説明

通信装置

【課題】 多機能機10と通話デバイス70との間の無線通信状態を精度良く解析すること。
【解決手段】 多機能機10は、AP6のIPアドレスが送信先として指定されているPINGパケットを送信して、応答パケットを受信するのか否かを確認するAP確認処理を実行する。多機能機10は、通話デバイス70のIPアドレスが送信先として指定されているPINGパケットを送信して、応答パケットを受信するのか否かを確認するCD確認処理を実行する。多機能機10は、24回のAP確認処理によって取得される24個の確認結果と、24回のCD確認処理によって取得される24個の確認結果と、を用いて、多機能機10と通話デバイス70との間の無線通信状態を解析して、解析結果情報を生成する。多機能機10は、解析結果情報を表示部14に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、第2の通信装置との間でアクセスポイントを介した無線通信を実行するための第1の通信装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、サーバ装置との間でアクセスポイントを介した無線通信を実行する端末装置が開示されている。端末装置は、端末装置とサーバ装置との間の通信経路の障害調査を実行する。端末装置は、まず、アクセスポイントとの通信を確立可能であるのか否かを調査する。端末装置は、アクセスポイントとの通信を確立不可能である場合に、アクセスポイントエラーを記録する。端末装置は、アクセスポイントとの通信を確立可能である場合に、アクセスポイントを介して、サーバ装置との間の通信を確立可能であるのか否かを調査する。端末装置は、サーバ装置との通信を確立不可能である場合に、通信設定エラー又はLAN経路エラーを記録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−197803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書では、第1の通信装置と第2の通信装置との間の無線通信状態に関する適切な解析結果情報をユーザに提供し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、第2の通信装置との間でアクセスポイントを介した無線通信を実行するための第1の通信装置を開示する。第1の通信装置は、確認部と、解析部と、出力部と、を備える。確認部は、第2の通信装置の通信識別情報及びアクセスポイントの通信識別情報のうちの一方である特定の通信識別情報が送信先として指定されている第1のパケットを送信して、第1のパケットに対する応答パケットを受信するのか否かを確認する第1の確認処理を実行する。解析部は、M回(M≧2)の第1の確認処理によって取得されるM個の第1の確認結果を用いて、第1の通信装置と第2の通信装置との間の無線通信状態を解析して、解析結果情報を生成する。無線通信状態が通信不可能状態である場合に、解析結果情報は、通信不可能状態になった原因と、通信不可能状態を解消するための対策と、のうちの少なくとも1つを含む。出力部は、解析結果情報を外部に出力する。
【0006】
上記の構成によると、第1の通信装置は、第2の通信装置及びアクセスポイントのうちの一方を送信先として第1のパケットを送信して、第1の確認処理を実行する。そして、第1の通信装置は、過去に実行された複数回(即ちM回)の第1の確認処理によって取得される複数個(即ちM個)の第1の確認結果を用いて、第1の通信装置と第2の通信装置との間の無線通信状態を解析するために、無線通信状態を精度良く解析し得る。従って、第1の通信装置は、適切な解析結果情報を生成して外部に出力し得るために、適切な解析結果情報をユーザに提供し得る。このために、ユーザは、解析結果情報に基づいて、通信不可能状態を解消するための作業を、適切に実行し得る。
【0007】
特定の通信識別情報は、第2の通信装置の通信識別情報であってもよい。確認部は、さらに、アクセスポイントの通信識別情報が送信先として指定されている第2のパケットを送信して、第2のパケットに対する応答パケットを受信するのか否かを確認する第2の確認処理を実行してもよい。解析部は、M個の第1の確認結果と、N回(N≧2)の第2の確認処理によって取得されるN個の第2の確認結果と、を用いて、無線通信状態を解析してもよい。この構成によると、第1の通信装置は、第2の通信装置を送信先として第1のパケットを送信して、第1の確認処理を実行すると共に、アクセスポイントを送信先として第2のパケットを送信して、第2の確認処理を実行する。そして、第1の通信装置は、過去に実行された複数回(即ちM回)の第1の確認処理によって取得される複数個(即ちM個)の第1の確認結果と、過去に実行された複数回(即ちN回)の第2の確認処理によって取得される複数個(即ちN個)の第2の確認結果と、を用いて、無線通信状態を解析するために、無線通信状態を精度良く解析し得る。従って、第1の通信装置は、適切な解析結果情報をユーザに提供し得る。
【0008】
確認部は、1回の第1の確認処理と1回の第2の確認処理とをほぼ同時に実行してもよい。解析部は、M個の第1の確認結果とN個の第2の確認結果との間で、ほぼ同時に実行される第1及び第2の確認処理によって取得される第1及び第2の確認結果が一致する確率である一致率が、特定の値よりも高い場合に、第1の通信装置とアクセスポイントとの間の電波状態が不安定であることに関係する解析結果情報を生成してもよい。この構成によると、第1の通信装置は、第1の通信装置とアクセスポイントとの間の電波状態が不安定であることに関係する解析結果情報を、ユーザに提供することができる。このために、ユーザは、第1の通信装置とアクセスポイントとの間の電波状態を安定させるための作業を、適切に実行し得る。
【0009】
解析部は、一致率が上記の特定の値よりも低く、かつ、N個の第2の確認結果が、無線通信を実行可能であることを示すN1個(N1≦N)以上の第2の確認結果を含む場合に、第2の通信装置とアクセスポイントとの間の電波状態が不安定であることに関係する解析結果情報を生成してもよい。この構成によると、第1の通信装置は、第2の通信装置とアクセスポイントとの間の電波状態が不安定であることに関係する解析結果情報を、ユーザに提供することができる。このために、ユーザは、第2の通信装置とアクセスポイントとの間の電波状態を安定させるための作業を、適切に実行し得る。
【0010】
解析部は、M個の第1の確認結果の全てが、無線通信を実行不可能であることを示し、かつ、N個の第2の確認結果が、無線通信を実行可能であることを示すN2個(N2≦N)以上の第2の確認結果を含む場合に、第2の通信装置の電源がOFFされていること、及び、アクセスポイントの設定が、無線通信の中継機能を停止する第1の設定であること、の少なくとも1つの関係する解析結果情報を生成してもよい。この構成によると、第1の通信装置は、第2の通信装置の電源がOFFされていること、及び、アクセスポイントの設定が第1の設定であること、の少なくとも1つの関係する解析結果情報を、ユーザに提供することができる。このために、ユーザは、第2の通信装置の電源をONするための作業、及び、アクセスポイントの設定を第1の設定から他の設定に変更するための作業、の少なくとも1つの作業を適切に実行し得る。
【0011】
解析部は、M個の第1の確認結果の全てが、無線通信を実行不可能であることを示し、かつ、N個の第2の確認結果の全てが、無線通信を実行不可能であることを示す場合に、アクセスポイントの電源がOFFされていること、及び、第1の通信装置とアクセスポイントとの間で無線設定が一致しないこと、のうちの少なくとも一方に関係する解析結果情報を生成してもよい。この構成によると、第1の通信装置は、アクセスポイントの電源がOFFされていること、及び、無線設定が一致しないこと、の少なくとも1つの関係する解析結果情報を、ユーザに提供することができる。このために、ユーザは、アクセスポイントの電源をONするための作業、及び、無線設定を一致させるための作業、の少なくとも1つの作業を適切に実行し得る。
【0012】
確認部は、第1日の間に、M1回(M1≧2)の第1の確認処理を実行して、M1個の第1の確認結果を取得し、第1日とは異なる第2日の間に、M2回(M2≧2)の第1の確認処理を実行して、M2個の第1の確認結果を取得してもよい。解析部は、M1個の第1の確認結果とM2個の第1の確認結果とを含むM個の第1の確認結果を用いて、無線通信状態を解析してもよい。解析部は、M1個の第1の確認結果とM2個の第1の確認結果との間で、無線通信を実行不可能であることを示す第1の確認結果が得られる時間帯が同等である場合に、アクセスポイントの設定が、1日の間の所定の時間帯に無線通信の中継機能を停止する第2の設定であることに関係する解析結果情報を生成してもよい。この構成によると、第1の通信装置は、アクセスポイントの設定が第2の設定であることに関係する解析結果情報を、ユーザに提供することができる。このために、ユーザは、アクセスポイントの設定を第2の設定から他の設定に変更するための作業を適切に実行し得る。
【0013】
特定の通信識別情報は、アクセスポイントの通信識別情報であってもよい。この構成によると、第1の通信装置は、アクセスポイントを送信先として第1のパケットを送信して、第1の確認処理を実行することができる。
【0014】
第1の通信装置及び第2の通信装置のうちの一方の装置は、外部からFAXデータを受信して、アクセスポイントを介して、第1の通信装置及び第2の通信装置のうちの他方の装置に、FAXデータを送信するための装置であってもよい。上記の他方の装置は、上記の一方の装置から、アクセスポイントを介して、FAXデータを受信して、FAXデータに従って、印刷を実行するための装置であってもよい。上述したように、第1の通信装置が適切な解析結果情報をユーザに提供し得るために、第1の通信装置と第2の通信装置との間の無線通信状態が通信不可能状態になるのを抑制することができる。従って、上記の一方の装置から上記の他方の装置にFAXデータが適切に送信されるために、上記の他方の装置は、FAXデータに従った印刷を適切に実行し得る。
【0015】
なお、上記の第1の通信装置を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読取可能記憶媒体も新規で有用である。また、上記の第1の通信装置と上記の第2の通信装置とを備える無線通信システムも新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】無線通信システムの構成を示す。
【図2】多機能機が実行するメイン処理のフローチャートを示す。
【図3】多機能機が実行する解析表示処理のフローチャートを示す。
【図4】多機能機と通話デバイスとの間の無線通信状態が異なる様々なケースを示す。
【図5】各ケースの確認結果の一例を示す。
【図6】第2実施例の内容が記述された説明図を示す。
【図7】第3実施例の内容が記述された説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施例)
(システムの構成)
図1に示されるように、無線通信システム2は、PC4と、アクセスポイント(以下では「AP」と呼ぶ)6と、多機能機10と、通話デバイス70と、を備える。多機能機10及び通話デバイス70は、AP6を介して、相互に無線通信可能である。即ち、多機能機10及び通話デバイス70は、インフラストラクチャの無線通信を実行可能である。
【0018】
(多機能機10の構成)
多機能機10は、印刷機能、スキャン機能、コピー機能等の多機能を実行可能である。多機能機10は、操作部12と、表示部14と、印刷実行部16と、スキャン実行部18と、無線インターフェイス20と、有線インターフェイス22と、制御部30と、を備える。操作部12は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示を多機能機10に入力することができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。印刷実行部16は、インクジェット方式、レーザ方式等の印刷機構である。スキャン実行部18は、CCD、CIS等のスキャン機構である。無線インターフェイス20は、無線通信を実行するためのインターフェイスである。有線インターフェイス22は、有線通信を実行するためのインターフェイスである。
【0019】
制御部30は、CPU32と、メモリ34と、を備える。CPU32は、メモリ34に格納されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。CPU32が上記のプログラムに従って処理を実行することによって、確認部40、解析部42、及び、出力部44の各機能が実現される。
【0020】
メモリ34は、ROM、RAM等によって構成されており、上記のプログラムの他に、無線設定情報、AP6のIPアドレス、通話デバイス70のIPアドレス、確認結果情報等を格納する。無線設定情報は、ユーザによって多機能機10に設定(入力)される情報である。無線設定情報は、多機能機10と通話デバイス70との間で、AP6を介したFAXデータの無線通信を実行するための情報である。無線設定情報は、例えば、SSID(Service Ser Identifier)、認証方式、暗号化方式、パスワード等を含む。また、AP6のIPアドレス及び通話デバイス70のIPアドレスは、ユーザによって多機能機10に設定(入力)される情報である。なお、確認結果情報については後述する(図5参照)。
【0021】
(通話デバイス70の構成)
通話デバイス70は、多機能機10の付属機である。即ち、通話デバイス70は、それ単体で出荷されることはなく、多機能機10と共に出荷される。通話デバイス70は、マイク72と、スピーカ74と、PSTNインターフェイス76と、無線インターフェイス78と、制御部80と、を備える。PSTNインターフェイス76は、一般公衆回線網であるPSTN(Public Switched Telephone Network)8に接続されている。無線インターフェイス78は、無線通信を実行するためのインターフェイスである。
【0022】
制御部80は、CPU82と、メモリ84と、を備える。CPU82は、メモリ84に格納されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。メモリ84は、ROM、RAM等によって構成されており、上記のプログラムの他に、上記の無線設定情報等を格納する。通話デバイス70は、例えば、多機能機10から上記の無線設定情報を受信して、上記の無線設定情報をメモリ84に格納させる。
【0023】
例えば、ユーザは、通話デバイス70を用いて、PSTN8に接続されている別の電話機に電話をかけることができる。この場合、通話デバイス70は、マイク72に入力された音声に対応する音声データを、PSTNインターフェイス76を介して、上記の別の電話機に送信する。また、通話デバイス70は、上記の別の電話機から送信される音声データが、PSTNインターフェイス76によって受信される場合に、当該音声データに対応する音声をスピーカ74から出力させる。これにより、電話機能が実現される。
【0024】
また、多機能機10及び通話デバイス70が協働して処理を実行することによって、FAX機能が実現される。例えば、通話デバイス70は、PSTNインターフェイス76によってFAXデータが受信される場合に、当該FAXデータを、AP6を介して、多機能機10に送信する。多機能機10は、無線インターフェイス20によってFAXデータが受信される場合に、当該FAXデータに従った印刷を印刷実行部16に実行させる。これにより、FAXの受信機能が実現される。また、多機能機10は、スキャン実行部18がスキャンを実行することによって生成されるFAXデータを、AP6を介して、通話デバイス70に送信する。通話デバイス70は、無線インターフェイス78によってFAXデータが受信される場合に、ユーザによって予め指定されたPSTN8内の宛先に当該FAXデータを送信する。これにより、FAXの送信機能が実行される。
【0025】
(PC4の構成)
PC4は、AP6を介して、無線通信を実行可能である。PC4は、例えば、AP6を介して、印刷データを多機能機10に送信する。多機能機10は、無線インターフェイス20によって印刷データが受信される場合に、当該印刷データに従った印刷を印刷実行部16に実行させる。これにより、印刷機能が実行される。
【0026】
(AP6の構成)
AP6には、上記の無線設定情報がユーザによって予め設定されている。AP6は、以下の様々な機能を実行可能である。AP6は、LAN内に存在する第1のデバイス(例えば多機能機10)からデータを受信して、LAN内の第2のデバイス(例えば通話デバイス70)に当該データを転送する中継機能を実行可能である。また、AP6は、LAN内に存在するデバイスからデータを受信して、当該データをLAN外(即ちインターネット)に送信するルータ機能を実行可能である。また、AP6は、LAN内に存在するデバイスから、AP6のIPアドレスが送信先として指定されているPINGパケットを受信する場合に、応答パケットを返信する返信機能を実行可能である。
【0027】
また、AP6は、通常モード、エコモード、及び、セパレートモードのうちのいずれか1つのモードに従って動作可能である。通常モードは、上記の全ての機能(中継機能、ルータ機能、返信機能)を常に実行するためのモードである。エコモードは、ユーザによって指定された所定の時間帯に上記の全ての機能を停止し、上記の所定の時間帯以外の時間帯に上記の全ての機能を実行するためのモードである。上記の所定の時間帯に上記の全ての機能が停止されるために、AP6の消費電力を低減させることができる。セパレートモードは、ルータ機能及び返信機能を常に実行するが、中継機能を常に停止するためのモードである。
【0028】
(多機能機10が実行するメイン処理;図2)
図2のメイン処理は、多機能機10と通話デバイス70との間でAP6を介した無線通信を実行するための無線設定情報(即ち、インフラストラクチャの無線設定情報)が、多機能機10に格納されている場合に、常に実行される。
【0029】
S10では、多機能機10の確認部40(図1参照)は、タイマの値が所定値(本実施例では2時間)に到達することを監視する。タイマの値が所定値に到達すると(S10でYES)、S12に進む。
【0030】
S12では、確認部40は、メモリ34に格納されているAP6のIPアドレスを取得する。次いで、確認部40は、PINGパケットのヘッダ内の送信先アドレスが記述される部分に、AP6のIPアドレスを書き込む。これにより、AP6のIPアドレスが送信先アドレスとして指定されているPINGパケットが生成される。次いで、確認部40は、上記のPINGパケット(即ち、AP6へのPINGパケット)を送信する。そして、確認部40は、AP6へのPINGパケットに対する応答パケットを受信するのか否かを確認する。
【0031】
S14では、確認部40は、メモリ34に格納されている通話デバイス70のIPアドレスを取得する。次いで、確認部40は、PINGパケットのヘッダ内の送信先アドレスが記述される部分に、通話デバイス70のIPアドレスを書き込む。これにより、通話デバイス70のIPアドレスが送信先アドレスとして指定されているPINGパケットが生成される。次いで、確認部40は、上記のPINGパケット(即ち、通話デバイス70へのPINGパケット)を送信する。そして、確認部40は、通話デバイス70へのPINGパケットに対する応答パケットを受信するのか否かを確認する。このように、本実施例では、確認部40は、S12の確認処理とS14の確認処理とをほぼ同時に実行する。
【0032】
S16では、確認部40は、S12及びS14の確認処理の結果に基づいて、メモリ34内の確認結果情報を更新する。本実施例では、確認部40は、2時間毎にS12及びS14の確認処理を実行する。また、メモリ34は、直近の2日分の確認処理の結果を示す確認結果情報を格納可能である。従って、確認結果情報は、S12の確認処理の結果として24個(48時間/2時間)の情報を含むと共に、S14の確認処理の結果として24個の情報を含む。
【0033】
図5は、後述の様々なケースで記憶される2日分の確認結果情報の一例を示す。図中の「AP」の欄は、S12の確認処理(即ち、AP6へのPINGパケットの送信)の結果を示し、「CD」の欄は、S14の確認処理(即ち、通話デバイス(Call Device)70へのPINGパケットの送信)の結果を示す。「OK」は、PINGパケットに対する応答パケットが受信されたことを示す。「NG」は、PINGパケットに対する応答パケットが受信されなかったことを示す。なお、以下では、S12の確認処理のことを「AP確認処理」と呼び、S14の確認処理のことを「CD確認処理」と呼ぶ。
【0034】
確認結果情報は、24回のAP確認処理の結果と24回のCD確認処理の結果とが、何時間前の確認処理であるのかを示す時間情報(例えば0(h))に対応付けられた情報である。図2のS16では、確認部40は、まず、確認結果情報に含まれる最も古いAP確認処理の結果及びCD確認処理の結果(即ち、46(h)に対応付けられているAP確認処理の結果及びCD確認処理の結果)を消去する。そして、確認部40は、確認結果情報に含まれる残りの23個の時間情報(0(h)〜44(h))のそれぞれに対して、2時間を加算する。次いで、確認部40は、S16の処理の直前に実行されたAP確認処理及びCD確認処理の結果を、0(h)に対応付けて、メモリ34に記憶させる。これにより、確認結果情報の更新が完了する。
【0035】
図2のS16の処理を終えると、S18において、解析部42及び出力部44(図1参照)は、解析表示処理を実行する。解析表示処理の内容は、後で説明する。次いで、S20において、確認部40は、タイマの値をリセットし、S10に戻る。これにより、確認部40は、2時間毎に(定期的に)、AP確認処理(S12)及びCD確認処理(S14)を実行することになる。
【0036】
(様々なケース;図4)
図2のS18の解析表示処理の内容を説明する前に、図4を参照して、多機能機10と通話デバイス70との無線通信状態に関する様々なケースについて説明する。なお、図4の各ケースにおいて、「多機能機」、「AP」、及び、「通話デバイス」の上方に配置されている矢印は、AP確認処理のPINGパケット及び応答パケットを示し、下方に配置されている矢印は、CD確認処理のPINGパケット及び応答パケットを示す。
【0037】
(ケースA)
図4のケースAでは、AP6が通常モードに設定されている。また、多機能機10とAP6との間の無線通信状態が正常であると共に、通話デバイス70とAP6との間の無線通信状態が正常である。従って、多機能機10がAP確認処理を実行すると、多機能機10は、AP6から応答パケットを受信することができる。また、多機能機10がCD確認処理を実行すると、多機能機10は、AP6を介して通話デバイス70から応答パケットを受信することができる。従って、図5のケースAに示されるように、AP確認処理の結果は、通常、常に「OK」になり、CD確認処理の結果は、通常、常に「OK」になる。
【0038】
(ケースB)
図4のケースBでは、AP6が通常モードに設定されている。また、通話デバイス70の電源がOFFされている。この場合、多機能機10がAP確認処理を実行すると、多機能機10は、AP6から応答パケットを受信することができる。しかしながら、多機能機10がCD確認処理を実行しても、通話デバイス70がPINGパケットを受信しないために、多機能機10は、応答パケットを受信することができない。従って、図5のケースBに示されるように、AP確認処理の結果は、通常、常に「OK」になるが、CD確認処理の結果は、通常、常に「NG」になる。
【0039】
(ケースC)
図4のケースCでは、AP6がエコモードに設定されている。この場合、ユーザによって指定された所定の時間帯(例えば夜間帯)に、多機能機10がAP確認処理を実行すると、AP6が返信機能を実行しないために、多機能機10は、応答パケットを受信することができない。また、上記の所定の時間帯に、多機能機10がCD確認処理を実行すると、AP6が中継機能を実行しない結果として、通話デバイス70がPINGパケットを受信しないために、多機能機10は、応答パケットを受信することができない。ただし、上記の所定の時間帯以外の時間帯に、多機能機10がAP確認処理及びCD確認処理のどちらを実行しても、多機能機10は、応答パケットを受信することができる。従って、図5のケースCに示されるように、AP確認処理及びCD確認処理の結果は、上記の所定の時間帯では、通常、常に「NG」になり、上記の所定の時間帯以外の時間帯では、通常、常に「OK」になる。
【0040】
(ケースD)
図4のケースDでは、AP6が通常モードに設定されている。また、多機能機10とAP6との間の無線通信状態が正常であるが、通話デバイス70とAP6との間の電波状態が不安定である。このような状況は、例えば、通話デバイス70とAP6との間の距離が大きい場合に、発生し得る。この場合、多機能機10がAP確認処理を実行すると、多機能機10は、応答パケットを受信することができる。しかしながら、通話デバイス70とAP6との間の電波状態が悪い間に、多機能機10がCD確認処理を実行すると、通話デバイス70がPINGパケットを受信しないために、多機能機10は、応答パケットを受信することができない。ただし、通話デバイス70とAP6との間の電波状態が良好である間に、多機能機10がCD確認処理を実行すると、多機能機10は、応答パケットを受信することができる。従って、図5のケースDに示されるように、AP確認処理の結果は、通常、常に「OK」になるが、CD確認処理の結果は、不規則に「OK」又は「NG」になる。
【0041】
(ケースE)
図4のケースEでは、AP6が通常モードに設定されている。また、通話デバイス70とAP6との間の無線通信状態が正常であるが、多機能機10とAP6との間の電波状態が不安定である。このような状況は、例えば、多機能機10とAP6との間の距離が大きい場合に、発生し得る。この場合、多機能機10とAP6との間の電波状態が悪い間に、多機能機10がAP確認処理及びCD確認処理のどちらを実行しても、AP6がPINGパケットを受信しないために、多機能機10は、応答パケットを受信することができない。ただし、多機能機10とAP6との間の電波状態が良好である間に、多機能機10がAP確認処理及びCD確認処理のどちらを実行しても、多機能機10は、応答パケットを受信することができる。従って、図5のケースEに示されるように、AP確認処理及びCD確認処理の結果は、不規則に「OK」又は「NG」になる。しかも、ほぼ同じタイミングで実行される1回のAP確認処理と1回のCD確認処理とでは、同じ結果が得られる。
【0042】
(ケースF)
図4のケースFでは、AP6の電源がOFFされている。この場合、多機能機10がAP確認処理及びCD確認処理のどちらを実行しても、AP6がPINGパケットを受信しないために、多機能機10は、応答パケットを受信することができない。従って、図5のケースFに示されるように、AP確認処理の結果は、通常、常に「NG」になり、CD確認処理の結果は、通常、常に「NG」になる。なお、AP6の電源がONされている場合であっても、多機能機10に設定されている無線設定情報と、AP6に設定されている無線設定情報と、が一致していない場合には、AP6は、多機能機10からPINGパケットを受信することができない。この場合も、ケースFと同様の結果が得られる。
【0043】
(ケースG)
図4のケースGでは、AP6がセパレートモードに設定されている。上述したように、セパレートモードでは、AP6は、ルータ機能及び返信機能を常に実行するが、中継機能を常に停止する。従って、多機能機10がAP確認処理を実行すると、多機能機10は、応答パケットを受信することができる。ただし、多機能機10がCD確認処理を実行すると、AP6が中継機能を実行しないために、多機能機10は、応答パケットを受信することができない。従って、図5のケースGに示されるように、AP確認処理の結果は、通常、常に「OK」になり、CD確認処理の結果は、通常、常に「NG」になる。なお、ケースGの結果は、ケースBの結果と同様である。
【0044】
(解析表示処理;図3)
続いて、図2のS18で実行される解析表示処理の内容を説明する。図3に示されるように、S30において、解析部42は、メモリ34内の確認結果情報に含まれる最も新しいCD確認処理の結果が「OK」であるのか否かを判断する。例えば、図5のケースAでは、最も新しいCD確認処理の結果(即ち、「0(h)」に対応するCD確認処理の結果)が「OK」である。従って、ケースAでは、解析部42は、S30でYESと判断して、解析表示処理を終了する。一方において、例えば、図5のケースB〜Gでは、最も新しいCD確認処理の結果が「NG」である。従って、ケースB〜Gでは、解析部42は、S30でNOと判断して、S32に進む。
【0045】
S32では、解析部42は、メモリ34内の確認結果情報に含まれる24回のCD確認処理の全ての結果が「NG」であるのか否かを判断する。例えば、図5のケースB、F、Gでは、24回のCD確認処理の全ての結果が「NG」である。従って、ケースB、F、Gでは、解析部42は、S32でYESと判断して、S34に進む。一方において、例えば、図5のケースC、D、Eでは、24回のCD確認処理の全ての結果が「NG」でない。従って、ケースC、D、Eでは、解析部42は、S32でNOと判断して、S36に進む。
【0046】
S34では、解析部42は、メモリ34内の確認結果情報に含まれる24回のAP確認処理の全ての結果が「NG」であるのか否かを判断する。例えば、図5のケースFでは、24回のAP確認処理の全ての結果が「NG」である。従って、ケースFでは、解析部42は、S34でYESと判断して、S50に進む。一方において、図5のケースB、Gでは、24回のAP確認処理の全ての結果が「NG」でない。従って、ケースB、Gでは、解析部42は、S34でNOと判断して、S52に進む。
【0047】
上述したように、AP6の電源がOFFされている場合、又は、多機能機10とAP6との間で無線設定情報が一致していない場合には、図5のケースFのような確認結果が得られる。従って、S50では、解析部42は、AP6の電源をONすることを促す第1の文字列と、多機能機10とAP6との間の無線設定情報を一致させることを促す第2の文字列と、を含む解析結果情報を生成する。そして、出力部44は、解析結果情報を表示部14に表示させる。この結果、ユーザは、AP6の電源をONするための作業、及び/又は、多機能機10とAP6との間の無線設定情報を一致させるための作業を実行することができる。
【0048】
なお、変形例では、S50では、解析部42は、上記の第1の文字列のみを含む解析結果情報を生成してもよいし、上記の第2の文字列のみを含む解析結果情報を生成してもよい。即ち、解析部42は、AP6の電源がOFFされていること、及び、多機能機10とAP6との間で無線設定情報が一致しないこと、のうちの少なくとも一方に関係する解析結果情報を生成すればよい。
【0049】
上述したように、通話デバイス70の電源がOFFされている場合(ケースB)、又は、AP6がセパレートモードで動作している場合(ケースG)には、図5のケースB、Gのような確認結果が得られる。従って、S52では、解析部42は、通話デバイス70の電源をONすることを促す第3の文字列と、AP6のセパレートモードを解除することを促す第4の文字列と、を含む解析結果情報を生成する。そして、出力部44は、解析結果情報を表示部14に表示させる。この結果、ユーザは、通話デバイス70の電源をONするための作業、及び/又は、AP6のセパレートモードを解除するための作業を実行することができる。
【0050】
なお、変形例では、S52では、解析部42は、上記の第3の文字列のみを含む解析結果情報を生成してもよいし、上記の第4の文字列のみを含む解析結果情報を生成してもよい。即ち、解析部42は、通話デバイス70の電源がOFFされていること、及び、AP6の設定がセパレートモード設定であること、のうちの少なくとも一方に関係する解析結果情報を生成すればよい。
【0051】
以下では、ほぼ同じタイミングで実行される1回のAP確認処理と1回のCD確認処理とのことを「1セットの確認処理」と呼ぶ。S36では、解析部42は、メモリ34内の確認結果情報に含まれる1日目の12セットの確認処理の結果と2日目の12セットの確認処理の結果との間で、「NG」が得られる時間帯が同等であるのか否かを判断する。例えば、図5のケースCでは、1日目の0(h)〜4(h)に対応する3セットの確認処理の結果が「NG」であり、1日目の0(h)〜4(h)と同じ時間帯である2日目の24(h)〜28(h)に対応する3セットの確認処理の結果が「NG」である。従って、ケースCでは、解析部42は、S36でYESと判断して、S54に進む。一方において、図5のケースD、Eでは、「NG」が得られる時間帯が同等でない。従って、ケースD、Eでは、解析部42は、S36でNOと判断して、S38に進む。より具体的には、S36では、解析部42は、以下の解析を実行する。
【0052】
即ち、解析部42は、まず、1日目の12セットの確認処理の結果の中から、AP確認処理及びCD確認処理の両方の結果が「NG」である時間帯を特定する。図5のケースCでは、解析部42は、0(h)〜4(h)を特定する。次いで、解析部42は、特定済みの時間帯(0(h)〜4(h))に24(h)を加算して、特定済みの時間帯に対応する2日目の時間帯(24(h)〜28(h))を算出する。次いで、解析部42は、2日目の12セットの確認処理の結果において、算出済みの時間帯(24(h)〜28(h))に対応する各セットの確認処理の全ての結果が「NG」であるのか否かを判断する。解析部42は、上記の各セットの確認処理の全ての結果が「NG」である場合には、S36でYESと判断し、上記の各セットの確認処理の全ての結果が「NG」でない場合には、S36でNOと判断する。
【0053】
なお、上述したように、S36において、解析部42は、「NG」が得られる時間帯が完全一致するのか否かを判断してもよいが、変形例では、解析部42は、2日目の12セットの確認処理の結果において、算出済みの時間帯(24(h)〜28(h))に対応する各セットの確認処理の結果のうち、所定の割合(例えば90%)以上の結果が「NG」であるのか否かを判断してもよい。このようにしても、解析部42は、「NG」が得られる時間帯が同等であるのか否かを適切に判断することができる。また、変形例では、S36において、解析部42は、AP確認処理の結果とCD確認処理の結果との両方を利用せずに、AP確認処理の結果とCD確認処理の結果とのうちの一方のみを利用して、1日目の12回の確認処理の結果と、2日目の12回の確認処理の結果と、の間で、「NG」が得られる時間帯が同等であるのか否かを判断してもよい。
【0054】
上述したように、AP6がエコモードで動作している場合には、図5のケースCのような確認結果が得られる。従って、S54では、解析部42は、AP6のエコモードを解除することを促す第5の文字列を含む解析結果情報を生成する。そして、出力部44は、解析結果情報を表示部14に表示させる。この結果、ユーザは、AP6のエコモードを解除するための作業を実行することができる。
【0055】
S38では、解析部42は、メモリ34内の確認結果情報に含まれる24回のCD確認処理の結果が、比較的に高い成功率を示すのか否かを判断する。具体的に言うと、解析部42は、まず、24回のCD確認処理の結果の中から、「OK」の個数を特定する。次いで、解析部42は、特定済みの「OK」の個数が第1の所定値(例えば20)以上であるのか否かを判断し、特定済みの「OK」の個数が第1の所定値以上である場合には、S38でYESと判断して、解析表示処理を終了し、特定済みの「OK」の個数が第1の所定値未満である場合には、S38でNOと判断して、S40に進む。例えば、図5のケースD、Eでは、24回のCD確認処理の結果のうちの「OK」の個数が20未満であるために、解析部42は、S38でNOと判断する。
【0056】
S40では、解析部42は、メモリ34内の確認結果情報に含まれる24セットの確認処理の結果において、AP確認処理の結果とCD確認処理の結果とが一致するセット(以下では「一致セット」と呼ぶ)の割合が比較的に高いのか否かを判断する。具体的に言うと、解析部42は、まず、24セットの確認処理の結果の中から、一致セットの個数を特定する。次いで、解析部42は、特定済みの一致セットの個数が第2の所定値(例えば20)以上であるのか否かを判断し、特定済みの一致セットの個数が第2の所定値以上である場合には、S40でYESと判断して、S56に進み、特定済みの一致セットの個数が第2の所定値未満である場合には、S40でNOと判断して、S42に進む。例えば、図5のケースEでは、一致セットの個数が20以上であるために、解析部42は、S40でYESと判断する。また、例えば、図5のケースDでは、一致セットの個数が20未満であるために、解析部42は、S40でNOと判断する。
【0057】
上述したように、多機能機10とAP6との間の電波状態が不安定である場合には、図5のケースEのような確認結果が得られる。従って、S56では、解析部42は、多機能機10とAP6との間の距離を小さくすることを促す第6の文字列を含む解析結果情報を生成する。そして、出力部44は、解析結果情報を表示部14に表示させる。この結果、ユーザは、多機能機10とAP6との間の距離を小さくするための作業を実行することができる。
【0058】
S42では、解析部42は、メモリ34内の確認結果情報に含まれる24回のAP確認処理の結果が、比較的に高い成功率を示すのか否かを判断する。具体的に言うと、解析部42は、まず、24回のAP確認処理の結果の中から、「OK」の個数を特定する。次いで、解析部42は、特定済みの「OK」の個数が第3の所定値(例えば20)以上であるのか否かを判断し、特定済みの「OK」の個数が第3の所定値以上である場合には、S42でYESと判断して、S58に進み、特定済みの「OK」の個数が第3の所定値未満である場合には、S42でNOと判断して、S56に進む。例えば、図5のケースDでは、24回のAP確認処理の結果のうちの「OK」の個数が20以上であるために、解析部42は、S42でYESと判断する。
【0059】
上述したように、通話デバイス70とAP6との間の電波状態が不安定である場合には、図5のケースDのような確認結果が得られる。従って、S58では、解析部42は、通話デバイス70とAP6との間の距離を小さくすることを促す第7の文字列を含む解析結果情報を生成する。そして、出力部44は、解析結果情報を表示部14に表示させる。この結果、ユーザは、通話デバイス70とAP6との間の距離を小さくするための作業を実行することができる。
【0060】
(本実施例の効果)
本実施例によると、多機能機10は、AP6を送信先としてPINGパケットを送信して、AP確認処理(図2のS12)を実行すると共に、通話デバイス70を送信先としてPINGパケットを送信して、CD確認処理(図2のS14)を実行する。そして、多機能機10は、過去に実行された複数回(即ち24回)のAP確認処理によって取得される複数個(即ち24個)の確認結果と、過去に実行された複数回(即ち24回)のCD確認処理によって取得される複数個(即ち24個)の確認結果と、を用いて、多機能機10と通話デバイス70との間の無線通信状態を解析するために、無線通信状態を精度良く解析することができる。従って、多機能機10は、適切な解析結果をユーザに提供することができる(図3のS50〜S58)。この結果、ユーザは、多機能機10と通話デバイス70との間の無線通信状態を正常化させるための作業を適切に実行することができる。このために、通話デバイス70は、外部から受信されるFAXデータを、AP6を介して多機能機10に適切に送信することができ、多機能機10は、FAXデータに従った印刷を適切に実行することができる。
【0061】
(対応関係)
多機能機10が「第1の通信装置」及び「他方の装置」の一例であり、通話デバイス70が「第2の通信装置」及び「一方の装置」の一例である。24回のCD確認処理、24回のAP確認処理が、それぞれ、「M回の第1の確認処理」、「N回の第2の確認処理」の一例である。さらに、1日目の12回のCD確認処理、2日目の12回のCD確認処理が、それぞれ、「M1回の第1の確認処理」、「M2回の第1の確認処理」の一例である。CD確認処理で送信されるPINGパケット、AP確認処理で送信されるPINGパケットが、それぞれ、「第1のパケット」、「第2のパケット」の一例である。通話デバイス70のIPアドレスが「特定の通信識別情報」の一例である。
【0062】
また、図3のS40の判断で基準として利用される第2の所定値(例えば20)が、「特定の値」の一例である。図3のS42において、AP確認処理の「OK」の結果の個数が第3の所定値(例えば20)以上であると判断されることが、「N個の第2の確認結果が、無線通信を実行可能であることを示すN1個以上の第2の確認結果を含む場合」の一例である。また、図3のS34において、AP確認処理の全ての結果が「NG」でないと判断されることが、「N個の第2の確認結果が、無線通信を実行可能であることを示すN2個以上の第2の確認結果を含む場合」の一例である。
【0063】
(第2実施例)
図6に示されるように、本実施例では、確認部40は、S12のAP確認処理を実行せずに、S14のCD確認処理のみを実行する。従って、図5の確認結果情報は、24回のCD確認処理の結果のみを含む。
【0064】
本実施例では、図2のS18の解析表示処理において、解析部42は、以下の各処理を実行する。即ち、解析部42は、まず、図3のS38と同様の判断処理を実行して、24回のCD確認処理の結果が比較的に高い成功率を示すのか否かを判断する。解析部42は、24回のCD確認処理の結果が比較的に高い成功率を示すと判断する場合(即ち、図5のケースA)には、多機能機10と通話デバイス70との間の無線通信状態が正常であると判断して、解析表示処理を終了する。
【0065】
解析部42は、24回のCD確認処理の結果が比較的に高い成功率を示さないと判断する場合(即ち、図5のケースB〜G)には、図3のS32と同様の判断処理を実行して、24回のCD確認処理の全ての結果が「NG」であるのか否かを判断する。解析部42は、24回のCD確認処理の全ての結果が「NG」であると判断する場合(即ち、図5のケースB、F、G)には、図3のS50及びS52に示される2つの表示例を合わせた解析結果情報を生成する。
【0066】
解析部42は、24回のCD確認処理の全ての結果が「NG」でないと判断する場合(即ち、図5のケースC、D、E)には、図3のS36と同様の判断処理を実行して、1日目の12回のCD確認処理の結果と2日目の12回のCD確認処理の結果との間で、「NG」が得られる時間帯が同等であるのか否かを判断する。解析部42は、「NG」が得られる時間帯が同等であると判断する場合(即ち、図5のケースC)には、図3のS54に示される表示例を表わす解析結果情報を生成する。一方において、解析部42は、「NG」が得られる時間帯が同等でないと判断する場合(即ち、図5のケースD、E)には、図3のS56及びS58に示される2つの表示例を合わせた解析結果情報を生成する。
【0067】
出力部44は、上記のように生成される解析結果情報を表示部14に表示させる。従って、ユーザは、解析結果情報を見ることによって、多機能機10と通話デバイス70との間の無線通信状態を正常化させるための作業を適切に実行することができる。なお、本実施例では、通話デバイス70のIPアドレスが「特定の通信識別情報」の一例である。
【0068】
(第3実施例)
図7に示されるように、本実施例では、確認部40は、S14のCD確認処理を実行せずに、S12のAP確認処理のみを実行する。従って、図5の確認結果情報は、24回のAP確認処理の結果のみを含む。
【0069】
本実施例では、図2のS18の解析表示処理において、解析部42は、以下の各処理を実行する。即ち、解析部42は、まず、図3のS42と同様の判断処理を実行して、24回のAP確認処理の結果が比較的に高い成功率を示すのか否かを判断する。解析部42は、24回のAP確認処理の結果が比較的に高い成功率を示すと判断する場合(即ち、図5のケースA、B、D、G)には、多機能機10と通話デバイス70との間の無線通信状態が正常であると判断して、解析表示処理を終了する。この場合、ケースB、D、Gの可能性があるが、これ以上の詳しい解析が不可能であるために、解析部42は、無線通信状態が正常であると判断する。
【0070】
解析部42は、24回のAP確認処理の結果が比較的に高い成功率を示さないと判断する場合(即ち、図5のケースC、E、F)には、図3のS34と同様の判断処理を実行して、24回のAP確認処理の全ての結果が「NG」であるのか否かを判断する。解析部42は、24回のAP確認処理の全ての結果が「NG」であると判断する場合(即ち、図5のケースF)には、図3のS50に示される表示例を表わす解析結果情報を生成する。
【0071】
解析部42は、24回のAP確認処理の全ての結果が「NG」でないと判断する場合(即ち、図5のケースC、E)には、解析部42は、図3のS36と同様の判断処理を実行して、1日目の12回のAP確認処理の結果と2日目の12回のAP確認処理の結果との間で、「NG」が得られる時間帯が同等であるのか否かを判断する。解析部42は、「NG」が得られる時間帯が同等であると判断する場合(即ち、図5のケースC)には、図3のS54に示される表示例を表わす解析結果情報を生成する。一方において、解析部42は、「NG」が得られる時間帯が同等でないと判断する場合(即ち、図5のケースE)には、図3のS56に示される表示例を表わす解析結果情報を生成する。
【0072】
出力部44は、上記のように生成される解析結果情報を表示部14に表示させる。従って、ユーザは、解析結果情報を見ることによって、多機能機10と通話デバイス70との間の無線通信状態を正常化させるための作業を適切に実行することができる。なお、本実施例では、AP6のIPアドレスが「特定の通信識別情報」の一例であり、24回のAP確認処理が「M回の第1の確認処理」の一例である。
【0073】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例が含まれる。
【0074】
(1)上記の各実施例では、多機能機10が各部40〜44を備える。これに代えて、通話デバイス70が各部40〜44を備えるように構成されてもよい。この場合、通話デバイス70、多機能機10が、それぞれ、「第1の通信装置」、「第2の通信装置」の一例である。また、「第1及び第2の通信装置」は、多機能機10及び通話デバイス70に限られず、他の種類の通信装置(例えば、PC、サーバ、PDA、携帯端末、プリンタ、スキャナ、電話機、FAX装置、コピー機等)であってもよい。
【0075】
(2)上記の各実施例では、PINGパケットが、「第1及び第2のパケット」の一例である。これに代えて、「第1及び第2のパケット」は、他の種類の生存確認パケット(例えば、Keep Aliveパケット)であってもよい。
【0076】
(3)確認部40は、CD確認処理及び/又はAP確認処理を2時間よりも短い周期又は2時間よりも長い周期で実行してもよい。即ち、解析部42は、24回よりも少ない又は多いCD確認処理及び/又はAP確認処理の結果を用いて、解析を実行してもよい。また、確認部40は、CD確認処理及び/又はAP確認処理を、2時間の周期で実行せずに、不定期に実行してもよい。例えば、確認部40は、1日目のCD確認処理及び/又はAP確認処理を実行する時間帯と、2日目のCD確認処理及び/又はAP確認処理を実行する時間帯と、が一致するように、CD確認処理及び/又はAP確認処理を不定期に実行してもよい。
【0077】
(4)上記の各実施例では、図3のS50〜S58において、解析部42は、通信不可能状態を解消するための対策(例えば、APの電源をONすることを促す第1の文字列(S50))を含む解析結果情報を生成する。これに代えて、解析部42は、通信不可能状態になった原因(例えば、APの電源がOFFされていることを示す文字列)を含む解析結果情報を生成してもよいし、原因と対策の両方を含む解析結果情報を生成してもよい。一般的に言うと、解析部42は、通信不可能状態になった原因と、通信不可能状態を解消するための対策と、のうちの少なくとも1つを含む解析結果情報を生成すればよい。
【0078】
(5)上記の各実施例では、解析部42は、図3のS30〜S42の順序で各判断処理を実行する。これに代えて、解析部42は、ケースA〜Gを区別できる順序であれば、どのような順序で各判断処理を実行してもよいし、ケースA〜Gを区別するための他の判断処理を実行してもよい。
【0079】
(6)図3のS38で利用される第1の所定値、S40で利用される第2の所定値(即ち「特定の値」の一例)、図3のS42で利用される第3の所定値(即ち「N1」の一例)は、20よりも大きい又は小さい値であってもよい。例えば、第1の所定値及び第3の所定値(即ち「N1」の一例)は、成功率が比較的に高いこと(例えば50%以上)を示す値(例えば12)であればよい。例えば、第2の所定値(即ち「特定の値」の一例)は、一致率が比較的に高いこと(例えば50%以上)を示す値(例えば12)であればよい。
【0080】
(7)上記の各実施例では、多機能機10のCPU32がソフトウェアに従って処理を実行することによって、各部40〜44の機能が実現される。これに代えて、各部40〜44の機能のうちの少なくとも一部は、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0081】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0082】
2:無線通信システム、10:多機能機、40:確認部、42:解析部、44:出力部、70:通話デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2の通信装置との間でアクセスポイントを介した無線通信を実行するための第1の通信装置であって、
前記第2の通信装置の通信識別情報及び前記アクセスポイントの通信識別情報のうちの一方である特定の通信識別情報が送信先として指定されている第1のパケットを送信して、前記第1のパケットに対する応答パケットを受信するのか否かを確認する第1の確認処理を実行する確認部と、
M回(M≧2)の前記第1の確認処理によって取得されるM個の第1の確認結果を用いて、前記第1の通信装置と前記第2の通信装置との間の無線通信状態を解析して、解析結果情報を生成する解析部であって、前記無線通信状態が通信不可能状態である場合に、前記解析結果情報は、前記通信不可能状態になった原因と、前記通信不可能状態を解消するための対策と、のうちの少なくとも1つを含む、前記解析部と、
前記解析結果情報を外部に出力する出力部と、
を備える第1の通信装置。
【請求項2】
前記特定の通信識別情報は、前記第2の通信装置の通信識別情報であり、
前記確認部は、さらに、前記アクセスポイントの通信識別情報が送信先として指定されている第2のパケットを送信して、前記第2のパケットに対する応答パケットを受信するのか否かを確認する第2の確認処理を実行し、
前記解析部は、前記M個の第1の確認結果と、N回(N≧2)の前記第2の確認処理によって取得されるN個の第2の確認結果と、を用いて、前記無線通信状態を解析する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記確認部は、1回の前記第1の確認処理と1回の前記第2の確認処理とをほぼ同時に実行し、
前記解析部は、前記M個の第1の確認結果と前記N個の第2の確認結果との間で、ほぼ同時に実行される前記第1及び第2の確認処理によって取得される前記第1及び第2の確認結果が一致する確率である一致率が、特定の値よりも高い場合に、前記第1の通信装置と前記アクセスポイントとの間の電波状態が不安定であることに関係する前記解析結果情報を生成する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記解析部は、前記一致率が前記特定の値よりも低く、かつ、前記N個の第2の確認結果が、無線通信を実行可能であることを示すN1個(N1≦N)以上の前記第2の確認結果を含む場合に、前記第2の通信装置と前記アクセスポイントとの間の電波状態が不安定であることに関係する前記解析結果情報を生成する、請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記解析部は、前記M個の第1の確認結果の全てが、無線通信を実行不可能であることを示し、かつ、前記N個の第2の確認結果が、無線通信を実行可能であることを示すN2個(N2≦N)以上の前記第2の確認結果を含む場合に、前記第2の通信装置の電源がOFFされていること、及び、前記アクセスポイントの設定が、無線通信の中継機能を停止する第1の設定であること、の少なくとも1つの関係する前記解析結果情報を生成する、請求項2から4のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記解析部は、前記M個の第1の確認結果の全てが、無線通信を実行不可能であることを示し、かつ、前記N個の第2の確認結果の全てが、無線通信を実行不可能であることを示す場合に、前記アクセスポイントの電源がOFFされていること、及び、前記第1の通信装置と前記アクセスポイントとの間で無線設定が一致しないこと、のうちの少なくとも一方に関係する前記解析結果情報を生成する、請求項2から5のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記確認部は、
第1日の間に、M1回(M1≧2)の前記第1の確認処理を実行して、M1個の前記第1の確認結果を取得し、
前記第1日とは異なる第2日の間に、M2回(M2≧2)の前記第1の確認処理を実行して、M2個の前記第1の確認結果を取得し、
前記解析部は、前記M1個の第1の確認結果と前記M2個の第1の確認結果とを含む前記M個の第1の確認結果を用いて、前記無線通信状態を解析し、
前記解析部は、前記M1個の第1の確認結果と前記M2個の第1の確認結果との間で、無線通信を実行不可能であることを示す第1の確認結果が得られる時間帯が同等である場合に、前記アクセスポイントの設定が、1日の間の所定の時間帯に無線通信の中継機能を停止する第2の設定であることに関係する前記解析結果情報を生成する、請求項1から6のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記特定の通信識別情報は、前記アクセスポイントの通信識別情報である、請求項1に記載の通信装置。
【請求項9】
前記第1の通信装置及び前記第2の通信装置のうちの一方の装置は、外部からFAXデータを受信して、前記アクセスポイントを介して、前記第1の通信装置及び前記第2の通信装置のうちの他方の装置に、前記FAXデータを送信するための装置であり、
前記他方の装置は、前記一方の装置から、前記アクセスポイントを介して、前記FAXデータを受信して、前記FAXデータに従って、印刷を実行するための装置である、請求項1から8のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項10】
第2の通信装置との間でアクセスポイントを介した無線通信を実行するための第1の通信装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記第1の通信装置に搭載されるコンピュータに、以下の各処理、即ち、
前記第2の通信装置の通信識別情報及び前記アクセスポイントの通信識別情報のうちの一方である特定の通信識別情報が送信先として指定されている第1のパケットを送信して、前記第1のパケットに対する応答パケットを受信するのか否かを確認する第1の確認処理と、
M回(M≧2)の前記第1の確認処理によって取得されるM個の第1の確認結果を用いて、前記第1の通信装置と前記第2の通信装置との間の無線通信状態を解析して、解析結果情報を生成する解析処理であって、前記無線通信状態が通信不可能状態である場合に、前記解析結果情報は、前記通信不可能状態になった原因と、前記通信不可能状態を解消するための対策と、のうちの少なくとも1つを含む、前記解析処理と、
前記解析結果情報を外部に出力する出力処理と、
を実行させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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