説明

連続印刷体ちぎり装置及び方法

【課題】 複数の印刷物が連続している状態を維持したまま、効率よく余白部分をちぎって周縁を毛羽立たせることができる連続印刷体ちぎり装置及び方法を提供すること。
【解決手段】 連続印刷体ちぎり装置1は、搬送経路の送り方向に意匠が連続印刷されている印刷部11と、送り方向に印刷部11と並行な境界部である透かし部12を介して印刷部11に連設されている余白部13,13を有し、ロール状の紙からなる連続印刷体10において、連続印刷体10が搬送経路に沿って送られている過程で、透かし部12に連続的に液体を浸透させる浸透手段2と、連続印刷体10が搬送経路に沿って送られている過程で、液体が浸透された透かし部12に沿って印刷部11から余白部13,13を連続的にちぎるちぎり手段3とを備え、印刷部11の搬送経路の送り方向に並行な周縁を毛羽立たせたることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル等の印刷物の製造装置及び方法に関し、特に周縁を毛羽立たせた印刷物の製造装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、日本酒やワインなどのビンには、他の商品と識別できるラベル等が貼り付けられている。このようなラベルは、ロール状の紙に商品の銘柄等の情報を印刷したものを所定の大きさに裁断した印刷物からなる。
【0003】
近年、例えば和紙などの繊維が長い紙に印刷して所定の大きさに裁断する際に、余白部分を手作業でちぎることによって周縁を毛羽立たせた印刷物がラベル等として用いられるようになってきている。刃物等で裁断され周縁が直線となっている印刷物と比べて、周縁を毛羽立たせた印刷物は、その商品が例えば、限定商品等の付加価値の高い商品であるという印象をより強く消費者に与えることができる。
【0004】
このような周縁を毛羽立たせた印刷物の製造方法及び製造装置として、特許文献1に示すものがある。特許文献1の製造方法は、四方がちぎられることによって毛羽立った耳付紙を製造する方法である。透かし技法により形成した透かし線(原料が薄い部分に)水又はアルコール入りの水溶液を浸透させてからちぎることによって、毛羽立った耳付紙を製造することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3069939号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、手作業でちぎると製造に手間と時間がかかるという問題がある。また、特許文献1には、ちぎる手段として、手で行う場合の他、特殊カッターあるいは引裂き機等の機械的なちぎりであってもよいとの記載があるが、その機械的なちぎりの具体的な構成が示されていないため、効率よくちぎることが実現できないという問題がある。
【0007】
さらに、特許文献1では、印刷物を最小単位である1枚1枚の大きさにまでちぎられるが、最小単位にちぎられた印刷物を貼付装置で商品に印刷物を貼り付ける場合に、1枚1枚の印刷物を貼付装置の搬送経路に沿って送ると、貼付装置内での紙詰まり可能性が高まり効率が悪くなるという問題があった。
【0008】
上記点より本発明は、複数の印刷物が連続している状態を維持したまま、効率よく余白部分をちぎって周縁を毛羽立たせることができる連続印刷体ちぎり装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため請求項1の連続印刷体ちぎり装置は、搬送経路の送り方向に意匠が連続印刷されている印刷部と、前記送り方向に前記印刷部と並行な境界部を介して前記印刷部に連設されている余白部とを有し、ロール状の紙からなる連続印刷体において、前記連続印刷体が搬送経路に沿って送られている過程で、前記境界部に連続的に液体を浸透させる浸透手段と、前記連続印刷体が搬送経路に沿って送られている過程で、液体が浸透された前記境界部に沿って前記印刷部から前記余白部を連続的にちぎるちぎり手段とを備え、前記印刷部の搬送経路の送り方向に並行な周縁を毛羽立たせたるようになっている。
【0010】
搬送経路の送り方向に意匠が連続印刷されている印刷部と、送り方向に印刷部と並行な境界部を介して印刷部に連設されている余白部とを有し、ロール状の紙からなる連続印刷体において、境界部で余白部を連続的にちぎるので、印刷部は複数の意匠が連続している状態を維持することができる。
【0011】
余白部がちぎられた後の印刷部は、貼付装置によって商品に貼り付けられるようになっている。その貼付装置において、連続している状態の印刷部を貼付装置の搬送経路に沿って送ることができるので、貼付装置内での紙詰まりの可能性を抑制することができ、結果的に貼り付けの効率を向上させることができる。
【0012】
また、搬送経路に沿って送られている連続印刷体の境界部に連続的に液体を浸透させる浸透手段と、搬送経路に沿って送られている連続印刷体の境界部で前記余白部を連続的にちぎるちぎり手段とを備えるので、効率よく余白部分をちぎって印刷部の搬送経路の送り方向に並行な周縁を毛羽立たせることができる。
【0013】
請求項2の連続印刷体ちぎり装置では、請求項1記載の連続印刷体ちぎり装置において、前記境界部が前記印刷部及び前記余白部より薄い透かしとなっている。
【0014】
境界部が印刷部及び余白部より薄い透かしとなっていることによって、連続印刷体は境界部がちぎれやすくなっており、ちぎれによる裂け目が境界部で進展するようになっている。したがって、裂け目が印刷部や余白部へ進展することを防止でき、歩留まりを向上させることができる。
【0015】
請求項3の連続印刷体ちぎり装置では、請求項1又は4のいずれか記載の連続印刷体ちぎり装置において、前記浸透手段は、吸水可能な素材からなる外周縁を有する円盤と、その円盤の一部が浸されており、前記液体が貯留されている貯留部とを有しており、前記円盤が搬送経路に沿って送られている前記連続印刷体の前記境界部に当接しながら回転することによって、前記境界部に液体を浸透させることができるようになっている。
【0016】
請求項3に示すような浸透手段によって、境界部に液体を連続的に浸透させることができるようになっている。また、連続印刷体が送られると、連続印刷体の境界部に当接している円盤が摩擦力によって回転する。この円盤は、吸水可能な素材からなる外周縁を有するので、一部が浸されている貯留部で液体を吸水し、境界部に当接することによって液体が境界部に浸透されるようになっている。円盤を回転駆動させる必要がないので、装置全体の省エネ化を実現することができる。
【0017】
請求項4の連続印刷体ちぎり装置では、請求項1又は2に記載の連続印刷体ちぎり装置において、前記浸透手段は、液体を射出する射出器を有しており、搬送経路に沿って送られている前記連続印刷体の前記境界部に向って液体を射出することによって、前記境界部に連続的に液体を浸透させるようになっている。
【0018】
請求項4に示すような浸透手段によって、境界部に液体を連続的に浸透させることができるようになっている。また、射出器の液体の射出量を調整することによって、境界部に適量の液体を浸透させることができる。
【0019】
請求項5の連続印刷体ちぎり装置では、請求項1乃至4のいずれかに記載の連続印刷体ちぎり装置において、前記ちぎり手段は、前記印刷部の送り方向に対して前記余白部の送り方向が角度をなさしめて、前記境界部にせん断力が生じさせ、前記余白部を前記印刷部から連続的にちぎるようになっている。
【0020】
せん断力によって余白部を印刷部から連続的にちぎるので、手作業でちぎったように周縁を毛羽立たせることができる。
【0021】
請求項6の連続印刷体ちぎり装置では、前記ちぎり手段は、前記境界部にせん断力を生じさせ、前記余白部を連続的にちぎるちぎりロールと、ちぎられた前記余白部を巻き取る余白部巻取りロールと、前記余白部がちぎられた前記印刷部を巻き取る印刷部巻取りロールとを有し、前記ちぎりロールから前記余白部巻取りロールへちぎられた前記余白部が送られる方向と前記ちぎりロールから前記印刷部巻取りロールへちぎられた前記印刷部が送られる方向とが異なるようになっている。
【0022】
ちぎりロールから余白部巻取りロールへちぎられた余白部が送られる方向とちぎりロールから印刷部巻取りロールへちぎられた印刷部が送られる方向とが異なることよって境界部にせん断力を容易に生じさせるようになっている。また、余白部及び印刷部をそれぞれ別のロールで巻き取ることができるので、巻き取られた印刷部を次の工程へと容易に搬送することができる。
【0023】
請求項7の連続印刷体ちぎり方法は、搬送経路の送り方向に意匠が連続印刷されている印刷部と、前記送り方向に前記印刷部と並行な境界部を介して前記印刷部に連設されている余白部とを有し、ロール状の紙からなる連続印刷体において、前記連続印刷体が搬送経路に沿って送られている過程で、前記境界部に連続的に液体を浸透させる浸透工程と、前記連続印刷体が搬送経路に沿って送られている過程で、液体が浸透された前記境界部に沿って前記印刷部から前記余白部を連続的にちぎるちぎり工程とを備え前記印刷部の搬送経路の送り方向に並行な周縁を毛羽立たせたるようになっている。
【0024】
搬送経路の送り方向に意匠が連続印刷されている印刷部と、送り方向に印刷部と並行な境界部を介して印刷部に連設されている余白部とを有し、ロール状の紙からなる連続印刷体において、境界部で余白部を連続的にちぎるので、印刷部は複数の印刷物である意匠が連続している状態を維持することができる。
【0025】
また、搬送経路に沿って送られている連続印刷体の境界部に連続的に液体を浸透させる浸透工程と、搬送経路に沿って送られている連続印刷体の境界部で前記余白部を連続的にちぎるちぎり工程とを備えるので、効率よく余白部分をちぎって印刷部の搬送経路の送り方向に並行な周縁を毛羽立たせることができる。
【0026】
請求項8の毛羽立ち印刷体は、搬送経路の送り方向に意匠が連続印刷されている印刷部と、前記送り方向に前記印刷部と並行に延びる境界部を介して前記印刷部に連設されている余白部とを有し、ロール状の紙からなる連続印刷体が、搬送経路に沿って送られている過程で前記境界部に連続的に液体が浸透させられた後、液体が浸透された前記境界部に沿って前記印刷部から前記余白部が連続的にちぎられ、前記印刷部の搬送経路の送り方向に並行な周縁が毛羽立っている。
【0027】
境界部に連続的に液体が浸透させられた後、液体が浸透された前記境界部に沿って前記印刷部から前記余白部が連続的にちぎられるので、効率よく印刷部の搬送経路の送り方向に並行な周縁を毛羽立たせることができる。
【発明の効果】
【0028】
請求項1から8のいずれかの発明によれば、複数の印刷物が連続している状態を維持したまま、効率よく余白部分をちぎって周縁を毛羽立たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】意匠を省略した連続印刷体の一部を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態の連続印刷体ちぎり装置の構成図である。
【図3】ちぎられた後の印刷部の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態の連続印刷体ちぎり装置1でちぎることができる連続印刷体10の一部を示す斜視図である。
【0031】
図1に示すように、連続印刷体10は、搬送経路の送り方向に意匠(図示せず)が連続印刷されている印刷部11と、送り方向に印刷部11と並行な境界部である透かし部12,12を介して印刷部11に連設されている余白部13,13とを有する。
【0032】
連続印刷体10は、例えば和紙などの繊維が長い紙からなり、このような紙はちぎることによって周縁を毛羽立たせることができるようになっている。
【0033】
印刷部11には、送り方向において所定間隔ごとに印刷部透かし14が形成されている。印刷部透かし14の各間の印刷領域15に意匠が連続印刷されている。印刷部透かし14の厚さは、印刷領域15の厚さより薄くなっている。
【0034】
透かし部12,12は、印刷部11の送り方向と並行にそれぞれ延びており、透かし部12,12の厚さは印刷領域15の厚さより薄くなっている。
【0035】
余白部13,13は、それぞれ透かし部12,12を介して印刷部11の送り方向と並行に延びており、余白部13,13の厚さは、透かし部12,12の厚さより厚くなっている。余白部13には、印刷工程で必要な位置決め用のマーク(図示せず)が印刷される。
【0036】
連続印刷体10は、後で詳述する連続印刷体ちぎり装置1によって、透かし部12,12に沿って印刷部11から余白部13,13が連続的にちぎられる。
【0037】
図2は、本発明の一実施形態の連続印刷体ちぎり装置1の構成図である。図中の矢印Aは連続印刷体10が搬送経路に沿って送られる方向を示し、矢印Bは余白部13,13が搬送経路に沿って送られる方向を示し、矢印Cは印刷部11が搬送経路に沿って送られる方向を示す。
【0038】
連続印刷体ちぎり装置1は、印刷機(図示せず)に取り付けることができ、印刷機の搬送経路と連続印刷体ちぎり装置1の搬送経路が接続されている。したがって、印刷機で印刷され排出された連続印刷体10は、連続印刷体ちぎり装置1へと流れて行き、連続的にちぎられるようになっている。
【0039】
連続印刷体ちぎり装置1は、前述した連続印刷体10が搬送経路に沿って送られている過程で、透かし部12,12に連続的に液体を浸透させる浸透手段2と、連続印刷体10が搬送経路に沿って送られている過程で、液体が浸透された透かし部12,12に沿って印刷部11から余白部13,13を連続的にちぎるちぎり手段3とを備える。
【0040】
浸透手段2は、連続印刷体10が側周面に捲き付いた状態で送られている浸透ロール21と、連続印刷体10を浸透ロール21との間で挟んでいる円盤22,22と、液体が貯留されており、円盤22,22の一部が浸されている貯留部23とを有している。浸透手段2によって、浸透工程が実現される。
【0041】
円盤22,22は、回転軸22a周りに回転可能となっている。連続印刷体10が搬送経路に沿って送られると、連続印刷体10の透かし部12,12に当接している円盤22,22が摩擦力によって回転する。
【0042】
円盤22,22は吸水可能な素材からなる外周縁を有するフェルト素材からなるので、円盤22,22が貯留部23に貯留されているに液体に接触すると、外周縁のフェルト素材が液体を吸水し内部に液体を溜め込むことになる。その円盤22,22の外周縁のフェルト素材が浸透ロール21との間に挟まれている連続印刷体10の透かし部12,12に当接すると、内部に溜め込まれていた液体が連続印刷体10の透かし部12,12に浸透するようになっている。
【0043】
尚、前述のように連続印刷体10は、紙からなるので、円盤22,22が連続印刷体10の透かし部12,12に当接する面は、連続印刷体10の表裏のどちら側であってもよい。
【0044】
上述のような円盤22,22が搬送経路に沿って送られている連続印刷体10の透かし部12,12に当接しながら回転することによって、透かし部12,12に連続的に液体を浸透させることができるようになっている。
【0045】
ちぎり手段3は、透かし部12,12にせん断力を生じさせ、余白部13,13を連続的にちぎるちぎりロール31と、ちぎられた余白部13,13を巻き取る余白部巻取りロール32と、余白部13,13がちぎられた印刷部11を巻き取る印刷部巻取りロール33とを有する。ちぎり手段3によって、ちぎり工程が実現される。
【0046】
ちぎりロール31から余白部巻取りロール32へちぎられた余白部13,13が送られる方向(図2中の矢印B)とちぎりロール31から印刷部巻取りロール33へちぎられた印刷部11が送られる方向(図2中の矢印C)とが異なることによって、ちぎり手段3は、印刷部11の送り方向に対して余白部13,13の送り方向が角度をなさしめることができる。これにより、ちぎり手段3は、液体が浸透した透かし部12,12にせん断力が生じさせ、余白部13,13を印刷部11から連続的にちぎることができる。
【0047】
余白部13,13は余白部巻取りロール32に巻き取られ、印刷部11は印刷部巻取りロール33に巻き取られる。巻き取られた印刷部11は、例えば、貼付装置などの次の工程へと容易に搬送することができる。
【0048】
図3は、透かし部12,12に沿って余白部13,13がちぎられた後の印刷部11(毛羽立ち印刷体)の斜視図である。図1と同様に印刷領域15に連続印刷されている意匠は省略してある。印刷部11の搬送経路の送り方向に並行な周縁11a,11aは毛羽立った状態となっており、手作業でちぎったような風合いを有する。
【0049】
また、印刷部11は印刷部透かし14ではちぎられておらず、複数の印刷物である意匠が連続している状態を維持されている。印刷部11は、この後、印刷部透かし14に沿ってちぎる装置(図示せず)や貼付装置(図示せず)等を経て商品に貼り付けられるようになっており、印刷部透かし14に沿ってちぎる装置等において印刷部透かし14がちぎられることによって、商品にはすべての周縁が毛羽立った状態で印刷部11が貼り付けられるようになっている。
【0050】
上記実施形態では、連続印刷体10が透かし部12,12を有する場合について説明したが、これに限定されることなく、連続印刷体は透かし部が形成されていなくてもよい。この場合、連続印刷体のちぎりたい箇所に液体を浸透させ、液体が浸透した部分が境界部となり、この境界部に沿って余白部を印刷部からちぎることとなる。
【0051】
上記実施形態では、連続印刷体10は、紙からなる場合について説明したがこれに限定されることなく、例えば、タックラベル等のように、表面に意匠が印刷され、裏面に粘着層が形成されている紙とその粘着層を覆う台紙とを有する連続印刷体であってもよい、余白部であるカスをちぎりながら台紙から分離させることによって、台紙上には印刷部のみが残存する。この場合、浸透手段は紙の表面側から液体を浸透させて余白部を印刷部からちぎることによって、印刷部の搬送経路の送り方向に並行な周縁は毛羽立った状態となる。
【0052】
また、例えば、ディレードタックラベルのように、表面に意匠が印刷され、裏面に粘着層が形成されている紙からなる連続印刷体であってもよい。紙の裏面に接着層を形成する工程がちぎり工程の前である場合は、表面から浸透手段は紙の表面側から液体を浸透させて余白部を印刷部からちぎることによって、印刷部の搬送経路の送り方向に並行な周縁は毛羽立った状態となる。紙の裏面に接着層を形成する工程がちぎり工程の後である場合は、表面から浸透手段は紙の表面側又は裏面側から液体を浸透させて余白部を印刷部からちぎることによって、印刷部の搬送経路の送り方向に並行な周縁は毛羽立った状態となる。
【0053】
上記実施形態では、円盤22,22は吸水可能な素材からなる外周縁を有するフェルト素材からなる場合について説明したがこれに限定されることなく、円盤は、例えば、スポンジ等の吸水可能な素材からなってもよい。
【0054】
上記実施形態では、円盤22,22を用いて液体を連続印刷体10に浸透させる場合について説明したが、これに限定されることなく、例えば、浸透手段は液体を射出する射出器を有しており、搬送経路に沿って送られている連続印刷体の透かし部(境界部)に向って液体を射出することによって、境界部に連続的に液体を浸透させるようになっていてもよい。
【0055】
上記実施形態では、ちぎりロール31、余白部巻取りロール32及び印刷部巻取りロール33を図2に示すような配置とする場合について説明したがこれに限定されることなく、ちぎりロール、余白部巻取りロール及び印刷部巻取りロール境界部である透かし部に境界部にせん断力が生じさせることができるような配置であればよく、さらに、ちぎりを効率よく行うための補助ロールを設けてもよい。
【0056】
上記実施形態で説明した連続印刷体ちぎり装置1は、ラベルだけではなく、ハガキ、メッセージカード、便箋、しおり等の紙製品を製造する場合においても、連続印刷体の状態での搬送経路の送り方向に並行な周縁を毛羽立たせることができる。
【0057】
また、本発明の連続印刷体ちぎり方法は、搬送経路の送り方向に意匠が連続印刷されている印刷部と、送り方向に印刷部と並行に延びる境界部を介して印刷部に連設されている余白部とを有し、ロール状の紙からなる連続印刷体において、連続印刷体が搬送経路に沿って送られている過程で、境界部に連続的に液体を浸透させる浸透工程と、連続印刷体が搬送経路に沿って送られている過程で、液体が浸透された境界部に沿って印刷部から前記余白部を連続的にちぎるちぎり工程とを備え、印刷部の搬送経路の送り方向に並行な周縁を毛羽立たせたることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 連続印刷体ちぎり装置
2 浸透手段
3 ちぎり手段
10 連続印刷体
11 印刷部
11a 周縁
12 透かし部
13 余白部
14 印刷部透かし
15 印刷領域
21 浸透ロール
22 円盤
22a 回転軸
23 貯留部
31 ちぎりロール
32 余白部巻取りロール
33 印刷部巻取りロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路の送り方向に意匠が連続印刷されている印刷部と、前記送り方向に前記印刷部と並行に延びる境界部を介して前記印刷部に連設されている余白部とを有し、ロール状の紙からなる連続印刷体において、
前記連続印刷体が搬送経路に沿って送られている過程で、前記境界部に連続的に液体を浸透させる浸透手段と、
前記連続印刷体が搬送経路に沿って送られている過程で、液体が浸透された前記境界部に沿って前記印刷部から前記余白部を連続的にちぎるちぎり手段とを備え、
前記印刷部の搬送経路の送り方向に並行な周縁を毛羽立たせたることを特徴とする連続印刷体ちぎり装置。
【請求項2】
前記境界部が前記印刷部及び前記余白部より薄い透かしとなっていることを特徴とする請求項1に記載の連続印刷体ちぎり装置。
【請求項3】
前記浸透手段は、
吸水可能な素材からなる外周縁を有する円盤と、
前記液体を貯留しており、前記円盤の一部が浸されている貯留部とを有しており、
前記円盤が搬送経路に沿って送られている前記連続印刷体の前記境界部に当接しながら回転することによって、前記境界部に連続的に液体を浸透させることを特徴とする請求項1又は2に記載の連続印刷体ちぎり装置。
【請求項4】
前記浸透手段は、液体を射出する射出器を有しており、搬送経路に沿って送られている前記連続印刷体の前記境界部に向って液体を射出することによって、前記境界部に連続的に液体を浸透させることを特徴とする請求項1又は2に記載の連続印刷体ちぎり装置。
【請求項5】
前記ちぎり手段は、前記印刷部の送り方向に対して前記余白部の送り方向が角度をなさしめて、前記境界部にせん断力が生じさせ、前記余白部を前記印刷部から連続的にちぎることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の連続印刷体ちぎり装置。
【請求項6】
前記ちぎり手段は、
前記境界部にせん断力を生じさせ、前記余白部を連続的にちぎるちぎりロールと、
ちぎられた前記余白部を巻き取る余白部巻取りロールと、
前記余白部がちぎられた前記印刷部を巻き取る印刷部巻取りロールとを有し、
前記ちぎりロールから前記余白部巻取りロールへちぎられた前記余白部が送られる方向と前記ちぎりロールから前記印刷部巻取りロールへちぎられた前記印刷部が送られる方向とが異なることを特徴とする請求項5に記載の連続印刷体ちぎり装置。
【請求項7】
搬送経路の送り方向に意匠が連続印刷されている印刷部と、前記送り方向に前記印刷部と並行に延びる境界部を介して前記印刷部に連設されている余白部とを有し、ロール状の紙からなる連続印刷体において、
前記連続印刷体が搬送経路に沿って送られている過程で、前記境界部に連続的に液体を浸透させる浸透工程と、
前記連続印刷体が搬送経路に沿って送られている過程で、液体が浸透された前記境界部に沿って前記印刷部から前記余白部を連続的にちぎるちぎり工程とを備え、
前記印刷部の搬送経路の送り方向に並行な周縁を毛羽立たせたることを特徴とする連続印刷体ちぎり方法。
【請求項8】
搬送経路の送り方向に意匠が連続印刷されている印刷部と、前記送り方向に前記印刷部と並行に延びる境界部を介して前記印刷部に連設されている余白部とを有し、ロール状の紙からなる連続印刷体が、搬送経路に沿って送られている過程で前記境界部に連続的に液体が浸透させられた後、液体が浸透された前記境界部に沿って前記印刷部から前記余白部が連続的にちぎられ、前記印刷部の搬送経路の送り方向に並行な周縁が毛羽立っていることを特徴とする毛羽立ち印刷体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−51022(P2011−51022A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199222(P2009−199222)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【特許番号】特許第4487101号(P4487101)
【特許公報発行日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(596066046)高桑美術印刷株式会社 (3)
【Fターム(参考)】