説明

遊技機用可変入賞装置及びそれを備えた遊技機

【課題】 回動翼片に対する不正行為を防止する構成と伝達部材に対する不正行為を防止する構成とをコンパクトに組み込むことのできる遊技機用可変入賞装置と、その可変入賞装置を備えた遊技機を提供する。
【解決手段】 カバー体80及び発光基板90は、台板10の起立壁18の後端面とベース体60の中間壁64の前端面とで挟持され、台板の取付部16とベース体60の取付部66cとがビス止めされる。ガイド溝17a2、ガイド突部57、支持軸部65c及び軸受け部53は、カバー体80によって外側から覆われるので、外部からの接触が阻止される。起立壁18は台板10の底部と左右の計3ヶ所に設けられ、起立壁18の後端面とカバー体80の前端面との間には発光基板90が配置可能に設けられ、この発光基板90には、台板10に光を照射するための複数のLED91が実装されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機の始動入賞口等に用いられる遊技機用可変入賞装置と、その遊技機用可変入賞装置を備えるパチンコ機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機用可変入賞装置は、遊技球が入球し難い閉位置と入球し易い開位置との間で開閉動作する一対の回動翼片と、直線移動可能なプランジャを有する駆動アクチュエータ(例えば、ソレノイド)と、プランジャの直線移動を回動翼片の回転移動に変換しつつソレノイドの駆動力を回動翼片に伝達する伝達部材とを備えるのが一般的である。この種の遊技機用可変入賞装置として、例えば特許文献1には、パチンコ機の隙間から針金等を挿入し、この針金等で閉じた状態にある開閉羽根(回動翼片)を強制的に開かせるように外力を作用させた場合でも、メカ的なロックにより伝達部材の回動を阻止することで上記した不正行為を防止するようにしたものが記載されている。
【0003】
具体的には、伝達部材が一対の連係アームと、両連係アームを連結する連結アームとで構成され、各連係アームが外向きに突設される回動軸を備え、連結アームが外向きに突設される案内ピンを備えている。台板の後側に取り付けられる支持部材(ベース体)の両外側壁には、各連係アームの回動軸を回動可能かつ前後方向に移動可能に支持するための軸受長孔が形成されるとともに、連結アームの案内ピンを案内するための案内溝が形成されている。この案内溝には、前方に向けて延び出す直線溝部(回動規制部)が形成されている。そして、プランジャの突出位置に対応して開閉羽根が閉位置にあるときは、各連係アームの回動軸が軸受長孔の前端に位置するとともに、連結アームの案内ピンが案内溝の直線溝部内に位置するようになっている。閉状態にある開閉羽根を強制的に開かせるような外力が作用した場合には、案内ピンが直線溝部により上方への移動を阻止されることで、伝達部材の回動が規制(ロック)されて開閉羽根の閉状態が保持される。このため、開閉羽根に対する不正行為を防止することが可能である。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された遊技機用可変入賞装置では、回動軸を移動させるための軸受長孔、及び案内ピンを案内するための案内溝が支持部材の両外側壁を貫通した貫通孔の形態で形成されているので、軸受長孔内の回動軸、及び案内溝内の案内ピンに外側壁を通して直接触れることができる。このため、外側壁の外部から回動軸あるいは案内ピンに対して直接後方へ移動させる外力を作用させると、伝達部材のロックを容易に解除できてしまうことから、伝達部材に対する不正行為を防止する構成としては未だ十分とは言えなかった。
【0005】
また、特許文献2には、左右のレバー(伝達部材)に対する不正行為を防止するために、レバーの下方を覆う裏カバーを設けることが記載されている。特許文献2によれば、裏カバーによってレバーに対する不正行為を防止することはできても、左右の開閉体(回動翼片)に対する不正行為を防止する構成としては不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−272121号公報
【特許文献2】特開2008−67792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、回動翼片に対する不正行為を防止する構成と伝達部材に対する不正行為を防止する構成とをコンパクトに組み込むことのできる遊技機用可変入賞装置と、その可変入賞装置を備えた遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
上記課題を解決するために本発明の遊技機用可変入賞装置は、
遊技機の遊技盤に固定される台板の前部に該遊技盤と交差する軸線回りに回動可能に支持されて遊技球が入球し難い閉位置と入球し易い開位置との間で開閉動作する回動翼片と、
直線移動可能な駆動部材を有する駆動アクチュエータと、
前記駆動部材が有する作用部と係合可能な被作用部を有し、それら被作用部と作用部との係合により該駆動部材の直線移動を前記回動翼片の回転移動に変換しつつ前記駆動アクチュエータの駆動力を該回動翼片へ伝達する伝達部材と、
前記台板から後方に延出する後部壁に取り付けられて前記駆動アクチュエータ及び前記伝達部材を収容するベース体とを備え、
前記ベース体の壁部には、前記駆動部材の動作に応じて前記回動翼片が前記閉位置と前記開位置との間で開閉動作するよう前記伝達部材を移動可能に支持する支持軸部が設けられ、
前記台板の後部壁は、前記伝達部材を前記駆動部材の動作方向に移動可能とするとともに、前記支持軸部を回転中心とする回動を規制するガイド溝を有するガイド壁を含み、
前記伝達部材には、前記支持軸部に係合して該伝達部材を前記駆動部材の動作方向に移動可能とするとともに、該支持軸部を回転中心とする回動を許容する長孔を有する軸受け部と、前記ガイド溝に係合した状態では該支持軸部を回転中心とする該伝達部材の回動を規制し、該ガイド溝から離脱した状態では該支持軸部を回転中心とする該伝達部材の回動を許容するガイド突部とが設けられ、
前記台板には前記後部壁よりも外側にて後方へ起立する起立壁が形成されるとともに、前記台板の起立壁の後端部と前記ベース体の壁部の前端部との間には、前記起立壁に保持されて、前記ガイド溝、前記ガイド突部、前記支持軸部及び前記軸受け部を外側から覆うカバー体が配置され、
前記ガイド溝、前記ガイド突部、前記支持軸部及び前記軸受け部に対する外部からの接触が前記カバー体によって阻止されることを特徴とする。
【0009】
この遊技機用可変入賞装置では、ベース体の壁部に伝達部材を移動可能に支持する支持軸部が設けられ、伝達部材にその支持軸部と係合する長孔を有する軸受け部が設けられている。また、台板に伝達部材の回動を規制するガイド溝を有するガイド壁が設けられ、伝達部材にそのガイド溝と係合可能なガイド突部が設けられている。よって、台板のガイド壁に形成されたガイド溝と伝達部材に設けられたガイド突部とが係合することによって、伝達部材の回動が規制されるので、シンプルな構成によって回動翼片に対する不正行為を防止できる。すなわち、従来の遊技機用可変入賞装置とは異なり、ベース体の壁部に伝達部材の回動軸を移動させるための貫通した軸受長孔や、伝達部材の案内ピンを案内するための貫通した案内溝を形成しなくて済む。
【0010】
そして、ガイド溝、ガイド突部、支持軸部及び軸受け部に対する外部からの接触はカバー体によって阻止される。よって、カバー体を設けるだけのシンプルな構成によって、伝達部材に対する不正行為を防止できる。このようにして、回動翼片に対する不正行為を防止する構成と伝達部材に対する不正行為を防止する構成とをコンパクトに組み込むことができる。
【0011】
なお、本発明の「駆動アクチュエータ」として、ソレノイド、リニアステッピングモータ等を用いることができる。その場合の「駆動部材」は、ソレノイドにあってはプランジャ、リニアステッピングモータにあっては駆動ねじである。また、本発明の「回動翼片」は、一対の平行な第1軸線周りに回動可能な一対の回動翼片と、単一の第1軸線周りに回動可能な単一の回動翼片とを含む。
【0012】
さらに、カバー体を台板の起立壁の後端面とベース体の壁部の前端面とで挟持する場合には、台板の後部壁とベース体の壁部とをビス等の締結部材によって固定することによって、カバー体とベース体の壁部との固定手段を要しなくなる。
【0013】
上記のような遊技機用可変入賞装置において、
起立壁とカバー体との間には、台板に光を照射するための発光手段を実装した発光基板が配置可能に設けられ、
発光基板は、起立壁の後端面とカバー体の前端面とで挟持される装着形態と、起立壁の後端面とカバー体の前端面とが発光基板の厚みに相当する隙間を有して対向配置される非装着形態とに変更可能とすることができる。
【0014】
これによってカバー体は、上記した不正行為を防止する機能に加えて、遊技球との接触や塵埃の付着等によって短絡しないように発光基板を覆う機能を有することになり、可変入賞装置の付加価値を高めることができる。具体的には、台板、ベース体又はカバー体の形状や構造を変えなくても、発光基板を装着して台板を光らせる第一仕様(デラックスタイプ)と、発光基板を取外した第二仕様(ノーマルタイプ)とを容易に設定でき、上記した不正行為を防止する機能を低下させることなく、汎用性を高めることができる。なお、「発光手段」としてLED、ランプ等を用いることができる。
【0015】
起立壁には、予め発光基板の厚みに相当する隙間を有した状態でカバー体を保持するための保持手段を設けることができる。
【0016】
これによって、発光基板の装着形態(第一仕様)と非装着形態(第二仕様)とに変更しても全体の大きさが変化せず、仕様変更のための特殊な構造を要しないので、可変入賞装置を小型コンパクトにすることができ、遊技機に対する取り付け構造も簡略化することができる。
【0017】
起立壁に設ける保持手段として、弾性変形によってカバー体を係止する係止爪と、カバー体との間隔を保持するために発光基板の厚み分の段差を有して2段階の高さで突出する突出壁とを有する場合がある。このような係止爪と突出壁とによって、保持手段を安価かつ簡便に設けることができる。
【0018】
そこで、上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、
以上のような遊技機用可変入賞装置を前記遊技盤に備えたことを特徴とする。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、
以上のような遊技機用可変入賞装置を前記遊技盤に備え、前記発光基板が前記装着形態である第一仕様と、前記非装着形態である第二仕様とに変更可能であることを特徴とする。
【0020】
このように、回動翼片に対する不正行為を防止する構成と伝達部材に対する不正行為を防止する構成とをコンパクトに組み込んで、全体構造の小型化が図られた可変入賞装置を搭載することにより、多彩な盤面構成や遊技内容を有する遊技機を容易に実現することができる。
【0021】
なお、本発明の遊技機には、パチンコ機、アレパチ機等の弾球遊技機が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る遊技機用可変入賞装置を備えたパチンコ機を例示する正面図。
【図2】本発明に係る遊技機用可変入賞装置の一例を、発光基板装着仕様であって閉鎖状態にあるときで示す全体斜視図。
【図3】図2の分解斜視図。
【図4】図3を反対側から見た分解斜視図。
【図5】図2の正面図及びA−A断面図。
【図6】図2の側面図及びB−B断面図。
【図7】図2の遊技機用可変入賞装置を斜め下方から見た全体斜視図。
【図8】閉鎖状態における主要部の斜視図及び側面図。
【図9】中間位置における主要部の斜視図及び側面図。
【図10】開放状態における主要部の斜視図及び側面図。
【図11】発光基板非装着仕様に変更した場合の側面図。
【図12】図11の遊技機用可変入賞装置を斜め下方から見た全体斜視図。
【図13】図11の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施例)
以下、本発明の実施の形態について図面に示す実施例を参照して説明する。
【0024】
図1に示すように、パチンコ機1(遊技機)における遊技盤2の盤面2aには、円形の遊技領域が形成されており、この遊技領域は外周縁に沿って形成される円弧状のレール2bによって区画されている。盤面2aの中央には液晶表示部3が搭載され、液晶表示部3の下方(盤面2aの中央下部)には入賞扉4aによって形成される大入賞口4(アタッカー)が配置されている。液晶表示部3と大入賞口4との間には、始動入賞口である電動チューリップ(電チュー)と称される遊技機用可変入賞装置(以下、入賞装置と略称する)5が配置されている。
【0025】
なお、本明細書において、上下とは遊技盤2の盤面2aに沿う態様で遊技球が流下する方向(鉛直方向)を意味する。また、左右とは遊技盤2の盤面2aに沿う態様で上下と直交する方向(水平方向)を意味する。また、前後とは遊技盤の盤面2aに直交する方向(水平方向)を意味し、盤面2aの前側(遊技者側)が前方側であり、盤面2aの後側(奥側)が後方側である。
【0026】
図2〜図4に示すように、入賞装置5は、前方側ユニットFUと、この前方側ユニットFUに一体的に組み付けられる後方側ユニットRUとで構成されている。前方側ユニットFUは、台板10、前側装飾部材20及び一対の回動翼片30,30を備えており、後方側ユニットRUは、ソレノイド40、伝達部材50及びベース体60を備えている。そして、台板10とベース体60とにより近接スイッチ70が前後に挟み込まれて保持されるようになっている。また、発光基板90を挟み込む形で、台板10にカバー体80が保持されている。
【0027】
台板10は、その前部にて遊技盤2の盤面2aに取り付けられ(図1参照)、その後部にてベース体60に取り付けられる。台板10の前部には、上下一対の上部入賞口11と下部入賞口12とが形成されている。上部入賞口11は、常に開放状態にある始動入賞口である。下部入賞口12は、前側装飾部材20及び各回動翼片30を含んで構成され、各回動翼片30の閉位置に対応して閉鎖状態となり、開位置に対応して開放状態となる始動入賞口である。
【0028】
台板10の後部には、図3に示すように、天井壁13、底壁14及び左右一対のガイド壁17,17が一体形成されて後部壁を構成している。天井壁13と各ガイド壁17との連結部位には、複数(例えば2本)のビス81によって台板10をベース体60に取り付けるための取付部16が形成されている。
【0029】
天井壁13の上面には、上部入賞口11に入賞した遊技球をベース体60の上部へ誘導するための樋13aが形成されており、底壁14の上面には、下部入賞口12に入賞して通過孔10aに導入された遊技球をベース体60の内部へ誘導するための樋14aが形成されている。なお、入賞した遊技球を円滑に後方へ誘導するために、上部入賞口11と天井壁13には、誘導リブ11a,13bがそれぞれ一体形成されている。
【0030】
底壁14には、後述するベース体60の内側壁65とともにその内側壁65に組み込まれた近接スイッチ70の導入を許容する矩形状の切欠孔14bが形成されている。切欠孔14b内に導入された近接スイッチ70は、底壁14の後端面(切欠孔14bの前端面)に当接することで前端が位置決めされる。
【0031】
ガイド壁17の上端は天井壁13に連結され、下端は底壁14に連結され、前端は台板10の前部に連結されている。このガイド壁17は、補強部材としての機能を果たすとともに、その一部が所定の形状に切り欠かれて後述する各アーム部51のガイド突部57をガイドする機能を果たしている。後部壁としての天井壁13、底壁14、ガイド壁17,17よりも外側の複数位置(例えば底部と左右の3ヶ所)において、台板10から後方へ向かう起立壁18がリブ状に起立形成されている。起立壁18はカバー体80及び発光基板90を保持する機能を有しており、これによって、起立壁18とベース体60との間にカバー体80が配置される。なお、起立壁18は、周方向において後部壁(天井壁13、底壁14、ガイド壁17,17)と連続して形成される場合と、不連続に形成される場合とがある。
【0032】
前側装飾部材20は、後述する各回動翼片30を閉位置に保持するための傾斜部21と、開位置に保持するためのストッパリブ22とを備えており、その後部にて複数(例えば2本)のビス82により台板10の前部に取り付けられている。なお、入賞した遊技球を円滑に後方へ誘導するために、前側装飾部材20には、誘導リブ23が一体形成されている(図4、図5(b)参照)。
【0033】
各回動翼片30は、台板10と前側装飾部材20とに渡って前後に架設された支持ピン31により軸線O1(第1軸線)回りに回動可能に支持されている。各回動翼片30は、支持ピン31よりも内側の部位にて台板10の通過孔10aを通して台板10の後方へ延び出す係合突部32を備えるとともに、下側の部位にて前側装飾部材20の傾斜部21に当接することで各回動翼片30を閉位置に保持し、ストッパリブ22に当接することで各回動翼片30を開位置に保持する位置決め片33を備えている。
【0034】
各回動翼片30の係合突部32は、伝達部材50から作用を受ける回動翼片30の被作用部としての機能を果たしている。すなわち、伝達部材50から係合突部32に対して下方への力が作用した場合には各回動翼片30が軸線O1回りに互いに接近する方向(内方)に付勢され(図5(b)参照)、上方への力が作用した場合には各回動翼片30が軸線O1回りに互いに離間する方向(外方)に付勢される(図10(b)参照)。
【0035】
ソレノイド40(駆動アクチュエータ)は、図4に示すように、コイル部41、プランジャ42(駆動部材)、及びコイル部41の左右前後を囲う金属製のケース43を含んで構成され、コイル部41への通電により発生する電磁力によってプランジャ42が前後に移動する。
【0036】
具体的には、プランジャ42の前端部には、前後一対の円板状のフランジ部42a,42a(プランジャの作用部)が設けられ、後方側のフランジ部42aとケース43との間には圧縮コイルばね44が介装されており、プランジャ42が圧縮コイルばね44を圧縮しつつコイル部41内へ引き込まれるようになっている。すなわち、プランジャ42は、コイル部41の通電解除状態では圧縮コイルばね44の付勢力により前方へ押し出された原位置(前進位置、突出位置)にあり(図8(b)参照)、コイル部41の通電状態では圧縮コイルばね44の付勢力に抗してコイル部41内へ引き込まれた作用位置(後退位置)に移動する(図10(b)参照)。
【0037】
伝達部材50は、図3〜図6に示すように、一対のアーム部51,51が架橋部52により一体形成されたものである。各アーム部51における外側面の後部下方位置には、後述する内側壁65の支持軸部65cに係合して各アーム部51をプランジャ42の動作方向(前後方向)に移動可能とするとともに、各アーム部51を支持軸部65cを回転中心として回動可能とする長孔53aを有する軸受け部53が後向きに延設されている。各アーム部51の後部には、軸受け部53と重なり合う部分の一部が切り取られて凹所54が形成されており、各アーム部51の後方への移動時に内側壁65に接触しないように(内側壁65を回避するように)なっている。
【0038】
各アーム部51の前端には、回動翼片30の係合突部32と係合可能な二股状の作用部55が前向きに突設されている。各アーム部51における内側面の後部上方位置には、プランジャ42のフランジ部42a,42a間に形成された溝部42bに係合する係合突部56(被作用部)が内向きに突設されている。
【0039】
各アーム部51における外側面の中央部上方位置には、台板10におけるガイド壁17のガイド部17aによりガイドされる丸軸状のガイド突部57が外向きに突設されている。
【0040】
ベース体60は、図3に示すように、ソレノイド40のケース43を収容する上側の収容部61と、台板10と協働して伝達部材50及び近接スイッチ70を収容する下側の収容部62とを備えている。ソレノイド40は、ベース体60の後方から収容部61に組み込まれ、複数(例えば2本)のビス83によって収容部61に固定配置される。
【0041】
収容部62は、左右一対の外側壁63,63、中間壁64及び天井壁66を一体に備えている。中間壁64は、収容部61と収容部62とを前後で区画するように左右に延設され、各外側壁63の後端を連結している。各外側壁63から所定距離隔てた内側位置には、一対の内側壁65,65が一体形成されている。各内側壁65は、中間壁64の前後及び下方に渡って延び出すように中間壁64に連結されている。
【0042】
各内側壁65の下段部の内側には、近接スイッチ70を前後に嵌め入れるための嵌入溝65aが形成されている。各内側壁65の下段部は、支持底壁67によって互いに連結されている。支持底壁67は、近接スイッチ70を載置するとともに補強部材としての機能を果たすものであり、その前部には近接スイッチ70を通過した遊技球を下方へ排出するための切欠孔67aが形成されている(図5(b)参照)。
【0043】
各内側壁65の上段部の外側には、各アーム部51における軸受け部53の長孔53aと係合する丸軸状の支持軸部65cが外向きに突設されている。各支持軸部65cは、軸線O1と直交する軸線O2(第2軸線)方向に突出している。各アーム部51が軸受け部53の長孔53aによって各内側壁65の支持軸部65cに取り付けられた状態では、各アーム部51の内側面が各内側壁65の内側面とほぼ同一鉛直面上に位置するか、あるいは各アーム部51の内側面が各内側壁65の内側面よりも極僅かだけ外方に位置するように設定されている。
【0044】
これにより、下部入賞口12から樋14aを通ってベース体60の内部へ誘導された遊技球は、各内側壁65の上段部の内側面に接触して支持底壁67の切欠孔67aへと誘導されることはあっても、各アーム部51にはほとんど接触しないようになっている。なお、中間壁64の前面には、遊技球を支持底壁67の切欠孔67aへ誘導するための誘導リブ64aが形成されている(図5(b)参照)。
【0045】
天井壁66の前部左右位置には、台板10の取付部16と嵌合してビス81(締結部材)で固定される取付部66cが形成されている(図4参照)。天井壁66の上面(外側面)は、例えば右方へ向かうに従って高さが連続的に低くなる傾斜面状に形成されており、台板10の樋13aからの遊技球をベース体60の外側の所定位置へ誘導する誘導路として機能する。なお、天井壁66には遊技球の落下を阻止する落下阻止壁66aが設けられ、落下阻止壁66aには遊技球を例えば右方へ向けて誘導する誘導リブ66bが設けられている。
【0046】
上述した台板10における各ガイド壁17のガイド部17aは、図8(b)に示すように、所定の曲率の円弧に沿って前方へ向かうに従って高さ位置が低くなるように傾斜するガイド面17a1と、そのガイド面17a1の前端から前方に向けて延び出す矩形状のガイド溝17a2とを備えている。ガイド溝17a2の溝幅は、各アーム部51のガイド突部57の直径に比べて僅かだけ大きい長さに設定されている。ガイド面17a1は平面状の横断面を有している。
【0047】
図7に示すように、カバー体80及び発光基板90は、台板10の起立壁18の後端面とベース体60の中間壁64の前端面とで挟持され、台板の取付部16とベース体60の取付部66cとがビス81止め(図3,図4参照)される。これによって、上記したガイド溝17a2、ガイド突部57、支持軸部65c及び軸受け部53は、カバー体80によって外側から覆われるので(図6(b)参照)、外部からの接触が阻止される。また、起立壁18は台板10の底部と左右の計3ヶ所に設けられ、起立壁18の後端面とカバー体80の前端面との間には発光基板90が配置可能に設けられ、この発光基板90には、台板10に光を照射するための複数(例えば5個)のLED91(発光手段)が実装されている。
【0048】
具体的には、底部の起立壁18には、弾性変形によってカバー体80を係止する板状の係止爪18aと、その係止爪18aの両側において、カバー体80との間隔を保持するために発光基板90の厚みT分の段差を有し、異なる高さで板状に突出する第1及び第2突出壁18b,18cとが設けられている。係止爪18aは、弾性変形しつつ発光基板90の切欠部90aとカバー体80の切欠部80aとを通過し、その後の弾性復帰により、カバー体80の切欠部80aに形成された係止部80a1に掛け止められる。このとき、高い方の第1突出壁18bの後端面はカバー体80の前端面に当接し、低い方の第2突出壁18cの後端面は発光基板90の前端面に当接する。
【0049】
左右の起立壁18には、カバー体80との間隔を保持するために発光基板90の厚みT分の段差を有し、異なる高さで突出する第1及び第2突出壁18b,18cがそれぞれ設けられている。高い方の第1突出壁18bは、円筒状に突出して発光基板90の貫通孔90bを貫通し、その後端面はカバー体80の前端面に当接する。なお、第1突出壁18bの後端面には、第1突出壁18bと同心状で第1突出壁18bより小径をなす円柱状の頭部18b1が突出形成され、頭部18b1は、カバー体80に形成された挿入孔80bに挿入される。一方、低い方の第2突出壁18cは板状に突出し、その後端面は発光基板90の前端面に当接する。
【0050】
各起立壁18には、予め発光基板90の厚みT(図6(a)参照)に相当する隙間S(図11参照)を有した状態でカバー体80を保持することができる。したがって、発光基板90は、第2突出壁18cの後端面とカバー体80の前端面とで挟持される装着形態(図6(a)参照;第一仕様の入賞装置5)と、第2突出壁18cの後端面とカバー体80の前端面とが発光基板90の厚みTに相当する隙間Sを有して対向配置される非装着形態(図11〜図13参照;第二仕様の入賞装置5’)とに変更可能である。なお、装着形態(第一仕様)では、発光基板90及びカバー体80が第2突出壁18cの後端面とカバー体80の前端面とで挟持され、非装着形態(第二仕様)では、カバー体80が第1突出壁18bの後端面とカバー体80の前端面とで挟持される。
【0051】
次に、図8〜図10を用いて、上記のように構成された入賞装置5の動作について説明する。なお、図8(b)、図9(b)及び図10(b)では、前側装飾部材20、ソレノイド40の圧縮コイルばね44、カバー体80、発光基板90等を省略してある。
【0052】
ソレノイド40のコイル部41が通電解除状態に維持されているときは、図8(a)に示すように、各回動翼片30が閉位置にある。この状態では、図8(b)に示すように、プランジャ42が作用位置にあり、各アーム部51において軸受け部53の長孔53aの後端面が支持軸部65cに当接するとともに、ガイド突部57がガイド部17aのガイド溝17a2に係合している。
【0053】
コイル部41が通電状態になると、図8(b)に示す原位置にあるプランジャ42が図9(b)に示す中間位置に向けて移動する。具体的には、プランジャ42の後方への移動に伴って、各アーム部51は姿勢をそのままとしつつ、すなわち各回動翼片30を閉位置に保持した状態で軸受け部53の長孔53aの前端面が支持軸部65cに当接するまで後方へ直線移動する。この状態になると、ガイド突部57がガイド部17aのガイド溝17a2から離脱するようになる。
【0054】
図9(b)に示す中間位置に達したプランジャ42が図10(b)に示す作用位置に向けて移動するのに伴って、各アーム部51は支持軸部65cを回転中心として軸線O2回りに上方へ回動する。このとき、各アーム部51の作用部55が回動翼片30の係合突部32を押し上げ、各回動翼片30を軸線O1回りに互いに離間する方向に回動させる。
【0055】
プランジャ42が図10(b)に示す作用位置に達すると、各回動翼片30は自重によりさらに軸線O1回りに極僅かな量だけ回動し、位置決め片33が前側装飾部材20のストッパリブ22(図4参照)に当接することで、図10(a)に示す開位置に保持される。
【0056】
一方、通電状態にあるコイル部41が通電解除状態になると、圧縮コイルばね44の付勢力を受けて、図10(b)に示す作用位置にあるプランジャ42が図9(b)に示す中間位置に向けて移動する。具体的には、まずプランジャ42の前方への移動に伴って、各アーム部51は支持軸部65cを回転中心として軸線O2回りに下方へ回動し、軸受け部53の長孔53aがプランジャ42の動作方向(前後方向)とほぼ平行になるまで回動する。各アーム部51が下方へ回動動作するとき、作用部55が回動翼片30の係合突部32を押し下げ、各回動翼片30を軸線O1回りに互いに接近する方向に回動させる。また、ガイド突部57がガイド部17のガイド面17a1により下方へ誘導される。プランジャ42が図9(b)に示す中間位置に達すると、各回動翼片30も閉位置に達するようになる。
【0057】
次に、プランジャ42が図9(b)に示す中間位置から図8(b)に示す原位置に向けて移動する。この場合、各アーム部51は姿勢をそのままとしつつ、軸受け部53の長孔53aの後端面が支持軸部65cに当接するまで前方へ直線移動する。各アーム部51が前方へ移動するとき、ガイド突部57がガイド部17aのガイド溝17a2に係合して前方へ誘導される。軸受け部53の長孔53aの後端面が支持軸部65cに当接すると、ガイド突部57がガイド溝17a2内に位置するようになる。
【0058】
プランジャ42が図8(b)に示す原位置に移動して各回動翼片30が閉位置に達した状態で、不正行為により各回動翼片30を強制的に開位置へ動作させようとする外力が作用した場合には、ガイド突部57がガイド溝17a2により上方への移動を阻止されることで、各アーム部51が支持軸部65cを回転中心として軸線O2回りに上方へ回動することが阻止(ロック)される。これにより、各回動翼片30の閉状態が保持されるので、不正行為を防止することができる。
【0059】
このように、この実施例では、ベース体60の各内側壁65に各アーム部51を移動可能に支持する支持軸部65cが設けられ、各アーム部51に支持軸部65cと係合する長孔53aを有する軸受け部53が設けられている。また、台板10のガイド壁17に各アーム部51のガイド突部57と係合可能なガイド溝17a2が形成されている。そして、ガイド溝17a2、ガイド突部57、支持軸部65c及び軸受け部53は、カバー体80によって外側から覆われるので、外部からの接触が阻止される。よって、カバー体80を設けるだけのシンプルな構成によって、伝達部材50に対する不正行為を防止できる。このようにして、回動翼片30に対する不正行為を防止する構成と伝達部材50に対する不正行為を防止する構成とをコンパクトに組み込むことができる。
【0060】
また、台板10、ベース体60又はカバー体80の形状や構造を変えなくても、発光基板90を装着して台板10を光らせる第一仕様(デラックスタイプ)と、発光基板90を取外した第二仕様(ノーマルタイプ)とを容易に設定でき、上記した不正行為を防止する機能を低下させることなく、汎用性を高めることができる。
【0061】
しかも、発光基板90の装着形態(第一仕様)の入賞装置5と非装着形態(第二仕様)の入賞装置5’とに変更しても全体の大きさが変化せず、仕様変更のための特殊な構造を要しないので、入賞装置5,5’を小型コンパクトにすることができ、パチンコ機1に対する取り付け構造も簡略化することができる。
【0062】
また、この実施例では、各支持軸部65cが各内側壁65の外側面にて外向きに突設されており、ベース体60の内部に導入された遊技球が両内側壁65,65の間を通過するように構成されている。これにより、遊技球が各内側壁65に衝撃を与えた場合でも、各支持軸部65c及び各アーム部51の軸受け部53に対しては遊技球の衝撃による負荷が作用しなくなって、各アーム部51の円滑な移動を確保することができる。
【0063】
また、この実施例では、両内側壁65,65に、ベース体60の内部に導入された遊技球の通過を検出する近接スイッチ70が取り付けられる。これにより、各内側壁65が不正行為防止機能、各アーム部51の移動確保機能を有することに加えて、近接スイッチ70の収容機能をも有するようになり、近接スイッチ70を収容するための単独の部材を設けなくて済むので、ベース体60をコンパクトに形成することができる。
【0064】
また、上記実施例では、以上に説明した入賞装置5が遊技盤2に固定配置されている。これにより、不正行為を有効に防止でき、また遊技盤2の他の役物の配置スペースを良好に確保することができる。
【0065】
なお、本実施例では、駆動アクチュエータとしてソレノイド40を用いているが、その他リニアステッピングモータ等を採用できる。また、パチンコ機1の他に、アレパチ機等の弾球遊技機にも適用できる。
【符号の説明】
【0066】
1 遊技機
2 遊技盤
2a 盤面
5,5’ 遊技機用可変入賞装置(入賞装置)
10 台板
13 天井壁(後部壁)
14 底壁(後部壁)
17 ガイド壁(後部壁)
17a ガイド部
17a1 ガイド面
17a2 ガイド溝
18 起立壁
18a 係止爪(保持手段)
18b 第1突出壁(保持手段)
18b1 頭部(保持手段)
18c 第2突出壁(保持手段)
20 前側装飾部材
30 回動翼片
31 支持ピン
32 係合突部
40 ソレノイド(駆動アクチュエータ)
42 プランジャ(駆動部材)
42a フランジ部(プランジャの作用部)
50 伝達部材
51 アーム部
52 架橋部
53 軸受け部
53a 長孔
54 凹所
55 アーム部の作用部
56 係合突部(被作用部)
57 ガイド突部
60 ベース体
61,62 収容部
63 外側壁(壁部)
64 中間壁(壁部)
65 内側壁(壁部)
65a 嵌入溝
65c 支持軸部
67 支持底壁(壁部)
67a 切欠孔
70 近接スイッチ
80 カバー体
80a 切欠部
80a1 係止部
80b 挿入孔
90 発光基板
90a 切欠部
90b 貫通孔
91 LED(発光手段)
O1 軸線(第1軸線)
O2 軸線(第2軸線)
S 隙間
T 厚み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の遊技盤に固定される台板の前部に該遊技盤と交差する軸線回りに回動可能に支持されて遊技球が入球し難い閉位置と入球し易い開位置との間で開閉動作する回動翼片と、
直線移動可能な駆動部材を有する駆動アクチュエータと、
前記駆動部材が有する作用部と係合可能な被作用部を有し、それら被作用部と作用部との係合により該駆動部材の直線移動を前記回動翼片の回転移動に変換しつつ前記駆動アクチュエータの駆動力を該回動翼片へ伝達する伝達部材と、
前記台板から後方に延出する後部壁に取り付けられて前記駆動アクチュエータ及び前記伝達部材を収容するベース体とを備え、
前記ベース体の壁部には、前記駆動部材の動作に応じて前記回動翼片が前記閉位置と前記開位置との間で開閉動作するよう前記伝達部材を移動可能に支持する支持軸部が設けられ、
前記台板の後部壁は、前記伝達部材を前記駆動部材の動作方向に移動可能とするとともに、前記支持軸部を回転中心とする回動を規制するガイド溝を有するガイド壁を含み、
前記伝達部材には、前記支持軸部に係合して該伝達部材を前記駆動部材の動作方向に移動可能とするとともに、該支持軸部を回転中心とする回動を許容する長孔を有する軸受け部と、前記ガイド溝に係合した状態では該支持軸部を回転中心とする該伝達部材の回動を規制し、該ガイド溝から離脱した状態では該支持軸部を回転中心とする該伝達部材の回動を許容するガイド突部とが設けられ、
前記台板には前記後部壁よりも外側にて後方へ起立する起立壁が形成されるとともに、前記台板の起立壁の後端部と前記ベース体の壁部の前端部との間には、前記起立壁に保持されて、前記ガイド溝、前記ガイド突部、前記支持軸部及び前記軸受け部を外側から覆うカバー体が配置され、
前記ガイド溝、前記ガイド突部、前記支持軸部及び前記軸受け部に対する外部からの接触が前記カバー体によって阻止されることを特徴とする遊技機用可変入賞装置。
【請求項2】
前記起立壁と前記カバー体との間には、前記台板に光を照射するための発光手段を実装した発光基板が配置可能に設けられ、
前記発光基板は、前記起立壁の後端面と前記カバー体の前端面とで挟持される装着形態と、前記起立壁の後端面と前記カバー体の前端面とが前記発光基板の厚みに相当する隙間を有して対向配置される非装着形態とに変更可能である請求項1に記載の遊技機用可変入賞装置。
【請求項3】
前記起立壁には、予め前記発光基板の厚みに相当する隙間を有した状態で前記カバー体を保持するための保持手段が設けられている請求項2に記載の遊技機用可変入賞装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の遊技機用可変入賞装置を前記遊技盤に備えることを特徴とする遊技機。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の遊技機用可変入賞装置を前記遊技盤に備え、前記発光基板が前記装着形態である第一仕様と、前記非装着形態である第二仕様とに変更可能であることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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