説明

遊技媒体貸出装置

【課題】偽造貨幣による被害の抑制効果を維持しつつ、誤判定による戻りの頻発を抑えて遊技者側の煩わしさを解消することが可能な遊技媒体貸出装置を提供する。
【解決手段】貸出装置は、遊技者の信用性を確かめるために、会員カードが挿入されているかを判定し(B1)、会員カードが挿入されていない場合には(B1:NO)、紙幣の真偽判定に用いる現在の基準値が低レベルであるかを判定し(B4)、低レベルである場合には(B4:YES)、基準値を高レベルにする(B5)。一方、貸出装置は、会員カードが挿入されている場合には(B1:YES)、遊技者の特定が可能であることから、現在の基準値が高レベルである場合には(B2:YES)、基準値を低レベルにする(B3)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣を対価として遊技者に遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なパチンコ店などの遊技場においては、パチンコ台やパチスロ台等の遊技機それぞれに玉或いはメダルなどの遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置(以下、貸出装置と称する)が設置されており、遊技者は、貸出装置に貨幣を投入することによって玉或いはメダルの貸し出しを受け、遊技するようになっている(例えば、特許文献1参照)。貸出装置は、投入された貨幣の真偽及び金種を判定し、真と判定したときには金種に対応する数の玉或いはメダルを貸し出す一方、偽と判定したときには貨幣を返却することで偽造貨幣による被害を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−296103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、貨幣、特に紙幣が投入された場合に本物の紙幣であるにも関わらず誤って偽と判定し、その紙幣を戻して(返却して)しまうことがしばしば起こり、このような紙幣戻りが頻発すると遊技者が煩わしく感じ、遊技意欲を減退させてしまうという問題があった。このような紙幣戻りは、真偽判定の基準を単純に甘く(緩く)することによって解消できるが、その場合には偽造紙幣を誤って真と判定する危険性が高まるという別の問題が発生することになる。このような問題は、紙幣に限らず硬貨についても同様に発生する。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、偽造貨幣による被害の抑制効果を維持しつつ、誤判定による貨幣戻りの頻発を抑えて遊技者側の煩わしさを解消することが可能な遊技媒体貸出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明は、投入された貨幣の真偽を判定する真偽判定手段と、投入された貨幣の金種を判定する金種判定手段と、前記真偽判定手段により真と判定された場合に、前記金種判定手段により判定された金種に対応する数の遊技媒体を払い出す遊技媒体払出手段と、前記真偽判定手段により偽と判定された場合に、投入された貨幣を返却する貨幣返却手段と、前記真偽判定手段による真偽判定に用いる基準値を複数段階で設定する判定基準値設定手段と、遊技者の信用性を判定する遊技者判定手段と、を備え、前記真偽判定手段は、前記遊技者判定手段による判定結果に基づいて、前記判定基準値設定手段により設定された複数段階の前記基準値のうち一の基準値を選択して前記真偽判定を実行することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した発明は、会員遊技者を特定するための会員情報が記録された会員カードを受付可能な会員カード受付手段を備え、前記遊技者判定手段は、前記会員カード受付手段が会員カードを受け付けている状態では当該遊技者の信用性が高いと判定することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載した発明は、遊技場の従業員が携帯する携帯リモコン装置からの指令信号を受信可能な指令信号受信手段を備え、前記遊技者判定手段は、前記携帯リモコン装置からの指令信号に基づいて当該遊技者の信用性を判定することを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、前記遊技媒体払出手段が遊技機の内部に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、遊技者の信用性を判定し、信用性に基づいて数段階設定されている基準値のうち一つを選択するようにしたので、例えば信用性が高いと判定された遊技者の場合は真偽判定の基準値を甘くする一方、信用性が低いと判定された遊技者の場合は基準値を厳しくすることが可能となる。これにより、偽造貨幣による被害の抑制効果を維持しながら、誤判定による貨幣戻りの煩わしさを解消することができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、遊技者の信用性の判定を会員カードの有無に基づいて行うようにしたので、会員カードの利用価値が一層高まり、会員登録の促進効果が期待できる。
請求項3の発明によれば、従業員が携帯する従業員リモコン装置からの指令によって基準値を変更できるようにしたので、会員カードを所持していない非会員の遊技者の場合であっても、適宜に基準値を甘くする対応が可能となる。
請求項4の発明によれば、遊技機内に設けられている遊技媒体の払出手段を貸出による払出手段として兼用することで、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による遊技場用システムの全体構成を概略的に示す図
【図2】貸出装置を示す図で、(a)は正面図、(b)は機能ブロック図
【図3】紙幣・ICカード受付処理を示すフローチャート
【図4】真偽判定基準値変更処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態による貸出装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、遊技場に設置される遊技場用システム1の全体構成を概略的に示す図である。遊技場内には、複数の遊技機2、各遊技機2に対応して貸出装置3及び中継装置4が設置されている。中継装置4は、遊技機2と接続されていると共に、LAN5を介して貸出装置3及び管理装置6などと通信可能に接続されている。管理装置6は、例えば遊技場内の事務所などに設置され、LAN5介して、遊技機2側の装置から送信される遊技信号を受信して遊技情報を管理する。尚、図1では省略したが、実際には数百台の遊技機2が管理装置6の管理対象となる。
【0013】
遊技機2は、所謂デジパチとして周知のパチンコ遊技機(CR機)である。遊技機2は、遊技者がパチンコ玉(遊技媒体)を盤面に発射してそのパチンコ玉が入賞口に入賞すると、内部に設けられた払出機構を駆動することにより、その入賞に応じた数のパチンコ玉の払出し、或いは大当たり抽選などを行う。この大当たり抽選では、所謂特別図柄(特図)による図柄変動を実行し、停止表示された図柄が大当たり図柄の場合に大当たりが発生する。大当たりが発生すると、例えば15ラウンド分だけ大入賞口が開放され、遊技者は払出されたパチンコ玉を獲得する。このため、大当たりの回数が多いほど、遊技者は多くの出玉を獲得することができる。遊技機2には、後述する貸出ボタン7及び返却ボタン8が設けられている。
【0014】
貸出装置3(真偽判定手段、金種判定手段、遊技媒体払出手段、貨幣返却手段、判定基準値設定手段、遊技者判定手段、会員カード受付手段に相当)は、図2(a)に示すように、上部から、稼動状態やエラー状態などを表示するための状態表示ランプ9、紙幣を投入する紙幣投入口10、ICカードを挿入するICカード挿入口11及びICカード排出ボタン12、各種の情報を表示する液晶表示部13、液晶表示部13の画面上に設けられたタッチパネル14、会員カード挿入口15及び会員カード排出ボタン16などを備えた所謂CRユニットとして構成されている。
【0015】
貸出装置3は、図2(b)に示すように、CPU、RAM及びROM、入出力部(I/O)などからなる制御部17、紙幣投入口10に対応して設けられている紙幣処理部18、ICカード挿入口11に対応して設けられているICカード処理部19、会員カード挿入口15に対応して設けられている会員カード処理部20、及び管理装置6などと遊技信号等の情報を送受信するためのインターフェースからなる送受信部21を備えている。制御部17は、ROM等に記憶されている制御プログラムによって貸出装置3の全体を制御する。
【0016】
紙幣処理部18は、投入された紙幣の真偽を判定する真偽判定機構を有しており、例えば紙幣の場合、投入された紙幣の特定部位を光学的に読み取り、読み取ったデータを判定用の基準値と比較して真偽を判定する。このとき、複数段階で設定された判定基準値設定に基づいて真偽を判定する。また、紙幣処理部18は、投入された紙幣が真である場合には、さらに金種(千円、2千円、5千円、1万円)も判定する。ICカード処理部19は、投入されたICカードの真偽を判定すると共に、真である場合には、ICカードに記録されているカード情報を読み取る。金種及びカード情報は遊技機2に送信され、遊技機2に設けられている貸出ボタン7が押下操作されると、払出単位(例えば125玉/100円)のパチンコ玉が遊技機2内に設けられている払出機構(遊技媒体払出手段に相当)により払い出される。
【0017】
会員カード処理部20は、投入された会員カード22に記録されている会員情報を読み取り、遊技者を特定する。また、会員カード22を受付けた場合には、遊技情報(各遊技機2の稼動データ、営業案内、テレビ映像など)を液晶表示部13に表示する。
このような構成の貸出装置3は、ICカードを所定数(5枚程度)ストック可能であり、紙幣或いはICカードの受付け状態で遊技機2に設けられた貸出ボタン7が押下操作されると、その投入金額或いはICカードに記憶された残金の範囲内でパチンコ玉を遊技機2の図示しない払出口から払出す。残金がある状態で遊技機2の返却ボタン8が押下操作されると、ストックしているICカードに残金を記録して発行(カード挿入口から11排出)する。
【0018】
中継装置4は、CPUからなる制御部17、RAM及びROM等からなる記憶部、送受信するためのインターフェースからなる送受信部21、各種の遊技情報を表示する表示部、及び遊技場の従業員を呼び出す呼出ボタンなどを備えている。中継装置4は、遊技機2側から出力された遊技信号を貸出装置3や管理装置6との間で送受信するとともに、呼出ボタンが押下操作された場合には、表示部を点灯或いは点滅させることにより従業員に呼び出しを装置する。
【0019】
これら遊技機側の装置(遊技機2、貸出装置3、中継装置4)からは、遊技の進行に応じて、投入媒体数(打ち込んだパチンコ玉の数)を特定可能なアウト信号、払出媒体数(払出されたパチンコ玉の数)を特定可能なセーフ信号、ボーナス状態を特定可能なボーナス信号(ボーナス状態中にレベル出力)などの各種の遊技信号、及び特定した遊技者に関する会員情報などが出力される。これら各遊技信号は、図1に示すように、LAN5を介して管理装置6に出力される。
【0020】
管理装置6は、CPUからなる制御部17、HDD(ハードディスク装置)、ROM及びRAMなどからなる記憶部、信号を送受信するためのインターフェースからなる送受信部21、モニタ及び図示しないプリンタなどからなる出力部を備えている。管理装置6は、遊技場内の例えば事務所などに設置され、LAN5を介して遊技機2側の装置と接続されており、遊技機2側の装置から受信した遊技信号に基づいて、周知の出玉率などの遊技情報を集計及び管理する。
【0021】
次に、上記した構成の貸出装置3の作用について、図3及び図4を参照して説明する。尚、例えば投入された紙幣の真偽判定は貸出装置3の紙幣処理部18により行われるものであるが、説明の簡略化のため、以下では貸出装置3を主体として説明する。
貸出装置3は、図示しないメイン処理を繰り返して実行しており、メイン処理の1つとして紙幣・ICカード受付処理及び真偽判定基準値変更処理を実行している。
【0022】
図3は、紙幣・ICカード受付処理を示すフローチャートである。貸出装置3は、紙幣が投入されたか(A1)、及びICカードが投入されたか(A7)を判定している。遊技者は、遊技を開始する場合、パチンコ玉の貸し出しを受けるために紙幣を紙幣投入口10に投入する。貸出装置3は、紙幣が投入されると(A1:YES)、投入された紙幣の真偽を判定し(A2)、その判定結果が真である場合には(A3:YES)、金種を判定した後に(A4)、パチンコ遊技機へ金額情報を送信して(A5)、リターンする。貸出装置3から金額情報が送信されると、その金額情報を受信した遊技機2は、図示しない表示部に投入された紙幣に対応した貸出情報(残度数)を表示するとともに、遊技者による貸出ボタン7の押下操作に応じて、内部に設けられている払出機構から払出単位(度数)毎のパチンコ玉を払い出す。具体的には、遊技機2は、受信した金額情報に含まれる投入金額を上限として、例えば125玉(5度数(500円)に相当)のパチンコ玉を払い出す(貸し出す)。これにより、遊技者は、遊技機2での遊技が可能になる。
【0023】
遊技者は、例えば台移動などで一旦その遊技機2での遊技を終了する場合、残金(投入金額−消費金額)があるときには返却ボタン8を押下操作する(返却操作をする)。返却操作がなされると、貸出装置3は、上述したように、ストックしているICカードに残金などのカード情報を記録した後、そのICカードをICカード挿入口11から発行する。カード情報が記録されたICカードを所有している遊技者、この場合台移動をした遊技者は、他の遊技機2で遊技をしたいとき、当該遊技機2に対応して設けられている貸出装置3にICカードを挿入する。貸出装置3は、ICカードが挿入されたことから(A7:YES)、その真偽を判定し(A8)、真である場合には(A9:YES)、ICカードに記録されているカード情報を読み取り(A10)、パチンコ遊技機へカード情報に含まれる金額情報を送信して(A5)、リターンする。これにより、上記した紙幣の投入時と同様に、遊技者は遊技玉の貸し出しを受けることが可能になる。
【0024】
一方、貸出装置3は、ICカードが偽(利用不可)であると判定した場合には(A9:NO)、そのICカードを返却する(A10)。この場合、遊技者は、例えば遊技場の従業員にICカードが利用できないことを伝えて対処してもらうことになる。また、パチンコ玉の貸し出しによりICカードに記録されている残金が0になった場合には、ICカードを返却することなく、回収する。
このように、貸出装置3は、通常は、投入された紙幣及びICカードの真偽を判定し、真である場合には、投入金額(又は、ICカードに記録されている残金)に応じた遊技者へのパチンコ玉の貸し出しを行っている。
【0025】
ところで、貸出装置3は、投入された紙幣の真偽が偽であると判定した場合には(A3:NO)、投入された紙幣を返却する(A6)。この場合、投入された紙幣が偽造紙幣のような不正な紙幣であるときには、偽と判定するのは当然である。しかし、貸出装置3は、例えば投入された紙幣に曲がりや汚れが生じている場合、或いは貸出装置3の紙幣処理部18(特には真偽判定機構の光学系)に汚れなどがある場合など、正しい紙幣が投入されたにも関わらず偽と判定してしまうことがある。その場合、遊技者は、正しい紙幣を投入したにも関わらず貸出装置3が偽と判定されて返却される紙幣戻りが発生することから、煩わしさを感じたり、パチンコ玉の貸し出しを受けられないことから所望の遊技機2で遊技できないなど、遊技意欲が減退してしまう。
【0026】
そこで、本実施形態の貸出装置3は、遊技者の信用性を判定し、その判定結果に基づいて、紙幣処理部18による紙幣の真偽判定に用いる基準値を変更する。尚、本実施形態では、説明の簡略化のために、基準値を高レベル(真偽の判断が厳しい)、及び低レベル(真偽の判断が甘い)の2段階に設定している。尚、この基準値は、初期状態では高レベルが選択されている。
【0027】
図4は、真偽判定基準値変更処理を示すフローチャートである。遊技場に会員登録をしている遊技者(会員遊技者に相当)は、様々なサービス(例えば来店ポイントなど)を受けるため、遊技開始時に会員カード22を貸出装置3の会員カード挿入口15に挿入する。この会員カード22には遊技者の会員ID情報が記録されており、会員カード22を挿入することで遊技者を特定することが可能になる。換言すると、不正を働こうとする者は、自身が特定されることを恐れることから、会員カード22を挿入しないと予想される。そこで、貸出装置3は、遊技者の信用性を判定するために、会員カード22が挿入されているかを判定する(B1)。会員カード22が挿入されていない場合、即ち遊技者個人を特定できない場合には(B1:NO)、現在の基準値が低レベルであるかを判定し(B4)、低レベルである場合には(B4:YES)、基準値を高レベルにする(B5)。つまり、貸出装置3は、例えば偽造紙幣の使用などの不正行為が行われる恐れがある場合には、紙幣の真偽判断の基準値を高く(真偽判定を厳しく)する。これにより、偽造紙幣による被害を抑制することができる。
【0028】
これに対して、会員カード22が挿入されている場合には(B1:YES)、上述したように遊技者の特定が可能であることから遊技者の信用性が高いと判定し、現在の基準値が高レベルである場合には(B2:YES)、基準値を低レベルにする(B3)。基準値が低く(真偽判定が甘く)なる、即ち、真偽判定の許容範囲が広がると、基準値が高レベルの状態では偽と判定された紙幣を使用できる可能性が高くなる。そのため、紙幣戻りが発生する可能性が低下し、遊技者が煩わしさを感じることが少なくなる。この場合、会員カード22が挿入されていることから遊技者を特定できるので、不正行為が行われる虞は少なく、遊技場が被害を受ける虞を低減することができる。
【0029】
以上説明した本実施形態の貸出装置3によれば、次のような効果を奏する。
貸出装置3は、会員カード22が挿入されているか否かにより遊技者の信用性を判定し、その判定結果に基づいて、複数段階設定されている紙幣の真偽判定の基準値のうち、一つを選択することにより、遊技者毎に真偽判定のレベルを変更する。すなわち、信用性が高いと判定された遊技者の場合は真偽判定の基準値を低く(判定基準を緩く)する一方、信用性が低いと判定された遊技者の場合は基準値を高く(厳しく)する。これにより、偽造紙幣による被害の抑制効果を維持しながら、誤判定による紙幣戻りの煩わしさを解消することができる。また、紙幣戻りが繰り返されることによる遊技意欲の減退を招く虞も低減することができる。
【0030】
貸出装置3は、遊技者の信用性の判定を会員カード22の有無に基づいて行うので、会員カード22の利用価値が一層高まり、会員登録の促進効果が期待できる。
貸出装置3は、パチンコ玉を遊技機2内部に設けられている払出機構を兼用してパチンコ玉を払い出すので、貸出装置3の製造コストを低減することができる。
【0031】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形又は拡張できる。
貸出装置3に遊技場の従業員が携帯する従業員リモコンからの信号を受信するリモコン受信部(指令信号受信手段に相当)を設け、従業員リモコンから基準値の設定を変更するための指令信号を受信した場合には、真偽判定の基準値の設定を低レベルにする構成としてもよい。これにより、会員カード22を所持していない非会員の遊技者の場合であっても、適宜に基準値を甘くする対応が可能となる。すなわち、紙幣戻りが頻発して従業員を呼び出した遊技者は不正行為を行っていない可能性が高く、そのような遊技者に対して会員カード22が無くても基準値を甘くすることが可能になり、気分よく遊技して貰うことができる。
【0032】
紙幣を偽と判定して返却した回数を計数し出力する返却回数計数手段を設けるようにしてもよい。このような手段を設けることにより、紙幣の返却回数を正確に把握することができる。あるいは、紙幣を返却した際にその旨を示す信号を管理装置6に対して出力し、管理装置6側で例えば閉店時などに紙幣の返却回数を計数するとともに、返却回数(偽と判定して紙幣を返却した回数)が多い貸出装置3を一覧で表示するようにしてもよい。これにより、特定の貸出装置3にて返却回数が多い即ち紙幣戻りが頻発しているようであれば、例えば読み取り用の光学レンズが汚れているなど、その貸出装置3に対してメンテナンスを行う必要があるなどの情報を得ることができる。
【0033】
また、報知手段を設け、紙幣戻りが発生した回数が所定の報知回数を超えた場合に、例えば状態表示ランプ9を点灯させるなど自動で従業員を呼び出す異常報知をするようにしてもよい。これにより、紙幣戻りの発生に対して遊技場側の素早い対応が可能になる。この場合、紙幣戻りが発生してからの時間を計測するタイマを設け、遊技者が交代したことを判定する客交代判定手段を設ける構成としてもよい。例えば特定の遊技者が何度も紙幣戻りを繰り返している場合には、不正行為が行われている虞があると判断できる。一方、ある遊技者が紙幣戻りの発生に伴い席を移動し、その後別の遊技者でも紙幣戻りが発生した場合など、紙幣戻りの発生から所定時間が経過した後に再度紙幣戻りが発生したような場合には、その貸出装置3に異常が発生している虞があると判断できる。
【0034】
真偽判定の基準値を高レベル及び低レベルの2段階としたが、3段階以上であってもよい。
パチンコ遊技機内部の払出機構によりパチンコ玉を払い出すようにしたが、貸出装置3側に払出機構を設けるようにしてもよい。
パチスロ機用の遊技媒体(メダル)の貸出装置に適用してもよい。
本実施形態では紙幣のみを使用可能な貸出装置を前提としたが、紙幣及び硬貨の両方あるいは硬貨のみを使用可能な貸出装置に適用することもできる。
【符号の説明】
【0035】
図面中、2は遊技機、3は貸出装置(真偽判定手段、金種判定手段、遊技媒体払出手段、貨幣返却手段、判定基準値設定手段、遊技者判定手段、会員カード受付手段)、22は会員カードを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された貨幣の真偽を判定する真偽判定手段と、
投入された貨幣の金種を判定する金種判定手段と、
前記真偽判定手段により真と判定された場合に、前記金種判定手段により判定された金種に対応する数の遊技媒体を払い出す遊技媒体払出手段と、
前記真偽判定手段により偽と判定された場合に、投入された貨幣を返却する貨幣返却手段と、
前記真偽判定手段による真偽判定に用いる基準値を複数段階で設定する判定基準値設定手段と、
遊技者の信用性を判定する遊技者判定手段と、を備え、
前記真偽判定手段は、前記遊技者判定手段による判定結果に基づいて、前記判定基準値設定手段により設定された複数段階の前記基準値のうち一の基準値を選択して前記真偽判定を実行することを特徴とする遊技媒体貸出装置。
【請求項2】
会員遊技者を特定するための会員情報が記録された会員カードを受付可能な会員カード受付手段を備え、
前記遊技者判定手段は、前記会員カード受付手段が会員カードを受け付けている状態では当該遊技者の信用性が高いと判定することを特徴とする請求項1記載の遊技媒体貸出装置。
【請求項3】
遊技場の従業員が携帯する携帯リモコン装置からの指令信号を受信可能な指令信号受信手段を備え、
前記遊技者判定手段は、前記携帯リモコン装置からの指令信号に基づいて当該遊技者の信用性を判定することを特徴とする請求項1または2記載の遊技媒体貸出装置。
【請求項4】
前記遊技媒体払出手段が遊技機の内部に設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の遊技媒体貸出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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