説明

造血を促進する修飾分子

本発明は特異な性質を持つ修飾EPOミメティックペプチドに関する。本発明の第1の実施形態によれば、以下に示すアミノ酸のコンセンサス配列を含むペプチド(とりわけEPO受容体に結合することができるもの)が提供される。この実施形態には、EPOミメティック活性を持ち、かつ位置X10にプロリンの非保存的置換物を構成するアミノ酸を持つか、またはXおよびX10が単一のアミノ酸で置換される、上記ペプチドコンセンサス配列の機能的に等価なフラグメント、誘導体および変種からなる群より選択されるペプチドも包含される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エリスロポエチン受容体に対する結合分子としてのペプチド、その製造方法、それらのペプチドを含有する医薬、および選択された適応症における(好ましくはさまざまな形態の貧血および脳卒中を処置するための)それらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ホルモンの一種エリスロポエチン(EPO)は、165個のアミノ酸によって構成され、四つの糖鎖付加部位を持つ、糖タンパク質である。四つの複合糖質側鎖は、約35kDという分子量全体の40パーセントを占める。EPOは腎臓で形成され、そこから脾臓および骨髄に移動し、そこで赤血球の産生を刺激する。慢性腎臓疾患では、EPO産生量の低下が赤血球減少性の貧血をもたらす。遺伝子工学によって製造される組換えEPOを使って、貧血を効果的に処置することができる。EPOは透析患者の生活の質を改善する。腎性貧血だけでなく、早産新生児における貧血、炎症および腫瘍関連貧血も、組換えEPOで改善させることができる。EPOを使って、腫瘍患者における高用量化学療法を、よりうまく行うことができる。同様にEPOは、放射線療法の一部として投与された場合に、がん患者の回復を改善する。
【0003】
タンパク質は体内で比較的迅速に分解されるので、頻繁なまたは持続的な静脈または皮下適用に基づく投薬レジメンが要求されるという点で、EPOによる処置には課題が存在する。したがって組換えEPO由来分子の進化は、安定性を増し、よって生物学的半減期を増大させるために、例えば追加の糖鎖付加またはPEG化などによって、この糖タンパク質を選択的に修飾する方向に向かっている。
【0004】
組換えEPOによる処置に付随するもう一つの重要な問題は、患者が処置中に組換えEPOに対する抗体を発生させる危険である。これは、組換えEPOが内在性EPOと完全には同一でないという事実に起因する。ひとたび抗体形成が誘導されると、それは内在性エリスロポエチンの活性も同様に損なう抗体をもたらしうる。これは、多くの場合、処置に必要な組換えEPOの用量を増加させる。とりわけそのような抗体が内在性EPOの活性を損なう場合は、この作用を処置誘発性自己免疫疾患と解釈することができる。例えば何ヶ月もまたは何年もEPO処置を受けた後に腎移植を受ける透析患者の場合、これはとりわけ望ましくない。その場合は、抗体が移植物によって産生される内在性EPOの活性を損ない、よって移植された臓器の赤血球産生活性を損ないうる。生物学的半減期を増大させるために組換えEPOに導入される修飾がこの問題を悪化させるか改善するかという疑問は、現時点ではまだ解決していない。一般的には、甚だしい修飾および半減期の延長は、問題の多いこの性質を悪化させることになると予想されるだろう。
【0005】
代替戦略は、エリスロポエチンとは配列ホモロジーまたは構造上の関係を共有しない合成ペプチドをアミノ酸から製造することである。EPOの配列とは無関係なペプチドであって、エリスロポエチンよりもかなり小さなペプチドが、アゴニストとして作用しうることが示されている(非特許文献1)。そのようなペプチドは、依然として活性な10アミノ酸長の最小ペプチドまで短縮できることが、同じ著者によって示されている。
【0006】
EPOの活性を模倣する合成ペプチドは特許文献1の主題である。これには、好ましくは、共通して位置10および17と呼ばれる位置に二つのプロリンを含有し、そのうちの一方は必須であると考えられる、独特なコンセンサスの10〜40アミノ酸のミメティックペプチドが開示されている。特許文献2には、これらのプロリンをナフチルアラニンと組み合わせてもよいことが開示されている。
【0007】
このように、現在に至るまで、EPO受容体の小ペプチド系アゴニストはいずれも、所定の位置(通常は、非常に活性なエリスロポエチンミメティックペプチドEMP1(特許文献1;非特許文献1、非特許文献2および非特許文献3):
【0008】
【化24】

におけるそれらの位置を参照して位置10および17と番号づけられる位置)に、少なくとも一つのプロリン(多くの場合、二つのプロリン)残基を含有する構造を持っていた。
【0009】
これらのプロリンはペプチドの有効性にとって不可欠であると考えられる。位置17のプロリンについては受容体との相互作用によってこれが確証されており、一方、位置10のプロリンは分子の正しいフォールディングに必要であると考えられた(非特許文献1、非特許文献4も参照されたい)。プロリンの特殊な立体化学的性質によって支援される正しいフォールディングは、通常、生物学的活性の不可欠な前提条件である。一般にプロリンは、この例の場合と同様に、多くの場合、ヘアピン構造およびベータ・ターンの形成に関与する構造形成アミノ酸である。なかんずくこの性質ゆえに、これは、プロリン含有ペプチド/タンパク質を破壊するポストプロリン特異的エンドペプチダーゼの高頻度な攻撃点になる。いくつかの内在性ペプチドホルモン(アンギオテンシンIおよびII、ウロテンシン類、チレオリベリン(thyreoliberin)、他のリベリン類など)は、そのような「シングルヒット(single−hit)」ポストプロリン切断によって不活化される。このように、プロリン含有EPOミメティックペプチドの半減期は、これらの高頻度活性酵素の活性によって短縮される。
【0010】
そのような短ペプチドは化学的に製造することができ、制御することならびに所定の品質およびアイデンティティを持つ生成物を得ることがはるかに困難な組換え製造を必要としない。そのような小サイズのペプチドの化学的製造は、製造コストの観点からも競争力を持ちうる。さらにまた化学的製造では、糖鎖付加、PEG化または他の任意の所定の修飾など、生物学的半減期を増加させる既知の潜在能力を持ちうる分子変異の明確な導入も可能である。しかし今までに既存のEPOミメティックペプチドによる治療法が承認された例はない。
【0011】
さらにまた、十分に強力な治療用分子を提供するために、EPOミメティックペプチドのEPOミメティック効力を強化する必要もある。
【0012】
従来技術に記載のEPOミメティックペプチドは、エリスロポエチン受容体の結合部位を認識する単量体型結合ドメインとみなすことができる。しかし、Wringtonら(非特許文献4)が指摘したように、EPO受容体をホモ二量体化し、シグナル伝達を誘導するには、一般に、これらの結合ドメインが二つ必要である。そこで、二つのこれらEPOミメティックペプチド、それゆえに二つのEPO受容体結合ドメインを、単一の二量体型分子中で組み合わせたところ、活性がかなり強化された。これは、単一の結合ドメインを持つペプチドも質的には同じ活性パターンを示したが、一つに接合された二つの結合ドメインは、それよりもはるかに低いED50(50%有効量、活性の尺度)を示すという結果につながる。単量体型EPOミメティックペプチドの力価は、二量体化によって1000倍まで改善されうる。不活性な単量体型ペプチドの中には、二量体化によってアゴニストに変換されうるものさえある。二つの結合ドメインを内包するペプチドは、二価ペプチドまたは二量体型ペプチドであると特定される。
【0013】
単量体を二量体化するための技法はいくつか知られている。単量体は、例えばリンカーに共有結合で取り付けることによって、二量体化することができる。リンカーは、本発明のポリペプチドユニット間に共有結合を生成させる接合分子である。ポリペプチドユニットは、EPO受容体への結合が改善されるような方法で、リンカーを介して組み合わせることができる(非特許文献2;非特許文献4)。さらにまた、Wringhtonら(非特許文献4)が記載したタンパク質担体分子との非共有結合的相互作用による単量体型ビオチン化ペプチドの多量体化にも言及する。ビオチン/ストレプトアビジン系を使用すること、すなわちペプチドのC末端をビオチン化した後、そのビオチン化ペプチドをストレプトアビジンと共にインキュベートすることも可能である。あるいは、ジケトピペラジン構造を形成させることによって二量体化を達成することも知られている。当業者に知られるこの方法は、例えばCavelierら(非特許文献5)などに詳細に説明されている。先行技術から知られているペプチド二量体を得るためのもう一つの代替方法は、後にリンカーになる部分の反応性前駆体として、N末端アミノ基と反応することによって最終二量体型ペプチドを形成する二官能性活性化ジカルボン酸誘導体を使用することである(非特許文献2)。単量体は、リンカーに共有結合で取り付けることによって二量体化することもできる。好ましくは、リンカーはNH−R−NH(式中、Rは、もう一つの分子部分への結合を可能にするカルボキシル基またはアミノ基などの官能基で置換された低級アルキレンである)を含む。リンカーはリジン残基またはリジンアミドを含有するかもしれない。PEGもリンカーとして使用しうる。リンカーは、二つのカルボン酸を含有する分子(場合によっては一つ以上の原子が一つ以上のPEG分子に結合することができるアミンなどの官能基で置換されているもの)であることができる。リンカー部分を使ってペプチドをオリゴマー化および二量体化するための考えうるステップの詳細な説明は、特許文献3にも記載されている。EPOミメティックペプチドのための代替二量体化戦略も認められる。
【0014】
さらにまた、EPOおよびEPOミメティックペプチド(単量体型または二量体型)は、ヒト治療目的でのみ関心が持たれているわけではないことにも注意すべきである。EPO代用物は、ヒト応用の他に動物健康管理市場でも大いに必要とされている。この点で、乱用を防ぐには、ヒトおよび動物において弁別的な活性パターンを示すEPOミメティックペプチドを提供することが望ましい。しかし、さまざまな動物EPO受容体(例えばマウス、ラット、ブタおよびイヌ)の配列はヒトEPO受容体と極めて似ているので、これは困難な仕事である。異なる種のEPO受容体を整列すると、異なる種が数アミノ酸しか相違しないことが明白になる。これは高い構造ホモロジーを含意する。さらにまた、EPOミメティックペプチドへの結合に関係するのは、これらのアミノ酸残基のごく一部に過ぎない。これは、ヒトおよび動物EPO受容体に対して異なる活性レベルを示すEPOミメティックペプチドの開発を困難にする。
【特許文献1】国際公開第96/40749号パンフレット
【特許文献2】国際公開第01/38342号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2004/101606号パンフレット
【非特許文献1】Wrighton NC,Farrell FX,Chang R,Kashyap AK,Barbone FP,Mulcahy LS,Johnson DL,Barrett RW,Jolliffe LK,Dower WJ(1996)Small Peptides as Potent Mimetics of the Protein Hormone Erythropoietin.Science 273:458−463
【非特許文献2】Johnson,D.L.,F.X.Farrell,et al.(1997).「Amino−terminal dimerization of an erythropoietin mimetic peptide results in increased erythropoietic activity.」Chemistry and Biology 4:939−950.
【非特許文献3】Johnson,D.L.,F.X.Farrell,et al.(1998).「Identification of a 13 Amino Acid Peptide Mimetic of Erythropoietin and Description of Amino Acids Critical for the Mimetic Activity of EMP1」.Biochemistry 37,3699−3710.
【非特許文献4】Wrighton NC,Balasubramanian P,Barbone FP,Kashyap AK,Farrell FX,Jolliffe L,Barrett RW,Dower WJ(1997)Increased potency of an erythropoietin peptide mimetic through covalent dimerization.Nature Biotechnology 15:1261−1265
【非特許文献5】「Peptides:The wave of the Future」Michal LeblおよびRichard A.Houghten編;American Peptide Society、2001
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ネイティブEPOの生物学的活性の少なくとも本質的部分を示す代替合成ペプチドを提供し、よって効率のよい治療戦略のための代替手段を提供することが、本発明の目的である。
【0016】
改善された効力を持つEPOミメティックペプチドを提供することが、本発明のさらにもう一つの目的である。
【0017】
代替二量体化戦略によってEPOミメティックペプチドの二量体を提供することが、本発明のさらにもう一つの目的である。
【0018】
さらにまた、ヒトおよび動物において互いに異なる活性パターンを示すEPOミメティックペプチドを提供することも、本発明の目的である。
【0019】
これらの目的に対する解決策の概略を以下に詳述する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の実施形態によれば、以下に示すアミノ酸のコンセンサス配列を含むペプチド(とりわけEPO受容体に結合することができるもの)が提供される:
【0021】
【化25】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
は、R、H、L、W、YまたはSであり;
は、M、F、I、ホモセリンメチルエーテルまたはノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10は、プロリンの非保存的置換物であるか;
または、XおよびX10が単一のアミノ酸で置換され;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、非荷電極性アミノ酸またはAであり;
13は、W、1−nal、2−nal、AまたはFであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAである]。
【0022】
この実施形態には、EPOミメティック活性を持ち、かつ位置X10にプロリンの非保存的置換物を構成するアミノ酸を持つか、またはXおよびX10が単一のアミノ酸で置換される、上記ペプチドコンセンサス配列の機能的に等価なフラグメント、誘導体および変種からなる群より選択されるペプチドも包含される。
【0023】
上記ペプチドコンセンサス配列は、EPO受容体に対する単量体型結合ドメインであると理解することができる。これらは、EPOミメティックペプチドとして、EPO受容体に結合することができる。
【0024】
ペプチドの長さは、好ましくは、10〜40または50または60アミノ酸である。好ましい実施形態では、ペプチドコンセンサスが少なくとも10、15、18、20または25アミノ酸の長さを表す。もちろん、コンセンサスはそれぞれ、より長い配列に埋め込まれ、包含されうる。上記コンセンサスの単量体型ペプチドユニット二つを二量体化することによって、長さを伸ばすこともできる(下記参照)。
【0025】
WrightonおよびJohnsonによる既知のEPOミメティックペプチドのプロリンの一方が、さらには一部の実施形態によればその両方が、他の天然アミノ酸または非天然アミノ酸で置き換えられるにもかかわらず、本発明のペプチドがEPOミメティック活性を示すことは、極めて意外だった。実際、本発明のペプチドは、既知のプロリン含有ペプチドの活性に匹敵するか、さらにはそれを上回る活性を持つ。しかし、プロリン残基を置換するアミノ酸が保存的置換物ではなくプロリンの非保存的置換物に相当することは、注目に値する。そのようなプロリンの非保存的置換物の適切な例は、位置10における正電荷アミノ酸または負電荷アミノ酸である。
【0026】
好ましくは、塩基性アミノ酸などの正電荷アミノ酸、例えばタンパク質構成アミノ酸K、RおよびH、とりわけKを置換に使用することができる。位置10にあるプロリンの置換に使用される非保存的アミノ酸は、非タンパク質構成性の天然または非天然アミノ酸であることもでき、好ましくは正荷電側鎖を持つものである。上述したアミノ酸のそれぞれの類似体も含まれる。リジンと比較して伸長された側鎖を持つ非タンパク質構成性の正荷電アミノ酸はとりわけ活性であることが判明した。そのような伸長されたアミノ酸の適切な例は、ホモアルギニンである。ある実施形態によれば、ペプチドは、位置10に、天然アミノ酸アルギニン以外の正荷電アミノ酸を保持する。この実施形態によれば、プロリン10は、タンパク質構成アミノ酸KまたはHならびに正荷電非タンパク質構成天然アミノ酸および非天然正荷電アミノ酸(例えばホモアルギニンなど)からなる群より選択される正荷電アミノ酸で置換される。
【0027】
第1実施形態のコンセンサス配列によれば、XおよびX15は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸を表す。したがってこれらのアミノ酸は架橋ユニットを形成することができる。ある実施形態によれば、位置XおよびX15のアミノ酸は、互いの間に共有結合を形成することにより、ペプチド内で分子内架橋を形成することができるように選択される。分子内架橋の形成はペプチドの環化をもたらしうる。適切な架橋ユニットの例はジスルフィド架橋およびジセレニド架橋である。そのような架橋形成官能性を示すアミノ酸の適切な例は、例えばシステインおよびホモシステインまたはセレノシステインなどのシステイン誘導体、さらにはチオリジンである。例えば二つのセレノシステイン残基間でのジセレニド架橋の形成にはシステイン架橋よりも有利な点もある。還元環境下ではセレニド架橋の方が安定だからである。したがって困難な条件下でもペプチドのコンフォメーションが保持される。
【0028】
しかし位置XおよびX15には、例えば正荷電側鎖を持つアミノ酸(例:タンパク質構成アミノ酸K、H、R、またはオルニチン、DAPもしくはDAB)と負荷電側鎖を持つアミノ酸(例:タンパク質構成アミノ酸DまたはE)の間のアミド結合などといった異なる共有結合の形成を可能にする官能性を持つ側鎖を示すアミノ酸も適していることは明白である。さらなる例はアミドおよびチオエーテル架橋である。
【0029】
本発明の第1実施形態のコンセンサス配列に該当するペプチドは、本願の優先日後に公開された出願人による先の出願PCT/EP2005/012075(WO2006/050959)に開示されている。一部の国では、PCT/EP2005/012075におけるこの開示が、それぞれの特許法に照らして、先行技術を構成するかもしれない。
【0030】
これに該当して特許性に疑義が生じうる国に限り、上述のコンセンサス配列は、上記のコンセンサスを満たす配列であってPCT EP2005 01 20 75に開示されているものを含まないことがありうる。これは以下のコンセンサス配列またはペプチド配列に当てはまりうる:
・以下に示すアミノ酸の配列を含むペプチド(とりわけEPO受容体に結合することができるもの):
【0031】
【化26】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、C、A、E、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸またはホモシステイン(hoc)であり;
は、R、H、L、W、YまたはSであり;
は、M、F、I、ホモセリンメチルエーテルまたはノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10は、プロリンの非保存的置換物であるか;
または、XおよびX10が単一のアミノ酸で置換され;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、TまたはAであり;
13は、W、1−nal、2−nal、AまたはFであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、C、A、K、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸またはホモシステイン(hoc)である。
ただしXかX15のどちらかはCまたはhocであるものとする]
・以下に示すアミノ酸の配列によって特徴づけられるペプチド:
【0032】
【化27】

[各アミノ酸は標準の文字略号によって示され、
は、Cであり;
は、R、H、LまたはWであり;
は、M、FまたはIであり;
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10は、プロリンの非保存的置換物であり;
11は、任意のアミノ酸から独立して選択され;
12は、Tであり;
13は、Wであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15はCであるか;
または、XおよびX10が単一のアミノ酸で置換される]
・ペプチドは以下のアミノ酸配列によって特徴づけられる:
【0033】
【化28】

[各アミノ酸は標準文字略号によって示され、
は、Cであり;
は、R、H、LまたはWであり;
は、M、F、I、またはhsm(ホモセリンメチルエーテル)であり;
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10は、プロリンの非保存的置換物であり;
11は、任意のアミノ酸から独立して選択され;
12は、Tであり;
13は、Wであり;
14は、D、E、I、LまたはV、1−nal(1−ナフチルアラニン)または2−nal(2−ナフチルアラニン)であり;
15は、Cである]
・PCT/EP2005/012075に開示されていて、第1実施形態の上記コンセンサスを満たすペプチド(図21参照)。
【0034】
先願であって本願出願後に公開されたPCT/EP2005/012075の開示が特許性に関する問題を引き起こさない場合、上に列挙したコンセンサスおよびペプチド配列は、第1実施形態の広いコンセンサスから除外される必要がなく、したがって上に定義したコンセンサスに包含される。さらにまた、これらのペプチドによって有効性が実証されるので、これらのペプチドはEPOミメティックコンセンサスの的確さを裏付けている。
【0035】
本発明の第2の実施形態によれば、同様に良好なEPOミメティック特性を示すペプチドが提供される。このペプチドは少なくとも10アミノ酸を含み、EPO受容体に結合することができ、アゴニスト活性を、したがってEPOミメティック活性を含む。前記ペプチドは、以下に示すアミノ酸のコア配列を含む:
【0036】
【化29】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10は、プロリンの非保存的置換物であるか、またはXおよびX10が単一のアミノ酸で置換され;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、非荷電極性アミノ酸またはAであり;
13は、ナフチルアラニンである]。
【0037】
この実施形態には、EPOミメティック活性を持ち、X10にプロリンの非保存的置換物を構成するアミノ酸を持つか、またはXおよびX10が単一のアミノ酸で置換され、位置X13にナフチルアラニンを示す、上記ペプチドコンセンサス配列の機能的に等価なフラグメント、誘導体および変種からなる群より選択されるペプチドも包含される。
【0038】
この第2実施形態のペプチドは、X10がプロリンの非保存的置換物であるか、またはXおよびX10が単一のアミノ酸で置換されるというユニークな特徴を、第1実施形態と共有している。しかし、本発明の第2実施形態によるEPOミメティックペプチドのさらにもう一つの特徴は、位置13にあるナフチルアラニン(例えば1−Nalか2−Nalのどちらか)である。
【0039】
位置13におけるナフチルアラニンと位置X10におけるプロリンの非保存的アミノ酸置換物との組み合わせは、改善された結合特性を持つEPOミメティックペプチドをもたらす。
【0040】
EPOミメティックペプチドはEPO受容体に二量体の形で結合する。本発明者らは、位置13へのNalの組み込みによってペプチド単量体間の疎水性相互作用が強められると考えている。これは、単量体型ペプチド鎖の二量体化を潜在的に強化し、おそらくそのペプチド二量体のコンフォメーションを安定化するだろう。プロリンに対して非保存的であるアミノ酸と組み合わせると、おそらくは受容体結合に関与するアミノ酸の有利な配置により、改善されたEPOミメティック特性を持つEPOミメティック分子が生成する。
【0041】
出願人による先の出願PCT/EP2005/012075では、位置13にナフチルアラニンを示す配列も開示された。一部の国では、この開示が、それぞれの特許法に照らして、先行技術を構成するかもしれない。
【0042】
これに該当して特許性に疑義が生じうる国では、第2実施形態の第1選択肢のコンセンサス配列が、法的な理由から、コンセンサスを満たす配列であってPCT/EP2005/012075に開示されているものを含まないことがありうる。これは、PCT/EP2005/012075に開示されている以下の群から選択される以下のコンセンサス配列およびペプチド配列に当てはまりうる:
・以下に示すアミノ酸の配列を含むペプチド(とりわけEPO受容体に結合することができるもの):
【0043】
【化30】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、C、A、E、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸またはホモシステイン(hoc)であり;
は、R、H、L、WもしくはYまたはR、H、L、W、YもしくはSであり;
は、M、F、I、ホモセリンメチルエーテルまたはノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10は、プロリンの非保存的置換物であるか;
または、XおよびX10が単一のアミノ酸で置換され;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、TまたはAであり;
13は、1−nal、2−nalであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、C、A、K、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸またはホモシステイン(hoc)である。
ただしXかX15のどちらかはCまたはhocであるものとする]
・以下の群のペプチド:
【0044】
【化31】

【0045】
【化32】

[Xは1−ナフチルアラニンであり、Uは2−ナフチルアラニンである]。
【0046】
本願出願後に公開されたPCT/EP2005/012075の開示が特許性に関する問題を引き起こさない場合、上に列挙したコンセンサスおよびペプチド配列は、第2実施形態の第1選択肢の広いコンセンサスから除外される必要がなく、したがって上に定義した広いコンセンサスに包含される。
【0047】
本発明の第1実施形態および第2実施形態のさらなる有益な側面を、従属請求項に記載する。本発明の第1実施形態と第2実施形態は、位置10におけるプロリンの非保存的置換物の存在に関して、またはXおよびX10が単一のアミノ酸で置換される点で、同じ特徴を共有しているので、これらは実際には互いに強固に関連しあっている。
【0048】
上記のコア配列を取り巻く位置に関して適切なアミノ酸が定義される第1実施形態および第2実施形態の拡大されたコンセンサスを、従属請求項において定義すると共に、以下に説明する。
【0049】
本願で使用する番号付け(X...など)が、本発明のペプチドと従来技術で知られているEPOミメティックぺプチドとの比較を容易にするために行われるに過ぎないことに留意されたい(EMP1ペプチドに基づく番号付けについては、例えばJohnsonら、1997および1998を参照のこと)。しかし、この番号付けはペプチドの全長を指すわけではなく、したがって、全ての位置が占有されることが常に必要であることを含意するわけではないものとする。例えば位置Xが占有されることは必要でない。例えばXから始まるペプチドも、10アミノ酸という最小長が与えられる限り、EPOミメティックとして活性である。したがって、本願で使用するアミノ酸位置の番号付けは、ペプチドの特徴付けおよび先行技術とのペプチドの比較を容易にするものでしかないものとする。
【0050】
本発明の第1実施形態および第2実施形態のコンセンサス配列は、以下の追加アミノ酸位置も含みうる:
【0051】
【化33】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
14は、D、E、I、LまたはVからなる群より選択され;
15は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAであり;
16は、任意のアミノ酸(好ましくはG、K、L、Q、R、S、HarまたはT)から独立して選択され;
17は、任意のアミノ酸(好ましくはA、G、P、Yまたは正荷電もしくは負荷電の天然、非天然もしくは誘導体化アミノ酸、正荷電アミノ酸の場合は好ましくはK、R、H、オルニチンまたはホモアルギニン)から選択され;
18は、任意のアミノ酸(好ましくはLまたはQ)から独立して選択され;
19は、任意のアミノ酸(好ましくは正荷電もしくは負荷電アミノ酸、正荷電アミノ酸の場合は、例えばK、R、H、オルニチンもしくはホモアルギニン、またはグリシンもしくはベータ−アラニンなどといった小さくて柔軟なアミノ酸)から独立して選択される]。
【0052】
さらにもう一つの改良によれば、ペプチドコンセンサスは以下の追加アミノ酸位置を含む。
【0053】
【化34】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
は、R、H、L、WまたはYまたはSであり;
は、M、F、I、Y、H、ホモセリンメチルエーテルまたはノルイソロイシンである]。
【0054】
本発明の第1実施形態および第2実施形態のさらにもう一つの改良によれば、ペプチド中にアミノ酸位置X10、X17および/またはX19が存在する場合(ペプチドコンセンサスの長さに依存する)、ペプチドはこれらの位置に荷電アミノ酸を示す。位置X10、X17および/またはX19のアミノ酸は正負どちらかに荷電しており、天然アミノ酸、非天然アミノ酸および誘導体化アミノ酸からなる群より選択される。誘導体化アミノ酸は、本願においては、非天然アミノ酸の特殊な実施形態であると理解されることに留意されたい。実際、非天然アミノ酸という用語は総称である。ここでは別途、誘導体化アミノ酸に言及する。というのも、以下に詳述するように、これらは本発明の特殊な実施形態を構成するからである。
【0055】
10、X17および/またはX19のアミノ酸が負荷電アミノ酸である場合、前記負荷電アミノ酸は、好ましくは、
・天然負荷電アミノ酸、とりわけDまたはE;
・非天然負荷電アミノ酸、
・元々は正荷電アミノ酸であるが、負荷電基が付与されるように適切な化学基で誘導体化されたもの
からなる群より選択される。
【0056】
非天然負荷電側鎖は伸長された側鎖を示しうる。そのようなアミノ酸の例はアルファ−アミノアジピン酸(Aad)、2−アミノヘプタン二酸(2−アミノピメリン酸)またはアルファ−アミノスベリン酸(Asu)である。
【0057】
一つの理由は、伸長された負荷電人工アミノ酸は、EPO受容体の正荷電アミノ酸とより良く接触することができ、それによって結合能を改善することかもしれない。
【0058】
位置13にナフチルアラニンも保持する各ペプチドは極めて良好な結合特性を示すことが見出された。
【0059】
上述のように、正荷電アミノ酸を負荷電アミノ酸に変換することによって負荷電アミノ酸を得ることも可能である。これにより、側鎖を伸長させ、その結果、結合特性を潜在的に強化することも可能である。この新規戦略では、リジン(またはDap、Dabもしくはオルニチンのような同族の短いアミノ酸)を、負荷電基をもたらす適切な薬剤で誘導体化する。適切な薬剤は、例えばジカルボン酸またはジスルホン酸などの二酸である。例としてグルタル酸、アジピン酸、コハク酸、ピメリン酸およびスベリン酸を挙げることができる。
【0060】
さらにもう一つの側面によれば、本発明のペプチドは、位置X10、X17および/またはX19に正荷電アミノ酸を保持する。正荷電アミノ酸は、
・天然正荷電アミノ酸、例えばリジン、アルギニン、ヒスチジンまたはオルニチン;
・非天然正荷電アミノ酸、
・元々は負荷電アミノ酸であるが、正荷電基が付与されるように適切な化学基で誘導体化されたもの
からなる群より選択される。
【0061】
ペプチドの位置X10および/またはX17に、リジンと比較して伸長された側鎖を示すアミノ酸が存在すると、非常に強力なEPOミメティックペプチドが生じうることが判明した。このアミノ酸は非タンパク質構成性であってよい。ある実施形態によれば、正荷電アミノ酸の伸長は、伸長させようとするアミノ酸(これがリジンである必要は必ずしもない)の側鎖に伸長ユニットを組み込むことによってもたらされる。より短いアミノ酸を出発物質として使用して、それを適当な日常的化学反応によって伸長することもできる。通常、伸長ユニットは脂肪族基(例えばCHユニット)であるか、芳香族基(例えばフェニルまたはナフチルユニット)である。適当な伸長されたアミノ酸の例は、例えばホモアルギニン、アミノフェニルアラニンおよびアミノナフチルアラニンである。
【0062】
本発明のこの第1実施形態および第2実施形態のさらにもう一つの実施形態によれば、XはD−アミノ酸、好ましくはD−フェニルアラニンである。
【0063】
第1および第2実施形態のコンセンサスが位置Xにもアミノ酸を含む場合、Xは、任意のアミノ酸から選択してよいが、好ましくはA、H、K、L、M、S、TまたはIである。
【0064】
ペプチド中にXが存在する場合、それは任意のアミノ酸から選択されうるが、好ましくはF、YまたはFもしくはYの誘導体であり、この場合、FまたはYの誘導体は少なくとも一つの電子吸引性置換基を保持する。この電子吸引性置換基は、好ましくは、アミノ基、ニトロ基およびハロゲンからなる群より選択される。4−アミノ−フェニルアラニン、3−アミノ−チロシン、3−ヨード−チロシン、3−ニトロ−チロシン、3,5−ジブロモ−チロシン、3,5−ジニトロ−チロシン、3,5−ジヨード−チロシンが、その例である。
【0065】
コンセンサス中にXが存在する場合、Xは任意のアミノ酸から独立して選択され、好ましくはD、E、L、N、S、TまたはVである。
【0066】
さらにまた、とりわけ単量体ユニット(結合ドメイン)が二量体を形成している場合には、単量体のN末端領域(例えば位置XおよびX)および単量体のC末端領域(例えばX19およびX20)にあるアミノ酸は、フレキシブルなコンフォメーションが得られるように、小さくフレキシブルなアミノ酸、例えばグリシンまたはベータ−アラニンであることが好ましい。
【0067】
本発明の第3の実施形態によれば、同様に良好なEPOミメティック特性を示す異なる構造を持つペプチドが提供される。このペプチドも少なくとも10個のアミノ酸を含み、EPO受容体に結合することができ、アゴニスト活性を含む。このEPOミメティックペプチドの特徴は、以下に示すアミノ酸のコアコンセンサス配列の少なくとも一つによって記述される:
【0068】
【化35】

これらのコンセンサス配列の各アミノ酸は、天然または非天然アミノ酸から選択される。本発明の第2の側面の本質的特徴によれば、位置X10、X17またはX19の少なくとも一つは、負荷電アミノ酸を表す。EPOミメティック活性を持ち、かつ位置X10、X17またはX19の少なくとも一つに負荷電アミノ酸を持つ、上記ペプチドコンセンサス配列の機能的に等価なフラグメント、誘導体および変種からなる群より選択されるペプチドも包含される。
【0069】
これらの位置にある負荷電アミノ酸がそのような優れたEPOミメティック特性を示すことは、極めて意外だった。さらなるアミノ酸位置(コンセンサス中に存在する場合)は以下のように定義される:
は、GまたはGの保存的置換物であり;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、非荷電極性アミノ酸またはA、好ましくはスレオニン、セリン、アスパラギンまたはグルタミンであり;
13は、W、1−nal、2−nal、AまたはFであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり、
16は、任意のアミノ酸、好ましくはG、K、L、Q、R、S、HarまたはTから独立して選択され;
18は、任意のアミノ酸、好ましくはLまたはQから独立して選択される。
【0070】
位置X10、X17および/またはX19(これらの位置が存在する場合)の少なくとも一つに負荷電アミノ酸を保持する本発明の第3実施形態によるペプチドは、ヒト系および動物系において弁別的EPOミメティック特性を示すペプチドの適切な候補である。上で指摘したとおり、異なる種のEPO受容体のタンパク質配列は種間にわずかな相違しかなく、したがってEPO受容体は「種間差がごくわずかで高度に保存されている(highly conserved with negligible species differences)」と分類される。しかし意外なことに、上述した位置の少なくとも一つに負荷電アミノ酸を持つEPOミメティックペプチドは、ヒトEPO受容体と動物EPO受容体のペプチド結合部位を弁別する能力を持ちうることが明らかになった。動物受容体に対してより高い結合能を持つペプチドは、獣医学的用途に好ましく使用される。
【0071】
位置X10、X17および/またはX19の少なくとも一つに負荷電アミノ酸を保持するペプチドは、コンセンサス中に以下の追加アミノ酸を含みうる:
【0072】
【化36】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
は、R、H、L、WまたはYまたはSであり;
は、M、F、I、Y、H、ホモセリンメチルエーテルまたはノルイソロイシンである]
さらにまた、拡大されたコンセンサスは、以下のアミノ酸によって記述することもできる:
【0073】
【化37】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10が負荷電アミノ酸でない場合、X10はプロリン、プロリンの保存的置換物またはプロリンの非保存的置換物であるか、またはXおよびX10が単一のアミノ酸で置換され;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、非荷電極性アミノ酸またはA、好ましくはスレオニン、セリン、アスパラギンまたはグルタミンであり;
13は、W、1−nal、2−nal、AまたはFであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
16は、任意のアミノ酸、好ましくはG、K、L、Q、R、S、HarまたはTから独立して選択され;
17が負荷電アミノ酸でない場合、X17は任意のアミノ酸、好ましくはA、G、P、Yまたは正電荷天然、非天然または誘導体化アミノ酸、好ましくはK、R、H、オルニチンまたはホモアルギニンから選択され;
18は、任意のアミノ酸、好ましくはLまたはQから独立して選択され;
19が負荷電アミノ酸でない場合、X19は、任意のアミノ酸、好ましくはK、R、H、オルニチンもしくはホモアルギニンなどの正荷電アミノ酸またはグリシンもしくはベータ−アラニンなどの小さくフレキシブルなアミノ酸から独立して選択される。
ただしX10、X17またはX19の少なくとも一つは負荷電アミノ酸であるものとする]。
【0074】
もちろん、本発明のこの実施形態には、EPOミメティック活性を持ち、かつ位置X10、X17またはX19の少なくとも一つに負荷電アミノ酸を持つ、上記ペプチドコンセンサス配列の機能的に等価なフラグメント、誘導体および変種からなる群より選択されるペプチドも包含される。
【0075】
共有結合の形成を可能にし、よってペプチド内での連結架橋の生成を可能にする側鎖官能性を持つ、位置XおよびX15のアミノ酸は、それらが互いに共有結合を形成できるように選択されることが好ましい(上記本発明の第1実施形態の説明を参照されたい)。したがって適切なアミノ酸は、ジスルフィド結合を形成するためのSH基を保持するアミノ酸(例えばシステインおよびホモシステインなどのシステイン誘導体)またはチオリジンであるが、これらは適切な候補のほんの一例にすぎない。セレノシステインなどのセレニド架橋形成アミノ酸も適切である。しかし上述のように、アミド結合またはチオエーテル結合などの共有結合の形成を可能にする他のアミノ酸も適切である。したがって、位置XおよびX15における好ましいアミノ酸の選択には、C、K、E、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸、ホモシステイン(hoc)、およびシステイン誘導体、例えばセレノシステイン、チオリジンが含まれる。これは本発明の全ての実施形態に当てはまる。
【0076】
本発明の第3実施形態によるペプチド中に存在する負荷電アミノ酸は、
・天然負荷電アミノ酸、とりわけDまたはE;
・非天然負荷電アミノ酸、
・元々は正荷電アミノ酸であるが、負荷電基が付与されるように適切な化学基で誘導体化されたもの
からなる群より選択することができる。
【0077】
非天然負荷電側鎖は伸長された側鎖を示しうる。伸長された側鎖は、おそらく、EPO受容体の正荷電アミノ酸をより効率よく接触させ、それによって結合能を強化することができる。そのようなアミノ酸の例は、アルファ−アミノアジピン酸(Aad)、2−アミノヘプタン二酸(2−アミノピメリン酸)またはアルファ−アミノスベリン酸(Asu)である。
【0078】
略述したように、正荷電アミノ酸を負荷電アミノ酸に変換することによって負荷電アミノ酸を得ることも可能である。これにより、側鎖を伸長させることも可能である。これはEPO受容体に対する結合特性を改善しうる。この新規戦略では、例えばリジン(またはDap、Dabもしくはオルニチンのような同族の短いアミノ酸)などの正荷電アミノ酸を、負荷電基をもたらす適切な薬剤で誘導体化する。適切な薬剤は、例えばジカルボン酸またはジスルホン酸などの二酸である。例としてグルタル酸、アジピン酸、コハク酸、ピメリン酸およびスベリン酸を挙げることができる。
【0079】
グルタル酸を使って伸長され負に荷電されたリジンの適切な例を、以下に記載する:
【0080】
【化38】

伸長的修飾のためのもう一つの選択肢は、リジンとアジピン酸の組み合わせである:
【0081】
【化39】

本発明のEPOミメティックペプチドの結合特性を改善するのに極めて有利なこの伸長戦略は、さまざまな分子の特徴を改善するためにも使用することができる。したがってこれは全く独立した技術的思想である。したがって、負荷電基を持つ正荷電アミノ酸が得られるように正荷電アミノ酸が適切な化学基で誘導体化されている修飾アミノ酸も提供される。これにより、元々は正荷電のアミノ酸が負荷電アミノ酸に変換される。化学修飾が結合能をしばしば改善させる側鎖の伸長をももたらすのであれば、これはとりわけ有利である。適切な修飾剤は上述した。
【0082】
上に略述したように、アミノ酸位置X10、X17および/またはX19のうち、二つの位置または全部の位置がそれぞれのアミノ酸を示してもよいのであるが、本発明の第2の側面によれば、これらの位置の一つが負荷電アミノ酸で占められてさえいればよい。ただし、これらの位置の一つ以上が負荷電アミノ酸で占められていない場合は、他の位置X10、X17および/またはX19には正荷電残基が存在することが好ましい。
【0083】
この正荷電アミノ酸は、好ましくは
・天然正荷電アミノ酸、例えばリジン、アルギニン、ヒスチジンおよびオルニチン;
・非天然正荷電アミノ酸、例えばホモアルギニンまたはジアミノ酪酸など;
・元々は負荷電アミノ酸であるが、正荷電基が付与されるように適切な化学基で誘導体化されたもの
からなる群より選択される。
【0084】
位置X10および/またはX17に、リジンと比較して伸長された側鎖を示す正荷電アミノ酸が存在すると、極めて強力なEPOミメティックペプチドが生じうることが判明した。ある実施形態によれば、正荷電アミノ酸の伸長は、アミノ酸(これがリジンである必要は必ずしもない)の側鎖に伸長ユニットを組み込むことによってもたらされる。より短いアミノ酸を出発物質として使用して、それを適当な日常的化学反応によって伸長することもできる。通常、伸長ユニットは脂肪族基(例えばCHユニット)であるか、芳香族基(例えばフェニルまたはナフチルユニット)である。適当なアミノ酸の例は、例えばホモアルギニン、アミノフェニルアラニンおよびアミノナフチルアラニンである。非タンパク質構成アミノ酸は、多様性に富むので好ましい。この実施形態を、他のアミノ酸位置X10、X17および/またはX19の少なくとも一つにおける負荷電アミノ酸と組み合わせることにより、ヒトおよび動物モデルにおける活性パターンを区別するのに適した候補である強力なEPOミメティックペプチドがもたらされる。
【0085】
獣医学的用途のためのEPOミメティックペプチドの場合、負荷電アミノ酸は位置19にあることが好ましい。それぞれの特徴を持つペプチドは、動物EPO受容体に対して、より良好な結合能を示すことが、実験的に明らかになった。
【0086】
獣医学的用途の場合、位置19の負荷電アミノ酸はE、DまたはAadから選択されることが、とりわけ好ましい。この特徴を、位置13のナフチルアラニン(好ましくはNal−1)と組み合わせると、有益である。さらにまた、正荷電アミノ酸、好ましくはKまたはHarが、位置17にあることが好ましい。正荷電アミノ酸、好ましくはリジンが、位置10に存在することも好ましい。この実施形態のEPOミメティックペプチドのとりわけ好ましい例を図7cに示す。特に、獣医学的用途のためのEPOミメティックペプチド配列は、
【0087】
【化40】

【0088】
【化41】

からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0089】
本発明のこの第3の実施形態は、XがD−アミノ酸、好ましくはD−フェニルアラニンであるという特徴と組み合わせることもできる。
【0090】
この実施形態の拡大されたコンセンサス配列は以下の追加アミノ酸を含む。
【0091】
は、F、YまたはFもしくはYの誘導体であることができ、この場合、FまたはYの誘導体は少なくとも一つの電子吸引性置換基を保持する。第2の実施形態に関連して既に上述したように、電子吸引性置換基は、好ましくは、アミノ基、ニトロ基およびハロゲンからなる群より選択される。適切な例は、4−アミノ−フェニルアラニン、3−アミノ−チロシン、3−ヨード−チロシン、3−ニトロ−チロシン、3,5−ジブロモ−チロシン、3,5−ジニトロ−チロシン、3,5−ジヨード−チロシンである。
【0092】
は、任意のアミノ酸から選択してよいが、好ましくは、A、H、K、L、M、S、TまたはIである。
【0093】
また、Xが存在してもよく、Xは任意のアミノ酸(好ましくはD、E、L、N、S、TまたはV)から独立して選択されうる。
【0094】
さらにまた、とりわけ単量体ユニットが二量体を形成している場合には、単量体の最初(例えば位置XおよびX)および単量体の最後(例えばX19およびX20)にあるアミノ酸は、フレキシブルなコンフォメーションが得られるように、小さくフレキシブルなアミノ酸、例えばグリシンまたはベータ−アラニンを表すことが好ましい。
【0095】
本発明の第2実施形態に関連して既に述べたように、位置X13にナフチルアラニン(nal−1またはnal−2)を設けると有利である。位置13にNalを組み込むことにより、上述のようにペプチド単量体間の疎水性相互作用が強くなり、その結果、単量体型ペプチド鎖の二量体化が潜在的に強化され、おそらくそのペプチド二量体のコンフォメーションが安定化されることになり、その結果、EPOミメティック活性が改善される。両実施形態(第2および第3)の組み合わせは極めて好ましい。
【0096】
ナフチルアラニンを含む適切なペプチド配列の例を図7aに記載する。
【0097】
本発明の第4の実施形態によれば、EPO受容体に結合することができ、アゴニスト活性を含み、以下に示すアミノ酸のコア配列を含む、少なくとも10アミノ酸長のペプチドが提供される:
【0098】
【化42】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、D−アミノ酸であり;
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10は、プロリン、プロリンの保存的置換物またはプロリンの非保存的置換物であるか;
または、XおよびX10が単一のアミノ酸で置換され;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、非荷電極性アミノ酸またはA、好ましくはスレオニン、セリン、アスパラギンまたはグルタミンであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸である]。
【0099】
EPOミメティック活性を持ち、かつ位置8にD−アミノ酸を持つ、第4実施形態によるペプチドコンセンサス配列の機能的に等価なフラグメント、誘導体および変種からなる群より選択されるペプチドも包含される。
【0100】
本発明の第4実施形態の顕著な特徴は、位置XにD−アミノ酸が存在することである。D−フェニルアラニンは好ましい。この実施形態は、動物EPO受容体とヒトEPO受容体とを区別するのに良い候補であると思われる。位置8におけるアルファ−C原子を反転させると、フェニル基の幾何学的位置が異なることになり、その幾何学的位置は、動物受容体、特にイヌEPORには、より良く適合しうる。
【0101】
本発明のこの第4の側面は、以下に述べるように、さらに他の有利な実施形態と組み合わせることもできる。
【0102】
本発明の第4実施形態によるペプチドは、以下の拡大されたアミノ酸コア配列によって記述することもできる。
【0103】
【化43】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
は、R、H、L、WまたはYまたはSであり;
は、D−M、D−F、D−I、D−Y、D−H、D−ホモセリンメチルエーテルまたはD−ノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10は、プロリン、プロリンの保存的置換物またはプロリンの非保存的置換物であるか;
または、XおよびX10が単一のアミノ酸で置換され;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、非荷電極性アミノ酸またはA、好ましくはスレオニン、セリン、アスパラギンまたはグルタミンであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸である]。
【0104】
本発明の第4実施形態のさらにもう一つの実施形態は、以下のアミノ酸配列によって記述することができる:
【0105】
【化44】

[X〜X15は、本発明の第4実施形態に関連して説明した上記の意味を持ち、
16は、任意のアミノ酸、好ましくはG、K、L、Q、R、S、HarまたはTから独立して選択され;
17は、任意のアミノ酸、例えばA、G、P、Yまたは荷電天然、非天然もしくは誘導体化アミノ酸、正荷電アミノ酸であれば、好ましくはK、R、H、オルニチンまたはホモアルギニンから独立して選択され;
18は、任意のアミノ酸、好ましくはLまたはQから独立して選択され;
19は、任意のアミノ酸から独立して選択される]。
【0106】
本発明の第4実施形態の場合も、位置X10、X17および/またはX19には、荷電アミノ酸が存在することが好ましい。荷電アミノ酸により、極めて良好なEPOミメティック活性率(EPO mimetic activity rate)が達成されることが、実験によって示された。しかし、一般に、これらの位置では、非荷電であるが極性のアミノ酸(例えばセリン、スレオニン、アスパラギンまたはグルタミンなど)も、他の位置における正しいアミノ酸と組み合わせれば、良好な結果を与える。
【0107】
位置X10、X17および/またはX19の荷電アミノ酸は正に荷電しているか、負に荷電しており、天然アミノ酸、非天然アミノ酸および誘導体化アミノ酸からなる群より選択される。
【0108】
ある側面によれば、X10、X17および/またはX19は負荷電アミノ酸である。前記負荷電アミノ酸は、好ましくは、
・天然負荷電アミノ酸、とりわけDまたはE;
・非天然負荷電アミノ酸、
・元々は正荷電アミノ酸であるが、負荷電基が付与されるように適切な化学基で誘導体化されたもの
からなる群より選択される。
【0109】
非天然負荷電側鎖は伸長された側鎖を表しうる。そのようなアミノ酸の例は、アルファ−アミノアジピン酸(Aad)、2−アミノヘプタン二酸(2−アミノピメリン酸)またはアルファ−アミノスベリン酸である(上記参照)。
【0110】
略述したように、正荷電アミノ酸を負荷電アミノ酸に変換することによって、負荷電アミノ酸を得ることも可能である。これにより、側鎖を伸長させ、その結果、結合特性を強化することも可能である。この新規戦略(詳細については上記参照)では、リジン(またはDap、Dabもしくはオルニチンのような同族の短いアミノ酸)を、負荷電基をもたらす適切な薬剤で誘導体化する。適切な薬剤は、例えばジカルボン酸またはジスルホン酸などの二酸である。例としてグルタル酸、アジピン酸、コハク酸、ピメリン酸およびスベリン酸を挙げることができる。
【0111】
さらにもう一つの側面によれば、ペプチドは位置X10、X17および/またはX19に正荷電アミノ酸を保持する。正荷電アミノ酸は、
・天然正荷電アミノ酸、例えばリジン、アルギニン、ヒスチジンまたはオルニチン;
・非天然正荷電アミノ酸、
・元々は負荷電アミノ酸であるが、正荷電基が付与されるように適切な化学基で誘導体化されたもの
からなる群より選択される。
【0112】
ペプチドの位置X10および/またはX17に、リジンと比較して伸長された側鎖を示すアミノ酸が存在すると、非常に強力なEPOミメティックペプチドが生じうることが判明した。ある実施形態によれば、正荷電アミノ酸の伸長は、アミノ酸(これがリジンである必要は必ずしもない)の側鎖に伸長ユニットを組み込むことによってもたらされる。より短いアミノ酸を出発物質として使用して、それを適当な日常的化学反応によって伸長することもできる(上記参照)。通常、伸長ユニットは脂肪族基(例えばCHユニット)であるか、芳香族基(例えばフェニルまたはナフチルユニット)である。適当なアミノ酸の例は、例えばホモアルギニン、アミノフェニルアラニンおよびアミノナフチルアラニンである。非タンパク質構成アミノ酸は、多様性に富むので好ましい。代替法は、電荷を(正電荷に)反転させるだけでなく、分子を容易に伸長する方法にもなる正荷電基によるアミノ酸の誘導体化である。
【0113】
この実施形態のさらにもう一つの展開によれば、ペプチドは以下の拡大されたアミノ酸コア配列によって定義される:
【0114】
【化45】

[X〜X19は、本発明の第4の側面に関連して説明した上記の意味を持ち、
は、F、YまたはFもしくはYの誘導体(この場合、FまたはYの誘導体は少なくとも一つの電子吸引性置換基を保持する)であり;
は、任意のアミノ酸、好ましくはA、H、K、L、M、S、TまたはIから選択される]
電子吸引性置換基は、好ましくは、アミノ基、ニトロ基およびハロゲンからなる群より選択される。Xは、4−アミノ−フェニルアラニン、3−アミノ−チロシン、3−ヨード−チロシン、3−ニトロ−チロシン、3,5−ジブロモ−チロシン、3,5−ジニトロ−チロシン、3,5−ジヨード−チロシンからなる群より選択することもできる。
【0115】
また、Xが存在してもよく、任意のアミノ酸、好ましくはD、E、L、N、S、TまたはVから独立して選択することができる。
【0116】
さらにまた、単量体ユニットが二量体を形成している場合には、単量体の最初(例えば位置XおよびX)および単量体の最後(例えばX19およびX20)にあるアミノ酸位置は、フレキシブルなコンフォメーションが得られるように、小さくフレキシブルなアミノ酸、例えばグリシンまたはベータ−アラニンを表すことが好ましい。
【0117】
本発明の第2実施形態に関連して既に述べたように、位置X13にナフチルアラニンを設けると有利である。位置13にNalを組み込むことにより、上述のようにペプチド単量体間の疎水性相互作用が強くなり、その結果、単量体型ペプチド鎖の二量体化が潜在的に強化され、おそらくそのペプチド二量体のコンフォメーションが安定化されることになり、その結果、EPOミメティック活性が改善される。
【0118】
本発明の第5の実施形態によれば、やはり種弁別活性を示すEPOミメティックペプチドの良い候補であるペプチドが提供される。このペプチドは少なくとも10アミノ酸を含み、EPO受容体に結合することができ、アゴニスト活性を含む。このEPOミメティックペプチドは、以下に示すアミノ酸のコア配列を含む:
【0119】
【化46】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、F、またはFもしくはYの誘導体(この場合、FまたはYの誘導体は少なくとも一つの電子吸引性置換基を保持する)であり;
は、任意のアミノ酸、好ましくはA、H、K、L、M、S、TまたはIから選択され、
は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
は、R、H、L、WまたはYまたはSであり;
は、M、F、I、Y、H、ホモセリンメチルエーテルまたはノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10は、プロリンの非保存的置換物であるか、またはXおよびX10が単一のアミノ酸で置換され;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、非荷電極性アミノ酸またはA、好ましくはスレオニン、セリン、アスパラギンまたはグルタミンであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸である]。
【0120】
EPOミメティック活性を持ち、かつ位置XにFまたはFもしくはYの誘導体(この場合、FまたはYの誘導体は少なくとも一つの電子吸引性置換基を保持する)から選択されるアミノ酸を持つ、上記ペプチドコンセンサス配列の機能的に等価なフラグメント、誘導体および変種からなる群より選択されるペプチドも包含される。
【0121】
電子吸引性置換基は、アミノ基、ニトロ基およびハロゲンからなる群より選択されうる。Xは、好ましくは、4−アミノ−フェニルアラニン、3−アミノ−チロシン、3−ヨード−チロシン、3−ニトロ−チロシン、3,5−ジブロモ−チロシン、3,5−ジニトロ−チロシン、3,5−ジヨード−チロシンからなる群より選択される。
【0122】
本発明のこの第5実施形態とさらなる実施形態のさらなる有利な組み合わせを、従属請求項に記載する。各特徴の詳細については、各実施形態に関して特徴を詳細に説明している上記の説明も参照されたい。X突然変異とD−フェニルアラニン突然変異の組み合わせはとりわけ適切である。
【0123】
本発明のさらにもう一つの実施形態によれば、改善されたEPOミメティックペプチドを提供するために、いくつかの代替ペプチドが提供される。本発明のこの第6実施形態によれば、EPO受容体に結合することができ、かつアゴニスト活性を含む、少なくとも10アミノ酸長のペプチドが提供される。
【0124】
この第6実施形態の選択肢(a)は、以下に示すアミノ酸のコア配列の少なくとも一つを含む:
【0125】
【化47】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、GまたはGの保存的置換物であり;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、非荷電極性アミノ酸またはA、好ましくはスレオニン、セリン、アスパラギンまたはグルタミンであり;
13は、W、ナフチルアラニン、AまたはFであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であって;
位置X10、X16、X17またはX19の少なくとも一つは、リジンと比較して伸長された側鎖を持つ正荷電非タンパク質構成アミノ酸を表す]。
【0126】
EPOミメティック活性を持ち、かつ位置X10、X16、X17またはX19の少なくとも一つに、リジンと比較して伸長された側鎖を持つ正荷電非タンパク質構成アミノ酸を表すアミノ酸を持つ、上記ペプチドコンセンサス配列の機能的に等価なフラグメント、誘導体および変種からなる群より選択されるペプチドも包含される。
【0127】
本発明のこの第6実施形態は、位置X10、X16、X17および/またはX19の少なくとも一つにおいてEPOミメティックペプチドの正荷電側鎖を伸長させることによってヒト受容体と動物受容体とを潜在的に弁別するという選択肢も可能な代替戦略を表している。この実施形態は、弁別的ペプチドの適切な候補になる。というのも、マウスおよびイヌEPO受容体の方が負荷電ドッキングポイントが少なく、これらのドッキングポイントには短い正荷電側鎖(例えばリジン)では届き難いからである。したがって、長い側鎖を持つ正荷電残基の組み込みは、EPO受容体に対するペプチドの親和性を増加させる高い潜在能力を持つ。
【0128】
位置X10および/またはX17にホモアルギニンを示す配列は、出願人による先の出願PCT/EP2005/012075に既に開示されている。一部の国の特許法では、この開示が先行技術を構成するかもしれない。
【0129】
これに該当して上記コンセンサスの特許性に疑義が生じうる場合、本発明の第6実施形態の第1選択肢のコンセンサス配列は、法的理由から、PCT/EP2005/012075に開示されている配列を含まないことがありうる。これは以下の群から選択されるコンセンサス配列に当てはまりうる:
・以下に示すアミノ酸の配列を含むペプチド、とりわけEPO受容体に結合することができるもの:
【0130】
【化48】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、C、A、E、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸またはホモシステイン(hoc)であり;
は、R、H、L、WまたはYまたはSであり;
は、M、F、I、ホモセリンメチルエーテルまたはノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10は、Harであり、
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、TまたはAであり;
13は、W、1−nal、2−nal、AまたはFであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、C、A、K、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸またはホモシステイン(hoc)である。
ただしXかX15のどちらかはCまたはhocであるものとする]
または
・以下のアミノ酸配列を含むペプチド
【0131】
【化49】

[X〜X15は上記の意味を持ち、
は、任意のアミノ酸、好ましくはD、E、L、N、S、TまたはVから独立して選択され;
は、Yであり;
は、任意のアミノ酸、好ましくは A、H、K、L、M、S、TまたはIから独立して選択され、
16は、任意のアミノ酸、好ましくはG、K、L、Q、R、SまたはTから独立して選択され;
17は、ホモアルギニンであり;
18は、任意のアミノ酸から独立して選択される]
または
【0132】
【化50】

これらの配列は、出願人の先のPCT出願PCT EP_2005−01 20 75に既に記載されている。
【0133】
本願出願後に公開されたPCT/EP2005/012075の開示が特許性に関する問題を構成しない国では、上に列挙したコンセンサスおよびペプチド配列は、第6実施形態の第1選択肢の広いコンセンサスから除外される必要がない。
【0134】
本発明の第6実施形態のさらにもう一つの展開によれば、ペプチドは以下に示すアミノ酸の拡大されたコア配列を含む:
【0135】
【化51】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
は、R、H、L、WまたはYまたはSであり;
は、M、F、I、Y、H、ホモセリンメチルエーテルまたはノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10がリジンと比較して伸長された側鎖を持つ正荷電非タンパク質構成アミノ酸でない場合は、X10がプロリン、プロリンの保存的置換物もしくはプロリンの非保存的置換物であるか、またはXおよびX10が単一のアミノ酸で置換され;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、非荷電極性アミノ酸またはA、好ましくはスレオニン、セリン、アスパラギンまたはグルタミンであり;
13は、W、1−nal、2−nal、AまたはFであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
16がリジンと比較して伸長された側鎖を持つ正荷電非タンパク質構成アミノ酸でない場合は、X16が任意のアミノ酸、好ましくはG、K、L、Q、R、SまたはTから独立して選択され;
17がリジンと比較して伸長された側鎖を持つ正荷電非タンパク質構成アミノ酸でない場合は、X17が任意のアミノ酸、好ましくはA、G、P、Yまたは正荷電天然、非天然または誘導体化アミノ酸、好ましくはK、R、Hまたはオルニチンから選択され;
18は、任意のアミノ酸、好ましくはLまたはQから独立して選択され;
19がリジンと比較して伸長された側鎖を持つ正荷電非タンパク質構成アミノ酸でない場合は、X19が任意のアミノ酸、好ましくは荷電アミノ酸、例えばK、R、Hもしくはオルニチンなどの正荷電アミノ酸、またはD、EもしくはAadなどの負荷電アミノ酸から独立して選択される。
ただしX10、X16、X17またはX19の少なくとも一つは、リジンと比較して伸長された側鎖を持つ正荷電非タンパク質構成アミノ酸であるものとする]。
【0136】
さらにもう一つの実施形態によれば、X10、X16、X17またはX19の少なくとも一つは正荷電アミノ酸であって、その正荷電アミノ酸は、好ましくは、
・天然正荷電アミノ酸、例えばリジン、アルギニン、ヒスチジンおよびオルニチン;
・非天然正荷電アミノ酸、
・元々は負荷電アミノ酸であるが、正荷電基が付与されるように適切な化学基で誘導体化されたもの;
からなる群より選択される(ただし、X10、X16、X17またはX19の少なくとも一つは、リジンと比較して伸長された側鎖を持つ正荷電非タンパク質構成アミノ酸であるものとする)。
【0137】
上述のように、正荷電アミノ酸の伸長は側鎖の伸長ユニットによってもたらすことができ、その伸長ユニットは脂肪族基であるか芳香族基であることができる。伸長は、例えばCHユニットによってもたらすことができ、その場合、CHユニットの数は、好ましくは1〜6である。
【0138】
もう一つの選択肢として、伸長は、例えばフェニルまたはナフチルユニットなどの芳香族基を使って達成することもできる。
【0139】
リジンと比較して伸長されている正荷電非タンパク質構成アミノ酸は、好ましくは非天然アミノ酸である。非天然アミノ酸の方が選択の幅が広いので、完全に適合する伸長されたアミノ酸が見つかる可能性が高くなる。適切な非天然の伸長されたアミノ酸の例は、例えばホモアルギニン、アミノフェニルアラニンおよびアミノナフチルアラニンである。
【0140】
位置X17にある伸長された正荷電側鎖は、マウス/イヌEPO受容体と、より良く相互作用するようである。とりわけ、人工的な伸長された同族アルギニンであるホモアルギニンは、適切であることがわかった。このアミノ酸はリジンより遠くまで届き、マウス/イヌEPO受容体中のより遠くの負荷電アミノ酸(動物EPO受容体中のGlu60およびGlu62)と相互作用することができる。
【0141】
位置X10にある伸長された正荷電側鎖は、上述した位置X17における突然変異と類似する作用を持つ。この場合も、伸長によって、より遠くの負荷電アミノ酸(マウス/イヌEPO受容体中のGlu34)まで到達することができるだろう。
【0142】
位置X10およびX17における突然変異/特徴を組み合わせることが望ましい。両方の位置に伸長された正荷電アミノ酸(例えばホモアルギニン)を保持するペプチドの幾何学的配置は、EPO受容体と強い相互作用を示す。上述のように、このアミノ酸は、好ましくは非タンパク質構成性である。与えられる静電相互作用の強さは、各ホモアルギニン残基からの複数の水素結合によって、さらに増強される。
【0143】
本発明の第6実施形態によれば、X10、X16、X17および/またはX19の少なくとも一つが、非タンパク質構成性の伸長された正荷電アミノ酸を表す。X10、X16、X17および/またはX19の他の位置も、正に荷電しているか負に荷電していて、天然アミノ酸、非天然アミノ酸および誘導体化アミノ酸からなる群より選択される荷電アミノ酸を表すことができる。
【0144】
ある代替形態によれば、X10、X17および/またはX19の少なくとも一つは、負荷電アミノ酸である。
【0145】
10、X17および/またはX19が負荷電アミノ酸である場合、前記負荷電アミノ酸は、好ましくは、
・天然負荷電アミノ酸、とりわけDまたはE;
・非天然負荷電アミノ酸、
・元々は正荷電アミノ酸であるが、負荷電基が付与されるように適切な化学基で誘導体化されたもの
からなる群より選択される。
【0146】
非天然負荷電側鎖は伸長された側鎖を示しうる。そのようなアミノ酸の例は、アルファ−アミノアジピン酸(Aad)、2−アミノヘプタン二酸(2−アミノピメリン酸)またはアルファ−アミノスベリン酸である。
【0147】
略述したように、正荷電アミノ酸を負荷電アミノ酸に変換することによって負荷電アミノ酸を得ることも可能である。これにより、側鎖を伸長させ、その結果、結合特性を強化することも可能である。この新規戦略では、リジン(またはDap、Dabもしくはオルニチンのような同族の短いアミノ酸)を、負荷電基をもたらす適切な薬剤で誘導体化する。適切な薬剤は、例えばジカルボン酸またはジスルホン酸などの二酸である。例としてグルタル酸、アジピン酸、コハク酸、ピメリン酸およびスベリン酸を挙げることができる。この実施形態に関して我々が行った上記の詳細な議論を参照されたい。
【0148】
位置X10、X16、X17および/またはX19の少なくとも一つは伸長された正荷電非タンパク質構成アミノ酸を表すという条件の下で、本ペプチドは位置X10、X16、X17および/またはX19に「正常(normal)」正荷電アミノ酸を持つこともできる。正荷電アミノ酸は、
・天然正荷電アミノ酸、例えばリジン、アルギニン、ヒスチジンまたはオルニチン;
・非天然正荷電アミノ酸、
・元々は負荷電アミノ酸であるが、正荷電基が付与されるように適切な化学基で誘導体化されたもの
からなる群より選択される。
【0149】
本発明の第6実施形態のさらにもう一つの展開では、XにD−アミノ酸、好ましくはD−フェニルアラニンが設けられる。
【0150】
第6実施形態のさらにもう一つの展開によれば、ペプチドが、以下の拡大されたアミノ酸コア配列を含む:
【0151】
【化52】

[X〜X19は上記の意味を持ち、
は、F、YまたはFもしくはYの誘導体(この場合、FまたはYの誘導体は少なくとも一つの電子吸引性置換基を保持する)であり;
は、任意のアミノ酸、好ましくはA、H、K、L、M、S、TまたはIから選択される]。
【0152】
上述のように、電子吸引性置換基はアミノ基、ニトロ基およびハロゲンからなる群より選択することができる。4−アミノ−フェニルアラニン、3−アミノ−チロシン、3−ヨード−チロシン、3−ニトロ−チロシン、3,5−ジブロモ−チロシン、3,5−ジニトロ−チロシン、3,5−ジヨード−チロシンが、その例である。
【0153】
また、Xが存在してもよく、Xは任意のアミノ酸、好ましくはD、E、L、N、S、TまたはVから独立して選択されうる。
【0154】
さらにまた、単量体ユニットが連続するペプチドリンカーを介して二量体を形成している場合には、単量体のN末端領域(例えば位置XおよびX)および単量体のC末端領域(例えばX19およびX20)にあるアミノ酸は、フレキシブルなコンフォメーションが得られるように、小さくフレキシブルなアミノ酸、例えばグリシンまたはベータ−アラニンを表すことが好ましい。
【0155】
本願は、EPOミメティックペプチド全般の他に、EPOミメティック活性を改善するためおよび/またはヒトEPO−Rと動物EPO−Rの弁別を可能にするためのさまざまな手段および戦略も記述する。上述のように、所望の特性を示す「テーラード(tailored)」EPOミメティックペプチドが得られるように、本発明の異なる戦略および側面を互いに組み合わせることができる。したがって、ここに記述する戦略は、所望の性質を持つEPOミメティックペプチドに到達するために互いに独立して組み合わせることができる設計単位であると理解できることを理解することが重要である。例えば、第2実施形態の特徴(位置X13のナフチルアラニン)を、X10、X17およびX19の少なくとも一つが負に荷電しているという第3実施形態の特徴と組み合わせることができる。
【0156】
上述した実施形態1〜6によるペプチドの長さは、好ましくは、10〜40または50または60アミノ酸である。好ましい実施形態では、ペプチドコンセンサスが少なくとも10、15、18、20または25アミノ酸の長さを示す。もちろん、ここに記述するコンセンサス配列はそれぞれ、より長い配列に埋め込まれ、包含されうる。ここに記述するペプチドコンセンサス配列は、EPO受容体に対する結合ドメインを形成すると理解することができる。上述し、以下にも記述するように、単量体型ペプチドユニット(結合ドメイン)を組み合わせて、ペプチド二量体、さらにはペプチド多量体にすることも可能である。ペプチドリンカーを使って二量体または多量体を生成させる場合は、二量体化および/または多量体化によって、さらに長いペプチドも生成する。それらは、EPOミメティックペプチドとして、EPO受容体に結合することができる。
【0157】
本発明のEPOミメティックペプチド配列は、N末端および/またはC末端アセチル化およびアミド化を持つことができる。一部のアミノ酸はリン酸化も受けうる。
【0158】
本発明のペプチドは、L−アミノ酸またはその立体異性体D−アミノ酸の他に、非天然/非通常アミノ酸、例えばアルファ,アルファ−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸または乳酸、例えば1−ナフチルアラニン、2−ナフチルアラニン、ホモセリン−メチルエーテル、β−アラニン、3−ピリジルアラニン、4−ヒドロキシプロリン、O−ホスホセリン、N−メチルグリシン(サルコシン)、ホモアルギニン、N−アセチルセリン、N−アセチルグリシン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリジン、ノル−リジン、5−アミノレブリン酸またはアミノ吉草酸なども含みうる。N−メチルグリシン(MeG)およびN−アセチルグリシン(AcG)の使用は、特に末端位置においては、とりわけ好ましい。ここに定義したペプチドのレトロペプチド、インベルソペプチド、レトロ/インベルソペプチドであるペプチド、およびもっぱらD−アミノ酸からなるペプチドも、本発明の範囲に含まれる。
【0159】
本発明はペプチドの誘導体、例えばメチオニンの酸化生成物、または脱アミド化されたグルタミン、アルギニンおよびC−末端アミドにも関する。
【0160】
本発明の実施形態の一つの展開によれば、ペプチドは、アミノ酸残基XおよびX10を置換する単一のアミノ酸を持つ。この実施形態では、両方の残基が、一つの非天然アミノ酸、例えば5−アミノレブリン酸またはアミノ吉草酸で置換されうる。
【0161】
さらにもう一つの展開によれば、第1〜第6実施形態で述べたペプチドは、Xおよび/またはX15に、架橋形成機能性を持つアミノ酸として、C、セレノシステインなどのシステイン誘導体、E、K、もしくはhocを含み、かつ/またはR、HもしくはYもしくはSであるX、および/またはFもしくはMであるX、および/またはGもしくはA(好ましくはG)であるX、および/またはKもしくはHarであるX10、および/またはV、L、I、M、E、A、TもしくはノルイソロイシンであるX11、および/またはTであるX12、および/またはWもしくはナフチルアラニンであるX13、および/またはDもしくはVであるX14、および/またはP、YもしくはAもしくは塩基性の天然もしくは非天然アミノ酸であるX17を含む。しかし、上述のように、X17がKまたは正荷電側鎖を持つ非天然アミノ酸、例えばホモアルギンなどであることも好ましい。
【0162】
本発明によるフラグメント、誘導体および変種ポリペプチドは、本明細書に記載する個々の実施形態によるペプチドと実質的に同じ生物学的機能または活性を保っている。それらを従来技術から適正に弁別するために、フラグメント、誘導体または変種は、各実施形態と同じ特徴を持つ。すなわち、
・実施形態1に関して、それらは、位置X10にプロリンの非保存的置換物を構成するアミノ酸を持つか、またはXおよびX10が単一のアミノ酸で置換される;
・実施形態2に関して、それらは、位置X10にプロリンの非保存的置換物を構成するアミノ酸を持つか、またはXおよびX10が単一のアミノ酸で置換され、かつ位置X13にナフチルアラニンを持つ;
・実施形態3に関して、位置X10、X17またはX19の少なくとも一つは負荷電アミノ酸である;
・実施形態4に関して、それらは、位置XにD−アミノ酸を持つ;
・実施形態5に関して、それらは、位置X10にプロリンの非保存的置換物を構成するアミノ酸を持つか、またはXおよびX10が単一のアミノ酸で置換され、かつ位置XにF、またはFもしくはYの誘導体を持ち、この場合、FまたはYの誘導体は、少なくとも一つの電子吸引性置換基を保持する;
・実施形態6に関して、位置X10、X16、X17またはX19の少なくとも一つは、リジンと比較して伸長された側鎖を持つ正荷電非タンパク質構成アミノ酸を表す。
【0163】
「フラグメント」は、完全長ペプチド(またはポリペプチド、本明細書で使用する用語ペプチドには何のサイズ制限も含まれない)より短く、実質的に類似する機能的活性を保っている。
【0164】
「誘導体」には、追加構造および/または追加機能を与えるために化学修飾されたペプチドが含まれる。
【0165】
誘導体は、自然のプロセスによって修飾されるか、または化学修飾技法によって修飾することができ、それらはどちらも当技術分野において周知である。修飾は、ペプチド主鎖、アミノ酸側鎖、およびアミノ末端またはカルボキシル末端を含めて、ポリペプチド内のどこでも行うことができる。
【0166】
他の化学修飾には、例えばアセチル化、アシル化、アミド化、異なる化学部分の共有結合による取り付け、橋かけ、環化、ジスルフィド結合または他の架橋形成、ヒドロキシル化、メチル化、酸化、PEG化、セレノイル化などが含まれる。
【0167】
本発明によるペプチドの「変種」には、コンセンサス中に定義されるアミノ酸に関して一つ以上のアミノ酸配列置換物を持つポリペプチドが包含される。もちろん、それらは天然アミノ酸以外のアミノ酸も含有しうる。
【0168】
例えば、上述したように本発明の異なる実施形態の機能的変種を得るために、一つ以上の保存的アミノ酸置換を、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列内で行うことができる。置換は、例えば無極性側鎖を持つアミノ酸内、極性側鎖を持つ天然または非天然非荷電D−またはL−アミノ酸内、芳香族側鎖を持つアミノ酸内、天然または非天然正荷電D−またはL−アミノ酸内、天然または非天然負荷電D−またはL−アミノ酸内、ならびに類似するサイズおよび分子量を持つ任意のアミノ酸内(この場合、元のアミノ酸の分子量は、元のアミノ酸の分子量の約±25%を超えて逸脱してはならず、ホルモン・エリスロポエチンの受容体に対する結合能はアゴニスト作用と共に維持される)で行われる(。好ましくは1、2、または3個を超えないアミノ酸が置換される。位置10および17にプロリンが導入されない配列変種が好ましい。
【0169】
本明細書に記載するペプチド配列は、EPO受容体に対する結合ドメインを構成する適切な単量体型ペプチドユニットとして使用することができる。それらは、EPO受容体に結合するので、単量体の形で使用することができる。本明細書に記載するように、それらは、好ましくは二量体として使用される。というのも、二量体はEPO受容体の二量体化を誘導する能力を持ち、それゆえに生物学的活性が、単量体型結合ユニットの二量体化によって強化されるからである。
【0170】
このように多くの異なるペプチドが本発明の範囲に包含されることは明白である。しかし、配列Ac−VLPLYRCRMGRETWECMRAAGVTK−NHには一定の欠点があり、したがって本発明によれば好ましくないことがわかっている。
【0171】
ここに記載する個々のペプチド配列の最初(N末端)および最後(C末端)では、5個までのアミノ酸を除去および/または付加することができる。ペプチド機能が保存される限り、サイズが重要でないことは自明である。さらにまた、短すぎて単量体としてはその活性を持つことができないかもしれない個々のペプチド配列が、二量体化されると、通常はアゴニストして機能することにも留意されたい。したがってそのようなペプチドは、好ましくは、二量体の形で使用される。したがって、それぞれの短縮および/または伸長された実施形態も、本発明の要旨に含まれる。
【0172】
本発明では、大文字である一文字表記の略号は、非天然アミノ酸の追加によって拡大された標準的ポリペプチド命名法の略号である。
【0173】
【表1−1】

【0174】
【表1−2】

上述のように、本発明は、単一アミノ酸の保存的置換物によるペプチドおよび定義されたペプチドコンセンサスの修飾も包含する。そのような置換物は、結合分子の構造および機能を変化させるが、ほとんどの場合、それはわずかな変化にすぎない。保存的置換物では、一つのアミノ酸が、類似する性質を持つ群内のもう一つの別のアミノ酸で置き換えられる。
【0175】
対応する群の例は、
・無極性側鎖を持つアミノ酸:A、G、V、L、I、P、F、W、M
・極性側鎖を持つ非荷電アミノ酸:S、T、G、C、Y、N、Q
・芳香族側鎖を持つアミノ酸:F、Y、W
・正荷電アミノ酸:K、R、H
・負荷電アミノ酸:D、E
・類似するサイズまたは分子量を持つアミノ酸であって、置換アミノ酸の分子量の逸脱が元のアミノ酸の分子量の最大±25%(または±20%、±15%、±10%)であるもの
である。
【0176】
これらの群が、それぞれの側鎖プロファイルを持つ非タンパク質構成性の天然または非天然アミノ酸、例えば正荷電側鎖を示す群の場合はホモアルギニンなども包含することは自明である。例えば非天然アミノ酸などのプロリン10置換分子を、その側鎖の性質によって特徴づけられる上記の群の一つに明確には割り当てることができない場合、それは、通常は、本発明にいうプロリンの非保存的置換であると理解されるべきである。これらの異常アミノ酸を類別するには、分子量による分類補助が役立つかもしれない。
【0177】
より具体的に述べると、Wrightonら(米国特許第5,773,569号および関連特許)は、ファージディスプレイ技法を使って、活性を維持したままどのアミノ酸を置き換えることができるかを、詳細に検討した。彼らは可能な短縮(すなわち与えられたEPOミメティックペプチドの最小長)に関するデータを調査し、公表した。しかし、中央Gly残基近くのプロリンは、活性ペプチドを得るには、他の選択肢がないようだった。
【0178】
好ましくは、記載されたペプチドを、N末端でAcGに修飾し、C末端でMeGに修飾する。
【0179】
上述のように、ペプチドは、二つのEPOミメティックコンセンサス配列、したがって二つの単量体型結合ユニットを含み、その結果、二量体(または、アミノ酸リンカーを二量体化に使用する場合は、連続する二価ペプチド)を形成することが好ましい。単量体型EPOミメティックペプチドユニットは、二量体を形成させるために、上述の実施形態の全てから選択することができる。本発明の単量体型結合ユニットは、従来技術で知られるEPOミメティックペプチドの単量体型結合ユニットと組み合わせることもできる。
【0180】
本発明のEPOミメティックペプチド単量体または二量体は、さらに、少なくとも一つのスペーサー部分を含みうる。好ましくは、そのようなスペーサーは、単量体または二量体のリンカーを、水溶性ポリマー部分または保護基(例えばPEGを挙げることができる)に接合する。PEGは、少なくとも3kD、好ましくは20〜60kDの好ましい分子量を持つ。スペーサーは、−NH−結合またはCOOH基を末端に持ち、場合によっては一つ以上の利用可能な炭素原子において低級アルキル置換基で置換されている、C1−12部分であることができる。特に好ましいスペーサーはWO2004/100997に開示されている。全ての文書−WO2004/100997およびWO2004/101606−は参照により本明細書に組み入れられる。ペプチドのPEG修飾はWO2004/101600に開示されており、この文献も参照により本明細書に組み入れられる。
【0181】
二量体または多量体を得るために、二本のペプチド鎖間の共有結合的リンカーを設計するには、いくつかの選択肢が考えられる。ペプチドはアミノ酸側鎖を介して、または主鎖伸長によって連結することができる。二つのEPOミメティックペプチド部分を共有結合で接合するための四つの異なる主要二量体化戦略を、適切な戦略の例として、以下に略述する。
【0182】
1.C末からC末への末端二量体化
【0183】
【化53】

二量体化は、各ペプチドのC末端にあるジケトピペラジン構造を使って達成することができる。ジケトペラジンリンカーは、C末端アミノ酸、好ましくはグリシンを活性化することによって得ることができる。以下の図は適切な例を示す。
【0184】
【化54】

【0185】
【化55】

本発明の第2の実施形態によれば、位置13にはトリプトファンの代りにナフチルアラニンが存在するであろうことに注意されたい。上記の配列は、二量体化の原理/概念を説明するために使用されるに過ぎず、その原理/概念は本発明に記載する他のペプチドにも機能する。
【0186】
2.N末からN末への末端二量体化
【0187】
【化56】

以下の例は、前記単量体型ペプチドの一方のN末端が、他方のペプチドのN末端に共有結合的に結合される二量体型ペプチドを表し、この場合、スペーサーユニットは、好ましくは、ジカルボン酸構成単位を含有している。
例a:
リンカー/スペーサーとしてヘキサンジオイル(C6)ユニットを含有する二量体の例:
【0188】
【化57】

この二量体構造における連結架橋は、生物活性コンフォメーションの歪みを避けるために、分子モデリングによってカスタムメイドされる。
【0189】
例b:
リンカー/スペーサーとしてオクタンジオイル(C8)ユニットを含有するテーラード二量体の例:
【0190】
【化58】

3.側鎖を介した二量体化
さらにまた、二量体化は、二量体を形成させようと考えている単量体型ペプチドの側鎖間に形成される共有結合によって行うこともできる。
【0191】
【化59】

いくつかの選択肢が存在する。ある実施形態によれば、位置X18にあるアミノ酸(例えばGln)の側鎖は、EPOミメティックペプチド−EPOR複合体中で互いに隣接する。これらのGln18側鎖を共有結合的架橋で置き換えることができる。以下の式は、位置18にあるアミノ酸の側鎖を介して連結されたペプチド二量体の例を示す。
【0192】
【化60】

妥当なリンカーの設計においては、正しい距離および幾何学的配置を考慮する必要がある。
【0193】
以下の式を持つペプチドの幾何学的配置が最適化されると、その構造はネイティブのペプチド二量体と比較して収縮され、変形される。
【0194】
【化61】

先の構造とは対照的に、位置18におけるチオリジンを介した二量体化では、二量体が実質的に歪まない。
【0195】
【化62】

異なる戦略によれば、ペプチド単量体を互いに連結し、よって二量体を形成させる共有結合的架橋は、第1単量体型ペプチドユニットのC末端アミノ酸と第2ペプチド単量体のN末端アミノ酸の側鎖間に形成される。したがって、この二量体化戦略によれば、二量体化されるべきEPOミメティックペプチドは、架橋形成官能性を持つアミノ酸をN末端またはC末端に保持し、それにより、第1ペプチドの最後のアミノ酸と第2ペプチドの最初のアミノ酸の間に共有結合を形成させることができるようになっていることが好ましい。二量体を生じさせる結合は好ましくは共有結合性である。各架橋の適切な例は、例えばジスルフィド架橋およびジセレニド架橋である。しかし、例えば正荷電アミノ酸と負荷電アミノ酸の間のアミド結合またはチオエーテル結合などの他の共有結合的連結結合も、連結部分として適切である(実施形態1に関する上記を参照)。
【0196】
それぞれの接合架橋を形成するのに適した好ましいアミノ酸は、本発明の第1実施形態に関連して略述した。それらは例えばシステイン、システイン誘導体、例えばホモシステインもしくはセレノシステイン、またはチオリジンである。それらはジスルフィド架橋を形成するか、含セレンアミノ酸の場合は、ジセレニド架橋を形成する。
【0197】
それぞれに生成される二量体の適切な例を以下に示す。
【0198】
【化63】

【0199】
【化64】

さらにもう一つの展開によれば、ペプチド二量体の(したがって二量体の最初または最後に位置する各単量体型ペプチドユニットの)N末端またはC末端は、HESなどの担体のカップリングを可能にする余分なアミノ酸を含む。したがって導入されるアミノ酸は、それぞれに、例えばSH基などのカップリング官能性を保持する。そのようなアミノ酸のよくある一例はシステインである。しかし、共有結合の形成を可能にする官能基を持つ他のアミノ酸(例えば全ての負荷電アミノ酸および正荷電アミノ酸)も、適切である。
【0200】
【化65】

ペプチド単量体上の線は共有結合的分子内架橋(この例ではジスルフィド架橋)を表す。
【0201】
さらにもう一つの展開によれば、単量体ユニットを二量体へと接合するための共有結合的架橋の形成に関与するCおよび/またはN末端のアミノ酸が、例えばCOO基またはNH基などの荷電基を示す。この特徴は、分子間架橋構造の有利な安定化につながる。
【0202】
【化66】

4.連続的二価ペプチド
【0203】
【化67】

この戦略の中心概念では、二量体化または多量体化に先だって単量体型ペプチドユニットを別々の反応で合成することを避け、最終的な二価または多価ペプチドを、単一の連続するペプチドとして一段階で、例えば1回の固相反応で合成する。したがって、別個の二量体化または多量体化ステップは、もはや使用されない。この側面により、大きな利点、すなわち最終ペプチドユニットにおける各配列位置に対する完全かつ独立した制御が得られる。この方法では、各配列位置に対する独立した制御により、少なくとも二つの異なる受容体特異的結合ドメインを、一つの連続したペプチドユニット中に容易に内包することができる。
【0204】
この実施形態によれば、結合ドメイン間の最終ペプチド(これは「リンカー領域」である)の配列は、アミノ酸だけから構成されるので、単一の連続した二量体型または多量体型EPOミメティックペプチドがもたらされる。本発明の好ましい実施形態では、前記ペプチドリンカーが、高いコンフォメーションフレキシビリティを許す天然または非天然アミノ酸から構成される。この点において、ねじれに対して高いフレキシビリティを持つことで知られるグリシン残基を連結アミノ酸として使用することは、有利になりうる。しかし、アラニンもしくはベータ−アラニンなどの他のアミノ酸またはそれらの混合物も、ペプチドリンカーの作製に使用することができる。使用されるアミノ酸の数および選択は、それぞれの立体事情に依存する。本発明のこの実施形態は、生物活性コンフォメーションの歪みを避けるために、分子モデリングによる適切なリンカーのカスタムメイド設計を可能にする。3〜5個のアミノ酸から構成されるリンカーはとりわけ好ましい。
【0205】
最終二価または多価ペプチドの機能ドメイン(または単量体ユニット)間のリンカーは、ペプチドの独特な部分であるか、単量体型機能ドメインの一部であるアミノ酸から−完全にまたは部分的に−構成されることができる。例えば、連続的二価ペプチドの場合、フレキシブルなリンカーを形成させるには、ペプチド単量体の最初(例えば位置XおよびX)およびペプチド単量体の最後(例えば位置X19およびX20)には小さくてフレキシブルなアミノ酸が好ましい。これらの位置における好ましいアミノ酸は、例えばグリシンまたはベータ−アラニン残基である。配列11〜14に例を示す。このように、あるアミノ酸はリンカーの一部を形成すると共に、単量体サブユニットの一部をも形成するかもしれないので、「リンカー」という用語は、構造によって定義されるのではなく、このように、機能によって定義される。
【0206】
上述のように、二価/多価ペプチドの合成時に最終ペプチド内での各配列位置は制御され、したがって正確に決定することができるので、ペプチドまたはその特異的領域もしくはドメイン(リンカーを含む)を特製することまたは適合させることが可能である。これには独自の利点がある。というのも、これにより、不利な分子内相互作用による最終二価ペプチドの生物活性コンフォメーションの歪みを避けることができるからである。歪みのリスクは、分子モデルリングによって、合成前に評価することができる。これはとりわけ単量体ドメイン間のリンカーの設計に当てはまる。
【0207】
二量体化用のペプチドリンカーを持つ連続的二価/多価ペプチドは、対応する単量体型ペプチドよりもはるかに高い活性を示すので、二価ペプチド概念には効力の増加が付随するという他の二量体型ペプチドから知られている知見が裏付けられる。
【0208】
連続的二価/多価ペプチドは、例えばアセチル化またはアミド化によって修飾するか、C末端位置またはN末端位置を伸長することができる。上述した単量体型ペプチド(単量体)に関する先行技術の修飾は、PEG、デンプンまたはデキストランなどの可溶性部分の取り付けを含めて、本発明の多価または二価ペプチドにも応用することができる。
【0209】
考えうる全ての修飾はリンカーの修飾にも適用される。特に、例えばPEG、デンプンまたはデキストランなどの可溶性ポリマー部分をリンカーに取り付けると有利であるかもしれない。
【0210】
本発明の最終多価または二価ペプチドの合成には、引き続いて各結合ドメイン内で二つのジスルフィド結合または他の分子内結合を独立して形成させることも、有利に含めることができる。その結果として、ペプチドを環化させることもできる。
【0211】
本発明の二価構造は、本明細書に報告するペプチド単量体に基づいて、有利に形成される。
【0212】
ペプチドの反応性側鎖は、例えばさらなる修飾のための連結ひもとして役立ちうる。二量体型ペプチドは、さらに、場合によっては、例えばシステインなどの架橋形成側鎖官能性を持つ第1アミノ酸と第2アミノ酸および/または第3アミノ酸と第4アミノ酸(XおよびX15)の間に分子内架橋を含む。
【0213】
ペプチドは、例えばアセチル化またはアミド化によって修飾するか、C末端位置またはN末端位置を伸長することができる。例えばポリマー用の取り付け部位を調製するためにの、二つの末端のうちの一方(NまたはC)を一つ以上のアミノ酸で伸長すると、多くの場合、ヘテロ二量体型二価ペプチドがもたらされ、これは連続的ペプチドとして最もうまく製造することができる。
【0214】
従来技術では、担体をタンパク質およびペプチドにカップリングするために、いくつかの反応性アミノ酸が知られている。好ましいカップリングアミノ酸は、N末端かC末端にカップリングすることができるシステインである。しかし、カップリングの向きは、かなりの相違を生じうるので、各ペプチドについて注意深く選択すべきである。以下に例を挙げてこれを説明することにする。
【0215】
使用するのは以下の二つの二量体である。
【0216】
【化68】

1−Nal:1−ナフチルアラニン
Cys(tBu):S−tert−ブチル保護L−システイン
41マーAGEM400C6C4およびAGEM40C6C4は同じコア配列を持っている。AGEM40C6C4のアミノ酸1〜40はAGEM40C6C4のアミノ酸2〜41に匹敵する。唯一の相違点はtBu保護システインの位置である。このアミノ酸は受容体薬物相互作用には関与しないが、最終コンジュゲート中でポリマー担体への連結基として機能することが予定されている。AGEM400C6C4の場合、tBu保護システインはC末に取り付けられ、AGEM40C6C4の場合はN末に取り付けられる。接続線はシステイン架橋を表す。
【0217】
AGEM400C6C4にはAGEM40C6C4と比較して二つの利点がある。
【0218】
第1の利点はその合成上の利便性である。AGEM400C6C4はAGEM40C6C4より高い総収率で単離することができる。AGEM40C6C4の線状配列を合成する場合、ClZ−22マー(ClZ−RGGGTYSCHFGKLT−1−Nal−VCKKQRG−NH、ClZ:2−クロロベンジルオキシカルボニル基)が副生成物として観察される。これは、逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)によるその線状配列の精製中に、AGEM40C6C4の線状前駆体と類似するクロマトグラフィー挙動を示すので、そこから分離することが難しくなり、所望の生成物の総収率の低下をもたらす。AGEM400C6C4の場合、類似する化合物は見出されない。
【0219】
AGEM40C6C4と比較したAGEM400C6C4の第2の利点は、脱保護したペプチドとポリマー担体との最終コンジュゲートを容易に分析できることにある。ペプチドコンジュゲートを分析するための一つの戦略は、エンドプロテアーゼによる切断を使ったコンジュゲートの選択的分解である。理想的には酵素的加水分解時にペプチド全体がポリマー担体から放出される。これらのペプチドフラグメントは、例えばUVまたはMS検出を使ったHPLCのような標準的分析技法で同定し、定量することができる。
【0220】
AGEM400C6C4の場合、切断はトリプシン−荷電アミノ酸アルギニンおよびリジンのC末端側にあるペプチド結合を高度に選択的に切断することが知られているエンドプロテアーゼ−で達成することができる(F.Lottspeich、H.Zorbas(Hrsg.)「Bioanalytik」Spectrum Akademischer Verlag、ハイデルベルク、ベルリン、1998)。AGEM400C6C4のコンジュゲートに適用すると、これは、担体分子に結合された元のペプチドの41アミノ酸中38アミノ酸をカバーするフラグメントを遊離させることになる。AGEM40C6C4の場合は、41アミノ酸中21アミノ酸しかないフラグメントがトリプシン消化によって放出される:
【0221】
【化69】

遊離され、追跡分析によって検出することができるフラグメントを、灰色の背景で示している。
【0222】
活性医薬成分の分析はその開発時に重要な問題であるので、AGEM400C6C4はAGEM40C6C4と比較して明確な利点を持っている。
【0223】
このように、正荷電アミノ酸がそれぞれの位置にある場合は、連結アミノ酸(ここではシステイン)をC末端に組み込むことが非常に好ましい。なぜなら、単量体の位置X19にあるアルギニンゆえに切断部位がほとんどポリマーの直前にくるので、ほぼ完全なペプチドフラグメントを生成させることが可能だからである。
【0224】
本発明の化合物はヒトおよび/または獣医医薬組成物の製造に有利に使用することができる。したがってこれらはヒト治療および獣医治療における使用に適している。これらは、EPOミメティックとして、エリスロポエチンと基本的に同じ定性的活性パターンを示す。したがってこれらは概してエリスロポエチンと同じ適応症に適している。
【0225】
エリスロポエチンはサイトカインスーパーファミリーのメンバーである。序論で説明した刺激作用の他に、エリスロポエチンは幹細胞を刺激することも見出された。したがって本明細書に記載するEPOミメティックは、幹細胞関連作用によって引き起こされる全ての適応症に適している。限定でない例は、神経系に関連する疾患の予防および/または処置である。例として、神経損傷、神経疾患または神経障害、例えばパーキンソニズム、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ゴーシェ病、テイ・サックス病、ニューロパシー、末梢神経損傷、脳腫瘍、脳損傷、脊髄損傷または脳卒中損傷などが挙げられる。本発明のEPOミメティックペプチドは、心不全を患っている患者または心不全を患う危険がある患者の予防的および/または治療的処置にも使用することができる。例として、心筋梗塞、冠状動脈疾患、心筋炎、化学療法処置、アルコール依存症、心筋症、高血圧、僧帽弁閉鎖不全または大動脈狭窄を含む心臓弁膜症、および甲状腺の障害、慢性および/または急性冠症候群が挙げられる。
【0226】
さらにまたEPOミメティックは、内皮前駆細胞の生理学的動員、増殖および分化の刺激、脈管形成の刺激、内皮前駆細胞の機能障害に関係する疾患の処置、ならびにそのような疾患を処置するための医薬組成物および前記ペプチドと内皮前駆細胞の刺激に適した他の薬剤とを含む医薬組成物の製造にも使用することができる。そのような疾患の例は、高コレステロール血症、真性糖尿病、内皮介在性慢性炎症性疾患、細網内皮症を含む内皮症、アテローム性動脈硬化、冠動脈心疾患、心筋虚血、狭心症、加齢性心血管疾患、レイノー病、妊娠誘発性緊張亢進、慢性または急性腎不全、心不全、創傷治癒および続発症である。
【0227】
さらにまた、本発明のペプチドは、血液脳関門を横切って薬剤を送達するための適切な担体でもあり、血液脳関門を通過することができる各治療用コンジュゲーション剤のそれぞれの目的および/またはその製造に使用することができる。
【0228】
本明細書に記載するペプチドは、エリスロポエチンの欠乏または低赤血球集団もしくは欠陥赤血球集団を特徴とする障害の処置、とりわけあらゆるタイプの貧血および脳卒中の処置に、とりわけ適している。これらのペプチドは、哺乳動物におけるヘマトクリットを増加させ、かつ/または維持するのにも適している。そのような医薬組成物は、その組成物を意図する投与手法に適合させるために、場合によっては、薬学的に許容できる担体を含みうる。適切な送達方法ならびに担体および添加剤は、例えばWO2004/101611およびWO2004/100997に記載されている。
【0229】
上に略述したように、単量体型ペプチドを二量体化して二量体、さらには多量体にすると、通常は、各単量体型ペプチドと比較して、EPOミメティックアゴニスト活性が改善される。しかし活性をさらに強化することが望ましい。例えば、二量体型EPOミメティックペプチドでさえ、細胞機構の活性化については、EPOほど強力でない。
【0230】
より強力な候補を同定するべく、先行技術では、ペプチドの活性を増加させるために、例えばアミノ酸配列の変異などによるいくつかのアプローチがなされた。しかし、今のところ、生物学的活性を改善するために、ペプチドの活性、とりわけEPOミメティックペプチドの活性をさらに強化させることが、依然として望ましい。
【0231】
本発明のさらにもう一つの実施形態はこの課題に対する解決策を提供する。ここでは、ターゲット分子を結合する化合物であって、
i)少なくとも二つのペプチドユニットであって、各ペプチドユニットがターゲットへの結合能を持つ少なくとも二つのドメインを含むもの、
ii)少なくとも一つのポリマー担体ユニット
を含み、前記ペプチドユニットが前記ポリマー担体ユニットに結合している化合物が提供される。
【0232】
驚いたことに、ポリマー支持体上で本発明の二価または多価ペプチドを二つ以上組み合わせると、その結合受容体に対する二価(さらには多価)ペプチドの効力が、相加的な増加にとどまらず、超相加的に著しく増加していることが見出された。したがって相乗的な作用が観察される。
【0233】
本発明に関して使用する「二価」という用語は、ターゲット(ここでは特にEPO受容体)への結合能を持つドメインを二つ含んでいるペプチドと定義される。これは「二量体型」という用語と可換的に使用される。したがって、「多価」または「多量体型」EPOミメティックペプチドは、EPO受容体に対する各結合ドメインを数個持っている。「ペプチド」および「ペプチドユニット」という用語が、サイズに関して何の制限も含んでいないこと、オリゴペプチドおよびポリペプチドならびにタンパク質を包含することは、自明である。
【0234】
ポリマー担体ユニットに取り付けられた二つ以上の二価または多価ペプチドユニットを含む化合物は、この実施形態においては、「超結合価(supravalent)」と名付けられる。これらの超結合価分子は、従来技術で知られている二量体型または多量体型分子とは著しく異なる。従来技術では、二量体を作製するために単量体型EPOミメティックペプチドを組み合わせるに過ぎない。これに対して、超結合価分子は、既に(少なくとも)二価であるペプチドユニットをポリマー担体に接合し、その結果、超結合価分子を作製することによって生成する(例を図面に示す)。これにより、ペプチドの総合活性および総合効力は著しく強化され、よってEC50用量は減少する。
【0235】
今のところ、従来技術で知られている分子と比較して超結合価分子が強い力価を持つ理由は完全にはわかっていない。それは、従来技術で知られている二量体型分子が、二量体一つにつき一つの各ターゲット受容体結合ユニットしか提供しないという事実によるのかもしれない。したがって、二量体型化合物が結合すると、受容体複合体が一つだけ生成し、その結果、シグナル伝達プロセスが一つだけ誘発される。例えば、ペプチド二量体を形成させるためにPEGを介して二つの単量体型EPOミメティックペプチドを接合すると、結果として、シグナル伝達に必要な受容体単量体の二量体化が助長される(Johnsonら、1997)。これに対して、本発明の超結合価化合物は、既に二量体または多量体である各受容体結合ユニットを数個含む。これが、化合物分子一つにつき細胞表面上で数個の受容体複合体の生成を可能にし、その結果、数個のシグナル伝達が誘発され、その結果、超相加作用的に、ペプチドユニットの活性が増強されるのかもしれない。超結合価化合物の結合は、細胞表面における受容体複合体のクラスター化をもたらすのかもしれない。
【0236】
この実施形態で使用されるEPOミメティックペプチドユニットは同型であっても、異型であってもよい。つまり、同一のペプチドユニットまたは異なるペプチドユニットが使用される。ペプチドユニットの結合ドメイン(上述した単量体型ペプチド)にも同じ事が言え、それらも同型または異型であることができる。担体ユニットに結合した二価または多価ペプチドユニットは、同じ受容体ターゲットを結合する。しかし、それでもなお、それらはもちろん、そのアミノ酸配列が異なりうる。二価または多価ペプチドユニットの単量体型結合ドメインは線状であっても、環状であってもよい。環状分子は例えば分子内システイン架橋の形成によって作製することができる(上記参照)。
【0237】
ポリマー担体ユニットは、少なくとも一つの天然または合成分岐、線状またはデンドリティックポリマーを含む。ポリマー担体ユニットは好ましくは水および体液に可溶であり、好ましくは薬学的に許容できるポリマーである。水溶性ポリマー部分には、例えばポリアルキレングリコールおよびその誘導体、例えばPEG、PEGホモポリマー、mPEG、ポリプロピレングリコールホモポリマー、エチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマー(この場合、前記ホモポリマーおよびコポリマーは無置換であるか、一端が例えばアシル基で置換される);ポリグリセリンまたはポリシアル酸;セルロースおよびセルロース誘導体、例えばメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース;デンプン(例:ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)、とりわけヒドロキシエチルデンプン(HES))およびデキストリン、ならびにその誘導体;デキストランおよびデキストラン誘導体、例えばデキストラン硫酸、架橋デキストリン、およびカルボキシメチルデキストリン;キトサン(線状多糖)、ヘパリンおよびヘパリンのフラグメント;ポリビニルアルコールおよびポリビニルエチルエーテル;ポリビニルピロリドン;アルファ,ベータ−ポリ[(2−ヒドロキシエチル)−DL−アスパルトアミド;ならびにポリオキシエチル化ポリオールなどがあるが、これらに限るわけではない。担体ユニットの一例は、例えばポリエチレングリコールなどのホモ二官能性ポリマー(ビス−マレイミド、ビス−カルボキシ、ビス−アミノなど)である。
【0238】
本発明の単量体型コンセンサス配列を含む少なくとも二つの二量体型EPOミメティックペプチドにカップリングされるポリマー担体ユニットは、本発明に関して適切な種々のポリマーがさまざまな性質を持つため、広範囲にわたる分子量を持つことができる。したがってサイズ制限はない。しかし、分子量は少なくとも3kD、好ましくは少なくとも10kDかつおよそ20〜500kD付近、より好ましくは30〜150または60または80kD付近である。担体ユニットのサイズは選択したポリマーに依存するので、さまざまでありうる。例えば、とりわけヒドロキシエチルデンプンなどのデンプンを使用する場合は、分子量がかなり高くなるかもしれない。その場合、平均分子量は100〜4000kD付近、さらにはそれ以上になるかもしれない。しかし、HES分子の分子量は50〜500kD付近、または100〜300kD付近、好ましくは200kD付近にあることが好ましい。担体ユニットのサイズは、好ましくは、各ペプチドユニットが各受容体分子を結合するのに最適に配置されるように、選択される。
【0239】
これを容易にするために、本発明の一実施形態では、分岐ユニットを含む担体ユニットを使用する。この実施形態によれば、例えばPEGなどのポリマーが、分岐ユニットに取り付けられて、数多くのペプチドユニットを組み込むことが可能な大きい担体分子が得られる。適当な分岐ユニットの例はグリセロールまたはポリグリセロールである。例えば参照により本明細書に組み入れられるHaag 2000に教示されているように、デンドリティック分岐ユニットも使用することができる。分岐型のHES担体も使用することができる。これは例えばアミロペクチンから高率に得られる。
【0240】
好ましくは、単量体型結合ユニットを組み合わせて(頭−頭、頭−尾、または尾−尾型の)ペプチドユニットにすることによってペプチドユニットを作製してから、ポリマー担体ユニットをペプチドユニットに接合する。ポリマー担体ユニットは、共有結合または非共有(例えば配位)結合によって、ペプチドユニットに接合/カップリングされる。ただし共有結合の使用が好ましい。取り付けは、例えばペプチドユニットの反応性アミノ酸、例えばリジン、システイン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、チロシンを介して行うか、またはN末端アミノ基およびC末端カルボン酸を介して行うことができる。ペプチドが反応性アミノ酸を保持していない場合は、そのようなアミノ酸をアミノ酸配列中に導入することができる。カップリングは、ターゲットへの結合が妨害されないように、または少なくとも可能な限り妨害が少なくなるように、選択されるべきである。ペプチドユニットのコンフォメーションに依存して、反応性アミノ酸はペプチド配列の最初、最後または内部に存在する。
【0241】
ポリマー担体ユニットが適当なカップリング基を持っていない場合は、ポリマーがペプチドユニット上の少なくとも一つの反応性基と反応して超結合価化合物を形成することができるように、ポリマーを適当に修飾するために、いくつかのカップリング物質/リンカーを使用することができる。ポリマーを修飾するために使用することができる適切な化学基は、例えば以下のとおりである:
タンパク質のアミノ基と反応するアシル化基、例えば酸無水物基、N−アシルイミダゾール基、アジド基、N−カルボキシ無水物基、ジケテン基、ジアルキルピロカーボネート基、イミドエステル基、およびカルボジイミド活性化カルボキシル基。上述の基はすべて、タンパク質/ペプチド上のアミノ基と反応して、アシル結合または類似の結合を伴う共有結合を形成することが知られている;
ペプチドユニット上のスルフヒドリル(メルカプト)、チオメチル、イミダゾまたはアミノ基と反応するアルキル化基、例えばハロ−カルボキシル基、マレイミド基、活性化ビニル基、エチレンイミン基、アリールハライド基、2−ヒドロキシ5−ニトロ−ベンジルブロミド基;ならびにペプチドのアミノ基と反応する脂肪族アルデヒドおよびケトン基と還元剤の組み合わせ;
ペプチドのカルボキシル基と反応するエステル形成基およびアミド形成基、例えばジアゾカルボキシレート基、およびカルボジイミド基とアミン基の組み合わせ;
タンパク質上のスルフヒドリル基と反応するジスルフィド形成基、例えば5,5’−ジチオビス(2−ニトロベンゾエート)基、オルト−ピリジルジスルフィドおよびアルキルメルカプタン基(これらはヨウ素などの酸化剤の存在下でタンパク質のスルフヒドリル基と反応する);
ペプチドのグアニジン部分と反応するジカルボニル基、例えばシクロヘキサンジオン基、および他の1,2−ジケトン基;
ペプチド上のフェノール性基と反応するジアゾ基;
ペプチド上のアミノ基と反応する、臭化シアンと多糖との反応によって生じる反応性基。
【0242】
したがって要約すると、本発明の化合物は、場合によっては、まずポリマー担体を化学的に修飾することによって、ペプチドユニット上の利用可能な化学基またはペプチドユニット上に導入された化学基と反応することができる少なくとも一つの化学基をその上に持っているポリマー担体を製造し、次にその−場合によっては−修飾されたポリマーとペプチドユニットとを反応させて、必要であれば修飾されたポリマーの化学基を利用して、その共有結合した複合体を形成させることによって、製造することができる。
【0243】
カップリングがペプチドの(例えばシステイン基の)遊離SH基を介して行われる場合は、ポリマー中のマレイミド基を使用することが好ましい。
【0244】
明確な分子を生成させるために、ペプチドユニットをポリマー担体ユニットに取り付けるには、的を絞った(targeted)アプローチを使用することが好ましい。適当なアミノ酸が所望する取り付け部位に存在しない場合は、適当なアミノ酸を二量体型EPOミメティックペプチドユニットに組み込むことができる。部位特異的にポリマーを取り付けるには、ペプチドの至る所で制御されないカップリングが起こって、いくつかの異なるポリマー分子の集団を含む不均一な混合物がもたらされるのを避けるために、ユニークな反応基、例えばペプチドユニットの最後にある特異的アミノ酸が好ましい。
【0245】
ポリマー担体ユニット、例えばPEGまたはHESへの、ペプチドユニットのカップリングは、広く当業者に知られている反応を使って行われる。例えば当業者は、いくつものPEGおよびHES取り付け方法を利用することができる(例えばWO2004/100997とその参考文献、Robertsら、2002;US4,064,118;EP1398322;EP1398327;EP1398328;WO2004/024761;これらは全て参照により本明細書に組み入れられる)。
【0246】
本明細書に記載する超結合価(supravalency)という概念は、PEG化またはHES化という既知の概念とは異なることを理解することが重要である。従来技術では、PEG化が、ペプチド二量体を製造するためだけに、または一つ以上のPEGユニットをペプチドに取り付けることによって薬物動態パラメータを改善するためだけに用いられる。しかし上に略述したように、二つ以上の少なくとも二価であるペプチドユニットを、例えばポリマー担体ユニットとしてのPEGまたはHESに取り付けることにより、効力も著しく強化される(したがってEC50用量が低下する)。したがって本発明の概念は、従来技術で知られているPEG化またはHES化概念の場合がそうであるように薬物動態パラメータに対して強い作用を持つだけでなく、薬力学パラメータに対しても強い作用を持つ。しかしもちろん、例えばポリマー担体ユニットとしてのPEGまたはHESの組み込みは、薬物動態に関する既知の利点も持つ。
【0247】
PEG化は通常、ペプチドの生物製剤的性質を改善するために企てられる。PEGコンジュゲーション後に起こるタンパク質分子の最も重要な変化はサイズ拡大、タンパク質表面および糖鎖付加機能のマスキング、電荷修飾およびエピトープ遮蔽である。特に、サイズ拡大は腎限外濾過を減速させ、受動的な透過性亢進および滞留機構による透過性組織への蓄積を促進する。タンパク質遮蔽は、重要な排除経路であるタンパク質分解および免疫系認識を減少させる。タンパク質の物理化学的および生物学的性質に対するPEG化の具体的作用は、タンパク質およびポリマーの性質ならびに採用したPEG化戦略によって厳密に決まる。
【0248】
しかし、PEGまたは他の非生分解性ポリマーの使用は、新しい問題を引き起こすかもしれない。
【0249】
インビボ適用に際して、臨床的状況における投薬間隔は、薬物作用の喪失によってトリガされる。日常的な投薬量および投薬間隔は、作用が投薬間隔中に失われないように、適合される。非生分解性の大きなポリマーユニット(例えばPEG部分)に取り付けられたペプチドは支持体分子が身体によって除去されるであろう速度よりも速く分解されうるという事実ゆえに、担体ユニットが蓄積するという危険が生じうる。薬物の実効半減期は薬物そのものまたはその成分/代謝産物の一つの消失半減期よりも短いので、そのような蓄積の危険は常に生じる。したがって、担体分子の蓄積は、とりわけ長期処置においては、回避されるべきである。なぜなら、ペプチドは通常、非常に大きくそれゆえに遅い腎排出を示すPEG部分(約20〜40kD)でPEG化されるからである。ペプチド部分そのものは酵素的分解を受け、部分的切断でさえ、そのペプチドを失活させるには十分であるかもしれない。
【0250】
この潜在的問題に対する解決策を見出すために、本発明の一実施形態は、少なくとも二つのサブユニットから構成されるポリマー担体ユニットの使用を教示する。これらのポリマーサブユニットは生分解性共有結合リンカー構造によって接合される。この実施形態によれば、大きな担体分子(例えば40kD)の分子量が、生分解性リンカーによって接合された数個の小サイズまたは中サイズのサブユニット(例えば5〜10kDの分子量を持つ各サブユニット)によって作製される。モジュールサブユニットの分子量が合計されることにより、担体分子の所望の分子量が生じる。しかし、生分解性リンカー構造は体内で分解され、それにより、小さな担体サブユニット(例えば5〜10kD)を放出することができる。小さい担体サブユニットは、総分子量(例えば40kD)を持つポリマー分子よりも良好な腎クリアランスを示す。その実例を図16に示す。
【0251】
リンカー構造は、体液における既知の分解特性および分解の時間尺度に従って選択される。分解可能な構造は、例えば、加水分解によって切断することができるアミド/ペプチド結合またはエステルの形をしたカルボン酸誘導体のような切断可能基を含有することができる(例えば参照により本明細書に組み入れられるRoberts、2002を参照されたい)。生理的pHにおける分解速度を制御するために、PEG主鎖にさまざまなエステル結合を持つPEGスクシンイミジルエステルを合成することもできる(参照により本明細書に組み入れられるZhao、1997)。ベンジルウレタンのジスルフィドのような他の分解可能構造も、細胞のエンドソーム区画に見られるような穏和な還元環境下で切断することができるので(Zalipsky、1999)、同様に適切である。適当なリンカーを選択するための他の基準は、速い(しばしば酵素的)分解か、遅い分解(しばしば非酵素的分解)かの選択である。体液におけるこれら二つの機構の組み合わせも実現可能である。この著しく有利な概念が本明細書に説明し言及した特定ペプチドユニットに限定されず、PEG分子などの大きなポリマーユニットに取り付けられて蓄積という同じ問題が生じる他の医薬分子にも当てはまることは、明白である。
【0252】
ある実施形態によれば、ヒドロキシアルキルデンプン、好ましくはHESが、ポリマー担体ユニットとして使用される。HESは重要な利点をいくつか持っている。何よりもまず、HESは生分解性である。さらにまた、HESの生分解性は、ヒドロキシエチル基の比率によって制御することができ、そうすることで支配することができる。0.4〜0.8というグルコースユニットのモル置換度(平均してグルコースユニットの40〜80%がヒドロキシエチル基を含有する)は、本発明の目的には十分に適している。生分解性ゆえに、PEGに関連して上述した蓄積問題は、通常は起こらない。さらにまた、HESは医学的処置に例えば血漿増量剤の形で長年にわたって使用されてきた。したがってその無害性は是認されている。
【0253】
さらにまた、HESの加水分解産物の誘導体は、ガスクロマトグラフィーで検出することができる。HES−ペプチドコンジュゲートは、ペプチドユニットが依然として安定であるような条件下で加水分解されうる。これは、分解産物の定量およびモニタリングを可能にし、活性ペプチドの評価および規格化を可能にする。
【0254】
さらにもう一つの実施形態によれば、第1タイプのポリマー担体ユニットを使用して、そこにペプチドユニットを負荷する。この第1担体は、好ましくは、例えばHESがそうであるように、易生分解性である。しかし、第1担体の全ての取り付けスポットがペプチドユニットで占有されるわけではなく、例えば20〜50%ぐらいが占有されるに過ぎない。使用するポリマーのサイズに依存して、一般的には、数百個のペプチドユニットを担体分子にカップリングすることができるだろう。しかし通常は、それより少ない、例えば2〜50または2〜20個のペプチドユニットが使用される。EPOミメティックペプチドの場合、2〜15、2〜10、2〜8および3〜6個のペプチドが好ましい。第1担体の残存取り付け部位の残り(または少なくとも一部)は、異なる担体、例えば第1担体より低い分子量を持つ小さなPEGユニットで占有される。この実施形態は、第1担体によって超結合価組成物が作製されるが、好ましくは3〜5または10kDのPEGユニットによって構成される第2担体の存在ゆえに、その耐久性は極めて高いという利点を持つ。しかし全体としては十分に分解性である。なぜなら、第1担体(例えばHES)およびペプチドユニットは生分解性であり、PEGなどの第2担体は身体から容易に除去されるほど十分に小さいからである。
【0255】
ペプチドユニットの結合ドメインを構成する単量体はホモ二量体型エリスロポエチンを認識する。ホモ二量体型受容体であるというこの性質により、EPO受容体は他の多くのサイトカイン受容体と区別される。上述のように少なくとも二つのEPOミメティック単量体型結合ドメインを含むペプチドユニットはEPO受容体に結合し、好ましくはそのターゲットを二量体化または多量体化し、かつ/またはそれを相応に安定化することができ、それにより、シグナル伝達を誘発する複合体を生じさせる。
【0256】
本発明は、各化合物の製造方法であって、ペプチドユニットが各担体ユニットに接合される方法も含む。さらに本発明は、各化合物の製造方法であって、ペプチドユニットが各ポリマー担体ユニットに接合される方法も含む。本発明の化合物は、ヒトおよび/または獣医医薬組成物の製造に、有利に使用することができる。それらは、エリスロポエチンの欠乏または低赤血球集団もしくは欠陥赤血球集団を特徴とする障害の処置に、とりわけあらゆるタイプの貧血および脳卒中の処置に、とりわけ適しうる。それらは上述の全ての適応症にも使用することができる。そのような医薬組成物は、意図する投与手法にその組成物を適合させるために、場合によっては、薬学的に許容できる担体を含みうる。適切な送達方法ならびに担体および添加剤は、例えば参照により本明細書に組み入れられるWO2004/100997およびWO2004/101611に記載されている。
【実施例】
【0257】
以下に実施例を挙げて超結合価分子の概念を説明することにする。本発明の簡単な超原子価分子の例を図1に示す。二つの連続的二価ペプチドが、マレイミド基を持つ二官能性PEG部分により、そのN末端で接合される。PEG担体ユニットに対する反応性取り付け部位としてシステインを選択した。
【0258】
しかし超結合価分子は三つ以上の連続的二価または多価ペプチドユニットを含むことができる。分岐ユニットとして中央グリセロールユニットを持つ担体ユニットに基づき、三つの連続的二価ペプチドを含む実施例を、図2に示す。ここでも取り付けにはシステインを使用した。ポリマー担体ユニットとしてHESを使用する実施例を、図3に示す。ペプチドユニットのSH基と反応するマレイミド基を保持するように、HESを修飾した。この実施例では、全ての取り付け部位(この場合は4個)がペプチドユニットに結合される。しかし、小さいPEGユニット(例えば3〜10kD)が、取り付け部位の少なくとも一部を占有してもよい。
【0259】
上に説明したように、超結合価概念は、デンドリティックおよび/またはポリマー担体ユニットが多数の連続的二価ペプチドに接合されている多価デンドリティックポリマーに拡大することもできる。例えばデンドリティック分岐ユニットは、ポリグリセロールに基づくことができる(参照により本明細書に組み入れられるHaag、2000を参照されたい)。
【0260】
6個の連続的二価ペプチドを含有するデンドリティック分岐ユニットを持つ担体ユニットに基づく超結合価分の例を、図4に示す。
【0261】
超結合価分子の別の例は、例えば過ヨウ素酸を使って酸化することによって多数のアルデヒド官能基を内包するようになるデンプンまたはデキストランを持つ担体ユニットを含む。第2ステップでは、多くの二価ペプチドが担体ユニットに取り付けられ、全体として最終分子を形成する。例えばHESである担体分子には、数百(例えば50〜1000、好ましくは150〜800、さらに好ましくは250〜700)個のペプチドユニットをカップリングすることさえ可能であることに留意されたい。しかし、EPOミメティックペプチドをカップリングする場合は特に、図に示すように、はるかに少ないペプチドユニットをHES分子に結合させてもよい。カップリングされるペプチドユニットの平均数は、そのペプチドおよび結合されるべき受容体に依存して、2〜1000個、2〜500個、2〜100個、2〜50個、好ましくは2〜20個、最も好ましくは2〜10個程度から選択することができる。
【0262】
簡単な生分解性超結合価分子の概念を図5に図解する。二つの連続的二価ペプチドが、中間切断位置を持つ生分解性リンカーを介して接合された二つの二官能性PEG部分により、そのN末端で接合される。これらのリンカーは、大きなPEGユニットをサブユニットに分解することを可能にし、結果として腎クリアランスを容易にする。
【0263】
超結合価作用に関係する利点は、極めて驚くべきものであり、予想外だった。最初は、高分子へのコンジュゲーションによって効力が低下するかもしれないと懸念された。この予想は、大きな分子では拡散速度が低下するので、結合速度には不利であると考えられたことに基づく。もう一つの予想は、担体に結合された数個のペプチドAPIからは、その全てが受容体に結合することはできないだろうというものだった。その理由は、潜在的に、同時に結合した時の立体問題、または高分子担体の伸長部分が到達することのできる受容体の数が限られ、おそらくはペプチドAPIの数よりも少ないからというものである。したがって、本発明の超結合価概念に見られるようなペプチドAPI(活性医薬成分)の力価の増加は、予想外だった。
【0264】
一方、高分子担体によって導入されうる著しい薬物動態変化により、ペプチド/担体複合体全体の半減期が延びたことに起因して、インビボ力価を改善させることができた。この現象は超結合価作用をインビボで決定することが困難になるという作用も持つ。というのも、それは別個に決定する必要がある薬力学的実体だからである。したがってインビトロアッセイは十分であるばかりでなく、超結合価作用を明確に実証する唯一有用な方法であるかもしれない。
【0265】
本発明に記載する超結合価作用は、ペプチドAPIのモル量の比較(担体にコンジュゲートされたもの対コンジュゲートされていないもの)によって実証することができる。
【0266】
実験は、EPO様活性のインビトロ決定に関する欧州薬局方の勧告どおり、標準TF−1細胞アッセイで行った(下記も参照されたい)。基本的には、さまざまな濃度のEPOまたはEPOミメティック物質の存在下でTF−1細胞(その増殖はEPO様活性の存在に依存する)を培養する。その結果得られる細胞数を比色MTTアッセイおよび測光測定法を使って定量する。これらのデータに基づいて、与えられた各物質について規格化された用量応答関係を決定することができる。
【0267】
このアッセイでは、EPOと、EPOミメティック活性を持つ連続的二価ペプチドであるペプチドAGEM40(下記参照)とを使用した。
【0268】
AGEM40は、非コンジュゲートペプチドとして、および高分子担体(この場合は平均分子量130kDのヒドロキシエチルデンプン)にコンジュゲートされたペプチドとして、使用した。このコンジュゲートの構成単位サイズはほぼ40kDであり、これは平均的HES分子が約2〜5個、好ましくは2〜4個のペプチド部分を持つことを意味する。HES200/0.5も使用することができる。130kD HESの修飾後は、約4個のペプチドがコンジュゲートされた。200kDの分子量を持つHESを使用した場合、全部で約5個のペプチドユニットがHESにコンジュゲートされることになる。
【0269】
図6に示す比較は、ペプチドがコンジュゲートされていても、コンジュゲートされていなくても、ペプチド濃度のモル比較に基づいている。予想に反して力価は増加しており(EC50は減少しており、用量反応曲線は非コンジュゲートペプチドより左側に位置する)、それにより、高分子担体へのオリゴ結合価コンジュゲーションが持つ正の薬力学的影響を実証している。
【0270】
このように、本発明のコンジュゲーション概念は−予想される薬物動態の改善とは別に−総活性医薬成分の力価を明確に増加させる。
【0271】
これは、EPO受容体を対象とするペプチドには間違いなく使用することができるが、潜在的には他の膜結合型薬理学的ターゲット、とりわけ他のサイトカイン受容体、例えばトロンボポエチン、G−CSF、インターロイキンなどの受容体にも使用することができる新しい機序である。
【0272】
(実施例1)
I.単量体のペプチド合成
マニュアル合成
合成は、PL−Rink−Amide−Resin(置換率0.4mmol/g)またはプレロード(preloaded)Wang−Resinを0.4mmolの規模で使用し、Discoverマイクロウェーブシステム(CEM)を使って行われる。Fmoc基の除去は、30mlのピペリジン/DMF(1:3)を加え、100Wで3×30秒間照射することによって達成される。アミノ酸のカップリングは、カップリング添加剤であるDMF PyBOP/HOBT/DIPEA中の5倍過剰量のアミノ酸を加え、50Wで5×30秒間照射することによって達成される。全ての照射サイクル間に、氷浴の助けを借りて溶液を手作業で冷却する。脱保護およびカップリング後に、樹脂を30mlのDMFで6回洗浄する。最後のアミノ酸を脱保護した後、一部のペプチドについては、1.268mlのキャッピング溶液(DMSO 100ml中の無水酢酸4.73mlおよびDIEA 8.73ml)と共に5分間インキュベートすることにより、アセチル化する。次に、切断に先だって、樹脂を30mlのDMFで6回、30mlのDCMで6回洗浄する。粗ペプチドの切断は、不活性雰囲気下に5mlのTFA/TIS/EDT/HO(94/1/2.5/2.5)で120分間処理することによって達成される。この溶液を40mlの冷エーテル中に濾過する。沈殿物をアセトニトリル/水(1/1)に溶解し、RP−HPLC(Kromasil 100 C1810μm、250×4.6mm)で精製する。
【0273】
自動合成
合成は、PL−Rink−Amide−Resin(置換率0.4mmol/g)またはプレロードWang−Resinを0.25mmol規模で使用し、Odysseyマイクロウェーブシステム(CEM)を使って行われる。Fmoc基の除去は、10mlのピペリジン/DMF(1:3)を加え、100Wで10×10秒間照射することによって達成される。アミノ酸のカップリングは、カップリング添加剤であるDMF PyBOP/HOBT/DIPEA中の5倍過剰量のアミノ酸を加え、50Wで5×30秒間照射することによって達成される。全ての照射サイクル間に、反応混合物を通して窒素をバブリングすることにより、溶液を冷却する。脱保護およびカップリング後に、樹脂を10mlのDMFで6回洗浄する。最後のアミノ酸を脱保護した後、一部のペプチドについては、0.793mlのキャッピング溶液(DMSO 100ml中の無水酢酸4.73mlおよびDIEA 8.73ml)と共に5分間インキュベートすることにより、アセチル化する。次に、切断に先だって、樹脂を10mlのDMFで6回、10mlのDCMで6回洗浄する。粗ペプチドの切断は、不活性雰囲気下に5mlのTFA/TIS/EDT/HO(94/1/2.5/2.5)で120分間処理することによって達成される。この溶液を40mlの冷エーテル中に濾過し、沈殿物をアセトニトリル/水(1/1)に溶解し、RP−HPLC(Kromasil 100 C18 10μm、250×4.6mm)で精製する。
【0274】
精製
ペプチドは全てNebula−LCMS−システム(Gilson)を使って精製した。全てのペプチドの粗物質をアセトニトリル/水(1/1)に溶解し、ペプチドをRP−HPLC(Kromasil 100 C18 10μm、250×4.6mm)で精製した。流量は20ml/分、LCMS分割比は1/1000とした。
【0275】
II.分子内ジスルフィド架橋の形成
[(FeCN)による環化
溶液1:10mgのペプチドを0.1%TFA/アセトニトリルに溶解し、濃度が0.5mg/mlに達するまで水で希釈する。重炭酸アンモニウム固体を加えてpHを約8にする。
溶液2:二つ目のバイアルにおいて、10mlの0.1%TFA/アセトニトリルを10mlの水で希釈する。重炭酸アンモニウム固体をpHが8に達するまで加え、K[(FeCN)]の0.1M溶液を1滴加える。
【0276】
溶液1および2を、アセトニトリル/水(1/1;pH=8)の混合物に3時間かけて滴下する。その混合物を室温で終夜インキュベートし、混合物を濃縮し、LCMSで精製する。
【0277】
CLEAR−OX(商標)樹脂による環化
100mlのアセトニトリル/水(1/1;0.1%TFA)に、重炭酸アンモニウム固体をpHが8に達するまで加える。アルゴンを30分間バブリングすることによって、この溶液を脱気する。10分後に10mgのペプチドを固体として加える。2時間インキュベートした後、その溶液を濾過し、濃縮し、LCMSで精製する。
【0278】
環状ペプチドの精製
ペプチドは全てNebula−LCMSシステム(Gilson)を使って精製した。全てのペプチドの粗物質をアセトニトリル/水(1/1)またはDMSOに溶解し、ペプチドをRP−HPLC(Kromasil 100 C18またはC8 10μm、250×4.6mm)で精製した。流量は20ml/分、LCMS分割比は1/1000とした。
【0279】
分子内ジスルフィド架橋の形成に極めて適した他の技術は、参照により本明細書に組み入れられるPCT/EP2006/012526に開示されている。
【0280】
III.単量体を用いるインビトロアッセイ
BrdU取り込みによるTF−1細胞を使った増殖アッセイ
対数増殖期のTF−1細胞(約2×10〜1×10細胞/ml;RPMI培地;20%ウシ胎仔血清;ペニシリン、ストレプトマイシン、L−グルタミンを補足;0.5ng/mlインターロイキン3)を洗浄し(1500rpmで5分間遠心分離し、IL3を欠くRPMI完全培地に500,000細胞/mlの密度で再懸濁)、アッセイ開始前にIL−3なしで24時間、前培養する。翌日、通常は試験すべき薬剤に一つにつき少なくとも6個の濃度および少なくとも10,000細胞/ウェルを含有する一濃度あたり4個のウェルを使って、細胞を24穴または96穴プレートに播種する。各実験には、陽性対照として組換えEPOを含む対照と、陰性対照剤としてサイトカインを添加していないウェルが含まれる。ペプチドおよびEPO対照を培地に所望の濃度まで事前希釈し、それを細胞に加えて、標準培養条件下(37℃、気相に5%二酸化炭素、水で飽和した雰囲気)で3日間の培養期間を開始する。濃度は常に、この3日間の培養期間中のウェルにおける薬剤の最終濃度を指す。この培養期間の最後に、8ng/ml培養培地の最終濃度でFdUを加え、培養を6時間続ける。次にBrdU(ブロモデオキシウリジン)およびdCd(2−デオキシシチジン)をそれぞれの最終濃度(10ng/ml BrdU;8ng/ml dCD;培養培地中の最終濃度)になるように加え、培養をさらに2時間続ける。
【0281】
このインキュベーションおよび培養期間の最後に、細胞を、1.5%BSAを含有するリン酸緩衝食塩水中で1回洗浄し、最少量の液体に再懸濁する。この懸濁液から、細胞を−20℃の70%エタノールに滴下する。ここからは、細胞を氷上で10分間インキュベートしてから直接分析するか、または分析前に4℃で保存することができる。
【0282】
分析に先だって、細胞を遠心分離によってペレット化し、上清を捨て、細胞を最少量の残存液に再懸濁する。次に細胞を懸濁し、0.5mlの2M HCl/0.5%トリトンX−100中で10分間インキュベートする。次に、それを再びペレット化して最少量の残存液に再懸濁し、それを0.5mlの0.1N Na、pH8.5で希釈してから、直ちに細胞をペレット化する。最後に、細胞を40μlのリン酸緩衝食塩水(1.5%BSA)に再懸濁し、それぞれ20μlの細胞懸濁液を含有する2本の反応チューブに分割する。一本のチューブには2μlの抗BrdU−FITC(DAKO、クローンBu20a)を加え、もう一本のチューブには2μlのmIgG1−FITC(Sigma)を加えて、室温で30分間のインキュベーション期間を開始する。次に、0.4mlのリン酸緩衝食塩水および10μg/mlヨウ化プロピジウム(最終濃度)を加える。フローサイトメーターにおける分析は、4C細胞またはそれ以上の倍数性を持つ細胞の分率およびBrdU陽性細胞の分率を指し、したがって細胞周期の関連ステージにある細胞の分率が決定される。
【0283】
MTTによるTF−1細胞を使った増殖アッセイ
対数増殖期のTF−1細胞(約2×10〜1×10細胞/ml;RPMI培地;20%ウシ胎仔血清;ペニシリン、ストレプトマイシン、L−グルタミンを補足;0.5ng/mlインターロイキン3)を洗浄し(1500rpmで5分間遠心分離し、IL3を欠くRPMI完全培地に500,000細胞/mlの密度で再懸濁)、アッセイ開始前にIL−3なしで24時間、前培養する。翌日、通常は試験すべき薬剤に一つにつき少なくとも6個の濃度および少なくとも10,000細胞/ウェルを含有する一濃度あたり4個のウェルを使って、細胞を24穴または96穴プレートに播種する。各実験には、陽性対照として組換えEPOを含む対照と、陰性対照剤としてサイトカインを添加していないウェルとが含まれる。ペプチドおよびEPO対照を培地に所望の濃度まで事前希釈し、それを細胞に加えて、標準培養条件下(37℃、気相に5%二酸化炭素、水で飽和した雰囲気)で3日間の培養期間を開始する。濃度は常に、この4日間の培養期間中のウェルにおける薬剤の最終濃度を指す。
【0284】
4日目に、分析の開始に先だって、既知数のTF−1細胞の希釈系列を、いくつかのウェルに調製する(培地100μl中に0/2500/5000/10000/20000/50000細胞/ウェル)。これらのウェルは試験ウェルと同じ方法で処理され、後に較正曲線を与える。細胞数はこの較正曲線から決定することができる。これらの参照ウェルを設定した上で、MTT増殖キット(Promega、CellTiter 96 Aqueous非放射性細胞増殖アッセイ)のMTSおよびPMSを37℃の水浴で融解し、100μlのPMS溶液を2mlのMTS溶液に加える。この混合物20μlをアッセイプレートの各ウェルに加え、37℃で3〜4時間インキュベートする。25μlの10%ドデシル硫酸ナトリウムを各ウェルに加えてから、ELISAリーダーでE492を測定する。
【0285】
IV.二価 EPOミメティックペプチドユニットの合成
合成は、Rink−Amide−Resin(置換率0.19mmol/g)を0.25mmolの規模で使用し、Libertyマイクロウェーブシステム(CEM)を使って行われる。Fmoc基の除去は、10mlのピペリジン/DMF(1:3)および50Wで10×10秒間の照射による処理を二重に行うことによって達成される。アミノ酸のカップリングは、カップリング添加剤であるDMF PyBOP/HOBT/DIPEA中の4倍過剰量のアミノ酸および50Wで5×30秒間の照射による処理を二重に行うことによって達成される。全ての照射サイクル間に、反応混合物を通して窒素をバブリングすることにより、溶液を冷却する。脱保護およびカップリング後に、樹脂を10mlのDMFで6回洗浄する。二重カップリングサイクル後に、10倍過剰量のN−(2−クロロベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(DMF中の0.2M溶液)および50Wで3×30秒間の照射による処理を行うことによって、全ての未反応アミノ基をブロックする。最後のアミノ酸を脱保護した後、0.793mlのキャッピング溶液(DMSO 100ml中の無水酢酸4.73mlおよびDIEA 8.73ml)と共に5分間インキュベートすることにより、ペプチドをアセチル化する。次に、切断に先だって、樹脂を10mlのDMFで6回、10mlのDCMで6回洗浄する。粗ペプチドの切断は、不活性雰囲気下に5mlのTFA/TIS/EDT/HO(94/1/2.5/2.5)で120分間処理することによって達成される。この溶液を40mlの冷エーテル中に濾過し、沈殿物をアセトニトリル/水(1/1)に溶解し、RP−HPLC(Kromasil 100 C18 10μm、250×4.6mm)で精製する。
【0286】
環化反応
30mgの線状ペプチドを60mlの溶液Aに溶解する。この溶液および60mlのDMSOを60mlの溶液Aに滴下する(添加の合計時間:3時間)。48時間後に溶媒をエバポレーションによって除去し、残った残渣を30mlのDMSO/水(1/1)に溶解する。30mlの酢酸および17mgのヨウ素(DMSO/水(1/1)に溶解したもの)を加え、その溶液を室温で90分間混合する。その後、20mgのアスコルビン酸を加え、溶媒をエバポレーションによって除去する。その粗混合物をアセトニトリル/水(2/1)に溶解し、ペプチドをRP−HPLC(Kromasil 100 C18 10μm、250×4.6mm)で精製する。
溶液A:0.1%TFAを含有するアセトニトリル/水(1/1)。重炭酸アンモニウムの添加によってpHを8.0に調節する。
精製スキーム:環状ペプチドの精製、Kromasil 100 C18 10μm、250×4.6mm、50分で5%→35%アセトニトリル(0.1%TFA)の勾配。
【0287】
V.EPO活性を決定するためのインビトロ増殖アッセイ
対数増殖期のTF−1細胞(20%ウシ胎仔血清(FCS)および0.5ng/ml IL−3を含むRPMI培地で成長させた2×10〜1×10細胞/ml)を計数し、アッセイを行うのに必要な数の細胞を遠心分離(1500rpmで5分間)し、5%FCSを含みIL−3を含まないRPMIに300000細胞/mlの密度で再懸濁した。IL−3を含まないこの(飢餓)培地中で細胞を48時間、前培養した。アッセイを開始する前に細胞を再び計数した。
【0288】
アッセイを開始する直前に、ペプチドおよびEPOの原液を調製した。ペプチドを計量し、5%FCSを含むRPMIに、1mM、467μMまたは200μMの濃度になるまで溶解した。EPO原液は10nMまたは20nMとした。これらの原液292μlを96穴培養プレートの1ウェルにピペッティングした。この場合、試験すべき各物質につき1枚のプレートを使用した。5%FCSを含むRPMI200μlを各プレート中の他の17個のウェルにピペッティングした。200μlの培地を含有するウェルには92μlの原液をピペッティングした。内容物を混合し、そのウェルから92μlを次のウェルに移し、以下同様にした。このようにして、連続する各ウェルでは濃度がその前のウェルにおける濃度の1:√10になるように、各物質の希釈系列(18希釈液)を調製した。各ウェルから3×50μlを3つの空ウェルに移した。このようにして、各濃度の物質を四重に測定した。各プレートの最も上の行と最も下の行は空のままであったことに留意されたい。
【0289】
前処理(飢餓)細胞を遠心分離(1500rpmで5分間)し、5%FCSを含むRPMIに1mlあたり200000細胞の濃度で再懸濁した。50μlの細胞懸濁液(10000細胞を含有)を各ウェルに加えた。細胞の添加により、ウェル内の物質の最終濃度が元の希釈範囲の半分になったことに留意されたい。プレートを5%CO中、37℃で72時間インキュベートした。
【0290】
評価を開始する前に、既知量のTF−1細胞をある希釈範囲でウェル中に調製した:0/2500/5000/10000/20000/50000細胞/ウェルを四重にピペッティングした(100μlのRPMI+5%FCS中)。
【0291】
1ウェルあたりの生細胞数を測定するために、調製済み(ready−to−use)MTT試薬(Promega、CellTiter 96 Aqueous One Solution Cell Prolifieration Assay)を37℃の水浴で融解した。1ウェルにつき20μlのMTT試薬を加え、プレートを5%CO中、37℃でさらに1〜2時間インキュベートした。25μlの10%SDS溶液を加え、プレートをELISAリーダー(Genios、Tecan)で測定した。データをスプレッドシート(Excel)で処理し、Graphpadでプロットした。
【0292】
VI.拡大ペプチドアッセイ
拡大アッセイでは、数個のペプチド配列をそのEPOミメティック活性について試験した。
【0293】
ペプチドは、LIPS−Varioシンセサイザーシステム上でペプチドアミドとして合成した。合成は特別なMTP合成プレートで行い、規模はペプチドあたり2μmolとした。合成はHOBTを活性化試薬として使用する標準Fmocプロトコールに従った。カップリングステップは4回カップリングとして行った。各カップリングステップは25分を要し、1ステップあたりのアミノ酸の過剰倍率は2.8とした。ペプチドの切断および脱保護は、90%TFA、5%TIPS、2.5%HOおよび2.5%DDTを含有する切断溶液で行った。樹脂に取り付けられた完成ペプチドを含有する合成プレートを96穴深底プレートの上で保存した。50μlの切断溶液を各ウェルに加え、切断を10分間行い、この手順を3回繰り返した。切断されたペプチドを、深底ウェルプレートへの重量流により、200μlの切断溶液で溶出させた。側鎖官能基の脱保護は、深底ウェルプレート内でさらに2.5時間行った。その後、ペプチドを氷冷エーテル/ヘキサンで沈殿させ、遠心分離した。ペプチドを中性水溶液に溶解し、環化反応を4℃で終夜インキュベートした。ペプチドを凍結乾燥した。
【0294】
合成され試験されたペプチド単量体の一部について、その概要を図7に示す。
【0295】
ペプチドをそのEPOミメティック活性についてインビトロ増殖アッセイで試験した。アッセイはVで説明したように行った。各アッセイ日に、38試験ペプチド、1参照例、およびEPOのインビトロ活性をパラレルに測定するために、40枚のマイクロタイタープレートを用意した。EPO原液は20nMだった。
【0296】
VII.ペプチドHES−コンジュゲートの合成
基本反応スキームを図8に図示する。二量体型ペプチドを担体にカップリングするための代替戦略は、WO2006/136450に開示されており、この文献は参照により本明細書に組み入れられる。
【0297】
ここに開示する方法の目的は、穏和な水性反応条件下でチオール基と選択的に反応するデンプンの誘導体(この実施例によればHES)の製造である。この選択性はマレイミド基で達成される。
【0298】
HESはまずアミノ基で官能化された後、各マレイミド誘導体に変換される。反応バッチからは限外濾過によって低分子量反応物が取り除かれる。生成物、中間体生成物ならびに遊離体は全て多分散性である。
【0299】
アミノ−HES(AHES)の合成
ヒドロキシエチルデンプン(すなわちHES130/0.4またはHES200/0.5)をダイアフィルトレーションとその後の凍結乾燥とによって取得した。それぞれ、平均分子量は約130kDでモル置換度は0.4、200kDでMS=0.5だった。
【0300】
合成は、Jacob Piehlerの博士論文「Modifizierung von Oberflaechen fuer die thermodynamische und kinetische Charakterisierung biomolekularer Erkennung mit optischen Transducern」(1997、参照により本明細書に組み入れられる)にアミノデキストランについて説明されている合成に従って行った。Floorら(1989)に記載されているように、過ヨウ素酸ナトリウムを使って、ジオール性ヒドロキシル基をアルデヒド基に選択的に部分酸化することにより、HESを活性化した。そのアルデヒド基を、アンモニアの存在下にシアノ水素化ホウ素ナトリウム(Na[B(CN)H])で、還元的アミノ化を行うことによって、アミノ基に変換した(YalpaniおよびBrooks、1995)。
【0301】
過ヨウ素酸開環
水中で過ヨウ素酸ナトリウムによる糖類中の1,2−ジオールの穏和な酸化を行うことにより、アルデヒド基が導入される。異なるモル濃度の酸化剤を使用することにより、利用可能なアンカー基の数を、したがって担体上のペプチド薬物の量を、制御することができる。このプロトコールを最適化するために、アルデヒドとのみ紫色の付加物を形成する試薬Purpaldを使って酸化を監視した。反応時間は8〜18時間に短縮することができる。過ヨウ素酸塩の使用量は、グルコース構成単位の数の20%に相当する(180g/molのグルコース構成単位質量、DS=0.4を適用)。後処理は限外濾過および凍結乾燥によって行った。各ポリマー生成物の精製は、さまざまな分子量カットオフのPES膜を用いる限外濾過技法と、それに続く凍結乾燥によって行った。最適化されたHES誘導体から、100kDより大きい分子質量範囲のみを使用した。
【0302】
アルデヒド分析
定性/半定量:利用可能なアルデヒド基のPurpald反応
塩化アンモニウムによる還元的アミノ化
以下のステップでは、導入されたアルデヒド基を、塩化アンモニウムの飽和溶液中、弱酸性のpH値で、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを使った還元的アミノ化によって、アミンに変換した。
【0303】
このプロトコールを最適化するために、出発物質のアルデヒド基をPurpald試薬で追跡し、形成されたアミンをTNBSで追跡した。これらの実験により、イミン中間体の形成は出発期間後は平衡にあり、添加された還元剤はアルデヒドよりもイミンに有利であることが示された。したがって最適な反応は、24時間の総反応時間で、還元剤を数回添加することによって行われることを見出すことができた。
【0304】
生成物の沈殿およびダイアフィルトレーションまたは限外濾過によって後処理を行う。
【0305】
アミン分析
定性:ニンヒドリン反応(カイザー試験)
半定量:アミノデキストランとの比較で2,4,6−トリニトロベンゾールスルホン酸(TNBS)による。
達成された置換グレードは約2.8%だった。この結果から、一つのアミノ基を保持する一つの構成単位の分子量は、約6400g/molになる。
【0306】
マレイミドプロピオニル−アミノ−ヒドロキシエチルデンプン(「MaIPA−HES」)の合成
アミノ基の導入後に、アンカーマレイミド基をω−マレイミドアルキル(またはアリール)酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを使って導入する。
【0307】
合成
HESへのマレイミド基の最終的導入は、3−マレイミドプロピオン酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MaIPA−OSu)を使って行われる。弱酸性緩衝液中で過剰量(5〜10倍)を使用した場合、変換は定量的である(50mMリン酸緩衝液、pH7、20%DMF、終夜)。限外濾過および凍結乾燥した生成物を−18℃で保存する。
【0308】
分析
アミノ基の反応はニンヒドリンおよびTNBSで検証した。導入されたマレイミド基の数は、グルタチオン(GSH)の反応およびエルマン試薬6,6’−ジニトロ−3,3’−ジチオジ安息香酸(DTNB)による過剰なチオール基の検出、ならびに700MHz H−NMR分光法によって証明される。
【0309】
達成された置換グレードは約2%だった。これはマレイミド構成単位あたり8500g/mol(180g/molグルコース構成単位質量、MS=0.4)に相当する。
【0310】
マレイミド修飾HESのH−NMRスペクトル(DO、700MHz)を図9に示す。マレイミドプロトン(6.8ppm)とアノマーC−H(4.8〜5.6ppm)の比から、約6,900g/molという構成単位サイズが得られる(これに対し、GSH/DTNB試験では7,300g/molになった)。
【0311】
マレイミド基の数、したがって構成単位サイズは、GSHによる飽和およびDTNBとの反応によって測定することができる。形成される黄色は著しく、容易に定量することができる。これらの値は、使用した出発物質、酸化ステップにおける過ヨウ素酸塩の量にそれぞれ依存して、5,000〜100,000g/molの範囲の信頼できる構成単位サイズを与える。この方法は生成物のH−NMR分光法によって確証された。NMRでは、マレイミド基の含量を、全アノマーC−Hシグナルとマレイミド環プロトンの比から定量することができる。
【0312】
以下の範囲が好ましい。
【0313】
【表2】

表1:過ヨウ素酸酸化によって達成することができるHES主鎖中のアンカー基の仮想構成単位サイズの例。
【0314】
ペプチド−ヒドロキシエチルデンプンコンジュゲート(Pep−AHES)。
合成
遊離N末端(Pep−IA)またはビオチン化N末端(Pep−IB)を持っているシステイン含有ペプチドを使用した。Pep−IA/Bの4:1混合物を過剰(約6等量)に使用し、リン酸緩衝液(50mM、pH6.5)/DMF 80:20中のMalPA−HESにより、一晩変換した。後処理は限外濾過および凍結乾燥によって行った。
【0315】
分析
UV吸収を280nmで決定し、GSH/DTNBでマレイミド基の残存含量を決定した。ペプチド収量はほとんど定量的だった。検出可能な遊離のマレイミド基はほとんどなかった。
【0316】
ペプチド薬物のコンジュゲーションを行うために、ペプチドドメイン:
【0317】
【化70】

を使って、遊離のチオール基を導入することにより(例えばN末端にシステイン残基を導入することにより)、ペプチドユニットを作製する。例えば
【0318】
【化71】

では、10〜50%過剰量の脱保護されたペプチドを、弱酸性緩衝液中で1〜2時間コンジュゲートする。一方では、HES主鎖、マレイミド基およびジスルフィド架橋が安定であるように、また他方では、定量的変換が観察されるように、条件を最適化した。さまざまなマレイミド官能化HES化合物を使用することにより、インビトロで超結合価作用を示す超結合価EPOミメティックペプチドをいくつか合成した。以下にいくつかの例を挙げる。
【0319】
【表3】

表2:異なるペプチド含量を持つAGEM40の超結合価EPOミメティックペプチドコンジュゲート
超結合価EPOミメティックペプチドコンジュゲートの容易な化学分析が二段階で実現した。まず最初に、ペプチドの含量をHES主鎖の穏やかな加水分解後にHPLCで定量し、第二に、多糖の量を硫酸による完全加水分解後にフェノールを使った比色試験で測定した。
【0320】
超結合価EPOミメティックペプチドコンジュゲートAGEM40−AHES A2のTFA/水加水分解のHPLCクロマトグラム(島津HPLC)を図10に示す。一定時間後は全てのペプチド含有分子種のUV吸光度が最大値において一定であり、遊離のペプチドと比較することにより、37%というペプチド含量を算出することができる(理論値:39%)。
【0321】
VIII.さらなるインビトロ実験
以下の述べる実験の多くは既に上で説明した。しかし、以下の詳細により、ここに記載する試験および結果の全体像をつかむことができる。主としてヒト細胞培養および骨髄アッセイについて議論する。
【0322】
一つには、細胞株に基づく迅速なアッセイを使用し、最適化の初期段階の全体にわたって、最適化されたペプチド配列の力価をチェックした。これらの細胞培養アッセイは新しいペプチドまたは新しいバッチの効力の迅速試験として、依然として有効である。細胞株TF−1(ヒト細胞)に関して使用した二つのエンドポイントは増殖(ここでは通常、所定の時点における生細胞の数として決定した)およびTF−1細胞における標識ヘモグロビン産生としての分化である。
【0323】
また、初代細胞(ヒト骨髄幹細胞)を使って、インビボ状況に極めて近いCFUアッセイを行った。それらは、ペプチドユニットとしてEPOミメティックペプチドを使用した場合に、はるかにインビボに近い形で、赤血球産生活性に対する応答を与える。しかしそれらは、細胞培養アッセイよりも操作が複雑になり、1アッセイあたりの所要時間も多くなる。
【0324】
ヒトTF−1細胞を用いるアッセイ
TF−1は、IL3またはEPOなどといった一定のサイトカインにだけ応答して増殖するヒト赤白血病細胞株である。また、TF−1細胞はEPOに応答して赤血球表現型へと分化することができる。TF−1細胞はDSMZ(ドイツ・ブラウンシュワイク)から入手した。製品情報はDSMZウェブサイトdsmz.deで入手することができる。TF−1は、EPO活性評価用として、欧州薬局方によって勧告されている細胞株である。
【0325】
維持培養のための本発明者らの社内培養プロトコール:
培地:RPMI+P/S+AmphoB+L−Glut.+20%FCS+h−IL−3
1.−500ml RPMI+5ml P/S+5ml AmphoB
2.−200ml RPMI+PS/AmphoB+2.5ml L−グルタミン+50ml FCS=完全培地(4℃1ヶ月)
3.−45ml完全培地+22.5μl h−IL−3(4℃1週間)
培養:200,000〜1,000,000細胞/mlに維持
・3日間の場合、2×10/ml
・2日間の場合、3×10/ml
・1日間の場合、5×10/ml。
【0326】
TF−1増殖アッセイの設計
TF−1増殖アッセイでは、マルチウェルプレートにTF−1細胞を播種し、さまざまな濃度のEPOまたはEPOミメティックペプチド中で、数日間培養する。
【0327】
最適な結果を得るために、TF−1細胞は、アッセイの開始前に、サイトカインが何も存在しない(飢餓)状態で、2日間培養すべきである。アッセイ開始の3日後に、生細胞の数をアッセイすることにより、細胞増殖を間接的に測定する。
【0328】
MTSと呼ばれるテトラゾリウム試薬を加える。これは還元されると有色のホルマザンになる。この反応はNADHおよびNADPHに依存し、言い換えるとミトコンドリア活性に依存する。ホルマザンの量は分光光度法で測定される。ある範囲の既知細胞数を使って較正を行うことにより、各条件下で存在する生細胞の絶対数を決定することができる。主要設計を図11にも図解する。
【0329】
このアッセイにおける一定の薬剤の活性は、
1.その薬剤が、一定の濃度で生細胞数の増加を引き起こすかどうかを評価すること、および
2.その薬剤が半値(half−maximum)作用を発揮する濃度を決定すること(EC50の決定)
によって決定される。
【0330】
TF−1増殖アッセイの結果
一般論として、このアッセイでは、全てのEPOミメティックペプチド(EMP1および上述の修飾ペプチド)がその単量体型では部分アゴニストとして挙動したことに言及する必要がある。すなわち最大応答はEPOで見られる応答よりも弱い。それでもなお、このアッセイを使って、規格化されたプロットにおける右/左シフトを決定することができ、したがって最適化の結果を決定することができる。二量体化した場合は、アゴニスト活性はかなり増加することがわかっているので、特にそうであると言える。
【0331】
最初のグラフはこの作用を規格化なしの絶対的応答で表している。他のグラフは全て規格化されたプロットを示し、その曲線からは、EC50値を決定することができる。
【0332】
これらのアッセイでは、以下の二つの基準物質を使用した:
1)EMP1、既知のEPOミメティック特性を持つ公表されたペプチド配列(Johnsonら、1997)
2)組換えヒトエリスロポエチン(EPO)は、Ortho Biotechの製品Epoetin alfaエポエチンα(ドイツにおける商標:Erypo(登録商標))として、薬局で購入した。
【0333】
これらの物質のプロットを黒い線(EPOについては実線、EMP1については点線)で示す。
【0334】
プロリン修飾EPOミメティックペプチドを次の図に示す。これらの修飾ペプチドは以下の配列を示す:
1)BB49
【0335】
【化72】

はEMP1と同じ範囲の効力および力価を示す。
2)BB68
【0336】
【化73】

は、EMP1およびBB49よりもさらに有効である。
3)AGEM40
【0337】
【化74】

これは、改善された特徴を示すBB68の配列に基づいて設計された二価連続ペプチドである。
4)AGEM40_HES、これは、本発明の超結合価原理に従ってHES化された、改良型の著しく有効かつ強力なペプチド(AGEM40)である。
【0338】
これらの配列は、なかんずく、超結合価原理の利益を例証するための例として使用した。
【0339】
図12は、EPOと比較した単量体型EPOミメティックペプチドの結果を表す。図12にはこのアッセイにおけるペプチド全般とEPOの間の絶対的相違を実証する実際の吸光度データのプロットが含まれる。
【0340】
図13は、あてはめを行った規格化プロットから算出されるEC50値を示す。
【0341】
図14は、BB49と比較して改善されたBB68の作用を示す。本発明に従ってペプチドユニットを作製するための構成単位として最適化されたBB68を使用すると、作用がさらに二桁改善された。このことは、図14およびそれに対応する図15の表で実証されている。
【0342】
次に、二量体型ペプチドユニットを、最適化された密度で高分子担体HESにカップリングした。その結果得られたAPIは、モル比較でEPOと少なくとも等力であり、質量比較でEPOに極めて近い(後述の図16および図17参照)。
【0343】
図16ならびに前記の図および表は、超結合価概念の強い潜在能力を明確に証明している。細胞培養アッセイで達成することができる正確度を考慮すると、達成されたAPIはインビトロでEPOと少なくとも等力である。したがってこれは、超結合価概念を使用しない既知のどのEPOミメティックペプチドAPIよりも優れている。
【0344】
骨髄アッセイ
骨髄は、自己再生能およびあらゆるタイプの血球へと発生する潜在能力を持つ造血幹細胞を含有している。また骨髄は、一つまたはいくつかの血球系統へと発生することができる分化拘束された前駆細胞を含有している。それらの前駆細胞のうち一部は赤血球へと発生する(赤血球前駆細胞)。
【0345】
前駆細胞は、メチルセルロースに基づく半固形培地に骨髄細胞を播種することによって証明することができる。適当なサイトカインカクテルの存在下で、前駆細胞は増殖し、分化して、ある一定の系統の細胞のコロニーを与える。骨髄系前駆細胞は顆粒球コロニー(CFU−G由来)、単球コロニー(CFU−M由来)、または混合顆粒球単球コロニー(CFU−GM由来)へと発生する。赤血球前駆細胞は赤血球(erythrocyte/red cell)のコロニーへと発生する。赤血球コロニーのサイズに応じて、前駆細胞はBFU−E(200細胞以上のコロニーを与える)またはCFU−E(200細胞未満のコロニーを与える)と呼ばれる。分化拘束の初期段階にある前駆細胞は、混合顆粒球−赤血球−単球−巨核球コロニーへと発生することができる。これらの初期前駆細胞はCFU−GEMMと呼ばれる。
【0346】
EPOは、一定の異なるサイトカインが同様に存在する場合に、BFU−EまたはCFU−Eからの赤血球コロニーの発生を刺激する。EPOなしでは赤血球コロニーは発生することができない。したがってメチルセルロースにおける骨髄細胞の均一バッチからの赤血球コロニーの成長はEPO活性の尺度である。
【0347】
上述のプロセスは、インビボで骨髄において起こるプロセスと、同一ではないとしても極めて似ているので、これらはEPO様活性の優れた予測因子である。
【0348】
骨髄アッセイの設計
ヒト骨髄細胞(Cryosystemsから市販、血清学的検査を受けたもの)をクライオバイアルから融解し、サイトカイン(ただしEPOを除く)のバックグラウンドが与えられたメチルセルロース培地に、固定された細胞密度で播種する。EPOまたはEPOミメティックペプチドをさまざまな濃度で加える。培養物を37℃で12〜14日間インキュベートする。次に骨髄コロニーおよび赤血球コロニーの数を顕微鏡検査によって数え上げる。
【0349】
骨髄アッセイのエンドポイント:
1.前提:EPOなしの培養物は骨髄(白)コロニーしか与えず、赤血球(赤)コロニーを与えてはならない。EPOを含む培養物は赤血球コロニーの濃度依存的増加および赤血球コロニーサイズの濃度依存的増加をもたらすべきである。
2.ペプチドは、それが赤血球コロニーの濃度依存的増加および赤血球コロニーサイズの濃度依存的増加を引き起こすのであれば、EPOミメティック活性を示す。しかしペプチドは得られる骨髄コロニーの数とは干渉してはならない。
【0350】
骨髄アッセイの結果
上述のプロリン修飾EPOミメティックペプチドは骨髄コロニーの形成を刺激しなかったが、赤色コロニーの形成には著しい活性を示した。これを、培養プレートの写真として図18に定性的に示し、コロニーの集計を図19に記載する。
【0351】
IX.抗体交差反応性アッセイ
本願の序論で述べたように、患者はrhuEPOに対する抗体を発生させる場合がある。これは序論で述べた重大な帰結につながる。
【0352】
本発明のペプチドの性質をさらに調べるために、これらのペプチドが抗EPO抗体と実際に交差反応するかどうか分析した。
【0353】
試験には抗EPO抗体を含有するウサギおよびヒト血清を使用した。これらの血清をEPOか、または以下のEPOミメティックペプチドで前処理した。
【0354】
【化75】

Ac=アセチル化されたN末端
Am=アミド化されたC末端
1nal=1−ナフチルアラニン。
【0355】
この分析ではさまざまな濃度のエリスロポエチンおよびEPOミメティックペプチドを使用した。血清中に存在する抗EPO抗体を吸着するために血清を試験物質で前処理した後、血清を放射標識エリスロポエチンで処理した。前吸着ステップ後に血清に残存している抗体はこのエリスロポエチンによって結合され、再び免疫沈降される。この試験に使用するプロトコールは、参照により本明細書に組み入れられるTaceyら、2003に記述されている。
【0356】
EPOまたは本発明のEPOミメティックペプチドを使って抗EPO抗体含有血清で行った前吸着の結果を、図20に開示する。
【0357】
血清をEPOミメティックペプチドで前処理した場合、その後、放射標識エリスロポエチンと接触させた時に、血清は陽性の検査結果を示した。このように、前処理にもかかわらず、血清には抗EPO抗体が検出された。これは、EPOミメティックペプチドが前処理時に抗EPO抗体に結合できなかったことを意味する。結合活性が存在しない場合、抗EPO抗体はEPOミメティックペプチドと共に血清から除去されず、したがって血清中に残った。抗EPO抗体はEPOミメティックペプチドを認識することができず、したがってEPOミメティックペプチドに結合することができなかった。
【0358】
組換えヒトEPO(rhuEPO)を対照として使用した。血清をエリスロポエチンで前処理した場合は、放射標識エリスロポエチンを組み込んだその後のアッセイにおいて検出可能な抗体はほとんどなかった。エリスロポエチンを使った前処理によって抗体は既に結合され、除去されているからである。
【0359】
図20に記載の数値は、使用した総カウント数に対するIP中の%cpmを表す。%cpm値が>0.9である場合に、血清は陽性と評価される。100%cpmは、総使用カウント(放射性トレーサー)、ここでは放射標識EPOを表す。
【0360】
このアッセイは、本発明のEPOミメティックペプチドが、有利なことに、抗EPO抗体に対して交差反応性を示さないことを証明している。したがって、本明細書に記載するEPOミメティックペプチドは、rhuEPOに対する抗体を発生させた患者でさえ、治療作用を示すはずである。さらにまた、EPOミメティックペプチドに対する抗体はエリスロポエチンを結合しないはずであると予想される。したがって本発明のEPOミメティックペプチドは、好ましくは、それらが抗EPO抗体と有意な交差反応性を示さないことも特徴とする。
【0361】
X.霊長類における効力
本発明のEPOミメティックペプチドの効力は、7頭の非ナイーブサル(カニクイザル)を使って試験を行う動物試験でも証明された。試験ペプチドはAGEM400HES(上記参照)であり、これを、リンゲル液に溶解した凍結乾燥粉末として使用した。0.01mg/kg〜50mg/kgの用量を試験した(静脈内投与)。動物実験により、EPOミメティックペプチドは低用量でも良好なEPOミメティック作用を示し、長時間持続する作用を持つことが示された。また、毒性の徴候は観察されなかった。
【0362】
参考文献:
【0363】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0364】
【図1】図1である。
【図2】図2である。
【図3】図3である。
【図4】図4である。
【図5】図5である。
【図6】図6である。
【図7−1】図7−1である。
【図7−2】図7−2である。
【図7−3】図7−3である。
【図7−4】図7−4である。
【図7−5】図7−5である。
【図7−6】図7−6である。
【図7−7】図7−7である。
【図7−8】図7−8である。
【図7−9】図7−9である。
【図8−1】図8−1である。
【図8−2】図8−2である。
【図9】図9である。
【図10】図10である。
【図11】図11である。
【図12−1】図12−1である。
【図12−2】図12−2である。
【図13】図13である。
【図14−1】図14−1である。
【図14−2】図14−2である。
【図15】図15である。
【図16−1】図16−1である。
【図16−2】図16−2である。
【図17】図17である。
【図18】図18である。
【図19】図19である。
【図20】図20である。
【図21−1】図21−1である。
【図21−2】図21−2である。
【図21−3】図21−3である。
【図21−4】図21−4である。
【図21−5】図21−5である。
【図21−6】図21−6である。
【図21−7】図21−7である。
【図21−8】図21−8である。
【図21−9】図21−9である。
【図21−10】図21−10である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
・以下に示すアミノ酸のコンセンサス配列を含むペプチド:
【化1】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
は、R、H、L、W、YまたはSであり;
は、M、F、I、ホモセリンメチルエーテルまたはノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10は、プロリンの非保存的置換物であるか;
または、XおよびX10が単一のアミノ酸で置換され;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、非荷電極性アミノ酸またはAであり;
13は、W、1−nal、2−nal、AまたはFであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸である]、
および
・EPOミメティック活性を示し、かつ位置X10にプロリンの非保存的置換物を構成するアミノ酸を持つか、またはXおよびX10が単一のアミノ酸で置換される、上記コンセンサス配列によって定義されるペプチドの機能的に等価なフラグメント、誘導体および変種、
からなる群より選択される、EPO受容体に結合することができるペプチド。
【請求項2】
位置XおよびX15のアミノ酸が、その側鎖間に共有結合を形成することによってペプチド内で分子内架橋を形成することができるように選択される、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
架橋がジスルフィド架橋またはジセレニド架橋である、請求項2に記載のペプチド。
【請求項4】
および/またはX15が、システイン、ホモシステインおよびセレノシステインなどのシステイン誘導体、チオリジン、KまたはEを含む群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項5】
13がナフチルアラニンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項6】
EPO受容体に結合することができ、アゴニスト活性を含む、少なくとも10アミノ酸長のペプチドであって、以下の二つの選択肢から選択されるペプチド:
(a)以下に示すアミノ酸の配列を含むペプチド:
【化2】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10は、プロリンの非保存的置換物であるか、またはXおよびX10が単一のアミノ酸で置換され;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、非荷電極性アミノ酸またはAであり;
13は、ナフチルアラニンである]
(b)以下に示すアミノ酸の配列を含むペプチド、とりわけEPO受容体に結合することができるもの:
【化3】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、C、A、E、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸またはホモシステイン(hoc)であり;
は、R、H、L、WもしくはYまたはR、H、L、W、YもしくはSであり;
は、M、F、I、ホモセリンメチルエーテルまたはノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10は、プロリンの非保存的置換物であるか;
または、XおよびX10が単一のアミノ酸で置換され;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、TまたはAであり;
13は、1−nal、2−nalであり、
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、C、A、K、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸またはホモシステイン(hoc)である。
ただしXかX15のどちらかはCまたはhocであるものとする]
(c)EPOミメティック活性を示し、かつ位置X10にプロリンの非保存的置換物を構成するアミノ酸を持つか、またはXおよびX10が単一のアミノ酸で置換され、位置X13にはナフチルアラニンを持つ、上記コンセンサス配列によって定義されるペプチドの機能的に等価なフラグメント、誘導体および変種。
【請求項7】
以下に示すアミノ酸のコア配列を含む、請求項6に記載のペプチド:
【化4】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
は、R、H、L、WまたはYまたはSであり;
は、M、F、I、Y、H、ホモセリンメチルエーテルまたはノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10は、プロリンの非保存的置換物であるか、またはXおよびX10が単一のアミノ酸で置換され;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、非荷電極性アミノ酸またはA、好ましくはスレオニン、セリン、アスパラギンまたはグルタミンであり;
13は、ナフチルアラニンであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸である]。
【請求項8】
位置X10に荷電アミノ酸を示すことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項9】
以下の追加アミノ酸位置を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のペプチド:
【化5】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
16は、任意のアミノ酸、好ましくはG、K、L、Q、R、S、HarまたはTから独立して選択され;
17は、任意のアミノ酸、好ましくはA、G、P、R、K、Y、Harから独立して選択され;
18は、任意のアミノ酸、好ましくはLまたはQから独立して選択され;
19は、任意のアミノ酸から独立して選択される]。
【請求項10】
17が荷電アミノ酸であることを特徴とする、請求項9に記載のペプチド。
【請求項11】
19が荷電アミノ酸であることを特徴とする、請求項9または10に記載のペプチド。
【請求項12】
位置X10、X17および/またはX19の荷電アミノ酸が正または負に荷電していて、天然アミノ酸、非天然アミノ酸および誘導体化アミノ酸からなる群より選択される、請求項8〜11のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項13】
10、X17および/またはX19が負荷電アミノ酸であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項14】
前記負荷電アミノ酸が、
・天然負荷電アミノ酸、とりわけDまたはE;
・好ましくは、Aad、2−アミノヘプタン二酸、Asuなどの伸長された側鎖を示す、非天然負荷電アミノ酸;
・元々は正荷電アミノ酸であるが、負荷電基が付与されるように適切な化学基で誘導体化されたもの
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項13に記載のペプチド。
【請求項15】
正荷電アミノ酸を負荷電アミノ酸に変換するために使用される基が、例えばジカルボン酸またはジスルホン酸などの二酸から選択されることを特徴とする、請求項14に記載のペプチド。
【請求項16】
前記正荷電アミノ酸が、
・天然正荷電アミノ酸、例えばリジン、アルギニン、ヒスチジンまたはオルニチン;
・位置X10および/またはX17において、好ましくは、例えばホモアルギニンに見られるような伸長された側鎖を示す、非天然正荷電アミノ酸;
・元々は負荷電アミノ酸であるが、正荷電基が付与されるように適切な化学基で誘導体化されたもの
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項12に記載のペプチド。
【請求項17】
がD−アミノ酸、好ましくはD−フェニルアラニンである、請求項1〜16のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項18】
以下のアミノ酸配列を含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載のペプチド:
【化6】

[X〜X19は上記の意味を持ち、
は、F、YまたはFもしくはYの誘導体(この場合、FまたはYの前記誘導体は少なくとも一つの電子吸引性置換基を保持し、その電子吸引性置換基は、好ましくは、アミノ基、ニトロ基およびハロゲンからなる群より選択される)であり(Xは、好ましくは、4−アミノ−フェニルアラニン、3−アミノ−チロシン、3−ヨード−チロシン、3−ニトロ−チロシン、3,5−ジブロモ−チロシン、3,5−ジニトロ−チロシン、3,5−ジヨード−チロシンからなる群より選択される);
は、任意のアミノ酸、好ましくはA、H、K、L、M、S、TまたはIから選択される]。
【請求項19】
EPO受容体に結合することができ、アゴニスト活性を含む、少なくとも10アミノ酸長のペプチドであって、
・以下に示すアミノ酸のコア配列の少なくとも一つを含むペプチド:
【化7】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、位置X10、X17またはX19の少なくとも一つは負荷電アミノ酸であり、
は、GまたはGの保存的置換物であり;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、非荷電極性アミノ酸またはA、好ましくはスレオニン、セリン、アスパラギンまたはグルタミンであり;
13は、W、1−nal、2−nal、AまたはFであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
16は、任意のアミノ酸、好ましくはG、K、L、Q、R、S、HarまたはTから独立して選択され;
18は、任意のアミノ酸、好ましくはLまたはQから独立して選択される];
・EPOミメティック活性を示し、かつ位置X10、X17またはX19の少なくとも一つが負荷電アミノ酸である、上記コンセンサス配列によって定義されるペプチドの機能的に等価なフラグメント、誘導体および変種
からなる群より選択されるペプチド。
【請求項20】
以下の拡大されたコンセンサス配列を含む、請求項19に記載のペプチド:
【化8】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
は、R、H、L、WまたはYまたはSであり;
は、M、F、I、Y、H、ホモセリンメチルエーテルまたはノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10が負荷電アミノ酸でない場合、X10はプロリン、プロリンの保存的置換物またはプロリンの非保存的置換物であるか、またはXおよびX10が単一のアミノ酸で置換され;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、非荷電極性アミノ酸またはA、好ましくはスレオニン、セリン、アスパラギンまたはグルタミンであり;
13は、W、1−nal、2−nal、AまたはFであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
16は、任意のアミノ酸、好ましくはG、K、L、Q、R、S、HarまたはTから独立して選択され;
17が負荷電アミノ酸でない場合、X17は任意のアミノ酸、好ましくはA、G、P、Yまたは正電荷天然、非天然または誘導体化アミノ酸、好ましくはK、R、H、オルニチンまたはホモアルギニンから選択され;
18は、任意のアミノ酸、好ましくはLまたはQから独立して選択され;
19が負荷電アミノ酸でない場合、X19は任意のアミノ酸、好ましくはK、R、H、オルニチンまたはホモアルギニンなどの正荷電アミノ酸から独立して選択される。
ただしX10、X17またはX19の少なくとも一つ、好ましくはX19は、負荷電アミノ酸であるものとする]。
【請求項21】
前記負荷電アミノ酸が、
・天然負荷電アミノ酸、とりわけDまたはE;
・好ましくは、Aad、2−アミノヘプタン二酸、Asuなどの伸長された側鎖を示す、非天然負荷電アミノ酸;
・元々は正荷電アミノ酸であるが、負荷電基が付与されるように適切な化学基で誘導体化されたもの
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項19または20に記載のペプチド。
【請求項22】
位置X10、X17および/またはX19の少なくとも一つに正荷電アミノ酸が存在する場合、それが、
・天然正荷電アミノ酸、例えばリジン、アルギニン、ヒスチジンおよびオルニチン;
・位置X10および/またはX17において、好ましくは、例えばホモアルギニンに見られるような伸長された側鎖を示す、非天然正荷電アミノ酸;
・元々は負荷電アミノ酸であるが、正荷電基が付与されるように適切な化学基で誘導体化されたもの
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項19〜21のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項23】
以下のアミノ酸配列を含む、請求項19〜22のいずれか一項に記載のペプチド:
【化9】

[X〜X19は上記の意味を持ち、
は、F、YまたはFもしくはYの誘導体(この場合、FまたはYの誘導体は少なくとも一つの電子吸引性置換基を保持する)であり;
は、任意のアミノ酸、好ましくはA、H、K、L、M、S、TまたはIから選択される]。
【請求項24】
前記電子吸引性置換基がアミノ基、ニトロ基およびハロゲンからなる群より選択され、Xが好ましくは4−アミノ−フェニルアラニン、3−アミノ−チロシン、3−ヨード−チロシン、3−ニトロ−チロシン、3,5−ジブロモ−チロシン、3,5−ジニトロ−チロシン、3,5−ジヨード−チロシンからなる群より選択される、請求項23に記載のペプチド。
【請求項25】
13がナフチルアラニンであることを特徴とする、請求項19〜24の少なくとも一つに記載のペプチド。
【請求項26】
【化10】

【化11】

からなる群より選択される、請求項19〜25の少なくとも一つに記載のペプチド。
【請求項27】
EPO受容体に結合することができ、アゴニスト活性を含む、少なくとも10アミノ酸長のペプチドであって、
・以下に示すアミノ酸のコア配列を特徴とするペプチド:
【化12】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、D−アミノ酸であり;
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10は、プロリン、プロリンの保存的置換物またはプロリンの非保存的置換物であるか;
または、XおよびX10が単一のアミノ酸で置換され;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、非荷電極性アミノ酸またはA、好ましくはスレオニン、セリン、アスパラギンまたはグルタミンであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸である]
および
・EPOミメティック活性を示し、かつ位置XにD−アミノ酸を持つ、上記コンセンサス配列によって定義されるペプチドの機能的に等価なフラグメント、誘導体および変種
からなる群より選択されるペプチド。
【請求項28】
以下のアミノ酸コア配列を含む、請求項27に記載のペプチド:
【化13】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
は、R、H、L、WまたはYまたはSであり;
は、D−M、D−F、D−I、D−Y、D−H、D−ホモセリンメチルエーテルまたはD−ノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10は、プロリン、プロリンの保存的置換物またはプロリンの非保存的置換物であるか;
または、XおよびX10が単一のアミノ酸で置換され;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、非荷電極性アミノ酸またはA、好ましくはスレオニン、セリン、アスパラギンまたはグルタミンであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸である]。
【請求項29】
がD−フェニルアラニンであることを特徴とする、請求項27または28に記載のペプチド。
【請求項30】
位置X10に荷電アミノ酸を示すことを特徴とする、請求項27〜29に記載のペプチド。
【請求項31】
以下のアミノ酸配列を含む、請求項27〜30に記載のペプチド:
【化14】

[X〜X15は上記の意味を持ち、
16は、任意のアミノ酸、好ましくはG、K、L、Q、R、S、HarまたはTから独立して選択され;
17は、任意のアミノ酸、好ましくはA、G、P、Yまたは正荷電天然、非天然もしくは誘導体化アミノ酸、好ましくはK、R、H、オルニチンまたはホモアルギニンから独立して選択され;
18は、任意のアミノ酸、好ましくはLまたはQから独立して選択され;
19は、任意のアミノ酸から独立して選択される]。
【請求項32】
17が荷電アミノ酸であることを特徴とする、請求項31に記載のペプチド。
【請求項33】
19が荷電アミノ酸であることを特徴とする、請求項31または32に記載のペプチド。
【請求項34】
位置X10、X17および/またはX19の荷電アミノ酸が正または負に荷電していて、天然アミノ酸、非天然アミノ酸および誘導体化アミノ酸からなる群より選択される、請求項30〜33のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項35】
10、X17および/またはX19が負荷電アミノ酸であることを特徴とする、請求項1〜34のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項36】
前記負荷電アミノ酸が
・天然負荷電アミノ酸、とりわけDまたはE;
・好ましくは、Aad、2−アミノヘプタン二酸、Asuに見られるように伸長された側鎖を示す、非天然負荷電アミノ酸;
・元々は正荷電アミノ酸であるが、負荷電基が付与されるように適切な化学基で誘導体化されたもの
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項35に記載のペプチド。
【請求項37】
正荷電アミノ酸を負荷電アミノ酸に変換するために使用される基が、例えばジカルボン酸またはジスルホン酸などの二酸から選択されることを特徴とする、請求項36に記載のペプチド。
【請求項38】
前記正荷電アミノ酸が
・天然正荷電アミノ酸、例えばリジン、アルギニン、ヒスチジンおよびオルニチン;
・位置X10および/またはX17において、好ましくは、例えばホモアルギニンに見られるような伸長された側鎖を示す、非天然正荷電アミノ酸;
・元々は負荷電アミノ酸であるが、正荷電基が付与されるように適切な化学基で誘導体化されたもの
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項34に記載のペプチド。
【請求項39】
以下のアミノ酸配列を含む、請求項27〜38のいずれか一項に記載のペプチド:
【化15】

[X〜X19は上記の意味を持ち、
は、F、YまたはFもしくはYの誘導体(この場合、FまたはYの誘導体は少なくとも一つの電子吸引性置換基を保持する)であり;
は、任意のアミノ酸、好ましくはA、H、K、L、M、S、TまたはIから選択される]。
【請求項40】
前記電子吸引性置換基がアミノ基、ニトロ基およびハロゲンからなる群より選択される、請求項39に記載のペプチド。
【請求項41】
が4−アミノ−フェニルアラニン、3−アミノ−チロシン、3−ヨード−チロシン、3−ニトロ−チロシン、3,5−ジブロモ−チロシン、3,5−ジニトロ−チロシン、3,5−ジヨード−チロシンからなる群より選択される、請求項39に記載のペプチド。
【請求項42】
EPO受容体に結合することができ、アゴニスト活性を含む、少なくとも10アミノ酸長のペプチドであって、
・以下に示すアミノ酸のコア配列を特徴とするペプチド:
【化16】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、F、またはFもしくはYの誘導体(この場合、FまたはYの誘導体は少なくとも一つの電子吸引性置換基を保持する)であり;
は、任意のアミノ酸、好ましくはA、H、K、L、M、S、TまたはIから選択され、
は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
は、R、H、L、WまたはYまたはSであり;
は、M、F、I、Y、H、ホモセリンメチルエーテルまたはノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10は、プロリンの非保存的置換物であるか、またはXおよびX10が単一のアミノ酸で置換され;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、非荷電極性アミノ酸またはA、好ましくはスレオニン、セリン、アスパラギンまたはグルタミンであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸である]
・EPOミメティック活性を示し、かつ位置X10にプロリンの非保存的置換物を構成するアミノ酸を持つか、またはXおよびX10が単一のアミノ酸で置換され、位置XにはF、またはFもしくはYの誘導体(この場合、FまたはYの誘導体は少なくとも一つの電子吸引性置換基を保持する)を持つ、上記コンセンサス配列によって定義されるペプチドの機能的に等価なフラグメント、誘導体および変種
からなる群より選択されるペプチド。
【請求項43】
前記電子吸引性置換基がアミノ基、ニトロ基およびハロゲンからなる群より選択される、請求項42に記載のペプチド。
【請求項44】
が4−アミノ−フェニルアラニン、3−アミノ−チロシン、3−ヨード−チロシン、3−ニトロ−チロシン、3,5−ジブロモ−チロシン、3,5−ジニトロ−チロシン、3,5−ジヨード−チロシンからなる群より選択される、請求項42に記載のペプチド。
【請求項45】
位置X10に荷電アミノ酸を示すことを特徴とする、請求項42〜44の少なくとも一つに記載のペプチド。
【請求項46】
以下のアミノ酸配列を含む、請求項42に記載のペプチド:
【化17】

[X〜X15は上記の意味を持ち、
16は、任意のアミノ酸、好ましくはG、K、L、Q、R、S、HarまたはTから独立して選択され;
17は、任意のアミノ酸、好ましくはA、G、PまたはYから独立して選択され;
18は、任意のアミノ酸、好ましくはLまたはQから独立して選択され;
19は、任意のアミノ酸から独立して選択される]。
【請求項47】
17が荷電アミノ酸であることを特徴とする、請求項43に記載のペプチド。
【請求項48】
19が荷電アミノ酸であることを特徴とする、請求項46または47に記載のペプチド。
【請求項49】
位置X10、X17および/またはX19の荷電アミノ酸が正または負のいずれかに荷電していて、天然アミノ酸、非天然アミノ酸および誘導体化アミノ酸からなる群より選択される、請求項45〜48のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項50】
10、X17および/またはX19が負荷電アミノ酸であることを特徴とする、請求項45〜49のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項51】
前記負荷電アミノ酸が、
・天然負荷電アミノ酸、とりわけDまたはE;
・好ましくは、Aad、2−アミノヘプタン二酸、Asuに見られるように伸長された側鎖を示す、非天然負荷電アミノ酸;
・元々は正荷電アミノ酸であるが、負荷電基が付与されるように適切な化学基で誘導体化されたもの
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項50に記載のペプチド。
【請求項52】
正荷電アミノ酸を負荷電アミノ酸に変換するために使用される基が、例えばジカルボン酸またはジスルホン酸などの二酸から選択されることを特徴とする、請求項51に記載のペプチド。
【請求項53】
前記正荷電アミノ酸が、
・天然正荷電アミノ酸、例えばリジン、アルギニン ヒスチジンおよびオルニチン;
・位置X10および/またはX17において、好ましくは、例えばホモアルギニンに見られるような伸長された側鎖を示す、非天然正荷電アミノ酸;
・元々は負荷電アミノ酸であるが、正荷電基が付与されるように適切な化学基で誘導体化されたもの
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項49に記載のペプチド。
【請求項54】
がD−アミノ酸、好ましくはD−フェニルアラニンである、請求項42〜53のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項55】
EPO受容体に結合することができ、アゴニスト活性を含む、少なくとも10アミノ酸長のペプチドであって、以下に示すペプチドの群から選択されるペプチド:
(a)以下に示すアミノ酸のコア配列を含むペプチド:
【化18】

【化19】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、GまたはGの保存的置換物であり;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、非荷電極性アミノ酸またはA、好ましくはスレオニン、セリン、アスパラギンまたはグルタミンであり;
13は、W、ナフチルアラニン、AまたはFであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸である]
ならびに、EPOミメティック活性を示す、上記コンセンサス配列によって定義されるペプチドの機能的に等価なフラグメント、誘導体および変種(位置X10、X16、X17またはX19の少なくとも一つは、リジンと比較して伸長された側鎖を持つ正荷電非タンパク質構成アミノ酸を表す);
(b)以下に示すアミノ酸の配列を含むペプチド、とりわけEPO受容体に結合することができるもの:
【化20】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、C、A、E、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸またはホモシステイン(hoc)であり;
は、R、H、L、WまたはYまたはSであり;
は、M、F、I、ホモセリンメチルエーテルまたはノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10は、Harであり、
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、TまたはAであり;
13は、W、1−nal、2−nal、AまたはFであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、C、A、K、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸またはホモシステイン(hoc)である。
ただしXかX15のどちらかはCまたはhocであるものとする];
(c)以下のアミノ酸配列を含むペプチド
【化21】

[X〜X15は、変種(b)の上記の意味を持ち、
は、任意のアミノ酸、好ましくはD、E、L、N、S、TまたはVから独立して選択され;
は、Yであり;
は、任意のアミノ酸、好ましくはA、H、K、L、M、S、TまたはIから独立して選択され.
16は、任意のアミノ酸、好ましくはG、K、L、Q、R、SまたはTから独立して選択され;
17は、ホモアルギニンであり;
18は、任意のアミノ酸から独立して選択される]。
【請求項56】
以下に示すアミノ酸のコア配列を含む、請求項55に記載のペプチド:
【化22】

[各アミノ酸は天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
は、R、H、L、WまたはYまたはSであり;
は、M、F、I、Y、H、ホモセリンメチルエーテルまたはノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的置換物であり;
10がリジンと比較して伸長された側鎖を持つ正荷電非タンパク質構成アミノ酸でない場合、X10はプロリン、プロリンの保存的置換物またはプロリンの非保存的置換物であるか、またはXおよびX10が単一のアミノ酸で置換され;
11は、任意のアミノ酸から選択され;
12は、非荷電極性アミノ酸またはA、好ましくはスレオニン、セリン、アスパラギンまたはグルタミンであり;
13は、W、1−nal、2−nal、AまたはFであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸またはAもしくはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
16がリジンと比較して伸長された側鎖を持つ正荷電非タンパク質構成アミノ酸でない場合、X16は、任意のアミノ酸、好ましくはG、K、L、Q、R、SまたはTから独立して選択され;
17がリジンと比較して伸長された側鎖を持つ正荷電非タンパク質構成アミノ酸でない場合、X17は任意のアミノ酸、好ましくはA、G、P、Yまたは正荷電天然、非天然もしくは誘導体化アミノ酸、好ましくはK、R、Hまたはオルニチンから選択され;
18は、任意のアミノ酸、好ましくはLまたはQから独立して選択され;
19がリジンと比較して伸長された側鎖を持つ正荷電非タンパク質構成アミノ酸でない場合、X19は、任意のアミノ酸、好ましくはK、R、Hまたはオルニチンなどの正荷電アミノ酸から独立して選択される。
ただしX10、X16、X17またはX19の少なくとも一つは、リジンと比較して伸長された側鎖を持つ正荷電非タンパク質構成アミノ酸であるものとする]。
【請求項57】
10、X16、X17またはX19の少なくとも一つが正荷電アミノ酸であり、その正荷電アミノ酸が、好ましくは、
・天然正荷電アミノ酸、例えばリジン、アルギニン、ヒスチジンおよびオルニチン;
・好ましくはリジンと比較して伸長された側鎖を示す、非天然正荷電アミノ酸;
・元々は負荷電アミノ酸であるが、正荷電基が付与されるように適切な化学基で誘導体化されたもの;
からなる群より選択される(ただしX10、X16、X17またはX19の少なくとも一つはリジンと比較して伸長された側鎖を持つ正荷電非タンパク質構成アミノ酸であるものとする)、請求項56に記載のペプチド。
【請求項58】
前記正荷電アミノ酸の伸長が側鎖の伸長ユニットによってもたらされ、その伸長ユニットが脂肪族基または芳香族基である、請求項57に記載のペプチド。
【請求項59】
前記伸長がCHユニットによってもたらされ、CHユニットの数が好ましくは1〜6である、請求項58に記載のペプチド。
【請求項60】
リジンと比較して伸長されている前記正荷電非タンパク質構成アミノ酸が非天然アミノ酸である、請求項55〜59の少なくとも一つに記載のペプチド。
【請求項61】
前記非天然アミノ酸がホモアルギニン、アミノフェニルアラニンおよびアミノナフチルアラニンを含む群より選択される、請求項60に記載のペプチド。
【請求項62】
10またはX17が荷電アミノ酸であることを特徴とする、請求項56に記載のペプチド。
【請求項63】
19が荷電アミノ酸であることを特徴とする、請求項56に記載のペプチド。
【請求項64】
位置X10、X17および/またはX19の荷電アミノ酸が正または負に荷電していて、天然アミノ酸、非天然アミノ酸および誘導体化アミノ酸からなる群より選択される、請求項55〜63のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項65】
10、X17および/またはX19が負荷電アミノ酸であることを特徴とする、請求項64に記載のペプチド。
【請求項66】
前記負荷電アミノ酸が、
・天然負荷電アミノ酸、とりわけDまたはE;
・好ましくは、Aad、2−アミノヘプタン二酸、Asuなどの伸長された側鎖を示す、非天然負荷電アミノ酸;
・元々は正荷電アミノ酸であるが、負荷電基が付与されるように適切な化学基で誘導体化されたもの
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項65に記載のペプチド。
【請求項67】
前記正荷電アミノ酸を負荷電アミノ酸に変換するために使用される基が、例えばジカルボン酸またはジスルホン酸などの二酸から選択されることを特徴とする、請求項66に記載のペプチド。
【請求項68】
がD−アミノ酸、好ましくはD−フェニルアラニンである、請求項55〜67のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項69】
以下のアミノ酸配列を含む、請求項55〜68のいずれか一項に記載のペプチド:
【化23】

[X〜X19は上記の意味を持ち、
は、F、YまたはFもしくはYの誘導体(この場合、FまたはYの誘導体は少なくとも一つの電子吸引性置換基を保持する)であり;
は、任意のアミノ酸、好ましくはA、H、K、L、M、S、TまたはIから選択される]。
【請求項70】
電子吸引性置換基がアミノ基、ニトロ基およびハロゲンからなる群より選択される、請求項69に記載のペプチド。
【請求項71】
が4−アミノ−フェニルアラニン、3−アミノ−チロシン、3−ヨード−チロシン、3−ニトロ−チロシン、3,5−ジブロモ−チロシン、3,5−ジニトロ−チロシン、3,5−ジヨード−チロシンからなる群より選択される、請求項70に記載のペプチド。
【請求項72】
少なくとも二つの単量体型EPOミメティックペプチドコンセンサス配列を含み、その単量体型ペプチドコンセンサス配列の少なくとも一つが、請求項1〜71の少なくとも一つに記載のペプチドである、EPOミメティックペプチド。
【請求項73】
二量体であり、請求項1〜71の少なくとも一つに記載の少なくとも一つの単量体型ペプチドコンセンサス配列を含む、請求項72に記載のペプチド。
【請求項74】
ターゲット分子に結合する化合物であって、
(i)少なくとも二つのペプチドユニットであって、各ペプチドユニットがターゲットへの結合能を持つ少なくとも二つのドメインを含むもの;
(ii)少なくとも一つポリマー担体ユニット;
を含み、前記ペプチドユニットが前記ポリマー担体ユニットに取り付けられ、少なくとも一つのペプチドユニットの少なくとも一つのドメインが請求項1〜71の少なくとも一つに記載のペプチドである化合物。
【請求項75】
少なくとも一つのペプチドユニットが請求項73に記載のペプチド二量体を含む、請求項74に記載の化合物。
【請求項76】
前記担体ユニットが、少なくとも一つの天然もしくは合成の分岐、デンドリティックもしくは線状ポリマーであるか、または少なくとも一つの天然もしくは合成の分岐、デンドリティックもしくは線状ポリマーを含み、好ましくはポリグリセリン、ポリシアル酸、デキストラン、デンプンまたはポリエチレングリコールからなる群より選択されるか、または他の生物学的に不活性な水溶性ポリマーから選択される、請求項74または75に記載の化合物。
【請求項77】
前記ポリマー担体ユニットが分岐ユニットを含む、請求項74〜76の少なくとも一つに記載の化合物。
【請求項78】
前記分岐ユニットがグリセロールまたはポリグリセロールを含む、請求項77に記載の化合物。
【請求項79】
前記担体分子が少なくとも5kDの分子量、好ましくは20〜200または4000kDの分子量、ポリエチレングリコールなどの小さい担体を使用する場合には20〜80kDの分子量を持つ、請求項74〜78の少なくとも一つに記載の化合物。
【請求項80】
前記担体ユニットが少なくとも二つのポリマーサブユニットから構成され、前記ポリマーサブユニットが少なくとも一つの生分解性共有結合リンカー構造によって接合される、請求項74〜79の少なくとも一つに記載の化合物。
【請求項81】
第1生分解性担体ユニットを含み、ペプチドユニットおよび第2ポリマー担体ユニットが前記第1ポリマー担体ユニットに取り付けられる、上記請求項の少なくとも一つに記載の化合物。
【請求項82】
前記第2担体ユニットが前記第1担体ユニットよりも低い分子量を持ち、好ましくはHESである前記第1担体ユニットの取り付け部位の約20〜50%が、好ましくは分子量約3〜10kDのPEGである前記第2担体ユニットで占められる、請求項81に記載の化合物。
【請求項83】
修飾ポリマー担体ユニットが使用される、上記請求項の少なくとも一つに記載の化合物。
【請求項84】
前記ペプチドユニットが共有結合によって前記ポリマー担体ユニットに取り付けられ、取り付けは前記ペプチドユニットの反応性アミノ酸、N末端アミノ基および/またはC末端カルボン酸を介して行われ、前記反応性アミノ酸は好ましくはリジン、システイン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニンおよびチロシンからなる群より選択され、前記ポリマー担体ユニットが適当な反応性カップリング基を持たない場合は、カップリングユニットを使ってポリマー担体ユニットが修飾され、前記カップリングユニットは、好ましくは、前記ペプチドユニットのアミノ基と反応するアシル化基、前記ペプチドユニット上のスルフヒドリル(メルカプト)、チオメチル、イミダゾまたはアミノ基と反応するアルキル化基、最も好ましくはタンパク質上のカルボキシル基と反応するマレイミド基、エステルおよびアミド形成基、前記ペプチドユニット上のスルフヒドリル基と反応するジスルフィド形成基、例えば5,5’−ジチオビス(2−ニトロベンゾエート)基、オルト−ピリジルジスルフィドおよびアルキルメルカプタン基、ジカルボニル基、例えばシクロヘキサンジオン基、ならびに前記ペプチドユニットのグアニジン部分と反応する他の1,2−ジケトン基;前記ペプチド上のフェノール性基と反応するジアゾ基;前記ペプチドユニット上のアミノ基と反応する、臭化シアンと前記ポリマー担体ユニットとの反応によって生じる反応性基からなる群より選択される、請求項83に記載の化合物。
【請求項85】
前記反応性アミノ酸がシステインであり、前記カップリング基がマレイミドである、請求項84に記載の化合物。
【請求項86】
請求項1〜73のいずれか一項に記載のペプチドをコードする核酸。
【請求項87】
請求項1〜73の少なくとも一項に記載のペプチド、またはもっぱらD−アミノ酸からなる各ペプチドのインベルソペプチドおよび/またはレトロ/インベルソペプチドであることを特徴とするペプチド。
【請求項88】
単量体型ペプチドユニットを二量体化してEPOミメティックペプチド二量体を形成させるための方法であって、単量体型ペプチドユニット間に共有結合を形成させることによって二量体が作製され、前記結合が第1単量体型ペプチドユニットのC末端アミノ酸と第2単量体型ペプチドユニットのN末端アミノ酸との間に形成される方法。
【請求項89】
共有結合を形成することができる側鎖官能性を持つアミノ酸をC末端またはN末端に保持する単量体型ペプチドユニットが使用され、共有結合が、第1単量体型ペプチドユニットのC末端アミノ酸の側鎖と、第2単量体型ペプチドユニットのN末端アミノ酸の側鎖との間に形成される、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
二つの単量体型ペプチドユニットを連結して二量体にする共有結合がジスルフィド架橋またはジセレニド架橋である、請求項88または89に記載の方法。
【請求項91】
二つの単量体型EPOミメティックペプチドユニット間に分子間結合を形成するアミノ酸がシステイン、ホモシステインおよびセレノシステインなどのシステイン誘導体、チオリジン、KまたはEを含む群から選択される、請求項88〜90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
請求項1〜73のいずれか一項において定義したEPOミメティックペプチド配列を含むEPOミメティックペプチド二量体。
【請求項93】
請求項88〜91に記載の方法によって製造され、好ましくは請求項1〜73のいずれか一項において定義したペプチド配列を含む、EPOミメティックペプチド二量体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図7−4】
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【図7−5】
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【図7−6】
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【図7−7】
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【図7−8】
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【図7−9】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【図15】
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【図16−1】
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【図16−2】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21−1】
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【図21−2】
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【図21−3】
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【図21−4】
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【図21−5】
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【図21−6】
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【図21−7】
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【図21−8】
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【図21−9】
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【図21−10】
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【公表番号】特表2009−529509(P2009−529509A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557672(P2008−557672)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002068
【国際公開番号】WO2007/101698
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(507151180)アプラゲン ゲーエムベーハー (4)
【Fターム(参考)】