連続メンブレン吸着方法および装置
クロマトグラフ分離プロセスを含む、生物薬剤生成物を生産するための方法とシステムが提供される。この方法は、複数のメンブレン吸着体カートリッジを準備することと、これら複数のメンブレン吸着体カートリッジに連絡し合うように結合して複数のバルブを準備することと、前記複数のバルブを切り替えることにより、メンブレン吸着体カートリッジを相互接続して向流フローモードで動作させることと、を含む。本システムは相互接続された複数のメンブレン吸着体を備え、向流フローモードで動作するように構成されている。更に、本構成はこれらのカートリッジがプロセスの種々のステップを実行されるように、バルブを自動的に切り替えることができるバルブ組立体を備える。このようにして、1つのバッチでの精製の間、カートリッジを何度も再利用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクロマトグラフ分離方法および装置に関する。特に本発明は生物薬剤生成物の精製に適したメンブレン吸着システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生物薬剤生成物の生産は通常バクテリア、酵母、動物、および/またはトランスジェニック細胞の培養を含む。発酵または培養のプロセスではバイオマス、所望の生成物、および多くの他の成分を溶液に含むブロスが生成される。他の成分としては混入物および生成物に関連した不純物がある。これらは、例えば、培養基の成分(抗生物質、グルコース、アミノ酸)、ウィルス、エンドトキシン、DNA、会合体および宿主細胞のタンパクである。
【0003】
求められる安全性および有効性の条件を満たした生物薬剤生成物を生産するため、通常多段の精製が行われ、混入物および生成物に関連した不純物が除去される。クロマトグラフプロセスでは2つのモードが知られている。
−フロースルー:プロセス溶液はクロマトグラフィーベッドを通過し、1つまたはそれ以上の混入物が樹脂に結合する。プロセス溶液は、対象となる溶解している生成物と共にベッドを通過し、混入物が大幅に減少されて採取される。
−結合および溶出:対象となる生成物は選択的に樹脂に結合するが、大部分の混入物が溶解しているプロセス溶液はベッドを通過する。次いで、対象とする生成物はこの後の段階で溶出され、高度に精製されて収集される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メンブレン吸着体の利点が、フロースルー動作ではうまく利用されている。しかしながら、結合および溶出の形式のクロマトグラフィーでは、メンブレン吸着体の性質には二、三の重大な欠点、特に容量(volumetric capacity)が低いという欠点がある。すなわち、メンブレン材の単位体積あたりのメンブレン吸着体に結合する生成物の量が少ない。したがって、対象とする生成物の収率を改善しつつメンブレン吸着体を用いることができる方法を提供することへの要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの実施形態により、クロマトグラフ分離プロセスを含む、生物薬剤生成物を生産するための方法が提供される。この方法は、複数のメンブレン吸着体カートリッジを準備することと、前記複数のメンブレン吸着体カートリッジに連絡し合うように結合している複数のバルブを準備することと、前記複数のバルブを切り替えることにより、メンブレン吸着体カートリッジを相互接続して向流フローモードで動作させることと、を含む。
【0006】
本発明のもう1つの実施形態により、クロマトグラフシステムが提供される。このクロマトグラフシステムは、複数のメンブレン吸着体カートリッジと、前記の複数のメンブレン吸着体カートリッジに連絡し合うように結合しているバルブ組立体と、これらのバルブを制御するように構成されたプロセッサとを備え、前記メンブレン吸着体カートリッジは相互接続されるようにかつ向流モードで動作するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
メンブレン吸着体を、ここで説明するシステムとともに用いることにより、これらのメンブレン吸着体を用いるプロセスの経済性は、たとえこのメンブレン吸着体が1回限りで(使い捨てとして)用いられた場合であっても、充填ベッドを用いるものに対し更に優位性のあるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、対象とする生物薬剤生成物を得るための、反復プロセス100の概略図である。
【図2】図2は、結合動作110の備える前処理および後処理のステップを示す図である。
【図3】図3は、溶出動作130の備える前処理および後処理のステップを示す図である。
【図4】図4は、図1中に示されたプロセスフロー例の、他の実施形態を示す図である。
【図5】図5は、プロセッサ1300が複数のバルブを適時に動作させる形態の一例を示す図である。
【図6】図6は、本発明によるバルブ装置を示す図である。
【図7】図7は、ダクトレイアウト部品9の構造を示す図である。
【図8】図8は、中央部品12を示す図面である。
【図9】図9は、ベース部品13を示す図面である。
【図10】図10は、別体の組立部品を示す図面である。
【図11】図11は、マニホールドを示す概略図である。
【図12】図12は、押圧手段を模式的に示す図である。
【図13】図13は、メンブレン吸着体カートリッジ31を用いたクロマトグラフ分離を実施するための、単一のカートリッジの構成を示す図である。
【図14】図14は、複数のカートリッジが相互接続を示す図である。
【図15a】図15aは、バルブ切り替え設定の異なるステップを示す図である。
【図16】図16は、2つの連続的に切り替えられるセット42aおよび42bを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
結合および溶出の動作と、フロースルーの動作との双方に対し、充填ベッドクロマトグラフィーが慣用されている。充填ベッドクロマトグラフには、しかしながら、二、三の大きな欠点がある。最も大きな欠点は、充填ベッドクロマトグラフィーは非常に高い線流速に耐えられないという事実である。多くの場合、連続クロマトグラフィープロセスのスループットは、プロセス速度や結合能力による制限によるよりも、むしろ充填ベッドの水力学的能力によって制限されている。
【0010】
結果として、カラムの直径はプロセスの体積スループットにより決定される。大規模なモノクローナル抗体製造プロセスでは、2mにも及ぶ直径のカラムが報告されている。このような大直径のカラムを充填するのに必要な樹脂の量は数百リットルにも達し、フロースルーモードにおける溶液から全ての微量成分を捕獲するのに必要な量より遥かに多い。
【0011】
このため、メンブレン吸着体はフロースルークロマトグラフィーに盛んに用いられるようになっている。メンブレン吸着体の基本的な特性は、就中、RoperとLightfoot(Journal of Chromatography A(1995)702,pp.3−26)、C. Boi等(J. Of Chrom.A.(2007)), doi:10.1016/j.chroma.2007.02.008)およびCharcosset(Biotechnology Advances, 24(2006)pp.482−492)により記述されている。メンブレン吸着体は本質的に標準的なフローフィルターメンブレンシステムと同一であり、このメンブレン材質はリガンドにより官能化されている。これによりメンブレン吸着体はこのメンブレンを通過する溶液から成分を結合する能力が与えられる。結局、メンブレン吸着体は基本的にクロマトグラフィーベッドの機能に標準的なフローフィルターメンブレンの流体力学的特性を結びつけたものである。
【0012】
今日では、メンブレン吸着体の大部分は1回限りの使用向けに(使い捨ての体裁で)設計されている。これはカートリッジ全体が1回のバッチ処理のみで使用されるように設計されていることを意味する。プロセス溶液のバッチが処理されると、このカートリッジは工程から取り外され廃棄される。フロースルー動作では、このようにすることの利点は、メンブレン吸着体を洗浄し、再使用のために再生する必要がないことである。この方法は、フロースルー動作に、充填ベッドクロマトグラフィーの代わりにメンブレン吸着体を用いることで二、三の追加の利点をもたらした。最も重要な利点は費用の削減であり、検証作業とコストをなくすことである(例えばGottschalk et al., Bioprocess International, May 2004, pp.56−65)。
【0013】
フロースループロセスの例は次のようなものである。微小量の混入物を除去するために、フロースルークロマトグラフィーはしばしば用いられる。モノクローナル抗体製造での混入物の例はDNA、ウィルスおよびエンドトキシンである。これらの混入物の多くはpH中性の条件で負に帯電しているのに対し、モノクローナル抗体生成物は本質的に電気的に中性である。これは混入物が、QセファローゼFF(Q Sepharose FF)(GEヘルスケア社)またはこれと同等の製品のような、陰イオン交換樹脂に結合されることを可能にする。このようなプロセスでは、モノクローナル抗体および微量混入物を含む溶液が、陰イオン交換樹脂が充填されたカラムを通過する。モノクローナル抗体生成物は樹脂に結合せず、プロセス溶液と共にカラムを通過する。カラム内部の樹脂は所定の種類の微量混入物を結合し、これにより、モノクローナル抗体生成物を含むプロセス溶液から微小混入物を取り除く。
【0014】
フロースルークロマトグラフィーでは、通常、メンブレン吸着体は生成溶液を「磨き(polishing)」のために用いられる。これにより、プロセス溶液中の微量混入物および生成物に関連した不純物が非常に低いレベルまで低減される。このような場合、メンブレン吸着体の体積結合能力(volumetric binding capacity)は、このような微量混入物および生成物に関連した不純物を捕獲するのに十分である。このような磨きの動作において、メンブレン吸着体は、生成物が収集される前に、洗浄および溶出されることが不要であるため、この比較的大きなデッドボリューム(dead volume)はそれほど重要ではない。
【0015】
モノクローナル抗体の精製における結合および溶出のプロセスの例を、プロテインAのクロマトグラフィーでの捕獲プロセスで示す。静澄にした培養プロセスの上澄みは溶解したモノクローナル抗体を含み、一般的にこのモノクローナル抗体は溶解物質の1−30%である。この溶液はプロテインAのクロマトグラフィーベッドを通過し、モノクローナル抗体はクロマトグラフ媒体の上にあるプロテインAのリガンドに結合する。このプロセス溶液はベッドを流れ、基本的にモノクローナル抗体のない状態でカラムから流出する。カラムがモノクローナル抗体で飽和した時点で、このカラムは洗浄されて、非特異的に結合している物質が取り除かれ、異なるプロセス条件(一般的に低いpH)で溶出される。このような溶出条件で、モノクローナル抗体はプロテインA媒体から放出され、カラム出口で収集される。通常このような結合および溶出のプロセスは、ごく微量の混入物と、ごく微量の、生成物に関連した不純物とを含む高純度の生成物をもたらす。
【0016】
過去10年に渡り、培養プロセスで達成されたモノクローナル抗体の発現レベルの上昇(例えばWurm, Nature Biotechnology,(2004)vol.22, nr.11,pp 1393−1398)で、結合および溶出のクロマトグラフィーは、多くのケースで経済的および技術的に受け入れられるものではなかった。メンブレン吸着体には以下の欠点がある。
−メンブレン吸着体が含むメンブレン物質の体積は比較的少ない。非常に高い流量を扱える、非常に大きなメンブレンカートリッジでさえ、充填ベッドが含むクロマトグラフ媒体ほど多くのメンブレン物質を含まない。
−カートリッジ内に比較的大きなデッドボリュームがある。すなわち、現状のメンブレン吸着体が、最小限の滞留体積となるように、注意深く設計されていたとしても、カートリッジ内部のデッドボリュームが、メンブレン物質の体積に比べ相対的に大きくなることは避けられない。結合および溶出の動作は、生成物が収集される前に、メンブレン吸着体を洗浄し、溶出することを必要とする。このデッドボリュームは、従って、効率の低下をもたらし、更に緩衝液の消費の増加と生成物濃度の低下をもたらす。
【0017】
本発明の1つの実施形態により提供される方法と構成は、複数のメンブレン吸着体カートリッジを備え、これらのカートリッジが相互に結合されて、向流モードで動作するように構成される。更に、この構成は、プロセスの異なるステップをこれらのカートリッジに実行するように、自動的にバルブを切り替えるバルブ組立体を備える。このようにして、バッチの精製の間にカートリッジは何回も再使用される。このような構成は比較的大きなデッドボリュームの欠点を軽減し、一方では利点である高い線流速および低い背圧をもたらす。これに加え、充填ベッドクロマトグラフプロセスに比べ、充填ベッドカラムに充填する面倒な準備作業を回避することができる。このことは非常に重要である。なぜならば、連続クロマトグラフィーシステムは一般的に複数のベッドを必要とし、これらのベッドは所定の範囲で再生可能に充填されることが必要であるためである。
【0018】
図1では、対象とする生物薬剤生成物を得るための、反復プロセス100が概略的に示されている。第1の結合動作110では、プロセス液が少なくとも1つのメンブレン吸着体カートリッジに注入される。このプロセス液は一般的に、対象とする成分、とりわけ生物薬剤生成物またはその前駆体を含み、吸着体カートリッジ31内のメンブレン吸着体(例えば、図12−図16に図示されている)は、対象とする成分をメンブレン吸着体に結合する機能を持つ。
【0019】
一例として、例えば組み換えタンパク質生成物の精製のために、メンブレンが親和性クロマトグラフィーを利用した吸着体の機能を持ったものや、対象生成物を結合し溶出する、イオン交換クロマトグラフィーおよび/または混合モードクロマトグラフィーを用いた吸着体の機能をもったものがあるが、それら自体は当業界に良く知られている。
【0020】
もう1つの例として、例えばDNAまたはウィルスベクターの精製のために、前記メンブレン吸着体カートリッジは親和性クロマトグラフィー、イオン交換または混合モードのリガンドを用いた、吸着体の機能を持つものがある。
【0021】
更にもう1つの例として、例えばモノクローナル抗体の精製のために、メンブレン吸着体カートリッジはプロテインAのクロマトグラフィー、陽イオン交換および/または混合モードのリガンドを用いた、吸着体の機能を持つものがある。
【0022】
結合動作110の後に、吸着体カートリッジは第1の切り替え動作120によって、他の液流に切り替えられる。この第1の切り替え動作120はバルブ組立体の少なくとも1つのバルブの切り替えを含み、溶出動作130を開始する。
【0023】
溶出動作130は、多くの前処理ステップと後処理ステップとを備える。これらのステップは、少なくとも1つのメンブレン吸着体から、対象とする生成物を溶出する溶出液流を注入する少なくとも1つのステップを含む。このように、溶出130の間に、対象とする生成物は、少なくとも1つのメンブレン吸着体から溶出され、そして更に慣用方法により生産される。
【0024】
バルブの切り替え動作120、140を制御するため、プロセッサ1300が設けられている(図13参照)。このプロセッサ1300は、好ましくは更に図5−図16で示す形態で、複数のバルブを適時に動作させることにより、液流とその方向を基本的に制御する。特に、このプロセッサ1300は、結合動作110におけるプロセス液流および動作130における溶出液流が向流モードとなるように設定する。
【0025】
連続向流プロセスが国際出願公開第WO2004/024284号パンフレットに記載されている。組み込まれている種々の液の各々は、システムの1つの注入口に接続されている。複数のカートリッジが連続して結合、洗浄、溶出、再生および平衡を実行され、1つのプロセスサイクルに含まれる多くのステップを構成するように、バルブが制御される。複数のカートリッジを直列に接続できるので、1つ以上のこれらのステップは原則的に向流モードで実施される。切り替えにより、処理液の流れの反対方向にカートリッジの疑似的な移動が行われる。これは更に効率的なプロセスを可能とし、化学薬品、溶媒、および水を大幅に節約することに繋がる。溶出動作130の後に、第2の切り替え動作140が実施される。この切り替え動作140はバルブ組立体の少なくとも1つのバルブを切り替えて、前記の結合動作110を、所定の停止基準に達するまで、反復するように繰り返す。この停止基準は、期間または、生物薬剤生成物の生産プロセス100の間に使用される特定の生成物または液の濃度基準である。
【0026】
好適な実施形態において、図2は、結合動作110も多くの前処理および後処理のステップを備えることを示す。すなわち結合動作110はこれに付随した多くの動作を含む。前処理としては特に再生動作111がある。これはメンブレン吸着体カートリッジへプロセス溶液を注入する前に実施される動作であり、この少なくとも1つの吸着体カートリッジ内のメンブレン吸着体に少なくとも1つの再生液を注入して、対象とする成分を結合するために行われる。再生動作111の後、第3の切り替え動作112が実施される。この切り替え動作112はバルブ組立体の少なくとも1つのバルブを切り替えて、ステップ113において、対象とする成分を結合させるプロセス液の注入を開始する。
【0027】
通常、再生液は、対象とする成分の結合の前に、メンブレン吸着体を洗浄、消毒および/または揮散、および/または平衡化する機能を持つ。これによりメンブレン吸着体は反復プロセスにおいて消耗せず、繰り返して出来る限り長く使用できる。
【0028】
また、図3には、溶出動作130は更に、多くの前処理および後処理のステップを備え、とりわけ、好ましくは洗浄動作131を含む。洗浄動作131は通常、メンブレン吸着体カートリッジへの緩衝液の注入を含み、前記の少なくとも1つのメンブレンにおけるデッドボリューム(dead volume)からプロセス液を吐出し、この吸着体カートリッジのプロセス液を前記の緩衝液と入れ替える。洗浄動作の後、第4の切り替え動作132が実施される。この切り替え動作132はバルブ組立体の少なくとも1つのバルブを切り替えて、ステップ133において、前記の溶出液流の注入を開始する。
【0029】
図4は、図1中に示されたプロセスフロー例の、他の実施形態を示す。このプロセスフロー400においては、反復的に精製プロセスが実施されて、精製された対象とする生物薬剤生成物を得る。このプロセスステップは図1の実施例と同様である。しかしながら、最初の結合動作410においては、図1中に示されるような対象とする生成物の結合の代わりに、メンブレン吸着体カートリッジにプロセス液を注入する。メンブレン吸着体カートリッジは、混入物のグループを、このメンブレン吸着体カートリッジ内のメンブレン吸着体に結合するための機能を持つ。この結合動作の後、通常は、所定時間後または重要なプロセスパラメータが所定の値に達した時に、切り替え動作420が実施される。この切り替え動作420はバルブ組立体の少なくとも1つのバルブを切り替えて、再生動作430を開始する。この再生動作は、結合動作の前に、少なくとも1つの吸着体カートリッジ内のメンブレン吸着体に少なくとも1種の再生液を注入することを含む。このようにしてメンブレン吸着体は最適に再生され、これによりメンブレンは消耗せず長い間使用できる。通常、この再生液は、向流接触モードにおいて少なくとも1つのメンブレン吸着体から混入物を脱着する、脱着機能を持つ。このようにして、最も効率的でかつ時間効率の良い仕方で、混入物がメンブレンから抽出される。更に、好ましくは、この再生液は、対象物となる成分の結合の前に、メンブレン吸着体を洗浄、消毒および/または揮散、および/または平衡化する機能を持つ。
【0030】
更に、この結合動作410および再生動作430は、それぞれ、多くの前処理および後処理のステップを含んでよい。これらのステップは、たとえば、多くの連続したバルブ切り替え動作(図示せず)で、吸着体カートリッジに複数種の液を注入することにより実施される。
【0031】
実施例として、このプロセス400はモノクローナル抗体、組み換えタンパク質、ウィルスベクターまたはDNA生成物の磨きのために用いられる。
【0032】
本発明のもう1つの実施形態では、このようなバルブカセット(valve cassette)はクロマトグラフ分離に用いられる装置であり、複数のコネクタを備えるマニホールドを備える。これらのコネクタは1つ以上のクロマトグラフ分離カートリッジの接続、および/または供給または抽出のチューブ配管に用いられる。ここで少なくとも1つの中央ダクトが、注入口と吐出口とをそれぞれ構成する少なくとも2つのコネクタの間に設けられる。この中央ダクトは閉鎖できるダクトバルブ(duct valve)を備える。更に、中央ダクトから分岐コネクタへの複数の分岐ダクトが設けられ、この分岐ダクトは閉鎖できる分岐バルブを備える。少なくとも1つの分岐ダクトが注入口と中央ダクトバルブとの間に設置され、少なくとも1つの分岐ダクトが吐出口と中央ダクトバルブとの間に設置される。
【0033】
本発明のもう1つの実施形態によれば、本システムは1つ以上の吸着体カートリッジを備え、この内少なくとも1つは注入口および吐出口におけるバルブマニホールドに接続されている。更に、本システムは複数の注入口と複数の吐出口を備える。複数のシステム注入口は、クロマトグラフィープロセスに組み込まれる複数の液のいずれでも輸送することができるポンプに接続されている。他の形態では、システムの吐出口は、精製プロセスにおける連続したステップの注入口、例えばメンブレンユニットや他のクロマトグラフィーのステップに接続することもできる。利便性のため、追加の複数のモニターがシステムの注入口および吐出口に接続されて、圧力、導電率、pHまたはUV吸収または他の重要プロセスパラメータ(これらに限定せず)を含む、関連したプロセス条件をモニターされる。
【0034】
バルブ装置の組み立てには色々なやりかたが考えられるが、1つの実施形態では、本発明によるバルブ装置は、図6およびさらに図7から図10に詳細に示すように、好ましくは2つまたは3つの別体の組立部品を備える。このバルブ配置は単純で費用効果が良い構造である利点を持ち、使い捨てで使用することが可能である。更に、このバルブ配置ではデッドボリューム(dead volume)が非常に小さい。構成に依存するが、大体数mmあるいは高々カートリッジ体積の2%であり、実質的にデッドボリュームはゼロである。この構成では、好ましくは、液溜まりのないバルブが使用される。
【0035】
このような実施形態(図5参照)では、マニホールド1は、カートリッジの吐出口とカートリッジの注入口とに接続可能な中央ダクト2を備える(例えば、図12中に示された配置を参照)。複数の分岐ダクト3はシステムの注入口および吐出口に接続可能で、供給液流および抽出液流に用いられる。更に、システム構成によって、複数の分岐ダクト3がカートリッジの注入口と吐出口に接続される。一般的に、中央ダクト2は、コネクタ4によって直列および/または並列に結合された連続したカートリッジの間の効率的な液流結合を提供し、流れの抵抗を最小にする。とりわけ、マニホールド1において、カートリッジ間の主流の抵抗を最小にする。好ましくは、システムの注入口および吐出口(図示せず)は、中央ダクト2に接続する分岐ダクト3に接続されている。ここで示す実施例では、マニホールド1はメンブレン吸着体カートリッジに結合可能である。このような構成では、複数の分岐コネクタ5はシステムの抽出吐出口を形成し、中央ダクト2の中央バルブ6によって、供給注入口を形成する複数の分岐コネクタ7から分離される。更にこの複数の分岐ダクト3は、分岐ダクトバルブ8により、中央ダクト2から分離される。通常はコネクタはどのようなタイプでもよいが、好ましくは衛生的なタイプであり、当業界に良く知られたトリクローバー(tri-clover)コネクタのようなコネクタである。概略図では複数のコネクタが突出した部品として示されているが、これ以外にもこれらのコネクタは雄−雌タイプでも可能である。更に他の代替として、これらのコネクタはガスケットタイプも可能である。
【0036】
好適なバルブのタイプは、中央バルブおよび分岐ダクトバルブ共に、図10の実施例で示すようにダイアフラムバルブである。このタイプのバルブは単純な構造と最適に設計された濡れ面を持ち、衛生部品に対する要求が非常に高い生物薬剤生成物のクロマトグラフプロセスでの使用に好適である。この点において、「最適に設計されている」という表現は、最小のデッドスペースであること、および最小の複雑な構造であることという条件を意味する。この条件は衛生面での要求の観点からは極めて厄介である。しかしながら、本発明はこのようなバルブに限定されるものでなく、他のバルブであっても同様な衛生面の特性であれば、組み込むことは可能である。
【0037】
1つの実施例として、バルブマニホールド1およびこの部品の典型的な配置を図6から図10に示す。この他に、同じ要求を満たす、多くの代替となる構成および設計が考えられることは明らかである。本明細書に含まれる図は例としてのみ示すものである。本発明はここで示す設計に限定されない。
【0038】
本発明の1つの実施形態では、図6に示すように、マニホールド1はダクトレイアウト部品9とダイアフラム10とから形成される。ダイアフラム10は、このダクトレイアウト部品9を閉鎖し、ダイアフラムバルブを形成する。そしてこのマニホールド1は対応する数の複数のアクチュエータ11を取り付けるマウンティングを備える。
【0039】
図7から図9に続けて示すように、ダクトレイアウト部品9は、ベース部品13(図9)とカバー部品14(図7)との間に結合された中央部品12(図8に図示)を備え、この中央部品12の一方の側面は分岐ダクト構造15に対応し、この中央部品12のもう一方の側面は中央ダクト構造16に対応し、この中央部品12はカバー部品14に設けられた複数の貫通孔17に対応する複数の貫通孔17を備え、前記カバー部品14は、複数の貫通孔17を閉鎖するために、中央ダクト構造16と分岐ダクト構造15との間にダイアフラムバルブ8を形成するように、ダイアフラム10に結合されている。これらの図では、明確にするために、限られた数の部品のみを特定しており、対応する部品は個別には参照されていない。
【0040】
特に、図7および図8は、左から右に、上面図(A)、下面図(B)、側面図(C)と、上面図Aおよび下面図Bに示されている断面I−IおよびII−IIをそれぞれ通る断面図D、Eとを示す。図9は、左から右に、上面図(A)、下面図(B)、および側面図(C)を示す。
【0041】
図7および図8から分かるように、中央ダクト構造16はダクト18とダクト19により形成されている。このダクト18とダクト19は、複数の貫通孔17および中央ダクトバルブ6を介して接続されている。
【0042】
更に、前記カバー部品14はこれらのバルブのダイアフラム10を含んでよい。他の形態では、このダイアフラム10は分離された構造部品で準備することも可能である。ダイアフラム10は、フレキシブルなダイアフラム20(図10参照)を備える。ダイアフラム20は、マニホールド1のこの部分で、システムの注入口または吐出口とカートリッジの注入口または吐出口との間の接続を開放または閉鎖することができる。
【0043】
前記の実施例では、前記のカバー部品14は、アクチェータ11を搭載して、前記のダクトレイアウト部品9に対してメンブレンを押圧または開放することにより、ダイアフラムバルブ8を開放または閉鎖することができるように構成されている。これらのアクチュエータ11はどのような種類であってもよい。一般に使用されるアクチュエータは電磁力または空気圧により動作する。
【0044】
図10は本発明によるバルブダイアフラム6および/またはバルブダイアフラム8の詳細な構造を示す。図10Aではバルブは開放位置で示され、図10Bではバルブは閉鎖位置で示されている。ここで、カバー部品14は、分岐ダクト(図示せず)と中央ダクト(図示せず)とに液流を通じる複数の貫通孔をもつことが示されている。この複数の貫通孔17は、フレキシブルなダイアフラム20により覆われる窪み21に形成されている。この窪み21において、ダイアフラム20を押圧することにより、貫通孔を通る流れは止められ、バルブ8は閉鎖される。
【0045】
第1の部品が、マニホールド1のこの部分で、システムの注入口または吐出口とカートリッジの注入口または吐出口との間の接続を開放または閉鎖することができる、ダイアフラムをまだ含んでいない場合、このマニホールド1は、ダイアフラム20を備えるかまたは搭載する第3の部品を備えていてもよい。
【0046】
いったん組み上げられると、この2つまたは3つの部品(ベース部品13、中央部品12、カバー部品14)は複数のダイアフラムバルブ8を備える1つのマニホールド1に一体化する。この複数のダイアフラムバルブ8は各々専用のアクチュエータ11を持ち、各々個別に制御されるようにしてもよい。
【0047】
複数のマニホールドにおいて、唯一濡らされる部品はダクトレイアウト部品9と、該当する場合、ダイアフラム10である。このダイアフラム10はダイアフラムバルブ8のダイアフラム20である。これらのバルブマニホールドの部品は、好ましくは使い捨て用または専用に設計される。
【0048】
本発明の1つの実施形態では、図11に概略的に図示されているように、各々のマニホールド1’の複数のシステム注入口および複数のシステム吐出口は、実際は、マニホールドを通って連絡する。すなわち、好ましくは少なくとも1つの分岐ダクト3は他の分岐22を備え、少なくとも2つの分岐コネクタ23の間に分岐ダクト3’を形成し、この分岐ダクト3’は中央ダクト2から液流を通じるとともに閉鎖可能である。これは複数のマニホールドを、別の分配器を用いることなく、互いに接続可能とする。複数のシステム注入口および複数のシステム吐出口の各々は複数のマニホールドの直列接続の一方の終端に接続されており、この直列接続のもう一方の終端はバルブにより閉鎖されるか、または永久に閉鎖されていてもよい。この、2つの連続したマニホールド間の接続は、異なる複数の注入口と複数の吐出口との間で衛生継手を用いて行うことができ、例えばトリクローバー(tri-clover)接続によって行われる。この場合、全てのシステム注入口および吐出口は隣接する2つのマニホールドの間に1つのクランプを必要とする。
【0049】
他の実施形態として、ガスケットのマニホールド側に窪みをモールド成形して、このような複数のガスケットにより、隣接するマニホールド間の漏れのない接続を確実にする。この場合、図12に模式的に示されているように、プレス24またはこれと同様な手段で、複数のマニホールドをまとめてきつく押圧しなければならない。更に他の実施形態として、全ての接続のガスケットが1つの層に結合され、この層が2つの隣接するマニホールド間に設置されなければならない。このような場合、複数のマニホールドには接続金具が装着されて、ガスケットの適切な位置合わせが確実にされる。この場合にも、この複数のマニホールドをまとめて強く押圧することによりシーリングが確実にされる。これは、例えばこの複数のマニホールドを、全てのシステム注入口および吐出口を複数のポンプ26、複数の器、複数の容器、等に接続する前側部品25と、複数の(マニュアル)バルブを含むか、または全てのシステム注入口および最後のマニホールドからのすべての吐出口を同様に閉鎖する後側部品27との間に挟み込むことによって行うことができる。前記の前側部品25および後側部品27はまとめて強く押圧される。これによりすべてのマニホールドがまとめて押圧され、これらのマニホールド間の接続の適切なシーリングが確実にされる。図12は複数のマニホールド1がまとめて押圧されて、複数のモジュール状部品1を備える1つのバルブユニット28を形成する実施形態例を示す。バルブユニット28は複数のシステム注入口29および複数のシステム吐出口30と、との間に結合されてカートリッジ31との間に結合されてクロマトグラフ分離システム32を形成している。
【0050】
本発明の1つの実施形態では、システムは3つのカートリッジと、これらの間に設けられた複数のバルブマニホールドとから成る。これらのマニホールドの各々は最少3つの注入口と最少2つの吐出口を持つ。この組み合わせはメリーゴーラウンド装置で通常実施されるような、連続プロセスを可能とする。これは、少なくとも1つのカートリッジ、一般的には2つの直列のカートリッジへの連続供給を含む。第1と第2のカートリッジがロードされている間に、第3のカートリッジは洗浄、溶出、および/または再生される。所定の時間後、まず第1のカートリッジが飽和すると、マニホールドのバルブは供給液が第2のカートリッジに適用されるように切り替わり、第1のカートリッジではプロセスの他のステップが行われる。第3のカートリッジは第2のカートリッジの吐出口に接続されている。
【0051】
本発明の1つの実施形態では、システムは4から8のカートリッジと、これらの間に設けられた複数のバルブマニホールドを備える。これらのマニホールドの各々は少なくとも3つの注入口およびすくなくとも3つの吐出口を備える。この組み合わせは連続分別処理を可能とする。バルブは個別に制御されているので、異なるゾーンの長さは動作中必ずしも一定である必要はなく、また流量は全プロセスサイクルに渡り、必ずしも一定である必要はない。
【0052】
本発明の1つの実施形態では、システムは8つ以上のカートリッジと、これらの間に設けられた複数のバルブマニホールドを備える。各々のマニホールドは最少5つ、好ましくは8つの注入口と、最少2つ、好ましくは4つの吐出口とを備える。この組み合わせは、イオン交換または親和性クロマトグラフィーを用いて、例えばモノクローナル抗体のような複合タンパク質の連続向流精製を可能とする。
【0053】
本発明の1つの実施形態では、システムは単一のカートリッジと、単一のバルブマニホールドとを備える。ポンプがバルブマニホールドのカートリッジ注入口に接続されており、バルブマニホールドからカートリッジ注入口に液を輸送する。このカートリッジ吐出口はバルブマニホールドのカートリッジ吐出口に接続される。システム注入口およびシステム吐出口はそれぞれ生成物または廃棄物の収集タンクに接続されている。このシステムは従来の単一カートリッジのクロマトグラフ精製を1つの使い捨てバルブマニホールドで実施することを可能にする。複数のバルブは全てのプロセス溶液がカートリッジに適切な順序でポンプ注入されるように制御される。カートリッジ注入口とカートリッジ吐出口を接続するバルブマニホールドのバルブは常時閉鎖されたままである。
【0054】
本発明の1つの実施形態では、システムは複数のカートリッジを備え、各々のカートリッジは異なる吸着材を搭載している。これにより完全に自動化された多段のクロマトグラフ精製を実施することが可能になる。これはシステム吐出口に接続された中間貯蔵室を含んでいてもいなくてもよい。この中間貯蔵室はシステム注入口にも接続されている。
【実施例】
【0055】
図13に、メンブレン吸着体カートリッジ31を用いたクロマトグラフ分離を実施するための、単一のカートリッジの構成を示す。この組立体は、1つのメンブレン吸着体カートリッジ31と、1つのマニホールド1と、1つのポンプ26とからなる。ポンプ26はバルブマニホールド1からカートリッジ31に向けて液を輸送するのに用いられる。このバルブマニホールドは複数の貯蔵容器(図示せず)から適切な溶液を選択して、カートリッジからの流出物を廃棄物かまたは生成物の収集容器(図示せず)に向けるために用いられる。通常の動作では、マニホールド1の中央バルブ6は閉鎖されている。この構造は分離に必要な数の注入口および吐出口を設けることが可能である。
【0056】
プロセッサ1300はマニホールド1の複数のバルブを制御するように設定されている。このマニホールドは、好ましくは図6−図10に示すタイプのものである。それはこのタイプが使い捨てできる濡らされる部品を持つからである。とりわけ、このマニホールドは複数のアクチュエータ(図示せず)により作動され、これらのアクチュエータはプロセッサ1300により制御される。これらのアクチュエータはダイアフラムバルブのダイアフラム20を押圧して、これらのバルブを開放または閉鎖の位置にして、バルブ切り替え動作を効果的に制御する。
【0057】
図13は単一のメンブレンを示すが、一般的には複数のカートリッジが相互接続されている(図14−図16も参照)。このプロセッサはバルブ設定を制御するようにプログラムされており、図1と図4で説明されたように、動作110、130、410および430のそれぞれで、向流モードで稼動するように、設定されている。
【0058】
切り替え時間は、好ましくは実効的なメンブレン輸送速度が、吸着される成分の流入速度とバランスするように制御される。カートリッジ内のメンブレン物質が低容量であることおよび低体積であることを考慮し、メンブレン吸着体の輸送速度は比較的大きくなければならず、結局切り替え時間は比較的短くなる。好ましいモードでは、プロセッサはメンブレンの容量の関数、すなわち実効的メンブレン輸送量と、吸着される成分の流入量との関数としてサイクル速度を与えるようにプログラムされる。
【0059】
ハードウェアと制御アルゴリズムは、好ましくは、メンブレン吸着体が低容量であることを考慮して、短いロード時間で速いサイクル速度に達するように、準備される。このようにして、複数のメンブレン吸着体を用いた連続クロマトグラフ精製が実現される。
【0060】
結合および溶出のクロマトグラフ分離を含む、生物薬剤生成物を供給する方法において、このシステムは図14および図15のように用いることも可能である。図15においては、前記の複数のメンブレン吸着体カートリッジが連続してプロセスサイクルの中の多くの処理ステップを実行されるように、図15のバルブ切り替え設定の異なるステップが示されている。これによりシステムは向流フローモードで動作する。システムは洗浄注入フロー1500、溶出注入フロー1501、清浄注入フロー1502、平衡注入フロー1503、および生成物供給注入フロー1504を備える。更に、生成物の吐出フロー1505と廃棄物の吐出フロー1506が設けられている。
【0061】
この組立体は6つのメンブレン吸着体カートリッジ31と、5つのポンプ26と6つのバルブマニホールド1とを備える。この構成では、第1のゾーン33は2つの直列に相互接続されたメンブレン吸着体カートリッジ31によって形成されている。複数の第1のメンブレン吸着体の注入口は、システムに供給溶液を供給する供給ポンプに接続されている。この直列接続の第2のメンブレン吸着体カートリッジの吐出口は、バルブマニホールド1の1つのバルブを通る廃棄物の流出液に向けられている。第2、第3、第4、および第5のゾーンは単一のメンブレン吸着体カートリッジを備えるのみである。
【0062】
第2のゾーンのメンブレン吸着体カートリッジはシステムに平衡液を供給するポンプに接続されている。メンブレン吸着体カートリッジの流出液は廃棄物吐出口に向けられている。第3のゾーンのメンブレン吸着体カートリッジはシステムに清浄液または再生液を供給するポンプに接続されている。このメンブレン吸着体カートリッジの流出液は廃棄物吐出口に向けられている。第4のゾーンのメンブレン吸着体カートリッジは、システムに溶出緩衝液を供給するポンプに接続されている。このメンブレン吸着体カートリッジの流出液は、生成物の吐出口に向けられている。第5のゾーンのメンブレン吸着体カートリッジは、システムに洗浄液を供給するポンプに接続されている。このメンブレン吸着体カートリッジの流出液は生成物の吐出口に向けられている。
【0063】
図15a−fに続けて示されているように、複数のバルブマニホールドは、システムの全ての分岐ダクトが互いに接続されるように構成されている。この構成はバルブマニホールド間の配管またはチューブ配管、または好ましくは、複数のバルブマニホールドを直接相互接続することを含んでいてもよい。最後のマニホールドの吐出口は閉鎖されている。
【0064】
これに続くステップを実施することにより、複数のメンブレン吸着体カートリッジの各々は、結合および溶出のクロマトグラフィーに一般的に含まれる連続したステップを実行される。ローディングは2つの連続して接続されたメンブレン吸着体カートリッジで行われ、これにより第1のカラムは基本的にオーバーロードされることが可能となる。メンブレン吸着体カートリッジを突破するいかなる生成物も次のメンブレン吸着体カートリッジで捕捉される。第1のメンブレン吸着体カートリッジが飽和すると、このカートリッジは洗浄ステップを実行され、その次に溶出ステップを実行されて生成物が収集される(ステップc)。ローディングステップに向け直される前に、このメンブレン吸着体カートリッジは洗浄処理(ステップd)と平衡処理(ステップe)を実行される。このメンブレン吸着体カートリッジはこれでローディングゾーン(ステップf)における最後のカートリッジとして使用される準備が整っていることになる。
【0065】
原則として、全てのバルブを同時に切り替える必要はない。本発明の1つの実施形態では、複数のバルブは非同期で切り替えられてよく、これによりメンブレン吸着体カートリッジの滞留時間は各々のゾーンで個別に制御される。
【0066】
原理的に、バルブカセット1およびメンブレン吸着体カートリッジ31を追加することにより、どのゾーンも1つより多いメンブレン吸着体カートリッジを備えることができる。同様に、追加の注入口を備えたバルブカセットを使用し、追加のポンプ26を追加することにより、追加ゾーンを追加できる。
【0067】
更に、図16は2つの連続的に切り替えられるセット42aおよび42bを示す。各々のセットは2つの並列のカートリッジ31を備える。切り替えの設定28’は、本発明によるモジュール状の複数のバルブマニホールド1を用いて、このように並列に結合したカートリッジ31を提供する。特に、外部ループ43は効果的にカートリッジ31の並列結合を提供する。
【0068】
本発明の種々の実施形態は、以下の条項で言い換えることができる。すなわち、複数のメンブレン吸着体を備える多段クロマトグラフィープロセスにおけるメンブレン吸着体の使用であって、これらのメンブレン吸着体は結合された構成で以下の動作、すなわち、対象とする成分を向流接触モードで結合する動作、飽和したメンブレン吸着体を緩衝液で洗浄し、吸着体カートリッジのデッドボリューム(dead volume)からのプロセス液を全て吐出する動作、および向流接触モードでメンブレン吸着体から対象とする生成物を溶出する動作を同時に実施する。好ましくは、これらのメンブレン吸着体が再度結合ゾーンに入る前に、メンブレン吸着体の清浄および/または揮散と、これに続いて平衡化を行う追加のゾーンが前記の構成に存在する。好ましくは、このような使用は、モジュールで使い捨てできる形態のバルブカセットと組み合わされる、および/または全ての濡らされる材質に用いられる使い捨て部品と組み合わされる。組み換えタンパク質の精製のために、好ましくは親和性クロマトグラフィーが使用される。イオン交換クロマトグラフィーまたは混合モードクロマトグラフィーが用いられて、対象とする生成物を結合し、溶出する。モノクローナル抗体の精製には、プロテインAのクロマトグラフィー、陽イオン交換または混合モードのリガンドが、対象とするモノクローナル抗体の結合と溶出を行うために好適に用いられる。DNAまたはウィルスベクターの精製には、親和性クロマトグラフィーが好適に用いられ、および/またはイオン交換のリガンドまたは混合モードのリガンドが、対象とするDNAまたはウィルスベクターを結合し、溶出するのに用いられる。
【0069】
他の実施形態は、複数のメンブレン吸着体を備える多段のクロマトグラフィープロセスにおける複数のメンブレン吸着体の使用であって、これらのメンブレン結合体は結合された構成で以下の動作、すなわち、向流接触モードにおいて、プロセス液から混入物または一群の混入物を結合する動作、および向流接触モードにおいて、この複数のメンブレン吸着体を、メンブレン吸着体から混入物を脱着するプロセス液または緩衝液と接触させることにより、これらのメンブレン吸着体を再生する動作を同時に実施する。この構成における、この複数のメンブレン吸着体を洗浄、清浄および/または揮散し、続けて平衡化する追加の複数のゾーンが、これらの複数のメンブレン吸着体が再度結合ゾーンに入る前に、設定される。これは、とりわけモノクローナル抗体、組み換えタンパク質、ウィルスベクターまたはDNAの磨きに用いることができる。
【0070】
本発明を実施形態の例を参照して説明したが、本発明はこれらに限定されない。例えば、本装置は単一の構成部品または数個の部品で作製でき、全ての種類の追加の分岐構造およびバルブ構造を含む特定のダクト構造を持つことができる。本発明は開示されたタイプのダイアフラムバルブに限定されず、適切な機能的特性を持った他の種類のバルブを組み込むことができる。これらおよび他の変形は、添付された請求項で請求されているように、本発明の範囲に入ると見做される。
【技術分野】
【0001】
本発明はクロマトグラフ分離方法および装置に関する。特に本発明は生物薬剤生成物の精製に適したメンブレン吸着システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生物薬剤生成物の生産は通常バクテリア、酵母、動物、および/またはトランスジェニック細胞の培養を含む。発酵または培養のプロセスではバイオマス、所望の生成物、および多くの他の成分を溶液に含むブロスが生成される。他の成分としては混入物および生成物に関連した不純物がある。これらは、例えば、培養基の成分(抗生物質、グルコース、アミノ酸)、ウィルス、エンドトキシン、DNA、会合体および宿主細胞のタンパクである。
【0003】
求められる安全性および有効性の条件を満たした生物薬剤生成物を生産するため、通常多段の精製が行われ、混入物および生成物に関連した不純物が除去される。クロマトグラフプロセスでは2つのモードが知られている。
−フロースルー:プロセス溶液はクロマトグラフィーベッドを通過し、1つまたはそれ以上の混入物が樹脂に結合する。プロセス溶液は、対象となる溶解している生成物と共にベッドを通過し、混入物が大幅に減少されて採取される。
−結合および溶出:対象となる生成物は選択的に樹脂に結合するが、大部分の混入物が溶解しているプロセス溶液はベッドを通過する。次いで、対象とする生成物はこの後の段階で溶出され、高度に精製されて収集される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メンブレン吸着体の利点が、フロースルー動作ではうまく利用されている。しかしながら、結合および溶出の形式のクロマトグラフィーでは、メンブレン吸着体の性質には二、三の重大な欠点、特に容量(volumetric capacity)が低いという欠点がある。すなわち、メンブレン材の単位体積あたりのメンブレン吸着体に結合する生成物の量が少ない。したがって、対象とする生成物の収率を改善しつつメンブレン吸着体を用いることができる方法を提供することへの要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの実施形態により、クロマトグラフ分離プロセスを含む、生物薬剤生成物を生産するための方法が提供される。この方法は、複数のメンブレン吸着体カートリッジを準備することと、前記複数のメンブレン吸着体カートリッジに連絡し合うように結合している複数のバルブを準備することと、前記複数のバルブを切り替えることにより、メンブレン吸着体カートリッジを相互接続して向流フローモードで動作させることと、を含む。
【0006】
本発明のもう1つの実施形態により、クロマトグラフシステムが提供される。このクロマトグラフシステムは、複数のメンブレン吸着体カートリッジと、前記の複数のメンブレン吸着体カートリッジに連絡し合うように結合しているバルブ組立体と、これらのバルブを制御するように構成されたプロセッサとを備え、前記メンブレン吸着体カートリッジは相互接続されるようにかつ向流モードで動作するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
メンブレン吸着体を、ここで説明するシステムとともに用いることにより、これらのメンブレン吸着体を用いるプロセスの経済性は、たとえこのメンブレン吸着体が1回限りで(使い捨てとして)用いられた場合であっても、充填ベッドを用いるものに対し更に優位性のあるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、対象とする生物薬剤生成物を得るための、反復プロセス100の概略図である。
【図2】図2は、結合動作110の備える前処理および後処理のステップを示す図である。
【図3】図3は、溶出動作130の備える前処理および後処理のステップを示す図である。
【図4】図4は、図1中に示されたプロセスフロー例の、他の実施形態を示す図である。
【図5】図5は、プロセッサ1300が複数のバルブを適時に動作させる形態の一例を示す図である。
【図6】図6は、本発明によるバルブ装置を示す図である。
【図7】図7は、ダクトレイアウト部品9の構造を示す図である。
【図8】図8は、中央部品12を示す図面である。
【図9】図9は、ベース部品13を示す図面である。
【図10】図10は、別体の組立部品を示す図面である。
【図11】図11は、マニホールドを示す概略図である。
【図12】図12は、押圧手段を模式的に示す図である。
【図13】図13は、メンブレン吸着体カートリッジ31を用いたクロマトグラフ分離を実施するための、単一のカートリッジの構成を示す図である。
【図14】図14は、複数のカートリッジが相互接続を示す図である。
【図15a】図15aは、バルブ切り替え設定の異なるステップを示す図である。
【図16】図16は、2つの連続的に切り替えられるセット42aおよび42bを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
結合および溶出の動作と、フロースルーの動作との双方に対し、充填ベッドクロマトグラフィーが慣用されている。充填ベッドクロマトグラフには、しかしながら、二、三の大きな欠点がある。最も大きな欠点は、充填ベッドクロマトグラフィーは非常に高い線流速に耐えられないという事実である。多くの場合、連続クロマトグラフィープロセスのスループットは、プロセス速度や結合能力による制限によるよりも、むしろ充填ベッドの水力学的能力によって制限されている。
【0010】
結果として、カラムの直径はプロセスの体積スループットにより決定される。大規模なモノクローナル抗体製造プロセスでは、2mにも及ぶ直径のカラムが報告されている。このような大直径のカラムを充填するのに必要な樹脂の量は数百リットルにも達し、フロースルーモードにおける溶液から全ての微量成分を捕獲するのに必要な量より遥かに多い。
【0011】
このため、メンブレン吸着体はフロースルークロマトグラフィーに盛んに用いられるようになっている。メンブレン吸着体の基本的な特性は、就中、RoperとLightfoot(Journal of Chromatography A(1995)702,pp.3−26)、C. Boi等(J. Of Chrom.A.(2007)), doi:10.1016/j.chroma.2007.02.008)およびCharcosset(Biotechnology Advances, 24(2006)pp.482−492)により記述されている。メンブレン吸着体は本質的に標準的なフローフィルターメンブレンシステムと同一であり、このメンブレン材質はリガンドにより官能化されている。これによりメンブレン吸着体はこのメンブレンを通過する溶液から成分を結合する能力が与えられる。結局、メンブレン吸着体は基本的にクロマトグラフィーベッドの機能に標準的なフローフィルターメンブレンの流体力学的特性を結びつけたものである。
【0012】
今日では、メンブレン吸着体の大部分は1回限りの使用向けに(使い捨ての体裁で)設計されている。これはカートリッジ全体が1回のバッチ処理のみで使用されるように設計されていることを意味する。プロセス溶液のバッチが処理されると、このカートリッジは工程から取り外され廃棄される。フロースルー動作では、このようにすることの利点は、メンブレン吸着体を洗浄し、再使用のために再生する必要がないことである。この方法は、フロースルー動作に、充填ベッドクロマトグラフィーの代わりにメンブレン吸着体を用いることで二、三の追加の利点をもたらした。最も重要な利点は費用の削減であり、検証作業とコストをなくすことである(例えばGottschalk et al., Bioprocess International, May 2004, pp.56−65)。
【0013】
フロースループロセスの例は次のようなものである。微小量の混入物を除去するために、フロースルークロマトグラフィーはしばしば用いられる。モノクローナル抗体製造での混入物の例はDNA、ウィルスおよびエンドトキシンである。これらの混入物の多くはpH中性の条件で負に帯電しているのに対し、モノクローナル抗体生成物は本質的に電気的に中性である。これは混入物が、QセファローゼFF(Q Sepharose FF)(GEヘルスケア社)またはこれと同等の製品のような、陰イオン交換樹脂に結合されることを可能にする。このようなプロセスでは、モノクローナル抗体および微量混入物を含む溶液が、陰イオン交換樹脂が充填されたカラムを通過する。モノクローナル抗体生成物は樹脂に結合せず、プロセス溶液と共にカラムを通過する。カラム内部の樹脂は所定の種類の微量混入物を結合し、これにより、モノクローナル抗体生成物を含むプロセス溶液から微小混入物を取り除く。
【0014】
フロースルークロマトグラフィーでは、通常、メンブレン吸着体は生成溶液を「磨き(polishing)」のために用いられる。これにより、プロセス溶液中の微量混入物および生成物に関連した不純物が非常に低いレベルまで低減される。このような場合、メンブレン吸着体の体積結合能力(volumetric binding capacity)は、このような微量混入物および生成物に関連した不純物を捕獲するのに十分である。このような磨きの動作において、メンブレン吸着体は、生成物が収集される前に、洗浄および溶出されることが不要であるため、この比較的大きなデッドボリューム(dead volume)はそれほど重要ではない。
【0015】
モノクローナル抗体の精製における結合および溶出のプロセスの例を、プロテインAのクロマトグラフィーでの捕獲プロセスで示す。静澄にした培養プロセスの上澄みは溶解したモノクローナル抗体を含み、一般的にこのモノクローナル抗体は溶解物質の1−30%である。この溶液はプロテインAのクロマトグラフィーベッドを通過し、モノクローナル抗体はクロマトグラフ媒体の上にあるプロテインAのリガンドに結合する。このプロセス溶液はベッドを流れ、基本的にモノクローナル抗体のない状態でカラムから流出する。カラムがモノクローナル抗体で飽和した時点で、このカラムは洗浄されて、非特異的に結合している物質が取り除かれ、異なるプロセス条件(一般的に低いpH)で溶出される。このような溶出条件で、モノクローナル抗体はプロテインA媒体から放出され、カラム出口で収集される。通常このような結合および溶出のプロセスは、ごく微量の混入物と、ごく微量の、生成物に関連した不純物とを含む高純度の生成物をもたらす。
【0016】
過去10年に渡り、培養プロセスで達成されたモノクローナル抗体の発現レベルの上昇(例えばWurm, Nature Biotechnology,(2004)vol.22, nr.11,pp 1393−1398)で、結合および溶出のクロマトグラフィーは、多くのケースで経済的および技術的に受け入れられるものではなかった。メンブレン吸着体には以下の欠点がある。
−メンブレン吸着体が含むメンブレン物質の体積は比較的少ない。非常に高い流量を扱える、非常に大きなメンブレンカートリッジでさえ、充填ベッドが含むクロマトグラフ媒体ほど多くのメンブレン物質を含まない。
−カートリッジ内に比較的大きなデッドボリュームがある。すなわち、現状のメンブレン吸着体が、最小限の滞留体積となるように、注意深く設計されていたとしても、カートリッジ内部のデッドボリュームが、メンブレン物質の体積に比べ相対的に大きくなることは避けられない。結合および溶出の動作は、生成物が収集される前に、メンブレン吸着体を洗浄し、溶出することを必要とする。このデッドボリュームは、従って、効率の低下をもたらし、更に緩衝液の消費の増加と生成物濃度の低下をもたらす。
【0017】
本発明の1つの実施形態により提供される方法と構成は、複数のメンブレン吸着体カートリッジを備え、これらのカートリッジが相互に結合されて、向流モードで動作するように構成される。更に、この構成は、プロセスの異なるステップをこれらのカートリッジに実行するように、自動的にバルブを切り替えるバルブ組立体を備える。このようにして、バッチの精製の間にカートリッジは何回も再使用される。このような構成は比較的大きなデッドボリュームの欠点を軽減し、一方では利点である高い線流速および低い背圧をもたらす。これに加え、充填ベッドクロマトグラフプロセスに比べ、充填ベッドカラムに充填する面倒な準備作業を回避することができる。このことは非常に重要である。なぜならば、連続クロマトグラフィーシステムは一般的に複数のベッドを必要とし、これらのベッドは所定の範囲で再生可能に充填されることが必要であるためである。
【0018】
図1では、対象とする生物薬剤生成物を得るための、反復プロセス100が概略的に示されている。第1の結合動作110では、プロセス液が少なくとも1つのメンブレン吸着体カートリッジに注入される。このプロセス液は一般的に、対象とする成分、とりわけ生物薬剤生成物またはその前駆体を含み、吸着体カートリッジ31内のメンブレン吸着体(例えば、図12−図16に図示されている)は、対象とする成分をメンブレン吸着体に結合する機能を持つ。
【0019】
一例として、例えば組み換えタンパク質生成物の精製のために、メンブレンが親和性クロマトグラフィーを利用した吸着体の機能を持ったものや、対象生成物を結合し溶出する、イオン交換クロマトグラフィーおよび/または混合モードクロマトグラフィーを用いた吸着体の機能をもったものがあるが、それら自体は当業界に良く知られている。
【0020】
もう1つの例として、例えばDNAまたはウィルスベクターの精製のために、前記メンブレン吸着体カートリッジは親和性クロマトグラフィー、イオン交換または混合モードのリガンドを用いた、吸着体の機能を持つものがある。
【0021】
更にもう1つの例として、例えばモノクローナル抗体の精製のために、メンブレン吸着体カートリッジはプロテインAのクロマトグラフィー、陽イオン交換および/または混合モードのリガンドを用いた、吸着体の機能を持つものがある。
【0022】
結合動作110の後に、吸着体カートリッジは第1の切り替え動作120によって、他の液流に切り替えられる。この第1の切り替え動作120はバルブ組立体の少なくとも1つのバルブの切り替えを含み、溶出動作130を開始する。
【0023】
溶出動作130は、多くの前処理ステップと後処理ステップとを備える。これらのステップは、少なくとも1つのメンブレン吸着体から、対象とする生成物を溶出する溶出液流を注入する少なくとも1つのステップを含む。このように、溶出130の間に、対象とする生成物は、少なくとも1つのメンブレン吸着体から溶出され、そして更に慣用方法により生産される。
【0024】
バルブの切り替え動作120、140を制御するため、プロセッサ1300が設けられている(図13参照)。このプロセッサ1300は、好ましくは更に図5−図16で示す形態で、複数のバルブを適時に動作させることにより、液流とその方向を基本的に制御する。特に、このプロセッサ1300は、結合動作110におけるプロセス液流および動作130における溶出液流が向流モードとなるように設定する。
【0025】
連続向流プロセスが国際出願公開第WO2004/024284号パンフレットに記載されている。組み込まれている種々の液の各々は、システムの1つの注入口に接続されている。複数のカートリッジが連続して結合、洗浄、溶出、再生および平衡を実行され、1つのプロセスサイクルに含まれる多くのステップを構成するように、バルブが制御される。複数のカートリッジを直列に接続できるので、1つ以上のこれらのステップは原則的に向流モードで実施される。切り替えにより、処理液の流れの反対方向にカートリッジの疑似的な移動が行われる。これは更に効率的なプロセスを可能とし、化学薬品、溶媒、および水を大幅に節約することに繋がる。溶出動作130の後に、第2の切り替え動作140が実施される。この切り替え動作140はバルブ組立体の少なくとも1つのバルブを切り替えて、前記の結合動作110を、所定の停止基準に達するまで、反復するように繰り返す。この停止基準は、期間または、生物薬剤生成物の生産プロセス100の間に使用される特定の生成物または液の濃度基準である。
【0026】
好適な実施形態において、図2は、結合動作110も多くの前処理および後処理のステップを備えることを示す。すなわち結合動作110はこれに付随した多くの動作を含む。前処理としては特に再生動作111がある。これはメンブレン吸着体カートリッジへプロセス溶液を注入する前に実施される動作であり、この少なくとも1つの吸着体カートリッジ内のメンブレン吸着体に少なくとも1つの再生液を注入して、対象とする成分を結合するために行われる。再生動作111の後、第3の切り替え動作112が実施される。この切り替え動作112はバルブ組立体の少なくとも1つのバルブを切り替えて、ステップ113において、対象とする成分を結合させるプロセス液の注入を開始する。
【0027】
通常、再生液は、対象とする成分の結合の前に、メンブレン吸着体を洗浄、消毒および/または揮散、および/または平衡化する機能を持つ。これによりメンブレン吸着体は反復プロセスにおいて消耗せず、繰り返して出来る限り長く使用できる。
【0028】
また、図3には、溶出動作130は更に、多くの前処理および後処理のステップを備え、とりわけ、好ましくは洗浄動作131を含む。洗浄動作131は通常、メンブレン吸着体カートリッジへの緩衝液の注入を含み、前記の少なくとも1つのメンブレンにおけるデッドボリューム(dead volume)からプロセス液を吐出し、この吸着体カートリッジのプロセス液を前記の緩衝液と入れ替える。洗浄動作の後、第4の切り替え動作132が実施される。この切り替え動作132はバルブ組立体の少なくとも1つのバルブを切り替えて、ステップ133において、前記の溶出液流の注入を開始する。
【0029】
図4は、図1中に示されたプロセスフロー例の、他の実施形態を示す。このプロセスフロー400においては、反復的に精製プロセスが実施されて、精製された対象とする生物薬剤生成物を得る。このプロセスステップは図1の実施例と同様である。しかしながら、最初の結合動作410においては、図1中に示されるような対象とする生成物の結合の代わりに、メンブレン吸着体カートリッジにプロセス液を注入する。メンブレン吸着体カートリッジは、混入物のグループを、このメンブレン吸着体カートリッジ内のメンブレン吸着体に結合するための機能を持つ。この結合動作の後、通常は、所定時間後または重要なプロセスパラメータが所定の値に達した時に、切り替え動作420が実施される。この切り替え動作420はバルブ組立体の少なくとも1つのバルブを切り替えて、再生動作430を開始する。この再生動作は、結合動作の前に、少なくとも1つの吸着体カートリッジ内のメンブレン吸着体に少なくとも1種の再生液を注入することを含む。このようにしてメンブレン吸着体は最適に再生され、これによりメンブレンは消耗せず長い間使用できる。通常、この再生液は、向流接触モードにおいて少なくとも1つのメンブレン吸着体から混入物を脱着する、脱着機能を持つ。このようにして、最も効率的でかつ時間効率の良い仕方で、混入物がメンブレンから抽出される。更に、好ましくは、この再生液は、対象物となる成分の結合の前に、メンブレン吸着体を洗浄、消毒および/または揮散、および/または平衡化する機能を持つ。
【0030】
更に、この結合動作410および再生動作430は、それぞれ、多くの前処理および後処理のステップを含んでよい。これらのステップは、たとえば、多くの連続したバルブ切り替え動作(図示せず)で、吸着体カートリッジに複数種の液を注入することにより実施される。
【0031】
実施例として、このプロセス400はモノクローナル抗体、組み換えタンパク質、ウィルスベクターまたはDNA生成物の磨きのために用いられる。
【0032】
本発明のもう1つの実施形態では、このようなバルブカセット(valve cassette)はクロマトグラフ分離に用いられる装置であり、複数のコネクタを備えるマニホールドを備える。これらのコネクタは1つ以上のクロマトグラフ分離カートリッジの接続、および/または供給または抽出のチューブ配管に用いられる。ここで少なくとも1つの中央ダクトが、注入口と吐出口とをそれぞれ構成する少なくとも2つのコネクタの間に設けられる。この中央ダクトは閉鎖できるダクトバルブ(duct valve)を備える。更に、中央ダクトから分岐コネクタへの複数の分岐ダクトが設けられ、この分岐ダクトは閉鎖できる分岐バルブを備える。少なくとも1つの分岐ダクトが注入口と中央ダクトバルブとの間に設置され、少なくとも1つの分岐ダクトが吐出口と中央ダクトバルブとの間に設置される。
【0033】
本発明のもう1つの実施形態によれば、本システムは1つ以上の吸着体カートリッジを備え、この内少なくとも1つは注入口および吐出口におけるバルブマニホールドに接続されている。更に、本システムは複数の注入口と複数の吐出口を備える。複数のシステム注入口は、クロマトグラフィープロセスに組み込まれる複数の液のいずれでも輸送することができるポンプに接続されている。他の形態では、システムの吐出口は、精製プロセスにおける連続したステップの注入口、例えばメンブレンユニットや他のクロマトグラフィーのステップに接続することもできる。利便性のため、追加の複数のモニターがシステムの注入口および吐出口に接続されて、圧力、導電率、pHまたはUV吸収または他の重要プロセスパラメータ(これらに限定せず)を含む、関連したプロセス条件をモニターされる。
【0034】
バルブ装置の組み立てには色々なやりかたが考えられるが、1つの実施形態では、本発明によるバルブ装置は、図6およびさらに図7から図10に詳細に示すように、好ましくは2つまたは3つの別体の組立部品を備える。このバルブ配置は単純で費用効果が良い構造である利点を持ち、使い捨てで使用することが可能である。更に、このバルブ配置ではデッドボリューム(dead volume)が非常に小さい。構成に依存するが、大体数mmあるいは高々カートリッジ体積の2%であり、実質的にデッドボリュームはゼロである。この構成では、好ましくは、液溜まりのないバルブが使用される。
【0035】
このような実施形態(図5参照)では、マニホールド1は、カートリッジの吐出口とカートリッジの注入口とに接続可能な中央ダクト2を備える(例えば、図12中に示された配置を参照)。複数の分岐ダクト3はシステムの注入口および吐出口に接続可能で、供給液流および抽出液流に用いられる。更に、システム構成によって、複数の分岐ダクト3がカートリッジの注入口と吐出口に接続される。一般的に、中央ダクト2は、コネクタ4によって直列および/または並列に結合された連続したカートリッジの間の効率的な液流結合を提供し、流れの抵抗を最小にする。とりわけ、マニホールド1において、カートリッジ間の主流の抵抗を最小にする。好ましくは、システムの注入口および吐出口(図示せず)は、中央ダクト2に接続する分岐ダクト3に接続されている。ここで示す実施例では、マニホールド1はメンブレン吸着体カートリッジに結合可能である。このような構成では、複数の分岐コネクタ5はシステムの抽出吐出口を形成し、中央ダクト2の中央バルブ6によって、供給注入口を形成する複数の分岐コネクタ7から分離される。更にこの複数の分岐ダクト3は、分岐ダクトバルブ8により、中央ダクト2から分離される。通常はコネクタはどのようなタイプでもよいが、好ましくは衛生的なタイプであり、当業界に良く知られたトリクローバー(tri-clover)コネクタのようなコネクタである。概略図では複数のコネクタが突出した部品として示されているが、これ以外にもこれらのコネクタは雄−雌タイプでも可能である。更に他の代替として、これらのコネクタはガスケットタイプも可能である。
【0036】
好適なバルブのタイプは、中央バルブおよび分岐ダクトバルブ共に、図10の実施例で示すようにダイアフラムバルブである。このタイプのバルブは単純な構造と最適に設計された濡れ面を持ち、衛生部品に対する要求が非常に高い生物薬剤生成物のクロマトグラフプロセスでの使用に好適である。この点において、「最適に設計されている」という表現は、最小のデッドスペースであること、および最小の複雑な構造であることという条件を意味する。この条件は衛生面での要求の観点からは極めて厄介である。しかしながら、本発明はこのようなバルブに限定されるものでなく、他のバルブであっても同様な衛生面の特性であれば、組み込むことは可能である。
【0037】
1つの実施例として、バルブマニホールド1およびこの部品の典型的な配置を図6から図10に示す。この他に、同じ要求を満たす、多くの代替となる構成および設計が考えられることは明らかである。本明細書に含まれる図は例としてのみ示すものである。本発明はここで示す設計に限定されない。
【0038】
本発明の1つの実施形態では、図6に示すように、マニホールド1はダクトレイアウト部品9とダイアフラム10とから形成される。ダイアフラム10は、このダクトレイアウト部品9を閉鎖し、ダイアフラムバルブを形成する。そしてこのマニホールド1は対応する数の複数のアクチュエータ11を取り付けるマウンティングを備える。
【0039】
図7から図9に続けて示すように、ダクトレイアウト部品9は、ベース部品13(図9)とカバー部品14(図7)との間に結合された中央部品12(図8に図示)を備え、この中央部品12の一方の側面は分岐ダクト構造15に対応し、この中央部品12のもう一方の側面は中央ダクト構造16に対応し、この中央部品12はカバー部品14に設けられた複数の貫通孔17に対応する複数の貫通孔17を備え、前記カバー部品14は、複数の貫通孔17を閉鎖するために、中央ダクト構造16と分岐ダクト構造15との間にダイアフラムバルブ8を形成するように、ダイアフラム10に結合されている。これらの図では、明確にするために、限られた数の部品のみを特定しており、対応する部品は個別には参照されていない。
【0040】
特に、図7および図8は、左から右に、上面図(A)、下面図(B)、側面図(C)と、上面図Aおよび下面図Bに示されている断面I−IおよびII−IIをそれぞれ通る断面図D、Eとを示す。図9は、左から右に、上面図(A)、下面図(B)、および側面図(C)を示す。
【0041】
図7および図8から分かるように、中央ダクト構造16はダクト18とダクト19により形成されている。このダクト18とダクト19は、複数の貫通孔17および中央ダクトバルブ6を介して接続されている。
【0042】
更に、前記カバー部品14はこれらのバルブのダイアフラム10を含んでよい。他の形態では、このダイアフラム10は分離された構造部品で準備することも可能である。ダイアフラム10は、フレキシブルなダイアフラム20(図10参照)を備える。ダイアフラム20は、マニホールド1のこの部分で、システムの注入口または吐出口とカートリッジの注入口または吐出口との間の接続を開放または閉鎖することができる。
【0043】
前記の実施例では、前記のカバー部品14は、アクチェータ11を搭載して、前記のダクトレイアウト部品9に対してメンブレンを押圧または開放することにより、ダイアフラムバルブ8を開放または閉鎖することができるように構成されている。これらのアクチュエータ11はどのような種類であってもよい。一般に使用されるアクチュエータは電磁力または空気圧により動作する。
【0044】
図10は本発明によるバルブダイアフラム6および/またはバルブダイアフラム8の詳細な構造を示す。図10Aではバルブは開放位置で示され、図10Bではバルブは閉鎖位置で示されている。ここで、カバー部品14は、分岐ダクト(図示せず)と中央ダクト(図示せず)とに液流を通じる複数の貫通孔をもつことが示されている。この複数の貫通孔17は、フレキシブルなダイアフラム20により覆われる窪み21に形成されている。この窪み21において、ダイアフラム20を押圧することにより、貫通孔を通る流れは止められ、バルブ8は閉鎖される。
【0045】
第1の部品が、マニホールド1のこの部分で、システムの注入口または吐出口とカートリッジの注入口または吐出口との間の接続を開放または閉鎖することができる、ダイアフラムをまだ含んでいない場合、このマニホールド1は、ダイアフラム20を備えるかまたは搭載する第3の部品を備えていてもよい。
【0046】
いったん組み上げられると、この2つまたは3つの部品(ベース部品13、中央部品12、カバー部品14)は複数のダイアフラムバルブ8を備える1つのマニホールド1に一体化する。この複数のダイアフラムバルブ8は各々専用のアクチュエータ11を持ち、各々個別に制御されるようにしてもよい。
【0047】
複数のマニホールドにおいて、唯一濡らされる部品はダクトレイアウト部品9と、該当する場合、ダイアフラム10である。このダイアフラム10はダイアフラムバルブ8のダイアフラム20である。これらのバルブマニホールドの部品は、好ましくは使い捨て用または専用に設計される。
【0048】
本発明の1つの実施形態では、図11に概略的に図示されているように、各々のマニホールド1’の複数のシステム注入口および複数のシステム吐出口は、実際は、マニホールドを通って連絡する。すなわち、好ましくは少なくとも1つの分岐ダクト3は他の分岐22を備え、少なくとも2つの分岐コネクタ23の間に分岐ダクト3’を形成し、この分岐ダクト3’は中央ダクト2から液流を通じるとともに閉鎖可能である。これは複数のマニホールドを、別の分配器を用いることなく、互いに接続可能とする。複数のシステム注入口および複数のシステム吐出口の各々は複数のマニホールドの直列接続の一方の終端に接続されており、この直列接続のもう一方の終端はバルブにより閉鎖されるか、または永久に閉鎖されていてもよい。この、2つの連続したマニホールド間の接続は、異なる複数の注入口と複数の吐出口との間で衛生継手を用いて行うことができ、例えばトリクローバー(tri-clover)接続によって行われる。この場合、全てのシステム注入口および吐出口は隣接する2つのマニホールドの間に1つのクランプを必要とする。
【0049】
他の実施形態として、ガスケットのマニホールド側に窪みをモールド成形して、このような複数のガスケットにより、隣接するマニホールド間の漏れのない接続を確実にする。この場合、図12に模式的に示されているように、プレス24またはこれと同様な手段で、複数のマニホールドをまとめてきつく押圧しなければならない。更に他の実施形態として、全ての接続のガスケットが1つの層に結合され、この層が2つの隣接するマニホールド間に設置されなければならない。このような場合、複数のマニホールドには接続金具が装着されて、ガスケットの適切な位置合わせが確実にされる。この場合にも、この複数のマニホールドをまとめて強く押圧することによりシーリングが確実にされる。これは、例えばこの複数のマニホールドを、全てのシステム注入口および吐出口を複数のポンプ26、複数の器、複数の容器、等に接続する前側部品25と、複数の(マニュアル)バルブを含むか、または全てのシステム注入口および最後のマニホールドからのすべての吐出口を同様に閉鎖する後側部品27との間に挟み込むことによって行うことができる。前記の前側部品25および後側部品27はまとめて強く押圧される。これによりすべてのマニホールドがまとめて押圧され、これらのマニホールド間の接続の適切なシーリングが確実にされる。図12は複数のマニホールド1がまとめて押圧されて、複数のモジュール状部品1を備える1つのバルブユニット28を形成する実施形態例を示す。バルブユニット28は複数のシステム注入口29および複数のシステム吐出口30と、との間に結合されてカートリッジ31との間に結合されてクロマトグラフ分離システム32を形成している。
【0050】
本発明の1つの実施形態では、システムは3つのカートリッジと、これらの間に設けられた複数のバルブマニホールドとから成る。これらのマニホールドの各々は最少3つの注入口と最少2つの吐出口を持つ。この組み合わせはメリーゴーラウンド装置で通常実施されるような、連続プロセスを可能とする。これは、少なくとも1つのカートリッジ、一般的には2つの直列のカートリッジへの連続供給を含む。第1と第2のカートリッジがロードされている間に、第3のカートリッジは洗浄、溶出、および/または再生される。所定の時間後、まず第1のカートリッジが飽和すると、マニホールドのバルブは供給液が第2のカートリッジに適用されるように切り替わり、第1のカートリッジではプロセスの他のステップが行われる。第3のカートリッジは第2のカートリッジの吐出口に接続されている。
【0051】
本発明の1つの実施形態では、システムは4から8のカートリッジと、これらの間に設けられた複数のバルブマニホールドを備える。これらのマニホールドの各々は少なくとも3つの注入口およびすくなくとも3つの吐出口を備える。この組み合わせは連続分別処理を可能とする。バルブは個別に制御されているので、異なるゾーンの長さは動作中必ずしも一定である必要はなく、また流量は全プロセスサイクルに渡り、必ずしも一定である必要はない。
【0052】
本発明の1つの実施形態では、システムは8つ以上のカートリッジと、これらの間に設けられた複数のバルブマニホールドを備える。各々のマニホールドは最少5つ、好ましくは8つの注入口と、最少2つ、好ましくは4つの吐出口とを備える。この組み合わせは、イオン交換または親和性クロマトグラフィーを用いて、例えばモノクローナル抗体のような複合タンパク質の連続向流精製を可能とする。
【0053】
本発明の1つの実施形態では、システムは単一のカートリッジと、単一のバルブマニホールドとを備える。ポンプがバルブマニホールドのカートリッジ注入口に接続されており、バルブマニホールドからカートリッジ注入口に液を輸送する。このカートリッジ吐出口はバルブマニホールドのカートリッジ吐出口に接続される。システム注入口およびシステム吐出口はそれぞれ生成物または廃棄物の収集タンクに接続されている。このシステムは従来の単一カートリッジのクロマトグラフ精製を1つの使い捨てバルブマニホールドで実施することを可能にする。複数のバルブは全てのプロセス溶液がカートリッジに適切な順序でポンプ注入されるように制御される。カートリッジ注入口とカートリッジ吐出口を接続するバルブマニホールドのバルブは常時閉鎖されたままである。
【0054】
本発明の1つの実施形態では、システムは複数のカートリッジを備え、各々のカートリッジは異なる吸着材を搭載している。これにより完全に自動化された多段のクロマトグラフ精製を実施することが可能になる。これはシステム吐出口に接続された中間貯蔵室を含んでいてもいなくてもよい。この中間貯蔵室はシステム注入口にも接続されている。
【実施例】
【0055】
図13に、メンブレン吸着体カートリッジ31を用いたクロマトグラフ分離を実施するための、単一のカートリッジの構成を示す。この組立体は、1つのメンブレン吸着体カートリッジ31と、1つのマニホールド1と、1つのポンプ26とからなる。ポンプ26はバルブマニホールド1からカートリッジ31に向けて液を輸送するのに用いられる。このバルブマニホールドは複数の貯蔵容器(図示せず)から適切な溶液を選択して、カートリッジからの流出物を廃棄物かまたは生成物の収集容器(図示せず)に向けるために用いられる。通常の動作では、マニホールド1の中央バルブ6は閉鎖されている。この構造は分離に必要な数の注入口および吐出口を設けることが可能である。
【0056】
プロセッサ1300はマニホールド1の複数のバルブを制御するように設定されている。このマニホールドは、好ましくは図6−図10に示すタイプのものである。それはこのタイプが使い捨てできる濡らされる部品を持つからである。とりわけ、このマニホールドは複数のアクチュエータ(図示せず)により作動され、これらのアクチュエータはプロセッサ1300により制御される。これらのアクチュエータはダイアフラムバルブのダイアフラム20を押圧して、これらのバルブを開放または閉鎖の位置にして、バルブ切り替え動作を効果的に制御する。
【0057】
図13は単一のメンブレンを示すが、一般的には複数のカートリッジが相互接続されている(図14−図16も参照)。このプロセッサはバルブ設定を制御するようにプログラムされており、図1と図4で説明されたように、動作110、130、410および430のそれぞれで、向流モードで稼動するように、設定されている。
【0058】
切り替え時間は、好ましくは実効的なメンブレン輸送速度が、吸着される成分の流入速度とバランスするように制御される。カートリッジ内のメンブレン物質が低容量であることおよび低体積であることを考慮し、メンブレン吸着体の輸送速度は比較的大きくなければならず、結局切り替え時間は比較的短くなる。好ましいモードでは、プロセッサはメンブレンの容量の関数、すなわち実効的メンブレン輸送量と、吸着される成分の流入量との関数としてサイクル速度を与えるようにプログラムされる。
【0059】
ハードウェアと制御アルゴリズムは、好ましくは、メンブレン吸着体が低容量であることを考慮して、短いロード時間で速いサイクル速度に達するように、準備される。このようにして、複数のメンブレン吸着体を用いた連続クロマトグラフ精製が実現される。
【0060】
結合および溶出のクロマトグラフ分離を含む、生物薬剤生成物を供給する方法において、このシステムは図14および図15のように用いることも可能である。図15においては、前記の複数のメンブレン吸着体カートリッジが連続してプロセスサイクルの中の多くの処理ステップを実行されるように、図15のバルブ切り替え設定の異なるステップが示されている。これによりシステムは向流フローモードで動作する。システムは洗浄注入フロー1500、溶出注入フロー1501、清浄注入フロー1502、平衡注入フロー1503、および生成物供給注入フロー1504を備える。更に、生成物の吐出フロー1505と廃棄物の吐出フロー1506が設けられている。
【0061】
この組立体は6つのメンブレン吸着体カートリッジ31と、5つのポンプ26と6つのバルブマニホールド1とを備える。この構成では、第1のゾーン33は2つの直列に相互接続されたメンブレン吸着体カートリッジ31によって形成されている。複数の第1のメンブレン吸着体の注入口は、システムに供給溶液を供給する供給ポンプに接続されている。この直列接続の第2のメンブレン吸着体カートリッジの吐出口は、バルブマニホールド1の1つのバルブを通る廃棄物の流出液に向けられている。第2、第3、第4、および第5のゾーンは単一のメンブレン吸着体カートリッジを備えるのみである。
【0062】
第2のゾーンのメンブレン吸着体カートリッジはシステムに平衡液を供給するポンプに接続されている。メンブレン吸着体カートリッジの流出液は廃棄物吐出口に向けられている。第3のゾーンのメンブレン吸着体カートリッジはシステムに清浄液または再生液を供給するポンプに接続されている。このメンブレン吸着体カートリッジの流出液は廃棄物吐出口に向けられている。第4のゾーンのメンブレン吸着体カートリッジは、システムに溶出緩衝液を供給するポンプに接続されている。このメンブレン吸着体カートリッジの流出液は、生成物の吐出口に向けられている。第5のゾーンのメンブレン吸着体カートリッジは、システムに洗浄液を供給するポンプに接続されている。このメンブレン吸着体カートリッジの流出液は生成物の吐出口に向けられている。
【0063】
図15a−fに続けて示されているように、複数のバルブマニホールドは、システムの全ての分岐ダクトが互いに接続されるように構成されている。この構成はバルブマニホールド間の配管またはチューブ配管、または好ましくは、複数のバルブマニホールドを直接相互接続することを含んでいてもよい。最後のマニホールドの吐出口は閉鎖されている。
【0064】
これに続くステップを実施することにより、複数のメンブレン吸着体カートリッジの各々は、結合および溶出のクロマトグラフィーに一般的に含まれる連続したステップを実行される。ローディングは2つの連続して接続されたメンブレン吸着体カートリッジで行われ、これにより第1のカラムは基本的にオーバーロードされることが可能となる。メンブレン吸着体カートリッジを突破するいかなる生成物も次のメンブレン吸着体カートリッジで捕捉される。第1のメンブレン吸着体カートリッジが飽和すると、このカートリッジは洗浄ステップを実行され、その次に溶出ステップを実行されて生成物が収集される(ステップc)。ローディングステップに向け直される前に、このメンブレン吸着体カートリッジは洗浄処理(ステップd)と平衡処理(ステップe)を実行される。このメンブレン吸着体カートリッジはこれでローディングゾーン(ステップf)における最後のカートリッジとして使用される準備が整っていることになる。
【0065】
原則として、全てのバルブを同時に切り替える必要はない。本発明の1つの実施形態では、複数のバルブは非同期で切り替えられてよく、これによりメンブレン吸着体カートリッジの滞留時間は各々のゾーンで個別に制御される。
【0066】
原理的に、バルブカセット1およびメンブレン吸着体カートリッジ31を追加することにより、どのゾーンも1つより多いメンブレン吸着体カートリッジを備えることができる。同様に、追加の注入口を備えたバルブカセットを使用し、追加のポンプ26を追加することにより、追加ゾーンを追加できる。
【0067】
更に、図16は2つの連続的に切り替えられるセット42aおよび42bを示す。各々のセットは2つの並列のカートリッジ31を備える。切り替えの設定28’は、本発明によるモジュール状の複数のバルブマニホールド1を用いて、このように並列に結合したカートリッジ31を提供する。特に、外部ループ43は効果的にカートリッジ31の並列結合を提供する。
【0068】
本発明の種々の実施形態は、以下の条項で言い換えることができる。すなわち、複数のメンブレン吸着体を備える多段クロマトグラフィープロセスにおけるメンブレン吸着体の使用であって、これらのメンブレン吸着体は結合された構成で以下の動作、すなわち、対象とする成分を向流接触モードで結合する動作、飽和したメンブレン吸着体を緩衝液で洗浄し、吸着体カートリッジのデッドボリューム(dead volume)からのプロセス液を全て吐出する動作、および向流接触モードでメンブレン吸着体から対象とする生成物を溶出する動作を同時に実施する。好ましくは、これらのメンブレン吸着体が再度結合ゾーンに入る前に、メンブレン吸着体の清浄および/または揮散と、これに続いて平衡化を行う追加のゾーンが前記の構成に存在する。好ましくは、このような使用は、モジュールで使い捨てできる形態のバルブカセットと組み合わされる、および/または全ての濡らされる材質に用いられる使い捨て部品と組み合わされる。組み換えタンパク質の精製のために、好ましくは親和性クロマトグラフィーが使用される。イオン交換クロマトグラフィーまたは混合モードクロマトグラフィーが用いられて、対象とする生成物を結合し、溶出する。モノクローナル抗体の精製には、プロテインAのクロマトグラフィー、陽イオン交換または混合モードのリガンドが、対象とするモノクローナル抗体の結合と溶出を行うために好適に用いられる。DNAまたはウィルスベクターの精製には、親和性クロマトグラフィーが好適に用いられ、および/またはイオン交換のリガンドまたは混合モードのリガンドが、対象とするDNAまたはウィルスベクターを結合し、溶出するのに用いられる。
【0069】
他の実施形態は、複数のメンブレン吸着体を備える多段のクロマトグラフィープロセスにおける複数のメンブレン吸着体の使用であって、これらのメンブレン結合体は結合された構成で以下の動作、すなわち、向流接触モードにおいて、プロセス液から混入物または一群の混入物を結合する動作、および向流接触モードにおいて、この複数のメンブレン吸着体を、メンブレン吸着体から混入物を脱着するプロセス液または緩衝液と接触させることにより、これらのメンブレン吸着体を再生する動作を同時に実施する。この構成における、この複数のメンブレン吸着体を洗浄、清浄および/または揮散し、続けて平衡化する追加の複数のゾーンが、これらの複数のメンブレン吸着体が再度結合ゾーンに入る前に、設定される。これは、とりわけモノクローナル抗体、組み換えタンパク質、ウィルスベクターまたはDNAの磨きに用いることができる。
【0070】
本発明を実施形態の例を参照して説明したが、本発明はこれらに限定されない。例えば、本装置は単一の構成部品または数個の部品で作製でき、全ての種類の追加の分岐構造およびバルブ構造を含む特定のダクト構造を持つことができる。本発明は開示されたタイプのダイアフラムバルブに限定されず、適切な機能的特性を持った他の種類のバルブを組み込むことができる。これらおよび他の変形は、添付された請求項で請求されているように、本発明の範囲に入ると見做される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロマトグラフ分離プロセスを含む、生物薬剤生成物を提供する方法であって、以下のステップ、
−複数のメンブレン吸着体カートリッジを準備するステップと、
−複数のバルブを準備し、前記複数のバルブは連絡し合うように前記複数のメンブレン吸着体カートリッジに結合され、前記カートリッジの内少なくとも数個が直列に接続されるステップと、
−前記複数のバルブを切り替えて、前記複数のメンブレン吸着体カートリッジが連続してプロセスサイクルの複数の処理ステップを実行され、これにより向流フローモードで動作するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記処理ステップは、
−前記複数のメンブレン吸着体カートリッジの内少なくとも1つにプロセス液を注入し、前記少なくとも1つのメンブレン吸着体カートリッジに対象とする成分を結合することを含む結合動作と、
−前記少なくとも1つのメンブレン吸着体カートリッジに溶出液流を注入し、前記少なくとも1つのメンブレン吸着体カートリッジから前記対象とする生成物を溶出することを含む溶出動作と、
を反復的に実施するように含み、
−バルブ組立体の少なくとも1つのバルブを切り替えることを含む第1の切り替え動作が、前記溶出動作を開始し、
−前記バルブ組立体の少なくとも1つのバルブを切り替えることを含む第2の切り替え動作が、前記結合動作を開始する、
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記結合動作は更に、
−前記少なくとも1つのメンブレン吸着体カートリッジ内の少なくとも1種の再生液を前記複数のメンブレン吸着体に、注入することを含む再生動作と、これに続く、
−前記バルブ組立体の少なくとも1つのバルブを切り替え、前記対象とする成分を結合する前記プロセス液の注入を開始することを含む、第3の切り替え動作と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記少なくとも1種の再生液は、前記メンブレン吸着体を、前記対象とする成分の結合の前に、清浄、消毒および/または揮散および/または平衡化する機能を持つことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法において、前記溶出動作は更に、
−メンブレン吸着体カートリッジに緩衝液を注入し、前記緩衝液によって、前記少なくとも1つのメンブレン吸着体カートリッジにおけるデッドボリューム(dead volume)から前記プロセス液を吐出することを含む洗浄動作と、これに続く、
−前記バルブ組立体の少なくとも1つのバルブを切り替え、前記溶出液流の注入を開始して前記対象とする生成物を溶出することを含む第4の切り替え動作と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
前記複数のバルブは、少なくとも1つの、モジュールで使い捨てできる形態のバルブカセットに組み込まれていることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
前記メンブレン吸着体カートリッジは、親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよび/または混合モードクロマトグラフィーを用いて、前記対象とする生成物を結合し、溶出する吸着体の機能を持つことを特徴とする方法。
【請求項8】
組み換えタンパク質生成物の精製のための、請求項7に記載の方法の使用。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、
前記メンブレン吸着体カートリッジは、プロテインAのクロマトグラフィー、陽イオン交換および/または混合モードのリガンドを用いた、吸着体の機能を持つことを特徴とする方法。
【請求項10】
モノクローナル抗体の精製のための、請求項9に記載の方法の使用。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、
前記メンブレン吸着体カートリッジは親和性クロマトグラフィー、イオン交換または混合モードのリガンドを用いた、吸着体の機能を持つことを特徴とする方法。
【請求項12】
DNAまたはウィルスベクターの精製のための、請求項11に記載の方法の使用。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、前記処理ステップは、
−前記複数のメンブレン吸着体カートリッジの内少なくとも1つにプロセス液を注入し、前記少なくとも1つのメンブレン吸着体カートリッジ内に設けられたメンブレン吸着体に一群の混入物を結合する結合動作と、
−前記結合動作の前に、少なくとも1種の再生液を前記少なくとも1つのメンブレン吸着体カートリッジ内の前記複数のメンブレン吸着体に供給することを含む再生動作と、
を反復的に実施するように含み、
前記バルブ組立体の少なくとも1つのバルブを切り替えることを含む第1の切り替え動作が、前記再生動作を開始し、そして、前記バルブ組立体の少なくとも1つのバルブを切り替えることを含む第2の切り替え動作が、前記結合動作を開始する
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記少なくとも1種の再生液は、前記少なくとも1つのメンブレン吸着体から前記混入物を脱着する、脱着機能を持つことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法において、
前記少なくとも1種の再生液は、前記メンブレン吸着体を、前記対象とする成分の結合の前に、清浄、消毒および/または揮散および/または平衡化する機能を持つことを特徴とする方法。
【請求項16】
モノクローナル抗体、組み換えタンパク質、ウィルスベクターまたはDNA生成物の磨きのための、請求項13に記載の方法の使用。
【請求項17】
クロマトグラフシステムであって、
−複数のメンブレン吸着体カートリッジと、
−前記複数のメンブレン吸着体カートリッジに連絡し合うように結合しているバルブ組立体であって、前記バルブ組立体の複数のカートリッジの内少なくとも数個が直列に接続されているバルブ組立体と、
−前記バルブの切り替えを制御するように設定されたプロセッサであって、前記複数のメンブレン吸着体カートリッジに連続してプロセスサイクルの複数の処理ステップを実行し、これにより向流フローモードで動作させるプロセッサと、
を備えることを特徴とするクロマトグラフシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のクロマトグラフシステムにおいて、
前記プロセッサは、メンブレンの容量(volumetric capacitance)の関数、すなわち実効的メンブレン輸送量および吸着される成分の流入量の関数としてサイクル速度を与えるようにプログラムされていることを特徴とするクロマトグラフシステム。
【請求項19】
請求項17に記載のクロマトグラフシステムにおいて、
前記メンブレン吸着体はモジュール状の複数のバルブカセットにより相互接続され、各バルブカセットは、
−1つ以上のクロマトグラフ分離カートリッジ、および/または供給用もしくは抽出用のチューブ配管への接続に用いられる複数のコネクタを備えるマニホールドと、
−注入口と吐出口とをそれぞれ構成する少なくとも2つのコネクタの間に少なくとも1つ設けられ、閉鎖可能なダクトバルブを備えた、中央ダクトと、
−前記中央ダクトから分岐コネクタへ分岐し、閉鎖可能な分岐バルブを設けた、複数の分岐ダクトと、を備え、
−少なくとも1つの分岐ダクトが前記注入口と前記中央ダクトバルブとの間に設置され、少なくとも1つの分岐ダクトが前記吐出口と前記中央ダクトバルブとの間に設置されている、
ことを特徴とするクロマトグラフシステム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムにおいて、
少なくとも1つの分岐ダクトは、少なくとも2つの分岐コネクタの間に分岐ダクトを形成するもう1つの分岐を備え、前記分岐ダクトは前記中央ダクトから液流を通じるとともに閉鎖可能であることを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項20に記載のシステムにおいて、
前記複数の分岐コネクタは互いに対向するように設置されていることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記コネクタと前記バルブは一体化して小型の単体マニホールド部品として形成されていることを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記の小型の単体マニホールド部品は、使い捨ての部品として形成されていることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記複数のダクトバルブおよび/または前記複数の分岐バルブの少なくとも1つは、ダイアフラムバルブを備え、分離されたアクチュエータで作動されることを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記装置は、結合可能なモジュール状部品から形成され、前記モジュール状部品は複数のコネクタを備え、前記複数のコネクタは第2の結合可能なモジュール状部品に接続して並列および/または直列に結合された複数の中央ダクトを形成可能であり、それにより少なくとも1つの結合した分岐ダクトが、前記モジュール状部品の選択された数の複数の分岐バルブを経由して、選択可能な複数の中央ダクトに接続可能であることを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項25に記載のシステムにおいて、
前記複数のコネクタは、これに対応するガスケットが前記モジュール状部品の側壁にプレスによりまとめて押圧され、各々の複数の分岐ダクトおよび/または複数の中央ダクトの間に液流を通じるように形成されていることを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項25に記載のシステムにおいて、
前記装置は、更に、前記モジュール状部品へシステム供給液流および抽出液流を注入する前側部品、および/または前記モジュール状部品において選択的にダクトを閉鎖する停止部品を提供する後側部品とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記マニホールドはダクトレイアウト部品とダイアフラムとから形成され、前記ダイアフラムは、前記ダクトレイアウト部品を閉鎖し、また複数のダイアフラムバルブを形成し、そして前記マニホールドは対応する数の複数のアクチュエータを取り付けるマウンティングを備えることを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項28に記載のシステムにおいて、
前記ダクトレイアウト部品は、ベース部品とカバー部品との間に結合された中央部品を備え、
前記中央部品の一方の側部が分岐ダクト構造に対応し、
前記中央部品のもう一方の側部が中央ダクト構造に対応し、
前記中央部品はカバー部品に設けられた複数の貫通孔に対応する複数の貫通孔を備え、
前記カバー部品は、貫通孔を閉鎖して前記中央ダクト構造と前記分岐ダクト構造との間にダイアフラムバルブを形成するように、前記ダイアフラムに結合されている、
ことを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項28に記載のシステムにおいて、
前記アクチュエータは、前記ダクトレイアウト部品に形成されるダイアフラムバルブに対応するように形成されることを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記コネクタは衛生継手から形成されていることを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項19に記載のシステムにおいて、
3つの抽出分岐が、前記注入口と前記ダクトバルブとの間で、前記中央ダクトに結合され、2つの供給分岐が、前記ダクトバルブと前記吐出口との間で、前記中央ダクトに結合されていることを特徴とするシステム。
【請求項33】
請求項19に記載のシステムにおいて、
4から6の抽出分岐が、前記注入口と前記ダクトバルブとの間で、前記中央ダクトに結合され、6から8の供給分岐が、前記ダクトバルブと前記吐出口との間で、前記中央ダクトに結合されていることを特徴とするシステム。
【請求項1】
クロマトグラフ分離プロセスを含む、生物薬剤生成物を提供する方法であって、以下のステップ、
−複数のメンブレン吸着体カートリッジを準備するステップと、
−複数のバルブを準備し、前記複数のバルブは連絡し合うように前記複数のメンブレン吸着体カートリッジに結合され、前記カートリッジの内少なくとも数個が直列に接続されるステップと、
−前記複数のバルブを切り替えて、前記複数のメンブレン吸着体カートリッジが連続してプロセスサイクルの複数の処理ステップを実行され、これにより向流フローモードで動作するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記処理ステップは、
−前記複数のメンブレン吸着体カートリッジの内少なくとも1つにプロセス液を注入し、前記少なくとも1つのメンブレン吸着体カートリッジに対象とする成分を結合することを含む結合動作と、
−前記少なくとも1つのメンブレン吸着体カートリッジに溶出液流を注入し、前記少なくとも1つのメンブレン吸着体カートリッジから前記対象とする生成物を溶出することを含む溶出動作と、
を反復的に実施するように含み、
−バルブ組立体の少なくとも1つのバルブを切り替えることを含む第1の切り替え動作が、前記溶出動作を開始し、
−前記バルブ組立体の少なくとも1つのバルブを切り替えることを含む第2の切り替え動作が、前記結合動作を開始する、
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記結合動作は更に、
−前記少なくとも1つのメンブレン吸着体カートリッジ内の少なくとも1種の再生液を前記複数のメンブレン吸着体に、注入することを含む再生動作と、これに続く、
−前記バルブ組立体の少なくとも1つのバルブを切り替え、前記対象とする成分を結合する前記プロセス液の注入を開始することを含む、第3の切り替え動作と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記少なくとも1種の再生液は、前記メンブレン吸着体を、前記対象とする成分の結合の前に、清浄、消毒および/または揮散および/または平衡化する機能を持つことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法において、前記溶出動作は更に、
−メンブレン吸着体カートリッジに緩衝液を注入し、前記緩衝液によって、前記少なくとも1つのメンブレン吸着体カートリッジにおけるデッドボリューム(dead volume)から前記プロセス液を吐出することを含む洗浄動作と、これに続く、
−前記バルブ組立体の少なくとも1つのバルブを切り替え、前記溶出液流の注入を開始して前記対象とする生成物を溶出することを含む第4の切り替え動作と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
前記複数のバルブは、少なくとも1つの、モジュールで使い捨てできる形態のバルブカセットに組み込まれていることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
前記メンブレン吸着体カートリッジは、親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよび/または混合モードクロマトグラフィーを用いて、前記対象とする生成物を結合し、溶出する吸着体の機能を持つことを特徴とする方法。
【請求項8】
組み換えタンパク質生成物の精製のための、請求項7に記載の方法の使用。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、
前記メンブレン吸着体カートリッジは、プロテインAのクロマトグラフィー、陽イオン交換および/または混合モードのリガンドを用いた、吸着体の機能を持つことを特徴とする方法。
【請求項10】
モノクローナル抗体の精製のための、請求項9に記載の方法の使用。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、
前記メンブレン吸着体カートリッジは親和性クロマトグラフィー、イオン交換または混合モードのリガンドを用いた、吸着体の機能を持つことを特徴とする方法。
【請求項12】
DNAまたはウィルスベクターの精製のための、請求項11に記載の方法の使用。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、前記処理ステップは、
−前記複数のメンブレン吸着体カートリッジの内少なくとも1つにプロセス液を注入し、前記少なくとも1つのメンブレン吸着体カートリッジ内に設けられたメンブレン吸着体に一群の混入物を結合する結合動作と、
−前記結合動作の前に、少なくとも1種の再生液を前記少なくとも1つのメンブレン吸着体カートリッジ内の前記複数のメンブレン吸着体に供給することを含む再生動作と、
を反復的に実施するように含み、
前記バルブ組立体の少なくとも1つのバルブを切り替えることを含む第1の切り替え動作が、前記再生動作を開始し、そして、前記バルブ組立体の少なくとも1つのバルブを切り替えることを含む第2の切り替え動作が、前記結合動作を開始する
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記少なくとも1種の再生液は、前記少なくとも1つのメンブレン吸着体から前記混入物を脱着する、脱着機能を持つことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法において、
前記少なくとも1種の再生液は、前記メンブレン吸着体を、前記対象とする成分の結合の前に、清浄、消毒および/または揮散および/または平衡化する機能を持つことを特徴とする方法。
【請求項16】
モノクローナル抗体、組み換えタンパク質、ウィルスベクターまたはDNA生成物の磨きのための、請求項13に記載の方法の使用。
【請求項17】
クロマトグラフシステムであって、
−複数のメンブレン吸着体カートリッジと、
−前記複数のメンブレン吸着体カートリッジに連絡し合うように結合しているバルブ組立体であって、前記バルブ組立体の複数のカートリッジの内少なくとも数個が直列に接続されているバルブ組立体と、
−前記バルブの切り替えを制御するように設定されたプロセッサであって、前記複数のメンブレン吸着体カートリッジに連続してプロセスサイクルの複数の処理ステップを実行し、これにより向流フローモードで動作させるプロセッサと、
を備えることを特徴とするクロマトグラフシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のクロマトグラフシステムにおいて、
前記プロセッサは、メンブレンの容量(volumetric capacitance)の関数、すなわち実効的メンブレン輸送量および吸着される成分の流入量の関数としてサイクル速度を与えるようにプログラムされていることを特徴とするクロマトグラフシステム。
【請求項19】
請求項17に記載のクロマトグラフシステムにおいて、
前記メンブレン吸着体はモジュール状の複数のバルブカセットにより相互接続され、各バルブカセットは、
−1つ以上のクロマトグラフ分離カートリッジ、および/または供給用もしくは抽出用のチューブ配管への接続に用いられる複数のコネクタを備えるマニホールドと、
−注入口と吐出口とをそれぞれ構成する少なくとも2つのコネクタの間に少なくとも1つ設けられ、閉鎖可能なダクトバルブを備えた、中央ダクトと、
−前記中央ダクトから分岐コネクタへ分岐し、閉鎖可能な分岐バルブを設けた、複数の分岐ダクトと、を備え、
−少なくとも1つの分岐ダクトが前記注入口と前記中央ダクトバルブとの間に設置され、少なくとも1つの分岐ダクトが前記吐出口と前記中央ダクトバルブとの間に設置されている、
ことを特徴とするクロマトグラフシステム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムにおいて、
少なくとも1つの分岐ダクトは、少なくとも2つの分岐コネクタの間に分岐ダクトを形成するもう1つの分岐を備え、前記分岐ダクトは前記中央ダクトから液流を通じるとともに閉鎖可能であることを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項20に記載のシステムにおいて、
前記複数の分岐コネクタは互いに対向するように設置されていることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記コネクタと前記バルブは一体化して小型の単体マニホールド部品として形成されていることを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記の小型の単体マニホールド部品は、使い捨ての部品として形成されていることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記複数のダクトバルブおよび/または前記複数の分岐バルブの少なくとも1つは、ダイアフラムバルブを備え、分離されたアクチュエータで作動されることを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記装置は、結合可能なモジュール状部品から形成され、前記モジュール状部品は複数のコネクタを備え、前記複数のコネクタは第2の結合可能なモジュール状部品に接続して並列および/または直列に結合された複数の中央ダクトを形成可能であり、それにより少なくとも1つの結合した分岐ダクトが、前記モジュール状部品の選択された数の複数の分岐バルブを経由して、選択可能な複数の中央ダクトに接続可能であることを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項25に記載のシステムにおいて、
前記複数のコネクタは、これに対応するガスケットが前記モジュール状部品の側壁にプレスによりまとめて押圧され、各々の複数の分岐ダクトおよび/または複数の中央ダクトの間に液流を通じるように形成されていることを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項25に記載のシステムにおいて、
前記装置は、更に、前記モジュール状部品へシステム供給液流および抽出液流を注入する前側部品、および/または前記モジュール状部品において選択的にダクトを閉鎖する停止部品を提供する後側部品とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記マニホールドはダクトレイアウト部品とダイアフラムとから形成され、前記ダイアフラムは、前記ダクトレイアウト部品を閉鎖し、また複数のダイアフラムバルブを形成し、そして前記マニホールドは対応する数の複数のアクチュエータを取り付けるマウンティングを備えることを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項28に記載のシステムにおいて、
前記ダクトレイアウト部品は、ベース部品とカバー部品との間に結合された中央部品を備え、
前記中央部品の一方の側部が分岐ダクト構造に対応し、
前記中央部品のもう一方の側部が中央ダクト構造に対応し、
前記中央部品はカバー部品に設けられた複数の貫通孔に対応する複数の貫通孔を備え、
前記カバー部品は、貫通孔を閉鎖して前記中央ダクト構造と前記分岐ダクト構造との間にダイアフラムバルブを形成するように、前記ダイアフラムに結合されている、
ことを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項28に記載のシステムにおいて、
前記アクチュエータは、前記ダクトレイアウト部品に形成されるダイアフラムバルブに対応するように形成されることを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記コネクタは衛生継手から形成されていることを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項19に記載のシステムにおいて、
3つの抽出分岐が、前記注入口と前記ダクトバルブとの間で、前記中央ダクトに結合され、2つの供給分岐が、前記ダクトバルブと前記吐出口との間で、前記中央ダクトに結合されていることを特徴とするシステム。
【請求項33】
請求項19に記載のシステムにおいて、
4から6の抽出分岐が、前記注入口と前記ダクトバルブとの間で、前記中央ダクトに結合され、6から8の供給分岐が、前記ダクトバルブと前記吐出口との間で、前記中央ダクトに結合されていることを特徴とするシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図16】
【公表番号】特表2010−525318(P2010−525318A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503994(P2010−503994)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【国際出願番号】PCT/NL2007/000103
【国際公開番号】WO2008/127087
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(508113907)イクスエンド、ホールディング、ベスローテン、フェンノートシャップ (2)
【氏名又は名称原語表記】XENDO HOLDING B.V.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【国際出願番号】PCT/NL2007/000103
【国際公開番号】WO2008/127087
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(508113907)イクスエンド、ホールディング、ベスローテン、フェンノートシャップ (2)
【氏名又は名称原語表記】XENDO HOLDING B.V.
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]