待ちテーブル14aに保存する。BOX10は、MFP30からFAX送信データを受信する毎に、当該受信したFAX送信データを、手動送信フラグと手動子機No.とFAX電話番号とに対応づけて、手動送信待ちテーブル14aに保存する。なお、同報送信すべきFAX送信データには、複数件のFAX電話番号を対応づけて、手動送信待ちテーブル14aに保存しても良い。
【0038】
次にBOX10は、無線LAN接続断指示をMFP30へ送信する[2]。そして、BOX10は、無線LAN送受信部16からのデータ送信を停止する。一方、MFP30は、無線LAN接続断指示に基づき、無線LAN送受信部36からのデータ送信を停止する。すなわち、FAX送信データを受信した後、BOX10は、MFP30との間の無線通信202を停止し、子機60との間の無線通信203のみを継続する。
【0039】
次に、BOX10は、FAX送信データをMFP30から受信したこと示す通知(以下、手動送信通知と称する)と、MFP30から受信したFAX電話番号とを子機60に通知する[3]。子機60において、ユーザは、BOX10から子機60へ通知されたFAX電話番号を、発呼先電話番号として設定することができる。そして、ユーザが、ボタン入力部67に含まれる通話ボタンを押下すると、子機60は、発呼先電話番号と発呼指示とをBOX10へ送信する[4]。
【0040】
BOX10は、子機60から発呼指示および発呼先電話番号を受信すると、回線を閉結して発呼信号を送出し[5]、子機60から受信した発呼先電話番号を送出することにより[6]、発呼先電話番号で特定される外部装置を呼び出す。
【0041】
そして、相手先の外部装置が呼び出しに応答し、外部装置との間が通信可能な接続状態とされると、BOX10は、外部装置と子機60との間における通話の中継を開始する[7]。このときBOX10とMFP30との間の無線LAN接続は切断されているので、無線LAN送受信部16による無線通信202とDCL送受信部20による無線通信203とが同じ周波数帯を利用する場合であっても、電波干渉の発生が抑制され、通話品質は良好に保たれる。
【0042】
そして、子機60と外部装置との間が通信可能な接続状態にある間、子機60で通話するユーザが、子機60のボタン入力部67に含まれるFAX送信ボタンを押下すると、子機60は、BOX10に対してFAX送信データの送信指示を出力する[8]。
【0043】
一方、BOX10は、子機60からFAX送信データの送信指示を受信した場合、通話の相手先である外部装置に対して、MFP30から受信したFAX送信データを送信する[9]。
【0044】
通信システム1によれば、ユーザがMFP30において入力したFAX電話番号は、BOX10から子機60へ通知されるので、ユーザは、子機60へ通知されたFAX電話番号を利用して、そのFAX電話番号の外部装置へ発呼することができる。したがって、ユーザは、MFP30において入力したFAX電話番号を、子機60において再度入力する必要がない。そして、ユーザは、通話により相手先の外部装置を認識した上で、子機60のFAX送信ボタンを押下することにより、BOX10から通話の相手先へ、FAX送信データを送信させることができる。よって、誤った相手先へFAX送信データを送信してしまうという誤送信の発生を抑制できる。すなわち、誤った相手先へ発呼してしまった場合、ユーザは通話により自分のミスに気づくので、FAX送信ボタンを押さずに回線を切断することができ、誤った相手先へFAX送信データを送らずに済む。
【0045】
図3は、BOX10のCPU11が実行するFAX送信処理を示すフローチャートである。このFAX送信処理は、FAX送信を実行する処理であり、BOX10の電源投入後、繰り返し実行される。
【0046】
まず、CPU11は、MFP30からデータを受信したか否かを判断する(S302)。S302の判断が否定される場合(S302:No)、処理を待機するが、S302の判断が肯定される場合(S302:Yes)、CPU11は、MFP30から送られてくる手動送信フラグ、FAX電話番号、FAX送信データ、手動送信子機No.を受信し、手動送信待ちテーブル14aに保存する(S304)。
【0047】
次に、CPU11は、S304において受信した手動送信フラグが「1」か否かを判断する(S306)。S306の判断が肯定される場合(S306:Yes)、すなわち、「手動送信機能」が選択されている場合、CPU11は、無線LAN接続断指示をMFP30へ送信し(S308)、MFP30との間の無線LAN接続を断つ(S310)。
【0048】
次に、CPU11は、S304で受信した手動送信子機No.で識別される子機60に対し、手動送信通知を送信する(S312)。これにより、手動送信すべきFAX送信データをBOX10が受信したことを、ユーザ自身が選択した子機60に通知することができる。次に、CPU11は、S304により受信した手動送信子機No.と同一の手動送信子機No.に対応づけて手動送信待ちテーブル14aに保存されているFAX電話番号を抽出する(S313)。そして、CPU11は、抽出されたFAX電話番号を、同じ子機60へ通知する(S314)。このようにすれば、通信システム1に複数台の子機60が含まれる場合であっても、子機60毎に適切なFAX電話番号を通知することができる。また、S304により受信したFAX電話番号に加え、過去、何らかの事情により送信することができなかったFAX送信データが手動送信待ちテーブル14aに蓄積されていれば、それらのFAX送信データに対応づけられたFAX電話番号も合せて、子機60へ通知することができる。その結果、手動送信待ちテーブル14aに蓄積されたままとなっているFAX送信データの存在を、ユーザに思い出させることができる。
【0049】
次に、CPU11は、子機60から発呼指示および発呼先電話番号を受信したか否かを判断する(S320)。S320の判断が否定される場合(S320:No)、CPU11は処理を待機するが、S320の判断が肯定される場合(S320:Yes)、すなわち、発呼先電話番号を子機60から取得した場合、CPU11は、受信した発呼先電話番号へダイヤルする(S322)。そして、CPU11は、BOX10を子機待機モードから子機通話モードへ移行させ(S324)、子機と外部装置との間の通話の中継を開始する。なお、子機通話モードとは、音声パスおよび音量を設定することにより、子機60と電話回線網100との間の音声データの送受を可能としたモードであり、子機待機モードとは、子機60と電話回線網100との間の音声データの送受を不可能としたモードである。
【0050】
次に、CPU11は、子機60から取得した発呼先電話番号と、S304においてMFP30から受信したFAX電話番号とが等しいか否かを判断する(S326)。この判断が肯定される場合(S326:Yes)、CPU11は、子機60からFAX送信データの送信指示を受信したか否かを判断する(S332)。S332の判断が否定される間(S332:No)、CPU11は、通話の中継を継続する。なお、図3のフローチャートでは図示を省略しているが、BOX10は、FAX送信データの送信指示よりも先に、子機60から回線切断指示を受信した場合、回線を切断し、子機待機モードへ移行する。すなわち、FAX送信データの送信を実行せず、通話の中継を終了する。
【0051】
一方、子機60からFAX送信データの送信指示を受信すると(S332:Yes)、CPU11は、通話の相手先である外部装置との間の接続状態を保持しつつ、その外部装置に対し、S304で受信したFAX送信データ(すなわち手動送信間位置テーブル14aに記憶されるFAX送信データのうち、最も新しく保存されたFAX送信データ)の送信を開始する(S333)。子機60から取得した発呼先電話番号と、S304で受信したFAX電話番号とが等しいと判断されることを条件として、FAX送信データを送信するので、通話の相手先である外部装置へ送るべきFAX送信データを送信できる。
【0052】
一方、S326の判断が否定される場合(S326:No)、次に、CPU11は、子機60から取得した発呼先電話番号と等しいFAX電話番号が、手動送信待ちテーブル14aに保存されているかを判断する(S328)。そして、その判断結果を、子機60に対して通知する(S330)。したがって、子機60の側では、発呼先電話番号と等しいFAX電話番号が手動送信待ちテーブル14aに蓄積されているか否かに応じて、適切な処理を行うことができる。詳細は、図5を参照して後述する。
【0053】
次に、CPU11は、子機60からFAX送信データの送信指示を受信したか否かを判断する(S332)。子機60からのFAX送信データの送信指示を受信した場合(S332:Yes)、CPU11は、通話の相手先である外部装置に対し、手動送信待ちテーブル14aに保存されている、子機60から取得した発呼先電話番号と等しいFAX電話番号が対応づけられているFAX送信データの送信を開始する(S333)。
【0054】
一方、S306の判断が否定される場合(S306:No)、すなわち、「自動送信機能」が選択されている場合、CPU11は、S304で受信したFAX電話番号を発呼先電話番号として設定し(S334)、発呼先電話番号へダイヤルし(S335)、通話の相手先である外部装置に対し、S304において受信したFAX送信データの送信を開始する(S333)。
【0055】
図4は、FAX送信処理の続きを示すフローチャートである。図4に示すように、次にCPU11は、相手先の外部装置からCED信号を検出したか否かを判断する(S336)。S336の判断が否定される間(S336:No)、CPU11は処理を待機するが、S336の判断が肯定されると(S336:Yes)、CPU11は、これから外部装置へ送ろうとするFAX送信データに対応づけられた手動送信フラグが、「1」か否かを判断する(S338)。
【0056】
S338の判断が肯定される場合(S338:Yes)、すなわち、「手動送信機能」が選択されている場合、CPU11は、子機60へFAX送信中であることを通知し(S340)、BOX10を子機通話モードから子機待機モードに移行させることにより、通話の中継を終了する(S342)。一方、S338の判断が否定される場合(S338:No)、すなわち、「自動送信機能」が選択されている場合、CPU11は、S340,S342の処理をスキップする。
【0057】
次に、CPU11は、MFP30へ無線LAN接続要求を送信し、MFP30との間に無線LANリンクをはる(S344)。そして、CPU11は、MFP30との間の無線通信202により、MFP30へFAX送信中を通知する(S346)。なお、MFP30との間に無線LANリンクをはる前に、子機60に対してFAX送信中であることを通知することにより(S340)、子機60への通知が電波干渉により失敗することを回避できる。
【0058】
次に、CPU11は、FAX送信データの送信を終了したか否かを判断し(S348)、S348の判断が否定される間は(S348:No)、外部装置へのFAX送信データの送信を継続する。一方、S348の判断が肯定される場合(S348:Yes)、CPU11は、MFP30へFAX送信完了を通知する(S350)。次に、CPU11は、手動送信待ちテーブル14aから、該当の項目、すなわち、送信済みとなったFAX送信データおよびそれに対応する各種データを削除し(S352)、子機60へFAX送信完了を通知し(S354)、処理を終了する。
【0059】
図5は、子機60のCPU61が実行するFAX手動送信処理を示すフローチャートである。このFAX手動送信処理は、MFP30において「手動送信機能」が選択された場合に、子機60において実行される処理であり、子機60の電源投入後、繰り返し実行される。
【0060】
まず、CPU61は、手動送信通知を受信したか否かを判断する(S502)。S502の判断が否定される間(S502:No)、CPU61は処理を待機するが、S502の判断が肯定されると(S502:Yes)、CPU61は、BOX10からFAX電話番号を受信する(S504)。BOX10の手動送信待ちテーブル14aに、子機60の子機No.が対応づけられたFAX電話番号が複数件、蓄積されている場合、子機60は、複数件のFAX電話番号をBOX10から受信する。
【0061】
次に、CPU61は、受信したFAX電話番号のうち、最新のFAX電話番号(すなわち、手動送信待ちテーブル14aに最も新しく追加されたFAX電話番号)を発呼先電話番号の初期値として設定し(S506)、スピーカ(図示せず)から報知音を出力させる(S507)。そして、CPU61は、発呼先電話番号をパネル66に表示し(S508)、複数件のFAX電話番号を受信したか否かを判断する(S510)。
【0062】
S510の判断が肯定される場合(S510:Yes)、CPU61は、ボタン入力部67に含まれる上下キーが操作されたか否かを判断する(S512)。S512の判断が肯定される場合(S512:Yes)、CPU61は、受信した複数件のFAX電話番号のうち、先に表示したFAX電話番号の次のFAX電話番号をパネル66に表示し、発呼先電話番号として設定し(S514)、S520の処理に移行する。
【0063】
S510またはS512の判断が否定される場合(S510,S512:No)、CPU61は、数値を入力するためのダイヤルキーが押下されたか否かを判断する(S516)。S516の判断が肯定される場合(S516:Yes)、CPU61は、入力された数値に基づいて発呼先電話番号を修正するが(S518)、S516の判断が否定される場合(S516:No)、CPU61は、S518の処理をスキップし、S520の処理に移行する。
【0064】
次に、通話ボタンがユーザにより押下されたか否かを判断する(S520)。S520の判断が否定される場合(S520:No)、S508に戻り処理を繰り返す。一方、S520の判断が肯定される場合(S520:Yes)、CPU61は、設定された発呼先電話番号をBOX10へ通知し、発呼指示をする(S522)。これにより、ユーザにより選択されたFAX電話番号で特定される外部装置に対する発呼を、BOX10に指示することができる。
【0065】
BOX10から受信したFAX電話番号を、そのまま発呼先電話番号として設定する場合、MFP30において入力したFAX電話番号を子機60において再入力する手間を省くことができる。また、BOX10から受信したFAX電話番号を修正することもできるので、他の外部装置へ電話をかけることもできる。
【0066】
次に、CPU61は、子機60を通話モードに移行させる(S524)。そして、外部装置が呼び出しに応答すると、子機60と外部装置との間で通話を行うことが可能となる。次に、CPU61は、BOX10へ通知した発呼先電話番号が、BOX10から受信したFAX電話番号と等しいか否かを判断する(S526)。
【0067】
S526の判断が肯定される場合(S526:Yes)、すなわち、BOX10から受信したFAX電話番号が修正されずに、そのまま発呼先電話番号として設定された場合、CPU61は、パネル66に、メッセージ例えば「FAX送信しますか」を表示する(S528)。次に、CPU61は、FAX送信ボタンが押下されたか否かを判断する(S530)。S530の判断が否定される場合(S530:No)、ユーザは通話を継続することができる。なお、図5のフローチャートでは図示を省略するが、通話の継続中、子機60において、切キーが押下された場合、CPU61は、回線切断指示をBOX10に出力し、子機60を待機モードへ移行させる。
【0068】
一方、S530の判断が肯定される場合(S530:Yes)、CPU61は、BOX10へ、FAX送信データの送信指示を出力する(S532)。そして、CPU61は、BOX10からFAX送信中の通知を受信し(S534)、パネル66にメッセージ例えば「FAX送信中」を表示する(S536)。したがって、ユーザは、FAX送信データの送信指示が確実にBOX10へ送信されたことを認識できる。また、ユーザは、子機60を手に持ちながら、MFP30において「手動送信機能」の実行を指示し、子機60で通話をしながらMFP30から離れる場合がある。そのような場合においても、ユーザは、子機60のパネル66に表示されるメッセージを確認することにより、FAX送信の状況を知ることができる。次に、CPU61は、子機60を通話モードから待機モードへ移行させ(S538)、以降の通話を禁止する。
【0069】
次にCPU61は、BOX10からFAX送信完了の通知を受信すると(S540)、パネル66に、メッセージ例えば「FAX送信完了」を表示し(S542)、図示しないスピーカから報知音を出力させ(S544)、スタンバイに戻り、処理を終了する。メッセージと報知音の出力により、ユーザは、FAX送信の完了を知ることができる。
【0070】
一方、S526の判断が否定される場合(S526:No)、すなわち、BOX10から受信したFAX電話番号を、ユーザが修正して、発呼先電話番号を設定した場合、CPU61は、BOX10から通知される手動送信データ有無を受信する(S546)。
【0071】
現在通話中の相手である外部装置宛のFAX送信データが、手動送信待ちテーブル14aに有ることがBOX10から通知された場合(S548:Yes)、CPU61は、S528からS544の処理を実行する。すなわち、ユーザによりFAX送信ボタンが押下されたか否かを判断し、押下された場合は、FAX送信データの送信をBOX10へ指示する。
【0072】
一方、通話の相手である外部装置宛のFAX送信データが、手動送信待ちテーブル14aには無いことがBOX10から通知された場合(S548:No)、CPU61は、ボタン入力部67に含まれる切キーが押下されたか否かを判断する(S550)。S550の判断が否定される間(S550:No)、CPU61は処理を待機する。一方、S550の判断が肯定されると(S550:Yes)、CPU61は、子機60を通話モードから待機モードへ移行させ(S552)、スタンバイに戻り、処理を終了する。
【0073】
このように、送信すべきFAX送信データが手動送信待ちテーブル14aに記憶されていない場合、子機60のCPU11は、ユーザによるFAX送信データの送信指示の入力を受け付けない。よって、誤った相手先へFAX送信データが送信されてしまうという誤送信の発生を回避することができる。
【0074】
図6は、MFP30のCPU31が実行するFAXモード処理を示すフローチャートである。このFAXモード処理は、MFP30から外部装置へFAX送信するための処理であり、MFP30の電源投入後、繰り返し実行される。
【0075】
まず、CPU31は、MFP30がFAXモードに設定されているか否かを判断する(S602)。S602の判断が否定される間(S602:No)、CPU31は処理を待機するが、S602の判断が肯定されると(S602:Yes)、CPU31はパネル40に、メッセージ例えば「ダイヤルして下さい」、「子機通話してからFAX送信スタート」、「今すぐFAX送信スタート」を表示する(S604)。
【0076】
次に、CPU31は、ダイヤル入力がされたか否か、すなわち、FAX電話番号の各桁を構成する数字が入力されたか否かを判断する(S606)。S606の判断が肯定される場合(S606:Yes)、CPU31は、入力された数値をFAX電話番号として設定する(S608)。一方、S606の判断が否定される場合(S606:No)、CPU31は、S608をスキップする。
【0077】
次に、CPU31は、パネル40に表示されたメッセージ「子機通話してからFAX送信スタート」にユーザが指などを触れることにより、「手動送信機能」をユーザが選択したか否かを判断する(S610)。S610の判断が肯定される場合(S610:Yes)、CPU31は、手動送信フラグを「1」に設定し(S612)、次に、子機60が複数台登録されているか否かを判断する(S614)。
【0078】
S614の判断が肯定される場合(S614:Yes)、CPU31は、パネル40にメッセージ例えば「子機No.は?」を表示する(S616)。次に、CPU31は、ユーザから子機No.の入力があったか否かを判断する(S618)。S618の判断が否定される間(S618:No)、CPU31は処理を待機する。一方、S618の判断が肯定されると(S618:Yes)、CPU31は、入力された子機No.を手動送信子機No.として設定し(S620)、S626の処理に移行する。なお、S614の判断が否定される場合(S614:No)、CPU31は、S616からS620の処理をスキップし、S626の処理に移行する。
【0079】
一方、S610の判断が否定される場合(S610:No)、CPU31は、パネル40に表示されたメッセージ「今すぐFAX送信スタート」にユーザが指などを触れることにより、「自動送信機能」をユーザが選択したか否かを判断する(S622)。S622の判断が否定される場合(S622:No)、CPU31はS606に戻り処理を繰り返す。一方、S622の判断が肯定される場合(S622:Yes)、CPU31は手動送信フラグを「0」に設定し(S624)、S626に移行する。
【0080】
次に、CPU31は、スキャナ39を駆動し、スキャナ39の図示しない原稿台に載置された原稿をスキャンし(S626)、これに基づいてFAX送信データを作成する。そして、CPU31は、パネル40にメッセージ例えば「FAX転送中」を表示する(S628)。そして、CPU31は、作成したFAX送信データに、手動送信フラグ、FAX電話番号、手動送信子機No.を対応づけ、無線通信202によりBOX10へ送信する(S630)。次に、CPU31は、S630において送信した手動送信フラグが「1」であるか否かを判断する(S632)。
【0081】
S632の判断が肯定される場合(S632:Yes)、次に、CPU31は、BOX10から無線LAN接続断指示があったか否かを判断する(S634)。S634の判断が否定される間(S634:No)、CPU31は処理を待機する。一方、S634の判断が肯定されると(S634:Yes)、CPU31は、無線LAN送受信部36からのデータの送信を停止してBOX10との間の無線LAN接続を断つ(S636)。
【0082】
次に、CPU31は、BOX10から無線LAN接続要求があったか否かを判断する(S638)。S638の判断が否定される間(S638:No)、CPU31は処理を待機するが、S638の判断が肯定されると(S638:Yes)、CPU31は無線LAN送受信部36からのデータの送信を再開し、BOX10との間に無線LANリンクをはる(S640)。なお、S632の判断が否定される場合(S632:No)、CPU31は、S634からS640の処理をスキップする。
【0083】
そして、FAX送信中であることが、BOX10から通知されると(S642)、CPU31は、パネル40にメッセージ例えば「FAX送信中」を表示する(S644)。よって、ユーザがMFP30の近傍にいる場合であっても、BOX10の状況をユーザに知らせることができる。次にCPU31は、BOX10からFAX送信完了を通知されたか否かを判断し(S646)、S646の判断が否定される間(S646:No)、CPU31は処理を待機する。一方、S646の判断が肯定されると(S646:Yes)、CPU31は、パネル40にメッセージ例えば「FAX送信完了」を表示し(S648)、処理を終了する。
【0084】
第1実施形態の通信システム1では、MFP30において入力されたFAX電話番号をBOX10から子機60に通知していた。しかしながら、以下に第2実施形態として説明するように、通信システム1は、BOX10から子機60へFAX電話番号を通知しない形態であっても良い。なお、第2実施形態の通信システム1において、第1実施形態の通信システム1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。また、第2実施形態のMFP30が実行するFAXモード処理は、図6を参照して説明した第1実施形態のFAXモード処理と同一の処理であるため、図示および説明を省略する。
【0085】
図7は、第2実施形態のBOX10のCPU11が実行するFAX送信処理を示すフローチャートである。なお、図3を参照して説明した第1実施形態のFAX送信処理に含まれるステップと同一のステップについては、同じステップ番号を付して説明を省略する。
【0086】
図7に示すように、CPU11は、MFP30からFAX送信データを受信する場合、第1実施形態と同様に、手動送信通知を子機60に通知するが(S312)、MFP30から受信したFAX電話番号を子機60へ通知するのではなく、発呼先電話番号として設定し(S702)、その発呼先電話番号にダイヤルする(S322)。
【0087】
そして、CPU11は、BOX10を子機通話モードへ移行させ(S324)、相手先の外部装置が応答したことを示す極反を検出したか否かを判断する(S704)。S704の判断が否定される間(S704:No)、CPU11は、S706の処理をスキップするが、S704の判断が肯定されると(S704:Yes)、CPU11は、極反の検出を子機60へ通知する(S706)。そして、CPU11は、MFP30から受信したFAX電話番号で特定される外部装置と子機60との間の通話を中継する。
【0088】
なお、第2実施形態のFAX送信処理におけるS333以降の処理は、図4の処理と同一であるため、図示および詳細な説明を省略する。
【0089】
図8は、第2実施形態の子機60のCPU61が実行するFAX手動送信処理を示すフローチャートである。なお、図5を参照して説明した第1実施形態のFAX手動送信処理に含まれるステップと同一のステップについては、同じステップ番号を付して説明を省略する。
【0090】
第2実施形態では、子機60を通話モードへ移行させた後(S524)、CPU61は、BOX10から極反検出通知があったか否かを判断する(S802)。S802の判断が肯定される場合(S802:Yes)、CPU61は、図示しないスピーカから報知音を出力させ(S804)、FAX送信ボタンが押下されたか否かを判断する(S530)。一方、S802の判断が否定される場合(S802:No)、CPU61は、S804をスキップする。
【0091】
第2実施形態のBOX10によれば、FAX電話番号をMFP30から受信することを条件として、当該受信したFAX電話番号で特定される前記外部装置に発呼し、その発呼した外部装置と子機60との間の通話を中継した後に、FAX送信データを送信するので、誤った相手先へ送信データを送信してしまうという誤送信の発生を抑制できる。
【0092】
上記実施形態において、電話回線網100が通信網の一例に相当し、DCL送受信部20およびDCLアンテナ部21が第1接続手段の一例に相当し、MFP30が処理装置の一例に相当し、無線LAN送受信部16および無線LANアンテナ部17が第2接続手段の一例に相当し、BOX10が通信装置の一例に相当する。S304を実行するCPU11が送信データ受信手段、特定データ受信手段、識別データ受信手段および保存手段の一例に相当し、FAX送信データが送信データの一例に相当する。S312,S314を実行するCPU11が通知手段の一例に相当し、S324を実行するCPU11が中継手段の一例に相当し、S333を実行するCPU11が送信手段の一例に相当する。FAX電話番号が特定データの一例に相当し、S320を実行するCPU11が相手先データ取得手段の一例に相当し、発呼先電話番号が相手先データの一例に相当する。S326を実行するCPU11が第1判断手段の一例に相当し、手動送信待ちテーブル14aがメモリの一例に相当する。S328を実行するCPU11が第2判断手段の一例に相当し、S330を実行するCPU11がデータ有無通知手段の一例に相当し、S310を実行するCPU11が切断手段の一例に相当する。子機No.が識別データの一例に相当する。S313を実行するCPU11が抽出手段の一例に相当する。S508を実行するCPU11が表示手段の一例に相当する。S522を実行するCPU11が発呼指示手段の一例に相当し、図7のS322を実行するCPU11が発呼手段の一例に相当する。
【0093】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0094】
例えば、上記実施形態において、通信装置の一例であるBOX10と処理装置の一例であるMFP30との間は、無線で接続されるものとして説明した。しかしながら、通信装置と処理装置との間が有線で接続される場合にも、本発明を適用可能である。
【0095】
また、上記実施形態では、処理装置の一例であるMFP30がスキャナ39を備え、原稿をスキャナ39により読み取ってFAX送信データを生成し、BOX10に送信するものであったが、処理装置は、スキャナを備えないものであっても良く、例えば、装着されたメモリカードからデータを読み込み、その読み込んだデータに基づき送信データを生成し、BOX10へ送信するものであっても良い。
【0096】
また、上記実施形態では、FAX電話番号が特定データの一例であったが、例えば、特定データは、宛先の氏名等、他の情報であっても良い。
【0097】
また、上記実施形態では、MFP30とBOX10とが別体に構成されていたが、これらが一体的に構成されている場合にも本発明は適用可能である。その場合は、スキャナ39が処理装置の一例に相当し、MFP30の構成要素とBOX10の構成要素とを一体的に備えた装置が通信装置の一例に相当する。
【0098】
また、上記実施形態では、通信網の一例として電話回線網100を例示していたが、通信網は、例えばISDN回線、CATV回線、インターネットであっても良く、また、通信システム1は、音声データをパケットで送受信するいわゆるIP電話システムであっても良い。
【0099】
また、上記第1実施形態のBOX10は、子機60から取得した発呼先電話番号と、手動送信待ちテーブル14aに記憶されたFAX電話番号とが等しいという条件を満たす場合に、FAX送信データを送信していたが、当該条件に加え、さらに、通話が中継される子機60の子機No.と手動送信待ちテーブル14aに記憶された手動送信子機No.とが等しいという条件をも満たす場合に、送信するように構成しても良い。
【0100】
また、通信システム1において、子機60での通話中に、MFP30からBOX10へ無線LANの接続要求が来る場合、BOX10は、通話の相手先との回線を保ちつつ、子機待機モードに移行することにより、子機と外部装置との間の通話の中継を中止する構成を備えても良い。その場合、BOX10は、MFP30からの無線LANの接続要求が来た原因がFAX送信データの送信のためであるか否かを判定し、FAX送信データの送信のためであるとき、BOX10は、MFP30からFAX送信データを受信し、FAX送信データを受信したことを子機60に対して通知するように構成しても良い。このようにすれば、送信すべきFAX送信データがあることを、子機60による通話中のユーザに、例えばメッセージや報知音で知らせることができる。
【0101】
そして、そのユーザが、子機60からFAX送信データの送信を指示した場合、BOX10からFAX送信データを送信するように構成しても良い。子機60により、外部装置との間で実際に通話を行ったユーザが送信を指示した場合に、FAX送信データが送信されるので、誤送信の発生を防止できる。また、この変形例によれば、通話中であっても、FAX送信データの送信を割り込ませることができる。
【0102】
また、この変形例において、BOX10は、子機60の通話中におけるMFP30からの無線LANの接続要求が、FAX送信データの送信のため以外であれば通話の中継を再開し、MFP30との間の無線LANリンクを切断するように構成しても良い。
【0103】
また、上記第1実施形態では、BOX10から子機60へは、FAX電話番号を通知していたが、これに代えて、またはこれに加えて、各FAX送信データに付されたJob番号や各FAX送信データの縮小画像をBOX10から子機60へ通知し、Job番号や縮小画像を子機60のパネル66に表示させるように構成しても良い。そして、子機60においてユーザが選択したJob番号や縮小画像に基づき、BOX10から送信すべきFAX送信データを取捨選択しても良い。このようにすれば、ユーザは、送信すべきFAX送信データを子機60の操作で自由に選択できる。
【0104】
また上記第1実施形態では、BOX10から手動送信通知を受けた子機60は、BOX10から通知されたFAX電話番号をパネル66に表示出力していたが、これに代えて、あるいはこれに加えて、子機60は、BOX10から手動送信通知があったことを、パネル66に表示出力し、または報知音の出力によりユーザに報知しても良い。このようにすれば、あるユーザが「手動送信機能」によりFAX送信しようと、MFP30において原稿をスキャンしたにも関わらず、例えば、他の作業に忙殺され、FAX送信作業の途中であったことを忘れてしまう場合にも、子機60からの報知により、思い出させることができる。また、あるユーザが「手動送信機能」によりFAX送信しようとし、MFP30において原稿を読み取ったのにも関わらず、それを知らない別のユーザが子機60を使用して電話をかけようとする場合にも、その別のユーザは、子機60からの報知により、自分以外の誰かがFAX送信しようとしていることに気づき、例えば、電話をかけるのを止めることができる。
【符号の説明】
【0105】
1 通信システム
10 BOX
16 無線LAN送受信部
20 DCL送受信部
30 MFP
60 子機
100 電話回線網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網を介し外部装置との間で通話を行う子機に接続する第1接続手段と、前記外部装置へ送信するデータを処理する処理装置に接続する第2接続手段とを備える通信装置であって、
前記第2接続手段を介して前記処理装置から送られてくる送信データを受信する送信データ受信手段と、
前記送信データ受信手段により前記送信データを受信したことを、前記第1接続手段を介して前記子機に対して通知する通知手段と、
前記通知手段による通知先の子機と前記外部装置との間における通話を中継する中継手段と、
前記中継手段により通話が中継される前記子機から送信データの送信指示を受信した場合、前記中継手段が中継する通話の相手先である外部装置に対して、前記送信データ受信手段により受信した前記送信データを送信する送信手段とを備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記送信データの送信先の外部装置を特定する特定データを、前記処理装置から受信する特定データ受信手段を備え、
前記通知手段は、前記特定データ受信手段により受信した前記特定データを前記子機に対して通知するものである請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記中継手段が中継する通話の相手先である外部装置を特定する相手先データを取得する相手先データ取得手段と、
前記相手先データ取得手段により取得される前記相手先データと、前記特定データ受信手段により受信した前記特定データとが等しいかを判断する第1判断手段とを備え、
前記送信手段は、
前記第1判断手段により前記相手先データと前記特定データとが等しいと判断されることを条件として、前記送信データ受信手段により受信した前記送信データを、前記通話の相手先である外部装置へ送信するものである請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
前記第1接続手段は、複数台の子機の各々と前記通信装置との間を接続するものであって、
前記複数台の子機の各々を識別するための識別データを、前記処理装置から受信する識別データ受信手段を備え、
前記通知手段は、前記複数台の子機のうち、前記識別データ受信手段により受信した識別データで識別される子機に対して通知をするものである請求項2または3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記送信データ受信手段により前記処理装置から前記送信データを受信する毎に、当該受信した送信データを、前記特定データ受信手段により受信した前記特定データと、前記識別データ受信手段により受信した前記識別データとに対応づけてメモリに保存する保存手段と、
前記識別データ受信手段により前記処理装置から前記識別データを受信することを条件として、当該受信した前記識別データと同一の識別データに対応づけて前記メモリに保存されている前記特定データを抽出する抽出手段とを備え、
前記通知手段は、前記抽出手段により抽出された前記特定データを、前記識別データ受信手段により受信した識別データで識別される子機へ通知することを特徴とする請求項4記載の通信装置。
【請求項6】
前記中継手段が中継する通話の相手先である外部装置を特定する相手先データを取得する相手先データ取得手段と、
前記相手先データ取得手段により取得される前記相手先データと等しい前記特定データが、前記メモリに保存されているかを判断する第2判断手段と、
その第2判断手段による判断結果を、前記子機に対して通知するデータ有無通知手段とを備える請求項5記載の通信装置。
【請求項7】
前記送信データの送信先の外部装置を特定する特定データを、前記処理装置から受信する特定データ受信手段と、
前記特定データ受信手段により前記特定データを受信することを条件として、当該受信した前記特定データで特定される前記外部装置に発呼する発呼手段とを備え、
前記中継手段は、前記発呼手段により発呼した前記外部装置と前記子機との間の通話を中継するものであることを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項8】
前記第1接続手段および前記第2接続手段は、無線通信により装置間を接続するものであって、
前記送信データ受信手段により前記送信データを受信した後、前記第2接続手段を介した前記処理装置との間の接続を切断する切断手段を備え、
前記中継手段は、前記切断手段により前記処理装置との間の接続を切断した後、前記子機と前記外部装置との間の通話の中継を開始するものである請求項1から7のいずれかに記載の通信装置。
【請求項9】
通信網を介し外部装置との間で通話を行う子機に接続する第1接続手段と、前記外部装置へ送信するデータを処理する処理装置に接続する第2接続手段とを備える通信装置と、前記子機とを含む通信システムであって、
前記通信装置は、
前記第2接続手段を介して前記処理装置から送られてくる送信データを受信する送信データ受信手段と、
前記送信データの送信先の外部装置を特定する特定データを、前記処理装置から受信する特定データ受信手段と、
前記特定データ受信手段により受信した前記特定データを前記子機に対して通知する通知手段と、
前記通知手段による通知先の子機と前記外部装置との間における通話を中継する中継手段と、
前記中継手段により通話が中継される前記子機から送信データの送信指示を受信した場合、前記中継手段が中継する通話の相手先である外部装置に対して、前記送信データ受信手段により受信した前記送信データを送信する送信手段とを備え、
前記子機は、
前記通知手段により前記通信装置から通知された特定データを表示する表示手段と、
前記表示手段により表示された前記特定データをユーザが選択することを条件として、前記選択された特定データで特定される外部装置に対する発呼を前記通信装置に指示する発呼指示手段とを備えることを特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−114749(P2011−114749A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271080(P2009−271080)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】