連結構造および連結方法
【課題】連結時の加熱時間の短縮を図りつつ、連結強度の低下を抑制することができる連結構造を提供する。
【解決手段】連結構造は、第1の面3aと当該第1の面3aとは反対側の第2の面3bとを有し、第1の面3aから第2の面3bまで貫通する貫通孔4が形成されてなる第1の部材3と、第1の部材3の第1の面3aに対向する面側に設けられた基台部21が第3の面21aを有し、第3の面21aに設けられ且つ貫通孔4に挿通された突出部22および突出部22の先端部から第2の面3bにおける貫通孔4の外側へ貫通孔4を中心として放射状に延出してなる3つの延出部2eを有する第2の部材1とを備える。そして、第3の面21aと延出部2eとで挟持する形で、第1の部材3と第2の部材1とを連結してなる。
【解決手段】連結構造は、第1の面3aと当該第1の面3aとは反対側の第2の面3bとを有し、第1の面3aから第2の面3bまで貫通する貫通孔4が形成されてなる第1の部材3と、第1の部材3の第1の面3aに対向する面側に設けられた基台部21が第3の面21aを有し、第3の面21aに設けられ且つ貫通孔4に挿通された突出部22および突出部22の先端部から第2の面3bにおける貫通孔4の外側へ貫通孔4を中心として放射状に延出してなる3つの延出部2eを有する第2の部材1とを備える。そして、第3の面21aと延出部2eとで挟持する形で、第1の部材3と第2の部材1とを連結してなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの部材の一方に設けられた熱可塑性材料からなる部材を利用して、2つの部材を連結してなる連結構造および当該連結構造を得るための連結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一方の部材に突設された溶着ボスを他方の部材に貫設された孔に挿通した後に、孔から突出した溶着ボスの先端部分を溶着治具により加熱溶融して孔の径よりも大きくすることにより、一方の部材と他方の部材とを連結する連結方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されている連結方法では、図7(a)に示すように、厚み方向に貫通する貫通孔54が貫設されてなる第1の部材53と、第1の部材53に対向する面側における貫通孔54に対応する部位に熱可塑性のプラスチックからなる溶着ボス52が突設された第2の部材51とを連結する。
【0004】
この溶着ボス52は、図7(b)に示すように、円柱状の大径部52Lと、当該大径部52Lの先端面から突出する円柱状の小径部52Sとから構成されている。また、溶着ボス52の小径部52Sは、先端面52aの中央部に凹部52bが形成されてなる。
【0005】
一方、溶着治具55は、図7(b)及び図8(a)乃至(c)に示すように、小径部52Sの先端部52aとの当接面55aにおいて、中央部に溶着ボス52の凹部52bに嵌合する略円錐状の凸部55bが形成されている。
【0006】
この連結方法のフローを、図7(a)乃至(f)を用いて説明する。
まず、図7(a)および(b)に示すように、溶着ボス52の小径部52Sが貫通孔54に挿通する形で、第1の部材53と第2の部材51とを重ね合わせる。このとき、溶着ボス52の先端部52aが、第1の部材53における第2の部材51とは反対側において貫通孔54から突出する。
【0007】
次に、図7(c)および(d)に示すように、溶着ボス52の凹部52bと溶着治具55の凸部55bとを嵌合させて、溶着治具55の当接面55aに設けられた凸部55bの円錐面55dおよび凸部55bの外周部55cから、溶着ボス52の先端面52aの凹部52bおよび凹部52bの外周部52cに熱を伝えることにより、溶着ボス52を加熱溶融する。そして、溶着治具55を第2の部材51に押し付けると、溶着ボス52における貫通孔54から突出した部分における加熱溶融された部位が押し潰されて、平面視で貫通孔54の外側に向かって押し出される。そして、図7(e)および(f)に示すような、貫通孔54に挿通された突出部62の先端部から貫通孔54の外側に延出する延出部52fが形成され、第2の部材51と第1の部材53とが連結される。
【0008】
この特許文献1に記載された連結方法では、断面形状が円形の溶着ボス52が設けられた第2の部材51と、開口形状が円形の貫通孔54が貫設された第1の部材53とを連結する。従って、溶着ボス52のうち、溶着治具55により加熱溶融される部分の長さについて、[数1]で表される関係が成立することになる。
【0009】
【数1】
【0010】
ここにおいて、L0は、溶着ボス52における加熱溶融される部位の長さ、dは、溶着ボス52の径(直径)、Dは、延出部52fの径(直径)、Tは、延出部52fの厚みを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−162125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、第1の部材53に電子部品などが実装されている場合、溶着ボス52を加熱溶融する時間が長くなると、電子部品にまで熱が伝わり、電子部品の温度が上昇し、電子部品が故障してしまうおそれがある。
【0013】
溶着ボス52における、加熱溶融する部分の長さを短くすることにより、溶着ボス52における加熱溶融する部分の体積を小さくすることで、加熱する時間を短縮することが考えられるが、[数1]から分かるように、溶着ボス52の径dが同じであれば、延出部52fの径Dが小さくなってしまうので、第1の部材53と第2の部材51との連結強度が大きく低下してしまう。
【0014】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、連結時の加熱時間の短縮を図りつつ、連結強度の低下を抑制することができる連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る連結構造は、第1の面と当該第1の面とは反対側の第2の面とを有し、第1の面から第2の面まで貫通する貫通孔が形成されてなる第1の部材と、第1の部材の第1の面に対向する第3の面を有し、第3の面に設けられ且つ貫通孔に挿通された熱可塑性材料からなる突出部および当該突出部の先端部から第2の面における貫通孔の外側へ貫通孔を中心として放射状に延出してなる熱可塑性材料からなる複数の延出部を有する第2の部材とを備え、第3の面と延出部とで挟持する形で、第1の部材と第2の部材とを連結してなる。
【発明の効果】
【0016】
本構成によれば、延出部の体積を低減することにより、連結時の加熱時間の短縮を図りつつ、延出部が平面視で円形状に形成されてなる構成に比べて、貫通孔の中心から延出部の先端部までの距離を大きくすることができ、延出部が貫通孔から抜けにくくなるので、連結強度の低下を抑制することができる。
【0017】
また、本発明に係る連結構造は、上記複数の延出部が、隣接する2つの延出部同士のなす角度それぞれが互いに等しくなるように配置されてなるものであってもよい。
本構成によれば、第1の部材から第2の部材を離脱させる方向に力が加わったときに、各延出部に均等に力が加わるので、特定の延出部に力が集中的に加わることによる延出部の破損を抑制することができる。
【0018】
また、本発明に係る連結構造は、上記延出部が、少なくとも3つ設けられてなるものであってもよい。
本構成によれば、延出部が2つ設けられてなる構成に比べて、連結強度の向上を図ることができる。
【0019】
また、本発明に係る連結構造は、上記第1の部材が、上記第2の面に上記第2の部材を係合するための1つ以上の係合凹部が形成されてなり、上記第2の部材が、上記延出部における上記係合凹部に対応する部位に係合突起が形成されてなるものであってもよい。
【0020】
本構成によれば、延出部が接触している第1の部材に形成された1つ以上の係合凹部に、延出部に形成された係合突起を埋没させることで、延出部が第2の面に沿って摺動しにくくなるので、第1の部材と第2の部材との連結強度が向上する。
【0021】
また、本発明に係る連結構造は、上記係合凹部の外形サイズが、上記延出部の外形サイズよりも小さく形成されてなるものであってもよい。
本構成によれば、延出部における係合凹部に対向する面側を係合凹部の外周部全体に亘って密着させることができるので、連結構造の強度の向上を図ることができる。
【0022】
また、本発明に係る連結構造は、上記係合凹部が、上記貫通孔と連続して形成されてなるものであってもよい。
本構成によれば、係合凹部と貫通孔とを同時に形成することができるので、製造時の工程数を削減することができるから、製造コストの削減を図ることができる。
【0023】
また、本発明に係る連結構造は、上記係合凹部が、上記第1の部材における上記第1の面から上記第2の面まで貫通するものであってもよい。
本構成によれば、連結構造の強度向上を図ることができる。
【0024】
また、本発明は、第1の面と当該第1の面とは反対側の第2の面とを有する第1の部材に第1の面から第2の面まで貫通する形で形成された貫通孔に、第1の部材の第1の面に当接する第3の面を有する第2の部材の第3の面側に設けられた溶着ボスを貫通孔に挿通する工程と、孔から第2の面側に突出する溶着ボスの先端部を溶着治具により加熱溶融しながら押圧することにより、貫通孔に挿通された突出部および当該突出部の先端部から第2の面における貫通孔の外側へ延出してなる延出部を形成する工程とを含み、第2の部材と延出部とで第1の部材を挟持する形で、第1の部材と第2の部材とを連結する連結方法であって、溶着治具が、溶着ボスの先端部との当接面の中央部に突設された突出部と、当接面の中央部から当接面の外周部に向かって放射状に延びた複数の溝部とを有し、溶着ボスの先端部を溶着治具により加熱溶融しながら押圧すると、溶融した溶着ボスの先端部が溝部に沿って押し出されることにより延出部が形成される連結方法であってもよい。
【0025】
本構成によれば、延出部が平面視で円形状に形成されてなる場合と同じ連結強度を、より体積の少ない延出部で実現することができるので、溶着ボスにおける溶融部位の体積を低減することにより溶融エネルギーを削減することができるとともに、材料費の低減を図ることができる。そして、溶融エネルギーを低減することにより、第1の部材または第2の部材に伝わる熱量を低減することができるので、電子部品の温度が上昇することによる電子部品の故障の発生を抑制することができる。また、溶着治具を変更するだけで、従来と同じ製造方法を採用することができるので、製造コストの低減を図ることができる。
【0026】
また、本発明は、上記複数の溝部が、隣接する2つの溝部同士のなす角度それぞれが互いに等しくなるように配置されてなる連結方法であってもよい。
本構成によれば、前記貫通孔の周囲に等間隔に配置されてなり、第1の部材から第2の部材を離脱させる方向に力が加わったときに、特定の延出部に力が集中的に加わることによる延出部の破損を抑制できる複数の延出部を形成することができる。
【0027】
また、本発明は、上記溝部が、少なくとも3つ設けられてなる連結方法であってもよい。
また、本発明は、上記第1の部材に、上記第2の面に上記第2の部材を係合するための1つ以上の係合凹部を形成する工程と、上記第2の部材に、上記延出部における上記係合凹部に対応する部位に係合突起を形成する工程とを含む連結方法であってもよい。
【0028】
本構成によれば、第1の部材と第2の部材とが連結した状態において、係合凹部と係合突起とが係合するので、連結強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施の形態1に係る連結構造および連結方法を説明するための図であり、(a)は連結開始時に溶着ボスの先端側から視た平面図、(b)は(a)におけるA1−A1線で破断した断面図、(c)は溶着ボスを加熱溶融しているときに溶着ボスの先端側から視た平面図、(d)は(c)におけるA2−A2線で破断した断面図、(e)は連結完了時に溶着ボスの先端側から視た平面図、(f)は(e)におけるA3−A3線で破断した断面図である。
【図2】実施の形態1に係る連結方法に用いられる溶着治具を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は(b)におけるA4−A4線で破断した断面図である。
【図3】実施の形態2に係る連結構造および連結方法を説明するための図であり、(a)は連結開始時に溶着ボスの先端側から視た平面図、(b)は(a)におけるA1−A1線で破断した断面図、(c)は溶着ボスを加熱溶融しているときに溶着ボスの先端側から視た平面図、(d)は(c)におけるA2−A2線で破断した断面図、(e)は連結完了時に溶着ボスの先端側から視た平面図、(f)は(e)におけるA3−A3線で破断した断面図である。。
【図4】実施の形態3に係る連結構造および連結方法を説明するための図であり、(a)は連結開始時に溶着ボスの先端側から視た平面図、(b)は(a)におけるA1−A1線で破断した断面図、(c)は溶着ボスを加熱溶融しているときに溶着ボスの先端側から視た平面図、(d)は(c)におけるA2−A2線で破断した断面図、(e)は連結完了時に溶着ボスの先端側から視た平面図、(f)は(e)におけるA3−A3線で破断した断面図である。
【図5】実施の形態4に係る連結構造および連結方法を説明する図であり、(a)は連結開始時に溶着ボスの先端側から視た平面図、(b)は(a)におけるA1−A1線で破断した断面図、(c)は溶着ボスを加熱溶融しているときに溶着ボスの先端側から視た平面図、(d)は(c)におけるA2−A2線で破断した断面図、(e)は連結完了時に溶着ボスの先端側から視た平面図、(f)は(e)におけるA3−A3線で破断した断面図である。
【図6】実施の形態5に係る連結構造および連結方法を説明する図であり、(a)は連結開始時の溶着ボスの先端側から視た平面図、(b)は(a)におけるA1−A1線で破断した断面図、(c)は溶着ボスを加熱溶融しているときに溶着ボスの先端側から視た平面図、(d)は(c)におけるA2−A2線で破断した断面図、(e)は連結完了時に溶着ボスの先端側から視た平面図、(f)は(e)におけるA3−A3線で破断した断面図である。
【図7】従来例に係る連結方法において、(a)は連結開始時における平面図(溶着ボス先端面側から視た)、(b)は(a)におけるA1−A1線で破断した断面図、(c)は溶着治具により溶着ボスを加熱溶融している状態における平面図、(d)は(c)におけるA2−A2線で破断した断面図、(e)は連結後における平面図、(f)は(e)においてA3−A3線で破断した断面図である。
【図8】従来例に係る連結方法に用いられる溶着治具を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は(b)におけるA4−A4線で破断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<実施の形態1>
本実施の形態に係る連結構造は、図1(e)および(f)に示すように、板状の第1の部材3と、円柱状の突出部22が設けられた第2の部材1とを連結してなる構造である。
【0031】
第1の部材3は、第1の面3aと第1の面3aとは反対側の第2の面3bとを有し、第1の面3aから第2の面3bまで貫通する貫通孔4が形成されてなる。
第2の部材1は、熱可塑性樹脂等により形成され、板状の主部11と、主部11における第1の部材3の第1の面3aに対向する面側に形成された円柱状の基台部21とを備える。また、突出部22は、基台部21の第3の面21a上に基台部21と連続一体に設けられている。この突出部22は、第1の部材3に貫設された貫通孔4に挿通されており、基台部21の第3の面21aに第1の部材3の第1の面3aが当接している。また、突出部22の先端部から第2の面3bに沿って貫通孔4の外側へ貫通孔4を中心として放射状に3つの延出部2eが延出しており、基台部21の第3の面21aと延出部2eとで第1の部材3を挟持している。
【0032】
次に、第1の部材3と第2の部材1とを連結する前における第2の部材1の構造についてする。
第2の部材1は、図1(a)および(b)に示すように、第1の部材3の第1の面3aに対向する側に、基台部21、突出部22および延出部2eの基となる溶着ボス2が設けられてなる。この溶着ボス2は、図1(a)および(b)に示すように、略円柱状に形成され、貫通孔4よりも径が大きい大径部2Lと、貫通孔4よりも径がやや小さい小径部2Sとから構成されている。ここで、小径部2Sは、軸方向の長さが第2の部材1の厚みよりも長くなるように形成されており、小径部2Sを貫通孔4に挿通させる形で、第1の部材3と第2の部材1とを重ね合わせと、小径部2Sの先端部2aが、第1の部材3の第2の面側に突出する。また、小径部2Sの先端部2aは、中央部に凹部2bが形成されている。
【0033】
次に、第1の部材3と第2の部材1との連結の際に、溶着ボス2の溶融に使用する溶着治具5の構造について説明する。
溶着治具5は、図1(b)および図2(a)乃至(c)に示すように、略円柱状に形成されており、溶着ボス2に当接させる当接面5aには、中央部に形成された円形の第1の溝部5cと、第1の溝部5cの略中央部に突設され溶着ボス2の凹部2bに嵌合する形状に形成された凸部5bと、第1の溝部5cから外側に向かって放射状に延出する3つの第2の溝部5eとが設けられている。ここで、凸部5bは、略円錐状に形成されている。そして、溶着治具5の当接面5aを溶着ボス2の先端部2aに当接させたときに、当接面5aのうち第1の溝部5cおよび第2の溝部5e以外の部位5fが、第1の部材3の第2の面3bに当接するとともに、凸部5bの円錐面5dが溶着ボス2の凹部2bの周面に接触し、第1の溝部5cの底面における凸部5bの外周部が溶着ボス2の先端部2aにおける凹部2bの外周部2cに接触することになる。
【0034】
次に、本実施の形態に係る連結方法について説明する。
まず、図1(a)および(b)に示すように、溶着ボス2の先端部2aと溶着治具5の当接面5aとを接近させていき(図1(b)中の矢印参照)、溶着ボス2の先端部2aに形成された凹部2bに溶着治具5の当接面5aに形成された凸部5bが嵌合する形で、溶着ボス2の先端部2aに溶着治具5の当接面5aを当接させる。
【0035】
続いて、溶着治具5を第2の部材1に押さえ付ける方向に、溶着ボス2に圧力を加えながら、溶着治具5から溶着ボス2に熱を伝える。このとき、溶着治具5からは、主に凸部5bの円錐面5dおよび第1の溝部5cの底面を介して溶着ボス2に熱が伝わる。すると、溶着ボス2は、先端部2aから貫通孔4の内側に配置された部位までが加熱溶融され、溶融された溶着ボス2が、溶着治具5の凸部5bの円錐面5dにより、第1の溝部5cから第2溝部5eに沿って外側に押し出される(図1(c)および(d))。
【0036】
そして、図1(e)および(f)に示すように、放射状に3方向に延びる延出部2eが形成され、第1の部材3と第2の部材1とが連結された状態となる。
溶着リブ2のうち加熱溶融される部分の先端部2aからの軸方向の長さについて、以下の[数2]に示す関係式が成立する。
【0037】
【数2】
【0038】
ここにおいて、溶着ボス2が加熱溶融される部分の長さをL、溶着ボス2の直径をd、延出部2eに外接する円の直径をD、延出部2eの厚みをT、平面視における3本の延出部2eおよび演出部2eに外接する円のうち平面視で延出部2eと重ならない部位の面積をSとしている。
【0039】
[数1]および[数2]とを比較すると、従来例における平面視円形状の延出部52fの直径D1と、本実施の形態に係る延出部2eに外接する円の直径Dとを同じにしながらも、溶着ボス2における加熱溶融される部分の長さをL−L0=ST/[π(d/2)2]だけ短くすることができることがわかる。
【0040】
結局、本実施の形態に係る連結構造は、溶着ボス2における加熱溶融される部分の長さの短縮、即ち、加熱溶融される部分の体積の縮小を図ることができるので、加熱溶融に必要な熱エネルギーを低減することができるから、連結強度の低下を抑制しながらも加熱時間を短縮することができる。これにより、例えば、第1の部材3に電子部品が実装されている場合には、第1の部材3に伝わる熱量を抑えることができるので、電子部品が高温になることによる電子部品の故障を防ぐことができる。また、平面視円形状の構成とした場合に比べて、貫通孔4の中心から延出部2eの先端部までの距離(貫通孔4の中心から延出部2eの先端部に外接する円の半径D/2)を大きくすることができるので、延出部2eが貫通孔4から抜けにくくなるので、連結強度の向上が図れる。更に、溶着ボス2の形成に必要な材料を減らすことができ、コスト低減を図ることができる。
【0041】
<実施の形態2>
本実施の形態に係る連結構造は、実施の形態1と略同様であり、図3に示すように、第1の部材3における延出部2eが当接する部位の一部に、係合凹部4bが形成されている点のみが相違する。なお、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0042】
係合凹部4bは、第1の部材3の第1の面3aから第2の面3bにまで貫通しており、貫通孔4と連続一体に形成されている。そして、この係合凹部4bには、延出部2eの一部が埋没することになる。以下、この延出部2eにおける係合凹部4bに埋没している部位を係合突起2e1と称する。
【0043】
次に、本実施の形態に係る連結方法について説明する。
まず、図3(a)および(b)に示すように、溶着ボス2の先端部2aと溶着治具5の当接面5aとを接近させていき(図1(b)中の矢印参照)、溶着ボス2の先端部2aに形成された凹部2bに溶着治具5の当接面5aに形成された凸部5bが嵌合する形で、溶着ボス2の先端部2aに溶着治具5の当接面5aを当接させる。
【0044】
続いて、溶着治具5を第2の部材1に押さえ付ける方向に、溶着ボス2に圧力を加えながら、溶着治具5から溶着ボス2に熱を伝える。このとき、溶着治具5からは、主に凸部5bの円錐面5dおよび第1の溝部5cの底面を介して溶着ボス2に熱が伝わる。すると、溶着ボス2は、先端部2aから貫通孔4の内側に配置された部位までが加熱溶融され、溶融された溶着ボス2が、溶着治具5の凸部5bの円錐面5dにより、第1の溝部5cから第2溝部5eに沿って外側に押し出される(図3(c)および(d)参照)。このとき、溶融された溶着ボス2は、第1の部材3に貫設された貫通孔4の周壁から係合凹部4bの中へも侵入していく。
【0045】
そして、図3(e)および(f)に示すように、放射状に3方向に延び且つ第1の部材3に設けられた係合凹部4bそれぞれに嵌合する係合突起2e1を有する延出部2eが形成され、第1の部材3を、基台部21の第3の面21aと延出部2eにおける平面視で係合凹部4bと重ならない部位とで挟持する形で、第1の部材3と第2の部材1とが連結された状態となる。
【0046】
溶着リブ2のうち加熱溶融される部分の先端部2aからの軸方向の長さについて、以下の[数3]に示す関係式が成立する。
【0047】
【数3】
【0048】
ここにおいて、溶着ボス2が加熱溶融される部分の長さをL、溶着ボス2の直径をd、延出部2eに外接する円の直径をD、延出部2eの厚みをT、平面視における3本の延出部2eおよび延出部2eに外接する円のうち平面視で延出部2eと重ならない部位の面積をS1(図3(e)参照)、係合突起2e1の体積をV1としている。
【0049】
[数1]および[数2]とを比較すると、従来例における平面視円形状の延出部52fの直径D1と、本実施の形態に係る延出部2eに外接する円の直径Dとを同じにしながらも、溶着ボス2における加熱溶融される部分の長さをL−L0=(S1×T−V1)/[π(d/2)2]だけ短くすることができることがわかる。
【0050】
本実施の形態に係る連結構造では、延出部2eに、第1の部材3に形成された係合凹部4bに嵌合する細長の係合突起2e1が形成されていることにより、実施の形態1に比べて第1の部材3の厚み方向の幅が大きくなり、第1の部材3を第2の部材1に対して基台部21の第3の面21aに沿って摺動させる方向へ加わる力に対する強度が向上している。特に、第2の部材1に対して第1の部材3を貫通孔4の中心軸周りに回転させる力に対する強度が向上している。
【0051】
<実施の形態3>
本実施の形態に係る連結構造は、実施の形態2に係る連結構造と略同様であり、図4に示すように、係合凹部4cが第1の部材3の厚み方向に貫通していない点のみが相違する。なお、実施の形態2の同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。また、連結方法については、実施の形態2と略同様なので、図示のみで説明を省略する。
【0052】
本実施の形態に係る連結構造では、実施の形態2と同様に、延出部2eに、第1の部材3に形成された係合凹部4cに嵌合する細長の係合突起2e1が形成されていることにより、実施の形態1に比べて第1の部材3の厚み方向の幅が大きくなり、第1の部材3を第2の部材1に対して基台部21の第3の面21aに沿って摺動させる方向へ加わる力に対する強度が向上している。特に、第2の部材1に対して第1の部材3を貫通孔4の中心軸周りに回転させる力に対する強度が向上している。
【0053】
また、係合凹部4cが、第1の部材3の厚み方向に貫通していないので、その分、実施の形態2に比べて、係合凹部4cに埋没した部位の体積([数3]におけるパラメータV1)が小さくなっている。これにより、延出部2eの体積を実施の形態2に比べて小さくすることができるので、溶着ボス2における加熱溶融される部分の体積を小さくし、加熱溶融に必要な熱エネルギーを低減することができるから、実施の形態2に比べて加熱時間を短縮することができる。
【0054】
<実施の形態4>
本実施の形態に係る連結構造は、実施の形態1に係る連結構造と略同様であり、図5に示すように、第1の部材3における延出部2eが当接する部位の一部に、係合凹部4dが形成されている点が相違する。なお、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
係合凹部4dは、第1の部材3の第1の面3aから第2の面3bにまで貫通しており、貫通孔4から離間した位置に形成されている。そして、この係合凹部4dには、延出部2eの一部が埋没することになる。以下、この延出部2eにおける係合凹部4dに埋没した部位を係合突起2e1と称する。
【0056】
次に、本実施の形態に係る連結方法について説明する。
まず、図5(a)および(b)に示すように、溶着ボス2の先端部2aと溶着治具5の当接面5aとを接近させる(図5(b)中の矢印参照)。
【0057】
その後、この溶着ボス2の先端部2aに形成された凹部2bに溶着治具5の当接面5aに形成された凸部5bが嵌合する形で、溶着ボス2の先端部2aに溶着治具5の当接面5aを当接させる。
【0058】
続いて、溶着治具5を第2の部材1に押さえ付ける方向に、溶着ボス2に圧力を加えながら、溶着治具5から溶着ボス2に熱を伝える。このとき、溶着治具5からは、主に凸部5bの円錐面5dおよび第1の溝部5cの底面を介して溶着ボス2に熱が伝わる。すると、溶着ボス2は、先端部2aから貫通孔4の内側に配置される部位までが加熱溶融され、溶融された溶着ボス2が、溶着治具5の凸部5bの円錐面5dにより、第1の溝部5cから第2溝部5eに沿って外側に押し出される(図5(c)および(d)参照)。このとき、溶融された溶着ボス2は、第1の部材3の第2の面3b側から係合凹部4dに回り込む。
【0059】
そして、図5(e)および(f)に示すように、放射状に3方向に延び且つ係合凹部4bそれぞれに嵌合する係合突起2e1を有する延出部2eが形成され、第1の部材3と第2の部材1とが連結される。
【0060】
本実施の形態に係る連結構造では、第1の部材3に形成された係合凹部4bに、延出部2eに形成された係合突起2e1が嵌合することにより、第1の部材3を第2の部材1に対して基台部21の第3の面21aに沿って摺動させる方向へ加わる力に対する強度が向上している。特に、第2の部材1に対して第1の部材3を貫通孔4の中心軸周りに回転させる力に対する強度が向上している。
<実施の形態5>
本実施の形態に係る連結構造は、実施の形態4と略同様であり、図6に示すように、係合凹部4eが第1の部材3の厚み方向に貫通していない点のみが相違する。なお、実施の形態2の同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0061】
本実施の形態では、図6に示すように、第1の部材3に形成された係合凹部4eに、延出部2eに設けられた係合突起2e1が嵌合することにより、第1の部材3を第2の部材1に対して基台部21の第3の面21aに沿って摺動させる方向へ加わる力に対する強度が向上している。特に、第2の部材1に対して第1の部材3を貫通孔4の中心軸周りに回転させる力に対する強度が向上している。
【0062】
また、係合凹部4eが、第1の部材3の厚み方向に貫通していないので、その分、実施の形態4に比べて、係合凹部4eに埋没した部位の体積([数3]におけるパラメータV1)が小さくなっている。これにより、延出部2eの体積を実施の形態4に比べて小さくすることができるので、溶着ボス2における加熱溶融される部分の体積を小さくし、加熱溶融に必要な熱エネルギーを低減することができるから、実施の形態4に比べて加熱時間を短縮することができる。
【0063】
<変形例>
(1)前述の実施の形態1では、溶着治具5の溝部5eの数が3つの例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、溶着治具5の溝部5eの数が3つ以上の方向に延出するものであってもよい。溶着治具5の溝部5eが3つ以上の方向に延出していれば、延出部2eが3つ以上形成され、延出部2eにより第1の部材3を3点以上で固定することができるので、第2の部材1に第1の部材3をより強固に固定することができる。また、延出部2eの厚みを厚くし、更に、溶着ボス2の長さを短くすることができれば、第1の部材3に溶着治具5の当接面5aを必ず当接させる必要はなく、突出部5fと他方の部材3の間に薄いかしめ部が形成されても構わない。
【0064】
(2)前述の実施の形態2乃至5に係る係合凹部4b,4c,4d,4eの形状は、本実施の形態ので説明した形状に限定されない。
また、3つの延出部2eのうちの1つまたは2つの延出部2eに対応する部位だけに係合凹部4b,4c,4d,4eを形成するようにしてもよい。
【0065】
(3)前述の実施の形態4および5では、第1の部材3における各延出部2eに対応する部位に、係合凹部4d,4eを1つずつ形成する例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、1つの延出部2eに対応する部位に複数の係合凹部4d,4eを形成してもよい。
【0066】
(4)前述の実施の形態1乃至4では、溶着ボスが熱可塑性の合成樹脂により形成されてなる例について説明したが、これに限定されるものではなく、金属以外の熱可塑性の材料であれば他の材料を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、部材同士を溶着リブを用いて連結する連結構造、および、当該連結構造を得るための連結方法に好適である。そして、コスト低減および連結時の加熱時間の短縮が要求される連結構造に有効である。
【符号の説明】
【0068】
1 第2の部材
2 溶着ボス
2a 先端面
2b 凹部
2c 外周部
2e、2f 延出部
2e1 係合突起
3 第1の部材
3a 第1の面
3b 第2の面
4 貫通孔
4b、4c、4d、4e 係合凹部
5 溶着治具
5a 当接面
5b 凸部
5c 第1の溝部
5d 円錐面
5e 第2の溝部
21 基台部
21a 第3の面
22 突出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの部材の一方に設けられた熱可塑性材料からなる部材を利用して、2つの部材を連結してなる連結構造および当該連結構造を得るための連結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一方の部材に突設された溶着ボスを他方の部材に貫設された孔に挿通した後に、孔から突出した溶着ボスの先端部分を溶着治具により加熱溶融して孔の径よりも大きくすることにより、一方の部材と他方の部材とを連結する連結方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されている連結方法では、図7(a)に示すように、厚み方向に貫通する貫通孔54が貫設されてなる第1の部材53と、第1の部材53に対向する面側における貫通孔54に対応する部位に熱可塑性のプラスチックからなる溶着ボス52が突設された第2の部材51とを連結する。
【0004】
この溶着ボス52は、図7(b)に示すように、円柱状の大径部52Lと、当該大径部52Lの先端面から突出する円柱状の小径部52Sとから構成されている。また、溶着ボス52の小径部52Sは、先端面52aの中央部に凹部52bが形成されてなる。
【0005】
一方、溶着治具55は、図7(b)及び図8(a)乃至(c)に示すように、小径部52Sの先端部52aとの当接面55aにおいて、中央部に溶着ボス52の凹部52bに嵌合する略円錐状の凸部55bが形成されている。
【0006】
この連結方法のフローを、図7(a)乃至(f)を用いて説明する。
まず、図7(a)および(b)に示すように、溶着ボス52の小径部52Sが貫通孔54に挿通する形で、第1の部材53と第2の部材51とを重ね合わせる。このとき、溶着ボス52の先端部52aが、第1の部材53における第2の部材51とは反対側において貫通孔54から突出する。
【0007】
次に、図7(c)および(d)に示すように、溶着ボス52の凹部52bと溶着治具55の凸部55bとを嵌合させて、溶着治具55の当接面55aに設けられた凸部55bの円錐面55dおよび凸部55bの外周部55cから、溶着ボス52の先端面52aの凹部52bおよび凹部52bの外周部52cに熱を伝えることにより、溶着ボス52を加熱溶融する。そして、溶着治具55を第2の部材51に押し付けると、溶着ボス52における貫通孔54から突出した部分における加熱溶融された部位が押し潰されて、平面視で貫通孔54の外側に向かって押し出される。そして、図7(e)および(f)に示すような、貫通孔54に挿通された突出部62の先端部から貫通孔54の外側に延出する延出部52fが形成され、第2の部材51と第1の部材53とが連結される。
【0008】
この特許文献1に記載された連結方法では、断面形状が円形の溶着ボス52が設けられた第2の部材51と、開口形状が円形の貫通孔54が貫設された第1の部材53とを連結する。従って、溶着ボス52のうち、溶着治具55により加熱溶融される部分の長さについて、[数1]で表される関係が成立することになる。
【0009】
【数1】
【0010】
ここにおいて、L0は、溶着ボス52における加熱溶融される部位の長さ、dは、溶着ボス52の径(直径)、Dは、延出部52fの径(直径)、Tは、延出部52fの厚みを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−162125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、第1の部材53に電子部品などが実装されている場合、溶着ボス52を加熱溶融する時間が長くなると、電子部品にまで熱が伝わり、電子部品の温度が上昇し、電子部品が故障してしまうおそれがある。
【0013】
溶着ボス52における、加熱溶融する部分の長さを短くすることにより、溶着ボス52における加熱溶融する部分の体積を小さくすることで、加熱する時間を短縮することが考えられるが、[数1]から分かるように、溶着ボス52の径dが同じであれば、延出部52fの径Dが小さくなってしまうので、第1の部材53と第2の部材51との連結強度が大きく低下してしまう。
【0014】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、連結時の加熱時間の短縮を図りつつ、連結強度の低下を抑制することができる連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る連結構造は、第1の面と当該第1の面とは反対側の第2の面とを有し、第1の面から第2の面まで貫通する貫通孔が形成されてなる第1の部材と、第1の部材の第1の面に対向する第3の面を有し、第3の面に設けられ且つ貫通孔に挿通された熱可塑性材料からなる突出部および当該突出部の先端部から第2の面における貫通孔の外側へ貫通孔を中心として放射状に延出してなる熱可塑性材料からなる複数の延出部を有する第2の部材とを備え、第3の面と延出部とで挟持する形で、第1の部材と第2の部材とを連結してなる。
【発明の効果】
【0016】
本構成によれば、延出部の体積を低減することにより、連結時の加熱時間の短縮を図りつつ、延出部が平面視で円形状に形成されてなる構成に比べて、貫通孔の中心から延出部の先端部までの距離を大きくすることができ、延出部が貫通孔から抜けにくくなるので、連結強度の低下を抑制することができる。
【0017】
また、本発明に係る連結構造は、上記複数の延出部が、隣接する2つの延出部同士のなす角度それぞれが互いに等しくなるように配置されてなるものであってもよい。
本構成によれば、第1の部材から第2の部材を離脱させる方向に力が加わったときに、各延出部に均等に力が加わるので、特定の延出部に力が集中的に加わることによる延出部の破損を抑制することができる。
【0018】
また、本発明に係る連結構造は、上記延出部が、少なくとも3つ設けられてなるものであってもよい。
本構成によれば、延出部が2つ設けられてなる構成に比べて、連結強度の向上を図ることができる。
【0019】
また、本発明に係る連結構造は、上記第1の部材が、上記第2の面に上記第2の部材を係合するための1つ以上の係合凹部が形成されてなり、上記第2の部材が、上記延出部における上記係合凹部に対応する部位に係合突起が形成されてなるものであってもよい。
【0020】
本構成によれば、延出部が接触している第1の部材に形成された1つ以上の係合凹部に、延出部に形成された係合突起を埋没させることで、延出部が第2の面に沿って摺動しにくくなるので、第1の部材と第2の部材との連結強度が向上する。
【0021】
また、本発明に係る連結構造は、上記係合凹部の外形サイズが、上記延出部の外形サイズよりも小さく形成されてなるものであってもよい。
本構成によれば、延出部における係合凹部に対向する面側を係合凹部の外周部全体に亘って密着させることができるので、連結構造の強度の向上を図ることができる。
【0022】
また、本発明に係る連結構造は、上記係合凹部が、上記貫通孔と連続して形成されてなるものであってもよい。
本構成によれば、係合凹部と貫通孔とを同時に形成することができるので、製造時の工程数を削減することができるから、製造コストの削減を図ることができる。
【0023】
また、本発明に係る連結構造は、上記係合凹部が、上記第1の部材における上記第1の面から上記第2の面まで貫通するものであってもよい。
本構成によれば、連結構造の強度向上を図ることができる。
【0024】
また、本発明は、第1の面と当該第1の面とは反対側の第2の面とを有する第1の部材に第1の面から第2の面まで貫通する形で形成された貫通孔に、第1の部材の第1の面に当接する第3の面を有する第2の部材の第3の面側に設けられた溶着ボスを貫通孔に挿通する工程と、孔から第2の面側に突出する溶着ボスの先端部を溶着治具により加熱溶融しながら押圧することにより、貫通孔に挿通された突出部および当該突出部の先端部から第2の面における貫通孔の外側へ延出してなる延出部を形成する工程とを含み、第2の部材と延出部とで第1の部材を挟持する形で、第1の部材と第2の部材とを連結する連結方法であって、溶着治具が、溶着ボスの先端部との当接面の中央部に突設された突出部と、当接面の中央部から当接面の外周部に向かって放射状に延びた複数の溝部とを有し、溶着ボスの先端部を溶着治具により加熱溶融しながら押圧すると、溶融した溶着ボスの先端部が溝部に沿って押し出されることにより延出部が形成される連結方法であってもよい。
【0025】
本構成によれば、延出部が平面視で円形状に形成されてなる場合と同じ連結強度を、より体積の少ない延出部で実現することができるので、溶着ボスにおける溶融部位の体積を低減することにより溶融エネルギーを削減することができるとともに、材料費の低減を図ることができる。そして、溶融エネルギーを低減することにより、第1の部材または第2の部材に伝わる熱量を低減することができるので、電子部品の温度が上昇することによる電子部品の故障の発生を抑制することができる。また、溶着治具を変更するだけで、従来と同じ製造方法を採用することができるので、製造コストの低減を図ることができる。
【0026】
また、本発明は、上記複数の溝部が、隣接する2つの溝部同士のなす角度それぞれが互いに等しくなるように配置されてなる連結方法であってもよい。
本構成によれば、前記貫通孔の周囲に等間隔に配置されてなり、第1の部材から第2の部材を離脱させる方向に力が加わったときに、特定の延出部に力が集中的に加わることによる延出部の破損を抑制できる複数の延出部を形成することができる。
【0027】
また、本発明は、上記溝部が、少なくとも3つ設けられてなる連結方法であってもよい。
また、本発明は、上記第1の部材に、上記第2の面に上記第2の部材を係合するための1つ以上の係合凹部を形成する工程と、上記第2の部材に、上記延出部における上記係合凹部に対応する部位に係合突起を形成する工程とを含む連結方法であってもよい。
【0028】
本構成によれば、第1の部材と第2の部材とが連結した状態において、係合凹部と係合突起とが係合するので、連結強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施の形態1に係る連結構造および連結方法を説明するための図であり、(a)は連結開始時に溶着ボスの先端側から視た平面図、(b)は(a)におけるA1−A1線で破断した断面図、(c)は溶着ボスを加熱溶融しているときに溶着ボスの先端側から視た平面図、(d)は(c)におけるA2−A2線で破断した断面図、(e)は連結完了時に溶着ボスの先端側から視た平面図、(f)は(e)におけるA3−A3線で破断した断面図である。
【図2】実施の形態1に係る連結方法に用いられる溶着治具を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は(b)におけるA4−A4線で破断した断面図である。
【図3】実施の形態2に係る連結構造および連結方法を説明するための図であり、(a)は連結開始時に溶着ボスの先端側から視た平面図、(b)は(a)におけるA1−A1線で破断した断面図、(c)は溶着ボスを加熱溶融しているときに溶着ボスの先端側から視た平面図、(d)は(c)におけるA2−A2線で破断した断面図、(e)は連結完了時に溶着ボスの先端側から視た平面図、(f)は(e)におけるA3−A3線で破断した断面図である。。
【図4】実施の形態3に係る連結構造および連結方法を説明するための図であり、(a)は連結開始時に溶着ボスの先端側から視た平面図、(b)は(a)におけるA1−A1線で破断した断面図、(c)は溶着ボスを加熱溶融しているときに溶着ボスの先端側から視た平面図、(d)は(c)におけるA2−A2線で破断した断面図、(e)は連結完了時に溶着ボスの先端側から視た平面図、(f)は(e)におけるA3−A3線で破断した断面図である。
【図5】実施の形態4に係る連結構造および連結方法を説明する図であり、(a)は連結開始時に溶着ボスの先端側から視た平面図、(b)は(a)におけるA1−A1線で破断した断面図、(c)は溶着ボスを加熱溶融しているときに溶着ボスの先端側から視た平面図、(d)は(c)におけるA2−A2線で破断した断面図、(e)は連結完了時に溶着ボスの先端側から視た平面図、(f)は(e)におけるA3−A3線で破断した断面図である。
【図6】実施の形態5に係る連結構造および連結方法を説明する図であり、(a)は連結開始時の溶着ボスの先端側から視た平面図、(b)は(a)におけるA1−A1線で破断した断面図、(c)は溶着ボスを加熱溶融しているときに溶着ボスの先端側から視た平面図、(d)は(c)におけるA2−A2線で破断した断面図、(e)は連結完了時に溶着ボスの先端側から視た平面図、(f)は(e)におけるA3−A3線で破断した断面図である。
【図7】従来例に係る連結方法において、(a)は連結開始時における平面図(溶着ボス先端面側から視た)、(b)は(a)におけるA1−A1線で破断した断面図、(c)は溶着治具により溶着ボスを加熱溶融している状態における平面図、(d)は(c)におけるA2−A2線で破断した断面図、(e)は連結後における平面図、(f)は(e)においてA3−A3線で破断した断面図である。
【図8】従来例に係る連結方法に用いられる溶着治具を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は(b)におけるA4−A4線で破断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<実施の形態1>
本実施の形態に係る連結構造は、図1(e)および(f)に示すように、板状の第1の部材3と、円柱状の突出部22が設けられた第2の部材1とを連結してなる構造である。
【0031】
第1の部材3は、第1の面3aと第1の面3aとは反対側の第2の面3bとを有し、第1の面3aから第2の面3bまで貫通する貫通孔4が形成されてなる。
第2の部材1は、熱可塑性樹脂等により形成され、板状の主部11と、主部11における第1の部材3の第1の面3aに対向する面側に形成された円柱状の基台部21とを備える。また、突出部22は、基台部21の第3の面21a上に基台部21と連続一体に設けられている。この突出部22は、第1の部材3に貫設された貫通孔4に挿通されており、基台部21の第3の面21aに第1の部材3の第1の面3aが当接している。また、突出部22の先端部から第2の面3bに沿って貫通孔4の外側へ貫通孔4を中心として放射状に3つの延出部2eが延出しており、基台部21の第3の面21aと延出部2eとで第1の部材3を挟持している。
【0032】
次に、第1の部材3と第2の部材1とを連結する前における第2の部材1の構造についてする。
第2の部材1は、図1(a)および(b)に示すように、第1の部材3の第1の面3aに対向する側に、基台部21、突出部22および延出部2eの基となる溶着ボス2が設けられてなる。この溶着ボス2は、図1(a)および(b)に示すように、略円柱状に形成され、貫通孔4よりも径が大きい大径部2Lと、貫通孔4よりも径がやや小さい小径部2Sとから構成されている。ここで、小径部2Sは、軸方向の長さが第2の部材1の厚みよりも長くなるように形成されており、小径部2Sを貫通孔4に挿通させる形で、第1の部材3と第2の部材1とを重ね合わせと、小径部2Sの先端部2aが、第1の部材3の第2の面側に突出する。また、小径部2Sの先端部2aは、中央部に凹部2bが形成されている。
【0033】
次に、第1の部材3と第2の部材1との連結の際に、溶着ボス2の溶融に使用する溶着治具5の構造について説明する。
溶着治具5は、図1(b)および図2(a)乃至(c)に示すように、略円柱状に形成されており、溶着ボス2に当接させる当接面5aには、中央部に形成された円形の第1の溝部5cと、第1の溝部5cの略中央部に突設され溶着ボス2の凹部2bに嵌合する形状に形成された凸部5bと、第1の溝部5cから外側に向かって放射状に延出する3つの第2の溝部5eとが設けられている。ここで、凸部5bは、略円錐状に形成されている。そして、溶着治具5の当接面5aを溶着ボス2の先端部2aに当接させたときに、当接面5aのうち第1の溝部5cおよび第2の溝部5e以外の部位5fが、第1の部材3の第2の面3bに当接するとともに、凸部5bの円錐面5dが溶着ボス2の凹部2bの周面に接触し、第1の溝部5cの底面における凸部5bの外周部が溶着ボス2の先端部2aにおける凹部2bの外周部2cに接触することになる。
【0034】
次に、本実施の形態に係る連結方法について説明する。
まず、図1(a)および(b)に示すように、溶着ボス2の先端部2aと溶着治具5の当接面5aとを接近させていき(図1(b)中の矢印参照)、溶着ボス2の先端部2aに形成された凹部2bに溶着治具5の当接面5aに形成された凸部5bが嵌合する形で、溶着ボス2の先端部2aに溶着治具5の当接面5aを当接させる。
【0035】
続いて、溶着治具5を第2の部材1に押さえ付ける方向に、溶着ボス2に圧力を加えながら、溶着治具5から溶着ボス2に熱を伝える。このとき、溶着治具5からは、主に凸部5bの円錐面5dおよび第1の溝部5cの底面を介して溶着ボス2に熱が伝わる。すると、溶着ボス2は、先端部2aから貫通孔4の内側に配置された部位までが加熱溶融され、溶融された溶着ボス2が、溶着治具5の凸部5bの円錐面5dにより、第1の溝部5cから第2溝部5eに沿って外側に押し出される(図1(c)および(d))。
【0036】
そして、図1(e)および(f)に示すように、放射状に3方向に延びる延出部2eが形成され、第1の部材3と第2の部材1とが連結された状態となる。
溶着リブ2のうち加熱溶融される部分の先端部2aからの軸方向の長さについて、以下の[数2]に示す関係式が成立する。
【0037】
【数2】
【0038】
ここにおいて、溶着ボス2が加熱溶融される部分の長さをL、溶着ボス2の直径をd、延出部2eに外接する円の直径をD、延出部2eの厚みをT、平面視における3本の延出部2eおよび演出部2eに外接する円のうち平面視で延出部2eと重ならない部位の面積をSとしている。
【0039】
[数1]および[数2]とを比較すると、従来例における平面視円形状の延出部52fの直径D1と、本実施の形態に係る延出部2eに外接する円の直径Dとを同じにしながらも、溶着ボス2における加熱溶融される部分の長さをL−L0=ST/[π(d/2)2]だけ短くすることができることがわかる。
【0040】
結局、本実施の形態に係る連結構造は、溶着ボス2における加熱溶融される部分の長さの短縮、即ち、加熱溶融される部分の体積の縮小を図ることができるので、加熱溶融に必要な熱エネルギーを低減することができるから、連結強度の低下を抑制しながらも加熱時間を短縮することができる。これにより、例えば、第1の部材3に電子部品が実装されている場合には、第1の部材3に伝わる熱量を抑えることができるので、電子部品が高温になることによる電子部品の故障を防ぐことができる。また、平面視円形状の構成とした場合に比べて、貫通孔4の中心から延出部2eの先端部までの距離(貫通孔4の中心から延出部2eの先端部に外接する円の半径D/2)を大きくすることができるので、延出部2eが貫通孔4から抜けにくくなるので、連結強度の向上が図れる。更に、溶着ボス2の形成に必要な材料を減らすことができ、コスト低減を図ることができる。
【0041】
<実施の形態2>
本実施の形態に係る連結構造は、実施の形態1と略同様であり、図3に示すように、第1の部材3における延出部2eが当接する部位の一部に、係合凹部4bが形成されている点のみが相違する。なお、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0042】
係合凹部4bは、第1の部材3の第1の面3aから第2の面3bにまで貫通しており、貫通孔4と連続一体に形成されている。そして、この係合凹部4bには、延出部2eの一部が埋没することになる。以下、この延出部2eにおける係合凹部4bに埋没している部位を係合突起2e1と称する。
【0043】
次に、本実施の形態に係る連結方法について説明する。
まず、図3(a)および(b)に示すように、溶着ボス2の先端部2aと溶着治具5の当接面5aとを接近させていき(図1(b)中の矢印参照)、溶着ボス2の先端部2aに形成された凹部2bに溶着治具5の当接面5aに形成された凸部5bが嵌合する形で、溶着ボス2の先端部2aに溶着治具5の当接面5aを当接させる。
【0044】
続いて、溶着治具5を第2の部材1に押さえ付ける方向に、溶着ボス2に圧力を加えながら、溶着治具5から溶着ボス2に熱を伝える。このとき、溶着治具5からは、主に凸部5bの円錐面5dおよび第1の溝部5cの底面を介して溶着ボス2に熱が伝わる。すると、溶着ボス2は、先端部2aから貫通孔4の内側に配置された部位までが加熱溶融され、溶融された溶着ボス2が、溶着治具5の凸部5bの円錐面5dにより、第1の溝部5cから第2溝部5eに沿って外側に押し出される(図3(c)および(d)参照)。このとき、溶融された溶着ボス2は、第1の部材3に貫設された貫通孔4の周壁から係合凹部4bの中へも侵入していく。
【0045】
そして、図3(e)および(f)に示すように、放射状に3方向に延び且つ第1の部材3に設けられた係合凹部4bそれぞれに嵌合する係合突起2e1を有する延出部2eが形成され、第1の部材3を、基台部21の第3の面21aと延出部2eにおける平面視で係合凹部4bと重ならない部位とで挟持する形で、第1の部材3と第2の部材1とが連結された状態となる。
【0046】
溶着リブ2のうち加熱溶融される部分の先端部2aからの軸方向の長さについて、以下の[数3]に示す関係式が成立する。
【0047】
【数3】
【0048】
ここにおいて、溶着ボス2が加熱溶融される部分の長さをL、溶着ボス2の直径をd、延出部2eに外接する円の直径をD、延出部2eの厚みをT、平面視における3本の延出部2eおよび延出部2eに外接する円のうち平面視で延出部2eと重ならない部位の面積をS1(図3(e)参照)、係合突起2e1の体積をV1としている。
【0049】
[数1]および[数2]とを比較すると、従来例における平面視円形状の延出部52fの直径D1と、本実施の形態に係る延出部2eに外接する円の直径Dとを同じにしながらも、溶着ボス2における加熱溶融される部分の長さをL−L0=(S1×T−V1)/[π(d/2)2]だけ短くすることができることがわかる。
【0050】
本実施の形態に係る連結構造では、延出部2eに、第1の部材3に形成された係合凹部4bに嵌合する細長の係合突起2e1が形成されていることにより、実施の形態1に比べて第1の部材3の厚み方向の幅が大きくなり、第1の部材3を第2の部材1に対して基台部21の第3の面21aに沿って摺動させる方向へ加わる力に対する強度が向上している。特に、第2の部材1に対して第1の部材3を貫通孔4の中心軸周りに回転させる力に対する強度が向上している。
【0051】
<実施の形態3>
本実施の形態に係る連結構造は、実施の形態2に係る連結構造と略同様であり、図4に示すように、係合凹部4cが第1の部材3の厚み方向に貫通していない点のみが相違する。なお、実施の形態2の同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。また、連結方法については、実施の形態2と略同様なので、図示のみで説明を省略する。
【0052】
本実施の形態に係る連結構造では、実施の形態2と同様に、延出部2eに、第1の部材3に形成された係合凹部4cに嵌合する細長の係合突起2e1が形成されていることにより、実施の形態1に比べて第1の部材3の厚み方向の幅が大きくなり、第1の部材3を第2の部材1に対して基台部21の第3の面21aに沿って摺動させる方向へ加わる力に対する強度が向上している。特に、第2の部材1に対して第1の部材3を貫通孔4の中心軸周りに回転させる力に対する強度が向上している。
【0053】
また、係合凹部4cが、第1の部材3の厚み方向に貫通していないので、その分、実施の形態2に比べて、係合凹部4cに埋没した部位の体積([数3]におけるパラメータV1)が小さくなっている。これにより、延出部2eの体積を実施の形態2に比べて小さくすることができるので、溶着ボス2における加熱溶融される部分の体積を小さくし、加熱溶融に必要な熱エネルギーを低減することができるから、実施の形態2に比べて加熱時間を短縮することができる。
【0054】
<実施の形態4>
本実施の形態に係る連結構造は、実施の形態1に係る連結構造と略同様であり、図5に示すように、第1の部材3における延出部2eが当接する部位の一部に、係合凹部4dが形成されている点が相違する。なお、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
係合凹部4dは、第1の部材3の第1の面3aから第2の面3bにまで貫通しており、貫通孔4から離間した位置に形成されている。そして、この係合凹部4dには、延出部2eの一部が埋没することになる。以下、この延出部2eにおける係合凹部4dに埋没した部位を係合突起2e1と称する。
【0056】
次に、本実施の形態に係る連結方法について説明する。
まず、図5(a)および(b)に示すように、溶着ボス2の先端部2aと溶着治具5の当接面5aとを接近させる(図5(b)中の矢印参照)。
【0057】
その後、この溶着ボス2の先端部2aに形成された凹部2bに溶着治具5の当接面5aに形成された凸部5bが嵌合する形で、溶着ボス2の先端部2aに溶着治具5の当接面5aを当接させる。
【0058】
続いて、溶着治具5を第2の部材1に押さえ付ける方向に、溶着ボス2に圧力を加えながら、溶着治具5から溶着ボス2に熱を伝える。このとき、溶着治具5からは、主に凸部5bの円錐面5dおよび第1の溝部5cの底面を介して溶着ボス2に熱が伝わる。すると、溶着ボス2は、先端部2aから貫通孔4の内側に配置される部位までが加熱溶融され、溶融された溶着ボス2が、溶着治具5の凸部5bの円錐面5dにより、第1の溝部5cから第2溝部5eに沿って外側に押し出される(図5(c)および(d)参照)。このとき、溶融された溶着ボス2は、第1の部材3の第2の面3b側から係合凹部4dに回り込む。
【0059】
そして、図5(e)および(f)に示すように、放射状に3方向に延び且つ係合凹部4bそれぞれに嵌合する係合突起2e1を有する延出部2eが形成され、第1の部材3と第2の部材1とが連結される。
【0060】
本実施の形態に係る連結構造では、第1の部材3に形成された係合凹部4bに、延出部2eに形成された係合突起2e1が嵌合することにより、第1の部材3を第2の部材1に対して基台部21の第3の面21aに沿って摺動させる方向へ加わる力に対する強度が向上している。特に、第2の部材1に対して第1の部材3を貫通孔4の中心軸周りに回転させる力に対する強度が向上している。
<実施の形態5>
本実施の形態に係る連結構造は、実施の形態4と略同様であり、図6に示すように、係合凹部4eが第1の部材3の厚み方向に貫通していない点のみが相違する。なお、実施の形態2の同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0061】
本実施の形態では、図6に示すように、第1の部材3に形成された係合凹部4eに、延出部2eに設けられた係合突起2e1が嵌合することにより、第1の部材3を第2の部材1に対して基台部21の第3の面21aに沿って摺動させる方向へ加わる力に対する強度が向上している。特に、第2の部材1に対して第1の部材3を貫通孔4の中心軸周りに回転させる力に対する強度が向上している。
【0062】
また、係合凹部4eが、第1の部材3の厚み方向に貫通していないので、その分、実施の形態4に比べて、係合凹部4eに埋没した部位の体積([数3]におけるパラメータV1)が小さくなっている。これにより、延出部2eの体積を実施の形態4に比べて小さくすることができるので、溶着ボス2における加熱溶融される部分の体積を小さくし、加熱溶融に必要な熱エネルギーを低減することができるから、実施の形態4に比べて加熱時間を短縮することができる。
【0063】
<変形例>
(1)前述の実施の形態1では、溶着治具5の溝部5eの数が3つの例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、溶着治具5の溝部5eの数が3つ以上の方向に延出するものであってもよい。溶着治具5の溝部5eが3つ以上の方向に延出していれば、延出部2eが3つ以上形成され、延出部2eにより第1の部材3を3点以上で固定することができるので、第2の部材1に第1の部材3をより強固に固定することができる。また、延出部2eの厚みを厚くし、更に、溶着ボス2の長さを短くすることができれば、第1の部材3に溶着治具5の当接面5aを必ず当接させる必要はなく、突出部5fと他方の部材3の間に薄いかしめ部が形成されても構わない。
【0064】
(2)前述の実施の形態2乃至5に係る係合凹部4b,4c,4d,4eの形状は、本実施の形態ので説明した形状に限定されない。
また、3つの延出部2eのうちの1つまたは2つの延出部2eに対応する部位だけに係合凹部4b,4c,4d,4eを形成するようにしてもよい。
【0065】
(3)前述の実施の形態4および5では、第1の部材3における各延出部2eに対応する部位に、係合凹部4d,4eを1つずつ形成する例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、1つの延出部2eに対応する部位に複数の係合凹部4d,4eを形成してもよい。
【0066】
(4)前述の実施の形態1乃至4では、溶着ボスが熱可塑性の合成樹脂により形成されてなる例について説明したが、これに限定されるものではなく、金属以外の熱可塑性の材料であれば他の材料を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、部材同士を溶着リブを用いて連結する連結構造、および、当該連結構造を得るための連結方法に好適である。そして、コスト低減および連結時の加熱時間の短縮が要求される連結構造に有効である。
【符号の説明】
【0068】
1 第2の部材
2 溶着ボス
2a 先端面
2b 凹部
2c 外周部
2e、2f 延出部
2e1 係合突起
3 第1の部材
3a 第1の面
3b 第2の面
4 貫通孔
4b、4c、4d、4e 係合凹部
5 溶着治具
5a 当接面
5b 凸部
5c 第1の溝部
5d 円錐面
5e 第2の溝部
21 基台部
21a 第3の面
22 突出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と当該第1の面とは反対側の第2の面とを有し、前記第1の面から前記第2の面まで貫通する貫通孔が形成されてなる第1の部材と、
前記第1の部材の前記第1の面に対向する第3の面を有し、前記第3の面に設けられ且つ前記貫通孔に挿通された熱可塑性材料からなる突出部および当該突出部の先端部から前記第2の面における前記貫通孔の外側へ前記貫通孔を中心として放射状に延出してなる熱可塑性材料からなる複数の延出部を有する第2の部材とを備え、
前記第3の面と前記延出部とで挟持する形で、前記第1の部材と前記第2の部材とを連結してなる
ことを特徴とする連結構造。
【請求項2】
前記複数の延出部は、隣接する2つの前記延出部同士のなす角度それぞれが互いに等しくなるように配置されてなる
ことを特徴とする請求項1記載の連結構造。
【請求項3】
前記延出部は、少なくとも3つ設けられてなる
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の連結構造。
【請求項4】
前記第1の部材は、前記第2の面に前記第2の部材を係合するための1つ以上の係合凹部が形成されてなり、
前記第2の部材は、前記延出部における前記係合凹部に対応する部位に係合突起が形成されてなる
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の連結構造。
【請求項5】
前記係合凹部の外形サイズは、前記延出部の外形サイズよりも小さく形成されてなる
ことを特徴とする請求項4記載の連結構造。
【請求項6】
前記係合凹部は、前記貫通孔と連続して形成されてなる
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の連結構造。
【請求項7】
前記係合凹部は、前記第1の部材における前記第1の面から第2の面まで貫通する
ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の連結構造。
【請求項8】
第1の面と当該第1の面とは反対側の第2の面とを有する第1の部材に前記第1の面から前記第2の面まで貫通する形で形成された貫通孔に、前記第1の部材の前記第1の面に当接する第3の面を有する第2の部材の前記第3の面側に設けられた溶着ボスを前記貫通孔に挿通する工程と、前記貫通孔から前記第2の面側に突出する前記溶着ボスの先端部を溶着治具により加熱溶融しながら押圧することにより、前記貫通孔に挿通された突出部および当該突出部の先端部から前記第2の面における前記貫通孔の外側へ延出してなる延出部を形成する工程とを含む連結方法であって、
前記溶着治具は、前記溶着ボスの先端部との当接面の中央部に突設された突出部と、前記当接面の中央部から前記当接面の外周部に向かって放射状に延びた複数の溝部とが設けられてなり、前記溶着ボスの先端部を溶着治具により加熱溶融しながら押圧すると、溶融した前記溶着ボスの先端部が前記突出部により前記溝部に沿って押し出されることにより前記延出部が形成される
ことを特徴とする連結方法。
【請求項9】
前記複数の溝部は、隣接する2つの前記溝部同士のなす角度それぞれが互いに等しくなるように配置されてなる
ことを特徴とする請求項8記載の連結方法。
【請求項10】
前記溝部は、少なくとも3つ設けられてなる
ことを特徴とする請求項9に記載の連結方法。
【請求項11】
前記第1の部材に、前記第2の面に前記第2の部材を係合するための1つ以上の係合凹部を形成する工程と、
前記第2の部材に、前記延出部における前記係合凹部に対応する部位に係合突起を形成する工程とを含む
ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の連結方法。
【請求項1】
第1の面と当該第1の面とは反対側の第2の面とを有し、前記第1の面から前記第2の面まで貫通する貫通孔が形成されてなる第1の部材と、
前記第1の部材の前記第1の面に対向する第3の面を有し、前記第3の面に設けられ且つ前記貫通孔に挿通された熱可塑性材料からなる突出部および当該突出部の先端部から前記第2の面における前記貫通孔の外側へ前記貫通孔を中心として放射状に延出してなる熱可塑性材料からなる複数の延出部を有する第2の部材とを備え、
前記第3の面と前記延出部とで挟持する形で、前記第1の部材と前記第2の部材とを連結してなる
ことを特徴とする連結構造。
【請求項2】
前記複数の延出部は、隣接する2つの前記延出部同士のなす角度それぞれが互いに等しくなるように配置されてなる
ことを特徴とする請求項1記載の連結構造。
【請求項3】
前記延出部は、少なくとも3つ設けられてなる
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の連結構造。
【請求項4】
前記第1の部材は、前記第2の面に前記第2の部材を係合するための1つ以上の係合凹部が形成されてなり、
前記第2の部材は、前記延出部における前記係合凹部に対応する部位に係合突起が形成されてなる
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の連結構造。
【請求項5】
前記係合凹部の外形サイズは、前記延出部の外形サイズよりも小さく形成されてなる
ことを特徴とする請求項4記載の連結構造。
【請求項6】
前記係合凹部は、前記貫通孔と連続して形成されてなる
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の連結構造。
【請求項7】
前記係合凹部は、前記第1の部材における前記第1の面から第2の面まで貫通する
ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の連結構造。
【請求項8】
第1の面と当該第1の面とは反対側の第2の面とを有する第1の部材に前記第1の面から前記第2の面まで貫通する形で形成された貫通孔に、前記第1の部材の前記第1の面に当接する第3の面を有する第2の部材の前記第3の面側に設けられた溶着ボスを前記貫通孔に挿通する工程と、前記貫通孔から前記第2の面側に突出する前記溶着ボスの先端部を溶着治具により加熱溶融しながら押圧することにより、前記貫通孔に挿通された突出部および当該突出部の先端部から前記第2の面における前記貫通孔の外側へ延出してなる延出部を形成する工程とを含む連結方法であって、
前記溶着治具は、前記溶着ボスの先端部との当接面の中央部に突設された突出部と、前記当接面の中央部から前記当接面の外周部に向かって放射状に延びた複数の溝部とが設けられてなり、前記溶着ボスの先端部を溶着治具により加熱溶融しながら押圧すると、溶融した前記溶着ボスの先端部が前記突出部により前記溝部に沿って押し出されることにより前記延出部が形成される
ことを特徴とする連結方法。
【請求項9】
前記複数の溝部は、隣接する2つの前記溝部同士のなす角度それぞれが互いに等しくなるように配置されてなる
ことを特徴とする請求項8記載の連結方法。
【請求項10】
前記溝部は、少なくとも3つ設けられてなる
ことを特徴とする請求項9に記載の連結方法。
【請求項11】
前記第1の部材に、前記第2の面に前記第2の部材を係合するための1つ以上の係合凹部を形成する工程と、
前記第2の部材に、前記延出部における前記係合凹部に対応する部位に係合突起を形成する工程とを含む
ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の連結方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2012−218275(P2012−218275A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85697(P2011−85697)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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