説明

遊技機の球送り装置

【課題】縦方向への小型化を図ることができる遊技機の球送り装置を提供すること。
【解決手段】遊技機の球送り装置1は、球入口21と球出口22とが形成されたケース2と、電動式駆動源3と、電動式駆動源3の駆動を受けて回動する球送り部材4とを有している。球送り部材4は、回動支点となる回動軸部41、初期位置401において球入口21から流入する遊技球Bを受け取る球受取部421、駆動位置において球受取部421から遊技球Bを受け取り、この遊技球Bを初期位置401において球出口22へ送り出す球送出部422、下側部材部分42と回動軸部41とを連結する連結部43、及び電動式駆動源3によって駆動される被駆動部44を有している。被駆動部44は、回動軸部41の中心と球送出部422の中心とを結ぶ仮想ラインLに対して、所定の距離離れた位置に平行に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を1球ずつ送り出す、遊技機の球送り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機等の遊技機においては、例えば球皿に貯留された遊技球を1球ずつ球発射装置へ送り出すために、球送り装置が用いられている。球送り装置としては、遊技球を送り出す球送り部材を、電磁ソレノイドの通電及びその遮断を行って回動させるよう構成されている。
例えば、特許文献1のパチンコ機の球送り装置においては、ソレノイドの励磁により揺動して、球供給皿から供給された球を一球ずつ球発射レールに送出する球送り部材が開示されている。この球送り部材には、ソレノイドに吸引される磁性板が嵌着されている。この球送り部材は、その側部に磁性板を有し、その上部に球受け部を有し、その下部に回動軸を有している。そして、ソレノイドの励磁を受けて、磁性板が吸着される力を利用して、回動軸の回りに球送り部材を回動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−331080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1等の球送り装置においては、球送り部材の球受け部が球送り部材の上部に形成されており、この球受け部には、上方から遊技球が供給される。そのため、球送り装置における球入口を、球送り部材に対する上方に形成する必要があり、球送り装置が縦方向(高さ方向)に大きくなってしまう。
また、従来の一般的な球送り部材においては、ソレノイドに吸引される磁性板は、回動軸から放射状に伸びる方向(径方向)に配置されている。しかし、特に、回動軸に対する下方に球受け部及び球送り部を配置した球送り部材においては、磁性板を、下方に配置された球受け部や球送り部の領域内に配置しないようにする必要がある。これによって、磁性板を上下方向(鉛直方向)に対して所定の角度傾けた状態で配設する必要性が生じる。そして、そのように回動軸から法線方向(径方向)に沿うとともに上下方向に対して斜めに配置された磁性板に対する上方位置に、ソレノイドを、この磁性板に対して垂直方向に沿って配置することとなる。そのため、球送り装置が縦方向(高さ方向、上下方向)に大きくなってしまい、球送り装置の縦方向への小型化を図るためには、球送り部材の形状等に更なる工夫が必要とされる。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、縦方向への小型化を図ることができる遊技機の球送り装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、球入口と球出口とが形成されたケースと、
該ケースに配設された電動式駆動源と、
上記ケースに配設され、上記電動式駆動源の駆動を受けて初期位置から駆動位置へ回動する球送り部材とを有しており、
該球送り部材は、該球送り部材の上方位置に形成された回動支点としての回動軸部と、
上記初期位置において上記球入口から流入する遊技球を受け取る球受取部と、
上記回動軸部の下方位置に形成され、上記駆動位置において上記球受取部から遊技球を受け取り、該遊技球を上記初期位置において上記球出口へ送り出す球送出部と、
上記球受部及び上記球送出部が形成された部材部分と上記回動軸部とを連結する連結部と、
該連結部において上記電動式駆動源の駆動部と対向する面に設けられ、該駆動部によって駆動される被駆動部とを有しており、
該被駆動部は、上記回動軸部の中心と上記球送出部の中心とを結ぶ仮想ラインに対して、所定の距離離れた位置に、平行又は平行に近い傾斜角度で設けられていることを特徴とする遊技機の球送り装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0007】
上記遊技機の球送り装置においては、球送り部材の形状と、電動式駆動源によって駆動される被駆動部の配設位置とに工夫を行っている。
具体的には、球送り部材の連結部の形状に工夫を行うことによって、電動式駆動源によって駆動される被駆動部を、回動軸部の中心と球送出部の中心とを結ぶ仮想ラインに対して、所定の距離離れた位置に、平行又は平行に近い傾斜角度で設けている。
【0008】
これにより、ケースにおいて、電動式駆動源をその駆動部を基点として球送り部材に対する横方向の延長位置に配置することができる。そのため、ケースにおける電動式駆動源の縦方向の配設領域を極力小さくすることができ、球送り装置を縦方向に小型化することができる。
また、連結部における被駆動部の配設位置の工夫により、ケースにおいては、球入口と球出口とを、球送り部材の縦方向及び横方向の可動範囲内に収容させつつ前後の位置に設けることができる。これにより、球入口及び球出口を、球送り部材に対する上下の位置に設ける必要がなく、ケース及び球送り装置の縦方向の小型化を図ることができる。また、これにより、球入口と球出口との上下方向の配置距離を極力小さくすることができる。特に、遊技機において、球送り装置の周辺に位置させる各種機能部材の配置スペースを、上下方向に拡大させることができ、各種機能部材の配置の自由度を向上させることができる。
【0009】
それ故、上記遊技機の球送り装置によれば、その縦方向への小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例にかかる、遊技機の球送り装置を、球出口の側から見た状態で示す斜視図。
【図2】実施例にかかる、球送り部材が初期位置にある場合の遊技機の球送り装置を、球出口の側から見た状態で示す背面図。
【図3】実施例にかかる、球送り部材が駆動位置にある場合の遊技機の球送り装置を、球出口の側から見た状態で示す背面図。
【図4】実施例にかかる、球送り装置の球送り部材の周辺を上方から見た状態で示す図で、図2のA−A断面説明図。
【図5】実施例にかかる、遊技機を示す正面図。
【図6】実施例にかかる、他の球送り部材を有する球送り装置を、球入口の側から見た状態で示す正面図。
【図7】実施例にかかる、不正防止板を設けた球送り装置を、球出口の側から見た状態で示す背面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述した遊技機の球送り装置における好ましい実施の形態につき説明する。
上記遊技機の球送り装置において、上記仮想ラインに対する上記被駆動部の上記平行に近い傾斜角度とは、上記平行な状態に対して例えば15°以内で傾斜する状態のことをいう。
また、上記球送出部の中心とは、該球送出部に遊技球が配置されたときに、この遊技球の中心が位置する部位のことをいう。
【0012】
また、上記連結部は、上記回動軸部から上記電動式駆動源の側に向けて形成された上側連結部と、該上側連結部と上記部材部分とを連結する中央連結部とを有しており、上記被駆動部は、上記中央連結部の外側面に設けられており、上記中央連結部において上記外側面と反対側に位置する内側面は、上記球入口から流入する遊技球を上記球受取部に受け取る際のガイド壁として機能するよう構成されていてもよい(請求項2)。
この場合には、ケースにおいて、球送り部材における中央連結部の内側面に対向する位置にガイド壁が形成されない。そのため、遊技機の外部から遊技者等によって与えられる外力によって、球送り部材が不意に振動したとしても、球送り部材の球受取部から球送出部へ遊技球が不意に零れ落ちてしまうことを防止することができる。
【0013】
また、上記電動式駆動源は、鉄心の回りに配置されたコイルに通電を行って上記駆動部に駆動力としての磁気吸引力を発生させるソレノイドであり、上記被駆動部は、上記駆動部に吸着される金属板であり、該金属板は、その長尺方向が上記初期位置において略鉛直方向に沿って配設してもよい(請求項3)。
この場合には、ソレノイドによって駆動する球送り部材の構造を一層シンプルに構成することができ、球送り装置の縦方向への小型化をより適切に行うことができる。
【実施例】
【0014】
以下に、遊技機の球送り装置の実施例につき、図面を参照して説明する。
図1は、遊技機5の球送り装置1を、ケース2の後方側ケース部24を取り外した状態で、球出口22の側(後方側)から見た状態(背面図)で示す。図2は、球送り部材4が初期位置401にある場合を、図1と同じ状態で示し、図3は、球送り部材4が駆動位置402にある場合を、図1と同じ状態で示す。
本例の遊技機5の球送り装置1は、図1、図2に示すごとく、球入口21と球出口22とが形成されたケース2と、ケース2に配設された電動式駆動源3と、ケース2に配設され、電動式駆動源3の駆動を受けて初期位置401(図2参照)から駆動位置402(図3参照)へ回動する球送り部材4とを有している。球送り部材4は、回動軸部41、球受取部421、球送出部422、連結部43及び被駆動部44を有している。
【0015】
図2に示すごとく、回動軸部41は、球送り部材4の上方位置に形成された回動支点として機能する。球受取部421は、初期位置401において球入口21から流入する遊技球Bを受け取る部位として形成されている。図3に示すごとく、球送出部422は、回動軸部41の下方位置に形成され、駆動位置402において球受取部421から遊技球Bを受け取り、この遊技球Bを初期位置401において球出口22へ送り出す部位として形成されている。
【0016】
連結部43は、球受取部421及び球送出部422が形成された下側部材部分42(部材部分42)と回動軸部41とを連結する部位として形成されている。被駆動部44は、連結部43において電動式駆動源3と対向する面に設けられ、電動式駆動源3によって駆動される部位として形成されている。
そして、被駆動部44は、回動軸部41の中心と球送出部422の中心(球送出部422に配置された遊技球Bの中心)とを結ぶ仮想ラインLに対して、所定の距離離れた位置に、平行に設けられている。
【0017】
以下に、本例の遊技機5の球送り装置1につき、図1〜図7を参照して詳説する。
図5は、本例の遊技機5を正面から見た状態で示す。
同図に示すごとく、本例の遊技機5はパチンコ遊技機5であり、パチンコ遊技機5の本体枠51には、液晶モニター等の画像表示装置53を搭載した遊技盤52が配設されている。球送り部材4は、遊技機5の下方位置において、左右方向Wの中央部分に配設される。本体枠51の下方位置の前方側には前面パネル65及び球皿6が配設され、球送り装置(整流器)1は、球皿6の後方に配設される。また、球送り装置1の後方には、本体枠51に配設した遊技盤52の遊技領域へ遊技球Bを発射させる球発射装置7が配設されている。また、球発射装置7における打球位置には、遊技領域への遊技球Bの発射ガイドとなる球発射レール71が配設されている。
【0018】
球皿6には、遊技球Bを貯留する貯留部61と、貯留部61から球送り装置1へ繋がる球供給通路62とが形成されている。貯留部61に貯留された遊技球Bは、1列状態に整流されながら球供給通路62へと流下し、該球供給通路62を通って球送り装置1へ供給され、球送り装置1において1球ずつ整流されて、球発射レール71の発射球着座部へ送り出される。そして、発射球着座部に着座した遊技球Bは、球発射装置7の打球槌によって遊技盤52の遊技領域へ発射される。
【0019】
図2に示すごとく、球送り部材4の連結部43は、回動軸部41から電動式駆動源3の側に向けて横方向Wに形成された上側連結部431と、上側連結部431の端部から縦方向Hに形成された中央連結部432とを有している。球送出部422が形成された下側部材部分42は、中央連結部432の下端部から横方向Wに形成されている。球受取部421は、下側部材部分42において、球送出部422に隣接して形成されている。中央連結部432は、仮想ラインLに対して横方向Wにオフセットして形成されている(略平行移動した位置に形成されている)。
球送出部422と球受取部421とは、下側部材部分42における上側面において、遊技球Bを受けて下流側へと流下させる形状に形成されている。回動軸部41は、上側連結部431の先端部に形成されている。球送出部422は、下側部材部分42の先端部に形成されており、球受取部421は、下側部材部分42において中央連結部432に近い側に形成されている。
【0020】
同図に示すごとく、本例の電動式駆動源3は、鉄心の回りに配置されたコイルに通電を行って、駆動部である鉄心端部(出力側端面31)に駆動力として磁気吸引力を発生させるソレノイド3である。ソレノイド3は、鉄心の軸方向を斜め横方向(水平方向)Wに向けてケース2に配設されている。本例のソレノイド3の鉄心は、その軸方向が横方向Wに対して10〜30°の傾斜角度で配設されている。
球送り部材4が初期位置401にある状態において、本例の球送出部422の中心は、回動軸部41の中心の真下に位置している。そして、球送り部材4が初期位置401にある状態において、回動軸部41の中心と球送出部422の中心とを結ぶ仮想ラインLは、鉛直方向に描かれる。
【0021】
図2に示すごとく、被駆動部44は、中央連結部432の外側面433に設けられている。中央連結部432において外側面433と反対側に位置する内側面434は、球入口21から流入する遊技球Bを球受取部421に受け取る際のガイド壁として機能するよう構成されている。ここで、内側面434は、球受取部421の一側壁部としての機能を有しており、球受取部421の一部として構成されている。
本例の被駆動部44は、ソレノイド3に吸着される金属板44である。球送り部材4が初期位置401にある状態において、金属板44は、その長尺方向が鉛直方向に位置するように連結部43に配設されている。金属板44は、その板面がソレノイド3の駆動部である出力側端面31と対向するように、球送り部材4の連結部43に設けられている。
【0022】
同図に示すごとく、本例の球送り部材4は、ソレノイド3が励磁されておらず、金属板44がソレノイド3に吸着されていないときに、球入口21から遊技球Bを受け取る初期位置401にある。なお、球送り部材4は、自重により背面視で反時計方向へと回動付勢されるように構成されている。そして、後述する上側壁262の側端部が、球送り部材4の内側面434に当接することにより、球送り部材4を初期位置401に位置規制するストッパ部材として働く。この初期位置401においては、球供給通路62から球入口21を介して球送り部材4の球受取部421に遊技球Bが配置されている。そして、図3に示すごとく、ソレノイド3が励磁されて、金属板44がソレノイド3に吸着されることによって、球送り部材4が初期位置401から駆動位置402へ回動し、球送り部材4の球受取部421に配置された遊技球Bが、球送出部422へと落下流下する。次いで、図2に示すごとく、ソレノイド3の励磁状態が解除されて、球送り部材4が自重により再び初期位置401へ復帰すると、球送出部422が球出口22に対向し、球送出部422に配置された遊技球Bが球出口22へ送り出される。
【0023】
図4は、球送り装置1の球送り部材4の周辺を上方から見た状態で示す。
同図に示すごとく、本例のケース2は、遊技機5の前方側に配置される前方側ケース部23と、遊技機5の後方側に配置される後方側ケース部24とを合わせて構成されている。前方側ケース部23には、球皿6に形成された球供給通路62の下流側端部に繋がる球入口21が形成されており、後方側ケース部24には、球発射レール71の発射球着座部に繋がる球出口22が形成されている。
また、球送り部材4における球送出部422の一部423は、遊技球Bを適切に球発射レール71の発射球着座部へと流下案内させることを目的として、球出口22内に挿入されてケース2外へと延出するように、後方側に突出して形成されている。
【0024】
前方側ケース部23における球入口21は、球送り部材4が初期位置401にある状態において、球送り部材4の球受取部421に対向する位置に形成されている。球送り部材4が初期位置401にある状態においては、球皿6の球供給通路62から球入口21を介して球受取部421へ遊技球Bが流入する。この球入口21から球受取部421に流入した遊技球Bは、前方側ケース部23において球送り部材4と対向する内部側に突出して形成された球受壁261によって支えられて、球受取部421に保持される。
【0025】
図1に示すごとく、本例の球入口21の内部側に突出する突出壁26は、球入口21の上縁部に形成された上側壁262と、この上側壁262から続けて、球送り部材4における球送出部422側に位置する側縁部に形成された球受壁261とによって構成されている。球入口21の内部側において球送り部材4の中央連結部432側に位置する側縁領域260には、突出壁26が形成されていない。そして、球入口21から流入する遊技球Bは、中央連結部432における内側面434と球受壁261とによってガイドされて、球受取部421に受け取られる。
【0026】
球入口21の内部側において、球送り部材4の中央連結部432側に位置する側縁領域260に突出壁26が形成されていないことより、遊技機5の外部から遊技者等によって与えられる外力によって、球送り部材4が不意に振動したとしても、球送り部材4の球受取部421から球送出部422へ遊技球Bが不意に零れ落ちてしまうことを防止することができる。
より具体的に説明すると、仮に、側縁領域260に突出壁26が形成されていた場合には、次のようにして遊技球Bが零れ落ちてしまうおそれがある。遊技者等によって与えられる外力を受けて、球送り部材4が初期位置401から駆動位置402側へと回動するときには、この球送り部材4は、球受取部421に遊技球Bが載置されたままの状態で回動しようとする。このとき、突出壁26が、球送り部材4の球受取部421に載置された遊技球Bに干渉し、球送り部材4のみが回動することになる。その結果、遊技球Bが球受取部421から球送出部422へと落下してしまう不具合が発生する危険性がある。
【0027】
これに対して、本例のように、突出壁26が形成されていない構造の場合には、上記外力を受けて、球受取部421に遊技球Bが載置された状態で球送り部材4が駆動位置402側へ回動するときには、球受取部421に載置された遊技球Bに干渉するものがない。そのため、球受取部421に遊技球Bが載置されたままの状態で球送り部材4が回動することになり、遊技球Bが球受取部421から球送出部422へ落下してしまうことが防止される。
また、中央連結部432側に位置する側縁領域260の突出壁26をなくしたことにより、回動軸部41と金属板44との間の距離が、突出壁26の厚み寸法分だけ短くなる。これにより、回動軸部41の回りに球送り部材4を回動させる際に必要となる吸引トルクを減少させることができる。そのため、電動式駆動源3としてのソレノイド3の容量を小さくすることができる。
【0028】
図4に示すごとく、前方側ケース部23において、球入口21の前方側に位置する外部側には、球入口21の外縁部全周をロの字状に囲んで、球供給通路62から球入口21へ流入する遊技球Bをガイドするガイド突起27が形成されている。
本例においては、球送り部材4が初期位置401に位置するときに、球供給通路62内の遊技球Bから、球受取部421に載置された遊技球Bに加わる球圧により、駆動位置402の方向へ不意に回動しにくくする工夫を行っている。
【0029】
具体的には、同図に示すごとく、ガイド突起27の内壁面271における横方向Wの部位には、外部側(前方側)から内部側(後方側)へ向かうに連れて、球送り部材4の球受取部421側から球送出部422側へ傾斜するテーパ面が形成されている(同図において、前方側を矢印Fによって示す。)。これにより、球供給通路62内の遊技球Bから、球受取部421に配置された遊技球Bに加わる球圧を、ソレノイド3の配設位置とは反対側へ(球送り部材4を初期位置401に維持する方向へ)作用させることができる。これにより、球送り部材4が、初期位置401から駆動位置402の方向へ不意に回動してしまうことを防止することができる。また、上記テーパ面の形成により、球供給通路62から流入してくる遊技球Bを、球流下における下流側の方向である球送出部422側に向けて適切に流下案内させることができる。
【0030】
上記のごとく、球送り部材4の連結部43の形状に工夫を行うことによって、ソレノイド3によって駆動される金属板44を、回動軸部41の中心と球送出部422の中心とを結ぶ仮想ラインLに対して、所定の距離離れた位置に平行に設けている。これにより、ケース2において、ソレノイド3を球送り部材4に対する横方向Wに配設することができる。そのため、ケース2におけるソレノイド3の縦方向Hの配設領域を極力小さくすることができ、球送り装置1を縦方向Hに小型化することができる。
【0031】
また、連結部43における金属板44の配設位置の工夫により、ケース2においては、球入口21と球出口22とを、球送り部材4の縦方向H及び横方向Wの可動範囲に対する前後の位置に設けることができる。これにより、球入口21及び球出口22を、球送り部材4に対する上下の位置に設ける必要がなく、ケース2及び球送り装置1の縦方向Hの小型化を図ることができる。
【0032】
それ故、本例の遊技機5の球送り装置1によれば、その縦方向Hへの小型化を図ることができる。
【0033】
上記球送り部材4は、上記上側連結部431、中央連結部432及び下側部材部分42を連結したC型形状とする以外にも、種々の形状に形成することができる。球送り部材4は、例えば、図6に示すごとく、回動軸部41と球送出部422の先端部とを連結して、内部に貫通部45が形成された環形状に形成することもできる。ここで、図6は、球送り部材4が初期位置401にある場合の球送り装置1を、ケース2の前方側ケース部23を取り外した状態で、球入口21の側(前方側)から見た状態で示す。
【0034】
この場合、球送出部422及び球受取部421は、貫通部45における下側部分に形成される。この場合には、球送出部422の先端部と回動軸部41とを連結させる構造により、球送り部材4の強度を向上させることができ、また、球送り部材4を樹脂で成形する際に、球送り部材4に変形やねじれが生じにくくすることができる。
球送り部材4の回動軸部41の周りには、ケース2と摺動する際の摩擦を低減するための円環状の突起25が形成されている。この円環状の突起25には、下側部分において突起形状でなくなった切欠部251が形成されている。この切欠部251により、摩擦等によってケース2又は球送り部材4の一部が削り取られて、回動軸部41の周辺に粉が発生したときには、この粉を回動軸部41の外へと適切に排出することができる。
【0035】
同図に示すごとく、電動式駆動源3としてのソレノイド3の出力側端面31には、吸着力を強くするための突起部32を形成し、被駆動部44としての金属板44には、突起部32が挿入される挿入部441を形成することができる。この挿入部441は、穴形状、凹形状、切欠形状等とすることができる。
【0036】
図7は、不正防止板28を設けた球送り装置1を、ケース2の後方側ケース部24を取り外した状態で、球出口22の側(後方側)から見た状態で示す。
同図に示すごとく、球入口21又は球出口22の周辺には、遊技の不正を行うために遊技球Bに取り付けた不正糸を切断又は引っ掛けることができる不正防止板28を設けることができる。この不正防止板28には、不正糸を切るための切断部281を形成することができる。この切断部281は、不正防止板28を構成する板金を切り開き、不正糸が引っ掛かって切断可能になるはさみ形状に形成することができる。
【0037】
なお、電動式駆動源3としてのソレノイド3は、本例のような磁気吸引タイプに限らず、駆動部がピストンとして移動するプランジャタイプのソレノイドを用いてもよい。
この場合には、ソレノイド3の駆動部として形成されたピストンと連結部43における被駆動部44とを、連結機構により連結するか、又は係合機構により係合させて、ピストンによって被駆動部44が回動するように構成すればよい。
また、磁気吸引力により可動(回動)する可動部(金属板)をソレノイド3と一体的に形成し、この可動部を被駆動部44に連結又は係合させて、球送り部材4を回動させるように構成してもよい。
【0038】
また、本例の球送り装置1は、球皿にある遊技球Bを球発射装置7に向けて供給する、いわゆる整流器に以外にも、種々の用途に用いることができる。球送り装置1は、例えば、遊技球Bを1球ずつカウント計数しながら排出する球排出装置等、遊技球Bを1球ずつ送り出す機能が必要とされるどのような遊技装置に用いることもできる。
また、本例の球送り装置1は、球発射装置7を遊技領域の上方位置に配設した上部発射方式のパチンコ遊技機に用いることもできる。
また、本例の球送り装置1は、遊技球Bを封入する封入式パチンコ遊技機に用いてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 球送り装置
2 ケース
21 球入口
22 球出口
26 突出壁
261 球受壁
27 ガイド突起
3 電動式駆動源(ソレノイド)
4 球送り部材
401 初期位置
402 駆動位置
41 回動軸部
42 下側部材部分(部材部分)
421 球受取部
422 球送出部
43 連結部
431 上側連結部
432 中央連結部
44 被駆動部(金属板)
5 遊技機
B 遊技球
L 仮想ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
球入口と球出口とが形成されたケースと、
該ケースに配設された電動式駆動源と、
上記ケースに配設され、上記電動式駆動源の駆動を受けて初期位置から駆動位置へ回動する球送り部材とを有しており、
該球送り部材は、該球送り部材の上方位置に形成された回動支点としての回動軸部と、
上記初期位置において上記球入口から流入する遊技球を受け取る球受取部と、
上記回動軸部の下方位置に形成され、上記駆動位置において上記球受取部から遊技球を受け取り、該遊技球を上記初期位置において上記球出口へ送り出す球送出部と、
上記球受部及び上記球送出部が形成された部材部分と上記回動軸部とを連結する連結部と、
該連結部において上記電動式駆動源の駆動部と対向する面に設けられ、該駆動部によって駆動される被駆動部とを有しており、
該被駆動部は、上記回動軸部の中心と上記球送出部の中心とを結ぶ仮想ラインに対して、所定の距離離れた位置に、平行又は平行に近い傾斜角度で設けられていることを特徴とする遊技機の球送り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機の球送り装置において、上記連結部は、上記回動軸部から上記電動式駆動源の側に向けて形成された上側連結部と、該上側連結部と上記部材部分とを連結する中央連結部とを有しており、
上記被駆動部は、上記中央連結部の外側面に設けられており、
上記中央連結部において上記外側面と反対側に位置する内側面は、上記球入口から流入する遊技球を上記球受取部に受け取る際のガイド壁として機能するよう構成されていることを特徴とする遊技機の球送り装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の遊技機の球送り装置において、上記電動式駆動源は、鉄心の回りに配置されたコイルに通電を行って上記駆動部に駆動力としての磁気吸引力を発生させるソレノイドであり、
上記被駆動部は、上記駆動部に吸着される金属板であり、該金属板は、その長尺方向が上記初期位置において略鉛直方向に沿って配設されていることを特徴とする遊技機の球送り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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