説明

通信装置

【課題】通信ネットワークを介して通信を行う際に、不具合の内容を利用者に把握し易くすることのできる技術を提供する。
【解決手段】端末10の制御部11は、通信ネットワークを介して画像データを受信し、受信した画像データの表す画像を表示部13に表示する。また、制御部11は、通信を行っている最中において、通信ネットワークのデータの伝送状況を予め定められた複数の評価要素毎に検出し、検出結果に対応する画像を示す表示データを生成する。制御部11は、生成した表示データの表す画像を、受信された画像データの表す画像に重畳して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークを介して接続された複数の通信端末を用いて会議を行う遠隔会議システムが普及している。このような会議システムにおいては、通信ネットワーク上で不具合が発生した場合に、音声劣化や画質劣化などが発生する場合がある。そのような場合、原因がすぐ特定されないので、発生した不具合が装置や会議システムの不具合として利用者に誤認されてしまう場合があった。そこで、特許文献1には、インターネット経由での音声通話パケットや画像転送を行う場合に、データの通過経路の問題が発生した場合にその旨をユーザに報知する技術が提案されている。
【特許文献1】特開2002−232475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、すべての不具合を集計して表示するので、利用者はどこに不具合があるのかを直感的に把握することができなかった。
本発明は上述した背景に鑑みてなされたものであり、通信ネットワークを介して通信を行う際に、不具合の内容を利用者に把握し易くすることのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は、通信ネットワークを介して画像データを受信する受信手段と、前記通信ネットワークにおけるデータの伝送状況を予め定められた複数の評価要素毎に検出するネットワーク状況検出手段と、前記ネットワーク状況検出手段による前記複数の評価要素毎の検出結果に対応する画像を示す表示データを生成する生成手段と、前記生成手段によって生成された前記複数の評価要素毎の表示データの表す画像を、前記受信手段によって受信された画像データの表す画像に重畳して表示装置に表示する表示制御手段とを具備することを特徴とする通信装置を提供する。
【0005】
本発明の好ましい態様において、自装置の動作状況を検出する装置状況検出手段を具備し、前記生成手段は、前記ネットワーク状況検出手段の検出結果に対応する画像を示す第1の表示データと前記装置状況検出手段の検出結果に対応する画像を示す第2の表示データとを生成し、前記表示制御手段は、生成手段によって生成された第1の表示データの表す画像と前記第2の表示データの表す画像とを、前記画像データの表す画像に重畳して表示してもよい。
【0006】
また、本発明の更に好ましい態様において、前記生成手段によって生成された第1の表示データの表す画像と前記第2の表示データの表す画像とを合成して合成データを生成する合成手段を具備し、前記表示制御手段は、前記合成手段によって生成された合成データの表す画像を表示してもよい。
【0007】
また、本発明の更に好ましい態様において、前記ネットワーク状況検出手段の検出結果と前記装置状況検出手段の検出結果とを比較し、比較結果を示す画像データを生成する比較手段を具備し、前記表示制御手段は、前記比較手段によって生成された画像データの表す画像を表示してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通信ネットワークを介して通信を行う際に、不具合の内容を利用者に把握し易くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<構成>
図1は、この発明の一実施形態である遠隔会議システム1の構成を示すブロック図である。この遠隔会議システム1は、複数の拠点のそれぞれに設置された複数の端末10a,10b,10c,10dが、インターネット等の通信ネットワーク20に接続されて構成される。なお、図1においては4つの端末10a,10b,10c、10dを図示しているが、端末の数は4に限定されるものではなく、これより多くても少なくてもよい。また、以下の説明においては、説明の便宜上、端末10a,10b,10c,10dを各々区別する必要がない場合には、これらを「端末10」と称して説明する。遠隔会議の参加者が端末10を用いて通信を行うことで、遠隔会議が実現される。
【0010】
図2は、端末10の構成の一例を示すブロック図である。図において、制御部11は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備え、ROM又は記憶部12に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、バスBUSを介して端末10の各部を制御する。記憶部12は、制御部11によって実行されるコンピュータプログラムやその実行時に使用されるデータを記憶するための記憶手段であり、例えばハードディスク装置である。表示部13は、液晶パネルを備え、制御部11による制御の下に各種の画像を表示する。操作部14は、端末10の利用者による操作に応じた信号を出力する。マイクロホン15は、収音し、収音した音声を表す音声信号(アナログ信号)を出力する。音声処理部16は、マイクロホン15が出力する音声信号(アナログ信号)をA/D変換によりデジタルデータに変換する。また、音声処理部16は、供給されるデジタルデータをD/A変換によりアナログ信号に変換してスピーカ17に供給する。スピーカ17は、音声処理部16から出力されるアナログ信号に応じた強度で放音する。通信部18は、他の端末10との間で通信ネットワーク20を介して通信を行うための通信手段である。撮影部19は、撮影し、撮影した映像を表す映像データを出力する。
【0011】
なお、この実施形態では、マイクロホン15とスピーカ17とが端末10に含まれている場合について説明するが、音声処理部16に入力端子及び出力端子を設け、オーディオケーブルを介してその入力端子に外部マイクロホンを接続する構成としても良い。同様に、オーディオケーブルを介してその出力端子に外部スピーカを接続する構成としてもよい。また、この実施形態では、マイクロホン15から音声処理部16へ入力されるオーディオ信号及び音声処理部16からスピーカ17へ出力されるオーディオ信号がアナログオーディオ信号である場合について説明するが、デジタルオーディオデータを入出力するようにしても良い。このような場合には、音声処理部16にてA/D変換やD/A変換を行う必要はない。表示部13や撮影部19についても同様であり、外部出力端子を設け、外部モニタや外部カメラを接続する構成としても良い。
【0012】
次に、端末10の機能的構成について図面を参照しつつ説明する。図3は、端末10の機能的構成の一例を示す図である。図において、通信制御部111、ネットワーク状況検出部112、表示データ生成部113及び表示制御部114は、制御部11がROM又は記憶部12に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行することによって実現される。なお、図中の矢印はデータの流れを概略的に示すものである。
【0013】
通信制御部111は、供給されるデータをパケット化して、通信部18を介して他の端末10へ送信する。また、通信制御部111は、他の端末10から送信されてくるデータを受信する。通信制御部111は、受信される音声データを音声処理部16へ供給し、スピーカ17から音として出力させる。また、通信制御部111は、受信される映像データを表示部13に供給し、受信した映像データの表す映像を表示部13に表示させる。
【0014】
ネットワーク状況検出部112は、通信ネットワークにおけるデータの伝送状況を、予め定められた複数の評価要素毎に検出し、検出結果を示すデータを出力する。ここでは、ネットワーク状況検出部112は、パケットの遅延の発生頻度や、ジッタ(データの転送時間の不均一によるデータの揺らぎ)、データロス率等を評価要素として検出する。なお、ここでは、予め定められた評価要素として、パケットの遅延の発生頻度、ジッタ、データロス率を用いるが、データの伝送状況についての評価要素はこれらに限定されるものではなく、データの伝送状況を評価し得るものであればどのようなものを用いてもよい。
【0015】
表示データ生成部113は、ネットワーク状況検出部112の検出結果に対応する画像を示す表示データを生成し、表示制御部114に出力する。表示制御部114は、通信ネットワーク20を介して受信された画像データの表す画像を表示部13に表示する。また、表示制御部114は、表示データ生成部113によって生成された表示データの表す画像を、通信ネットワークを介して受信された画像データの表す画像に重畳して表示する。
【0016】
図4は、表示部13に表示される画面の一例を示す図である。図4に示す例では、表示制御部114は、通信ネットワーク20を介して受信された画像データの表す画像G1を表示するとともに、表示データ生成部113によって生成された表示データの表す画像G2,G3,G4を、画像G1に重畳して表示する。なお、図4に示す例では、検出結果を示す画像として棒グラフを表示する例を示したが、検出結果の表示の態様はこれに限らず、例えば、表示制御部114が、検出結果を示す円グラフを表示するようにしてもよく、また、例えば、表示されるアンテナの本数によって検出結果が示されるようなアンテナ画像を表示するようにしてもよい。要は、表示制御部114が、ネットワーク状況検出部112の検出結果を示す画像を表示すればよい。
【0017】
<動作>
次に、本実施形態の動作について説明する。まず、端末10は、遠隔会議を開始する。すなわち、端末10のそれぞれは、マイクロホン15で収音した音声を表す音声データを他の端末10に送信するとともに、他の端末10から音声データを受信し、受信した音声データをスピーカ17から音として出力する。また、端末10のそれぞれは、撮影部19で撮影された映像データを他の端末10へ送信するとともに、他の端末10から映像データを受信し、受信した映像データの示す映像を表示部13に表示させる。これにより遠隔会議が実現される。
【0018】
また、会議が行われている最中において、制御部11は、通信ネットワークにおけるデータの伝送状況を予め定められた複数の評価要素毎に検出し、検出結果を示す表示データを生成する。制御部11は、生成した表示データの表す画像を表示部13に表示する。このとき、制御部11は、パケットの遅延の発生頻度や、ジッタ、データロス率などの複数の評価要素毎にネットワーク状況を検出し、検出した複数の評価要素毎の検出結果を示す表示データをそれぞれ個別に生成する。制御部11は、個別に生成した複数の評価要素毎の表示データを表示部13に表示する。図4に示す例では、ネットワークの遅延の発生頻度を示す画像G2、ジッタを示す画像G3、データロス率を示す画像G4が、画像G1に重畳して表示される。このように、複数の種類毎のネットワーク状況を重ねて表示することにより、利用者は、どこに不具合があるかを直感的に把握することができる。
【0019】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその例を示す。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
(1)上述の実施形態において、制御部11が自装置の動作状況を検出し、検出結果を表示するようにしてもよい。この場合は、制御部11は、通信を行っている最中において、自装置の動作状況を検出する。動作状況の検出の態様としては、例えば初期値として端末の構成を予め設定しておき、端末10のCPUパワー等をモニタリングし、現状の会議に使用できるパワーを算出するようにしてもよい。制御部11は、検出した自装置の動作状況を示す表示データを生成し、ネットワーク状況を示す画像と自装置の動作状況を示す画像とを、通信ネットワークを介して受信された映像データの表す画像に重畳して表示部13に表示する。また、この場合に、制御部11が、ネットワークの伝送状況を示す画像と端末の動作状況を示す画像とを合成して合成データを生成し、生成した合成データの表す画像を表示部13に表示するようにしてもよい。
【0020】
図5は、表示部13に表示される画面の一例を示す図である。図5に示す例では、通信ネットワークの伝送状況を示す画像G2,G3,G4に加えて、自装置の動作状況を示す画像G5が表示される。端末10の利用者は、画質の劣化や音質の劣化が発生した場合に、表示部13に表示される画面を確認することで、ネットワークの伝送状況と自装置の動作状況とを比較しつつ確認することができ、これにより不具合の内容を把握し易い。
【0021】
また、この場合において、制御部11が、ネットワークの伝送状況の検出結果と、端末の動作状況の検出結果とを比較し、比較結果を示す画像を表示するようにしてもよい。この場合は、制御部11が、比較結果を示す画像データを生成し、生成した画像データの表す画像を表示部13に表示するようにしてもよい。具体的には、例えば、制御部11が、ネットワークの伝送状況が予め定められた閾値以下であって、かつ、端末の動作状況が予め定められた閾値以上である場合に、「ネットワークに問題があります」といったメッセージを表示するようにしてもよい。
【0022】
(2)上述の遠隔会議システムにおいて、中継装置を用いて複数の端末10間の通信の中継を行うようにしてもよい。この場合のシステム構成について図面を参照しつつ説明する。図6は、遠隔会議システム2の構成を示すブロック図である。なお、図6は、上述した実施形態において図1に示した遠隔会議システム1に対応するものである。以下の説明では、上述した実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。図5において、中継装置30は、複数の端末10間における音声通信及び映像通信の中継を行う装置である。中継装置30は、複数の端末10間の通信ネットワークにおけるデータの伝送状況を検出し、検出結果を示す表示データを生成する。この表示データの具体的な内容としては、上述した実施形態において端末10が行う処理と同様であるため、ここではその詳細な説明を省略する。中継装置30は、生成した表示データを端末10へ送信する。端末10は、中継装置30から表示データを受信すると、受信した表示データの表す画像を表示部13に表示する。
【0023】
(3)上述の実施形態において、端末10の制御部11によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、インターネットのようなネットワーク経由で端末10にダウンロードさせることも可能である。また、上述の制御を行う制御手段としてはCPU以外にも種々の装置を適用することができ、例えば、専用のプロセッサなどを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】遠隔会議システムの構成の一例を示す図である。
【図2】端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】端末の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【図4】表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【図5】表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【図6】遠隔会議システムの構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1,2…遠隔会議システム、10…端末、11…制御部、12…記憶部、13…表示部、14…操作部、15…マイクロホン、16…音声処理部、17…スピーカ、18…通信部、19…撮影部、20…通信ネットワーク、30…中継装置、111…通信制御部、112…ネットワーク状況検出部、113…表示データ生成部、114…表示制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介して画像データを受信する受信手段と、
前記通信ネットワークにおけるデータの伝送状況を予め定められた複数の評価要素毎に検出するネットワーク状況検出手段と、
前記ネットワーク状況検出手段による前記複数の評価要素毎の検出結果に対応する画像を示す表示データを生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された前記複数の評価要素毎の表示データの表す画像を、前記受信手段によって受信された画像データの表す画像に重畳して表示装置に表示する表示制御手段と
を具備することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
自装置の動作状況を検出する装置状況検出手段
を具備し、
前記生成手段は、前記ネットワーク状況検出手段の検出結果に対応する画像を示す第1の表示データと前記装置状況検出手段の検出結果に対応する画像を示す第2の表示データとを生成し、
前記表示制御手段は、生成手段によって生成された第1の表示データの表す画像と前記第2の表示データの表す画像とを、前記画像データの表す画像に重畳して表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記生成手段によって生成された第1の表示データの表す画像と前記第2の表示データの表す画像とを合成して合成データを生成する合成手段
を具備し、
前記表示制御手段は、前記合成手段によって生成された合成データの表す画像を表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記ネットワーク状況検出手段の検出結果と前記装置状況検出手段の検出結果とを比較し、比較結果を示す画像データを生成する比較手段
を具備し、
前記表示制御手段は、前記比較手段によって生成された画像データの表す画像を表示する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−98656(P2010−98656A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269646(P2008−269646)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】