説明

連係放送方式、送信装置およびデータベース

【課題】本発明は、複数の送信装置が連係することにより所望の組み合わせの放送波を送信する連係放送方式、その連係放送方式を構成する送信装置およびデータベースに関し、受信機の操作性が損なわれることなく、その受信機が移動しても緊急情報を確度高く継続して視聴できることを目的とする。
【解決手段】放送波の送信を行う個々の送信装置が他の送信装置の稼働の形態または状態を識別し、前記個々の送信装置の稼働の形態または状態に対する前記他の送信装置の稼働の形態または状態の反映を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の送信装置が連係することにより所望の組み合わせの放送波を送信する連係放送方式、その連係放送方式を構成する送信装置およびデータベースに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地上波ディジタル放送は、以下に列記するように、アナログ放送では実現されない多様な利点があり、かつアナログ放送の終了が迫りつつあるために、受信機が急速に普及しつつある。
【0003】
(1) 放送波の伝搬過程で重畳される雑音、あるいは地物による反射等に起因するゴーストの多くが回避可能される。
(2) クイズ、アンケート等のように、視聴者が参加可能な双方向サービスの提供が容易に達成される。
【0004】
(3) 字幕放送、(ドラマのストーリ等の)解説放送、音声の速度の変更等のように、高齢者や障害者向けのサービスが提供される。
(4) 番組に関連する情報、ニュース、天気予報等の多様な情報が随時提供される。
(5) 番組ガイドが電子番組表(EPG:Electric Program Guide)として提供される。
(6) 携帯電話端末等による視聴が可能な「ワンセグ放送」が提供される。
【0005】
また、このような「ワンセグ放送」は、多様な分野における応用の可能性が高く、例えば、地震、台風、火災、津波等の災害の予報や被害の状況(以下、これらを「緊急情報」という。)の迅速な伝達への適用が計画されている。
【0006】
従来、「ワンセグ放送」による緊急情報の伝達は、例えば、図5に示すように、複数の商店による自主放送をそれぞれ実現するために送信機51-1〜51-3が設置された商店街では、以下のように実現可能である。
【0007】
(1) 送信機51-1〜51-3は、互いに隣接する無線ゾーン51Z-1〜51Z-3を形成し、通常時には、これらの無線ゾーン51Z-1〜51Z-3にそれぞれ異なる自主放送番組P1、P2、P3を送信する。
(2) 緊急時には、送信機51-1〜51-3は、上記自主放送番組P1、P2、P3が送信されていたチャネルおよびセグメントを変更することなく、無線ゾーン51Z-1〜51Z-3に対して、これらの自主放送番組P1、P2、P3に代えて緊急情報を送信する。
【0008】
なお、このような緊急情報の少なくとも主要部は、例えば、後述する特許文献に形成されるように、個々の緊急情報を提供するサーバや専門機関等からインタネット等の通信路を介して配信され、あるいは送信機51-1〜51-3に備えられたメモリー(図示されない。)に予め保持される。
【0009】
すなわち、従来例では、無線ゾーン51Z-1〜51Z-3の何れでも、緊急情報の放送に適用されるチャネルおよびセグメント(以下、「緊急放送チャネル」という。)には、図5にハンチングを付して示し、かつ以下に列記するように、通常時の放送に供されていたチャネルおよびセグメント(以下、「通常放送チャネル」という。)が変更されることなく適用される。
【0010】
(1) 無線ゾーン51Z-1: チャネルA(セグメント1)
(2) 無線ゾーン51Z-2: チャネルB(セグメント3)
(3) 無線ゾーン51Z-3: チャネルC(セグメント5)
【0011】
したがって、これらの無線ゾーン51Z-1〜51Z-3に位置する携帯電話端末等の端末のユーザは、特別な操作を行わなくても、視聴中の自主放送番組に代えて緊急情報を速やかに視聴できる。
【0012】
本発明に関連性がある先行技術としては、後述する特許文献1ないし特許文献6がある。
(1) 「ディジタル放送の特定のセグメントを介して番組を送信する放送装置において、緊急時に番組に代えて緊急情報を特定のセグメントを介して送信する制御手段を備える」ことにより、「構成が大幅に変更されることなく、全ての端末や受信機のユーザに緊急情報を確度高く伝達できる」点に特徴がある放送装置…特許文献1
【0013】
(2) 「コンテンツの再生に使用される複数の機器の動作を連携させる機器連携装置であって、コンテンツの属性ごとに、当該属性に対応するモードを示すモード対応表を格納している対応表格納手段と、再生対象のコンテンツの属性を取得する属性取得手段と、前記モード対応表に示される複数のモードの中から、前記属性取得手段によって取得された属性に対応するモードを特定するモード特定手段と、前記モード特定手段によって特定されたモードに従って前記複数の機器の動作を連携させることにより、前記複数の機器に前記再生対象のコンテンツを再生させる連携実行手段とを備える」ことによって、「ユーザによる操作負担を軽減して適切に機器を連携させる」点に特徴がある機器連携装置…特許文献2
【0014】
(3) 「各種宣伝・広告等の情報につき、ジャンル(業種・企業・商品・サービス等)および地域を指定した情報入手を可能とすると同時に、宣伝・広告主は地域を限定して宣伝・広告を発信できる、インターネットのメールおよびホームページ、あるいはテレビのデジタル放送の双方向機能を利用し、所在地または住所コードまたは郵便番号または電話番号あるいは類似の記号化もしくはコード化された情報に基づいて行う」点に特徴がある情報等提供方法…特許文献3
【0015】
(4) 「データ交換のためのデータ通信網と、前記データ通信網に接続され,地域情報を提供する1または2以上の地域情報提供手段と、前記データ通信網に接続され,前記地域情報提供手段によって提供される地域情報の全てを格納して,対応する地域情報を予め割り当てられてた地域識別コードと共に伝送する地域情報分配手段と、前記地域情報分配手段から伝送される地域情報を,地域識別コードとそれぞれに設定されている地域コードが一致する場合に受信する複数の地域情報受信装置とを含む」ことにより、「受信装置は,受信装置が位置する場所あるいは受信装置がユーザに運ばれた場所に関する地域情報のみを選択的に受信し格納することが可能となる」点に特徴がある地域情報提供システム…特許文献4
【0016】
(5) 「モバイル通信システムで隣接基地局情報を通信する方法であって、第1の基地局で、少なくとも一つの隣接基地局から隣接基地局情報を獲得する段階として、前記隣接基地局情報は、前記少なくとも一つの隣接基地局に対応し、通信網ネットワークを通じて前記第1の基地局に提供される段階と、前記獲得された隣接基地局情報を前記第1の基地局からそれに接続された移動局加入者に伝送する段階とを含む」ことにより、「隣接基地局情報をモバイル通信システム内の移動局加入者に通信する」点に特徴がある方法…特許文献5
【0017】
(6) 「番組編成処理された音声情報を含んだ映像ストリームを、放送地域が割り当てられた各送信所を介して該当地域内に放送する放送連携災害対策支援システムにおいて、災害時に災害地域ごとの緊急情報を生成する緊急対策処理部を有し、この生成された災害地域ごとに緊急情報を送出する緊急対策処理サーバと、この緊急対策処理サーバから送られてくる緊急情報を受信し、この災害地域ごとの緊急情報に基づいてデータ放送コンテンツを生成し、この生成されたデータ放送コンテンツを前記災害地域ごとのデータ放送用ストリームに変換し出力するデータ放送コンテンツサーバと、前記映像ストリームを複数に分配し、この分配された映像ストリームと前記データ放送コンテンツサーバから出力される災害地域ごとのデータ放送用ストリームとを多重化し、災害地域を管轄する各送信所を通じて放送する放送設備系とを備える」ことにより、「災害時に災害地以外からの連絡による通信の輻輳を抑制し、災害地域の住民が災害時に必要な情報をすばやく取得できる」点に特徴がある放送連携災害対策支援システム…特許文献6
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特願2010−063478号
【特許文献2】WO2007/072791号公報
【特許文献3】特開2006−106647号公報
【特許文献4】特表2001−519115号公報
【特許文献5】特表2007−536874号公報
【特許文献6】特開2009−135771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところで、上述した従来例では、例えば、携帯電話端末に内蔵された受信機では、ユーザと共に他の無線ゾーンの領域に移動した場合には、移動前と移動後とにおける個々の無線ゾーンの「緊急放送チャネル」が異なるために、緊急情報の視聴の継続ができず、移動後の無線ゾーンにおける「緊急放送チャネル」を利用するための操作が新たに行われなければならなかった。
したがって、緊急情報の伝達が遅れる可能性があった。
【0020】
本発明は、受信機が移動しても、その受信機の操作性が損なわれることなく、緊急情報を確度高く継続して視聴できる連係放送方式、送信装置およびデータベースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
請求項1に記載の発明では、放送波の送信を行う個々の送信装置が他の送信装置の稼働の形態または状態を識別し、前記個々の送信装置の稼働の形態または状態に対する前記他の送信装置の稼働の形態または状態の反映を図る
ことを特徴とする連係放送方式
【0022】
すなわち、送信装置および他の送信装置は、相互の稼働の形態や状態で定まる形態で稼働し、あるいは状態が定まる。
【0023】
請求項2に記載の発明では、識別手段は、本発明に係る送信装置の稼働の形態または状態を識別する。通信手段は、前記稼働の形態または状態を前記送信装置と異なる他の送信装置に引き渡す。
【0024】
このようにして引き渡される稼働の形態や状態は、本発明に係る送信装置との連係する他の送信装置の多様な稼働の形態や状態の前提となり得る。
【0025】
請求項3に記載の発明では、識別手段は、本発明に係る送信装置の稼働の形態または状態を識別する。通信装置は、前記送信装置と異なる他の送信装置および前記送信装置によって個別に引き渡された稼働の形態もしくは状態を蓄積するデータベースまたはサーバに、前記送信装置の稼働の形態または状態を引き渡す。
【0026】
このように引き渡される稼働の形態や状態は、上記他の送信装置に直接引き渡されるのではなく、その送信装置に対する引き渡しを適宜行うことができるデータベースまたはサーバに引き渡される。
【0027】
請求項4に記載の発明では、通信手段は、本発明に係る送信装置と異なる他の送信装置から前記他の送信装置の稼働の形態または状態を取得する。制御手段は、前記他の送信装置の稼働の形態または状態を前記送信装置の稼働の形態または状態に反映させる。
【0028】
すなわち、本発明に係る送信装置は、他の装置の稼働の形態や状態で定まる形態で稼働し、あるいは状態が定まる。
【0029】
請求項5に記載の発明では、通信手段は、本発明に係る送信装置と異なる他の送信装置および前記送信装置によって個別に引き渡された稼働の形態もしくは状態が蓄積されたデータベースまたはサーバから前記他の送信装置の稼働の形態または状態を取得する。制御手段は、前記他の送信装置の稼働の形態または状態を前記送信装置の稼働の形態または状態に反映させる。
【0030】
すなわち、本発明に係る送信装置の稼働の形態または状態は、その送信装置および上記他の送信装置と連係するデータベースまたはサーバを介して一元的に与えられる他の送信装置の稼働の形態または状態に応じて定まる。
【0031】
請求項6に記載の発明では、記憶手段には、放送波の送信を行う送信装置によって引き渡されたその送信装置の稼働の形態もしくは状態が蓄積される。応答手段は、前記送信装置と異なる他の送信装置、または前記送信装置によって行われた問い合わせに応じて、前記記憶手段に蓄積された個々の送信装置の稼働の形態もしくは状態を応答として返す。
【0032】
すなわち、本発明に係るデータベースは、配下の送信装置の稼働の形態または状態を一元的に収集し、これらの送信装置に適宜配信する。
【発明の効果】
【0033】
上述したように、本発明によれば、個々の送信装置によって行われる放送波の送信は、他の送信装置の稼働の形態や状態に応じて定まる多様な形態で実現される。
また、本発明に係る送信装置は、その送信装置の稼働の形態または状態に何らかの関連性や相関性がある形態による稼働のきっかけや環境を他の送信装置に与えることができる。
さらに、本発明に係る送信装置は、他の送信装置が複数あり、あるいは多数ある場合であっても、個々の送信装置の稼働の形態や状態を一元的に蓄積して管理し、かつ必要に応じて配信可能なデータベースまたはサーバを介して他の送信装置との連係を行うことができる。
【0034】
また、本発明に係る送信装置は、他の送信装置の稼働の形態や状態に応じて定まる多様な形態で放送波を送信可能となる。
さらに、本発明に係る送信装置は、他の送信装置が複数あり、あるいは多数ある場合であっても、他の送信装置と連係して放送波を送信することができる。
また、本発明に係るデータベースの配下で放送波を個別に送信する送信装置は、これらの送信装置が多数ある場合であっても、他の送信装置の稼働の形態や状態に応じて定まる形態で稼働し、あるいは状態が定まる。
【0035】
したがって、本発明が適用された放送系は、複数の送信装置の連係の下で、多様な放送を柔軟に実現可能となり、多くの分野や用途に対する応用の可能性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態を示す図である。
【図2】本実施形態の動作を説明する図である。
【図3】本実施形態において各送信機に備えられた制御部の動作フローチャートである。
【図4】チャネル・セグメント・テーブルの構成を示す図である。
【図5】「ワンセグ放送」により緊急情報を伝達する系の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す図である。
本実施形態と図5に示す従来例との構成の相違点は、以下の点にある。
【0038】
(1) 複数のセグメント(配置されるチャネルは異なってもよい。)に並行して送信を行うことができる送信機10-1〜10-3が送信機51-1〜51-3に代えてそれぞれ備えられる。
【0039】
(2) これらの送信機10-1〜10-3は、図5に示す無線ゾーン51Z-1〜51Z-3に代わる無線ゾーン10Z-1〜10Z-3をそれぞれ形成する。
【0040】
送信機10-1は、以下の要素から構成される。
(1) 通常時における自主放送番組と、緊急時における緊急情報とを示すコンテンツが与えられ、そのコンテンツで変調された所定の放送波を出力する送信部11-1
【0041】
(2) 送信機10-1〜10-3を通信ノード(あるいは通信端末)として有するアドホックマルチホップ通信網を形成する通信モジュール12-1
【0042】
(3) 通信モジュール12-1の出力に接続された入力ポートと、送信部11-1の制御端子に接続された出力ポートとを有する制御部13-1
【0043】
なお、送信機10-2、10-3の構成については、送信機10-1の構成と同じであるので、以下では、対応する構成要素に添え番号「1」に代えて「2」または「3」が付加された同じ符号を付与することとし、ここでは、その図示および説明を省略する。
【0044】
図2は、本実施形態の動作を説明する図である。
図3は、本実施形態において各送信機に備えられた制御部の動作フローチャートである。
以下、図1〜図3を参照して本実施形態の動作を説明する。
【0045】
なお、以下では、送信部10-1〜10-3の全てに当てはまる事項については、既述の添え番号「1」〜「3」に代わる添え文字「C」を関連する構成要素の符号に付加して記述する。
【0046】
送信部10-Cでは、制御部13-Cは、図4に示すように、以下の通りに構成されたチャネル・セグメント・テーブル(以下、「CSテーブル」という。)13CST-Cを有する。
(1) チャネルA、B、Cにそれぞれ対応した3つの面を有する。
【0047】
(2) これらの面は、何れもワンセグ放送に供され得る13個のセグメントに個別に対応し、かつ内容が以下の3通りの何れかにそれぞれ設定される13個のレコードから構成される。
(2-1) 該当するセグメントが「通常放送チャネル」および「緊急放送チャネル」の何れとしても用いられない場合には、文字「0」に設定される。
【0048】
(2-2) 該当するセグメントが「通常放送チャネル」として用いられる場合には、文字「1」に設定される。
(2-3) 該当するセグメントが後述する処理の下で「緊急放送チャネル」として用いられるべき場合には、文字「E」に設定される。
【0049】
制御部13-Cは、始動時に以下の処理を行う。
(1) CSテーブル13CST-Cの3つの面の全てのレコードの値を「0」に設定する(図3ステップS1)。
【0050】
(2) CSテーブル13CST-Cの3つの面の内、「通常放送チャネル」として適用されるべきチャネルおよびセグメントに対応する面およびレコードを特定し、そのレコードの内容を「1」に設定する(図3ステップS2)。
【0051】
(3) 送信部11-Cに、上記「通常放送チャネル」を指示する(図3ステップS3)。
【0052】
送信部11-Cは、このようにして指示された「通常放送チャネル」を介して「通常放送」のコンテンツで変調された放送波を無線ゾーン10Z-Cに送信する(図2(1))。
【0053】
したがって、無線ゾーン10Z-Cに位置する端末(受信機)は、送信部11-Cによって送信された放送波を受信することにより、通常放送の視聴に供される。
【0054】
また、通信モジュール12-Cは、他の送信機(符号「12-1」〜「12-3」の内、「12-C」以外の符号が付与される。)にそれぞれ備えられた通信モジュールと所定の手順に基づいて連係することにより、その通信モジュール12-Cを通信ノードまたは通信端末として有するアドホックマルチホップ通信網を形成する。
【0055】
さらに、通信モジュール12-Cは、以下に列記する状態や事象が識別される度に、上記アドホックマルチホップ通信網を介して他の通信モジュール宛に、送信機10-Cに割り付けられた「通常放送チャネル」の識別子(以下、「CS識別子」という。)を転送する(図2(2))。
【0056】
(1) 始動(の完了)
(2) 上記「通常放送チャネル」の更新
(3) 所定の周期(頻度)で与えられるきっかけ
【0057】
一方、送信機10-C以外の送信機10-C′に備えられた制御部13-C′は、通信モジュール12-C′と連係することにより、以下の処理を行う。
(1) 上記転送された「CS識別子」を識別する(図2(3),図3ステップS4)。
【0058】
(2) 識別された「CS識別子」が送信機10-Cに対して設定された「通常放送チャネル」を示す場合には、CSテーブル13CST-C′を構成する3つの面と、これらの面に含まれる13個のレコードの内、上記「CS識別子」で示される個々のレコードの値を「E」に設定する(図3ステップS5)。
【0059】
(3) 反対に、識別された「CS識別子」が送信機10-Cに設定された「通常放送チャネル」の削除の対象を意味する場合には、CSテーブル13CST-C′を構成する3つの面と、これらの面に含まれる13個のレコードの内、上記「CS識別子」で示される個々のレコードの値を「0」に設定する(図3ステップS6)。
【0060】
したがって、送信機10-C(10-C′)に備えられたCSテーブル13CST-C(13CST-C′)の内容は、「通常放送チャネル」に対応するレコードの値が「1」に設定され、かつ他の送信機10-C′(10-C)のそれぞれの「通常放送チャネル」に対応するレコードの値が「E」に設定され、かつ維持される。
【0061】
送信機10-C′では、制御部13-C′は、地震、火災、津波その他の緊急状態を識別すると、以下の処理(図2(4))を行う。
(1) CSテーブル13CST-C′の各面に含まれる13個のレコードの内、値が「1」または「E」に設定されている個々のレコードに対応するチャネルおよびセグメントの対を「緊急放送チャネル」として特定する(図3ステップS7)。
(2) これらの「緊急放送チャネル」を送信部11-C′に指定する(図3ステップS8)。
【0062】
送信部11-C′は、このようにして指定された「緊急放送チャネル」の全てを介して、緊急情報で変調された放送波を並行して送信する(図2(5))。
【0063】
すなわち、無線ゾーン10Z-1〜10Z-3では、図1の右方にハンチングを付して示すように、これらの10Z-1〜10Z-3に適用されていた「通常放送チャネル」の全てが「緊急放送チャネル」として適用される。
【0064】
したがって、無線ゾーン10Z-1〜10Z-3の何れかにおいて自主放送を視聴していた端末は、これらの無線ゾーン10Z-1〜10Z-3の何れかに位置する限り、移動している期間と、移動した後との何れにおいても、ユーザに特別な操作が強いられることなく、緊急情報の継続した視聴に供される。
【0065】
また、送信機10-1〜10-3(制御部13-1〜13-3)の間における「CS識別子」の引き渡しは、既述の通りに、通信モジュール12-1〜12-3が連係することによって形成されるアドホックマルチホップ通信網を介して行われる。
【0066】
このようなアドホックマルチホップ通信網では、多数のトラヒックが集中する基幹伝送路や大規模の設備を介することなく、無線ノード間における通信がエンドツーエンドで実現される。
【0067】
したがって、本実施形態によれば、送信機10-Cの設置、増設、移設、撤去等に対する迅速かつ多様な適応が可能であり、しかも、端末の移動や位置に柔軟に適合した緊急情報の伝達が速やかに漏れなく、かつ安定に実現される。
【0068】
なお、本実施形態では、送信機10-1〜10-3の間で引き渡される情報は、既述の「CS識別子」に限定されず、例えば、以下に列記するように、特異な効果の達成を可能とする多様な情報(送信機10-Cの稼働の形態や状態を示す。)が「CS識別子」と共に、あるいは「CS識別子」に代えて引き渡されてもよい。
【0069】
(1) 空中線系の特性(指向性、偏波、利得等)、送信電力の値、適用される放送方式や変調方式、「通常放送チャネル」と「緊急情報チャネル」の組み合わせ
〔達成され得る特異な効果〕
(1-1) 干渉・妨害の回避
(1-2) 省エネルギー・伝送品質の確保、多様な放送方式への柔軟な適応
(1-3) 所望の放送方式に適応可能なハードウェアの構成の標準化
【0070】
(1-4) 以下に例示するように無線ゾーンの拡大による広域伝送
(1-4-1) 商店街における火災等の事象に応じた防災への柔軟な適応
(1-4-2) アミューズメントパークや広域アトラクション会場における間欠的な、あるいは臨時の(全館)一斉放送
(1-4-3) 展示会場における特定のブースまたは全てのブースに対する一斉放送
(1-4-4) 市町村合併の対象となった地域に対するローカル情報とグローバル情報との伝達に適した放送の形態の切り替え(観光・商活動に対する地域性の確保と、広域の防災・行政にかかわる情報伝達とが達成される。)
【0071】
(2) 放送方式(3セグメントによるラジオ放送を含む。)に適合したチャネルの識別子(適用されるセグメントの識別子や数が含まれなくてもよい。)
〔達成され得る特異な効果〕
(2-1) フルセグ放送やワンセグ放送(自主放送を含む。)に限らず、かつ多様な画像、文字および音声等の多様なコンテンツの提供を実現する様々な放送方式に対する柔軟な適応
(2-2) ハードウェアの構成の標準化
【0072】
また、上述したように送信機10-1〜10-3の間で引き渡される情報が適用されるきっかけは、迅速に伝達されるべき「緊急情報」が与えられ、あるいは識別された時点に限定されず、「引き渡しの対象となる情報」と、「達成されるべき効果」とに適した如何なるきっかけであってもよい。
【0073】
さらに、本実施形態では、送信機10-1〜10-3(通信モジュール12-1〜12-3)の間における「CS識別子」の引き渡しは、アドホックマルチホップ通信網に限らず、例えば、以下に列記する如何なる通信網や通信リンクを介して行われてもよい。
【0074】
(1) インタネット(MPLSが適用されたデータ通信網、無線LAN、VPNを含む。)
(2) 専用のLAN
(3) 放送波に多重化されて形成されるデータチャネル
【0075】
また、本実施形態では、「CS識別子」の引き渡しを行う送信機(通信モジュール)は、例えば、無用なチャネルやセグメントにおける緊急情報の送信の規制、応答性の低下の回避、「送信機10-1〜10-3を介してワンセグ放送の活用を図る者や地域の間」における独自性や秘匿性の確保が要求される場合には、以下の何れに基づいて特定されあるいは区分されてもよい。
【0076】
(1) IPアドレス等の通信アドレス
(2) MACアドレス等の物理アドレス
(3) 網へのアクセス権の制限を実現する認証技術
(4) マルチキャストあるいはポーリングによる引き渡し先の制限
【0077】
さらに、本実施形態では、緊急放送チャネルを介して複数の送信機10-1〜10-3が並行して緊急情報を放送することに起因する混信や妨害は、既述の無線ゾーン10Z-Cと、地理的に隣接する他の放送局の無線ゾーンとがオーパラップする地域までの放送波の伝搬所要時間の差がガードインターバル(≒126μ秒)以下に設定されることによって、回避されてもよい。
【0078】
また、本実施形態では、送信装置10-Cに備えられた制御部13-Cは、既述のCSテーブル13CST-Cの各レコード(チャネルA〜Cの何れかと、所望のセグメントとの組み合わせに対応する。)を参照することにより、「通常放送チャネル」および「緊急放送チャネル」を識別している。
【0079】
しかし、このようなCSテーブル13CST-Cの構成は、以下に列記するように、送信装置10-C以外の送信装置10-C′から通知される「CS識別子」、あるいはその「CS識別子」に代えて通知される情報の構成および内容に適した如何なるものであってもよい。
【0080】
(1) 送信装置10-C′が「通常放送チャネル」として用いるセグメントと、そのセグメントが形成されるチャネルとの組み合わせが1つのみであり、かつこのような組み合わせのみが通知される場合には、これらのチャネルおよびセグメントの識別子のみを蓄積する一次元のテーブルとして構成されてもよい。
【0081】
(2) 送信装置10-C′が「通常放送チャネル」として用いるセグメントと、そのセグメントが形成されるチャネルとの組み合わせが、送信装置10-Cにおけるただ1つの「緊急放送チャネル」に該当する場合には、単なる記憶領域として構成されてもよい。なお、このような記憶領域は、制御部13-Cと送信部11-Cとの何れに配置されてもよい。
【0082】
さらに、本実施形態では、「CS情報」の引き渡しは、送信機10-1〜10-3の間で直接相互に行われている。
【0083】
しかし、このような「CS情報」は、例えば、送信機10-1〜10-3から引き渡された「CS情報」を一旦収集して蓄積するデータベースやサーバによって、所定のきっかけで(例えば、送信機から与えられる要求に応じて)これらの送信機10-1〜10-3に配信されてもよい。
【0084】
また、本発明の構成は、図1に示す構成に限定されず、隣接する無線ゾーンの全ての「通常放送チャネル」が「緊急情報」の放送にも適用されるならば、送信機10-1〜10-3の構成と、これらの送信機10-1〜10-3の間における機能分散および負荷分散の形態とは、如何なるものであってもよい。
【0085】
さらに、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の範囲において多様な実施形態の構成が可能であり、構成要素の全てまたは一部に如何なる改良が施されてもよい。
【0086】
以下、本願に開示された発明を整理し、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段」の欄の記載に準じた様式により列記する。
【0087】
[請求項7] 請求項2に記載の送信装置において、
前記通信手段は、
前記他の送信装置と共にアドホックマルチホップ通信網の通信ノードまたは通信端末として機能し、前記アドホックマルチホップ通信網を介して前記他の送信装置に前記送信装置の稼働の形態または状態を引き渡す。
ことを特徴とする送信装置。
【0088】
このような構成の送信装置では、前記通信手段は、前記他の送信装置と共にアドホックマルチホップ通信網の通信ノードまたは通信端末として機能し、前記アドホックマルチホップ通信網を介して前記他の送信装置に前記送信装置の稼働の形態または状態を引き渡す。
【0089】
すなわち、本発明に係る送信装置から他の送信装置に対する稼働の形態または状態の引き渡しは、多数のトラヒックが集中する可能性がある基幹伝送路等や大規模の設備が介在することなくエンドツーエンドで実現される。
【0090】
したがって、本発明に係る送信装置および他の送信装置は、設置、増設、移設および撤去に対する迅速かつ柔軟な適応が可能となる。
【0091】
[請求項8] 請求項2に記載の送信装置において、
前記通信手段は、
前記他の送信装置と共にデータ通信網の通信ノードまたは通信端末として機能し、前記データ通信網を介して前記他の送信装置に前記送信装置の稼働の形態または状態を引き渡す
ことを特徴とする送信装置。
【0092】
このような構成の送信装置では、前記通信手段は、前記他の送信装置と共にデータ通信網の通信ノードまたは通信端末として機能し、前記データ通信網を介して前記他の送信装置に前記送信装置の稼働の形態または状態を引き渡す。
【0093】
すなわち、本発明に係る送信装置から他の送信装置に対する稼働の形態または状態の引き渡しは、インタネットその他の多様なデータ通信網を介して実現される。
【0094】
したがって、送信装置および他の送信装置は、これらによって個別に形成される無線ゾーンの地理的な配置および距離の如何にかかわらずコストが大幅に増加することなく、連係することが可能となる。
【0095】
[請求項9] 請求項2、7、8の何れか1項に記載の送信装置において、
前記通信手段は、
通信アドレス、通信手順、認証の何れかに基づいて前記他の送信装置を特定し、前記特定された送信装置に限定して前記送信装置の稼働の形態または状態を引き渡す
ことを特徴とする送信装置。
【0096】
このような構成の送信装置では、前記通信手段は、通信アドレス、通信手順、認証の何れかに基づいて前記他の送信装置を特定し、前記特定された送信装置に限定して前記送信装置の稼働の形態または状態を引き渡す。
【0097】
すなわち、上述した稼働の形態や状態の引き渡し先となるべき送信装置は、その稼働の形態や状態に基づく連係が可能である送信装置、または本発明に係る送信装置との連係が可能である送信装置、もしくは許容される送信装置に限定される。
【0098】
したがって、このような連係ができない、あるいは許容されるべきではない送信装置に対する本発明に係る送信装置の稼働の形態や状態の無用な引き渡し(転送)と、このような無用な引き渡し(転送)に起因する応答性の低下とが回避され、しかも、個々の送信装置の運用者の間と、これらの送信装置が設置される地域の間とにおける独自性や秘匿性が担保される。
【0099】
[請求項10] 請求項3に記載の送信装置において、
前記通信手段は、
通信アドレス、通信手順、認証の何れかに基づいて前記データベースまたは前記サーバを特定し、前記特定されたデータベースまたはサーバに限定して前記稼働の形態または状態を引き渡す
ことを特徴とする送信装置。
【0100】
このような構成の送信装置では、前記通信手段は、通信アドレス、通信手順、認証の何れかに基づいて前記データベースまたは前記サーバを特定し、前記特定されたデータベースまたはサーバに限定して前記稼働の形態または状態を引き渡す。
【0101】
すなわち、本発明に係る送信装置と他の送信装置との間における稼働の形態や状態の引き渡し先の過程で介在するデータベースまたはサーバは、これらの送信装置および他の送信装置との連係が可能であり、もしくは許容されるデータベースまたはサーバに限定される。
【0102】
したがって、このような連係ができない、あるいは許容されるべきではないデータベースまたはサーバに対する本発明に係る送信装置の稼働の形態や状態の無用な引き渡し(転送)と、このような無用な引き渡し(転送)に起因する応答性の低下とが回避され、しかも、個々の送信装置の運用者の間と、これらの送信装置が設置される地域の間とにおける独自性や秘匿性が担保される。
【0103】
[請求項11] 請求項2ないし請求項10の何れか1項に規制の送信装置において、
前記送信装置の稼働の形態または状態は、
前記放送波が送信されるべきチャネルの識別子である
ことを特徴とする送信装置。
【0104】
このような構成の送信装置では、前記送信装置の稼働の形態または状態は、前記放送波が送信されるべきチャネルの識別子である。
【0105】
すなわち、他の送信装置は、本来的には放送波を送信することがなくても本発明に係る送信装置よって放送波が送信され得るチャネルを識別し、そのチャネルに対する何らかの振る舞いとして、稼働の形態または状態への反映を図ることが可能となる。
【0106】
したがって、本発明に係る送信装置は、その送信装置によって形成される無線ゾーンとの代替、兼用、併合等による無線ゾーンの形成を可能とするきっかけや前提を他の送信装置に与えることができる。
【0107】
[請求項12] 請求項4に記載の送信装置において、
前記通信手段は、
前記他の送信装置を通信ノードまたは通信端末として有するアドホックマルチホップ通信網を介して前記他の送信装置の稼働の形態または状態を取得する
ことを特徴とする送信装置。
【0108】
このような構成の送信装置では、前記通信手段は、前記他の送信装置を通信ノードまたは通信端末として有するアドホックマルチホップ通信網を介して前記他の送信装置の稼働の形態または状態を取得する。
【0109】
すなわち、他の送信装置から本発明に係る送信装置に対する稼働の形態または状態の引き渡しは、多数のトラヒックが集中する可能性がある基幹伝送路等や大規模の設備が介在することなくエンドツーエンドで実現される。
【0110】
したがって、本発明に係る送信装置および他の送信装置は、設置、増設、移設および撤去に対する迅速かつ柔軟な適応が可能となる。
【0111】
[請求項13] 請求項4に記載の送信装置において、
前記通信手段は、
他の送信装置を通信ノードまたは通信端末として有するデータ通信網を介して前記他の送信装置の稼働の形態または状態を取得する
ことを特徴とする送信装置。
【0112】
このような構成の送信装置では、前記通信手段は、他の送信装置を通信ノードまたは通信端末として有するデータ通信網を介して前記他の送信装置の稼働の形態または状態を取得する。
【0113】
すなわち、他の送信装置から本発明に係る送信装置に対する稼働の形態または状態の引き渡しは、インタネットその他の多様なデータ通信網を介して実現される。
【0114】
したがって、送信装置および他の送信装置は、これらによって個別に形成される無線ゾーンの地理的な配置および距離の如何にかかわらずコストが大幅に増加することなく、上記稼働の形態または状態に基づいて連係することが可能となる。
【0115】
[請求項14] 請求項4、12、13の何れか1項に記載の送信装置において、
前記通信手段は、
通信アドレス、通信手順、認証の何れかに基づいて前記他の送信装置を特定し、前記特定された他の送信装置の稼働の形態または状態を取得する
を備えたことを特徴とする送信装置。
【0116】
このような構成の送信装置では、前記通信手段は、通信アドレス、通信手順、認証の何れかに基づいて前記他の送信装置を特定し、前記特定された他の送信装置の稼働の形態または状態を取得する。
【0117】
すなわち、本発明に係る送信装置の稼働の形態や状態に反映されるべき稼働の形態や状態を引き渡す他の送信装置は、本発明に係る送信装置との連係が可能である送信装置、もしくは許容される送信装置に限定される。
【0118】
したがって、このような連係ができない、あるいは許容されるべきではない送信装置による本発明に係る送信装置への稼働の形態や状態の無用な引き渡し(転送)と、このような無用な引き渡し(転送)に起因する応答性の低下とが回避され、しかも、個々の送信装置の運用者の間と、これらの送信装置が設置される地域の間とにおける独自性や秘匿性が担保される。
【0119】
[請求項15] 請求項5に記載の送信装置において、
前記通信手段は、
通信アドレス、通信手順、認証の何れかに基づいて前記データベースまたはサーバを特定し、前記特定されたデータベースもしくはサーバから前記他の送信装置の稼働の形態または状態を取得する
ことを特徴とする送信装置。
【0120】
このような構成の送信装置では、前記通信手段は、通信アドレス、通信手順、認証の何れかに基づいて前記データベースまたはサーバを特定し、前記特定されたデータベースもしくはサーバから前記他の送信装置の稼働の形態または状態を取得する。
【0121】
すなわち、本発明に係る送信装置と他の送信装置との間における稼働の形態や状態の引き渡し先の過程で介在するデータベースまたはサーバは、これらの送信装置および他の送信装置との連係が可能であり、もしくは許容されるデータベースまたはサーバに限定される。
【0122】
したがって、このような連係ができない、あるいは許容されるべきではないデータベースまたはサーバに対する既述の稼働の形態や状態の無用な引き渡し(転送)と、このような無用な引き渡し(転送)に起因する応答性の低下とが回避され、しかも、個々の送信装置の運用者の間と、これらの送信装置が設置される地域の間とにおける独自性や秘匿性が担保される。
【0123】
[請求項16] 請求項4、5、12、13、14、15の何れか1項に記載の送信装置において、
前記他の送信装置の稼働の形態または状態は、
前記他の送信装置によって前記放送波の送信が行われるべきチャネルの識別子であり、
前記制御手段は、
前記送信装置が前記放送波の送信が行われるべきチャネルに、前記識別子で示されるチャネルを加える
ことを特徴とする送信装置。
【0124】
このような構成の送信装置では、前記他の送信装置の稼働の形態または状態は、前記他の送信装置によって前記放送波の送信が行われるべきチャネルの識別子である。前記制御手段は、前記送信装置が前記放送波の送信が行われるべきチャネルに、前記識別子で示されるチャネルを加える。
【0125】
すなわち、本発明に係る送信装置は、他の送信装置によって放送波が送信されるが、本来的には放送波を送信することがないチャネルに対しても、放送波を送信する。
【0126】
したがって、本発明に係る送信装置は、その送信装置によって形成される無線ゾーンに重なる無線ゾーンを新たに形成することにより、他の送信装置によって形成される無線ゾーンを地理的に拡大することができる。
【0127】
[請求項17] 請求項16に記載の送信装置において、
前記制御手段は、
前記送信装置によって特定の放送波の送信が行われるべき特定のイベントに応じて、前記特定の放送波の送信が行われるべきチャネルに、前記識別子で示されるチャネルを加える
ことを特徴とする送信装置。
【0128】
このような構成の送信装置では、前記制御手段は、前記送信装置によって特定の放送波の送信が行われるべき特定のイベントに応じて、前記特定の放送波の送信が行われるべきチャネルに、前記識別子で示されるチャネルを加える。
【0129】
すなわち、「本発明に係る送信装置によって形成される無線ゾーンに重なる無線ゾーン」を新たに形成することによる「他の送信装置によって形成される無線ゾーン」の地理的な拡大は、上記特定のイベントをきっかけとして図られる。
したがって、多様なイベントに応じた無線ゾーンの柔軟な拡大が可能となる。
【0130】
[請求項18] 請求項16または請求項17に記載の送信装置において、
前記送信装置によって行われる前記送信の対象となるチャネルと、前記識別子で示されるチャネルとに送信される放送波で示されるコンテンツは、
同報伝送されるべき情報である
ことを特徴とする送信装置。
【0131】
このような構成の送信装置では、前記送信装置によって行われる前記送信の対象となるチャネルと、前記識別子で示されるチャネルとに送信される放送波で示されるコンテンツは、同報伝送されるべき情報である。
【0132】
すなわち、本発明に係る送信装置によって本来的に形成される第一の無線ゾーンには、他の無線ゾーンによって形成される第二の無線ゾーンを実質的に拡大する無線ゾーンが形成され、これらの無線ゾーンの何れでも、上記コンテンツが同報伝送される。
【0133】
したがって、第二の無線ゾーンの領域に位置していた受信機は、第一の無線ゾーンの領域に移動した後においても、ユーザに特別な操作が強いられることなく、上記コンテンツを継続して視聴することができる。
【0134】
[請求項19] 請求項6に記載のデータベースにおいて、
前記問い合わせの受信と、前記応答の送信とは、
前記送信装置と異なる他の送信装置と、前記送信装置とが通信ノードまたは通信端末として設置されたアドホックマルチホップ通信網、またはデータ通信網を介して行われる
ことを特徴とするデータベース。
【0135】
このような構成のデータベースでは、前記問い合わせの受信と、前記応答の送信とは、前記送信装置と異なる他の送信装置と、前記送信装置とが通信ノードまたは通信端末として設置されたアドホックマルチホップ通信網、またはデータ通信網を介して行われる。
【0136】
すなわち、本発明に係るデータベースは、上記送信装置および他の送信装置と共に、通信ノードまたは通信端末としてアドホックマルチホップ通信網に組み込まれる。
【0137】
したがって、既述の問い合わせの受信と応答の送信とは、何れも、多数のトラヒックが集中する可能性がある基幹伝送路等や大規模の設備が介在することなくエンドツーエンドで実現され、上記送信装置および他の送信装置だけではなく、本発明に係るデータベースの設置、増設、移設および撤去に対する迅速かつ柔軟な適応が可能となる。
【0138】
[請求項20] 請求項6または請求項19に記載のデータベースにおいて、
前記記憶手段に蓄積された稼働の形態または状態は、
前記問い合わせを発した送信装置と異なる他の送信装置によって前記放送波が送信されるべきチャネルの識別子である
ことを特徴とするデータベース。
【0139】
このような構成のデータベースでは、前記記憶手段に蓄積された稼働の形態または状態は、前記問い合わせを発した送信装置と異なる他の送信装置によって前記放送波が送信されるべきチャネルの識別子である。
【0140】
すなわち、問い合わせを発した送信装置は、本来的には放送波が送信されることがなくても、他の送信装置よって放送波が送信されるべきチャネルを識別し、そのチャネルに対する何らかの振る舞いとして、稼働の形態または状態への反映を図ることが可能となる。
【0141】
したがって、本発明に係るデータベースは、上記問い合わせを発した送信装置に対して、他の送信装置によって形成される無線ゾーンとの代替、兼用、併合等を可能とする無線ゾーンの形成に必要なきっかけや前提を与えることができる。
【符号の説明】
【0142】
10,51 送信機
10Z,51Z 無線ゾーン
11 送信部
12 通信モジュール
13 制御部
13CST チャネルセグメントテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送波の送信を行う個々の送信装置が他の送信装置の稼働の形態または状態を識別し、前記個々の送信装置の稼働の形態または状態に対する前記他の送信装置の稼働の形態または状態の反映を図る
ことを特徴とする連係放送方式。
【請求項2】
放送波の送信を行う送信装置であって、
前記送信装置の稼働の形態または状態を識別する識別手段と、
前記稼働の形態または状態を前記送信装置と異なる他の送信装置に引き渡す通信手段と
を備えたことを特徴とする送信装置。
【請求項3】
放送波の送信を行う送信装置であって、
前記送信装置の稼働の形態または状態を識別する識別手段と、
前記送信装置と異なる他の送信装置および前記送信装置によって個別に引き渡された稼働の形態もしくは状態を蓄積するデータベースまたはサーバに、前記送信装置の稼働の形態または状態を引き渡す通信装置と
を備えたことを特徴とする送信装置。
【請求項4】
放送波の送信を行う送信装置であって、
前記送信装置と異なる他の送信装置から前記他の送信装置の稼働の形態または状態を取得する通信手段と、
前記他の送信装置の稼働の形態または状態を前記送信装置の稼働の形態または状態に反映させる制御手段と
を備えたことを特徴とする送信装置。
【請求項5】
放送波の送信を行う送信装置であって、
前記送信装置と異なる他の送信装置および前記送信装置によって個別に引き渡された稼働の形態もしくは状態が蓄積されたデータベースまたはサーバから前記他の送信装置の稼働の形態または状態を取得する通信手段と、
前記他の送信装置の稼働の形態または状態を前記送信装置の稼働の形態または状態に反映させる制御手段と
を備えたことを特徴とする送信装置。
【請求項6】
放送波の送信を行う送信装置によって引き渡された前記送信装置の稼働の形態もしくは状態を蓄積する記憶手段と、
前記送信装置と異なる他の送信装置、または前記送信装置によって行われた問い合わせに応じて、前記記憶手段に蓄積された個々の送信装置の稼働の形態もしくは状態を応答として返す応答手段と
を備えたことを特徴とするデータベース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−223516(P2011−223516A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93259(P2010−93259)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】