説明

遊技場用システム

【課題】遊技中における有価価値が特定される記録媒体の盗難を防止しつつも、遊技の障害とならない遊技場用システムを提供する。
【解決手段】貸出機3は、発行釦16が押下操作されると、発行タイマの作動を開始して抑制状態に移行し、この抑制状態でフェリカを受付けると(C1:YES)、受付けたフェリカIDと図4のキーIDと照合し(C13)、双方のIDが一致した場合には(C13:YES)、残高カードを発行する(C11)。また、この抑制状態でキーカードを受け付けると(C6:YES)、キーカードIDがキーIDと一致するかを判定し(C8)、一致する場合には(C8:YES)、担保額を残高に加算した後(C9)、キーカードを回収し(A10)、キーカードに担保額を含む全残高を対応付けて残高カードを発行する(C11)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有価価値を記録した記録媒体を発行可能な遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場では、有価価値を対価として遊技媒体を貸出すことで遊技媒体を用いた遊技を許容している。この場合、例えばプリペイドカード等の記録媒体に予め一定量の有価価値を対応付け、記録媒体を受付けた状態での貸出操作により有価価値の一部を対価として遊技媒体を貸出す様にしている。
【0003】
さて、記録媒体を受付けた状態で遊技者が遊技機を離れると、離席時に他人が記録媒体を発行して記録媒体が盗難される虞がある。この場合、予め記録媒体を発行すれば盗難被害にあうことは無いが、その発行操作を忘れることがあるので、自動で離席状態を検知して発行禁止状態にするものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−296440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の遊技場における盗難は、特許文献1の出願時の状況と比較して、驚くべき程、悪質化しており、離席中に限らず、遊技中においても盗難する、言わば強盗紛いのケースも見受けられる。即ち、標的となる遊技者を挟むように遊技機の前に2人の不正者による窃盗団が着席し、一方の不正者が遊技者に話しかけ注意を惹きつける間に、他方の不正者が発行操作を行って記録媒体を発行し、その後、何事もなかった様に立ち去り、標的となった遊技者が次の貸出操作時に記録媒体が盗難されていたことに気付くというケースである。
【0006】
しかしながら、このようなケースの場合、離席状態とならないので特許文献1の様な構成では盗難を防止出来ず、このケースに対応するシステムが切望されている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、遊技中における有価価値が特定される記録媒体の盗難を防止しつつも、遊技の障害とならない遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明は、遊技機に対応して設けられ、有価価値を受付ける価値受付処理を実行する価値受付手段と、前記価値受付手段に対応して設けられ、前記価値受付処理にて受付けられた有価価値を対価として遊技者へと遊技媒体を貸出す貸出処理を実行する貸出手段と、前記価値受付処理にて有価価値が受付けられた場合に加算され、前記貸出処理により有価価値が対価となった場合に減算される残高を記憶する残高記憶手段と、前記残高記憶手段が記憶する残高を特定可能な残高記録媒体を発行する、或いは前記残高を特定可能な残高IDに前記残高を対応付ける処理である残高発行処理を行う残高発行手段と、前記価値受付手段が有価価値を受付けた場合に発行される個別ID、或いは前記価値受付手段が有価価値を受付けた場合に受付けられる遊技者に対応した遊技者IDをキーIDとして特定するキーID特定手段と、前記キーIDを少なくとも含むIDを受付可能なID受付手段と、前記キーID特定手段により特定された前記キーIDを記憶するID記憶手段と、前記キーID特定手段により前記キーIDが特定された場合に、前記貸出処理は許容する一方、前記残高発行処理を抑制する抑制状態とし、当該抑制状態で前記ID受付手段により前記キーIDが受付けられた場合に、当該キーIDと前記ID記憶手段が記憶するキーIDとを照合する照合処理を条件として前記残高発行処理の抑制状態を解除する抑制手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載した発明は、前記価値受付手段が有価価値を受付けた場合に、その残高の一部である担保額、及びキー媒体IDが対応付けられたキー媒体を発行するキー媒体発行手段と、前記キー媒体を回収可能な媒体回収手段と、を備え、前記キーID特定手段は、前記キー媒体発行手段により発行されるキー媒体のキー媒体IDを前記キーIDとして特定し、前記ID受付手段は、前記キー媒体を受付可能であり、当該キー媒体を受付けた場合にそのキー媒体IDを前記キーIDとして受付け、前記媒体回収手段は、前記ID受付手段により前記キー媒体が受付けられ、前記照合処理により前記抑制状態が解除された場合に、当該受付けたられたキー媒体を回収し、前記残高発行手段は、前記キー媒体の受付けに応じて前記抑制状態が解除されることで前記残高発行処理を行う場合に、前記担保額を前記残高記憶手段により記憶される残高に含んで前記残高発行処理を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載した発明は、前記媒体回収手段は、前記残高記憶手段により記憶される残高が所定の発行限度額以下である状態でキー媒体が受付けられた場合、前記キー媒体に対応付けて管理される残高が所定の回収額以下となったキー媒体が受付けられた場合、或いは前記キー媒体の受付けと、遊技者、若しくは遊技場係員による回収操作とが行われた場合の内、少なくとも1つの場合に、当該受付けたキー媒体を、前記残高発行処理を伴うことなく回収する非発行回収処理を実行し、前記媒体回収手段により前記非発行回収処理が実行された場合に、前記担保額相当の前記価値受付処理、或いは前記担保額を対価とした前記貸出処理が実行されること特徴とする。
【0010】
請求項4に記載した発明は、前記キーID特定手段は、有価価値の受付けに応じて前記遊技者IDを受付けた場合には当該遊技者IDを前記キーIDとして特定する一方、前記遊技者IDを受付けない場合には前記キー媒体発行手段により発行されるキー媒体のキー媒体IDを前記キーIDとして特定し、前記ID受付手段は、前記遊技者IDと前記キー媒体IDとの双方を受付可能であり、前記残高発行手段は、前記抑制状態が前記キー媒体の受付けに応じて解除された場合には、前記回収手段により回収された前記キー媒体に、前記担保額を含む前記残高を対応付けた上で、当該キー媒体を前記残高記録媒体として発行すること、或いは受付けた遊技者IDを前記キーIDとして対応付けた前記残高記録媒体を発行することで前記残高発行処理を行う一方、前記遊技者IDの受付けに応じて解除された場合には、前記遊技者IDを前記残高IDとして、当該残高IDに前記残高を対応付けることで前記残高発行処理を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載した発明は、前記価値受付手段は、前記残高記録媒体を受付可能であり、前記残高記録媒体を受付けた場合には、対応する残高を有価価値として受付け、前記ID受付手段は、前記受付けられた残高記録媒体に前記遊技者IDが対応付けられている場合には、当該遊技者IDを前記キーIDとして受付可能であり、前記キーID特定手段は、前記残高記録媒体が受付けられた場合に、前記ID記憶手段にて前記キーIDが記憶されていないことを条件として前記残高IDである遊技者IDを前記キーIDとして特定することを特徴とす。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、上述したような非常に悪質な窃盗団による遊技中の窃盗(即ち、記録媒体の盗難)も抑制手段による残高発行処理の抑制で防止出来る。この場合、残高発行処理は抑制されるものの、遊技中であることから貸出処理は許容されるので、遊技者の遊技を妨げず、遊技の障害になることがない。
【0013】
請求項2の発明によれば、有価価値の受付けに応じてキー媒体を発行するので、そのキー媒体を管理すれば暗証番号等を別途記憶する負担を遊技者に与えることがない。また、キー媒体に残高の一部を担保額として対応付けるため、キー媒体を回収する担保が生まれ、例え遊技者が遊技終了後にキー媒体を持ち帰っても担保額によりキー媒体の費用を遊技場側が負担する虞が無くなる。勿論、キー媒体により残高発行処理を行えば担保額を含む残高が残高記録媒体に対応付けられて発行されるので遊技者による自発的なキー媒体の回収効果も見込める。
【0014】
請求項3の発明によれば、遊技者が遊技により残高を使い切った場合、或いは複数種のキーIDに対応してキー媒体以外のキーIDにて残高発行処理を行った場合には、残高発行処理を行うためにキー媒体が必要なくなるが、この状態でキーIDを受付けた場合であっても、担保額相当の貸出処理を行うので、遊技者による自発的な回収効果等が見込める。
請求項4の発明によれば、キー媒体を残高記録媒体の双方を共通化出来、遊技者の使い勝手が向上しつつも遊技場側のコストの削減や、記録媒体の補充等のメンテナンス性も向上する。
【0015】
遊技者は遊技する遊技機を変更する所謂台移動時にも残高記録媒体を発行するが、台移動後、残高記録媒体の受付前に別途有価価値を受付けて遊技を行い、その後、残高記録媒体の存在を思い出して残高に残高記録媒体の残高を加算するべく残高記録媒体を受付けることが想定出来るので、残高があっても残高記録媒体を受付可能とすることが望ましい。一方、台移動前に遊技者IDをキーIDとした場合には台移動後にも引継ぐことが望ましいが、この機能を逆手にとった窃盗が想定出来る。即ち、窃盗団にて少額の残高に対応する残高記録媒体を発行し、遊技中の遊技者の残高にその残高記録媒体の残高を加算させてキーIDを変更し、その取得したキーIDにより全ての残高が対応付けられた残高記録媒体を発行するような盗難だが、請求項5の発明によれば、ID記憶手段にてキーIDが記憶されていないことを条件として残高IDである遊技者IDをキーIDとして特定することにより、その盗難を防止出来るばかりか、無用なキーIDを発行する必要がなくなるので、使い勝手に優れた遊技場用システムを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態における遊技場用システムの全体構成を示す概略図
【図2】遊技機の玉受上皿を上方から見た平面図
【図3】管理装置が管理する貸出設定を示す図
【図4】貸出機記憶領域を示す図
【図5】残高カード記憶領域を示す図
【図6】遊技場用システムによる貨幣及び残高カード受付処理を示すフローチャート
【図7】遊技場用システムによる釦操作処理を示すフローチャート
【図8】遊技場用システムによるフェリカ及びキーカード受付処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用システムの全体構成を示す概略図である。遊技場用システム1は、遊技機2、貸出機3、中継装置4、及び管理装置5などから構成されている。これらの各装置は、LAN6を介して互いに信号を送受信可能に接続されている。尚、図1では省略したが、実際には数百台の遊技機2が管理装置5の管理対象となっている。
【0018】
遊技機2は、発射装置を構成する操作ハンドル7に対する操作により盤面に発射された玉(遊技媒体に相当)が普図入賞口8、第1始動口9或いは第2始動口10に入賞するのに応じて対応する玉を払出すと共に、第1始動口9又は第2始動口10への入賞(始動入賞)に応じて大当たり抽選を行い、抽選結果を表示部11において行う図柄変動にて報知し、その変動結果に応じて大当たりを発生させる。大当たりが発生すると、例えば15ラウンド(15R)分だけ大入賞口12を開放する。各入賞口への入賞により払出された玉は玉受上皿13aにて受けられ、この玉受上皿13aが満杯状態となって溢れた玉は玉受下皿13bで受けられる。1Rの上限入賞数は10個で、上限開放時間は30秒であり、上限入賞数又は上限開放時間のいずれかが満たされた場合に1Rを終了する。本実施形態では遊技機2としてパチンコ遊技機を想定しており、遊技媒体としてはパチンコ玉を想定している。
【0019】
遊技機2の玉受上皿13aには、図2に示すように、残度数表示部14(図2では30度数)、貸出釦15、発行釦16及び払出口17が設けられており、遊技機2から払出しされた玉18或いは貸出釦15の押下(貸出操作)により貸出しされた玉18が、払出口17から遊技媒体受皿19に払出しされる。
このような構成の遊技機2側からは次のような遊技信号が出力される。
アウト信号=使用玉を回収するアウトBOXから出力される使用玉数(アウト)を特定可能な信号。回収(使用、打込)玉10玉に対して1パルスが出力されるので、「アウト信号数×10」をアウトとして特定する。尚、遊技機2から出力される信号であっても良い。
【0020】
セーフ信号=遊技機2から出力される払出玉数(セーフ)を特定可能な信号。遊技機2での遊技(入賞)に応じた払出10玉に対して1パルスが出力されるので、「セーフ信号数×10」をセーフとして特定する。尚、図示しない補給装置から出力される補給信号をセーフ信号としても良い。
スタート信号=遊技機2から出力される図柄変動数(役物作動数、スタート)を特定可能な信号。第1始動口9又は第2始動口10への入賞により変動(作動)する表示部11における図柄変動(役物作動、スタート処理)1回につき1パルスが出力されるので、「スタート信号数×1」をスタートとして特定する。尚、第1始動口9又は第2始動口10への入賞に応じて出力される始動入賞信号をスタート信号としても良い。
【0021】
大当たり信号=遊技機2から出力される大当たりを特定可能な信号。大当たり中にレベル出力される状態信号なので、大当たり信号受信中を大当たり中として特定する。
特別状態信号=遊技機2から出力される特別状態を特定可能な信号。大当たり確率が向上する確変中等の大当たりを通常状態よりも発生させ易い状態である特別状態中にレベル出力される状態信号(確変信号)なので、特別状態信号受信中を特別状態中として特定する。尚、第1始動口9又は第2始動口10への入賞率が向上する時短中にレベル出力される状態信号(時短信号)であっても良い。また、大当たり信号や特別状態信号を受信していない期間を通常状態として特定する。
【0022】
売上信号=後述する貸出機3から出力される売上情報(売上玉数、売上額)を特定可能な信号。遊技者に対する有価価値を対価とした貸出玉25玉毎に1パルスが出力されるので、「売上信号数×25」を売上玉数として特定し、売上玉数×貸単価を売上額として特定する。
【0023】
貸出機3(貸出手段、残高記憶手段、残高発行手段、キーID特定手段、ID記憶手段、抑制手段、キー媒体発行手段、媒体回収手段、価値受付手段、ID受付手段)は、CPUからなる制御部、CF(コンパクトフラッシュ(登録商標))、RAM、ROMからなる記憶部(ID記憶手段に相当)、信号を送受信するためのインターフェースからなる送受信部などを備えた所謂CRサンドとして構成され、図1に示すように、貨幣投入口20(価値受付手段に相当)、液晶表示部21及びタッチパネル22、フェリカ(登録商標)受付部23(価値受付手段、ID受付手段に相当)、カード挿入口24(キー媒体発行手段、媒体回収手段、価値受付手段、ID受付手段に相当)を備えている。貸出機3は、貨幣投入口20にて複数金種の貨幣(有価価値に相当)の受付け(価値受付処理に相当)、及びフェリカ受付部23にてフェリカ対応携帯電話やフェリカカード等のフェリカID(残高ID、遊技者IDに相当)の受付け、及びフェリカの記憶領域に記憶されている有価価値の受付けが可能である。
【0024】
遊技機2にて貸出釦15押下があった場合には、遊技機2から貸出要求信号が貸出機3に送信される。貸出機3は、貸出要求信号を受信すると、残高を参照し、残高が有る(0より多い)場合には、貸出許可信号を遊技機2に送信する。貸出許可信号を受信した遊技機2は残度数(100円)単位で貸出玉を払出口17より払出し、残度数表示部14を更新し、再度貸出要求信号を貸出機3へと送信する。このように、貸出機3は、貸出処理を実行する。貸出処理は、1回の貸出釦押下に応じて5度数分(貸出単位分)の払出しが終わるまで繰り返えされる。尚、途中で残高が無くなれば貸出拒否信号を送信し、貸出処理を終了する。このとき、残度数表示部14の表示は、有価価値の受入や貸出玉の払出し等の貸出機3における残高の更新時に遊技機2へと残高情報が送信され、その残高情報により残度数を更新する。このような構成の貸出機3は、以下のような機能を備えている。
【0025】
1)固有のIDが記録された所謂会員カード或いはビジターカード26をカード挿入口24にて受付可能であり、カードを受付けた状態で貨幣投入口20にて貨幣を受付けると、その価値を残高として後述する貸出機記憶領域(図4参照)に記憶する。尚、本実施形態では、ビジターカード26として、残高が記録された残高カード(残高記録媒体に相当)、及び、後述する担保額及びキー媒体IDが対応付けられたキーカード(キー媒体に相当)を想定している。これら、残高カード及びキーカードは、媒体を兼用しており、双方ともカード挿入口24から発行及び受付けが可能である。
【0026】
2)カード挿入口24の奥には、所定数(例えば5枚)の初期化されたビジターカード26をストック可能なストック部が設けられ、会員カード或いは遊技者が所持するビジターカード26を受付けていない状態で貨幣を受付けると、ストックしているビジターカード26に残高を記録し、そのビジターカード26を受付状態にする。ビジターカード26の発行時にはそのストック部から受付順が最新であるビジターカード26を残高カードとして順次発行する(残高発行処理に相当)。
【0027】
3)残高が特定可能な状態で遊技機2に設けられた貸出釦15が押下されると、上述したように払出口17から払出して遊技者に貸出して売上信号を送信すると共に、残高を減算する。
4)会員カードを受付けていれば、図示しない再プレイ釦に対する押下操作に応じて所謂貯玉を対価とした再プレイによる払出しも可能であり、この場合は、再プレイ玉を貸玉同様に遊技機2の払出口17から払出して再プレイ信号を送信する。
【0028】
5)ビジターカード26を受付けた状態で図示しない返却釦の押下操作を受付けると、受付け中のカードを排出する。
6)情報表示部21では貸出或いは貯玉関連情報を表示可能であり、会員カードを受付けする等の所定条件が成立すれば各種の対応する遊技機2に関する遊技情報等も表示可能となる。
【0029】
中継装置4は、2台の遊技機2及び2台の貸出機3に接続されていると共に、LAN6を介して管理装置5に接続されている。中継装置4は、CPUからなる制御部、CF、RAM、ROMからなる記憶部、信号を送受信するためのインターフェースからなる送受信部を備えており、遊技機側から受け取る情報の中継、およびその情報に基づいた遊技データの表示などを行う。
【0030】
管理装置5は、CPUからなる制御部、HDD(ハードディスク装置)、RAM、ROMからなる記憶部(記憶手段に相当)、信号を送受信するためのインターフェースからなる送受信部、モニタおよび図示しないプリンタからなる出力部、ユーザの操作入力を受け付けるキーボードなどの入力手段を備えている。管理装置5は、遊技機側から送信される各種の信号を受信することにより、例えば周知の大当たり履歴などを管理する。尚、図示は省略するが、遊技場内には、遊技機2にて獲得された遊技玉を計数するための島端計数機なども設けられている。
【0031】
図3は、管理装置5が設定する貸出設定を示す図である。管理装置5は、この貸出設定を記憶部に記憶しており、遊技場の従業員などにより貸出設定が変更された場合には、貸出機3に対して貸出設定が変更されたことを示す設定情報を送信する。この貸出設定は貸出機3でも記憶されており、貸出機3は、設定情報を受信すると自身が記憶している貸出設定を更新する。貸出設定の各項目の意味は以下の通りである。
【0032】
貸出単位=貸出釦15が1回押下された場合に払出す貸出玉数の上限。尚、残高が貸出単位未満の貸出玉の対価に相当する場合には残高全てを対価とした貸出玉を払出す。
引出単位=フェリカIDを受付けた場合にフェリカの記憶領域から引出す1回当たりの有価価値額。尚、フェリカの記憶領域の有価価値額が所定額未満であれば全有価価値額を残高として記憶する。
担保額=キーカードを発行する際にキーカードに記録する有価価値額。尚、残高が担保額未満の場合にはキーカードを発行しない。
発行タイマ=発行釦16が押下された際に作動するタイマ。作動中にキーカード或いはフェリカを受付けた場合に後述する照合処理を行い、残高を記憶した残高カードを発行する。
【0033】
図4は、貸出機3の記憶領域を示す図である。貸出機記憶領域には残高およびキーIDが記憶されており、貸出機3は、有価価値の受付けや貸出釦15の押下操作、又は、キーカード或いはフェリカの受付けなどによりこの記憶領域を更新する。記憶領域に記憶されている各項目の意味は以下の通りである。
残高=遊技中の遊技者の貸出可能な残高。貨幣やフェリカ等の受付けに応じて加算され、貸出処理により減算される。尚、受付額、貸出対価額等を記憶することにより、間接的に残高を記憶する構成としても良い。
キーID=発行したキーカードのID(キー媒体IDに相当)、或いは受付けたフェリカID。
【0034】
図5は、残高カードの記憶領域(残高カード記憶領域)を示す図である。残高カード記憶領域には、残高カード毎に個別に割り振られたカードID(個別IDに相当)、残高、及びキーID(ここではフェリカID)が記憶されている。尚、キーカードの受付けに応じて残高カードが発行された場合には、キーカードを回収するのでキーIDを記憶する必要は無い。また、カードID及びキーIDは予めカードに記憶されているIDを想定しているが、発行処理毎に新たなIDを発行し、更新可能なIDであっても良い。尚、残高カード、及びキーカードは、図示しない精算機において精算及び回収が可能である。
【0035】
次に上記構成の遊技場用システム1の作用について、図6から図8を参照しながら説明する。貸出機3は、図示しないメイン処理を繰り返して実行しており、メイン処理の1つとして、貨幣及び残高カード受付処理(図6)、釦操作処理(図7)、フェリカ及びキーカード受付処理(図8)を実行している。
まず、キーカード発行処理について説明する。貸出機3は、図6に示す貨幣及び残高カード受付処理において貨幣を受付けたか(A1)、残高カードを受付けたか(A8)を判定しており、何れも受付けていない場合には(A1:NO、A8:NO)、リターンする。
【0036】
遊技者が遊技を始めるために貨幣を貨幣投入口20に投入すると、貸出機3は、貨幣を受付けたことから(A1:YES)、上述した価値受付処理により受付額を残高に加算した後(A2)、図4の貸出機記憶領域にキーIDが未記憶であるかを判定する(A3)。遊技開始時においてはキーIDが記憶されていないので(A3:YES)、図4の残高が担保額より多いかを判定し(A4)、残高の方が多い場合には(A4:YES)、残高からキーカードの対価となる担保額を減算した後(A5)、キーカードを発行し(A6)、キーカードID(発行したキーカードに記憶されているID。キー媒体IDに相当)をキーIDとして特定し図4の貸出機記憶領域に記憶する(A7)。これにより、残高とキーIDとが対応付けられる。尚、キーIDが既に記憶されている場合(A3:NO)、及び残高が担保額以下である場合(A4:NO)には、ステップA7は実行されない(キーカードは発行されない)。
【0037】
次に、貸出操作について説明する。貸出機3は、図7に示す釦操作処理において、残高が0より多いかを判定し(B1)、残高が0より多い場合には(B1:YES)さらに貸出釦15が押下操作されたか(B2)、或いは発行釦16が押下操作されたか(B7)を判定しており、何れの操作もなされていない場合には(B2:NO、B7:NO)、リターンする。
【0038】
遊技者は、遊技開始時の手持玉がない場合、或いは遊技を継続して手持玉が少なくなった場合に、投入した貨幣に基づいた貸出しを受けるために、貸出釦15を操作する。このとき、貸出機3は、残高が0より多い状態(B1:YES)で貸出釦15の押下操作がなされると、残高を減算(B2)して貸出玉を払出す(B4)貸出処理を実行する。続いて、この貸出処理により残高が0になったかを判定し(B5)、残高が0になった場合には(B5:YES)、図4のキーIDを初期化した後(B6)、リターンする。一方、貸出を行って残高が0でない場合には(B5:NO)、次の貸出に備えてそのままリターンする。
【0039】
次に、残高カードの発行操作について説明する。遊技者が台移動、或いは遊技を終了するために発行釦16を押下げると、貸出機3は、図7に示す釦操作処理において、発行釦16が押下されたと判定し(B7:YES)、発行タイマの作動を開始する(B8)。即ち、本実施形態の貸出機3は、残高がある場合に発行釦16が押下操作された場合、従来のように発行釦16の押下操作に応じて直ぐに残高カードを発行するのではなく、発行釦16を押下操作した人物が正当な遊技者であるかを判定するために、まず発行タイマの作動を開始する。即ち、残高がある状態では発行釦16を押下するだけでは残高カードの発行を行わない抑制状態となる(抑制処理に相当)。尚、この残高カードの発行が抑制された抑制状態にあっても、貸出釦15の押下操作は受付けられる(貸出処理は許容される)。
【0040】
貸出機3は、図8に示すフェリカ及びキーカード受付処理において、フェリカを受付けたか(C1)、キーカードを受付けたか(C6)を判定しており、何れも受付けていない場合には(C1:NO、C6:NO)、リターンする。一方、発行タイマの作動中に遊技者が上述の様に発行されたキーカードを挿入すると、貸出機3は、キーカードを受付け(C6:YES)、発行タイマが作動中であることから(C7:YES)、キーカードIDが図4のキーIDと照合して両者が一致するかを判定し(C8。照合処理に相当)、一致する場合には(C8:YES)、残高カードの発行抑制状態を解除して担保額を残高に加算した後(C9)、キーカードを回収する(C10)。続いて、キーカードに担保額を含む全残高を対応付けて残高カードを発行した後(C11)、図4の貸出機記憶領域を初期化して(C12)、リターンする。つまり、貸出機3は、発行タイマの作動中にキーカードが挿入されると、照合処理により残高カードの発行抑制状態が解除された場合にキーカードを回収する。このようにして、貸出機3は、正当な遊技者が発行釦16を押下操作したことを確認してから残高カードを発行している。尚、受付けたキーカードIDが一致しない場合には(C8:NO)、そのままリターンして残高カードの発行抑制状態を継続する。尚、発行タイマは図3の設定時間作動した場合、或いは残高カードを発行した場合に作動停止する。
【0041】
次に残高カードの受付処理について説明する。遊技者が手持ちの残高カードをカード挿入口24に挿入した場合、貸出機3は、残高カードを受付けたことから(A8:YES)、受付額(残高カードに記憶されている残高。図5参照)を図4の残高に加算し(A9)、キーIDが図4の貸出機記憶領域にて未記憶であるかを判定する(A10)。このとき、キーIDが既に記憶されていれば(A10:NO)、遊技者は同一台で遊技を行っていることを意味しており、引き続きそのキーIDで管理すればよいことから、リターンする。
【0042】
これに対して、貸出機3は、キーIDが記憶されていない場合(即ち、台移動した場合)には(A10:YES)、残高カードにキーIDが記録されていないことから(A11:NO)、ステップA4に移行し、残高が担保額より多い場合には(A4:YES)、キーカードを発行して発行キーカードIDを図4のキーIDに記憶する(A5,A6、A7)。
【0043】
次に担保額払出処理について説明する。遊技者は、例えば残高がなくなった場合、キーカードを挿入することにより、担保額による払出し行うこともできる。この場合、貸出機3は、キーカードを受付けると(C6:YES)、発行タイマが作動中であるかを判定し(C7)、この場合発行タイマは作動していないことから(C7:NO)、図4の残高が0であるかを判定する(C15)。このとき、残高が0であれば(C15:YES)、担保額相当の貸出玉を払出した後(C16)、キーカードを回収して(C17。非発行回収処理に相当)、リターンする。一方、残高が0でない場合には(C15:NO)、キーカードを回収する必要はないことから、キーカードを返却(カード挿入口24から排出)した後(C14)、リターンする。このように、貸出機3は、発行タイマが動作していない場合には、対応付けて管理されている残高(図4参照)が所定の発行限度額(ステップC15では例えば0)以下となったキーカードが受付けられた場合に、担保額による貸出玉の払出し及びキーカードを回収する非発行回収処理を実行する。尚、遊技者が台移動してキーカードを発行した貸出機3とは別の貸出機3でキーカードが受け付けられたような場合には、ステップC15において当該キーカードに対応付けられた残高が所定の回収額(例えば0)であるかを管理装置5などに問い合わせ、回収額以下であれば貸出玉を払出し(C16)、キーカードを回収(C17)する。
【0044】
次にフェリカによる各処理について説明する。遊技者は、例えば残高が少なくなった場合、フェリカ対応携帯電話やフェリカカードなどのフェリカIDをフェリカ受付部23にかざすことにより、残高を補充することもできる。貸出機3は、図8に示すフェリカ及びキーカード受付処理において、フェリカを受付けると(C1:YES)、発行タイマが作動中であるかを判定し(C2)、この場合発行タイマが作動していないので(C2:NO)、フェリカIDの記憶領域から引出単位を図4の残高に加算する(C3)。続いて、キーIDが未記憶であるかを判定し(C4)、記憶されていない場合には(C4:YES)、受付けたフェリカIDをキーIDとして特定し図4の貸出機記憶領域に記憶する(C5)。これにより、フェリカIDと残高とが対応付けられる(残高発行処理に相当)。
【0045】
一方、発行タイマの動作中に遊技者がフェリカIDをフェリカ受付部23にかざした場合、貸出機3は、図8に示す釦操作処理において、フェリカを受付けた後(C1:YES)、発行タイマが作動中であることから(C2:YES)、受付けたフェリカIDと図4のキーIDとを照合し(C13。照合処理に相当)、双方のIDが一致した場合には(C13:YES)、残高カードを発行すると共に(C11)、図4の貸出機記憶領域を初期化する(C12)。尚、残高カードの発行時には、残高、及び受付けたフェリカIDがキーIDとして記録される。
【0046】
このように、フェリカの受付けにより残高が加算されたときの遊技者と発行釦16を押下操作した人物とが同一人物であること、即ち、発行釦16が正当な遊技者により押下操作されたことが確認されると、抑制状態が解除されて残高カードの発行が可能になる。尚、フェリカIDとキーIDとが一致しない場合には(C13:NO)、遊技者の確認が取れないことから、そのままリターンして抑制状態を継続する。
【0047】
また、貸出機3は、図6に示す貨幣及び残高カード受付処理において、フェリカIDを受付けた状態で発行された残高カードを受付けた場合は(A8:YES)、図4の貸出機記憶領域にキーIDが未記憶の状態であれば(A10:YES)、残高カードにキーIDが記憶されていることから(A11:YES)、受付キーID(受付けた残高カードが記憶しているキーID)を図4のキーIDとして特定して貸出機記憶領域に記憶し(A12)、リターンする。これにより、移動先の貸出機3に遊技者が所有するフェリカ対応携帯電話或いはフェリカカードのフェリカIDが記憶され、以後そのフェリカIDで管理される。尚、ステップA10にて図4の貸出機記憶領域にキーIDが未記憶の状態であることを条件としたのは、残高がある状態で不正者が不正者のフェリカを受付けてキーIDを更新し、その後に不正者のフェリカIDの受付けにより残高カードを発行させることを防止するためである。
【0048】
このように、遊技中に窃盗団が遊技者に気付かれないようにして貸出機3の発行釦16を押下操作したとしても、貸出機3は、発行タイマの作動中には既に登録されている(図4の貸出機記憶領域に記憶されている)キーID以外のキーIDを受付けることがないので、残高カードが不正に発行されてしまうことがなく、窃盗団による残高カードの盗難を確実に防止することが出来る。
以上の様に貸出機3は、通常の貸出処理などを実行すると共に、本発明に関連して残高カードの発行を抑制する抑制処理などを実行し、残高カードの発行が正当な遊技者によりなされたかを判定している。
【0049】
以上説明した遊技場用システム1によれば、以下のような効果を得ることが出来る。
遊技場用システム1は、残高がある状態では、残高カードの発行を抑制する抑制状態に移行し、残高が加算されたときに発行されたキーID(図4参照)と、発行釦16が押下操作されたときに受付けたフェリカ又はキーカード(図6参照)とが一致するかを判定するので、遊技中に残高カードを発行して窃盗するような非常に悪質な窃盗団による窃盗即ち残高カードの盗難を防止出来る。この場合、遊技中であることから残高カードの発行は抑制されるものの貸出しは許容されるので、遊技者の遊技を妨げず、遊技の障害になることがない。
【0050】
貨幣の受付けに応じてキーカードを発行するので、そのキーカードを管理すれば暗証番号等を別途記憶する必要がなく、遊技者に負担を与えない。また、キーカードに残高の一部を担保額として対応付けるため、キーカードを回収する担保が生まれ、例え遊技者が遊技終了後にキーカードを持ち帰ってしまっても担保額により、キーカードの損失による費用を遊技場側が被ることが無くなる。勿論、キーカードを返却して残高カードを発行すれば担保額を含む残高が残高カードに対応付けられて発行されるので遊技者による自発的なキーカードの回収効果も見込める。
【0051】
遊技者が遊技により残高を使い切った場合にはキーカードが必要なくなるが、この状態でキーカードを受付けた場合であっても、担保額相当の貸出しを行う(ステップC16)ので、遊技者による自発的なキーカードの回収効果等が見込める。
【0052】
キーカードと残高カードの双方を共通化出来、遊技者の使い勝手が向上すると共に、遊技場側のコストの削減や、カード補充等のメンテナンス性も向上する。
遊技者は遊技する遊技機を変更する所謂台移動時にも残高カードを発行するが、台移動後、残高カードの受付前に別途有価価値を投入して遊技を行い、その後、残高カードの存在を思い出して残高カードを投入することが想定出来るので、残高があっても残高カードを受付可能とすることが望ましい。また、図4の貸出機記憶領域にキーIDが記憶されていないことを条件として残高IDである遊技者IDをキーIDとして特定するので、少額の残高に対応する残高カードを発行し、遊技中の遊技者の残高にその残高記録媒体の残高を加算させてキーIDを変更し、その取得したキーIDにより全ての残高が対応付けられた残高カードを発行するような盗難を防止出来るばかりか、無用なキーカードを発行する必要がなくなるので、使い勝手に優れた遊技場用システム1を提供することが出来る。
【0053】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した一実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張することが出来る。
発行操作が行われていない状態でキーカードを受付けた場合に残高0ならそのままキーカードを回収したが、回収するか否かを遊技者に問い合わせても良い。この場合、従業員又は遊技者にて応答操作(回収操作)を行うことが想定される。また、管理装置5にてキーカードIDに対応付けて残高を管理し、残高を使い切ったことで残高が0(回収額)となったにも関わらずキーカードが未回収であることを条件として、キーカードを回収しても良い。尚、キーカード回収時に担保額相当の貸出玉を払出したが、残高を加算しても良い。
【0054】
発行操作後、発行タイマを作動させたが、発行タイマを作動させずにキャンセル操作があるまでを発行操作が行われた状態として特定しても良い。また、残高がある状態で発行釦16の押下を伴わずにキーIDを受付けた場合に発行操作を受付可能としても良い。
キーカードに担保額を記録したが、担保額が固定額であることから、キーカードであることが特定可能であれば担保額を直接記録しなくとも良い。また、管理装置5にてキーカードIDと担保額とを対応付けて管理しても良い。残高カードについても同様で管理装置5にて残高を管理すれば、残高が特定出来る残高ID等の情報が記憶されているだけでも良い。
【0055】
キーカードの受付に応じて残高カードを発行する場合、受付けたキーカードに残高を記録してそのまま再発行したが、キーカードと残高カードとを別媒体(例えば、キーカードをコインにする等)としても良い。勿論、媒体としてはカード以外にICコイン等も採用出来る。
フェリカを受付けた場合、引出単位を残高に移行したが、移行額の入力画面を表示する等して遊技者に移行額の指定や、移行の意思があるかを選択させても良い。
有価価値の受付けとして貨幣とフェリカの双方を例示したが、いずれか一方のみへの対応でも良い。また、会員カードのID等、3種類以上のIDに対応しても良い。勿論、例示した以外の遊技者ID、例えば遊技者の指紋等、生体認証により特定可能なID等に対応しても良い。
【0056】
指紋等をキーIDとして採用する場合、貨幣の受付け及びキーIDの受付けを条件として貸出処理を行えば有価価値の受付とキーIDとを有効に対応付けられる。
複数のIDに対応した有価価値を受付可能とする場合に、最初に記憶したIDのみをキーIDとして記憶したが、IDの種類毎に受付けたキーIDを記憶しても良い。この場合、盗難防止のため、IDの種類毎に残高を記憶することが望ましい。また、記憶順でなく、いずれかのIDを優先させて記憶しても良い。この場合、フェリカや指紋等の遊技者IDをキーカードIDに優先すれば、別途、キーカードの媒体を発行しなくとも良くなるので有意義である。
【0057】
フェリカ等の受付けに応じて発行処理を行う場合に残高カードを発行したが、フェリカの有価価値に加算する、又はフェリカの残高記憶領域に残高を記憶すれば残高カードを発行する必要も無くなる。本発明の発行処理とは、この様な場合も含めてIDに残高を対応付ける処理を意味するものとする。
【0058】
一実施形態のいずれの数値も例示であり、他のどのような数値を採用しても良い。また、「超過」や「未満」等の表現は「以上」や「以下」の概念を含む表現である。更に、「記憶されていない」との表現は、「有効に記憶されていない」旨の概念も含む表現であり、例えば過去に受付けたID等を記憶するが、有効なIDとして記憶していなければ「記憶していない」との概念に含まれる。また、遊技機としてはパチンコ遊技機以外にパチスロ遊技機等をも想定出来、遊技媒体も玉だけでなくメダル等も対象に出来る。
【0059】
キーカード発行時にキーカードに対応付ける担保額以上であることを条件としてキーカードを発行したが、別途発行下限額を設定して、残高がその発行下限額以上であることを条件としてキーカードを発行しても良い。この場合、担保額は500円、発行下限額は5000円とすれば、千円札や2千円札等盗難の被害額が少ない場合にはキーカード発行の面倒な処理を行う必要が無くなる。
【0060】
本発明は、所謂各台計数機や各台再プレイ機にも採用出来る。即ち、有価価値や残高として遊技媒体、残高カードとして遊技者の支配下にある遊技媒体数を特定可能な持玉券、担保額として担保玉数を採用しても良い。尚、この場合、残高である遊技媒体を計数することが有価価値を受付けたことに相当するので、計数に応じてキーカード等のキー媒体を発行したり、遊技者IDを受付けたりすれば良い。勿論、貸出処理とは所謂再プレイ処理等の概念も含む。また、貸出処理時に遊技機の払出口から遊技媒体を払出すような貸出機以外に、所謂ノズル等の払出口を貸出機自体に設けた貸出機に本発明を適用しても良い。
貸出機3が行う情報処理の一部を中継装置4や管理装置5等にて行う構成としても良い。同様に管理装置5が行う情報処理の一部を中継装置4や貸出機3にて行っても良い。
【符号の説明】
【0061】
図面中、1は遊技場用システム、2は遊技機、3は貸出機(貸出手段、残高記憶手段、残高発行手段、キーID特定手段、ID記憶手段、抑制手段、キー媒体発行手段、媒体回収手段、価値受付手段、ID受付手段)、25はフェリカ対応携帯電話(遊技者ID、残高ID)、26はビジターカード(残高カード(残高記録媒体)、キーカード(キー媒体))を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に対応して設けられ、有価価値を受付ける価値受付処理を実行する価値受付手段と、
前記価値受付手段に対応して設けられ、前記価値受付処理にて受付けられた有価価値を対価として遊技者へと遊技媒体を貸出す貸出処理を実行する貸出手段と、
前記価値受付処理にて有価価値が受付けられた場合に加算され、前記貸出処理により有価価値が対価となった場合に減算される残高を記憶する残高記憶手段と、
前記残高記憶手段が記憶する残高を特定可能な残高記録媒体を発行する、或いは前記残高を特定可能な残高IDに前記残高を対応付ける処理である残高発行処理を行う残高発行手段と、
前記価値受付手段が有価価値を受付けた場合に発行される個別ID、或いは前記価値受付手段が有価価値を受付けた場合に受付けられる遊技者に対応した遊技者IDをキーIDとして特定するキーID特定手段と、
前記キーIDを少なくとも含むIDを受付可能なID受付手段と、
前記キーID特定手段により特定された前記キーIDを記憶するID記憶手段と、
前記キーID特定手段により前記キーIDが特定された場合に、前記貸出処理は許容する一方、前記残高発行処理を抑制する抑制状態とし、当該抑制状態で前記ID受付手段により前記キーIDが受付けられた場合に、当該キーIDと前記ID記憶手段が記憶するキーIDとを照合する照合処理を条件として前記残高発行処理の抑制状態を解除する抑制手段と、
を備えたことを特徴とする遊技場用システム。
【請求項2】
前記価値受付手段が有価価値を受付けた場合に、その残高の一部である担保額、及びキー媒体IDが対応付けられたキー媒体を発行するキー媒体発行手段と、
前記キー媒体を回収可能な媒体回収手段と、を備え、
前記キーID特定手段は、前記キー媒体発行手段により発行されるキー媒体のキー媒体IDを前記キーIDとして特定し、
前記ID受付手段は、前記キー媒体を受付可能であり、当該キー媒体を受付けた場合にそのキー媒体IDを前記キーIDとして受付け、
前記媒体回収手段は、前記ID受付手段により前記キー媒体が受付けられ、前記照合処理により前記抑制状態が解除された場合に、当該受付けたられたキー媒体を回収し、
前記残高発行手段は、前記キー媒体の受付けに応じて前記抑制状態が解除されることで前記残高発行処理を行う場合に、前記担保額を前記残高記憶手段により記憶される残高に含んで前記残高発行処理を行うことを特徴とする請求項1記載の遊技場用システム。
【請求項3】
前記媒体回収手段は、前記残高記憶手段により記憶される残高が所定の発行限度額以下である状態でキー媒体が受付けられた場合、前記キー媒体に対応付けて管理される残高が所定の回収額以下となったキー媒体が受付けられた場合、或いは前記キー媒体の受付けと、遊技者、若しくは遊技場係員による回収操作とが行われた場合の内、少なくとも1つの場合に、当該受付けたキー媒体を、前記残高発行処理を伴うことなく回収する非発行回収処理を実行し、
前記媒体回収手段により前記非発行回収処理が実行された場合に、前記担保額相当の前記価値受付処理、或いは前記担保額を対価とした前記貸出処理が実行されること特徴とする請求項2記載の遊技場用システム。
【請求項4】
前記キーID特定手段は、有価価値の受付けに応じて前記遊技者IDを受付けた場合には当該遊技者IDを前記キーIDとして特定する一方、前記遊技者IDを受付けない場合には前記キー媒体発行手段により発行されるキー媒体のキー媒体IDを前記キーIDとして特定し、
前記ID受付手段は、前記遊技者IDと前記キー媒体IDとの双方を受付可能であり、
前記残高発行手段は、前記抑制状態が前記キー媒体の受付けに応じて解除された場合には、前記回収手段により回収された前記キー媒体に、前記担保額を含む前記残高を対応付けた上で、当該キー媒体を前記残高記録媒体として発行することで前記残高発行処理を行う一方、前記遊技者IDの受付けに応じて解除された場合には、前記遊技者IDを前記残高IDとして、当該残高IDに前記残高を対応付けること、或いは受付けた遊技者IDを前記キーIDとして対応付けた前記残高記録媒体を発行することで前記残高発行処理を行うことを特徴とする請求項2または3に記載の遊技場用システム。
【請求項5】
前記価値受付手段は、前記残高記録媒体を受付可能であり、前記残高記録媒体を受付けた場合には、対応する残高を有価価値として受付け、
前記ID受付手段は、前記受付けられた残高記録媒体に前記遊技者IDが対応付けられている場合には、当該遊技者IDを前記キーIDとして受付可能であり、
前記キーID特定手段は、前記残高記録媒体が受付けられた場合に、前記ID記憶手段にて前記キーIDが記憶されていないことを条件として前記残高IDである遊技者IDを前記キーIDとして特定することを特徴とする請求項4記載の遊技場用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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