連続液膜更新機能を有する気液接触機構
【課題】 気液接触効率を向上させた気液接触機構を提供する。
【解決手段】 複数の充填体構成要素(6)からなり、各充填体構成要素(6)は、装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長する規則充填体(5)と、液分配器と規則充填体を連結し、液分配器から液体を該規則充填体に供給する複数のアダプターと、液集合器と規則充填体を連結し、該規則充填体からの液体を液集合器に供給する複数のコレクターとを備え、各充填体構成要素(6)は、3筋のワイヤ(6a、6b、6c)からなり、3筋のワイヤはそれぞれリング形状部(15)と集結部(17)が交互に繰り返す構造を有する物質移動等を行なう装置内の気液接触機構。
【解決手段】 複数の充填体構成要素(6)からなり、各充填体構成要素(6)は、装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長する規則充填体(5)と、液分配器と規則充填体を連結し、液分配器から液体を該規則充填体に供給する複数のアダプターと、液集合器と規則充填体を連結し、該規則充填体からの液体を液集合器に供給する複数のコレクターとを備え、各充填体構成要素(6)は、3筋のワイヤ(6a、6b、6c)からなり、3筋のワイヤはそれぞれリング形状部(15)と集結部(17)が交互に繰り返す構造を有する物質移動等を行なう装置内の気液接触機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の流路に区画された内部構造を有し、上部に配置された液分配器と下部に配置された液集合器を備え、気体と液体間の物質移動、熱交換または混合を行なう装置における気液接触機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の装置における規則充填体として図11に部分断面図を示すような規則充填体が知られている。この規則充填体aは、装置を構成する充填体充填塔の上部に配置された液分配器の下方に所定の間隔をおいて複数の波型に成形され交互に積層されて成る多孔薄板からなるシートbを波型の斜め方向に延長するように相互に間隔をおいて平行に配置し、充填塔の内壁に当接する位置において逆方向に反転させて斜め方向に延長するように多層配置してなるものである。液分配器から液滴となって自由落下した液体はこれらの薄板シートbに沿って流下し、シートbの面を濡らす。一方気体は塔下部の気体入口から入り上昇し、規則充填体aを通過して塔上部の気体出口から塔外に出る。気体が規則充填体aを通過する間に気液接触が行われ所望の物質移動、熱交換または混合が行われる。
【特許文献1】特開2001−170475号公報
【特許文献2】特開2004−44927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の規則充填体の問題点は、第1に、規則充填体aを構成するシートbの一部がその折曲縁において充填塔の内壁cに接触することである。これらのシートbを伝って流下した液体は内壁cに移り、その大きな部分は再びシートbに戻ることなく壁流となって内壁cを伝って流下する。一方充填塔内を上昇する気体は断面の半径方向に放物線状の流速分布をもち、中心部がもっとも流速が早く、壁面に近づくと粘性によって流速はゼロに近づく。そのため上昇する気体は塔内の中心部を流れ易く壁面部はほとんど気体が流れないことになる。この気体の偏流により、液体の壁流は気体との接触が中心部を流れる液体よりも少なく、気液接触に不均一が生じる結果達成すべき反応においても不均一が生じる。
【0004】
上記従来の規則充填体の第2の問題点は、この規則充填体aにおいては、シートbが斜めに配置されているため、圧力損失が高く、その分エネルギー消費が高く効率が悪いということである。
【0005】
上記従来の規則充填体の第3の問題点は、気体の負荷量を増大すると装置の健全な運転ができなくなるため気体の負荷量の上限が比較的に低く押さえられていることである。
【0006】
すなわち、塔上部の液体分配器から塔内に供給する液の流量を増やすと、下降する液は充填物の表面を広がりながら濡らして行くが、さらに液量を増加すると液膜が厚くなり一部は液滴として液膜から離れる。そこで、液を上から流したままで塔の下部から加える気体の流量を増加すると、高い気体の流速によって液膜表面は乱され液滴になり易く、それは気体によって上方に吹き飛ばされる。これによってせっかくある成分を濃縮して下降してきた液体を逆流させてしまうことになり、反応効率を悪化させる。液滴を気体が吹き飛ばす現象は塔上部の液分配器から液が規則充填体の頂部に落下するまであるいは塔下部に設けた液集合器付近でもよく見られる。それは、たとえば、台風の時の強風によって四方八方に吹き上げられた雨樋からの雨滴のような挙動である。液分配器は塔の断面方向に均一に液体を規則充填体に供給するためのものであり、液滴を吹き飛ばすような上記の挙動は充填塔の性能を下げるため、極力防がなければならない。一方、液集合器は分離した液を上方に液滴として吹き上げることなく集めなければならない。上記従来の装置は、このような気体の流速増加による液分配器と規則充填体との間および規則充填体と液集合器の間の空間における液滴の飛散、吹き上げに対して有効な対応策を持たない。
【0007】
上記第3の問題点については、この問題を解決するために、特許文献1に記載された液体配給・集合機構が提案されている。この機構においては、図12に示すように、充填塔dの液分配器eに取付けられた液体配給パイプfのノスルgに複数のストランド部mが撚り合わされて形成された液体配給ロープhが接続され、液体配給ロープhは規則充填体iに接続されている。液体は液体配給パイプfから液体配給ロープhおよびこれから二手に分岐するストランド部mを伝って規則充填体iに分配され、気液接触を完了した液体は、複数のストランド部nが撚り合わされて形成された液体集合ロープjからなる液体集合機構kによって液体取り出し口lに移送される。したがって、この装置においては、液体は気体速度が高速でも上方に吹き上げられることがなく確実に規則充填体に移送され、また規則充填体から取り出されることが期待される。
【0008】
この液体配給・集合機構は、理論的には、上記第3の問題点を解決した理想的な液体分配方式に見えるが、実験の結果、液体配給ロープhを構成する2本のストランド部mが同じ本数のワイヤから構成されていたとしても、各ワイヤ間の僅かな撚り角度の差や各ワイヤの表面粗さの差に基く液体のなじみ易さの差等の原因により各ワイヤを最初に流れる液体の流れは各ワイヤとも均一とはならず、最も流れ易いワイヤには他のワイヤに先駆けて液路ができ、後続の液体は追随してこの液路を通り他のワイヤを伝って流れない傾向があるため、液分配器から液体配給ロープhに流れる液体はこれから分岐する2本のストランド部mに必ずしも均等には流れず、その結果規則充填体iに流れる液体にも不均一が生じ完全な気液接触ができないことが判った。
【0009】
上記問題点を解決する装置として、特許文献2は、内部構造を構成する規則充填体であって、複数の充填体構成要素からなり、各充填体構成要素は、装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長する規則充填体と、該液分配器と該規則充填体を連結し、該液分配器から液体を該規則充填体に供給する複数のアダプターと、該液集合器と該規則充填体を連結し、該規則充填体からの液体を該液集合器に供給する複数のコレクターとを備える気液接触機構を開示している。この装置によれば、各充填体構成要素は、装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長するので、液分配器から各充填体構成要素に流下した液体は装置の内壁に移って壁流となることなく、また隣り合う充填体構成要素に移って液体の流れに不均一を生じることなく液集合器に流れる。その結果各充填体構成要素を流れる液体の量は均一となり、均一な気液接触が達成される。また各充填体構成要素は装置内で垂直方向に延長しているので、圧力損失を最小限に押えることができる。さらに、液分配器と規則充填体はアダプターで直結されており、規則充填体と液集合器もコレクターで直結されているので、気体の流速増加による液分配器と規則充填体との間および規則充填体と液集合器の間の空間における液滴の飛散、吹き上げを防止することができる。
【0010】
本発明は、この改良された気液接触機構における気液接触性能をさらに向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記本発明の目的を達成する第1の構成は、装置の上部に配置された液分配器と装置の下部に配置された液集合器との間において多数の流路を区画する内部構造を有し、気体と液体間の物質移動、熱交換または混合を行なう装置において、該内部構造を構成する規則充填体であって、複数の充填体構成要素からなり、各充填体構成要素は、装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長する規則充填体を備え、前記各充填体構成要素は、2筋のワイヤからなり、該2筋のワイヤはそれぞれリング形状部と集結部が交互に繰り返す構造を有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第2の構成は、該液分配器と該規則充填体を連結し、該液分配器から液体を該規則充填体に供給する複数のアダプターと、該液集合器と該規則充填体を連結し、該規則充填体からの液体を該液集合器に供給する複数のコレクターとをさらに備えることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の第3の構成は、装置の上部に配置された液分配器と装置の下部に配置された液集合器との間において多数の流路を区画する内部構造を有し、気体と液体間の物質移動、熱交換または混合を行なう装置において、該内部構造を構成する規則充填体であって、複数の充填体構成要素からなり、各充填体構成要素は、装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長する規則充填体を備え、前記各充填体構成要素は、3筋のワイヤからなり、該3筋のワイヤはそれぞれリング形状部と集結部が交互に繰り返す構造を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の構成は、該液分配器と該規則充填体を連結し、該液分配器から液体を該規則充填体に供給する複数のアダプターと、該液集合器と該規則充填体を連結し、該規則充填体からの液体を該液集合器に供給する複数のコレクターとをさらに備えることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の第5の構成は、複数の平歯車の各平歯車の回転軸と平行な中心軸を有する2つの貫通孔を各平歯車に形成し、該2つの貫通孔に該2筋のワイヤを挿通させ、害2筋のワイヤにおいて該集結部を形成すべき部分において該平歯車を所定回数回転させ該平歯車の下側において該2筋のワイヤを捩じることにより該集結部を形成し、次に該2筋のワイヤを所定寸法だけ下方に移動させ、該2筋のワイヤにおいてリング形状部を形成すべき部分において、該平歯車の下側にリング形成用の串を該2筋のワイヤの間に位置するように挿入した後該平歯車を所定回数回転させ該平歯車の下側でかつ該串の上側において該2筋のワイヤを捩じることにより集結部を形成し、次に該串を後退させて該2筋のワイヤから引き抜いてリング形状部を形成した後該2筋のワイヤを所定寸法だけ下方に移動させ、その後該串の挿入、該平歯車の回転、該串の引き抜き、該ワイヤの下方移動を繰り返すことにより、該リング形状部と該集結部を交互に繰り返し形成することを特徴とする上記第1の構成の充填体構成要素を備える気液接触機構の製造方法である。
【0016】
本発明の第6の構成は、複数の平歯車の各平歯車の回転軸と平行な中心軸を有する3つの貫通孔を各平歯車に形成し、該3つの貫通孔に該3筋のワイヤを挿通させ、該3筋のワイヤにおいて該集結部を形成すべき部分において該平歯車を所定回数回転させ該平歯車の下側において該3筋のワイヤを捩じることにより該集結部を形成し、次に該3筋のワイヤを所定寸法だけ下方に移動させ、該3筋のワイヤにおいてリング形状部を形成すべき部分において、該平歯車の下側にリング形成用の串を該3筋のワイヤの間に位置するように挿入した後該平歯車を所定回数回転させ該平歯車の下側でかつ該串の上側において該3筋のワイヤを捩じることにより集結部を形成し、次に該串を後退させて該3筋のワイヤから引き抜いてリング形状部を形成した後該3筋のワイヤを所定寸法だけ下方に移動させ、その後該串の挿入、該平歯車の回転、該串の引き抜き、該ワイヤの下方移動を繰り返すことにより、該リング形状部と該集結部を交互に繰り返し形成することを特徴とする上記第3の構成の充填体構成要素を備える気液接触機構の製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上記第1の構成によれば、気液接触機構を構成する各充填体構成要素は、2筋のワイヤからなり、該2筋のワイヤはそれぞれリング形状部と集結部が交互に繰り返す構造を有するので、これを伝って流下する液体はリンク形状部ではリング内の円形空間を覆う薄い液膜となり、液の表面積が最大となって、下方から上昇する気体と最も効果的な接触が行われることになる。次いでこの液膜を形成する液体はワイヤのリング形状部から直下の集結部に流下し、ここで液を集合した後さらにその直下のリング形状部に流下して再びリング内部空間を覆う液膜となり、以下この動作および形状変化を交互に繰り返す。こうして次ぎ次ぎと連続して液膜が更新され最大の気液接触効果が達成される。
【0018】
また、筋状のワイヤは途中の分岐がないので圧力損失は少ない。また、性能が高いことにより、性能に対する圧力損失は極めて低いことになる。
【0019】
上記第3の構成によれば、第1の構成と同様の効果がある上に、リングを形成する外側の2筋のワイヤの中間に直線状の第3のワイヤが配置されているので、この第3のワイヤがリングを補強し、円形の液膜の破損を防止する機能を発揮し、一層効率の良い気液接触を行うことができる。
【0020】
上記第5の構成によれば、簡単な装置と方法により、上記第1の構成の充填体構成要素を大量生産することができる。
【0021】
上記第6の構成によれば、簡単な装置と方法により、上記第2の構成の充填体構成要素を大量生産することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1および図2は本発明にかかる気液接触機構の1実施形態を示すもので、図1はこの気液接触機構が使用される装置全体を示す模式的縦断面図、図2は気液接触機構のワイヤ状充填体構成要素を示す斜視図である。
【0023】
図1において、気体と液体間の物質移動等のために気液接触を行なう規則充填体を収容する充填塔10は上下方向に長い円筒状の塔で、その上部には気液接触の対象物である液体を下方の規則充填体に分配するための上下方向に延長する複数の管状の液分配器2が配置されている。液分配器2には液供給管11を介して液体が供給される。充填塔10の下部には気液接触を完了した液体を収集する複数の管状の液集合器3が配置されている。液集合器3は液体取り出し口8に連通している。
【0024】
塔10の下部側壁には気液接触の対象となる気体の流入口9が開口しており、塔10の頂部には気液接触を完了した気体の流出口12が開口している。
【0025】
塔10内には、上から、液分配器2に連結された複数のワイヤ状アダプター4、各アダプター4と一体的に成形された複数のワイヤ状の充填体構成要素6からなる規則充填体5、各充填体構成要素6と一体的に成形された複数のワイヤ状コレクター7が配置されている。
【0026】
規則充填体5は、多数の垂直方向に延長するワイヤ状充填体構成要素6が相互に所定間隔を維持した状態で、すなわち隣り合う充填体構成要素6どうしが非接触状態で平行に、横断面において行と列を形成するようにして配置されている。各充填体構成要素6は塔10の内壁とも非接触状態を維持するように配置されている。
【0027】
本実施形態において、液分配器2と規則充填体5を連結し液分配器2から液体を規則充填体5に供給する各ワイヤ状アダプター4は充填体構成要素6の中のいずれかと1対1の関係で一体的に形成されている。各アダプター4は、他のアダプターから分岐することなく、また他のアダプターを分岐することなく、管状液分配器2に直接連結されている。したがって、管状液分配器2の下端部の内部には集合体を構成する複数の充填体構成要素6のそれぞれと一体化した複数のアダプター4が集合し束ねられた形で挿入され保持されている。各アダプター4は隣り合うアダプターとの間にある程度の隙間が形成され、液体が各アダプター4の全周からアダプター4を伝って流下するようにゆるやかに束ねられた状態で挿入されている。
【0028】
本実施形態において、管状の液集合器3と規則充填体5を連結し規則充填体5からの液体を液集合器3に供給する各ワイヤ状コレクター7は、アダプター4と同様、充填体構成要素6の中のいずれかと1対1の関係で一体的に形成されている。各コレクター7は、他のコレクターから分岐することなく、また他のコレクターを分岐することなく、管状液集合器3に直接連結されている。したがって、管状液集合器3の上端部の内部には複数の充填体構成要素6のそれぞれと一体化した複数のコレクター7が集合し束ねられた形で挿入され保持されている。
【0029】
ワイヤ状充填体構成要素6、ワイヤ状アダプター4およびワイヤ状コレクター7を形成するワイヤ材料としては、金属線のほかプラスチック繊維、カーボン繊維、セラミック繊維、綿等の植物繊維、羊毛等の動物繊維等あらゆる繊維が使用可能である。また、ワイヤの態様としてはワイヤ、撚糸、モノフイラメント、針金等特に限定はないが、複数本の細い鋼線を撚り合わせて作ったワイヤ等の撚り糸状または撚り線状のワイヤ材料は、液体が毛細管現象により撚り糸を構成する複数の糸または線材の間の空間を伝って流れることにより液体の移動を促進するので好ましい。本実施形態においては、好ましい1例として、直径0.25mmの鋼線を4本撚り合わせて作った鋼線を2本撚り合わせたワイヤを1本の充填体構成要素6、アダプター4、コレクター7として使用することができる。
【0030】
図2は、規則充填体5を形成する各ワイヤ状充填体構成要素6の実施形態として3筋のワイヤからなる充填体構成要素6を示す斜視図である、
各充填体構成要素6は3筋のワイヤがリング形状部と終結部が交互に繰り返す構造を有する。すなわち、図3の拡大図に示すように、各充填体構成要素6の外側の2筋のワイヤ6a、6bはそれぞれ外側に張り出す円弧状に曲げられてリングを形成し、中央の1筋のワイヤ6cは上下方向に直線状に延長する。そしてこれら3筋のワイヤ6a、6b、6cによってリング形状部15が形成されている。
【0031】
リング形状部15の直下には外側ワイヤ6a、6bが中央ワイヤ6cの周りに捩じられて集結部17が形成されている。
【0032】
集結部17の直下においては集結部17で捩じられていた外側ワイヤ6a、6bか開いて円弧状に曲げられ、再びリング形状部15を形成されている。
【0033】
こうして、各充填体構成要素6は上下方向にリング形状部15と集結部17が連続して交互に繰り返し形成される構造となっていうる。
【0034】
規則充填体5においては、鋼線等の長い部材からなる複数のスペーサー19が上下方向に所定の間隔で充填体構成要素6の集結部17を貫通してかつスペーサーどうしが交差するようにして配置されており、これらスペーサー19はその両端部が塔壁または図示しないフレームに固定されている。このように構成されたスペーサー19は、隣り合う充填体構成要素6に所定の間隔を維持させる機能を果たし、隣り合う充填体構成要素6間に液の移動が行われることによる偏流の発生を防止する。
【0035】
図4は規則充填体5を形成する各ワイヤ状充填体構成要素6の他の実施形態として2筋のワイヤからなる充填体構成要素6を示す図3と同様の拡大図である、
各充填体構成要素6は2筋のワイヤがリング形状部と終結部が交互に繰り返す構造を有する。すなわち、図4に示すように、各充填体構成要素6の外側の2筋のワイヤ6a、6bはそれぞれ外側に張り出す円弧状に曲げられてリングを形成する。この実施態様においては、中央の1筋のワイヤ6使用されていない。そしてこれら2筋のワイヤ6a、6bによってリング形状部15が形成されている。
【0036】
リング形状部15の直下には外側ワイヤ6a、6bが捩じられて集結部17が形成されている。
【0037】
集結部17の直下においては集結部17で捩じられていた外側ワイヤ6a、6bか開いて円弧状に曲げられ、再びリング形状部15を形成されている。
【0038】
こうして、各充填体構成要素6は上下方向にリング形状部15と集結部17が連続して交互に繰り返し形成される構造となっていうる。
【0039】
次に上記2筋のワイヤからなる充填体構成要素6を使用する気液接触機構の動作について説明する。
上記実施態様によれば、気液接触機構を構成する各充填体構成要素6は、2筋のワイヤ6a、6bからなり、該2筋のワイヤはそれぞれリング形状部15と集結部17が交互に繰り返す構造を有するので、これを伝って流下する液体はリンク形状部15ではリング内の円形空間を覆う薄い液膜となり、液の表面積が最大となって、下方から上昇する気体と最も効果的な接触が行われることになる。次いでこの液膜を形成する液体はワイヤのリング形状部15から直下の集結部17に流下し、ここで液を集合した後さらにその直下のリング形状部15に流下して再びリング内部空間を覆う液膜となり、以下この動作および形状変化を交互に繰り返す。こうして次ぎ次ぎと連続して液膜が更新され最大の気液接触効果が達成される。
【0040】
また、筋状のワイヤは途中の分岐がないので圧力損失は少ない。また、性能が高いことにより、性能に対する圧力損失は極めて低いことになる。
【0041】
また上記3筋のワイヤからなる充填体構成要素6を使用する実施態様によれば、2筋のワイヤを使用する実施態様と同様の効果がある上に、リングを形成する外側の2筋のワイヤの中間に直線状の第3のワイヤが配置されているので、この第3のワイヤがリングを補強し、円形の液膜の破損を防止する機能を発揮し、一層効率の良い気液接触を行うことができる。
【0042】
なお、本発明は、図1に示すようなアダプター、コレクターを備えず、液分配器から複数の充填体構成要素が直接垂直に垂れ下がる構造の気液接触機構にも適用できるものでである。
【0043】
次に上記3筋のワイヤを使用する充填体構成要素6を製造する方法について図5〜図8を参照して説明する。
図5はこの製造方法に使用する装置を模式的に示す平面図である。図5に示す歯車装置27においては、一対の平行に配置されたラック20、21の間に規則充填体として同時に製造すべき充填体構成要素6の数と同数の平歯車23が配置されている。平歯車23のうちラック20、21に隣接する平歯車はラック20、21の歯と噛合い、これらラック20、21と噛合う平歯車23の間に配置された平歯車23はそれぞれ隣接する平歯車と噛合っている。したがって、ラック20が矢印A方向、ラック21が矢印B方向に移動すると、ラック20、21と直交する方向に見て図名k最上段の平歯車23aは反時計方向に回転し、次の段の平歯車23bは時計方向に回転し、さらに次の段の平歯車23cは反時計方向に回転し、その他の平歯車23も同様に隣接する平歯車23と逆方向に時計方向と反時計方向のいずれかに回転する。
【0044】
各平歯車23には、図6(a)、図7および図8に示すように、各平歯車23の回転軸と平行な中心軸を有する3つの貫通孔24が各平歯車23に形成されており(中央の貫通孔は図8に示すように平歯車の心棒30の中心部を貫通している)、各貫通孔24には各充填体構成要素6を形成すべき3筋のワイヤ6a、6b、6cが上下方向に挿通されている。なお、図6及び図7においては図示の便宜上一部の平歯車23のみに貫通孔24が図示されているが、貫通孔24はすべての平歯車23に形成されている。
【0045】
図6(b)において、リング形成用の複数の串25が固定された串往復装置26が歯車装置27の一方側に矢印C−D方向に往復移動可能に設けられている。なお、串25はすべての平歯車23の貫通孔24に挿通された各3筋のワイヤの間に挿入される数だけ設けられているが、図示を簡略化するため4本の串だけが示されている。また、図6、図7においては歯車装置27のラック20、21は図示を省略している。
【0046】
この歯車装置27を使用して充填体構成要素6を製造するには、まず、各平歯車23の3つの貫通孔24に挿通された3筋のワイヤ6a、6b、6cにおいて上下方向最下段の集結部17を形成すべき部分において各平歯車23を所定回数(少なくとも1回転半)回転させ平歯車23の下側において3筋のワイヤ6a、6b、6cを捩じることにより集結部17を形成する。
【0047】
次に3筋のワイヤを所定寸法だけ下方に移動させ、該3筋のワイヤにおいてリング形状部15を形成すべき部分において、図7に示すように、串往復装置26を図6中矢印C方向に前進させることにより図8に示すように各平歯車23の下側にリング形成用の串25を3筋のワイヤ6a、6b、6cの間に位置するように挿入した後平歯車23を所定回数回転させ平歯車23の下側でかつ串25の上側において3筋のワイヤを捩じることにより集結部17を形成する。
【0048】
次に串往復装置26を矢印D方向に後退させて3筋のワイヤから引き抜いてリング形状部15を形成した後3筋のワイヤを所定寸法だけ下方に移動させ、その後串25の挿入、平歯車23の回転、串25の引き抜き、ワイヤの下方移動を繰り返すことにより、リング形状部15と集結部17を必要な数だけ交互に繰り返し形成することにより、多数の充填体構成要素6を同時に製造することができる。
【0049】
上記製造方法により、集結部17は3筋のワイヤを捩じることによって形成されるが、充填体構成要素は上記方法によるだけではなく、他の方法によって製造してもよい。そして集結部もワイヤを捩じる方法以外に溶接、クランプ等他の方法によってワイヤを集合、固定するようにしてもよい。
【0050】
次に上記2筋のワイヤを使用する充填体構成要素6を製造する方法について図9〜図10を参照して説明する。
図9、図10はこの製造方法に使用する装置を模式的に示す平面図である。図9、10において図5〜図8と同一構成要素は同一符号で示し、その説明を省略する。
【0051】
この方法においては、リングを形成するために串往復装置26を移動して1本の串25を2筋のワイヤの間に挿入し、引き抜く操作において3筋のワイヤを使用する充填体構成要素の製造方法と異なるのみで他の操作は3筋のワイヤの製造方法と同一である。
【実施例】
【0052】
以下本発明の実施例について説明する。
気液接触機構が設置される塔内の気液接触処理量は塔内速度(Fフアクター、n/秒))に比例する。たとえば、塔の断面積が2m2の場合、Fフアクターが2m/秒であると処理量は4m3/秒となり、Fフアクターが5m/秒であると処理量は10m3/秒となる。そして気液接触機構の性能は単位高さあたりの理論段数(NTS/m)で表現される。
【0053】
本発明の1実施例として、直径0.4mmの鋼線6本をより合わせてなるワイヤを3筋使用して1本の充填体構成要素として図2に示す態様の規則充填体を作成し、各リング形状部15のリングの内径を3mmとし、2つのリング形状部の間のピッチを16.5mmとした。比較例として同一のワイヤからなる充填体構成要素でリングを形成しないものにより規則充填体を作成した。実施例と比較例の性能は下表1のとおりであった。
【0054】
【表1】
【0055】
以上の結果から、リングを備える充填体構成要素の方がリンクを備えない充填体構成要素に比べて気液接触装置における性能が有意に優れていることが判る。
【0056】
また、実験の結果、複数のリングを備えた同一高さの充填体構成要素同士ではリングの数の多いほうが少ないものにくらべて性能がよいことも判明した。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の気液接触機構が使用される装置全体を示す模式的縦断面図である。
【図2】本発明の1実施態様を示す斜視図である。
【図3】3筋のワイヤからなる充填体構成要素を示す図である。
【図4】2筋のワイヤからなる充填体構成要素を示す図である。
【図5】充填体構成要素製造装置の1例を示す平面図である。
【図6】この製造装置を使用して充填体構成要素を製造する方法を示す平面図である。
【図7】この製造装置を使用して充填体構成要素を製造する方法を示す平面図である。
【図8】この製造装置を使用して充填体構成要素を製造する方法を示す側面図である。
【図9】充填体構成要素を製造する方法の他の実施態様を示す平面図である。
【図10】充填体構成要素を製造する方法の他の実施態様示す平面図である。
【図11】従来の気液接触機構の1例を示す部分断面図である。
【図12】従来の気液接触機構の他の例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 気液接触機構
2 管状液分配器
3 液集合器
4 アダプター
5 規則充填体
6 充填体構成要素
7 コレクター
6a、6b、6c ワイヤ
15 リング形状部
17 集結部
23 平歯車
25 串
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の流路に区画された内部構造を有し、上部に配置された液分配器と下部に配置された液集合器を備え、気体と液体間の物質移動、熱交換または混合を行なう装置における気液接触機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の装置における規則充填体として図11に部分断面図を示すような規則充填体が知られている。この規則充填体aは、装置を構成する充填体充填塔の上部に配置された液分配器の下方に所定の間隔をおいて複数の波型に成形され交互に積層されて成る多孔薄板からなるシートbを波型の斜め方向に延長するように相互に間隔をおいて平行に配置し、充填塔の内壁に当接する位置において逆方向に反転させて斜め方向に延長するように多層配置してなるものである。液分配器から液滴となって自由落下した液体はこれらの薄板シートbに沿って流下し、シートbの面を濡らす。一方気体は塔下部の気体入口から入り上昇し、規則充填体aを通過して塔上部の気体出口から塔外に出る。気体が規則充填体aを通過する間に気液接触が行われ所望の物質移動、熱交換または混合が行われる。
【特許文献1】特開2001−170475号公報
【特許文献2】特開2004−44927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の規則充填体の問題点は、第1に、規則充填体aを構成するシートbの一部がその折曲縁において充填塔の内壁cに接触することである。これらのシートbを伝って流下した液体は内壁cに移り、その大きな部分は再びシートbに戻ることなく壁流となって内壁cを伝って流下する。一方充填塔内を上昇する気体は断面の半径方向に放物線状の流速分布をもち、中心部がもっとも流速が早く、壁面に近づくと粘性によって流速はゼロに近づく。そのため上昇する気体は塔内の中心部を流れ易く壁面部はほとんど気体が流れないことになる。この気体の偏流により、液体の壁流は気体との接触が中心部を流れる液体よりも少なく、気液接触に不均一が生じる結果達成すべき反応においても不均一が生じる。
【0004】
上記従来の規則充填体の第2の問題点は、この規則充填体aにおいては、シートbが斜めに配置されているため、圧力損失が高く、その分エネルギー消費が高く効率が悪いということである。
【0005】
上記従来の規則充填体の第3の問題点は、気体の負荷量を増大すると装置の健全な運転ができなくなるため気体の負荷量の上限が比較的に低く押さえられていることである。
【0006】
すなわち、塔上部の液体分配器から塔内に供給する液の流量を増やすと、下降する液は充填物の表面を広がりながら濡らして行くが、さらに液量を増加すると液膜が厚くなり一部は液滴として液膜から離れる。そこで、液を上から流したままで塔の下部から加える気体の流量を増加すると、高い気体の流速によって液膜表面は乱され液滴になり易く、それは気体によって上方に吹き飛ばされる。これによってせっかくある成分を濃縮して下降してきた液体を逆流させてしまうことになり、反応効率を悪化させる。液滴を気体が吹き飛ばす現象は塔上部の液分配器から液が規則充填体の頂部に落下するまであるいは塔下部に設けた液集合器付近でもよく見られる。それは、たとえば、台風の時の強風によって四方八方に吹き上げられた雨樋からの雨滴のような挙動である。液分配器は塔の断面方向に均一に液体を規則充填体に供給するためのものであり、液滴を吹き飛ばすような上記の挙動は充填塔の性能を下げるため、極力防がなければならない。一方、液集合器は分離した液を上方に液滴として吹き上げることなく集めなければならない。上記従来の装置は、このような気体の流速増加による液分配器と規則充填体との間および規則充填体と液集合器の間の空間における液滴の飛散、吹き上げに対して有効な対応策を持たない。
【0007】
上記第3の問題点については、この問題を解決するために、特許文献1に記載された液体配給・集合機構が提案されている。この機構においては、図12に示すように、充填塔dの液分配器eに取付けられた液体配給パイプfのノスルgに複数のストランド部mが撚り合わされて形成された液体配給ロープhが接続され、液体配給ロープhは規則充填体iに接続されている。液体は液体配給パイプfから液体配給ロープhおよびこれから二手に分岐するストランド部mを伝って規則充填体iに分配され、気液接触を完了した液体は、複数のストランド部nが撚り合わされて形成された液体集合ロープjからなる液体集合機構kによって液体取り出し口lに移送される。したがって、この装置においては、液体は気体速度が高速でも上方に吹き上げられることがなく確実に規則充填体に移送され、また規則充填体から取り出されることが期待される。
【0008】
この液体配給・集合機構は、理論的には、上記第3の問題点を解決した理想的な液体分配方式に見えるが、実験の結果、液体配給ロープhを構成する2本のストランド部mが同じ本数のワイヤから構成されていたとしても、各ワイヤ間の僅かな撚り角度の差や各ワイヤの表面粗さの差に基く液体のなじみ易さの差等の原因により各ワイヤを最初に流れる液体の流れは各ワイヤとも均一とはならず、最も流れ易いワイヤには他のワイヤに先駆けて液路ができ、後続の液体は追随してこの液路を通り他のワイヤを伝って流れない傾向があるため、液分配器から液体配給ロープhに流れる液体はこれから分岐する2本のストランド部mに必ずしも均等には流れず、その結果規則充填体iに流れる液体にも不均一が生じ完全な気液接触ができないことが判った。
【0009】
上記問題点を解決する装置として、特許文献2は、内部構造を構成する規則充填体であって、複数の充填体構成要素からなり、各充填体構成要素は、装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長する規則充填体と、該液分配器と該規則充填体を連結し、該液分配器から液体を該規則充填体に供給する複数のアダプターと、該液集合器と該規則充填体を連結し、該規則充填体からの液体を該液集合器に供給する複数のコレクターとを備える気液接触機構を開示している。この装置によれば、各充填体構成要素は、装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長するので、液分配器から各充填体構成要素に流下した液体は装置の内壁に移って壁流となることなく、また隣り合う充填体構成要素に移って液体の流れに不均一を生じることなく液集合器に流れる。その結果各充填体構成要素を流れる液体の量は均一となり、均一な気液接触が達成される。また各充填体構成要素は装置内で垂直方向に延長しているので、圧力損失を最小限に押えることができる。さらに、液分配器と規則充填体はアダプターで直結されており、規則充填体と液集合器もコレクターで直結されているので、気体の流速増加による液分配器と規則充填体との間および規則充填体と液集合器の間の空間における液滴の飛散、吹き上げを防止することができる。
【0010】
本発明は、この改良された気液接触機構における気液接触性能をさらに向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記本発明の目的を達成する第1の構成は、装置の上部に配置された液分配器と装置の下部に配置された液集合器との間において多数の流路を区画する内部構造を有し、気体と液体間の物質移動、熱交換または混合を行なう装置において、該内部構造を構成する規則充填体であって、複数の充填体構成要素からなり、各充填体構成要素は、装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長する規則充填体を備え、前記各充填体構成要素は、2筋のワイヤからなり、該2筋のワイヤはそれぞれリング形状部と集結部が交互に繰り返す構造を有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第2の構成は、該液分配器と該規則充填体を連結し、該液分配器から液体を該規則充填体に供給する複数のアダプターと、該液集合器と該規則充填体を連結し、該規則充填体からの液体を該液集合器に供給する複数のコレクターとをさらに備えることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の第3の構成は、装置の上部に配置された液分配器と装置の下部に配置された液集合器との間において多数の流路を区画する内部構造を有し、気体と液体間の物質移動、熱交換または混合を行なう装置において、該内部構造を構成する規則充填体であって、複数の充填体構成要素からなり、各充填体構成要素は、装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長する規則充填体を備え、前記各充填体構成要素は、3筋のワイヤからなり、該3筋のワイヤはそれぞれリング形状部と集結部が交互に繰り返す構造を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の構成は、該液分配器と該規則充填体を連結し、該液分配器から液体を該規則充填体に供給する複数のアダプターと、該液集合器と該規則充填体を連結し、該規則充填体からの液体を該液集合器に供給する複数のコレクターとをさらに備えることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の第5の構成は、複数の平歯車の各平歯車の回転軸と平行な中心軸を有する2つの貫通孔を各平歯車に形成し、該2つの貫通孔に該2筋のワイヤを挿通させ、害2筋のワイヤにおいて該集結部を形成すべき部分において該平歯車を所定回数回転させ該平歯車の下側において該2筋のワイヤを捩じることにより該集結部を形成し、次に該2筋のワイヤを所定寸法だけ下方に移動させ、該2筋のワイヤにおいてリング形状部を形成すべき部分において、該平歯車の下側にリング形成用の串を該2筋のワイヤの間に位置するように挿入した後該平歯車を所定回数回転させ該平歯車の下側でかつ該串の上側において該2筋のワイヤを捩じることにより集結部を形成し、次に該串を後退させて該2筋のワイヤから引き抜いてリング形状部を形成した後該2筋のワイヤを所定寸法だけ下方に移動させ、その後該串の挿入、該平歯車の回転、該串の引き抜き、該ワイヤの下方移動を繰り返すことにより、該リング形状部と該集結部を交互に繰り返し形成することを特徴とする上記第1の構成の充填体構成要素を備える気液接触機構の製造方法である。
【0016】
本発明の第6の構成は、複数の平歯車の各平歯車の回転軸と平行な中心軸を有する3つの貫通孔を各平歯車に形成し、該3つの貫通孔に該3筋のワイヤを挿通させ、該3筋のワイヤにおいて該集結部を形成すべき部分において該平歯車を所定回数回転させ該平歯車の下側において該3筋のワイヤを捩じることにより該集結部を形成し、次に該3筋のワイヤを所定寸法だけ下方に移動させ、該3筋のワイヤにおいてリング形状部を形成すべき部分において、該平歯車の下側にリング形成用の串を該3筋のワイヤの間に位置するように挿入した後該平歯車を所定回数回転させ該平歯車の下側でかつ該串の上側において該3筋のワイヤを捩じることにより集結部を形成し、次に該串を後退させて該3筋のワイヤから引き抜いてリング形状部を形成した後該3筋のワイヤを所定寸法だけ下方に移動させ、その後該串の挿入、該平歯車の回転、該串の引き抜き、該ワイヤの下方移動を繰り返すことにより、該リング形状部と該集結部を交互に繰り返し形成することを特徴とする上記第3の構成の充填体構成要素を備える気液接触機構の製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上記第1の構成によれば、気液接触機構を構成する各充填体構成要素は、2筋のワイヤからなり、該2筋のワイヤはそれぞれリング形状部と集結部が交互に繰り返す構造を有するので、これを伝って流下する液体はリンク形状部ではリング内の円形空間を覆う薄い液膜となり、液の表面積が最大となって、下方から上昇する気体と最も効果的な接触が行われることになる。次いでこの液膜を形成する液体はワイヤのリング形状部から直下の集結部に流下し、ここで液を集合した後さらにその直下のリング形状部に流下して再びリング内部空間を覆う液膜となり、以下この動作および形状変化を交互に繰り返す。こうして次ぎ次ぎと連続して液膜が更新され最大の気液接触効果が達成される。
【0018】
また、筋状のワイヤは途中の分岐がないので圧力損失は少ない。また、性能が高いことにより、性能に対する圧力損失は極めて低いことになる。
【0019】
上記第3の構成によれば、第1の構成と同様の効果がある上に、リングを形成する外側の2筋のワイヤの中間に直線状の第3のワイヤが配置されているので、この第3のワイヤがリングを補強し、円形の液膜の破損を防止する機能を発揮し、一層効率の良い気液接触を行うことができる。
【0020】
上記第5の構成によれば、簡単な装置と方法により、上記第1の構成の充填体構成要素を大量生産することができる。
【0021】
上記第6の構成によれば、簡単な装置と方法により、上記第2の構成の充填体構成要素を大量生産することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1および図2は本発明にかかる気液接触機構の1実施形態を示すもので、図1はこの気液接触機構が使用される装置全体を示す模式的縦断面図、図2は気液接触機構のワイヤ状充填体構成要素を示す斜視図である。
【0023】
図1において、気体と液体間の物質移動等のために気液接触を行なう規則充填体を収容する充填塔10は上下方向に長い円筒状の塔で、その上部には気液接触の対象物である液体を下方の規則充填体に分配するための上下方向に延長する複数の管状の液分配器2が配置されている。液分配器2には液供給管11を介して液体が供給される。充填塔10の下部には気液接触を完了した液体を収集する複数の管状の液集合器3が配置されている。液集合器3は液体取り出し口8に連通している。
【0024】
塔10の下部側壁には気液接触の対象となる気体の流入口9が開口しており、塔10の頂部には気液接触を完了した気体の流出口12が開口している。
【0025】
塔10内には、上から、液分配器2に連結された複数のワイヤ状アダプター4、各アダプター4と一体的に成形された複数のワイヤ状の充填体構成要素6からなる規則充填体5、各充填体構成要素6と一体的に成形された複数のワイヤ状コレクター7が配置されている。
【0026】
規則充填体5は、多数の垂直方向に延長するワイヤ状充填体構成要素6が相互に所定間隔を維持した状態で、すなわち隣り合う充填体構成要素6どうしが非接触状態で平行に、横断面において行と列を形成するようにして配置されている。各充填体構成要素6は塔10の内壁とも非接触状態を維持するように配置されている。
【0027】
本実施形態において、液分配器2と規則充填体5を連結し液分配器2から液体を規則充填体5に供給する各ワイヤ状アダプター4は充填体構成要素6の中のいずれかと1対1の関係で一体的に形成されている。各アダプター4は、他のアダプターから分岐することなく、また他のアダプターを分岐することなく、管状液分配器2に直接連結されている。したがって、管状液分配器2の下端部の内部には集合体を構成する複数の充填体構成要素6のそれぞれと一体化した複数のアダプター4が集合し束ねられた形で挿入され保持されている。各アダプター4は隣り合うアダプターとの間にある程度の隙間が形成され、液体が各アダプター4の全周からアダプター4を伝って流下するようにゆるやかに束ねられた状態で挿入されている。
【0028】
本実施形態において、管状の液集合器3と規則充填体5を連結し規則充填体5からの液体を液集合器3に供給する各ワイヤ状コレクター7は、アダプター4と同様、充填体構成要素6の中のいずれかと1対1の関係で一体的に形成されている。各コレクター7は、他のコレクターから分岐することなく、また他のコレクターを分岐することなく、管状液集合器3に直接連結されている。したがって、管状液集合器3の上端部の内部には複数の充填体構成要素6のそれぞれと一体化した複数のコレクター7が集合し束ねられた形で挿入され保持されている。
【0029】
ワイヤ状充填体構成要素6、ワイヤ状アダプター4およびワイヤ状コレクター7を形成するワイヤ材料としては、金属線のほかプラスチック繊維、カーボン繊維、セラミック繊維、綿等の植物繊維、羊毛等の動物繊維等あらゆる繊維が使用可能である。また、ワイヤの態様としてはワイヤ、撚糸、モノフイラメント、針金等特に限定はないが、複数本の細い鋼線を撚り合わせて作ったワイヤ等の撚り糸状または撚り線状のワイヤ材料は、液体が毛細管現象により撚り糸を構成する複数の糸または線材の間の空間を伝って流れることにより液体の移動を促進するので好ましい。本実施形態においては、好ましい1例として、直径0.25mmの鋼線を4本撚り合わせて作った鋼線を2本撚り合わせたワイヤを1本の充填体構成要素6、アダプター4、コレクター7として使用することができる。
【0030】
図2は、規則充填体5を形成する各ワイヤ状充填体構成要素6の実施形態として3筋のワイヤからなる充填体構成要素6を示す斜視図である、
各充填体構成要素6は3筋のワイヤがリング形状部と終結部が交互に繰り返す構造を有する。すなわち、図3の拡大図に示すように、各充填体構成要素6の外側の2筋のワイヤ6a、6bはそれぞれ外側に張り出す円弧状に曲げられてリングを形成し、中央の1筋のワイヤ6cは上下方向に直線状に延長する。そしてこれら3筋のワイヤ6a、6b、6cによってリング形状部15が形成されている。
【0031】
リング形状部15の直下には外側ワイヤ6a、6bが中央ワイヤ6cの周りに捩じられて集結部17が形成されている。
【0032】
集結部17の直下においては集結部17で捩じられていた外側ワイヤ6a、6bか開いて円弧状に曲げられ、再びリング形状部15を形成されている。
【0033】
こうして、各充填体構成要素6は上下方向にリング形状部15と集結部17が連続して交互に繰り返し形成される構造となっていうる。
【0034】
規則充填体5においては、鋼線等の長い部材からなる複数のスペーサー19が上下方向に所定の間隔で充填体構成要素6の集結部17を貫通してかつスペーサーどうしが交差するようにして配置されており、これらスペーサー19はその両端部が塔壁または図示しないフレームに固定されている。このように構成されたスペーサー19は、隣り合う充填体構成要素6に所定の間隔を維持させる機能を果たし、隣り合う充填体構成要素6間に液の移動が行われることによる偏流の発生を防止する。
【0035】
図4は規則充填体5を形成する各ワイヤ状充填体構成要素6の他の実施形態として2筋のワイヤからなる充填体構成要素6を示す図3と同様の拡大図である、
各充填体構成要素6は2筋のワイヤがリング形状部と終結部が交互に繰り返す構造を有する。すなわち、図4に示すように、各充填体構成要素6の外側の2筋のワイヤ6a、6bはそれぞれ外側に張り出す円弧状に曲げられてリングを形成する。この実施態様においては、中央の1筋のワイヤ6使用されていない。そしてこれら2筋のワイヤ6a、6bによってリング形状部15が形成されている。
【0036】
リング形状部15の直下には外側ワイヤ6a、6bが捩じられて集結部17が形成されている。
【0037】
集結部17の直下においては集結部17で捩じられていた外側ワイヤ6a、6bか開いて円弧状に曲げられ、再びリング形状部15を形成されている。
【0038】
こうして、各充填体構成要素6は上下方向にリング形状部15と集結部17が連続して交互に繰り返し形成される構造となっていうる。
【0039】
次に上記2筋のワイヤからなる充填体構成要素6を使用する気液接触機構の動作について説明する。
上記実施態様によれば、気液接触機構を構成する各充填体構成要素6は、2筋のワイヤ6a、6bからなり、該2筋のワイヤはそれぞれリング形状部15と集結部17が交互に繰り返す構造を有するので、これを伝って流下する液体はリンク形状部15ではリング内の円形空間を覆う薄い液膜となり、液の表面積が最大となって、下方から上昇する気体と最も効果的な接触が行われることになる。次いでこの液膜を形成する液体はワイヤのリング形状部15から直下の集結部17に流下し、ここで液を集合した後さらにその直下のリング形状部15に流下して再びリング内部空間を覆う液膜となり、以下この動作および形状変化を交互に繰り返す。こうして次ぎ次ぎと連続して液膜が更新され最大の気液接触効果が達成される。
【0040】
また、筋状のワイヤは途中の分岐がないので圧力損失は少ない。また、性能が高いことにより、性能に対する圧力損失は極めて低いことになる。
【0041】
また上記3筋のワイヤからなる充填体構成要素6を使用する実施態様によれば、2筋のワイヤを使用する実施態様と同様の効果がある上に、リングを形成する外側の2筋のワイヤの中間に直線状の第3のワイヤが配置されているので、この第3のワイヤがリングを補強し、円形の液膜の破損を防止する機能を発揮し、一層効率の良い気液接触を行うことができる。
【0042】
なお、本発明は、図1に示すようなアダプター、コレクターを備えず、液分配器から複数の充填体構成要素が直接垂直に垂れ下がる構造の気液接触機構にも適用できるものでである。
【0043】
次に上記3筋のワイヤを使用する充填体構成要素6を製造する方法について図5〜図8を参照して説明する。
図5はこの製造方法に使用する装置を模式的に示す平面図である。図5に示す歯車装置27においては、一対の平行に配置されたラック20、21の間に規則充填体として同時に製造すべき充填体構成要素6の数と同数の平歯車23が配置されている。平歯車23のうちラック20、21に隣接する平歯車はラック20、21の歯と噛合い、これらラック20、21と噛合う平歯車23の間に配置された平歯車23はそれぞれ隣接する平歯車と噛合っている。したがって、ラック20が矢印A方向、ラック21が矢印B方向に移動すると、ラック20、21と直交する方向に見て図名k最上段の平歯車23aは反時計方向に回転し、次の段の平歯車23bは時計方向に回転し、さらに次の段の平歯車23cは反時計方向に回転し、その他の平歯車23も同様に隣接する平歯車23と逆方向に時計方向と反時計方向のいずれかに回転する。
【0044】
各平歯車23には、図6(a)、図7および図8に示すように、各平歯車23の回転軸と平行な中心軸を有する3つの貫通孔24が各平歯車23に形成されており(中央の貫通孔は図8に示すように平歯車の心棒30の中心部を貫通している)、各貫通孔24には各充填体構成要素6を形成すべき3筋のワイヤ6a、6b、6cが上下方向に挿通されている。なお、図6及び図7においては図示の便宜上一部の平歯車23のみに貫通孔24が図示されているが、貫通孔24はすべての平歯車23に形成されている。
【0045】
図6(b)において、リング形成用の複数の串25が固定された串往復装置26が歯車装置27の一方側に矢印C−D方向に往復移動可能に設けられている。なお、串25はすべての平歯車23の貫通孔24に挿通された各3筋のワイヤの間に挿入される数だけ設けられているが、図示を簡略化するため4本の串だけが示されている。また、図6、図7においては歯車装置27のラック20、21は図示を省略している。
【0046】
この歯車装置27を使用して充填体構成要素6を製造するには、まず、各平歯車23の3つの貫通孔24に挿通された3筋のワイヤ6a、6b、6cにおいて上下方向最下段の集結部17を形成すべき部分において各平歯車23を所定回数(少なくとも1回転半)回転させ平歯車23の下側において3筋のワイヤ6a、6b、6cを捩じることにより集結部17を形成する。
【0047】
次に3筋のワイヤを所定寸法だけ下方に移動させ、該3筋のワイヤにおいてリング形状部15を形成すべき部分において、図7に示すように、串往復装置26を図6中矢印C方向に前進させることにより図8に示すように各平歯車23の下側にリング形成用の串25を3筋のワイヤ6a、6b、6cの間に位置するように挿入した後平歯車23を所定回数回転させ平歯車23の下側でかつ串25の上側において3筋のワイヤを捩じることにより集結部17を形成する。
【0048】
次に串往復装置26を矢印D方向に後退させて3筋のワイヤから引き抜いてリング形状部15を形成した後3筋のワイヤを所定寸法だけ下方に移動させ、その後串25の挿入、平歯車23の回転、串25の引き抜き、ワイヤの下方移動を繰り返すことにより、リング形状部15と集結部17を必要な数だけ交互に繰り返し形成することにより、多数の充填体構成要素6を同時に製造することができる。
【0049】
上記製造方法により、集結部17は3筋のワイヤを捩じることによって形成されるが、充填体構成要素は上記方法によるだけではなく、他の方法によって製造してもよい。そして集結部もワイヤを捩じる方法以外に溶接、クランプ等他の方法によってワイヤを集合、固定するようにしてもよい。
【0050】
次に上記2筋のワイヤを使用する充填体構成要素6を製造する方法について図9〜図10を参照して説明する。
図9、図10はこの製造方法に使用する装置を模式的に示す平面図である。図9、10において図5〜図8と同一構成要素は同一符号で示し、その説明を省略する。
【0051】
この方法においては、リングを形成するために串往復装置26を移動して1本の串25を2筋のワイヤの間に挿入し、引き抜く操作において3筋のワイヤを使用する充填体構成要素の製造方法と異なるのみで他の操作は3筋のワイヤの製造方法と同一である。
【実施例】
【0052】
以下本発明の実施例について説明する。
気液接触機構が設置される塔内の気液接触処理量は塔内速度(Fフアクター、n/秒))に比例する。たとえば、塔の断面積が2m2の場合、Fフアクターが2m/秒であると処理量は4m3/秒となり、Fフアクターが5m/秒であると処理量は10m3/秒となる。そして気液接触機構の性能は単位高さあたりの理論段数(NTS/m)で表現される。
【0053】
本発明の1実施例として、直径0.4mmの鋼線6本をより合わせてなるワイヤを3筋使用して1本の充填体構成要素として図2に示す態様の規則充填体を作成し、各リング形状部15のリングの内径を3mmとし、2つのリング形状部の間のピッチを16.5mmとした。比較例として同一のワイヤからなる充填体構成要素でリングを形成しないものにより規則充填体を作成した。実施例と比較例の性能は下表1のとおりであった。
【0054】
【表1】
【0055】
以上の結果から、リングを備える充填体構成要素の方がリンクを備えない充填体構成要素に比べて気液接触装置における性能が有意に優れていることが判る。
【0056】
また、実験の結果、複数のリングを備えた同一高さの充填体構成要素同士ではリングの数の多いほうが少ないものにくらべて性能がよいことも判明した。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の気液接触機構が使用される装置全体を示す模式的縦断面図である。
【図2】本発明の1実施態様を示す斜視図である。
【図3】3筋のワイヤからなる充填体構成要素を示す図である。
【図4】2筋のワイヤからなる充填体構成要素を示す図である。
【図5】充填体構成要素製造装置の1例を示す平面図である。
【図6】この製造装置を使用して充填体構成要素を製造する方法を示す平面図である。
【図7】この製造装置を使用して充填体構成要素を製造する方法を示す平面図である。
【図8】この製造装置を使用して充填体構成要素を製造する方法を示す側面図である。
【図9】充填体構成要素を製造する方法の他の実施態様を示す平面図である。
【図10】充填体構成要素を製造する方法の他の実施態様示す平面図である。
【図11】従来の気液接触機構の1例を示す部分断面図である。
【図12】従来の気液接触機構の他の例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 気液接触機構
2 管状液分配器
3 液集合器
4 アダプター
5 規則充填体
6 充填体構成要素
7 コレクター
6a、6b、6c ワイヤ
15 リング形状部
17 集結部
23 平歯車
25 串
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の上部に配置された液分配器と装置の下部に配置された液集合器との間において多数の流路を区画する内部構造を有し、気体と液体間の物質移動、熱交換または混合を行なう装置において、
該内部構造を構成する規則充填体であって、複数の充填体構成要素からなり、各充填体構成要素は、装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長する規則充填体を備え、
前記各充填体構成要素は、2筋のワイヤからなり、該2筋のワイヤはそれぞれリング形状部と集結部が交互に繰り返す構造を有することを特徴とする物質移動等を行なう装置内の気液接触機構。
【請求項2】
該液分配器と該規則充填体を連結し、該液分配器から液体を該規則充填体に供給する複数のアダプターと、該液集合器と該規則充填体を連結し、該規則充填体からの液体を該液集合器に供給する複数のコレクターとをさらに備える請求項1記載の気液接触機構。
【請求項3】
装置の上部に配置された液分配器と装置の下部に配置された液集合器との間において多数の流路を区画する内部構造を有し、気体と液体間の物質移動、熱交換または混合を行なう装置において、
該内部構造を構成する規則充填体であって、複数の充填体構成要素からなり、各充填体構成要素は、装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長する規則充填体を備え、
前記各充填体構成要素は、3筋のワイヤからなり、該3筋のワイヤはそれぞれリング形状部と集結部が交互に繰り返す構造を有することを特徴とする物質移動等を行なう装置内の気液接触機構。
【請求項4】
該液分配器と該規則充填体を連結し、該液分配器から液体を該規則充填体に供給する複数のアダプターと、該液集合器と該規則充填体を連結し、該規則充填体からの液体を該液集合器に供給する複数のコレクターとをさらに備える請求項3記載の気液接触機構。
【請求項5】
複数の平歯車の各平歯車の回転軸と平行な中心軸を有する2つの貫通孔を各平歯車に形成し、該2つの貫通孔に該2筋のワイヤを挿通させ、該2筋のワイヤにおいて該集結部を形成すべき部分において該平歯車を所定回数回転させ該平歯車の下側において該2筋のワイヤを捩じることにより該集結部を形成し、次に該2筋のワイヤを所定寸法だけ下方に移動させ、該2筋のワイヤにおいてリング形状部を形成すべき部分において、該平歯車の下側にリング形成用の串を該2筋のワイヤの間に位置するように挿入した後該平歯車を所定回数回転させ該平歯車の下側でかつ該串の上側において該2筋のワイヤを捩じることにより集結部を形成し、次に該串を後退させて該2筋のワイヤから引き抜いてリング形状部を形成した後該2筋のワイヤを所定寸法だけ下方に移動させ、その後該串の挿入、該平歯車の回転、該串の引き抜き、該ワイヤの下方移動を繰り返すことにより、該リング形状部と該集結部を交互に繰り返し形成することを特徴とする請求項1記載の充填体構成要素を備える気液接触機構の製造方法。
【請求項6】
複数の平歯車の各平歯車の回転軸と平行な中心軸を有する3つの貫通孔を各平歯車に形成し、該3つの貫通孔に該3筋のワイヤを挿通させ、該3筋のワイヤにおいて該集結部を形成すべき部分において該平歯車を所定回数回転させ該平歯車の下側において該3筋のワイヤを捩じることにより該集結部を形成し、次に該3筋のワイヤを所定寸法だけ下方に移動させ、該3筋のワイヤにおいてリング形状部を形成すべき部分において、該平歯車の下側にリング形成用の串を該3筋のワイヤの間に位置するように挿入した後該平歯車を所定回数回転させ該平歯車の下側でかつ該串の上側において該3筋のワイヤを捩じることにより集結部を形成し、次に該串を後退させて該3筋のワイヤから引き抜いてリング形状部を形成した後該3筋のワイヤを所定寸法だけ下方に移動させ、その後該串の挿入、該平歯車の回転、該串の引き抜き、該ワイヤの下方移動を繰り返すことにより、該リング形状部と該集結部を交互に繰り返し形成することを特徴とする請求項3記載の充填体構成要素を備える気液接触機構の製造方法。
【請求項1】
装置の上部に配置された液分配器と装置の下部に配置された液集合器との間において多数の流路を区画する内部構造を有し、気体と液体間の物質移動、熱交換または混合を行なう装置において、
該内部構造を構成する規則充填体であって、複数の充填体構成要素からなり、各充填体構成要素は、装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長する規則充填体を備え、
前記各充填体構成要素は、2筋のワイヤからなり、該2筋のワイヤはそれぞれリング形状部と集結部が交互に繰り返す構造を有することを特徴とする物質移動等を行なう装置内の気液接触機構。
【請求項2】
該液分配器と該規則充填体を連結し、該液分配器から液体を該規則充填体に供給する複数のアダプターと、該液集合器と該規則充填体を連結し、該規則充填体からの液体を該液集合器に供給する複数のコレクターとをさらに備える請求項1記載の気液接触機構。
【請求項3】
装置の上部に配置された液分配器と装置の下部に配置された液集合器との間において多数の流路を区画する内部構造を有し、気体と液体間の物質移動、熱交換または混合を行なう装置において、
該内部構造を構成する規則充填体であって、複数の充填体構成要素からなり、各充填体構成要素は、装置の内壁および隣り合う充填体構成要素と非接触状態で互いに平行に垂直方向に延長する規則充填体を備え、
前記各充填体構成要素は、3筋のワイヤからなり、該3筋のワイヤはそれぞれリング形状部と集結部が交互に繰り返す構造を有することを特徴とする物質移動等を行なう装置内の気液接触機構。
【請求項4】
該液分配器と該規則充填体を連結し、該液分配器から液体を該規則充填体に供給する複数のアダプターと、該液集合器と該規則充填体を連結し、該規則充填体からの液体を該液集合器に供給する複数のコレクターとをさらに備える請求項3記載の気液接触機構。
【請求項5】
複数の平歯車の各平歯車の回転軸と平行な中心軸を有する2つの貫通孔を各平歯車に形成し、該2つの貫通孔に該2筋のワイヤを挿通させ、該2筋のワイヤにおいて該集結部を形成すべき部分において該平歯車を所定回数回転させ該平歯車の下側において該2筋のワイヤを捩じることにより該集結部を形成し、次に該2筋のワイヤを所定寸法だけ下方に移動させ、該2筋のワイヤにおいてリング形状部を形成すべき部分において、該平歯車の下側にリング形成用の串を該2筋のワイヤの間に位置するように挿入した後該平歯車を所定回数回転させ該平歯車の下側でかつ該串の上側において該2筋のワイヤを捩じることにより集結部を形成し、次に該串を後退させて該2筋のワイヤから引き抜いてリング形状部を形成した後該2筋のワイヤを所定寸法だけ下方に移動させ、その後該串の挿入、該平歯車の回転、該串の引き抜き、該ワイヤの下方移動を繰り返すことにより、該リング形状部と該集結部を交互に繰り返し形成することを特徴とする請求項1記載の充填体構成要素を備える気液接触機構の製造方法。
【請求項6】
複数の平歯車の各平歯車の回転軸と平行な中心軸を有する3つの貫通孔を各平歯車に形成し、該3つの貫通孔に該3筋のワイヤを挿通させ、該3筋のワイヤにおいて該集結部を形成すべき部分において該平歯車を所定回数回転させ該平歯車の下側において該3筋のワイヤを捩じることにより該集結部を形成し、次に該3筋のワイヤを所定寸法だけ下方に移動させ、該3筋のワイヤにおいてリング形状部を形成すべき部分において、該平歯車の下側にリング形成用の串を該3筋のワイヤの間に位置するように挿入した後該平歯車を所定回数回転させ該平歯車の下側でかつ該串の上側において該3筋のワイヤを捩じることにより集結部を形成し、次に該串を後退させて該3筋のワイヤから引き抜いてリング形状部を形成した後該3筋のワイヤを所定寸法だけ下方に移動させ、その後該串の挿入、該平歯車の回転、該串の引き抜き、該ワイヤの下方移動を繰り返すことにより、該リング形状部と該集結部を交互に繰り返し形成することを特徴とする請求項3記載の充填体構成要素を備える気液接触機構の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−168251(P2008−168251A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−5443(P2007−5443)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(395014552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(395014552)
【Fターム(参考)】
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