説明

連接接地工事設計支援システム

【課題】 本発明は、連接接地工事の設計の利便性を高めることができる連接接地工事設計支援システムを提供することを課題とする。
【解決手段】 接地抵抗値を算出するために必要な条件を入力する入力手段2と、各電柱を識別する電柱識別情報、各電柱が設置された位置に関する電柱位置情報、及び、各電柱に設置される接地極の接地抵抗値を記憶する記憶部5、並びに、合成接地抵抗値を算出する演算部6が設けられた制御手段4と、算出された接地抵抗値を表示可能な表示手段3とを備え、演算部6は、工事対象電柱から所定の距離範囲内にある電柱識別情報を抽出するとともに、工事対象電柱に設置された接地極と連接接地されていない接地極が設けられる電柱に関する情報を抽出する情報抽出部63を備え、入力手段2は、抽出された電柱に関する情報を選択可能な情報選択部24を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接地が必要な電気設備の接地抵抗値を所定の規定値以下に抑えるために、該電気設備を設置する工事対象電柱に設けられた接地極と他の電柱に設けられた接地極とを連接接地する連接接地工事の設計支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電柱は、変圧器や避雷器などの様々な電気設備を柱上に備えることができるように設置されている。そのため、電柱には、周辺の地中に埋設され導電性を有する接地極と、電気設備に接地極を電気的に接続するための接地線とが設けられている。これらの設備は、電気設備による感電や漏電事故等を防止するために、電気設備を接地線を介して接地極に接続して接地(アース)するために設けられる。電気設備は、接地する際、その種類に応じて確保しなければならない接地抵抗の規定値が法律によって定められており、その規定値以下を確保することができるように選択して接地極に接続される。
【0003】
接地工事の施工方式(接地方式)には、例えば、ハンマー等で比較的簡単に打ち込む連結式や、比較的硬い地盤に専用工具を用いて深く打ち込む深打ち式、下層に岩盤等を有する地盤に専用工具を用いて浅く打ち込む浅打ち式、電柱用の孔の底部に接地板を設置する接地板式、その他特殊深打ち式等があり、接地極を打ち込む地盤の種類(地目)や費用等を考慮して、適宜選択される。
【0004】
また、他の接地工事の施工方式として、接地極の接地抵抗が経年変化で規定値を確保することができなくなった場合に、新たに接地工事を施工するのではなく、電気設備を設置する工事対象電柱に設けられた接地極と他の電柱に設けられた既存の接地極とを連接接地して接地抵抗値を下げる連接接地式もある。この連接接地式の接地工事は、電気設備を設置する電柱の周辺にこのような接地工事を施工することが困難な場合などにも選択される。また、この連接接地式の接地工事は、他の接地工事と比較して工事にかかる費用を低く抑えることができるため、他の接地工事よりも優先して実施されている。
【0005】
この連接接地式の接地工事(以下、単に「連接接地工事」と称する)は、電気設備の接地抵抗値が不足している接地極の周辺に連接接地することができる接地極があり、該接地極と連接接地することで接地抵抗値が規定値を確保することができる場合に実施される。
【0006】
本出願人は、接地抵抗の規定値を確保することができる接地極を自動で選出することでこの連接接地工事を支援する接地極管理サーバを提案している(特許文献1参照)。該接地極管理サーバは、各電柱について、識別情報と共に接地極の接地抵抗値と位置情報とを対応付けて記憶する電柱データベースと、電気設備の種類毎に定められた接地抵抗の規定値を記憶する機器データベースと、新たに電柱に設置される電気設備の種類を示す情報と該電気設備を設置する工事対象電柱の識別情報とをユーザ端末から受信する接地極選出要求受信部と、工事対象電柱に設置する電気設備の接地抵抗の規定値と他の電柱に設けられた接地極の接地抵抗値とを比較する抵抗比較部と、該抵抗比較部の比較結果に基づき接地抵抗の規定値を満たす他の接地極を選出する接地極選出部と、選出された他の接地極が設置される電柱の識別情報をユーザ端末に送信する選出結果送信部とを備える。
【0007】
接地極選出部は、抵抗比較部の比較の結果、工事対象電柱に設けられた接地極の接地抵抗値が規定値を満たす場合、その接地極を選出する。一方、接地極選出部は、工事対象電柱に設けられた接地極の接地抵抗値が規定値を満たさない場合、工事対象電柱の最寄りの他の電柱を検索し、工事対象電柱に設けられた接地極の接地抵抗値と最寄りの他の電柱に設けられた接地極の接地抵抗値とを合成した合成接地抵抗値を算出する。抵抗比較部により、この合成接地抵抗値が規定値を満たす場合、接地極選出部は、工事対象電柱に設けられた接地極と最寄りの他の電柱に設けられた接地極を選出する。合成接地抵抗値が規定値を満たさない場合、次に近い他の電柱を検索し、該他の電柱に設けられた接地極の接地抵抗値との合成接地抵抗値が規定値を満たすまで繰り返す。このようにして、接地極管理サーバは、新たに設置する電気設備の接地抵抗の規定値を満足するために連接接地する必要のある接地極を選出することにより連接接地工事の設計を支援する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−176957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、実際に連接接地工事を施工するためには、選出された接地極の状況に応じて、工事対象電柱に設けられた接地極と連接接地することができるか否かを確認しなければならない。例えば、工事対象電柱に設けられた接地極と連接接地する接地極とを接続する架空共同地線が通過する場所の地権者との上空利用の交渉などである。この交渉によっては、工事対象電柱の最寄りの接地極より他の接地極を選択した方が容易に連接接地工事を施工できる場合もある。そこで、このような実施状況に応じて対応できるように、更に利便性が向上した接地極管理サーバが求められていた。
【0010】
よって、本発明は、かかる事情に鑑み、連接接地工事の設計の利便性を高めることができる連接接地工事設計支援システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る連接接地工事設計支援システムは、接地が必要な電気設備の接地抵抗値を所定の規定値以下にするために、該電気設備を設置する工事対象電柱に設けられた接地極と他の電柱に設けられた接地極とを連接接地する連接接地工事を設計するために用いられ、接地抵抗値を算出するために必要な条件を入力する入力手段と、接地極を電柱で特定するために各電柱を識別する電柱識別情報、各電柱が設置された位置に関する電柱位置情報、及び、各電柱に設置される接地極の接地抵抗値を記憶する記憶部、並びに、工事対象電柱に設けられる接地極の接地抵抗値と他の電柱に設けられる接地極の接地抵抗値とを合成した合成接地抵抗値を算出する演算部が設けられた制御手段と、算出された接地抵抗値を表示可能な表示手段とを備える連接接地工事設計支援システムであって、演算部は、記憶部に記憶された電柱位置情報に基づき、工事対象電柱から所定の距離範囲内にある電柱識別情報を抽出するとともに、工事対象電柱に設置された接地極と連接接地されていない接地極が設けられる電柱に関する情報を抽出する情報抽出部と、工事対象電柱に設置された接地極の接地抵抗値と連接接地する接地極の接地抵抗値とから合成接地抵抗値を算出する算出部とを備え、入力手段は、情報抽出部によって抽出された電柱に関する情報から工事対象電柱に設けられた接地極に連接接地する接地極を選択するために、抽出された電柱に関する情報を選択可能な情報選択部を備え、算出部は、情報抽出部により抽出された電柱に関する情報に対応する電柱に設けられた接地極のうち、情報選択部により選択された接地極の接地抵抗値と工事対象電柱に設けられる接地極の接地抵抗値との合成接地抵抗値を算出することを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、工事対象電柱に設置する電気設備の接地抵抗の規定値を満足させるために、記憶部に記憶された電柱位置情報に基づき、工事対象電柱から所定の距離範囲内にある電柱識別情報を抽出するとともに、工事対象電柱に設置された接地極と連接接地されていない接地極が設けられる電柱に関する情報を抽出して、表示手段に表示する。情報選択部は、表示手段に表示された電柱に関する情報から工事対象電柱に設けられた接地極に連接接地する接地極を選択できるようになっている。算出部は、情報抽出部により抽出された電柱に関する情報に対応する電柱に設けられた接地極のうち情報選択部により選択された接地極の接地抵抗値と工事対象電柱に設けられる接地極の接地抵抗値との合成接地抵抗値を算出する。よって、操作者は、情報抽出部により抽出された接地極の状況を応じて、工事対象電柱に設けられた接地極と連接接地することができるか否かを確認しながら、連接接地する接地極を選択することができ、連接接地工事の設計の利便性を高めることができる。
【0013】
本発明によれば、記憶部は、同一の接地極に連接接地されている他の接地極が設けられた電柱の電柱識別情報を識別可能な連接接地識別情報が記憶され、該連接接地識別情報は、それぞれの接地極が設けられた電柱の電柱識別情報に関連付けて記憶されていることが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、情報抽出部は、工事対象電柱に設置された接地極と連接接地されていない接地極を抽出する際に、工事対象電柱から所定の距離範囲内にある電柱識別情報の中から、工事対象電柱に対応する電柱識別情報に関連付けられた連接接地識別情報と一致する連接接地識別情報と関連付けられた電柱識別情報を省くことにより抽出することができる。
【0015】
本発明によれば、記憶部は、電柱識別情報に対応する電柱に設置される電気設備に関する設備情報が記憶され、該設備情報は、それぞれの電気設備が設置される電柱の電柱識別情報に関連付けて記憶され、情報選択部は、電柱識別情報と設備情報との組み合わせにより連接接地する接地極を選択可能であることが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、1基の電柱に対して複数の電気設備が設置され、それぞれの電気設備に独立して接地極が接続される場合、すなわち、1基の電柱に対して複数の独立した接地極が設けられる場合であっても、電柱識別情報と設備情報との組み合わせにより、それぞれの接地極を識別することができる。なお、設備情報は、既に電柱に設置されている電気設備に関する情報に限定されず、将来設置される予定の電気設備に関する情報も含むものとする。
【0017】
本発明によれば、表示手段は、情報抽出部が抽出した電柱に関する情報を一覧表示可能な一覧表示部を備え、情報選択部は、一覧表示部に一覧表示された電柱に関する情報のそれぞれに対応した一覧選択部を備え、電柱に関する情報に対応した一覧選択部を選択することにより、当該電柱に関する情報に対応する電柱識別情報を選択可能であることが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、一覧選択部は、情報抽出部により抽出された電柱に関する情報を一覧表示部に一覧表示された電柱に関する情報に対応して配置されていることから、容易に連接接地する接地極を選択することができる。
【0019】
本発明によれば、記憶部は、当該記憶部に記憶された電柱位置情報に対応する範囲を有する地図情報が記憶され、表示手段は、記憶部に記憶された地図情報に基づいて地図を表示するとともに、情報抽出部が抽出した電柱に関する情報を該電柱に関する情報に対応する電柱識別情報に関連付けられた電柱位置情報に基づいて地図上に重ね合わせて表示する地図表示部を備え、情報選択部は、地図表示部に表示された電柱に関する情報のそれぞれに対応した地図選択部を備え、電柱に関する情報に対応した地図選択部を選択することにより、当該電柱に関する情報に対応する電柱識別情報を選択可能であることが好ましい。
【0020】
かかる構成によれば、地図選択部は、地図表示部に表示された地図上の電柱に関する情報に対応して配置されていることから、工事対象電柱との位置関係を確認しながら選択することができ、容易に連接接地する接地極を選択することができる。
【0021】
本発明によれば、入力手段は、連接接地する接地極を抽出する抽出距離を入力可能な条件入力部を備えることが好ましい。
【0022】
かかる構成によれば、工事対象電柱や連接接地工事をする際の制約等に合わせて、適宜、接地極を抽出する範囲を変更することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上の如く、本発明に係る連接接地工事設計支援システムによれば、工事対象電柱に設置する電気設備の接地抵抗の規定値を満足させるために、連接接地する対象となりえる他の電柱に設けられた接地極を抽出するとともに、抽出された接地極の中から選択した接地極との合成接地抵抗値を算出することにより連接接地工事の設計の利便性を高めることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る連接接地工事設計支援システムを利用する連接接地工事を説明する模式図を示す。
【図2】同実施形態に係る連接接地工事設計支援システムの構成を説明するブロック図を示す。
【図3】同実施形態に係る連接接地工事設計支援システムのメイン表示画面の外観図を示す。
【図4】同実施形態に係る連接接地工事設計支援システムのサブ表示画面の外観図を示す。
【図5】同実施形態に係る連接接地工事設計支援システムの各種データベースのデータ構造であって、(a)は、電柱データベースのデータ構造を示し、(b)は、設備情報データベースのデータ構造を示し、(c)工事情報データベースのデータ構造を示し、(d)は、連接接地情報データベースのデータ構造を示し、(e)は、地図情報データベースのデータ構造を示す。
【図6】同実施形態に係る連接接地工事設計支援システムの各種データベースのデータ構造であって、(a)は、演算用メモリのデータ構造を示し、(b)は、抽出結果用メモリのデータ構造を示し、(c)は、選択用メモリのデータ構造を示し、(d)は、算出用メモリのデータ構造を示す。
【図7】同実施形態に係る連接接地工事設計支援システムの連接接地工事の設計支援制御のフローチャートを示す。
【図8】同実施形態に係る連接接地工事設計支援システムの連接接地工事の設計支援制御のフローチャートを示す。
【図9】同実施形態に係る連接接地工事設計支援システムの連接接地工事の設計支援制御のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態に係る連接接地工事設計支援システムについて、図面を参照しつつ説明する。まず始めに、本連接接地工事設計支援システムを利用する連接接地工事について、図1を参照しつつ説明する。電柱100には、高圧電気を低圧電気に変成する電気設備としての変圧器101が設置されている。変圧器101の低電圧側には、接地線102が接続される。接地線102は、電柱100に沿って下方へと延びている。その接地線102の先端には、接地極103が設けられ、接地極103は、電柱100,100,…の周辺の地中に埋設されている。接地極103は、その接地抵抗値が所定の規定値以下となるように、地盤の地質等に応じて1本または複数本が埋設されている。
【0026】
この電柱100の周辺に接地極103,103を埋設するだけでは、この変圧器101の接地抵抗の規定値を満たすことができない場合に連接接地工事が施工される。具体的には、連接接地工事は、この変圧器101を設置する電柱(工事対象電柱)100aの接地極103,103に、隣接する電柱100,100の周辺の地中に埋設された接地極103,103を並列に接続することにより連接接地する工事である。他の電柱100,100に設けられた接地極103,103に連接接地することにより、変圧器101の接地抵抗値は、工事対象電柱100aに設けられた接地極103,103の接地抵抗値と隣接する電柱100,100に設けられた接地極103,103の接地抵抗値とが合成された合成接地抵抗値として算出することができ、接地抵抗値を下げることができる。
【0027】
工事対象電柱100aに設けられた接地極103,103と隣接する電柱100,100に設けられた接地極103,103とは、架空共同地線104(又は架空接地線)を低圧架空電線と同様に施工して連接接地される。また、架空共同地線104を施工する代わりに、低圧架空電線の接地側電線を架空共同地線として兼用することもできる。
【0028】
次に、同実施形態に係る連接接地工事設計支援システムの構成について、図2を参照しつつ説明する。同実施形態に係る連接接地工事設計支援システム1は、接地抵抗値を算出するために必要な条件を入力する入力手段2と、算出された接地抵抗値を表示可能な表示手段3と、接地極を電柱で特定するために電柱を識別する電柱識別情報、電柱が設置された位置に関する電柱位置情報、及び、電柱に設置される接地極の接地抵抗値を記憶する記憶部5、並びに、工事対象電柱に設けられる接地極の接地抵抗と他の電柱に設けられる接地極の接地抵抗とを合成した合成接地抵抗値を演算する演算部6が設けられた制御手段4とを備える。
【0029】
入力手段2は、制御手段4の記憶部5に連接接地工事の設計のために必要な情報を入力する情報入力部21と、工事対象電柱に設けられる接地極に連接接地し得る接地極が設けられた電柱に関する情報を抽出するための抽出条件を入力する条件入力部22と、連接接地し得る接地極が設けられた電柱に関する情報の抽出を制御手段4の演算部6に実行させる抽出実行部23(図3も参照)と、演算部6に抽出させた電柱に関する情報から工事対象電柱に設けられる接地極に連接接地する接地極が設けられた電柱に関する情報を選択する情報選択部24と、該情報選択部24によって選択された電柱に関する情報に対応する接地極と工事対象電柱に設けられた接地極との合成接地抵抗値の算出を演算部6に実行させる算出実行部25(図3も参照)とを備える。
【0030】
情報入力部21は、電柱識別情報である「電柱識別ID」、該電柱識別IDに対応する「電柱の名称」、電柱位置情報である「緯度・経度」及び「所在地」、電柱の柱上に設置する電気設備の種類を示す「設備情報」、電気設備ごとに定められた「接地抵抗の規定値」、電気設備の種類ごとに定められる「接地種別」、電気設備の接地方法を示す「接地方法」、電柱識別情報に対応する電柱に設けられた接地極の「接地抵抗の測定値」、当該接地極の接地抵抗を測定した「測定年」、当該接地極の「接地工法」、同一の接地極に連接接地されている他の接地極が設けられた電柱の電柱識別情報を識別可能な連接接地識別情報である「連接接地グループ番号」、電柱位置情報に対応する範囲を有する「地図情報」が入力される入力部である。
【0031】
電柱識別IDは、地域コードAと、番号コードBとにより構成されている。地域コードAは、特定範囲の地域を示すコード番号である。番号コードBは、地域コードAの範囲内にある電柱のコード番号である。このような構成により、電柱識別IDからただちに地域を判別することができる。ただし、電柱識別IDの構成は、上記に限定されず、番号と地域とを関連付けたデータベースを参照して地域を判別する構成としてもよい。
【0032】
設備情報は、具体的には、柱上変圧器や避雷器などを識別する情報である。接地種別は、省令により定められたA種〜D種までの種別である。接地方法は、電気設備の接地の方法であり、具体的には、同じ電柱に設置される他の電気設備に設けられる接地極と独立して設けられた接地極に接地する「単独」、他の電気設備に設けられる接地極と共用して接地する「共用」、そして、連接接地する「連接」とがある。接地工法は、具体的には、「連結式」、「深打ち式」、「浅打ち式」、「接地板式」、「特殊深打ち式」などである。
【0033】
条件入力部22は、図3に示す表示画面上の表示される各入力部(ボックス)221,222,223であり、工事対象電柱に設けられた接地極に連接接地し得る接地極を抽出するために、その工事対象電柱の位置を特定するために工事対象電柱を識別するための電柱識別IDを入力する電柱識別ID入力部221と、工事対象電柱を中心として連接接地する接地極が設けられた電柱を抽出する抽出半径(抽出距離)が入力可能な抽出半径入力部222とを備える。また、条件入力部22は、工事対象電柱に設置する電気設備の接地抵抗の規定値を表示するために設備情報が入力可能な設備情報入力部223も備える。
【0034】
情報選択部24は、演算部6によって抽出された電柱に関する情報から工事対象電柱に設けられた接地極に連接接地する接地極を選択するために、抽出された電柱に関する情報を選択することができる。情報選択部24は、演算部6が抽出した電柱に関する情報を一覧表示可能な一覧表示部32に一覧表示された電柱に関する情報のそれぞれに対応して設けられた一覧選択部241と、電柱に関する情報を重ね合わせた地図を表示する地図表示部33に表示された電柱に関する情報のそれぞれに対応して設けられる地図選択部242とを備える。
【0035】
一覧選択部241は、図3に示す表示画面上に表示される各入力部(ボックス)241a,…であり、一覧表示部32に一覧表示された電柱に関する情報のそれぞれに対応して設けられる抽出選択部241a,…であり、電柱に関する情報に対応して同列上に設けられている。一覧選択部241は、各抽出選択部241a,…を選択することにより、該抽出選択部241a,…を対応させて配置した当該電柱に関する情報に対応する電柱識別情報を選択できる。一覧選択部241の各抽出選択部241a,…は、具体的には、「1」を入力することにより選択される。
【0036】
地図選択部242は、図4に示す表示画面上に表示される各入力部(アイコン)242a,…であり、地図表示部33に表示された電柱に関する情報のそれぞれに対応して設けられる抽出選択部242a,…であり、電柱に関する情報に対応して地図上に設けられている。地図選択部242の抽出選択部242a,…は、各抽出選択部242a,…を選択することにより、該抽出選択部242,…に対応させて配置した当該電柱に関する情報に対応する電柱識別情報を選択できる。地図選択部242の各抽出選択部242a,…は、具体的には、入力デバイスの一例であるマウスを地図上に表示された抽出選択部242a,…にポインタを合わせてクリック(選択)することにより選択される。
【0037】
表示手段3は、入力手段2の条件入力部22から入力された情報に基づき抽出条件を表示する条件表示部31と、演算部6が抽出した電柱に関する情報を一覧表示可能な一覧表示部32と、演算部6が抽出した電柱に関する情報を該電柱に関する情報に対応する電柱識別情報に関連付けられた電柱位置情報に基づいて地図上に重ね合わせて表示する地図表示部33と、情報選択部24によって選択された電柱に関する情報に対応する接地極と工事対象電柱に設けられた接地極との合成接地抵抗値の算出した結果を表示する結果表示部34(図3も参照)とを備える。
【0038】
条件表示部31は、図3に記載するメイン表示画面上に示すように、条件入力部22の電柱識別IDの入力に基づき演算部6にて該電柱識別IDに関連付けられた電柱位置情報を工事対象電柱の電柱位置情報として表示する電柱位置情報表示部311,312と、条件入力部22の設備情報の入力に基づき演算部6にて工事対象電柱に設置する電気設備の種類に応じて規定された接地抵抗の規定値を表示する規定値表示部313とを備える。
【0039】
一覧表示部32は、電柱に関する情報を表示可能であり、各電柱識別ID、接地種別、接地方法、接地抵抗の規定値、接地抵抗の測定値、電柱の名称、接地工法、測定年、連接接地グループ番号、電柱の位置を表示する。
【0040】
地図表示部33は、図4に記載するサブ表示画面上に示すように、地図上に電柱に関する情報を表示可能であり、電柱の位置、電柱が架設する架線(高圧送電線、低圧送電線、共同架空地線等)を表示する。
【0041】
制御手段4の記憶部5は、電柱を識別するために必要な情報を記憶する電柱情報データベース51と、電柱に設置する電気設備に関する情報を記憶する設備情報データベース52と、電柱に施工された接地工事に関する情報を記憶する工事情報データベース53と、連接接地工事に関する情報を記憶する連接接地情報データベース54と、地図情報を記憶する地図情報データベース55と、工事対象電柱に設けられる接地極に連接接地し得る接地極が設けられた電柱に関する情報を抽出するための抽出条件を記憶する演算用メモリ56と、演算部6が抽出した結果を記憶する抽出結果用メモリ57と、情報選択部24によって選択された電柱に関する情報を記憶する選択用メモリ58と、該選択用メモリ58に記憶された電柱に関する情報に対応する接地極と工事対象電柱に設けられた接地極との合成接地抵抗値を算出した結果を記憶する算出用メモリ59とを備える。
【0042】
電柱情報データベース51は、図5(a)に示すデータ構造を有しており、電柱識別IDに関連付けて、「電柱の名称」、「電柱位置情報(緯度、経度)」、及び、「電柱位置情報(所在地)」を有する。
【0043】
設備情報データベース52は、図5(b)に示すデータ構造を有しており、設備情報に関連付けて、「接地抵抗の規定値」を有する。
【0044】
工事情報データベース53は、図5(c)に示すデータ構造を有しており、電柱識別IDに関連付けて、「設備情報」、「接地種別」、「接地方法」、「接地抵抗の測定値」、「接地工法」、及び、「測定年」を有する。
【0045】
連接接地情報データベース54は、図5(d)に示すデータ構造を有しており、電柱識別IDに関連付けて、「連接接地グループ番号」を有する。
【0046】
地図情報データベース55は、図5(e)に示すデータ構造を有しており、「地図情報」を有する。
【0047】
演算用メモリ56は、図6(a)に示すデータ構造を有しており、工事対象電柱の電柱識別IDに関連付けて、「電柱位置情報(緯度、経度)」、「設備情報」、「接地抵抗の規定値」、「抽出半径」、及び、「連接接地グループ番号」を有する。
【0048】
抽出結果用メモリ57は、図6(b)に示すデータ構造を有しており、電柱識別IDに関連付けて、「接地種別」、「接地方法」、「接地抵抗の規定値」、「接地抵抗の測定値」、「電柱の名称」、「接地工法」、「測定年」、「連接接地グループ番号」、「電柱位置情報(緯度、経度)」、及び、「電柱位置情報(所在地)」を有する。
【0049】
選択用メモリ58は、図6(c)に示すデータ構造を有しており、電柱識別IDに関連付けて、「接地抵抗の測定値」を有する。
【0050】
算出用メモリ59は、図6(d)に示すデータ構造を有しており、「合成接地抵抗値」を有する。
【0051】
制御手段4の演算部6は、連接接地工事の設計のために必要な情報を情報入力部21から受け付ける情報受付部61と、工事対象電柱に設けられる接地極に連接接地し得る接地極が設けられた電柱に関する情報を抽出するための抽出条件を条件入力部22から受け入れる条件設定部62と、記憶部5に記憶された電柱位置情報に基づき、工事対象電柱から所定の距離範囲内にある電柱識別情報を抽出するとともに、工事対象電柱に設置された接地極と連接接地されていない接地極が設けられる電柱に関する情報を抽出する情報抽出部63と、該情報抽出部63が抽出した電柱に関する情報を表示手段3に表示する情報を形成する抽出結果形成部64と、情報選択部24によって選択された電柱に関する情報を受け付ける情報収集部65と、工事対象電柱に設置された接地極の接地抵抗値と連接接地する接地極の接地抵抗値とから合成接地抵抗値を算出する算出部66とを備える。
【0052】
情報受付部61は、情報入力部21から受け付けた情報を電柱情報データベース51,設備情報データベース52、工事情報データベース53、連接接地情報データベース54、地図情報データベース55に記憶させる。
【0053】
条件設定部62は、電柱情報データベース51から条件入力部22によって入力された電柱識別IDに関連付けられた電柱位置情報を取得し、該電柱位置情報を条件表示部31に表示させる。条件設定部62は、設備情報データベース52から条件入力部22によって入力された設備情報に関連付けられた電気設備の接地抵抗の規定値を取得し、該接地抵抗の規定値を条件表示部31に表示させる。条件設定部62は、条件入力部22によって入力された抽出条件を演算用メモリ56に記憶させる。また、条件設定部62は、操作者によって抽出実行部23が実行されると、抽出条件を確定させ、連接接地し得る接地極が設けられた電柱の抽出を情報抽出部63に開始させる。
【0054】
情報抽出部63は、演算用メモリ56に記録された工事対象電柱の電柱位置情報と抽出半径とに基づき工事対象電柱から所定の距離範囲内にある電柱識別IDを工事情報データベース53から抽出する第1情報抽出部631と、該第1情報抽出部631により抽出された電柱識別IDの連接接地グループ番号を連接接地情報データベース54から取得し、演算用メモリ56に記憶された工事対象電柱に設置された接地極の連接接地グループ番号と一致しない電柱識別IDを抽出する第2情報抽出部632とを備える。第2情報抽出部632は、抽出した電柱識別IDを抽出結果用メモリ56に記憶させる。
【0055】
抽出結果形成部64は、一覧表示部32に表示する電柱に関する情報を形成する一覧形成部641と、地図表示部33に表示する地図と該地図に重ね合わせる電柱に関する情報を形成する地図形成部642とを備える。
【0056】
情報収集部65は、情報選択部24の一覧選択部241若しくは地図選択部242の抽出選択部241a,…,242a,…によって、情報抽出部64により抽出された電柱に関する情報に対応する電柱に設けられた接地極のうち、情報選択部24により選択された電柱に関する情報に対応する電柱識別IDの受信を受け付けるとともに、抽出結果用メモリ57から該電柱識別IDに関連付けられた接地抵抗の測定値を取得し、選択用メモリ58に記憶する。
【0057】
算出部66は、情報選択部24により選択された接地極の接地抵抗値と工事対象電柱に設けられる接地極の接地抵抗値との合成接地抵抗値を算出し、その算出した合成接地抵抗値を算出用メモリ59に記憶するとともに、結果表示部34に表示する。
【0058】
次に、本実施形態に係る連接接地工事設計支援システムの制御について、図7〜図9に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0059】
まず、操作者は、条件入力部22(の電柱識別ID入力部221)に工事対象電柱の電柱識別IDを入力する(図7参照、S1でYES)と、条件設定部62は、条件入力部22から電柱識別IDを受け付け、演算用メモリ56に記憶するとともに、電柱情報データベース51から電柱識別IDに関連付けられた電柱位置情報を取得し、演算用メモリ56に記憶する(S2)。そして、条件設定部62は、取得した電柱位置情報を条件表示部31(の電柱位置情報表示部311,312)に表示する(S3)。
【0060】
操作者は、更に、条件入力部22(の設備情報入力部223)に工事対象電柱に設置する電気設備の種類を入力する(S4でYES)と、条件設定部62は、条件入力部22から入力された電気設備の種類を設備情報として受け付け、演算用メモリ56に記憶するとともに、設備情報データベース52から設備情報に関連付けられた接地抵抗の規定値を取得し、演算用メモリ56に記憶する(S5)。そして、条件設定部62は、取得した接地抵抗の規定値を条件表示部31(の規定値表示部313)に表示する(S6)。
【0061】
操作者は、次に、条件入力部22(の抽出半径入力部222)に連接接地し得る接地極が設けられた電柱を抽出する抽出半径を入力する(S7でYES)と、条件設定部62は、条件入力部22から入力された抽出半径を受け付け、演算用メモリ56に記憶する(S8)。その後、操作者が入力デバイスの一例であるマウスを操作して抽出実行部23をクリック(選択)する(S9でYES)と、条件設定部62は、情報抽出部63の第1情報抽出部631に制御を移し、連接接地し得る接地極の抽出を開始する(図8参照、S10)。なお、条件入力部22(の抽出半径入力部222)に抽出半径が入力される前に、抽出実行部23がクリックされた(S7でNO、S9でYES)場合、情報抽出部63の第1情報抽出部631は、予め演算用メモリ56の初期設定で設定されている初期値(ディフォルト値)である100mを用いて連接接地し得る接地極の抽出を実行する。
【0062】
第1情報抽出部631は、連接接地情報データベース54から工事対象電柱に対応する電柱識別IDに関連付けられた連接接地グループ番号を取得し、演算用メモリ56に記憶する(S11)。第1情報抽出部631は、工事情報データベース53から電柱識別IDごとに、該電柱識別IDに関連付けられた電柱位置情報を取得し(S14)、取得した電柱位置情報から電柱識別IDに対応する電柱と工事対象電柱との距離を算出し、演算用メモリ56に記憶された抽出半径以内か否かを判断する(S15)。
【0063】
第1情報抽出部631が電柱識別IDに対応する電柱が抽出半径以内であると判断する(S15でYES)と、第1情報抽出部631から第2情報抽出部632に制御を移し、第2情報抽出部632は、演算用メモリ56から工事対象電柱に対応する電柱識別IDに関連付けられた連接接地グループ番号を取得する(S16)。更に、第2情報抽出部631は、連接接地情報データベース54から抽出半径以内にあると判断した電柱識別IDに関連付けられた連接接地グループ番号を取得する(S17)。そして、第2情報抽出部632は、工事対象電柱に対応する電柱識別IDに関連付けられた連接接地グループ番号と抽出半径以内にあると判断した電柱識別IDに関連付けられた連接接地グループ番号とが一致するか否かの判断を行う(S18)。
【0064】
第2情報抽出部632が工事対象電柱に対応する電柱識別IDに関連付けられた連接接地グループ番号と抽出半径以内にあると判断した電柱識別IDに関連付けられた連接接地グループ番号とが一致しないと判断する(S18でNO)と、第2情報抽出部632は、この電柱識別IDを抽出結果用メモリ57に記憶し(S19)、すべての電柱識別IDにおいてこれらの判断がされるまで繰り返す(S13〜S20)。
【0065】
第2情報抽出部632がすべての電柱識別IDについて連接接地し得る接地極が設けられた電柱に関する情報を抽出し終える(S13でYES)と、第2情報抽出部632から抽出結果形成部64に制御が移り、一覧形成部641は、抽出結果用メモリ57に記憶された電柱識別IDを取得し(図9参照、S21)、電柱情報データベース51、設備情報データベース52、工事情報データベース53、連接接地情報データベース54から電柱識別IDに対応し且つ一覧表示部641に表示する電柱に関する情報を取得し、抽出結果用メモリ57に記憶する(S22)。そして、一覧形成部641は、抽出結果用メモリ57に記憶された電柱に関する情報を一覧表示部32に出力し、表示画面上に当該電柱に関する情報を一覧表示する(S23)。
【0066】
一方、地図形成部642は、地図情報データベース55から工事対象電柱に対応する電柱識別IDに関連付けられた電柱位置情報と演算用メモリ58に記憶された抽出半径とから、工事対象電柱から抽出半径の地図情報を取得する(S24)。更に、地図形成部642は、抽出結果用メモリ57に記憶された電柱に関する情報を地図表示部33に出力し、地図表示部33に表示されている地図上に重ね合わせて表示する(S25)。
【0067】
そこで、操作者は、一覧表示部32若しくは地図表示部33のいずれかを見ながら、一覧表示部32若しくは地図表示部33に表示された電柱に関する情報から連接接地する接地極を選び、該接地極が設けられる電柱に関する情報に対応して配置された抽出選択部241a,242aを選択する(S26若しくはS27でYES)。抽出選択部241a,242aは、選択された電柱に関する情報に対応する電柱識別IDを情報収集部65に送信し、情報収集部65では、選択用メモリ58に該電柱識別IDを記憶するとともに、抽出結果用メモリ57から電柱識別IDに関連付けた接地抵抗の測定値を取得し、選択用メモリ58に記憶する(S28)。
【0068】
操作者が一覧表示部32若しくは地図表示部33に表示された電柱に関する情報の選択が完了したと判断すると、マウスを操作して算出実行部25をクリック(選択)する(S29でYES)。操作者によって算出実行されると、情報収集部65から算出部66に制御が移り、算出部66は、演算用メモリ56から工事対象電柱に設けられた接地極の接地抵抗値を取得するとともに、選択用メモリ58から接地抵抗の計測値を取得して、合成接地抵抗値を算出する(S30)。そして、算出部66は、算出した合成接地抵抗値を算出用メモリ59に記憶するとともに、結果表示部34に表示する(S31)。
【0069】
このように、工事対象電柱に設置する電気設備の接地抵抗の規定値を満足させるために、記憶部5に記憶された電柱位置情報に基づき、工事対象電柱から所定の距離範囲内にある電柱識別情報を抽出するとともに、工事対象電柱に設置された接地極と連接接地されていない接地極が設けられる電柱に関する情報を抽出して、表示手段3に表示する。情報選択部24は、表示手段3に表示された電柱に関する情報から工事対象電柱に設けられた接地極に連接接地する接地極を選択できるようになっている。算出部66は、情報抽出部63により抽出された電柱に関する情報に対応する電柱に設けられた接地極のうち情報収集部65により選択された接地極の接地抵抗値と工事対象電柱に設けられる接地極の接地抵抗値との合成接地抵抗値を算出する。よって、操作者は、情報抽出部63により抽出された接地極の状況を応じて、工事対象電柱に設けられた接地極と連接接地することができるか否かを確認しながら、連接接地する接地極を選択することができ、連接接地工事の設計の利便性を高めることができる。
【0070】
また、情報抽出部63は、工事対象電柱に設置された接地極と連接接地されていない接地極を抽出する際に、工事対象電柱から所定の距離範囲内にある電柱識別情報の中から、工事対象電柱に対応する電柱識別情報に関連付けられた連接接地識別情報と一致する連接接地識別情報と関連付けられた電柱識別情報を省くことにより抽出することができる。
【0071】
また、一覧選択部241は、情報抽出部63により抽出された電柱に関する情報を一覧表示部32に一覧表示された電柱に関する情報に対応して配置されていることから、容易に連接接地する接地極を選択することができる。
【0072】
また、地図選択部242は、地図表示部33に表示された地図上の電柱に関する情報に対応して配置されていることから、工事対象電柱との位置関係を確認しながら選択することができ、容易に連接接地する接地極を選択することができる。
【0073】
また、工事対象電柱や連接接地工事をする際の制約等に合わせて、適宜、接地極を抽出する範囲を変更することができる。
【0074】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0075】
上記実施形態に係る連接接地工事設計支援システムは、一電力事業者の電力配電システムに適用する例を説明したが、これに限定されるものではない。放送事業者や通信事業者等の事業者も、当該電力会社が所有する電柱を利用してケーブルを敷設し、放送事業や通信事業を行っている。この放送事業や通信事業のために電柱の柱上に設置される設備も接地が必要な場合がある。本発明の連接接地工事設計支援システムは、このような、当該システムを所有する電力事業者以外の他の電力事業者、若しくは、放送事業者及び通信事業者などの事業者の電気設備の連接接地を検討する際にも適用することができる。
【0076】
上記実施形態に係る連接接地工事設計支援システムは、入力手段2がキーボードやマウスであり、表示手段3がディスプレイである例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、連接接地工事設計支援システムは、外部から遠隔で電柱に関する情報を入力し、その結果を遠隔で受信可能なシステムであってもよく、このシステムを実現するために、設計作業者等の操作者によって操作される利用者端末としての携帯端末と、携帯端末に通信回線を介して通信可能な通信部とを備えていてもよい。なお、利用者端末としては、携帯電話機やPDA、ノートパソコン等の携帯端末に限らず、机等に設置して使用するデスクトップ型コンピュータ等でもよい。
【0077】
上記実施形態に係る連接接地工事設計支援システムは、接地極を電柱識別IDに対応する電柱で識別する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、接地極は、電柱識別情報と設備情報との組み合わせにより識別するようにし、情報選択部は、電柱識別情報と設備情報との組み合わせにより連接接地する接地極を選択可能するようにしてもよい。このように構成される情報選択部は、1基の電柱に対して複数の電気設備が設置され、それぞれの電気設備に独立して接地極が接続される場合、すなわち、1基の電柱に対して複数の独立した接地極が設けられる場合であっても、電柱識別情報と設備情報との組み合わせにより、それぞれの接地極を識別することができる。なお、設備情報は、既に電柱に設置されている電気設備に関する情報に限定されず、将来設置される予定の電気設備に関する情報も含むものとする。
【0078】
上記実施形態に係る連接接地工事設計支援システム1は、地図情報データベース55が地図情報を記憶する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、地図情報データベースは、地図情報のほかに、配電線網に関する情報が記憶されてもよい。このようにすることにより、地図表示部33は、電柱に関する情報以外に配電線網に関する情報も表示され、電柱間の架線の状況を考慮しつつ連接接地する接地極が設けられた電柱を選択することができるようになる。
【符号の説明】
【0079】
1…連接接地工事設計支援システム、2…入力手段、21…情報入力部、22…条件入力部、221…電柱識別ID入力部、222…抽出半径入力部、223…設備情報入力部、23…抽出実行部、24…情報選択部、241…一覧選択部、241a…抽出選択部、242…地図選択部、242a…抽出選択部、25…算出実行部、3…表示手段、31…条件表示部、311…規定値表示部、312…規定値表示部、313…規定値表示部、32…一覧表示部、33…地図表示部、34…結果表示部、4…制御手段、5…記憶部、51…電柱情報データベース、52…設備情報データベース、53…工事情報データベース、54…連接接地情報データベース、55…地図情報データベース、51…演算用メモリ、57…抽出結果用メモリ、58…選択用メモリ、59…算出用メモリ、6…演算部、61…情報受付部、62…条件設定部、63…情報抽出部、631…第1情報抽出部、632…第2情報抽出部、64…抽出結果形成部、641…一覧形成部、642…地図形成部、65…情報収集部、66…算出部、100…電柱、100a…工事対象電柱、101…変圧器(電気設備)、102…接地線、103…接地極、104…架空共同地線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地が必要な電気設備の接地抵抗値を所定の規定値以下にするために、該電気設備を設置する工事対象電柱に設けられた接地極と他の電柱に設けられた接地極とを連接接地する連接接地工事を設計するために用いられ、
接地抵抗値を算出するために必要な条件を入力する入力手段と、接地極を電柱で特定するために各電柱を識別する電柱識別情報、各電柱が設置された位置に関する電柱位置情報、及び、各電柱に設置される接地極の接地抵抗値を記憶する記憶部、並びに、工事対象電柱に設けられる接地極の接地抵抗値と他の電柱に設けられる接地極の接地抵抗値とを合成した合成接地抵抗値を算出する演算部が設けられた制御手段と、算出された接地抵抗値を表示可能な表示手段とを備える連接接地工事設計支援システムであって、
演算部は、記憶部に記憶された電柱位置情報に基づき、工事対象電柱から所定の距離範囲内にある電柱識別情報を抽出するとともに、工事対象電柱に設置された接地極と連接接地されていない接地極が設けられる電柱に関する情報を抽出する情報抽出部と、工事対象電柱に設置された接地極の接地抵抗値と連接接地する接地極の接地抵抗値とから合成接地抵抗値を算出する算出部とを備え、
入力手段は、情報抽出部によって抽出された電柱に関する情報から工事対象電柱に設けられた接地極に連接接地する接地極を選択するために、抽出された電柱に関する情報を選択可能な情報選択部を備え、
算出部は、情報抽出部により抽出された電柱に関する情報に対応する電柱に設けられた接地極のうち、情報選択部により選択された接地極の接地抵抗値と工事対象電柱に設けられる接地極の接地抵抗値との合成接地抵抗値を算出することを特徴とする連接接地工事設計支援システム。
【請求項2】
記憶部は、同一の接地極に連接接地されている他の接地極が設けられた電柱の電柱識別情報を識別可能な連接接地識別情報が記憶され、該連接接地識別情報は、それぞれの接地極が設けられた電柱の電柱識別情報に関連付けて記憶されている請求項1に記載の連接接地工事設計支援システム。
【請求項3】
記憶部は、電柱識別情報に対応する電柱に設置される電気設備に関する設備情報が記憶され、該設備情報は、それぞれの電気設備が設置される電柱の電柱識別情報に関連付けて記憶され、
情報選択部は、電柱識別情報と設備情報との組み合わせにより連接接地する接地極を選択可能な請求項1又は2に記載の連接接地工事設計支援システム。
【請求項4】
表示手段は、情報抽出部が抽出した電柱に関する情報を一覧表示可能な一覧表示部を備え、
情報選択部は、一覧表示部に一覧表示された電柱に関する情報のそれぞれに対応した一覧選択部を備え、
電柱に関する情報に対応した一覧選択部を選択することにより、当該電柱に関する情報に対応する電柱識別情報を選択可能な請求項1〜3のいずれか1項に記載の連接接地工事設計支援システム。
【請求項5】
記憶部は、当該記憶部に記憶された電柱位置情報に対応する範囲を有する地図情報が記憶され、
表示手段は、記憶部に記憶された地図情報に基づいて地図を表示するとともに、情報抽出部が抽出した電柱に関する情報を該電柱に関する情報に対応する電柱識別情報に関連付けられた電柱位置情報に基づいて地図上に重ね合わせて表示する地図表示部を備え、
情報選択部は、地図表示部に表示された電柱に関する情報のそれぞれに対応した地図選択部を備え、
電柱に関する情報に対応した地図選択部を選択することにより、当該電柱に関する情報に対応する電柱識別情報を選択可能な請求項1〜4のいずれか1項に記載の連接接地工事設計支援システム。
【請求項6】
入力手段は、連接接地する接地極を抽出する抽出距離を入力可能な条件入力部を備える請求項1〜5のいずれか1項に記載の連接接地工事設計支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−133532(P2012−133532A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284501(P2010−284501)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】