説明

遅延放出剤形

活性物質(例えば、薬物)を含有する芯物質と、該芯物質の表面上に適用した天然または合成ガム含む遅延放出圧縮コーティングとを含む遅延放出医薬品製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物を結腸へ選択的に送達する経口投与用の剤形に関する。本発明はさらに、かかる製剤を調製する方法、およびかかる製剤を利用する治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物および医薬組成物の結腸への特異的送達は、多種多様な疾患および症状の治療において重要である。結腸疾患としては、クローン病、大腸炎(特に、潰瘍性大腸炎)、過敏性腸症候群などの症状が挙げられる。これらの疾患には、一部共通する臨床的、疫学的および病理学的な所見を有するもののその病因がはっきりしない多様な炎症性腸疾患が含まれる。クローン病および潰瘍性大腸炎はいずれも、GI管の様々な部位、一般的には結腸(すなわち、腸のうち盲腸から直腸までの部分)の慢性炎症を特徴とする。クローン病は主に盲腸に影響を及ぼすようだが、潰瘍性大腸炎は結腸の2つ目の折り返し部分を越えて脾湾曲部に影響を及ぼすようである。
【0003】
薬物を結腸に標的化して大腸疾患を局所的に治療する能力を提供することにより、薬物の全身作用または不便でかつ苦痛を伴う薬物の経腸投与(transcolonic administration)を避けるかまたは減らす。また、結腸で吸収されると報告されているステロイドなどの薬物を結腸へ送達することにより治療効率を高めて必要とされる有効投与量を減らす必要性が高まっている(Godbillon, J.ら、Br. J. Clin. Pharmacol. 19:113S (1985); Antonin, K. H.ら、Br. J. Clin. Pharmacal. 19:137S (1985); Fara, J. W., 3rd International Conference on Drug Absorption, Edinburgh (1988); 概説についてはRubinstein, A., Biopharm. Drug Dispos. 11:465-475 (1990)を参照されたい)。
【0004】
十二指腸、空腸、および回腸を含む小腸の管全体を通過しうる経口制御放出送達系を提供し、それによって活性成分を結腸内に(かかる部位特異的送達が望ましい場合に)直接放出させようとする試みが以前に為されている。しかし、消化管内の所望部位への薬物の標的化は複雑な場合がある。その部位が消化管遠位部にあるため、結腸は特に接近しにくい。経口投与用の結腸送達系を設計する際には、消化管のpHならびに胃および小腸内の酵素の存在などの要素を考慮しなくてはならない。胃管の高い酸性度と胃管内のタンパク質分解酵素および他の酵素の存在により、何かしらの種類の胃耐性保護(gastro-resistance protection)を持たない医薬品製剤を容易に崩壊させる高消化環境が生じる。この崩壊は概して活性物質の遅延放出に悪い影響を与える。
【0005】
PCT公報WO02/072033およびWO02/072034(これらの開示内容は参照により本明細書中に含めるものとする)には、活性物質(例えば、薬物)を含有する芯物質と、該芯物質の表面上に施した天然または合成ガムを含む遅延放出圧縮コーティングとを含んでなる、時間治療用医薬製剤が開示されている。
【0006】
当業者には、薬物がヒトの結腸に送達されるように薬物の放出を遅延させるよう調整可能な経口制御放出送達系を提供することが望ましいと考えられている。
【特許文献1】PCT公報WO02/072033
【特許文献2】PCT公報WO02/072034
【非特許文献1】Godbillon, J.ら、Br. J. Clin. Pharmacol. 19:113S (1985)
【非特許文献2】Antonin, K. H.ら、Br. J. Clin. Pharmacal. 19:137S (1985)
【非特許文献3】Fara, J. W., 3rd International Conference on Drug Absorption, Edinburgh (1988)
【非特許文献4】Rubinstein, A., Biopharm. Drug Dispos. 11:465-475 (1990)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
剤形の経口摂取後ヒトの結腸内に薬物を放出する経口医薬品剤形を提供することが、本発明の目的である。
【0008】
薬物が結腸内に放出されるようにヒトの胃腸管内に薬物の遅延放出をもたらす経口医薬品剤形を提供することが、本発明のある実施形態のさらなる目的である。
【0009】
薬物を含有する芯物質を有する経口医薬品剤形であって、該芯物質が該剤形をヒトに経口投与した後に該剤形からの該薬物の遅延放出をもたらすコーティングで圧縮コーティングされている経口医薬品剤形を提供することが、本発明のある実施形態のさらなる目的である。
【0010】
剤形をヒトに経口投与した場合に薬物の遅延放出をもたらすコーティングで圧縮コーティングされている薬物含有芯物質を有する経口医薬品剤形を提供することが、本発明のある実施形態のさらなる目的である。
【0011】
多種多様な疾患に対して結腸特異的な投与を可能とする剤形を提供することが、本発明のある実施形態のさらなる目的である。
【0012】
典型的には胃腸管下部に徴候が見られることの多い潰瘍性大腸炎、クローン病、または他の疾患などの疾患に対して結腸特異的な投与を可能とする剤形を提供することが、本発明のある実施形態のさらなる目的である。
【0013】
薬物が結腸内で放出され、その後該薬物が持続放出されるように剤形からの薬物の遅延放出をもたらす剤形を提供することが、本発明のある実施形態のさらなる目的である。
【0014】
剤形からの同一のまたは異なる薬物の遅延放出をもたらす圧縮コート芯物質をさらにコーティングする薬物の即時放出層を有する圧縮コート剤形であって、該芯物質が後に該薬物の持続放出をもたらしうる圧縮コート剤形を提供することが、本発明のある実施形態のさらなる目的である。
【0015】
薬物の部位特異的(例えば、結腸への)送達をもたらす経口剤形を提供することが、本発明のある実施形態のさらなる目的である。
【0016】
薬物のプログラム放出をもたらす経口剤形を開発することが、本発明のある実施形態のさらなる目的である。
【0017】
薬物のパルス放出(pulsatile release)をもたらす経口剤形を開発することが、本発明のある実施形態のさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の上記目的に従い、本発明は、部分的に、結腸で吸収されうる治療上有効な量の薬物および任意の製薬上許容しうる賦形剤(例えば、希釈剤)を含む芯物質と、該芯物質の表面上に圧縮コーティングした遅延放出材料(該遅延放出材料は1種以上の天然または合成ガムを含む)とを含む遅延放出経口固形剤形であって、該剤形が米国薬局方器具III型を使用し250 mLの溶液(pH 1.5)を用いる15 dpm(回浸漬/分(dips per minute))でのin vitro溶解試験の開始後少なくとも6時間、または少なくとも約8時間まで該薬物を実質的に放出しない上記遅延放出経口固形剤形を含む経口固形剤形を対象とする。
【0019】
ある実施形態では、本発明はさらに、治療上有効な量の薬物を含む芯物質と該芯物質上に圧縮コーティングした圧縮コーティング材料とを含む遅延放出経口固形剤形であって、該圧縮コーティング材料が1種以上の天然または合成ガムを含み、該圧縮コーティングが、ヒトへの経口投与後の該剤形からの該薬物の初期放出が少なくとも小腸中部への流入後まで生じないように該剤形からの該薬物の放出を遅延させる、上記遅延放出経口固形剤形を対象とする。
【0020】
ある実施形態では、本発明はさらに、治療上有効な量の薬物を含む芯物質と該芯物質上に圧縮コーティングした遅延放出材料とを含む遅延放出経口固形剤形であって、該遅延放出材料が1種以上の天然または合成ガムを含み、該圧縮コーティングが、ヒトへの経口投与後の該剤形の初期放出は小腸中部への流入後まで生じず、かつ完全放出は該剤形が結腸に達するまで生じないように該剤形からの該薬物の放出を遅延させる、上記遅延放出経口固形剤形を対象とする。
【0021】
ある実施形態では、本発明はさらに、治療上有効な量の薬物を含む芯物質と該芯物質上に圧縮コーティングした遅延放出材料とを含む遅延放出経口固形剤形であって、該遅延放出材料が1種以上の天然または合成ガムを含み、該圧縮コーティングが、米国薬局方器具III型により250 mLの溶液(pH 1.5)を用いて15 dpmで測定した場合に、ヒトへの経口投与後の該剤形からの該薬物の初期放出がヒトへの投与後少なくとも小腸中部への流入後まで生じないような、約3時間で0%の薬物が放出され、4時間後に約5%〜約40%(重量)の薬物が放出され、5時間後に約30%〜約90%(重量)の薬物が放出され、かつ6時間後に約60%(重量)以上の薬物が放出される該剤形のin vitro溶解速度を与える、上記遅延放出経口固形剤形を対象とする。
【0022】
ある実施形態では、本発明はさらに、治療上有効な量の薬物を含む芯物質と該芯物質上に圧縮コーティングした遅延放出材料とを含む遅延放出経口固形剤形であって、該遅延放出材料が1種以上の天然または合成ガムを含み、該圧縮コーティングが、ヒトへの経口投与後該剤形が該薬物の少なくとも50%を結腸内に放出するように該剤形からの該薬物の放出を遅延させる、上記遅延放出経口固形剤を対象とする。
【0023】
ある実施形態では、本発明はさらに、治療上有効な量の薬物を含む芯物質、約5〜約20%の崩壊剤、および該芯物質上に圧縮コーティングした遅延放出材料を含む遅延放出経口固形剤形であって、該遅延放出材料が1種以上の天然または合成ガムを含み、該圧縮コーティングが、ヒトへの経口投与後該薬物が少なくとも小腸中部に達するまで該剤形からの該薬物の放出を遅延させる、上記遅延放出経口固形剤形を対象とする。
【0024】
ある好適な実施形態では、前記崩壊剤は、遅延放出期間の終了後1時間以内に結腸内に薬物の少なくとも約50パーセントを放出させるのに有効な量で芯物質に組み入れられたスーパー崩壊剤(superdisintegrant)である。
【0025】
ある好適な実施形態では、圧縮コーティングは、キサンタンガム、ローカストビーンガム、および製薬上許容しうる糖類、例えば、単糖類、二糖類、多価アルコール、またはこれらのいずれかの組み合わせの混合物(例えば、マトリクス)を含む。ある好適な実施形態では、芯物質は、薬物を1種以上の製薬上許容しうる賦形剤と共に含む即時放出芯物質である。
【0026】
ある実施形態では、本発明はさらに、治療上有効な量の薬物を含む芯物質と該芯物質上に圧縮コーティングした凝集(agglomerated)遅延放出材料とを含む遅延放出経口固形剤形であって、該凝集遅延放出材料が例えばホモ多糖類、ヘテロ多糖類、およびホモ多糖類とヘテロ多糖類との混合物から選択されるガムを製薬上許容しうる賦形剤と共に含み、該圧縮コーティングがヒトへの経口投与後該薬物を結腸内に放出させるものである、上記遅延放出経口固形剤形を一部対象とする。
【0027】
本発明はさらに、治療上有効な量の薬物および崩壊剤を含む芯物質と該芯物質上に圧縮コーティングした遅延放出材料とを含む遅延放出経口固形剤形であって、該遅延放出材料が1種以上の天然または合成ガムを含み、該圧縮コーティングが所定期間(例えば、剤形が経口投与後ヒトの結腸に達するまで)該剤形からの該薬物の放出を遅延させるものであり、該崩壊剤が、該薬物が結腸内に流入してから1時間以内に該薬物の少なくとも約50%が結腸内に放出されるような量で該芯物質に含まれる、上記遅延放出経口固形剤形を一部対象とする。
【0028】
本発明はさらに、治療上有効な量の薬物を含む錠剤芯物質と該芯物質上に圧縮コーティングした遅延放出材料とを含む遅延放出経口固形錠剤であって、該遅延放出材料が1種以上の天然または合成ガムを含み、該ガムが重量にして該錠剤の約6.5パーセント〜約83パーセントを占めており、該圧縮コーティングが、ヒトへの経口投与後該薬物の少なくとも50%が結腸内に放出されるように該剤形からの該薬物の放出を遅延させる、上記遅延放出経口固形錠剤を一部対象とする。
【0029】
本発明はさらに、約0.01 mg〜約40 mgの薬物を含む芯物質と該芯物質上に圧縮コーティングした遅延放出材料とを含む低用量の薬物のための遅延放出経口固形剤形であって、該遅延放出材料が1種以上の天然または合成ガムを含み、該圧縮コーティングが該経口固形剤形の約75〜約94重量パーセントを占めており、かつ該芯物質と該圧縮コーティング中のガムとの比率が重量にして約1:0.37〜約1:5であり、該圧縮コーティングが、ヒトへの経口投与後該薬物の少なくとも50%が結腸内に放出されるように該剤形からの該薬物の放出を遅延させる、上記遅延放出経口固形剤形を対象とする。
【0030】
本発明はさらに、約41 mg〜約300 mgの薬物を含む芯物質と該芯物質上に圧縮コーティングした遅延放出材料とを含む比較的高用量の薬物のための遅延放出経口固形剤形であって、該遅延放出材料が1種以上の天然または合成ガムを含み、該芯物質と該圧縮コーティング中のガムとの比率が重量にして約1:0.3〜約1:3であり、該経口固形剤形の総重量が約500 mg〜約1500 mgである、上記遅延放出経口固形剤形を一部対象とする。
【0031】
本発明はさらに、薬物の遅延放出経口固形剤形を調製する方法であって、治療上有効な量の薬物と芯物質の重量にして約5〜約20%の崩壊剤とを含む芯物質を調製すること、1種以上の天然または合成ガムを含む遅延放出材料の造粒物(granulate)を調製すること、該造粒物を該芯物質上に圧縮コーティングすること、ここで該圧縮コーティングは、該薬物がヒトへの経口投与後少なくとも小腸中部に達するまで該剤形からの該薬物の放出を遅延させるものであること、を含む上記方法を一部対象とする。ある好適な実施形態では、該方法は、 1種以上の天然または合成ガムを少なくとも1種の製薬上許容しうる賦形剤と共に湿式造粒することにより遅延放出材料の造粒物を調製すること、および得られた該造粒物を乾燥させることにより該遅延放出材料の凝集粒子を得ることをさらに含む。ある実施形態では、該方法は、圧縮コーティング段階の前にグルココルチコステロイド、崩壊剤、および製薬上許容しうる不活性希釈剤を造粒することをさらに含む。
【0032】
ある好適な実施形態では、前記崩壊剤は、遅延放出期間の終了後1時間以内に結腸内に薬物の少なくとも約50%を放出させるのに有効な量で芯物質に組み入れられたスーパー崩壊剤である。
【0033】
本発明はさらに、本明細書中に開示した製剤を利用する治療方法を対象とする。ある好適な実施形態では、本発明の発明は、本明細書中に開示した製剤を使用してクローン病および/または潰瘍性大腸炎を治療する方法を対象とする。
【0034】
ある実施形態では、前記経口剤形は、薬物がヒトへの経口投与後少なくとも該ヒトの小腸中部内に放出されるようなラグタイム(lag time)(薬物の遅延放出)をもたらす。
【0035】
ある実施形態では、前記剤形からの薬物の初期放出は、剤形の遠位小腸への流入後まで生じない。ある代替実施形態では、前記剤形からの薬物の初期放出は、剤形の回盲部への流入後まで生じない。ある実施形態では、前記剤形からの薬物の初期放出は、剤形の上行結腸への流入後まで生じない。ある実施形態では、前記剤形からの薬物の初期放出は、剤形の肝湾曲部への流入後まで生じない。ある実施形態では、剤形からの薬物の初期放出は、剤形の横行結腸への流入後まで生じない。
【0036】
ある実施形態では、本発明の遅延放出経口固形剤形は、米国薬局方器具III型により250 mLの溶液(pH 1.5)を用いて15 dpmで測定した場合に、3時間後に0%の薬物が放出され、4時間後に約10%〜約40%(重量)の薬物が放出され、5時間後に約60%〜約90%(重量)の薬物が放出され、かつ6時間後に約85%(重量)以上の薬物が放出されるin vitro溶解速度を与える。
【0037】
ある実施形態では、本発明の遅延放出経口固形剤形は、米国薬局方器具III型により250 mLの溶液(pH 1.5)を用いて15 dpmで測定した場合に、6時間では実質的な量の薬物が放出されないin vitro溶解速度を与える。
【0038】
ある実施形態では、本発明の遅延放出経口固形剤形は、米国薬局方器具III型により250 mLの溶液(pH 1.5)を用いて15 dpmで測定した場合に、4時間では実質的な量の薬物が放出されないin vitro溶解速度を与える。
【0039】
ある実施形態では、本発明の遅延放出経口固形剤形は、経口投与後約2〜約10時間で平均Tmaxを与える。好ましくは、該遅延放出経口固形剤形は、経口投与後約2〜約8時間で平均Tmaxを与える。
【0040】
ある実施形態では、前記薬物の少なくとも75パーセントが前記剤形から結腸内に放出される。ある実施形態では、前記薬物の少なくとも90パーセントが前記剤形から結腸内に放出される。
【0041】
ある実施形態では、前記遅延放出経口固形剤形は、ヒトへの経口投与後約4.91±1.44時間で薬物の初期放出をもたらし、またヒトへの投与後約6.05±3.31時間で完全放出をもたらす。
【0042】
ある実施形態では、前記遅延放出経口固形剤形は、ヒトへの経口投与後約3.34±0.89時間で薬物の初期放出をもたらし、また完全放出はヒトへの投与後約3.71±0.94時間で生じる。
【0043】
ある実施形態では、前記遅延放出経口固形剤形は、ヒトへの経口投与後約3.10±0.69時間で薬物の初期放出をもたらし、また完全放出はヒトへの投与後約3.28±0.71時間で生じる。
【0044】
ある実施形態では、前記遅延放出経口固形剤形は局所治療効果をもたらす。
【0045】
ある実施形態では、前記遅延放出経口固形剤形は全身治療効果をもたらす。
【0046】
ある実施形態では、前記遅延放出経口固形剤形は、局所および全身治療効果をもたらす。
【0047】
ある好適な実施形態では、前記経口剤形は、圧縮コーティングによりもたらされるラグタイムの終了後、約1時間以内に芯物質に含有されている薬物の少なくとも約50パーセント、好ましくは約1または2時間以内に芯物質に含有されている薬物の少なくとも約80パーセントを放出する。
【0048】
ある実施形態では、本発明の経口剤形は、経口剤形の哺乳動物への経口投与後、薬物がヒトへの経口投与後少なくとも小腸中部内に放出されるようなラグタイムをもたらす。
【0049】
ある好適な実施形態では、前記経口剤形は、剤形の経口投与後約2〜約6時間のラグタイムをもたらす。
【0050】
ある好適な実施形態では、前記経口剤形は、該剤形の経口投与後約6〜約7時間のラグタイムをもたらし、約8〜約9時間での完全放出がこれに伴う。
【0051】
他のある好適な実施形態では、前記経口剤形は、経口投与後約6〜約7時間のラグタイムをもたらし、約7〜約8時間での薬物の完全放出がこれに続く。
【0052】
さらに別の実施形態では、前記製剤は、経口投与後約9〜約12時間のラグタイムをもたらし、約11〜約13時間での完全放出がこれに伴い、好ましくは剤形の経口投与後約10〜約11時間のラグタイムをもたらし、約11〜約12時間での完全放出がこれに続く。
【0053】
さらに別の実施形態では、前記製剤は、例えば約3〜12時間のラグタイムをもたらし、続いて約24時間以内での、または(二者択一的に)24時間後での薬物の剤形からの完全放出がこれに伴う。
【0054】
「遅延放出」とは、本発明の目的上、例えば、薬物がヒトによる錠剤の摂取後すぐには該ヒトの血流中に放出されずに特定の期間後(例えば、剤形が結腸内にある時)に初めて放出されるように、一定期間後まで薬物の放出が遅延すること、また剤形に含有されている薬物がその製剤から実質的に放出されないことを意味する。本発明の目的上、遅延放出には「時限遅延(timed delay)」もしくはラグタイム後の薬物の放出、またはプログラム放出が含まれる。
【0055】
「薬物が少なくとも小腸中部内に放出される」とは、本発明の目的上、薬物が小腸中部への流入前に放出されることはない(例えば、薬物が胃内または近位小腸内に放出されることはない)が、小腸中部内または小腸中部以降には放出される(例えば、薬物が上行結腸、横行結腸などで放出される場合がある)ことを意味する。
【0056】
「持続放出」とは、本発明の目的上、一旦薬物が製剤から放出され始めると、該薬物が、この医薬の治療上有益な血中レベル(ただし毒性レベル未満)が薬物放出の開始時から長時間にわたって維持されるような制御速度で、例えば、ラグタイム後の薬物放出の開始以降一定時間(例えば、約4〜約24時間)にわたる放出をもたらすような制御速度で放出されることを意味する。
【0057】
「Cmax」という用語は、本発明の目的上、本発明の剤形の単回投与後に達成される医薬の最大血漿中濃度を意味する。
【0058】
「Tmax」という用語は、本発明の目的上、剤形を投与してから医薬のCmaxが達成される時点までの経過時間を意味する。
【0059】
本発明の目的上「平均」という用語は、薬物動態学的な値(例えば、Tmax)を定義するために使用する場合、患者集団全体の算術平均値を表す。「環境流体」という用語は、本発明の目的上、例えば、水溶液(例えば、in vitro溶解槽(dissolution bath))または胃腸液を包含するものとする。
「実質的に放出しない(substantially no release)」という用語は、約5%未満が放出されること、好ましくは約2%未満が放出されること、好ましくは約1%未満が放出されること、好ましくは約0.5%未満が放出されること、または最も好ましくは0%が放出されることを意味する。
【0060】
「初期放出」という用語は、少なくとも約5%が放出されること、好ましくは少なくとも約2%が放出されること、好ましくは少なくとも約1%が放出されること、好ましくは少なくとも約0.5%が放出されること、または最も好ましくは0%より多く放出されることを意味する。
【0061】
「完全放出」という用語は、少なくとも約95%が放出されること、好ましくは少なくとも約98%が放出されること、好ましくは少なくとも約99%が放出されること、好ましくは少なくとも約99.5%が放出されること、または最も好ましくは100%放出されることを意味する。
【0062】
本明細書中で使用する米国薬局方器具III型という用語は、例えば米国薬局方XXV(2002)に記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
本発明を使用することにより、薬学的に活性な物質(pharmaceutically active agent)の遅延放出を達成することができ、またある実施形態において、所定期間にわたって送達されることが望ましい薬学的に活性な物質のための制御放出医薬品製剤を提供することができる。本発明の製剤は薬学的に活性な物質の遅延放出をもたらすので、医薬物質の遅延送達機構を介して治療することが望ましい症状の治療に役立つ可能性がある。例えば、本発明の製剤は、結腸疾患、すなわち、クローン病および潰瘍性大腸炎などの、一般に結腸に影響を与えることの多い徴候を示す症状、疾患、または他の疾病の治療に役立つ。これらの症状を治療するには、薬学的に活性な物質が好ましくは結腸内に送達されるように、または好ましくは治療効果が得られる程度まで薬学的に活性な物質がその剤形から送達される(そして結腸から吸収される)ように、本発明の遅延放出製剤を患者に投与し、その結果として疾患の徴候を軽減するとよい。
【0064】
本発明の製剤は、活性物質を含む芯物質と、該芯物質上の1種以上の天然または合成の製薬上許容しうるガムを含む圧縮コーティングとを含む。ある特に好適な実施形態では、該圧縮コーティングは、ヘテロ多糖類ガム(例えば、キサンタンガム)とホモ多糖類ガム(例えば、ローカストビーンガム)との組み合わせを、製薬上許容しうる糖類(例えば、乳糖、ブドウ糖、マンニトールなど)と共に含む。ある好適な実施形態では、該ガムを任意の糖類と共に湿式造粒することにより、キサンタンガム、ローカストビーンガムおよびブドウ糖などの混合物を含む凝集粒子を形成する。
【0065】
本発明の圧縮コーティングの目標は、活性物質の放出を所定期間(当分野では「ラグタイム」と呼ぶ)遅延させることである。ある実施形態では、活性物質の放出は、剤形の投与後約2〜約18時間遅延するかまたはそれだけのラグタイムを伴う。好ましくは、ラグタイムは、薬物が経口投与後にその剤形から哺乳動物(例えば、ヒト)の結腸内に放出されるような程度とする。
【0066】
活性物質を含む芯物質は、該活性物質の即時放出用または持続放出用に製剤化することができる。活性物質の即時放出用および持続放出用製剤はいずれも当業者に周知である。
【0067】
本発明では、薬物を含む芯物質を即時放出用に製剤化する場合、該芯物質は当業者に公知のいずれの適切な打錠技術によっても調製することができる。例えば、薬学的に活性な物質を賦形剤と混合し、これを通常の錠剤圧縮機を使用して、または通常の湿式造粒法を利用して、錠剤芯物質としてもよい。本発明のある好適な実施形態によれば、芯物質の成分をV-ブレンダーで乾式混合し、回転式錠剤圧縮機で圧縮して錠剤芯物質とする。あるいは、ある実施形態では、芯物質の成分を湿式造粒し、乾燥させた後に圧縮して錠剤芯物質とすることができる。好ましくは、芯物質を、それらが後の加工中(例えば、コーティング加工中)に欠けたりバラバラに壊れたりしない程度の硬度まで圧縮すべきである。ある実施形態では、芯物質を、50 mgの重量で2〜8、好ましくは4〜8、最も好ましくは4〜5 kPの硬度となるまで圧縮することができる。また、錠剤芯物質のサイズは、1/8インチ〜5/8インチ、好ましくは1/8インチ〜1/2インチ、より好ましくは3/16インチ〜1/4インチの範囲とすべきである。
【0068】
芯物質を湿式造粒ステップを行わずに製造し、最終混合物を圧縮して錠剤芯物質とするある実施形態では、該芯物質中の賦形剤の全部または一部が既製の直接圧縮希釈剤を含んでいてもよい。かかる既製の直接圧縮希釈剤の例としては、Emcocel(登録商標)(微結晶性セルロース、米国国民医薬品集(N.F.))およびEmdex(登録商標)(デキストレート、米国国民医薬品集)(いずれもJRS Pharma LP, Patterson, New York から市販されている)、ならびにTab-Fine(登録商標)(ショ糖、果糖およびブドウ糖を含む複数の直接圧縮糖)が挙げられる。他の直接圧縮希釈剤としては、無水乳糖(乳糖、米国国民医薬品集、無水直接打錠物)(Sheffield Chemical, Union, N.J. 07083);Elcems(登録商標) G-250 (粉末セルロース、米国国民医薬品集)(Degussa, D-600 Frankfurt (Main) Germany);Fast-Flo Lactose(登録商標)(乳糖、米国国民医薬品集、噴霧乾燥物)(Foremost Whey Products, Banaboo, WI 53913);Maltrin(登録商標)(凝集マルトデキストリン)(Grain Processing Corp., Muscatine, IA 52761);Neosorb 60(登録商標)(ソルビトール、米国国民医薬品集、直接圧縮物)(Roquet Corp., 645 5th Ave., New York, N.Y. 10022);Nu-Tab(登録商標)(圧縮糖、米国国民医薬品集)(Ingredient Technology, Inc., Pennsauken, N.J. 08110);Polyplasdone XL(登録商標)(クロスポビドン、米国国民医薬品集、架橋ポリビニルピロリドン)(GAF Corp., New York, N.Y. 10020);Primojel(登録商標)(デンプングリコール酸ナトリウム、米国国民医薬品集、カルボキシメチルデンプン)(Generichem Corp., Little Falls, N.J. 07424);Solka Floc(登録商標)(セルロースフロック);Spray-dried lactose(登録商標)(乳糖、米国国民医薬品集、噴霧乾燥物)( Foremost Whey Products, Baraboo, WI 53913およびDMV Corp., Vehgel, Holland);ならびにSta-Rx 1500(登録商標)(Starch 1500)(α化デンプン、米国国民医薬品集、圧縮性)(Colorcon, Inc., West Point, PA 19486)が挙げられる。本発明のある実施形態では、本発明の芯物質に使用する直接圧縮可能な不活性希釈剤は、1996年12月17日に発行された米国特許第5,585,115号(発明の名称は「圧縮性を改良した医薬用賦形剤(PHARMACEUTICAL EXCIPIENT HAVING IMPROVED COMPRESSIBILITY)」であり、その全内容は参照により本明細書中に含まれるものとする)に開示されている増強(augmented)微結晶性セルロースである。この特許文献に記載されている増強微結晶性セルロースは、JRS PharmaからProsolv(登録商標)という商品名で市販されている。
【0069】
あるいは、ある実施形態では、活性物質を含む芯物質を、該活性物質の持続放出用の持続放出芯物質として製剤化することができる。活性物質を含む芯物質を持続放出用に製剤化する場合、該芯物質を当分野で公知の数多くの方法で調製することができる。例えば、活性物質を持続放出マトリクス中に組み入れてからこれを圧縮して芯物質とするか、または持続放出材料を即時放出芯物質上にコーティングすることにより、該活性物質の持続放出をもたらすことができるし、あるいは圧縮した持続放出マトリクスと芯物質上の持続放出コーティングとの組み合わせを使用することもできる。さらに、活性物質を含む球状物質、または持続放出コーティングを有しかつ活性物質を含む多粒子(multiparticulates)を、任意の結合剤および他の賦形剤と共に圧縮して持続放出芯物質としてもよい。
【0070】
本発明の芯物質が持続放出マトリクスを含む場合、該マトリクス製剤は一般に、当分野で周知の標準的手法を用いて調製する。典型的には、それらは、持続放出材料、希釈剤、活性物質、および任意の他の賦形剤を乾式混合し、その後この混合物を適当な造粒物が得られるまで造粒することによって調製する。造粒は当分野で公知の方法により行う。湿式造粒の場合は通常、湿潤顆粒を流動層乾燥機で乾燥させて、篩にかけてから粉砕して適当なサイズとする。滑剤をこの乾燥させた造粒物と混合することにより、最終的な芯物質製剤を得る。
【0071】
本発明者らの米国特許第4,994,276号、同第5,128,143号、同第5,135,757号、同第5,455,046号、同第5,512,297号、同第5,554,387号、同第5,667,801号、同第5,846,563号、同第5,773,025号、同第6,048,548号、同第5,662,933号、同第5,958,456号、同第5,472,711号、同第5,670,168号、および同第6,039,980号(これらは全て、参照により本明細書中に含めるものとする)において、本発明者らは、相乗作用性ヘテロ分散多糖類(例えば、キサンタンガムなどのヘテロ多糖類)といったゲル化剤からなり、好ましくは該ヘテロ多糖類と架橋しうる多糖類ガム(例えば、ローカストビーンガム)を共に含む制御放出賦形剤は、薬物および滑剤粉末の添加後の直接圧縮、通常の湿式造粒法、またはこれら2つを組み合わせて用いることにより経口固形剤形に加工しうることを報告した。これらの系(制御放出賦形剤)は、本発明の譲受人であるPenwest Pharmaceuticals Co., Patterson, N.Y.からTIMERx(登録商標)という商品名で市販されている。
芯物質が活性物質の持続放出をもたらす本発明のある実施形態では、該芯物質は本発明者らの上記特許に開示されているような持続放出マトリクスを含む。例えば、本発明のある実施形態では、芯物質は、活性物質に加えて、ヘテロ多糖類ガムおよび環境流体に曝露された場合に該ヘテロ多糖類ガムを架橋しうるホモ多糖類ガムを含むゲル化剤を含む持続放出賦形剤、ならびに不活性な医薬用希釈剤を含む。好ましくは、ヘテロ多糖類ガムとホモ多糖類ガムとの比率は約1:3〜約3:1であり、また活性物質とゲル化剤との比率は好ましくは約1:3〜約1:8である。得られる芯物質は、好ましくは治療上有効な血中レベルの活性物質を少なくとも約4時間、ある好適な実施形態では約24時間提供する。ある好適な実施形態では、持続放出賦形剤は後述するような有効量の製薬上許容しうるイオン性(ionizable)ゲル強度増強剤をさらに含むため、芯物質が環境流体に曝露された場合には活性物質の持続放出がもたらされる。持続放出賦形剤(イオン性ゲル強度増強剤を含んでいてもいなくてもよい)を、親水性マトリクスを破壊することなくガムの水和を遅くする疎水性材料を組み入れることによってさらに修飾してもよい。さらに、ある実施形態では、持続放出賦形剤を、芯物質に製薬上許容しうる界面活性剤または湿潤剤を含めることにより、活性物質の二相性または多相性放出プロフィールを提供するよう修飾することができる。あるいは、持続放出賦形剤は前述のガムのうち1種のみを含む。さらに別の実施形態では、持続放出賦形剤は別の製薬上許容しうるガムを含む。
【0072】
上記のものに加えて、他の持続放出材料を本発明の製剤の持続放出マトリクス芯物質に使用してもよい。本発明の持続放出マトリクスに含めうる適切な持続放出材料の非限定的リストには、持続放出ポリマーガム、アクリル樹脂、タンパク質由来材料、ワックス、シェラック、ならびに硬化ヒマシ油、硬化植物油などの油といった親水性および/または疎水性材料が含まれる。好適な持続放出ポリマーとしては、エチルセルロースなどのアルキルセルロース、アクリル酸およびメタクリル酸のポリマーおよびコポリマー、ならびにセルロースエーテル、特にヒドロキシアルキルセルロース(特に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)およびカルボキシアルキルセルロースが挙げられる。好適なワックスとしては、例えば、天然および合成ワックス、脂肪酸、脂肪アルコール、ならびにこれらの混合物(例えば、蜜蝋、カルナバワックス、ステアリン酸およびステアリルアルコール)が挙げられる。ある実施形態では、上記持続放出材料のいずれかの混合物を芯物質のマトリクスに使用する。とは言え、活性物質を持続放出させうる製薬上許容しうる疎水性または親水性持続放出材料であればいずれを本発明に従って使用してもよい。
【0073】
あるいは、本発明のある実施形態では、即時放出芯物質(前述)を、該即時放出芯物質からの活性物質の持続放出をもたらすのに十分な量の疎水性コーティングと共に使用することにより、該活性物質の持続放出をもたらすよう芯物質を製剤化してもよい。当業者に公知の方法および技術を利用して、疎水性コーティングを芯物質に施してもよい。適切なコーティング装置の例としては、流動層コーティング機、パンコーティング機などが挙げられる。かかる疎水性コーティングに使用しうる疎水性材料の例としては、例えば、アルキルセルロース(例えば、エチルセルロース)、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとのコポリマー、ワックス、シェラック、ゼイン、硬化植物油、それらの混合物などが挙げられる。
【0074】
また、芯物質を、持続放出マトリクスと持続放出コーティングとの組み合わせを使用することにより活性物質の持続放出用に製剤化してもよい。持続放出芯物質(例えば、持続放出マトリクス、持続放出コーティング、またはそれらの組み合わせ)および即時放出芯物質は、適切な量の追加の賦形剤、例えば、製薬分野で常用される滑剤、結合剤、造粒助剤、希釈剤、着色剤、香味剤および流動促進剤を含有していてもよい。
【0075】
芯物質を製剤化する際に使用しうる製薬上許容しうる希釈剤および賦形剤の具体例は、Handbook of Pharmaceutical Excipients, American Pharmaceutical Association (1986)(参照により本明細書中に含めるものとする)に記載されている。
【0076】
ある実施形態では、本発明の芯物質、特に即時放出芯物質は界面活性剤を含み、これが前記剤形からの活性物質の放出に寄与する。ある実施形態では、界面活性剤は、剤形の水溶液への曝露時に該剤形からの薬物の放出を促進するのに有効な量である。ある好適な実施形態では、界面活性剤を、剤形の水溶液への曝露時に該剤形の芯物質からの薬物の即時放出を促進する量で含める。例えばある実施形態では、剤形が水溶液に曝露された後は、該剤形のコーティングが芯物質の該水溶液への曝露を遅延させることによって該剤形からの薬物の放出を遅延させ、該水溶液が該芯物質に曝露された後は、該芯物質に界面活性剤を含めることで(例えば、該水溶液中への薬物の溶解を促すことにより)該芯物質からの薬物の放出を促す。
【0077】
ある好適な実施形態では、前記剤形の芯物質に界面活性剤を含めることにより、初期放出後4時間未満、好ましくは初期放出後3時間未満、より好ましくは初期放出後2時間未満、最も好ましくは初期放出後1時間未満の、該剤形からの薬物の完全放出を促進する。
【0078】
本発明で使用するための界面活性剤としては、製薬上許容しうるアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性(両親媒性/両染性)界面活性剤、および非イオン界面活性剤が挙げられる。適切な製薬上許容しうるアニオン界面活性剤としては、例えば、一価アルキルカルボキシレート、アシルラクチレート、アルキルエーテルカルボキシレート、N-アシルサルコシネート、多価アルキルカーボネート、N-アシルグルタメート、脂肪酸-ポリペプチド縮合物、硫酸エステル、アルキルスルフェート(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS))、エトキシル化アルキルスルフェート、エステル結合スルホネート(例えば、ドキュセートナトリウムまたはコハク酸ジオクチルナトリウム(DSS))、αオレフィンスルホネート、およびリン酸化エトキシル化アルコールが挙げられる。
【0079】
適切な製薬上許容しうるカチオン界面活性剤としては、例えば、モノアルキル第4級アンモニウム塩、ジアルキル第4級アンモニウム化合物、アミドアミン、およびアミンイミドが挙げられる。
【0080】
適切な製薬上許容しうる両性(両親媒性/両染性)界面活性剤としては、例えば、N-置換アルキルアミド、N-アルキルベタイン、スルホベタイン、およびN-アルキルβ-アミノプロピオネートが挙げられる。
【0081】
本発明と併せて用いるための他の適切な界面活性剤としては、ポリエチレングリコール、そのエステルまたはエーテルが挙げられる。例としては、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポリエトキシル化硬化ヒマシ油、ヒマシ油由来のポリエトキシル化脂肪酸または硬化ヒマシ油由来のポリエトキシル化脂肪酸が挙げられる。使用しうる市販の界面活性剤は、Cremophor、Myrj、Polyoxyl 40 stearate、Emerest 2675、Lipal 395およびPEG 3350という商品名で知られている。
【0082】
ある好適な実施形態では、前述の界面活性剤のある組み合わせを本発明の剤形の芯物質に使用する。ある好適な実施形態では、界面活性剤として2種以上の界面活性剤の組み合わせ(例えば、PEGとラウリル硫酸ナトリウム)が含まれる。治療上活性な薬物を即時放出用に製剤化するある実施形態では、界面活性剤が存在しない場合、抑制されたプロフィールが見られる場合がある。
【0083】
ある実施形態では、芯物質に含まれる1種以上の界面活性剤は、該芯物質の約5〜約50重量パーセント、好ましくは約10〜約30重量パーセントの量である。錠剤全体の重量(例えば、芯物質+圧縮コーティング)に換算すると、芯物質中の1種以上の界面活性剤は、該錠剤(製剤全体)の約1〜約20重量パーセント、好ましくは約2〜約10重量パーセントの量で含まれている。
【0084】
ある好適な実施形態では、経口剤形は、好ましくは芯物質中に組み入れられた1種以上の崩壊剤を含む。かかる物質が芯物質に含まれる場合、(圧縮コーティングによって引き起こされる最初の遅延後の)薬物の放出速度は、即時パルス効果である。ある実施形態では、崩壊剤が存在しない場合、抑制されたプロフィールが得られる場合がある。適切な崩壊剤は当業者に公知であり、例えばデンプングリコール酸ナトリウム(JRS Pharma LPからExplotab(登録商標)として市販されている)が挙げられる。
【0085】
崩壊のメカニズムは、崩壊剤の膨潤、ウィッキング(wicking)、および変形に基づいている。圧縮した錠剤を水溶液中に入れると、水が速やかに吸収され、崩壊剤が膨潤して該錠剤を速やかに崩壊させる。治療活性薬物を即時放出用に製剤化するある実施形態では、崩壊剤が錠剤の芯物質中に存在する場合、活性物質の放出速度は即時パルス効果である。治療活性薬物を即時放出用に製剤化するある実施形態では、崩壊剤が存在しない場合、抑制されたプロフィールが得られる場合がある。
【0086】
本発明で使用するためのかかる崩壊剤の例としては、例えば、デンプン、ビーガム(veegum)、クロスポビドン、セルロース、カオリン、微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH101およびPH102)、架橋ポリビニルピロリドン(例えば、Kollidon CL)、およびそれらの混合物が挙げられる。ある好適な実施形態では、崩壊剤は、例えば、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、架橋カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、およびそれらの混合物といったスーパー崩壊剤である。スーパー崩壊剤は通常の崩壊剤よりも低濃度で組み入れて含水率を高めることができる。本発明に使用するための幾つかのブランド名が付されたスーパー崩壊剤としては、Ac-Di-Sol(登録商標)、Primojel(登録商標)、Explotab(登録商標)、およびCrospovidone(登録商標)が挙げられる。
【0087】
ある実施形態では、本発明の芯物質は、崩壊剤に加えて、またはその代替物として、ウィッキング剤(wicking agent)を含む。崩壊剤として既に記載した材料(例えば、微結晶性セルロース)などのウィッキング剤を必要に応じて含めることにより水の吸収速度を上げてもよい。ウィッキング剤として作用するのに適した他の材料としては、限定するものではないが、コロイド状二酸化ケイ素、カオリン、二酸化チタン、フュームド二酸化ケイ素、アルミナ、ナイアシンアミド、ラウリル硫酸ナトリウム、低分子量ポリビニルピロリドン、m-ピロール(m-pyrol)、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ポリエステル、ポリエチレン、それらの混合物などが挙げられる。
【0088】
ある実施形態では、芯物質中の1種以上の崩壊剤は、該芯物質の約5〜約20重量パーセント、好ましくは約6〜約10重量パーセント、最も好ましくは約8重量パーセントの量で含まれる。錠剤全体の重量(例えば、芯物質+圧縮コーティング)に換算すると、芯物質中の1種以上の崩壊剤は、該錠剤(製剤全体)の約0.1〜約5重量パーセント、好ましくは約0.3〜約2重量パーセントの量で含まれる。
【0089】
本発明によれば、活性薬物を含有する芯物質は、圧縮コーティングに完全に取り囲まれているか、または実質的に取り囲まれている。圧縮コーティングは製薬上活性な物質の放出を所定時間遅延させるものであることが好ましく、その時間はコーティングの処方とコーティング層の厚さによって決まる。活性成分の放出に適当な時間は製剤を調製する前に決定することが可能であり、また適切な厚さと組成を有するコーティングを施すことにより、活性成分放出前の所望の時間遅延と該時間遅延後の該活性成分の所望の放出速度が得られるよう製剤を設計することができる。
【0090】
好ましくは、圧縮コーティングはゲル化剤として機能しうる天然または合成ガムを含み、圧縮コート錠が環境流体(例えば、水または胃腸液)に曝露された際にはその芯物質をゲルで取り囲むことにより、該圧縮コーティングを通した該環境流体の拡散、薬物の該環境流体中への溶解、および溶解した薬物の該圧縮コート錠を取り囲む流体中への放出を経て薬物を放出させる。
【0091】
ある実施形態では、圧縮コーティングに使用するためのガムとして、例えば限定するものではないが、ヘテロ多糖類(例えばキサンタンガム)、ホモ多糖類(例えばローカストビーンガム)、ガラクタン、マンナン、植物ガム(例えばアルギン酸塩)、カラヤガム、ペクチン、寒天、トラガカント、アカシア、カラギーナン、トラガカント、キトサン、寒天、アルギン酸、他の多糖類ガム(例えば、親水コロイド)、およびこれらのいずれかの混合物が挙げられる。本発明の圧縮コーティングに有用でありうる具体的なガムのさらなる例としては、限定するものではないが、アセンヤクノキ(acacia catechu)、サライグッガル(salai guggal)、インディアンボデラム(indian bodellum)、コパイバガム(copaiba gum)、アギ(asafetida)、カンビガム(cambi gum)、グアナカステ(Enterolobium cyclocarpum)、マスティックガム(mastic gum)、ベンゾインガム(benzoin gum)、サンダラック(sandarac)、ガンビアガム(gambier gum)、ハナモツヤクノキ(butea frondosa)(Flame of Forest Gum)、ミルラ、コンニャクマンナン、グアーガム、ウェランガム、ジェランガム、タラガム、ローカストビーンガム、カラギーナンガム、グルコマンナン、ガラクタンガム、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、キトサン、キサンタンガム、脱アセチル化キサンタンガム、ペクチン、ポリペクチン酸ナトリウム、グルテン、カラヤガム、タマリンドガム、ガティガム(ghatti gum)、アカロイド(Accaroid)/マキ(Yacca)/ユーカリノキ(Red)ガム、ダンマルガム(dammar gum)、ジュニパーガム(juniper gum)、エステルガム、イピルイピル種子ガム(ipil-ipil seed gum)、タルハガム(gum talha)(アカシアセヤル(acacia seyal))、および以下の属:アカシア、アクティニディア(actinidia)、アプテニア(aptenia)、カルボブロトス(carbobrotus)、チコリウム(chickorium)、ククミス(cucumis)、グリシン(glycine)、ハイビスカス(hibiscus)、ホルデウム(hordeum)、レツカ(letuca)、リコパーシコン(lycopersicon)、マルス(malus)、メディカゴ(medicago)、メセンブリアンテマム(mesembryanthemum)、オリザ(oryza)、オアニカム(panicum)、ファラリス(phalaris)、アワガエリ(phleum)、ポリアザス(poliathus)、ポリカルボフィル(polycarbophil)、シダ(sida)、ナス(solanum)、トリフォリウム(trifolium)、トリゴネラ(trigonella)の植物のものを含む培養植物細胞ガム、ドゥシエ種子ガム(Afzelia Africana seed gum)、トレクリア・アフリカナガム(Treculia Africana gum)、デタリウムガム(detarium gum)、カシアガム(cassia gum)、カロブガム(carob gum)、メスキットガム(Prosopis africana gum)、サトイモガム(Colocassia esulenta gum)、ヤマモガシガム(Hakea gibbosa gum)、カヤガム(khaya gum)、スクレログルカン(scleroglucan)、ゼア(zea)、これらのいずれかの混合物などが挙げられる。
【0092】
ある特に好適な実施形態では、圧縮コーティングは、キサンタンガムなどのヘテロ多糖類、ローカストビーンガムなどのホモ多糖類、または1種以上のヘテロ多糖類と1種以上のホモ多糖類との混合物を含んでなる。本発明者らの米国特許第4,994,276号、同第5,128,143号、および同第5,135,757号で持続放出錠剤マトリクスとして以前に開示したヘテロ分散賦形剤を本発明の圧縮コーティングに使用してもよい。例えば、本発明のある実施形態では、相乗作用を示すヘテロおよびホモ多糖類の両方からなるゲル化剤、例えば2種以上の多糖類ガムの組み合わせであって、一方のガムのみについて予想されるよりも粘度が高くかつ水和が速く、得られるゲルがより速く形成されかつより剛性となるものを、本発明の圧縮コーティングに使用してもよい。
【0093】
「ヘテロ多糖類」という用語は、本発明で使用する場合は2種類以上の糖単位を含有する水溶性多糖類と定義され、該ヘテロ多糖類は分岐またはらせん構造を持ち、また優れた吸水性(water-wicking properties)と非常に高い増粘性を持つ。
【0094】
特に好適なヘテロ多糖類は、高分子量(>106)ヘテロ多糖類のキサンタンガムである。他の好適なヘテロ多糖類としては、キサンタンガムの誘導体、例えば脱アシル化キサンタンガム、カルボキシメチルエーテル、およびプロピレングリコールエステルが挙げられる。
【0095】
本発明で使用するホモ多糖類材料でヘテロ多糖類と架橋しうるものとしては、ガラクトマンナン、すなわち、マンノースとガラクトースのみからなる多糖類が挙げられる。ガラクトマンナンとヘテロ多糖類との相互作用について考えられるメカニズムは、ヘテロ多糖類のらせん領域とガラクトマンナンの非置換マンノース領域との相互作用を含む。非置換マンノース領域の占める率が高いガラクトマンナンほど、ヘテロ多糖類と相互作用しやすいことが見出されている。従って、マンノースとガラクトースとの比率が高いローカストビーンガムは、グアーおよびヒドロキシプロピルグアーなどの他のガラクトマンナンと比べて特に好ましい。
【0096】
ある好適な実施形態では、ヘテロ多糖類は圧縮コーティングの約1〜約50重量パーセントを占め、ホモ多糖類材料は約50〜約1重量パーセントを占める。ある好適な実施形態では、ヘテロ多糖類とホモ多糖類材料との比率は約1:3〜3:1、好ましくは約2:3〜3:2、または1:1である。
【0097】
ある好適な実施形態では、圧縮コーティングは、約5〜約70重量パーセント以上の親水性材料(例えば、ガム)を含む。本発明のある好適な実施形態では、圧縮コーティング中のガムの割合が高いほど、活性物質の放出の遅延、すなわち「ラグタイム」が長くなる。
【0098】
ある実施形態では、圧縮コーティング中のガムの割合は活性物質の遅延放出に対応しているものの、pHには左右されない。例えば、ある好適な実施形態では、圧縮コーティングが約25%未満のガム、好ましくは約5〜約15%のガムを含む場合、その遅延放出は約25%より多いガム(例えば、30、40、または50%のガム)を含む圧縮コーティングよりもpHに左右されにくい。
【0099】
ある好適な実施形態では、圧縮コーティングは、製薬上許容しうる賦形剤、例えば、単糖類、二糖類または多価アルコール、および/またはこれらのいずれかの混合物などの糖類、あるいは微結晶性セルロースまたはデンプンも含む。適切なかかる賦形剤の例としては、ショ糖、ブドウ糖、乳糖、果糖、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、デンプン、それらの混合物などが挙げられる。ある実施形態では、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニトール、またはそれらの混合物などの可溶性医薬用賦形剤を、圧縮コーティングに使用する材料に含めることが好ましい。ある好適な実施形態では、ガムを、本発明の内部芯物質(inner core)の表面上の圧縮コーティングとして使用する前に、製薬上許容しうる賦形剤と共に湿式造粒する。圧縮コーティングは、例えば、重量にして最大約95%の製薬上許容しうる賦形剤を含んでいてもよい。
【0100】
ある実施形態では、圧縮コーティングに含有されるガムの量は、重量にして錠剤全体の約1パーセント〜約90パーセント、好ましくは約6.5パーセント〜約83パーセントである。
【0101】
ある実施形態では、圧縮(遅延放出)コーティングの成分を、湿式造粒ステップを利用せずに乾式混合することができる。混合物を、湿式造粒ステップを行わずに製造し、その最終混合物を成形済みの錠剤芯物質上に圧縮コーティングする場合には、好ましくは製薬上許容しうる賦形剤の全部または一部に、製薬上許容しうる製品を提供するのに十分な圧縮性を持たせるべきである。本発明に従って調製した特定の賦形剤系の特性および特徴は、一部には、例えばポリマー溶解度、ガラス転移温度などに関するホモおよびヘテロ多糖類構成要素の個々の特徴に依存する場合があり、また一部には、溶解液-賦形剤相互作用を修飾する際に異なるホモおよびヘテロ多糖類間とホモおよびヘテロ多糖類ならびに不活性糖類構成要素間の両方における相乗作用に依存する場合がある。
【0102】
圧縮コーティングがヘテロ多糖類、ホモ多糖類、またはそれら両方を含む本発明のある実施形態では、持続放出マトリクス中にこれらの材料を使用することを対象とした本発明者らの以前の特許に記載されている放出修飾物質を圧縮コーティングに使用することもできる。かかる放出修飾物質ならびに本発明者らの米国特許第5,455,046号、同第5,512,297号、同第5,554,387号、同第5,667,801号、同第5,846,563号、同第5,773,025号、同第6,048,548号、同第5,662,933号、同第5,958,456号、同第5,472,711号、同第5,670,168号、および同第6,039,980号に開示されている既製の賦形剤を本発明の圧縮コーティングに使用してもよい。
【0103】
従って、例えば、放出修飾物質はイオン性ゲル強度増強剤を含んでいてもよい。場合により本発明と併せて用いるイオン性ゲル強度増強剤は、一価または多価の金属カチオンであってもよい。好適な塩は、様々なアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の硫酸塩、塩化物、ホウ酸塩、臭化物、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩などを含む無機塩である。適切なイオン性ゲル強度増強剤の具体例としては、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、塩化リチウム、リン酸三カリウム、ホウ酸ナトリウム、臭化カリウム、フッ化カリウム、重炭酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸カルシウム、硫酸マグネシウムおよびフッ化ナトリウムが挙げられる。多価金属カチオンを使用してもよい。しかし、好適なイオン性ゲル強度増強剤は二価である。特に好適な塩は、硫酸カルシウムおよび塩化ナトリウムである。本発明のイオン性ゲル強度増強剤は、ゲル化剤(例えば、ヘテロ多糖類およびホモ多糖類のガム)の架橋によって所望の増大したゲル強度を得るのに有効な量で加える。ある別の実施形態では、イオン性ゲル強度増強剤を本発明の遅延放出賦形剤中に、該遅延放出賦形剤の約1〜約20重量%の量で、また最終的な剤形の0.5重量%〜約16重量%の量で含める。ある実施形態では、イオン性ゲル強度増強剤を含めることにより、活性物質の放出が遅延するだけでなく、該活性物質の持続放出がもたらされる。
【0104】
本発明のある実施形態では、芯物質上にコーティングする(遅延放出)圧縮コーティングは、約1〜約90重量パーセントの(ヘテロ多糖類ガムおよびホモ多糖類ガムを含む)ゲル化剤、約0〜約20重量パーセントのイオン性ゲル強度増強剤、ならびに約10〜約95重量パーセントの製薬上許容しうる賦形剤を含む。他の実施形態では、圧縮コーティング材料は、約5〜約75パーセントのゲル化剤(ガム)、約0〜約15パーセントのイオン性ゲル強度増強剤、および約30〜約95パーセントの製薬上許容しうる賦形剤(例えば、不活性希釈剤)を含む。さらに別の実施形態では、圧縮コーティング材料は、約7.5〜約50パーセントのゲル化剤、約0〜約10パーセントのイオン性ゲル強度増強剤、および約30〜約95パーセントの製薬上許容しうる賦形剤を含む。
【0105】
本発明で使用しうる界面活性剤としては、一般に、製薬上許容しうるアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性(両親媒性/両染性)界面活性剤、および非イオン界面活性剤が挙げられる。適切な製薬上許容しうるアニオン界面活性剤としては、例えば、一価アルキルカルボキシレート、アシルラクチレート、アルキルエーテルカルボキシレート、N-アシルサルコシネート、多価アルキルカーボネート、N-アシルグルタメート、脂肪酸-ポリペプチド縮合物、硫酸エステル、アルキルスルフェート(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS))、エトキシル化アルキルスルフェート、エステル結合スルホネート(例えば、ドキュセートナトリウムまたはコハク酸ジオクチルナトリウム(DSS))、αオレフィンスルホネート、およびリン酸化エトキシル化アルコールが挙げられる。
【0106】
適切な製薬上許容しうるカチオン界面活性剤としては、例えば、モノアルキル第4級アンモニウム塩、ジアルキル第4級アンモニウム化合物、アミドアミン、およびアミンイミドが挙げられる。
【0107】
適切な製薬上許容しうる両性(両親媒性/両染性)界面活性剤としては、例えば、N-置換アルキルアミド、N-アルキルベタイン、スルホベタイン、およびN-アルキルβ-アミノプロピオネートが挙げられる。
【0108】
本発明と併せて用いるための他の適切な界面活性剤としては、エステルまたはエーテルとしてのポリエチレングリコールが挙げられる。例としては、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポリエトキシル化硬化ヒマシ油、ヒマシ油由来のポリエトキシル化脂肪酸または硬化ヒマシ油由来のポリエトキシル化脂肪酸が挙げられる。使用しうる市販の界面活性剤は、Cremophor、Myrj、Polyoxyl 40 stearate、Emerest 2675、Lipal 395およびPEG 3350という商品名で知られている。
【0109】
溶解速度を修飾するそれらの固有の能力に見合う量で加えうる他の製薬上許容しうる放出修飾物質としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、ステアリルアルコール、硬化綿実油、塩化ナトリウムおよび後述するある種の崩壊剤が挙げられる。
【0110】
使用する前記放出修飾物質の量は、必要とされる放出特性と該物質の性質によって決まる。本発明の遅延放出製剤の場合、使用する放出修飾物質のレベルは組成物全体の約0.1〜約25重量%、好ましくは約0.5〜約10重量%としうる。
【0111】
本発明のある別の実施形態では、圧縮コーティングはpH修飾物質を含む。pH修飾物質は圧縮コーティング中に、最終的な剤形の約1重量%〜約10重量%存在していてもよい。好適な実施形態では、pH修飾物質は、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸、グルタル酸または乳酸などの有機酸である。
【0112】
ある好適な実施形態では、水性環境流体(例えば、剤形を取り囲む水または胃腸液など)が剤形の圧縮コーティングを通して拡散することにより芯物質が水和して薬物が溶解し、その結果該薬物が芯物質を取り囲む流体中に移行できるようになると、薬物の放出が生じる。
【0113】
ある好適な実施形態では、薬物の遅延放出(ラグタイム)を、圧縮コーティングの厚さを増やす(ラグタイムが増大する)か、または圧縮コーティングの厚さを減らす(ラグタイムが減少する)ことにより変更する。また遅延放出を、例えば、遅延放出圧縮コーティングに含めるガムを変更し、特定のガムの組み合わせを選択することにより、多糖類をはじめとする1種の糖類または糖類(もしくは多糖類)の組み合わせなどの製薬上許容しうる賦形剤を圧縮コーティングに含めるかあるいは含めないことにより、圧縮コーティングが該圧縮コーティング(例えば、マトリクス)を通した水(もしくは胃腸液)の内部芯物質への拡散(その結果内部芯物質の水和が可能となる)をさらに遅延させるようにする追加の物質を変更するかまたは該圧縮コーティングに加えることにより、変更してもよい。さらに、圧縮コーティングを施す際に用いる圧縮力を利用して、活性成分の放出速度を変化させてもよい。また、圧縮コーティングにさらなる粒状賦形剤(extragranular excipients)を加えることによって放出を修飾することもできる。かかる成分は、例えば、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールなどを含んでいてもよい。
【0114】
薬物の遅延放出はさらに、(i)芯物質と圧縮コーティングの間、(ii)圧縮コーティング上、または(iii)芯物質と圧縮コーティングの間と圧縮コーティング上の両方、にさらなるコーティングを使用することによって変更してもよい。かかるコーティングとしては、例えば、親水性ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)および/または疎水性ポリマー(例えば、アクリルポリマー、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとのコポリマー、エチルセルロースといったアルキルセルロースなど)を挙げることができる。かかる状況では、剤形からの薬物の放出は流体が圧縮コーティングを通して拡散した時に生じる可能性があるだけでなく、ここに記載したさらなるコーティングの浸食が薬物の放出を遅延させる可能性もある。
【0115】
本発明(上記の任意の放出修飾物質を用いるかまたは用いない)の溶解速度を、親水性マトリクスを破壊することなくガムの水和を遅くする疎水性材料を圧縮コーティングに組み入れることによりさらに修飾してもよい。これは、本発明の別の実施形態で、芯物質を圧縮コーティングする前に遅延放出賦形剤を疎水性材料の溶液または分散液と共に造粒することによって達成される。疎水性ポリマーは、エチルセルロースなどのアルキルセルロース、他の疎水性セルロース系材料、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルから誘導したポリマーまたはコポリマー、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとのコポリマー、ゼイン、ワックス、シェラック、硬化植物油、ならびに当業者に公知の他の製薬上許容しうる疎水性材料から選択してもよい。疎水性材料用の溶媒は、水性もしくは有機性溶媒、またはそれらの混合物でありうる。遅延放出賦形剤中に組み入れる疎水性材料の量は、環境流体への曝露時に形成される親水性マトリクスを破壊することなくガムの水和を遅くするのに有効な量とする。本発明のある好適な実施形態では、疎水性材料は、圧縮コーティングに約1〜約20重量パーセントの量で含まれる。
【0116】
また圧縮コーティングは、適切な量の、例えば後述の、製薬分野で常用される滑剤、結合剤、造粒助剤、希釈剤、着色剤、香味剤および流動促進剤を含有していてもよい。
【0117】
圧縮コーティングに含める材料が既製品である好適な実施形態では、ガムゲル化剤(例えば、キサンタンガムとローカストビーンガムとの混合物)と、放出修飾物質を含むかまたは含まない医薬用賦形剤との組み合わせにより、製剤者が該材料を圧縮コーティングにより芯物質上に施すだけで所望の時間治療用剤形が得られる即時使用可能な圧縮コーティング製品を提供する。圧縮コーティングは、ガムと圧縮性のショ糖、乳糖、ブドウ糖などといった可溶性賦形剤との物理的混合物を含んでいてもよいが、ガムを未加工の製薬上許容しうる賦形剤(すなわち、結晶性のショ糖、乳糖、ブドウ糖、マンニトールなど)と共に造粒するかまたは凝集させることによって圧縮コーティングに使用するための遅延放出賦形剤を形成する方が好ましい。顆粒形態は、該形態を流動性および圧縮性に合わせて最適化できるということを含む、幾つかの利点を有する。
【0118】
圧縮コーティングに使用するガムおよび任意の医薬用賦形剤を何らかの凝集法に従って調製することにより、許容しうる賦形剤製品を得ることが好ましい。湿式造粒法では、所望の量の親水性材料(例えば、ヘテロ多糖類ガムおよび/またはホモ多糖類ガム)と不活性希釈剤とを混合し、その後、水、プロピレングリコール、グリセロール、アルコールなどといった湿潤剤を加えることにより湿塊を調製する。次に該湿塊を乾燥させる。その後、乾燥させた塊を通常の装置で粉砕して顆粒とする。これ以降は、この賦形剤製品を即時使用することができる。
【0119】
(好ましくは)既製の遅延放出賦形剤は、自由流動性でかつ直接圧縮可能であることが好ましい。従って、治療上活性な医薬の成形済みの内部芯物質上に賦形剤を直接圧縮することにより、コート錠を形成してもよい。成形済みの錠剤芯物質上に均一なコーティングを作製するのに十分な量の遅延放出コーティング混合物を、通常の生産規模の打錠機で、通常の圧縮圧(すなわち約2000〜1600 lbs/sq in.)にて錠剤化する。しかし、混合物は、続いて胃液に曝露された時にその水和が困難となるほど圧縮すべきではない。
【0120】
本発明の造粒した遅延放出賦形剤の平均粒径は、約50ミクロン〜約400ミクロン、好ましくは約185ミクロン〜約265ミクロンである。造粒物の粒径はそれほど厳密に決定的なものではなく、重要な条件は、この顆粒の平均粒径が、製薬上活性な錠剤芯物質上にコーティングを形成する直接圧縮可能な賦形剤を形成しうるものでなくてはならないということである。本発明の造粒物の所望のタップ密度および嵩密度は通常約0.3〜約0.8 g/mLであり、平均密度は約0.5〜約0.7 g/mLである。
【0121】
本発明の圧縮コーティングは、好ましくは種々の粒径分布の一定範囲にわたって均一の充填特性を持ち、また滑剤の添加とその後の直接圧縮を利用して成形済みの錠剤芯物質上に加工することができる。
【0122】
錠剤芯物質に(状況に応じて)使用することに加えて、ある実施形態では、1種以上の製薬上許容しうる滑剤を、混合物を芯物質の表面上に圧縮コーティングする前にその圧縮コーティング材料(好ましくは、予め凝集させたもの)に加えることが好ましい。本発明の芯物質および圧縮コーティングに使用するための適切な滑剤の例としては、例えば限定するものではないが、タルク、ステアリン酸、植物油、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。好ましくは、有効量の一般に許容しうる医薬用滑剤(例えば、カルシウムまたはマグネシウム石鹸)を、混合物を成形済みの固形錠剤芯物質上に圧縮する前に該混合物の成分に加えることが好ましい。特に好適な滑剤は、JRS Pharma LPからPruv(登録商標)という商品名で市販されているフマル酸ステアリルナトリウム(米国国民医薬品集)である。
【0123】
ある実施形態では、本発明はさらに、本発明の遅延放出固形経口剤形(例えば、錠剤)を製造する方法を対象とする。ある好適な実施形態では、本発明の遅延放出経口固形剤形を調製するためのステップは、以下を含んでいてもよい。
【0124】
内部芯物質製剤の調製:
1. (A)活性成分(例えば、薬物)を製薬上許容しうる界面活性剤および任意の賦形剤と共に湿式造粒した後、必要に応じてこれを乾燥させてから粉砕して造粒物を得ること;または
(B) 活性成分を製薬上許容しうる界面活性剤および任意の賦形剤と共に、必要に応じて幾何学的希釈を利用して乾式混合することにより造粒物を得ること;
2. 状況に応じて、賦形剤をステップ1で調製した材料に適度に混合しながら加え、さらに粒状とする(extragranularly)こと;
3. 好ましくは、ステップ1または2で調製した粉末混合物を潤滑化すること;
4. ステップ3で調製した粉末混合物を使用し、適当な圧縮機で芯物質を圧縮すること;
5. 状況に応じて、ステップ4で調製した錠剤芯物質上に機能性フィルムコーティングを施すこと。
【0125】
遅延放出(圧縮)コーティングの調製は、例えば次のように行ってもよい:
6. (A)ガム(例えば、ヘテロ多糖類ガムおよびホモ多糖類ガム)を任意の賦形剤と共に湿式造粒することにより遅延放出材料(凝集粒子)を形成し、その後、該遅延放出材料を乾燥させること;または
(B)ガムを任意の賦形剤と共に乾式混合することにより遅延放出材料(造粒物)を形成すること;
7. 好ましくは、ステップ6で調製した遅延放出材料を粉砕すること;
8. 好ましくは、ステップ6または7で調製した遅延放出材料を潤滑化すること。
【0126】
内部芯物質のコーティング:
9. ステップ6〜8で調製した遅延放出材料をステップ1〜5で調製した錠剤芯物質上に圧縮コーティングすること;
10. 状況に応じて、最終的な剤形を(所望であれば)フィルムコーティングすること。
【0127】
ある実施形態では、例えば後述のDry-Cota Pressを使用する場合、ステップ4および10を組み合わせて単一操作とする。錠剤芯物質の機能性コーティングは、圧縮機に芯物質錠剤供給システムを追加する改良を施せば、Dry-Cota Pressを使用して実行可能である。
【0128】
Manesty Dry-Cota pressは2台の並置され互いに連結された錠剤圧縮機からなり、芯物質は一方の圧縮機で作製された後、圧縮コーティングのために次の圧縮機へ機械的に移動する。各「圧縮機」が独立した粉体供給機構を備えているので、芯物質混合物を一方の機械に供給し、また他方でコーティング混合物を供給することができる。機械の移動アームはこれらの機械間を行き来し、一方の圧縮機から芯物質を取り出してそれらをコーティング用圧縮機に移動する。使用しうる他のより近代的なタイプの圧縮機(例えば、Elizabeth Hata HT-AP44-MSU-C、Killian RUD、Fette PT 4090)は、コーティング混合物と作製済み芯物質の複合的供給システムを備えている。この構造は、芯物質を圧縮コーティングの前に機能的コーティングまたは化粧コーティングでパンコーティングすることができるという点で、柔軟性が高い。さらにこの構造により、既に圧縮コーティングした錠剤を循環させて複数の圧縮コーティング層を施すことが可能となる。どちらのタイプの圧縮機も、垂直方向と径方向の両方の向きで錠剤をコーティングの中心に配置するための機構を備えている。本発明の最終的な剤形を提供するために他の錠剤圧縮機を使用しうることは、当業者であれば理解するであろう。
【0129】
典型的には圧縮コーティングは芯物質全体を取り囲んでいるが、本発明のある実施形態では、圧縮コーティングは錠剤芯物質を実質的に取り囲んではいるものの、完全には取り囲んでいない。かかる場合、錠剤芯物質からの薬物の放出は、まず内部芯物質の圧縮コーティングが施されていない部分から始まる。本発明の他の実施形態では、内部芯物質全体に同じ厚さの圧縮コーティングを施さないことで、圧縮剤形に他の領域よりも早く(遅く)薬物を放出する領域を作り出す。これは、例えば、圧縮コーティングを施す芯物質を圧縮機の中央に配置しないことで達成される。
【0130】
最良の結果を得るためには、芯物質の圧縮コーティングにより形成される錠剤は、約4〜約25 kP、好ましくは約5〜約15 kP、最も好ましくは約8〜約9 kPの硬度とする。ある好適な実施形態では、円形圧縮コート錠の場合はその直径を最大5/8インチ以上としてもよく、またカプレット型圧縮コート錠の場合はその直径を最大3/4インチ以上としてもよい。本発明に従って調製される(未圧縮)コーティングの平均流量は、約25〜約40 g/secである。
【0131】
本発明のある実施形態では、圧縮コート錠をその後腸溶コーティング材料または疎水性材料でさらにコーティングしてもよい。適切な腸溶ポリマーの例としては、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピル-メチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート(polyvinylacetate phthalate)、メタクリル酸コポリマー、シェラック、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トリメリト酸酢酸セルロース、およびこれらのいずれかの混合物が挙げられる。適切な市販の腸溶材料の1例は、Eudragit(登録商標)L30D55という商品名で入手することができる。
【0132】
さらなる実施形態では、剤形を、上記の腸溶コーティングまたは疎水性コーティングに加えて、またはその代わりに、親水性コーティングでコーティングしてもよい。かかる親水性コーティングに使用しうる適切な材料の1例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Colorcon, West Point, Pennsylvaniaから市販されているOpadry(登録商標))である。
【0133】
さらに別の実施形態では、任意の腸溶および/または疎水性および/または親水性コーティングを、芯物質と圧縮コーティングの間の中間層として代替的または追加的に施してもよい。
【0134】
任意の腸溶および/または疎水性および/または親水性コーティングは、当業者に公知の製薬上許容しうるいかなる様式で施してもよい。例えば、ある実施形態では、流動層を用いるかまたはコーティングパン中でコーティングを施す。例えば、コーティングした錠剤を、例えばコーティングパン中で約60〜70℃にて約3〜4時間乾燥させてもよい。疎水性ポリマーまたは腸溶コーティング用の溶媒は、有機性溶媒、水性溶媒、または有機性溶媒と水性溶媒との混合物であってもよい。有機性溶媒は、例えば、含水または無水のイソプロピルアルコール、エタノールなどであってもよい。
【0135】
本発明のさらなる実施形態では、本発明に従って製造する錠剤にサポートプラットフォーム(support platform)を施す。適切なサポートプラットフォームは当業者に周知である。適切なサポートプラットフォームの1例は、例えば米国特許第4,839,177号(参照により本明細書中に含めるものとする)に記載されている。該特許では、サポートプラットフォームは錠剤を部分的にコーティングするものであり、水性の液体には溶けない高分子材料によりなる。サポートプラットフォームを、例えば、治療上活性な医薬の移動中はその不浸透性が維持されるように設計してもよい。サポートプラットフォームは、例えば、錠剤表面の一部への圧縮コーティングを介して、該サポートプラットフォームを含む高分子材料を錠剤表面の全部もしくは一部にスプレーコーティングすることにより、または錠剤を高分子材料の溶液に浸すことにより、錠剤に施してもよい。
【0136】
サポートプラットフォームは、例えば、圧縮により施す場合は約2 mm、スプレーコーティングまたは浸漬コーティングを介して施す場合は約10μの厚さであってもよい。一般に、疎水性ポリマーまたは腸溶コーティングを遅延放出コーティングに重ねて錠剤に施す本発明の実施形態では、該錠剤を、約1〜約20%、ある実施形態では好ましくは約5%〜約10%その重量が増加するまでコーティングする。
【0137】
本発明の疎水性コーティングならびにサポートプラットフォームに有用な材料としては、アクリル酸の誘導体(例えば、アクリル酸、メタクリル酸のエステル、およびそれらのコポリマー)、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース)、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
【0138】
先に述べた通り、芯物質および/または圧縮コーティングはさらに、適切な量の、例えば製薬分野で常用される滑剤、結合剤、造粒助剤、希釈剤、着色剤、香味剤および流動促進剤を含有していてもよい。
【0139】
本発明で使用するための適切な結合剤の例としては、例えば限定するものではないが、ポビドン、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、セルロースガム、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ゼラチン、デンプン、およびα化デンプンが挙げられる。
【0140】
本発明で使用するための適切な流動促進剤の例としては、タルク、二酸化ケイ素、およびコーンスターチが挙げられる。
【0141】
本発明のある実施形態では、錠剤芯物質は、(任意の)疎水性もしくは腸溶コーティング中に、または錠剤芯物質(疎水性もしくは腸溶コーティングを含まない)の外表面上にコーティングした追加の(任意の)さらなるコーティング中に、または圧縮コーティングと妥当であれば疎水性および/もしくは腸溶コーティング材料とを含むベースコーティングの表面上にコーティングする追加のコーティング層として含まれる、追加用量の薬物(または治療上有効な用量の別の薬物)を含む。これは例えば、薬物のある供給用量が、製剤が最初に胃液に曝露された際に治療上有効な血中レベルの活性物質を提供することに必要である場合に望ましいだろう。コーティング層に含める薬物の供給用量は、例えば、製剤に含める薬物の総量の約10%〜約40%とすることができる。
【0142】
本発明に組み入れるのに適した薬物の例としては、以下:
−抗ヒスタミン剤(例えば、マレイン酸アザタジン、マレイン酸ブロムフェニラミン、マレイン酸カルビノキサミン、マレイン酸クロルフェニラミン、d-マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、コハク酸ドキシラミン、塩酸メトジラジン、プロメタジン、酒石酸トリメプラジン、クエン酸トリペレナミン、塩酸トリペレナミンおよび塩酸トリプロリジン);
−抗生物質(例えば、ペニシリンVカリウム、クロキサシリンナトリウム、ジクロキサシリンナトリウム、ナフシリンナトリウム、オキサシリンナトリウム、カルベニシリンインダニルナトリウム、塩酸オキシテトラサイクリン、塩酸テトラサイクリン、リン酸クリンダマイシン、塩酸クリンダマイシン、塩酸パルミチン酸クリンダマイシン、塩酸リンコマイシン、ノボビオシンナトリウム、ニトロフラントインナトリウム、塩酸メトロニダゾール);抗結核薬(例えば、イソニアジド);
−コリン作動薬(例えば、塩化アンベノニウム、塩化ベタネコール、臭化ネオスチグミン、臭化ピリドスチグミン);
−抗ムスカリン作用薬(例えば、臭化メチルアニソトロピン、臭化クリジニウム、塩化ジシクロミン、グリコピロレート、メチル硫酸ヘキソシクリウム、臭化メチルホマトロピン、硫酸ヒヨスチアミン、臭化メタンテリン、臭化水素酸ヒヨスシン、臭化オキシフェノニウム、臭化プロパンテリン、塩化トリジヘキセチル);
−交感神経刺激薬(例えば、メシル酸ビトルテロール、エフェドリン、塩酸エフェドリン 、硫酸エフェドリン、硫酸オルシプレナリン、塩酸フェニルプロパノールアミン、塩酸プソイドエフェドリン、塩酸リトドリン、硫酸サルブタモール、硫酸テルブタリン);
−交感神経遮断薬(例えば、塩酸フェノキシベンザミン);混合型自律神経作用薬(例えば、ニコチン);
−鉄剤(例えば、グルコン酸第一鉄、硫酸第一鉄);
−止血薬(例えば、アミノカプロン酸);
−強心剤(例えば、塩酸アセトブトロール、リン酸ジソピラミド、酢酸フレカイニド、塩酸プロカインアミド、塩酸プロプラノロール、グルコン酸キニジン、マレイン酸チモロール、塩酸トカイニド、塩酸ベラパミル);
−降圧薬(例えば、カプトプリル、塩酸クロニジン、塩酸ヒドララジン、塩酸メカミラミン、酒石酸メトプロロール);血管拡張薬(例えば、塩酸パパベリン);
−非ステロイド系抗炎症薬(例えば、サリチル酸コリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、サリチル酸マグネシウム、メクロフェナム酸ナトリウム、ナプロキセンナトリウム、トルメチンナトリウム);
−オピエートアゴニスト(例えば、塩酸コデイン、リン酸コデイン、硫酸コデイン、酒石酸デキストロモルアミド、二酒石酸ヒドロコドン、塩酸ヒドロモルホン、塩酸ペチジン、塩酸メサドン、硫酸モルヒネ、酢酸モルヒネ、乳酸モルヒネ、メコン酸モルヒネ、硝酸モルヒネ、第一リン酸モルヒネ(morphine monobasic phosphate)、酒石酸モルヒネ、吉草酸モルヒネ、臭化水素酸モルヒネ、塩酸モルヒネ、塩酸プロポキシフェン);
−抗痙攣剤(例えば、フェノバルビタールナトリウム、フェニトインナトリウム、トロキシドン、エトスクシミド、バルプロ酸ナトリウム);
−精神安定剤(例えば、マレイン酸アセトフェナジン、塩酸クロルプロマジン、塩酸フルフェナジン、エジシル酸プロクロルペラジン(prochlorperazine edisylate)、塩酸プロメタジン、塩酸チオリダジン、塩酸トリフルオロペラジン、クエン酸リチウム、塩酸モリンドン、塩酸チオチキシン(thiothixine hydrochloride));
−化学療法薬(例えば、ドキソルビシン、シスプラチン、フロクスウリジン、メトトレキサート、それらの組み合わせなど);
−脂質低下剤(例えば、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、HMG-CoA 還元酵素阻害剤、例えば、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチンなど);
−H2-アンタゴニスト(例えば、シメチジン、ファモチジン、ニザチジン、塩酸ラニチジンなど);
−抗凝血剤および抗血小板剤(例えば、ワルファリン、シピリダモール、チクロピジンなど);
−気管支拡張薬(例えば、アルブテロール、イソプロテレノール、メタプロテレノール、テルブタリンなど);
−刺激剤(例えば、塩酸ベンズアンフェタミン、硫酸デキストロアンフェタミン、リン酸デキストロアンフェタミン、塩酸ジエチルプロピオン、塩酸フェンフルラミン、塩酸メタンフェタミン、塩酸メチルフェニデート、酒石酸フェンジメトラジン、塩酸フェンメトラジン、クエン酸カフェイン);
−バルビツレート(例えば、アミロバルビタールナトリウム、ブタバルビタールナトリウム、セコバルビタールナトリウム);
−鎮静剤(例えば、塩酸ヒドロキシジン、メスプリロン(methprylon));去痰薬(例えば、ヨウ化カリウム);
−制吐薬(例えば、塩酸ベンズキナミド(benzaquinamide hydrochloride)、塩酸メトクロプロパミド、塩酸トリメトベンズアミド);
−胃腸薬(例えば、塩酸ラニチジン);重金属アンタゴニスト(例えば、ペニシラミン、塩酸ペニシラミン);
−抗甲状腺薬(例えば、メチマゾール);
−尿生殖器平滑筋弛緩薬(例えば、塩酸フラボキサート、塩酸オキシブチニン);
−ビタミン(例えば、塩酸チアミン、アスコルビン酸);
−未分類の物質(例えば、塩酸アマンタジン、コルヒチン、エチドロン二ナトリウム、ロイコボリンカルシウム、メチレンブルー、塩化カリウム、塩化プラリドキシム、クロロキン(choroquine)、ヨードクロルヒドロキシキン、ジオドヒドロキシキン(disodohydroxyquin));
−ステロイド、特にグルココルチコイド(例えば、プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロン、メタスルホ安息香酸プレドニゾロンナトリウム、リン酸プレドニゾロンナトリウム、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸ベクロメタゾン、プレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、トリアムシノロン);
−下痢止めに有効な化合物;
−便秘の解消に有効な化合物;
−痙攣止めおよび運動性の改善に有効な化合物(例えば、ハッカ油および他の駆風精油);
−過剰な胆汁酸を除去するための化合物(例えば、コレスチラミン)
が挙げられる。
【0143】
特に好適なある種の薬物は、慢性的な腸疾患、特にクローン病および潰瘍性大腸炎を治療するための薬物である。これらの薬物としては、一部の下痢止め薬(例えば、ジフェノキシレート、ロペラミド、コデインなど);抗生物質(例えば、メトロニダゾール、アンピシリン、スルホンアミド、セファロスポリン、テトラサイクリン、シプロフロキサシンなど)、免疫調節薬(例えば、アザチオプリン(azatiorprine)および6-メルカプト-プリン);アミノサリチル酸塩(例えば、5-アミノサリチル酸(5-ASA)、スルファサラジン、オルサラジン、メサラミン、およびバルサラジド);免疫抑制剤(例えば、メトトレキサートおよびシクロスポリン);ならびに抗腫瘍壊死因子物質(例えば、インフリキシマブなど)を挙げることができる。
【0144】
特に好適なのは、特に過敏性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎またはクローン病を治療するためのグルココルチコイド(コルチコステロイドとしても知られている)である。これらとしては、ヒドロコルチゾン、ベクロメタゾン(beclamethasone)、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、フルニソリド、メチルプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、アルクロメタゾン、アムシノニド、クロベタゾール、クロコルチロン(clocortilone)、デソニド、デソキシメタゾン、ジフロラゾン、フルオシノロン、フルオロメトロン、フルランドレノリド、ハルシノニド、メドリゾン、モメタゾン、ブデソニド、フルチカゾン、それらの塩などが挙げられる。
【0145】
本発明の剤形に特に有用な他の薬物としては、刺激性下剤(例えば、ドキュセートナトリウム(docusate sodium)、センナ濃縮物、ビサコジル、重酒石酸カリウムなど)が挙げられる。組成物に含める活性薬物の量は、治療しようとする症状に対する該薬物の活性によって異なる。
【0146】
前述の薬物のいずれの組み合わせを使用してもよい。
【0147】
前記薬物はその塩基形態であってもよく、または製薬上許容しうる塩もしくは複合体を使用してもよい。上記の考えうる薬効分類と特定の薬物のリストは単なる代表例であって、決して本発明の範囲を制限するものではない。
【0148】
ある実施形態では、本発明に使用するための薬物として、ポリペプチド、タンパク質およびそれらの誘導体も挙げることができる。かかる薬物の例としては、インスリン、カルシトニン、アンギオテンシン、バソプレシン、デスモプレシン、LH-RH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)、ソマトスタチン、グルカゴン、オキシトシン、ガストリン、シクロスポリン、ソマトメジン、セクレチン、h-ANP(ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド)、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)、MSH(メラニン細胞刺激ホルモン)、βエンドルフィン、ムラミルジペプチド、エンケファリン、ニューロテンシン、ボンベシン、VIP(血管活性腸管ポリペプチド)、CCK-8(コレシストキニン-8)、PTH(副甲状腺ホルモン)、CGRP (カルシトニン遺伝子関連ペプチド)、TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)、エンドセリン(endocerine)、hGH(ヒト成長ホルモン)、サイトカイン(例えば、インターロイキン、インターフェロン、コロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子)、ならびにそれらの誘導体が挙げられる。
【0149】
ある実施形態では、本発明に使用するための薬物は、X線造影剤(例えば、硫酸バリウム、ジアトリゾエートナトリウム、他のヨード含有造影剤)、超音波造影剤(例えば、含気ミクロスフェア)、核磁気共鳴画像法用の造影もしくは増強剤、断層撮影剤、または陽電子放射剤などといった診断薬である。
【0150】
ある実施形態では、薬物を結腸に直接送達することにより、結腸で吸収される薬物の量
および結腸細胞が直接曝露される薬物の量を増やす。ある実施形態では、薬物を結腸に直接送達するかまたは標的化することにより該薬物の全身分布も減らし、それによって望ましくない潜在的に有害な副作用を軽減する。さらに、薬物を結腸に直接送達することにより、必要とされる治療上有効な投与量も減る場合がある。例えば、ある実施形態では、ステロイドなどの薬物は大腸で他の胃腸管よりも効率的に吸収される場合がある。
【0151】
本発明の製剤を利用して、かかる療法が有効である当業者に公知の(または公知となった)症状を治療することができる。薬物を結腸に標的化して大腸疾患を局所的に治療する能力を提供することにより、薬物の全身作用または不便でかつ苦痛を伴う薬物の経腸投与を避ける。ある実施形態では、結腸薬物送達系によって結腸疾患、例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病、または結腸癌の局所的かつ直接的な治療を可能とすることにより、好ましくは薬物の投与量を減らして望ましくない有害な副作用を最小限に抑える。
【0152】
活性物質が低用量の活性物質(例えば、約0.01 mg〜約40 mgの(単位)投与量で投与される薬物)である状況においては、ある好適な実施形態では、錠剤の総重量は約220 mg〜約900 mgであり、芯物質の重量は好ましくは約50 mg〜約170 mgである。好ましくは、芯物質は錠剤の総重量の約5〜約23重量パーセント、最も好ましくは約18〜約20重量パーセントである。活性物質が低用量の活性物質である実施形態では、コーティングは好ましくは約150 mg〜約850 mgである。好ましくは、コーティングは、錠剤全体の約75〜約94重量パーセント、最も好ましくは約78〜80重量パーセントである。好ましくは、活性用量が低用量の活性物質である場合、芯物質と(圧縮コーティング中の)ガムとの比率は約1:0.37〜約1:5、好ましくは約1:0.37〜約1:1.12、最も好ましくは約1:0.75である。活性用量が低用量の活性物質である場合、芯物質と圧縮コーティング材料(全成分)との比率は好ましくは約1:2〜約1:9であり、ある実施形態ではより好ましくは約1:4である。
【0153】
活性物質が比較的高用量の活性物質(例えば、約41 mg〜約300 mgの(単位)投与量で投与される薬物)である場合、芯物質と(圧縮コーティング中の)ガムとの比率は約1:0.3〜約1:3、好ましくは約1:0.6〜約1:1.5である。ある実施形態では、好ましくは活性物質が高用量の活性物質である場合、芯物質と圧縮コーティング材料(全成分)との比率は約1:1〜約1:5、好ましくは約1:2〜約1:3である。活性物質が比較的高用量の活性物質である状況では、錠剤の総重量は好ましくは約500 mg〜約1500 mg、より好ましくは約750 mg〜約1000 mgである。
【0154】
後述の実施例では、活性物質を含む芯物質を、典型的には回転式錠剤圧縮機上で手動でコーティング製剤を用いて圧縮コーティングする。かかる工程では、外部芯物質(outer core)材料の概ね半分をまず型に加える。典型的には内部芯物質錠剤を粉体層の中央に置き、これをもう半分の外部コーティング粉末でコーティングする。とは言え、当業者であれば、商品化のために自動錠剤圧縮機を用いて圧縮コーティングを達成しうることは理解されよう。錠剤圧縮機による圧縮コーティングの前に、好ましくは0.75%のPruv(登録商標)(フマル酸ステアリルナトリウム、米国国民医薬品集)または他の適切な滑剤を圧縮コーティング材料に加える。コーティングがガム、例えば50%キサンタンガム(XG)であるある実施例では、該コーティングはブドウ糖で希釈した50%キサンタンガムを含み、また例えば50%ローカストビーンガム(LBG)の場合は、コーティングはブドウ糖などで希釈した50%ローカストビーンガムを含む。
【実施例】
【0155】
以下の実施例により本発明の種々の態様を説明する。それらはいかなる形でも決して特許請求の範囲を制限するものとみなされるものではない。
【0156】
実施例1
下記表1に記載の処方を有する、本発明の圧縮コーティングに使用する遅延放出材料を調製する:
【表1】

【0157】
遅延放出材料を調製するための工程は次の通りである:
工程
1. 必要量のキサンタンガム、ローカストビーンガム、およびマンニトールを高速混合/造粒機で3分間乾式混合する。
2. 乾式混合した混合物に水を加え、さらに3分間造粒する。
3. 造粒物をその後流動層乾燥機内でLOD(乾燥減量)が約10重量%未満(例えば、LODが4〜7%)となるまで乾燥させる。
【0158】
実施例2
表2に記載の処方を有する、本発明の圧縮コーティングに使用する遅延放出材料を調製する:
【表2】

【0159】
工程
実施例1と同じ工程を用いて、本発明の圧縮コーティングに使用する実施例2の遅延放出材料を調製する。
【0160】
実施例3
表3に記載の処方を持つ、本発明の圧縮コーティングに使用する遅延放出材料を調製する:
【表3】

【0161】
工程
実施例1と同じ工程を用いて、本発明の圧縮コーティングに使用する実施例3の遅延放出材料を調製する。
【0162】
実施例4
表4に示す成分を持つプレドニゾン芯物質組成物を調製した:
【表4】

【0163】
(注)*Prosolvは(JRS Pharmaから)市販されている増強微結晶性セルロースである。
**Syloidは市販のコロイド状二酸化ケイ素である。
*** 酸化サマリウムは、シンチグラフィーデータ解析を実行するために芯物質に含める。実施例の製剤は酸化サマリウムを含まない芯物質を包含するものと理解されたい。
**** クロスカルメロースナトリウムは崩壊剤である。
***** デンプングリコール酸ナトリウムはExplotabとして(JRS Pharma LPから)市販されている。
【0164】
実施例4の芯物質組成物は、次の工程を用いて調製した。
工程
1. (1)、(2)、(3)および(5)をV-ブレンダーに供給し、10分間混合する。
2. (8)および(9)をV-ブレンダーに供給し、5分間混合する。
3. (4)をV-ブレンダーに供給し、5分間混合する。
4. (6)および/または(7)を(妥当であれば)V-ブレンダーに供給し、5分間混合する。
5. (10)をV-ブレンダーに供給し、5分間混合する。
6. 3/16” S.C.丸面取り工具(round beveled edge tooling)を使用して圧縮し、錠剤とする。
【0165】
実施例5
表5に示す成分を持つ、PEG(ポリエチレングリコール)を含むプレドニゾン芯物質組成物を調製した:
【表5】

【0166】
工程
実施例4の芯物質組成物を調製する際に用いたものと同じ工程を用いて、実施例5の芯物質組成物を調製した。
【0167】
実施例6
表6に示す成分を持つ、SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)とPEG(ポリエチレングリコール)とを含むプレドニゾン芯物質組成物を調製した:
【表6】

【0168】
工程
実施例4の芯物質組成物を調製する際に用いたものと同じ工程を用いて、実施例6の芯物質組成物を調製した。
【0169】
実施例7〜9
実施例7〜9では、実施例5の芯物質処方と下記表7に記載のコーティングを有するプレドニゾン錠を調製した:
【表7】

【0170】
工程
1. 実施例1、2または3の適当な遅延放出材料(上記表7中の2、3、または4)およびフマル酸ステアリルナトリウム(5)をV-ブレンダーに供給し、5分間混合する。
2. 5/16” S.C.丸面取り工具を備えた錠剤圧縮機をセットアップする。
3. 約125 mgの遅延放出混合物を5/16”の型(下層)に供給し、該混合物をスパチュラで平らにならす。
4. 内部芯物質(1)を下層最上部の型の中央に置く。
5. 約125 mgの適当な遅延放出混合物を5/16”の型(上層)に供給し、該混合物をスパチュラで平らにならす。
6. 下層、内部芯物質および上層を圧縮して錠剤にする。
【0171】
実施例7〜9の錠剤を、USP試験装置III型を使用し、250 mLの溶液(pH 1.5)を用いて15回浸漬/分(dpm)で試験したところ、下記表8に記載の結果が得られた:
【表8】

【0172】
実施例7(ガム%は7.5%)の製剤は、実施例8(ガム%は15.0%)および実施例9(ガム%は50.0%)の製剤よりもかなり早く放出した。圧縮コーティング中のガムの含有量が増えるほど、それに対応してラグタイムが延びる。
【0173】
実施例10〜12
実施例10〜12では、下記表9に記載の芯物質処方とコーティングを有するプレドニゾン錠を調製した:
【表9】

【0174】
工程
1. 実施例2の遅延放出材料(4)およびフマル酸ステアリルナトリウム(5)をV-ブレンダーに供給し、5分間混合する。
2. 5/16” S.C.丸面取り工具を備えた錠剤圧縮機をセットアップする。
3. 約125 mgの遅延放出混合物を5/16”の型(下層)に供給し、該混合物をスパチュラで平らにならす。
4. 内部芯物質(1)または(2)または(3)を下層最上部の型の中央に置く。
5. 約125 mgの遅延放出混合物を5/16”の型(上層)に供給し、該混合物をスパチュラで平らにならす。
6. 下層、内部芯物質および上層を圧縮して錠剤にする。
【0175】
実施例10〜12の錠剤を、米国薬局方器具III型を使用し、250 mLの溶液(pH 1.5)を用いて15回浸漬/分(dpm)で試験したところ、下記表10に記載の結果が得られた:
【表10】

【0176】
芯物質中に界面活性剤を含む実施例11、および実施例12の製剤は、芯物質中に界面活性剤を含まない実施例10の基準製剤よりもわずかに早かった。界面活性剤を加えることで、溶解プロフィールがわずかに増加する。
【0177】
実施例13
界面活性剤(分散剤)の影響
ポリエチレングリコール3350 (PEG 3350)/ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)の生体分析
実施例13では、本発明に従って調製した製剤を使用して生体試験を行った。本試験は、約36時間の長さの5通りの試験期間からなるクロスオーバーデザイン試験である。試験期間1〜4は投与間隔を最短期間で72時間とすることによって区切り、試験期間5はその前の試験期間が終了してから少なくとも14日後に施行した。18〜65歳でステロイドの副作用、胃腸疾患または虫垂切除以外の胃腸管手術の既往歴がない健康な男性ボランティアを本生体試験で採用した。シンチグラフィー画像および血液試料を投与後最長24時間の間隔をあけて採取し、製剤の通過および崩壊時間を薬物動態データと比較した。10人の被験者が本試験を完了した。
試験デザインは次の通りとした
1. 被験者の数:10人
2. 投与計画は以下の通りとした:
計画A = 実施例10の製剤(プレドニゾン7.5mg)を午前9:00頃(標準的な朝食の2時間後)に投与した。
計画B = 実施例11の製剤(プレドニゾン7.5mg)を午前9:00頃(標準的な朝食の2時間後)に投与した。
計画C = 実施例12の製剤(プレドニゾン7.5mg)を午前9:00頃(標準的な朝食の2時間後)に投与した。
計画D = 即時放出用の7.5mgプレドニゾン錠(USP)を午前9:00頃(標準的な朝食の2時間後)に投与した。
計画E = 実施例11の製剤(プレドニゾン7.5mg)を午前10:30頃(標準的な夕食の2時間後)に投与した。
【0178】
3. 観察したパラメーターは次の通りであった:
a. シンチグラフィーデータの解析:胃から腸への錠剤の移動を記録することを目的とする。シンチグラフィーデータを解析することにより、胃内容排出時間、小腸通過時間、回盲部(ICJ)到達時間、ICJ滞留時間、錠剤芯物質の初期および完全崩壊の解剖学的部位ならびに時間を得た。
b. 薬物動態データの解析:薬物動態データを解析することにより、Cmax、tmax、tlag、AUC0-24、AUC0-∞、λz、およびt1/2を得た。
【0179】
シンチグラフィーの結果は次の通りであった:
実施例10の製剤の完全崩壊の時間は、実施例11および実施例12の製剤のそれより遅かった。実施例10の製剤の錠剤の大部分は結腸内で崩壊し、実施例11および12の製剤の錠剤の場合は該錠剤の大部分が小腸内で崩壊した。下記表11に計画A、B、およびCの錠剤崩壊(投与後の時間)を記載すると共に、下記表12に計画A、B、およびCの錠剤崩壊の部位を記載する。
【表11】

【表12】

【0180】
前記生体試験から得られた得た計画A、B、C、DおよびEの薬物動態学的結果(平均値)を下記表13に記載する:
【表13】

【0181】
計画BおよびCと比べた場合の計画Aの完全錠剤崩壊における遅延は、計画Aでは計画BおよびCよりもTmax値がわずかに高く、またCmax値が低いことに反映されている。プレドニゾロンのAUC0-24値は、計画BおよびCに比べて計画Aで低かった。IR錠と比べると、プレドニゾロンのCmax値およびAUC0-24値は、計画Bで約33%低く、また計画Cで39%低かった。夜に投与した実施例11の製剤のCmax値およびAUC0-24値は、朝に投与した実施例11の製剤のそれらの値よりも約1.4倍高かった。
【0182】
分散剤(例えば、界面活性剤)を加えると、CmaxおよびAUCが有意に上昇した。
【0183】
夜間投与によりCmax値およびAUC値が上昇し、ばらつきも少なかった。これらの値は計画A、B、CよりもIR製品に近かった。
【0184】
結論:
朝に投与した遅延放出送達系の場合、完全崩壊の時間は、実施例11および12の製剤よりも実施例10の製剤の方が遅かった。実施例11および12の製剤の崩壊は、胃腸管内では実施例10の製剤よりも多かった。大部分の被験者では、実施例10の製剤の崩壊は結腸内で生じ、また実施例11および12の製剤の崩壊は小腸内で生じた。これら3種の系の薬物動態パラメーターは、プレドニゾロンの吸収の速度および程度は実施例11および12の製剤の方が実施例10よりも高く、またTmaxおよびTlagは実施例10の方が実施例11および12よりも遅れることで、これらの崩壊における差異を反映している。即時放出錠剤製剤と比べると、吸収の速度および程度はこれらの遅延放出送達系の方が低かった。実施例11を夜に投与すると、実施例11を朝に投与するよりもプレドニゾロンの吸収の速度および程度が高くなった。
【0185】
実施例14
表14に示す成分を持つブデソニド芯物質組成物を調製した。ブデソニドは、微小潰瘍性大腸炎、クローン病などといった結腸疾患の管理に使用されている抗炎症ステロイド薬である。
【表14】

【0186】
工程
1. 材料を30メッシュのスクリーンに通して篩いにかける。
【0187】
2. 構成要素1、2をV-ブレンダーに供給し、10分間混合する。
【0188】
3. 構成要素3および4をV-ブレンダーに供給し、5分間混合する。
【0189】
4. 構成要素5をV-ブレンダーに供給し、5分間混合する。
【0190】
5. 3/16” S.C.丸面取り凹型(直径0.1875”)工具を使用して圧縮し、9 mg の錠剤とする。
【0191】
実施例15〜17
実施例15〜17では、実施例14の芯物質組成と、下記表15に記載のコーティングとを有するブデソニド錠を調製した。
【表15】

【0192】
工程
1. 実施例1、2、または3の適当な放出材料(上記表15中の2、3、4番)を供給する。
【0193】
2. 5/16” S.C.丸面取り凹型(直径0.3125”)工具を備えた錠剤圧縮機をセットする。
【0194】
3. 約125 mgの遅延放出混合物を鋳型(下層(lower layer))に供給し、該混合物をスパチュラで平らにならす。
【0195】
4. 内部芯物質(実施例14)を最下層(bottom layer)の鋳型上部の中央に置く。
【0196】
5. 圧縮機を進め、中央に内部芯物質を置いた鋳型の穴に最下層を降ろす。
【0197】
6. 約125 mgの適当な遅延放出混合物を鋳型(上層(upper layer))に供給し、スパチュラで平らにならす。
【0198】
7. 下層、内部芯物質および上層を圧縮して錠剤にする。
【0199】
実施例15(7.5%のガムを含むコーティング)および16(15%のガムを含むコーティング)の錠剤を、米国薬局方器具III型を使用し、2時間毎にpHを1.5、5.5、7.5と変更しながら試験することにより、GI管中の該錠剤の移動をシミュレートした。実施例17(50%のガムを含むコーティング)についても米国薬局方器具III型を使用して試験したが、ガムの比率が高いためにその放出時間が長くなるので、pH 5.5で2時間ではなく4時間維持した。250 mLの溶液を用いて15回浸漬/分(dpm)で試験を実施したところ、表16に記載の下記結果が得られた。
【0200】
種々の製剤から放出されたブデソニドのパーセントを時間の関数として下記表16に記載する。
【表16】

【0201】
実施例15(7.5%のガムを含むコーティング)、16(15%のガムを含むコーティング)および17(50%のガムを含むコーティング)の錠剤を、米国薬局方器具III型を使用し、pHを1.5に維持しながら、先に試験した剤形と同じサンプリング時間を用いて試験することにより、先の試験との適合性を確かめた。250 mLの溶液を用いて15回浸漬/分(dpm)で試験を実施したところ、表17に記載の下記結果が得られた。
【0202】
pH 1.5で種々の製剤から放出されたブデソニドのパーセントを時間の関数として下記表17に記載する。
【表17】

【0203】
いずれの放出媒体においても、実施例15(7.5%のガムを含むコーティング)の製剤は実施例16(15%のガムを含むコーティング)および実施例17(50%のガムを含むコーティング)の製剤よりもかなり速く放出した。圧縮コーティング中のガムの量が増えると、それに対応してラグタイムが延びる。この効果を利用してラグタイムを調整すれば、薬物放出を主に結腸内で生じさせることができる。
【0204】
上記実施例は排他的なものではない。本発明の多くの他の変型は当業者には自明であろうし、またそれらの変型は添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0205】
【図1】図1は、それぞれ実施例1、2、および3の遅延放出材料で圧縮コーティングした実施例15、16、および17の製剤の、米国薬局方器具III型溶解法によりpHを1.5、5.5、7.5と変更しながら試験して得られた平均放出プロフィールを表すグラフである。
【図2】図2は、それぞれ実施例1、2、および3の遅延放出材料で圧縮コーティングした実施例15、16、および17の製剤の、米国薬局方器具III型溶解法によりpH 1.5で試験して得られた平均放出プロフィールを表すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結腸で吸収されうる治療上有効な量の薬物および製薬上許容しうる希釈剤を含む芯物質(core)、ならびに
該芯物質の表面上に圧縮コーティングした遅延放出材料、ここで該遅延放出材料は1種以上の天然または合成ガムを含むものとする
を含む遅延放出経口固形剤形であって、
該剤形が、米国薬局方器具III型を使用し250 mLの溶液(pH 1.5)を用いる15 dpm(浸漬/分)でのin vitro溶解試験の開始後少なくとも6時間まで薬物を実質的に放出しない、
上記遅延放出経口固形剤形。
【請求項2】
米国薬局方器具III型を使用し250 mLの溶液(pH 1.5)を用いる15 dpmでのin vitro溶解試験の開始後少なくとも8時間まで薬物を実質的に放出しない、請求項1記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項3】
前記芯物質が圧縮された芯物質である、請求項1記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項4】
前記芯物質が崩壊剤をさらに含む、請求項1記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項5】
前記芯物質が重量にして約5〜約20パーセントの崩壊剤を含む、請求項4記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項6】
前記崩壊剤が、デンプン、ビーガム(veegum)、クロスポビドン、セルロース、カオリン、微結晶性セルロース、架橋ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、架橋カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウムおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項4記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項7】
前記の1種以上の天然または合成ガムが、前記芯物質上に圧縮コーティングする前に糖類材料と凝集させたものである、請求項1記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項8】
前記糖類が、ショ糖、ブドウ糖、乳糖、果糖、マンニトール、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項7記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項9】
前記遅延放出材料が、約7.5〜約50パーセントのガム、および約30〜約95パーセントの糖類を含む、請求項7記載の遅延放出経口剤形。
【請求項10】
前記ガムがキサンタンガムとローカストビーンガムとの混合物を含む、請求項1記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項11】
前記キサンタンガムと前記ローカストビーンガムとの比率が約1:3〜約3:1である、請求項10記載の遅延放出経口剤形。
【請求項12】
前記遅延放出材料が、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、塩化リチウム、リン酸三カリウム、ホウ酸ナトリウム、臭化カリウム、フッ化カリウム、重炭酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸カルシウム、硫酸マグネシウム、フッ化ナトリウム、およびそれらの混合物からなる群より選択されるイオン性(ionizable)ゲル強度増強剤をさらに含む、請求項1記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項13】
前記遅延放出材料が、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性(両親媒性/両染性)界面活性剤、および非イオン界面活性剤からなる群より選択される界面活性剤をさらに含む、請求項1記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項14】
前記遅延放出材料が疎水性材料をさらに含む、請求項1記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項15】
前記希釈剤が、ショ糖、ブドウ糖、乳糖、微結晶性セルロース、果糖、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、デンプン、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項16】
前記芯物質が即時放出芯物質である、請求項1記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項17】
前記芯物質が持続放出担体をさらに含む、請求項1記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項18】
前記薬物が、下痢止め薬、抗生物質、免疫調節薬、アミノサリチル酸塩、免疫抑制剤、抗腫瘍壊死因子物質、グルココルチコイド、ポリペプチド、タンパク質およびそれらの誘導体、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項19】
前記薬物が局所治療効果をもたらすように送達される、請求項1記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項20】
前記薬物が全身治療効果をもたらすように送達される、請求項1記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項21】
前記薬物が局所および全身治療効果をもたらすように送達される、請求項1記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項22】
前記薬物が診断薬である、請求項1記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項23】
前記診断薬が、X線造影剤、超音波造影剤、核磁気共鳴画像法用の造影もしくは増強剤、断層撮影剤、陽電子放射剤、またはそれらの組み合わせである、請求項22記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項24】
前記圧縮コーティングが、米国薬局方器具III型によりpH 5.5の溶液を用いて4時間15 dpmで測定した場合に、投与後8時間で約46%(重量)の薬物しか放出されない前記剤形のin vitro溶解速度を与える、請求項1記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項25】
結腸で吸収されうる治療上有効な量の薬物および製薬上許容しうる希釈剤を含む芯物質、ならびに
該芯物質の表面上に圧縮コーティングした遅延放出材料、ここで該遅延放出材料は1種以上の天然または合成ガムを含むものとする
を含む遅延放出経口固形剤形であって、
ヒトへの経口投与後の該剤形からの該薬物の初期放出が少なくとも小腸への流入後まで生じない、
上記遅延放出経口固形剤形。
【請求項26】
米国薬局方器具III型を使用し250 mLの溶液(pH 1.5)を用いる15 dpm(浸漬/分)でのin vitro溶解試験の開始後少なくとも6時間まで薬物を実質的に放出しない、請求項25記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項27】
米国薬局方器具III型を使用し250 mLの溶液(pH 1.5)を用いる15 dpmでのin vitro溶解試験の開始後少なくとも8時間まで薬物を実質的に放出しない、請求項25記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項28】
完全放出が、前記剤形が結腸に達するまで生じない、請求項25記載の遅延放出経口剤形。
【請求項29】
約3時間で0%の薬物の放出、4時間後に約0%〜約40%(重量)の薬物の放出、5時間後に約30%〜約90%(重量)の薬物の放出、かつ6時間後に約60%(重量)以上の薬物の放出をもたらす、請求項25記載の遅延放出剤形。
【請求項30】
前記剤形からの前記薬物の初期放出が、遠位小腸、回盲部、上行結腸、肝湾曲部および横行結腸からなる群より選択される部位への流入後まで生じない、請求項25記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項31】
前記剤形が、米国薬局方器具III型により250 mLの溶液(pH 1.5)を用いて15 dpmで測定した場合に、3時間後に0%の薬物が放出され、4時間後に約10%〜約40%(重量)の薬物が放出され、5時間後に約60%〜約90%(重量)の薬物が放出され、かつ6時間後に約85%(重量)以上の薬物が放出される該剤形の溶解速度を与える、請求項25記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項32】
前記剤形が、経口投与後約2〜約10時間の平均Tmaxを与える、請求項25記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項33】
前記剤形が、経口投与後約2〜約8時間の平均Tmaxを与える、請求項25記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項34】
前記薬物の少なくとも75パーセントが結腸内に放出される、請求項25記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項35】
前記薬物の少なくとも90パーセントが結腸内に放出される、請求項25記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項36】
初期放出がヒトへの経口投与後約4.91±1.44時間で生じ、かつ完全放出がヒトへの投与後約6.05±3.31時間で生じる、請求項25記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項37】
初期放出がヒトへの経口投与後約3.34±0.89時間で生じ、かつ完全放出がヒトへの投与後約3.71±0.94時間で生じる、請求項25記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項38】
初期放出がヒトへの経口投与後約3.10±0.69時間で生じ、かつ完全放出がヒトへの投与後約3.28±0.71時間で生じる、請求項25記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項39】
前記圧縮コーティングが、米国薬局方器具III型によりpH 5.5の溶液を用いて4時間15 dpmで測定した場合に、投与後6時間では実質的な量の薬物が放出されない前記剤形のin vitro溶解速度を与える、請求項25記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項40】
前記圧縮コーティングが、米国薬局方器具III型によりpH 5.5の溶液を用いて4時間15 dpmで測定した場合に、投与後4時間では実質的な量の薬物が放出されない前記剤形のin vitro溶解速度を与える、請求項25記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項41】
前記圧縮コーティングが、米国薬局方器具III型によりpH 5.5の溶液を用いて4時間15 dpmで測定した場合に、投与後8時間で約46%(重量)の薬物しか放出されない前記剤形のin vitro溶解速度を与える、請求項25記載の遅延放出経口固形剤形。
【請求項42】
薬物の遅延放出経口固形剤形を調製する方法であって、
(a) 治療上有効な量の薬物を含む芯物質を調製すること、
(b) 該芯物質の重量の約5〜約20%の崩壊剤、
(c) 1種以上の天然または合成ガムを含む遅延放出材料の造粒物(granulate)を調製すること、
(d) 該造粒物を該芯物質上に圧縮コーティングすること
を含む上記方法。
【請求項43】
段階(d)の前に前記薬物、前記崩壊剤、および製薬上許容しうる不活性希釈剤を造粒することをさらに含む、請求項43記載の方法。
【請求項44】
請求項1記載の遅延放出経口固形剤形をヒト患者に経口投与することを含む、クローン病および/または潰瘍性大腸炎を治療する方法。
【請求項45】
請求項25記載の遅延放出経口固形剤形をヒト患者に経口投与することを含む、クローン病および/または潰瘍性大腸炎を治療する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−505921(P2007−505921A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527046(P2006−527046)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/030450
【国際公開番号】WO2005/027878
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(500175152)ペンウェスト ファーマシューティカルズ カンパニー (9)
【Fターム(参考)】