説明

遊技機

【課題】異常事態にある状況が短いような場合であっても、当該異常事態が発生した事実を確実に周囲に報知することができる遊技機を提供する。
【解決手段】前扉4が開放される異常事態を検出すると、スピーカ14及びランプ部材15を用いた異常報知動作を開始し、その後、たとえ前扉4が閉鎖されたとしても、前扉4が開放されてから30秒が経過するまでは、スピーカ14及びランプ部材15を用いた異常報知動作を継続する。したがって、ホール店員等の周囲の者にしてみると、従来と比べて異常が発生した事実を見落としにくく、異常が発生した事実をより確実に把握することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば前枠の開放等といった異常事態を検出すると、ランプやスピーカ等を用いて周囲に報知する異常報知機能を有する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機やスロットマシーン等の遊技機に対しては、たとえば、パチンコ機であれば、ガラス板を嵌め込んでなる前扉を不正に開放し、一定の賞品球を獲得することができる入賞口(大入賞装置等)へ遊技球を不正に入賞させるといった不正行為が行われることがある。そこで、このような不正行為に対応すべく、たとえば前扉が開放されると、スピーカから異常報知音(「ピーピーピー」といった電子音等)や異常報知メッセージ(「扉が開いています」等)を報音させ、周囲にガラス扉が開放された旨を報知する異常報知機能を備えた遊技機(たとえば特許文献1)が考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−54930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の一般的な異常報知機能によれば、異常の報知は状態の正常復帰をもって即刻停止するように構成されており、上記特許文献1においても同様となっている。しかしながら、前扉を開放する時間が短いような場合、正常復帰をもって異常の報知を即刻停止してしまうと、当該開放を周囲に十分に報知することができず、不正行為が見逃されてしまうおそれがあるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、異常事態にある状況が短いような場合であっても、当該異常事態を確実に周囲に報知することができる遊技機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、本体を支持する機枠と、前記機枠に対して開閉可能に取り付けられた枠部材とを備えてなる遊技機であって、前記枠部材の開閉状態を検出する開閉検出手段と、前記開閉検出手段が接続され、前記枠部材の開閉状態を判断するとともに、前記枠部材の開放時間を計時する計時手段を有する異常制御手段と、前記異常制御手段に接続され、前記異常制御手段による制御のもと作動し、異常を周囲に報知する異常報知手段とを備えており、前記異常制御手段は、前記枠部材の開放を検出すると、その後の前記枠部材の開閉状態に拘わることなく、前記枠部材の開放から所定の時間にわたって前記異常報知手段を作動させることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記異常制御手段は、前記枠部材の開放から所定の時間以内に前記枠部材の閉鎖を検出すると、前記異常報知手段の作動態様を変更し、前記所定の時間が経過するまで変更後の作動態様にて前記異常報知手段を作動させることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、遊技に係る遊技音や異常を報知する異常報知メッセージを報音するとともに、前記遊技音や前記異常報知メッセージの音量を調節可能な報音手段を備えており、前記異常制御手段は、前記枠部材の開放を検出すると、前記異常報知手段として前記報音手段を作動させ、前記報音手段から異常報知メッセージを報音させるとともに、前記遊技音の音量を前記異常報知メッセージの音量よりも小さく変更する一方、前記枠部材の閉鎖を検出すると、前記異常報知メッセージの報音を停止するものの、前記遊技音の音量については、前記所定の時間が経過するまで小さく変更した状態のまま維持することを特徴とする。
【0007】
また、上記目的を達成するために、本発明のうち請求項4に記載の発明は、本体を支持する機枠と、前記機枠に対して開閉可能に取り付けられた枠部材とを備えてなる遊技機であって、前記枠部材の開閉状態を検出する開閉検出手段と、前記開閉検出手段が接続され、前記枠部材の開閉状態を判断するとともに、前記枠部材の開放時間を計時する計時手段を有する異常制御手段と、前記異常制御手段に接続され、前記異常制御手段による制御のもと作動し、異常を周囲に報知する異常報知手段とを備えており、前記異常制御手段は、前記枠部材の開放を検出すると前記異常報知手段を作動させるとともに、前記異常報知手段の作動を前記枠部材の閉鎖を検出してから所定の時間が経過するまで維持することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、前記異常制御手段は、前記枠部材の閉鎖を検出すると、前記異常報知手段の作動態様を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、枠部材の開放を検出すると、その後の枠部材の開閉状態に拘わらず、枠部材の開放を検出してから所定の時間にわたって異常報知手段を作動させる。また、請求項4に記載の発明によれば、枠部材の開放を検出すると異常報知手段を作動させるとともに、異常報知手段の作動を枠部材の閉鎖を検出してから所定の時間が経過するまで維持する。したがって、従来と比べて枠部材が開放された事実を見落としにくく、枠部材が開放された事実をより確実に把握することができる。
請求項2に記載の発明によれば、枠部材の開放から所定の時間以内に枠部材の閉鎖を検出すると、異常報知手段の作動態様を変更する。また、請求項5に記載の発明においても、枠部材の閉鎖を検出すると異常報知手段の作動態様を変更する。そのため、不正行為を行った者からしてみると、枠部材を閉鎖したことで異常報知手段による報知が終了したかのように見えることが期待できる。したがって、不正行為を行った者に逃げられることなく不正行為を摘発できる可能性が向上し、ひいては防犯性の向上を図ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、異常制御手段は、枠部材の開放を検出すると、報音手段から異常報知メッセージを報音させる一方、枠部材の閉鎖を検出すると、異常報知メッセージの報音を停止するため、不正行為ではなく球詰まり等の発生によりホール店員が正規の理由で枠部材を開放した場合等に、遊技者に不快感を抱かせない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】パチンコ機を前面側から示した説明図である。
【図2】パチンコ機を後面側から示した説明図である。
【図3】パチンコ機の制御機構を示したブロック構成図である。
【図4】パチンコ機の制御機構を示したブロック構成図である。
【図5】パチンコ機における制御を示したフローチャート図である。
【図6】振動の監視に係る制御を示したフローチャート図である。
【図7】前扉の監視に係る制御を示したフローチャート図である。
【図8】貯留皿の監視に係る制御を示したフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態となるパチンコ機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0011】
(パチンコ機の説明)
図1は、パチンコ機1を前面側から示した説明図であり、図2は、パチンコ機1を後面側から示した説明図である。また、図3及び図4は、パチンコ機1の制御機構を示したブロック構成図である。
パチンコ機1は、遊技盤2の前面に形成された遊技領域2a内へ遊技球を打ち込み、遊技領域2a内を流下させて遊技するものであって、遊技盤2は、支持体として機能する機枠3の前面上部に、金属製のフレーム部材であるミドル枠5を介して設置されている。また、遊技盤2の前方には、ガラス扉を嵌め込み設置してなる前扉4が、左端縁を軸として片開き可能に機枠3に蝶着されており、該前扉4によって閉塞される遊技盤2の前方空間が遊技領域2aとされている。
【0012】
当該遊技領域2aは、遊技盤2の前面に円弧状に配設された外レール及び内レール(図示せず)等によって囲まれており、両レール間が遊技球を遊技領域2a内へ打ち込むための発射通路とされている。また、遊技領域2aの略中央には、「0」〜「9」の数字や絵柄等からなる「図柄」を表示するための図柄表示部6が設けられている。さらに、遊技領域2aには、遊技球が通過可能なゲート部材16、一対の爪片を開閉動作可能に備えたチューリップ式電動役物17、開閉可能な扉部材を有する大入賞装置18、図示しない多数の遊技釘や風車等が設置されている。
【0013】
また、機枠3の前面側であって上記遊技盤2の下方には、遊技球を発射装置10へ供給するための供給皿7、及び供給皿7から溢れた遊技球を貯留するための貯留皿8が機枠3に対して夫々片開き可能に取り付けられている。該貯留皿8の前面には、貯留皿8内の遊技球を排出するための排出ボタン8aが設けられている。さらに、貯留皿8の右側には、発射装置10を作動させるためのハンドル9が回動操作可能に設置されている。加えて、供給皿7の前縁には、リーチ演出中や大当たり状態中に遊技者が操作する押しボタン19が設けられている。該押しボタン19には、フルカラーで発光可能なLEDが内蔵されており、状況に応じて種々の色で発光する。
さらに、遊技盤2の上部には、効果音や各種メッセージ等を報音する一対のスピーカ14、14、及びパチンコ機1の遊技状態等に応じて点灯・点滅する複数のランプを有するランプ部材15が設けられている。
【0014】
一方、機枠3の後面側には、供給皿7へ貸球や賞品球として払い出される遊技球を貯留するための貯留タンク11、当該貯留タンク11と連結された払出装置12、図柄表示部6に「図柄」を表示させるための液晶表示装置13(図4に示す)、遊技に係る主たる制御(たとえば、所謂「大当たり抽選」等)を実行するためのメイン制御基板21(図3に示す)を収納したメイン制御装置20、払出装置12や液晶表示装置13、スピーカ14、ランプ部材15等の動作を統合的に制御するサブ統合基板23(図4に示す)を内蔵したサブ制御装置22、スピーカ14の動作を制御する音制御基板24(図4に示す)やランプ部材15の動作を制御するランプ制御基板25(図4に示す)、液晶表示装置13の動作を制御する表示制御基板26(図4に示す)等の各種基板を夫々収納した複数の収納ケース等が設置されている。
【0015】
以上のようなパチンコ機1では、遊技者によってハンドル9が回動操作されると、発射装置10が作動して遊技球が遊技領域2a内へ打ち込まれる。そして、遊技領域2a内を流下する遊技球がチューリップ式電動役物17へ入賞すると、メイン制御基板21にて「大当たり抽選」を行い、所謂「大当たり」である場合には、図柄表示部6に「図柄」を所定態様(たとえば、「7、7、7」等)で表示させた後、大入賞装置18の扉部材を所定回数にわたって断続的に開成させるといった所謂「大当たり状態」を生起させる。
【0016】
(異常報知機能の説明)
次に、本発明の要部となる異常報知機能について説明する。
メイン制御基板21は、メインCPU31、ROMやRAMからなるメイン記憶手段32、インターフェイス33、タイマ34等を備えており、メインCPU31において上述したような遊技に係る主たる制御や後述する異常報知制御を実行する。また、メインCPU31は、インターフェイス33を介してサブ統合基板23のサブCPU41と電気的に接続されており、遊技に係る主たる制御や異常報知制御に伴う各種指令をサブCPU41へ送信可能となっている。さらに、メインCPU31には、インターフェイス33を介して、前扉4の開閉状態を検出する開閉検出スイッチ35、貯留皿8が満杯になったことを検出する満杯検出スイッチ36、パチンコ機1に振動が生じたことを検出する振動検出スイッチ37が接続されている。また、メイン記憶手段32には、遊技に係る主たる制御や異常報知制御を実行するための各種プログラムが記憶されているとともに、異常報知の優先順位(振動異常>開閉異常>満杯異常)が記憶されている。尚、メインCPU31とサブCPU41との間における通信は、メインCPU31からサブCPU41への信号の送信(指令)のみを許容する片方向通信とされており、サブCPU41からメインCPU31への信号の送信は不可能となっている。また、38は、チューリップ式電動役物17や大入賞装置18への遊技球の入賞を検出するための入賞検出スイッチである。
【0017】
一方、サブ統合基板23は、サブCPU41、ROMやRAMからなるサブ記憶手段42、インターフェイス43、タイマ44等を備えている。そして、サブCPU41は、メインCPU31に加え、インターフェイス43を介して、音制御基板24の音CPU51やランプ制御基板25のランプCPU61、表示制御基板26の表示CPU71等と電気的に接続されており、メインCPU31による制御のもと各CPU51、61、71を統合的に制御するようになっている。尚、サブ統合基板23には、押しボタン19が接続されており、後述するようなテストモードを実行するためのプログラムは、サブ記憶手段42に記憶されている。
【0018】
また、音制御基板24は、音CPU51、ROMやRAMからなる音記憶手段52、インターフェイス53、スピーカ14から効果音やメッセージを報音させる際の音量を調節する音量調節手段54等を備えてなり、音記憶手段52には、遊技状態に応じてスピーカ14から報音させる効果音や楽曲のデータ等に加え、「下皿が満杯です」や「扉が開いています」等の異常メッセージや「ピーピーピー」等の電子音を含む複数の異常報知パターンが記憶されている。そして、音CPU51は、サブCPU41による制御のもと、音記憶手段52から効果音や楽曲、異常報知パターンを適宜読み出すとともに、音量調節手段54により音量を調節し、スピーカ14から報音させるといった制御を実行する。
【0019】
さらに、ランプ制御基板25は、ランプCPU61、ROMやRAMからなるランプ記憶手段62、インターフェイス63等を備えてなり、ランプ記憶手段62には、遊技状態に応じたランプの点灯・点滅パターンとなる遊技パターンに加え、たとえば前扉4が開放された場合等の異常事態の発生時におけるランプの点灯・点滅パターンとなる異常報知パターンが複数パターン記憶されている。そして、ランプCPU61は、サブCPU41による制御のもと、ランプ記憶手段62から遊技パターンや異常報知パターンを適宜読み出し、読み出した各パターンに応じてランプ部材15のランプを点灯・点滅させるといった制御を実行する。
【0020】
加えて、表示制御基板26は、表示CPU71、ROMやRAMからなる表示記憶手段72、インターフェイス73等を備えてなり、表示記憶手段72には、遊技状態に応じた液晶表示装置13における表示パターン(たとえばリーチ演出や大当たり状態生起中の演出)等が記憶されている。そして、表示CPU71は、サブCPU41による制御のもと、表示記憶手段72から表示パターンを適宜読み出し、当該表示パターンを液晶表示装置13に表示させるといった制御を実行する。
【0021】
ここで、上述したような制御機構を有するパチンコ機1における異常報知制御について、図5〜図8のフローチャートをもとに説明する。
メインCPU31は、入賞検出スイッチ38により遊技球のチューリップ式電動役物17への入賞を検出すると所謂「大当たり抽選」を行うとともに、「大当たり抽選」の結果にもとづいて「大当たり状態」を生起させるといった上記遊技に係る主たる制御を実行する(S1)とともに、パチンコ機1に振動が生じているか否か(S2)、前扉4が開いているか否か(S3)、及び貯留皿8が満杯となっているか否か(S4)を監視し、S2〜S4において何か異常を検出すると当該異常を報知するといった異常報知制御を実行する。尚、メインCPU31では、S1〜S4に係る制御を極めて短い時間(たとえば10ms)で繰り返し実行しており、遊技に係る主たる制御と略同時並行的に、振動、前扉4、及び貯留皿8に対する異常報知制御を実行している。
【0022】
そして、パチンコ機1に対する振動の監視制御では、まず振動フラグのON/OFFを確認する(S201、当初は当然OFF)とともに、パチンコ機1に設置された振動検出スイッチ37を用いて振動の有無を監視する(S202)。ここで、遊技者によりパチンコ機1が揺すられる等して生じた振動を検出する(S202でYES)と、異常有りとして振動フラグ(異常フラグ)をONする(S203)。尚、振動が検出されない場合には、異常なしとしてENDとなり、前扉4の監視制御へ移行する。
【0023】
また、S203で振動フラグをONした後、他の異常フラグ(後述するように前扉4の開放にもとづいてONされる前扉フラグ等)でONされているものがあるか否かを判断する(S204)。そして、他の異常フラグがONとなっていない場合、すなわち振動異常のみが生じている場合には、S207へ進み、ランプ部材15及びスピーカ14を用いた異常報知動作を実行する。すなわち、ランプ部材15については、所定の色(たとえば紫色)で点滅させる。また、スピーカ14では、「振動を検出しました」という異常メッセージと警告音(電子音)とを音量最大で報音させるとともに、異常が発生していない通常時に報音していた遊技に係る音(効果音や楽曲等)については音量を通常の1/10程度に小さく調節して報音を継続させる。一方、S204で他の異常フラグがONとなっていた場合、S205へ進み、異常の優先順位を確認する。上述したように優先順位は「振動異常>開閉異常>満杯異常」となっており、振動異常を最優先としているため、S206で、ONとなっていた他の異常フラグをOFFするとともに、他の異常に係る異常報知動作を停止した後、S207へ進み、上述したような異常報知動作を実行する。
【0024】
さらに、異常報知を開始すると同時にタイマ34による計時もスタートし、S208で異常報知を開始してから5分間経過したか否かを判断する。そして、異常報知時間が5分以内となる間は、異常報知動作を継続した状態のまま、振動の監視に係る制御を一旦ENDとし、前扉4の監視や貯留皿8の監視、遊技に係る主たる制御を実行する。その後、次回振動の監視に係る制御をスタートした際、振動フラグがONとなっているため、S201でYESとなり、S208へ進んで、異常報知時間の判断をすることになる。つまり、振動に係る異常を1度検出すると、5分間にわたって上記異常報知動作を実行する。そして、異常報知の開始から5分間が経過すると、振動に係る異常報知動作を停止する(S209)とともに、振動フラグをOFFして(S210)、ENDとなる。
【0025】
次に、前扉4の監視制御では、まず扉フラグのON/OFFを確認する(S301)とともに、パチンコ機1に設置された開閉検出スイッチ35を用いて前扉4の開閉状態を監視する(S302)。そして、遊技者により前扉4が不正に開放される等、前扉4の開放を検出する(S302でYES)と、異常有りとして扉フラグ(異常フラグ)をONする(S303)。尚、前扉4の開放が検出されない場合には、異常なしとしてENDとなり、貯留皿8の監視制御へ移行する。
【0026】
また、S303で扉フラグをONした後、他の異常フラグでONされているものがあるか否かを判断する(S304)。そして、他の異常フラグがONとなっていない場合、すなわち開放異常のみが生じている場合には、S307へ進み、ランプ部材15及びスピーカ14を異常報知パターンの1組み合わせであるAパターンで作動させるといった異常報知動作を実行する。すなわち、ランプ部材15については、上記振動異常を報知する場合とは異なる所定の色(たとえば青色)で点滅させる。また、スピーカ14では、「扉が開いています」という異常メッセージを音量最大で報音させるとともに、通常時に報音していた遊技に係る音については音量を1/10程度に小さく調節して報音を継続させる。一方、S304で他の異常フラグがONとなっていた場合、S305へ進み、異常の優先順位を確認する。そして、ONとなっていた異常フラグよりも扉フラグの方が優先順位が高い(すなわち、満杯フラグのみがONとなっていた場合)には、S306で、満杯フラグをOFFするとともに満杯異常に係る異常報知動作を停止した後、S307へ進み、上述したような異常報知動作を実行する。また、ONとなっていた異常フラグよりも扉フラグの方が優先順位が低い(すなわち、振動フラグがONとなっていた場合)には、S313へ進み、前扉4の開放に係る異常報知動作を実行することなく扉フラグをOFFし、ENDとなる。
【0027】
以上のようにしてAパターンで異常報知動作を開始した後には、S308で前扉4の閉鎖、すなわち状態が正常に復帰したか否かを判断する。また、異常報知動作の開始と同時にタイマ34による計時もスタートする。その後、前扉4が開放された状態のまま30秒を超えない間(S308、S309共にNO)は、上記Aパターンで異常報知動作を継続するものの、前扉4が開放された状態のまま30秒を超える(S308でNO、S309でYES)と、異常報知パターンを、スピーカ14からの異常メッセージの報音のみを停止し、ランプ部材15による点滅報知、及び通常の遊技に係る音の音量ダウンについては継続するBパターンへ移行し、異常報知動作を継続する。そして、当該Bパターンによる異常報知動作は、前扉4が閉鎖されるまで実行され続けることになる。また、たとえ前扉4が開放後すぐに閉鎖されたとしても(S308でYES)、前扉4が開放されてから30秒間(S310でNOと判断する間)は、上記Bパターンで異常報知動作を継続する。すなわち、前扉4の閉鎖をもって「扉が開いています」といった異常メッセージの報音は停止するものの、ランプ部材15の点滅や遊技に係る音の音量ダウンによって、前扉4が開放されていた事態を報知し続ける。そして、前扉4が閉鎖され、且つ、前扉4が開放されてから30秒の経過をもって、前扉4の開放に係る異常報知動作を停止する(S312)とともに、扉フラグをOFFして(S313)、ENDとなる。尚、振動の監視に係る制御同様、前扉4が開放され続ける間や前扉4が開放されてから30秒経過していない間は、上記Aパターン若しくはBパターンでの異常報知動作を継続した状態のまま、前扉4の監視に係る制御を一旦ENDとし、貯留皿8の監視や遊技に係る主たる制御を実行する。そして、次回前扉4の監視に係る制御をスタートした際には、扉フラグがONとなっているため、S301でYESとなり、S308へ進んで前扉4が閉鎖されているか否かを判断する。また、振動の発生により、強制的に扉フラグがOFFされ、前扉4の開放に係る異常報知動作が停止されたとしても、前扉4が開放され続けていると、振動に係る異常報知動作の停止後、再び前扉4の開放を検出し、開放異常を報知する。
【0028】
さらに、貯留皿8の監視制御でも、まず満杯フラグのON/OFFを確認する(S401)とともに、貯留皿8に設置された満杯検出スイッチ36を用いて貯留皿8内の遊技球が満杯になっているか否かを監視する(S402)。ここで、大当たり状態の生起等により多くの遊技球が供給皿7を介して貯留皿8へ払い出され、貯留皿8が満杯になったことを検出すると(S402でYES)、異常有りとして満杯フラグ(異常フラグ)をONする(S403)。尚、満杯が検出されない場合には、異常なしとしてENDとなり、遊技に係る主たる制御へ移行する。
【0029】
また、S403で満杯フラグをONした後、他の異常フラグでONされているものがあるか否かを判断する(S404)。そして、他の異常フラグがONとなっていない場合、すなわち満杯異常のみが生じている場合には、S406へ進み、スピーカ14を用いた異常報知動作を実行する。すなわち、スピーカ14において、「下皿が満タンになりました」という異常メッセージを音量最大で報音させるとともに、通常時に報音していた遊技に係る音については音量を小さく調節して報音を継続させる。一方、S404で他の異常フラグがONとなっていた場合、S405へ進み、異常の優先順位を確認する。上述したように満杯異常の優先順位は最下位であるため、S409へ進み、貯留皿8の満杯に係る異常報知動作を実行することなく満杯フラグをOFFし、ENDとなる。
【0030】
さらに、満杯異常の発生を検出した後は、タイマ34による計時を行わず、排出ボタン8aが操作されて満杯が解除されたか否かのみを判断する(S407)。そして、満杯が解除されると(S407でYES)、満杯に係る異常報知動作を停止する(S408)とともに、満杯フラグをOFFして(S409)、ENDとなる。尚、振動や前扉4の監視に係る制御同様、満杯が解除されない間は、上記異常報知動作を継続した状態のまま、貯留皿8の監視に係る制御を一旦ENDとし、遊技に係る主たる制御や振動の監視に係る制御を実行する。そして、次回貯留皿8の監視に係る制御をスタートした際に、満杯フラグがONとなっているため、S401でYESとなり、S407へ進んで満杯が解除されているか否かを判断する。また、振動の発生や前扉4の開放により、強制的に満杯フラグがOFFされ、満杯に係る異常報知動作が停止されたとしても、貯留皿8が満杯のままであると、振動や前扉4に係る異常報知動作の停止後、再び貯留皿8の満杯を検出し、満杯異常を報知する。
【0031】
加えて、パチンコ機1には、パチンコ機1への電源投入時に、押しボタン19が正確に動作するか否かをテストするテストモードが設定されている。当該テストモードは、パチンコ機1に電源が投入され、メインCPU31から送信された電源投入コマンドをサブCPU41が受信してから30秒間において、押しボタン19が操作されると、押しボタン19を500ms間隔で白→赤→緑→青→白・・と色を変えながら点灯させるものである。当該テストモードは、電源投入コマンドを受信してから30秒の経過をもって終了となり、押しボタン19も消灯させる。
【0032】
(本実施形態による効果)
上述したようなパチンコ機1によれば、前扉4が開放される異常事態を検出すると、スピーカ14及びランプ部材15を用いた異常報知動作を開始し、その後、たとえ前扉4が閉鎖されたとしても、前扉4が開放されてから所定の時間が経過するまでは、スピーカ14及びランプ部材15を用いた異常報知動作を継続する。したがって、ホール店員等の周囲の者にしてみると、従来と比べて異常が発生した事実を見落としにくく、異常が発生した事実をより確実に把握することができる。
【0033】
また、前扉4が開放状態にある場合と閉鎖状態にある場合とで、異常報知パターンを異ならせている。そのため、不正行為を行った者からしてみると、前扉4を閉鎖したことで異常の報知が終了したかのように見えることも考えられる。したがって、不正行為を行った者に逃げられることなく不正行為を摘発できる可能性が向上し、ひいては防犯性の向上を図ることができる。
【0034】
さらに、不正行為ではなく球詰まり等の発生によりホール店員が正規の理由で前扉4を開放することもある。このような場合に、前扉4を閉じたにも拘わらず、何時までも開放状態と同様の異常報知が継続されてしまうと遊技者に不快感を抱かせかねない。しかしながら、パチンコ機1では、前扉4が開放状態にある場合と閉鎖状態にある場合とで、異常報知パターンを異ならせており、特に異常メッセージの報音を停止するように構成しているため、遊技者に不快感を抱かせることがない。
【0035】
さらにまた、パチンコ機1では、複数の異常を検出可能としているとともに、異常に優先順位を設定しており、複数の異常を同時に検出した場合には優先順位の高い異常を低い異常に優先させて報知する、すなわち低い異常については報知しない又は報知を停止するように構成している。したがって、貯留皿8が満杯といった犯罪性に乏しい異常を先に検出したが故、前扉4が開放されたり、パチンコ機1に振動が与えられたりといった犯罪性の高い異常を報知することができないという事態の発生を防止することができ、より防犯性に富んだ遊技機とすることができる。また、ホール店員等の周囲の者は、より早く対応しなければならない異常事態を確実に把握することができる。
【0036】
加えて、パチンコ機1の電源を投入してから所定の時間内において押しボタン19の動作を確認可能なテストモードを有しており、上記所定の時間内に押しボタン19が操作されると、押しボタン19を点灯させるとともに、その色を順次変更するようになっている。したがって、パチンコ機1の設置時やホールの開店前に、押しボタン19が正確に接続されているか、及び押しボタン19に内蔵されたLEDに故障はないかを確認することができる。
【0037】
(本発明の変更例)
なお、本発明の遊技機に係る構成は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、異常の種類やその検出に係る構成、及び異常の報知に係る構成について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更可能である。
【0038】
たとえば、上記実施形態では、貯留皿8の満杯異常、前扉4の開閉異常、及びパチンコ機1に対する振動異常の3つの異常を検出する構成となっているが、当該3つの異常に何ら限定されるものではなく、他にミドル枠5の開閉や大入賞装置18の扉部材の開閉、パチンコ機1に対する電波異常や磁気異常等を各種検出センサ等により監視可能とし、異常がある場合には報知するように構成しても何ら問題はない。
また、異常の優先順位についても適宜変更可能であって、上記実施形態の順位に当然限定されないし、外部端末により優先順位を変更可能としたり、メイン制御装置20にディップスイッチ等からなる優先順位変更手段を設けることも可能である。
【0039】
さらに、異常報知パターンについても上記実施形態の異常報知パターンに何ら限定されることはなく、前扉4の閉鎖に伴い、スピーカ14による異常報知動作は停止し、ランプ部材15のみによって異常報知を継続するように構成しても何ら問題はない。
さらにまた、上記実施形態では、前扉4の開放を検出すると、その後の前扉4の開閉状態に拘わらず、前扉4の開放から30秒間にわたってスピーカ14及びランプ部材15を用いた異常報知動作を実行する構成としているが、当該構成に変えて、前扉4の開放を検出するとスピーカ14及びランプ部材15を用いた異常報知動作を開始し、当該異常報知動作を前扉4の閉鎖を検出してから所定時間(たとえば10秒間)が経過するまで維持するような構成としてもよい。この構成を採用しても、正常復帰してから所定時間は異常報知動作が継続されることになるため、従来よりも異常の発生の事実を見落としにくいといった同様の効果を奏することができる。また、当該構成において、上記実施形態同様に、前扉4の閉鎖をもってスピーカ14からの異常報知メッセージの報音を停止する等、前扉4の閉鎖の検出に伴い異常報知動作の作動態様を変更するような構成としてもよいことは言うまでもない。
【0040】
またさらに、スピーカ14やランプ部材15以外に、たとえば液晶表示装置13を異常報知手段とし、異常を検出すると、液晶画面に「扉が開いています」といった異常メッセージを表示するように構成することも可能である。
また、上記実施形態では、振動検出スイッチ37や満杯検出スイッチ36をメイン制御基板21に接続しているが、これらをサブ統合基板23に接続し、サブ統合基板23において上述したような監視制御を実行するように構成することも可能である。
加えて、上記実施形態では遊技機の一実施形態であるパチンコ機について説明しているが、本発明をパチンコ機以外の遊技機(たとえばスロットマシーン)に適用可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0041】
1・・パチンコ機、3・・機枠、4・・前扉(枠部材)、5・・ミドル枠、7・・供給皿、8・・貯留皿、14・・スピーカ(異常報知手段、報音手段)、15・・ランプ部材(異常報知手段)、19・・押しボタン、20・・メイン制御装置、21・・メイン制御基板(異常制御手段)、22・・サブ制御装置、23・・サブ統合基板、24・・音制御基板(報音手段)、25・・ランプ制御基板、31・・メインCPU、32・・メイン記憶手段、33、43、53、63・・インターフェイス、34、44・・タイマ、35・・開閉検出スイッチ(開閉検出手段)、36・・満杯検出スイッチ、37・・振動検出スイッチ、41・・サブCPU、42・・サブ記憶手段、51・・音CPU、52・・音記憶手段、54・・音量調節手段、61・・ランプCPU、62・・ランプ記憶手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体を支持する機枠と、前記機枠に対して開閉可能に取り付けられた枠部材とを備えてなる遊技機であって、
前記枠部材の開閉状態を検出する開閉検出手段と、
前記開閉検出手段が接続され、前記枠部材の開閉状態を判断するとともに、前記枠部材の開放時間を計時する計時手段を有する異常制御手段と、
前記異常制御手段に接続され、前記異常制御手段による制御のもと作動し、異常を周囲に報知する異常報知手段とを備えており、
前記異常制御手段は、前記枠部材の開放を検出すると、その後の前記枠部材の開閉状態に拘わることなく、前記枠部材の開放から所定の時間にわたって前記異常報知手段を作動させることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記異常制御手段は、前記枠部材の開放から所定の時間以内に前記枠部材の閉鎖を検出すると、前記異常報知手段の作動態様を変更し、前記所定の時間が経過するまで変更後の作動態様にて前記異常報知手段を作動させることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
遊技に係る遊技音や異常を報知する異常報知メッセージを報音するとともに、前記遊技音や前記異常報知メッセージの音量を調節可能な報音手段を備えており、
前記異常制御手段は、前記枠部材の開放を検出すると、前記異常報知手段として前記報音手段を作動させ、前記報音手段から異常報知メッセージを報音させるとともに、前記遊技音の音量を前記異常報知メッセージの音量よりも小さく変更する一方、前記枠部材の閉鎖を検出すると、前記異常報知メッセージの報音を停止するものの、前記遊技音の音量については、前記所定の時間が経過するまで小さく変更した状態のまま維持することを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
本体を支持する機枠と、前記機枠に対して開閉可能に取り付けられた枠部材とを備えてなる遊技機であって、
前記枠部材の開閉状態を検出する開閉検出手段と、
前記開閉検出手段が接続され、前記枠部材の開閉状態を判断するとともに、前記枠部材の開放時間を計時する計時手段を有する異常制御手段と、
前記異常制御手段に接続され、前記異常制御手段による制御のもと作動し、異常を周囲に報知する異常報知手段とを備えており、
前記異常制御手段は、前記枠部材の開放を検出すると前記異常報知手段を作動させるとともに、前記異常報知手段の作動を前記枠部材の閉鎖を検出してから所定の時間が経過するまで維持することを特徴とする遊技機。
【請求項5】
前記異常制御手段は、前記枠部材の閉鎖を検出すると、前記異常報知手段の作動態様を変更することを特徴とする請求項4に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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