説明

遊技機用検出スイッチ

【課題】不正な基板を利用した不正行為を防止することが可能な検出スイッチを提供することにある。
【解決手段】検出スイッチ1は、本体部2の片端際に、遊技球通過孔3が穿設されており、遊技球通過孔3の後方に、近接センサ22が内蔵されている。一方、本体部2の他端縁には、外部端子板4が突設されており、外部端子板4の下面には、近接センサ22と電気的に繋がった金属層5a,5bが積層されている。そして、外部端子板4には、合成樹脂製の上側部材6aと下側部材6bとからなり凹型のコネクタ形状を有するカバー部材6が取り付けられており、外部端子板4の外周を覆った状態になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に用いられる遊技機用検出スイッチ(以下、単に検出スイッチという)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一つであるパチンコ機は、遊技盤に各種の入賞装置が付設されているとともに、それらの各入賞装置には、各入賞装置への遊技球の入賞を検出するための検出スイッチが付設されている。図4は、従来の検出スイッチを示したものであり、検出スイッチ51は、本体部52の片端縁際に、入賞球を通過させるための遊技球通過孔53が穿設されている。そして、その遊技球通過孔53の後方には、遊技球通過孔53壁面と隣接するように、通過した遊技球を検出するための検出器58が内蔵されている。また、遊技球通過孔53と反対側の端縁に、他の電子機器と接続するための外部端子板54が突設されており、その外部端子板54の裏面には、検出器58と電気的に繋がった金属層55,55が積層されている。かかる検出スイッチ51は、外部端子板54の金属層55,55部分が、はんだ57等によって、他の電子機器への入力用のリード線56,56と接続された状態で、遊技機の遊技盤面の裏面に設置されており、入賞装置の内部に設置されたりして使用される。そして、検出スイッチ51は、遊技機に電源が投入されている間、金属層55,55に一定の電圧が加えられており、遊技球が遊技球通過孔53を通過すると、その遊技球の通過に伴う検出器58の周囲の磁束密度の変化によって、2つの金属層55,55間の電位差が減少する(すなわち、電圧が低下する)ようになっている。このため、検出スイッチ51が設置されたパチンコ機においては、その電圧の減少を検出することによって、遊技球を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−76638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の検出スイッチ51は、外部端子板54の金属層55,55が露出しているため、その露出した金属層55,55に不正な基板を取り付け、その基板を利用して、検出スイッチ51を誤動作させたり(すなわち、遊技球が検出されていないにも拘わらず、電圧を減少させたり)、遊技機(検出スイッチ51を取り付けた遊技機)に所望の作動をさせたりする不正行為が行われてしまうことがある。また、周囲の部材に帯電した静電気によって、誤作動を起こしてしまうこともある。
【0005】
本発明の目的は、上記検出スイッチ51の如き従来の検出スイッチが有する問題点を解消し、不正な基板を利用した不正行為を防止することが可能な検出スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内、請求項1に記載された発明は、本体部の片端際に遊技球通過孔が穿設されており、その遊技球通過孔の周囲に遊技球の入賞を検出する検出器が付設されているとともに、本体部の他端に、前記検出器の外部出力端子が突出された遊技機用検出スイッチであって、前記外部出力端子の周囲が、コネクタ形状を有する前記本体部と別個に設けられたカバー部材によって覆われているとともに、前記カバー部材が、上側部材あるいは下側部材の各側板の切り欠き部および嵌入孔に、それぞれ、下側部材あるいは上側部材の嵌合突起を嵌入させることによって、上側部材と下側部材とを一体としたものであることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載された発明は、本体部の片端際に遊技球通過孔が穿設されており、その遊技球通過孔の周囲に遊技球の入賞を検出する検出器が付設されているとともに、本体部の他端に、前記検出器の外部出力端子が突出された遊技機用検出スイッチであって、前記外部出力端子の周囲が、コネクタ形状を有する前記本体部と別個に設けられたカバー部材によって覆われているとともに、前記カバー部材が、上側部材あるいは下側部材の各側板の嵌入孔に下側部材あるいは上側部材の嵌合突起を嵌入させることによって、上側部材と下側部材とを一体としたものであることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1、または請求項2に記載された発明において、本体部の片端際に遊技球通過孔が穿設されており、その遊技球通過孔の周囲に遊技球の入賞を検出する検出器が付設されているとともに、本体部の他端に、前記検出器の外部出力端子が突出された遊技機用検出スイッチであって、前記外部出力端子の周囲が、コネクタ形状を有する前記本体部と別個に設けられたカバー部材によって覆われているとともに、前記カバー部材が、上側部材あるいは下側部材の内の片方に他方を片開き可能に一体的に設けたものであることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれかに記載された発明において、カバー部材が、検出器の外部出力端子に着脱自在に付設されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1〜3に記載された検出スイッチは、外部出力端子の周囲がコネクタ形状を有する合成樹脂製のカバー部材によって覆われているため、外部出力端子に不正な基板を取り付ける不正行為を効果的に防止することができる。また、カバー部材が有するコネクタ形状を利用して、他の電子機器の入力端子であるコネクタと、非常に簡単に接続することができる。さらに、他の電子機器からの静電気によって誤動作を起こしたりしない。なお、検出スイッチのカバー部材を着脱自在に付設することにより、入賞装置の内部等の不正な基板が取り付けられる可能性の低い場所に設置する場合に、カバー部材を簡単に取り外して、大きなスペースを必要とすることなくコンパクトに設置することが可能となる。
【0011】
請求項4に記載された検出スイッチは、カバー部材が着脱自在に付設されているので、入賞装置の内部等の不正な基板が取り付けられる可能性の低い場所に設置する場合には、カバー部材を簡単に取り外して、大きなスペースを必要とすることなくコンパクトに設置することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】検出スイッチを示す斜視説明図である。
【図2】検出スイッチを一部分解して示す斜視説明図である。
【図3】検出スイッチの使用状態を示す斜視説明図である(aは、他の電子機器の入力端子を脱着した状態を示したものであり、bは、他の電子機器の入力端子を装着した状態を示したものである)。
【図4】従来の検出スイッチを示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の検出スイッチの一例を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1、図2は、検出スイッチを示したものであり、検出スイッチ1の本体部2は、合成樹脂製によって、扁平な直方体状に形成されている。そして、その本体部2の片端際には、略八角柱状の遊技球通過孔3が穿設されており、遊技球通過孔3の後方には、遊技球通過孔3の壁面と隣接するように、検出器である近接センサ22が内蔵されている。また、本体部2の他端縁には、合成樹脂製の外部端子板4が突設されており、本体部2の上面と略平行になっている。さらに、外部端子板4の下面には、近接センサ22と電気的に繋がった金属層(外部出力端子)5a,5bが積層されている。なお、本体部2の左右両サイドには、それぞれ、位置決めリブ7,7が鉛直に設けられている。
【0015】
さらに、外部端子板4には、合成樹脂製の上側部材6aと下側部材6bとからなるカバー部材6が取り付けられており、外部端子板4の外周を覆った状態になっている。上側部材6aは、上板8の左右両サイドに、下向きの側板9,9が延設されている。そして、各側板9,9の左右両端には、切り欠き部11,11が設けられており、下端際には、嵌入孔10が穿設されている。
【0016】
一方、下側部材6bは、略直方体形状を有しており、中央から後端にかけて大きく窪んでおり、凹状部15になっている。そして、前板14の内面から2本の金属端子17a,17bが、後方に向けて平行に突出した状態になっている。また、各側板12,12の上端面は、各金属端子17a,17bと電気的に繋がった接地部16a,16bが露出した状態になっている。さらに、各側板12,12の外面の左右両サイドの上端際、および中央の下端際には、それぞれ、嵌合突起13a,13a,13bが突設されている。
【0017】
上記の如き上側部材6a、下側部材6bは、下側部材6bの上面を外部端子板4の下面に当接させて、各接地部16a,16bを、それぞれ、外部端子板4の下面の金属層5a,5bに当接させた状態で、上側部材6aの各側板9,9の弾性を利用して、各側板9,9の各切り欠き部11,11および嵌入孔10に、それぞれ、嵌合突起13a,13a,13bを嵌入させることによって、上側部材6aと下側部材6bとが一体となって、外部端子板4を挟み込んでいる。そして、一体となったカバー部材6が、後面のみを開口させた凹型のコネクタ形状(すなわち、上下左右が閉塞された凹状部15内において、2つの金属端子17a,17bが後面の開口際まで突出した形状)になっている。また、金属端子17a,17bが、金属層5a,5bおよび接地部16a,16bを介して近接センサ22と電気的に繋がった状態になっている。
【0018】
上記の如く構成された検出スイッチ1は、図3の如く、一体となったカバー部材6の後面から、他の電子機器の入力端子(凸型のコネクタ)18が挿入され、凹状部15内に位置した2つの金属端子17a,17bが、入力端子18の各リード線21a,21bに電気的に繋がれた状態で、パチンコ機等の遊技機の遊技盤の裏面に設置されたり、各種入賞装置の内部に設置されたりして使用される。なお、検出スイッチ1は、設置する際に、位置決めリブ7,7を利用して、所望する位置に正確に設置することができる。そして、検出スイッチ1は、遊技機に電源が投入されている間、金属端子17a,17bに一定の電圧が加えられ、遊技球が遊技球通過孔3を通過すると、その遊技球の通過に伴って近接センサ22の周囲の磁束密度が変化し、かかる磁束密度の変化によって、2つの金属端子17a,17b間の電位差が減少する(すなわち、電圧が低下する)。このため、検出スイッチ1が設置されたパチンコ機等の遊技機においては、その電圧の減少を検出することによって、遊技球を検出することができる。
【0019】
検出スイッチ1は、上記の如く構成されており、外部出力端子(金属層5a,5b)がカバー部材6(上側部材6aおよび下側部材6b)によって覆われているため、外部出力端子5a,5bに不正な基板を取り付ける不正行為を効果的に防止することができる。また、カバー部材6が有するコネクタ形状を利用して、他の電子機器の入力端子であるコネクタ(入力端子18の如きもの)と、非常に簡単に接続することができる。さらに、他の電子機器からの静電気によって誤動作を起こしたりしない。加えて、検出スイッチ1は、カバー部材6が後面のみを開口させた凹型のコネクタ形状を有しているので、汎用性が高く、凸型のコネクタを有する他の多くの電子機器と接続することが可能であるとともに、接続不良を起こしにくく、その上、カバー部材6の構造がシンプルであり、損傷しにくい。
【0020】
さらに、検出スイッチ1は、カバー部材6が着脱自在に付設されているので、入賞装置の内部等、不正な基板が取り付けられる可能性の低い場所に設置する場合には、カバー部材6を簡単に取り外して、大きなスペースを必要とすることなくコンパクトに設置することも可能である。
【0021】
なお、本発明の検出スイッチの構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、本体部、遊技球通過孔、外部端子板、カバー部材の形状・構造等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更できる。
【0022】
たとえば、カバー部材は、必ずしも上下2つの部材に分離するものに限定されず、下側部材の上部に、片開きする上側部材を一体的に設けたものや、外部端子板を挿入する挿入孔を設けた有底筒状のもの等でも良く、外部出力端子を覆うものであれば、その形状は特に限定されない。
【0023】
さらに、カバー部材は、外部出力端子に着脱自在に付設したものに限定されず、接地部を外部出力端子の金属層とはんだ付けしたもの等、外部出力端子に固着したものでも良い。なお、カバー部材が、接地部を外部出力端子の金属層とはんだ付けしたものである場合には、遊技機が振動を受けた場合でも検出器とカバー部材の金属端子との接触状態が良好に保たれる、というメリットがある。加えて、カバー部材は、凹型のコネクタ形状を有するものに限定されず、凸型のコネクタ形状を有するものでも良い。
【0024】
また、遊技球通過孔は、本体部の片端縁際に設ける必要はなく、本体部の中央に設けることも可能であるし、その形状も八角形状に限定されず、円柱状等の他の形状に変更することもできる。
【0025】
さらに、遊技球通過孔に設けられる検出器は、永久磁石を利用した非接触式のセンサに限定されず、光センサを利用した非接触式のものや、遊技球通過孔への遊技球の通過によって接地作動を行う接触式のものでも良く、遊技球の通過を電気信号に変換するものであれば、その形状・構造は、特に限定されない。
【符号の説明】
【0026】
1・・検出スイッチ
2・・本体部
3・・遊技球通過孔
4・・外部端子板
5・・金属層
6・・カバー部材
6a・・上側部材
6b・・下側部材
7・・位置決めリブ
8・・上板
9・・側板
10・・嵌入孔
11・・切り欠き部
12・・側板
13a,13b・・嵌合突起
14・・前板
15・・凹状部
16a,16b・・接地部
17a,17b・・金属端子
18・・入力端子
21a,21b・・リード線
22・・近接センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部の片端際に遊技球通過孔が穿設されており、その遊技球通過孔の周囲に遊技球の入賞を検出する検出器が付設されているとともに、本体部の他端に、前記検出器の外部出力端子が突出された遊技機用検出スイッチであって、
前記外部出力端子の周囲が、コネクタ形状を有する前記本体部と別個に設けられたカバー部材によって覆われているとともに、
前記カバー部材が、上側部材あるいは下側部材の各側板の切り欠き部および嵌入孔に、それぞれ、下側部材あるいは上側部材の嵌合突起を嵌入させることによって、上側部材と下側部材とを一体としたものであることを特徴とする遊技機用検出スイッチ。
【請求項2】
本体部の片端際に遊技球通過孔が穿設されており、その遊技球通過孔の周囲に遊技球の入賞を検出する検出器が付設されているとともに、本体部の他端に、前記検出器の外部出力端子が突出された遊技機用検出スイッチであって、
前記外部出力端子の周囲が、コネクタ形状を有する前記本体部と別個に設けられたカバー部材によって覆われているとともに、
前記カバー部材が、上側部材あるいは下側部材の各側板の嵌入孔に下側部材あるいは上側部材の嵌合突起を嵌入させることによって、上側部材と下側部材とを一体としたものであることを特徴とする遊技機用検出スイッチ。
【請求項3】
本体部の片端際に遊技球通過孔が穿設されており、その遊技球通過孔の周囲に遊技球の入賞を検出する検出器が付設されているとともに、本体部の他端に、前記検出器の外部出力端子が突出された遊技機用検出スイッチであって、
前記外部出力端子の周囲が、コネクタ形状を有する前記本体部と別個に設けられたカバー部材によって覆われているとともに、
前記カバー部材が、上側部材あるいは下側部材の内の片方に他方を片開き可能に一体的に設けたものであることを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の遊技機用検出スイッチ。
【請求項4】
カバー部材が、検出器の外部出力端子に着脱自在に付設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の遊技機用検出スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−273957(P2009−273957A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198703(P2009−198703)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【分割の表示】特願平11−14599の分割
【原出願日】平成11年1月22日(1999.1.22)
【出願人】(000241234)豊丸産業株式会社 (428)
【Fターム(参考)】