説明

通話接続制御方法,通話接続制御装置,通話接続制御プログラムおよびその記録媒体

【課題】通話相手の電話番号を知らないような場合や通話相手が明確でないような場合でも,目的の通話相手を探索し,通話相手に発呼することができるようにする。
【解決手段】3次元仮想空間クライアント20に,現実世界と地理的に対応づけられた3次元仮想空間を表示し,その3次元仮想空間内に,携帯電話30や固定電話端末40などに関連づけられた仮想の通話端末またはその場所のモデルを表示する。3次元仮想空間クライアント20のユーザを表象するアバタが,仮想の通話端末などのモデルに近づくと,3次元仮想空間サーバ10は,そのアバタの位置情報から仮想の通話端末に対応する携帯電話30,固定電話端末40等への発呼制御を行い,3次元仮想空間クライアント20と通話端末とを接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,3次元仮想空間を利用した電話の通話接続制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来,電話端末の通話接続制御方法は,発呼側から通話先電話番号をダイヤルし,通話先電話端末を呼び出し,着呼側で受話器をとることで接続が完了し,通話が可能となる仕組みを有している。
【0003】
図10は,従来の電話システムの概略構成を示しており,100は電話網,101,102は電話端末A,Bを表している。図11は,図10に示す従来の電話システムの概略動作を示している。
【0004】
電話端末A101のユーザが電話端末B102のユーザと通話する場合には,まず,電話端末A101のユーザが受話器を上げ(S301),電話端末B102の電話番号をダイヤルする(S302)。これにより,電話網100における交換機および信号中継局(図示省略)を介して,電話端末A101からの発呼(S303),電話端末B102での着呼(S304)の制御が行われ,電話端末B102のユーザが受話器を取り上げると(S305),電話がつながり,通話を開始できる状態になる(S306)。
【0005】
図11に示す電話システムの動作における交換機および信号中継局等による通話接続制御の仕組みについては,例えば非特許文献1等に記載されているが,周知の技術であるため,ここでの詳しい説明は省略する。
【0006】
従来の電話システムは,通話接続制御のための3次元仮想空間サーバは存在しない構成となっており,3次元仮想空間を用いた発呼制御は行われていない。
【非特許文献1】遠藤文敏:ITpro“電話の仕組み(4)電話がつながって通話が始まるまで”,[online],日経コミニケーション IP電話ONLINE,[平成20年8月7日検索],インターネット<URL:http://itpro.nikkei.co.jp/free/NCC/denwa/20040107/1/?ST=ipcom >
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の図10に示すような電話システムにおける通話制御においては,「通話相手の電話番号を知っている」または「通話相手が明確である」場合には有効に機能するが,通話相手のおおよその地理的な場所は分かるが,「通話相手の電話番号を知らない」または「通話相手が明確でない」場合には有効に機能しない。
【0008】
本発明は,現実世界と地理的に対応づけられた「3次元仮想空間」を用いることで,通話相手の電話番号を知らないような場合や通話相手が明確でないような場合でも,通話相手のおおよその地理的な場所を手がかりとして,目的の通話相手を探索し,通話相手に発呼することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために,本発明は,通話相手のおおよその地理的な場所は分かるが,「通話相手の電話番号を知らない」または「通話相手が明確でない」場合に,現実世界と地理的に対応づけられた「3次元仮想空間」を通話元端末に表示するようにし,通話元ユーザの分身であるアバタが3次元仮想空間内を歩くことで,通話制御をするように構成されている。
【0010】
これにより,通話相手のおおよその地理的な場所を手がかりとして,目的の通話相手を探索し,通話相手に発呼することができる。ここで,地理的な場所とは,地図や室内のレイアウトなどに対応づけることが可能な空間的位置を意味する。
【0011】
すなわち,本発明は,3次元仮想空間クライアントを含む通話端末の接続されたネットワークに,3次元仮想空間を構築する3次元仮想空間サーバを接続し,3次元仮想空間サーバは,3次元仮想空間クライアントに表示された現実世界と地理的に対応づけられた3次元仮想空間とユーザを表現するアバタとの位置関係に基づき発呼および切断制御を行うことを主要な特徴とする。
【0012】
上記3次元仮想空間クライアントは,3次元仮想空間サーバにユーザIDをキーとして,端末種別,着信可否状態等を問い合わせ,3次元仮想空間サーバからの問い合わせ結果に応じて,3次元仮想空間内に仮想の通話端末(通話端末に関連づけられたオブジェクト)を表示する制御,またはそれを非表示とする制御を行う。
【0013】
例えば,上記現実世界と地理的に対応づけられた3次元仮想空間を作成する際に,あるユーザの現実世界における机と3次元仮想空間における仮想の机とを1対1に対応づけ,ユーザの所有する通話端末の着信可否状態に応じて,仮想の机の上に仮想の通話端末を表示するか表示しないかを決定する。
【0014】
上記発明において,通話接続制御を行うかどうかを決定するために,例えば3次元仮想空間内に配置された「仮想の机の前方の向きを示すベクトル」,「アバタの視線の向きを示すベクトル」,「仮想の机からアバタへ向くベクトル」,「仮想の机の前方の向きを示すベクトル」と「仮想の机からアバタへ向くベクトル」とのなす角,「アバタの視線の向きを示すベクトル」と「仮想の机からアバタへ向くベクトル」とのなす角をパラメータとし,これらのパラメータを用いて評価値を算出し,この評価値を3次元仮想空間クライアントから通話端末への発呼制御および切断制御に利用する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば,通話相手のおおよその地理的な場所は分かるが,「通話相手の電話番号を知らない」または「通話相手が明確でない」というような場合に,現実世界と地理的に対応づけられた「3次元仮想空間」を用いることで,通話相手のおおよその地理的な場所を手がかりとして,目的の通話相手を探索し,通話相手に発呼することができるようになる。例えば,3次元仮想空間クライアントのディスプレイに表示された3次元仮想空間において,目的の通話相手をアバタの移動により探索し,通話相手の仮想の机の前に移動することで,通話相手の端末の状況が分かり,さらに机に近づくことで,通話相手の端末に発呼することができるという有利な効果が得られる。
【0016】
「通話相手が明確でない」というような例としては,次のような場合が挙げられる。例えば,ある画像処理技術について知りたいが,具体的に誰に質問をしたらよいか分からないような場合であっても,画像処理技術者がいる研究室や机の場所が分かれば,その場所にいる人に,本発明による通話接続制御方法によって問い合わせることができる。
【0017】
また,ある銀行が扱っている金融商品について知りたいと思ったような場合に,その銀行の窓口の場所さえ分かれば,簡単な操作で自動発呼し,通話によって説明を受けることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下,本発明の実施の形態を,図面を用いながら詳細に説明する。
【0019】
図1は,本発明を適用したシステムの概略構成例を示す。図1において3次元仮想空間サーバ10は,現実世界と地理的に対応づけられた「3次元仮想空間」を管理し,メタファまたは現実世界に関連した直感的なインタフェースとしての作用を行うものである。3次元仮想空間サーバ10には,インターネット23,携帯電話網32,IP電話網42等が接続される。
【0020】
3次元仮想空間クライアント20は,ユーザC21が使用するパーソナルコンピュータ(PC)等の情報機器であり,この例ではカメラ22を備えているが,カメラ22は備えていなくてもよい。3次元仮想空間クライアント20は,インターネット23を介して3次元仮想空間サーバ10に接続される。
【0021】
また,携帯電話網32には,ユーザA31の携帯電話30が接続可能になっており,IP電話網42(フレッツ網など)には,IPテレビ電話端末などのユーザB41の固定電話端末40が接続されている。
【0022】
3次元仮想空間クライアント20には,3次元仮想空間サーバ10に接続することにより,3次元仮想空間が描画され,ユーザC21は,この3次元仮想空間におけるアバタの操作によって,携帯電話30または固定電話端末40が着信可の状態であれば,3次元仮想空間クライアント20を携帯電話30または固定電話端末40に接続し,ユーザA31またはユーザB41と通話することができるようになっている。
【0023】
なお,本実施の形態でのネットワークでは,携帯電話網32,IP電話網42,インターネット23を具体例として説明したが,その他の通話端末およびネットワークにも,本発明を適用することができる。
【0024】
図2は,3次元仮想空間サーバ10の構成例を示すブロック図である。3次元仮想空間サーバ10は,図2に示すように,各種のネットワークに対するデータ送受信機能を持つネットワークインタフェース部11と,画像通信機能を持つ画像通信部12と,音声通信機能を持つ音声通信部13と,3次元仮想空間を管理しその情報を提供する仮想空間管理部14と,ユーザ情報を管理するユーザ管理部15と,通話接続または通話切断をするかどうかの評価値Rを計算する評価値R計算部16と,評価値Rに従って通話接続または通話切断の制御を行う通話接続制御部17を備える。
【0025】
ここで,ネットワークインタフェース部11,画像通信部12,音声通信部13,仮想空間管理部14は,従来の3次元仮想空間サーバで用いられているものと同様に構成されるものでよい。例えば仮想空間管理部14は,world1,world2,…,仮想オフィス1,仮想オフィス2,…というような3次元仮想空間の種別を示す空間情報ごとに,空間のコンテンツ情報(3Dモデルやテクスチャなどの表示のための情報)などを持つ。
【0026】
3次元仮想空間クライアント20は,例えば3次元仮想空間サーバ10が提供する空間情報をWebぺージで指定して,ユーザIDを入力しログインすることにより,その空間情報で示される3次元仮想空間のコンテンツ情報を3次元仮想空間サーバ10から得て,3次元仮想空間をディスプレイに表示することができる。
【0027】
また,3次元仮想空間サーバ10におけるユーザ管理部15は,ログイン情報テーブルを持ち,ユーザのログイン情報を管理するログイン情報管理部151と,プレゼンス情報テーブルを持ち,ユーザのプレゼンス情報を管理するプレゼンス情報管理部152と,仮想空間位置情報テーブルを持ち,3次元仮想空間における各ユーザの位置情報を管理する仮想空間位置情報管理部153を備えている。
【0028】
ログイン情報管理部151が管理するログイン情報テーブルの構成例を,図3に示す。ログイン情報テーブルは,通話接続サービスを利用する各ユーザごとに,各ユーザを識別するユーザIDと,各ユーザがログインしている状態(IN)であるか,ログアウトしている状態(OUT)であるかを示すログイン情報と,必要に応じてパスワードその他のユーザの属性情報を持つ。また,ログイン情報テーブル中に,プレゼンス情報テーブルの各ユーザごとのエントリへのリンク情報,仮想空間位置情報テーブルの各ユーザごとのエントリへのリンク情報を持たせてもよい。
【0029】
プレゼンス情報管理部152が管理するプレゼンス情報テーブルの構成例を,図4に示す。プレゼンス情報テーブルは,通話接続サービスを利用する各ユーザごとに,各ユーザを識別するユーザIDと,各ユーザが利用する端末種別(携帯電話,固定電話端末,3次元仮想空間クライアントなど)と,着信可の状態であるか着信不可の状態であるかを示す着信可否状態,電話番号やIPアドレスなどの端末識別番号の情報を持つ。
【0030】
仮想空間位置情報管理部153が管理する仮想空間位置情報テーブルの構成例を,図5に示す。仮想空間位置情報テーブルは,通話接続サービスを利用する各ユーザごとに,各ユーザを識別するユーザIDと,3次元仮想空間内にアバタを描画するか否かを示す3D描画可否状態と,ユーザがどの3次元仮想空間にいるかを示す空間情報と,その仮想空間内の座標情報を示す空間位置情報とを持つ。
【0031】
ここでは,ログイン情報テーブル,プレゼンス情報テーブルおよび仮想空間位置情報テーブルを,別々のテーブルとして構成する例を示したが,もちろん,これらを一つのテーブルとして統合して,本発明を実施するようなことも可能である。
【0032】
図6は,3次元仮想空間クライアント20に表示される3次元仮想空間の例を示している。
【0033】
3次元仮想空間クライアント20に,3次元仮想空間として,図6に示すような仮想オフィス50が描画されている場合の具体例を示す。ここでは,現実世界の座席表に基づき,仮想オフィス50が3次元CGモデルを用いて現実世界の席の位置関係を保った状態で再構成される。ここでの仮想オフィス50では,仮想の携帯電話51,仮想の固定電話端末52,図1のユーザC21の分身であるアバタ53,仮想の机54〜57の3Dモデルが描画され,3次元仮想空間クライアント20のユーザC21が,マウス等のポインティングデバイスの操作によって,仮想オフィス50内でアバタ53を自由に移動させることができるようになっている。
【0034】
仮想オフィス50における仮想の机54〜57は,現実世界に存在するユーザの席と対応しており,この例では,仮想の机54のユーザとは仮想の携帯電話51で,仮想の机55のユーザとは仮想の固定電話端末52で通話可能であることを示している。この仮想の携帯電話51は,実際には図1に示す携帯電話30に対応し,仮想の固定電話端末52は,実際には図1に示す固定電話端末40に対応している。
【0035】
本実施の形態では,アバタ53を仮想の携帯電話51が置かれている仮想の机54の近くに移動させることによって,3次元仮想空間クライアント20と携帯電話30との接続制御が自動的に行われ,また,アバタ53を仮想の固定電話端末52が置かれている仮想の机55の近くに移動させることによって,3次元仮想空間クライアント20と固定電話端末40との接続制御が自動的に行われるようになっている。
【0036】
次に,評価値R計算部16が接続制御を行うかどうかを決定するための評価値Rの算出方法の例を,図7に従って説明する。
【0037】
図7は,図6に示した3次元仮想空間をy軸の向きと反対向きに見た図であり,通話制御に利用される評価値Rの算出のために必要となるパラメータを示している。ここで,アバタ53はXZ面と平行に移動するものとし,Vaは仮想の机55の前方の向きを示すベクトル,Vbはアバタ53の視線の向きを示すベクトル,Vabは仮想の机55からアバタ53へ向くベクトル,αはVaとVabのなす角,βはVbとVabのなす角である。これより,絶対値|Vab|が小さければ,距離は小さいと判断し,角度αがある値より小さければ,アバタ53が仮想の机55の前方に位置すると判断し,角度βがπに近いほど,アバタ53は仮想の机55の方に向いていると判断することができる。
【0038】
以上のことから,評価値Rは,重み係数δを用いて,次式を用いて算出する。重み係数δは,予め定められた正数である。
【0039】
R=|Vab|+δ|π−β|
なお,上記VaおよびVabを,仮想の机55を基準とするのではなく,仮想の固定電話端末52を基準として算出してもよく,実質的に等価な結果が得られる。図6に示す仮想の携帯端末51とアバタ53との距離および向き合う角度による評価値の算出についても同様である。なお,角度のパラメータは省略し,単に絶対値|Vab|を評価値Rとして用いてもよい。
【0040】
図8に,本発明を適用したシステムにおける通話接続制御手順の例を示す。ここでは,説明を簡略化するため,3次元仮想空間サーバ10に3次元仮想空間クライアント20と携帯電話30のみが接続されている場合について説明する。
【0041】
まず,3次元仮想空間クライアント20が3次元仮想空間サーバ10にログインし(ステップS101),IPアドレスを登録する(ステップS102)。ここで,3次元仮想空間クライアント20のユーザCは,図6のアバタ53のように表示される。
【0042】
次に,ユーザAの携帯電話30が3次元仮想空間サーバ10にログインし(ステップS103),電話番号登録(ステップS104)および着信可否登録(ステップS105)を行う。3次元仮想空間クライアント20と携帯電話30からのログインの時間的順序は,どちらが先でもよい。着信可否状態による仮想の通話端末の表示手順に関しては,後に図9を用いて詳述する。
【0043】
次に,ユーザCのアバタ53が図6の仮想オフィス50の中を移動すると(ステップS106),3次元仮想空間クライアント20は,アバタ53の位置情報を仮想空間サーバ10へ送信する(ステップS107)。これに対し,3次元仮想空間サーバ10は,図5の仮想空間位置情報テーブルに示されるユーザCのアバタ53の仮想空間位置情報であるXYZ座標を更新する(ステップS108)。
【0044】
続いて,3次元仮想空間サーバ10は,更新されたユーザCのアバタ53のXYZ座標に基づき,評価値Rの計算を行い(ステップS109),ステップS110にて,Rの評価を行い,αが所定の第1の閥値th1より小さく,かつRが所定の第2の閥値th2より小さい場合に,通話接続制御部17によりネットワークインタフェース部11を介して携帯電話30へ発呼を行う(ステップS111)。これにより,携帯電話30に着呼(ステップS112)があり,ユーザAが応答する(ステップS113)ことで,通話が開始される(ステップS114)。
【0045】
引き続き,アバタ53が仮想オフィス50の中を移動すると(ステップS115),アバタ53の位置情報が3次元仮想空間サーバ10へ送信され(ステップS116),図5の仮想空間位置情報テーブルに示されるユーザCのアバタ53の仮想空間位置情報であるXYZ座標が更新される(ステップS117)。
【0046】
続いて,3次元仮想空間サーバ10では,更新されたXYZ座標に基づき,評価値Rの計算を行い(ステップS118),ステップS119にてRの評価を行い,αが閥値th1より大きいか,またはRが閥値th2より大きい場合に,携帯電話30へ切断要求を行う(ステップS120)。
【0047】
図9に,本発明を適用したシステムにおける3次元仮想空間内の端末表示手順の例を示す。図9において,通話端末30′は,図1に示す携帯電話30または固定電話端末40などの端末である。
【0048】
まず,3次元仮想空間クライアント20が3次元仮想空間サーバ10にログインし(ステップS201),必要に応じてユーザ認証を行った後にIPアドレスを登録する(ステップS202)。これにより,3次元仮想空間サーバ10のユーザ管理部15におけるログイン情報管理部151は,図3に示すログイン情報テーブル中のユーザCのログイン情報を“IN”(初期値は“OUT”)に更新し,プレゼンス情報管理部152は,図4のプレゼンス情報テーブルにおけるユーザCの端末識別番号に,受信したIPアドレスを設定する。
【0049】
次に,通話端末30′が3次元仮想空間サーバ10にログインし(ステップS203),端末種別登録(ステップS204),端末識別番号登録(ステップS205)および着信可否登録を行う(ステップS206)。これにより,ログイン情報管理部151は,図3に示すログイン情報テーブル中の通話端末30′ユーザのログイン情報を“IN”(初期値は“OUT”)に更新し,プレゼンス情報管理部152は,図4のプレゼンス情報テーブルにおける通話端末30′のユーザのエントリに,受信した端末種別と端末識別番号とを設定する。
【0050】
続いて,3次元仮想空間クライアント20からのユーザ状況問い合わせ(ステップS207)に応じて,3次元仮想空間サーバ10は,プレゼンス情報管理部152が管理するプレゼンス情報テーブルに格納されているユーザの端末種別と着信可否状態の検索を実施し(ステップS208),ユーザの端末種別と着信可否状態に関するユーザ状況の回答を行う(ステップS209)。
【0051】
ここで,3次元仮想空間クライアント20と通話端末30′だけがログインしていたと仮定すると,3次元仮想空間クライアント20では,受信したユーザ状況の回答から,通話端末30′が着信可能であるかの判断を行い(ステップS210),着信可能な場合に,図6に示すような3次元仮想空間において,端末種別に応じた仮想の通話端末を表示し(ステップS211),着信不可能な場合には,仮想の通話端末を表示しない(ステップS212)。
【0052】
例えば,本例における通話端末30′が図1に示す携帯電話30であるとすると,仮想の通話端末の表示例として,着信「可」であれば,通話可能であることを示すために,図6に示される仮想の携帯電話51を表示する。着信「否」であれば,現在通話不可能であることを示すため,図6に示される仮想の携帯電話51を非表示とし,仮想の机54のみを仮想オフィス50内に表示する。
【0053】
以上の3次元仮想空間サーバ10が行う通話接続制御に関する処理は,コンピュータとソフトウェアプログラムとによって実現することができ,そのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録することも,ネットワークを通して提供することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明を適用したシステムの概略構成例を示す図である。
【図2】3次元仮想空間サーバの構成例を示すブロック図である。
【図3】ログイン情報テーブルの構成例を示す図である。
【図4】プレゼンス情報テーブルの構成例を示す図である。
【図5】仮想空間位置情報テーブルの構成例を示す図である。
【図6】3次元仮想空間の表示例を示す図である。
【図7】評価値Rの算出方法の例を説明するための図である。
【図8】本発明の適用システムにおける通話接続制御手順の例を示す図である。
【図9】本発明の適用システムにおける3次元仮想空間内の端末表示手順の例を示す図である。
【図10】従来の電話システムの概略構成を示す図である。
【図11】従来の電話システムの概略動作を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
10 3次元仮想空間サーバ
11 ネットワークインタフェース部
12 画像通信部
13 音声通信部
14 仮想空間管理部
15 ユーザ管理部
151 ログイン情報管理部
152 プレゼンス情報管理部
153 仮想空間位置情報管理部
16 評価値R計算部
17 通話接続制御部
20 3次元仮想空間クライアント
21 ユーザC
22 カメラ
23 インターネット
30 携帯電話
31 ユーザA
32 携帯電話網
40 固定電話端末
41 ユーザB
42 IP電話網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元仮想空間を構築する3次元仮想空間サーバと,3次元仮想空間を表示する3次元仮想空間クライアントと,1または複数の通話端末とが,1または複数のネットワークを介して接続されるシステムにおける通話接続制御方法であって,
前記3次元仮想空間クライアントが,前記3次元仮想空間サーバから得た情報に基づき,現実世界と地理的に対応づけられた3次元仮想空間に,前記通話端末に関連づけられたオブジェクトと,当該3次元仮想空間クライアントのユーザを表象するアバタとを表示する過程と,
前記3次元仮想空間クライアントが,前記3次元仮想空間において前記アバタが移動したときに,そのアバタの位置情報を前記3次元仮想空間サーバへ送信する過程と,
前記3次元仮想空間サーバが,前記3次元仮想空間クライアントから前記アバタの位置情報を受信したときに,前記3次元仮想空間における前記通話端末に関連づけられたオブジェクトと前記アバタとの位置関係を評価する過程と,
前記位置関係の評価結果に基づき,前記通話端末に関連づけられたオブジェクトと前記アバタとの距離もしくは向き合う角度,またはそれらの双方の条件に応じて,前記3次元仮想空間クライアントと前記通話端末との発呼または通話切断の通話接続制御を行う過程とを有する
ことを特徴とする通話接続制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の通話接続制御方法において,
前記通話端末が,前記3次元仮想空間サーバに着信可否の情報を登録する過程と,
前記3次元仮想空間サーバが,前記3次元仮想空間クライアントからの問い合わせに対し,前記着信可否の情報を含む通話端末の情報を前記3次元仮想空間クライアントへ送信する過程と,
前記3次元仮想空間クライアントが,前記3次元仮想空間サーバから受信した前記着信可否の情報を含む通話端末の情報に基づき,前記通話端末が着信不可の状態であれば,前記3次元仮想空間内に前記通話端末に関連づけられたオブジェクトを表示しないで,前記通話端末が着信可の状態のときにだけ,前記3次元仮想空間内に前記通話端末に関連づけられたオブジェクトを表示する過程とを有する
ことを特徴とする通話接続制御方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の通話接続制御方法において,
前記3次元仮想空間クライアントは,前記3次元仮想空間に,前記通話端末を所有するユーザの現実世界における机と1対1に対応づけられる仮想の机を表示し,その仮想の机の上に前記通話端末に関連づけられたオブジェクトを表示する
ことを特徴とする通話接続制御方法。
【請求項4】
請求項1,請求項2または請求項3記載の通話接続制御方法において,
前記通話端末に関連づけられたオブジェクトと前記アバタとの位置関係を評価する評価値Rを,前記通話端末に関連づけられたオブジェクトから前記アバタへ向かうベクトルVabと,前記アバタの視線の向きを示すベクトルVbと前記Vabとのなす角度βとを少なくともパラメータとし,前記Vabの絶対値が大きいほど前記Rの値が大きくなり,前記βが180度に近いほど前記Rの値が小さくなる評価式によって算出し,
前記通話接続制御を行う過程では,前記Rが所定の閾値より小さい場合に,前記通話端末への発呼を行う
ことを特徴とする通話接続制御方法。
【請求項5】
1または複数のネットワークを介して,3次元仮想空間を表示する3次元仮想空間クライアントと1または複数の通話端末とに接続される,3次元仮想空間を構築する3次元仮想空間サーバによって構成される通話接続制御装置であって,
現実世界と地理的に対応づけられた3次元仮想空間を前記3次元仮想空間クライアントに表示させるための仮想空間情報を管理する仮想空間管理部と,
少なくとも,前記通話端末から登録された着信可否の情報を管理するプレゼンス情報管理部と,
前記3次元仮想空間における前記通話端末に関連づけられたオブジェクトの位置情報および前記3次元仮想空間クライアントから受信した前記3次元仮想空間クライアントのユーザを表象するアバタの位置情報を管理する仮想空間位置情報管理部と,
前記仮想空間位置情報管理部が管理する情報に基づき,前記3次元仮想空間における前記通話端末に関連づけられたオブジェクトと前記アバタとの位置関係を評価する評価値を算出する評価値計算部と,
前記評価値計算部が算出した評価値に基づき,前記通話端末に関連づけられたオブジェクトと前記アバタとの距離もしくは向き合う角度,またはそれらの双方の条件に応じて,前記3次元仮想空間クライアントと前記通話端末との発呼または通話切断の通話接続制御を行う通話接続制御部とを備える
ことを特徴とする通話接続制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の通話接続制御装置において,
前記プレゼンス情報管理部は,前記3次元仮想空間クライアントからの問い合わせに対し,前記通話端末の着信可否の情報を前記3次元仮想空間クライアントへ送信し,前記通話端末が着信不可の状態であれば,前記3次元仮想空間内に前記通話端末に関連づけられたオブジェクトを表示させず,前記通話端末が着信可の状態のときにだけ,前記3次元仮想空間内に前記通話端末に関連づけられたオブジェクトを表示させる
ことを特徴とする通話接続制御装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の通話接続制御装置において,
前記仮想空間管理部は,前記3次元仮想空間クライアントに3次元仮想空間を表示させるための仮想空間情報として,前記通話端末を所有するユーザの現実世界における机と1対1に対応づけられる仮想の机を3次元仮想空間内に表示させるための情報と,その仮想の机の上に前記通話端末に関連づけられたオブジェクトを表示させるための情報とを保持する
ことを特徴とする通話接続制御装置。
【請求項8】
請求項5,請求項6または請求項7記載の通話接続制御装置において,
前記評価値計算部は,前記通話端末に関連づけられたオブジェクトと前記アバタとの位置関係を評価する評価値Rを,前記通話端末に関連づけられたオブジェクトから前記アバタへ向かうベクトルVabと,前記アバタの視線の向きを示すベクトルVbと前記Vabとのなす角度βとを少なくともパラメータとし,前記Vabの絶対値が大きいほど前記Rの値が大きくなり,前記βが180度に近いほど前記Rの値が小さくなる評価式によって算出し,
前記通話接続制御部は,前記Rが所定の閾値より小さい場合に,前記通話端末への発呼を行う
ことを特徴とする通話接続制御装置。
【請求項9】
請求項5から請求項8までのいずれか1項に記載された通話接続制御装置における,前記仮想空間管理部と,前記プレゼンス情報管理部と,前記仮想空間位置情報管理部と,前記評価値計算部と,前記通話接続制御部として,コンピュータを機能させるための通話接続制御プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の通話接続制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−74245(P2010−74245A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−236382(P2008−236382)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】