説明

遊技システム

【課題】遊技機の堅牢性を維持しつつ、遊技演出に係るデータを取得し当該遊技演出に合わせた演出を可能にする。
【解決手段】遊技球の投入を条件に所定の抽選契機成立に伴って当落を抽選する遊技機メイン基板53と、前記抽選の結果を当該結果に応じて決定された演出パターンの表示演出を伴って遊技機液晶表示器16に表示する演出用サブ基板51とを有するパチンコ機2と、前記パチンコ機2に通信可能に接続され、価値媒体の価値に基づいて前記遊技球を貸し出す遊技球貸出装置63と、を備えた遊技システム7において、前記パチンコ機2の演出用サブ基板51は、前記遊技機液晶表示器16に表示している演出パターンを示す表示演出データを前記遊技球貸出装置63に出力する出力部51Bを有し、前記遊技球貸出装置63は、前記出力部51Bから入力される表示演出データに基づいて、前記表示演出に連動した表示をする液晶表示部72を備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機のリーチ演出等の各種の遊技演出に係るデータを遊技機から出力する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機やパチスロ機等の遊技機では、特賞(以下、「大当たり」と言う)の当落抽選を行う基板(以下、「メイン基板」と言う)とは別に、音源やランプ、画像表示等を制御して遊技演出を行う周辺基板(以下、「サブ基板」と言う)を搭載した構成が一般的であり、メイン基板の記憶容量や処理能力の制限を受ける事無く、サブ基板により遊技中に多彩な遊技演出を可能にしている。
しかしながら、遊技機からは、大当たり発生を通知する大当たり信号等が出力されているものの、信号の種類は限られており、遊技機の遊技演出に連動した周辺機器の動きとしては、大当たり発生時や所定の遊技状態時にランプを点灯したり音声を出力する程度が限界であった。
遊技演出に係るデータを外部に出力する遊技機としては、例えば遊技者が成立させた遊技演出のデータを、メモリカード等の外部記録媒体に記録し、遊技者が自宅でも演出を楽しめるようにした遊技機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−126277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、メイン基板に相当する主制御部から遊技演出のデータを直接、外部記録媒体に出力する構成であるため、メイン基板と外部記録媒体の読書装置との間で通信を要し、メイン基板のセキュリティ上の堅牢性が損なわれる。また、従来技術においては、遊技演出の画像データは取得できるものの、遊技演出の演出態様(演出パターン)を取得することができず、遊技演出に合わせて周辺機器が表示を切り替える等の表示制御を行うことができなかった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、遊技機の堅牢性を維持しつつ、遊技演出に係るデータを取得し当該遊技演出に合わせて表示を切り替える等の表示制御を可能にした遊技システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、遊技媒体の投入を条件に所定の抽選契機成立に伴って当落を抽選するメイン基板と、前記抽選の結果を当該抽選の結果に応じて決定された演出パターンの表示演出を伴って表示器に表示するサブ基板とを有する遊技機と、前記遊技機に通信可能に接続され、価値媒体の価値に基づいて前記遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置と、を備えた遊技システムにおいて、前記遊技機のサブ基板は、前記表示器に表示している演出パターンを示す表示演出データを前記遊技媒体貸出装置に出力する出力部を有し、前記遊技媒体貸出装置は、前記出力部から入力される表示演出データに基づいて、前記表示演出に連動した表示をする表示部を備えることを特徴とする。
【0006】
また本発明は、上記遊技システムにおいて、前記表示演出データは、前記表示器に出力している画像データを含み、前記遊技媒体貸出装置は、操作部を備え、前記表示演出データに基づいて前記表示器に出力されている画像を前記表示部に表示するとともに前記表示部に表示している前記画像を前記操作部の操作に応じてキャプチャして出力することを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記遊技システムにおいて、前記演出パターンと前記当選の期待値とを対応付けて記憶する記憶手段を備え、前記遊技媒体貸出装置は、前記出力部から入力される表示演出データに基づいて前記表示器で行われている演出パターンを特定し、当該演出パターンの当選の期待値を前記記憶手段から取得して前記表示部に表示することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記遊技システムにおいて、前記記憶手段は、前記演出パターンの出現時の当選期待値を遊技者ごとに集計して記憶し、前記遊技媒体貸出装置は、遊技者を特定する特定手段を備え、当該遊技者の前記演出パターンの当選期待値を前記記憶手段から取得して前記表示部に表示することを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記遊技システムにおいて、前記遊技媒体貸出装置の表示部を、前記遊技機に設け、前記遊技機のサブ基板の出力部の信号を前記表示部に入力し、当該表示部から前記遊技機の外に設けた前記遊技媒体貸出装置の装置本体に出力したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、遊技機のサブ基板が、表示器に表示している演出パターンを示す表示演出データを遊技媒体貸出装置に出力する構成としたため、表示演出データの外部出力に伴いメイン基板に信号のフィードバックが生じる事が無く、メイン基板の堅牢性が維持される。特に、サブ基板は、遊技機の周辺機器である遊技媒体貸出装置に表示演出データを出力する構成であるため、表示演出データ出力の際に、遊技機から遊技媒体貸出装置以外の機器に直接信号が出力されることがなく、堅牢性をより確実に維持できる。これに加え、この表示演出データに基づいて遊技媒体貸出装置が表示演出に連動した表示を表示部に表示する構成としたため、遊技機のみならず周辺機器でも遊技演出に合わせた表示制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る遊技場システムの全体構成を示す図である。
【図2】遊技システムの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】遊技球貸出装置の機能的構成を示す図である。
【図4】表示演出キャプチャモード時の液晶表示部の表示画面の一例を示す図である。
【図5】リーチ統計テーブルの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る遊技場システム1の全体構成を示す図である。
遊技場システム1は、遊技球を遊技媒体に使用するパチンコ機2を設置した遊技場に設けられるシステムであり、複数台のパチンコ機2及びCR(Card Reader)ユニット(遊技球貸出装置)3と、精算機4と、管理コンピュータ群5とを備え、CRユニット3、精算機4及び管理コンピュータ群5のそれぞれが通信ネットワーク6に互いに通信可能に接続されている。
パチンコ機2は、遊技球を遊技媒体に使用する遊技機である。このパチンコ機2は、遊技者が、価値媒体たるプリペイド媒体22を購入、或いは、プリペイド媒体22に現金をチャージし、該プリペイド媒体22の残価値を代償として遊技球を借りて遊技する、いわゆるCR機と呼ばれる遊技機であり、パチンコ機2と、当該パチンコ機2と通信可能に接続され、プリペイド媒体22を読み取る上記CRユニット3とを備えて遊技システム7が構成され、パチンコ機2は、CRユニット3との通信により所定条件が満足された事を条件に遊技球を発射可能に構成されている。
【0013】
パチンコ機2は、遊技盤(ゲージ盤)8の前面に前面ガラス9を設け、該前面ガラス9を通じて遊技盤8の遊技領域を視認可能に構成したパチンコ機本体10を備えている。遊技盤8の遊技領域には、遊技球通過時に賞球が得られる始動口11や入賞口12、常閉状態の大入賞口(いわゆるアタッカー)13と、これら始動口11、入賞口12及び大入賞口13のいずれにも入賞しなかった遊技球(いわゆるアウト玉)を遊技領域から遊技盤8の裏側に導いて回収する回収口14と、多数の障害釘15と、始動口11への遊技球の入賞(通過)に伴い図柄を変動表示する図柄表示ユニットとしての遊技機液晶表示器16とが設けられている。
パチンコ機本体10の正面には、遊技球の貸出操作用の玉貸ボタン38A、プリペイド媒体22の返却(遊技終了の指示)操作用の遊技終了ボタン38B、遊技機液晶表示器16での表示演出時などに操作入力するプッシュボタン38C等の各種操作ボタンが設けられている。
またパチンコ機本体10の右下には、遊技球を遊技盤8の遊技領域に1発ずつ所定の時間間隔で発射する遊技球発射ハンドル17が設けられている。遊技球発射ハンドル17の操作に伴って発射された遊技球が始動口11を通過したことを契機にパチンコ機2は特賞の当落抽選を行うとともに、遊技機液晶表示器16に図柄を後述する表示演出を伴って変動表示し、停止図柄により当落抽選結果を遊技者に通知する。また当選時には、パチンコ機2は、大入賞口13を開放して遊技球が入賞し易い状態とすることで遊技者に持玉を増やす機会を与える。
【0014】
ここで、このパチンコ機2は、所定個数(例えば25個)の遊技球をパチンコ機本体10に封入し、これらの遊技球をパチンコ機本体10の中で循環利用する封入球式の遊技機として構成されている。具体的には、パチンコ機2は、遊技盤8に発射され、入賞口12等に入賞した遊技球(いわゆるセーフ玉)及び回収口14に回収された遊技球(いわゆるアウト玉)をそれぞれ遊技盤8の裏側に回収し、発射位置に還流する循環流路(図示せず)を有し、当該循環流路内に所定個数の遊技球を封入して、封入した遊技球を繰り返して遊技領域に発射することで遊技を行うように構成されている。封入球式のパチンコ機2においては、パチンコ機本体10の外部から遊技球を補充する必要がないため、パチンコ機本体10の正面に、遊技球を一時的に貯留するいわゆる上皿や、上皿からパチンコ機本体10の内部に遊技球を捕球する捕球口、上皿に賞球を排出する排出口等は設けられておらず、かかる上皿等が従来配設された箇所(すなわち、前面ガラス9の下)には、タッチ液晶モジュール20が設けられている。
タッチ液晶モジュール20は、パチンコ機本体10の台枠に組み込まれたタッチ操作可能な表示ユニットであり、後に詳述するが、CRユニット3の操作部及び表示部として機能する。
【0015】
CRユニット3は、各パチンコ機2の片側に配置され互いに通信可能に接続されており、プリペイド媒体22の残価値がゼロでない事を条件に、玉貸ボタン38Aの操作に応じてパチンコ機2に遊技球の貸出指示信号を出力する。プリペイド媒体22の残価値は、管理コンピュータ群5(より正確には後述するプリペイドシステム管理コンピュータ42)に管理されており、CRユニット3は、玉貸完了時に、管理コンピュータ群5との間で貸出玉数に応じてプリペイド媒体22の残価値を減じる処理を行う。なお、CRユニット3は、玉貸時における残価値の使用単位(例えば100円単位、500円単位など)や、1個の遊技球あたりの貸出単価(例えば4円/玉、1円/玉など)を予め設定可能に構成されており、遊技場側が営業形態に応じて適宜に設定・変更可能に成されている。
【0016】
プリペイド媒体22にはICを内蔵した硬貨形状のICコイン22A及びカード型の会員カード22Bが用いられている。会員カード22Bは、遊技店に会員登録している顧客に貸与される記録媒体であり、ICコイン22Aは、それ以外の顧客(いわゆる、ビジター)に貸与される記録媒体である。プリペイド媒体22には、一意に特定するための識別情報が付与されており、この識別情報と残価値とが対応付けられて管理コンピュータ群5により管理されている。
【0017】
このCRユニット3は、プリペイド媒体22の発行機能を有し、紙幣(例えば、「一万円」、「五千円」や「二千円」などの紙幣)を挿入する紙幣挿入口39、ICコイン22Aを投入するコイン投入口23、ICコイン22Aを排出するコイン排出口24、会員カード22Bを挿入する会員カード挿入口25が設けられている。
CRユニット3は、紙幣挿入口39に紙幣が挿入された場合、管理コンピュータ群5と通信して紙幣の額面に応じた価値をプリペイド媒体22に付与する処理を行う。具体的には、CRユニット3は、プリペイド媒体22として会員カード22Bが挿入されている場合には、会員カード22Bの残価値を管理する管理コンピュータ群5に対し、会員カード22Bの識別情報に投入金額分の価値を付与する旨を通知する。これにより、会員カード22Bへのプリペイド残高のチャージが行われる。また、会員カード22Bが挿入されていない場合には、CRユニット3は、新規にICコイン22Aを発行するとともに、ICコイン22Aの残価値を管理する管理コンピュータ群5に対し、このICコイン22Aの識別情報に投入金額分の価値を付与する旨を通知する。これにより、会員カード22Bを持たない遊技者に、プリペイド媒体22としてのICコイン22Aが新規に発行される。
【0018】
CRユニット3は、プリペイド媒体22が投入されている間、その残価値をタッチ液晶モジュール20に表示し、玉貸ボタン38Aの操作により玉貸が行われるごとに、残価値を減算更新し、また更新後の残価値をタッチ液晶モジュール20に表示する。また、CRユニット3は、遊技終了ボタン38Bが操作されたときには、プリペイド媒体22を排出するとともに、プリペイド媒体22の識別情報と残価値とを管理コンピュータ群5に送信し、これにより、CRユニット3から排出されたときのプリペイド媒体22の最終的な残価値が管理コンピュータ群5に記録される。
精算機4は、プリペイド媒体22の残価値を精算する装置であり、この精算機4には、ICコイン22Aのコイン投入口26及び会員カード22Bのカード挿入口27が設けられている。精算機4は、プリペイド媒体22が投入された場合、残価値を上記管理コンピュータ群5に問い合わせ、残価値に応じた金額を払い出す。精算機4は、金額払出完了後に、その旨を管理コンピュータ群5に通知し、管理コンピュータ群5が、そのプリペイド媒体22の残価値として記録している値をクリアすることで精算が完了する。
【0019】
この遊技場システム1においては、パチンコ機2ごとにデータ表示器28を備えている。データ表示器28は、対応するパチンコ機2の過去営業日の大当たり情報や、当日の大当たり回数、前回大当たりからの図柄変動回数(当落抽選回数)といった遊技情報を表示する表示パネル29を有する。かかる遊技情報は、CRユニット3から入力されて表示される。またデータ表示器28には、表示パネル29の他にも、遊技場のホールスタッフを呼び出す呼出ボタン30や、パチンコ機2の大当たり状態や確率変動遊技状態、時短遊技状態等の所定の遊技状態を報知するランプ31等が設けられている。かかる呼出ボタン30は、パチンコ機2に設けたタッチ液晶モジュール20にもタッチ操作ボタンとして設けられている。当該タッチ操作ボタンが操作された場合、かかる操作がCRユニット3にタッチ液晶モジュール20から出力され、CRユニット3からデータ表示器28にランプ31の点灯指示が出力されて当該ランプ31が点灯するとともに、上記管理コンピュータ群5に対してコール情報がパチンコ機2の識別情報(例えば台番号)と一緒に通知される。
【0020】
管理コンピュータ群5は、ホールコンピュータ40と、顧客管理サーバ41と、プリペイドシステム管理コンピュータ42と、持玉管理サーバ43と、遊技データサーバ99とを備えている。
ホールコンピュータ40は、各パチンコ機2での差玉数やエラー状況、大当たり回数等の遊技情報を中枢的に管理するコンピュータであり、パチンコ機2の遊技情報をCRユニット3から通信ネットワーク6を介して取得して管理する。
【0021】
顧客管理サーバ41は、会員登録した顧客を管理するコンピュータであり、顧客の氏名や年齢、性別、職業、携帯電話番号、会員番号、サービス利用のための暗証番号、会員カード22Bの識別情報、顧客が遊技場に預けている再遊技可能な遊技媒体数(いわゆる貯玉数)、遊技履歴に係る情報(例えば、後述するリーチ統計テーブル98(図5))を管理する。CRユニット3は、会員カード22Bが挿入された場合、タッチ液晶モジュール20に暗証番号入力画面を表示して入力を促し、入力された暗証番号及び会員カード22Bの識別情報の正当性を顧客管理サーバ41に問い合わせる。CRユニット3は、これらの正当性が顧客管理サーバ41によって認められた場合に、当該顧客管理サーバ41から貯玉数を取得し、タッチ液晶モジュール20に表示する。またCRユニット3は貯玉が使用されるごとに顧客管理サーバ41に貯玉使用数を送信し、これにより顧客管理サーバ41が当該顧客の貯玉数を減算更新する。また、顧客の持玉を貯玉に変える指示が図示せぬ景品カウンター等に設置したコンピュータ等から顧客管理サーバ41に入力された場合に、顧客管理サーバ41が当該顧客の貯玉数を加算更新する。
【0022】
プリペイドシステム管理コンピュータ42は、プリペイド媒体22としてのICコイン22A及び会員カード22Bの各識別情報と残価値を対応付けて記憶し、これらの残価値を管理するコンピュータである。CRユニット3は、プリペイド媒体22が投入されたときには、当該プリペイド媒体22の識別情報に対応する残価値をプリペイドシステム管理コンピュータ42に問い合わせ、応答により得られた残価値をタッチ液晶モジュール20に度数表示する。
プリペイド媒体22の残価値は、CRユニット3でのチャージによって増加し、また玉貸によって減少し、プリペイドシステム管理コンピュータ42は、これらチャージ及び玉貸しに応じて残価値を更新する。すなわち、CRユニット3が残価値をプリペイド媒体22にチャージした場合には、プリペイドシステム管理コンピュータ42は、チャージされた残価値を識別情報とともに取得して残価値を加算更新する。玉貸ボタン38Aの操作に応じてCRユニット3が玉貸を行った場合には、プリペイドシステム管理コンピュータ42は、かかる玉貸の代償価値をプリペイド媒体22の識別情報とともに取得して残価値を減算更新する。
このプリペイドシステム管理コンピュータ42には、上述した精算機4が通信ネットワーク6を介して接続されており、精算機4は、プリペイド媒体22が投入された場合には、精算機4がプリペイド媒体22の残価値をプリペイドシステム管理コンピュータ42に問い合わせて、残価値に応じた金額払い出し等の精算を行う。
【0023】
持玉管理サーバ43は、遊技者の持玉数を管理するコンピュータである。具体的には、持玉管理サーバ43は、遊技者の持玉数を、投入されているプリペイド媒体22の識別情報とともに通信ネットワーク6を介してCRユニット3から取得して管理する。遊技者は、獲得当日に限り、持玉を遊技に使用することができ、CRユニット3は、プリペイド媒体22が投入されたときには、当該プリペイド媒体22の識別情報に対応する持玉数を持玉管理サーバ43に問い合わせ、応答により得られた持玉数をタッチ液晶モジュール20に表示する。このときCRユニット3は、持玉を使って遊技球の払い出しを受けるための持玉使用ボタンをタッチ液晶モジュール20に表示し、当該持玉使用ボタンが操作された場合には、所定玉数の遊技球の払出指示信号をパチンコ機2に出力するとともに、持玉管理サーバ43に対してプリペイド媒体22の識別情報とともに使用持玉数を送信する。持玉管理サーバ43は、使用持玉数を取得すると、対応するプリペイド媒体22の持玉数を減算更新する。また、CRユニット3は、プリペイド媒体22の排出時には、持玉管理サーバ43に対してプリペイド媒体22の識別情報とともに最終的な持玉数を送信し、この持玉数が持玉管理サーバ43に記録される。
【0024】
遊技データサーバ99は、パチンコ機2の機種ごとに固有の固有データを記憶し、CRユニット3の要求に応じて配信する。この固有データには、例えば遊技説明をタッチ液晶モジュール20に表示するための遊技説明データや、リーチ演出ごとの大当たり信頼度等が含まれている。遊技データサーバ99が、メーカーや他の配信業者等から例えばインターネットを通じて固有データの配信を受ける構成とすることで、当該固有データを逐次更新することができる。また、遊技データサーバ99には、上記固有データの他にも、パチンコ機2の機種ごとの客層や遊技時間などの統計情報が格納される。
なお、管理コンピュータ群5が、管理目的に応じて上記の他のコンピュータを備えても良いし、幾つかのコンピュータ或いはサーバの機能を1台のコンピュータ或いはサーバで構成しても良いことは勿論である。
【0025】
この遊技場システム1においては、遊技者が持玉を景品や貯玉に交換可能になされている。すなわち、遊技者が景品カウンター(図示せず)等で持玉を景品や貯玉に交換した場合、当該景品カウンターのコンピュータから持玉を交換した旨が、プリペイド媒体22の識別情報とともに持玉管理サーバ43に入力され、持玉管理サーバ43がプリペイド媒体22の識別情報に対応する持玉数を減算更新することで交換が完了する。なお、持玉を貯玉に交換するときには、顧客管理サーバ41に、貯玉数がプリペイド媒体22の識別情報とともに送信され、管理されている貯玉数が加算更新される。また遊技場の営業日の終了時に、持玉がゼロでない会員カード22Bが持玉管理サーバ43に記録されている場合に、当該持玉管理サーバ43が顧客管理サーバ41に記録を転送し、当該顧客管理サーバ41が管理する会員カード22Bの貯玉に持玉を加算することで、自動で振り替えるようにしても良い。
【0026】
図2は、遊技システム7の電気的構成を示すブロック図である。
パチンコ機2は、図2に示すように、主基板に分類される遊技機メイン基板53及び払出制御基板54と、主基板に対する周辺基板である演出用サブ基板51及び発射制御基板52とを備えている。主基板は、当落抽選及び遊技球の獲得に影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがある機能を有する回路を実装した基板である。
遊技機メイン基板53は、入賞に伴う賞球の払出指示や特賞の当落を抽選する回路を備えた基板である。具体的には、パチンコ機2は、始動口11、入賞口12及び大入賞口13のそれぞれに遊技球の入賞を検知する入賞検知センサ55を備え、検知信号が遊技機メイン基板53に出力される。遊技機メイン基板53は、始動口11、入賞口12及び大入賞口13ごとに賞球数を対応付けて記憶する入賞口別賞球数記憶部53Aを備え、入賞口への入賞が検知されるごとに、当該入賞口に応じた数の賞球の払い出しを指示する賞球払出指示信号を払出制御基板54に出力し、また遊技盤8に賞球数別に設けた賞球通知灯56を点灯する。
【0027】
また遊技機メイン基板53は、始動口11への入賞の検知を契機として特賞の当落抽選を行い、当落抽選結果を図柄表示部(いわゆる、特別図柄表示器)59に表示する。図柄表示部59は、遊技盤8に視認可能に設けられ、例えば7セグメント表示器や多数のLEDランプにより構成されており、表示図柄(7セグ表示や点灯LEDランプの組み合わせ)によって当落抽選結果を表示する。図柄表示部59では、当落抽選結果を示す表示図柄が、遊技機メイン基板53が都度決定する時間の変動表示を経て表示される。また、遊技機メイン基板53は、遊技機液晶表示器16や音源、ランプ等により当落抽選結果に応じた遊技演出を行うべく、どういった演出を行うかを指定し、また図柄の変動時間(当落抽選結果の表示タイミング)等を指定する演出指示信号を、当落抽選結果を示す大当たり発生信号とともに演出用サブ基板51に出力する。
【0028】
払出制御基板54は、遊技球の払出及び発射を管理するものである。このパチンコ機2は、上述の通り、封入球式の遊技機として構成されているため、遊技中にパチンコ機2の外から遊技球が投入されることはなく、当該遊技球の実際の投入に代えて、発射可能な遊技球の投入がデジタルデータ上で行われる。
すなわち、払出制御基板54は、遊技者が発射可能な遊技球の残数(以下、「発射可能玉数」と言う)を記憶する遊技機管理発射可能玉数記憶部54Aを備え、発射可能玉数が「ゼロ」でない事を条件に、遊技球の発射を許可する発射許可信号を後述する発射制御基板52に出力する。払出制御基板54は、CRユニット3から貸出指示信号が入力された場合、所定貸玉個数の遊技球数の投入に代えて、当該所定貸玉個数分を発射可能玉数に加算する。
【0029】
また、払出制御基板54には、発射可能玉数の増減を管理可能にすべく、回収口14に回収されたアウト玉を検知するアウト玉検知センサ57、発射後遊技領域に到達しなかった遊技球であるファウル玉を検知するファウル玉検知センサ58、及び、発射された遊技球を検知する1或いは複数の発射球検知センサ64(図示例では1つ)のそれぞれの検知信号が入力される。そして、払出制御基板54は、遊技機メイン基板53から賞球払出指示信号を受けるごと、ファウル玉が検知されるごと、及びCRユニット3から貸出指示信号のいずれかが入力されるごとに発射可能玉数を加算更新し、また発射球検知センサ65の検知信号が入力されるごとに発射可能玉数を減算更新することで発射可能玉数を(すなわち遊技者の持玉数)を管理し、また、この発射可能玉数を遊技盤8に設けた玉数表示灯60に常時表示する。
なお、アウト玉検知センサ57及びファウル玉検知センサ58の出力を遊技機メイン基板53に入力し、当該遊技機メイン基板53から払出制御基板54に出力する構成としても良い。
上記発射制御基板52は、発射許可信号が払出制御基板54から入力されている事を条件に、遊技球発射ハンドル17の操作に応じて遊技球を遊技領域に向けて発射するとともに、遊技球の発射が可能か否かを示す発射状態信号を払出制御基板54に出力する。
【0030】
演出用サブ基板51は、遊技機メイン基板53の演出指示信号に基づいて、遊技機液晶表示器16や図示せぬ音源、台枠ランプを制御して、当落抽選結果に応じた遊技演出を行う回路を搭載した基板であり、遊技機メイン基板53に対して信号を出力することはなく、その動作が遊技機メイン基板53の当落抽選結果に影響を及ぼす事がないように構成されている。
遊技演出について、遊技機液晶表示器16での表示演出を例にして説明すると、遊技機液晶表示器16では、図柄表示部59の図柄変動に合わせて図柄(装飾図柄とも呼ばれる)を変動表示し、また大当たり発生時には大当たり遊技の進行に合わせて画像を表示するなどして表示演出を行う。図柄の変動開始から大当たり発生までの間に行われる代表的な表示演出としては、予告演出及びリーチ演出があり大当たり発生時には大当たり演出が行われる。予告演出とは、リーチや大当たりなどの特定の状態に至るまでの前兆となる演出を指し、またリーチ演出とは、主に大当たりの前段階に発生する演出である。これら予告演出及びリーチ演出のそれぞれには、複数種類の演出パターンが予め用意されている。例えばリーチ演出においては、いわゆる複数種類のノーマルリーチや複数種類のスーパーリーチが予め容易され、リーチ演出実行時には、いずれか1のリーチ演出パターンが用いられる。そして、予告演出及びリーチ演出ごとに、演出パターンを適宜選択して組み合わせることで、図柄変動中の単調さを緩和させている。
【0031】
このとき、予告演出及びリーチ演出で使用される演出パターンは、遊技機メイン基板53の抽選によって決定される。予告演出及びリーチ演出の各演出パターンには、特賞(大当たり)当選時や外れ時のそれぞれで、出現率が設けられている。例えば、演出パターンの出現率を、当選時に高くし外れ時には低く設定することで、この演出パターン発生時の大当たりの期待値が高くなり、当該演出パターン発生により遊技者に大当たり発生の期待感を持たせられる。
演出用サブ基板51は、各表示演出に用いる画像データを記憶する演出データ記憶部51Aを備え、遊技機メイン基板53の演出指示信号及び演出の進行に合わせて画像データを演出データ記憶部51Aから順次読み出し、この画像データに基づく画像信号を遊技機液晶表示器16に出力して、遊技機液晶表示器16に表示させる。
【0032】
またパチンコ機2は、上述した部材の他にも、図2に示すように、外部端子板61、貸出装置接続基板62を備え、さらに、上述したタッチ液晶モジュール20が組み込まれている。
外部端子板61は、大当たり発生を示す大当たり信号、図柄表示部59での図柄の変動停止を示す図柄停止信号、賞球数を示す賞球信号、アウト玉検知を示すアウト玉信号、ファウル玉検知を示すファウル玉信号等の各種信号をパチンコ機2から周辺機器に出力するための端子板である。周辺機器にあっては、大当たり信号及び図柄変動停止信号を取得することで、大当たり発生や大当たり発生回数、図柄変動回数を特定でき、また、アウト玉信号、ファウル玉信号及び賞球信号に基づいて、払出制御基板54とは別に差玉を求めることができる。本実施形態では、外部端子板61がCRユニット3に接続されており、当該CRユニット3は、払出制御基板54とは別に、差玉に基づいて持玉数を管理している。
【0033】
貸出装置接続基板62は、CRユニット3と接続するための基板であり、貸出装置接続基板62を介してCRユニット3からパチンコ機2に貸出指示信号(持玉使用時にあっては払出指示信号)が出力され、また、玉貸し/払出しが正常に完了したか否かを示す貸出(払出)結果信号がパチンコ機2からCRユニット3に入力される。
タッチ液晶モジュール20は、CRユニット3により制御されて当該CRユニット3の表示部及び操作部として機能する。すなわち、CRユニット3が遊技球貸出装置の装置本体に相当し、タッチ液晶モジュール20が遊技球貸出装置の表示部及び操作部に相当し、これらによって遊技球貸出装置63が構成される。
【0034】
図3は、遊技球貸出装置63の機能的構成を示す図である。
CRユニット3は、メイン基板80と、ICコイン22Aを読み書きするコインR/W81と、会員カード22Bを読み書きするカードR/W82と、ワンセグ放送(ワンセグ:携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス)を受信してタッチ液晶モジュール20に表示するワンセグ受信回路83と、例えば携帯電話機等の赤外線通信対応機器との間で赤外線通信してデータを送受する赤外線通信回路84と、パチンコ機2側とデータ送受可能に接続される遊技機側外部入出力接続基板85と、通信ネットワーク6及びデータ表示器28とデータ送受可能に接続されるホール側外部入出力接続基板86とを備えている。
【0035】
メイン基板80は、各部を中枢的に制御するメイン制御汎用CPU87を備え、上記ICコイン22A及び会員カード22Bのデータの読み書き、通信ネットワーク6を介した管理コンピュータ群5とのデータの送受等の制御、パチンコ機2に対する玉貸制御の他、遊技中におけるプリペイド媒体22の残価値、持玉及び再プレイ可能玉数(貯玉数)を管理する。
詳述すると、メイン制御汎用CPU87は、キャッシュメモリを備え、当該キャッシュメモリを用いて、プリペイド残価値記憶部88、貸出装置管理持玉数記憶部89、再プレイ可能玉数記憶部90、及び遊技機管理残玉数記憶部91として機能する。
プリペイド残価値記憶部88は、プリペイド媒体22の残価値を記憶するものであり、プリペイド媒体22の投入時、或いは発行時にプリペイドシステム管理コンピュータ42から取得した残価値を初期値として記憶し、玉貸操作に伴って残価値を減算更新し、またチャージ操作に伴って加算更新する。
貸出装置管理持玉数記憶部89は、CRユニット3がパチンコ機2から受信した各種信号に基づいて遊技者の持玉数(以下、「貸出装置管理持玉数」と言う)を算出し記憶するものである。すなわち、CRユニット3は、遊技球の貸出操作や貯玉、持玉の払出操作ごとに、貸出玉数又は払出玉数を貸出装置管理持玉数に加算し、またアウト玉信号に基づいて貸出装置管理持玉数を減算更新し、さらにファウル玉信号及び賞球信号に基づいて貸出装置管理持玉数を加算更新する。この貸出装置管理持玉数は、図2に示すように、タッチ液晶モジュール20にリアルタイムに表示される。
【0036】
ここで、パチンコ機2においても、上述の通り、払出制御基板54が持玉数を計数しており、この計数値が遊技機管理発射可能玉数記憶部54Aに記憶される。パチンコ機2が管理している遊技機管理残玉数は、発射制御基板52から遊技球発射を示す信号を受けるごとに減算更新されるのに対し、CRユニット3が管理している貸出装置管理持玉数は、アウト玉の検知信号に基づいて減算更新されるため、貸出装置管理持玉数の減算更新タイミングが遊技機管理残玉数よりも遅くなる。そこで、遊技終了ボタン38Bの操作に伴って持玉数を持玉管理サーバ43に通知する際には、CRユニット3はパチンコ機2から遊技機管理残玉数を取得して上記遊技機管理残玉数記憶部91に記憶し、この遊技機管理残玉数を持玉管理サーバ43に通知することで、正確な持玉数を記録することとしている。遊技終了ボタン38Bの操作時には、この遊技機管理残玉数もタッチ液晶モジュール20に表示される。
【0037】
再プレイ可能玉数記憶部90は、遊技者の貯玉数を記憶するものであり、会員カード22Bの挿入後パスワード認証正常終了時に、顧客管理サーバ41から取得した貯玉数を初期値として記憶し、貯玉の払出操作に伴って貯玉数を減算更新する。この貯玉数は、タッチ液晶モジュール20に再プレイ可能玉数として表示され、遊技終了ボタン38Bの操作時に、再プレイ可能玉数記憶部90に記憶されている貯玉数が顧客管理サーバ41に送信されて記録される。
【0038】
また、CRユニット3は、パチンコ機2の遊技機液晶表示器16で行われている表示演出に係るデータ(以下、「表示演出データ」と言う)をタッチ液晶モジュール20から取得可能に構成されている。この表示演出データには、遊技機液晶表示器16で行われている表示演出の演出パターン、及び表示演出時の画像である表示演出画像が含まれている。表示演出の演出パターンは、上述の通り、予告演出やリーチ演出、大当たり演出ごとにパチンコ機2に予め設けられた演出パターン(表示演出の態様)である。CRユニット3には、上記表示演出データを取得することで、表示演出に連動してタッチ液晶モジュール20の表示画面を制御する表示演出連動制御部92が設けられている。
【0039】
詳述すると、タッチ液晶モジュール20は、図3に示すように、液晶パネル70及びタッチパネル71を含むタッチ操作可能な液晶表示部72と、液晶表示部72を制御する操作表示制御基板73と、演出用サブ基板51との接続インターフェースであるサブ基板I/F74と、CRユニット3との接続インターフェースであるCRユニットI/F75とを備えている。
さらに操作表示制御基板73は、液晶表示部72を中枢的に制御する操作表示制御部78と、操作表示制御部78の制御にしたがって液晶パネル70を駆動する液晶駆動部76と、タッチパネル71のタッチ操作を検出して操作表示制御部78に出力するタッチパネル駆動部77とを備えている。
【0040】
このタッチ液晶モジュール20には、CRユニットI/F75を介して、CRユニット3から液晶表示部72の表示画像を制御する画像表示制御信号Sgが入力されており、操作表示制御部78は、この画像表示制御信号Sgに基づいて液晶パネル70に画像を表示する。また、液晶表示部72に対するタッチ操作は、操作表示制御部78からCRユニットI/F75を介してCRユニット3にタッチ操作入力信号Stとして出力され、当該CRユニット3にタッチ操作が入力される。すなわち、このタッチ液晶モジュール20は、パチンコ機2に組み込まれているものの、その表示動作はCRユニット3によって制御され、なおかつ、入力操作はCRユニット3に出力されており、CRユニット3の表示部及び操作部として構成されている。
【0041】
また演出用サブ基板51は、上記表示演出データを伝送する表示演出信号Seをタッチ液晶モジュール20に出力する出力部51Bが設けられている。この出力部51Bが出力する表示演出信号Seがサブ基板I/F74からタッチ液晶モジュール20に入力されている。この表示演出信号Seには、演出用サブ基板51から遊技機液晶表示器16に出力される画像信号に基づく信号である液晶画像スルー信号と、この画像信号によって行われる表示演出の演出パターンを示す演出パターン信号とが含まれている。操作表示制御部78は、上記表示演出信号Seのうち、演出パターン信号をCRユニット3に出力し、また、CRユニット3の指示の下、液晶画像スルー信号に基づいて、遊技機液晶表示器16と同じ表示を液晶表示部72に適宜の表示サイズに調整して表示する。
【0042】
上記演出パターン信号は、CRユニット3が演出パターンを一意に特定した信号である。すなわち、上記遊技データサーバ99には、演出パターン信号と演出パターンとを一対一に対応付けた演出対応付けデータが予め格納されており、CRユニット3は、遊技データサーバ99のデータを参照し、或いは遊技データサーバ99から予め取得して、タッチ液晶モジュール20から受信した演出パターン信号に基づいて、遊技機液晶表示器16で行われている表示演出の演出パターンを特定する。
【0043】
CRユニット3は、演出パターン信号が大当たり演出を示す場合には、当該表示演出に連動した表示制御を行うべく、表示演出連動制御部92がタッチ液晶モジュール20を制御して、液晶表示部72に例えば「大当たり」といった文字を表示する。また、表示演出連動制御部は、演出パターン信号が、遊技が行われていない間に遊技機液晶表示器16に表示する、いわゆるデモ画面演出を示している場合には、液晶表示部72に、対応するパチンコ機2の遊技説明や大当たり履歴等を表示する。この遊技説明のデータは、上記遊技データサーバ99から取得され、また、大当たり履歴は、ホールコンピュータ40から取得される。なお、遊技機液晶表示器16に電飾用ランプを設けて、大当たり発生時には、これらの電飾用ランプを点灯・点滅させ、また音楽等の音声を出力して遊技者の気分を盛り上げる構成としても良い。
【0044】
ここで、この遊技球貸出装置63は、動作モードとして、演出用サブ基板51が出力する表示演出信号Seに基づいて、遊技機液晶表示器16でのリーチ演出をキャプチャ可能にする表示演出キャプチャモードを備えている。表示演出キャプチャモードへの移行は、液晶表示部72に対するタッチ操作等の遊技者の操作を契機に行われる。
【0045】
図4は、表示演出キャプチャモード時の液晶表示部72の表示画面95の一例を示す図である。
この図に示すように、表示演出キャプチャモードにおいては、表示画面95に、表示演出画像Pと、キャプチャボタン96A、破棄ボタン96B、送信ボタン96C、モード終了ボタン96D、及びリーチ信頼度表示欄96Eが表示される。
表示演出画像Pは、遊技機液晶表示器16に表示されている画像と同じ画像であり、上記液晶画像スルー信号に基づいて表示される。キャプチャボタン96Aは表示演出画像Pのキャプチャを指示するタッチ操作ボタンであり、破棄ボタン96Bはキャプチャ画像の破棄を指示するタッチ操作ボタンであり、送信ボタン96Cはキャプチャ画像を赤外線通信回路84により送信することを指示するタッチ操作ボタンであり、また、モード終了ボタン96Dは表示演出キャプチャモードの終了を指示するタッチ操作ボタンである。
【0046】
CRユニット3は、キャプチャボタン96Aのタッチ操作が入力された場合、操作表示制御部78に、そのときの表示演出画像Pをキャプチャさせ、タッチ液晶モジュール20が備える図示せぬバッファメモリ等に蓄積させ、また、キャプチャ画像を表示演出画像Pとして表示画面95に表示させる。またCRユニット3は、破棄ボタン96Bのタッチ操作が入力された場合、操作表示制御部78にバッファメモリからキャプチャ画像を消去させる。送信ボタン96Cがタッチ操作された場合、CRユニット3は、操作表示制御部78にバッファメモリからキャプチャ画像をCRユニット3に送信させ、赤外線通信回路84を制御して赤外線通信により送信する。またモード終了ボタン96Dがタッチ操作された場合には、CRユニット3は、表示演出キャプチャモードを終了し、これに伴い、液晶表示部72の表示画面95を、通常時の表示画面に戻す。
【0047】
なお、表示演出キャプチャモードにおいて、操作表示制御部78が一定枚数分の表示演出画像Pを順次バッファメモリに蓄積し、キャプチャボタン96Aがタッチ操作されたときに、当該タッチ操作時、及びその前後の表示演出画像Pを含む複数枚の画像をキャプチャ画像として液晶表示部72に表示する構成とし、遊技者がタッチ操作等で所望のキャプチャ画像を選択可能にしても良い。これにより、遊技者は、キャプチャボタン96Aの操作が多少ずれたとしても、所望の表示演出画像Pを得ることができ、キャプチャ操作に気を捕らわれることなく表示演出を楽しむことができる。なお、バッファメモリに蓄積する表示演出画像Pの枚数は固定値であっても良く、また一定の上限範囲内(バッファメモリの容量等)で遊技者が設定可能にしても良い。
また、表示演出キャプチャモードにおいて、操作表示制御部78が過去にキャプチャしたキャプチャ画像(バッファメモリに蓄積されているキャプチャ画像)を表示画面95に一覧表示し、赤外線通信により送信する画像を遊技者が選択する構成としても良い。また、赤外線通信に限らず、CRユニット3に非接触ICカードと通信する非接触IC通信回路を設け、遊技者が所持する非接触ICカードに送信する構成としても良い。また、遊技場システム1に、インターネット通信可能なサーバコンピュータを設け、当該サーバコンピュータを介してCRユニット3がキャプチャ画像を、予め設定された電子メールアドレス(例えば会員登録時に設定された遊技者の電子メールアドレス)に、電子メールに添付して送信する構成としても良い。
さらに、遊技場側が複数のリーチ演出を予め選定しておき、これらのリーチ演出のキャプチャ画像の取得数に応じて遊技場側が遊技者に特典(例えば、パチンコ機2のプレミアム演出時の画像や動画を所定のサーバからダウンロードできる等)を与える、といったサービスも考え得る。
【0048】
このように、遊技者は、リーチ演出をキャプチャして自身の携帯電話機等に赤外線通信により無線で送信できるため、自身が成立させたリーチ演出を簡単にコレクションすることができる。
特に、本実施形態では、液晶表示部72の表示画面95の中に、表示演出画像Pとキャプチャボタン96Aとが同時に表示されているため、遊技機液晶表示器16を見なくとも、液晶表示部72に映し出されている表示演出画像Pを見ながら所望の瞬間の表示演出画像Pを、近くに表示されているキャプチャボタン96Aを操作して簡単にキャプチャすることができる。
【0049】
図4に示すリーチ信頼度表示欄96Eは、遊技機液晶表示器16で行われているリーチ演出の信頼度(大当たりが発生する期待値(当選期待値))を、「カタログデータ」、「ホール内」、「個人」に分けて表示する欄である。カタログデータは、パチンコ機2のメーカーが公表している公表値であり、かかる公表値データは、管理コンピュータ群5の上記遊技データサーバ99に格納されており、通信ネットワーク6を介してCRユニット3が取得可能に構成されている。「ホール内」及び「個人」は、そのリーチ演出が過去に出現したときに大当たりが発生した割合を示す統計値であり、「ホール内」は遊技場内の全体の統計値、「個人」は、遊技者個人の統計値である。
【0050】
詳述すると、各CRユニット3は、リーチ演出発生の都度、そのリーチ演出の演出パターンと、大当たり発生の有無を遊技データサーバ99に送信し、また、顧客管理サーバ41には、会員カード22Bが挿入されている事を条件に、リーチ演出の演出パターン及び大当たり発生の有無に、会員カード22Bの識別情報を加えて送信する。
遊技データサーバ99には、図5に示すように、リーチ演出の演出パターンごとに、出現回数、そのリーチ演出で大当たりが発生した大当たり発生回数、大当たり発生回数を出現回数で除して得られる大当たり期待値の統計値を記録するリーチ統計テーブル98が記憶されており、演出パターンと大当たり期待値とを対応付けて記憶する記憶手段として機能する。遊技データサーバ99は、各CRユニット3からリーチ演出の演出パターン及び大当たり発生の有無を取得するごとに、リーチ統計テーブル98を更新する。これにより、遊技場内の各パチンコ機2での遊技結果に基づいて演出パターンごとに大当たり期待値が算出される。また、顧客管理サーバ41にあっては、上記リーチ統計テーブル98が会員カード22Bの識別情報ごとに設けられており、遊技データサーバ99と同様に、各CRユニット3からリーチ演出の演出パターン及び大当たり発生の有無を取得するごとにリーチ統計テーブル98を更新し、演出パターンの大当たり期待値を会員個人ごとに集計する。
【0051】
またCRユニット3は、演出パターン信号をタッチ液晶モジュール20から受信すると、当該演出パターンがリーチ演出か否かを判断し、リーチ演出の場合には、遊技データサーバ99及び顧客管理サーバ41のそれぞれから、リーチ演出の演出パターンに対応する大当たり期待値を取得し、図4に示すリーチ信頼度表示欄96Eに表示する。
これにより、遊技者は、自身が成立した演出パターンの大当たり実績を把握でき、また他者との対比において客観的に評価することができる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、本実施形態によれば、パチンコ機2の演出用サブ基板51が、遊技機液晶表示器16に表示している演出パターンを示す表示演出データを、遊技球貸出装置63のタッチ液晶モジュール20に出力する構成としたため、表示演出データの外部出力に伴い遊技機メイン基板53に信号のフィードバックが生じる事が無く、当該遊技機メイン基板53の堅牢性が維持される。
【0053】
特に、演出用サブ基板51は、パチンコ機2の周辺機器である遊技球貸出装置63に表示演出データを出力する構成であるため、表示演出データ出力の際に、パチンコ機2から遊技球貸出装置63以外の機器に直接信号が出力されることがなく、堅牢性をより確実に維持できる。これに加え、この表示演出データに基づいて遊技球貸出装置63が表示演出に連動した表示をタッチ液晶モジュール20の液晶表示部72に表示する構成としたため、パチンコ機2のみならず遊技球貸出装置63でもパチンコ機2の遊技演出に合わせて、例えば、デモ画面演出時には遊技説明を表示したり、大当たり演出中には、当該大当たりを通知する表示をする等して遊技者にとって有益な情報の表示を行う表示制御を行うことができる。
【0054】
また本実施形態によれば、遊技球貸出装置63は、表示演出データに基づいて遊技機液晶表示器16に出力されている表示演出画像Pと同じ画像を液晶表示部72に表示するとともに、この液晶表示部72に表示している表示演出画像Pをタッチ液晶モジュール20のタッチ操作に応じてキャプチャして出力する構成とした。
この構成により、遊技者は、自身が成立させたリーチ演出を簡単にキャプチャしコレクションすることができる。このとき、表示演出画像Pの出力は、遊技球貸出装置63から行われるため、表示演出画像Pの出力に際し、パチンコ機2と遊技者所有の機器との間で直接通信が行われることがないため、堅牢性が維持できる。
【0055】
また本実施形態によれば、演出パターン発生時には、遊技者の当該演出パターンの大当たり期待値を液晶表示部72に表示する構成としたため、遊技者は、自身が成立した演出パターンの大当たり実績を把握し、また「カタログデータ」や「ホール内」の大当たり期待値も同時に表示することで、その演出パターンの大当たり実績を他者との対比において客観的に評価することができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、遊技球貸出装置63のタッチ液晶モジュール20を、パチンコ機2に組み込み、このパチンコ機2の演出用サブ基板51の出力部51Bの信号をタッチ液晶モジュール20に入力し、当該タッチ液晶モジュール20から遊技球貸出装置63の装置本体であるCRユニット3に出力する構成とした。
この構成によれば、演出用サブ基板51から周辺機器である遊技球貸出装置63に信号出力するに際し、出力信号がパチンコ機2の外を経由させずに遊技球貸出装置63に直接入力することができ、演出用サブ基板51と遊技球貸出装置63との通信ラインに対する不正を防止することができる。
【0057】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0058】
例えば、上述した実施形態では、パチンコ機2に、玉貸ボタン38Aや遊技終了ボタン38B、プッシュボタン38C等の各種操作ボタンを設ける構成としたが、これに限らず、タッチ液晶モジュール20のタッチパネル71を、これらのタッチ操作ボタンとして用いても良い。この場合、係るタッチ操作入力が、CRユニット3の指示の下、サブ基板I/F74を介して演出用サブ基板51に出力される。
【0059】
また上述した実施形態において、大当たり発生時等の多数個数の賞球払出が連続的に発生している場合、遊技機管理残玉数が所定遊技球数(例えば25個)を超えるごとに、超えた分の差玉数を払出制御基板54からCRユニット3に対して出力し、当該CRユニット3が持玉に差玉数を加算更新して管理させる構成としても良い。
すなわち、封入球式のパチンコ機2では、封入されている遊技球数は所定個数(例えば25個)に決まっており、また外部からは補充できないため、遊技球の循環経路内で玉詰まり等が発生すると、遊技球が実際には発射されずに遊技機管理残玉数だけが減算され続ける事態が生じ得る。そこで、遊技機管理残玉数の管理上限値を、封入された遊技球数と同程度とし、管理上限値を超えた分は、CRユニット3で持玉として管理する構成とすることで、球詰まり発生時などには、管理上限値の発射動作が行われた時点で遊技球の発射が禁止されるため、遊技球が実際には発射されずに遊技機管理残玉数だけが減算され続ける、といった事態を防止できる。
払出制御基板54で管理する遊技機管理残玉数が持玉に移行する頻度が増えることで、CRユニット3が管理している貸出装置管理持玉数とのずれを抑えることができる。
【0060】
また上述した実施形態では、遊技機の一例としてパチンコ機2を例示したが、これに限らず、遊技媒体の投入を条件に、所定の抽選契機成立時に当落抽選を行う遊技機であれば、任意の遊技機に本発明を適用することができる。かかる遊技機には、例えば、遊技メダルを遊技媒体に使用し、遊技メダルの投入を条件に、操作レバーが操作された時に当落抽選を行うパチスロ機などが挙げられる。この場合には、本発明の遊技媒体貸出装置が遊技メダルをパチスロ機に貸し出す遊技メダル貸出装置に適用される。
【符号の説明】
【0061】
1 遊技場システム
2 パチンコ機(遊技機)
3 CRユニット(遊技球貸出装置本体)
4 精算機
5 管理コンピュータ群
7 遊技システム
10 パチンコ機本体
16 遊技機液晶表示器(表示器)
20 タッチ液晶モジュール(表示部、操作部)
22 プリペイド媒体(価値媒体)
22A ICコイン
22B 会員カード
40 ホールコンピュータ
41 顧客管理サーバ
42 プリペイドシステム管理コンピュータ
43 持玉管理サーバ
51 演出用サブ基板
51A 演出データ記憶部
51B 出力部
53 遊技機メイン基板
62 貸出装置接続基板
63 遊技球貸出装置(遊技媒体貸出装置)
70 液晶パネル
71 タッチパネル
72 液晶表示部
73 操作表示制御基板
78 操作表示制御部
84 赤外線通信回路
88 プリペイド残価値記憶部
89 貸出装置管理持玉数記憶部
90 再プレイ可能玉数記憶部
91 遊技機管理残玉数記憶部
92 表示演出連動制御部
95 表示画面
96E リーチ信頼度表示欄
98 リーチ統計テーブル
99 遊技データサーバ(記憶手段)
P 表示演出画像
Se 表示演出信号(表示演出データ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体の投入を条件に所定の抽選契機成立に伴って当落を抽選するメイン基板と、前記抽選の結果を当該抽選の結果に応じて決定された演出パターンの表示演出を伴って表示器に表示するサブ基板とを有する遊技機と、
前記遊技機に通信可能に接続され、価値媒体の価値に基づいて前記遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置と、
を備えた遊技システムにおいて、
前記遊技機のサブ基板は、前記表示器に表示している演出パターンを示す表示演出データを前記遊技媒体貸出装置に出力する出力部を有し、
前記遊技媒体貸出装置は、前記出力部から入力される表示演出データに基づいて、前記表示演出に連動した表示をする表示部を備えることを特徴とする遊技システム。
【請求項2】
前記表示演出データは、前記表示器に出力している画像データを含み、
前記遊技媒体貸出装置は、操作部を備え、前記表示演出データに基づいて前記表示器に出力されている画像を前記表示部に表示するとともに前記表示部に表示している前記画像を前記操作部の操作に応じてキャプチャして出力することを特徴とする請求項1に記載の遊技システム。
【請求項3】
前記演出パターンと前記当選の期待値とを対応付けて記憶する記憶手段を備え、
前記遊技媒体貸出装置は、前記出力部から入力される表示演出データに基づいて前記表示器で行われている演出パターンを特定し、当該演出パターンの当選の期待値を前記記憶手段から取得して前記表示部に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技システム。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記演出パターンの出現時の当選期待値を遊技者ごとに集計して記憶し、
前記遊技媒体貸出装置は、遊技者を特定する特定手段を備え、当該遊技者の前記演出パターンの当選期待値を前記記憶手段から取得して前記表示部に表示することを特徴とする請求項3に記載の遊技システム。
【請求項5】
前記遊技媒体貸出装置の表示部を、前記遊技機に設け、前記遊技機のサブ基板の出力部の信号を前記表示部に入力し、当該表示部から前記遊技機の外に設けた前記遊技媒体貸出装置の装置本体に出力したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の遊技システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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