説明

通信装置及びコンピュータプログラム

【課題】 時間課金方式が採用される場合に、通信料金が最も低い帯域保証に従って、データの通信を実行し得る技術を提供する。
【解決手段】 多機能機10の選択部は、特定のFAXデータの送信を実行すべき場合に、特定のFAXデータのデータサイズを用いて、3個の帯域保証(256kbps、512kbps、1Mbps)のうち、特定のFAXデータの通信に必要な推定通信料金が最も低い帯域保証を選択する。多機能機10の通信部は、選択済みの帯域保証に従って、特定のFAXデータの送信を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、複数個の帯域保証のいずれかに従って、データの通信を実行する通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、複数個の通信アプリケーション(例えばIPFAX、電子メール等)を実行する端末装置が開示されている。この端末装置は、単位パケット当りの通信料金が異なる複数個のパケット網のいずれかを利用してデータの通信を実行する。この端末装置は、特定の通信アプリケーションを実行する場合に、単位パケット当りの通信料金が最も低いパケット網を利用する。特許文献1の技術によると、実際に通信されたデータのパケット量に応じた通信料金が端末装置に課される。以下、この課金方式を「パケット課金方式」と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−127756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のパケット課金方式に代えて、データの通信に要した時間に応じた通信料金が端末装置に課される課金方式が採用される場合がある。以下、この課金方式を「時間課金方式」と呼ぶ。時間課金方式では、特定のデータの通信に必要な各帯域保証の通信時間は、当該特定のデータのデータサイズに依存し、この結果、当該特定のデータの通信に必要な各帯域保証の通信料金は、当該特定のデータのデータサイズに依存する。従って、特定の通信アプリケーションを実行する場合であっても、通信するデータのデータサイズに応じて、通信料金が最も低くなる帯域保証が異なる。
【0005】
本明細書では、時間課金方式が採用される場合に、通信料金が最も低い帯域保証に従って、データの通信を実行し得る技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、通信装置を開示する。通信装置は、通信部と、選択部と、を備える。通信部は、単位時間当りの通信料金が異なる複数個の帯域保証のいずれかに従って、データの通信を実行する。選択部は、特定のデータの通信が実行されるべき場合に、特定のデータのデータサイズを用いて、複数個の帯域保証のうち、特定のデータの通信に必要な通信料金が最も低い第1の帯域保証を選択する。通信部は、選択済みの第1の帯域保証に従って、特定のデータの通信を実行する。
【0007】
この構成によると、通信装置は、特定のデータのデータサイズを用いて上記の選択を実行するために、通信料金が最も低い第1の帯域保証を適切に選択することができる。従って、時間課金方式が採用される場合に、通信装置は、通信料金が最も低い帯域保証に従って、特定のデータの通信を実行し得る。
【0008】
選択部は、第1料金情報取得部と、第1算出部と、第2算出部と、を備えてもよい。第1料金情報取得部は、複数個の帯域保証のそれぞれについて、当該帯域保証に対応する単位時間当たりの通信料金を示す第1料金情報を取得してもよい。第1算出部は、複数個の帯域保証のそれぞれについて、当該帯域保証に従って特定のデータの通信が実行される場合に必要な推定通信時間を、特定のデータのデータサイズを用いて算出してもよい。第2算出部は、複数個の帯域保証のそれぞれについて、当該帯域保証に従って特定のデータの通信が実行される場合に必要な推定通信料金を、当該帯域保証について算出される推定通信時間と、当該帯域保証に対応する第1料金情報と、を用いて算出してもよい。選択部は、複数個の帯域保証について算出される複数個の推定通信料金のうちの最も低い推定通信料金に対応する第1の帯域保証を選択してもよい。この構成によると、通信装置が、特定のデータのデータサイズを用いて、複数個の帯域保証に対応する複数個の推定通信料金を算出する。従って、例えば、通信装置のベンダは、データサイズと通信料金との関係を示す情報、データサイズと通信料金が最も低い帯域保証との関係を示す情報等を、予め用意せずに済む。
【0009】
第1料金情報取得部は、複数個の帯域保証に対応する複数個の第1料金情報を、通信装置とは異なる外部装置から取得してもよい。この構成によると、古い第1料金情報が新しい第1料金情報に改定された場合に、第1料金情報取得部は、新しい第1料金情報を外部装置から取得し得る。
【0010】
第1算出部は、複数個の帯域保証のそれぞれについて、当該帯域保証に対応する推定通信時間が、当該帯域保証に従って所定サイズのパケットの通信が実行される毎に発生する遅延時間を含むように、当該帯域保証に対応する推定通信時間を算出してもよい。また、第1算出部は、複数個の帯域保証のそれぞれについて、当該帯域保証に対応する推定通信時間が、特定のデータの通信先であるデバイスの処理時間を含むように、当該帯域保証に対応する推定通信時間を算出してもよい。デバイスの処理時間は、デバイスが、通信装置からの所定のパケットに対する応答を生成するための時間を含んでもよい。さらに、第1算出部は、複数個の帯域保証のそれぞれについて、当該帯域保証に対応する推定通信時間が、当該帯域保証に従って実行される準備通信のための準備通信時間を含むように、当該帯域保証に対応する推定通信時間を算出してもよい。準備通信は、特定のデータの通信が開始される前に、通信装置と特定のデータの通信先であるデバイスとの間で、特定のデータの通信に必要な特定の情報の通信を含んでもよい。上記の構成によると、遅延時間と処理時間と準備通信時間とのうちの少なくも1つを含むように推定通信時間が算出されるために、通信装置は、推定通信時間を正確に算出することができる。
【0011】
選択部は、第2料金情報取得部と、特定部とを備えてもよい。第2料金情報取得部は、複数個の帯域保証のそれぞれについて、当該帯域保証に対応する第2料金情報を取得してもよい。第2料金情報は、データサイズと通信料金との関係を示してもよい。特定部は、複数個の帯域保証のそれぞれについて、当該帯域保証に従って特定のデータ通信が実行される場合に必要な推定通信料金を、特定のデータのデータサイズと、第2料金情報と、を用いて特定してもよい。選択部は、複数個の帯域保証について特定される複数個の推定通信料金のうちの最も低い推定通信料金に対応する第1の帯域保証を選択してもよい。この構成によると、通信装置は、特定のデータのデータサイズを用いて、推定通信料金を算出せずに済む。通信装置は、推定通信料金を算出する構成と比べて、推定通信料金を迅速に特定し得る。
【0012】
選択部は、複数個の帯域保証の中に、特定のデータの通信に必要な通信料金が最も低い2個以上の帯域保証が存在する場合に、2個以上の帯域保証のうち、通信速度が最も速い第1の帯域保証を選択してもよい。この構成によると、時間課金方式が採用される場合に、通信装置は、通信料金が最も低く、かつ、通信速度の最も速い帯域保証に従って通信を実行し得る。
【0013】
選択部は、通信部が選択済みの第1の帯域保証に従って特定のデータの通信を実行した結果、特定のデータの通信が失敗する場合に、複数個の帯域保証のうち、特定のデータの通信に必要な通信料金が2番目に低い第2の帯域保証を選択してもよい。通信部は、選択済みの第2の帯域保証に従って特定のデータの通信を実行してもよい。この構成によると、特定のデータの通信が成功する可能性を高めることができる。
【0014】
なお、上記の通信装置のための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読取可能記録媒体も、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施例の通信システムの構成の一例を示す。
【図2】各帯域保証に従ってFAXデータを送信する場合のタイムチャートを示す。
【図3】一対の多機能機の間でFAXデータが送信される様子を示す。
【図4】IPFAX送信処理のフローチャートを示す。
【図5】帯域保証選択処理のフローチャートを示す。
【図6】データサイズと各帯域保証の通信料金との関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施例)
(システムの構成)
図面を参照して第1実施例を説明する。図1に示されるように、通信システム2は、インターネット4と、LAN6、8と、多機能機10、110と、SIPサーバ120と、を備える。多機能機10はLAN6に接続されている。多機能機110はLAN8に接続されている。LAN6、8及びSIPサーバ120は、インターネット4に接続されている。多機能機10と、SIPサーバ120と、多機能機110とは、LAN6、8とインターネット4を介して、相互に通信可能である。
【0017】
(多機能機10の構成)
多機能機10の構成について説明する。なお、多機能機110は、多機能機10と同様の構成を備える。多機能機10は、印刷機能、スキャナ機能、コピー機能、電子メール送受信機能、IPFAX機能、電話機能等の多機能を備える。多機能機10は、表示部12と、操作部14と、ネットワークI/F16と、スキャン実行部18と、印刷実行部20と、制御部22と、を備える。上記の各部12〜22はバス線24に接続されている。表示部12は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。操作部14は、複数のキーによって構成される。ユーザは、操作部14を操作することによって、様々な指示を多機能機10に入力することができる。ネットワークインターフェイス16は、LAN6に接続されている。スキャン実行部18は、CIS、CCD等のスキャン機構を備え、スキャン対象物をスキャンすることによって画像データを生成する。印刷実行部20は、インクジェットヘッド方式、レーザ方式等の印刷機構を備え、制御部22からの指示に従って印刷を行う。
【0018】
制御部22は、CPU30とメモリ32とを備える。メモリ32は、プログラム34と、第1料金情報テーブル36と、パラメータ群38と、を格納している。なお、図1では、メモリ32は、破線で示すように、第2料金情報テーブル39を含んでいるが、第2料金情報テーブル39は、後述の第2実施例で利用される。CPU30は、メモリ32内のプログラム34に従って処理を実行する。CPU30がプログラム34に従って処理を実行することによって、通信部40及び選択部42の機能が実現される。
【0019】
通信部40は、3個の帯域保証(256kbps、512kbps、1Mbps)のいずれかに従って、FAXデータの通信を実行する。各帯域保証は、単位時間(1秒)当たりに通信可能なデータのサイズが異なる。例えば、帯域保証「256kbps」は、1秒当たりに256kbのデータを通信可能であることを意味する。1秒当たりに通信可能なデータのサイズが大きいほど、通信速度が速いことを意味する。即ち、各帯域保証は、通信速度が異なる。帯域保証の語は、「QoS(Quality of Service)」と言い換えてもよい。また、選択部42は、第1料金情報取得部43と、第1算出部44と、第2算出部45と、を含む。なお、図1では、選択部42は、破線で示すように、第2料金情報取得部46と特定部47とを含んでいるが、第2料金情報取得部46と特定部47とは、後述の第2実施例で利用される。
【0020】
第1料金情報テーブル36は、3個の組合せ情報50〜54を含む。各組合せ情報50〜54は、帯域保証を示す情報60(例えば「256kbps」)と、料金62(例えば「6円」)と、単位時間64(例えば「3分」)と、が対応付けられた情報である。帯域保証を示す情報60は、通信部40が通信可能な上記の3個の帯域保証(256kbps、512kbps、1Mbps)を示す。料金62及び単位時間64は、帯域保証を示す情報60に示される帯域保証に従って通信部40が通信する場合に必要な単位時間当たりの通信料金を示す。例えば、組合せ情報50は、帯域保証「256kbps」に従って通信部40が通信を実行する場合に、3分毎に6円の通信料金が必要であることを示す。第1料金情報テーブル36は、多機能機10のベンダによって、多機能機10の出荷前にメモリ32に予め格納される。
【0021】
パラメータ群38は、各帯域保証に従って、多機能機10がFAXデータの通信を行う場合に必要な通信料金を算出するための情報を格納する。具体的には、パラメータ群38は、FAXデータの通信を開始する前に行うネゴシエーション通信に必要なネゴシエーション情報N1及びN2(図2参照)のデータサイズD1及びD2、通信されるFAXデータのうちの1パケットに相当する部分FAXデータPx(xは1以上の整数。図2参照)のデータサイズD3、通信先のデバイスのための処理時間Tpを格納する。また、パラメータ群38は、データサイズと、多機能機10がそのデータサイズのデータを通信するために必要な通信時間との関係を示す所定の関数も格納する。なお、本例では、ネゴシエーション通信に必要なデータとして2種類のデータ(N1、N2)を挙げているが、ネゴシエーション通信において、より多くの種類のデータの通信が必要である場合、パラメータ群38は、ネゴシエーション通信に必要なすべての種類のデータのデータサイズを格納する。なお、パラメータ群38は、多機能機10のベンダによって、多機能機10の出荷前にメモリ32に予め格納される。
【0022】
ネゴシエーション情報N1、N2は、それぞれ1パケットのデータである。ネゴシエーション情報N1、N2のデータサイズD1、D2は、予め定められた値である。部分FAXデータPxのデータサイズD3は、3個の帯域保証のうち、通信速度が最低の帯域保証(本実施例では256kbps)に従って通信可能なデータサイズとして予め定められた値(すなわち、1パケット256kbps以下となる所定のサイズ(例えば512バイト))である。通信部40は、データサイズがD3(1パケット)より大きいFAXデータの通信を行う場合、FAXデータを、1パケット当りのデータサイズがD3である複数のパケットに分割して通信する。
【0023】
処理時間Tpは、1個のパケットデータを受信したデバイスが、応答を開始するまでの処理(データの生成等)に要する時間であり、予め調査された値(例えば様々な処理に要する時間の平均値)が採用されている。この処理時間Tpは、各帯域保証の通信速度に依存しない。そのため、各帯域保証に対応する各処理時間Tpは同じである。所定の関数は、データサイズと、多機能機10がそのデータサイズのデータを通信するために必要な通信時間との関係を示す関数である。所定の関数は、多機能機10の通信能力に応じて予め定められる関数である。そのため、所定の関数は各帯域保証の通信速度に応じて変化しない。従って、後で説明するように、第1算出部44(図1参照)は、所定の関数を用いて、例えば、データサイズD1のパケットデータN1の通信を実行するための通信時間Ts1を算出することができる。また、同様に、第1算出部44は、パケットデータN2の通信を実行するための通信時間Ts2、部分FAXデータPxの通信を実行するための通信時間Ts3を算出することができる。
【0024】
上述の通り、各帯域保証に従って、単位時間当たりに通信可能なデータサイズは予め決められている。例えば、帯域保証256kbpsに従って通信を実行する場合、1秒間に最大256kbのデータ通信を実行可能である。従って、後で説明するように、第1算出部44は、通信するパケットデータのデータサイズ(D1、D2、D3等)から、通信を実行する帯域保証に従って単位時間当たりに通信可能なパケットデータの種類と数を特定することができる。
【0025】
(SIPサーバ120の構成)
SIPサーバ120の構成について説明する。SIPサーバ120は、多機能機10、110のそれぞれについて、当該多機能機のIPアドレスと、当該多機能機のSIPURIと、を対応付けて記憶している。SIPサーバ120は、SIP(Session Initiation Protocol)を利用して、多機能機10と多機能機110との間の通信セッションを確立する。即ち、例えば、多機能機10と多機能機110との間でIPFAX送信処理を実行するための通信セッションを確立するための各種コマンドは、SIPサーバ120を経由して送信される。
【0026】
(FAXデータの通信の一例)
図2、3を参照して、多機能機10から多機能機110にFAXデータを送信するために、各多機能機10、110が実行する処理の一例を示す。図3では、多機能機10の通信部40が帯域保証「256kbps」に従ってFAXデータを送信する場合を例として説明する。また、図2(a)では、ネゴシエーション情報N1およびN2とk個(kは1以上の整数)の部分FAXデータP1〜Pkとの合計データサイズ(D1+D2+k×D3)が、256kbより小さいが、ネゴシエーション情報N1およびN2と(k+1)個の部分FAXデータP1〜Pk+1との合計データサイズ(D1+D2+(k+1)×D3)は、256kbより大きい場合の例をして説明する。従って、この例では、通信セッションの確立からの1個の単位時間(以下「1秒目」と呼ぶ場合がある)に通信可能なデータは、ネゴシエーション情報N1とN2と部分FAXデータP1〜Pkである(図2(a)、図3参照)。部分FAXデータPk+1以降の各部分FAXデータは、次の単位時間(以下「2秒目」と呼ぶ場合がある)以降に送信される。
【0027】
多機能機10と多機能機110との間でSIPサーバ120を介して所定のコマンドの通信が実行されると、多機能機10と多機能機110との間に通信セッションが確立される。通信セッションが確立されると、図3の各処理が開始される。通信部40が多機能機110にFAXデータの送信を実行する場合には、まず、通信部40は、多機能機110にネゴシエーション情報N1を送信する。ネゴシエーション情報N1は、FAXデータの送信に関する各種情報であり、例えば、FAXデータの解像度、色数、データフォーマット(例えば、jpeg、tiff等)である。上述の通り、ネゴシエーション情報N1は、そのデータサイズがD1である1個のパケットデータである。通信部40がネゴシエーション情報200の送信開始から送信終了までに要する時間(送信時間)はTs1である。
【0028】
多機能機110は、ネゴシエーション情報N1を受信すると、ネゴシエーション情報N1に対応するネゴシエーション情報N2を生成し、多機能機10に送信する。ネゴシエーション情報N2は、ネゴシエーション情報N1に含まれる各種情報に対する応答を含む。具体的には、例えば、ネゴシエーション情報N2は、ネゴシエーション情報N1が示す解像度のデータを印刷可能(又は不可能)であることを示す情報、ネゴシエーション情報N1が示す色数の印刷(例えばカラー印刷)が可能(又は不可能)であることを示す情報、ネゴシエーション情報N1が示すデータフォーマットの印刷が可能(又は不可能)であることを示す情報等を含む。
【0029】
上述の通り、多機能機110がネゴシエーション情報N2の生成に要する時間(処理時間)は、Tpである。また、ネゴシエーション情報N2は、そのデータサイズがD2である1個のパケットデータである。通信部40がネゴシエーション情報202の受信開始から受信終了までに要する時間(受信時間)はTs2である。通信部40が、上記のネゴシエーション情報N2を受信してから、1個のパケットデータ(部分FAXデータP1)を送信するまでに要する時間(遅延時間)はTd1である。遅延時間は、1個のパケットデータ(例えばネゴシエーション情報N2)を通信した後に、次のパケットデータ(部分FAXデータP1)を通信するまでの待機時間である。遅延時間は、連続する2個のパケットデータの通信の間の待機時間と呼ぶこともできる。遅延時間Td1の算出方法は、後で説明する。遅延時間Td1が経過すると、ネゴシエーション通信が終了する。なお、以下では、ネゴシエーション通信に必要な時間(Ts+Tp+Ts+Td1)のことを「ネゴシエーション時間」と呼ぶ。
【0030】
上記のネゴシエーション通信が終了すると、通信部40は、1個のパケットデータである部分FAXデータP1を多機能機110に送信する。部分FAXデータP1の送信開始から送信終了までに要する時間(送信時間)はTs3である。通信部40は、部分FAXデータP1を送信すると、遅延時間Td1の経過後に、次の1個の部分FAXデータP2を送信する。同様に、通信部40は、部分FAXデータP3、P4(図示しない)・・・Pkを順次送信する。図2(a)、図3では、遅延時間Td1は、各データの送信のタイミングごとに発生する。即ち、ネゴシエーション情報N2を受信してから部分FAXデータP1を送信するまでの間に遅延時間Td1が発生し、以後、部分FAXデータの送信後に遅延時間Td1が発生する。すなわち、通信セッションの確立からの1秒間で、(k+1)回の遅延時間Td1が発生することとなる。言い換えれば、通信セッションの確立からの1秒間は、ネゴシエーション情報N1の送信時間Ts1と、処理時間Tpと、ネゴシエーション情報N2の受信時間Ts2と、各部分FAXデータP1〜Pkの送信時間(k×Ts3)と、各データの送信ごとに発生する遅延時間((k+1)×Td1)と、の合計時間となる。即ち、この単位時間(1秒目)で発生する合計の遅延時間((k+1)×Td1)は、1秒から、(Ts1+Ts2+k×Ts3)を除いた時間である。各遅延時間Td1は、その合計の遅延時間((k+1)×Td1)を(k+1)で除算した結果の値である。
【0031】
通信部40は、次の単位時間(2秒目)以降に、残りの部分FAXデータPk+1・・・Peを送信する。2秒目以降は、通信部40は、部分FAXデータPk+1を送信すると、遅延時間Td1´の経過後に、次の1個の部分FAXデータPk+2を送信する。2秒目以降では、ネゴシエーション通信が行われないため、単位時間当たりに送信可能な部分FAXデータの数は、部分FAXデータのデータサイズD3から算出される。例えば、単位時間当たりに送信可能な部分FAXデータの数がα個である場合、この単位時間(2秒目)で発生する合計の遅延時間(α×Td1´)は、1秒からα×Ts3を除いた時間である。各遅延時間Td1´は、その合計の遅延時間(α×Td1´)をαで除算した結果の値である。遅延時間Td1´は、上記の遅延時間Td1とは異なる時間である。図2(a)に示す部分FAXデータPeは、最後の1個の部分FAXデータである。例えば、最後の1個の部分FAXデータPeのデータサイズがD3より小さいサイズD4の場合、部分FAXデータPeの送信時間はTs4となる。なお、仮に、最後の1個の部分FAXデータPeのデータサイズが、データサイズD3である場合、部分FAXデータPeの送信時間は、Ts3である。なお、以下では、最初の1個の部分FAXデータP1の送信を開始してから、最後の1個の部分FAXデータPeを送信するまでに必要な時間のことを「データ送信時間」と呼ぶ。
【0032】
通信部40は、最後の部分FAXデータPeの送信が終了すると、SIPサーバ120を介して、多機能機110にBYEを送信する。BYEは、多機能機10と多機能機110との間に確立された通信セッションを終了するためのコマンドである。多機能機10と多機能機110との通信に必要な通信料金は、通信セッションが確立してからBYEが送信されるまでの時間に応じて決定される。なお、通信部40は、最後の部分FAXデータPeの送信終了直後にBYEをSIPサーバ120に送信するため、多機能機10と多機能機110との通信に必要な通信料金は、実際は、通信セッションが確立してから最後の1個の部分FAXデータPeを送信するまでに必要な時間に応じて決定される。なお、多機能機110は、SIPサーバ120を介してBYEを受信すると、BYEに対する応答である200OKを生成し、多機能機10に送信する。通信部40が200OKを受信すると、多機能機10と多機能機110との間の通信セッションが終了し、多機能機10と多機能機110との間の通信が終了する。
【0033】
上記の例では、多機能機10の通信部40が帯域保証「256kbps」に従ってFAXデータを送信する場合を例として説明したが、多機能機10の通信部40が実行する処理は、帯域保証「512kbps」、「1Mbps」に従ってFAXデータを送信する場合もほぼ同様である。
【0034】
なお、図2(b)では、ネゴシエーション情報N1およびN2とm個(m>k。mは2以上の整数)の部分FAXデータP1〜Pmとの合計データサイズ(D1+D2+m×D3)は、512kbより小さいが、ネゴシエーション情報N1、N2と(m+1)個の部分FAXデータP1〜Pm+1との合計データサイズ(D1+D2+(m+1)×D3)は512kbよりも大きい。そのため、通信部40は、通信セッションの確立からの1秒間で、ネゴシエーション情報N1、N2およびm個の部分FAXデータP1〜Pmを送信可能である。遅延時間Td2、Td2´の算出方法は、上述の方法と同様である。図2(b)の場合も、送信時間Ts1、Ts2、Ts3、処理時間Tpは、上記の256kbpsの場合と同様である。一方、図2(b)の場合、単位時間当たりに送信可能な部分FAXデータの数は帯域保証「256kbps」の場合より多い(m>k)。従って、帯域保証「512kbps」における遅延時間Td2、Td2´は、帯域保証「256kbps」における遅延時間Td1、Td1´より短くなる。
【0035】
また、上記と同様に、図2(c)では、ネゴシエーション情報N1およびN2とn個(n>m。nは3以上の整数)の部分FAXデータP1〜Pnとの合計データサイズ(D1+D2+n×D3)は、1Mbより小さいが、ネゴシエーション情報N1およびN2と(n+1)個の部分FAXデータP1〜Pn+1との合計データサイズ(D1+D2+(n+1)×D3)は1Mbより大きい。また、遅延時間Td3、Td3´は、上述の方法と同様の方法で算出される。帯域保証「1Mbps」における遅延時間Td3、Td3´は、帯域保証「256kbps」、「512kbps」における遅延時間Td1、Td1´、Td2、Td2´より短くなる。即ち、帯域保証が大きいほど、より多くのデータを単位時間当たりに通信することができるため、帯域保証が大きいほど、遅延時間は短くなる(図2参照)。
【0036】
(IPFAX送信処理)
続いて、図4、図5を参照して、IPFAX送信処理について説明する。以下では、多機能機10が多機能機110にFAXデータを送信する場合を例として、IPFAX送信処理の内容を説明する。
【0037】
制御部22は、IPFAX送信操作が実行されることを監視している(S40)。多機能機10のユーザは、図示しない自動原稿搬送装置に原稿をセットし、その状態で、操作部14を用いて、IPFAX送信操作を実行することができる。IPFAX送信操作は、FAXの送信先である多機能機110のSIPURIを入力する操作を含む。通信部40は、IPFAX送信操作が実行された場合に、S40でYESと判断する。
【0038】
S40でYESの場合、通信部40はFAXデータを取得する(S42)。具体的には、通信部40は、自動原稿搬送装置にセットされた原稿を、スキャン実行部18にスキャンさせる。これにより、スキャン実行部18は、スキャンデータを生成する。通信部40は、スキャン実行部18からスキャンデータを取得することによって、FAXデータを取得する。次いで、通信部40は、ユーザによって指定された送信先のSIPURI(即ち多機能機110のSIPURI)を取得する(S44)。次いで、選択部42(図1参照)は、帯域保証選択処理を実行する(S46)。
【0039】
図5を参照して、帯域保証選択処理について詳しく説明する。帯域保証選択処理が開始されると、選択部42は、まず、メモリ32内の一時テーブルをクリアする(S80)。次いで、選択部42は、上記の図4のS42で取得されたFAXデータ(以下では「特定のFAXデータ」と呼ぶ)のデータサイズを特定する(S82)。次いで、選択部42は、3個の帯域保証(256kbps、512kbps、1Mbps)のうち、いずれか1個の帯域保証(以下では「特定の帯域保証」と呼ぶ)を特定する(S84)。
【0040】
次いで、第1算出部44(図1参照)は、上記の特定の帯域保証に従って上記の特定のFAXデータを多機能機110に送信する場合の推定通信時間を算出する(S86)。具体的には、第1算出部44は、パラメータ群38と、S82で特定されるデータサイズと、を用いて、ネゴシエーション時間とデータ送信時間との合計時間を算出する。各時間を算出するための手法について、次に説明する。
【0041】
まず、第1算出部44は、パラメータ群38から、ネゴシエーション情報N1、N2、部分FAXデータPxのそれぞれのデータサイズD1、D2、D3を特定する。第1算出部44は、データサイズD1、D2、D3と、所定の関数を用いて、ネゴシエーション情報N1の送信時間Ts1、ネゴシエーション情報N2の受信時間Ts2、部分FAXデータP1の送信時間Ts3を算出する。また、第1算出部44は、パラメータ群38から、処理時間Tpを特定する。また、第1算出部44は、上記の特定の帯域保証に対応する、通信セッションの確立から1秒間における遅延時間(Td1、Td2、又は、Td3。以下「遅延時間Td」と呼ぶ)を算出する。遅延時間Tdの算出方法は、上述した方法と同様である。第1算出部44は、Ts1、Tp、Ts2、Tdの和を算出することによって、ネゴシエーション時間を算出する。
【0042】
さらに、第1算出部44は、S82で特定されるデータサイズを、部分FAXデータPxのデータサイズD3で除算することによって、上記の特定のFAXデータの全てを送信するのに必要なパケットデータ(部分FAXデータ)の個数(以下では「N」とする)を算出する。さらに、第1算出部44は、上記の特定の帯域保証に対応する、2秒目以降における遅延時間(Td1´、Td2´、又は、Td3´。以下「遅延時間Td´」と呼ぶ)を算出する。遅延時間Td´の算出方法は、上述した方法と同様である。さらに、第1算出部44は、最後の部分FAXデータPeのデータサイズD4を特定し、所定の関数を用いて、最後の部分FAXデータPeの送信時間Ts4を算出する。第1の算出部44は、送信時間Ts3、Ts4、遅延時間Td、Td´、パケットデータの個数Nを用いて、最初の1個の部分FAXデータP1の送信を開始してから、最後の1個の部分FAXデータPeを送信するまでのデータ送信時間を算出する。
【0043】
第1算出部44は、上記のネゴシエーション時間とデータ送信時間との和を算出することによって、上記の特定の帯域保証に対応する推定通信時間を算出する。上述したように、第1算出部44は、遅延時間と処理時間とネゴシエーション時間とを含むように、推定通信時間を算出する。このために、第1算出部44は、推定通信時間を正確に算出することができる。
【0044】
次いで、第2算出部45(図1参照)は、S86で算出された推定通信時間と、第1料金情報テーブル36と、を用いて、上記の特定の帯域保証に従って上記の特定のFAXデータを多機能機110に送信する場合の推定通信料金を算出する(S88)。具体的には、S88では、まず、第1料金情報取得部43(図1参照)は、第1料金情報テーブル36から、上記の特定の帯域保証に対応する料金62及び単位時間64を取得する。次いで、第2算出部45は、S86で算出された推定通信時間を、取得済みの単位時間64(「3分」)で除算することによって、S86で算出された推定通信時間の通信を完了するための単位時間の個数を算出する。第2算出部45は、算出済みの単位時間の個数と取得済みの料金62とを乗算することによって、上記の特定の帯域保証に対応する推定通信料金を算出する。
【0045】
具体的には、例えば、S84で特定された帯域保証が「1Mbps」であって、S86で算出された推定通信時間が「2分50秒」であった場合、推定通信料金は「22円(単位時間の個数=「1」の料金)」である。また、例えば、S84で特定された帯域保証が「256kbps」であって、S86で算出された推定通信時間が「11分20秒」であった場合、推定通信料金は「24円(単位時間の個数=「4」の料金)」である。
【0046】
第2算出部45は、S88で推定通信料金を算出すると、算出済みの推定通信料金と、上記の特定の帯域保証と、を対応付けて一時テーブルに記憶させる(S90)。次いで、選択部42は、すべての帯域保証についてS84〜S92の処理が実行されたのか否かを判断する(S92)。S92でNOの場合、選択部42は、上記のS84に戻り、他の帯域保証を特定して、S86〜S90の処理を再度実行する。一方、S92でYESの場合、S94に進む。
【0047】
S94では、選択部42は、一時テーブルに記憶されている3個の帯域保証に対応する3個の推定通信料金を比較することによって、最も低い推定通信料金に対応する帯域保証を選択する。次いで、選択部42は、S94で2個以上の帯域保証が選択されたのか否かを判断する(S96)。S96でNOの場合、選択部42は、S94で選択された1個の帯域保証を選択済みの帯域保証として、帯域保証選択処理を終了する。一方、S96でYESの場合、選択部42は、S94で選択された2個以上の帯域保証のうち、通信速度の最も速い1個の帯域保証を選択する(S98)。次いで、選択部42は、S98で選択された1個の帯域保証を選択済みの帯域保証として、帯域保証選択処理を終了する。
【0048】
上記の通り、本実施例の多機能機10は、上記の特定のFAXデータを送信する場合において、最も低い通信料金の帯域保証を選択することができる。
【0049】
通信部40は、上記の帯域保証選択処理(図5参照)が終了すると、上記の帯域保証選択処理で選択された帯域保証(即ち選択済みの帯域保証)に従って、図4のS44で取得されたSIPURIを送信先として、SIPサーバ120にINVITEを送信する(S48)。SIPサーバ120は、INVITEを多機能機110に転送する。多機能機110は、INVITEを受信すると、200OKをSIPサーバ120に送信する。SIPサーバ120は、200OKを多機能機10に転送する。
【0050】
通信部40は、INVITEを送信した後に、200OKを受信したか否かを監視する(S50)。通信部40は、200OKを受信すると、S50でYESと判断する。S50でYESの場合、通信部40は、図4のS44で取得されたSIPURIを送信先として、SIPサーバ120にACKを送信する(S52)。SIPサーバ120は、ACKを多機能機110に転送する。多機能機110は、ACKを受信する。これにより、多機能機10と多機能機110との間で通信セッションが確立される(S54)。通信セッションが確立されると、課金が開始される。本実施例では、SIPサーバ120が課金サーバとして機能する。具体的には、S54で通信セッションが確立されると、SIPサーバ120は通信時間の計測を開始する。
【0051】
次いで、通信部40は、SIPサーバ120を中継することなく、多機能機110との間でネゴシエーション通信を実行し、その後、S42で取得された特定のFAXデータを、インターネット4を介して多機能機110に送信する(S58)。ネゴシエーション通信及び上記の特定のFAXデータの送信は、上記の図3と同様の手法で実行される。上記の特定のFAXデータの送信が終了すると、通信部40は、BYEをSIPサーバ120に送信する(S60)。SIPサーバ120は、BYEを受信すると、課金処理を終了し、BYEを多機能機110に転送する。SIPサーバ120は、課金処理を終了すると、多機能機10と多機能機110との通信にかかった通信時間の計測を終了する。多機能機110は、BYEを受信すると、200OKをSIPサーバ120に送信する。SIPサーバ120は、200OKを多機能機10に転送する。通信部40は、200OKを受信する(S62)。通信部40が200OKを受信すると、多機能機10と多機能機110との通信セッションが終了する(S64)。SIPサーバ120は、計測された通信時間と、上記の選択済みの帯域保証の単位時間当たりの通信料金とを用いて、通信料金を算出する。通信料金の算出方法は、上記の図5のS88で第2算出部45が推定通信料金を算出する方法と同様である。SIPサーバ120を運営している運営者は、算出済みの料金を多機能機10のユーザに請求する。S64を終えると、通信部40はIPFAX送信処理を終了する。
【0052】
一方において、例えば、送信先の多機能機110が、選択済みの帯域保証に従って通信を実行できない場合もある。このような状況では、多機能機110は、S48で送信されたINVITEを受信することができず、この結果、200OKを送信することができない。このために、通信部40は、S50でNOと判断する。S50でNOの場合は、選択済みの帯域保証に従った通信が失敗したことを意味する。S50でNOの場合、通信部40は、一時テーブルに、2番目に通信料金が低い帯域保証が存在するか否かを判断する(S68)。選択済みの帯域保証の次に通信料金が低い帯域保証が存在する場合には、S68でYESと判断される。なお、図5のS94で通信料金が最も低い2個以上の帯域保証が選択され、図5のS98で当該2個以上の帯域保証のうちの1個の帯域保証が選択され、かつ、当該2個以上の帯域保証の中に、後述のS70で未だに選択されていない帯域保証が存在する第1の場合にも、S68でYESと判断される。また、後述のS70で2個以上の帯域保証が選択され、後述のS74で当該2個以上の帯域保証のうちの1個の帯域保証が選択され、かつ、当該2個以上の帯域保証の中に、後述のS74で未だに選択されていない帯域保証が存在する第2の場合にも、S68でYESと判断される。
【0053】
S68でYESの場合、選択部42は2番目に通信料金が低い帯域保証を選択する(S70)。なお、上記の第1の場合には、選択部42は、図5のS94で選択された2個以上の帯域保証のうち、S70の処理で未だに選択されていない帯域保証を選択する。また、なお、上記の第2の場合には、選択部42は、過去のS70で選択された2個以上の帯域保証のうち、S74で未だに選択されていない帯域保証を選択する。
【0054】
次いで、選択部42は、S70で2個以上の帯域保証が選択されたのか否か判断する(S72)。S72でNOの場合、通信部40は、S70で選択された帯域保証を新たな選択済みの帯域保証として、S48に戻り、新たな選択済みの帯域保証に従ってINVITEをSIPサーバ120に送信する。一方、S72でYESの場合、選択部42は、S70で選択された2個以上の帯域保証のうち、通信速度の最も速い帯域保証を選択する(S74)。S74を終えると、通信部40は、S74で選択された帯域保証を新たな選択済みの帯域保証として、S48に戻り、新たな選択済みの帯域保証に従ってINVITEをSIPサーバ120に送信する。
【0055】
上述の通り、本実施例では、図5の帯域保証選択処理で選択された帯域保証に従った通信が失敗した場合(図4のS50でNO)に、選択部42は、2番目に料金の低い帯域保証を新たに選択する(S70)。通信部40は、新たに選択された帯域保証に従って上記の特定のFAXデータの送信を実行する(S48)。そのため、上記の特定のFAXデータの送信が成功する可能性を高めることができる。
【0056】
一方において、S68でNOの場合、通信部40は、エラー処理(例えばエラーを示す文字列の表示)を実行し(S72)、IPFAX送信処理を終了する。
【0057】
以上、本実施例の通信システム2について説明した。本実施例では、時間課金方式が採用されている。時間課金方式では、各帯域保証に従った通信の課金が、単位時間当りの通信料金に従って実行される。FAXデータの通信に必要な各帯域保証の通信時間は、当該FAXデータのデータサイズに依存し、この結果、当該FAXデータの通信に必要な各帯域保証の通信料金は、当該FAXデータのデータサイズに依存する。従って、多機能機10が、単位時間当りの通信料金が最も低い帯域保証「256kbps」に従って、FAXデータの通信を実行したとしても、必要な通信料金が最も低くなるとは限らない。図6は、データサイズと各帯域保証に対応する通信料金との関係を示す。なお、符号90、92、94は、それぞれ、帯域保証「256kbps」、「512kbps」、「1Mbps」に対応する。図6から明らかなように、例えば、送信されるべきFAXデータのデータサイズがD1である場合には、FAXデータの通信に必要な通信料金が最も低い帯域保証は、単位時間当りの通信料金が最も低い帯域保証「256kbps」である。ただし、例えば、送信されるべきFAXデータのデータサイズがD2である場合には、FAXデータの通信に必要な通信料金が最も低い帯域保証は、帯域保証「256kbps」ではなく、帯域保証「1Mbps」である。
【0058】
本実施例では、時間課金方式が採用される場合でも、最も低い通信料金の帯域保証が選択されるように、多機能機10は、上記の特定のFAXデータのデータサイズを用いて、3個の帯域保証(256kbps、512kbps、1Mbps)のうち、特定のFAXデータの通信に必要な推定通信料金が最も低い帯域保証を選択する。従って、時間課金方式が採用される場合に、多機能機10は、通信料金が最も低い帯域保証に従って、FAXデータの通信を実行することができる。また、多機能機10は、推定通信料金が最も低い2個以上の帯域保証が存在する場合には、通信速度が最も速い帯域保証を選択する(図5のS98)。従って、多機能機10は、通信料金が最も低く、かつ、通信速度が最も速い帯域保証に従って、通信を実行することができる。
【0059】
なお、本実施例では、多機能機10は、上記の特定のFAXデータのデータサイズと、パラメータ群38と、を用いて、各帯域保証の推定通信時間を算出し(図5のS86)、次いで、各帯域保証の推定通信料金を算出する(図5のS88)。この構成に代えて、データサイズと各帯域保証の通信料金との関係を示す第1の情報(例えば図6の情報)を多機能機10に与えるという第1の構成が考えられる。第1の構成では、多機能機10は、上記の特定のFAXデータのデータサイズと第1の情報とを用いて、上記の特定のFAXデータの通信に必要な各帯域保証の通信料金を特定することができる。この結果、通信装置は、通信料金が最も低い帯域保証を特定することができる。また、例えば、データサイズと最も低い通信料金の帯域保証との関係を示す第2の情報(例えば第3実施例の帯域保証情報)を多機能機10に与えるという第2の構成が考えられる。第2の構成では、多機能機10は、上記の特定のFAXデータのデータサイズと第2の情報とを用いて、通信料金が最も低い帯域保証を特定することができる。ただし、第1及び第2の情報は、データサイズの値毎の情報であるために、膨大な情報量を有する。このような膨大な情報量を有する第1及び第2の情報を準備するためには、多くの労力が必要である。即ち、上記の第1又は第2の構成を採用するためには、多機能機10のベンダは、多くの労力を費やして第1又は第2の情報を予め準備して、多機能機10のメモリ32に予め記憶させる必要がある。本実施例の構成によると、このような労力が必要ない。また、上記の第1又は第2の構成を採用するためには、膨大な情報量を有する第1又は第2の情報をメモリ32に記憶させる必要がある。その結果、メモリ32の使用量が大きくなる。これに対し、本実施例の構成によると、メモリ32の使用量を低減させることができる。
【0060】
本実施例の構成と本発明の構成との対応関係を記載しておく。多機能機10、多機能機110が、それぞれ、「通信装置」、「特定のデータの通信先であるデバイス」の一例である。3個の帯域保証(256kbps、512kbps、1Mbps)が、「複数個の帯域保証」の一例である。図4のS42で取得される上記の特定のFAXデータが、「特定のデータ」の一例である。図1の第1料金情報テーブル36内の組合せ情報50〜54が、「第1料金情報」の一例である。各部分FAXデータP1、P2等が、「所定サイズのパケット」の一例である。図3に示すネゴシエーション通信、ネゴシエーション時間が、それぞれ「準備通信」、「準備通信時間」の一例である。ネゴシエーション情報N1、N2が「特定の情報」の一例である。
【0061】
(第2実施例)
(多機能機10の構成)
第2実施例を、上記の第1実施例と異なる点について説明する。本実施例では、図1の多機能機10のメモリ32内には、第1料金情報テーブル36とパラメータ群38とに代えて、第2料金情報テーブル39が格納されている。また、選択部42は、第1料金情報取得部43と第1算出部44と第2算出部45とに代えて、第2料金情報取得部46と特定部47とを含む。
【0062】
第2料金情報テーブル39は、データサイズと各帯域保証の通信料金(即ち推定通信料金)との関係を示す情報(図6の情報)である。なお、第2料金情報テーブル39に代えて、データサイズと各帯域保証の通信料金との関係を示す関数が、多機能機10に記憶されていてもよい。
【0063】
(帯域保証選択処理)
続いて、本実施例の帯域保証選択処理について説明する。本実施例の帯域保証選択処理では、選択部42は、図5のS86、S88の処理に代えて、以下に説明する処理を実行する。S84で帯域保証が特定されると、まず、第2料金情報取得部46(図1参照)は、第2料金情報テーブル39から、S84で特定された帯域保証(上記の特定の帯域保証)に対応する料金情報(図6の符号90〜94の情報のいずれか)を取得する。次いで、特定部47(図1参照)は、上記の特定の帯域保証に従って上記の特定のFAXデータを送信する場合に必要な推定通信料金を、S82で特定されたデータサイズと、S86で取得された料金情報と、を用いて特定する。特定部47は、特定済みの推定通信料金と、上記の特定の帯域保証と、を対応付けて一時テーブルに記憶させる(S90)。S92以降の各処理は、上記の第1実施例の場合と同様である。
【0064】
本実施例では、特定部47は、第2料金情報テーブル39と上記の特定のFAXデータのデータサイズとを用いて、推定通信料金を特定することができる。従って、多機能機10は、推定通信料金を算出する構成(例えば第1実施例の構成)と比べて、推定通信料金を迅速に特定することができる。なお、本実施例では、第2料金情報テーブル39内の情報90〜94が、「第2料金情報」の一例である。
【0065】
(第3実施例)
(多機能機10の構成)
第3実施例を、上記の第1実施例と異なる点について説明する。本実施例では、図1の多機能機10のメモリ32内には、第1料金情報テーブル36及びパラメータ群38に代えて、帯域保証情報テーブル(図示省略)が格納されている。帯域保証情報テーブルは、データサイズと最も低い通信料金の帯域保証とが対応付けられているテーブルである。例えば、帯域保証情報テーブルでは、データサイズD1に対応付けて、帯域保証「256kbps」を示す情報と、が対応付けられており(図6参照)、データサイズD2に対応付けて、帯域保証「1Mbps」を示す情報と、が対応付けられている(図6参照)。帯域保証情報テーブルでは、他の各データサイズに対応付けて、最も低い通信料金の帯域保証を示す情報が対応付けられている。
【0066】
(帯域保証選択処理)
本実施例では、選択部42は、図5のS84〜S98の処理に代えて、以下に説明する処理を実行する。S82で上記の特定のFAXデータのデータサイズが特定されると、選択部42は、上記の特定のFAXデータを送信する場合に必要な通信料金が最も低い帯域保証を、S82で特定されたデータサイズと、上記の帯域保証情報テーブルと、を用いて選択する。具体的には、選択部42は、上記の帯域保証情報テーブルにおいて、S82で特定されたデータサイズに対応付けられている帯域保証を選択する。選択部42が帯域保証を選択すると、帯域保証選択処理が終了する。
【0067】
本実施例では、多機能機10は、帯域保証情報テーブルと上記の特定のFAXデータのデータサイズとを用いて、最も通信料金が低い帯域保証を選択することができる。従って、多機能機10は、推定通信料金を算出する構成(例えば第1実施例の構成)と比べて、推定通信料金を迅速に特定することができる。また、多機能機10は、データサイズと各帯域保証の通信料金との関係を示す情報を利用する構成(例えば第2実施例の構成)と比べて、最も通信料金が低い帯域保証を迅速に選択することができる。複数個の帯域保証に対応する複数個の推定通信料金を比較して、最も通信料金が低い帯域保証を選択する必要がないからである。
【0068】
(第4実施例)
上記の第1実施例では、第1料金情報テーブル36は、多機能機10のベンダによって、多機能機10の出荷前にメモリ32に格納され、以後は変更されない。しかしながら、本実施例では、第1料金情報取得部43は、IPFAX送信操作が実行される毎に、最新の第1料金情報テーブルを格納する外部サーバ(図示省略)から、第1料金情報テーブル36を取得する。選択部42は、取得済みの第1料金情報テーブル36を用いて、図5の帯域保証選択処理を実行する。なお、本実施例では、取得済みの第1料金情報テーブル36は、メモリ32内の一時記憶領域(例えばVRAM)に記憶される。本実施例では、第1料金情報取得部43は、第1料金情報テーブル36を、外部サーバから取得する。そのため、古い第1料金情報テーブル36が新しい第1料金情報テーブル36に改定された場合に、第1料金情報取得部43は、新しい第1料金情報テーブル36を外部サーバから取得し得る。
【0069】
(変形例)
上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
(1)上記の第1実施例では、いずれのデバイスと通信する場合であっても、パラメータ群38に含まれる処理時間として1個の値Tpが採用される。しかしながら、処理時間Tpは、多機能機10の通信先のデバイス毎に異なっていてもよい。その場合、例えば、多機能機10が通信を実行する通信先のデバイスのSIPURIと、当該通信先のデバイスの処理時間と、を対応付けてメモリに記憶させてもよい。
【0070】
(2)上記の実施例では、多機能機10が多機能機110に対してFAX送信処理を実行する場合を例に説明した。しかしながら、例えば、電子メール送信処理等において、通信部40は、帯域保証選択処理(図5参照)によって選択された帯域保証に従って、電子メールを送信してもよい。この他にも、通信するデータのデータサイズが予め定められている任意の通信を実行する場合、通信部40は、帯域保証選択処理によって選択された帯域保証に従って通信を実行するようにしてもよい。
【0071】
(3)上記の実施例では、第1料金情報テーブル36(図1参照)に示すように、各帯域保証の単位時間当りの通信料金の基準となる単位時間64はいずれも「3分」で共通している。しかし、単位時間は、帯域保証毎に異なっていてもよい。従って、例えば、帯域保証「512kbps」の単位時間「1分」当たりの通信料金が「4円」であってもよい。
【0072】
(4)上記の第1実施例では、図5のS86で推定通信時間を算出する際に、ネゴシエーション時間が利用されなくてもよい。実際の通信では、ネゴシエーション時間は、データ送信時間と比べて、小さいからである。即ち、第1算出部44は、データ送信時間を推定通信時間として算出してもよい。この場合、パラメータ群38に、ネゴシエーション情報のデータサイズに関する情報(D1、D2)を含まなくてもよい。
【0073】
(5)上記の第1実施例では、多機能機10のメモリ32は、パラメータ群38に代えて、FAXデータのデータサイズと各帯域保証に対応する推定通信時間との関係を示す時間情報が格納していてもよい。その場合、帯域保証選択処理では、選択部42は、図5のS86の処理に代えて、特定のFAXデータのデータサイズと、上記の時間情報とを用いて、特定の帯域保証に従って特定のFAXデータを多機能機110に送信する場合の推定通信時間を特定してもよい。その場合、S88以降の処理は、上記の第1実施例と共通する。本変形例も、「前記特定のデータのデータサイズを用いて、・・・第1の帯域保証を選択する選択部」という構成に含まれる。
【0074】
(6)上記の第1実施例では、第1算出部44は、2秒目以降に行われる部分FAXデータの通信について、1秒間に送信可能な部分FAXデータのパケット数を算出し、1秒間に送信可能な部分FAXデータのパケット数で、残りの部分FAXデータのパケット数を除算することにより、2秒目以降に部分FAXデータの通信に必要な時間を算出してもよい。また、第1算出部44は、2秒目以降に行われる部分FAXデータの通信について、特定の帯域保証での1秒間に送信可能なデータのデータサイズ(例えば帯域保証「256kbps」の場合、256kb)を算出し、算出されるデータサイズで、残りのFAXデータのデータサイズを除算することにより、2秒目以降に部分FAXデータの通信に必要な時間を算出してもよい。これらの方法による場合、第1算出部44は、遅延時間Td´を算出することなく、2秒目以降に部分FAXデータの通信に必要な時間を算出することができる。
【0075】
(7)上記の実施例では、多機能機10が多機能機110に対してデータを送信する場合を例に説明した。しかしながら、多機能機110から送信されるデータを受信する場合において、帯域保証選択処理(図5参照)によって選択された帯域保証に従って、多機能機10の通信部40がデータ(例えばFAXデータ、電子メール等)を受信するようにしてもよい。この変形例も、「データの通信」という構成に含まれる。
【0076】
(8)上記の実施例では、部分FAXデータPxのデータサイズとして、予め決められた固定値D3を用いることとして説明したが、これに限らず、FAXデータのデータサイズに応じて、所定のサイズとなるように各部分FAXデータを生成してもよい。このとき、同じFAXデータを分割して得られる部分FAXデータ同士であっても異なるデータサイズとなるように分割してもよい。この場合、パラメータ群38に部分データサイズD3は記憶されず、帯域保証選択処理において、部分FAXデータのデータサイズを算出する処理が含まれる。そして、特定した部分FAXデータごとに特定されるその部分FAXデータのデータサイズから、単位時間当たりに送信可能な部分FAXデータの数を特定すればよい。そして、各部分FAXデータの送信前に、帯域保証に応じた遅延時間Td(Td´)を設けてもよい。単位時間当たりに送信可能な部分FAXデータを送信した場合における送信時間と、遅延時間とから、FAXデータの推定通信時間を算出すればよい。
【0077】
(9)ネゴシエーション通信、データ送信処理に用いられる各データのデータサイズに基づき、単位時間当たりの遅延時間を計算したが、これに限らない。例えば、ネゴシエーション通信にかかる時間Ts1、Ts2、Td、および、1つの部分FAXデータの送信にかかる時間Ts3を予め記憶しておき、その記憶する時間と、送信すべきFAXデータのデータサイズとから遅延時間を求めるようにしてもよい。
【0078】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0079】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0080】
2:通信システム、4:インターネット、6:LAN、8:LAN、10:多機能機、110:多機能機、120:SIPサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
単位時間当りの通信料金が異なる複数個の帯域保証のいずれかに従って、データの通信を実行する通信部と、
特定のデータの通信が実行されるべき場合に、前記特定のデータのデータサイズを用いて、前記複数個の帯域保証のうち、前記特定のデータの前記通信に必要な通信料金が最も低い第1の帯域保証を選択する選択部と、を備え、
前記通信部は、選択済みの前記第1の帯域保証に従って、前記特定のデータの前記通信を実行する、通信装置。
【請求項2】
前記選択部は、
前記複数個の帯域保証のそれぞれについて、当該帯域保証に対応する単位時間当たりの通信料金を示す第1料金情報を取得する第1料金情報取得部と、
前記複数個の帯域保証のそれぞれについて、当該帯域保証に従って前記特定のデータの前記通信が実行される場合に必要な推定通信時間を、前記特定のデータのデータサイズを用いて算出する第1算出部と、
前記複数個の帯域保証のそれぞれについて、当該帯域保証に従って前記特定のデータの前記通信が実行される場合に必要な推定通信料金を、当該帯域保証について算出される前記推定通信時間と、当該帯域保証に対応する前記第1料金情報と、を用いて算出する第2算出部と、を備え、
前記選択部は、前記複数個の帯域保証について算出される複数個の推定通信料金のうちの最も低い推定通信料金に対応する前記第1の帯域保証を選択する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第1料金情報取得部は、前記複数個の帯域保証に対応する複数個の前記第1料金情報を、前記通信装置とは異なる外部装置から取得する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第1算出部は、
前記複数個の帯域保証のそれぞれについて、当該帯域保証に対応する前記推定通信時間が、当該帯域保証に従って所定サイズのパケットの通信が実行される毎に発生する遅延時間を含むように、当該帯域保証に対応する前記推定通信時間を算出する、請求項2又は3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第1算出部は、
前記複数個の帯域保証のそれぞれについて、当該帯域保証に対応する前記推定通信時間が、前記特定のデータの通信先であるデバイスの処理時間を含むように、当該帯域保証に対応する前記推定通信時間を算出し、
前記デバイスの前記処理時間は、前記デバイスが、前記通信装置からの所定のパケットに対する応答を生成するための時間を含む、請求項2から4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第1算出部は、
前記複数個の帯域保証のそれぞれについて、当該帯域保証に対応する前記推定通信時間が、当該帯域保証に従って実行される準備通信のための準備通信時間を含むように、当該帯域保証に対応する前記推定通信時間を算出し、
前記準備通信は、前記特定のデータの前記通信が開始される前に、前記通信装置と前記特定のデータの通信先であるデバイスとの間で、前記特定のデータの前記通信に必要な特定の情報の通信を含む、請求項2から5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記選択部は、
前記複数個の帯域保証のそれぞれについて、当該帯域保証に対応する第2料金情報を取得する第2料金情報取得部であって、前記第2料金情報は、データサイズと通信料金との関係を示す、前記第2料金情報取得部と、
前記複数個の帯域保証のそれぞれについて、当該帯域保証に従って前記特定のデータの前記通信が実行される場合に必要な推定通信料金を、前記特定のデータのデータサイズと、前記第2料金情報と、を用いて特定する特定部と、を備え、
前記選択部は、前記複数個の帯域保証について特定される複数個の推定通信料金のうちの最も低い推定通信料金に対応する前記第1の帯域保証を選択する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項8】
前記選択部は、
前記複数個の帯域保証の中に、前記特定のデータの前記通信に必要な通信料金が最も低い2個以上の帯域保証が存在する場合に、前記2個以上の帯域保証のうち、通信速度が最も速い前記第1の帯域保証を選択する、請求項1から7のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記選択部は、
前記通信部が、前記選択済みの前記第1の帯域保証に従って、前記特定のデータの前記通信を実行した結果、前記特定のデータの前記通信が失敗する場合に、
前記複数個の帯域保証のうち、前記特定のデータの前記通信に必要な通信料金が2番目に低い第2の帯域保証を選択し、
前記通信部は、選択済みの前記第2の帯域保証に従って、前記特定のデータの前記通信を実行する、請求項1から8のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項10】
通信装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記通信装置に搭載されるコンピュータに、以下の各処理、即ち、
単位時間当りの通信料金が異なる複数個の帯域保証のいずれかに従って、データの通信を実行する通信処理と、
特定のデータの通信が実行されるべき場合に、前記特定のデータのデータサイズを用いて、前記複数個の帯域保証のうち、前記特定のデータの前記通信に必要な通信料金が最も低い第1の帯域保証を選択する選択処理と、を実行させ、
前記通信処理は、選択済みの前記第1の帯域保証に従って、前記特定のデータの前記通信を実行する、コンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−23569(P2012−23569A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160040(P2010−160040)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】