連続整畦作業方法
【課題】走行機体の進行に沿ってオフセット位置で作業を行う畦塗り機を用いて、連続作業を中止することなく、隣り合う辺の連続整畦作業を可能にすること。
【解決手段】走行機体2の後方にこの走行機体2に対して水平回動または水平移動自在に架設される伝動部材の先端に水平回動自在に装着された作業部51と、作業部51の位置及び方位を検出するセンサ20からの情報に基づいて前記伝動部材の水平回動または水平移動の量と作業部51の水平回動の量を独立して無段階に制御し、走行機体2の旋回をともなう前進動時に作業部51を畦に沿わせたまま、その圃場の隅部付近までの直進性を維持させる制御手段とを備える畦塗り機50を用いて、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うこと。
【解決手段】走行機体2の後方にこの走行機体2に対して水平回動または水平移動自在に架設される伝動部材の先端に水平回動自在に装着された作業部51と、作業部51の位置及び方位を検出するセンサ20からの情報に基づいて前記伝動部材の水平回動または水平移動の量と作業部51の水平回動の量を独立して無段階に制御し、走行機体2の旋回をともなう前進動時に作業部51を畦に沿わせたまま、その圃場の隅部付近までの直進性を維持させる制御手段とを備える畦塗り機50を用いて、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うこと。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の走行機体に装着されて、走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置を作業することができる畦塗り機を用いた連続整畦作業方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラクタ等の走行機体に装着され、走行機体の進行方向に沿って圃場における各種の連続直進作業を行う作業機は、農業用機械又は土木用機械として一般的に広く使われており、作業の種類に応じた各種の作業機がある。このような作業機の中で、畦塗り機、溝形成機、草刈機等は、その作業の特殊性から、走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置を作業させることが出来るような構成となっており、いわゆるオフセット作業機として知られている。特に、畦塗り機は、広い圃場の全周に亘って畦を成形するものであって、従来、多大な時間と労力を要していた畦塗り作業の機械化を達成したものとして近年注目されている。
【0003】
特許文献1には、オフセット作業機としてロータリ砕土装置を例示し、従来のオフセット作業機では困難であった、オフセット量を所望の範囲に調整可能にしたオフセット作業機が開示されている。また、特許文献2には、平行リンク機構を採用することによりオフセット量を調整可能にした溝堀機が開示されている。しかし、このような従来知られているオフセット作業機は、走行機体の進行に沿ってオフセット位置での直進作業を行うが、例えば、矩形の圃場において圃場の辺に沿った直進作業を行う場合に、走行機体の先端部分が圃場の端に到達した時点でその後の直進作業を行うことができなくなるという共通の問題がある。
【0004】
特に、矩形圃場の周辺に沿って直線的な畦塗り作業を行う畦塗り機においては、走行機体の先端が圃場端部に達した時点で、そこから先の畦塗り作業を行うことができなくなるので、矩形圃場の四隅に必ず未作業部分が残ってしまうという問題が生じる。この問題を解決するために、本願出願人は、作業部を通常作業時とは反対側のオフセット位置に移動させると共にその前後関係を反転させ、四隅の未作業部分に対して走行機体を後進させながら作業を行う、反転リバース機構を備えた畦塗り機を提案した(特許文献3参照)。
この畦塗り機の基本構成は、走行機体の後部に装着され、走行機体からの動力が入力される入力軸を備える装着部と、入力軸からの動力を伝達する動力伝達機構を備えると共にオフセット位置での機体支持を行うオフセット機構部と、伝達された動力によってオフセット位置で畦塗り作業を行う作業部とを備え、この作業部は、旧畦の一部を切り崩して土盛りを行う前処理部と盛られた土を切り崩された旧畦上に塗りつける整畦部とからなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2537586号公報
【特許文献2】実開昭57−22557号公報
【特許文献3】特開2001−28903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような解決策によると、作業部を反転リバースさせるための複雑な機構を装備しなければならないので、作業機の高重量化、大型化、高価格化を招くことになる。また、残りの未作業部分に対しては走行機体を後進させて作業することになるので、作業の熟練性が要求され、特に走行性の悪い湿田等においては後進作業が非常に困難な状況になり、作業性の面で問題がある。
【0007】
更には、このような反転リバースによる作業では、走行機体を停止させて畦塗り機の作業部を反転リバースさせ、走行機体の進行方向を変えて作業位置を調整した後に作業機を再始動させることになるので、連続作業を一旦中止せざるを得ず、作業能率の面で問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題に対処するためになされたものであって、走行機体に装着され、走行機体の進行に沿ってオフセット位置で作業を行う畦塗り機を用いて、連続作業を中止することなく、隣り合う辺の連続整畦作業を可能にすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明の連続整畦作業方法は、走行機体の後方にこの走行機体に対して水平回動または水平移動自在に架設される伝動部材の先端に水平回動自在に装着された作業部と、前記作業部の位置及び方位を検出するセンサからの情報に基づいて前記伝動部材の水平回動または水平移動の量と前記作業部の水平回動の量を独立して無段階に制御し、前記走行機体の旋回をともなう前進動時に前記作業部を畦に沿わせたまま、その圃場の隅部付近までの直進性を維持させる制御手段とを備える畦塗り機を用いて、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の連続整畦作業方法の発明において、前記伝動部材の水平回動または水平移動の量と前記作業部の水平回動の量を制御しながら前記走行機体の前進走行のみによって、作業を行うことを特徴とする。
【0011】
このような連続整畦作業方法によれば、走行機体の後方にこの走行機体に対して水平回動または水平移動自在に架設される伝動部材の先端に水平回動自在に装着された作業部と、前記作業部の位置及び方位を検出するセンサからの情報に基づいて前記伝動部材の水平回動または水平移動の量と前記作業部の水平回動の量を独立して無段階に制御し、前記走行機体の旋回をともなう前進動時に前記作業部を畦に沿わせたまま、その圃場の隅部付近までの直進性を維持させる制御手段とを備える畦塗り機を用いることにより、圃場の隅部付近までの直進性を維持することができ、さらに、走行機体の旋回等に伴う走行機体の姿勢変化によって発生する作業部の位置や作業方向のずれを検知することにより作業部を所望のコースに維持するよう制御することができるため、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うことで、隣り合う辺の連続作業が可能になる。
【0012】
制御手段は、走行機体の姿勢変化に対応して、作業部の位置及び方位の情報に基づき、伝動部材の水平回動または水平移動の量と作業部の水平回動の量を独立して無段階に制御することにより、走行機体の旋回等によって作業部の位置及び方位(方向)が変化しても、作業部は所望の姿勢に維持若しくは変化して、より精度の高い作業部の姿勢に調整が可能となり、圃場の端部に至るまで高い精度で作業を継続させることができる。
【0013】
制御手段は、作業部の位置及び方位を検出するセンサを備え、該センサからの検出信号により伝動部材の水平回動または水平移動の量と作業部の水平回動の量を独立して無段階に制御して作業を行うので、全自動制御や手動を含めた半自動制御により圃場の端部に至るまで直進作業を継続させることができ、より作業の精度を向上させることができる。また、畦の延びる方向に凹凸があったり、畦が湾曲した複雑な形状であっても、走行機体の姿勢変化に対応して正確な作業が確保できる。
【0014】
また、伝動部材の水平回動または水平移動の量と作業部の水平回動の量を制御しながら走行機体の前進走行のみによって作業を行うことにより、圃場の隅部においても走行機体を停止させることなく、整畦作業が可能となるので、作業能率の高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係わる連続整畦作業方法によれば、走行機体の後方にこの走行機体に対して水平回動または水平移動自在に架設される伝動部材の先端に水平回動自在に装着された作業部と、前記作業部の位置及び方位を検出するセンサからの情報に基づいて前記伝動部材の水平回動または水平移動の量と前記作業部の水平回動の量を独立して無段階に制御し、前記走行機体の旋回をともなう前進動時に前記作業部を畦に沿わせたまま、その圃場の隅部付近までの直進性を維持させる制御手段とを備える畦塗り機を用いることにより、圃場の隅部付近までの直進性を維持することができ、さらに、走行機体の旋回等に伴う走行機体の姿勢変化によって発生する作業部の位置や作業方向のずれを検知することにより作業部を所望のコースに維持するよう制御することができるため、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うことで、隣り合う辺の連続作業が可能になる。
このため、圃場内で走行機体が旋回しているときに、作業部の直進作業を維持させ圃場の端部に至るまで直進作業を継続させることができ、したがって、前進のみの連続作業によっても圃場の端部まで作業を行うことができ、作業能率が高く、作業性が良好なオフセット作業が可能となり、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。また、畦の延びる方向に凹凸があったり、畦が湾曲した複雑な形状であっても走行機体の姿勢変化に対応して作業部の位置・方位を制御するため、正確な作業を行うことができる。
【0016】
このように、連続整畦作業方法によれば、これまで作業部を反転リバースさせた後に後進作業によって行っていた矩形圃場の四隅の塗り残し作業や端部の仕上げ作業を、連続した前進作業によって行うことができ、畦塗り作業の作業性と作業能率を著しく向上させることができる。
【0017】
また、制御手段は、走行機体の姿勢変化に対応して、作業部の位置及び方位の情報に基づいて、伝動部材の水平回動または水平移動の量と作業部の水平回動の量を独立して無段階に制御することにより、より精度の高い作業部の位置関係調整が可能となり、圃場の端部に至るまで直進作業を高い精度で継続させることができる。
【0018】
また、制御手段は、作業部の位置及び方位を検出するセンサを備え、センサからの検出信号により伝動部材の水平回動または水平移動の量と作業部の水平回動の量を独立して無段階に制御することにより、全自動制御や手動を含めた半自動制御により圃場の端部に至るまで作業の継続が可能になり、作業精度を向上させることができる。
【0019】
さらに、伝動部材の水平回動または水平移動の量と作業部の水平回動の量を制御しながら走行機体の前進走行のみによって作業を行うことにより、圃場の隅部においても走行機体を停止させることなく、作業が可能であるので、作業能率の高い作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図2】同畦塗り機を装着したトラクタが旋回している状態の平面図である。
【図3】同畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図8】本発明の第6実施形態に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図9】本発明の第7実施形態に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図10】本発明の第8実施形態に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図11】本発明の第9実施形態に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係わる畦塗り機を用いた連続整畦作業方法について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明は、これら実施の形態や図面に記載された範囲に限定されるものではない。
【0022】
本発明に係わる畦塗り機の第1の実施形態について説明する。図1は、畦塗り機の概略構成説明図である。図1において、符号2は走行機体であるトラクタを示し、トラクタ2の後部には、トップリンク及びロアリンクからなる三点リンク連結機構3が設けられている。畦塗り機50は、本体フレーム4、オフセットアーム(伝動フレーム)5、および作業部51とを有しており、本体フレーム4をトラクタ2の三点リンク連結機構3に連結することによりトラクタ2に装着される。本体フレーム4の中央部には、オフセットアーム5の基端部が枢支部Aを揺動中心として水平方向に回動するように枢支され、これによりトラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度を構成している。一方、オフセットアーム5の先端部には作業部51が枢支部Bを回動中心として、水平方向に回動するように枢支され、これにより作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度が構成されている。オフセットアーム5は作業部51を支持すると共にトラクタ2から伝達される動力を作業部51に伝達するための図示しない動力伝達機構を備えて構成されている。
なお、第一の自由度としては、1以上の水平回動により構成される自由度、1以上の水平移動により構成される自由度、あるいは水平回動及び水平移動の組み合わせにより構成される自由度など、種々の構成の自由度を採用することができる。第二の自由度としては、通常、水平回動のみにより構成される自由度が用いられるが、他の構成による自由度としても良い。
【0023】
本体フレーム4とオフセットアーム5との間には、図示しないアクチュエータ(電動シリンダ又は油圧シリンダ)が介装されており、該アクチュエータ(電動シリンダ又は油圧シリンダ)の伸縮作動により、オフセットアーム5を枢支部Aを揺動中心として水平方向に回動させて、オフセットアーム5の先端部に枢支された作業部51がトラクタ2から左右方向に移動できるようになっている。
【0024】
作業部51は、オフセットアーム5の先端部の枢支部Bを回動中心として水平方向に回動するように枢支された支持・伝動フレーム7と、該支持・伝動フレーム7の前後に支持された前処理体14及び整畦体15とを有する。支持・伝動フレーム7は、枢支部Bを構成する垂直方向に延びる水平方向に回動する水平回動軸53を介して水平方向に回動可能であり、その水平回動動作は、オフセットアーム5と支持・伝動フレーム7との間に介装された図示しないアクチュエータ(電動シリンダ又は油圧シリンダ)の伸縮作動により行われ、作業部51を所望の姿勢に制御することができるようになっている。すなわち、畦塗り機50は、2つの自由度を備えており、その自由度を後述するコントローラにより制御可能に構成されている。なお、前処理体14及び整畦体15は、作業部51の支持・伝動フレーム7に対して、それぞれが別々に上下位置調節可能に支持されている。
【0025】
畦塗り機50は、トラクタ2の進行方向とほぼ直交するようにして設けられた本体フレーム4の中央部に設けられたギヤボックスから前方に向けて図示しない入力軸を突出し、該入力軸にトラクタ2のPTO軸6からユニバーサルジョイント及び伝動軸等を介して動力が伝達される。また、支持・伝動フレーム7には、オフセットアーム(伝動フレーム)5を介して動力が伝達され、該支持・伝動フレーム7から前処理体14及び整畦体15に動力を伝達するように構成されている。
【0026】
枢支部Bを構成する水平回動軸53は、作業部51における主作業部である整畦体15の回転中心軸線S上に設けられている。このように構成することにより、作業部51の回動角度に対する主作業部の移動量を小さくすることができる利点がある。つまり、トラクタ2の旋回により作業部51の姿勢(方位あるいは方向など)が変化しても、主作業部は直進作業の接線方向に移動するだけであり、ほとんど作業精度に影響を及ぼすことがない。また、作業部51の回動動作を自動制御する場合には、作業部51の回動角度に応じた主作業部の移動方向や移動位置の演算処理が容易となり、姿勢制御の精度を向上させることができる。
更に、手動を含めた半自動制御をトラクタ2に搭乗した作業者が遠隔操作する場合にも、主作業部の移動方向や移動位置を作業者は容易に予測することが可能になる。このため、旋回をともなうトラクタ2の前進動に対して主作業部の直進作業を正確に継続させることができる。なお、この第1実施態様においては、水平回動軸53を主作業部である整畦体15の回転中心軸線S上に設けたが、必ずしも整畦体15の回転中心軸線S上に限定されるものではなく、ほぼ同様な効果を得ることが可能な範囲であれば、水平回動軸53(枢支部B)を整畦体15の回転中心軸線Sの近傍にずらして設けても良い。
【0027】
畦塗り機50の前処理体14は、元畦17の一部及び圃場を耕耘して元畦17に対して畦状に盛り上げる耕耘ロ−タを備え、この耕耘ロ−タは従来周知のものを使用することができる。また、整畦体15は、前処理体14の耕耘ロ−タにより耕耘されて元畦17に盛り上げられた土壌を、回転しながら畦の傾斜面を成形するドラムと、該ドラムに一体的に連結され、該ドラムにより成形された畦の頂部(天場)を平面状に成形する頂部成形ロールとからなり,これも従来周知のものを使用することができる。
【0028】
水平回動軸53(枢支部B)には、後方に向けてディスク形状をなしてコールタを兼ねるゲージホイール18が上下位置調節可能に設けられている。そして、ゲージホイール18により前処理体14及び整畦体15全体の作業深さを調節して、成形される新畦19の高さを調節すると共に、整畦作業が安定よく行われるようにしている。
【0029】
水平回動軸53(枢支部B)の近傍には、図2に示すように、位置方位センサ20が設けられている。この位置方位センサ20は、畦塗り機50の作業部51(前処理体14及び整畦体15)の位置(距離)及び方位を検出するものであり、トラクタ2が旋回したときに、この位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して、元畦17に対して所望の新畦19が形成されるように、前処理体14及び整畦体15(主作業部)の位置及び方位を予め設定したデータに基づき自動制御あるいは半自動制御ができるようにしている。すなわち、位置方位センサ20により作業部51(前処理体14及び整畦体15)の位置(距離)及び方位を検出し、トラクタ2の姿勢変化に対応して、作業部51を、オフセットアーム5及び水平回動軸53により水平移動及び水平回動させ、コントローラ(制御装置)若しくは手動により、所定の姿勢に調整して、前処理体14及び整畦体15により新畦19を連続的に形成することができるのである。
【0030】
上述したように、本発明においては、自動制御を組み合わせることで、トラクタ2が旋回しているときにも、設定した新畦を自動的若しくは半自動的に形成することができる。また、位置方位センサ20は、ひとつに限らず、複数のセンサでもよく、その取付け位置は、水平回動軸53の近傍に限らず、作業部51(前処理体14及び整畦体15)の位置及び方位が検出できればどこでも良い。さらに、使用する位置方位センサ20は、光学系、電子系、機械系など何れのものでもよく、例えば、GPS、超音波、レーザ投受光器、画像処理装置、ジャイロ、ポテンショメータ、ボールネジ、パソコンを含むコントローラ(制御装置)など任意の方式のものを選択して用いることができる。
【0031】
また、本発明において、自動制御を行うための構成は、センシング部、コントローラ(制御装置)部、動作(機構)部などに分かれた周知の構成とするが、画像処理装置、コントローラなどは、トラクタ2の操縦席近辺に設けることが、作業性も良く、好ましい。
【0032】
センシング部では、例えば元畦17との距離を検出する距離センサと方位センサにより作業部51の位置と方向を検出する、元畦17との距離を検出する距離センサと方位センサにより作業部51の設定ラインからの位置ずれと方向を検出する、元畦17と新畦19との距離を検出する2つの距離センサにより畦塗り機の位置と方向を検出する、などの手段を選択する。コントローラでは、例えば2つのセンサからの信号に応じて、それぞれの設定値からのずれがゼロとなるように、アクチュエータへ連続的な動作信号を送り、2つのセンサからの信号に対しそれぞれ閾値を設定し、信号が閾値をオーバーしたときに、それぞれの変位をキャンセルする方向の動作信号をオンにし、信号が動作停止値に達したときに動作信号をオフにする、などの手段を選択する。
【0033】
アクチュエータにおいては、例えば両端にピボットを有する伸縮アクチュエータ、回転アクチュエータなどを選択する。センサ機構とアクチュエータの組み合わせにより動作部を構成することも可能である。
【0034】
次に、上記のように構成された畦塗り機50による作業について、図3を参照して説明する。畦塗り機50は、前述したように、トラクタ2の三点リンク連結機構に連結され、トラクタのPTO軸からギヤボックスに動力が伝達される。ギヤボックスに伝達された動力は、ここで変速され、変速された動力は、オフセットアーム5、作業部51の支持・伝動フレーム7を介して前処理体14及び整畦体15に伝達され、これらを駆動回転させる。そして、図3(a)に示すように、トラクタ2の走行と共に元畦17に沿って前処理体14及び整畦体15を移動させながら整畦作業が行われる。前処理体14では、耕耘ロ−タにより元畦17の一部及び圃場を耕耘して元畦17に対して畦状に盛り上げ、その盛り上げられた土壌を、整畦体15のドラムが回転して畦法面を叩いて新畦19を成形する。また、ドラムと一体的に設けた頂部成形ロールが、畦の頂部に回転しながら接して畦の頂部を均平にして天場を形成する。
【0035】
この前処理体14及び整畦体15により形成される新畦19の高さ、幅等については、予めコントローラにおいて設定しておく。そして、位置方位センサ20では、作業部51(前処理体14及び整畦体15)の位置(距離)及び方位が検出され、畦塗り機50を、オフセットアーム5及び図1に示す水平回動軸(枢支部B)により水平移動、水平回動させ、コントローラに設定した新畦19を形成する作業位置に移動させ、前処理体14及び整畦体15により新畦19を連続的に形成する。
【0036】
前処理体14及び整畦体15が前述のような畦塗り作業を行う際、トラクタ2は以下のように作動する。水田圃場が方形(ほとんどが長方形)の場合、図3(a)に示す直進作業部分では、トラクタ2は元畦17とほぼ一定間隔を保って直進走行する。そしてトラクタ2が圃場の隅部21に来て、トラクタ2のほぼ最小旋回半径位置に達したとき、ハンドルを最小旋回状態に切って図3(b)〜(d)に示すようにトラクタ2を旋回させる。この間に畦塗り機50は、オフセットアーム5及び水平回動軸(枢支部B)により作業部51を水平移動、水平回動してトラクタ2の姿勢変化に対応させながら直進作業状態を維持しつつトラクタ2に対する支持姿勢を順次変化させていく。
そして、図3(e)に示すように、オフセットアーム5が畦にほぼ直交する状態になり、畦塗り機50がトラクタ2のほぼ後方に位置したときに、トラクタ2の旋回を停止する。本実施形態において、更に圃場の端部まで整畦するためには、作業部51を更に隅部の方に直進移動させる必要があるが、本実施態様の畦塗り機50においては、図3(f)に示すように、トラクタ2をニュートラル状態にするか、わずかに後進させることにより、作業部51を直進移動させて畦の端部を整畦することができる。また、本実施形態のように、第一の自由度を1つの水平回動の自由度のみで構成し、水平回動(オフセットアーム5)の回動中心よりも作業部51が後方に位置した状態で直進作業部分を作業するように設定したときは、畦塗り機50におけるトラクタ2への装着部(すなわち本体フレーム)と作業部51の間隔が一定であるために、上記のような作業形態となる。
【0037】
このように本実施態様の畦塗り機50においては、2つの自由度を有しており、トラクタ2の姿勢変化に対応させて自由度を制御して畦塗り機50の姿勢を調整することで、畦塗り機50自体の直進性を維持しながら、トラクタ2が圃場を走行しつつ作業を行う直進作業部分(図3(a))からトラクタ2が図3(b)〜図3(f)のように順に旋回する圃場隅部21までの整畦(仕上げ)作業を継続して行うことができる。なお、トラクタ2が圃場の隅部21に来て最小半径で旋回する動作を停止させる旋回停止位置を、コントローラに予め設定しておき作業者に知らせるようにすると良い。
【0038】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、図3(g)に示すように、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業を行うこともできる。
【0039】
図4は、本発明に係わる畦塗り機の第2の実施形態を示す。この第2の実施形態の畦塗り機60は、図4(a)に示すように、本体フレーム4の左右中央部に伝動フレーム9の基端部が、その左右両側部に平行リンク10,11の基端部が、それぞれ水平回動可能に枢支されている。また、伝動・後フレーム12には伝動フレーム9及び平行リンク10,11の先端部が水平回動可能に枢支され、さらに、伝動・後フレーム12に対して、作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支する構造となっている。
【0040】
この畦塗り機60は、本体フレーム4に水平回動可能に枢支された伝動フレーム9および平行リンク10、11と、伝動フレーム9及び平行リンク10,11の先端部に枢支された伝動・後フレーム12による水平回動の自由度により、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度が構成されている。また、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、伝動・後フレーム12に対して水平回動可能に枢支された作業部支持・伝動フレーム13により構成された水平回動の自由度である。この畦塗り機60は、本体フレーム4と伝動フレーム9との間、及び伝動・後フレーム12と作業部支持・伝動フレーム13との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、前述した第1実施形態のものとほぼ同様である。
【0041】
この第2実施形態の畦塗り機60による作業について、図4を参照して説明する。第2実施形態の畦塗り機60においても、前述した第1実施形態の作業と同様に、伝動フレーム9、平行リンク10,11及び水平回動軸(ピボット)により水平移動、水平回動しながら直進作業状態を維持しつつトラクタ2に対する支持姿勢を順次変化させていく。つまりトラクタ2が圃場の隅部21に来て旋回したときは、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。
なお、図4(e)に示すように、伝動フレーム9が畦にほぼ直交する状態になると、トラクタ2と作業部51との間の距離が最大となる。したがって、この状態に達したときに、トラクタ2は旋回を停止する。このとき、畦塗り機60はトラクタ2のほぼ後方に位置しており、さらに圃場の隅部21を整畦するために作業部51を端部に向けて直進移動するが、このときはトラクタ2をニュートラル状態にするか、わずかに後進させて(図4(f))、端部まで整畦する。なお、トラクタ2が圃場の隅部21に来て最小半径で旋回する動作を停止させる旋回停止位置を、コントローラに予め設定しておき作業者に知らせるようにすると良い。
【0042】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0043】
図5は、本発明による畦塗り機の第3の実施形態を示す。この第3実施形態の畦塗り機65では、前述した第1実施形態におけるオフセットアーム5に代えて、伝動機能を有する固定伝動アーム22と、この固定伝動アーム22の先端部に基端部が水平回動可能に枢支された回動伝動アーム23とを設けたものであり、これらによる水平回動の自由度により、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度が構成されている。また、第1実施態様と同様に、回動伝動アーム23の先端部に作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支することにより、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度が構成されている。
【0044】
この畦塗り機65は、第1実施形態のものと同様に2つの水平回動の自由度を有するものであるが、固定伝動アーム22により、予めトラクタ2と作業部51の間隔を所定量設定したことに特徴がある。すなわち、本実施形態においては、第1実施形態1と同様に、第一の自由度を1つの水平回動の自由度のみで構成しているが、固定伝動アーム22を設けることにより、水平回動の回動中心よりも作業部51が前方に位置した状態で直進作業部分を作業するように構成したものである。固定伝動アーム22と回動伝動アーム23との間、及び回動伝動アーム23と作業部支持・伝動フレーム13との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、第1実施形態のものとほぼ同様である。
【0045】
この第3実施形態の畦塗り機65においては、図5(a)に示すように、直進作業部分では、例えば位置方位センサ20の検知情報に基づいて得られるコントローラからの信号で、回動伝動アーム23及び作業部支持・伝動フレーム13をわずかに水平回動させるだけで畦塗り機65の直進整畦作業が行われる。そして、トラクタ2が圃場の隅部21に来て、図5(b)〜図5(d)に示すように旋回したときは、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。このとき、後方に所定距離離れた位置に、回動伝動フレーム23の回動支点を設けたことにより、トラクタ2の中心線よりも隅部12の方に作業部51が先行して移動しているため、トラクタ2を停止することなく、回動伝動フレーム23の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム13の回動支点とトラクタ2との距離を変化させるだけで、回動伝動アーム23はやや大きく水平回動して作業部51がトラクタ2に接触することもなく、畦塗り機65の直進作業を継続させ、圃場端部までの整畦(仕上げ)作業を行うことができる。
従って、この第3実施態様の畦塗り機65によれば、トラクタ2は直進走行と旋回走行だけで、畦塗り機65は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行うことができる。また、畦塗り機65が圃場の端部に達した状態(図5(d))のときトラクタ2の走行と畦塗り機65の作動を停止し、三点リンク連結機構3により畦塗り機65を持ち上げて図5(e)に示す直進作業状態にして元畦17に沿ってセットし、トラクタ2を後進させて畦塗り機65を圃場の端部に位置させれば、圃場の端部から直進整畦作業を継続させることができる。従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行と、停止と、後進走行とにより畦塗り機65は直進作業から圃場の端部までの全整畦作業を連続して行うことができる。
【0046】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、図5(f)に示す圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0047】
図6は、本発明による畦塗り機の第4の実施形態を示す。この第4実施形態の畦塗り機70は、前述した第1実施形態における本体フレーム4に代えて、伝動機能を有する伝動オフセットアーム24をトラクタ2の一方の側に張り出すようにして装着し、この伝動オフセットアーム24の先端部に伝動機能を有する伝動平行リンクアーム25の基部を水平回動可能に枢支し、該伝動平行リンクアーム25の先端部に作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支したことを特徴とするものである。
【0048】
第4実施形態において、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度は、伝動オフセットアーム24の先端部に伝動平行リンクアーム25を水平回動可能に枢支した構成による水平回動の自由度と伝動平行リンクアーム25の伸縮による水平移動の自由度の組み合わせによる自由度である。また、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、平行リンクアーム25の先端部に作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支した構成による水平回動の自由度である。なお、伝動オフセットアーム24と伝動平行リンクアーム25との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、第1実施形態のものとほぼ同様である。
【0049】
この畦塗り機70においては、直進作業部分(図6(a))では、第3実施形態のものと同様に、位置方位センサ20の検知により伝動平行リンクアーム25をわずかに水平回動させるだけで畦塗り機1の直進整畦作業が行われる。トラクタ2が圃場の隅部21に来て図6(b)〜図6(d)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。このとき、トラクタ2から側方に所定距離離れた位置に、伝動平行リンクアーム25の回動支点を設けたことで、トラクタ2の中心線よりも隅部の方に作業部51が先行して移動させることができるため、伝動平行リンクアーム25はやや大きく水平回動して作業部51がトラクタ2に接触することなく、畦塗り機70の直進作業を継続させ、圃場端部までの整畦(仕上げ)作業を行う。従って、トラクタ2は第3実施形態の場合と同様に直進走行と旋回走行だけで、畦塗り機65は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行うことができる。
【0050】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0051】
図7は、本発明による畦塗り機の第5の実施形態を示す。この第5実施形態の畦塗り機75は、前述した第1実施形態における本体フレーム4に、オフセット方向に延びるオフセット伝動アーム27を配設し、このオフセット伝動アーム27の先端部に回動伝動アーム28の基端部を水平回動可能に枢支し、該回動伝動アーム28の先端部に作業部51の支持・伝動フレーム7を水平回動可能に枢支している。第5実施形態において、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度は、オフセット伝動アーム27による水平移動の自由度と、オフセット伝動アーム27の先端部に枢支した回動伝動アーム28による水平回動の自由度とから構成されている。
オフセット伝動アーム27の動力伝達機構としては、スプラインシャフトとスリーブの組み合わせなどを採用してスライド可能にすることができる。また、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、回動伝動アーム28の先端部に水平回動可能に枢支した作業部51の支持・伝動フレーム7による水平回動の自由度である。そして、オフセット伝動アーム27と回動伝動アーム28との間、及び回動伝動アーム28と作業部51の支持・伝動フレーム7との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、第1実施形態のものとほぼ同様である。
【0052】
この第5実施形態の畦塗り機75においては、直進作業部分(図7(a))では、位置方位センサ20の検知により回動伝動アーム28及び作業部51の支持・伝動フレーム7をわずかに水平回動させるだけで畦塗り機75の直進整畦作業が行われる。そして、トラクタ2が圃場の隅部21に来て図7(b)〜図7(d)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。つまり、回動伝動アーム28の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム7の回動支点とトラクタ2との距離を変化させながら、回動伝動アーム28はやや大きく水平回動して畦塗り機75は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行うことができる。
このように、第5実施形態の場合には、第一の自由度を2つの自由度で構成しているために、トラクタ2の旋回にともなって生ずるトラクタ2と整畦作業する畦との間隔の変化に対応して、畦塗り機75におけるトラクタ2への装着部(すなわち本体フレーム)と作業部51の間隔を任意に調整することが可能である。このため、第1実施形態のようにトラクタ2の旋回を一旦停止させたりする必要がなく、連続して作業を継続することが出来る。
【0053】
また、畦塗り機75が圃場の端部に達した状態(図7(d))のときトラクタ2の走行と畦塗り機75の作動を停止し、三点リンク連結機構3により畦塗り機75を持ち上げて図7(e)に示す直進作業状態にして元畦17に沿ってセットし、トラクタ2を後進させて畦塗り機75を圃場の端部に位置させれば、圃場の端部から直進整畦作業を継続させることができる。従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行と、停止と、後進走行とにより畦塗り機75は直進作業から圃場の端部までの全整畦作業を連続して行うことができる。
【0054】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、図7(f)に示す圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0055】
図8は、本発明による畦塗り機の第6の実施形態を示す。この第6実施形態の畦塗り機80は、直進作業部分(図8(a))におけるトラクタ2に対する畦塗り機80のオフセット位置が図7の場合と比べ前側になるように回動伝動アーム28を位置させている。この第6実施形態において、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度および作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、第5実施形態のものと同様である。
【0056】
この畦塗り機80は、前述したように構成されているために、トラクタ2が直進作業部分(図8(a))から圃場の隅部21に来て、図8(b)〜図8(c)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。つまり、回動伝動アーム28の先端部に枢支された作業部51の支持・伝動フレーム7の回動支点とトラクタ2との距離を変化させながら、回動伝動アーム28はやや大きく水平回動して畦塗り機80は圃場の端部までの整畦作業を連続して行うことができる。
【0057】
畦塗り機80が圃場の端部に達した状態(図8(c))のときにトラクタ2の走行と畦塗り機80の作動を停止し、三点リンク連結機構3により畦塗り機80を持ち上げ、図8(d)に示す直進作業状態にして元畦17に沿ってセットし、トラクタ2を後進させて畦塗り機80を圃場の端部に位置させれば、圃場の端部から直進整畦作業を継続させることができる。従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行と、停止と、後進走行とにより畦塗り機80は直進作業から圃場の端部までの全整畦作業を連続して行うことができる。第6実施形態の方が、図7に示した第5実施形態とは回転伝動アーム28の角度が異なるため、トラクタ2の旋回が少なくても端部に到達することができるというメリットがある。
【0058】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、図8(e)に示す圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0059】
図9は、本発明による畦塗り機の第7の実施形態を示す。この第7実施形態の畦塗り機85は、前述した第1実施形態におけるオフセットアーム5を伸縮可能な構成にした伸縮・回動伝動アーム29としたことを特徴とするものであり、その先端部に作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支し、本体フレーム4と伸縮・回動伝動アーム29との間、及び伸縮・回動伝動アーム29と作業部支持・伝動フレーム13との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、第1実施例のものとほぼ同様である。オフセットアーム5は、例えば、複数の伸縮部材を入れ子式に構成して伸縮動可能に構成されている。
なお、オフセットアーム5の動力伝達機構としては、第5実施形態と同様な構成をとる。第7実施形態において、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度は、伸縮・回動伝動アーム29により構成される水平移動および水平回動の2つの自由度からなり、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、伸縮・回動伝動アーム29の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム13による水平回動の自由度である。
【0060】
この第7実施形態の畦塗り機85においては、直進作業部分(図9(a))では、位置方位センサ20の検知により伸縮・回動伝動アーム29をわずかに伸縮(平行移動)、水平回動させるだけで畦塗り機85の直進整畦作業が行われる。トラクタ2が圃場の隅部21に来て図9(b)〜図9(c)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。このとき、伸縮・回動伝動アーム29の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム13の回動支点とトラクタ2との距離を変化させながら、伸縮・回動伝動アーム29はやや大きく伸縮、水平回動して畦塗り機85は直進作業から圃場の端部まで整畦作業を継続して行う。旋回作業中にトラクタ2と作業部51が干渉する場合は、伸縮・回動伝動アーム29を伸縮させて回避できるので、畦から近い位置をトラクタ2が走行でき、作業状態が確認しやすく運転も容易となる。
従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行のみで畦塗り機85は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行う。また、畦塗り機85が圃場の端部に達したときトラクタ2の走行と畦塗り機85の作動を停止し、三点リンク連結機構3により畦塗り機85を持ち上げて直進作業状態にして元畦17に沿ってセットし、トラクタ2を後進させて畦塗り機85を圃場の端部に位置させれば、圃場の端部から直進整畦作業を継続させることができる。従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行と、停止と、後進走行とにより畦塗り機85は直進作業から圃場の端部までの全整畦作業を連続して行うことができる。また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0061】
図10は、本発明による畦塗り機の第8の実施形態を示す。この第8実施形態の畦塗り機90は、前述した第1実施形態におけるオフセットアーム5に代えて、伝動機能を有する第一の回動伝動アーム33と、この回動伝動アーム33の先端部に基端部が水平回動可能に枢支された第二の回動伝動アーム35とを設けたものであり、これらによる2つの水平回動の自由度により、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度が構成されている。また、第1実施形態と同様に、第二の回動伝動アーム35の先端部に作業部の支持・伝動フレーム7を水平回動可能に枢支することにより、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度が構成されている。なお、本体フレーム4と第一の伝動アーム33との間、及び第一の回動伝動アーム33と第二の回動伝動アーム35との間、さらには、第二の回動伝動アーム35と作業部の支持・伝動フレーム7との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、第1実施形態のものとほぼ同様である。
【0062】
この第8実施形態の畦塗り機90においては、直進作業部分(図10(a))では、位置方位センサ20の検知により第一の回動伝動アーム33、第二の回動伝動アーム35及び作業装置の支持・伝動フレーム7をわずかに水平回動させるだけで畦塗り機90の直進整畦作業が行われる。そして、トラクタ2が圃場の隅部21に来て、図10(b)〜図10(d)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。つまり、第二の回動伝動アーム35の先端部に枢支された作業部51の支持・伝動フレーム7の回動支点とトラクタ2との距離を変化させながら、第一、第二の回動伝動アーム33,35はやや大きく水平回動して畦塗り機90は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行うことができる。
【0063】
第8実施形態の場合には、第5、第6実施形態と同様に第一の自由度を2つの自由度で構成しているために、トラクタ2の旋回にともなって生ずるトラクタ2と整畦作業する畦との間隔の変化に対応して、畦塗り機90におけるトラクタ2への装着部(すなわち本体フレーム4)と作業部51の間隔を任意に調整することが可能である。このため、第1実施形態のようにトラクタ2の旋回を一旦停止させたりする必要がなく、連続して作業を継続することが出来る。また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、図10(e)に示すように、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
また、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度を第一の回動伝動アーム33で構成し、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度をこの回動伝動アーム33の先端部に基端部が水平回動可能に枢支された第二の回動伝動アーム35で構成してもよい。この場合においては、第1実施形態とほぼ同様の構成となるが、第二の回動伝動アーム35があるので、第1実施形態に比べ、前進のみでの連続整畦作業において、曲線整畦作業時の回転半径を小さくでき、非作業時の格納状態もコンパクトにできる。
【0064】
図11は、本発明による畦塗り機の第9の実施形態を示す。この第9実施形態の畦塗り機95では、前述した第1実施形態における本体フレーム4に、オフセット方向に延びるオフセット伸縮・伝動アーム37を装着し、このオフセット伸縮・伝動アーム37の先端部に作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支している。そして、オフセット伸縮・伝動アーム37と作業部支持・伝動フレーム13との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、第1実施形態のものとほぼ同様である。
【0065】
第9実施形態において、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度は、オフセット伸縮・伝動アーム37により構成される水平移動の自由度からなり、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、第1実施形態などと同様に、オフセット伸縮・伝動アーム37の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム13による水平回動の自由度である。
【0066】
この畦塗り機95においては、直進作業部分(図11(a))では、位置方位センサ20の検知によりオフセット伸縮・伝動アーム37をわずかに伸縮させ、作業部支持・伝動フレーム13を水平回動させるだけで畦塗り機95の直進整畦作業が行われる。トラクタ2が圃場の隅部21に来て、図11(b)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。つまり、オフセット伸縮・伝動アーム37の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム13の回動支点とトラクタ2との距離を変化させながら、オフセット伸縮・伝動アーム37はやや大きく伸縮し、また、作業部支持・伝動フレーム13も水平回動して畦塗り機95は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行う。従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行するだけで、畦塗り機95は直進作業から圃場の端部までの全整畦作業を連続して行うことができる。
【0067】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【符号の説明】
【0068】
2 トラクタ(走行機体)
5、26 オフセットアーム(伝動フレーム)
9 伝動フレーム
10、11 平行リンク(平行リンク機構)
14 前処理体
15 整畦体(主作業部)
20 位置方位センサ(センサ)
23、28、33、35 回動伝動アーム(伝動フレーム)
50、60,65、70、75、80、85,90、95 畦塗り機(オフセット作業機)
51 作業部
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の走行機体に装着されて、走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置を作業することができる畦塗り機を用いた連続整畦作業方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラクタ等の走行機体に装着され、走行機体の進行方向に沿って圃場における各種の連続直進作業を行う作業機は、農業用機械又は土木用機械として一般的に広く使われており、作業の種類に応じた各種の作業機がある。このような作業機の中で、畦塗り機、溝形成機、草刈機等は、その作業の特殊性から、走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置を作業させることが出来るような構成となっており、いわゆるオフセット作業機として知られている。特に、畦塗り機は、広い圃場の全周に亘って畦を成形するものであって、従来、多大な時間と労力を要していた畦塗り作業の機械化を達成したものとして近年注目されている。
【0003】
特許文献1には、オフセット作業機としてロータリ砕土装置を例示し、従来のオフセット作業機では困難であった、オフセット量を所望の範囲に調整可能にしたオフセット作業機が開示されている。また、特許文献2には、平行リンク機構を採用することによりオフセット量を調整可能にした溝堀機が開示されている。しかし、このような従来知られているオフセット作業機は、走行機体の進行に沿ってオフセット位置での直進作業を行うが、例えば、矩形の圃場において圃場の辺に沿った直進作業を行う場合に、走行機体の先端部分が圃場の端に到達した時点でその後の直進作業を行うことができなくなるという共通の問題がある。
【0004】
特に、矩形圃場の周辺に沿って直線的な畦塗り作業を行う畦塗り機においては、走行機体の先端が圃場端部に達した時点で、そこから先の畦塗り作業を行うことができなくなるので、矩形圃場の四隅に必ず未作業部分が残ってしまうという問題が生じる。この問題を解決するために、本願出願人は、作業部を通常作業時とは反対側のオフセット位置に移動させると共にその前後関係を反転させ、四隅の未作業部分に対して走行機体を後進させながら作業を行う、反転リバース機構を備えた畦塗り機を提案した(特許文献3参照)。
この畦塗り機の基本構成は、走行機体の後部に装着され、走行機体からの動力が入力される入力軸を備える装着部と、入力軸からの動力を伝達する動力伝達機構を備えると共にオフセット位置での機体支持を行うオフセット機構部と、伝達された動力によってオフセット位置で畦塗り作業を行う作業部とを備え、この作業部は、旧畦の一部を切り崩して土盛りを行う前処理部と盛られた土を切り崩された旧畦上に塗りつける整畦部とからなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2537586号公報
【特許文献2】実開昭57−22557号公報
【特許文献3】特開2001−28903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような解決策によると、作業部を反転リバースさせるための複雑な機構を装備しなければならないので、作業機の高重量化、大型化、高価格化を招くことになる。また、残りの未作業部分に対しては走行機体を後進させて作業することになるので、作業の熟練性が要求され、特に走行性の悪い湿田等においては後進作業が非常に困難な状況になり、作業性の面で問題がある。
【0007】
更には、このような反転リバースによる作業では、走行機体を停止させて畦塗り機の作業部を反転リバースさせ、走行機体の進行方向を変えて作業位置を調整した後に作業機を再始動させることになるので、連続作業を一旦中止せざるを得ず、作業能率の面で問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題に対処するためになされたものであって、走行機体に装着され、走行機体の進行に沿ってオフセット位置で作業を行う畦塗り機を用いて、連続作業を中止することなく、隣り合う辺の連続整畦作業を可能にすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明の連続整畦作業方法は、走行機体の後方にこの走行機体に対して水平回動または水平移動自在に架設される伝動部材の先端に水平回動自在に装着された作業部と、前記作業部の位置及び方位を検出するセンサからの情報に基づいて前記伝動部材の水平回動または水平移動の量と前記作業部の水平回動の量を独立して無段階に制御し、前記走行機体の旋回をともなう前進動時に前記作業部を畦に沿わせたまま、その圃場の隅部付近までの直進性を維持させる制御手段とを備える畦塗り機を用いて、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の連続整畦作業方法の発明において、前記伝動部材の水平回動または水平移動の量と前記作業部の水平回動の量を制御しながら前記走行機体の前進走行のみによって、作業を行うことを特徴とする。
【0011】
このような連続整畦作業方法によれば、走行機体の後方にこの走行機体に対して水平回動または水平移動自在に架設される伝動部材の先端に水平回動自在に装着された作業部と、前記作業部の位置及び方位を検出するセンサからの情報に基づいて前記伝動部材の水平回動または水平移動の量と前記作業部の水平回動の量を独立して無段階に制御し、前記走行機体の旋回をともなう前進動時に前記作業部を畦に沿わせたまま、その圃場の隅部付近までの直進性を維持させる制御手段とを備える畦塗り機を用いることにより、圃場の隅部付近までの直進性を維持することができ、さらに、走行機体の旋回等に伴う走行機体の姿勢変化によって発生する作業部の位置や作業方向のずれを検知することにより作業部を所望のコースに維持するよう制御することができるため、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うことで、隣り合う辺の連続作業が可能になる。
【0012】
制御手段は、走行機体の姿勢変化に対応して、作業部の位置及び方位の情報に基づき、伝動部材の水平回動または水平移動の量と作業部の水平回動の量を独立して無段階に制御することにより、走行機体の旋回等によって作業部の位置及び方位(方向)が変化しても、作業部は所望の姿勢に維持若しくは変化して、より精度の高い作業部の姿勢に調整が可能となり、圃場の端部に至るまで高い精度で作業を継続させることができる。
【0013】
制御手段は、作業部の位置及び方位を検出するセンサを備え、該センサからの検出信号により伝動部材の水平回動または水平移動の量と作業部の水平回動の量を独立して無段階に制御して作業を行うので、全自動制御や手動を含めた半自動制御により圃場の端部に至るまで直進作業を継続させることができ、より作業の精度を向上させることができる。また、畦の延びる方向に凹凸があったり、畦が湾曲した複雑な形状であっても、走行機体の姿勢変化に対応して正確な作業が確保できる。
【0014】
また、伝動部材の水平回動または水平移動の量と作業部の水平回動の量を制御しながら走行機体の前進走行のみによって作業を行うことにより、圃場の隅部においても走行機体を停止させることなく、整畦作業が可能となるので、作業能率の高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係わる連続整畦作業方法によれば、走行機体の後方にこの走行機体に対して水平回動または水平移動自在に架設される伝動部材の先端に水平回動自在に装着された作業部と、前記作業部の位置及び方位を検出するセンサからの情報に基づいて前記伝動部材の水平回動または水平移動の量と前記作業部の水平回動の量を独立して無段階に制御し、前記走行機体の旋回をともなう前進動時に前記作業部を畦に沿わせたまま、その圃場の隅部付近までの直進性を維持させる制御手段とを備える畦塗り機を用いることにより、圃場の隅部付近までの直進性を維持することができ、さらに、走行機体の旋回等に伴う走行機体の姿勢変化によって発生する作業部の位置や作業方向のずれを検知することにより作業部を所望のコースに維持するよう制御することができるため、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うことで、隣り合う辺の連続作業が可能になる。
このため、圃場内で走行機体が旋回しているときに、作業部の直進作業を維持させ圃場の端部に至るまで直進作業を継続させることができ、したがって、前進のみの連続作業によっても圃場の端部まで作業を行うことができ、作業能率が高く、作業性が良好なオフセット作業が可能となり、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。また、畦の延びる方向に凹凸があったり、畦が湾曲した複雑な形状であっても走行機体の姿勢変化に対応して作業部の位置・方位を制御するため、正確な作業を行うことができる。
【0016】
このように、連続整畦作業方法によれば、これまで作業部を反転リバースさせた後に後進作業によって行っていた矩形圃場の四隅の塗り残し作業や端部の仕上げ作業を、連続した前進作業によって行うことができ、畦塗り作業の作業性と作業能率を著しく向上させることができる。
【0017】
また、制御手段は、走行機体の姿勢変化に対応して、作業部の位置及び方位の情報に基づいて、伝動部材の水平回動または水平移動の量と作業部の水平回動の量を独立して無段階に制御することにより、より精度の高い作業部の位置関係調整が可能となり、圃場の端部に至るまで直進作業を高い精度で継続させることができる。
【0018】
また、制御手段は、作業部の位置及び方位を検出するセンサを備え、センサからの検出信号により伝動部材の水平回動または水平移動の量と作業部の水平回動の量を独立して無段階に制御することにより、全自動制御や手動を含めた半自動制御により圃場の端部に至るまで作業の継続が可能になり、作業精度を向上させることができる。
【0019】
さらに、伝動部材の水平回動または水平移動の量と作業部の水平回動の量を制御しながら走行機体の前進走行のみによって作業を行うことにより、圃場の隅部においても走行機体を停止させることなく、作業が可能であるので、作業能率の高い作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図2】同畦塗り機を装着したトラクタが旋回している状態の平面図である。
【図3】同畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図8】本発明の第6実施形態に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図9】本発明の第7実施形態に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図10】本発明の第8実施形態に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【図11】本発明の第9実施形態に係わる畦塗り機の作業状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係わる畦塗り機を用いた連続整畦作業方法について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明は、これら実施の形態や図面に記載された範囲に限定されるものではない。
【0022】
本発明に係わる畦塗り機の第1の実施形態について説明する。図1は、畦塗り機の概略構成説明図である。図1において、符号2は走行機体であるトラクタを示し、トラクタ2の後部には、トップリンク及びロアリンクからなる三点リンク連結機構3が設けられている。畦塗り機50は、本体フレーム4、オフセットアーム(伝動フレーム)5、および作業部51とを有しており、本体フレーム4をトラクタ2の三点リンク連結機構3に連結することによりトラクタ2に装着される。本体フレーム4の中央部には、オフセットアーム5の基端部が枢支部Aを揺動中心として水平方向に回動するように枢支され、これによりトラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度を構成している。一方、オフセットアーム5の先端部には作業部51が枢支部Bを回動中心として、水平方向に回動するように枢支され、これにより作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度が構成されている。オフセットアーム5は作業部51を支持すると共にトラクタ2から伝達される動力を作業部51に伝達するための図示しない動力伝達機構を備えて構成されている。
なお、第一の自由度としては、1以上の水平回動により構成される自由度、1以上の水平移動により構成される自由度、あるいは水平回動及び水平移動の組み合わせにより構成される自由度など、種々の構成の自由度を採用することができる。第二の自由度としては、通常、水平回動のみにより構成される自由度が用いられるが、他の構成による自由度としても良い。
【0023】
本体フレーム4とオフセットアーム5との間には、図示しないアクチュエータ(電動シリンダ又は油圧シリンダ)が介装されており、該アクチュエータ(電動シリンダ又は油圧シリンダ)の伸縮作動により、オフセットアーム5を枢支部Aを揺動中心として水平方向に回動させて、オフセットアーム5の先端部に枢支された作業部51がトラクタ2から左右方向に移動できるようになっている。
【0024】
作業部51は、オフセットアーム5の先端部の枢支部Bを回動中心として水平方向に回動するように枢支された支持・伝動フレーム7と、該支持・伝動フレーム7の前後に支持された前処理体14及び整畦体15とを有する。支持・伝動フレーム7は、枢支部Bを構成する垂直方向に延びる水平方向に回動する水平回動軸53を介して水平方向に回動可能であり、その水平回動動作は、オフセットアーム5と支持・伝動フレーム7との間に介装された図示しないアクチュエータ(電動シリンダ又は油圧シリンダ)の伸縮作動により行われ、作業部51を所望の姿勢に制御することができるようになっている。すなわち、畦塗り機50は、2つの自由度を備えており、その自由度を後述するコントローラにより制御可能に構成されている。なお、前処理体14及び整畦体15は、作業部51の支持・伝動フレーム7に対して、それぞれが別々に上下位置調節可能に支持されている。
【0025】
畦塗り機50は、トラクタ2の進行方向とほぼ直交するようにして設けられた本体フレーム4の中央部に設けられたギヤボックスから前方に向けて図示しない入力軸を突出し、該入力軸にトラクタ2のPTO軸6からユニバーサルジョイント及び伝動軸等を介して動力が伝達される。また、支持・伝動フレーム7には、オフセットアーム(伝動フレーム)5を介して動力が伝達され、該支持・伝動フレーム7から前処理体14及び整畦体15に動力を伝達するように構成されている。
【0026】
枢支部Bを構成する水平回動軸53は、作業部51における主作業部である整畦体15の回転中心軸線S上に設けられている。このように構成することにより、作業部51の回動角度に対する主作業部の移動量を小さくすることができる利点がある。つまり、トラクタ2の旋回により作業部51の姿勢(方位あるいは方向など)が変化しても、主作業部は直進作業の接線方向に移動するだけであり、ほとんど作業精度に影響を及ぼすことがない。また、作業部51の回動動作を自動制御する場合には、作業部51の回動角度に応じた主作業部の移動方向や移動位置の演算処理が容易となり、姿勢制御の精度を向上させることができる。
更に、手動を含めた半自動制御をトラクタ2に搭乗した作業者が遠隔操作する場合にも、主作業部の移動方向や移動位置を作業者は容易に予測することが可能になる。このため、旋回をともなうトラクタ2の前進動に対して主作業部の直進作業を正確に継続させることができる。なお、この第1実施態様においては、水平回動軸53を主作業部である整畦体15の回転中心軸線S上に設けたが、必ずしも整畦体15の回転中心軸線S上に限定されるものではなく、ほぼ同様な効果を得ることが可能な範囲であれば、水平回動軸53(枢支部B)を整畦体15の回転中心軸線Sの近傍にずらして設けても良い。
【0027】
畦塗り機50の前処理体14は、元畦17の一部及び圃場を耕耘して元畦17に対して畦状に盛り上げる耕耘ロ−タを備え、この耕耘ロ−タは従来周知のものを使用することができる。また、整畦体15は、前処理体14の耕耘ロ−タにより耕耘されて元畦17に盛り上げられた土壌を、回転しながら畦の傾斜面を成形するドラムと、該ドラムに一体的に連結され、該ドラムにより成形された畦の頂部(天場)を平面状に成形する頂部成形ロールとからなり,これも従来周知のものを使用することができる。
【0028】
水平回動軸53(枢支部B)には、後方に向けてディスク形状をなしてコールタを兼ねるゲージホイール18が上下位置調節可能に設けられている。そして、ゲージホイール18により前処理体14及び整畦体15全体の作業深さを調節して、成形される新畦19の高さを調節すると共に、整畦作業が安定よく行われるようにしている。
【0029】
水平回動軸53(枢支部B)の近傍には、図2に示すように、位置方位センサ20が設けられている。この位置方位センサ20は、畦塗り機50の作業部51(前処理体14及び整畦体15)の位置(距離)及び方位を検出するものであり、トラクタ2が旋回したときに、この位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して、元畦17に対して所望の新畦19が形成されるように、前処理体14及び整畦体15(主作業部)の位置及び方位を予め設定したデータに基づき自動制御あるいは半自動制御ができるようにしている。すなわち、位置方位センサ20により作業部51(前処理体14及び整畦体15)の位置(距離)及び方位を検出し、トラクタ2の姿勢変化に対応して、作業部51を、オフセットアーム5及び水平回動軸53により水平移動及び水平回動させ、コントローラ(制御装置)若しくは手動により、所定の姿勢に調整して、前処理体14及び整畦体15により新畦19を連続的に形成することができるのである。
【0030】
上述したように、本発明においては、自動制御を組み合わせることで、トラクタ2が旋回しているときにも、設定した新畦を自動的若しくは半自動的に形成することができる。また、位置方位センサ20は、ひとつに限らず、複数のセンサでもよく、その取付け位置は、水平回動軸53の近傍に限らず、作業部51(前処理体14及び整畦体15)の位置及び方位が検出できればどこでも良い。さらに、使用する位置方位センサ20は、光学系、電子系、機械系など何れのものでもよく、例えば、GPS、超音波、レーザ投受光器、画像処理装置、ジャイロ、ポテンショメータ、ボールネジ、パソコンを含むコントローラ(制御装置)など任意の方式のものを選択して用いることができる。
【0031】
また、本発明において、自動制御を行うための構成は、センシング部、コントローラ(制御装置)部、動作(機構)部などに分かれた周知の構成とするが、画像処理装置、コントローラなどは、トラクタ2の操縦席近辺に設けることが、作業性も良く、好ましい。
【0032】
センシング部では、例えば元畦17との距離を検出する距離センサと方位センサにより作業部51の位置と方向を検出する、元畦17との距離を検出する距離センサと方位センサにより作業部51の設定ラインからの位置ずれと方向を検出する、元畦17と新畦19との距離を検出する2つの距離センサにより畦塗り機の位置と方向を検出する、などの手段を選択する。コントローラでは、例えば2つのセンサからの信号に応じて、それぞれの設定値からのずれがゼロとなるように、アクチュエータへ連続的な動作信号を送り、2つのセンサからの信号に対しそれぞれ閾値を設定し、信号が閾値をオーバーしたときに、それぞれの変位をキャンセルする方向の動作信号をオンにし、信号が動作停止値に達したときに動作信号をオフにする、などの手段を選択する。
【0033】
アクチュエータにおいては、例えば両端にピボットを有する伸縮アクチュエータ、回転アクチュエータなどを選択する。センサ機構とアクチュエータの組み合わせにより動作部を構成することも可能である。
【0034】
次に、上記のように構成された畦塗り機50による作業について、図3を参照して説明する。畦塗り機50は、前述したように、トラクタ2の三点リンク連結機構に連結され、トラクタのPTO軸からギヤボックスに動力が伝達される。ギヤボックスに伝達された動力は、ここで変速され、変速された動力は、オフセットアーム5、作業部51の支持・伝動フレーム7を介して前処理体14及び整畦体15に伝達され、これらを駆動回転させる。そして、図3(a)に示すように、トラクタ2の走行と共に元畦17に沿って前処理体14及び整畦体15を移動させながら整畦作業が行われる。前処理体14では、耕耘ロ−タにより元畦17の一部及び圃場を耕耘して元畦17に対して畦状に盛り上げ、その盛り上げられた土壌を、整畦体15のドラムが回転して畦法面を叩いて新畦19を成形する。また、ドラムと一体的に設けた頂部成形ロールが、畦の頂部に回転しながら接して畦の頂部を均平にして天場を形成する。
【0035】
この前処理体14及び整畦体15により形成される新畦19の高さ、幅等については、予めコントローラにおいて設定しておく。そして、位置方位センサ20では、作業部51(前処理体14及び整畦体15)の位置(距離)及び方位が検出され、畦塗り機50を、オフセットアーム5及び図1に示す水平回動軸(枢支部B)により水平移動、水平回動させ、コントローラに設定した新畦19を形成する作業位置に移動させ、前処理体14及び整畦体15により新畦19を連続的に形成する。
【0036】
前処理体14及び整畦体15が前述のような畦塗り作業を行う際、トラクタ2は以下のように作動する。水田圃場が方形(ほとんどが長方形)の場合、図3(a)に示す直進作業部分では、トラクタ2は元畦17とほぼ一定間隔を保って直進走行する。そしてトラクタ2が圃場の隅部21に来て、トラクタ2のほぼ最小旋回半径位置に達したとき、ハンドルを最小旋回状態に切って図3(b)〜(d)に示すようにトラクタ2を旋回させる。この間に畦塗り機50は、オフセットアーム5及び水平回動軸(枢支部B)により作業部51を水平移動、水平回動してトラクタ2の姿勢変化に対応させながら直進作業状態を維持しつつトラクタ2に対する支持姿勢を順次変化させていく。
そして、図3(e)に示すように、オフセットアーム5が畦にほぼ直交する状態になり、畦塗り機50がトラクタ2のほぼ後方に位置したときに、トラクタ2の旋回を停止する。本実施形態において、更に圃場の端部まで整畦するためには、作業部51を更に隅部の方に直進移動させる必要があるが、本実施態様の畦塗り機50においては、図3(f)に示すように、トラクタ2をニュートラル状態にするか、わずかに後進させることにより、作業部51を直進移動させて畦の端部を整畦することができる。また、本実施形態のように、第一の自由度を1つの水平回動の自由度のみで構成し、水平回動(オフセットアーム5)の回動中心よりも作業部51が後方に位置した状態で直進作業部分を作業するように設定したときは、畦塗り機50におけるトラクタ2への装着部(すなわち本体フレーム)と作業部51の間隔が一定であるために、上記のような作業形態となる。
【0037】
このように本実施態様の畦塗り機50においては、2つの自由度を有しており、トラクタ2の姿勢変化に対応させて自由度を制御して畦塗り機50の姿勢を調整することで、畦塗り機50自体の直進性を維持しながら、トラクタ2が圃場を走行しつつ作業を行う直進作業部分(図3(a))からトラクタ2が図3(b)〜図3(f)のように順に旋回する圃場隅部21までの整畦(仕上げ)作業を継続して行うことができる。なお、トラクタ2が圃場の隅部21に来て最小半径で旋回する動作を停止させる旋回停止位置を、コントローラに予め設定しておき作業者に知らせるようにすると良い。
【0038】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、図3(g)に示すように、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業を行うこともできる。
【0039】
図4は、本発明に係わる畦塗り機の第2の実施形態を示す。この第2の実施形態の畦塗り機60は、図4(a)に示すように、本体フレーム4の左右中央部に伝動フレーム9の基端部が、その左右両側部に平行リンク10,11の基端部が、それぞれ水平回動可能に枢支されている。また、伝動・後フレーム12には伝動フレーム9及び平行リンク10,11の先端部が水平回動可能に枢支され、さらに、伝動・後フレーム12に対して、作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支する構造となっている。
【0040】
この畦塗り機60は、本体フレーム4に水平回動可能に枢支された伝動フレーム9および平行リンク10、11と、伝動フレーム9及び平行リンク10,11の先端部に枢支された伝動・後フレーム12による水平回動の自由度により、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度が構成されている。また、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、伝動・後フレーム12に対して水平回動可能に枢支された作業部支持・伝動フレーム13により構成された水平回動の自由度である。この畦塗り機60は、本体フレーム4と伝動フレーム9との間、及び伝動・後フレーム12と作業部支持・伝動フレーム13との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、前述した第1実施形態のものとほぼ同様である。
【0041】
この第2実施形態の畦塗り機60による作業について、図4を参照して説明する。第2実施形態の畦塗り機60においても、前述した第1実施形態の作業と同様に、伝動フレーム9、平行リンク10,11及び水平回動軸(ピボット)により水平移動、水平回動しながら直進作業状態を維持しつつトラクタ2に対する支持姿勢を順次変化させていく。つまりトラクタ2が圃場の隅部21に来て旋回したときは、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。
なお、図4(e)に示すように、伝動フレーム9が畦にほぼ直交する状態になると、トラクタ2と作業部51との間の距離が最大となる。したがって、この状態に達したときに、トラクタ2は旋回を停止する。このとき、畦塗り機60はトラクタ2のほぼ後方に位置しており、さらに圃場の隅部21を整畦するために作業部51を端部に向けて直進移動するが、このときはトラクタ2をニュートラル状態にするか、わずかに後進させて(図4(f))、端部まで整畦する。なお、トラクタ2が圃場の隅部21に来て最小半径で旋回する動作を停止させる旋回停止位置を、コントローラに予め設定しておき作業者に知らせるようにすると良い。
【0042】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0043】
図5は、本発明による畦塗り機の第3の実施形態を示す。この第3実施形態の畦塗り機65では、前述した第1実施形態におけるオフセットアーム5に代えて、伝動機能を有する固定伝動アーム22と、この固定伝動アーム22の先端部に基端部が水平回動可能に枢支された回動伝動アーム23とを設けたものであり、これらによる水平回動の自由度により、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度が構成されている。また、第1実施態様と同様に、回動伝動アーム23の先端部に作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支することにより、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度が構成されている。
【0044】
この畦塗り機65は、第1実施形態のものと同様に2つの水平回動の自由度を有するものであるが、固定伝動アーム22により、予めトラクタ2と作業部51の間隔を所定量設定したことに特徴がある。すなわち、本実施形態においては、第1実施形態1と同様に、第一の自由度を1つの水平回動の自由度のみで構成しているが、固定伝動アーム22を設けることにより、水平回動の回動中心よりも作業部51が前方に位置した状態で直進作業部分を作業するように構成したものである。固定伝動アーム22と回動伝動アーム23との間、及び回動伝動アーム23と作業部支持・伝動フレーム13との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、第1実施形態のものとほぼ同様である。
【0045】
この第3実施形態の畦塗り機65においては、図5(a)に示すように、直進作業部分では、例えば位置方位センサ20の検知情報に基づいて得られるコントローラからの信号で、回動伝動アーム23及び作業部支持・伝動フレーム13をわずかに水平回動させるだけで畦塗り機65の直進整畦作業が行われる。そして、トラクタ2が圃場の隅部21に来て、図5(b)〜図5(d)に示すように旋回したときは、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。このとき、後方に所定距離離れた位置に、回動伝動フレーム23の回動支点を設けたことにより、トラクタ2の中心線よりも隅部12の方に作業部51が先行して移動しているため、トラクタ2を停止することなく、回動伝動フレーム23の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム13の回動支点とトラクタ2との距離を変化させるだけで、回動伝動アーム23はやや大きく水平回動して作業部51がトラクタ2に接触することもなく、畦塗り機65の直進作業を継続させ、圃場端部までの整畦(仕上げ)作業を行うことができる。
従って、この第3実施態様の畦塗り機65によれば、トラクタ2は直進走行と旋回走行だけで、畦塗り機65は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行うことができる。また、畦塗り機65が圃場の端部に達した状態(図5(d))のときトラクタ2の走行と畦塗り機65の作動を停止し、三点リンク連結機構3により畦塗り機65を持ち上げて図5(e)に示す直進作業状態にして元畦17に沿ってセットし、トラクタ2を後進させて畦塗り機65を圃場の端部に位置させれば、圃場の端部から直進整畦作業を継続させることができる。従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行と、停止と、後進走行とにより畦塗り機65は直進作業から圃場の端部までの全整畦作業を連続して行うことができる。
【0046】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、図5(f)に示す圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0047】
図6は、本発明による畦塗り機の第4の実施形態を示す。この第4実施形態の畦塗り機70は、前述した第1実施形態における本体フレーム4に代えて、伝動機能を有する伝動オフセットアーム24をトラクタ2の一方の側に張り出すようにして装着し、この伝動オフセットアーム24の先端部に伝動機能を有する伝動平行リンクアーム25の基部を水平回動可能に枢支し、該伝動平行リンクアーム25の先端部に作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支したことを特徴とするものである。
【0048】
第4実施形態において、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度は、伝動オフセットアーム24の先端部に伝動平行リンクアーム25を水平回動可能に枢支した構成による水平回動の自由度と伝動平行リンクアーム25の伸縮による水平移動の自由度の組み合わせによる自由度である。また、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、平行リンクアーム25の先端部に作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支した構成による水平回動の自由度である。なお、伝動オフセットアーム24と伝動平行リンクアーム25との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、第1実施形態のものとほぼ同様である。
【0049】
この畦塗り機70においては、直進作業部分(図6(a))では、第3実施形態のものと同様に、位置方位センサ20の検知により伝動平行リンクアーム25をわずかに水平回動させるだけで畦塗り機1の直進整畦作業が行われる。トラクタ2が圃場の隅部21に来て図6(b)〜図6(d)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。このとき、トラクタ2から側方に所定距離離れた位置に、伝動平行リンクアーム25の回動支点を設けたことで、トラクタ2の中心線よりも隅部の方に作業部51が先行して移動させることができるため、伝動平行リンクアーム25はやや大きく水平回動して作業部51がトラクタ2に接触することなく、畦塗り機70の直進作業を継続させ、圃場端部までの整畦(仕上げ)作業を行う。従って、トラクタ2は第3実施形態の場合と同様に直進走行と旋回走行だけで、畦塗り機65は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行うことができる。
【0050】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0051】
図7は、本発明による畦塗り機の第5の実施形態を示す。この第5実施形態の畦塗り機75は、前述した第1実施形態における本体フレーム4に、オフセット方向に延びるオフセット伝動アーム27を配設し、このオフセット伝動アーム27の先端部に回動伝動アーム28の基端部を水平回動可能に枢支し、該回動伝動アーム28の先端部に作業部51の支持・伝動フレーム7を水平回動可能に枢支している。第5実施形態において、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度は、オフセット伝動アーム27による水平移動の自由度と、オフセット伝動アーム27の先端部に枢支した回動伝動アーム28による水平回動の自由度とから構成されている。
オフセット伝動アーム27の動力伝達機構としては、スプラインシャフトとスリーブの組み合わせなどを採用してスライド可能にすることができる。また、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、回動伝動アーム28の先端部に水平回動可能に枢支した作業部51の支持・伝動フレーム7による水平回動の自由度である。そして、オフセット伝動アーム27と回動伝動アーム28との間、及び回動伝動アーム28と作業部51の支持・伝動フレーム7との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、第1実施形態のものとほぼ同様である。
【0052】
この第5実施形態の畦塗り機75においては、直進作業部分(図7(a))では、位置方位センサ20の検知により回動伝動アーム28及び作業部51の支持・伝動フレーム7をわずかに水平回動させるだけで畦塗り機75の直進整畦作業が行われる。そして、トラクタ2が圃場の隅部21に来て図7(b)〜図7(d)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。つまり、回動伝動アーム28の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム7の回動支点とトラクタ2との距離を変化させながら、回動伝動アーム28はやや大きく水平回動して畦塗り機75は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行うことができる。
このように、第5実施形態の場合には、第一の自由度を2つの自由度で構成しているために、トラクタ2の旋回にともなって生ずるトラクタ2と整畦作業する畦との間隔の変化に対応して、畦塗り機75におけるトラクタ2への装着部(すなわち本体フレーム)と作業部51の間隔を任意に調整することが可能である。このため、第1実施形態のようにトラクタ2の旋回を一旦停止させたりする必要がなく、連続して作業を継続することが出来る。
【0053】
また、畦塗り機75が圃場の端部に達した状態(図7(d))のときトラクタ2の走行と畦塗り機75の作動を停止し、三点リンク連結機構3により畦塗り機75を持ち上げて図7(e)に示す直進作業状態にして元畦17に沿ってセットし、トラクタ2を後進させて畦塗り機75を圃場の端部に位置させれば、圃場の端部から直進整畦作業を継続させることができる。従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行と、停止と、後進走行とにより畦塗り機75は直進作業から圃場の端部までの全整畦作業を連続して行うことができる。
【0054】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、図7(f)に示す圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0055】
図8は、本発明による畦塗り機の第6の実施形態を示す。この第6実施形態の畦塗り機80は、直進作業部分(図8(a))におけるトラクタ2に対する畦塗り機80のオフセット位置が図7の場合と比べ前側になるように回動伝動アーム28を位置させている。この第6実施形態において、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度および作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、第5実施形態のものと同様である。
【0056】
この畦塗り機80は、前述したように構成されているために、トラクタ2が直進作業部分(図8(a))から圃場の隅部21に来て、図8(b)〜図8(c)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。つまり、回動伝動アーム28の先端部に枢支された作業部51の支持・伝動フレーム7の回動支点とトラクタ2との距離を変化させながら、回動伝動アーム28はやや大きく水平回動して畦塗り機80は圃場の端部までの整畦作業を連続して行うことができる。
【0057】
畦塗り機80が圃場の端部に達した状態(図8(c))のときにトラクタ2の走行と畦塗り機80の作動を停止し、三点リンク連結機構3により畦塗り機80を持ち上げ、図8(d)に示す直進作業状態にして元畦17に沿ってセットし、トラクタ2を後進させて畦塗り機80を圃場の端部に位置させれば、圃場の端部から直進整畦作業を継続させることができる。従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行と、停止と、後進走行とにより畦塗り機80は直進作業から圃場の端部までの全整畦作業を連続して行うことができる。第6実施形態の方が、図7に示した第5実施形態とは回転伝動アーム28の角度が異なるため、トラクタ2の旋回が少なくても端部に到達することができるというメリットがある。
【0058】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、図8(e)に示す圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0059】
図9は、本発明による畦塗り機の第7の実施形態を示す。この第7実施形態の畦塗り機85は、前述した第1実施形態におけるオフセットアーム5を伸縮可能な構成にした伸縮・回動伝動アーム29としたことを特徴とするものであり、その先端部に作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支し、本体フレーム4と伸縮・回動伝動アーム29との間、及び伸縮・回動伝動アーム29と作業部支持・伝動フレーム13との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、第1実施例のものとほぼ同様である。オフセットアーム5は、例えば、複数の伸縮部材を入れ子式に構成して伸縮動可能に構成されている。
なお、オフセットアーム5の動力伝達機構としては、第5実施形態と同様な構成をとる。第7実施形態において、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度は、伸縮・回動伝動アーム29により構成される水平移動および水平回動の2つの自由度からなり、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、伸縮・回動伝動アーム29の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム13による水平回動の自由度である。
【0060】
この第7実施形態の畦塗り機85においては、直進作業部分(図9(a))では、位置方位センサ20の検知により伸縮・回動伝動アーム29をわずかに伸縮(平行移動)、水平回動させるだけで畦塗り機85の直進整畦作業が行われる。トラクタ2が圃場の隅部21に来て図9(b)〜図9(c)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。このとき、伸縮・回動伝動アーム29の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム13の回動支点とトラクタ2との距離を変化させながら、伸縮・回動伝動アーム29はやや大きく伸縮、水平回動して畦塗り機85は直進作業から圃場の端部まで整畦作業を継続して行う。旋回作業中にトラクタ2と作業部51が干渉する場合は、伸縮・回動伝動アーム29を伸縮させて回避できるので、畦から近い位置をトラクタ2が走行でき、作業状態が確認しやすく運転も容易となる。
従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行のみで畦塗り機85は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行う。また、畦塗り機85が圃場の端部に達したときトラクタ2の走行と畦塗り機85の作動を停止し、三点リンク連結機構3により畦塗り機85を持ち上げて直進作業状態にして元畦17に沿ってセットし、トラクタ2を後進させて畦塗り機85を圃場の端部に位置させれば、圃場の端部から直進整畦作業を継続させることができる。従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行と、停止と、後進走行とにより畦塗り機85は直進作業から圃場の端部までの全整畦作業を連続して行うことができる。また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【0061】
図10は、本発明による畦塗り機の第8の実施形態を示す。この第8実施形態の畦塗り機90は、前述した第1実施形態におけるオフセットアーム5に代えて、伝動機能を有する第一の回動伝動アーム33と、この回動伝動アーム33の先端部に基端部が水平回動可能に枢支された第二の回動伝動アーム35とを設けたものであり、これらによる2つの水平回動の自由度により、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度が構成されている。また、第1実施形態と同様に、第二の回動伝動アーム35の先端部に作業部の支持・伝動フレーム7を水平回動可能に枢支することにより、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度が構成されている。なお、本体フレーム4と第一の伝動アーム33との間、及び第一の回動伝動アーム33と第二の回動伝動アーム35との間、さらには、第二の回動伝動アーム35と作業部の支持・伝動フレーム7との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、第1実施形態のものとほぼ同様である。
【0062】
この第8実施形態の畦塗り機90においては、直進作業部分(図10(a))では、位置方位センサ20の検知により第一の回動伝動アーム33、第二の回動伝動アーム35及び作業装置の支持・伝動フレーム7をわずかに水平回動させるだけで畦塗り機90の直進整畦作業が行われる。そして、トラクタ2が圃場の隅部21に来て、図10(b)〜図10(d)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。つまり、第二の回動伝動アーム35の先端部に枢支された作業部51の支持・伝動フレーム7の回動支点とトラクタ2との距離を変化させながら、第一、第二の回動伝動アーム33,35はやや大きく水平回動して畦塗り機90は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行うことができる。
【0063】
第8実施形態の場合には、第5、第6実施形態と同様に第一の自由度を2つの自由度で構成しているために、トラクタ2の旋回にともなって生ずるトラクタ2と整畦作業する畦との間隔の変化に対応して、畦塗り機90におけるトラクタ2への装着部(すなわち本体フレーム4)と作業部51の間隔を任意に調整することが可能である。このため、第1実施形態のようにトラクタ2の旋回を一旦停止させたりする必要がなく、連続して作業を継続することが出来る。また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、図10(e)に示すように、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
また、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度を第一の回動伝動アーム33で構成し、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度をこの回動伝動アーム33の先端部に基端部が水平回動可能に枢支された第二の回動伝動アーム35で構成してもよい。この場合においては、第1実施形態とほぼ同様の構成となるが、第二の回動伝動アーム35があるので、第1実施形態に比べ、前進のみでの連続整畦作業において、曲線整畦作業時の回転半径を小さくでき、非作業時の格納状態もコンパクトにできる。
【0064】
図11は、本発明による畦塗り機の第9の実施形態を示す。この第9実施形態の畦塗り機95では、前述した第1実施形態における本体フレーム4に、オフセット方向に延びるオフセット伸縮・伝動アーム37を装着し、このオフセット伸縮・伝動アーム37の先端部に作業部支持・伝動フレーム13を水平回動可能に枢支している。そして、オフセット伸縮・伝動アーム37と作業部支持・伝動フレーム13との間に、図示しない電動シリンダまたは油圧シリンダを介装したほかは、第1実施形態のものとほぼ同様である。
【0065】
第9実施形態において、トラクタ2と作業部51との相対位置を制御するための第一の自由度は、オフセット伸縮・伝動アーム37により構成される水平移動の自由度からなり、作業部51の姿勢を制御するための第二の自由度は、第1実施形態などと同様に、オフセット伸縮・伝動アーム37の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム13による水平回動の自由度である。
【0066】
この畦塗り機95においては、直進作業部分(図11(a))では、位置方位センサ20の検知によりオフセット伸縮・伝動アーム37をわずかに伸縮させ、作業部支持・伝動フレーム13を水平回動させるだけで畦塗り機95の直進整畦作業が行われる。トラクタ2が圃場の隅部21に来て、図11(b)に示すように旋回すると、位置方位センサ20の検出した情報に基づきトラクタ2の姿勢変化に対応して作業部51を所定の姿勢に調整して新畦19を連続的に形成することができるのである。つまり、オフセット伸縮・伝動アーム37の先端部に枢支された作業部支持・伝動フレーム13の回動支点とトラクタ2との距離を変化させながら、オフセット伸縮・伝動アーム37はやや大きく伸縮し、また、作業部支持・伝動フレーム13も水平回動して畦塗り機95は直進作業から圃場の端部までの整畦作業を連続して行う。従って、トラクタ2は直進走行と、旋回走行するだけで、畦塗り機95は直進作業から圃場の端部までの全整畦作業を連続して行うことができる。
【0067】
また、隣り合う辺の接続部を矩形状に形成する必要がない場合には、圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、その後再び直進整畦作業を行うという前進のみでの連続整畦作業が行える。
【符号の説明】
【0068】
2 トラクタ(走行機体)
5、26 オフセットアーム(伝動フレーム)
9 伝動フレーム
10、11 平行リンク(平行リンク機構)
14 前処理体
15 整畦体(主作業部)
20 位置方位センサ(センサ)
23、28、33、35 回動伝動アーム(伝動フレーム)
50、60,65、70、75、80、85,90、95 畦塗り機(オフセット作業機)
51 作業部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後方にこの走行機体に対して水平回動または水平移動自在に架設される伝動部材の先端に水平回動自在に装着された作業部と、
前記作業部の位置及び方位を検出するセンサからの情報に基づいて前記伝動部材の水平回動または水平移動の量と前記作業部の水平回動の量を独立して無段階に制御し、
前記走行機体の旋回をともなう前進動時に前記作業部を畦に沿わせたまま、その圃場の隅部付近までの直進性を維持させる制御手段とを備える畦塗り機を用いて、
圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、
その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、
その後再び直進整畦作業を行うことを特徴とする連続整畦作業方法。
【請求項2】
前記伝動部材の水平回動または水平移動の量と前記作業部の水平回動の量を制御しながら前記走行機体の前進走行のみによって、作業を行うことを特徴とする請求項1に記載の連続整畦作業方法。
【請求項1】
走行機体の後方にこの走行機体に対して水平回動または水平移動自在に架設される伝動部材の先端に水平回動自在に装着された作業部と、
前記作業部の位置及び方位を検出するセンサからの情報に基づいて前記伝動部材の水平回動または水平移動の量と前記作業部の水平回動の量を独立して無段階に制御し、
前記走行機体の旋回をともなう前進動時に前記作業部を畦に沿わせたまま、その圃場の隅部付近までの直進性を維持させる制御手段とを備える畦塗り機を用いて、
圃場の一辺に対し直進整畦作業を行い、
その終端部から隣り合う辺の始端部にかけては曲線整畦作業を行い、
その後再び直進整畦作業を行うことを特徴とする連続整畦作業方法。
【請求項2】
前記伝動部材の水平回動または水平移動の量と前記作業部の水平回動の量を制御しながら前記走行機体の前進走行のみによって、作業を行うことを特徴とする請求項1に記載の連続整畦作業方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−172341(P2010−172341A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87157(P2010−87157)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【分割の表示】特願2004−52822(P2004−52822)の分割
【原出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【出願人】(390010836)小橋工業株式会社 (198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【分割の表示】特願2004−52822(P2004−52822)の分割
【原出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【出願人】(390010836)小橋工業株式会社 (198)
【Fターム(参考)】
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