説明

通気構造を有するセンサ

【課題】 通気及び防水の可能なフィルタの破損を防止して、通気及び防水の優れた性能を確保できる通気構造を有するセンサを提供すること。
【解決手段】 外筒11の連通部11aには、円盤状のフッソゴム製の保持部材14が内嵌されており、この保持部材14は、外筒11の外側から加締められることにより、気密性及び水密性を確保する様に、外筒11一体に固定されている。保持部材14の軸中心には、センサ内部と外部とを連通する通気孔35が形成されている。通気孔35には通気フィルタ41が止め部材43により圧入された状態で固定されている。止め部材43は、保持部材14よりゴム硬度が大きなフッソゴム製の円筒状の部材であり、その軸中心には、止め部材43を軸方向に貫く通気連通部45が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の排気ガス中の酸素濃度を測定する酸素センサ、又は温度センサなどのセンサの様に、通気構造を有するセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、混合ガス中から特定のガス成分の濃度を検出するガスセンサとして、HCセンサやNOxセンサ等、種々のものが知られている。この種のガスセンサの一つとして、例えば特開平9−54063号公報に示される様な外気導入型の酸素センサがある。
【0003】
前記酸素センサでは、外気を導入する通気孔を、センサの最上部に設けられたゴム製のシール部材の中央を軸方向に貫通するように形成するとともに、通気孔を硬質の撥水性フィルタ(水を通さずに通気を確保するフィルタ)で覆うことにより、通気性と防水性を保持している。
【0004】
しかし、この様な硬質フィルタを通気孔全体にわたって配置した構成では、フィルタ全体の体積が大きいことから、その通気性を十分に確保することが困難であった。
そこで、例えば特許公開2000−193632号公報では、図7に示す様に、シート状の撥水性フィルタ(通気フィルタ)P1を金属製の筒状部材(止め金具)P2にかぶせ、この状態で、通気フィルタP1及び止め金具P2をシール部材P3の通気孔P4に嵌挿することにより、通気性及び防水性を保持する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−54063号公報
【特許文献2】特開2000−193632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述した技術では、硬質の止め金具P2によって通気フィルタP1を保持する構成のために、通気フィルタP1が破損するおそれがあった。
例えば酸素センサが車体外などに露出している場合に、洗車時の高圧水や飛び石によって通気フィルタP1の周囲などに大きな力が加わったときには、通気フィルタP1自体はたわむことができるものの、それと直接に接触する止め金具P2は殆ど変形しないので、止め金具P2の開口端付近において、通気フィルタP1が破損するおそれがあった。
【0007】
特に、止め金具P2の開口端の周囲では、通気フィルタP1はほぼ直角に折れ曲がっているために、通気フィルタP1に破損が生じ易いという問題があった。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、通気及び防水の可能なフィルタの破損を防止して、通気及び防水の優れた性能を確保できる通気構造を有するセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)請求項1の発明は、センサの内部と外部とを連通する連通部に、通気を確保するための通気孔を形成した保持部材(例えばゴム製のシール部材)を配置するとともに、通気孔を覆うように通気性及び防水性を有するフィルタ(例えば通気フィルタ)を配置したセンサ(例えば酸素センサ)に関するものである。
【0009】
本発明では、特に、通気孔に嵌め込む止め部材により、通気孔の内周面側と前記止め部材の外周面側との間にフィルタを挟んで固定する構成を有するとともに、止め部材を弾性体から構成している。
【0010】
従って、センサを例えば車両の排気管など取り付けた場合に、センサの露出部分(フィルタの近傍の部分など)に対して、例えば洗車時の高圧水がかかったり飛び石が当たって、瞬間的に大きな衝撃力が加わったときでも、弾性体が応力を吸収するので、フィルタに過度の力が加わることがない。また、従来の様に、フィルタが硬質の止め金具で直角に折れ曲がる構成ではないので、大きな力が加わっても、フィルタは破れ難い。これにより、フィルタの破損を防止できるので、フィルタの防水性が低下することがなく、よって、センサの耐久性が向上するという効果を奏する。
【0011】
(2)請求項2の発明では、止め部材の硬度は保持部材の硬度以上である。
従って、保持部材にゴム製部材を嵌め込む作業が容易であるという利点がある。
(3)請求項3の発明では、止め部材がゴム製部材である。
【0012】
本発明は、止め部材を例示したものであり、本発明では、止め部材として弾性を有するゴム製部材を使用するので、従来の止め金具に比べて、外力を緩和する能力が高く、フィルタが破損し難いという効果がある。
【0013】
(4)請求項4の発明では、ゴム製の止め部材のゴム硬度は、JIS:K6253のタイプAデュロメータによる値(評価値)が70〜85の範囲である。
本発明では、ゴム硬度の前記評価値が70以上(好ましくは75以上)であるので、保持部材に止め部材をはめ込み易く、また、ゴム硬度の前記評価値が85以下であるので、フィルタが破損し難いという効果がある。
【0014】
尚、JIS:K6253のタイプAデュロメータによる値(評価値)は、通常、国際ゴム硬さ(IRHD)の試験による評価値と一致する。
(5)請求項5の発明では、止め部材に、止め部材の先端から後端に到る様に貫く通気連通部(例えば軸中心を貫く孔)を設けたり、止め部材の外周面に沿って、止め部材の先端から後端に到る様に伸びる通気連通部(例えば軸方向と同方向に伸びる1又は複数の溝)を設けている。
【0015】
従って、フィルタ及び通気連通部を介して、センサ内部と外部との気体(ガス)の流通が可能である。
特に、止め部材の外周面に沿ってのみ溝状の通気連通部を設けた場合(特に複数の通気連通部を設けた場合)には、止め部材の内部には(自身の材質による)芯があるので、例えばセンサの外側から加締めにより保持部材を固定した場合でも、通気連通部が潰されにくく、(軸中心に通気連通部を設けた場合と比べて)通気を確保し易いという利点がある。
【0016】
(6)請求項6の発明では、通気孔を覆うフィルタに面する止め部材の先端側には、通気連通部と連通する凹部を設けている。
このフィルタに面する凹部により、フィルタと止め部材の先端表面との間には空間ができるので、フィルタを介するセンサの内部と外部との通気を十分に確保することができる。
【0017】
(7)請求項7の発明では、止め部材の外周面に沿って通気連通部を設けた場合には、通気孔を覆うフィルタに面する止め部材の先端側には、通気連通部と連通し中央部が凹んだすり鉢状の凹部を設けている。
【0018】
従って、フィルタを通過した水蒸気がフィルタの内側面にて結露した場合でも、結露した水滴は、すり鉢状の凹部の底部に溜まるので、通気連通部を通ってセンサ内部に浸入しにくいという利点がある。
【0019】
(8)請求項8の発明では、センサはガスセンサである。
本発明は、センサの種類を例示したものであり、ここでは、ガスの種類を検出したり、ガスの濃度を検出するガスセンサが挙げられる。
【0020】
このガスセンサとしては、酸素の濃度を測定する酸素センサ、NOXの濃度を測定するNOXセンサ、HCの濃度を測定するHCセンサ、COの濃度を測定するCOセンサなどが挙げられる。
【0021】
尚、ガスセンサ以外に、上述した通気構造を有するセンサとしては、例えば温度センサなどが挙げられる。
(9)請求項9の発明では、センサは、内燃機関の排気を浄化する触媒(例えば三元触媒)の下流側に配置される下流センサである。
【0022】
つまり、いわゆる下流センサ(モニタセンサ)は、排気管の下流側に取り付けられて、車体の外部に露出しているので、上述した高圧水や飛び石の影響を受け易いが、本発明の下流センサでは、上述した通気構造を備えているので、フィルタが破損し難い等の効果を発揮でき、好適である。
【0023】
尚、下流センサだけでなく、触媒の上流側に取り付けられる上流センサ(制御センサ)に、上述した通気構造を設けることにより、同様な効果を奏する。
(10)請求項10の発明では、センサが、検出素子と、検出素子を保持する主体金具と、検出素子の上端側に大気から隔離された基準ガス空間を形成する筒状部材と、筒状部材とともに基準ガス空間を形成する保持部材とを備えている。
【0024】
本発明は、センサの構成を例示したものであり、このセンサとしては、例えば、ジルコニアを主成分とする固体電解質体からなり、酸素濃度を検出する検出素子を備えた酸素センサが挙げられる。
【0025】
(11)請求項11の発明では、センサの後端側に連通部が設けられ、連通部に取り付けられた保持部材を介して、検出素子から伸びるリード線が外部に取り出される構成を備えている。
【0026】
本発明は、センサの構成を例示したものであり、このセンサとしては、保持部材を介してリード線が伸びる例えば酸素センサが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1の酸素センサを破断して示す説明図である。
【図2】実施例1の酸素センサの通気構造を拡大して示す断面図である。
【図3】実施例1の酸素センサの通気構造を示す分解斜視図である。
【図4】実施例1の止め部材を示し、(a)はその斜視図、(b)はその平面図、(c)は(b)のA−A断面図である。
【図5】実施例1の酸素センサの使用方法を示す説明図である。
【図6】実施例2の止め部材を示し、(a)はその斜視図、(b)はその平面図、(c)は(b)のA−A断面図である。
【図7】従来技術の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の通気構造を有するセンサの実施の形態の例(実施例)について説明する。
(実施例1)
本実施例の通気構造を有するセンサは、例えば自動車の排気系に取り付けられて、検出ガス(排気ガス)中の酸素濃度を測定する酸素センサ(ガスセンサ)で
ある。
【0029】
具体的には、検出素子の大気側と測定ガス側の酸素濃度の違いに基づいて起電力を発生するタイプの酸素センサであり、そのため、検出素子の大気側(センサ内部)にセンサ外部より大気を導入するための通気構造を必要とするものである。
【0030】
a)まず、本実施例の酸素センサの構成について、図1等に基づいて説明する。尚、図1は、酸素センサの全体構成を示す断面図である。
図1に示す様に、酸素センサ1は、先端が閉じた中空軸状の検出素子3と、検出素子3内に配置された軸状のセラミックヒータ5と、検出素子3を収容するケーシング7等から構成されている。
【0031】
前記検出素子3は、ZrO2を主成分とする固体電解質体からなり、その内側及び外側の表面に電極(図示せず)が形成されている。
前記ケーシング7は、金属製(JIS:SUS430)の主体金具9と金属製(JIS:SUS304)の外筒11とを軸方向に接続した筒状の容器であり、その先端側には、プロテクタ13が取り付けられ、その後端側(同図の上部)には、後に詳述する様に、保持部材(シール部材)14等を備えた通気構造15が形成されている。
【0032】
このうち、主体金具9は、その外周面に、酸素センサ1を排気管17に固定するためのネジ部19を備えるとともに、その内部に、セラミックホルダ21、23及びセラミック粉末25を収容し、検出素子3の先端側(同図の下部)を主体金具9から突出させた状態で保持している。
【0033】
前記主体金具9の上部には、筒状部9aが形成され、その筒状部9aの内側に延出したフランジ部9bが、リング27を介して、セラミックホルダ21,23及びセラミック粉末25を上方から固定している。
【0034】
また、前記主体金具9の筒状部aの外側には、前記外筒11が外嵌されており、この外筒11の内側に、セラミックス製のセパレータ29及び保持部材14等が収容されている。
【0035】
つまり、検出素子3やセラミックヒータ5からそれぞれ伸びる複数の端子金具31は、セパレータ29内部で各リード線33と接続され、各リード線33は、保持部材14を貫いて外部に伸びている。
【0036】
b)次に、本実施例の要部である酸素センサ1の通気構造15について、図2〜図4に基づいて説明する。
尚、図2は通気構造15の断面を示し、図3はそれを分解して示し、図4は止め部材を示している。
【0037】
まず、図2及び図3に示す様に、外筒11の上部の開口部(連通部)11aには、円盤状のフッソゴム製(ゴム硬度75)の保持部材(厚み6.0mm×外径φ13.9mm)14が内嵌されており、この保持部材14は、外筒11の外側から加締められることにより、気密性及び水密性を確保する様に、外筒11一体に固定されている。尚、前記ゴム硬度の値は、JIS:K6253のタイプAデュロメータによる評価値(以下同様)である。
【0038】
保持部材14の軸中心には、センサ内部と外部とを連通する通気孔(内径4.0mm)35が形成され、通気孔35の周囲には、リード線33が通されるリード線挿通孔36が、リード線33の本数に合わせて4箇所に設けられている。
【0039】
前記保持部材14の通気孔35には、撥水性フィルタ(通気フィルタ)41が、止め部材43により、図2の下方より圧入された状態で固定されている。
この通気フィルタ41は、通気性及び防水性を備えたシート状のフィルタが、通気孔35の上部の開口端側を塞ぐ様に、即ちフィルタ面41aを上にして通気孔35内部に配置されている。尚、通気フィルタ41は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のゴアテックス(商品名)により構成されている。
【0040】
一方、止め部材43は、図4に示す様に、保持部材14よりゴム硬度が大きなフッソゴム製(ゴム硬度80)の円筒状の部材であり、その軸中心には、止め部材43を軸方向に貫く通気連通部(通気連通孔:直径1.5mm)45が形成されている。
【0041】
また、通気連通部45の上部(図4(c)の上方:止め部材の押圧方向である先端側)には、通気孔35を覆う通気フィルタ41との隙間を開けるために、軸中心ほど凹んだすり鉢状の凹部47が形成されており、この凹部47に前記通気連通部45が開口している。
【0042】
更に、止め部材43の下部の外周には、止め部材43自身を通気孔35に嵌め込む際のストッパとして、外方向に環状に張り出す環状部49が設けられている。
従って、上述した構成により、通気フィルタ41は、通気孔35の内周面と止め部材43の外周面とに挟まれ、止め部材43等のゴムの弾性により、通気孔35を覆うようにして通気孔35内にて固定されている。
【0043】
c)次に、上述した酸素センサ1の製造方法を簡単に説明する。
まず、図3に示す様に、止め部材43の上部に、シート状の通気フィルタ41をかぶせ、この状態で、止め部材43を保持部材14の通気孔35に押し込む。つまり、止め部材43により通気フィルタ41を通気孔35内に圧入する。
【0044】
これにより、保持部材14、通気フィルタ41、及び止め部材43が一体になった通気ユニット51が構成される。
次に、図2に示す様に、保持部材14のリード線挿通孔36に、各リード線33を挿通させ、このリード線33を挿通した通気ユニット51を、外筒11の開口部11aに内嵌する。
【0045】
次に、外筒11の外側より例えば4点加締め等の加締めを行うことにより、保持部材14と外筒11とを、気密性及び水密性を保って結合する。
d)次に、本実施例の酸素センサ1の使用位置について、図5に基づいて説明する。
【0046】
図5に示す様に、例えば自動車の内燃機関(エンジン)51には、燃焼したガス(排気)を外部に排出するために排気管17が接続されており、排気管17の途中には、排気を浄化するために三元触媒53が取り付けられている。
【0047】
本実施例の酸素センサ1は、三元触媒53の下流側に取り付けられる下流センサ(モニタセンサ)として使用されるものであり、三元触媒から排出される排気中の酸素濃度を検出し、その信号を電子制御装置(ECU)55に出力する。
【0048】
従って、この酸素センサ1により検出された値が適切な範囲である場合には、三元触媒にて好適に排気の浄化が行われていることが分かる。
尚、本実施例の酸素センサ1と同様な構成の酸素センサ2を、三元触媒53の上流側に取り付けて、いわゆる上流側センサ(制御センサ)として使用することもできる。この場合は、エンジン51から排出された排気中の酸素濃度を検出し、その信号をECU55にて判断して、燃料供給量や吸気量等を調節することにより、好適な空燃比制御などを行うことができる。
【0049】
e)この様に、本実施例の酸素センサ1では、その通気構造15として、保持部材14の通気孔35に、弾性体であるゴム製の止め部材43により、通気フィルタ41を圧入固定している。
【0050】
従って、酸素センサ1を車両の排気管17に取り付けた場合、通気構造15近傍に、洗車時の高圧水がかかったり飛び石が当たって、瞬間的に大きな衝撃力が加わったときでも、ゴム製の止め部材43がその応力を緩和するので、通気フィルタ41は破れ難い。それにより、通気フィルタ41の(気体のみを通す)通気性及び防水性を長く維持することができる。
【0051】
また、止め部材43のゴム硬度は適度に設定されているので、上述した衝撃力を緩和できるとともに、通気フィルタ41を通気孔35に容易に圧入できる。しかも、一旦圧入した後は、止め部材43(従って通気フィルタ41)自身が脱落することがなく、しかも、通気フィルタ41の周囲に隙間ができることもない。
【0052】
更に、止め部材43の上部(通気フィルタ41に面する先端側)には、すり鉢状の凹部47が設けてあるので、通気フィルタ41の通気を妨げることがない。つまり、この凹部47により、センサ内部側に十分な空間を確保して、通気面積を広くとることができる。
(実施例2)
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0053】
本実施例は、止め部材の形状に特徴があり、その他の構成は前記実施例1と同様である。
図6に示す様に、本実施例の酸素センサにおいて、その保持部材の通気孔に、通気フィルタとともに嵌め込まれる止め部材61は、フッソゴム製の略円柱状の部材である。
【0054】
この止め部材61の下部の外周には、止め部材61自身を通気孔に嵌め込む際のストッパとして、外方向に環状に張り出す環状部63が設けられている。
また、止め部材61の外周には、その軸方向に沿って伸びる溝状の通気連通部65が等間隔で4箇所に設けられている。
【0055】
更に、通気連通部65の上部(図4(c)の上方:止め部材の押圧方向である先端側)には、通気孔を覆う通気フィルタとの隙間を開けるために、軸中心ほど凹んだすり鉢状の凹部67が形成されており、この凹部67に前記通気連通部65が開口している。
【0056】
上述した構成により、本実施例では、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、止め部材61の軸中心は中実で芯があるので、周囲から加締めた場合でも、止め部材61(従って通気連通部65)が潰れ難いという効果がある。また、複数の通気連通部65が形成されているので、一つが潰れた場合でも、通気性を確保できるという利点もある。
【0057】
更に、本実施例では、通気連通部65が止め部材61の外周に沿って形成され且つ凹部67の中央部が凹んだすり鉢状に形成されているので、通気フィルタの内側面が結露して、その水滴が落下した場合でも、水滴は凹部67の底に溜まり、水分は周囲の通気連通部65を通ってセンサ内部に浸入し難いという効果がある。
【0058】
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、前記実施例では、酸素センサを例に挙げたが、上述した通気構造を用いるものであれば、温度センサ等の各種のセンサに適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1…酸素センサ
3…固体電解質体
11…外筒
14…保持部材
35…通気孔
41…通気フィルタ
43、61…止め部材
45、65…通気連通部
47、67…凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサの内部と外部とを連通する連通部に、通気を確保するための通気孔を形成した保持部材を配置するとともに、前記通気孔を覆うように通気性及び防水性を有するフィルタを配置したセンサにおいて、
前記通気孔に嵌め込む止め部材により、前記通気孔の内周面側と前記止め部材の外周面側との間に前記フィルタを挟んで固定する構成を有するとともに、
前記止め部材を弾性体から構成することを特徴とする通気構造を有するセンサ。
【請求項2】
前記止め部材の硬度は、前記保持部材の硬度以上であることを特徴とする前記請求項1に記載の通気構造を有するセンサ。
【請求項3】
前記止め部材が、ゴム製部材であることを特徴とする前記請求項1又は2に記載の通気構造を有するセンサ。
【請求項4】
前記ゴム製の止め部材のゴム硬度は、JIS:K6253のタイプAデュロメータによる値が70〜85の範囲であることを特徴とする前記請求項2に記載の通気構造を有するセンサ。
【請求項5】
前記止め部材には、該止め部材を貫いて及び/又は該止め部材の外周面に沿って、前記通気を確保するための通気連通部を設けたことを特徴とする前記請求項1〜4のいずれかに記載の通気構造を有するセンサ。
【請求項6】
前記通気孔を覆うフィルタに面する前記止め部材の先端側には、前記通気連通部と連通する凹部を設けたことを特徴とする前記請求項1〜5のいずれかに記載の通気構造を有するセンサ。
【請求項7】
前記止め部材の外周面に沿って、前記通気を確保するための通気連通部を設けた場合には、前記通気孔を覆うフィルタに面する前記止め部材の先端側に、前記通気連通部と連通し且つその中央部が凹んだすり鉢状の凹部を設けたことを特徴とする前記請求項6に記載の通気構造を有するセンサ。
【請求項8】
前記センサが、ガスセンサであることを特徴とする前請求項1〜7のいずれかに記載の通気構造を有するセンサ。
【請求項9】
前記センサが、内燃機関の排気を浄化する触媒の下流側に配置される下流センサであることを特徴とする前請求項8に記載の通気構造を有するセンサ。
【請求項10】
前記センサが、検出素子と、前記検出素子を保持する主体金具と、前記検出素子の上端側に大気から隔離された基準ガス空間を形成する前記筒状部材と、前記筒状部材とともに前記基準ガス空間を形成する前記保持部材と、を備えたことを特徴とする前請求項8又は9に記載の通気構造を有するセンサ。
【請求項11】
前記センサの後端側に前記連通部が設けられ、該連通部に取り付けられた前記保持部材を介して、前記検出素子から伸びるリード線が外部に取り出される構成を備えたことを特徴とする前請求項10に記載の通気構造を有するセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−204123(P2010−204123A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134254(P2010−134254)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【分割の表示】特願2001−87089(P2001−87089)の分割
【原出願日】平成13年3月26日(2001.3.26)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】