説明

通信装置

【課題】ケーブル・アソシエーション・モデルを実行する通信装置において消費電力の低減を図る技術を提供する。
【解決手段】通信装置が待機状態にある場合に、無線USBホスト109及び有線USBホスト111に対して、電源部104から電力を供給させる。USB接続部105に接続されたUSBデバイスに対して、ユーザが選択するデバイスの種別が無線USBデバイス130であれば、無線USBホスト109による認証がなされた後に、有線USBホスト111に対する電力供給を停止させる。選択されたデバイスの種別が有線USBデバイス140であれば、有線USBホスト111による認証がなされた後に、無線USBホスト109に対する電力供給を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線USBデバイスを使用可能な通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、無線USB(Universal Serial Bus)デバイスと無線通信によるデータの送受信が可能な通信装置が実用化されている。このような通信装置の例としては、特許文献1等がある。
【0003】
【特許文献1】特開2005−217657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような通信装置(USBホスト)に無線USBデバイスを接続する際にはまず、USBホストがデバイスを認証して接続を確立するアソシエーションというプロセスを実行する必要がある。そしてアソシエーションのモデルとしては、数値整合を行うニューメリック・アソシエーション・モデルと、従来のようにケーブルを介して行うケーブル・アソシエーション・モデルとがある。
【0005】
ケーブル・アソシエーション・モデルを採用するUSBホストでは、有線USB用の回路であるUSBコントローラ(アソシエーションに使用される)と、無線USB用の回路(通常の無線通信に使用される)との両方を搭載する必要があり、機器の消費電力が増大するという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、ケーブル・アソシエーション・モデルを実行する通信装置において消費電力の低減を図る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、第1の発明は、無線USBデバイスと通信可能な通信装置であって、USBデバイスが接続されるUSB接続部と、無線USBデバイスを認証してホストとデバイスとの関係を構築する無線USBホストと、有線USBデバイスを認証してホストとデバイスとの関係を構築する有線USBホストと、前記無線USBホスト及び前記有線USBホストにそれぞれ独立して電力を供給する電源部と、前記電源部から前記無線USBホスト及び前記有線USBホストへの電力供給を許可する電力供給許可部と、前記USBデバイスの認証が終了したことを判断する判断部とを備え、前記判断部は、前記USBデバイスの認証が終了したことに基づいて前記電力供給許可部を制御する。
【0008】
第2の発明は、第1の発明であって、前記判断部は、前記USBデバイスの認証が前記無線USBホストによってなされた場合には、前記電源部から前記有線USBホストへの電力供給を停止させるように前記電力供給許可部を制御する。
【0009】
第3の発明は、第1又は第2の発明であって、前記判断部は、前記USBデバイスの認証が前記有線USBホストによってなされた場合には、前記電源部から前記無線USBホストへの電力供給を停止させるように前記電力供給許可部を制御する。
【0010】
第4の発明は、第1ないし第3の何れかの発明であって、前記判断部は、前記無線USBホストと前記USBデバイスとの関係が解消された場合には、前記電源部から前記無線USBホストへの電力供給を停止させるように前記電力供給許可部を制御する。
【0011】
第5の発明は、第1ないし第4の何れかの発明であって、前記判断部は、前記有線USBホストと前記USBデバイスとの関係が解消された場合には、前記電源部から前記有線USBホストへの電力供給を停止させるように前記電力供給許可部を制御する。
【0012】
第6の発明は、第1ないし第5の何れかの発明であって、前記電力供給許可部は、前記USB接続部にUSBデバイスが接続された場合に、前記無線USBホスト及び前記有線USBホストへの電力供給を許可する。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、USBデバイスの認証が終了したことに基づいて電力供給許可部を制御するので、常に無線USBホスト及び有線USBホストへ電力を供給させる場合に比べて機器の節電効果を得ることが可能となる。
【0014】
第2の発明によれば、USBデバイスの認証が無線USBホストによってなされた場合には、有線USBホストへの電力供給を停止させるので、常に有線USBホストに電力を供給する場合に比べて機器の節電効果を得ることが可能となる。
【0015】
第3の発明によれば、USBデバイスの認証が有線USBホストによってなされた場合には、無線USBホストへの電力供給を停止させるので、常に無線USBホストに電力を供給させる場合に比べて機器の節電効果を得ることが可能となる。
【0016】
第4の発明によれば、判断部は、無線USBホストとUSBデバイスとの関係が解消された場合には、電力供給許可部を制御して、電源部から無線USBホストへの電力供給を停止させるので、常に無線USBホストに電力を供給させる場合に比べて機器の節電効果を得ることが可能となる。
【0017】
第5の発明によれば、判断部は、有線USBホストとUSBデバイスとの関係が解消された場合には、電力供給許可部を制御して、電源部から有線USBホストへの電力供給を停止させるので、常に有線USBホストに電力を供給させる場合に比べて機器の節電効果を得ることが可能となる。
【0018】
第6の発明によれば、USB接続部にUSBデバイスが接続された場合に、電源部から無線USBホスト及び有線USBホストへの電力供給を許可するので、常に電力を供給させる場合に比べて機器の節電効果を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る通信装置の一例として、PC(Personal Computer)について、図面に基づいて説明する。
【0020】
<装置の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る通信装置であるPC100の構成例を示すブロック図である。
【0021】
PC100は、操作部101と、表示部102と、制御部103と、電源部104と、USB接続部105とを備えており、これらがバス106を介して互いに接続されている。
【0022】
操作部101は、アルファベットキー、テンキー及びファンクションキー等を有するキーボードとマウス等とで構成され、各種データの入力、各種コマンドの実行命令等のユーザからの操作を受け付ける。特に、操作部101は、USB接続部105に接続されたUSBデバイスの種別を選択する操作を受け付けて、その旨を示す制御信号(以下、「選択信号」と称する)を制御部103に伝達する。また、操作部101は、無線USBデバイス130又は有線USBデバイス140との関係を解消する操作を受け付けて、その旨を示す制御信号(以下、「解消信号」と称する)を制御部103に伝達する。表示部102は、LCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)やCRT(Cathode Ray Tube;陰極線管)等の表示デバイスが適用され、各種情報を表示する。
【0023】
制御部103は、本発明の電力供給許可部201及び判断部202(図2参照)に相当し、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びMPU(Micro Processing Unit)を有している(何れも図示省略)。ROMは、PC100が実行するプログラムや統括制御に必要なデータが格納されたものであり、RAMは、PC100による統括制御に必要なデータを一時記憶するものである。MPUは、ROMを参照したりRAMを用いたりしながら、操作部101からの入力信号や、該入力信号に基づくデータ演算及び出力信号の生成や、表示部102への表示内容の制御等を行ってPC100の各機能を実現するものである。なお、制御部103の詳細な機能については後に詳述する。
【0024】
電源部104は、制御部103からの制御に基づいてPC100を構成する各ハードウェアに電力を供給する。特に、電源部104は、無線側電源ブロック107と、有線側電源ブロック108とのそれぞれに独立して電力を供給する機能を有する。
【0025】
USB接続部105は、USB規格に準拠したコネクタと接続可能なインターフェイスであり、無線USBデバイス130又は有線USBデバイス140が接続される。
【0026】
また、PC100は、無線USBホスト109、RF(Radio Frequency)回路110及び有線USBホスト111を有している。このうち、無線USBホスト109及びRF回路110は無線側電源ブロック107に属し、有線USBホスト111は有線側電源ブロック108に属している。無線側電源ブロック107及び有線側電源ブロック108はそれぞれ制御部103からの制御に基づいて電源部104から電力の供給を受ける。
【0027】
無線USBホスト109は、USB接続部105に接続された無線USBデバイス130を認証してホストとデバイスとの関係を構築する。具体的には、まず、無線USBホスト109は、USB接続部105に接続された無線USBデバイス130に対して認証(ケーブル・アソシエーション)を実行する。認証が完了してホストとデバイスの関係が確立すると、無線USBホスト109は、認証が完了したことを示す制御信号(以下、「無線側認証完了信号」と称する)を判断部202に伝達する。そして、認証が完了して無線USBデバイス130がUSB接続部105から外された後は、RF回路110を介して無線USBデバイス130との間で無線通信を実行する。
【0028】
有線USBホスト111は、USB接続部105に接続された有線USBデバイスを認証して通信を実行する。具体的には、有線USBホスト111は、USB接続部105に接続された有線USBデバイス140に対して認証、具体的にはエナミュレーションを実行し判断部202に通知してホストとデバイスの関係を確立すると、有線USBホスト111は、認証が完了したことを示す制御信号(以下、「有線側認証完了信号」と称する)を判断部202に伝達する。そして、有線USBデバイス140と有線通信を実行する。
【0029】
ここで、エナミュレーションとは、以下のようなプロセスである。まず、USB接続部105に接続されたペリフェラルデバイス(ここでは、有線USBデバイス140)を調査し、接続されている有線USBデバイス140に個別の番号を付す。そして、有線USBデバイス140から、給電方法、消費電力、データ転送方式等のデバイス情報をリードして、有線USBデバイス140がUSB規格内に収まるかどうかを計算する。その後、計算結果に基づいて有線USBデバイス140の動作モデルをセット、指示する。
【0030】
<制御部の詳細な機能>
図2は、PC100の機能ブロック図である。PC100は、電力供給許可部201と、判断部202とを備えている。これらは、制御部103が動作することにより実現される機能ブロックである。
【0031】
制御部103は、操作部101から選択信号が伝達されると、それに基づいて無線USBホスト109又は有線USBホスト111に、該USBデバイスの認証を実行させる。
【0032】
電力供給許可部201は、判断部202からの制御に応じて、電源部104から無線USBホスト109及び有線USBホスト111への電力供給を許可する。以下の説明において、電源部104から無線側電源ブロック107への電力供給を停止させる制御信号を「無線側切断信号」、電源部104から有線側電源ブロック108への電力供給を停止させる制御信号を「有線側切断信号」と称する。
【0033】
判断部202は、USBデバイスの認証が終了したことを判断し、USBデバイスの認証が終了したことに基づいて電力供給許可部201を制御する。具体的には、USBデバイスの認証が無線USBホスト109によってなされた場合には、電源部104から有線USBホスト111への電力供給を停止させるように電力供給許可部201を制御する。一方、USBデバイスの認証が有線USBホスト111によってなされた場合には、電源部104から無線USBホスト109への電力供給を停止させるように電力供給許可部201を制御する。より具体的には、無線USBホスト109から無線側認証完了信号が伝達された場合には、「無線確定信号」と称する制御信号を電力供給許可部201に伝達し、有線USBホスト111から有線側認証完了信号が伝達された場合には、「有線確定信号」と称する制御信号を電力供給許可部201に伝達する。
【0034】
<装置の動作>
図3は、PC100の処理動作を示すフローチャートである。このフローチャートでは、PC100が無線USBデバイス130又は有線USBデバイス140との通信を行うための処理動作のみを示し、その他の処理動作については図示及び説明を省略している。また、特に記載のない場合は、制御部103の制御下で自動的に行われる。
【0035】
PC100に電源が投入されると、所定の初期設定を実行し、電源部104は無線側電源ブロック107と有線側電源ブロック108との両方に電力供給を開始する(ステップS301)。これにより、無線USBホスト109及び有線USBホスト111への電力供給が開始され、待機状態となる。
【0036】
無線USBホスト109及び有線USBホスト111への電力供給が開始されると、USBデバイスがUSB接続部105に接続されるまで待機し(ステップS302)、USBデバイスが接続された場合には、ステップS302においてYesを選択して更に、操作部101が接続されたUSBデバイスの種別の選択を受け付けるまで待機する。
【0037】
USBデバイスが接続されている状態で、ユーザが、操作部101を操作して接続されたUSBデバイスの種別を選択すると、操作部101は制御部103に選択信号を伝達する。したがって、制御部103は、選択信号に基づいて、選択された種別が無線USBデバイス130であるか否かを判断する(ステップS303)。
【0038】
選択された種別が無線USBデバイス130である場合には、ステップS303においてYesを選択し、無線USBホスト109が認証、すなわちケーブル・アソシエーションを実行する(ステップS304)。ケーブル・アソシエーションが完了すると、無線USBホスト109は、無線側認証完了信号を判断部202に伝達する。
【0039】
無線側認証完了信号が判断部202に伝達されると、ステップS305においてYesを選択する。これにより、無線USBホスト109と無線USBデバイス130との間でホストとデバイスの関係が確立される。
【0040】
ステップS305においてYesを選択すると、判断部202は、電力供給許可部201に対して、無線確定信号を伝達する。さらに、判断部202から無線確定信号が伝達されると、電力供給許可部201は、電源部104に有線側切断信号を伝達する。これにより、電源部104は、有線側電源ブロック108への電力供給を停止する。したがって、有線USBホスト111への電力供給が停止する(ステップS306)。このように、無線USBデバイス130との間で通信が行われる場合には、以後、有線USBホスト111への電力供給が停止されるので、消費電力が抑制される。
【0041】
有線USBホスト111への電力供給が停止されると、その後、RF回路110と無線USBデバイス130との間で無線通信を実行する(ステップS307)。
【0042】
ステップS307において無線通信が開始されると、判断部202は、無線USBホスト109と無線USBデバイス130との間の関係が解消されたか否かを監視しつつ(ステップS308)、ステップS307を繰り返す。
【0043】
無線USBホスト109と無線USBデバイス130との間の関係が解消された場合には、ステップS308においてYesを選択して、PC100本体の電源が遮断されたか否かを判断し(ステップS309)、NoであればステップS301に戻って、処理を繰り返す。すなわち、再び無線USBホスト109及び有線USBホスト111の両方への電力供給を開始し(ステップS301)、USB接続部105にUSBデバイスが接続されるまで待機状態となる。一方、ステップS309においてYesであれば全ての処理を終了する。
【0044】
一方、ステップS303においてNoを選択する(すなわち、選択された種別が有線USBデバイス140である)場合には、有線USBホスト111が認証、すなわちエナミュレーションを実行する(ステップS310)。エナミュレーションが完了すると、有線USBホスト111は、有線側認証完了信号を判断部202に伝達する。
【0045】
有線側認証完了信号が判断部202に伝達されると、ステップS311においてYesを選択する。これにより、有線USBホスト111と有線USBデバイス140との間でホストとデバイスの関係が確立される。
【0046】
ステップS311においてYesを選択すると、判断部202は、電力供給許可部201に対して、有線確定信号を伝達する。そして、判断部202から有線確定信号が伝達されると、電力供給許可部201は、電源部104に無線側切断信号を伝達する。これにより、電源部104は、無線側電源ブロック107への電力供給を停止する。したがって、無線USBホスト109への電力供給が停止する(ステップS312)。このように、有線USBデバイス140との間で通信が行われる場合には、以後、無線USBホスト109への電力供給が停止されるので、消費電力が抑制される。
【0047】
無線USBホスト109への電力供給が停止されると、その後、有線USBデバイス140との有線通信を実行する(ステップS313)。
【0048】
ステップS313において有線通信が開始されると、判断部202は、有線USBホスト111と有線USBデバイス140との間の関係が解消されたか否かを監視しつつ(ステップS314)、ステップS313を繰り返す。
【0049】
有線USBホスト111と有線USBデバイス140との間の関係が解消された場合には、ステップS314においてYesを選択して、ステップS309に進んで、処理を繰り返すか又は全ての処理を終了する。
【0050】
以上のように、USBデバイスの認証が終了したことに基づいて電力供給許可部201を制御するので、常に無線USBホスト109及び有線USBホスト111へ電力を供給させる場合に比べて機器の節電効果を得ることが可能となる。
【0051】
ここで、USBデバイスの認証が無線USBホスト109によってなされた場合には、有線USBホスト111への電力供給を停止させるので、常に有線USBホスト111に電力を供給する場合に比べて機器の節電効果を得ることが可能となる。
【0052】
また、USBデバイスの認証が有線USBホスト111によってなされた場合には、無線USBホスト109への電力供給を停止させるので、常に無線USBホスト109に電力を供給させる場合に比べて機器の節電効果を得ることが可能となる。
【0053】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、PC100の待機状態において無線USBホスト109及び有線USBホスト111の両方に電力を供給している場合を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。ここでは、本発明の第2実施形態として、USB接続部105にUSBデバイスが接続されたときにこれを検出して無線USBホスト109及び有線USBホスト111に電力供給を開始する例を説明する。なお、上記第1実施形態と同様の機能を有する構成については同一の符号を付して図示及び説明を省略する。
【0054】
図4は、本発明の第2実施形態に係るPC400の機能ブロック図である。PC400は、上記第1実施形態と略同様の構成(図1参照)でUSB接続部105、電力供給許可部201及び判断部202に代えて、USB接続部105A、電力供給許可部201A及び判断部202Aを備えている。
【0055】
USB接続部105Aは、上記第1実施形態のUSB接続部105が有する機能に加えて、USBデバイスが接続された場合に、その旨を示す制御信号(以下、「接続検出信号」と称する)を電力供給許可部201Aに伝達する。
【0056】
電力供給許可部201Aは、USB接続部105A又は判断部202Aからの制御信号に応じて、電源部104を制御することにより、無線側電源ブロック107及び有線側電源ブロック108に対する電力供給を制御する機能を有する。特に、USB接続部105AにUSBデバイスが接続された場合に、無線USBホスト109及び有線USBホスト111への電力供給を許可する。ここで、電力供給許可部201Aが電源部104を制御するために伝達する制御信号のうち、電源部104に電力の供給を開始させる制御信号を「供給開始信号」と称する。
【0057】
判断部202Aは、上記第1実施形態の判断部202が有する機能に加えて、無線USBホスト109と無線USBデバイス130との関係が解消された場合には、電源部104から無線USBホスト109への電力供給を停止させるように電力供給許可部201を制御する。また、有線USBホスト111と有線USBデバイス140との関係が解消された場合には、電源部104から有線USBホスト111への電力供給を停止させるように電力供給許可部201を制御する。具体的には、ホストとデバイスとの関係が解消されたことを検出して、制御信号(以下、「解消信号」と称する)を電力供給許可部201Aに伝達する。
【0058】
<装置の動作>
図5は、PC400の処理動作を示すフローチャートである。このフローチャートでは、図3と同様に、PC400が無線USBデバイス130又は有線USBデバイス140との通信を行うための処理動作のみを示し、その他の処理動作については図示及び説明を省略している。また、特に記載のない場合は、制御部103の制御下で自動的に行われる。
【0059】
PC400に電源が投入されると、所定の初期動作を実行した後に、USBデバイスがUSB接続部105Aに接続されるまで待機する(ステップS501)。
【0060】
USB接続部105AにUSBデバイスが接続されると、ステップS501においてYesを選択し、USB接続部105Aが電力供給許可部201Aに対して、接続検出信号を伝達する。これに応じて電力供給許可部201Aは、電源部104に電力の供給を許可するために、電源部104に供給開始信号を伝達する。
【0061】
電力供給許可部201Aから供給開始信号が伝達されると、電源部104は、無線側電源ブロック107及び有線側電源ブロック108の両方に電力の供給を開始する。これにより、無線USBホスト109及び有線USBホスト111への電力供給が開始される(ステップS502)。このように、USBデバイスが接続されてから、無線USBホスト109及び有線USBホスト111への電力供給が開始されるので、常に、電力を供給している場合に比べて、消費電力が抑制される。
【0062】
USBデバイスが接続され電力が供給されている状態で、ユーザが、操作部101を操作して接続されたUSBデバイスの種別を選択すると、操作部101は制御部103に選択信号を伝達する。したがって、制御部103は、選択信号に基づいて、選択された種別が無線USBデバイス130であるか否かを判断する(ステップS503)。
【0063】
選択された種別が無線USBデバイス130である場合には、ステップS503においてYesを選択し、無線USBホスト109がケーブル・アソシエーションを実行する(ステップS504)。ケーブル・アソシエーションが完了すると、無線USBホスト109は、無線側認証完了信号を判断部202Aに伝達する。
【0064】
無線側認証完了信号が判断部202Aに伝達されると、ステップS505においてYesを選択する。これにより、無線USBホスト109と無線USBデバイス130との間でホストとデバイスの関係が確立される。
【0065】
ステップS505においてYesを選択すると、判断部202Aは、電力供給許可部201Aに対して、無線確定信号を伝達する。さらに、判断部202Aから無線確定信号が伝達されると、電力供給許可部201Aは、電源部104に有線側切断信号を伝達する。これにより、電源部104は、有線側電源ブロック108への電力供給を停止する。したがって、有線USBホスト111への電力供給が停止する(ステップS506)。このように、無線USBデバイス130との間で通信が行われる場合には、以後、有線USBホスト111への電力供給が停止されるので、消費電力が抑制される。
【0066】
有線USBホスト111への電力供給が停止されると、その後、RF回路110と無線USBデバイス130との間で無線通信を実行する(ステップS507)。
【0067】
ステップS507において無線通信が開始されると、判断部202Aは、無線USBホスト109と無線USBデバイス130との間の関係が解消されたか否かを監視しつつ(ステップS508)、ステップS507を繰り返す。
【0068】
無線USBホスト109と無線USBデバイス130との間の関係が解消された場合には、判断部202Aが電力供給許可部201Aに対して、解消信号を伝達し、電力供給許可部201Aが電源部104に無線側切断信号を伝達する。これにより、電源部104は、無線側電源ブロック107に対する電力供給を停止し、無線USBホスト109への電力供給が停止する(ステップS509)。したがって、無線USBホスト109と無線USBデバイス130との間の関係が解消された後に電力供給を続ける場合に比べて、消費電力が抑制される。
【0069】
ステップS509を実行した後は、PC400本体の電源が遮断されたか否かを判断し(ステップS510)、NoであればステップS501に戻って、処理を繰り返す。すなわち、再びUSB接続部105AにUSBデバイスが接続されるまで待機状態となる。一方、ステップS510においてYesであれば全ての処理を終了する。
【0070】
一方、ステップS503においてNoを選択する(すなわち、選択された種別が有線USBデバイス140である)場合には、有線USBホスト111がエナミュレーションを実行する(ステップS511)。エナミュレーションが完了すると、有線USBホスト111は、有線側認証完了信号を判断部202Aに伝達する。
【0071】
有線側認証完了信号が判断部202Aに伝達されると、ステップS512においてYesを選択する。これにより、有線USBホスト111と有線USBデバイス140との間でホストとデバイスの関係が確立される。
【0072】
ステップS512においてYesを選択すると、判断部202は、電力供給許可部201に対して、有線確定信号を伝達する。そして、判断部202から有線確定信号が伝達されると、電力供給許可部201は、電源部104に無線側切断信号を伝達する。これにより、電源部104は、無線側電源ブロック107への電力供給を停止する。したがって、無線USBホスト109への電力供給が停止する(ステップS513)。このように、有線USBデバイス140との間で通信が行われる場合には、以後、無線USBホスト109への電力供給が停止されるので、消費電力が抑制される。
【0073】
無線USBホスト109への電力供給が停止されると、その後、有線USBデバイス140との有線通信を実行する(ステップS514)。
【0074】
ステップS514において有線通信が開始されると、判断部202Aは、有線USBホスト111と有線USBデバイス140との間の関係が解消されたか否かを監視しつつ(ステップS515)、ステップS514を繰り返す。
【0075】
有線USBホスト111と有線USBデバイス140との間の関係が解消された場合には、判断部202Aが電力供給許可部201Aに対して、解消信号を伝達し、電力供給許可部201Aが電源部104に有線側切断信号を伝達する。これにより、電源部104は、有線側電源ブロック108に対する電力供給を停止し、有線USBホスト111への電力供給が停止する(ステップS516)。したがって、有線USBホスト111と有線USBデバイス140との間の関係が解消された後に電力供給を続ける場合に比べて、消費電力が抑制される。
【0076】
ステップS516を実行した後は、ステップS510に進んで、処理を繰り返すか又は全ての処理を終了する。
【0077】
以上のように、判断部202Aは、無線USBホスト109と無線USBデバイス130との関係が解消された場合には、電力供給許可部201Aを制御して、電源部104から無線USBホスト109への電力供給を停止させるので、常に無線USBホスト109に電力を供給させる場合に比べて機器の節電効果を得ることが可能となる。
【0078】
また、判断部202Aは、有線USBホスト111と有線USBデバイス140との関係が解消された場合には、電力供給許可部201Aを制御して、電源部104から有線USBホスト111への電力供給を停止させるので、常に有線USBホスト111に電力を供給させる場合に比べて機器の節電効果を得ることが可能となる。
【0079】
さらに、USB接続部105AにUSBデバイスが接続された場合に、電源部104から無線USBホスト109及び有線USBホスト111への電力供給を許可するので、常に電力を供給させる場合に比べて機器の節電効果を得ることが可能となる。
【0080】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した内容のものに限定されるものではない。
【0081】
図6は、本発明の変形例を示す機能ブロック図である。図6に示すように、例えば、無線USBホスト109又は有線USBホスト111が認証を行う前段階として、USB接続部105に接続されたUSBデバイスの種別を検出し、検出された種別に基づいて無線USBホスト109又は有線USBホスト111に、USBデバイスの認証を実行させる種別検出部601を更に備え、判断部202は、種別検出部によって検出された種別に基づいて電力供給許可部201を制御するようにしても良い。
【0082】
具体的には、種別検出部601が、USB接続部105に接続されたUSBデバイスを無線USBデバイス130であると検出した場合には、判断部202は、電源部104から有線USBホスト111への電力供給を停止させるよう電力供給許可部201を制御する。一方、種別検出部601が、USB接続部105に接続されたUSBデバイスを有線USBデバイス140であると検出した場合には、判断部202は、電源部104から無線USBホスト109への電力供給を停止させるよう電力供給許可部201を制御する。これにより、機器の節電効果を更に得ることが可能となる。
【0083】
また、通信装置は必ずしもPC100のように一般的なコンピュータである必要はなく、PDA(Personal Digital Assistant)であっても良いし、MFP(Multi Function Peripherals)等であっても良い。特に、通信装置がPDAのように、バッテリによって駆動される携帯型の端末装置である場合には、バッテリの電力消費を抑制できるため、効果的である。
【0084】
また、上述の第1、第2実施形態及び変形例を適宜組合せても良い。なお、本発明に係るPC100は、上述の処理を行うことが可能な回路構成であっても良く、上述の各工程に限定されるものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1実施形態に係る通信装置であるPCの構成例を示すブロック図である。
【図2】PCの機能ブロック図である。
【図3】PCの処理動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係るPCの機能ブロック図である。
【図5】PCの処理動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の変形例を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0086】
100 PC
103 制御部
104 電源部
105,105A USB接続部
109 無線USBホスト
111 有線USBホスト
201,201A 電力供給許可部
202,202A 判断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線USBデバイスと通信可能な通信装置であって、
USBデバイスが接続されるUSB接続部と、
無線USBデバイスを認証してホストとデバイスとの関係を構築する無線USBホストと、
有線USBデバイスを認証してホストとデバイスとの関係を構築する有線USBホストと、
前記無線USBホスト及び前記有線USBホストにそれぞれ独立して電力を供給する電源部と、
前記電源部から前記無線USBホスト及び前記有線USBホストへの電力供給を許可する電力供給許可部と、
前記USBデバイスの認証が終了したことを判断する判断部と
を備え、
前記判断部は、前記USBデバイスの認証が終了したことに基づいて前記電力供給許可部を制御する、通信装置。
【請求項2】
請求項1記載の通信装置であって、
前記判断部は、前記USBデバイスの認証が前記無線USBホストによってなされた場合には、前記電源部から前記有線USBホストへの電力供給を停止させるように前記電力供給許可部を制御する、通信装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の通信装置であって、
前記判断部は、前記USBデバイスの認証が前記有線USBホストによってなされた場合には、前記電源部から前記無線USBホストへの電力供給を停止させるように前記電力供給許可部を制御する、通信装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか記載の通信装置であって、
前記判断部は、前記無線USBホストと前記USBデバイスとの関係が解消された場合には、前記電源部から前記無線USBホストへの電力供給を停止させるように前記電力供給許可部を制御する、通信装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか記載の通信装置であって、
前記判断部は、前記有線USBホストと前記USBデバイスとの関係が解消された場合には、前記電源部から前記有線USBホストへの電力供給を停止させるように前記電力供給許可部を制御する、通信装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5の何れか記載の通信装置であって、
前記電力供給許可部は、前記USB接続部にUSBデバイスが接続された場合に、前記無線USBホスト及び前記有線USBホストへの電力供給を許可する、通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−123246(P2008−123246A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306222(P2006−306222)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】