説明

遊技機

【課題】遊技機において、表示装置に表示される識別情報の変動時期に応じて、注意が必要となる識別情報を、遊技者に容易に把握することができるようにする。
【解決手段】遊技者にとって有利な第1状態と、遊技者にとって不利な第2状態とに変動可能な変動入賞装置19と、複数桁の識別情報を、所定の移動表示距離の範囲内で表示位置を移動させながら変動表示可能な表示装置14と、複数桁の識別情報が変動表示後に予め定められた表示態様となった場合、変動入賞装置19を第1状態に変動させる遊技制御手段200と、複数桁の識別情報のうち、ある桁以外の他の桁の識別情報が変動を開始してから停止するまでの所定期間中には表示装置14に表示されるある桁の識別情報における移動表示距離を、他の桁の識別情報における移動表示距離よりも少なくして、前記桁の識別情報が変動表示するように前記表示装置14を制御する変動量可変表示制御手段300とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者にとって有利な第1状態と、遊技者にとって不利な第2状態とに変動可能な変動入賞装置と、複数桁の識別情報を表示可能な表示装置とを備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばパチンコ機のような遊技機にあっては、遊技盤の中央部に配置された複数桁(例えば3桁)に亘って複数種類の図柄(例えば「0」〜「9」の10枚)から構成される識別情報を、変動表示可能な表示装置を備えている。そして所定の確率に基いて、表示装置に表示された各識別情報が、特賞図柄として予め定められた特定表示結果(例えば「1、1、1」)となった場合に、特賞状態を生起させ、遊技者に所定の遊技価値を付与するものがある。
【0003】
このような遊技機において、表示装置に表示される変動中の識別情報のうち、先に停止した2桁の識別情報が同一種類で揃っている、いわゆるリーチ状態となった場合には、最後に停止することになる変動中の識別情報の表示領域を、大きくするようにしたものがある(例えば、特許文献1〜5参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平9―173550号公報
【特許文献2】特開2001−231990号公報
【特許文献3】特開平7−171251号公報
【特許文献4】特開平7−132168号公報
【特許文献5】特開平10−33774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術によれば、確かに識別情報に対する視認性を効果的に向上させてはいるが、識別情報の変動量は、その際の変動速度により左右されるだけであるので、図柄の変動自体により、遊技者に注目を促すような工夫はなく、単純な表示に終始していた。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、表示装置に表示される識別情報の変動時期に応じて、注意が必要となる識別情報を、遊技者が容易に把握することができる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、上記課題は次のようにして解決される。
(1)遊技者にとって有利な第1状態と、遊技者にとって不利な第2状態とに変動可能な変動入賞装置と、複数桁の識別情報を、所定の移動表示距離の範囲内で表示位置を移動させながら変動表示可能な表示装置と、前記複数桁の識別情報が変動表示後に予め定められた表示態様となった場合、前記変動入賞装置を前記第1状態に変動させる遊技制御手段と、前記複数桁の識別情報が変動を開始してから停止するまでの所定期間中には前記表示装置に表示される識別情報のうち、ある桁の識別情報における前記移動表示距離を、前記識別情報のうち、前記ある桁以外の他の桁の識別情報における前記移動表示距離よりも少なくして、前記複数桁の識別情報が変動表示するように前記表示装置を制御する変動量可変表示制御手段とを備え、前記変動量可変表示制御手段は、前記他の桁の識別情報が予め定められた表示態様となるリーチ状態が発生した場合には、前記ある桁の識別情報における前記移動表示距離を増加させるとともに、前記リーチ状態が予め定められた特定のリーチ状態である場合には、前記ある桁の識別情報における前記移動表示距離を、前記増加させた移動表示距離よりもさらに増加させる移動量増加制御手段を含む。
【0008】
(2)上記(1)項において、前記変動量可変表示制御手段は、変動表示中の識別情報の拡大させることが可能であるとともに、前記特定のリーチ状態が発生した場合には、変動中の前記ある桁の識別情報における拡大率を最大とする最拡大表示制御手段を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、次のような効果を奏することができる。
(a)請求項1記載の発明によれば、変動開始時から所定期間中には表示装置に表示される複数桁の識別情報のうち、ある桁の識別情報における移動表示距離は、他の桁の識別情報における移動表示距離よりも少なくして変動させるため、遊技者は相対的に移動量の多い他の桁の識別情報における変動表示を注視することになるため、注意が必要となる識別情報を遊技者に容易に把握させることができる。そして、ある桁の識別情報における移動表示距離を増加したことにより、リーチ状態が発生したことを遊技者に認識させるとともに、ある桁の識別情報における変動に注視することを容易ならしめることがきる。また、ある桁の識別情報における移動量をさらに増加したことにより、特定のリーチ状態が発生したことを遊技者に認識させるとともに、ある桁の識別情報における変動に注視することを容易ならしめることができる。
【0010】
(b)請求項2記載の発明によれば、変動中のある桁の識別情報における拡大率を最大とすることにより、特定のリーチ状態が発生したことを遊技者に認識させるとともに、迫力のある識別情報の変動表示を遊技者に強く印象づけ、遊技者の特賞状態への期待感を増大させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基いて説明する。図1は、本発明の一実施形態における遊技機の一部分を構成する遊技盤10の正面図である。
【0012】
遊技盤10は、外側ガイドレール11と内側ガイドレール12とによって包囲された円形状の遊技領域13を備え、遊技者の操作により、図外の発射装置から発射された遊技球が、遊技領域13を転動することにより、後述する遊技が行われる。
【0013】
なお、遊技領域13には、遊技釘が多数配置され、遊技球は、遊技釘に当接することにより、転動することになるが、該遊技釘は、図面簡素化のため省略してある。
【0014】
遊技領域13の中央部には、特別図柄表示装置14が配置されている。特別図柄表示装置14は、適宜のキャラクタに対して夫々「0」〜「9」の数字を備えるように構成される10種類の特別図柄(識別情報)を、左、中、右の3つの表示領域にそれぞれ第1図柄、第2図柄、第3図柄として表示可能に構成されている。
【0015】
所定の確率に基づいて、確定表示された各特別図柄が、予め定められた表示態様、例えば「3、3、3」のように同一の数字が揃った場合に、特賞状態を生起させ、後述の変動入賞装置18を、遊技者にとって有利な状態に変動させ、遊技者に所定の遊技価値を付与することになる。
【0016】
また、特別図柄表示装置14に確定表示された各特別図柄が、「7、7、7」のように奇数で表示された場合には、さらに特賞状態が生起される確率を、特賞状態が所定回数(例えば1回)生起するまで向上させるようにしてある。
【0017】
この確率向上期間中に、特別図柄表示装置14に確定表示された各特別図柄が、再び「7、7、7」のように奇数で表示された場合には、さらに確率向上期間は延長される。
【0018】
特別図柄表示装置14の下方には、特別図柄始動口15が配置され、また特別図柄始動口15の両側方には、普通図柄作動ゲート16が配置されている。
【0019】
遊技球が特別図柄始動口15に入賞すると、所定の確率に基づいて、特賞状態を生起するか否かが判定され、その判定の結果をもって、特別図柄表示装置14の特別図柄を変動させ、その後に所定の図柄を確定表示させる。
【0020】
また、遊技球が普通図柄作動ゲート16を通過すると、所定の確率に基づいて、準特賞状態を生起するか否かが判定され、その判定の結果をもって、特別図柄表示装置14の上方に配置された普通図柄表示装置17を変動させ、その後に所定の図柄を確定表示させる。
【0021】
普通図柄表示装置17の普通図柄表示領域17a、17bは、それぞれLEDで構成され、交互に点灯を繰返す表示を行う。所定の確率に基づいて、交互に点灯表示を繰返す普通図柄が、予め定められた表示態様として普通図柄表示領域17aが点灯表示された場合に、準特賞状態を生起させ、特別図柄始動口15の左右の可動片15a、15bは所定時間開放し、遊技球が特別図柄始動口15に入賞しやすくなる。図1では、可動片15a、15bが開放した状態を示してある。
【0022】
遊技領域13の下部には、変動入賞装置18が配置されている。変動入賞装置18は、特賞状態期間中に広幅の扉が前面側に開放され、遊技球が入賞可能な状態となる大入賞口19を備えている。
【0023】
大入賞口19の扉が開放されている状態や、開閉を繰り返している状態で、遊技球が入賞可能な状態を、遊技者にとって有利な第1状態という。この第1状態以外の状態、つまり大入賞口19の扉が閉鎖されている状態により、遊技球が入賞不可能な状態を、遊技者にとって不利な第2状態という。
【0024】
その他、遊技領域13には、遊技釘とともに遊技球の転動方向を変化させるランプ付き風車20、遊技球を遊技盤10の裏面に送るアウト口21、及びランプ表示装置22等が配置されている。
【0025】
以上、遊技盤10に配置された各装置について説明したが、これら各装置のうち主要なものは、マイクロコンピュータによって制御されており、これについて、制御ブロック図を参照しつつ説明する。
【0026】
図2は、遊技盤10に配置された各装置に係わる遊技制御ブロック図である。なお、図外の遊技機本体、つまり発射装置や賞球排出装置を制御する制御系統や電源回路等は、ここでは省略する。
【0027】
主制御部200は、制御プログラムおよびデータを記憶したROM201と、CPUのワークエリアとして機能するRAM202とともに一体型のワンチップCPUとして構成され、ROM201に記憶された制御プログラムにより、一連の制御処理を実行する制御手段が構成されている。
【0028】
また主制御部200には、入力ポート210を介して、特別図柄始動口15の内部に配置され、遊技球の通過を検出する特別図柄始動スイッチ150、普通図柄作動ゲート16の内部に配置され、遊技球の通過を検出する普通図柄作動スイッチ160、変動入賞装置18における大入賞口19の内部に配置され、大入賞口19に入賞した遊技球を検出する大入賞口スイッチ190、同じく変動入賞装置18における大入賞口19の内部に配置され、特定の領域を通過した遊技球のみを検出する特定領域スイッチ195が接続され、各検出信号を入力可能となっている。
【0029】
さらに主制御部200には、出力ポート220を介して、特別図柄表示装置14、変動入賞装置18における大入賞口19の広幅な扉を開放制御するための大入賞口作動ソレノイド180、特別図柄始動口15の可動片15a、15bを開放制御するための普通電動役物作動ソレノイド225、ランプ付き風車20やランプ表示装置22等の表示灯を点灯制御するための表示灯装置230、図示しないスピーカーを制御するための効果音発生装置240が接続され、各制御信号を出力可能となっている。
【0030】
次に、主制御部200が特別図柄表示装置14に対して実行する制御の一例について説明する。遊技球が特別図柄始動口15に入賞すると、主制御部200は特別図柄始動スイッチ150からの信号を受信し、所定の確率に基づいて、特賞状態を生起するか否かの判定を行い、その判定にしたがって、特別図柄表示装置14へ表示指令情報を出力する。このとき、主制御部200は、効果音発生装置240へ効果音発生指令情報をも出力する。
【0031】
表示指令情報には、特別図柄表示装置14の図柄変動開始を指示するとともに、図柄変動時間及び図柄変動態様を指定する図柄変動指定情報と、停止図柄を指定する停止図柄指定情報と、図柄変動終了を指定する変動停止指定情報とが含まれており、これら表示指令情報は、ROM201に格納されている。
【0032】
主制御部200は、特別図柄表示装置14の図柄変動表示を開始させるような遊技状況となったときに、表示指令情報を、1回の変動表示制御において、所定のタイミングで特別図柄表示装置14に送信する。
【0033】
図3は、特別図柄表示装置14に係わる表示制御ブロック図である。特別図柄表示装置14は、主制御部200からの表示指令情報を受信するためのデータ受信回路320と、受信した表示指令情報に基いて表示制御を行うために必要な制御データを生成して、画像表示処理用LSI310に出力するCPU(表示制御手段)300と、CPU300の動作手順を記述したプログラムを内蔵するプログラムROM330と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM340と、画像表示処理を行う画像表示処理用LSI310と、画像表示処理用LSI310が展開した画像データを一時的に記憶するビデオRAM350と、画像表示処理用LSI310が画像展開するために必要なデータとして図柄データやキャラクタ画像データ等を格納したキャラクタROM360と、画像表示処理用LSI310から送出された画像データを用いて、表示画像を出力するLCDディスプレイ370とを有している。
【0034】
CPU300は、特別図柄表示装置14が図柄変動中であることを示す図柄変動中情報や、停止した図柄内容を示す図柄情報等の表示関連情報を遊技機外部に出力する手段を備えている。特別図柄表示装置14はさらに、出力端子として表示関連情報出力端子380を有している。
【0035】
図4は、特別図柄表示装置14におけるCPU300の拡大変動制御により、LCDディスプレイ370に第1図柄及び第2図柄が変動表示される例を模式的に表した図である。詳しくは、第1図柄及び第2図柄について変動中における大きさの変化を模式的に表した図である。
【0036】
図示した「矢印A」に示すように図柄変動が開始されると、図柄400は1段階から4段階に亘って大きさが段階的に変化する。4段階まで図柄400が拡大されると、次の図柄に切り替って同様の拡大変動表示を行う。これら大きさの異なる4つの図柄データは、キャラクタROM360に格納されている。なお、1つの図柄に対して図柄データを複数備える構成ではなく、画像表示処理用LSI310の制御により1つの図柄データからなる図柄を拡大・縮小する機能を搭載させる構成でもよい。
【0037】
図5〜図8は、特別図柄表示装置14におけるCPU300の拡大変動制御により、LCDディスプレイ370に第3図柄が変動表示される例を模式的に表した図である。なお、これらの図柄は、図4に示す図柄と同様に、図柄データとしてキャラクタROM360に格納されている。
【0038】
図5は、変動開始時から所定期間中において、変動中の第3図柄の大きさの変化を模式的に表した図である。図示した「矢印B」に示すように、図柄変動が開始されると図柄400は、1段階から2段階に亘って大きさが変化する。2段階まで図柄400が拡大されると、次の図柄に切り替って同様の拡大変動表示を行う。
【0039】
図6は、リーチ状態が発生しない場合において、変動中の第3図柄の大きさの変化を模式的に表した図である。図示した「矢印C」に示すように、図柄変動が開始されると図柄400は、2段階から3段階に亘って大きさが変化する。3段階まで図柄400が拡大されると、次の図柄に切り替って、同様の拡大変動表示を行う。この場合、破線で示す1段階の図柄400は表示されない。
【0040】
図7は、通常のリーチ状態が発生した場合において、変動中の第3図柄の大きさの変化を模式的に表した図である。図示した「矢印D」に示すように、図柄変動が開始されると図柄400は、2段階から4段階に亘って大きさが段階的に変化する。4段階まで図柄400が拡大されると、次の図柄に切り替って、同様の拡大変動表示を行う。この場合、破線で示す1段階の図柄400は表示されない。
【0041】
図8は、通常のリーチ状態とは異なる特定のリーチ状態が発生した場合において、変動中の第3図柄の大きさの変化を模式的に表した図である。図示した「矢印E」に示すように、図柄変動が開始されると図柄400は、2段階から5段階に亘って大きさが段階的に変化する。5段階まで図柄400が拡大されると、次の図柄に切り替って、同様の拡大変動表示を行う。このとき破線で示す1段階の図柄400は表示されない。
【0042】
したがって、第3図柄は図柄変動に係わる所定条件が成立した場合、つまりリーチ状態が発生しない場合、通常のリーチ状態が発生した場合、特定のリーチ状態が発生した場合のそれぞれによって変動量(ここでは拡大率)が変化する。
【0043】
図9〜図12は、特別図柄表示装置14におけるCPU300の変動量可変表示制御により、LCDディスプレイ370に第1図柄、第2図柄、第3図柄が移動表示される例を模式的に表した図である。
【0044】
図9は、変動開始時から所定期間中(第1、2図柄が変動開始してから一旦停止表示されるまでの期間)において、第1図柄、第2図柄、第3図柄の移動量を示す例である。第1図柄及び第2図柄は、夫々「矢印F」及び「矢印G」の方向へ移動するにしたがって、1段階から4段階に亘って図柄を段階的に拡大させるとともに表示位置を移動させる移動表示を行う。4段階まで図柄が変動したら、次に該当する図柄が表示されて同様の変動表示を行う。また、第3図柄は「矢印H」の方向へ移動するにしたがって、1段階から2段階に亘って図柄を拡大させるとともに表示位置を移動させる移動表示を行う。2段階まで図柄が変動したら、次に該当する図柄が表示されて同様の変動表示を行う。
【0045】
図10は、リーチ状態が発生しない場合において、第3図柄の移動量を示す例である。このリーチ状態が発生しない場合とは、4段階で一旦停止表示を行っている第1図柄及び第2図柄が同一数字で揃っていない状態を指す。
【0046】
この場合、第3図柄は「矢印I」に示すように、さらに2段階から3段階に亘って図柄を拡大させるとともに表示位置を移動させる移動表示を行う。3段階まで図柄が変動したら、次に該当する図柄が表示されて同様の変動表示を行う。さらに、この場合の移動表示における移動速度は、図9に示す変動開始時から所定期間中における移動速度よりも遅くなるように制御される。
【0047】
図11は、通常のリーチ状態が発生した場合において、第3図柄の移動量を示す例である。このリーチが発生した場合とは、4段階で一旦停止表示を行っている第1図柄及び第2図柄が同一数字で揃っている状態を指す。
【0048】
この場合、第3図柄は「矢印J」に示すように、2段階から4段階に亘って図柄を拡大させるとともに表示位置を移動させる移動表示を行う。4段階まで図柄が変動したら、次に該当する図柄が表示されて同様の変動表示を行う。さらに、この場合の移動表示における移動速度は、図9に示す変動開始時から所定期間中における移動速度よりも遅くなるように制御される。
【0049】
図12は、特定のリーチ状態が発生した場合において、第3図柄の移動量を示す例である。特定のリーチ状態が発生した場合とは、特賞状態を生起させる予め定められた表示態様となる可能性が極めて高い図柄変動態様を指す。つまり図11に示す通常のリーチ状態が発生した場合の変動態様よりも、特賞状態を生起させる予め定められた表示態様となる可能性が高くなるように設定される。
【0050】
この場合、第3図柄は「矢印K」に示すように、2段階から5段階に渡って図柄を拡大させるとともに表示位置を第1、2図柄よりもさらに前方(図9〜図12において左斜め下方)へ移動させる移動表示を行う。5段階まで図柄が変動したら次に該当する図柄が表示されて同様の変動表示を行う。
【0051】
したがって、故に、第3図柄は図柄変動に係わる所定条件が成立した場合、つまりリーチ状態が発生しない場合、通常のリーチ状態が発生した場合、特定のリーチ状態が発生した場合のそれぞれによって変動量(移動表示距離、拡大率、変動速度)が可変する。
【0052】
図13は、特別図柄表示装置14におけるCPU300が実行する処理のうちの本実施形態に係わる主要部を説明するフローチャートである。
【0053】
まず、ステップS1300において、CPU300はデータ受信回路320から主制御部200が送信した表示指令情報を受信したか否かを判定する入力チェック処理を実行する。表示指令情報を受信したと判定する(YES)と、ステップS1301へ移行する。なお、表示指令情報を受信されないと判定する(NO)と、ここでの処理を終了する。
【0054】
ステップS1301において、CPU300は受信した表示指令情報のうち図柄変動指定情報に基いて、第1図柄、第2図柄、第3図柄の変動表示を開始させる処理を実行する。この際の表示例としては、前述の図9に示す表示演出が行われる。
【0055】
この場合、遊技者は、変動開始段階では、まず第1図柄と第2図柄とが同一数字になるか、つまりリーチ状態が発生するか否かを注目するため、第3図柄には関心を寄せない。そのため、第3図柄(ある桁の図柄)の移動量を第1図柄及び第2図柄(ともに他の桁の図柄)の移動量よりも少なくすることによって、注意が必要となる第1図柄と第2図柄の変動を容易に認識することが可能になるとともに、第3図柄の存在を目立たなくして、遊技者の集中力低下を防止することができる。
【0056】
ステップS1302において、CPU300は受信した表示指令情報のうち図柄変動指定情報に基いて、第1図柄と第2図柄によりリーチ状態が発生したか否かを判定する。まず、第1の所定条件の成立であるリーチ状態が発生しないと判定した場合(NO)は、ステップS1303に移行して、第3図柄の移動量を第3段階位置まで増加させる第1の変動量増加制御処理を実行する。この際の表示例としては、前述の図10に示す表示演出が行われる。
【0057】
この場合、遊技者は一旦停止した第1図柄と第2図柄の変動を見終えて、次に第3図柄の変動を注目する。そのため、第3図柄の変動量をいままでよりも増加させることによって、リーチ状態が発生しないことを、遊技者に認識させるとともに、第3図柄の変動に注視することを容易ならしめることができる。
【0058】
一方、先のステップS1302において、第2の所定条件の成立であるリーチ状態が発生したと判定した場合(YES)は、ステップS1304に移行して、第3図柄の変動量をリーチ状態が発生しない場合よりも、さらに増加させて第4段階位置まで移動させる第2の変動量増加制御処理を実行する。この際の表示例としては、前述の図11に示す表示演出が行われる。
【0059】
この場合、遊技者はリーチを形成して一旦停止した第1図柄と第2図柄の変動を見終えて、次に第3図柄の変動を注目する。そのため、第3図柄の移動量をいままでよりもさらに増加させることによって、リーチ状態が発生したことを、遊技者に認識させるとともに、第3図柄の変動に注視することを容易ならしめることができる。
【0060】
ステップS1305において、CPU300は受信した表示指令情報のうち図柄変動指定情報に基づいて、特定リーチ状態が発生したか否かを判定する。第3の所定条件の成立である特定リーチ状態が発生したと判定した場合(YES)は、ステップS1306に移行して、変動中の第3図柄を第4段階位置からさらに前方へ移動させるとともに、第3図柄における拡大率を最大とする最拡大表示制御処理を行う。この際の表示例としては、前述の図12示す表示演出が行われる。
【0061】
それによって、特賞状態を生起させる予め定められた表示態様となる可能性が、極めて高い図柄変動態様となったことを、遊技者に認識させるとともに、迫力のある変動で、遊技者の期待感を増大させることができる。
【0062】
最後に、ステップS1307において、CPU300は変動停止指定情報の受信により変動を停止させ、停止図柄指定情報で指定された図柄を表示させる。これにより特賞状態となった否かを遊技者に認識させることができる。
【0063】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、上記実施形態に種々の変形や変更を施すことが可能である。例えば、変動量可変表示制御手段として、図柄を拡大させないで移動表示距離のみを可変させる構成、移動速度のみを変化させる構成、徐々に縮小される図柄を変動する構成等が挙げられる。
【0064】
また、複数桁の図柄が予め定められた表示態様となった場合に、大入賞口19が開放する遊技機として説明したが、本発明は、図柄が予め定められた表示態様となったことにより、所定の入賞装置が開放して開放期間中の所定の入賞装置に遊技球が入賞した場合に、変動入賞装置が開放する契機となる遊技機やスロットマシン等に対しても、適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明における一実施形態を適用した遊技機の一部分を構成する遊技盤の正面図である。
【図2】遊技盤に配置された各装置に係わる遊技制御ブロック図である。
【図3】特別図柄表示装置に係わる表示制御ブロック図である。
【図4】特別図柄表示装置に表示される表示例であって、第1図柄及び第2図柄について変動中における大きさの変化を示す模式図である。
【図5】特別図柄表示装置に表示される表示例であって、変動開始時から所定期間中において、変動中の第3図柄の大きさの変化を示す模式図である。
【図6】特別図柄表示装置に表示される表示例であって、リーチ状態が発生しない場合において、変動中の第3図柄の大きさの変化を示す模式図である。
【図7】特別図柄表示装置に表示される表示例であって、リーチ状態が発生した場合において、変動中の第3図柄の大きさの変化を示す模式図である。
【図8】特別図柄表示装置に表示される表示例であって、特定のリーチアクションが発生した場合において、変動中の第3図柄の大きさの変化を示す模式図である。
【図9】特別図柄表示装置に表示される表示例であって、変動開始時から所定期間中において、第1図柄、第2図柄、第3図柄の移動量を示す模式図である。
【図10】特別図柄表示装置に表示される表示例であって、リーチ状態が発生しない場合において、変動中の第3図柄の移動量を示す模式図である。
【図11】特別図柄表示装置に表示される表示例であって、リーチ状態が発生した場合において、変動中の第3図柄の移動量を示す模式図である。
【図12】特別図柄表示装置に表示される表示例であって、特定のリーチアクションが発生した場合において、変動中の第3図柄の移動量を示す模式図である。
【図13】特別図柄表示装置が実行する主要な処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
10 遊技盤
11 外側ガイドレール
12 内側ガイドレール
13 遊技領域
14 特別図柄表示装置(表示装置)
15 特別図柄始動口
15a、15b 可動片
16 普通図柄作動ゲート
17 普通図柄表示装置
17a、17b 普通図柄表示領域
18 変動入賞装置
19 大入賞口
20 ランプ付き風車
21 アウト口
22 ランプ表示装置
150 特別図柄始動スイッチ
160 普通図柄作動スイッチ
180 大入賞口作動ソレノイド
190 大入賞口スイッチ
195 特定領域スイッチ
200 主制御部(遊技制御手段)
201 ROM
202 RAM
210 入力ポート
220 出力ポート
225 普通電動役物作動ソレノイド
230 表示灯装置
240 効果音発生装置
300 CPU(変動量可変表示制御手段、第1の移動量増加制御手段、第2の移動量増加制御手段、最拡大表示制御手段)
310 画像表示処理用LSI
320 データ受信回路
330 プログラムROM
340 RAM
350 ビデオRAM
360 キャラクタROM
370 LCDディスプレイ
380 表示関連情報出力端子
400 図柄(識別情報)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者にとって有利な第1状態と、遊技者にとって不利な第2状態とに変動可能な変動入賞装置と、
複数桁の識別情報を、所定の移動表示距離の範囲内で表示位置を移動させながら変動表示可能な表示装置と、
前記複数桁の識別情報が変動表示後に予め定められた表示態様となった場合、前記変動入賞装置を前記第1状態に変動させる遊技制御手段と、
前記複数桁の識別情報が変動を開始してから停止するまでの所定期間中には前記表示装置に表示される識別情報のうち、ある桁の識別情報における前記移動表示距離を、前記識別情報のうち、前記ある桁以外の他の桁の識別情報における前記移動表示距離よりも少なくして、前記複数桁の識別情報が変動表示するように前記表示装置を制御する変動量可変表示制御手段とを備え、
前記変動量可変表示制御手段は、前記他の桁の識別情報が予め定められた表示態様となるリーチ状態が発生した場合には、前記ある桁の識別情報における前記移動表示距離を増加させるとともに、前記リーチ状態が予め定められた特定のリーチ状態である場合には、前記ある桁の識別情報における前記移動表示距離を、前記増加させた移動表示距離よりもさらに増加させる移動量増加制御手段を含むことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記変動量可変表示制御手段は、変動表示中の識別情報の拡大させることが可能であるとともに、前記特定のリーチ状態が発生した場合には、変動中の前記ある桁の識別情報における拡大率を最大とする最拡大表示制御手段を含むことを特徴とする請求項1記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−119550(P2008−119550A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41959(P2008−41959)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【分割の表示】特願2001−328234(P2001−328234)の分割
【原出願日】平成13年10月25日(2001.10.25)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】