説明

連続的に走行する鋼ストリップの表面を亜鉛めっきのための放射管炉によって制御して酸化−還元させるための方法及び装置

本発明は、予熱セクションと保持セクションとを有しており且つ直接火炎ゾーンを備えない放射管が具備された、鋼ストリップのための連続的な亜鉛めっき焼きなまし炉において、合金鋼成分の選択的な酸化を回避することを目的とするストリップの酸化を行う方法において、炉の予熱セクションの少なくとも1つの箇所及び/又は炉の保持セクションの少なくとも1つの箇所に、酸化媒体を噴射することができる少なくとも1つの変更された管を取り付けるステップと、変更された管を介して酸化媒体を噴射するステップとを有しており、前記酸化媒体が、該酸化媒体と鋼ストリップとの温度条件において及びストリップの化学的組成に従って、鋼ストリップ合金鋼の深い酸化を保証する露点を有するような組成を有することを特徴とする、ストリップの酸化を行う方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケイ素、マンガン及びアルミニウムの含有量が高い鋼ストリップ、特にAHSSの連続的な亜鉛めっき、及び、特に、直接火炎加熱領域を備えない放射管炉を含む設備に関する。
【0002】
自動車製造において使用される加工材料の進化は、シャーシ及びボディの鋼部材の耐腐食性を向上させるために、自動車製造業者によって使用される前の鋼ストリップの亜鉛めっきに引き続き達している。次いで、衝突(クラッシュ)による車両崩壊に対する耐性を向上させながら構造を軽量化するために、高い伸び能力を有する極めて高い降伏点を備えた新たな鋼グレードが提供されている。AHSS(最先端高強度鋼)と呼ばれるこのような加工材料は、特定の化学的組成及び操作方法を伴い、このことは、"DP"すなわち二相鋼、"TRIP"すなわち変態誘起塑性鋼等の鋼の幾つかの系統を目立たせている。これらの鋼は、特に、国際鉄鋼協会(IISI)の自動車委員会によって作成された「最先端高強度鋼(AHSS)適用ガイドライン」に記載されている。
【0003】
これらの鋼は、自動車設計において新たな世界を切り開いたが、鉄鋼製造業者に多くの問題を生じさせている。実際、マンガン、ケイ素、アルミニウム、クロム等のそれらの鋼の合金成分の幾つかは、亜鉛めっき浴に浸す前の焼きなまし作業の間に鋼ストリップの表面に酸化物の薄い層を形成する。この選択的な酸化は、亜鉛の"ぬれ性"、ひいては被膜の品質を損なう。これらの現象は、高度に酸化可能な合金成分の、ストリップ表面への拡散プロセスによるものであり、ストリップ表面において、これらの合金成分は、炉放射管領域においてさえも酸化することができ、この領域において、雰囲気が酸化鉄のためにまだ還元している。
【0004】
これらの酸化プロセスの動力学を理解し、亜鉛めっき中に生じる問題に対する解決をもたらすために、多くの研究がなされてきた。CECA(ESCC)からの概要レポート"Meeting report ECSC steel workshop Galvanizing of steel strip, Luxembourg, Feburuary 27-28, 2002"は、ヨーロッパ共同体の保護を受けて行われた研究からほとんどが生じる参照文献のリストを提供している。
【0005】
高水準の亜鉛めっきを保証するための前記解決手段の中には、連続的な亜鉛めっき施設における使用の前の、鋼ストリップの表面予備処理(化学処理、電着、又は鉄、ニッケル銅の極めて薄い層を用いた気相中での被覆)、焼きなましした後でかつ亜鉛バスへ行く前の酸化物の機械的又は化学的除去作業がある。
【0006】
焼きなまし炉においてストリップ表面を、合金成分を迅速かつ深く酸化させひいては表面に向かう合金成分の後の移動を回避するために適した温度及び雰囲気条件に曝す別の方法が特に研究されてきた。この作業の間に酸化物層が形成し、この酸化物層は、還元雰囲気の下で焼きなまし炉の後続のゾーンにおいて後で除去される。制御された酸化及び還元のこのような技術は多くの研究及び実験の対象となった。"Galvatech 2004"会議の範囲において提供された"Enhancing the wettability of High Strength Steels during Hot-Dip galvanizing"は、酸化物のこの層の制御された形成と、その後の還元とを支配する物理原理を説明している。特開平02−285057号公報は、僅かな酸化雰囲気中での400℃〜700℃の酸化相と、その後の還元雰囲気における600℃〜800℃の還元相とを説明しており、これは、温度及びガス組成の範囲を与える(O2、N2及びH2含有率)。欧州特許第1285972号明細書は同じ原理を示している。しかしながら、これらの2つの特許は極めて一般的なままであり、反応を制御するための実用的な方法を明らかに示していない。
【0007】
欧州特許第1457580号明細書は、特定の包囲体において酸化相を実現することを許容する設備を記載しており、この場合、ストリップは、酸化雰囲気において、100℃〜400℃で、誘導又はガスの燃焼によって加熱される。
【0008】
米国特許第3936543号明細書は、焼きなまし炉を操作する方法を説明しており、AHSS鋼の特定の被覆を目的とするのではなく、鋼ストリップの酸化と、その後の炭素を用いた表面還元により、亜鉛めっき中のクリーニングフラックスの使用を回避することを許容する。亜鉛めっきバスに先行する焼きなまし炉は、直接火炎加熱ゾーン(DFF)及び温度保持放射管ゾーン(RTF)を含む慣用の炉である。表面酸化は、燃焼したガスが制御された過剰な酸素を提供するように、化学量論を超えた条件における燃焼の調節によってDFFゾーンにおいて得られる。還元は、少なくとも5%の水素を含み、残りが窒素であるRTFゾーンにおいて得られる。この特許によって与えられる原理は、AHSS鋼の制御された酸化/還元に適用されることができる。これは、付加的な酸化設備を必要とせず、混合されたDFF/RTF亜鉛めっき炉を大きな変更なく使用するという利点を有する。
【0009】
しかしながら、亜鉛めっき炉は、酸化を容易に行うための全ての要求されるDFFゾーンを有するわけではなく、多くは、放射管を使用するだけである。今は、これらの炉は、その制御された雰囲気にもかかわらず、合金成分の選択的な酸化を防止しない。国際公開第2005/017214号パンフレットは、問題を解決するために2つの可能性を推奨している。第1の可能性は、RTF焼きなまし炉から分離された直接火炎燃焼室を使用することであり、この直接火炎燃焼室から、燃焼ガスが、炉内に噴射するために収集される。第2の可能性は、炉の包囲体の区分において直接火炎バーナを提供することである。両方の場合において、燃焼ガスは、もちろんストリップの温度と、ガスの内の1つとに依存する組成条件における所要の酸化雰囲気を供給する。次いで、還元は、窒素及び水素混合物を通過することによって慣用的に得られる。これらの2つの可能性は、既存の設備の変更を要求する(付加的な燃焼包囲体及び炉への排出ダクト、炉の内部でのバーナの組付け)。さらに、これらは、焼きなまし炉における酸化ゾーンの位置を固定し、これにより、酸化ゾーンの温度を固定し、これは、高い使用融通性を許容しない。
【0010】
本発明の操作主体のための方法及び装置はこれらの2つの問題に対して解決手段をもたらす。
【0011】
概して、本発明は、既存の管の代わりに提供されることができる、特に変更された1つ又は複数の管を介して、特に窒素/水素雰囲気を有する放射管炉のセクションに酸化媒体を噴射することである。酸化のために選択された温度範囲に従って、この噴射は、炉のあらゆるセクションにおいて、好適には予熱セクションにおいて行われることができる。
【0012】
媒体は、ストリップの温度と、ストリップの化学的組成とに基づいて、ケイ素、マグネシウム、アルミニウム、クロム等の合金成分が深く酸化され、もはや表面に向かって移動することができないような露点を有さねばならない。概して、この露点は−20℃よりも高い。
【0013】
この目的を達するために、噴射される媒体は、水蒸気又は空気、又は高酸素混合物であることができる。媒体は、バーナにおける、化学量論を超える空気か、酸素濃度が高い空気か、又は酸素/燃料の燃焼により生じる生成物であることもできる。
【0014】
すなわち、本発明は、特に、予熱セクションと保持セクションとを有しかつ放射管のみが装備された鋼ストリップのための連続的な亜鉛めっき焼きなまし炉において、鋼合金成分の選択的な酸化を防止することを目的とするストリップの酸化を保証する方法に関し、この方法は、以下のステップ、すなわち、
−少なくとも炉の予熱セクションの1つの箇所において及び/又は少なくとも炉の保持セクションの1つの箇所において、酸化媒体を噴射することができる少なくとも1つの変更された管を提供し、
−変更された管を介して酸化媒体を噴射し、
−酸化媒体が、酸化媒体と鋼ストリップとの温度条件において、及びストリップの化学組成に従って、鋼ストリップ合金成分の深い酸化を保証する露点を有するような組成を有することを特徴とする。この選択的な酸化の制御は、好適には、変更された管の構成ゾーンにおける露点の測定を伴う。この測定は露点変換器によって行われることができ、露点変換器は、固定して取り付けられていて、酸化媒体のためのノズルによって噴射された酸化媒体の流量の制御の手段、及び/又はバーナの調整の手段を備えた閉ループにおいて作動する。
【0015】
本発明は、放射管のみを具備した、鋼ストリップのための連続的な亜鉛めっき焼きなまし炉の、予熱セクション及び/又は保持セクションにおいて、酸化セクションに酸化媒体を噴射することによって、合金鋼成分の選択的な酸化を防止することを目的とする少なくとも酸化ゾーンの管理を保証する装置において、酸化ゾーンへの酸化媒体を供給する調節された穴が設けられた少なくとも1つの脚部を含む少なくとも1つの管が設けられていることを特徴とする装置に関する。
【0016】
酸化媒体のための噴射手段は、水蒸気、空気又は高濃度酸素ガス等の高温酸化媒体を管に供給するノズルであるか、空気/燃料の化学量論を超える混合物か、酸素が富化された空気/燃料の化学量論を超える混合物か、又は非爆発性の限度内で酸化された空気/燃料の化学量論的混合物の燃焼から生じた生成物を管に供給するバーナであることができる。
【0017】
ストリップを酸化させるために必要とされる酸化媒体を供給するための変更された管は、例えば、U字形の管であり、その入口脚部の端部には、水蒸気、予熱された又は予熱されていない空気、酸素富化された又は酸素富化されていない空気、又は酸素のための噴射装置が設けられており、入口脚部とは反対側の脚部は端部において封止されており、少なくとも一方の脚部、好適には入口脚部とは反対側の脚部には、前記媒体を通過させるための、調節された穴が開けられている。U字形の管は、例えば、P字形、二重P字形、W字形、又は指形等のあらゆる形状の慣用の管に置き換えられることができる。
【0018】
発明の別の特性によれば、酸化媒体を供給するための放射管は、端部にバーナが設けられた入口脚部を有するP字形の管であり、少なくとも一方の脚部、好適には入口脚部とは反対側の脚部には、炉の包囲体内へ燃焼ガスを供給する、調節された穴が開けられている。バーナ備えた、入口脚部とは反対側の脚部によって、燃焼ガスの一部は調節されたオリフィスを通って炉の外部へ逃げることができ、燃焼空気を燃焼ガスで予熱するための熱交換装置が設けられている。P字形の管は、例えば、U字形、W字形、二重P字形、又は指形等のあらゆる形状の慣用の管と置き換えられることができる。バーナには、空気/燃料の化学量論を超える混合物か、酸素濃度が高い空気/燃料の化学量論的混合物か、又は非爆発性の限界内で酸化された空気/燃料の化学量論的混合物が供給される。
【0019】
どのようなタイプのものであってもよいが、バーナ又はノズルを具備する管は、既存の管と直接に交換可能である。管は、酸化のために選択される温度にしたがって、オンデマンドで提供されるか、炉の様々な箇所に永久に提供されることができる。その場合、管は、ストリップを酸化させたい温度の選択にしたがって、つまり炉における管の位置にしたがって作動させられる。
【0020】
炉の別の利点は、酸化媒体噴射装置を、必要とされる位置に正確に配置する、つまり、鋼ストリップの2つの面の極めて近くに配置することと、ストリップとの接触による乱流局所化効果から利益を得ることができることであり、このことは、媒体とストリップとの反応を助ける。
【0021】
以下の説明では、添付の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】放射管炉を具備する亜鉛めっきラインを示す図である。
【図2】鋼ストリップが炉に進入してから亜鉛バスから出るまでの移動と、鋼ストリップの温度変化とを示す図である。
【図3】バーナを備えた本発明による放射管を示す図である。
【図4】バーナを備えた本発明による放射管を示す図である。
【図5】バーナを備えた本発明による放射管を示す図である。
【図6】バーナを備えた本発明による放射管を示す図である。
【図7】ノズルを備えた本発明による放射管を示す図である。
【図8】ノズルを備えた本発明による放射管を示す図である。
【0023】
亜鉛又は亜鉛ベースの合金によって鋼ストリップを被覆することは、図1に示されたような連続する亜鉛めっきラインにおいて行われる。この亜鉛めっきラインは通常以下のものを有している。入口区分は、1つ又は2つの、ストリップ巻出し装置1と、スケヤシヤー2と、溶接機3と、ストリップルーパーカーシステム4とを有している。溶接機3は、巻出し装置のうちの1つから出てくるストリップの後縁を、別の巻出し装置から出てくるストリップの先端に結合し、これにより、ラインの連続運転を保証する。ストリップルーパーカーシステム4は、ルーパーカーシステムの上流の巻出しが、溶接を行うために停止させられた場合に、前もって蓄積された下流のストリップを戻す。さらに、冷間圧延されたストリップの脱脂又は高温圧延されたストリップの酸洗いのセクション5が設けられている。さらに、焼きなまし炉6は、ストリップが溶融亜鉛バスに行く前に、ストリップの、加熱、焼きなまし温度での保持、冷却、必要な場合には時効、及び制御された温度におけるセッティングを保証する。亜鉛めっきセクション自体は、ストリップが浸漬される亜鉛バス7と、過剰な液体亜鉛除去装置8と、場合によっては、ガルバニール炉9と、冷却装置10と、焼きもどしタブ11とを備えている。出口区分は、スキンパスセット12と、不動態化セクション13と、アウトプットルーパーカーシステム14と、シヤー15と、順番に働く1つ又は2つの巻取り装置16とを備える。
【0024】
図2は、放射管を備えた亜鉛めっき焼きなまし炉の様々なセクションのレイアウトを示しており、ストリップBが炉内を移動する間のストリップBの温度変化(曲線T)が重ねて示されている。ストリップBは、予熱セクション61を通って炉6に入った後、温度保持セクション62と、低速冷却手段631及び高速冷却手段632を備えた冷却セクション63と、時効セクション64と、亜鉛バス7に浸漬するために要求される温度に設定するセクション65とを通過する。
【0025】
自体公知のように、特に、炉6の、予熱セクション61と保持セクション62とにおける加熱は、放射管によって提供される。
【0026】
図3に示された発明の第1の実施形態によれば、P字形の放射管2が、亜鉛めっき焼きなまし炉の包囲体1、例えば予熱セクション又は保持セクションに取り付けられている。放射管2は、ブラケット5と、固定具4とによって組み付けられている。燃料と燃焼空気が供給されるバーナ3が、放射管2の入口脚部2aの端部に配置されており、管の内部に高温の燃焼済みガスを供給する。この燃焼済みガスは、主に、入口脚部2aとは反対側の管の脚部2bに開けられた、調節された穴6を通じて、包囲体1の内部へ拡散させられる。この脚部2bの端部は、燃焼済みガスが部分的に放射管内を再循環するように封止されている。
【0027】
変化態様として、図4に示されているように、バーナ3とは反対側の、P字形の管2の脚部2bには、調節された又は調節可能な装置7が具備されており、この装置7は、燃焼済みガスの一部を炉の外部へ逃がす。
【0028】
図5に示された別の変化態様において、バーナ3とは反対側の、P字形の管の脚部2bには、燃焼済みガスを用いる燃焼用空気のための再加熱装置8,9が具備されている。
【0029】
最後に、放射管は、図6に示されているように、二重P字形であることができる。この場合、図6に示されているように、バーナ3は、管2の中央の入口脚部2aの開放端部に配置されている。穴6は、好適には、中央の脚部2aのそれぞれの側に配置された、向き合った脚部2bのそれぞれの端部に開けられている。
【0030】
図7に示された発明の第2の実施形態によれば、U字形の管2は、亜鉛めっき焼きなまし炉の包囲体に取り付けられている。管2は、ブラケット5と、固定具4とによって組み付けられている。水蒸気、空気、又は酸素濃度の高い混合物等の、圧力が加えられた酸化ガスが供給されるノズル10は、管2の内部に、酸化ガスと、炉の包囲体内に存在する高温のHNx混合物との混合物を提供する。この混合物は、入口脚部2aとは反対側の脚部2bに開けられた、調節された穴6を通じて、包囲体1の内部へ拡散させられる。ノズルを有する、入口脚部2aとは反対側の脚部2bの端部は、プラグ11によって封止されている。
【0031】
図8に示された変化態様として、放射管2は、図6に示されたものと同様に二重P字形であることができ、バーナが、ノズル10と置き換えられている。
【0032】
ノズルは、冶金設備において利用可能な8〜10バールの圧力の水蒸気以外にはいかなる他のエネルギも必要としない静的な装置である。
【0033】
他方では、炉の包囲体内の膨張エネルギは、撹拌及び循環の効果を生じ、この効果は換気装置の使用を排除する。したがって、方法のエネルギコストは極めて制限されている。
【符号の説明】
【0034】
1 ストリップ巻出し装置、 2 スケヤシヤー、 3 溶接機、 4 ストリップルーパーカーシステム、 5 酸洗いセクション、 6 焼きなまし炉、 7 亜鉛バス、 8 液体亜鉛除去装置、 9 ガルバニール炉、 10 冷却装置、 11 焼きもどしタブ、 12 スキンパスセット、 13 不動態化セクション、 14 アウトプットルーパーカーシステム、 15 シヤー、 16 巻取り装置、 61 予熱区分、 62 温度保持セクション、 63 冷却セクション、 631 低速冷却手段、 632 高速冷却手段、 64 エージングセクション、 65 温度設定セクション、 2 放射管、 2a 入口脚部、 2b 脚部、 3 バーナ、 4 固定具、 5 ブラケット、 6 穴、 8,9 再加熱装置、 10 ノズル、 11 プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予熱セクションと保持セクションとを有しており且つ直接火炎ゾーンを備えない放射管が具備された、鋼ストリップのための連続的な亜鉛めっき焼きなまし炉において、合金鋼成分の選択的な酸化を防止することを目的とするストリップの酸化を行う方法において、
炉の予熱セクションの少なくとも1つの箇所及び/又は炉の保持セクションの少なくとも1つの箇所に、酸化媒体を噴射することができる少なくとも1つの変更された管を取り付けるステップと、
変更された管を介して酸化媒体を噴射するステップとを有しており、
前記酸化媒体が、該酸化媒体と鋼ストリップとの温度条件において及びストリップの化学的組成に従って、鋼ストリップ合金成分の深い酸化を保証する露点を有するような組成を有することを特徴とする、ストリップの酸化を行う方法。
【請求項2】
媒体組成が、該媒体と鋼ストリップとの温度条件において及びストリップの化学的組成に従って、媒体の露点が−20℃よりも高くなるようになっていることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
酸化媒体が、ノズルによって噴射される、水蒸気、空気、又は酸素濃度が高いガスであることを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
噴射される媒体が、バーナを用いて、空気/燃料の化学量論を超える混合物か、酸素濃度が高い空気/燃料の化学量論的な混合物か、又は非爆発性限界内で酸化された空気/燃料の化学量論的な混合物の燃焼から生じていることを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】
変更された管が取り付けられた炉のセクションにおいて酸化媒体の露点を測定するステップと、露点測定を用いて閉ループで前記管内の酸化媒体の流量を調節するステップとを有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
直接火炎ゾーンを備えない放射管が具備された、鋼ストリップのための連続的な亜鉛めっき焼きなまし炉の予熱セクション及び/又は保持セクションにおいて、酸化ゾーンに酸化媒体を噴射することによって合金鋼成分の選択的な酸化を防止することを目的とする少なくとも1つの酸化ゾーンの管理を行う装置において、酸化媒体を酸化ゾーンへ進入させる調節された穴が設けられた少なくとも1つの脚部を有しており且つ少なくとも既存の放射管と置き換わる少なくとも1つの管が設けられていることを特徴とする、少なくとも1つの酸化ゾーンの管理を行う装置。
【請求項7】
管が、U字形、W字形、P字形、二重P字形又は指形であり、バーナが設けられた入口脚部を有しており、バーナの燃焼済みガスが酸化媒体であり、バーナが設けられた入口脚部とは反対側の脚部を有することを特徴とする、請求項6記載の装置。
【請求項8】
U字形、W字形、P字形又は二重P字形の管の反対側の脚部の端部が封止されていることを特徴とする、請求項7記載の装置。
【請求項9】
U字形、W字形、P字形又は二重P字形の管の反対側の脚部の端部が、燃焼済みガスの一部を逃がすための調節された穴を有することを特徴とする、請求項8記載の装置。
【請求項10】
U字形、W字形、P字形又は二重P字形の管の反対側の脚部が、燃焼済みガスによってバーナ供給ガスを予熱するための熱交換装置を有することを特徴とする、請求項8記載の装置。
【請求項11】
管が、酸化媒体を噴射するためのノズルを備えた入口脚部と、端部が封止された、ノズルを有する入口脚部とは反対側の脚部とを有する、U字形、W字形、P字形、二重P字形又は指形の管であることを特徴とする、請求項7記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2010−538163(P2010−538163A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523552(P2010−523552)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000981
【国際公開番号】WO2009/030823
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(503087245)シーメンス ヴェ メタルス テクノロジーズ エスアーエス (19)
【Fターム(参考)】