説明

通気機構付きのドア装置

【課題】玄関等の室内外を仕切るような開口部に設けられる通気機構付きのドア装置において操作性が向上するように構成する。
【解決手段】内外一対の面板5、6を備え、所定のドア厚を有したドア体2に、ドア体2の内、外側面部5a、6aに対向する空間同士を通気する通気路と、該通気路を開放または閉鎖の何れかの状態に切換え保持する切換え手段14とにより構成される通気機構を設けたドア装置1を構成するにあたり、前記切換え手段14を、ドア体2の把手9とは別に設けられ、ドア体2の外側からはキーにより施錠−解錠操作される第一、第二施錠装置10、11のうちの第二施錠装置11に連繋し、第二施錠装置11の施錠操作に伴い通気路を開放状態とし、施錠装置の解錠操作に伴い通気路を閉鎖状態に切換え保持する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高層建築物、特に、集合住宅等の外部への出入り口部に設けられる通気機構付きのドア装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、建築物は高気密、高断熱を基本とする建築様式が汎用されており、特に集合住宅のような建築物では、高気密、高断熱が一般化される状態となっている。このように建築物を高気密、高断熱仕様とした場合、建物内(各住居内)において換気扇を使用した場合では建物内が負圧となり、屋外に面して外開き状に設けられる玄関ドアのようなドア装置では、開放操作が重くなるという現象が発生する。特に、二十四時間稼働する換気装置が設置された住宅において、調理等により別途換気装置がさらに稼働しているような場合では、住居内の気圧が一層低下してドア体内外の差圧が大きくなり開放操作がさらに重くなって操作し難くなるが、これに加えてドア体に風圧が作用するような環境下では、子供のように非力な操作者にとってはドア体を開放できないようなことも想定される。
そこで、ドア体に、ドア体の内外を通気する通気路(通気孔)と、該通気路を開閉何れかの状態に切換えて保持する切換え手段とが設けられた通気機構付きのドア装置として、ドア体を開放する際に通気路を開放状態として住居内外の差圧を解消できるようにしたものが提唱されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−136679号公報
【特許文献2】特開2010−174502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1のものは、通気路をドア体の内外面板に開設された開口により構成する一方、前記開口の間に位置してドア厚内に設けられ、回転変位することで開口同士を連通状態とする通気姿勢と、連通状態を遮断する遮断姿勢とに変姿する開閉板を切換え手段として構成している。そして、開閉板をドア体の施錠装置に兼用されるグレモン錠の操作ハンドルに連繋し、操作ハンドルの回転操作に伴いドア体の解錠と同時に開閉板が回転して通気姿勢となることで通気路を開放し、ドア体の内外を通気するようにしている。しかるに、このものでは、ドア体を開放操作するべく操作ハンドルを解錠操作(回転操作)するのと同時に通気路による通気がなされる構成となっている。このため、操作ハンドルを回転操作しつつドア体を押し、あるいは、引き操作する一連の操作でドア体を開放しようとした場合に、通気路が通気状態になるのと同時に押し、あるいは、引き操作がなされることになるので、解錠操作から押し、あるいは、引き操作までの時間差が殆どなく、通気路による通気(差圧解消)が充分でないことがあり、このような状態ではドア体の開放操作が重く、円滑な開放操作ができないため、解錠操作から適宜時間差を持って開放しなければならないという問題があり、操作性に劣る。さらに、このものでは、外部に露出するドア体の外側面部に開口が開設されているばかりでなく、開閉板の通気姿勢では前記開口を介して開閉板が臨まれて意匠性に劣るという問題もある。
また、特許文献2のものは、ドア体の一部を切欠いた切欠き部を通気路として構成する一方、切換え手段としてドア体の前記切欠き部を開閉するべくドア厚内においてスライド移動するスライド板を用いて構成し、前記スライド板をロック機構により切欠き部に保持する(ロックする)構成となっている。そして、ドア体を開放操作する場合では、まず、ドア体の施錠装置に兼用可能なロック機構を解除した後、スライド板を手動によりスライド移動させて切欠き部を開放して通気状態とし、その後、ドア体の操作ハンドルを把持してドア体を開放操作するという手順となっており、ロック手段の解除、スライド板の開放操作、ドア体の開放操作という三段階の操作が必要となっている。このため、ドア体を開放操作するまでに内外の差圧を解消する時間が確保できてドア体の開放操作は軽快になるが、三段階の操作が必要になる分、操作性に劣るという問題がある。さらに、このものにおいても、通気路となる開口がドア体の外部に露出する外面板に形成されるため意匠性が損なわれるという問題がある。
そこで、玄関ドアのように日常的に、しかも、老若男女が頻繁に開閉操作することになるドア装置では、内外の差圧の解消が十分に図れて円滑な開放操作ができるとともに、操作性、意匠性に優れ、そのうえ、防犯性、気密性にも優れた通気機構付きのドア装置が提供されることが強く要望され、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、内外一対の面板を備え、所定のドア厚を有したドア体に、ドア体の内外面に対向する空間同士を通気する通気路と、該通気路を開放または閉鎖の何れかの状態に切換え保持する切換え手段とにより構成される通気機構を設けたドア装置において、前記通気機構の切換え手段を、ドア体の開閉操作用の操作具とは別に設けられ、ドア体外側からはキーにより施錠−解錠操作される施錠装置に連繋し、前記施錠装置の施錠操作に伴い通気路を閉鎖状態とし、施錠装置の解錠操作に伴い通気路を開放状態に切換え保持するように構成したことを特徴とする通気機構付きのドア装置である。
請求項2の発明において、通気機構の切換え手段は、通気路を開閉する通気路開閉部材と、該通気路開閉部材を通気路の開放をする開放姿勢または閉鎖する閉鎖姿勢の何れかの姿勢に切換える作動プレートとを備えて構成し、作動プレートに、施錠装置の施錠−解錠操作に伴い上下方向に変位する作動ロッドを連繋するとともに、作動プレートを付勢弾機により作動ロッドとの連繋部に向けて付勢し、作動ロッドと作動プレートとの連繋を離接自在としたことを特徴とする請求項1に記載の通気機構付きのドア装置である。
請求項3の発明において、作動ロッドは、施錠装置から作動プレートに至る中間部に、作動プレートを付勢する付勢弾機よりも大きい付勢力を備えた非常用付勢弾機が介装されていることを特徴とする請求項2に記載の通気機構付きのドア装置である。
請求項4の発明において、通気機構の通気路は、ドア体の下端面に開設した下側開口からドア体の内面板に開設した内側開口に至るように構成され、切換え手段の通気路開閉部材を、下側開口と内側開口とのあいだに位置して設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の通気機構付きのドア装置である。
請求項5の発明において、通気機構の下側開口は、内外方向中間部に段差部が形成された下端面に形成され、下端面と床側面との対向間隔を、段差部の外側部位が内側部位よりも広く確保したことを特徴とする請求項4に記載の通気機構付きのドア装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、操作性、防犯性に優れるとともに、ドア体の開放操作を円滑、かつ、軽快に行なうことができる。
請求項2の発明とすることにより、ドア体に通気機構を組込む作業が容易になり、しかも、切換え手段側部材と施錠装置側部材との分割が容易でメンテナンス性に優れる。
請求項3の発明とすることにより、切換え手段の作動不良があっても施錠装置が不作動とならないようにすることができる。
請求項4の発明とすることにより、ドア体の外面板に開口が形成されることがなく、意匠性に優れたドア体とすることができる。
請求項5の発明とすることにより、通気性のさらなる向上が図れて、差圧解消時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1(A)、(B)はそれぞれ通気機構付きのドア装置の正面図、背面図である。
【図2】図2(A)、(B)はそれぞれ図1(A)のX−X断面図、Y−Y断面図である。
【図3】図3(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれ要部の左側面図、正面図、右側面図、底面図、図3(E)はベースフレームの底面図である。
【図4】図4(A)、(B)、(C)、(D)、(E)はそれぞれ切換え装置の左側面図、正面図、右側面図、図4(B)のX−X断面図、底面図である。
【図5】図3(B)のX−X断面図である。
【図6】図6(A)は通気機構の閉鎖状態を説明する要部の正面図、図6(B)は通気機構の通気状態を説明する要部の正面図である。
【図7】図7(A)切換え手段の斜視図、図7(B)は切換え手段の閉鎖状態を説明する斜視図、図7(C)は切換え手段の通気状態を説明する斜視図である。
【図8】第二の実施の形態におけるドア装置の内部側からの正面図である。
【図9】図9(A)は第三の実施の形態における通気機構の閉鎖状態を説明する要部の正面図、図9(B)は第三の実施の形態における通気機構の通気状態を説明する要部の正面図である。
【図10】第四の実施の形態における通気機構と施錠装置との作用を説明する要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の第一の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図面において、1は集合住宅の玄関口に設けられるドア装置であって、該ドア装置1を構成するドア体2は、躯体の開口部に固定される四周枠3の一側部である戸尻側枠体3aとのあいだに設けられる上下方向三箇所の丁番4を介して揺動自在に設けられており、開口部を外開き式に開放する全開姿勢と開口部を閉鎖する全閉姿勢とのあいだを開閉揺動するように構成されている。前記ドア体2は、室内外一対(表裏一対)の内、外面板5、6の上下、左右の四周端縁部を適宜折曲することにより、ドア体2の内、外側面部5a、6aと、ドア厚方向の端面(上下左右端面)とが形成されて、内、外側面部5a、6aの対向間にコア材7を介装することにより所定のドア厚を有したものに構成されている。尚、8はドア体2の左右端部および上端部に内装される骨材、6bは外側面部6aの戸先側に折曲形成された召し合わせ部、5bは内側面部5aの戸先側端縁から召し合わせ部6aに突当てるように折曲して形成された戸先側端面である。
【0009】
また、ドア体2の内、外側面部5a、6aには、後述するように、施錠−解錠用のラッチボルト9aが設けられ、本発明の開閉操作用の操作具に相当する把手9(操作具)がそれぞれ設けられている。さらに、これら内外一対の把手9の上下端部には、それぞれ上下一対の第一、第二施錠装置10、11が設けられている。前記第一、第二施錠装置10、11はそれぞれシリンダー錠で構成されており、それぞれ屋内側に設けられるサムターン10a、11aの操作、屋外側に設けられるキー穴10b、11bへのキー(図示せず)操作によりデッドボルト10c、11cが出没して、戸先側枠体3bに設けた係止受け孔3dに係脱することにより、ドア体2が施錠される施錠姿勢とドア体2の開放が許容される解錠姿勢とに変姿するように構成されている。また、前記内外一対の把手9に設けられる前記ラッチボルト9aは、ドア体2に対して出没自在に連繋されており、ドア体2が全閉姿勢になることに伴い四周枠3の戸先側枠体3bに設けた係止受け孔3dに自動的に没入して係止(施錠)されるように構成されている。そして、ドア体2を開放操作する場合では、第一、第二施錠装置10、11の両者をそれぞれ解錠状態とし、把手9をそれぞれの操作方向へ操作(押し、引き操作)することにより、ラッチボルト9aがドア体2側に没入して戸先側枠体3bの係止受け孔3dとの係止解除(解錠)がなされ、そのまま把手9を介してドア体2を操作方向へ押しやることで開放されるように構成されている。
【0010】
一方、前記ドア体2の下端部はコア材7が介装されることはなく、ドア厚内が空洞となるように形成されている。また、ドア体2の下端面は、図2に示すように、内、外側面部5a、6aの下端縁からそれぞれ近接する方向に折曲した内側折曲片5cと外側折曲片6cとにより構成されるが、これら内、外側折曲片5c、6cの先端縁同士は、互いに所定間隙を存して水平方向に離間して形成されているとともに、左右方向四箇所において内、外側折曲片5c、6cを切欠くことにより本発明の下側開口2aが形成されている。さらに、ドア体2の下端面を構成する外側折曲片6cは内側折曲片5cより高位で折曲することにより、内、外側折曲片5c、6cにより構成される下端面に段差部が形成されている。これによって、外側折曲片6cと四周枠3を構成する下枠体3cとの対向間隔(隙間)は、内側折曲片5cと下枠体3cとの対向間隔よりも広く確保されるように形成されている。
一方、ドア体2を構成する内側面部5aの下端部であって、コア材7が介装されない空洞部に対向する部位には、左右方向に長い長方形状の内側開口5dが内側面部5aの下端縁とのあいだに所定間隙を存する部位に位置して形成されている。前記内側開口5dは、該内側開口5dよりも小さい外形状をしたフード体5eにより覆蓋されるように構成されており、これによって、前記下端開口2aと内側開口5dとフード体5eとのあいだの隙間H(以降、隙間Hを内側開口5dとして説明する)とが連通状となって、ドア体2の内外を通気するように構成されている。そして、下側開口2aから内側開口5dに至る空気流路が本発明の通気機構を構成する通気路に相当しており、通気路用の開口が外部に対向する外側面部6a側に形成されることがなく、外部に露出する外側面部6aの意匠を損なわない配慮がなされている。そして、本実施の形態では、前述したように、外側折曲片6cと下枠体3cとの対向間隔(隙間)が内側折曲片5c部位に形成される隙間よりも広く確保されており、これによって、閉鎖性、防犯性を損なうことなくドア体2の外側からの空気を取り込みやすくなるように構成されている。
【0011】
12はドア体2の下端部に配される補強用の下側骨材であって、該下側骨材12は、図2、5に示すように、ドア体2の内、外側面部5a、6aの下端部位からドア体2の下端面となる内外折曲片5c、6cに当接状に配されるよう略U字状に形成されているが、下側骨材12の底片は、内外折曲片5b、6bの形状に沿うべく内、外底片12a、12bと、これらの間に位置する段差部12cとにより構成されている。そして、下側骨材12の底片である内、外底片12a、12b、段差部12cを、下側開口2aと同位置となる左右方向四箇所において切欠くことにより、四箇所の下側通気用開口12dが前記四箇所の下端開口2aと連通する状態で形成されている。
また、下側骨材12の上方部位であって、ドア体2下端部のコア材7が収容されていない空洞部に、ベースフレーム13が設けられている。前記ベースフレーム13はドア体2のドア幅方向と略同様の横幅を有し、図2、3、5に示すように、内、外側面部5a、6aの内側に当接状に設けられる内、外片部13a、13bを備え、左右方向に貫通する筒孔を有した角筒形状に形成されており、内面板5に沿う内片部13aには、内側開口5dに連通する内側通気用開口13cが開設されている。さらに、下側骨材12の内、外底片12a、12bに対向する下片部13dには、下側開口2a、および、下側骨材12の下側通気用開口12dに略同位置となる左右方向四箇所に下側通気用開口13eが切欠き形成されており、前記各開口2a、12dに連通するように構成されている。
【0012】
そして、前記ベースフレーム13により囲繞されるドア厚内の空間に、本発明の通気機構を構成する切換え手段14が収容されるが、前記切換え手段14は、図2、5に示すように、ベースフレーム13の下片部13dに載置状に設けられる本体ケース15を備えて構成されている。前記本体ケース15は、図4、5に示すように、内外一対の内、外側片15a、15b、上、下側片15c、15d、左、右側片15e、15fを備え、ドア体2の左右幅よりは幅狭に設定された略直方体形状の空間を形成するように構成されている。そして、下側片15dには、ベースフレーム13、下側骨材12とに形成されるそれぞれ四箇所の下側通気用開口13c、12dとの対向部位に位置して下側通気用開口15gが左右方向に長く形成されている。
一方、前記内側片15aの上下方向中間部には段差部15hが形成されており、段差部15hの上方部位は外側面部6a側に退避する状態でドア体2の内側開口5dに対向するように構成されている。前記段差部15hの上方部位となる内側片15aには、内側開口5d対向部位に位置して複数の内側通気用開口15i(本実施の形態では、左右方向に三つのものが上下方向に二列で、都合六つの内側通気用開口)が形成されている。尚、本実施の形態では、内側通気用開口15iに防虫網15jが設けられているが、該防虫網15jは必要において設ければよく、設置箇所としては各開口2a、12d、13c、15g等、適宜箇所に設けてもよい。
これによって、ドア体2の内外の空気は、例えば室内側の気圧が低下して外部の空気が下側開口2aから流入された場合では、ドア体2の下側開口2a、下側骨材12、ベースフレーム13、本体ケース15の各下側通気用開口12d、13c、15gから本体ケース15内に流入し、本体ケース15、ベースフレーム13の各内側通気用貫通孔15i、13cを経由して内側開口5dからドア体2の内部に流入するように構成されており、このようにしてドア体2の内外が連通して通気状態となるように構成されている。
【0013】
そして、本体ケース15の下端部であって、下側開口2aと内側開口5aのあいだの位置、即ち、下側通気用開口15gより上位で内側通気用開口15iよりも下方となる位置に、通気路の通気を開閉する本発明の通気路開閉部材に相当する仕切り体16が内装されている。前記仕切り体16は、本体ケース15の左右方向長さと略同長さの長尺板材で形成されており、短尺方向の板幅は、内、外側片15a、15b下端部の対向間と略同様の長さに設定されている。前記仕切り体16の左右両端部には、板幅、板厚中心と同芯状の支軸16aが左右方向外方に向けて突出しており、これら突出部が、本体ケース15の左、右側片15e、15fに回転自在に貫通支持されている。そして、左右の支軸16aは、左、右側片15e、15fから外方に突出する貫通端部に、回転体16bの軸芯部がそれぞれ一体的に外嵌固定されている。さらに、本体ケース15の内、外側片15a、15bには仕切り体16対向部位に位置して左右方向長尺状のストッパ片16c、16dがそれぞれ一体的に設けられている。そして、仕切り体16は、支軸16aを軸芯として回転体16bとともに一体回転するように構成されており、内、外側片15a、15bの対向間に起立する開放姿勢となった状態では、下側開口2aから内側開口5dに至る通気路(通気機構)を通気状態(連通状態、開放状態)として、ドア体2の内外を通気するように構成されている。また、仕切り体16が水平状態となって内外端縁部がそれぞれストッパ片16c、16dに当接する閉鎖姿勢となった状態では、下側開口2aから内側開口5dに至る通気路(通気機構)の通気を遮断状態(閉鎖状態)として、ドア体2の内外の通気を遮断するように構成されている。そして、一方の回転体(本実施の形態では図4(B)において図面向かって右側の回転体)16bの左右方向外側面には突起16eが一体的に突出形成されている。
【0014】
尚、本体ケース15は、左右両端部にそれぞれドア体2に取付けるための左、右側取付け片15k、15mが一体的に形成されている。これら取付け片15k、15mは、それぞれ本体ケース15の外側片15bを延出することにより形成されており、各取付け片15k、15mの左右方向外端縁には内側に向けて折曲された取付けプレート15n、15pが形成されている。そして、右側取付け片15m側に突起16e付きの回転体16bが配設されている。
また、内側開口5dに対して隙間Hを存して設けられるフード体5eは、本体フレーム15の段差部15hよりも上方の内側片5aに固定されるように構成されており、内面板5と同材料の板材を用いて形成されていて内側からの意匠が損なわれないように配慮されている。
【0015】
一方、ドア体2の第一、第二施錠装置10、11のうち、下側に設けられている第二施錠装置11には、下方に延出する第一作動ロッド11dが上下方向移動自在に設けられている。そして、第一作動ロッド11dは、サムターン11a、鍵孔11bに挿し込まれたキーの操作により、施錠姿勢となることに連動して下側の施錠位置に下動し、解錠姿勢となることに連動して上側の解錠位置に上動するように構成されている。さらに、前記第一作動ロッド11dの先端には、切換え手段14を構成する本体ケース15の右側取付け片15mに近接する部位に達する第二作動ロッド11eが着脱自在に連結され、第一作動ロッド11dとともに一体に上下動するように構成されている。尚、11fは第二作動ロッド11eの上下動を移動案内するガイド体である。
【0016】
また、本体ケース15の右側取付け片15mには、室内方に向けて突出する固定プレート15rが設けられており、該固定プレート15rの下端部には左側に向けて折曲する下側弾機受け片15sが形成されている。そして、図4、6、7に示すように、固定プレート15rに、第一、第二作動ロッド11d、11eと仕切り体16とを連動連結する作動プレート18が上下方向移動自在に設けられている。
前記作動プレート18は右側取付け片15mに対して直交するプレート面を有して構成され、固定プレート15rの弾機受け片15sの上方部位に積層し、固定プレート15rに対し、前記第一、第二作動ロッド11d、11eと同様の移動幅(施錠位置と解錠位置とのあいだの移動幅)において上下方向にスライド移動自在に支持される支持片部18aを備えて構成されている。さらに、作動プレート18は、支持片部18aの上端部から左側に向けて折曲形成され第二作動ロッド11eの下端部が連繋される(離接自在に当接する)当接片18bと、支持片部18aの下端部から左側に向けて折曲形成され、固定プレート15rの下側弾機受け片15sに対し所定間隙を存して上側から対向する上側弾機受け片18cと、該上側弾機受け片18cの左側端縁から下方に延出し、回転体16bの右端面に摺動自在となる作動片18dとを備えて構成されている。前記作動片18dには、内側端縁から外側に向けて長孔18eが開設されており、該長孔18eに回転体16bの突起16eが孔長方向移動自在な状態で遊嵌している。そして、作動体18が固定プレート15rに対して所定の移動幅において上下動することに伴い、作動片18dの長孔内に位置する突起16eが長孔18eの孔長方向(内外方向)に変位しながら所定の上側位置と下側位置とのあいだを変位し、これによって、回転体16bが強制的に回転せしめられて仕切り体16を前記開放姿勢と閉鎖姿勢とに回転変姿させるように構成されている。また、上側弾機受け片18cと下側弾機受け片15sとのあいだには付勢弾機18fが介装されており、ガイドピン18gにガイドされる状態で作動プレート18を上方に向けて付勢することにより、当接片18bが第二作動ロッド11eに弾圧状に当接するとともに、突起16eを上側位置(仕切り体16の開放姿勢)に向けて付勢するように構成されている。
【0017】
そして、第二施錠装置11のデッドボルト11cが係止孔3dに係止する第二施錠装置11の施錠姿勢では、図6(A)、図7(B)に示すように、第一、第二作動ロッド11d、11eは付勢弾機18fの付勢力に抗して作動プレート18を下動せしめる状態で下側の施錠位置に位置しており、この状態において、通気機構の仕切り体16は、突起16eが下側位置に強制変位せしめられており、これによって、仕切り体16が閉鎖姿勢に保持されて通気路を閉鎖し、通気機構を閉鎖状態(遮断状態)としてドア体2内外の通気が遮断されるように構成されている。これに対し、第二施錠装置11のデッドボルト11cが係止孔3dとの係止が解除される第二施錠装置11の解錠姿勢では、図6(B)、図7(C)に示すように、第一、第二作動ロッド11d、11eが上側の解錠位置に位置しており、この状態では、付勢弾機18fの付勢力を受けて作動プレート18が第一、第二作動ロッド11d、11eの変位に追随して上動するように構成されている。これによって、通気機構の仕切り体16は、突起16eが上側位置に強制変位せしめられ、仕切り体16が開放姿勢に保持されて通気路を開放し、通気機構を通気状態としてドア体2内外の通気がなされるように構成されている。このように、仕切り体16は、第二施錠装置11のサムターン11a、鍵孔11bに挿し込まれたキーの操作により開放姿勢、閉鎖姿勢の何れかに切換え保持されるように構成されている。
尚、仕切り体16と第二施錠装置11とは、前述したように第二施錠装置11の施錠操作に伴い仕切り体16を閉鎖姿勢に保持し、解錠操作に伴い開放姿勢に保持する構成であればどのような連繋構成であってもよい。
【0018】
このように構成された通気機構付きのドア装置1において、ドア体2を開放操作する場合では、ドア体2により仕切られる室内外(内、外側面部5a、6aに対向する空間同士の間)に差圧が生じている、いないにかかわらず、第一、第二施錠装置10、11を解錠姿勢に操作し、その後、把手9を把持して押し、あるいは、引き操作して開放することになるが、このとき、第二施錠装置11は通気機構に連繋されており、第二施錠装置11を解錠姿勢にすることにより、ドア体2が解錠状態となるとともに、通気機構が通気状態となって室内外の通気がなされるように構成されている。そして、室内外に気圧差が発生している場合では、第一、第二施錠装置10、11の解錠操作から把手9を把持するまでのあいだに生じる時間差が、通気機構によりドア体2の室内外を通気するのに充分な時間となって、室内外の差圧が解消されるように構成されている。この結果、室内外に差圧が生じている場合であっても通常の解錠操作を行うことでドア体2を円滑、かつ、軽快に開放操作(開放動作)することができ、操作性のよいドア装置1となるように構成されている。
そして、ドア体2に設けられた通気機構は、ドア体2の外部からは第二施錠装置11を解錠操作することにより切換えられるものであり、これによって、悪戯されることがなく防犯性を確保できるように構成されている。また、通気機構は、第二施錠装置11の解錠操作によるワンアクションの操作により仕切り体16を開放姿勢または閉鎖姿勢の何れかに切換えて保持されるように構成されており、これによって、操作性に優れるように構成されている。
尚、19は切換え手段14の下端部であって、仕切り体16の下方に設けられた防火ダンパであって、該防火ダンパ19は、予め設定された高温になることに伴い、本体ケース15の内、外側片15a、15bの対向間を閉鎖して、ドア体2の通気路を強制閉鎖するように構成されている。
【0019】
ここで、本発明が実施された通気機構は、通気機構の切換え手段14と、該切換え手段を切換える操作具である第二施錠装置11とが上下方向に離れた位置となっている。このため、このようなドア体2を組立てるには、第一作動ロッド11d付きの第二施錠装置11と切換え手段14とをそれぞれ個別に組込み、該組込んだ状態で第一作動ロッド11dと切換え手段14の作動プレート18とを第二作動ロッド11eを用いて連動連結するように構成されている。この場合に、切換え手段14は、予め仕切り体16等の部材が組込まれた状態として、ドア体2の戸先側端面5bに開設された貫通孔を介してドア厚内の空洞部に挿入されるように構成されており、本体ケース15の左右端部に設けられている取付けプレート15n、15pを、ドア体2の戸尻側端面と、戸先側端面5bに開設された貫通孔を覆蓋するべく当てがわれるプレート体2bとに固定することにより、ドア厚内に収容されるように構成されている。
一方、上下方向に長い第二作動ロッド11eは、予めドア体2内に設けたガイド体11fを用いて仮組込みするように構成されており、第二施錠装置11と切換え手段14とが組込まれた段階で、第二作動ロッド11eの上端部を第一作動ロッド11dに連結するとともに、第二作動ロッド11eの下端部を、付勢弾機18fにより上方に向けて付勢された作動プレート18の当接片18bに当接させることにより、第一作動ロッド11dと作動プレート18とが弾圧状に連動連結されるように構成されている。この作動プレート18と第二作動ロッド11eとの連結工程において、作動プレート18は付勢弾機18fにより第二作動ロッド11eとの連結部側に付勢されているため、作動プレート18を付勢弾機18fの付勢力に抗して下方に押しやり、第二作動ロッド11eの下端部を当接片18bの上方に位置せしめ、その状態から付勢弾機18fの付勢力を作動プレート18に作用させることで、第二作動ロッド11eに対して当接片18bが弾圧状に当接し、これによって、第二作動ロッド11eと当接片18bとが離接自在な組込み状態となるように構成されており、このように組込むことにより、通気機構を容易にドア体2に組込めるように構成されている。
また、第二作動ロッド11e(第二施錠装置11側部材)と作動プレート18(切換え手段14側部材)との連繋が離接自在な当接状態であることにより、施錠装置側部材と切換え手段側部材とを容易に分割することができ、例えば切換え手段14の交換棟のメンテナンスが容易にできるように構成されている。さらに、仕切り体16が閉鎖姿勢のまま不作動になって作動プレート18が下動した位置に保持されたような場合に、第二作動ロッド11eが当接片18bから離間する状態で上動して、第二施錠装置11を解錠状態にすることができ、切換え手段14の不作動で第二施錠装置11が施錠されたままとなってしまうような不具合がないように構成されている。
尚、作動プレート18の当接片18bと第二作動ロッド11eとを一体的な連結とすることも可能であり、この場合では、付勢弾機18fを不要とすることができる。
【0020】
叙述の如く構成された本形態において、ドア装置1の通気機構は、ドア体2の内、外側面部5a、6aに対向する空間同士(室内外)を通気するべく開設された下側開口2aと内側開口5aとにより構成される通気路と、該通気路を開放状態、閉鎖状態の何れかに保持する切換え手段14とにより構成されている。そして、前記切換え手段14は、ドア体2のドア厚内に形成された空洞部に収容され、切換え手段14を切換える操作具として、ドア体2に複数設けられる第一、第二施錠装置10、11のうちの第二施錠装置11が兼用されており、該第二施錠装置11の操作に連繋して通気路を開閉何れかの状態に切換え保持することができる。このため、ドア体2を通気状態、遮断状態にするための操作とともに第二施錠装置11を施錠−解錠姿勢にする操作をワンアクションにより同時に行なうことができて、操作性に優れる。
また、切換え手段14はドア体2の外部からは第二施錠装置11を施解錠するためのキーを保持している者のみが操作することができて、悪戯によって切換え手段14が切換えられてしまうような不具合もなく、防犯性に優れる。
さらに、ドア体2を開放するための通常の操作、即ち、第一、第二施錠装置10、11を解錠操作して、その後、ドア体2の把手9を把持するという操作を行なうことにより、解錠操作からドア体1が開放されるまでのあいだの時間差により室内外に生じた差圧を解消して、円滑、かつ、軽快にドア体2を開放操作することができる。この結果、従来の操作ハンドルに通気機構が連繋されたもののように、通気機構が通気状態となるのと同時にドア体の開放操作をした場合では差圧解消が十分でなくドア体の開放操作が重くなってしまうような不具合が確実に防止され、室内外に差圧が生じている、いないにかかわらず、通常のドア体2の開放操作を行なうことにより、ドア体2を円滑、かつ、軽快に開放することができる。
さらには、ドア体2は、第一施錠装置10を施錠した状態で第二施錠装置11を解錠することにより、ドア体2を施錠した状態において、切換え手段14を通気状態、遮断状態の何れの状態にもすることができ、防犯性を損なうことなくドア体2の内外の通気を行なうことができて、高温となる季節に室内の通風ができるという利点もある。
【0021】
このように、本発明が実施されたものにあっては、通気機構の切換え手段14は、通気路を開閉する仕切り体16と、該仕切り体16を通気路の開放をする開放姿勢または閉鎖する閉鎖姿勢の何れかの姿勢に切換える作動プレート18とを備えて構成し、作動プレート18に、第二施錠装置11の施錠−解錠操作に伴い上下方向に変位する第一、第二作動ロッド11d、11eを連繋する構成とするとともに、作動プレート18を、付勢弾機18fにより第二作動ロッド11eとの連繋部に向けて付勢することにより、第二作動ロッド11eと作動プレート18との連繋が単に当接するだけの離接自在な連繋状態となっている。この結果、作動プレート18に第一作動ロッド11d側部材である第二作動ロッド11eを直接一体化する必要がなく、ドア体2に第一作動ロッド11d付きの第二施錠装置11と切換え手段14とを個別に組込んだ状態で、これらをドア厚内において容易に連動連結させることができ、組込み作業が容易になるばかりでなく、例えば切換え手段14の交換が必要になったような場合に、容易に交換作業ができるという利点もある。
そのうえ、仕切り体16が閉鎖姿勢のまま不作動になって作動プレート18が下動した位置に保持されたような場合に、第二作動ロッド11eが当接片18bから離間する状態で上動して、第二施錠装置11を解錠状態にすることができ、切換え手段14の不作動で第二施錠装置11が施錠されたままとなってしまうような不具合を確実に防止できる。
【0022】
ドア体2の内外の差圧を操作性よく解消して軽快なドア体2の開放操作ができるものであるが、このものでは、通気機構を構成する通気路がドア体2の下端面を構成する内、外側折曲片5c、6cに開設される下側開口2aと、内側面部5aの下端部に開設される内側開口5dとにより構成され、切換え手段14を構成する通気路開閉部材である仕切り体16が、ド下側開口2aと内側開口5aとのあいだに設けられているため、ドア体2の外部に露出する外側面部6aに開口が形成されることがなく、意匠性に優れたドア体2とすることができる。
【0023】
さらに、このものでは、ドア体2の下端面が、内外方向中間部に段差部が形成され、段差部の外側部位となる外側折曲片6cと床側面となる下枠体3cとの対向間隔が、内側折曲片5cと下枠体3cとの対向間隔よりも広くなっているので、ドア体2の外部からの空気を内部に取り込みやすく、通気機構による通気が一層促進された差圧解消に要する時間をさらに短縮することができる。
【0024】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されないことは勿論であって、図8に示す第二の実施の形態のようにすることもできる。
前記第二の実施の形態において、通気機構付きのドア体20は、内外一対の内、外面板21、22で構成し、下側開口(図示せず)と内側開口21aとにより通気路が構成され、これら下側開口と内側開口21aとのあいだに位置して切換え手段23の仕切り体(図示せず)が設けられている。そして、切換え手段23を操作する操作具を、ドア体20に設けられた第一、第二施錠装置24、25のうちの第二施錠装置25側としたこと等、基本構成は前記第一の実施の形態と同様と構成となっており、前記第一の実施の形態と同様の効果を得られるように構成されている。そして、このものでは、内側開口21aに対し四周回りに所定間隙Hを存して塞ぐフード体21bに、複数の貫通孔21cが開設されている。これによって、第二の実施の形態の通気機構においては、内側開口21a側の空気流量を多くすることができて、ドア体20内外の通気が一層促進されて、差圧解消時間をさらに短縮できる。
【0025】
さらに、図9に示す第三の実施の形態のようにすることもできる。
前記第三の実施の形態において、第二施錠装置26に設けられる第一作動ロッド26aを、第二施錠装置26の施錠操作に伴い上動し、解錠操作に伴い下動するように設けて、第一作動ロッド26aに連結された第二作動ロッド26bが切換え手段27の作動プレート27aに連動連結されている。そして、第二施錠装置26の施錠状態では、図9(A)に示すように、付勢弾機27bの付勢力を受けて上方に向けて付勢された作動プレート27aが仕切り体27cを閉鎖姿勢とし、第二施錠装置26の解錠状態では、図9(B)に示すように、付勢弾機27bの付勢力に抗して作動プレート27aが仕切り体27cを開放姿勢とするように構成されている。そして、このようにした場合では、仕切り体27cが付勢弾機27bの付勢力を受ける状態で閉鎖姿勢となっているため、仕切り体27cが図示しないストッパ片に弾圧状に当接して確実な遮断がなされるという利点がある。
【0026】
また、図10に示す第四の実施の形態のようにすることもできる。
前記第四の実施の形態において、基本構成は前記第一の実施の形態と同様であり、同様の部材構成については第一の実施の形態と同様の符号を付すことにより説明を省略する。このものでは、第二施錠装置28から延出する第一作動ロッド28aに連結される第二作動ロッド28bには、中間部に位置して非常用付勢弾機29が介装されている。前記非常用付勢弾機29は、切換え手段14の作動プレート18を付勢する付勢弾機18fの付勢力よりも大きい付勢力に設定されている。そして、通常の使用状態では、第二施錠装置28の施錠操作に伴い第一、第二作動ロッド28a、28bが下動した場合では、非常用付勢弾機29が干渉することはなく、付勢弾機18fの付勢力に抗して作動プレート18を下動せしめて仕切り体16を閉鎖姿勢とし、第二施錠装置28の解錠操作に伴い第一、第二作動ロッド28a、28bが上動した場合では、付勢弾機18fの付勢力を受けて作動プレート18を上動せしめて仕切り体16を開放姿勢とするように構成されている。
これに対し、不測の事態が生じて切換え手段14の仕切り体16が通気姿勢のまま不作動になって、作動プレート18が上動した位置に保持されてしまったような場合では、第二施錠装置28の施錠操作に伴い、第一作動ロッド28aと、第二作動ロッド28bの非常用付勢弾機29の上側部位が、非常用付勢弾機29の付勢力に抗して下動することで、第二施錠装置28を施錠状態にすることができるように構成されている。
また、仕切り体16が閉鎖姿勢のまま不作動になって作動プレート18が下動した位置に保持された場合では、前述したように、第二作動ロッド28bが作動プレート18の当接片18bから離間する状態で上動して、第二施錠装置28を解錠状態にすることができるように構成されている。これによって、非常用付勢弾機29を設けることにより、切換え手段14にどのような不測の事態が発生しても、第二施錠装置28の施錠−解錠の機能を損なうことがないようにできる。
因みに、非常用付勢弾機は作動ロッドの中間部であって、作動プレートに至るまでのどの部位に介装されていてもよく、要は、作動プレートが上位に保持されて作動ロッドの上下方向の変位が規制されるような場合に、作動ロッドの施錠装置側の部位の上下方向変位を許容して施錠装置の操作が損なわれないような構成であればどのような構成であってもよい。
尚、通気機構の通気路を、ドア体の上端面に開設される上側開口と内側面部に開設される内側開口とにより構成し、切換え手段をドア体の上部に設ける構成としてもよく、この場合に、把手の上方に設けられる施錠装置に上方に延出する作動ロッドを設け、該作動ロッドと切換え手段とを連繋する構成とすることにより構成の簡略化を図れる。
また、本発明は、ドア装置として、前記実施の形態のように外開き式のもの以外に、内開き式のドア装置に対しても採用することができる。
さらに、切換え手段としては、仕切り体の開放姿勢、閉鎖姿勢への変姿を、施錠装置の解錠操作、施錠操作に伴い作動する電気的な機構により行う構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、建築物、特に、高気密、高断熱仕様の建築物の外部への出入り口部に設けられるドア装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 ドア装置
2 ドア体
2a 下側開口
3 四周枠
3c 下枠体
5 内面板
5a 内側面部
5c 内側折曲片
5d 内側開口
5e フード体
6 外面板
10 第一施錠装置
11 第二施錠装置
11d 第一作動ロッド
11e 第二作動ロッド
13 ベースフレーム
14 切換え手段
15 本体ケース
16 仕切り体
16b 回転体
16e 突起
18 作動プレート
18d 作動片
19 防火ダンパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内外一対の面板を備え、所定のドア厚を有したドア体に、ドア体の内外面に対向する空間同士を通気する通気路と、該通気路を開放または閉鎖の何れかの状態に切換え保持する切換え手段とにより構成される通気機構を設けたドア装置において、前記通気機構の切換え手段を、ドア体の開閉操作用の操作具とは別に設けられ、ドア体外側からはキーにより施錠−解錠操作される施錠装置に連繋し、前記施錠装置の施錠操作に伴い通気路を閉鎖状態とし、施錠装置の解錠操作に伴い通気路を開放状態に切換え保持するように構成したことを特徴とする通気機構付きのドア装置。
【請求項2】
通気機構の切換え手段は、通気路を開閉する通気路開閉部材と、該通気路開閉部材を通気路の開放をする開放姿勢または閉鎖する閉鎖姿勢の何れかの姿勢に切換える作動プレートとを備えて構成し、作動プレートに、施錠装置の施錠−解錠操作に伴い上下方向に変位する作動ロッドを連繋するとともに、作動プレートを付勢弾機により作動ロッドとの連繋部に向けて付勢し、作動ロッドと作動プレートとの連繋を離接自在としたことを特徴とする請求項1に記載の通気機構付きのドア装置。
【請求項3】
作動ロッドは、施錠装置から作動プレートに至る中間部に、作動プレートを付勢する付勢弾機よりも大きい付勢力を備えた非常用付勢弾機が介装されていることを特徴とする請求項2に記載の通気機構付きのドア装置。
【請求項4】
通気機構の通気路は、ドア体の下端面に開設した下側開口からドア体の内面板に開設した内側開口に至るように構成され、切換え手段の通気路開閉部材を、下側開口と内側開口とのあいだに位置して設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の通気機構付きのドア装置。
【請求項5】
通気機構の下側開口は、内外方向中間部に段差部が形成された下端面に形成され、下端面と床側面との対向間隔を、段差部の外側部位が内側部位よりも広く確保したことを特徴とする請求項4に記載の通気機構付きのドア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−127128(P2012−127128A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280094(P2010−280094)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(307038540)三和シヤッター工業株式会社 (273)
【出願人】(592163893)ジョー・プリンス竹下株式会社 (32)
【Fターム(参考)】