説明

遊技機の遊技領域構造

【課題】大型の遊技演出装置を配置可能にするとともに、遊技の趣向性を向上させることができる遊技機の遊技領域構造を提供すること。
【解決手段】遊技領域構造1の遊技領域Aには、遊技演出装置としての画像表示装置21、画像表示装置21に対する上流側に設けた複数の球入口31に入った遊技球Bを画像表示装置21に対する下流側に設けた複数の球出口32へ導く複数の球通路3と、が設けてある。複数の球出口32の下流側には、入賞装置4が設けてある。複数の球出口32は、複数の球出口32から流出される遊技球Bの入賞装置4への入賞のし易さが、各球出口32により適宜異なるように構成されている。複数の球通路3は、遊技球Bが複数の球入口31のそれぞれと複数の球出口32のそれぞれとが関連付けされるように設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を発射させて遊技を行う遊技機の遊技領域構造に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機等の遊技機の遊技盤上に形成される遊技領域においては、その中央部分に画像表示装置、可動演出装置等の遊技演出領域を形成し、その周囲に釘等を設けた遊技球転動領域を形成している。遊技球転動領域には、通常、始動入賞口等として遊技球を入賞させる入賞装置と、入賞装置よりも上方において、入賞装置への遊技球の入賞・非入賞を振り分ける球流下振分け機構とが設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1の遊技盤においては、遊技盤上方に球遊動部を設け、その下方に電動役物、表示装置等を設けている。そして、遊技球が、電動役物又は表示装置等へ流下する前に、球遊動部内に設けられたステージ内において遊動することにより、球挙動の態様を増加させ、遊技の興趣を増大させている。
また、例えば、特許文献2の遊技盤においては、遊技球が入球可能な電動役物と、電動役物に遊技球を誘導する球遊動部とを、図柄を表示する表示装置の上方に配置している。これにより、大型の表示装置を設けても、球挙動の態様に富む遊技性の高い遊技盤を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−51450号公報
【特許文献2】特開2004−267622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2においては、遊技球を揺動させる球遊動部(ステージ)の下方に、遊技球が入球可能な電動役物をセットにして設けている。そのため、表示装置の配置に制約がある。
また、従来の遊技機においては、遊技領域に大型の遊技演出装置を配置する際に、適切に球通路を形成する工夫がなされておらず、遊技の趣向性を向上させるためには更なる工夫が必要とされる。
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、大型の遊技演出装置を配置可能にするとともに、遊技の趣向性を向上させることができる遊技機の遊技領域構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、遊技機の遊技領域の構造であって、
該遊技領域には、遊技演出装置と、該遊技演出装置に対する上流側に設けた複数の球入口に入った遊技球を上記遊技演出装置に対する下流側又は側方に設けた複数の球出口へ導く複数の球通路と、が設けてあり、
上記複数の球出口の下流側には、入賞装置が設けてあり、
上記複数の球出口は、該複数の球出口から流出される遊技球の上記入賞装置への入賞のし易さが、該各球出口により適宜異なるように構成されており、
上記複数の球通路は、遊技球が上記複数の球入口のそれぞれと上記複数の球出口のそれぞれとが関連付けされるように設けてあることを特徴とする遊技機の遊技領域構造にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0008】
本発明の遊技機の遊技領域構造においては、大型で左右方向の幅が広い遊技演出装置を、遊技領域の左右方向のできるだけ広い範囲に配置するための工夫を行っている。
具体的には、遊技球を流下させる複数の球通路を遊技領域に設け、複数の球通路の各球入口を遊技演出装置に対する上流側に配置し、複数の球通路の各球出口を遊技演出装置に対する下流側又は側方に配置している。
これにより、遊技領域に大型の遊技演出装置を配置する際に、遊技演出装置の配置位置を避けて複数の球通路を容易に配置することができる。そのため、遊技演出装置の配置スペースを容易に拡大することができる。
【0009】
また、遊技領域において、入賞装置は、複数の球出口の下流側に設けてある。また、各球出口の配置位置により各球出口から入賞装置までの距離を異ならせることが可能となり、これにより入賞装置への入賞のし易さ(入賞確率)を適宜異ならせることが可能となる。そして、複数の球通路は、遊技球が複数の球入口のそれぞれと複数の球出口のそれぞれとが関連付けされるように設けてある。
これにより、遊技演出装置に対する上流側、すなわち遊技領域の上方部分において、いずれの球入口に遊技球が入るかによって、いずれの球出口から遊技球が出易くなるかが決定される。そのため、いずれの球入口に遊技球が入ったかによって、いずれの球出口から遊技球が出てくるかを遊技者が推測することができ、遊技の趣向性を向上させることができる。
それ故、本発明の遊技機の遊技領域構造によれば、大型の遊技演出装置を配置可能にするとともに、遊技の趣向性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1にかかる、遊技機の遊技領域構造を示す前面図。
【図2】実施例1にかかる、球通路を示す斜視図。
【図3】実施例2にかかる、遊技機の遊技領域構造を示す前面図。
【図4】参考例にかかる、遊技機の遊技領域構造を示す前面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述した本発明の遊技機の遊技領域構造における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記複数の球通路は、上記球入口と上記球出口とが1対1で繋がるように設けてあるとともに、上記遊技演出装置に対する側部において前後方向に1列に並んで設けてあることが好ましい(請求項2)。
この場合には、遊技球が、いずれの球入口に入るかによって、いずれの球出口から出てくるかが確定され、入賞装置への入賞のし易さを、遊技演出装置よりも上流側において早期に決定することができる。これにより、遊技者に対して、遊技球がいずれの球入口に入るのかを視認させて、この入球遊技に対する興趣を向上させることができる。また、複数の球通路は前後方向に1列に並んで設けてあるので、球通路の左右方向の配置寸法を小さくすることができる。これにより、遊技演出装置を遊技領域内において左右の広い領域にわたって配設することができる。
【0012】
また、上記複数の球通路には、遊技球を三次元的に回遊させて上記複数の球出口のいずれかへ振り分ける振分部を設けることもできる(請求項3)。
この場合には、いずれかの球入口に入った遊技球が、振分部によっていずれの球出口から出てくるかが振り分けられ、遊技の趣向性を向上させることができる。
【実施例】
【0013】
以下に、本発明の遊技機の遊技領域構造にかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
(実施例1)
本例の遊技機の遊技領域構造1の遊技領域Aには、図1に示すごとく、遊技演出装置としての画像表示装置21、画像表示装置21に対する上流側に設けた複数の球入口31に入った遊技球Bを画像表示装置21に対する下流側に設けた複数の球出口32へ導く複数の球通路3と、が設けてある。複数の球出口32の下流側には、入賞装置4が設けてある。
複数の球出口32は、複数の球出口32から流出される遊技球Bの入賞装置4への入賞のし易さが、各球出口32により適宜異なるように構成されている。複数の球通路3は、遊技球Bが複数の球入口31のそれぞれと複数の球出口32のそれぞれとが関連付けされるように設けてある。
【0014】
以下に、本例の遊技機の遊技領域構造1につき、図1、図2を参照して詳説する。
ここで、遊技機の上下方向を符号Hによって示し、前後方向を符号Dによって示し、左右方向を符号Wによって示す。
図1に示すごとく、本例の遊技機はパチンコ遊技機であり、遊技領域構造1は、本体枠に配設する遊技盤11の前面に形成される。遊技盤11には、球発射装置から発射される遊技球Bを遊技領域Aへ導く外レール12が配設してあり、遊技領域Aは、外レール12の内側の領域として形成されている。また、外レール12の左側部の内側近傍には、外レール12に沿うように内レール13が配設されている。内レール13は、外レール12とともに、球発射装置から発射された遊技球Bを遊技領域Aへ向けて案内するよう形成されている。また、内レール13は、外レール12とともに、遊技盤11上に遊技領域Aを区画形成するための部材として配設されている。
【0015】
本例の画像表示装置21は、大型のものであり、画像表示装置21は、遊技領域Aの中央部分に形成した遊技演出領域A1に配設してある。
画像表示装置21は、大型の液晶モニター等から構成され、図柄等の所定の画像を表示するよう構成されている。画像表示装置21は、遊技球Bが始動口(入賞装置)4に入賞したことを契機として制御手段によって大当たり抽選がなされた際の抽選の結果に基づいて、表示する図柄等の画像を可変させるよう構成されている。本例の画像表示装置21は、遊技領域Aの中央部分のできるだけ大きな範囲に配設するため、横長形状に配設してある。
【0016】
図1に示すごとく、遊技盤11の遊技領域Aにおいては、画像表示装置21に対する上方位置であって、球通路3における複数の球入口31の上方には、遊技球Bが転動する上方遊技球転動領域A2が形成してあり、画像表示装置21に対する下方位置であって、球通路3における複数の球出口32の下方には、遊技球Bが転動する下方遊技球転動領域A3が形成してある。上方遊技球転動領域A2には、釘63等の球流下障害物が配設してあり、下方遊技球転動領域A3には、釘63等の球流下障害物と、入賞装置としての始動口4と、他の入賞装置としての電動チューリップ5とが配設してある。
また、上方遊技球転動領域A2の適宜箇所、又は複数の球通路3のうちのいずれかの球通路3内には、電動チューリップ5の開閉を開始させる契機となるゲート61が配設してある。
【0017】
始動口4は、この始動口4へ遊技球Bが入賞したことを契機として、所定の確率で当り又は外れの抽選を行うために用いるものである。始動口4に遊技球Bが入賞したときには、遊技機の制御手段が入賞を検知して、当り又は外れの抽選を行う。そして、制御手段は、画像表示装置21に表示する図柄等の指令信号を画像表示装置21の制御部に対して送信する。その後、画像表示装置21においては、その指令信号に基づいて適宜図柄変動表示がなされた後、当り又は外れの抽選結果が表示される。
【0018】
図1に示すごとく、電動チューリップ5は、通常は、一対の開閉翼51を閉じた状態にあって、障害物によって遮られて入賞しないようになっている。これに対し、遊技球Bがゲート61を通過したときには、この通過を契機として、別途抽選が行われ、この抽選で当りとなったときには、電動チューリップ5の一対の開閉翼51が所定時間の間、開閉動作を行う。そして、一対の開閉翼51が開放状態にあるときは、遊技球Bの電動チューリップ5への入賞を可能にする。
また、電動チューリップ5への遊技球Bの入賞によっても、始動口4への入賞と同様に、所定の確率で当り又は外れの抽選が行われる。
【0019】
また、下方遊技球転動領域A3においては、始動口4又は電動チューリップ5に入賞した際の抽選によって当りが発生したときに、開閉扉621を開閉させて遊技球Bを入賞させるアタッカー62が配設してある。本例の始動口4は、球通路3における複数の球出口32のうち、左右方向Wの中央部分に位置する球出口32の下方に配設してある。本例の電動チューリップ5とアタッカー62とは、始動口4よりも下流側の位置に配設してある。
また、遊技盤11の下方遊技球転動領域A3においては、釘63等の球流下障害物が適宜箇所に配設してある。
【0020】
図1に示すごとく、遊技領域Aの中央部分には、画像表示装置21を視認可能にする開口スペース20を形成した通路形成部材2が配設してある。画像表示装置21は、通路形成部材2の後方から配設してあり、通路形成部材2に形成した開口スペース20から表示画面が視認できる状態で配設してある。
本例の通路形成部材2は、透明の樹脂によって形成してある。そして、各球通路3を流下する遊技球Bは、遊技者によって常に視認可能になっている。
【0021】
遊技盤11の遊技領域Aにおける左側部には、内レール13と併せて、上方遊技球転動領域A2に到達しない遊技球Bを遊技盤11の中央下部に形成されたアウト口14へ導く補助流路22が形成されている。
また、通路形成部材2の開口スペース20には、画像表示装置21に換えて、又は画像表示装置21と併せて、他の遊技演出装置として、適宜駆動装置により可動する可動演出装置、LED等により発光する電気的装飾装置等を配設することができる。
【0022】
本例の球通路3は、上方遊技球転動領域A2の下部において左右方向Wに複数並べて配置した球入口31と、下方遊技球転動領域A3の上部において左右方向Wに複数並べて配置した球出口32とを、開口スペース20の縁部に沿って左右に複数個ずつ分岐した状態で繋ぐよう形成してある。
図2は、複数の球通路3により左側に分岐して形成した球通路列Rの球出口32の周辺を示す図である。
【0023】
同図に示すごとく、本例の複数の球通路3は、球入口31と球出口32とが1対1で繋がるように設けてあるとともに、画像表示装置21に対する側部において前後方向Dに1列に並んで設けてある。複数の球通路3は、画像表示装置21に対する左右の側方に複数個ずつ分岐しており、画像表示装置21に対する左右の側方において、分岐した複数個の球通路3が球通路列Rとして前後方向Dに1列に並んで設けてある。
複数の球入口31のうちの右側部分に位置する球入口31は、右側の球通路列Rに繋がり、右側の球通路列Rは、複数の球出口32のうちの右側部分に位置する球出口32に繋がっている。複数の球入口31のうちの左側部分に位置する球入口31は、左側の球通路列Rに繋がり、左側の球通路列Rは、複数の球出口32のうちの左側部分に位置する球出口32に繋がっている。
【0024】
図1、図2に示すごとく、複数の球出口32のうち、遊技領域Aの左右方向Wの中央位置に配設された中央球出口32Aは、始動口4の上側に配置されている。中央球出口32Aは、左側の球通路列Rにおける1つの球通路3(最も奥側に配置された球通路3)と、右側の球通路列Rにおける1つの球通路3(最も奥側に配置された球通路3)とを、各球通路3の下流端部において合流させた位置に形成されている。
本例の左側の球通路列Rと右側の球通路列Rとは、同じ数(本例では3つ)の球通路3が前後方向Dに並んで配列されている。左側及び右側の各球通路列Rにおける球通路3は、左右方向Wの最も中央側に位置する球入口31に繋がる球通路3が前後方向Dの最も奥側に配置され、左右方向Wの外側に位置する球入口31に繋がる球通路3ほど前後方向Dの前側に位置して配列されている。
【0025】
そして、各球通路列Rの左右方向Wの中央側に位置する球入口31に入った遊技球Bは、中央球出口32Aから流出されるため、中央球出口32Aの下方に配設された始動口4に最も入賞し易くなっている。一方、各球通路列Rの左右方向Wの外側に位置する球入口31に入った遊技球Bは、左右方向Wの外側の球出口32から流出されるため、始動口4に最も入賞し難くなっている。
本例においては、遊技球Bが、いずれの球入口31に入るかによって、いずれの球出口32から出てくるかが確定され、入賞装置(始動口)4への入賞のし易さを、画像表示装置21よりも上流側において早期に決定することができる。
【0026】
本例の遊技機におけるパチンコ遊技は、例えば、次のようにして行うことができる。
パチンコ遊技を開始するときには、遊技者は、上方遊技球転動領域A2における複数の球入口31を狙って遊技球Bを発射させる。特に、遊技者は、左右方向Wの中央側に配置された球入口31を狙って遊技球Bを発射させる。そして、いずれかの球入口31に遊技球Bが入ったときには、この遊技球Bは、球入口31に対応する球通路3を流下して球出口32から流出する。
始動口4に遊技球Bが入賞したときには、入賞の検知が行われるとともに、制御手段によって当り又は外れの抽選が行われ、画像表示装置21における図柄等によって当り又は外れの表示が行われる。そして、抽選の結果、当りが発生したときには、制御手段は、アタッカー62の開閉扉621を開閉させ、大当りのラウンド遊技を開始させる。
【0027】
そして、アタッカー62の開閉扉621が、所定時間又は所定数の遊技球Bが入球するまで開放することを1回のラウンド遊技として、所定回数のラウンド遊技が行われる。これにより、アタッカー62への遊技球Bの入球ごとに所定数の遊技球Bが賞球として払い出され、遊技者は多くの遊技球Bを獲得することができる。
大当りのラウンド遊技の終了後は、特別な遊技モード(当り確率が上昇する、いわゆる確変モードや、電動チューリップ5の一対の開閉翼51が開放し易くなる、いわゆる時短モード)へと移行する。
【0028】
上記特別な遊技モードのときには、ゲート61に遊技球Bが入賞したときに行われる上記別途抽選による当りの確率が、通常時と比較して飛躍的に上昇するように構成されている。これにより、通常時と比較して、特別な遊技モードのときには、電動チューリップ5の一対の開閉翼51の開放動作が頻繁に発生するように構成されている。
そして、上述したように電動チューリップ5へ遊技球Bが入賞したときには、始動口4へ遊技球Bが入賞したときと同様に当り又は外れの抽選が行われる。なお、上記特別な遊技モードは、次の当りに当選するまで、又は遊技球Bの入賞によって発生する当りか外れかを抽選する回数が所定回数(例えば100回)行われるまで、継続されるように構成されている。
【0029】
本例の遊技機の遊技領域構造1においては、大型で左右方向Wの幅が広い画像表示装置21を、遊技領域Aの左右方向Wのできるだけ広い範囲に配置するための工夫を行っている。
具体的には、上記のごとく、遊技球Bを流下させる複数の球通路3を遊技領域Aに設け、複数の球通路3の各球入口31を画像表示装置21に対する上流側に配置し、複数の球通路3の各球出口32を画像表示装置21に対する下流側に配置している。
これにより、遊技領域Aに大型の画像表示装置21を配置する際に、画像表示装置21の配置位置を避けて複数の球通路3を容易に配置することができる。そのため、画像表示装置21の配置スペースを容易に拡大することができる。
【0030】
また、遊技領域Aにおいて、入賞装置4は、複数の球出口32の下流側に設けてある。また、各球出口32の配置位置により各球出口32から入賞装置4までの距離を異ならせることにより、入賞装置4への入賞のし易さ(入賞確率)を適宜異ならせている。複数の球通路3は、遊技球Bが複数の球入口31のそれぞれと複数の球出口32のそれぞれとが1対1で繋がるよう、互いに関連付けされるように設けてある。
これにより、画像表示装置21に対する上流側、すなわち遊技領域Aの上方部分において、いずれの球入口31に遊技球Bが入るかによって、いずれの球出口32から遊技球Bが出てくるかが決定される。そのため、いずれの球入口31に遊技球Bが入ったかによって、いずれの球出口32から遊技球Bが出てくるかを遊技者が察知することができ、遊技の趣向性を向上させることができる。
それ故、本例の遊技機の遊技領域構造1によれば、大型の画像表示装置21を配置可能にするとともに、遊技の趣向性を向上させることができる。
【0031】
(実施例2)
本例は、図3に示すごとく、複数の球通路3を、遊技演出装置としての画像表示装置21に対する上流側から側方にわたって設け、各球通路3を、遊技球Bを流下させる球通路部33と、遊技球Bを三次元的に回遊させる振分部34と、を連通させて形成した例である。
本例の球通路3は、遊技盤11の前面側に配設した通路形成部材2に形成してあり、画像表示装置21は、通路形成部材2の中央部分に形成された開口スペース20から表示画面が視認できるようになっている。
【0032】
本例の遊技盤11の遊技領域Aにおいては、画像表示装置21に対する上流側に、球発射装置から発射された遊技球Bを三次元的に回遊させて、複数の球入口31のいずれかに流入させる上方振分部35が配設してある。上方振分部35は、左右方向Wに長い楕円体の内壁面によって形成してある。
本例の球通路3は、上方振分部35の下端位置において左右方向Wに並んで形成した球入口31から、画像表示装置21に対する左右の位置に分岐させて形成してある。左右に分岐した各球通路3の下流側には、振分部34がそれぞれ設けてある。本例の振分部34は、上下方向Hに長い楕円体の内壁面によって形成してある。
【0033】
図3に示すごとく、本例の球通路部33は、上方振分部35の下端位置における球入口31から、遊技領域Aにおける左右の側方部における上部位置まで形成してある。球通路部33の下流側端部は、振分部34の上方側部分に対してそれぞれ振分球入口341として開口している。左右の振分部34の下方側部分には、振分球入口341から入った遊技球Bを流出させる球出口32がそれぞれ複数設けてある。
【0034】
本例の画像表示装置21及び通路形成部材2は、遊技領域Aにおける上半分以上の上側部分に配設してあり、残りの下側部分には、遊技球Bが転動する遊技球転動領域A4が形成してある。
通路形成部材2の下端部分には、遊技球Bを左右方向Wに揺動させた後に適宜位置から流下させるステージ23が形成してある。ステージ23は、前後方向Dの奥側に形成した上段ステージ部23Aと、前後方向Dの手前側に形成した下段ステージ部23Bとの2段に分かれて形成してある。
本例の入賞装置4は、ステージ23に対する下方位置に配設した始動口4であり、始動口4に対する下方位置には、他の入賞装置としての電動チューリップ5が配設してある。
【0035】
図3に示すごとく、各ステージ部23A、23Bは、上下方向Hに波打つ凹凸を左右方向Wに複数並べて形成してある。上段ステージ部23Aにおける凹凸は、入賞装置4に対する上方位置に中央凹部231を位置させて形成してあり、下段ステージ部23Bにおける凹凸は、入賞装置4に対する上方位置に中央凸部232を位置させて形成してある。
左右の振分部34に設けた球出口32は、上段ステージ部23Aへ遊技球Bを導く上側球出口32Bと、下段ステージ部23Bへ遊技球Bを導く下側球出口32Cとによって構成されている。
【0036】
左右の振分部34においてそれぞれ形成した複数の振分球入口341の開口位置は、互いに異なっている。いずれの球入口31に遊技球Bが入るかによって、上側球出口32Bと下側球出口32Cとのいずれから遊技球Bが流出し易いかの確率が異なっている。
そして、上段ステージ部23Aにおける中央凹部231から前方に転がった後、下方に流下する遊技球Bが始動口4に導かれる可能性が高いことにより、上側球出口32Bから上段ステージ部23Aへ導かれた遊技球Bの方が、下側球出口32Cから下段ステージ部23Bへ導かれた遊技球Bよりも入賞装置4へ入賞し易くなっている。
【0037】
また、遊技球転動領域A4においては、左右の位置にアタッカー62が配設してあり、適宜位置に釘63等の球流下障害物が設けてある。
本例の通路形成部材2も、透明の樹脂によって形成してある。そして、上方振分部35及び球通路3を流下する遊技球Bは、遊技者によって常に視認可能になっている。
始動口4、電動チューリップ5、アタッカー62の構成は、上記実施例1と同様であり、遊技を行う際に、実施例1と同様に動作させることができる。
【0038】
本例においては、上方振分部35に入って回遊する遊技球Bは、いずれかの球入口31から左側の球通路部33又は右側の球通路部33のいずれかに流れる。この遊技球Bは、左側又は右側の振分部34において回遊した後、上側球出口32B又は下側球出口32Cのいずれかから流出される。そして、この遊技球Bは、上段ステージ部23A又は下段ステージ部23Bを揺動した後、入賞装置4が配設された遊技球転動領域A4へ流下することができる。
本例においては、いずれかの球入口31に入った遊技球Bが、左右の振分部34において、いずれの球出口32B(又は32C)から出てくるかがさらに振り分けられ、遊技の趣向性をより向上させることができる。
本例においても、その他の構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0039】
(参考例)
本例は、図4に示すごとく、球通路3を形成せず、遊技盤11の遊技領域Aに配設した複数の球入口31Xに対する直下位置に、この球入口31に入って落下する遊技球Bを受ける複数の球出口32Xを配設した例である。
本例においては、画像表示装置21は、遊技領域Aの中央部分に配設してある。複数の球入口31Xは、画像表示装置21に対する上流側において左右方向Wに並べて配設してあり、複数の球出口32Xは、画像表示装置21に対する下流側であって複数の球入口31Xの左右方向Wの形成位置の直下位置において左右方向Wに並べて配設してある。球入口31Xに入った遊技球Bは、左右方向Wの外側に位置する球入口31Xから入った場合を除いて、画像表示装置21の前面側を落下する。
【0040】
本例の遊技領域Aにおいては、画像表示装置21を配設した遊技演出領域A1よりも上流側に上方遊技球転動領域A2が形成してあり、画像表示装置21を配設した遊技演出領域Aよりも下流側に下方遊技球転動領域A3が形成してある。
本例においては、始動口(入賞装置)4は、下方遊技球転動領域A3に配設してある一方、電動チューリップ5は、上方遊技球転動領域A2に配設してある。
複数の球入口31Xが左右方向Wに並ぶ位置の前方には、遊技球Bを左右に揺動させるためのステージ24が設けてある。
本例においては、大型の画像表示装置21を配置可能にするとともに、球通路3を省略して、遊技領域構造1の構成を簡単にすることができる。
【0041】
図示は省略するが、上記実施例1、2及び参考例において、画像表示装置21は、その後方側に配設した可動装置によって、遊技の状況に応じて、上下、左右等の適宜方向に可動させることができる。この場合、画像表示装置21の後方に、演出光を発する発光装置を配設しておくことができる。そして、画像表示装置21が可動したときに、発光装置による演出光を遊技者に照射して、遊技の高揚感を増加させることができる。
【0042】
また、遊技球転動領域A3においては、始動口(入賞装置)4を左右方向の一方側に偏って配設し、反対側にアタッカー62を配設することができる。この場合、画像表示装置21に対する下方位置に始動口4を配設しないことにより、この下方位置に可動演出装置等を配設することができる。
また、遊技盤11は、透明樹脂等で成形された透明板によって形成することができる。この場合、球通路3の少なくとも一部を遊技盤11内に形成し、この球通路3の途中で遊技球Bを回遊させることができる。
また、遊技盤11には、釘63を設ける代わりに、樹脂のリブを設けることもできる。
また、球通路3には、この球通路3内を遊技球Bが流下していることを明示するための発光部、又は遊技球Bによって回転する風車等を設けることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 遊技領域構造
11 遊技盤
2 通路形成部材
20 開口スペース
21 遊技演出装置(画像表示装置)
3 球通路
31 球入口
32 球出口
33 球通路部
34 振分部
4 入賞装置(始動口)
5 電動チューリップ
A 遊技領域
B 遊技球

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の遊技領域の構造であって、
該遊技領域には、遊技演出装置と、該遊技演出装置に対する上流側に設けた複数の球入口に入った遊技球を上記遊技演出装置に対する下流側又は側方に設けた複数の球出口へ導く複数の球通路と、が設けてあり、
上記複数の球出口の下流側には、入賞装置が設けてあり、
上記複数の球出口は、該複数の球出口から流出される遊技球の上記入賞装置への入賞のし易さが、該各球出口により適宜異なるように構成されており、
上記複数の球通路は、遊技球が上記複数の球入口のそれぞれと上記複数の球出口のそれぞれとが関連付けされるように設けてあることを特徴とする遊技機の遊技領域構造。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機の遊技領域構造において、上記複数の球通路は、上記球入口と上記球出口とが1対1で繋がるように設けてあるとともに、上記遊技演出装置に対する側部において前後方向に1列に並んで設けてあることを特徴とする遊技機の遊技領域構造。
【請求項3】
請求項1に記載の遊技機の遊技領域構造において、上記複数の球通路には、遊技球を三次元的に回遊させて上記複数の球出口のいずれかへ振り分ける振分部が設けてあることを特徴とする遊技機の遊技領域構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate