説明

遊技機の管理装置

【課題】パチンコ機の賞球データを信頼性のあるものとする。
【解決手段】メイン制御装置70は、下受け皿が満タン中で賞球の払出が保留されているときにおける大当り中の入賞に対する賞球の払出の指示を下受け皿満タン時賞球コマンドとし、それ以外の入賞に対しては通常時賞球コマンドとして払出用制御装置90に送信する。払出用制御装置90は、受信した賞球コマンドに応じた数の賞球を払い出すと共に賞球を払い出すごとに賞球信号を出力し、下受け皿満タン時賞球コマンドの受信時には下受け皿の満タンが解消されて賞球の払出が再開されたときに下受け皿満タン時賞球信号を出力する。ホールコンピュータ10は、大当り中に受信した賞球信号に大当り中以外に受信した下受け皿満タン信号を加算して計数することで大当り中の出玉を計算し、大当り中以外に受信した賞球信号から下受け皿満タン信号を減算して計数することで大当り中以外の出玉を計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の管理装置に関し、詳しくは、遊技機の状態を管理する遊技機の管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機の管理装置としては、遊技機として例えばパチンコ機の遊技状態に関する信号を受信するホールコンピュータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。遊技機側では、遊技状態に関する信号の一部として、遊技球の入賞口への入賞により景品球(賞球)が払い出されるごとに賞球信号をON出力したり、大当りを実行している最中に大当り信号をON出力したりしており、ホールコンピュータ側では、受信した信号に基づいて大当り一回あたりの出玉数や大当り中以外の出玉率(ベース)などを演算してモニタや用紙に出力している。ホールの管理者は、パチンコ機のクギ調整や不正の発見にホールコンピュータから出力されるデータを利用することができる。
【特許文献1】特開平7−59935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の遊技機では、景品球の払い出しが保留される場合、例えば、パチンコ機の払出口としての下受け皿が満タンとなって賞球の払い出しが保留されているときには、大当たり中の入賞による景品球の払い出しが大当たり終了後に行なわれる場合がある。この場合、単純に景品球を払い出した数に応じた信号をホールコンピュータに送信すると、この信号を受信したホールコンピュータ側では、遊技機から払い出された景品を大当たり中の遊技球の入賞に基づくものであるのに拘わらず大当たり中以外の入賞に基づくものとして誤って認識する場合があるから、データとしての信頼性が低下し、その利用価値を著しく減殺させてしまう。
【0004】
本発明の遊技機の管理装置は、こうした問題を解決し、大当り遊技の実行を伴う景品の払出状況や大当り遊技の実行を伴わない景品の払出状況をより正確に把握することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の遊技機の管理装置は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
手段1.本発明の遊技機の管理装置は、
遊技機の状態を管理する遊技機の管理装置であって、
前記遊技機は、
遊技媒体の入賞口への入賞を検出する入賞検出手段と、該入賞検出手段により入賞が検出されたときに所定の景品を払い出すと共に所定の保留条件が成立しているときには該景品の払い出しを一時的に保留する景品払出手段と、を備え、所定の抽選を行なうと共に抽選結果が大当りのときに前記入賞口の一つとして開閉可能な大当り用入賞口を開放して遊技媒体を入賞し易くする大当り遊技を実行する遊技機であって、前記入賞検出手段により遊技媒体の入賞が検出されたとき該入賞が前記保留条件が成立しているときの入賞であるか前記保留条件が成立していないときの入賞であるかを識別する入賞識別手段と、前記大当り遊技が実行されている最中に大当り信号を前記管理装置に出力し前記景品払出手段により景品が所定数払い出されるごとに第1の払出信号を前記管理装置に出力すると共に前記払い出された景品に係る遊技媒体の入賞が少なくとも前記入賞識別手段により前記保留条件が成立しているときの入賞と識別されたときには該景品が所定数払い出されるごとに前記第1の払出信号とは異なる第2の払出信号を前記管理装置に出力する信号出力手段と、を備え、
前記管理装置は、前記遊技機の信号出力手段により出力された前記大当り信号と前記第1の払出信号と前記第2の払出信号とを入力する信号入力手段と、該入力した各信号に基づいて前記大当り遊技の実行を伴う景品の払出状況および/または前記大当り遊技の実行を伴わない景品の払出状況を演算する演算手段と、を備える
ことを要旨とする。
【0007】
この本発明の遊技機の管理装置では、大当り遊技が実行されている最中に出力される大当り信号と遊技媒体の入賞により景品が所定数払い出されるごとに出力される第1の払出信号と払い出された景品に係る遊技媒体の入賞が少なくとも景品の払出が保留される保留条件が成立しているときの入賞と識別されたときにその景品が所定数払い出されるごとに出力される第1の払出信号とは異なる第2の払出信号とをそれぞれ遊技機から入力し、入力した各信号に基づいて大当り遊技の実行を伴う景品の払出状況や大当り遊技の実行を伴わない景品の払出状況を演算する。したがって、大当り遊技の実行中に遊技媒体が入賞したが保留条件の成立によって景品の払い出しが大当り遊技の終了後に行なわれた場合と大当り遊技が実行されていないときの遊技媒体の入賞によって景品が払い出された場合とが識別された第1の払出信号と第2の払出信号とを大当り信号と共に受信することができるから、大当り遊技の実行を伴う景品の払出状況や大当り遊技の実行を伴わない景品の払出状況をより正確に演算することができる。この結果、データをより信頼性のあるものとして有効に活用することができる。ここで、「所定数」は、5個や10個などの複数個であってもよいし、1個であってもよい。
【0008】
手段2.手段1記載の遊技機の管理装置であって、前記演算手段は、前記大当り信号を入力しているときに前記入力した前記第1の払出信号を計数すると共に前記大当り信号を入力していないときに前記入力した前記第2の払出信号を計数し、両計数結果を加算することにより前記大当り遊技の実行を伴う景品の払出状況を演算する手段である遊技機の管理装置。
【0009】
手段3.手段1または2記載の遊技機の管理装置であって、前記演算手段は、前記大当り信号を入力していないときに前記入力した前記第1の払出信号を計数すると共に前記大当り信号を入力していないときに前記入力した前記第2の払出信号を計数し、該第1の払出信号の計数結果から該第2の払出信号の計数結果を減算することにより前記大当り遊技の実行を伴わない景品の払出状況を演算する手段である遊技機の管理装置。
【0010】
手段4.手段1ないし3いずれか記載の遊技機の管理装置であって、前記景品払出手段は、所定の払出口に景品を払い出し可能な手段であり、前記払出口が満タン状態にあるか否かを検出する満タン検出手段を備え、前記保留条件は、前記満タン検出手段により満タン状態が検出されているときに成立する条件である遊技機の管理装置。こうすれば、払い出された景品に係る遊技媒体の入賞が払出口が満タンの状態にあるときの入賞に基づくものか満タン状態でないときの入賞に基づくものかを区別することができる。
【0011】
手段5.手段1ないし4いずれか記載の遊技機の管理装置であって、前記入賞識別手段は、さらに、前記入賞検出手段により検出された入賞が前記大当り遊技が実行されている最中の入賞か前記大当り遊技が実行されていないときの入賞であるかを識別する手段である遊技機の管理装置。こうすれば、払い出された景品に係る遊技媒体の入賞が大当り遊技の実行中で保留条件が成立しているときの入賞であるかそれ以外の入賞であるかを区別することができ、大当り遊技の実行を伴う景品の払出状況や大当り遊技の実行を伴わない景品の払出状況をより正確に演算することができる。
【0012】
手段6.手段1ないし5いずれか記載の遊技機の管理装置であって、前記遊技機は、前記入賞検出手段により遊技媒体の入賞が検出されたときに払い出すべき必要景品数をカウントアップすると共に前記景品払出手段により景品が払い出されたときに該払い出された景品の数だけ該必要景品数をカウントダウンする必要景品数カウント手段と、前記入賞検出手段により検出された入賞が前記入賞識別手段により少なくとも前記保留条件が成立しているときの入賞と識別されたときに保留時景品数をカウントアップすると共に前記景品払出手段により景品が払い出されたときに該払い出された景品の数だけ該保留時景品数をカウントダウンする保留時景品数カウント手段と、を備え、前記景品払出手段は、前記必要景品数に基づいて景品を払い出す手段であり、前記情報出力手段は、前記保留時景品数が所定数以上あるときには前記景品払出手段により景品が該所定数払い出されるごとに前記第2の払出信号を出力する手段である遊技機の管理装置。こうすれば、簡易な処理により払い出された景品が保留条件が成立しているときの入賞に基づくものか否か区別することができる。ここで、「所定数」は、5個や10個などの複数個であってもよいし、1個であってもよい。
【0013】
本発明では、こうした遊技機の管理装置の形態の他、前述した遊技機と、この遊技機を管理する本発明の遊技機の管理装置とを備える遊技システムの形態とすることもできる。
【0014】
なお、遊技機としては、パチンコ機やスロットマシン,このパチンコ機とスロットマシンとを融合させてなるものなど種々の遊技機に適用することができる。
【0015】
遊技機としてのパチンコ機の基本構成としては、操作ハンドルを備えておりそのハンドル操作に応じて遊技球を所定の遊技領域に発射させ、遊技球が遊技領域内の所定の位置に配置された作動口に入賞することを必要条件として表示手段における識別要素の変動表示が開始すること、また、特別遊技状態発生中には遊技領域内の所定の位置に配置された入賞口が所定の態様で開放されて遊技球を入賞可能として、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへの書き込み等も含む)が付与されること等が挙げられる。なお、こうしたパチンコ機には、少なくとも多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当り状態)と、遊技球を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態とが存在するものとすることもできる。
【0016】
遊技機としてのスロットマシンの基本構成としては、「遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の識別要素からなる識別要素列を変動表示した後に識別要素を確定表示する表示手段と、作動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別要素の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因してあるいは所定時間経過することにより識別要素の変動が停止され、その停止時の確定識別要素が特定識別要素であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備える遊技機」を挙げることができる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。こうしたスロットマシンにおいて、少なくとも多数個の遊技媒体例えばコイン、メダル等を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当り状態)と遊技媒体を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態とが存在するものとすることもできる。
【0017】
遊技機としてのパチンコ機とスロットマシンとを融合させた遊技機の基本構成としては、「遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の識別要素からなる識別要素列を変動表示した後に識別要素を確定表示する表示手段と、作動用操作手投(例えば操作レバー)の操作に起因して識別要素の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因してあるいは所定時間経過することにより識別要素の変動が停止され、その停止時の確定識別要素が特定識別要素であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として遊技球を使用すると共に識別要素の変動開始に際しては所定数の遊技球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの遊技球が払い出されるよう構成されてなる遊技機」を挙げることができる。こうした遊技機には、少なくとも多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当り状態)と、遊技球を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の2種類の遊技状態とが存在するものとすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0019】
[パチンコ機のハード構成]
図1は本発明の一実施形態としてのホールコンピュータ10によって管理されるパチンコ機20を正面から見た外観図であり、図2はパチンコ機20の遊技盤30の構成の概略を示す構成図であり、図3は実施例のパチンコ機20の電気的接続を例示するブロック図である。本発明の要旨はホールコンピュータ10にあるが、説明の都合上、まず、パチンコ機20について説明し、その後に実施例のホールコンピュータ10について説明する。実施例のパチンコ機20は、図1に示すように、前面枠22にはめ込まれたガラスに覆われた遊技盤30と、遊技球を貯留する上受け皿24および上受け皿24に受け入れ不能な遊技球を貯留するための下受け皿26と、遊技球を遊技盤30へ発射するための発射ハンドル28と、パチンコ機20全体を制御するメイン制御装置70(図3参照)とを備える。
【0020】
遊技盤30は、図2に示すように、遊技盤30の中央の上部に配置された普通図柄表示装置32と、遊技盤30の左右部に各々配置され遊技球の通過を検知する普通図柄始動口スイッチ36a,36bを有する普通図柄表示装置作動ゲート34a,34bと、普通図柄表示装置32の下側に配置された特別図柄表示装置40と、特別図柄表示装置40の下側に配置され遊技球の入賞を検知する特別図柄始動口スイッチ44を有する始動口42と、始動口42に取り付けられ開閉可能なチューリップ式の普通電動役物46と、始動口42の下側に配置され開閉可能な大入賞口50と、遊技盤30の左右下部に計4個配置された普通入賞口60a〜60dと、いずれの入賞口にも入らなかった遊技球を回収するアウト口69とを備える。
【0021】
普通図柄表示装置32は、背後に設けられた図示しないランプの点灯を切り換えることにより変動表示する「○」および「×」の図柄32a,32bと、この「○」および「×」の図柄32a,32bの上側に配置された4個の普通図柄変動保留ランプ33a〜33dとを備える。「○」および「×」の図柄32a,32bは、遊技球が普通図柄表示装置作動ゲート34a,34bに入賞したのを検知したときに変動表示の開始がなされ、所定時間変動表示後に「○」および「×」の図柄32a,32bのいずれかを点灯した状態で変動表示を終了する。普通図柄変動保留ランプ33a〜33dは、普通図柄表示装置32による「○」および「×」の図柄32a,32bの変動表示の最中に遊技球が普通図柄表示装置作動ゲート34a,34bに入賞するごとに左側から順に一つずつ点灯され、普通図柄表示装置32による「○」および「×」の図柄32a,32bの変動表示が開始される毎に点灯とは逆の順に消灯されることにより、変動表示の最中に普通図柄表示装置作動ゲート34a,34bに入賞した回数を最大4回まで保留回数として示す。
【0022】
始動口42に設けられたチューリップ式の普通電動役物46は、普通図柄表示装置32による変動表示が「○」の図柄32aで停止したときに当たりとしてチューリップを所定時間(例えば0.3秒間)開くものとして構成されている。
【0023】
特別図柄表示装置40は、液晶ディスプレーなどの表示装置として構成されており、図3に示す表示用制御装置96により表示内容が制御されている。特別図柄表示装置40は、通常、図4に例示するように、キャラクタと数字とから構成される左,中,右の3個の図柄L,M,Rを表示しており、遊技球が始動口42に入賞するのを検知したときにこの3個の図柄L,M,Rを変動表示させる。そして、所定の変動時間が終了したときに、3個の図柄L,M,Rを図柄L,図柄R,図柄Mの順に変動表示を停止し、3個の図柄L,M,Rが一致したときに大当たりとして特別遊技動画を表示する。特別遊技動画の一例を図5に示す。
【0024】
遊技盤30には、普通図柄表示装置32と特別図柄表示装置40との間に4個の特別図柄変動保留ランプ41a〜41dが設けられている。この特別図柄変動保留ランプ41a〜41dは、特別図柄表示装置40による3個の図柄L,M,Rの変動表示の最中や特別遊技動画を表示している最中に遊技球が始動口42に入賞するごとに左側から順に一つずつ点灯され、特別図柄表示装置40による3個の図柄L,M,Rの変動表示が開始される毎に点灯とは逆の順に消灯されることにより、変動表示の最中や特別遊技動画を表示している最中に始動口42に入賞した球数を最大4個まで保留球数として示す。
【0025】
大入賞口50は、通常は遊技球を受け入れない閉状態とされており、大当たりのときに、図3に示す大入賞口駆動装置52によって遊技球を受け入れやすい開状態と通常の閉状態とが所定の条件に基づいて繰り返されるよう駆動される。大入賞口50には、遊技球の入賞をカウントする10カウントスイッチ54(図3参照)や大入賞口50の中央部に設けられたVゾーン56に遊技球が入賞したのを検出するVカウントスイッチ58(図3参照)が取り付けられている。
【0026】
遊技盤30には、この他、発射された遊技球を円弧上に導くレール62や遊技盤30の中央部に導く左右の肩部に配置されたランプ風車64a,64b,普通図柄表示装置作動ゲート34a,34bの近傍に配置された風車66a,66b,特別図柄表示装置40の両横に取り付けられた計8個のインジケータ68a〜68hなども取り付けられている。なお、遊技球をガイドしたり弾いたりしてその遊技性を高める複数の釘については図示を省略した。
【0027】
メイン制御装置70は、CPU72を中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPU72には電源を供給する電源回路73の他に、処理プログラムを記憶するROM74や一時的にデータを記憶するRAM76,所定周波数の矩形波を出力するクロック回路78,入出力処理回路80がバス82によって接続されている。メイン制御装置70には、発射ハンドル28からの発射許可信号や普通図柄始動口スイッチ36a,36bからの入賞信号,特別図柄始動口スイッチ44からの始動信号,10カウントスイッチ54からのカウント信号,Vカウントスイッチ58からのV信号,下受け皿26の満タンを検知する下受け皿満タンスイッチ91が接続された払出用制御装置90からの下受け皿満タンスイッチ信号,普通入賞スイッチや賞球カウントスイッチなどの他の入出力装置88からの入力信号などが入出力処理回路80を介して入力されている。また、メイン制御装置70からは、普通図柄表示装置32への駆動信号や大入賞口駆動装置52への駆動信号,普通電動役物46への駆動信号,遊技球の払い出しを行なう払出用モータ92が接続された払出用制御装置90への払出制御信号,上受け皿24に貯留されている遊技球を1球ずつ遊技盤30に発射させる発射装置を駆動する発射ソレノイド94が接続された発射用制御装置93への発射制御信号,ランプ33a〜33d,41a〜41d,インジケータ68a〜68hやスピーカ86が接続された音声ランプ用制御装置95への制御信号,特別図柄表示装置40の表示制御を司る表示用制御装置96への制御信号,他の入出力装置88への駆動信号などが入出力処理回路80を介して出力されている。
【0028】
実施例のホールコンピュータ10は、ホール内に設置された各パチンコ機20を管理するコンピュータとして構成されており、図6に示すように、枠用外部端子板98や盤用外部端子板99を介して各パチンコ機20(払出用制御装置90やメイン制御装置70)と通信可能に接続されている。実施例のホールコンピュータ10には、遊技球の入賞により賞球(景品球)が10個払い出されるごとに出力される賞球信号や下受け皿26の満タン中に出力される下受け皿満タン信号,下受け皿26の満タン中の遊技球の入賞により景品球が10個払い出されるごとに出力される下受け皿満タン時賞球信号,前面枠22の開放が検知されたときに出力される扉開放信号(図示せず),遊技球のアウト口69への回収が10個検知されるごとに出力されるアウト信号(図示せず)などが枠用外部端子板98を介して入力されており、大当り中に出力される大当り信号や特別図柄の変動が停止するごとに出力される特別図柄確定信号(図示せず)などが盤用外部端子板99を介して入力されている。
【0029】
次に、こうして構成されたパチンコ機20の動作について説明する。まず、前提として発射ハンドル28の操作により上受け皿24に貯留されている遊技球を遊技盤30に発射させる際の動作について説明し、その後にパチンコ機20の基本的な動作について説明する。図17は、メイン制御装置70により実行される発射制御処理の一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、10msec毎)に繰り返し実行される。
[発射制御処理]
発射制御処理では、図17に示すように、メイン制御装置70のCPU72は、まず、発射ハンドル28からの発射許可信号を入力し(ステップS360)、入力した発射許可信号がONであるか否か、即ち遊技者により発射ハンドル28が握られているか否かを判定する(ステップS362)。発射許可信号がONであると判定されると、次に、図20に例示する下受け皿チェック処理に基づいて払出用制御装置90から出力された下受け皿満タン信号を入力して(ステップS364)、下受け皿26が遊技球で満タンであるか否かを判定し(ステップS366)、満タンではないと判定されると、発射ソレノイド94を駆動して遊技球を発射させるために発射用制御装置93に発射制御信号をON出力して(ステップS368)、本ルーチンを終了する。ステップS362で発射許可信号がONではないと判定されたり、ステップS366で下受け皿26が満タンであると判定されたときには、遊技球を発射させる必要はないと判断し、発射用制御装置93に発射制御信号をOFF出力して(ステップS369)、本ルーチンを終了する。
【0030】
下受け皿チェック処理では、図20に示すように、払出用制御装置90は、下受け皿満タンスイッチ91からの下受け皿満タンスイッチ信号を入力し(ステップS400)、入力した下受け皿満タンスイッチ信号がONであるか否かを判定する(ステップS402)。下受け皿満タンスイッチ信号がONであると判定されると、スイッチOFF時間Toffを値0にクリアすると共に(ステップS404)、スイッチON時間Tonが時間T1以上(例えば、50msec以上)か否かを判定する(ステップS406)。スイッチON時間Tonが時間T1以上でないと判定されると、スイッチON時間Tonを値1だけインクリメントすると共に(ステップS408)、現在出力している下皿満タン信号を維持、即ち現在下受け皿満タン信号をON出力しているときにはON出力を維持し現在下受け皿満タン信号をOFF出力しているときにはOFF出力を維持する処理を行なって(ステップS410)、本ルーチンを終了する。一方、下皿満タンスイッチ信号がONし続けてスイッチON時間Tonが時間T1以上となると、下受け皿満タン信号をON出力して(ステップS420)、本ルーチンを終了する。ステップS402で下受け皿満タンスイッチ信号がONではないと判定されると、スイッチON時間Tonを値0にクリアすると共に(ステップS422)、スイッチOFF時間Toffが時間T2以上(例えば、500msec以上)か否かを判定する(ステップS424)。スイッチOFF時間Toffが時間T2以上でないと判定されると、スイッチOFF時間Toffを値1だけインクリメントすると共に(ステップS426)、現在出力している下皿満タン信号を維持する処理を行なって(ステップS428)、本ルーチンを終了する。一方、下受け皿満タンスイッチ信号がOFFし続けてスイッチOFF信号Toffが時間T2以上となると、下受け皿満タン信号をOFF出力して(ステップS430)、本ルーチンを終了する。
【0031】
次に、パチンコ機20の基本的な動作について説明する。図7は、メイン制御装置70により実行されるメインルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、2msec毎)に繰り返し実行される。
[メインフロー]
メインルーチンが実行されると、メイン制御装置70のCPU72は、図8に例示する始動入賞処理(ステップS100),図9に例示する変動開始処理(ステップS102),図10に例示する変動終了処理(ステップS104),図11に例示するカウンタ更新処理(ステップS106),図18に例示する賞球コマンド送信処理(ステップS108),図19に例示する下皿満タン通知処理(ステップS110)を実行し、その後、図12に例示するハズレ図柄カウンタ更新処理(ステップS112)を繰り返し実行する。説明の容易のために、まず、カウンタ更新処理とハズレ図柄カウンタ更新処理とを説明し、その後その他の各処理について説明する。
[カウンタ更新処理]
カウンタ更新処理では、図11に示すように、メイン制御装置70のCPU72は、内部乱数カウンタC1,リーチ乱数カウンタC2,当り図柄カウンタC3,変動パターンカウンタC4の各々のカウンタをインクリメントする処理を実行する(ステップS240)。内部乱数カウンタC1は、大当たりか否かを判定する際に用いられるカウンタであり、実施例では0〜629までを順に値1ずつインクリメントする。リーチ乱数カウンタC2は、リーチ遊技を行なうか否かを判定する際に用いられるカウンタであり、実施例では0〜11までを順に値1ずつインクリメントする。当り図柄カウンタC3は、大当たりのときに特別図柄表示装置40で変動表示している左,中,右の3個の図柄L,M,Rの変動停止時の図柄(当り図柄)を決定する際に用いられるカウンタであり、実施例では0〜11までを順に値1ずつインクリメントする。変動パターンカウンタC4は、特別図柄表示装置40の左,中,右の3個の図柄L,M,Rを変動表示させるパターンを決定する際に用いられるカウンタであり、実施例では0〜99までを順に値1ずつインクリメントする。こうして各カウンタを更新すると、各カウンタをRAM76の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに格納して(ステップS242)、カウンタ更新処理を終了する。
[ハズレ図柄カウンタ更新処理]
ハズレ図柄カウンタ更新処理では、図12に示すように、メイン制御装置70のCPU72は、まず、ハズレ図柄左カウンタClをインクリメントする処理を実行する(ステップS250)。ハズレ図柄左カウンタClは、ハズレのときに特別図柄表示装置40で変動表示している左,中,右の3個の図柄L,M,Rの変動停止時の図柄(ハズレ図柄)のうち左の図柄Lを決定する際に用いられるカウンタであり、実施例では0〜図柄の数から値1を減じた数までを順に値1ずつインクリメントする。続いてハズレ図柄左カウンタClが値0であるかを判定し(ステップS252)、ハズレ図柄左カウンタClが値0であるときには、ハズレ図柄右カウンタCrをインクリメントする(ステップS254)。ハズレ図柄右カウンタCrは、ハズレのときに特別図柄表示装置40で変動表示している左,中,右の3個の図柄L,M,Rの変動停止時の図柄(ハズレ図柄)のうち右の図柄Rを決定する際に用いられるカウンタであり、実施例ではハズレ図柄左カウンタClと同様に0〜図柄の数から値1を減じた数までを順に値1ずつインクリメントする。同様に、ハズレ図柄右カウンタCrが値0であるかを判定し(ステップS256)、ハズレ図柄右カウンタCrが値0であるときには、ハズレ図柄中カウンタCmをインクリメントする(ステップS258)。ここで、ハズレ図柄中カウンタCmは、ハズレのときに特別図柄表示装置40で変動表示している左,中,右の3個の図柄L,M,Rの変動停止時の図柄(ハズレ図柄)のうち中の図柄Mを決定する際に用いられるカウンタであり、実施例ではハズレ図柄左カウンタClやハズレ図柄右カウンタCrと同様に0〜図柄の数から値1を減じた数までを順に値1ずつインクリメントする。
【0032】
各ハズレ図柄カウンタCl,Cr,Cmをインクリメントするか、ステップS252でハズレ図柄左カウンタClが値0でないと判定されたときか、ステップS256でハズレ図柄右カウンタCrが値0でないと判定されたときは、ハズレ図柄左カウンタClとハズレ図柄右カウンタCrとが一致するかを判定する(ステップS260)。ハズレ図柄左カウンタClとハズレ図柄右カウンタCrとが一致しないときには、各ハズレ図柄カウンタCl,Cm,CrをRAM76の所定領域に設定されたハズレ図柄バッファに格納して(ステップS262)、本ルーチンを終了する。一方、ハズレ図柄左カウンタClとハズレ図柄右カウンタCrとが一致するときには、ハズレ図柄中カウンタCmも一致するかを判定する(ステップS264)。ハズレ図柄左カウンタClとハズレ図柄右カウンタCrは一致するがハズレ図柄中カウンタCmは異なるときには、各ハズレ図柄カウンタCl,Cm,CrをRAM76の所定領域に設定されたハズレリーチ図柄バッファに格納して(ステップS266)、本ルーチンを終了する。各ハズレ図柄カウンタCl,Cm,Crの全てが一致するときは、ハズレ図柄ではないから各ハズレ図柄カウンタCl,Cm,Crのハズレ図柄バッファやハズレリーチ図柄バッファへの格納を行なうことなく本ルーチンを終了する。
【0033】
このハズレ図柄カウンタ更新処理は、図7に例示したメインルーチンのフローチャートから解るように、所定時間経過毎にメインルーチンが実行されるまでの空き時間に繰り返し行なわれる。したがって、内部乱数カウンタC1やリーチ乱数カウンタC2などの他のカウンタがメインルーチンが実行される毎にカウントアップするのに対して、ハズレ図柄左カウンタClはメインルーチンが実行される毎に加えてループ処理が実行される毎にカウントアップする。
[始動入賞処理]
始動入賞処理では、図8に示すように、メイン制御装置70のCPU72は、まず、遊技球が入賞したか否かを判定する(ステップS200)。この判定は、特別図柄始動口スイッチ44がオンとされたか否か,10カウントスイッチ54がオンとされたか否か,普通入賞口60a〜60dの入賞を検知する図示しないスイッチがオンとされたか否かにより行なうことができる。遊技球が入賞したと判定されると、入賞球数N0を値1だけインクリメントし(ステップS201)、その遊技球の入賞が始動口42への入賞であるかを判定し(ステップS202)、始動口42への入賞であると判定されると、さらに保留球数Nが4未満であるか否かを調べる(ステップS203)。前述したように、実施例では保留球数は最大4個までだからである。
【0034】
保留球数Nが4未満のときには、保留球数Nを値1だけインクリメントすると共に(ステップS204)、特別図柄変動保留ランプ41a〜41dを左から順に1つ点灯し(ステップS206)、図11のカウンタ更新処理のステップS242や図12のハズレ図柄カウンタ更新処理のステップS262でRAM76の所定領域に設定されたバッファに格納された内部乱数カウンタ値,リーチ乱数カウンタ値,当り図柄カウンタ値,ハズレ図柄カウンタ値を同じくRAM76の所定領域に設定された保留球格納エリアの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する(ステップS208)。保留球格納エリアの構造の一例を図13に示す。図示するように、保留球格納エリアは、内部乱数カウンタ値,リーチ乱数カウンタ値,当り図柄カウンタ値,ハズレ図柄カウンタ値を1つずつ格納可能な1つの実行エリアと4つの保留エリアとから構成されている。
【0035】
各カウンタ値の保留球格納エリアへの格納処理を終了した後や、ステップS200で遊技球は入賞していないと判定されたとき、ステップS202で遊技球の入賞は始動口42への入賞ではないと判定されたとき、あるいはステップS203で保留球数Nが4未満と判定されなかったときには、保留球数Nが値0より大きいか否かを判定すると共に(ステップS210)、特別図柄表示装置40で左,中,右の3個の図柄L,M,Rを変動表示中であるか否か、あるいは、大当り中であるか否かを判定する(ステップS212)。保留球数Nが値0でなく、特別図柄表示装置40が変動表示中でもなく、大当り中でもないときには、変動許可フラグF1に値1をセットして(ステップS214)、本ルーチンを終了し、保留球数Nが値0であったり、特別図柄表示装置40が変動表示中であったり、大当り中であるときには、変動許可フラグF1のセットを行なわずに本ルーチンを終了する。
[変動開始処理]
変動開始処理では、図9に示すように、メイン制御装置70のCPU72は、まず、変動許可フラグF1が値1であるか否かを判定する処理を実行する(ステップS220)。変動許可フラグF1が値1でないときには、保留球数Nが値0であるか特別図柄表示装置40によって左,中,右の3個の図柄L,M,Rが変動表示中であるか、大当り中であるかのいずれかの場合であると判断して、本ルーチンを終了する。
【0036】
変動許可フラグF1が値1のときには、特別図柄変動保留ランプ41a〜41dを右側から順に1つ消灯すると共に(ステップS222)、保留球数Nを値1だけデクリメントし(ステップS224)、保留球格納エリアに格納されたデータをシフトする処理を行なう(ステップS226)。このデータシフト処理は、図13に例示する保留球格納エリアの4つの保留エリアに格納されているデータを実行エリア側にワンブロックシフトさせる処理である。即ち、保留エリアAのデータを実行エリアに、保留エリアBのデータを保留エリアAに、保留エリアCのデータを保留エリアBに、保留エリアDのデータを保留エリアCに移動させる処理である。
【0037】
次に特別図柄表示装置40に左,中,右の3個の図柄L,M,Rを変動表示させた後に変動表示停止時の図柄を設定する停止図柄コマンドと特別図柄表示装置40による左,中,右の3個の図柄L,M,Rの変動パターンコマンドとからなる表示コマンドの決定処理を行ない(ステップS227)、決定した表示コマンドを入出力処理回路80を介して表示用制御装置96に送信し(ステップS228)、変動許可フラグF1に値0をセットして(ステップS229)、本ルーチンを終了する。表示コマンドを受信した表示用制御装置96は、表示コマンドのうちの変動パターンコマンドに従って特別図柄表示装置40の左,中,右の3個の図柄L,M,Rを変動表示すると共に後述する確定コマンドを受信したときに停止図柄コマンドに従って特別図柄表示装置40の左,中,右の3個の図柄L,M,Rの変動表示を停止する。なお、ステップS227の表示コマンド決定処理は、図14に例示するフローチャートを用いて行なわれる。
【0038】
表示コマンド決定処理では、図14に示すようにメイン制御装置70のCPU72は、まず、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている内部乱数カウンタC1の値が大当りか否かを判定する(ステップS300)。この大当り判定は、内部乱数カウンタC1の値が大当りの値、例えば「7」か「322」のいずれかであるか否かを判定することにより行なわれる。実施例では、内部乱数カウンタC1は0〜629までを順にカウントアップしているから、大当りの確率は1/315となる。大当りと判定されると、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている当り図柄カウンタC3の値を停止図柄コマンドに設定し(ステップS310)、図15に例示する大当り時変動パターンコマンド決定処理を行なって(ステップS312)、本ルーチンを終了する。大当り時変動パターンコマンド決定処理では、RAM76の所定領域に設定されたバッファに格納されている変動パターンカウンタC4の値を調べ(ステップS340)、変動パターンカウンタC4が20未満のときにはパターンBを変動パターンコマンドに設定し(ステップS342)、変動パターンカウンタC4が20以上60未満のときにはパターンCを変動パターンコマンドに設定し(ステップS344)、変動パターンカウンタC4が60以上のときにはパターンDを変動パターンコマンドに設定する(ステップS346)。各パターンについては後述する。
【0039】
一方、ステップS300で大当りではないと判定されると、保留球格納エリアの実行エリアに格納されているリーチ乱数カウンタC2の値がリーチ当りか否かを判定する(ステップS302)。このリーチ当り判定は、リーチ乱数カウンタC2の値がリーチ当りの値、例えば「7」であるか否かを判定することにより行なわれる。実施例では、リーチ乱数カウンタC2は0〜11までを順にカウントアップされるからリーチ当りの確率は1/12となる。リーチ当りと判定されると、RAM76の所定領域に設定されたハズレリーチ図柄バッファに格納されているハズレ図柄カウンタCl,Cm,Crの値を停止図柄コマンドに設定し(ステップS320)、図16に例示するハズレリーチ時変動パターンコマンド決定処理を行なって(ステップS322)、本ルーチンを終了する。ハズレリーチ時変動パターンコマンド決定処理では、大当り時変動パターン決定処理と同様に、RAM76の所定領域に設定されたバッファに格納されている変動パターンカウンタC4の値を調べ(ステップS350)、変動パターンカウンタC4が50未満のときにはパターンBを変動パターンコマンドに設定し(ステップS352)、変動パターンカウンタC4が50以上90未満のときにはパターンCを変動パターンコマンドに設定し(ステップS354)、変動パターンカウンタC4が90以上のときにはパターンDを変動パターンコマンドに設定する(ステップS356)。なお、ステップS302でリーチ当りでないと判定されると、保留球格納エリアの実行エリアに格納されているハズレ図柄カウンタCl,Cm,Crの値を停止図柄コマンドに設定し(ステップS330)、パターンAを変動パターンコマンドに設定して(ステップS332)、本ルーチンを終了する。
【0040】
実施例では各変動パターンは次のように設定されている。パターンAは、特別図柄表示装置40による左,中,右の3個の図柄L,M,Rの変動表示を開始した後、7秒後に左図柄Lを停止し、8秒後に右図柄Rを停止し、9秒後に中図柄Mを停止するパターンとして設定されている。パターンBは、特別図柄表示装置40による左,中,右の3個の図柄L,M,Rの変動表示を開始した後、7秒後に左図柄Lを停止し、8秒後に右図柄Rを停止したときに左図柄Lと右図柄Rとが一致するときに中図柄Mを低速度で7秒間変動表示させて停止するいわゆるノーマルリーチのパターンとして設定されている。パターンCは、パターンBの中図柄Mの停止タイミングで中図柄Mの変動表示を停止することなく高速度で更に5秒間変動表示した後に停止するいわゆるスーパーリーチのパターンとして設定されている。パターンDは、パターンCの中図柄Mの停止タイミングで中図柄Mの変動表示を停止することなく低速度で更に10秒間変動表示した後に当り図柄または当り図柄の前後の図柄で停止するいわゆるスペシャルリーチのパターンとして設定されている。なお、スーパーリーチやスペシャルリーチでは、単に左,中,右の3個の図柄L,M,Rを変動表示するだけでなく、所定のリーチ遊技が行なわれる。
【0041】
実施例では、図15および図16を用いて説明したように大当り時変動パターンコマンド決定処理ではハズレリーチ時変動パターンコマンド決定処理に比してパターンDが設定されやすくなっており、逆にハズレリーチ時変動パターンコマンド決定処理では大当り時変動パターンコマンド決定処理に比してパターンBが設定されやすくなっている。即ち、大当り時変動パターンコマンド決定処理ではスペシャルリーチが設定されやすく、ハズレリーチ時変動パターンコマンド決定処理ではノーマルリーチが設定されやすくなっている。このように設定することにより遊技性を高め興趣の向上を図っているのである。
[変動終了処理]
変動終了処理では、図10に示すように、メイン制御装置70のCPU72は、まず、大当り中であるか否かを判定する(ステップS230)。ここで、大当り中には、大当りの際に特別図柄表示装置40で表示される特別遊技の最中と特別遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。特別遊技終了後の所定時間は、例えばパチンコ機20の各状態を整えるのに要する時間などとして設定される。大当り中ではないと判定されると、ホールコンピュータ10が接続された盤用外部端子板99に大当り信号をOFF出力して(ステップS231)、変動パターンにおける変動時間が終了しているか否かを判定する(ステップS232)。この処理は、変動開始処理で説明したように各変動パターンはパターン毎に変動時間が設定されているから、その時間を経過したかを判定することにより行なわれる。変動時間が終了であるときには、変動表示の停止と確認のために設定されている停止図柄を確定コマンドとして表示用制御装置96に送信する(ステップS234)。そして、大当りか否かを判定して(ステップS236)、大当りのときには大当り実行コマンドを表示用制御装置96や大入賞口駆動装置52などに送信して(ステップS238)、本ルーチンを終了する。ここで、ステップS236の大当りの判定は、変動開始処理におけるステップS227の表示コマンド決定処理(図14)で行なわれているからその判定結果を用いるものとしてもよいし、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている内部乱数カウンタC1の値を用いて判定するものとしてもよい。なお、ステップS230で大当り中と判定されたときにはホールコンピュータ10が接続された盤用外部端子板99に大当り信号をON出力して(ステップS239)、本ルーチンを終了し、ステップS232で変動時間が終了していないと判定されたときやステップS236の大当り判定で大当りでないと判定されたときには、判定後に本ルーチンを終了する。
[賞球コマンド送信処理]
賞球コマンド送信処理では、図18に示すように、メイン制御装置70のCPU72は、まず、図8の始動入賞処理のステップS201でインクリメントされる入賞球数N0の値を調べる(ステップS370)。入賞球数N0が値0よりも大きいときには、入賞球数N0を値1だけデクリメントすると共に(ステップS372)、下受け皿26が満タンのときには上受け皿24や下受け皿26に払い出すべき賞球数nを設定する処理を行なう(ステップS374)。ここで、賞球数nは、実施例では、遊技球が入賞した入賞口の種類(実施例では、始動口42や大入賞口50,普通入賞口60a〜60d)と賞球数nとを予め関係付けておき、この関係に基づいて入賞した始動口から賞球数nを導出するものとし、上位バイトと下位バイトからなる後述する賞球コマンドの下位バイトに賞球数nをセットすることにより設定するものとする。そして、払出用制御装置90から下受け皿満タン信号を入力して(ステップS376)、下受け皿満タン信号がONであるか否か、即ち、下受け皿26が満タン中であるか否かを判定すると共に(ステップS378)、下受け皿26が満タン中であるときにはさらに大当り中であるか否かを判定する(ステップS380)。下受け皿26が満タン中ではないと判定されたり、大当り中ではないと判定されたときには、賞球コマンドとして通常時賞球コマンドを設定し(ステップS382)、下受け皿26が満タン中であり大当り中でもあると判定されたときには、賞球コマンドとして下受け皿満タン時賞球コマンドを設定し(ステップS384)、設定した賞球コマンドを払出用制御装置90に送信する処理を行なって(ステップS386)、本ルーチンを終了する。賞球コマンドの設定は、実施例では、通常時賞球コマンドには賞球コマンドの上位バイトに「55H」をセットし下受け皿満タン時賞球コマンドには「AAH」をセットすることにより行なうものとした。したがって、例えば、賞球数nとして「15」が設定されたとき、下受け皿26が満タン中でないときや大当り中ではないときには通常時賞球コマンドとしては「5515H」が設定され、下受け皿26が満タン中であり大当り中でもあるときには下受け皿満タン時賞球コマンドとしては「AA15H」が設定されることになる。
[下受け皿満タン通知処理]
下受け皿満タン通知処理では、図19に示すように、メイン制御装置70のCPU72は、まず、払出用制御装置90から下受け皿満タン信号を入力し(ステップS390)、下受け皿満タン信号がONであるか否か、即ち下受け皿26が満タンであるか否かを判定する(ステップS392)。下受け皿26が満タンであると判定されたときには、遊技者に対して満タンである下受け皿26から賞球を抜くことを促すための下受け皿満タン通知コマンドを設定し(ステップS394)、設定した下受け皿満タン通知コマンドを音声ランプ用制御装置95に送信して(ステップS396)、本ルーチンを終了する。下受け皿満タン通知コマンドを受信した音声ランプ用制御装置95は、下受け皿満タンコマンドに応じたパターンでスピーカ86に音声出力したりインジケータ68a〜68hを点灯させたりすることにより遊技者に対して注意を促す。
【0042】
次に、払出用制御装置90の処理、特に図18に示す賞球コマンド送信処理によってメイン制御装置70から送信された賞球コマンドを受信した払出用制御装置90による動作について説明する。図21は、払出用制御装置90により実行される賞球コマンド実行処理を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、2msec毎)に繰り返し実行される。
[賞球コマンド実行処理]
賞球コマンド実行処理が実行されると、図21に示すように、払出用制御装置90は、図22に例示する賞球数設定処理(ステップS430),図23に例示する賞球払出処理(ステップS432),図24に例示する賞球信号出力処理(ステップS434)を順に実行して、本ルーチンを終了する。以下、賞球数設定処理,賞球払出処理,賞球信号出力処理を順に説明する。
[賞球数設定処理]
賞球数設定処理では、図22に示すように、払出用制御装置90は、まず、メイン制御装置70から賞球コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS440)。賞球コマンドを受信したと判定されると、受信した賞球コマンドが下受け皿満タン時賞球コマンドであるか否かを判定する(ステップS442)。この判定は、実施例では、図18に例示する賞球コマンド送信処理により賞球コマンドが通常時(55H)か下受け皿満タン時(AAH)かを識別する情報を賞球コマンドの上位バイトにセットされているから、この上位バイトの値を調べることにより行なうことができる。受信した要求コマンドが下受け皿満タン時であると判定されたときには、賞球コマンドの下位バイトを読み込んで得られる賞球数nをインクリメントして下受け皿満タン時賞球数Yを設定し(ステップS444)、設定した下受け皿満タン時賞球数Yを上限値MAX(例えば、65535個)でガードすると共に(ステップS446,S448)、賞球数nをインクリメントして上受け皿24や下受け皿26に払い出すべき賞球の数としての総賞球数Xを設定し(ステップS450)、総賞球数Xを上限値MAX(例えば、65535個)でガードする処理を行なう(ステップS452,S454)。総賞球数Xを設定する処理が終了した後やステップS440で賞球コマンドを受信していないと判定されたときには、後述する図23の賞球払出処理による賞球の払い出しを検知する図示しない払出スイッチを遊技球が通過したか否かを調べ(ステップS456)、遊技球が払出スイッチを通過したと判定されたときには、この通過数をカウントするカウンタCを値1だけインクリメントすると共に(ステップS458)、総賞球数Xを値1だけデクリメントして(ステップS459)、本ルーチンを終了する。なお、払出スイッチを遊技球が通過していないと判定されたときには、カウンタCや総賞球数Xの値を維持してそのまま本ルーチンを終了する。
[賞球払出処理]
賞球払出処理では、図23に示すように、払出用制御装置90は、まず、総賞球数Xが値0よりも大きいか否かを判定し(ステップS460)、総賞球数Xが値0よりも大きいと判定されたときには、前述した図20の下受け皿チェック処理における下受け皿満タン信号を入力し(ステップS462)、下受け皿26が満タン中であるか否かを調べる(ステップS464)。下受け皿26が満タン中でないと判定されたときには、上受け皿24又は下受け皿26に賞球の払い出しが行なわれるよう払出用モータ92を駆動制御して(ステップS466)、本ルーチンを終了する。ステップS460で総賞球数Xが値0以下であると判定されたときには賞球を払い出す必要がないと判断し、ステップS464で下受け皿26が満タン中であると判定されたときには払出用モータ92の破損の防止などのために賞球を払い出すべきでないと判断して、そのまま本ルーチンを終了する。
[賞球信号出力処理]
賞球信号出力処理では、図24に示すように、払出用制御装置90は、まず、図22の賞球数設定処理のステップS458でインクリメントされるカウンタCの値を調べ(ステップS470)、カウンタCの値が値10未満でない(値10以上)と判定されると、カウンタCを値0にリセットすると共に(ステップS472)、賞球信号出力時間TXを値T3(例えば、100msec)にセットする(ステップS474)。続いて、下受け皿満タン時賞球数Yの値を調べ(ステップS476)、下受け皿満タン時賞球数Yが値10以上であると判定されると、下受け皿満タン時賞球数Yから値10をデクリメントすると共に(ステップS478)、下受け皿満タン時賞球信号出力時間TYを値T4(例えば、100msec)にセットする(ステップS480)。下受け皿満タン時賞球信号出力時間TYをセットした後やステップS470でカウンタCが値10未満であると判定されたとき、あるいはステップS476で下受け皿満タン時賞球数Yが値10以上でないと判定されたときには、次に、賞球信号出力時間TXが値0であるか否か、即ちステップS474でセットした時間が経過したか否かを判定し(ステップS482)、賞球信号出力時間TXが値0でないと判定されると、賞球信号出力時間TXを値1だけデクリメントすると共に(ステップS484)、ホールコンピュータ10が接続された枠用外部端子板98に賞球信号をON出力し(ステップS486)、セットした時間が経過して賞球信号出力時間TXが値0であると判定されると、賞球信号をOFF出力する(ステップS488)。そして、下受け皿満タン時賞球信号出力時間TYが値0であるか否か、即ちセットした時間が経過したか否かを判定し(ステップS490)、下受け皿満タン時賞球信号出力時間TYが値0でないと判定されると、下受け皿満タン時賞球信号出力時間TYを値1だけデクリメントすると共に(ステップS492)、下受け皿満タン時賞球信号をON出力し(ステップS494)、セットした時間が経過して下受け皿満タン時賞球信号出力時間TYが値0であると判定されると、下受け皿満タン時賞球信号をOFF出力して(ステップS496)、本ルーチンを終了する。このように、賞球信号出力処理では、賞球を10個払い出すごとに賞球信号として100msecのON信号を枠用外部端子板98を介してホールコンピュータ10に出力し、大当り中で下受け皿26が満タン中であるときに遊技球が入賞口に入賞して下受け皿満タン時賞球数Yが値10以上となったときには賞球信号とは別に下受け皿満タン時賞球信号として100msecのON信号を枠用外部端子板98を介してホールコンピュータ10に出力するのである。
【0043】
次に、実施例のホールコンピュータ10の動作、特に、枠用外部端子板98や盤用外部端子板99を介してパチンコ機20から入力された信号に基づいて行なわれる動作について説明する。図25は、ホールコンピュータ10により実行されるデータ管理処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、10msec毎)に繰り返し実行される。
[データ管理処理]
データ管理処理では、図25に示すように、ホールコンピュータ10は、まず、パチンコ機20から各種データ、即ち、大当り信号や賞球信号,下受け皿満タン時賞球信号,下受け皿満タン信号,扉開放信号,図柄確定信号,アウト信号などを受信する処理を行なう(ステップS500)。この各種データの受信は、ホール内に設置されたパチンコ機20毎に順次行なわれる。続いて、受信した大当り信号がONであるか否か、即ちパチンコ機20が大当り中であるか否かを判定する(ステップS502)。
【0044】
大当り信号がONであると判定、即ち大当り中であると判定されると、次に、大当り信号がOFFからONされたか否かを判定し(ステップS504)、大当り信号がOFFからONされたと判定されたときには、大当り回数Tを値1だけインクリメントし(ステップS506)、大当り信号がOFFからONされていないと判定されたときには、そのまま次の処理に進む。次に、賞球信号がONであるか否か、即ち賞球が払い出されたか否かを判定し(ステップS508)、賞球信号がONであると判定されたときには、大当り中に払い出された賞球の総数としての大当り中賞球TSを値1だけインクリメントし(ステップS510)、賞球信号がONでないと判定されたときには、そのまま次の処理に進む。そして、アウト信号がONであるか否かを判定し(ステップS512)、アウト信号がONであると判定されたときには、大当り中にアウト口69に回収された遊技球の数としての大当り中アウトTOを値1だけインクリメントし(ステップS514)、アウト信号がONではないと判定されたときには、そのまま次の処理に進む。
【0045】
ステップS502で大当り信号がONではない、即ち大当り中ではないと判定されると、次に、賞球信号がONであるか否かを判定し(ステップS516)、賞球信号がONであると判定されたときには、大当り中以外に払い出された賞球の総数としてのベース賞球BSを値1だけインクリメントし(ステップS518)、賞球信号がONではないと判定されたときには、そのまま次の処理に進む。次に、下受け皿満タン賞球信号がONであるか否かを判定し(ステップS520)、下受け皿満タン賞球信号がONであると判定されたときには、前述したベース賞球BSを値1だけデクリメントすると共に大当り中賞球TSを値1だけインクリメントし(ステップS522)、下受け皿満タン賞球信号がONでないと判定されたときには、そのまま次の処理に進む。下受け皿満タン賞球信号がONのときに大当り中ではないにも拘わらずベース賞球BSを値1だけデクリメントすると共に大当り中賞球TSを値1だけインクリメントするのは、単純に大当り中以外に賞球信号のON信号を入力するごとにベース賞球BSを値1ずつインクリメントすると共に大当り中に賞球信号のON信号を入力するごとに大当り中賞球TSを値1ずつインクリメントするだけでは、大当り中に下受け皿26が満タンとなって払出が一時的に保留されこの保留が大当り終了後に解除されて賞球の払出が再開されたような場合に大当りによる賞球であるはずのものが通常時における賞球として扱われてしまうからである。下受け皿満タン賞球信号は、前述したように、大当り中における遊技球の入賞により払い出された賞球に対してON出力される信号であるから、大当り中以外に受信した場合であってもこの下受け皿満タン賞球信号を大当り中の賞球信号のON出力とみなすことにより、より正確なベース賞球BSおよび大当り中賞球TSとすることができる。そして、アウト信号がONであるか否かを判定し(ステップS524)、アウト信号がONであると判定されたときには、ベースアウトBOを値1だけインクリメントし(ステップS526)、アウト信号がONではないと判定されたときには次の処理に進む。
【0046】
こうして、大当り回数Tや大当り中賞球TS,大当り中アウトTO,ベース賞球BS,ベースアウトBOを設定すると、ベース賞球BSをベースアウトBOで割って100を掛けることによりベースBを演算すると共に(ステップS528)、大当り中賞球TSから大当り中アウトTOを引いたものを大当り回数Tで割って100を掛けることにより特賞ヨリTYを演算し(ステップS530)、演算結果をホールのシマごとに集計し(ステップS532)、モニタや用紙に出力して(ステップS534)、本ルーチンを終了する。図26に、出力されるデータの一例を示す。なお、図中の「S」はアウト100発あたりのスタート回数を示す。
【0047】
以上説明した実施例のホールコンピュータ10によれば、遊技球の入賞口への入賞により賞球が払い出されたときに、払い出された賞球が大当り中で下受け皿26が満タン中であるときの遊技球の入賞に基づくもの(下受け皿満タン時賞球信号)であるかを識別された信号をパチンコ機20から送信するから、下受け皿26が満タンとなって賞球の払出が保留されたことにより大当り中に入賞したものが大当り終了後に払い出された場合であっても、ホールコンピュータ10側は、大当り中の入賞に基づく賞球を大当り中以外の入賞に基づく賞球として誤って認識することがない。この結果、大当り中の賞球数に関するデータ(大当り中賞球TSや特賞ヨリTYなど)や大当り中以外の賞球数に関するデータ(ベース賞球BSやベースBなど)をより正確に計算でき、これらデータを信頼性のあるものとして有効に活用することができる。もとより、パチンコ機20は、賞球が(10個)払い出されるごとに通常の賞球信号を出力するから、ホールコンピュータ10側では、下受け皿満タン時賞球信号を用いることなくこの賞球信号のみを用いて大当り中の賞球数に関するデータや大当り中以外の賞球数に関するデータを演算することも可能となり、ホール側に何れの信号を利用するのかの選択の幅を持たせることができる。
【0048】
実施例のホールコンピュータ10では、遊技球が入賞したときにメイン制御装置70が図18の賞球コマンド送信処理のステップS378で下受け皿26が満タン中であると判定し且つステップS380で大当り中であると判定したときに払出用制御装置90へ下受け皿満タン時賞球コマンドを受信し、払出用制御装置90がこの下受け皿満タン時賞球コマンドを受信したときに図22の賞球数設定処理のステップS444でホールコンピュータ10に送信する下受け皿満タン時賞球信号に対応する下受け皿満タン時賞球数Yを賞球数nの数だけインクリメントするパチンコ機20に適用するものとしたが、メイン制御装置70は図18のステップS378,S380,S384の処理は実行することなくメイン制御装置70から通常時賞球コマンドを受信したときに払出用制御装置90が下受け皿26が満タン中であるか否か及び大当り中であるか否かを判定し、下受け皿26が満タン中であり且つ大当り中と判定したときに下受け皿満タン時賞球数Yを賞球数nの数だけインクリメントするパチンコ機に適用するものとしてもよい。この場合、払出用制御装置90は、メイン制御装置70から大当り中であるか否かの状態を受信して大当り中か否かの判定に用いればよい。
【0049】
実施例のホールコンピュータ10では、遊技球の入賞に対して払い出された賞球が下受け皿26が満タン中で大当り中であるときの入賞であるか否かを識別してホールコンピュータ10に送信するパチンコ機20に適用したが、下受け皿26が満タンとなる場合は大当り中がほとんどであるから、大当り中であるか否かを判断することなく賞球が下受け皿26が満タン中であるときの遊技球の入賞に対して払い出された賞球であるか否かのみを識別してホールコンピュータ10に送信するものに適用するものとしてもよい。
【0050】
実施例のホールコンピュータ10では、遊技球の入賞に対して払い出された賞球が下受け皿26が満タン中であるときの入賞であるか否かを識別してホールコンピュータ10に送信するパチンコ機20に適用したが、これに限られず、他の条件の成立により大当り中に賞球の払出が一時的に保留され条件が不成立となったときに保留していた賞球の払出が再開される如何なる遊技機にも適用可能である。
【0051】
実施例のホールコンピュータ10では、賞球を10個払い出すごとに賞球信号(下受け皿満タン時賞球信号を含む)をON出力するパチンコ機20に適用したが、賞球を5個や20個払い出すごとに賞球信号をON出力したり、あるいは賞球を1個払い出すごとに賞球信号をON出力するパチンコ機に適用するものとしてもよい。
【0052】
実施例のホールコンピュータ10では、図19の下受け皿満タン通知処理により下受け皿26が満タンとなったことを遊技者に通知するパチンコ機20に適用したが、通知しないパチンコ機に適用するものとしてもよい。
【0053】
実施例のホールコンピュータ10では、図17の発射制御処理で下受け皿26が満タンのときには発射ハンドル28が握られている場合であっても遊技球を発射しないパチンコ機20に適用したが、下受け皿26が満タンであるか否かに拘わらず発射ハンドル28が握られているときには遊技球を発射させるパチンコ機に適用するものとしてもよい。
【0054】
実施例では、いわゆる第三種パチンコ機であるパチンコ機20に適用して本発明の一実施形態を説明したが、いわゆる第一種パチンコ機に適用してもよいのは勿論である。
【0055】
実施例では、遊技球の入賞に伴って景品球を払い出す際に賞球信号をホールコンピュータ10に出力する本発明の発明の形態の一つとしてパチンコ機を例にとって説明したが、本発明が適用可能な遊技機はパチンコ機に限定されるものではなく、遊技媒体の入賞に伴って景品を払い出す全ての遊技機、例えばスロットマシンやパチンコ機とスロットマシンとを融合させた遊技機などにも適用することができるのは勿論である。このスロットマシンの基本構成としては、「遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示手段と、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因してあるいは所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備える遊技機」を挙げることができる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。こうしたスロットマシンにおいて、少なくとも多数個の遊技媒体例えばコイン、メダル等を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当り状態)と遊技媒体を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態とが存在するものとすることもできる。また、パチンコ機とスロットマシンとを融合させた遊技機の基本構成としては、遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示手段と、始動用操作手投(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因してあるいは所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として遊技球を使用すると共に図柄の変動開始に際しては所定数の遊技球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの遊技球が払い出されるよう構成されてなる遊技機を挙げることができる。こうした遊技機には、少なくとも多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当り状態)と、遊技球を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態とが存在するものとすることもできる。
【0056】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施例であるパチンコ機20を正面から見た外観図である。
【図2】実施例のパチンコ機20の遊技盤30の構成の概略を示す構成図である。
【図3】実施例のパチンコ機20の電気的接続を例示するブロック図である。
【図4】特別図柄表示装置40に表示される表示図の一例を示す説明図である。
【図5】特別図柄表示装置40に表示される特別遊技動画の一例を示す説明図である。
【図6】実施例のパチンコ機20とホールコンピュータ10との電気的接続を例示するブロック図である。
【図7】メイン制御装置70により実行されるメインルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図8】メイン制御装置70により実行される始動入賞処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】メイン制御装置70により実行される変動開始処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】メイン制御装置70により実行される変動終了処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】メイン制御装置70により実行されるカウンタ更新処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】メイン制御装置70により実行されるハズレ図柄カウンタ更新処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】保留球格納エリアの一例を示す説明図である。
【図14】メイン制御装置70により実行される表示コマンド決定処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】メイン制御装置70により実行される大当り時変動パターンコマンド決定処理の一例を示すフローチャートである。
【図16】メイン制御装置70により実行されるハズレリーチ時変動パターンコマンド決定処理の一例を示すフローチャートである。
【図17】メイン制御装置70により実行される発射制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図18】メイン制御装置70により実行される賞球コマンド送信処理の一例を示すフローチャートである。
【図19】メイン制御装置70により実行される下受け皿満タン通知処理の一例を示すフローチャートである。
【図20】払出用制御装置90により実行される下受け皿チェック処理の一例を示すフローチャートである。
【図21】払出用制御装置90により実行される賞球コマンド実行処理の一例を示すフローチャートである。
【図22】払出用制御装置90により実行される賞球数設定処理の一例を示すフローチャートである。
【図23】払出用制御装置90により実行される賞球払出処理の一例を示すフローチャートである。
【図24】払出用制御装置90により実行される賞球信号出力処理の一例を示すフローチャートである。
【図25】ホールコンピュータ10により実行されるデータ管理処理の一例を示すフローチャートである。
【図26】ホールコンピュータ10の演算結果の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0058】
20 パチンコ機、22 前面枠、24 上受け皿、26 下受け皿、28 発射ツマミ、30 遊技盤、32 普通図柄表示装置、32a,32b 「○」および「×」の図柄、33a〜33d 普通図柄変動保留ランプ、34a,34b 普通図柄表示装置作動ゲート、36a,36b 普通図柄始動スイッチ、40 特別図柄表示装置、40a 主図柄変動領域、40b 予備図柄変動領域、41a〜41d 特別図柄変動保留ランプ、42 始動口、44 特別図柄始動スイッチ、46 普通電動役物、50 大入賞口、52 大入賞口駆動装置、54 10カウントスイッチ、56 Vゾーン、58 Vカウントスイッチ、60a〜60d 普通入賞口、62 レール、64a,64b ランプ風車、66a,66b 風車、68 68a〜68h インジケータ、69 アウト口、70 メイン制御装置、72 CPU、73 電源回路、74 ROM、76 RAM、78 クロック回路、80 入出力処理回路、82 バス、84 音声用制御装置、86 スピーカ、88 他の入力装置、89 他の出力装置、90 払出用制御装置、91 下受け皿満タンスイッチ、92 払出用モータ、93 発射用制御装置、94 発射ソレノイド、95 音声ランプ用制御装置、96 表示用制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の状態を管理する遊技機の管理装置であって、
前記遊技機は、
遊技媒体の入賞口への入賞を検出する入賞検出手段と、該入賞検出手段により入賞が検出されたときに所定の景品を払い出すと共に所定の保留条件が成立しているときには該景品の払い出しを一時的に保留する景品払出手段と、を備え、所定の抽選を行なうと共に抽選結果が大当りのときに前記入賞口の一つとして開閉可能な大当り用入賞口を開放して遊技媒体を入賞し易くする大当り遊技を実行する遊技機であって、
前記入賞検出手段により遊技媒体の入賞が検出されたとき該入賞が前記保留条件が成立しているときの入賞であるか前記保留条件が成立していないときの入賞であるかを識別する入賞識別手段と、前記大当り遊技が実行されている最中に大当り信号を前記管理装置に出力し前記景品払出手段により景品が所定数払い出されるごとに第1の払出信号を前記管理装置に出力すると共に前記払い出された景品に係る遊技媒体の入賞が少なくとも前記入賞識別手段により前記保留条件が成立しているときの入賞と識別されたときには該景品が所定数払い出されるごとに前記第1の払出信号とは異なる第2の払出信号を前記管理装置に出力する信号出力手段と、を備え、
前記管理装置は、前記遊技機の信号出力手段により出力された前記大当り信号と前記第1の払出信号と前記第2の払出信号とを入力する信号入力手段と、該入力した各信号に基づいて前記大当り遊技の実行を伴う景品の払出状況および/または前記大当り遊技の実行を伴わない景品の払出状況を演算する演算手段と、を備える
遊技機の管理装置。
【請求項2】
前記演算手段は、前記大当り信号を入力しているときに前記入力した前記第1の払出信号を計数すると共に前記大当り信号を入力していないときに前記入力した前記第2の払出信号を計数し、両計数結果を加算することにより前記大当り遊技の実行を伴う景品の払出状況を演算する手段である請求項1記載の遊技機の管理装置。
【請求項3】
前記演算手段は、前記大当り信号を入力していないときに前記入力した前記第1の払出信号を計数すると共に前記大当り信号を入力していないときに前記入力した前記第2の払出信号を計数し、該第1の払出信号の計数結果から該第2の払出信号の計数結果を減算することにより前記大当り遊技の実行を伴わない景品の払出状況を演算する手段である請求項1または2記載の遊技機の管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2007−196043(P2007−196043A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−125178(P2007−125178)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【分割の表示】特願2004−155916(P2004−155916)の分割
【原出願日】平成16年5月26日(2004.5.26)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】