説明

通信装置及び通信装置の制御方法、プログラム

【課題】 複数の無線通信部を用いて複数のネットワークに参加していると、バッテリー消費が早く、装置の動作が短くなってしまう。
【解決手段】 第1の無線通信部と第2の無線通信部と通信装置は、第1の無線通信部を用いて第1チャネルの第1ネットワークに参加し、かつ、第2の無線通信部を用いて第2チャネルの第2ネットワークに参加している際に、バッテリーの残量が所定値を下回ると、第1の無線通信部を用いて第1ネットワークと第2ネットワークとに参加するように切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置おいて省電力を実現するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11規格に準拠した無線LANはアクセスポイント(基地局)がネットワークを構築し、制御する。この基地局と、基地局に無線接続するステーション(無線端末)とによって無線ネットワークが構成される。基地局は定期的にビーコンと呼ばれる報知信号をネットワーク内に報知する。無線端末はこの報知信号を受信することでネットワーク識別子であるSSID、セキュリティ情報等を得ることができる。
【0003】
無線LAN機能を有する機器の中には、基地局として動作するアクセスポイント機能と、該基地局へ接続して通信を行うステーション機能の両方を備える機器がある。このような機器は、自身が基地局となってネットワークを構築しながら、他の基地局が構築したネットワークへ無線端末として参加することも可能である。
【0004】
その際には自身が基地局となってネットワークを構築する際に使用する無線周波数チャネル(チャネル)と、自局が無線端末として参加する他の基地局が構築したネットワークのチャネルが異なることも有りうる。このような状況でも両ネットワークに参加するために、無線端末は無線信号を送受、及び変調、復調する無線通信部を少なくとも2つ持つか、1つの無線通信部を時分割に切り替えて使用する方法が考えられる。
【0005】
特許文献1には、複数の無線通信部を備える通信装置の一例が開示されている。特許文献1に記載されている通信装置は、「受信レベル」に基づいて、無線通信部を起動又は停止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−244604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通信装置が無線通信部を2つ具備する場合、2つ無線通信部を同時使用すると、必然的に電力は早いペースで消費されることになる。よって携帯機器のようなバッテリーで稼動する機器が2つの無線通信部を同時使用すると、自機の動作寿命を縮めることなり、機器として使用できる時間が短くなってしまう。
【0008】
また、1つの無線通信部を時分割で使用する場合、参加するネットワークを時分割で切り替えることになるため、ネットワークに一時的に不参加の時間が発生し、任意のタイミングでの送受信ができず、信号の送受信の応答性が低くなってしまう。また、不参加状態のネットワークの他の機器から送られてきた信号は受信することができず、信号の受信エラーが発生する可能性が高まってしまう。
【0009】
本発明は、上記課題を考えみなされたものであり、複数のネットワークでの通信寿命を延ばすことを目的とする。また、他の目的は、以下の明細書及び図面より明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、通信装置であって、第1の無線通信部と、第2の無線通信部と、前記通信装置が動作するためバッテリーの残量が所定値を下回ったことを判定する判定手段と、前記第1の無線通信部を用いて第1チャネルの第1ネットワークに参加し、かつ、前記第2の無線通信部を用いて第2チャネルの第2ネットワークに参加している際に、前記判定手段により前記バッテリーの残量が前記所定値を下回ったことが判定されると、前記第1の無線通信部を用いて前記第1ネットワークと前記第2ネットワークとに参加するように切り替える切替手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、複数のネットワークへの参加の形態を変えることにより、バッテリー残量に応じた通信を行え、複数のネットワークでの通信寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1、2、3のシステム構成図
【図2】実施例1、2、3のノートPC101の機能ブロック図
【図3】実施例1のディスプレイ103、デジタルカメラ104の機能ブロック図
【図4】実施例1のシーケンス図
【図5】実施例1のノートPC101のフローチャート図
【図6】実施例2のディスプレイ103、デジタルカメラ104の機能ブロック図
【図7】実施例2のシーケンス図
【図8】実施例2のノートPC101のフローチャート図
【図9】実施例2の機器能力判断部のシーケンス図
【図10】実施例2のノートPC101のフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施例1)
以下、図面に従って本発明の実施例を説明する。以下では、IEEE802.11規格に準拠した無線LANシステムを用いた例を説明するが、通信形態は必ずしもこれに限らない。
【0014】
図1は、本実施例におけるIEEE802.11規格に準拠した無線LANシステムの構成例である。基地局102はIEEE802.11規格に対応したアクセスポイント機能に則って動作する基地局である。基地局102が構成する無線ネットワークには無線端末としてのステーション機能を実現する無線通信機能を搭載したノートPC101が接続、参加している。
【0015】
ノートPC101は基地局102を介して外部ネットワーク(LAN)との通信も可能である。さらにノートPC101はアクセスポイント機能に則って動作する基地局としても起動し、自身もネットワークを構築している。ノートPC101によって構成された無線ネットワークには複数の無線端末が属している。103、104はそれぞれIEEE802.11規格に対応した無線端末としてのステーション機能を実現する無線通信機能を搭載したディスプレイとデジタルカメラ(DSC)である。これらの無線端末は無線通信機能を用いてノートPC101を介してデータ伝送を行うことが可能である。
【0016】
図2は、ノートPC101の機能ブロック図である。ノートPC機能部201は、ノートPCとして表示処理、演算処理、記憶処理等の機能を処理するブロックである。当該機能に関する詳細な説明はここでは省略する。電源部202はノートPC101の各機能部に電力を供給するバッテリーである。ステーション機能部203は無線端末として機能するためのブロックであり、ステーション(子局)としてアクセスポイントを検索し、アクセスポイントへの無線接続処理などを行う。アクセスポイント機能部205はアクセスポイントとして機能するためのブロックであり、自身が構築するネットワークに参加する無線端末の情報を管理する。第1の無線通信部204、第2の無線通信部206はIEEE802.11規格に則って無線通信を行い、他の無線通信機器との間で無線信号の送受信を行う。第1の無線通信部204は主にステーション機能部203によって使用され、第2の無線通信部206は主にアクセスポイント機能部205によって使用される。
【0017】
表示処理部207は、LCD表示、LED表示等、無線機能に関してユーザーに対する表示内容を制御及び情報として表示するブロックである。無線機能に関する設定などの操作は操作部208を介して行われる。つまり、表示処理部207及び操作部208がノートPC101の無線機能に関するおけるユーザーI/Fとなる。これらの無線機能に関するブロックはCPU209によって処理がなされる。CPU209によって制御されるプログラムは、RAM、もしくはフラッシュROMなどによって構成される記憶部210に格納される。後述するノートPC101の各種動作は、記憶部210に記憶されている制御プログラムをCPU209が実行することにより行われる。無線通信の設定情報なども記憶部210に格納される。CPU209によって処理されるデータも記憶部210対して書き込み、読み込みが行われる。省電力モード判断部211はノートPC101が動作するにあたって、十分な駆動電力が電源部202に蓄積されているかどうかを判断する機能を具備する。これ以外にも役割があるが、詳細に関しては後ほど記載する。
【0018】
図3は、ディスプレイ103、DSC104の機能ブロック図である。ディスプレイ103、DSC104には、アクセスポイント機能部、省電力モード判断部が存在しない。
【0019】
機能部301は、ディスプレイ103又はDSC104としての各種機能を処理するブロックである。ディスプレイ103の場合は、ディスプレイ機能部301となり、DSC104の場合は、デジタルカメラ機能部301となる。当該機能に関する詳細な説明はここでは省略する。電源部308はディスプレイ103又はDSC104の各機能部に電力を供給するバッテリーである。ステーション機能部307は無線端末として機能するためのブロックであり、アクセスポイントを検索し、アクセスポイントへの無線接続処理などを行う。無線通信部302はIEEE802.11規格に則って無線通信を行い、他の無線通信機器との間で無線信号の送受信を行う。無線通信部302はステーション機能部307によって使用される。
【0020】
表示処理部303は、LCD表示、LED表示等、無線機能に関してユーザーに対する表示内容を制御及び情報として表示するブロックである。無線機能に関する設定などの操作は操作部304を介して行われる。表示処理部303及び操作部304がディスプレイ103又はDSC104の無線機能に関するおけるユーザーI/Fとなる。これらの無線機能に関するブロックはCPU305によって処理がなされる。CPU305によって制御されるプログラムは、RAM、もしくはフラッシュROMなどによって構成される記憶部306に格納される。後述するディスプレイ103又はDSC104の各種動作は、記憶部306に記憶されている制御プログラムをCPU305が実行することにより行われる。無線通信の設定情報なども記憶部306に格納される。CPU305によって処理されるデータも記憶部306対して書き込み、読み込みが行われる。
【0021】
図1のシステムにおいて、ノートPC101は電源部(バッテリー)202を用いて動作している。従って、ノートPC101の使用を続けると、電源部(バッテリー)202の電力は低下していく。この過程において、ノートPC101が電力低下により機能しなくなる状態を少しでも伸ばす方法を実現する。具体的な方法を図4のシーケンス図、図5のフローチャート図を用いて説明する。
【0022】
基地局102はIEEE802.11規格に則った第1ネットワークを構築し、ビーコンの送出を開始する(501)。基地局102が第1ネットワーク構築において用いる第1チャネルは「6CH」とする。このビーコンを検出したノートPC101は操作部208、表示処理部207を介してステーション機能部203、第1の無線通信部204を用いて無線接続処理を行い、基地局102に無線接続する(502、S601、S602)。
【0023】
ノートPC101は、アクセスポイント機能部205を用いてアクセスポイントとして起動し(S603)、IEEE802.11規格に則った第2ネットワークを構築する。ノートPC101が第2ネットワーク構築において用いる第2チャネルは「36CH」とする。すなわちノートPC101は同時に異なるチャネルを用いてビーコンを受信、あるいは送信しなければならない。従って第1の無線通信部204が「6CH」で動作状態であるので、第2の無線通信部206を「36CH」で動作させる(S604)。第1ネットワークが使用している「6CH」と異なるチャネルを使用して第2ネットワークを構築することにより、第1ネットワークの通信と第2ネットワークの通信とが衝突することを防ぐことができる。ノートPC101は第2ネットワークのビーコンの送出を開始し、第2ネットワークを起動する(503、S605)。これにより、ノートPC101は、基地局102が構築した第1ネットワークと、ノートPC101自身が構築した第2ネットワークの両方のネットワークに参加している状態となり、この2つのネットワークに対して同時処理が可能になる。
【0024】
続いてディスプレイ103、DSC104の電源を投入する。ディスプレイ103、DSC104は、ノートPC101からのアクセスポイント動作を示す内容を含んだビーコンを受信することで(503)、ノートPC101がアクセスポイントとして機能していることを検知する。これに伴いディスプレイ103、DSC104はノートPC101に対して無線接続処理を実施し、無線接続状態となる(504)。
【0025】
ノートPC101は、基地局102が構築する第1ネットワークに第1の無線通信部204を用いてステーションとして参加し、かつ自身もアクセスポイントとして第2の無線通信部206を用いて第2ネットワークを構築している。従って、ノートPC101の電力は著しく消耗する。省電力モード判断部211は、ノートPC101の電源部(バッテリー)202の蓄積電力(バッテリー残量)を定期的に監視する(S606)。
【0026】
この監視の結果、電源部(バッテリー)202の蓄積電力(バッテリー残量)がある一定値(閾値となる所定値)より低下したことを検知したとする(S606)。このとき省電力モード判断部211はアクセスポイント機能部205に対して第1の無線通信部204を使用するように切り替え指示を行う(S607)。さらに、第1の無線通信部204への切替処理完了後、第2の無線通信部206への給電を停止し、第2の無線通信部206の動作を停止させる(505、S608)。なお、ここでは、第2の無線通信部206への電力供給を停止し、第2の無線通信部206の動作を停止させるが、第2の無線通信部206への電力供給は停止せずに、第2の無線通信部206の動作を停止させても省電力化は実現できる。例えば、第2の無線通信部206の動作を停止させるだけで、第2の無線通信部206の消費電力は低減できる。
【0027】
アクセスポイント機能部205は第1の無線通信部204を用いて、再度ネットワークを構築し、第2ネットワークのビーコンの送出を開始する(506、S609)。第1の無線通信部204は、ステーション機能部203の制御により基地局102が構築しているチャネル「6CH」で運用されている第1ネットワークに接続している。従がって、アクセスポイント機能部205が第1の無線通信部204を用いて、再度、第2ネットワークを構築するときは、第1ネットワークと同じチャネル「6CH」で第2ネットワークを構築する。第1の無線通信部204は、ステーション機能部203とアクセスポイント機能部205の両方から使用され、第1ネットワークと第2ネットワークの両ネットワークの通信を行う。
【0028】
一方、ディスプレイ103、DSC104は、アクセスポイント機能部205が第1の無線通信部204に切り替え処理を行っている間、ビーコン送出が停止されることから、ビーコンの検出ができなくなる(505)。従って、ディスプレイ103、DSC104は、ネットワークから切断された状態となり、データ送受信が不可能な状態となる。ディスプレイ103、DSC104は再度アクセスポイントの検出処理を行う。ノートPC101が再びアクセスポイントとして動作を開始すると、ノートPC101がアクセスポイントとして送出するビーコンを受信することでアクセスポイントを検知することが可能である(506)。アクセスポイントとしてのノートPC101を検出すると、ディスプレイ103、DSC104はノートPC101に対して無線接続処理を実施し、無線接続状態となる(507)。
【0029】
以上のように本実施例におけるノートPCは、蓄積電力(バッテリー残量)に応じて、複数のネットワークへの参加の形態を変えることができ、蓄積電力に適した通信を可能にし、また、装置の動作寿命を延ばすことができる。つまり、蓄積電力(バッテリー残量)がある一定の値(所定値)を下回るまでは、複数の無線通信部(上記説明では2つ)を動作させてチャネルが異なる複数のネットワークに参加できる。そのため、チャネルが異なる複数のネットワークに参加していても、ネットワークに一時的に不参加の時間が発生することを予防でき、任意のタイミングでの送受信ができ、信号の送受信の応答性が低くなることを予防できる。また、信号の受信エラーが発生を抑えることができる。
【0030】
また、蓄積電力(バッテリー残量)がある一定の値(所定値)より低下した場合、動作させる無線通信部の数を減らすことで、電力低下を抑えることができる。上記説明では、動作させていた2つの無線通信部のうちの1つのみを使用することで消費電力を減少させることが可能となる。すなわちノートPCの稼働時間をより長くすることが可能となる。この場合、複数のネットワークのチャネルを統一するため、ネットワーク同士の通信が競合し、各ネットワークのスループット(伝送速度)が低下してしまう。しかしながら、蓄積電力(バッテリー残量)が無くなるまでの時間を延ばすことができるので、複数のネットワークでの通信は継続できる。
【0031】
(実施例2)
実施例1では、基地局として動作するノートPCの蓄積電力の状態に応じて、無線通信部の切り替えを実施する手法を説明した。本実施例では、ネットワークを構成する無線端末の状態又は役割に応じて、無線通信部の切り替えを実施する方法について説明する。
【0032】
なお、本説明にて使用するシステムの構成も実施例1の説明と同じ図1であるものとする。さらに本説明にて使用するノートPC101の構成は図2と同じであるが、省電力モード判断部211の動作が異なる。省電力モード判断部211の動作については後述する。
【0033】
本実施例におけるディスプレイ103、DSC104の機能ブロック図を図6に示す。実施例1の説明時に用いた機能ブロック図との特筆すべき差異は、機器能力判断部709を具備することである。機器能力判断部709は、アクセスポイントからチャネル切り替えの要求があると、その要求に従がってチャネルを変更できるかどうかを判定する。そして、判定結果を応答としてアクセスポイントに送信する。また、無線端末の役割(機器能力)をアクセスポイントに送信する。他の機能における役割は図3と同様であるのでここではその説明を省略する。
【0034】
以下、本実施例における、ノートPC101が電力低下により機能しなくなる状態を少しでも伸ばす方法、及びネットワークの構成において利便性を低下させない方法を説明する。具体的な方法を図7のシーケンス図、図8、図9のフローチャート図を用いて説明する。
【0035】
実施例1と同様にノートPC101は第1の無線通信部204を用いて「6CH」で基地局102に無線接続を行っている(901、902、S1001、S1002)。また、ノートPC101は、アクセスポイントとしても動作し、第2の無線通信部206を用いて「36CH」でディスプレイ103、DSC104と無線ネットワークを構築している(903、904、S1003、S1004、S1005)。ノートPC101は、基地局102が構築する第1ネットワークに第1の無線通信部204を用いてステーションとして参加し、自身もアクセスポイントとして第2の無線通信部206を用いて第2ネットワークを構築し、両ネットワークに参加している状態である。よって、ノートPC101の電力は著しく消耗する。省電力モード判断部211は、ノートPC101の蓄積電力(バッテリー残量)を定期的に監視する(S1006)。この監視の結果、電源部(バッテリー)の蓄積電力(バッテリー残量)がある一定値(閾値となる所定値)より低下したことを検知したとする(S1006)。省電力モード判断部211はアクセスポイント機能部205が使用している第2の無線通信部206から第1の無線通信部204への切り替えについて判断処理を行う。詳細には第2ネットワークを構築するチャネルを「36CH」から「6CH」へ切り替えることが可能かどうかを無線端末に問うため、第2ネットワーク下の無線端末に対してチャネル切替要求を送信する(905、S1007)。チャネル切替要求には切り替え予定チャネルとして第1の無線通信部204が動作している「6CH」を示す情報を含ませる。
【0036】
一方、ディスプレイ103、DSC104は、機器能力判断部709にて以下の処理を実施する。ディスプレイ103、DSC104は、ノートPC101が送信したチャネル切替要求を受信すると(S1101)、この要求信号に対する応答であるチャネル切替応答を生成する。この生成に伴う処理内容は以下のとおりである。まず、自機がチャネル切替要求に含まれる切替予定チャネル、ここでは「6CH」に切り替え可能か否かの判断を行う(S1102)。そして、この判断の結果を示す情報をチャネル切替応答に含ませる。すなわち「6CH」に切り替え可能であればその旨を、切り替え不可であればその旨を含ませる(S1103、S1106)。なお、この判断では、要求された切替予定チャネルが、無線通信部302が利用できる周波数か否かを判断する。また、この応答には自機の役割(機器能力)を含ませる(S1104)。自機がディスプレイあり出力機器であること、自機がDSCであり入力機器であること、などを含ませる(S1104)。そして、チャネル切替応答をノートPC101へ応答する(906、S1105)。
【0037】
チャネル切替応答を受け取ったノートPC101は、省電力モード判断部211にて以下の処理を実施する。まずは、各無線端末が切替予定チャネルに切り替え可能かどうかを確認し、切り替え不可能な無線端末が有るか無いかを判定する(S1008)。チャネル切替応答を返した全ての無線端末が切替予定チャネルに切り替え可能な場合は、アクセスポイント機能部205が使用している第2の無線通信部206から第1の無線通信部204への切り替えを行う。このとき省電力モード判断部211はアクセスポイント機能部205に対して第1の無線通信部204を使用するように切り替え指示を行う(S1009)。さらに、第1の無線通信部204への切替処理完了後、第2の無線通信部206への給電を停止し、第2の無線通信部206の動作を停止させる(907、S1010)。なお、ここでは、第2の無線通信部206への電力供給を停止し、第2の無線通信部206の動作を停止させるが、第2の無線通信部206への電力供給は停止せずに、第2の無線通信部206の動作を停止させても省電力化は実現できる。例えば、第2の無線通信部206の動作を停止させるだけで、第2の無線通信部206の消費電力は低減できる。
【0038】
アクセスポイント機能部205は第1の無線通信部204を用いて、再度ネットワークを構築し、第2ネットワークのビーコンの送出を開始する(908、S1011)。第1の無線通信部204は、ステーション機能部203の制御により基地局102が構築しているチャネル「6CH」で運用されている第1ネットワークに接続している。従って、アクセスポイント機能部205が第1の無線通信部204を用いて、再度、第2ネットワークを構築するときは、第1ネットワークと同じチャネル「6CH」で第2ネットワークを構築する。第1の無線通信部204は、ステーション機能部203とアクセスポイント機能部205の両方から使用され、第1ネットワークと第2ネットワークの両ネットワークの通信を行う。
【0039】
また、切替予定チャネルに切り替え不可能な無線端末が存在した場合は(S1008)、ノートPC101は切り替え不可能な無線端末の詳細を確認し、当該無線端末が第2ネットワークから外れた場合のネットワークの影響を判断する。本実施例では、切り替え不可能な無線端末のトラフィックに着目し、該当端末のトラフィック生成状況などに基づいて判断する(S1012)。トラフィックが所定の第1の閾値より低く、ほとんど発生していない場合は当該端末がネットワークを外れても影響が少ないと判断し、当該端末がネットワークを外れた場合の影響が少ないと判断する。よって、アクセスポイント機能部205が使用している第2の無線通信部206を第1の無線通信部204に切り替える(907、S1009、S1010、S1011)。一方、トラフィックが所定の第2の閾値(第1の閾値<第2の閾値)より大きく、多数発生している場合は(S1012)、その端末の役割(機器能力)を基に、当該端末がネットワークを外れた場合の影響を判断する(S1013)。ここでは、その端末の役割(機器能力)がディスプレイの場合は、ノートPC101のディスプレイ能力を代わりに利用できるので、ネットワークから外れた場合の影響が少ないと判断する。また、その端末の役割(機器能力)がデジタルカメラの場合は、代わりに利用できる無線端末がないので、ネットワークから外れた場合の影響が大きいと判断する。S1013の判断の結果、ネットワークから外れた場合の影響が少ないと判断した場合、アクセスポイント機能部205が使用している第2の無線通信部206を第1の無線通信部204に切り替える(907、S1009、S1010、S1011)。また、ネットワークから外れた場合の影響が大きいと判断した場合は、アクセスポイント機能部205が使用している第2の無線通信部206の切り替えは行わない。なお、上記説明では、切替予定チャネルに切り替え不可能な無線端末のトラフィックと役割(機器能力)とを確認し、当該端末がネットワークから外れた場合の影響を判定した。しかしながら、トラフィックと役割(機器能力)のいずれか一方の確認により、当該端末がネットワークから外れた場合の影響を判定してもよい。
【0040】
トラフィックだけで判断する場合は、トラフィックが所定の第1の閾値より低く、ほとんど発生していない場合は当該端末がネットワークを外れても影響が少ないと判断する。また、トラフィックが所定の第2の閾値より大きく、多数発生している場合は当該端末がネットワークを外れると影響が大きいと判断する。
【0041】
役割(機器能力)だけで判断する場合は、その役割(機器能力)を代理できる他の端末がネットワーク(第2ネットワーク)に存在する場合は、当該端末がネットワークを外れても影響が少ないと判断する。また、その役割(機器能力)を代理できる他の端末がネットワーク(第2ネットワーク)に存在しない場合は、当該端末がネットワークを外れると影響が大きいと判断する。
【0042】
一方、ディスプレイ103、DSC104は、実施例1と同様に、アクセスポイント機能部205が第1の無線通信部204に切り替え処理を行っている間、ビーコン送出が停止されることから、ビーコンの検出ができなくなる(907)。従って、ディスプレイ103、DSC104は、ネットワークから切断された状態となり、データ送受信が不可能な状態となる。ディスプレイ103、DSC104は再度アクセスポイントの検出処理を行う。ノートPC101が再びアクセスポイントとして動作を開始すると、ノートPC101がアクセスポイントとして送出するビーコンを受信することでアクセスポイントを検知できる(908)。アクセスポイントとしてのノートPC101を検出すると、ディスプレイ103、DSC104はノートPC101に対して無線接続処理を実施し、無線接続状態となる(909)。
【0043】
以上のように本実施例におけるノートPCは、蓄積電力がある一定の値より低下した場合に、ネットワーク下の無線端末に本発明の省電力機能を実施可能か問い合わせを行う。問い合わせの結果に応じて省電力機能を実施することで、ノートPCの稼働時間をより長くすることが可能となる。もしくはネットワークの利便性を選択し、無理な省電力機能実施を抑止することも可能とする。
【0044】
(実施例3)
実施例1、実施例2では、ノートPC101のステーション機能部203とアクセスポイント機能部205とが第1の無線通信部204を共用する場合に、チャネルを統一する場合について説明した。本実施例は、チャネルを統一せず、第1の無線通信部204を時分割で利用する。
【0045】
なお、本説明にて使用するシステムの構成も実施例1の説明と同じ図1であるものとする。さらに本説明にて使用するノートPC101の構成は図2と同じであるが、省電力モード判断部211の動作が異なる。省電力モード判断部211の動作については後述する。ディスプレイ103、DSC104の構成と動作は、実施例2と同様である。
【0046】
以下、本実施例における、ノートPC101が電力低下により機能しなくなる状態を少しでも伸ばす方法、及びネットワークの構成において利便性を低下させない方法を説明する。
【0047】
本実施例のノートPC101の動作を図10のフローチャート図を用いて説明する。なお、図10のS1001〜S1011は、図9のS1001〜S1011の動作と同じである。
【0048】
実施例1と同様にノートPC101は第1の無線通信部204を用いて「6CH」で基地局102に無線接続を行っている(S1001、S1002)。また、ノートPC101は、アクセスポイントとしても動作し、第2の無線通信部206を用いて「36CH」でディスプレイ103、DSC104と無線ネットワークを構築している(S1003、S1004、S1005)。ノートPC101は、基地局102が構築する第1ネットワークに第1の無線通信部204を用いてステーションとして参加し、自身もアクセスポイントとして第2の無線通信部206を用いて第2ネットワークを構築し、両ネットワークに参加している状態である。よって、ノートPC101の電力は著しく消耗する。省電力モード判断部211は、ノートPC101の蓄積電力(バッテリー残量)を定期的に監視する(S1006)。この監視の結果、電源部(バッテリー)の蓄積電力(バッテリー残量)がある一定値(閾値となる所定値)より低下したことを検知したとする(S1006)。省電力モード判断部211はアクセスポイント機能部205が使用している第2の無線通信部206から第1の無線通信部204への切り替えについて判断処理を行う。詳細には第2ネットワークを構築するチャネルを「36CH」から「6CH」へ切り替えることが可能かどうかを無線端末に問うため、第2ネットワーク下の無線端末に対してチャネル切替要求を送信する(S1007)。チャネル切替要求には切り替え予定チャネルとして第1の無線通信部204が動作している「6CH」を示す情報を含ませる。
【0049】
一方、ディスプレイ103、DSC104は、実施例2の図9と同様な動作を実行し、チャネル切替応答を返信する。なお、本実施例では、図9のS1104の処理は行わなくてもよい。つまり、チャネル切替要求に含まれる切替予定チャネルへの切替が可能か不可能かを示す情報をチャネル切替応答に含めて送信すればよい。
【0050】
チャネル切替応答を受け取ったノートPC101は、省電力モード判断部211にて以下の処理を実施する。まずは、各無線端末が切替予定チャネルに切り替え可能かどうかを確認し、切り替え不可能な無線端末が有るか無いかを判定する(S1008)。チャネル切替応答を返した全ての無線端末が切替予定チャネルに切り替え可能な場合は、アクセスポイント機能部205が使用している第2の無線通信部206から第1の無線通信部204への切り替えを行う。このとき省電力モード判断部211はアクセスポイント機能部205に対して第1の無線通信部204を使用するように切り替え指示を行う(S1009)。また、省電力モード判断部211はアクセスポイント機能部205に第1の無線通信部204が使用中のチャネル「6CH」を用いてアクセスポイントとして機能するよう指示する(S1009)。さらに、第1の無線通信部204への切替処理完了後、第2の無線通信部206への給電を停止し、第2の無線通信部206の動作を停止させる(S1010)。
【0051】
アクセスポイント機能部205は第1の無線通信部204を用いて、再度ネットワークを構築し、第2ネットワークのビーコンの送出を開始する(S1011)。第1の無線通信部204は、ステーション機能部203の制御により基地局102が構築しているチャネル「6CH」で運用されている第1ネットワークに接続している。従って、アクセスポイント機能部205が第1の無線通信部204を用いて、再度、第2ネットワークを構築するときは、第1ネットワークと同じチャネル「6CH」で第2ネットワークを構築する。第1の無線通信部204は、ステーション機能部203とアクセスポイント機能部205の両方から使用され、同じチャネルを使って第1ネットワークと第2ネットワークの両ネットワークの通信を行う。
【0052】
また、切替予定チャネルに切り替え不可能な無線端末が存在した場合は(S1008)、アクセスポイント機能部205が使用している第2の無線通信部206から第1の無線通信部204への切り替えを行う。このとき省電力モード判断部211はアクセスポイント機能部205に対して第1の無線通信部204を使用するように切り替え指示を行う(S1014)。また、省電力モード判断部211はアクセスポイント機能部205に第1の無線通信部204の使用するチャネルを第2の無線通信部206が使用していたチャネル「36CH」に切り替えてアクセスポイントとして機能するよう指示する(S1014)。さらに、第1の無線通信部204への切替処理完了後、第2の無線通信部206への給電を停止し、第2の無線通信部206の動作を停止させる(S1015)。
【0053】
アクセスポイント機能部205は第1の無線通信部204を用いて、再度ネットワークを構築し、第2ネットワークのビーコンの送出を開始する(S1016)。このとき、アクセスポイント機能部205は、第1の無線通信部204のチャネルを「36CH」に切り替えて第2ネットワークのビーコンの送出を開始する(S1016)。なお、第1の無線通信部204は、ステーション機能部203の制御により基地局102が構築しているチャネル「6CH」で運用されている第1ネットワークに接続している。従って、ステーション機能部203とアクセスポイント機能部205は、交互に第1の無線通信部204を用いる。つまり、ステーション機能部203とアクセスポイント機能部205とは時分割でステーション機能部203とアクセスポイント機能部205を使用する。そして、チャネル「6CH」の第1ネットワークとチャネル「36CH」の第2ネットワークとの参加して両ネットワークの通信を行う。
【0054】
なお、ステップS1010とS1015では、第2の無線通信部206への電力供給を停止し、第2の無線通信部206の動作を停止させるが、第2の無線通信部206への電力供給は停止せずに、第2の無線通信部206の動作を停止させても省電力化は実現できる。例えば、第2の無線通信部206の動作を停止させるだけで、第2の無線通信部206の消費電力は低減できる。
【0055】
以上のように本実施例におけるノートPCは、蓄積電力がある一定の値より低下した場合に、ネットワーク下の無線端末に本発明の省電力機能を実施可能か問い合わせを行う。問い合わせの結果に応じて省電力機能を実施方法を変え、ノートPCの稼働時間をより長くする。本実施例は、複数のネットワークのチャネルを統一できる場合は、チャネルを統一し、できない場合は、チャネルを時分割で切り替えるようにする。そのため、切替予定チャネルに切り替え不可能な無線端末が存在する場合でも、省電力することができる。
【0056】
なお、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、各実施例の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がコンピュータプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
第1の無線通信部と、
第2の無線通信部と、
前記通信装置が動作するためバッテリーの残量が所定値を下回ったことを判定する判定手段と、
前記第1の無線通信部を用いて第1チャネルの第1ネットワークに参加し、かつ、前記第2の無線通信部を用いて第2チャネルの第2ネットワークに参加している際に、前記判定手段により前記バッテリーの残量が前記所定値を下回ったことが判定されると、前記第1の無線通信部を用いて前記第1ネットワークと前記第2ネットワークとに参加するように切り替える切替手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第1の無線通信部を用いて前記第1ネットワークと前記第2ネットワークとに参加するように切り替える際に、前記第2の無線通信部への電力供給を停止する停止手段を有することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記切替手段は、前記第1の無線通信部を用いて前記第1ネットワークと前記第2ネットワークとに参加する際に、前記第2ネットワークのチャネルを前記第1チャネルに変更することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記切替手段は、前記第1の無線通信部が使用するチャネルを前記第1チャネルと前記第2チャネルとで時分割に切り替えて、前記第1の無線通信部を用いて前記第1ネットワークと前記第2ネットワークとに参加することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通信装置。
【請求項5】
基地局として動作する基地局手段と、
基地局に接続する子局として動作する子局手段と、を有し、
前記通信装置は、前記基地局手段による基地局としての動作と、前記子局手段による子局としての動作とにより、前記第1ネットワークと前記第2ネットワークに参加することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第2ネットワークに参加している他の通信装置が、前記第1チャネルへの切り替えが可能か否かを確認する確認手段を有し、
前記切替手段は、前記他の通信装置が前記第1チャネルへの切り替えが可能な場合に、前記第2ネットワークのチャネルを前記第1チャネルに変更することを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項7】
前記確認手段により前記第2ネットワークに参加している他の通信装置が、前記第1チャネルへの切り替えが不可能であると確認された場合に、当該他の通信装置の状態又は役割を判断する判断手段を有し、
前記切替手段は、前記判断手段による判断の結果に応じて、前記第2ネットワークのチャネルを前記第1チャネルに変更することを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記切替手段は、前記他の通信装置が前記第1チャネルへの切り替えが可能な場合に、前記第2ネットワークのチャネルを前記第1チャネルに変更して前記第1の無線通信部を用いて前記第1ネットワークと前記第2ネットワークとに参加し、前記他の通信装置が前記第1チャネルへの切り替えが不可能な場合は、前記第1の無線通信部が使用するチャネルを前記第1チャネルと前記第2チャネルとで時分割に切り替えて前記第1の無線通信部を用いて前記第1ネットワークと前記第2ネットワークとに参加することを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項9】
第1の無線通信部と第2の無線通信部とを有する通信装置の制御方法であって、
前記通信装置が動作するためバッテリーの残量が所定値を下回ったことを判定する判定工程と、
前記第1の無線通信部を用いて第1チャネルの第1ネットワークに参加し、かつ、前記第2の無線通信部を用いて第2チャネルの第2ネットワークに参加している際に、前記判定工程において前記バッテリーの残量が前記所定値を下回ったことが判定されると、前記第1の無線通信部を用いて前記第1ネットワークと前記第2ネットワークとに参加するように切り替える切替工程と、
を有することを特徴とする通信装置の制御方法。
【請求項10】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の通信装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−199486(P2011−199486A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62617(P2010−62617)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】