説明

連続的に移動する鋼ストリップの亜鉛めっきのために使用される亜鉛めっきタンクにボトムローラを設置するための装置

本発明は、連続的に移動する鋼ストリップ(B)の亜鉛めっきのために使用される亜鉛めっきラインの液体亜鉛浴に少なくとも1つのローラを装着するための装置に関し、第1のアーム対(1132)が取り付けられたビーム(117)を有しており、第1のアーム対(1132)はボトムローラ(113)を支持している。前記ボトムローラは、第1のアーム対を支持する第1の円筒状支持部(1171)と協働して行われる移動によって、ボトムローラの自然浸漬位置に対して、ボトムローラの作動位置へ、液体亜鉛浴(112)において浸漬され、前記第1の円筒状支持部(1171)は、ビーム(117)の両端部に取り付けられている。本発明は、a)ビーム(117)の両端部に取り付けられ、かつ1つのビーム端部セクション(117)における第1の円筒状支持部(1171)とは別個の第2の円筒状支持部(1172)が設けられ、b)作動位置において、第1及び第2の円筒状支持部(1171,1172)が1つの所定の平面に維持されかつ第1の円筒状支持部(1171)が第2の円筒状支持部(1172)の下方に配置されるように、第1及び第2の円筒状支持部(1171,1172)の内の少なくとも1つと相互作用する押付け装置(11614)が設けられることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の、連続的に移動する鋼ストリップのための亜鉛めっきラインの液体亜鉛浴に少なくとも1つのボトムローラを設置するための装置に関する。
【0002】
以下の図面及びその説明によって、発明の技術分野における関連する従来技術をより理解することができる:
図1:連続的に移動する鋼ストリップのための溶融亜鉛めっきラインの典型的な構成を示す図である
図2:亜鉛浴ゾーンの典型的な構成を示す図である
図3:ボトムローラ及びパスラインローラ支持の典型的な構成を示す図である。
【0003】
ビル、自動車、家庭電化製品産業のような分野において腐食に対する鋼の耐性を高めるため、亜鉛又は亜鉛合金の被膜が鋼ストリップの表面に塗装される。この被膜は、連続的に移動する鋼ストリップのための溶融亜鉛めっきラインの典型的な構成を示す図1に示した連続的な亜鉛めっきラインにおいて行われ、この亜鉛めっきラインは、以下のものを含んでいる:
−1つ又は2つのストリップアンコイラ1を備えた入口セクションと、ギロチンシヤー2と、アンコイラ1の1つから出てくるストリップの後端を、別のアンコイラ1から出てくる後続のストリップの前端に結合してラインの連続運転を保証するための突合せ溶接機3と、突合せ溶接を行うためにアキュムレータの上流における繰出しが停止された時に、予め蓄積されたストリップをラインに戻すアキュムレータ4
−冷間圧延されたストリップのための脱脂セクション5又は高温圧延されたストリップのための酸洗いセクション
−加熱セクション7と、メンテナンスセクション8と、冷却セクション9と、ストリップが亜鉛浴に進入する前のストリップのための温度制御された保持セクション10とを有する焼きなまし炉6
−連続的に移動する鋼ストリップが浸漬される亜鉛浴を有する亜鉛めっきセクション11と、ストリップに配置された液体亜鉛12を排出するための装置と、場合によっては、誘導合金炉13と、冷却器14と、ストリップ浸漬タンク15
−"スキンパス"として知られる形式のミル16と、パッシベーションセクション17と、出口アキュムレータ18と、シヤー19と、予め亜鉛めっきされたストリップのための1つ又は2つのリコイラ20とを備える出口セクション。
【0004】
図2は、液体亜鉛合金浴112を連続的に通過する鋼ストリップBのための典型的な亜鉛コーティング装置を示している。温度制御された保持セクション(セクション10、図1)のスリーブ101から送出されるストリップBは、コーティングタンク111内に収容された液体亜鉛浴112内へ斜めに下降する。次いで、ストリップBは、タンクに浸漬されたボトムローラ113によって鉛直方向に変向され、次いで、ボトムローラ上を通過することによって生ぜしめられるストリップのあらゆる横方向湾曲を修正するためのアンチカッピング(反り防止)ローラ114と接触し、次いで、コーティング浴から出るストリップBの最終的な鉛直方向軌道を調節するためのパスラインローラ115を通過する。ストリップが液体亜鉛コーティング浴から出る時に、ストリップBは、液体亜鉛のための排出装置12(図1も参照)の間で横方向及び長手方向で平坦化された多かれ少なかれ一定の厚さの液体亜鉛の層で両面が被覆されている。
【0005】
液体亜鉛浴においてストリップを変向しかつ支持するためのエレメントのこの配列は、浴に浸漬された前記エレメントを支持及び保持することができる構造体群を含み、エレメントは、浴におけるストリップの連続的な移動を保証することが要求される。通常、このエレメント群は、液体亜鉛るつぼを収容する溝のそれぞれの側において地面に固定された支持体と、ボトムローラ及びパスラインローラを支持する構造体と、アンチカッピングローラを支持する構造体と、前記構造体を地面に固定された支持体に固定するためのエレメントとを有している。
【0006】
浸漬されたローラのための作動条件は極めて困難である。なぜならば、これらのローラ及びこれらの各ローラの端部を支持する軸受が不可避な劣化を受けるからであり、これは、ローラ及び軸受が、コーティングされるストリップに要求される品質に応じて、約1〜3週間という短い期間ごとにメンテナンスされなければならないことを意味する。このメンテナンスは、最小限の時間の損失で亜鉛めっきラインを再始動させるために、損傷を受けた機器を交換機器と交換することを含む。従って、ローラ支持体は、液体亜鉛るつぼのそれぞれの側に配置された軸受構造体から解離され、メンテナンス作業場へ移動させられ、メンテナンス作業場においてローラは取り外され、亜鉛残留物を除去され、必要であればバレルが再加工され、支持軸受が交換される。次いで、ローラと、ローラの再調整された軸受とは、構造体に再び配置され、ローラ及び軸受の位置は、メンテナンス構造体における支持体の固定エレメントに合わせて調節される。こうして、機器は、ラインに再び組み込まれるように準備される。特に、浸漬及び固定の前に、ローラと、ローラを保持する金属支持体との不可避な膨張を補償するために、亜鉛めっきラインへのこの再投入の前に、支持体及びローラを、浴における作動温度付近まで予熱する。次いで、ローラを支持した支持体は、しばしばリフティングビームと組み合わされたオーバーヘッドクレーン等の支持手段によって持ち上げられ、液体亜鉛浴に浸漬される。
【0007】
最初にボトムローラに、次いで浸漬された構造体全体に加えられる静圧スラストの効果により、全体の重力中心の位置が、浸漬の間、常に変化し、特にこのような案内を行うオペレータにとって過酷な高温環境において、ローラをマーカ又は固定支持体へ案内することを困難にする。さらに、ボトムローラ及びパスラインローラを支持する構造体の曲がった形状と、地面支持体におけるローラ軸受支持体の固定エレメントの位置に対する、摩耗に関して変化する前記ローラの位置とを考慮すると、自然に浸漬された位置は可変であり、支持構造体固定プレートと地面支持体との完全な接触を保証することを不可能にする。次いで、これらのプレートの接触面の不可避な傾斜は、正しい接触が保証するまで固定エレメントを締め付けることによって補償されなければならない。正しい接触により、組み合わされたねじ−ナットシステムの場合に前記固定エレメントの最終的な締付けを行うことができ、また、ボトムローラ及びパスラインローラを支持する構造体の作動位置における配置を保証することができる。このような作業は、遊びにおける質量を考慮して、しばしばオペレータにとって長くかつ困難であり、必然的に、るつぼ/液体亜鉛浴の過酷なゾーンにおいて過ごす時間を長くする。
【0008】
本発明の主たる目的は、連続的に移動する鋼ストリップのための液体亜鉛めっき浴におけるローラの設置(浸漬、取出し)のための装置を提供することであり、前記設置は、その環境における人間の介入を必要としない。
【0009】
この装置は、さらに、ローラの設置(ブロッキング/ロッキングまで)の後の位置決め及び固定エレメントの使用を単純化及び高速化する。なぜならば、前記エレメントを遠隔制御することもできるからである。
【0010】
最後に、この装置を、新規の設備として、又は既存の設備における通常の装置の代わりとして、実現することが可能である。
【0011】
従って、連続的に移動する鋼ストリップのための亜鉛めっきラインの液体亜鉛の浴に少なくとも1つのローラを設置するように設計された装置は、請求項1に記載のように提案される。
【0012】
前記装置の実施形態及び有利な態様は、従属請求項によっても示されている。
【0013】
本発明の課題及び利点は、以下の図面によって提供される実施例を通じてさらに理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】連続的に移動する鋼ストリップのための溶融亜鉛めっきラインの典型的な構成を示す図である。
【図2】亜鉛浴ゾーンの典型的な構成を示す図である。
【図3a】ボトムローラ及びパスラインローラのための支持の典型的な装置を示しており、鋼ストリップの連続的な移動に関して正面を示す図である。
【図3b】ボトムローラ及びパスラインローラのための支持の典型的な装置を示しており、鋼ストリップの移動に関して側面を示す図である。
【図4a】本発明による、ボトムローラ及びパスラインローラを装着するように設計された装置の第1の実施形態を示す図である。
【図4b】本発明による、ボトムローラ及びパスラインローラを装着するように設計された装置の第1の実施形態を示す図である。
【図5a】本発明によるボトムローラ及びパスラインローラのための支持の第2の実施形態を示す図である。
【図5b】本発明によるボトムローラ及びパスラインローラのための支持の第2の実施形態を示す図である。
【図6a】第2の実施形態の変化態様である。
【図6b】第2の実施形態の変化態様である。
【0015】
図3a(及び装置を立体的に理解するための図3b)は、連続的に移動する鋼ストリップ(図示せず)のための溶融亜鉛めっきの液体亜鉛浴112に少なくとも1つのローラ(ボトムローラ)を設置するために設計された、ボトムローラとパスラインローラとを支持するための典型的な装置を示している。この装置は、一対の第1アーム1132が取り付けられたビーム117を有しており、一対の第1アーム1132はボトムローラ113を支持しており、ボトムローラ113の回転軸は各アーム1132のそれぞれの下端部1131に結合されている。ローラは、一対の第1アームの移動手段によって、静圧スラストの効果を受けたボトムローラの自然に浸漬された位置P2に対して、ボトムローラの作動位置P1に向かって、液体亜鉛浴112において浸漬される。
【0016】
図3a及び図3bに示した設備は、さらに、コーティングタンク111を収容した溝のそれぞれの側の上方に配置された2つの支持体116を有しており、コーティングタンク111自体は亜鉛浴112を収容している。これらの支持体116には、固定ブラケット118によって延長されたビーム117がボルト119によって液体浴112の上方に取り付けられている。ボトムローラ113は2つの軸受1131によって支持されており、これらの軸受は2つのアーム1132に結合されており、アーム1132は、キー又はスライドシステム1133及び固定ボルト1134を用いて調節可能にビーム117に取り付けられている。同様に、パスラインローラ114は2つの軸受1141によって支持されており、これらの軸受は2つのアーム1142に結合されており、アーム1142は、キー又はスライドシステム1143及び固定ボルト1144を用いて調節可能に2つのアーム1132に取り付けられている。従って、ボトムローラとパスラインローラとの作動位置P1及び自然浸漬位置P2への移動(この場合はローラアームの揺動によって行われる)は、例えば2つのローラを亜鉛浴に浸漬するために又は亜鉛浴から取り出すために同期して生じる。
【0017】
図4a及び図4bは、本発明による、ボトムローラ及びパスラインローラを設置するために設計された装置の第1の実施形態を示している。
【0018】
より具体的には、本発明によるこの第1の装置は、連続的に移動する鋼ストリップBの亜鉛めっきラインの液体亜鉛浴に少なくとも1つのローラを設置するために設計されている。この装置は、一対の第1アーム1132が取り付けられたビーム117を有しており、一対の第1アーム1132はボトムローラ113を支持しており、ボトムローラは、前記一対の第1のアームを支持する第1の円筒状支持部1171と協働して行われる移動によって、ボトムローラの自然浸漬位置(P2、図4aにおいてボトムローラは亜鉛浴において"浮揚した"ままであると考えることができる)に対して、ボトムローラの作動位置(P1、図4bにおいてボトムローラは亜鉛浴に完全に浸漬された位置へ沈降されており、この位置は、ストリップの亜鉛めっきのために予め規定されておりかつ適応されている)へ、(第1のアーム対の移動手段によって)液体亜鉛浴112において浸漬されるように設計されており、第1の円筒状支持部1171は、ビーム117の両端部に固定されている。本発明による前記装置は:
a)ビーム117の両端部に取り付けられ、かつ同じビーム端部セクション117における第1の円筒状支持部1171と別の第2の円筒状支持部1172
b)作動位置において、第1及び第2の円筒状支持部1171,1172が1つの所定の平面(この場合は鉛直方向)上に維持されかつ第1の円筒状支持部1171が第2の円筒状支持部1172の下方に配置されるように、第1及び第2の円筒状支持部1171,1172の内の少なくとも1つと相互作用する押付け装置11614
を特徴とする。
【0019】
従って、円筒状支持部1171,1172は、ビーム117の側部セクションに固定されかつこの側部セクションから突出した、支持アクスル/バー若しくはローラに相当し、ビーム117自体は一対の第1アーム1132を支持している。パスラインローラ114を支持する一対の第2アーム1142も、ボトムローラ113とパスラインローラ114との同期した移動を保証するために、ビーム117又は第1のアーム1132に固定されていてよい。
【0020】
このために、押付け装置は、耐荷重半周軸受1161の凹部に着座された第1の円筒状支持部1171に対して第2の円筒状支軸受1172を揺動させるように設計された第1の押付けエレメント11614を有している。第1の円筒状支持部1171は、浸漬された位置及び持ち上げられた位置として知られる2つの位置の間において、自己の軸線を中心にして自由に回動することができる。この第1の押付けエレメントは、理想的には、第2の円筒状支持部1172の円筒度に適応された曲率を有する接触面を有しており、これにより、第1の押付けエレメントは、特に浸漬の間、この接触面上で摺動しやすくなっている。
【0021】
作動位置へ向けてのより大きな位置安定性を達するために、押付け装置は第2の押付けエレメント11613をも有していてよく、この第2の押付けエレメントは、第1の押付けエレメント11614と反応する(同期した)移動によって第1の押付けエレメントと協働して、第2の円筒状支持部1172をボトムローラの作動位置において掴む。このように、2つの円筒状支持部1171,1172はロックされ、特にストリップが移動していてボトムローラが回転している時に、ボトムローラの正確かつ安定した作動位置を保証する。押付けエレメント11613,11614による押付けに次ぐ締付けは、例えば液圧式シリンダ(図示せず)によって行われる。押付け装置の押付けエレメント11613,11614は、例えば、締付けによって又はロッキングレバーのシステムを用いて、亜鉛めっき作業の間に必要とされる作動位置にロック可能である。従って、ローラを浸漬するために又はローラを亜鉛めっき位置に保つために、人間の介入は必要ない。
【0022】
図5a及び図5bは、本発明による、ボトムローラ及びパスラインローラを設置するために設計された装置の第2の実施形態を示している。
【0023】
特に、本発明によるこの第2の装置は、連続的に移動する鋼ストリップ(図示せず)の亜鉛めっきラインの液体亜鉛浴に少なくとも1つのローラを設置するために設計されている。この第2の装置は、一対の第1アーム1132が取り付けられたビーム117を有しており、一対の第1アーム1132はボトムローラ113を支持しており、ボトムローラは、一対の第1アームを支持する第1の円筒状支持部1171と協働して行われる移動によって、持ち上げられた位置(P2、図5aにおいてボトムローラは亜鉛浴において"浮揚"したままであると考えることができる)若しくは自然浸漬位置に対して、ボトムローラの作動位置(P1、図5bにおいてボトムローラは亜鉛浴に完全に浸漬された位置に沈降されており、この位置は、ストリップの亜鉛めっきのために予め規定されておりかつ適応されている)へ、(一対の第1アームの移動手段によって)液体亜鉛浴112において浸漬されるように設計されており、前記第1の円筒状支持部1171は、ビーム117の両端部に固定されている。本発明による前記装置は:
a)ビーム117の両端部に取り付けられ、かつ1つのビーム端部セクション117における第1の円筒状支持部1171とは別個の第2の円筒状支持部1172
b)作動位置において、第1及び第2の円筒状支持部1171,1172が1つの所定の平面(この場合は鉛直方向)上に維持されかつ第1の円筒状支持部1171が第2の円筒状支持部1172の下方に配置されるように、第1及び第2の円筒状支持部1171,1172の内の少なくとも1つと相互作用する押付け装置11614
を特徴とする。
【0024】
この装置の場合、単に重力の作用によってローラの浸漬された位置、すなわち自然浸漬位置から作動位置へ達するために、押付け装置11614は、第1及び第2の円筒状支持部が2つの滑り案内支柱1162に沿って互いに上下になって下方へ自由に摺動する時に、第1及び第2の円筒状支持部1171,1172が回動するのを阻止し、鉛直方向に対する一対の第1アーム1132の角度Aを維持するように配置されている。実際には、滑り案内支柱は、ボトムローラが亜鉛浴に所望の高さにかつ支柱からの横方向距離(アームの回動角度A)に配置されるように、2つの円筒状支持体1171,1172又はローラに横方向の力を加える。言い換えれば、2つの円筒状支持体1171,1172は、スライダであり、ボトムローラ113がアーム1132の保持角度Aで最終浸漬位置に到達するように、これらのスライダを、2つの支柱1162の間における横方向の機械的な押付け若しくは押圧によって特に下降させることができる。従って、ボトムローラ113の位置決めを保証するために、円筒状支持体が提供する案内は有利には極めて正確であり、ボトムローラの位置決めも亜鉛浴112において極めて正確である。これらの滑り案内部は、案内軌道11621,11622によってスライダ1171,1172を案内し、案内軌道の上部は、斜面11623,11624によって延長されて拡開部を形成しており、これにより、スライダ1171,1172の容易な係合を保証する。パスラインローラ114を保持する一対の第2アーム1142も、ボトムローラとパスラインローラとの同期した正確な移動を保証するために、ビーム117又は第1アーム1132に固定されていてよい。
【0025】
従って、滑り案内支柱1162はそれぞれ、人間の介入なしに、この場合は水平方向の、一対の第1アームのアームを結合するビーム117の端部のそれぞれを、機械的に案内するように設計された少なくとも1つの鉛直方向案内軌道11621を有している。
【0026】
ビームセクション117におけるスライダ1171,1172の位置は、一対の第1のアーム1132に対して角度Aで傾斜させられている。これにより、スライダを、作動位置において、鉛直に近い所定の平面上に配置することができ、これにより、正確な調節によって、アーム及びボトムローラを、角度Aだけ亜鉛浴112において傾斜させることができる。
【0027】
このために、図6a及び図6bは、(図5a及び図5bに関して)本発明による装置の第2の実施形態の変化態様を示している。図6aは、図5a及び図5bに示したような装置の側面図を示している。図6bは、図6aの斜視図を示している。
【0028】
この変化態様の場合、滑り案内支柱1162(最初はローラの沈降を案内する)自体は、水平方向の軸を中心にして回動することができ、この軸は、前記支柱の下方のクレビス1163によって支持されており、かつ支柱に対して横方向に配置されかつクレビスに支持された引き締めねじ又はシリンダ1164によって作動される。この機械的に制御可能な回動は、構造体の位置を亜鉛めっき位置へより正確に、すなわちボトムローラ及びパスラインローラの作業位置へ調節することを可能にする。
【0029】
作業位置からボトムローラのこの自然に浸漬された位置(図5a)に達するために、押付け装置をロック解除することができ、これにより、ビームを滑り案内支柱1162から外して保持する。
【0030】
以下の有利な技術的な態様は、本発明による、装置の全ての実施形態及びそれらの変化態様に適用可能である。
【0031】
ボトムローラの作業位置から持ち上げられた位置若しくは少なくとも自然に浸漬された位置へ達するために、ロック装置が解除され、ボトムローラは、オーバーヘッドクレーン等の支持手段を用いて支持構造体から取り外されることができる。実際には、ボトムローラ及びパスラインローラを支持する構造体は、亜鉛めっき段階の間にボトムローラ及びパスラインローラの安定した位置決めを保証することができる作業位置においてボトムローラをロック/ロック解除する手段を有する。これらは、亜鉛めっき浴における所望の作業位置に達するために、2つの円筒状支持部を所定の平面(鉛直方向又はほぼ鉛直方向)にロックすることを可能にする。ローラを持ち上げられた位置に装着している時、ローラがメンテナンス作業場へ移動させられることができるようにこれらのロッキング手段が単にロック解除されるだけである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に移動する鋼ストリップ(B)の亜鉛めっきのために使用される亜鉛めっきラインの液体亜鉛浴に少なくとも1つのローラを設置するための装置であって、一対の第1アーム(1132)が取り付けられたビーム(117)を有しており、一対の第1アーム(1132)はボトムローラ(113)を支持しており、該ボトムローラは、前記一対の第1アームを支持する第1の円筒状支持部(1171)と協働して行われる移動によって、ボトムローラの自然浸漬位置に対して、ボトムローラの作動位置へ、液体亜鉛浴(112)において浸漬されるようになっており、前記第1の円筒状支持部(1171)は、ビーム(117)の両端部に取り付けられている形式のものにおいて、
a)ビーム(117)の両端部に取り付けられ、かつ各ビーム端部セクション(117)において第1の円筒状支持部(1171)とは別個の第2の円筒状支持部(1172)が設けられており、
b)作動位置において、第1及び第2の円筒状支持部(1171,1172)が1つの所定の平面上に維持されかつ第1の円筒状支持部(1171)が第2の円筒状支持部(1172)の下方に配置されるように、第1及び第2の円筒状支持部(1171,1172)の内の少なくとも1つと相互作用する押付け装置(11614)が設けられていることを特徴とする、連続的に移動する鋼ストリップ(B)の亜鉛めっきのために使用される亜鉛めっきラインの液体亜鉛浴に少なくとも1つのローラを装着するための装置。
【請求項2】
前記押付け装置が、耐荷重半周軸受(1161)の凹部に着座された第1の円筒状支持部(1171)に対して第2の円筒状支軸受(1172)を揺動させるように設計された第1の押付けエレメント(11614)を有しており、第1の円筒状支持部(1171)は、自己の軸線を中心にして自由に回動することができるようになっている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記押付け装置が、ボトムローラの作動位置において第2の円筒状支持部(1172)を掴むために第1の押付けエレメント(11614)の移動に反応して協働する第2の押付けエレメント(11613)を有している、請求項2記載の装置。
【請求項4】
作動位置へ達するために、押付け装置が、2つの滑り案内支柱(1162)を有しており、該滑り案内支柱は、第1及び第2の円筒状支持部(1171,1172)が互いに上下になって2つの滑り案内支柱(1162)に沿って下方へ自由に摺動する時に、前記第1及び第2の円筒状支持部(1171,1172)が回動しないように配置されており、これにより、鉛直方向に対する一対の第1アーム(1132)の角度Aを維持するようになっている、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記滑り案内支柱がそれぞれ、水平方向のビーム(117)の各端部を案内するように設計されておりかつ一対の第1アームのアームを結合する少なくとも1つの鉛直方向の案内軌道(11621)を有している、請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記滑り案内支柱(1162)が、引き締めねじ又はシリンダ(1164)の作用により、クレビス(1163)によって支持された水平方向の軸を中心にして回動することができる、請求項4又は5記載の装置。
【請求項7】
ボトムローラの作動位置から自然浸漬位置へ達するために、押付け装置をロック解除することができ、これにより、ビームを滑り案内支柱(1162)から外して保持する、請求項4から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
押付け装置が、亜鉛めっき段階に適した作動位置においてボトムローラをブロック/ロックする手段を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【公表番号】特表2011−528754(P2011−528754A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519202(P2011−519202)
【出願日】平成20年7月21日(2008.7.21)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001075
【国際公開番号】WO2010/010236
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(503087245)シーメンス ヴェ メタルス テクノロジーズ エスアーエス (19)
【氏名又は名称原語表記】Siemens VAI Metals Technologies SAS
【住所又は居所原語表記】51 rue Sibert, F−42400 Saint−Chamond, France
【Fターム(参考)】