説明

通気性を有する包装材料の製造方法

【課題】製造が容易であって工程数が低減でき、所定の透気度を容易かつ安定して得られる脱酸素剤や吸湿剤等の機能性剤を包装するのに適した通気性包装材料を効率よく、安価に製造する。
【解決手段】通気性を有する包装材料(1)の製造方法であって、通気性を有するシート材料(11)の片面又は両面に、一層又は複数層の非通気性合成樹脂フィルムを貼り合わせた積層体(10)を形成する工程と、前記積層体(10)の表層面から前記非通気性合成樹脂フィルム層を貫通して前記シート材料(11)を貫通させずに通気孔(16)(17)を開孔する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気性を有する包装材料の製造方法に関し、特に脱酸素剤、除湿剤、炭酸ガス吸収剤、防錆剤、防臭剤等の機能性を有する組成物を包装するのに適した通気性を有する包装材料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、加工食品や菓子類等の食品の酸化、変色、カビ、腐敗などの品質低下や変質の防止、また衣類や紙製品の防虫や品質保持、或いは金属部品、精密機器の錆やカビ発生の防止するため脱酸素剤、除湿剤、防錆剤等の機能性剤が多く用いられている。この機能性剤は、通気性を有する包装材料からなる袋状の包装袋に封入したものが用いられ、食品等の包装内の酸素や湿気を吸収して品質を長期間維持するものである。
【0003】
上記の通気性包装材料としては、通気性を有する紙や不織布等の通気性シート材料に、包装材料の透気度をコントロールするために所定の配列で多数の微細孔が開孔されたポリエチレンやポリエチレン酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等のヒートシール性を有する合成樹脂製有孔フィルムを片面或いは両面に貼り合わせた通気性を有する積層体が主に用いられてきた。
【0004】
さらに、包装袋の強度や耐水性等の耐久性を向上するために、前記合成樹脂製有孔フィルムの外側にポリエステル樹脂やポリアミド樹脂、ポリプロピレンなどの強度や耐熱性に優れた合成樹脂製の有孔フィルムを補強層として外層に貼り合わせたものも使用されている。
【0005】
また、この包装材料には、通気性や製袋時のヒートシール性のみならず、脱酸素剤や吸湿剤等の機能性剤が漏出することのないものが好ましく、特に食品に使用する場合は、食品に混入したり接触、汚染することがないように機能性剤微粉末の漏出防止性を有するシート材料や積層構成の選択、包装袋のシール構造が食品の安全、衛生上重要なものとなっている。
【0006】
従来、上記包装材料として、有孔プラスチック積層フィルムと微細孔フィルムとを張り合わせて得られるガーレー式透気度が1〜10,000秒/mlである脱酸素剤用包装材料があり、有孔プラスチックフィルムは、フィルム積層後の開孔工程にて開孔し、更に微細孔を有するフィルムをラミネートするもので、フィルムの積層は融着、接着、圧着、ドライラミネート法又は押出しラミネート等によって製造するものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
このような包装材料としては、例えば、図12の断面図に示す通気性包装材料(100)は、通気孔(101)を有するポリエステルフィルム(PET、厚さ12μm)とポリエチレンフィルム(PE、厚さ15μm)の積層有孔フィルム、通気性を有するシート材料としての撥水撥油紙(秤量50g/m)、及び通気孔(102)を有するポリエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA、厚さ30μm)の有孔フィルムから構成され、この順に重ね合わされ熱ラミネートにより一体化された「PET12/印刷層/PE15/撥水撥油紙/EVA30」の積層体であり、印刷層はPET表面に文字、図柄等が予め印刷されたものである。
【0008】
なお、合成樹脂フィルムについては、材質と厚さの組み合わせで表し、例えば、厚さ15μmのポリエチレンフィルムは「PE15」と表示する。
【0009】
また、図13の断面図に示す通気性包装材料(200)は、水分が多い食品等に適した耐水性を向上した合成樹脂製不織布をシート材料に用いたもので、予め文字等の印刷を施した通気性を有するポリエチレン系不織布(PE不織布)と通気孔(201)を有するEVA30の有孔フィルムとから構成された「PE不織布/EVA30」積層体である。
【0010】
上記通気孔を有する有孔フィルムは、PE、PET、EVA等の非通気性合成樹脂フィルムに、孔径1〜1,000μmの微細な通気孔が刃物、針、熱針、レーザー照射等により所定の開孔パターンで繰り返し開孔され積層体全体に通気性(図中の矢符)が付与されたもので、例えば、図12に示す通気性包装材料(100)の片面の通気孔(101)が図11(a)に示す5mm×5mmの菱形パターンを繰り返し開孔し、EVA30フィルムの通気孔(102)が図11(b)に示す1.4mm×1.4mmの格子パターンを繰り返し開孔したものであれば、通気性包装材料(100)は2,000〜6,000秒/100mlの透気度が得られ、また、通気孔(101)が図11(c)に示す10mm×15mmの菱形パターンを繰り返し開孔し、EVA30フィルムの通気孔(102)に上記と同じ図11(b)に示す格子パターンを繰り返し開孔すれば、6,000〜12,000秒/100mlの透気度を有する包装材料が得られるようになる。
【0011】
また、通気性包装材料(200)のEVA30フィルム層に、図11(b)に示す格子パターンの通気孔(201)を繰り返し開孔したものを用いれば、300〜500秒/100mlの透気度を有する包装材料が得られるようになり、通気性シート材料と非通気性合成樹脂フィルムの通気孔の開孔パターン(開孔密度)の組み合わせにより包装材料の透気度をコントロールすることができる。
【特許文献1】特開平5−162776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の通気性包装材料(100)の従来の製造方法では、その工程が、
1.PET12の表面層に文字、図柄等を印刷する。
2.「PET12/印刷層」にPE15を押出しラミネートし、「PET12/印刷層/PE15」の積層体を形成する。
3.「PET12/印刷層/PE15」の積層体に穿孔加工を行い、所定パターンの通気孔を開孔する…(A)とする。
4.EVA30に穿孔加工を行い通気孔を開孔する…(B)とする。
5.撥水撥油紙と(A)を熱ラミネートで貼り合わせ積層体「PET12/印刷層/PE15/撥水撥油紙」…(C)を形成する。
6.(B)と(C)とを熱ラミネートし積層体を形成して通気性包装材料(100)とする。
という6工程により製造するもので、各々のフィルムへの穿孔加工や積層工程を個々に行い、その都度ロールに巻かれたフィルム材料や中間積層体の繰り出し、巻き取りの作業を要し、また各加工工程での柔軟なフィルムの取り扱いや穿孔作業にはかなりの労力と作業時間を要している。
【0013】
また同様に、通気性包装材料(200)の製造においては、
1.PE不織布の表面層に文字等を印刷する。
2.EVA30に穿孔加工を行い通気孔を開孔する…(D)とする。
3.PE不織布と(D)とを熱ラミネートし、通気性包装材料(200)を製造している。
【0014】
このように、従来の通気性包装材料(100)(200)の製造方法では、工程が複雑となって多くの工程数を要し、その製造設備や作業時間を必要とすることから通気性包装材料のコスト上昇の一因となり、また製造に時間を要すことから生産性の低下や納期の長期化という問題も生じている。
【0015】
また、積層体形成時の熱ラミネートによる積層加工の際に、予め通気孔が開孔された樹脂フィルムが軟化し、ラミネート条件によって、例えばフィルム張力が高すぎるとフィルムに開孔された微細な孔形状が変形したり配置がばらついたり、また温度が高い或いは積層圧力が強すぎると孔が潰れて小さくなったり塞がれることがあり、通気性の低下や変動により透気度にバラツキが生じ、上記した菱形や格子状の開孔パターンの組み合わせによる所定の透気度が安定して得られず、包装材料の品質上の問題も有している。特に、食品の品質維持のために食品と共に脱酸素剤等の機能性剤を封入して包装される場合は、食品の安全衛生上から、その機能を確実に発揮するため通気性包装材料の品質の安定化が大きく求められている。この透気度不安定の問題は、接着剤や他のラミネート方式により有孔フィルムを積層一体化する場合にも同様である。
【0016】
そこで本発明は、製造が容易であって工程数が低減でき、フィルム積層時のヒートシールや接着剤による通気孔の変形や閉塞による通気性の低下や変動の問題がなく所定の透気度を容易かつ安定して得られ、また微細な被包装材も漏出することがなく、脱酸素剤や吸湿剤等の機能性剤を包装するのに適した通気性包装材料を効率よく安価に製造することのできる通気性を有する包装材料の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
すなわち、本発明は、通気性を有するシート材料の片面又は両面に、一層又は複数層の非通気性合成樹脂フィルムを貼り合わせた積層体を形成する工程と、前記非通気性合成樹脂フィルム層に、前記シート材料に通じる通気部を形成する工程とを含むことを特徴とする通気性を有する包装材料の製造方法である。
【0018】
本発明においては、前記通気部が前記非通気性合成樹脂フィルム層を貫通し前記シート材料を貫通させずに開孔された通気孔によるこができ、また前記シート材料の両面に前記非通気性合成樹脂フィルムを貼り合わせた前記積層体においては、前記通気孔を開孔する工程が、前記積層体の片面ずつから前記非通気性合成樹脂フィルム層を開孔する2回の工程により行うことができる。
【0019】
本発明による通気性を有する包装材料の製造方法によれば、通気性を有するシート材料と非通気性合成樹脂フィルム層とが一体に積層された積層体を1工程で形成し、その表層面から非通気性合成樹脂フィルム層を貫通し、シート材料を貫通させずに未貫通部をシート材料内部に残した通気孔を開孔するものであるので、積層体を形成する前に予め非通気性合成樹脂フィルムに通気孔を設ける穿孔工程が省略できるとともに、その後の2回の熱ラミネート工程も省略でき、従来の個々のフィルムへの穿孔加工や積層などの複雑な工程が簡略化され、また工程数を減らすことができ製造時間の短縮も可能となる。さらに、積層体の所定位置に通気孔を確実に開孔することができ、フィルム積層時に通気孔が変形したり塞がれるという問題が解消され、品質の安定した所定の透気度を有する包装材料を効率よく安価に製造することができる。
【0020】
また、両面に非通気性合成樹脂フィルムを貼り合わせた積層体では、積層体の片面ずつから通気孔を開孔することで、特殊な穿孔装置を必要とせず、安定した開孔作業が得られ所定の位置に通気孔を確実に開孔することができ、また積層体の表裏に異なった開孔パターンで通気孔を開孔することも容易となり透気度のコントロールがしやすくなる。
【0021】
さらに、本発明は、通気性を有するシート材料の表面に、一層又は複数層の非通気性合成樹脂フィルムを貼り合わせた積層体を形成する工程と、前記非通気性合成樹脂フィルム層を貫通し前記シート材料を貫通させずに通気孔を開孔する工程と、前記シート材料の裏面に、ヒートシール剤をパターンコーティングする工程とを含む通気性を有する包装材料の製造方法である。
【0022】
これによれば、ヒートシール剤を用いた規則性のあるパターンコートにより通気性を得るので、包装材料の通気性を安定化し、またコーティング面同士を対向させてヒートシールすることで包装袋の製造が容易となり、包装機を用いて内容物を投入しながらの連続製袋が可能となる。さらに、包装材料裏面の合成樹脂フィルム層の積層工程や通気孔の開孔工程が不要になり製造工程を短縮することもできる。
【0023】
また、前記通気孔が角部を持たない環状に連続し前記非通気性合成樹脂フィルム層を貫通し開孔されることで、開孔端からの裂けを防ぎ包装材料の耐久性を向上することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の通気性を有する包装材料の製造方法によれば、1回の積層工程で通気性を有するシート材料と非通気性合成樹脂フィルムの積層体を形成し、その表面層から通気孔を開孔し包装材料を製造するものであるので、製造が容易であって工程数が低減でき、包装材料製造時の通気孔の配置や形状のバラツキ、孔の変形や閉塞による通気性の低下や変動の問題がなく、所定の透気度を容易かつ安定して得ることのできる脱酸素剤や吸湿剤等の機能性剤を包装するのに適した通気性を有する包装材料を効率よく、安価に製造することのできる。また、通気孔を角部を持たない環状に開孔することで包装材料の耐裂性や耐変形性を改善することができる。さらに、ヒートシール剤を用いたパターンコートにより、包装材料の通気性を安定にし、包装袋の製造を効率良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0026】
本発明の通気性を有する包装材料の製造方法は、通気性を有するシート材料の片面又は両面に、一層又は複数層の非通気性合成樹脂フィルムを貼り合わせた積層体を形成する工程と、前記非通気性合成樹脂フィルム層に、前記シート材料に通じる通気部を形成する工程とを含むもので、前記通気部は前記非通気性合成樹脂フィルム層を貫通し前記シート材料を貫通させずに開孔された通気孔とすることができる(以下、通気性を有する包装材料を包装材料という。)。
【0027】
この包装材料は、脱酸素剤、除湿剤、防錆剤等の機能性剤の包装袋として使用されるもので、図1、図4及び図5の断面図に示すように全体に通気性を有する積層体であり、パルプ紙や不織布などの通気性を有するシート材料と、このシート材料の片面又は両面に積層された所定の通気孔が開孔され所定の通気性を有する樹脂フィルム層とから構成されている。
【0028】
通気性を有するシート材料としては、透気度が0.1〜1,000秒/100mlである、撥水撥油処理或いは耐水耐油処理を施したパルプ紙やポリエチレン等を抄紙した混抄紙等の紙類、又はポリエチレンやポリエステルなどの合成樹脂からなるスパンボンド法やスパンレース法による不織布等の繊維質層、ポリエチレン系合成樹脂等を材料として微細有孔処理を施した微多孔性フィルム等の通気性素材が用いられ、脱酸素剤等の成分である鉄粉等の固体微粉末を通過させず、また常圧で水を通さないものが好ましくい。なお、透気度はJIS L 1096に準拠したガーレー式測定方法によるものである。
【0029】
樹脂フィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられる。
【0030】
そして、積層体の外層の少なくとも片面(包装紙の内側に当たる面)を構成する樹脂フィルム層としては、製袋時の製造性の観点から低温でのヒートシール性(熱融着性)を有する樹脂材料が好適であり、180℃以下で溶融状態、少なくとも半溶融状態になる樹脂が好ましく、より好ましくは融点が150℃未満である低温でのヒートシール性、シール強度を良好に有する合成樹脂であり、具体的には低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等の合成樹脂が挙げられる。
【0031】
さらに、耐熱性や強度等の耐久性を要する包装用途には、包装袋の外側に当たる外層フィルム層に高融点、高強度等の要求性能を満たす樹脂を選択し用いることができ、例えば耐熱性、高強度の用途にはポリエステル樹脂やポリアミド樹脂などの樹脂フィルムを外層、或いは補強層として使用することができる。
【0032】
この積層体は、通気性を有するシート材料を挟んで樹脂フィルムを重ね合わせ、熱ロールなどの加熱装置、加圧ロール等を有する通常の熱ラミネート装置を用いて、低融点の樹脂フィルム層を介してシート材料と外層や補強層を熱ラミネートし接着一体化し形成されるものである。ただし、この積層体の形成は、前記熱ラミネート法に限られず、接着剤により貼り合わせたもの、溶融樹脂をシート材料表面に押出しラミネートするもの等いずれ方法でもよい。
【0033】
この積層体には、両側又は片側の表層面から樹脂フィルム層を貫通しシート材料に達する孔径が1〜1,000μmの微細な通気孔が所定の配列で開孔され、この通気孔はシート材料境界部分の内部を一部カットしその内側には未貫通部を残したハーフカットの状態(図1、図4)に形成するもの、或いは樹脂フィルムを貫通しシート材料境界面に至り止まる通気孔(図5)が形成されるものがある。
【0034】
この通気孔は、積層体の表面から中心のシート材料に向かって所定の配列で開孔されるもので、例えば先端部に刃部を有する細長い刃物、細幅の刃物、針又は熱針を用いる機械的手段、レーザー照射、電子線照射等の各種の穿孔方法により開孔することができる。
【0035】
通気孔の径、深さ或いは開孔密度は、前記各種の穿孔方法に従い、例えば刃物や針の形状や配置、侵入深さ、或いは照射電圧、電流、照射時間等の穿孔条件により適宜決めることができ、また、通気孔の形状は、横断面は円形、三角、四角等の方形、楕円径等、縦断面も柱状、先細りの円錐、角錐状等であり、特に限定されるものではない。
【0036】
特に、図5に示すように、通気孔(25)(26)が樹脂フィルム層は貫通するがシート材料(11)の境界面に至り止まるように形成する場合は、樹脂フィルムのみを溶融して紙等の不溶物を残すことのできる熱針、レーザー照射、電子線照射等の穿孔方法の使用が有効である。
【0037】
ここで、通気孔が表層の樹脂フィルム層は貫通し、中心層の通気性シート材料には達しながらその内部を貫通しないこと、すなわち「ハーフカット」の状態にする、或いは通気孔がシート材料境界面に至って止まり、通気孔とシート材料との間に通気性を有していることが重要である。これは、樹脂フィルムの通気孔によって通気性シートとの間に通気性を得て積層体全体に通気性を付与するもので、この通気孔の開孔密度により包装材料の透気度をコントロールするためである。
【0038】
上記通気孔の開孔例について、ロール周上に開孔用の刃物を配列したロールを備えた穿孔装置(30)の例に基づいて以下に説明する。なお、本発明で用いられる穿孔装置は下記の穿孔装置(30)に限定されることはなく、包装材料の透気度をコントロールできる装置であれば使用することができる。
【0039】
図6及び図7に示す穿孔装置(30)は、ロール周面に先端部に刃先を有する多数の細長い刃物(18)が所定の配列及び一定の高さで立設されたロール(31)と、このロール(31)と所定間隔を置いて平行に配された回転自在の金属ロール(32)と、ロール(31)に連結された駆動用モータ(M)とから主要部が構成されている。
【0040】
図に示すように、ロール(31)の両端部に設けられた太径のベアラー部(33)は、金属ロール(32)に接して共に回転するもので、ロール(31)と金属ロール(32)とを所定間隔(a)を置いて平行に保ち、また刃物(18)の先端部と金属ロール(32)との距離(b)を一定に維持し、ロール(31)と金属ロール(32)間を通過する積層体(5)に刃物(18)が所定の深さまで侵入するように設定されている。
【0041】
また、刃物(18)は、図8に示すような先端に鋭利な直刃状の刃部(18a)を有するものが使用され、図11(a)、(b)、(c)に示すような、菱形や格子パターン等の同一パターンを繰り返しながらロール周面に一定の高さで配列されている。
【0042】
図9の穿孔装置(30)のロール部分断面図に示すように、モータ(M)によって回転するロール(31)と金属ロール(32)の間に挿通された積層体(5)は、ロール(31)周上の刃物(18)により金属ロール(32)に押圧されながら前方に送られ、同時に刃物(18)が積層体(5)の表層面から一定の深さまで侵入し、刃物(18)の配列パターンに従って開孔されるものである。
【0043】
すなわち、図10(a)に示すように、刃物(18)が積層体(5)の上側表層面から樹脂フィルム層(8)を貫通し、刃物(18)の先端部が金属ロール(32)上の距離(b)まで積層体(5)内に侵入する。この距離(b)を調整することで、刃物先端が積層体(5)中心部のシート材料(6)内部の所定深さまで侵入し、ロール間を通過後の積層体(5)にはフィルム層(8)を貫通してシート材料(6)内部まで達する通気孔(9)が開孔され、シート材料(6)との境界部分を一部カットしシート材料(6)内に未貫通部を残したハーフカットの状態にすることで、樹脂フィルム層(8)とシート材料(6)の間に通気性が付与される。
【0044】
積層体(5)の裏面にも同様に、図10(b)に示すように、積層体(5)の反対面を上側に向けてロール(31)と金属ロール(32)間に挿通し、樹脂フィルム層(7)に貫通孔を開孔しシート材料(6)をハーフカットすることで通気孔が開孔され、樹脂フィルム層(7)とシート材料(6)の間に通気性が付与される。もちろん、この時の刃物の形状や配置、ロール間隔(a)、刃物との距離(b)等の穿孔条件は積層体の構成や要求される透気度により適宜変更されるものである。
【0045】
この通気孔の配置は、上記の図11に示すような菱形状、格子状等の開孔パターンが繰り返し連続して設けられ、積層体(5)の両面から開孔される開孔パターンを組み合わすことで包装材料の透気度がコントロールされる。
【0046】
また、上記穿孔装置(30)による場合は、ロール(31)と金属ロール(32)の間隔(a)を積層体(5)の厚みや穿孔深さにより適正に保ち、刃物(18)の先端部と金属ロール(32)との距離(b)を正確に設定することが重要であり、また金属ロール(32)上を送行する積層体(5)に緩み弛みや波打ち、斜行などが発生しないように積層体(5)の前後方向の張力を適度に保つことが重要となる。
【0047】
これにより、通気性を有するシート材料(6)を挟む両側の非通気性フィルム層(7)(8)に通気孔が設けられることで、非通気性の積層体(5)に通気性が付与され、通気孔が変形したり潰れたりすることなく所定範囲の透気度を安定して有する包装材料が得られる。もちろん、シート材料(6)の片面のみに非通気性フィルム層を積層したものでは、1回の穿孔加工を行うだけでよい。
【0048】
しかも、この通気孔は通気性を有する中心のシート材料(6)を貫通することがないので、脱酸素剤等の機能性剤の微粉末が包装袋から漏出することがなく、包装袋内の食品等に混入や接触、汚染することがなく安全性が確保される。
【0049】
また、刃物(18)は、図14に示すような先端に鋭利な中抜きの円形環状の刃部(18b)、いわゆる「パンチ」と呼ばれる打ち抜き刃を使用することもできる。この場合も刃物18は、図11(a)、(b)、(c)に示すような、菱形や格子パターン等の同一パターンを繰り返しながらロール周面に一定の高さで配列されている。
【0050】
上記環状の刃部(18b)は、図14に示す先端部が中抜きの円形であるものの他に、図15の刃部平面図に示すような楕円形状(18c)、直線と半円形とが結ばれたトラック形状(18d)や4角形などの多角形の角部を曲線で結んだもの(18e)など、先端環状部に角部を持たずに曲線あるいは曲線と直線の組み合わせでなる中抜きの環状刃物であればよい。
【0051】
この場合、開孔される通気孔は、包装材料の表裏面の樹脂フィルムを上記のような環状刃部により連続して環状部が開孔されることが重要であり、通気孔が不連続であるとその不連続部分に応力集中し、裂けや変形の起点となって耐久性が低下してしまう。
【0052】
これにより、包装材料に力がかかっても、開孔部の特定位置、例えば開孔端部や環状の不連続部に応力が集中することがなく耐裂性を向上し、包装材料の破損や変形を防ぐことができ、ここから裂けたり、通気孔間で裂け目が繋がったりすることが防止でき、包装材料の耐久性を向上し脱酸素剤などを収納した包装袋の効果を確実にすることができる。
【0053】
従って、本発明による通気性包装材料の製造方法であると、シート材料と樹脂フィルムとの積層体が1回の積層工程で形成され、その積層体に通気孔を開孔することにより、従来の複雑な製造工程と品質のバラツキの問題を解消し、従来よりも製造工程が簡略化され、しかも樹脂フィルム層の所定位置に精度良く通気孔を確実に開孔することができ、安定した透気度を有する包装材料を容易に安価に製造することができるようになる。
【0054】
上記包装材料によって、脱酸素剤等の包装袋を形成するには、方形状の一対の包装材料の低融点のヒートシール性を有する樹脂フィルム層同士が対向するように重ね合わせ、その周縁部の3方をヒートシールして1方が開口された包装袋を作製し、或いは1枚の方形状の包装材料の低融点のフィルム層同士が対向するように折り重ね、その周縁部をヒートシールして1方が開口された包装袋を作製し、粉末状や粒状の脱酸素剤を収納した後開口部をヒートシールするもの、また筒状の包装体を作製し連続的に脱酸素剤を収納し、包装体の中間部分をヒートシールして包装袋を形成することもできる。
【0055】
本発明の製造方法により製造された包装材料は、食品分野のみならず、金属部品や精密機械、医薬品、衣料品等、広い分野において各種機能性剤の包装に有効に利用できるものである。
【0056】
以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。
【0057】
(第1の実施例)
図1は本発明の製造方法に従い製造した通気性を有する包装材料(1)の断面図、図2は包装材料(1)の通気孔が未開孔の積層体(10)の断面図である。
【0058】
積層体(10)は、表面に「脱酸素剤」、「DO NOT EAT」等の文字と白べた印刷が印刷されたPET12のフィルム層(13)、PE15のフィルム層(12)、撥水撥油紙(秤量50g/m、厚さ86μm)(11)とEVA30のフィルム層(14)とから構成され、PE15層(12)とEVA30層(14)を介して撥水撥油紙(11)及びPET12層(13)のフィルム層間を同時に押出しラミネートし接着一体化し、「PET12/印刷層/PE15/撥水撥油紙/EVA30」の積層体(10)を1工程で形成したもので、PET12(13)の表面の印刷層(15)は印刷インキが食品等に転写しないように積層体(10)の内側に配されている。
【0059】
包装材料(1)は、この積層体(10)の両側の表層面から「PET12/印刷層/PE15」層とEVA30(14)のフィルム層を貫通し撥水撥油紙(11)に達する通気孔(16)(17)が上記の穿孔装置(30)を用いて所定の開孔密度で開孔されたもので、この通気孔(16)(17)は撥水撥油紙(11)の層内部をハーフカットしたカット部分(16a)(17a)を形成している。
【0060】
すなわち、図3(a)に示すように、積層体(10)のPET12(13)側表層面から「PET12/印刷層/PE15」のフィルム層(13)(15)(12)を貫通し撥水撥油紙(11)内部まで達する通気孔(16)が開孔され、撥水撥油紙(11)の上層部分をハーフカットし、裏面も同様に、EVA30(14)フィルム層を貫通して撥水撥油紙(11)内まで達する通気孔(17)が開孔され、やはり撥水撥油紙(11)の下層部分をハーフカットの状態(図3(b))にしている。
【0061】
この時、穿孔装置(30)のロール間隔(a)が0.5mm、刃物(18)の先端部と金属ロール(32)との距離(b)を0.1mmに設定することで、金属ロール(32)上を多数の刃物(18)により押圧されながら通過する積層体(10)中心部の撥水撥油紙(11)には、刃物(18)の刃先が十数μmの深さで侵入することになり、上下それぞれの層内側に十数μmのカット部分(16a)(17a)を形成するものである。従って、刃物(18)の侵入深さが不足したり、またシート材料(11)を貫通しないように、この距離(b)を正確に設定することが特に重要となる。
【0062】
これにより、通気性を有するシート材料(11)を挟む両側の非通気性フィルム層に通気孔(16)(17)が設けられることで、積層体(10)全体に通気性が付与され、通気孔が変形したり潰れたりすることなく精度よく開孔され、安定した透気度を有する包装材料(1)が得られる。
【0063】
この時、通気孔(16)(17)の開孔パターンを選択することで透気度がコントロールでき、例えば通気孔(16)を図11(a)に示す菱形パターンとし、通気孔(17)を図11(b)に示す格子パターンで開孔すれば、包装材料(1)は2,000〜6,000秒/100mlの透気度を有し、また、通気孔(16)を図11(c)に示す菱形パターンで開孔し、通気孔(17)を上記と同じ図11(b)に示す格子パターンを開孔すれば、6,000〜12,000秒/100mlの透気度が得られ、要求される所定の透気度を有する包装材料(1)が簡単に得られる。
【0064】
しかも、この通気孔は通気性を有する撥水撥油紙(11)を貫通することがないので、脱酸素剤等の機能性剤の微粉末が包装袋から漏出することがなく、食品への混入や汚染することがなく安全性が確保される。
【0065】
上記の包装材料(1)の製造工程は、
1.PET12の表面層に文字等を印刷する。
2.「PET12/印刷層」は、PE15とEVA30を介して撥水撥油紙とを押出しラミネートし、「PET12/印刷層/PE15/撥水撥油紙/EVA30」の積層体(10)を形成する。
3.積層体(10)の片面に穿孔加工を行い「PET12/印刷層/PE15」に通気孔を開孔する。
4.積層体(10)の「EVA30」側に穿孔加工を行い通気孔を開孔する、工程からなる。
【0066】
従って、包装材料(1)は4工程で製造することができ、従来より工程数を低減し、各々の樹脂フィルムへの穿孔加工やロールに巻かれた材料の繰り出し、巻き取りの作業工数も大幅に低減され作業時間も短縮でき、生産性が向上し包装材料のコストダウンや納期の短縮に寄与することができる。
【0067】
また、包装材料(1)の透気度をコントロールする通気孔が、従来のように熱ラミネート時の配列のバラツキ、孔の変形や塞がりを生じることがなく、所定の開孔パターンで積層体(10)に正確に開孔されるので、安定した透気度を有する包装材料が容易に得られるようになる。
【0068】
また、積層体(10)への穿孔加工を表裏からの2工程に分けて行うことで、穿孔加工が安定し、より正確な通気孔の開孔が可能となる。さらに、積層体(10)への穿孔加工は、表裏両方向から同時または連続し開孔する1工程でも可能である。
【0069】
(第2の実施例)
図4は第2の実施例である通気性を有する包装材料(2)の断面図である。
【0070】
包装材料(2)は、通気性を有するシート材料としてポリエチレン系スパンボンド不織布「タイベック(目付75g/m)」(21)(デュポン社、登録商標)を用いたものであり、表面に「脱酸素剤」等の文字を印刷した「タイベック」の片面に樹脂フィルム層としてEVA30(22)が重ね合わされ押出しラミネートにより一体化された積層体(20)を形成し、積層体(20)のEVA30層の表層面から「タイベック」(21)に達する通気孔(24)を上記の穿孔装置(30)を用いて所定パターンで開孔し、この通気孔(24)は「タイベック」(21)の上層部から十数μmの部分までをハーフカットしたカット部分(24a)を形成したものである。
【0071】
この場合も、穿孔装置(30)のロール間隔(a)と、刃物(18)の先端部と金属ロール(32)との距離(b)を、積層体(20)の積層構成により設定する必要がある。
【0072】
この通気孔(24)により、通気性を有する不織布(21)に積層されたEVA30(22)に通気性が与えられ、積層体(20)全体に通気性が付与され、通気孔が変形したり潰れたりすることなく所定の透気度を安定して有する包装材料(2)が得られる。
【0073】
例えば、通気孔(24)の穿孔パターンを図11(b)に示す格子パターンとすれば、包装材料(2)は500〜300秒/100mlの透気度を有するようになり、また、要求される透気度によって開孔パターンは適宜選択することができる。
【0074】
この場合も、この通気孔は通気性を有する「タイベック」(21)を貫通することがないので、脱酸素剤等の微粉末が包装袋から漏出することがなく、食品への混入や汚染することがなく安全性が確保され、また、合成樹脂製不織布は耐水性に優れ、水分の多い食品用途に好適なものとなる。
【0075】
上記の包装材料(2)の製造工程は、
1.不織布「タイベック」の表面層に文字等を印刷する。
2.「タイベック」とEVA30フィルムとを押出しラミネートし、「「タイベック」/EVA30」の積層体を形成する。
3.この積層体のEVA30面から穿孔加工を行い、「EVA30」層に通気孔を開孔する、3工程からなる。
【0076】
従って、包装材料(2)の製造工程は従来と工程数は同じであるが、従来のように柔軟なフィルム単体への穿孔工程がなくなり、積層後のフィルム材料の工程通過性が向上し安定した穿孔作業が得られ、通気孔の開孔精度や作業効率が向上し製品不良の減少も図られる。
【0077】
(第3の実施例)
図5は第3の実施例である通気性を有する包装材料(3)の断面図である。
【0078】
包装材料(3)は、第1の実施例と同一の「PET12/印刷層/PE15/撥水撥油紙/EVA30」の積層体(10)からなり、表裏両面からの樹脂フィルム層の通気孔(25)(26)を撥水撥油紙(11)の境界部分をカットせずに、撥水撥油紙(11)の境界面に接して止めたものである。
【0079】
包装材料(3)は、この積層体(10)の両側の表層面から「PET12/印刷層/PE15」層とEVA30(14)のフィルム層を貫通し撥水撥油紙(11)に達する通気孔(25)(26)がレーザー照射装置を用いて所定の開孔密度で開孔されたもので、この通気孔(25)(26)は撥水撥油紙(11)の境界面において終端し形成されている。
【0080】
レーザー照射による通気孔(25)(26)は、積層体(10)表層の樹脂フィルム層のみを高熱により瞬間的に溶融、蒸発させる微細な加工ができ、また熱による通気孔の変形を抑えることができ、また、紙などの熱不溶性物を溶融しないので通気孔がシート材料に入り込むことがなく、撥水撥油紙(11)の境界部に接する部分で止めた正確な通気孔を形成することができる。
【0081】
この実施例では、樹脂フィルム層の通気孔の深さが不足したり、またシート材料を貫通してしまうおそれがなく、より正確な透気度を確実に得ることができる。
【0082】
(第4の実施例)
図16は第4の実施例である円形の環状に通気孔を連続して形成した通気性を表裏両面に(41)(42)有する包装材料(4)の平面図である。
【0083】
包装材料(4)は、第1の実施例と同様の図1に示す「PET12/印刷層/PE15/撥水撥油紙/EVA30」の積層体(10)からなり、図14に示すような刃部先端が円形環状のパンチ型刃物を用いて、包装材料(4)の表裏両面(41)(42)からの樹脂フィルム層に円形に連続する環状の通気孔(45)(46)を撥水撥油紙(11)との境界部分を一部カットし形成したもので、表裏面の異なる位置に通気孔(45)(46)が開孔されている。
【0084】
この包装材料(4)では、包装材料(4)に縦、横方向或いは垂直方向に力がかかっても、連続して環状に開孔された樹脂フィルム層の通気孔(45)(46)の特定位置に応力が集中することがなく、通気孔からの耐裂性、耐変形性を向上し、また開孔部間で裂け目が繋がったりすることが防止でき、包装材料の耐久性を高めて脱酸素剤などを収納した包装袋の効果を確実にすることができる。
【0085】
例えば、環状の通気孔であっても4角形や3角形であれば、その角部に応力が集中しやすく、また角部を持たない環状の通気孔でも、不連続の環状であればその不連続部分に応力が集中することで裂けの起点となり耐裂性や耐変形性が劣るものとなる。
【0086】
(第5の実施例)
図17は本発明にかかる製造方法に従い製造した通気性を有する包装材料(5)の断面図である。
【0087】
包装材料(5)は、表面に「脱酸素剤」、「DO NOT EAT」等の文字が印刷されたPET12のフィルム層(62)と撥水撥油紙(秤量50g/m、厚さ86μm)(61)を接着一体化した2層からなる積層体(60)と、撥水撥油紙(61)側にヒートシール剤をパターンコーティングしたパターンコート(50)とから構成されている。
【0088】
パターンコート(50)は、ヒートシール剤としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリイソブチレン、ポリアミドなどの熱可塑性ポリマーからなるホットメルト系接着剤を直接紙面にコーティングする方法、また、前記熱可塑性ポリマーを含む水、アルコール系や有機溶剤系の溶液を紙面にコーティングし乾燥させる方法が挙げられる。なお、市販品のコーティング剤を利用することもできる。
【0089】
コーティング方法としては、特に限定されることなく各種のコーティング法が使用できるが、グラビア法、フレキソ法がコーティング量が安定し好ましい。
【0090】
パターンコート(50)のパターンは、各種形状のパターンが採用できるが、規則性のあるパターンが通気性を安定化させることから好ましく、例えば、図18(a)に示すストライプ状、(b)に示すドット状、(c)に示す格子状などが挙げられる。
【0091】
また、パターンコート(50)のコーティング厚みは、コーティング面同士を対向させヒートシールした場合に十分な接着力が得られる厚みであればよく、例えば、5〜50μm程度,好ましくは20〜30μmである。厚みが5μm未満では接着力が不十分となり、厚すぎるとヒートシール剤がシール時に流れて通気性が不安定になりやすい。
【0092】
また、パターンコート(50)のコーティング部(50)と非コーティング部(51)の面積比は、製品の仕様により透気度が様々なので特に限定はないが、コーティング部(50):非コーティング部(51)で5:1〜1:5、好ましくは3:1〜1:3である。コーティング部(50)の比率が多くなるとヒートシール剤が流れて通気性が不安定になり、少ないと接着力が十分得られなくなる。
【0093】
このコーティング部(50)と非コーティング部(51)の面積比は、例えば、上記ストライプ状のパターンでは、コーティング部(50)の幅1mmに対して非コーティング部(51)の幅を2mmに設定することで実施でき、ドット状ではドット径を1〜3mmとしドット間隔を1〜5mmとすることで実施できる。
【0094】
包装材料(5)は、この積層体(60)のPET12(62)のフィルム層を貫通し撥水撥油紙(61)に達する通気孔(66)が上記の穿孔装置(30)を用いて所定の開孔密度で開孔されたもので、この通気孔(66)は撥水撥油紙(61)の層内部をハーフカットしたカット部分(66a)を形成している。
【0095】
これにより、通気孔(66)から通気性を有する撥水撥油紙(61)を介して非コーティング部(51)にかけて所定の通気性が付与され、安定した透気度を有する包装材料(5)が得られる。この時、通気孔(66)の開孔パターンとパターンコートのパターンやコーティング面積比率を選択することで透気度がコントロールできる。
【0096】
上記包装材料(5)によって、脱酸素剤等の包装袋を形成するには、方形状の一対の包装材料(5)のパターンコート面同士が対向するように重ね合わせ、その周縁部の3方をヒートシールして1方が開口された「3方シール」と呼ばれる包装袋を作製し、内容物を投入し密封する。
【0097】
或いは、包装機に繰り出される包装材料のパターンコート面が対向するように半折りに折り重ね筒状とし、その端縁部をヒートシールして1方が開口された筒体を作製し、この筒体の中に脱酸素剤等の内容物を投入しながら筒の上下をヒートシールし、連続的に内容物を収納した包装袋を作製することもできる。
【0098】
また、ストライプ状のパターンコートは、半折りに折り返して使用する場合や対向するストライプが略直交するように重ね合わせ使用する場合、ストライプの幅とヒートシール幅を調整することで密閉状態の袋体を作製することができ、内容物がこぼれ出ることがない。これは、内容物が流体や袋が加圧状態で使用される場合に好適である。格子状の場合も同様の効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の通気性を有する包装材料は、脱酸素剤、除湿剤、炭酸ガス吸収剤、防錆剤、防臭剤等の機能性を有する組成物を包装する包装材料に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】第1の実施例の包装材料の断面図である。
【図2】第1の実施例の積層体の断面図である。
【図3】第1の実施例の積層体の穿孔加工時の断面図である。
【図4】第2の実施例の包装材料の断面図である。
【図5】第3の実施例の包装材料の断面図である。
【図6】実施例に用いた穿孔装置の要部概略図である。
【図7】同上の部分拡大図である。
【図8】実施例に用いた刃物の斜視図である。
【図9】実施例に用いた穿孔装置のロール部の概略断面図である。
【図10】実施例の穿孔加工を説明する積層体断面図である。
【図11】穿孔パターン例の配置図である。
【図12】従来例の包装材料の断面図である。
【図13】他の従来例の包装材料の断面図である。
【図14】刃部が円形環状である刃物の斜視図である。
【図15】刃部が環状である刃物の変形例の刃部先端を示す平面図である。
【図16】第4の実施例の包装材料の平面図である。
【図17】第5の実施例の包装材料の断面図である。
【図18】第5の実施例のパターンコート例を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0101】
1、2、3、4、5……包装材料
5、10、20、60……積層体
6、11、21、61……通気性シート材料
7、8、12、13、14、22、62……非通気性合成樹脂フィルム
9、16、17、24、25、26、66……通気孔
16a、17a、24a、66a……ハーフカット部
18……刃物
30……穿孔装置
31……刃物を立設したロール
32……金属ロール
50……パターンコート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性を有するシート材料の片面又は両面に、一層又は複数層の非通気性合成樹脂フィルムを貼り合わせた積層体を形成する工程と、
前記非通気性合成樹脂フィルム層に、前記シート材料に通じる通気部を形成する工程とを含む
ことを特徴とする通気性を有する包装材料の製造方法。
【請求項2】
前記通気部が前記非通気性合成樹脂フィルム層を貫通し前記シート材料を貫通させずに開孔された通気孔である
ことを特徴とする通気性を有する請求項1に記載の包装材料の製造方法。
【請求項3】
前記シート材料の両面に前記非通気性合成樹脂フィルムを貼り合わせた前記積層体において、
前記通気孔を開孔する工程が、前記積層体の片面ずつから前記非通気性合成樹脂フィルム層を開孔する2回の工程により行われる
ことを特徴とする請求項2に記載の通気性を有する包装材料の製造方法。
【請求項4】
通気性を有するシート材料の表面に、一層又は複数層の非通気性合成樹脂フィルムを貼り合わせた積層体を形成する工程と、
前記非通気性合成樹脂フィルム層を貫通し前記シート材料を貫通させずに通気孔を開孔する工程と、
前記シート材料の裏面に、ヒートシール剤をパターンコーティングする工程とを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の通気性を有する包装材料の製造方法。
【請求項5】
前記通気孔が角部を持たない環状に連続し前記非通気性合成樹脂フィルム層を貫通し開孔される
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の通気性を有する包装材料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−126212(P2007−126212A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271263(P2006−271263)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(000122896)岡田紙業株式会社 (10)
【出願人】(000122900)岡田紙工株式会社 (7)
【Fターム(参考)】